(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2017-537252(P2017-537252A)
(43)【公表日】2017年12月14日
(54)【発明の名称】液体推進剤エンジンのための改良された点火方法
(51)【国際特許分類】
F02K 9/44 20060101AFI20171117BHJP
F02K 9/95 20060101ALI20171117BHJP
F02K 9/56 20060101ALI20171117BHJP
B64G 1/40 20060101ALI20171117BHJP
【FI】
F02K9/44
F02K9/95
F02K9/56
B64G1/40
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2017-521528(P2017-521528)
(86)(22)【出願日】2015年10月19日
(85)【翻訳文提出日】2017年6月14日
(86)【国際出願番号】FR2015052793
(87)【国際公開番号】WO2016062949
(87)【国際公開日】20160428
(31)【優先権主張番号】1460126
(32)【優先日】2014年10月21日
(33)【優先権主張国】FR
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】517002546
【氏名又は名称】エアバス・サフラン・ローンチャーズ・エス・ア・エス
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】特許業務法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ユエ,バランタン
(57)【要約】
液体推進剤エンジンのための改良された点火方法
宇宙船エンジンの燃焼を開始する方法であって、
推進剤タンクヒータ(25)を点火するステップと、
一旦ヒータ(25)が安定状態に達すると、第1の推進剤を含む第1のタンク(23)および第2の推進剤を含む第2のタンク(24)を加圧するステップ、および並行して、温度の点火閾値(T
13、T
14)および圧力の点火閾値(P
13、P
14)に達するまで、第1の点火器タンク(13)をガス形態の第1の推進剤で充填し、第2の点火器タンク(14)をガス形態の第2の推進剤で充填するステップと、
第1の点火器タンクおよび第2の点火器タンク(13および14)の中に含まれたガス形態の第1の推進剤および第2の推進剤をエンジンの点火器(12)の中に噴射して、燃焼を開始するステップと
を含む、方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
宇宙船エンジン内で燃焼を開始する方法であって、
第1の推進剤および第2の推進剤用のタンク(23、24)を加熱するためのヒータ(25)を点火するステップと、
ヒータ(25)が安定状態に達するまで待機するステップと、
液体形態の第1の推進剤を含む第1のタンク(23)をヒータ(25)によって第1の圧力閾値(P23)まで加圧するステップ、および並行して、温度の第1の点火閾値(T13)および圧力の第1の点火閾値(P13)に達するまで、第1の点火器タンク(13)をガス形態の第1の推進剤で充填するステップと、
液体形態の第2の推進剤を含む第2のタンク(24)をヒータ(25)によって第2の圧力閾値(P24)まで加圧するステップ、および並行して、温度の第2の点火閾値(T14)および圧力の第2の点火閾値(P14)に達するまで、第2の点火器タンク(14)をガス形態の第2の推進剤で充填するステップと、
第1の点火器タンクおよび第2の点火器タンク(13および14)の中に含まれたガス形態の第1の推進剤および第2の推進剤をエンジンの点火器(12)の中に噴射して、燃焼を開始するステップと
を含む、方法。
【請求項2】
第1の推進剤が液体酸素であり、第2の推進剤が液体水素である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
燃焼を開始した後、宇宙船エンジンが作動される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
第1のタンク(23)の加圧および第2のタンク(24)の加圧が引き続いて行われる、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
第1のタンク(23)の加圧および第2のタンク(24)の加圧が、同時に行われる、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
液体推進剤の第1のタンク(23)および液体推進剤の第2のタンク(24)と、
第1の点火器タンク(13)および第2の点火器タンク(14)によってガス状推進剤を供給される宇宙船エンジン点火器(12)と、
液体推進剤の第1のタンク(23)および液体推進剤の第2のタンク(24)を加圧するためのヒータ(25)と、
第1の液体推進剤タンクおよび第2の液体推進剤タンク(23および24)をヒータ(25)によって安定状態下で加圧するように、ヒータ(25)を制御するように構成されるコントローラ(15)と
を備えるシステムであって、
コントローラ(15)およびヒータ(25)が、
第1の液体推進剤タンク(23)を加圧する間に、温度の点火閾値(T13)および圧力の点火閾値(P13)に達するまで、ガス形態の第1の推進剤を第1の点火器タンク(13)に供給するように、および
第2の液体推進剤タンク(24)を加圧する間に、温度の点火閾値(T14)および圧力の点火閾値(P14)に達するまで、ガス形態の第2の推進剤を第2の点火器タンク(14)に供給するように構成され、
コントローラ(15)が、第1の点火器タンク(13)および第2の点火器タンク(14)の内容物を宇宙船エンジン点火器(12)の中に噴射して燃焼を開始するような様式で構成されることを特徴とする、システム。
【請求項7】
第1の推進剤が液体酸素であり、第2の推進剤が液体水素である、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
コントローラ(15)が、第1の点火器タンク(13)および第2の点火器タンク(14)の内容物を宇宙船エンジン点火器(12)の中に噴射することによって燃焼を開始した後に、宇宙船エンジンを作動させるように制御するように構成される、請求項6または7に記載のシステム。
【請求項9】
コントローラ(15)が、第1の点火器タンク(13)および第2の点火器タンク(14)が引き続いて、または同時に供給されるような様式で、ヒータ(25)を制御するように構成される、請求項6から8のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項10】
第1の点火器タンク(13)が、第1の点火器バルブ(131)を介して点火器(12)に結合され、第1の供給バルブ(132)を介してヒータに結合され、
第2の点火器タンク(14)が、第2の点火器バルブ(141)を介して点火器(12)に結合され、第2の供給バルブ(142)を介してヒータに接続され、
コントローラ(15)が、第1の点火器バルブおよび第2の点火器バルブならびに供給バルブ(131、132、141および142)の開閉を制御するように構成されている、請求項6から9のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項11】
液体推進剤エンジンと、請求項6から10のいずれか一項に記載のシステムとを含む宇宙船。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、宇宙船エンジンの燃焼室内で燃焼を開始させる点火器の分野に関する。
【背景技術】
【0002】
自己点火推進剤の対を使用しない燃焼室は、点火器を使用して燃焼を開始する必要がある。残念なことに、自己点火推進剤は、非自己点火推進剤よりも取り扱うのがより困難であるため、したがって点火器に付随する自己点火しない推進剤を使用することは常に有利である。
【0003】
したがって、燃焼室での燃焼を開始するためにエンジンサイクルの推進剤を使用する点火器が知られている。したがって、そのような点火器は、再点火が行われることを可能にし、点火目的のために特定の推進剤を必要としない。
【0004】
それにもかかわらず、そのような点火器は、燃焼が安定していることを保証するために、推進剤がガス形態で点火器に到着することを必要とし、かつ、ガス形態の推進剤のこの供給が、非常に変わりやすく、更に制御することが困難であり得る状態下で(特に温度状態において)、発生する可能性がある任意の再点火に対して再現可能であることを必要とする。
【0005】
更に、そのような点火器は、エンジンサイクルに結合される。具体的には、点火器の中に噴射される推進剤が、エンジンサイクルのために使用される推進剤から取り出されるので、推進剤が点火器の中に噴射される速度は、したがって、推進剤がエンジンサイクルのための燃焼室の中に噴射される速度に依存する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、本発明は、これらの態様を少なくとも部分的に改善する解決策を提案することを目指している。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的のために、本発明は、宇宙船エンジンの燃焼を開始する方法を提供し、その方法は、
第1の推進剤および第2の推進剤用のタンクを加熱するためのヒータを点火するステップと、
ヒータが安定状態に達するまで待機するステップと、
液体形態の第1の推進剤を含む第1のタンクをヒータによって第1の圧力閾値まで加圧するステップ、および並行して、温度の第1の点火閾値および圧力の第1の点火閾値に達するまで、第1の点火器タンクをガス形態の第1の推進剤で充填するステップと、
液体形態の第2の推進剤を含む第2のタンクをヒータによって第2の圧力閾値まで加圧するステップ、および並行して、温度の第2の点火閾値および圧力の第2の点火閾値に達するまで、第2の点火器タンクをガス形態の第2の推進剤で充填するステップと、
第1の点火器タンクおよび第2の点火器タンクの中に含まれるガス形態の第1の推進剤および第2の推進剤をエンジンの点火器の中に噴射して、燃焼を開始するステップと
を含む、方法。
【0008】
一例として、第1の推進剤は液体酸素であり、第2の推進剤は液体水素である。特定の実現形態では、燃焼を開始した後、宇宙船エンジンが作動される。
【0009】
典型的には、第1のタンクの加圧と第2のタンクの加圧が引き続いて、または同時に行われる。
【0010】
本発明は更に、
液体推進剤の第1のタンクおよび液体推進剤の第2のタンクと、
第1の点火器タンクおよび第2の点火器タンクによってガス状推進剤によって供給される宇宙船エンジン点火器と、
液体推進剤の第1のタンクおよび液体推進剤の第2のタンクを加圧するためのヒータと、
第1の液体推進剤タンクおよび第2の液体推進剤タンクをヒータによって安定状態下で加圧するように、ヒータを制御するように構成されるコントローラと
を備えるシステムであって、
コントローラおよびヒータが、
第1の液体推進剤タンクを加圧する間に、温度の点火閾値および圧力の点火閾値に達するまで、ガス形態の第1の推進剤を第1の点火器タンクに供給するように、および
第2の液体推進剤タンクを加圧する間に、温度の点火閾値および圧力の点火閾値に達するまで、ガス形態の第2の推進剤を第2の点火器タンクに供給するように構成され、
コントローラが、第1の点火器タンクおよび第2の点火器タンクの内容物を宇宙船エンジン点火器に噴射して燃焼を開始するような様式で構成されることを特徴とする、システムを提供する。
【0011】
一例として、第1の推進剤は液体酸素であり、第2の推進剤は液体水素である。
【0012】
典型的には、コントローラは、第1の点火器タンクおよび第2の点火器タンクの内容物を宇宙船エンジン点火器の中に噴射することによって、燃焼の開始後に、宇宙船エンジンを作動させるように制御するように構成される。
【0013】
典型的には、コントローラは、第1の点火器タンクおよび第2の点火器タンクが引き続いて、または同時に供給されるような様式で、ヒータを制御するように構成される。
【0014】
例では、
第1の点火器タンクが、第1の点火器バルブを介して点火器に結合され、第1の供給バルブを介してヒータに結合され、
第2の点火器タンクが、第2の点火器バルブを介して点火器に結合され、第2の供給バルブを介してヒータに接続され、
コントローラが、第1および第2の点火器バルブおよび供給バルブの開閉を制御するように構成されている。
【0015】
本発明は、液体推進剤エンジンと、上記に提示されるシステムとを含む宇宙船を更に提供する。
【0016】
以下の説明から本発明の他の特徴、目的および利点が、純粋に例示的であり、限定的ではなく、添付図面を参照して読むべきである以下の説明から明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図2】本発明の一態様における方法を示す図である。
【
図3】
図2に示される方法の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
すべての図において、共通の要素は、同一の数値参照によって識別される。
【0019】
図1は、本発明の一態様におけるシステムを示し、
図2は、そのようなシステムにおける燃焼を開始する方法を示す。
【0020】
図示されるシステムは、燃焼装置1および貯蔵装置2を備える。
【0021】
燃焼装置1は、燃焼室11、点火器12、第1の点火器タンク13および第2の点火器タンク14を備える。
【0022】
第1の点火器タンク13および第2の点火器タンク14は、それぞれ第1の点火器バルブ131および第2の点火器バルブ141というバルブによって、それぞれ点火器12に結合されており、それらのタンクは、ガス状の推進剤を含むように構成されており、したがって点火器12にガス状推進剤を供給する。
【0023】
貯蔵装置2は、それぞれ第1の推進剤および第2の推進剤を含むように構成された第1の推進剤タンク23および第2の推進剤タンク24を備える。
【0024】
貯蔵装置は、所定の圧力をその内部に加えるために、第1の推進剤タンク23および第2の推進剤タンク24を加圧下に置くように構成されたヒータ25を更に備える。
【0025】
このようなヒータ25の構造はよく知られているので、詳細には説明されない。一般的な様式では、ヒータは、水素および酸素などの推進剤を加熱するための熱交換器、ならびにタンク23および24を圧力下に置くために使用されるヘリウムなどの不活性ガスを共に備える設備を含む。
【0026】
本発明のシステムは、第1の点火器タンク13および第2の点火器タンク14にヒータ25を結合することによって、ヒータ25の出口から取り出されたガス状推進剤でそれらのタンクを充填できるようにする。
【0027】
したがって、第1の点火器タンク13は、第1の供給バルブ132を介してヒータ25に結合され、第2の点火器タンク14は、第2の供給バルブ142を介してヒータ25に結合される。
【0028】
したがって、本発明のシステムは、点火器12と貯蔵装置2との間の結合を確立し、第1の点火器タンク13および第2の点火器タンク14をガス状である推進剤で充填するために既存の要素、すなわちヒータ25を利用する。
【0029】
システムは、バルブ131、132、141および142の開閉を制御するように構成されたコントローラ15を更に備える。
【0030】
図2を参照して、このシステムが作動する方法の一例が以下に説明される。
【0031】
初期時点H
0は、この方法の開始時点であると定義される。
【0032】
この時点H
0で、ヒータ25が作動される。
【0033】
ヒータ25が安定作動状態に達するのを可能にする待機持続期間ΔH
0後、典型的には数秒程度で、液体形態の第1の推進剤を含む第1のタンク23が第1の圧力閾値P
23まで加圧される。
【0034】
この第1のタンク23の加圧と並行して、第1の点火器タンク13は、ヒータ25から取り出されたガス状の第1の推進剤で充填される。したがって、コントローラ15は、第1の点火器タンク13内で温度閾値T
13および圧力閾値P
13に達するまで、第1の供給バルブ132を開く。一旦これらの状態に達すると、コントローラ15は、第1の供給バルブ132を閉じ、したがって、第1の供給タンク13は、温度T
13および圧力のT
13の所定の状態下でガス状の第1の推進剤を含む。
【0035】
点火器タンク13および14は、典型的には、タンク23および24より小さい寸法を有する。したがって、それらは、典型的には、タンク23および24を加圧する持続期間よりも短い持続期間にわたって充填される。
図2およびその説明は、この前提に基づいている。第1の点火器タンク13は、有利には、第1のタンク23が加圧されている間に充填される。第1の点火器タンク13の充填は、第1のタンク23の加圧と同時に、または時間的にわずかにずらされた様式で開始することができる。第1の点火器タンク13の充填は、有利には、第1のタンク23の加圧が完了する前に完了するような様式で実施される。
【0036】
一旦第1のタンク23が加圧下にあり、かつ一旦第1の点火器タンク13が充填されると、第2のタンク24が圧力下に置かれ、第2の点火器タンク14が充填される。
【0037】
したがって、液体形態の第2の推進剤を含む第2タンク24は、第1の圧力閾値P
24までヒータ25を用いて加圧される。
【0038】
この第2のタンク24の加圧と並行して、第2の点火器タンク14が、ヒータ25から取り出されたガス形態の第2の推進剤で充填される。したがって、コントローラ15は、第2の点火器タンク14内で温度閾値T
14および圧力閾値P
14に達するまで、第2の供給バルブ142を開く。これらの状態に達すると、コントローラ15は、第2の供給バルブ142を閉じ、したがって、第2の点火器タンク14は、温度T
14および圧力T
14の所定状態下でガス形態の第2の推進剤を含む。
【0039】
第2の点火器タンク14は、有利には、第2のタンク24が加圧されている間に充填される。第2の点火器タンク14の充填は、第2のタンク24の加圧と同時に、または時間的にわずかにずらされた様式で開始することができる。第2の点火器タンク14の充填は、有利には、第2のタンク24の加圧が完了する前に完了するような様式で実施される。
【0040】
様々な圧力閾値および温度閾値P
23、P
24、P
13、P
14、T
13およびT
14は、特に、使用される推進剤の性質および点火器12の特性、またはより一般的には説明されるシステムを組み込む宇宙船エンジンの特性に応じて定義される。
【0041】
一旦第2のタンク24が圧力下に置かれ、第2の点火器タンク14が充填されると、ヒータ25が停止され得る。
【0042】
時点H
1で、燃焼を点火するシーケンスが開始され、その間に第1の点火器タンク13および第2の点火器タンク14内に含まれるガス状推進剤が点火器12の中に噴射されて、燃焼を開始する。
【0043】
噴射は、典型的には、第1の点火器バルブ131および第2の点火器バルブ141を開くコントローラ15によって実施される。
【0044】
第1の点火器タンク13および第2の点火器タンク14内に含まれるガス状推進剤が所定の温度および圧力状態下にある限り、確実な様式で燃焼を開始することができる。
【0045】
点火シーケンスの持続期間、したがって燃焼を開始するステップに相当する持続期間ΔH
1の後、説明されるシステムを含むエンジンの作動に相当するエンジンシーケンスが行われる。
【0046】
図3は、
図2に図示される方法の変形実現形態を示しており、第2のタンク24の加圧および第2の点火器タンク14の充填が、第1のタンク23の加圧および第1の点火器タンク13の充填と同時に実施される。
【0047】
したがって、この実現形態における時点H
1は、典型的には、前述の実現形態の時点よりも早く到達され得る。
【0048】
点火器タンク13および14を充填するために必要な時間は、異なっていても、または同一であってもよい。同様に、タンク23および24を加圧するために必要な時間は、異なっていても、または同一であってもよい。
【0049】
したがって、タンク23および24の充填、ならびに点火器タンク13および14の加圧は、連続的に、同時に、または重複する様式で実施され得る。第2のタンク24の加圧および第2の点火器タンク14の充填は、例えば、第1のタンク23の加圧、および、または第1の点火器タンク13の充填が完了していない間に開始することができ、またはその逆であってもよい。
【0050】
説明されたシステムおよび方法は、いくつかの有利な効果を提示する。
【0051】
第1に、第1の点火器タンク13および第2の点火器タンク14の充填は、制御された状態下で実施されて、その中の温度および圧力状態が所定であり、それによって点火のために使用される推進剤の熱力学的状態が再現可能であることを保証し、したがって点火をより確実なものとする。
【0052】
更に、点火器12への推進剤の供給は、エンジンの作動サイクルから切り離され、したがって点火シーケンスおよびエンジンシーケンスを半ば独立した様式で制御することを可能にする。
【0053】
最後に、説明されたシステムおよび方法は、既に宇宙船エンジンに存在する要素を利用するので、したがって、それらはほんのわずかしか特定の構成要素を必要とせず、重量およびコストの点から有利である。
【国際調査報告】