特表2017-537656(P2017-537656A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特表2017-537656ヒドロキシアシル−CoAデヒドロゲナーゼ遺伝子、アシル−CoAチオラーゼ遺伝子、及びその遺伝子工学的細菌及びその応用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2017-537656(P2017-537656A)
(43)【公表日】2017年12月21日
(54)【発明の名称】ヒドロキシアシル−CoAデヒドロゲナーゼ遺伝子、アシル−CoAチオラーゼ遺伝子、及びその遺伝子工学的細菌及びその応用
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/09 20060101AFI20171124BHJP
   C12N 1/21 20060101ALN20171124BHJP
【FI】
   C12N15/00 A
   C12N1/21ZNA
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】24
(21)【出願番号】特願2017-549563(P2017-549563)
(86)(22)【出願日】2014年12月12日
(85)【翻訳文提出日】2017年6月30日
(86)【国際出願番号】CN2014093667
(87)【国際公開番号】WO2016090622
(87)【国際公開日】20160616
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】517204656
【氏名又は名称】イースト チャイナ ユニバーシティ オブ サイエンス アンド テクノロジー
(74)【代理人】
【識別番号】100082072
【弁理士】
【氏名又は名称】清原 義博
(72)【発明者】
【氏名】ワン,フェンチン
(72)【発明者】
【氏名】ウェイ,ドンジ
(72)【発明者】
【氏名】シュー,リチン
(72)【発明者】
【氏名】リュー,ハオハオ
(72)【発明者】
【氏名】リュー,シンビン
(72)【発明者】
【氏名】チェン,ネンフイ
【テーマコード(参考)】
4B065
【Fターム(参考)】
4B065AA01X
4B065AA45X
4B065AB10
4B065CA44
(57)【要約】
本発明は、ヒドロキシアシル−CoAデヒドロゲナーゼ遺伝子、アシル−CoAチオラーゼ遺伝子、及びその遺伝子工学的細菌及びその応用を提供する。前記ヒドロキシアシル−CoAデヒドロゲナーゼ遺伝子は、SEQ ID NO:2に示されるアミノ酸配列を有するタンパク質(i)または、(i)に限定されたアミノ酸配列において、置換、欠失または重複を介して、1つまたは複数個のアミノ酸が欠失または重複されて由来され、(i)のタンパク質と同一の機能を有するタンパク質(ii)をコードする。本発明は、ヒドロキシアシル−CoAデヒドロゲナーゼ遺伝子またはアシル−CoAチオラーゼ遺伝子を欠いているマイコバクテリウムの遺伝子工学的細菌を構築することにより、それを1、4−BNA、4−BNA、9−OH−BNA等のステロイド化合物の製造に用いて、ステロイド剤の生産効率と製品品質を高め、薬剤前駆体の利用率を向上させ、生産コストを削減し、反応条件が軽く、環境に優しく、高い経済的及び社会的利益を有する。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステロイド化合物の製造においてのマイコバクテリウム遺伝子工学的細菌の応用であって、
前記マイコバクテリウム遺伝子工学的細菌は、ヒドロキシアシル−CoAデヒドロゲナーゼ遺伝子が欠失されたマイコバクテリウムであり、前記ステロイド化合物は、22−ヒドロキシ−23と、24−ビスノールコレスト−1と、4−ジエン−3−オンと、22−ヒドロキシ−23と、24−ビスノールコレスト−4−エン−3−オン 9αと、22−ジヒドロキシ−23と、24−ビスノールコレスト−4−ジエン−3−オンとを含み、
前記ヒドロキシアシル−CoAデヒドロゲナーゼ遺伝子は、SEQ ID NO:2に示されるアミノ酸配列を有するタンパク質(i)または、(i)に限定されたアミノ酸配列において、置換、欠失または重複を介して、一つまたは複数個のアミノ酸が欠失または重複されて由来され、(i)のタンパク質と同一の機能を有するタンパク質(ii)をコードすることを特徴とする、
ステロイド化合物の製造においてのマイコバクテリウム遺伝子工学的細菌の応用。
【請求項2】
前記ヒドロキシアシル−CoAデヒドロゲナーゼ遺伝子がコードしたタンパク質は、SEQ ID NO:2に示されるアミノ酸配列と少なくとも75%の相同性を有することを特徴とする請求項1に記載の応用。
【請求項3】
SEQ ID NO:1に示される配列を有する1143〜2054位に示されるヌクレオチド配列(1)、または
前記配列(1)に示されるヌクレオチド配列と少なくとも70%の相同性を有するヌクレオチド配列(2)を有することを特徴とする請求項1に記載の応用。
【請求項4】
前記ヒドロキシアシル−CoAデヒドロゲナーゼ遺伝子は、SEQ ID NO:1に示される配列と少なくとも60%の相同性を有するヌクレオチド配列を有することを特徴とする請求項3に記載の応用。
【請求項5】
前記ヒドロキシアシル−CoAデヒドロゲナーゼ遺伝子は、放線菌に由来することを特徴とする請求項1に記載の応用。
【請求項6】
前記放線菌は、マイコバクテリウム属微生物と、ロドコッカス属微生物とを含むことを特徴とする請求項5に記載の応用。
【請求項7】
前記マイコバクテリウム属微生物は、高速成長型のマイコバクテリウムであることを特徴とする請求項6に記載の応用。
【請求項8】
前記高速成長型のマイコバクテリウムは、Mycobacterium sp. NRRLB−3683、Mycobacterium sp. NRRLB−3805、Mycobacterium smegmatism、Mycobacterium fortuitum、Mycobacterium gilvum、Mycobacterium neoaurum、Mycobacterium Phlei、Mycobacterium avium、またはMycobacterium vanbaaleniiから選択されることを特徴とする請求項7に記載の応用。
【請求項9】
前記ヒドロキシアシル−CoAデヒドロゲナーゼ遺伝子は、高速成長型のマイコバクテリウムMycobacterium neoaurum NwIB−00に由来することを特徴とする請求項8に記載の応用。
【請求項10】
前記マイコバクテリウム遺伝子工学的細菌は、3−ケトステロイド−9α−ヒドロキシラーゼ遺伝子がさらに欠失されたマイコバクテリウムであることを特徴とする請求項1に記載の応用。
【請求項11】
前記マイコバクテリウム遺伝子工学的細菌は、3−ケトステロイド − △−デヒドロゲナーゼ遺伝子がさらに欠失されたマイコバクテリウムであることを特徴とする請求項1に記載の応用。
【請求項12】
前記マイコバクテリウム遺伝子工学的細菌は、3−ケトステロイド−9α−ヒドロキシラーゼ遺伝子と、ヒドロキシアシル−CoAデヒドロゲナーゼ遺伝子と、3−ケトステロイド−△−デヒドロゲナーゼ遺伝子とが同時に欠失されたマイコバクテリウムであることを特徴とする請求項1に記載の応用。
【請求項13】
ステロイド化合物の製造においてのマイコバクテリウム遺伝子工学的細菌の応用であって、
前記マイコバクテリウム遺伝子工学的細菌は、アシル−CoAチオラーゼ遺伝子が欠失されたマイコバクテリウムであり、前記ステロイド化合物は、22−ヒドロキシ−23と、24−ビスノールコレスト−1と、4−ジエン−3−オンと、22−ヒドロキシ−23と、24−ビスノールコレスト−4−エン−3−オン 9αと、22−ジヒドロキシ−23と、24−ビスノールコレスト−4−ジエン−3−オンとを含み、
前記アシル−CoAデヒドロゲナーゼ遺伝子は、
SEQ ID NO:4に示されるアミノ酸配列を有するタンパク質(iii)、または
(iii)に限定されたアミノ酸配列において、置換、欠失または重複を介して、一つまたは複数個のアミノ酸が欠失または重複されて由来され、(iii)のタンパク質と同一の機能を有するタンパク質(iv)をコードすることを特徴とする、ステロイド化合物の製造においてのマイコバクテリウム遺伝子工学的細菌の応用。
【請求項14】
前記アシル−CoAチオラーゼ遺伝子がコードしたタンパク質は、SEQ ID NO:4に示されるアミノ酸配列と少なくとも70%の相同性を有することを特徴とする請求項13に記載の応用。
【請求項15】
SEQ ID NO:3に示される配列を有する1010〜2174位に示されるヌクレオチド配列(3)、または
前記配列(3)に示されるヌクレオチド配列と少なくとも70%の相同性を有するヌクレオチド配列(4)を有することを特徴とする請求項13に記載の応用。
【請求項16】
前記アシル−CoAチオラーゼ遺伝子は、SEQ ID NO:3に示される配列と少なくとも60%の相同性を有するヌクレオチド配列を有することを特徴とする請求項15に記載の応用。
【請求項17】
前記アシル−CoAチオラーゼ遺伝子は放線菌に由来することを特徴とする請求項13に記載の応用。
【請求項18】
前記放線菌は、マイコバクテリウム属微生物とロドコッカス属微生物とを含むことを特徴とする請求項17に記載の応用。
【請求項19】
前記マイコバクテリウム属微生物は、高速成長型のマイコバクテリウムであることを特徴とする請求項18に記載の応用。
【請求項20】
前記高速成長型のマイコバクテリウムは、Mycobacterium sp. NRRLB−3683、M ycobacterium sp. NRRLB−3805、Mycobacterium smegmatism、Mycobacterium fortuitum、Mycobacterium gilvum、Mycobacterium neoaurum、Mycobacterium Phlei、Mycobacterium avium、またはMycobacterium vanbaaleniiから選択されることを特徴とする請求項19に記載の応用。
【請求項21】
前記アシル−CoAチオラーゼ遺伝子は、高速成長型のマイコバクテリウムMycobacterium neoaurum NwIB−00に由来することを特徴とする請求項20に記載の応用。
【請求項22】
前記マイコバクテリウム遺伝子工学的細菌は、3−ケトステロイド−9α−ヒドロキシラーゼ遺伝子と、アシル−CoAチオラーゼ遺伝子とが同時に欠失されたマイコバクテリウムであることを特徴とする請求項13に記載の応用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遺伝子工学技術分野に関するもので、さらに具体的に、ヒドロキシアシル−CoAデヒドロゲナーゼ遺伝子、アシル−CoAチオラーゼ遺伝子、及びその遺伝子工学的細菌及びその応用に関する。
【背景技術】
【0002】
ステロイド化合物はステロイドとも呼ばれており、シクロペンタノペルヒドロフェナントレンを母核とする構造的に類似している化合物である。その基本的な構造は、以下の図面に示すように、3つの6員環と1つの5員環からなり、それぞれA環、B環、C環、D環と呼ばれ、母核の10位、13位にはメチル基を有し、3位、11位、17位にはヒドロキシ基、ケトン基、またはアルキル基を有することができ、A環、B環、C環及びD環は二重結合を有することができ、17位には、多くの場合、長さが不同の側鎖が存在する。ステロイド母核においての置換基、二重結合の位置または立体構成などが異なっているため、一連のユニークな生理機能を備えた化合物を形成した。人間と動物の体内において、ステロイドは主要な内因性ホルモンであり、生殖器と副腎皮質から分泌され、生殖、大脳及び骨格の発育、恒常性の維持及び生物効果の調整などと緊密に関連している。同時に外因性ホルモンとして、ステロイドホルモン類薬は、臨床の中で欠かせない薬物であり、体について重要な調節作用があり、非常に重要な薬用価値があることで、例えば、副腎皮質ホルモンは、抗炎症、抗アレルギー、抗変態、抗ショック相などの効果がある。
【0003】
【化1】
【0004】
図1に示すように、ヒドロキシアシル−CoAデヒドロゲナーゼ、アシル−CoAチオラーゼは、マイコバクテリウムがステロール側鎖を分解することに関与する2つの重要な酵素である。結核菌のステロイド代謝遺伝子クラスターにおいて、ヒドロキシアシル−CoAデヒドロゲナーゼの機能が、17位のヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼとして定義されているが、それは哺乳動物細胞の第IV型17β−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼのN段機能ドメインに非常に似ていることから得られた名前である。同時に、その酵素は、3−ヒドロキシアシルCoAデヒドロゲナーゼの機能を備えていることが報告されているが、これまでに確認されてはいない。アシル−CoAチオラーゼは、ステロール側鎖が分解するチオリシス脱炭反応に関与しており、脂肪酸のβ−酸化過程においてのチオリシス反応に似ている。ステロール側鎖の分解過程は、1つの極めて複雑で総合的な酵素反応であるので、このような分解過程のメカニズムは、さらに多くの研究を必要とする。
【0005】
微生物変換は、ステロイド薬工業生産システムにおける難題として、その立ち遅れた微生物ステロイド薬の製造工程、高効率な菌株の開発、変換生産ラインを新たに建設するための莫大な支出などの問題は、皆ステロイド医薬産業の急速な発展を制限するとともに、ステロイド薬の生産コストが高い1つの重要な原因ともなる。中国は、ステロイド医薬生産企業が多くて、生産額が膨大であり、また目前のいくつかの重要なステロイドの微生物変換反応において、高効率の生産菌株においての改造及び開発を成功的に進めていることで、産業界でも歓迎されることが常に期待され、全体的に、中国におけるステロイド医薬産業の生産レベルを向上させ、その生産においての経済的効果は非常によいことである。
【0006】
ステロイド医薬工業生産システムにおける重要な微生物変換反応において、遺伝子工学の技術革新により、高効率の微生物変換反応を開発させ、またステロイド薬の生産効率と製品品質とを大幅に向上させることができ、ステロイド薬生産過程中のエネルギー消費量の減少、薬物前駆体の利用率の向上、生産段階の簡素化及び生産コストの削減に役に立つことで、ステロイド薬の価格低下に役立つことである。また、微生物変換反応条件が穏やかで環境に優しく、グリーン化学技術に属し、その生産への応用を強力に促進することは、社会が持続的に発展するための必然的要求である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、ヒドロキシアシル−CoAデヒドロゲナーゼ遺伝子、アシル−CoAチオラーゼ遺伝子、及びその遺伝子工学的細菌及びその応用を提供することにより、従来技術においてのステロイド薬工業生産工程の複雑さ、低効率、高コストによるステロイド薬の高価という欠点を解決することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、前記技術的課題を解決するために、以下のような技術を採用する。
【0009】
本発明の第1の態様において、SEQ ID NO:2に示されるアミノ酸配列を有するタンパク質(i)または、(i)に限定されたアミノ酸配列において、置換、欠失または重複を介して、1つまたは複数個のアミノ酸が欠失または重複されて由来され、(i)のタンパク質と同一の機能を有するタンパク質(ii)をコードするヒドロキシアシル−CoAデヒドロゲナーゼ遺伝子を提供する。
【0010】
前記ヒドロキシアシル−CoAデヒドロゲナーゼ遺伝子がコードしたタンパク質は、SEQ ID NO:2に示されるアミノ酸配列と少なくとも75%の相同性を有することが好ましい。80%以上の相同性を有することがさらに好ましく、90%以上の相同性を有することがもっとも好ましい。
【0011】
前記ヒドロキシアシル−CoAデヒドロゲナーゼ遺伝子は、SEQ ID NO:1に示される配列を有する1143〜2054位に示されるヌクレオチド配列(1)、または前記配列(1)に示されるヌクレオチド配列と少なくとも70%の相同性を有するヌクレオチド配列(2)を有する。前記ヒドロキシアシル−CoAデヒドロゲナーゼ遺伝子は、SEQ ID NO:1に示される配列を有する1143〜2054位と少なくとも87%の相同性を有するヌクレオチド配列を有し、または前記SEQ ID NO:1に示される配列と60%以上の相同性を有することも好ましい。SEQ ID NO:1に示される配列以外のヌクレオチド配列は、その酵素の調整要素と隣接遺伝子断片とを含む。
【0012】
前記ヒドロキシアシル−CoAデヒドロゲナーゼ遺伝子は、放線菌に由来し、マイコバクテリウム属微生物とロドコッカス属微生物であることが好ましい。
【0013】
前記ヒドロキシアシル−CoAデヒドロゲナーゼ遺伝子は、マイコバクテリウム属微生物に由来することが比較的好ましい。
【0014】
前記マイコバクテリウム属微生物は、高速成長型マイコバクテリウムであることがさらに好ましい。
【0015】
さらに、前記高速成長型のマイコバクテリウムは、Mycobacterium sp. NRRLB−3683及びB−3805、Mycobacterium smegmatism、Mycobacterium fortuitum、Mycobacterium gilvum、Mycobacterium neoaurum、Mycobacterium Phlei、Mycobacterium avium、またはMycobacterium vanbaaleniiである。
【0016】
さらに、前記ヒドロキシアシル−CoAデヒドロゲナーゼ遺伝子は、高速成長型のマイコバクテリウムMycobacterium neoaurum NwIB−00に由来する。
【0017】
前記ヒドロキシアシル−CoAデヒドロゲナーゼ遺伝子は、高速成長型のマイコバクテリウムであるマイコバクテリウムネオアウルームNwIB−00に由来することが最も好ましい。
【0018】
本発明の第2の態様において、SEQ ID NO:4に示されるアミノ酸配列を有するタンパク質(iii)、または(iii)に限定されたアミノ酸配列において、置換、欠失または重複を介して、1つまたは複数個のアミノ酸が欠失または重複されて由来され、(iii)のタンパク質と同一の機能を有するタンパク質(iv)をコードするアシル−CoAチオラーゼ遺伝子を提供する。
【0019】
前記アシル−CoAチオラーゼ遺伝子がコードしたタンパク質は、SEQ ID NO:4に示されるアミノ酸配列と少なくとも70%の相同性を有し、80%以上の相同性を有することが好ましい。
【0020】
前記アシル−CoAチオラーゼ遺伝子は、SEQ ID NO:3に示される配列を有する1010〜2174位に示されるヌクレオチド配列(3)、または前記配列(3)に示されるヌクレオチド配列と少なくとも70%の相同性を有するヌクレオチド配列(4)を有し、87%以上の相同性を有することが好ましい。
【0021】
前記アシル−CoAチオラーゼ遺伝子は、SEQ ID NO:3に示される配列と少なくとも60%の相同性を有する。
【0022】
前記アシル−CoAチオラーゼ遺伝子は放線菌に由来する。
【0023】
前記放線菌は、マイコバクテリウム属微生物とロドコッカス属微生物とを含むことが比較的好ましい。
【0024】
前記マイコバクテリウム属微生物は、高速成長型のマイコバクテリウムであることがさらに好ましい。
【0025】
さらに、前記高速成長型のマイコバクテリウムは、Mycobacterium sp. NRRLB−3683、Mycobacterium sp. NRRLB−3805、Mycobacterium smegmatism、Mycobacterium fortuitum、Mycobacterium gilvum、Mycobacterium neoaurum、Mycobacterium Phlei、Mycobacterium avium、またはMycobacterium vanbaaleniiから選択される。
【0026】
前記アシル−CoAチオラーゼ遺伝子は、高速成長型のマイコバクテリウムMycobacterium neoaurum NwIB−00に由来することが最も好ましい。
【0027】
本発明の第3の態様において、マイコバクテリウム遺伝子工学細菌を提供し、前記マイコバクテリウム遺伝子工学細菌は、前記ヒドロキシアシル−CoAデヒドロゲナーゼ遺伝子または前記アシル−CoAチオラーゼ遺伝子が欠損されたマイコバクテリウムである。その特徴として、前記のヒドロキシアシル−CoAデヒドロゲナーゼ遺伝子またはアシル−CoAチオラーゼ遺伝子を突然変異させ、また相同組換えにより獲得することである。つまり、遺伝子操作を通じて、ヒドロキシアシル−CoAデヒドロゲナーゼ遺伝子の不活性化とアシル−CoAチオラーゼ機能の不活性化とを実現することにより、ヒドロキシアシル−CoAデヒドロゲナーゼ遺伝子活性またはアシル−CoAチオラーゼ活性のないマイコバクテリウム遺伝子工学菌株を構築することで、それはアシル−CoAチオラーゼ遺伝子を標的として、無標記の遺伝子工学操作を行うことにより実現される。
【0028】
好ましくは、本発明は、3−ケトステロイド−9α−ヒドロキシラーゼ遺伝子とヒドロキシアシル−CoAデヒドロゲナーゼ遺伝子とが同時に欠失されたマイコバクテリウムであるマイコバクテリウム遺伝子工学的細菌も提供する。
【0029】
さらに好ましくは、前記マイコバクテリウム遺伝子工学の細菌は、3−ケトステロイド−△−デヒドロゲナーゼ遺伝子とヒドロキシアシル−CoAデヒドロゲナーゼ遺伝子が同時に欠失されたマイコバクテリウムである。
【0030】
さらに好ましくは、前記マイコバクテリウム遺伝子工学の細菌は、3−ケトステロイド−9α−ヒドロキシラーゼ遺伝子と、ヒドロキシアシル−CoAデヒドロゲナーゼ遺伝子と、3−ケトステロイド−△−デヒドロゲナーゼ遺伝子とが同時に欠失されたマイコバクテリウムであることもできる。
【0031】
さらに好ましくは、前記マイコバクテリウム遺伝子工学の細菌は、3−ケトステロイド−9α−ヒドロキシラーゼ遺伝子とアシル−CoAデヒドロゲナーゼ遺伝子が同時に欠失されたマイコバクテリウムであることもできる。
【0032】
本発明の第4の態様では、ステロイド化合物の製造において、前記マイコバクテリウム遺伝子工学の細菌の応用を提供する。
【0033】
前記ステロイド化合物は、22−ヒドロキシ−23と、24−ビスノールコレスト−1と、4−ジエン−3−オンと、22−ヒドロキシ−23と、24−ビスノールコレスト−4−エン−3−オン 9αと、 22−ジヒドロキシ−23と、24−ビスノールコレスト−4−ジエン−3−オンとを含む。
【発明の効果】
【0034】
前記の内容を総合すると、本発明は、ヒドロキシアシル−CoAデヒドロゲナーゼ遺伝子およびアシル−CoAチオラーゼ遺伝子を提供し、様々なベクターを構築し、関連する菌株を形質転換させることを通じ、ヒドロキシアシル−CoAデヒドロゲナーゼ活性とアシル−CoAチオラーゼ活性がないマイコバクテリウムを含む、さまざまな工学の菌株を得る。これらの工学の細菌を使用すれば、22−ヒドロキシ−23と、24−ビスノールコレスト−1と、4−ジエン−3−オン(1,4−BNA)と、22−ヒドロキシ−23と、24−ビスノールコレスト−4−エン−3−オン(4−BNA)と9αと、22−ジヒドロキシ−23と、24−ビスノールコレスト−4−ジエン−3−オン(9−OH−BNA)などのステロイド化合物を選択的に製造することができ、ステロイド剤の生産効率を大幅に向上させ、ステロイド剤の生産過程でのエネルギー消費を減少させることとなり、薬剤前駆体の利用率を向上させ、生産段階を簡素化し、生産コストを削減し、反応条件が軽く、環境に優しく、強力に普及して応用することに適して、比較的高い経済効率と社会の効率を有する。これらの潜在力があり、価値がある新規前駆体化合物を簡単な化学手段を経て改造し、副腎皮質系のステロイド剤を生成することができ、特にプロゲステロンを生成することができる。もし普遍化して普及されると、中国の既存の副腎皮質類似製品の生産工程の遅れた現在の状況を大幅に改善するものである。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1】微生物がステロールを分解して製造した4−BNA、1,4−BNA、9−OH−BNA反応式と肝心な酵素模式図である。
図2】従来の選別技術を応用して、マイコバクテリウム形質転換体について二段階選別を行って、最終的にヒドロキシアシル−CoAデヒドロゲナーゼ(hsd4A)欠失菌株を得て、ここで、MはDNA標準マーカー(Marker )であり、 DCOは、選別された二重交換増幅の結果であり、 wtはノックアウト(knockout)していない菌株で、同じプライマーでPCRを行った増幅結果である。
図3】従来の選別技術を応用して、マイコバクテリウム形質転換 体について二段階選別を通じて、最終的にアシル−CoAチオラーゼ(fadA5)欠失菌株を得たものであり、ここで、MはDNA標準マーカー(Marker)であり、 DCOは、選別されたダブルクロス オーバー体の増幅の結果であり、wtはノックアウトしていない菌株で、同じプライマーでPCRを行った増幅結果である。
図4】マイコバクテリウムNwB−00は、植物ステロールを形質転換させた結果の薄層クロマトグラフィー(TLC)のスペクトルである。
図5】ヒドロキシアシル−CoAデヒドロゲナーゼ遺伝子、アシル−CoAチオラーゼ欠失工学の菌株が植物ステロールを形質転換させた結果の薄層クロマトグラフィーのスペクトルである。
図6】ヒドロキシアシル−CoAデヒドロゲナーゼ遺伝子、アシル−CoAチオラーゼ欠失工学の菌株が植物ステロールを形質転換させた結果の高速液体クロマトグラフィーのスペクトルである。
【発明を実施するための形態】
【0036】
本発明をさらに容易に理解するために、次の具体的な実施例に結びつけて、より説明する。次の実施例は、本発明を説明するためのもので、本発明の範囲がこれに限定されるものであると理解してはならない。
【0037】
下記の実施例では、具体的な条件を示していない実験方法は、一般に「分子クローン:実験室ハンドブック」(New York:Cold Spring Harbor Laboratory Press、1989)で記載した条件と同じ通常の条件に基づいて行う。
【0038】
本発明で使用した遺伝子操作技術は、主に無標識酵素の機能不活性技術である。無標識の機能不活性技術で、主に無抗性標識のヒドロキシアシル−CoAデヒドロゲナーゼ遺伝子または、アシル−CoAチオラーゼ遺伝子が同時に欠失される方法がある。
【0039】
本発明の実施例で使用された大腸菌DH5a、pMD19−TベクターはすべてNovagen社から購入し、プライマーはすべて大連宝生物(タカラ(Takara))会社で合成したものである。
【0040】
本発明で言うステロイド化合物の基質は、3−オール−5−エンステロイド化合物であり、3−オール−5−エンステロイド化合物である「ステロール」だけの例として、いわゆるステロールは、一般的に動植物に由来し、例えば、コレステロールとフィトステロールがあり、コレステロールは動物の油脂に由来することができるが、フィトステロールは様々に由来し、例えば、植物油加工の過程での脱臭蒸留物、紙パルプ製造工業でのトール油などがあり、フィトステロールは、一般的には混合物であり、通常シトステロールと、スティグマトステロールと、カンペステロールと、ブラシカステロールなどを含む。一部のステロールは、微生物に由来することもあり、例えば、エルゴステロールなどがある。
【0041】
本発明で言うマイコバクテリウムは、病気を起こさない高速成長型のマイコバクテリウムであり、本発明の内容をより容易に理解するために、ネオマイコバクテリウムの中での1つの標準的な菌株NwB−00(受託番号:ATCC 25795 )を具体的な実施例でさらに説明する。次の実施例は、本発明を説明するためのものであり、本発明の範囲がこれに限定されるものと理解してはならない。
【0042】
実施例1.マイコバクテリウムNwB−00によるヒドロキシアシル−CoAデヒドロゲナーゼ遺伝子、アシル−CoAチオラーゼ欠失工学の菌株の構築
【0043】
本実施例は、ヒドロキシアシル−CoAデヒドロゲナーゼ遺伝子のノックアウトを例にして、マイコバクテリウムで一般に使用される相同組換え二重交換ノックアウトの主要な技術手段と方法を説明するとともに、この方法でアシル−CoAチオラーゼ遺伝子のノックアウトを完成した。マイコバクテリウムの遺伝子ノックアウトはいろいろあるが、ここでは遺伝子ノックアウトの方法を制限することなく、Tanya Parish教授が開発した遺伝子ノックアウトの方法を例にして、ターゲット遺伝子のノックアウトについて例を挙げる(Bhavna Gordhan and Tanya Parish。Gene replacement using pretreated DNA。Mycobacterum tuberculosis protocols。2001、pp77−92)。
【0044】
マイコバクテリウムヒドロキシアシル−CoAデヒドロゲナーゼ遺伝子のノックアウトプラスミドを構築し、前記プラスミドは、電気的形質転換を経て、マイコバクテリウムに入る。カナマイシン(Canabicin)とヒグロマイシン(Hygromycin)を利用して、2つの抗体で選別を行った後、ショ糖プレートを利用して、再度選別し、遺伝子ノックアウトレコン(recon)を得る。 PCR方法を用いて前記レコンを検証する。本発明は、マイコバクテリウムNwB−00について、それぞれヒドロキシアシル−CoAデヒドロゲナーゼ遺伝子と、3−ケトステロイド−9α−ヒドロキシラーゼ遺伝子と、3−ケトステロイド−△−デヒドロゲナーゼ遺伝子と、アシル−CoAチオラーゼ遺伝子の1つまたは2つの遺伝子の欠失を進め、それぞれ六株の異なるマイコバクテリウム菌株を得て、順にNwIB−X01、NwIB−X02、NwIB−X03、NwIB−X04、NwIB−X05、NwIB−X06と命名した。
【0045】
ここで、NwIB−X01菌株は、NwB−00菌株について3−ケトステロイド−9α−ヒドロキシラーゼ遺伝子(kshA1)とヒドロキシアシル−CoAデヒドロゲナーゼ遺伝子(hsd4A)欠失を進めて得られたものであることから(欠失は前後の順序がなし)、ステロイド母核を分解することができずに、1つの3−ケトステロイド−9α−ヒドロキシラーゼ遺伝子と1つのヒドロキシアシル−CoAデヒドロゲナーゼ遺伝子をノックアウトさせたことを意味し、すなわち、kshA1+hsd4Aである。
【0046】
NwIB−X02菌株は、NwIB−X01菌株に対して3−ケトステロイド−△−デヒドロゲナーゼ欠失を進めて得られたものであり、1つの3−ケトステロイド−9α−ヒドロキシラーゼ遺伝子、1つのヒドロキシアシル−CoAデヒドロゲナーゼの遺伝子、1つの3−ケトステロイド−△−デヒドロゲナーゼ遺伝子(kstd1)をノックアウトさせたことを意味し、すなわち、kshA1+hsd4A+kstd1である。
【0047】
NwIB−X03菌株は、NwIB−X02の誘導菌株であり、NwIB−X02菌株の基礎の上、他の2つの3−ケトステロイド−△−デヒドロゲナーゼ欠失を進めて得られたものであり、1つの3−ケトステロイド−9α−ヒドロキシラーゼ遺伝子、1つのヒドロキシアシル−CoAデヒドロゲナーゼ遺伝子、3つの3−ケトステロイド−△−デヒドロゲナーゼ遺伝子(kstd1+kstd2+kstd3)をノックアウトさせたことを意味し、すなわち、kshA1+hsd4A+kstd1+kstd2+kstd3である。
【0048】
NwIB−X04菌株は、NwB−00菌株について3−ケトステロイド−△−デヒドロゲナーゼ遺伝子とヒドロキシアシル−CoAデヒドロゲナーゼ欠失を進めて得られたものであり(欠失は前後順序がない)、1つのヒドロキシアシル−CoAデヒドロゲナーゼ遺伝子、1つの3−ケトステロイド−△−デヒドロゲナーゼ遺伝子をノックアウトさせたことを意味し、すなわち、hsd4A+kstd1である。
【0049】
NwIB−X05菌株は、NwIB−X04の誘導菌株であり、NwIB−X04菌株に対して他の2つの3−ケトステロイド−△−デヒドロゲナーゼ遺伝子の欠失を進めて得られたものであり、1つのヒドロキシアシル−CoAデヒドロゲナーゼ遺伝子、3つの3−ケトステロイド−△−デヒドロゲナーゼ遺伝子をノックアウトさせたことを意味し、すなわち、hsd4A+kstd1+kstd2+kstd3である。
【0050】
NwIB−X06菌株は、NwB−00菌株について3−ケトステロイド−9α−ヒドロキシラーゼ遺伝子とアシル−CoAチオラーゼ欠失を進めて得られたものであり、1つの3−ケトステロイド−9α−ヒドロキシラーゼ遺伝子と1つのアシル−CoAチオラーゼ遺伝子をノックアウトさせたことを意味し、すなわち、kshA1+fadA5である。
【0051】
ここで、3−ケトステロイド−9α−ヒドロキシラーゼ遺伝子(kshA1)の配列とノックアウト方法について、具体的なことは、出願番号No:200910051613.7の特許明細書を参照することができ、これに対して、繰り返して記述しない。
【0052】
ここで、kstd1、kstd2、kstd3の3つの3−ケトステロイド−△−デヒドロゲナーゼは、イソ酵素であり、配列が似ており、この配列とノックアウト方法について、具体には、出願番号No:200910051615.6の特許明細書をことができ、これに対して、繰り返して記述しない。
【0053】
1.1.ヒドロキシアシル−CoAデヒドロゲナーゼ遺伝子の上流下流の配列の取得およびノックアウトプラスミド構築
【0054】
マイコバクテリウムNwIB−00に対して、全ゲノム配列決定を行い、その配列情報に基づいて、ゲノム注釈情報で検索を行い、報告された類似菌株遺伝子クラスター情報に合わせて、マイコバクテリウムヒドロキシアシル−CoAデヒドロゲナーゼ遺伝子に対応する完全なリーディングフレーム配列を見つけて、追跡してヒドロキシアシル−CoAデヒドロゲナーゼ遺伝子の上流及び下流に隣接する配列を得た。上流及び下流の配列に基づいて、ヒドロキシアシル−CoAデヒドロゲナーゼ遺伝子ノックアウトの上流及び下流プライマーを、ソフトウェアOligo 6.0及びPrimer 5.0を用いて設計する:
【0055】
Q−hsd4A−uF:TATACTGCAGTATCGGCTGCGCCGAGACCAGTGCGA
【0056】
Q−hsd4A−uR:TCGCGAATTCCACGACGGCAACCTTTCCGGACAGG
【0057】
Q−hsd4A−dF:GCGCGAATTCAACGGGCAGCTGTTCATCGTGTACG
【0058】
Q−hsd4A−dR:CGCGAAGCTTTCAGGATGGTCAACCCGTTGATGAA
【0059】
M.neoaurum NwIB−00ゲノムを鋳型としてPCR増幅して、ヒドロキシアシル−CoAデヒドロゲナーゼ遺伝子の上流及び下流の断片を獲得し、また標的遺伝子の上流および下流遺伝子をそれぞれpMD19−Tベクターにクローニングした後、それぞれPstI、EcoRI、EcoRI,HindIIIで消化し、消化産物を、それぞれ対応する消化されたマイコバクテリウム遺伝子ノックアウトプラスミドpNLに結合させる。前記プラスミドとpGOAL19プラスミドをそれぞれPacIで消化した後、非方向性ライゲーションを行って、遺伝子ノックアウトプラスミドQC−hsd4Aを構築した。
【0060】
1.2.アシル−CoAチオラーゼ遺伝子の上流及び下流配列の獲得及びノックアウトプラスミドの構築
【0061】
実施例1.1の方法によって、アシル−CoAチオラーゼ遺伝子(fadA5)ノックアウトの上流及び下流プライマーを設計する:
【0062】
Q−fadA5−uF:GCGCaagcttGTTCCTTCTTGTAGAGCTCCCACTG
【0063】
Q−fadA5−uR:TATAgaattcGTACTGGGTGACGCAGCCGCCGATG
【0064】
Q−fadA5−dF:GCGCgaattcGACATGGACAAGGTCAACGTCAACG
【0065】
Q−fadA5−dR:TATAgcggccgcGGTCGCAGATCAGGATCGGGATCTT
【0066】
NwIB−00ゲノムを鋳型としてPCR増幅して、アシル−CoAチオラーゼ遺伝子の上流及び下流の断片を獲得し、また標的遺伝子の上流および下流遺伝子をそれぞれpMD19−Tベクターにクローニングした後、それぞれHindIII、EcoRI、EcoRI,NotIで消化し、消化産物を、それぞれ対応する消化されたマイコバクテリウム遺伝子ノックアウトプラスミドp2NILに結合させる。PacIで前記プラスミドとpGOAL19プラスミドを消化した後、非方向性ライゲーションを行って、遺伝子ノックアウトプラスミドQC−fadA5を構築した。
【0067】
1.3.マイコバクテリウムコンピテントセルのノックアウトプラスミド形質転換
【0068】
マイコバクテリウムコンピテンスの調製:1次種のODが0.5〜1.5程度まで増殖し、5%〜10%を2次種に伝達し、14〜24時間後、2%のグリシンを添加して、約24時間培養を続ける。遠心分離で菌体を収集し、4回に分けて10%のグリセリンで懸濁した細胞をすすぎ、遠心分離し、最後に1mlのグリセリンを入れて菌体を懸濁させ、パッケージして保存する。
【0069】
電気的形質転換:10μlのアルカリ溶解処理した前記プラスミドを100μlのコンピテンス菌体に入れて、15分間放置し、感電条件は、2.5kv/cm、25μF、20msである。
【0070】
1.4.組換えのスクリーニングと検証
【0071】
電気的形質転換産物を培地に入れて、3〜24時間の培養を回復し、培地(培地成分:50μg/mlのhyg、20μg/mlのKn、50μg/mlのX−gal)に塗布し、30℃で静かに放置して3〜7日間培養し、青いスポットのコロニーを選んで、PCR検証をした。検証された単一交換(SCO)菌を2%のショ糖プレートに塗布し、30℃で静かに放置して3〜7日間培養し、白いコロニーを選んで、PCR検証をした。
【0072】
組換えの検証:単一交換および二重交換のPCR分析を含み、検証原理は、前述した引用文献に記載された通りであり、ヒドロキシアシル−CoAデヒドロゲナーゼ遺伝子ノックアウト検証プライマーは、以下のように示す:
【0073】
Q−hsd4A−YZ−F:ACGTAGAAGTCGACCGTGACCGCTG
【0074】
Q−hsd4A−YZ−R:TAGTCGGCCCGGACCGGTGAATATG
【0075】
検証結果は、図2に示した通りであり、失敗したノックアウトヒドロキシアシル−CoAデヒドロゲナーゼ遺伝子の菌株理論は、約1200bpの大きさのバンドしか確認されず;ヒドロキシアシル−CoAデヒドロゲナーゼ遺伝子二重交換(DCO)理論は、約500bpの大きさのバンドのみ確認された。ヒドロキシアシル−CoAデヒドロゲナーゼ遺伝子単一交換(SCO)理論は、2つの大きさが、500bpと1200bp程度のバンドで確認され、ヒドロキシアシル−CoAデヒドロゲナーゼ遺伝子が既に成功的にノックアウトし、元の酵素の機能を破壊したことを表示する。
【0076】
アシル−CoAチオラーゼ遺伝子ノックアウト検証プライマーは、以下のように示す:
【0077】
Q−fadA5−YZ−F:TCAGAGTAATGAAACGTGTTCTAGCC
【0078】
Q−fadA5−YZ−R:ATCCGGATGCAGTCCGGATGGAAT
【0079】
検証結果は、図2に示した通りであり、ノックアウトしなかったアシル−CoAチオラーゼ遺伝子の菌株理論は、約1300bpの大きさのバンドしか確認されず;アシル−CoAチオラーゼ遺伝子二重交換(DCO)理論は、約500bpの大きさのバンドしか確認されず、アシル−CoAチオラーゼ遺伝子が既に成功的にノックアウトし、元の酵素の機能を破壊したことを表示する。
【0080】
実施例2:マイコバクテリウムNwIB−00によるステロイド化合物に対する形質転換及び結果の分析方法
【0081】
1%〜10%の界面活性剤、ポリマーまたは有機溶媒(例えば、Tween80、エタノール、シリコーンオイル、大豆油等)等の物質を用いて、ステロール基質に対して可溶化する。二次または三次培養を利用して、5%〜10%の種で最終的な形質転換培地に接種し、ステロール基質は、いずれの時間にも添加することができる。ステロール形質転換の条件は、25〜37℃の培養温度、溶存酸素値、pHは、5.0〜8.0の間に制御することができ、薄層クロマトグラフィー(TLC)またはガスクロマトグラフィー(GC)で形質転換反応の終了時間を分析し、確定することができる。反応終了後、ステロール形質転換物は、同じ体積の酢酸エチル、クロロホルムなどの有機溶媒で3回抽出することができ、反応液を合併し、真空乾燥し、次いで分析し及び生成物を調製できる。
【0082】
マイコバクテリウムNwIB−00形質転換植物ステロールを、振とうフラスコで培養し、5%〜10%のTween80またはシリコーンオイルを用いて、植物ステロールの溶媒とし、30mLの試料量を持つ250mLの振とうフラスコに、二次培養を利用して、5%〜10%の種量を0.4〜2g/lの植物ステロール濃度を含む二次培地に接種し、26〜35℃、200〜300rpm、pH5.0〜8.0の間の条件で培養し、3〜7日間を経て、酢酸エチルで振とうして、抽出し、有機相は、TLC及びGC等の方法でステロール形質転換の様子を検出した。
【0083】
薄層クロマトグラフィー(TLC)の操作条件は、展開溶媒は、石油エーテル:酢酸エチル(6:4ないし7:3)、薄型板は、煙台シリコン工場の製品である5×10cmのプレハブパネルを使用し、色は、20%の硫酸溶液を均一に吹き付け、105℃のオーブンで5分〜10分間焼くと、観察後に斑点が見える。
【0084】
マイコバクテリウムNwIB−00形質転換植物ステロールの結果は、図4に示した通りである。マイコバクテリウムNwIB−00は、植物ステロールを完全に分解し、代謝することができ、1,4−BNA、4−BNA、9−OH−BNA等の産物を蓄積しない。
【0085】
実施例3:遺伝子工学的細菌NwIB−X01、NwIB−X02、NwIB−X03、NwIB−X04、NwIB−X05、NwIB−X06が、ステロール分解して、1,4−BNA、4−BNA、9−OH−BNAの精製中の応用
【0086】
遺伝子工学的細菌株の培養条件とステロールの形質転換条件は、実施例2を参照することができる。振とうフラスコ(30mlの液/250mlの振とうフラスコ)に植物ステロールを基質として、試料投入量が0.5〜5%である条件の下で、形質転換時間が5〜10日であり、工程菌株形質転換植物ステロールの結果は、図5図6に示した通りである。
【0087】
遺伝子工学的細菌NwIB−X01がステロール形質転換分解する同時に、1,4−BNAと4−BNAを生成し、ここで、1,4−BNAの産物を主にし、NwIB−X02がステロール形質転換分解する同時に、1,4−BNAと4−BNAを生成するが、菌株の中の1つが3−ケトステロイド−△−デヒドロゲナーゼ遺伝子の欠失のため、主に4−BNA生成し、NwIB−X03がステロール形質転換分解する同時に、4−BNAと9−OH−BNAを生成し、菌株中の3つの3−ケトステロイド−△−デヒドロゲナーゼ遺伝子の欠失のため、NwIB−X02菌株に比べて、4−BNAが主な産物である。遺伝子工学的細菌NwIB−X06は、ステロール分解形質転換することができ、1,4−BNAと4−BNAを精製する他に、部分的にアンドロスト−4−エン−3,17−ジオン(AD)と、アンドロスト−1,4−ジエン−3,17−ジオン(ADD)を生成することができる。
【0088】
遺伝子工学的細菌NwIB−X04がステロール形質転換分解して、主に、9−OH−BNAを精製することができ、9−OH−BNA以外には、部分的に9α−アンドロスタ−4−エン−3,17−ジオン(9−OH−AD)を精製することができ、NwIB−X05も同様にステロール分解形質転換して、9−OH−BNAを精製することができる。
【0089】
要約すると、本発明のヒドロキシアシル−CoAデヒドロゲナーゼ遺伝子及び/またはアシル−CoAチオラーゼ遺伝子が構築したマイコバクテリウム遺伝子工学的細菌を利用して、選択的に22−ヒドロキシ−23,24−ビス−コレステリル−1,4−ジエン−3−オン、22−ヒドロキシ−23,24−ビス−コレスト−4−エン−3−オン 9α,22−ジヒドロキシ−23,24−ビス−コレスト−4−ジエン−3−オンのステロイド化合物を精製することができ、これらの産物は、産業上副腎皮質ステロイド薬物の精製に応用され、部分的に現在のジオスゲニンを原料として、ジエンを経て副腎皮質ホルモンの精製する工程に替わることができ、ステロール薬物の精製効率を大幅に向上し、ステロール薬物の精製工程中のエネルギーと材料の消費の削減に役立ち、精製段階を簡単化し、生産費用を減らす。
【0090】
上述したのは、単なる本発明の好ましい実施例であり、本発明の範囲を限定するためであり、本発明の前記実施例は、また様々な変化をすることができる。即ち、本発明の請求した特許請求の範囲及び本出願の明細書の内容に従って行われる簡単で、均等な変化及び修正は、全て本発明の特許請求の範囲内に含まれる。本発明の詳細に説明されていないのは、全て従来の技術の内容である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【国際調査報告】