特表2017-537717(P2017-537717A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特表2017-537717MRI誘導リナックのモーション管理
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2017-537717(P2017-537717A)
(43)【公表日】2017年12月21日
(54)【発明の名称】MRI誘導リナックのモーション管理
(51)【国際特許分類】
   A61N 5/10 20060101AFI20171124BHJP
【FI】
   A61N5/10 M
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】32
(21)【出願番号】特願2017-531532(P2017-531532)
(86)(22)【出願日】2015年12月7日
(85)【翻訳文提出日】2017年8月4日
(86)【国際出願番号】US2015064229
(87)【国際公開番号】WO2016094284
(87)【国際公開日】20160616
(31)【優先権主張番号】62/090,601
(32)【優先日】2014年12月11日
(33)【優先権主張国】US
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】517150065
【氏名又は名称】エレクタ、インク.
【氏名又は名称原語表記】ELEKTA,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100087479
【弁理士】
【氏名又は名称】北野 好人
(72)【発明者】
【氏名】ハーバート,フランソア ポール ジョージ ルネ
【テーマコード(参考)】
4C082
【Fターム(参考)】
4C082AC02
4C082AC05
4C082AE03
4C082AG52
4C082AJ14
4C082AP07
4C082AP08
4C082AR02
(57)【要約】
患者の領域の少なくとも一部のリアルタイム画像誘導適応放射線治療を制御するためのシステム及び方法が記載されている。コンピュータ実装方法は、前記領域の少なくとも一部を含む2次元(2D)磁気共鳴イメージング(MRI)画像に対応する複数のリアルタイム画像データを取得するステップと、複数の画像データにおける2次元(2D)モーションフィールド推定を実行するステップと、3次元(3D)モーションフィールド推定を近似するステップであって、変換モデルを前記2次元(2D)モーションフィールド推定に適用するステップを含むステップと、前記近似された3次元(3D)モーションフィールド推定に基づいて前記領域の少なくとも一部の少なくともひとつのリアルタイム変化を決定するステップと、前記決定された少なくともひとつの変化を用いて、前記領域の少なくとも一部の治療を制御するステップを有する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の領域の少なくとも一部のリアルタイム画像誘導適応放射線治療を制御するコンピュータ実装方法であって、
前記領域の少なくとも一部を含む2次元磁気共鳴イメージング画像に対応する複数のリアルタイム画像データを取得するステップと;
複数の画像データにおける2次元モーションフィールド推定を実行するステップと;
3次元モーションフィールド推定を近似するステップであって、変換モデルを前記2次元モーションフィールド推定に適用するステップを含むステップと;
前記近似された3次元モーションフィールド推定に基づいて前記領域の少なくとも一部の少なくともひとつのリアルタイム変化を決定するステップと;
前記決定された少なくともひとつの変化を用いて、前記領域の少なくとも一部の治療を制御するステップと;
を有することを特徴とするコンピュータ実装方法。
【請求項2】
請求項1記載のコンピュータ実装方法において、
前記変換モデルを使用するステップを有し、
前記変換モデルは、
第1の時間フレームの間に、前記領域の少なくとも一部を含む、少なくともふたつの3次元画像データボリュームを獲得するステップと;
前記第1の時間フレームの間に獲得された前記少なくともふたつの3次元画像データボリュームに、3次元モーションフィールド推定を実行するステップと;
前記第1の時間フレームの間の少なくともふたつの2次元画像に対応する、前記領域の少なくとも一部を含む2次元画像データを獲得するステップと;
前記第1の時間フレームの間に獲得された前記2次元画像データに、2次元モーションフィールド推定を実行するステップと;
前記削減された3次元モーションフィールドと前記2次元モーションフィールドを用いて前記変換モデルを決定するステップと:
を実行することにより特定される
ことを特徴とするコンピュータ実装方法。
【請求項3】
請求項2記載のコンピュータ実装方法において、
3次元モーションフィールド推定を実行するステップと2次元モーションフィールド推定を実行するステップとの少なくともひとつは、変形ベクトルフィールドを計算するステップを含む
ことを特徴とするコンピュータ実装方法。
【請求項4】
請求項2記載のコンピュータ実装方法において、
前記推定された3次元モーションフィールドと前記推定された2次元モーションフィールドの少なくともひとつの次元を削減するステップを有する
ことを特徴とするコンピュータ実装方法。
【請求項5】
請求項4記載のコンピュータ実装方法において、
主成分分析を実行して複数の主成分を決定するステップを有し、
前記推定された3次元モーションフィールドと前記推定された2次元モーションフィールドの少なくともひとつの次元を削減するステップは、所定の基準に基づいて前記主成分の少なくともひとつを選択するステップを含む
ことを特徴とするコンピュータ実装方法。
【請求項6】
請求項2記載のコンピュータ実装方法において、
前記削減された3次元モーションフィールドと前記2次元モーションフィールドを用いて前記変換モデルを決定するステップは、主成分回帰を実行するステップを含む
ことを特徴とするコンピュータ実装方法。
【請求項7】
請求項1記載のコンピュータ実装方法において、
前記治療を制御するステップは、前記領域の前記少なくとも一部が所定の空間ゲーティング窓の外にあるか否かで前記治療をゲーティングするステップを含む
ことを特徴とするコンピュータ実装方法。
【請求項8】
請求項1記載のコンピュータ実装方法において、
前記治療を制御するステップは、領域を追跡する治療送達装置の放出される放射方向を制御するステップを含む
ことを特徴とするコンピュータ実装方法。
【請求項9】
請求項1記載のコンピュータ実装方法において、
1回目の第1の患者セッションと2回目の第2の患者セッションとの間の患者の動きの修正を決定するステップを有する
ことを特徴とするコンピュータ実装方法。
【請求項10】
請求項2記載のコンピュータ実装方法において、
第1の時間フレームの間に少なくともふたつの3次元画像データボリュームを獲得するステップは、
複数の呼吸サイクルにわたって画像データを獲得するステップであって、個々の呼吸サイクルが複数の部分を含むステップと、
前記画像データの同様の部分の中心傾向を用いて、前記少なくともふたつの3次元画像データボリュームを生成するステップと
を含む
ことを特徴とするコンピュータ実装方法。
【請求項11】
請求項1記載のコンピュータ実装方法において、
前記少なくともひとつのリアルタイムの変化は、少なくともひとつのリアルタイムの3次元の変形を含む
ことを特徴とするコンピュータ実装方法。
【請求項12】
請求項1記載のコンピュータ実装方法において、
前記少なくともひとつのリアルタイムの変化は、少なくともひとつのリアルタイムの3次元の位置を含む
ことを特徴とするコンピュータ実装方法。
【請求項13】
請求項1記載のコンピュータ実装方法において、
前記少なくともひとつのリアルタイムの変化は、少なくともひとつのリアルタイムの3次元の回転を含む
ことを特徴とするコンピュータ実装方法。
【請求項14】
患者の領域の少なくとも一部のリアルタイム画像誘導適応放射線治療を制御するシステムであって、
前記システムは、
前記領域の少なくとも一部を含む2次元磁気共鳴イメージング画像に対応する複数のリアルタイム画像データを取得し;
複数の画像データにおける2次元モーションフィールド推定を実行し;
変換モデルを前記2次元モーションフィールド推定に適用して、3次元モーションフィールド推定を近似し;
前記近似された3次元モーションフィールド推定に基づいて前記領域の少なくとも一部の少なくともひとつのリアルタイム変化を決定する
ように構成された治療適応システムと、
前記決定された少なくともひとつの変化を用いて、前記領域の少なくとも一部の治療を制御する
ように構成された治療制御回路と
を有することを特徴とするシステム。
【請求項15】
請求項14記載のシステムにおいて、
前記治療適応システムは前記変換モデルを使用するように構成され、
前記変換モデルは、
第1の時間フレームの間に、前記領域の少なくとも一部を含む、少なくともふたつの3次元画像データボリュームを獲得するステップと;
前記第1の時間フレームの間に獲得された前記少なくともふたつの3次元画像データボリュームに、3次元モーションフィールド推定を実行するステップと;
前記第1の時間フレームの間の少なくともふたつの2次元画像に対応する、前記領域の少なくとも一部を含む2次元画像データを獲得するステップと;
前記第1の時間フレームの間に獲得された前記2次元画像データに、2次元モーションフィールド推定を実行するステップと;
前記削減された3次元モーションフィールドと前記2次元モーションフィールドを用いて前記変換モデルを決定するステップと:
を実行することにより特定される
ことを特徴とするシステム。
【請求項16】
請求項15記載のシステムにおいて、
3次元モーションフィールド推定を実行するステップと2次元モーションフィールド推定を実行するステップとの少なくともひとつは、変形ベクトルフィールドを計算するステップを含む
ことを特徴とするシステム。
【請求項17】
請求項15記載のシステムにおいて、
前記治療適応システムは、前記推定された3次元モーションフィールドと前記推定された2次元モーションフィールドの少なくともひとつの次元を削減するように構成されている
ことを特徴とするシステム。
【請求項18】
請求項17記載のシステムにおいて、
前記治療適応システムは、主成分分析を実行して複数の主成分を決定するように構成されており、
前記治療適応システムは、所定の基準に基づいて前記主成分の少なくともひとつを選択して、前記推定された3次元モーションフィールドと前記推定された2次元モーションフィールドの少なくともひとつの次元を削減するように構成されている
ことを特徴とするシステム。
【請求項19】
請求項15記載のシステムにおいて、
前記治療適応システムは、前記削減された3次元モーションフィールドと前記2次元モーションフィールドを用い、主成分回帰を実行して、前記変換モデルを決定するように構成されている
ことを特徴とするシステム。
【請求項20】
請求項14記載のシステムにおいて、
前記治療制御回路は、前記領域の前記少なくとも一部が所定の空間ゲーティング窓の外にあるか否かで前記治療をゲーティングするように構成された前記治療を制御するように構成されている
ことを特徴とするシステム。
【請求項21】
請求項14記載のシステムにおいて、
前記治療制御回路は、領域を追跡する治療送達装置の放出される放射方向を制御するように構成されている
ことを特徴とするシステム。
【請求項22】
請求項14記載のシステムにおいて、
前記治療適応システムは、1回目の第1の患者セッションと2回目の第2の患者セッションとの間の患者の動きの修正を決定するようの構成されている
ことを特徴とするシステム。
【請求項23】
請求項15記載のシステムにおいて、
前記治療適応システムは、
第1の時間フレームの間に少なくともふたつの3次元画像データボリュームを獲得し;
それぞれが複数の部分を含む、複数の呼吸サイクルにわたって画像データを獲得し;
前記画像データの同様の部分の中心傾向を用いて、前記少なくともふたつの3次元画像データボリュームを生成する
ように構成されていることを特徴とするシステム。
【請求項24】
請求項14記載のシステムにおいて、
前記少なくともひとつのリアルタイムの変化は、少なくともひとつのリアルタイムの3次元の変形を含む
ことを特徴とするシステム。
【請求項25】
請求項14記載のシステムにおいて、
前記少なくともひとつのリアルタイムの変化は、少なくともひとつのリアルタイムの3次元の位置を含む
ことを特徴とするシステム。
【請求項26】
請求項14記載のシステムにおいて、
前記少なくともひとつのリアルタイムの変化は、少なくともひとつのリアルタイムの3次元の回転を含む
ことを特徴とするシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(優先権の主張)
[0001]
本特許出願は、2014年12月11日に出願された「MRI誘導リナックのモーション管理(MOTION MANAGEMENT IN MRI−GUIDED LINAC)と題するフランソア ハーバート(Francois Herbert)の米国仮特許出願第62/090,601号の優先権の利益を主張し、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
(技術分野)
[0002]
本開示は医療システムに関し、より詳細には、磁気共鳴又は他のイメージング又は放射線治療システムに関する。
【背景技術】
【0003】
[0003]
放射線療法(放射線療法とも呼ばれる)は、癌又は他の病状の治療に使用することができる。線形加速器(リナック:Linac)は、放射線ビームを患者の所望の位置に向けるために放射線治療に使用されている。リナック(Linac)は、光子(例えば、X線として)、電子、又は他の亜原子粒子(subatomic particles)を、癌性腫瘍などの標的に向けることができる。放射ビームは、マルチリーフコリメータ(例えば、ひとつ又はそれ以上の指定された放射ビーム形状を生成するために互いに独立して動くことができる複数のタングステンリーフを含むようなマルチリーフコリメータ)を使用するなどして、腫瘍の形状に適合するように成形することができる。
【0004】
[0004]
特定の標的の放射線治療中に健康な細胞が傷ついたり死んだりする可能性があるため、健康な組織への放射線を最小限に抑えることが望ましい。医学的イメージングはこの研究に役立つ可能性がある。CT(computed tomography)、蛍光透視法、及び磁気共鳴イメージング(「MRI」又は「MRイメージング」)等のイメージングシステムを使用して、標的の位置を特定(ローカライズ)又は追跡することができる。イメージングシステムと一体化された放射線治療システムの実施例は、(MRI誘導放射線療法に使用できるような)MRI−リナックシステムを含むことができ、腫瘍のような標的の3次元(3D)画像を使用するように構成することができ、他の組織への放射線を低減又は最小化しながら標的に放射線を提供するための放射線療法において使用することができる。
【0005】
[0005]
MRI−リナックシステムは、MRIシステムの周りのリングガントリ上で回転するように構成されたような加速器を含むことができる。治療される患者は、MRI−リナックシステムの中心に置かれる表面(例えば、テーブル、ベッド、又はソファー)上に配置される。MRIは、患者の組織内の水素核の空間マップを提供することができ、2次元(2D)平面又は3次元(3D)体積で画像を取得することができる。腫瘍学者などの医療提供者は、MRIが電離放射線を使用することなく優れた軟組織コントラストを提供することができるため、MRI−リナックメージング技術を好む。
【0006】
[0006]
例えば、MRI誘導リナックでは、治療自体の間に、標的及びリスク臓器(OAR)の標的位置を局部的に制限することが望ましい。これにより、放射線ビームがオンの間に、ゲーティング又は追跡の方法でモーションを補正することを可能とする。いくつかの動作モードでは、これは、例えば、交互の軸方向スライス、コロナルスライス及び矢状スライスのような連続的な2DMRIスライスの取得によって達成することができる。これらの2Dスライスを使用して、直接セグメント化又は位置合わせ技術を使用して3Dターゲットのモーション(動き)を直接推測することができる。これらのアプローチには、次のような制限がある。1)2Dスライスでのローカライズが困難な平面外のモーションが著しい場合がある。2)スライスは一般的に標的に集中しているため、同時にリスク臓器(OAR)を追跡することは困難である。3)2Dスライス内の情報のみが治療中に集められるため、適応型放射線治療のための線量測定のオフライン遡及計算等の線量計算を行うことが困難になる(線量補償は患者の解剖学的構造の完全な3D情報を経時的に利用する)。
【発明の概要】
【0007】
(概要)
[0007]
MRイメージングは、放射線ビームの送達に対する、例えば3D変形及び/又は3D回転等の標的位置及びモーション情報を提供するために、放射線療法中に「リアルタイム」(例えば、「オンライン」「進行中」又は「連続」)で実行される。追跡される標的には、前立腺のような器官、又は器官の全部又は一部に関連する腫瘍を含む。画像処理において、標的が動いていると判定できるひとつの方法は、標的の位置が画像内のその背景に対して変化するかどうかである。標的の位置をローカライズする、追跡する、又は予測するイメージング処理技術には、ひとつ又はそれ以上の絶対値の相違を使用すること、又は関心領域(ROI)のエッジ、コーナー、又は領域の画像特徴検出を使用することを含むようなイメージ減算を含むことができる。
【0008】
[0008]
標的の迅速かつ正確な3次元位置及び追跡は、患者のモーション(例えば、臓器のモーション及び/又は腫瘍のモーション)を考慮するために、放射線療法の間、重要である。標的のモーション、例えば3D変形及び/又は3D回転は、患者の呼吸(例えば、呼吸サイクル)、反射(例えば、咳、通過ガスなど)、意図的又は意図しない患者のモーション、又は他の予期される又は予期されない標的運動のような、ひとつ又はそれ以上のソースによって引き起こされる。
【0009】
[0009]
本開示は、一連の2DMRIスライスから3Dモーションを推定することができる技術を記載する。以下で詳細に説明するように、これらの技術は、2つの主たる段階:1)2Dスライスを3Dモーションにリンクする変換モデルが構築される学習段階;2)学習段階で構築された変換モデルに基づいて3Dリアルタイム追跡が行われる追跡段階、を含むことができる。これらの技術は、2Dスライスから完全な3Dモーションを推定して、標的のリアルタイムの変化、例えば、3D位置、3D変形、及び/又は3D回転のうちのひとつ又はそれ以上、を提供することができる。
【0010】
[0010]
一実施例では、本開示は、患者の領域の少なくとも一部のリアルタイム画像誘導適応放射線治療を制御するコンピュータ実装方法に関する。コンピュータで実現される方法は、領域の少なくとも一部を含む2次元(2D)磁気共鳴イメージング(MRI)画像に対応する複数のリアルタイム画像データを取得するステップと、複数の画像データ、2Dモーションフィールド推定に変換モデルを適用することを含む、3次元(3D)モーションフィールド推定を近似するステップと、前記決定された少なくとも1つの変化を用いて前記領域の少なくとも一部の治療を制御するステップとを含む。
【0011】
[0011]
一実施例では、本開示は、患者の領域の少なくとも一部のリアルタイム画像誘導適応放射線治療を制御するためのシステムに関する。このシステムは、治療適応システム及び治療コントローラ回路を備える。治療適応システムは、領域の少なくとも一部を含む2次元(2D)磁気共鳴イメージング(MRI)画像に対応する複数のリアルタイム画像データを取得し、複数の画像に対して2次元モーションフィールド推定を実行するように構成されるデータ、前記近似された3次元モーションフィールド推定に基づいて、前記領域の少なくとも一部の少なくとも1つのリアルタイム変化を決定することを含む。治療コントローラ回路は、決定された少なくとも1つの変化を使用して領域の少なくとも一部の治療を制御するように構成される。
【0012】
[0012]
この概要は、本出願のいくつかの教示の概要であり、本主題の排他的又は網羅的な処理を意図するものではない。本主題に関するさらなる詳細は、詳細な説明及び添付の特許請求の範囲に記載されている。本発明の他の態様は、以下の詳細な説明を読んで理解し、それらの一部を形成する図面を見れば当業者には明らかであり、それらの各々は限定的な意味で解釈されるべきではない。本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲及びその法的均等物によって定義される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
[0013]
必ずしも一定の縮尺で描かれていない図面において、同様の参照番号は、異なる図で類似の構成要素を示すことがある。文字の接尾辞又は異なる文字の接尾辞を有する同様の数字は、同様の構成要素の異なる例を表すことができる。図面は、本明細書で論じられている様々な実施形態を例示として概略的に示すが、これに限定されるものではない。
このような実施形態は実証的であり、本装置、システム、又は方法の網羅的又は排他的な実施形態ではない。
【0014】
[0014]
図1A図1Aは、本開示の様々な技術を実施するために使用することができる放射線治療装置の例である。
【0015】
[0015]
図1B図1Bは、本開示の様々な技術に従ってリアルタイム画像誘導を提供するために使用することができるシステムの一部の例である。
【0016】
[0016]
図2図2は、2Dスライスを前に得られた3D画像データボリュームにリンクすることができる変換モデルを構築するために使用することができる技法の例を示す流れ図である。
【0017】
[0017]
図3図3は、図2の流れ図に従って構築された変換モデルを使用して患者のリアルタイム3D画像を推定するために使用することができる技法の例を示す流れ図である。
【0018】
[0018]
図4図4は、放射線治療システムの一部の例を示す。
【発明の詳細な説明】
【0019】
[0019]
図1Aは、本開示のいくつかの実施形態による放射線治療装置、例えば、線形加速器10の例を示す。線形加速器10を使用して、患者42を患者テーブル43上に配置して、治療計画によって決定された放射線量を受けることができる。線形加速器10は、放射ビーム46を生成する放射ヘッド45を含むことができる。放射ヘッド45の全体は、例えば、水平軸47の周りに回転可能であってもよい。患者テーブル43の下には、アイソセンタ41の周りのように、放射線ヘッド45と同期して回転するフラットパネルシンチレータ検出器44が設けられてもよい。放射ヘッド45によって生成されたビーム46の中心と軸47との交差点は「アイソセンタ」と呼ぶことができる。患者テーブル43は、患者42がアイソセンタ41に又はその近くに腫瘍部位と共に配置され得るように電動化されてもよい。放射線ヘッド45は、例えば治療計画に従って、患者42に放射線の複数の変化する投与量を提供するように、ガントリ47の周りを回転することができる。
【0020】
[0020]
図1Bは、本開示の様々な技術に従ってリアルタイムの画像誘導を提供するために使用することができる、画像化又は放射線治療システム100の一部、例えば、MRI誘導理ナックの例である。より詳細には、図1Bのシステム100は、リアルタイムで得られた画像を使用して、リアルタイムで放射線療法治療計画を制御又は適応することができる。システム100は、治療装置102(例えば、線形加速器(「Linac」)を含むことができるような放射線治療装置)を含むことができる。
【0021】
[0021]
患者104は、テーブル、寝台、又は他の表面のような患者支持体106上に配置することができる。患者支持体106は、患者104の長手方向の位置を上昇させるか、又は変化させるなど、治療装置102のひとつ又はそれ以上の他の構成要素に対して位置を変えるように構成することができる。放射線(例えば、X線又は陽子などの加速された粒子)は、治療用放射線源108から患者104に向かって放出される。一実施例では、放射線源108は、治療放射線源108を取り付けることができる回転支持体110(例えば、ガントリ)を使用することによって、患者104の周りを回転するように移動するように構成することができる。治療用放射線源108は、処置装置102及び治療用放射線源108に接続することができる部材又は機械的アームを使用することなどによって、回転するように移動するように構成することができる。一実施形態における治療装置102は、(例えば、図1Aに図示及び説明されるように)X線ビームを患者104の標的(例えば癌腫瘍)に向けるように構成することができる、線形加速器「リナック(Linac)」であってもよい。
【0022】
[0022]
さらに、システム102は、イメージングシステム114と、稲妻マーク118で表示するように(例えば稲妻マーク118は有線又は無線接続のことである)治療装置102と通信する治療コントローラ回路116(本開示では「コントローラ回路116」又は「コントローラ116」とも呼ばれる)とを含むイメージング及び制御システム112(例えば、磁気共鳴イメージング(MRI)装置)を含む。イメージング及び制御システム112は、また、例えば、取得された画像を記憶するためのデータベース117を含むことができる。イメージングシステム114は、(例えば、MRI線形加速器(「MRI−Linac」)を提供するような)治療装置102と組み合わせて使用することができる磁気共鳴イメージング(MRI)装置を含むことができる。MRI装置は、患者104の治療を制御又は適応させるために使用することができるイメージング情報を提供するために使用することができる。ひとつ又はそれ以上の他のイメージングシステムを、コンピュータ断層撮影(CT)システムのようなシステム102又はイメージングシステム114と共に使用することができ、又は追加して又は代替して含ませることができる。
【0023】
[0023]
イメージングシステム114は、例えば、患者の3次元(3D)画像を取得することができる。例えば、治療計画フェーズ中に、医師、看護師、物理学者、又は技術者などの医療従事者は、例えばイメージングシステム114を介して、患者の治療に先立って3D計画画像データを取得するようにシステム102を制御することができる。3D計画画像データは、患者、例えば、標的の関心領域の正確な位置を決定するのに有用である。他の実施例として、治療の直前、例えば、3D計画画像が取得されてから数日後に、医療従事者はシステム102を制御して、治療中に使用することができる新しい3D画像を取得することができる。さらに、患者104の治療中、イメージングシステム114は、領域の少なくとも一部を含む複数の1次元(1D)ライン又は2次元(2D)スライス又は3次元(3D)ボリュームのMRI画像を取得することができる(それを組み合わせると、その領域の3D画像を形成することができる)。
【0024】
[0024]
コントローラ116は、システム102のひとつ又はそれ以上の態様を制御することができる。例えば、コントローラ116は、患者支持体106を介して患者の位置を制御し、放射線源108から放出される放射線量を制御し、ビーム開口形状を制御又は適応させて、標的を追跡し、及び/又は、放射線源108の移動及び/又は位置決めを制御する。
【0025】
[0025]
上述したように、MRI−リナックシステムは、イメージングとリナックの両方を制御するための独自のコントローラ回路116を有することができる。しかし、イメージングシステム114がCTシステムである実施例では、CTシステムのコントローラは、リナックを制御しなくてもよい。このように、別々のコントローラがCTシステムとリナックを制御する。
【0026】
[0026]
システム102は、稲妻マーク122によって示すように、イメージング及び制御システム112と通信する処置適応システム(TAS)120を含むことができる。処置適応システム(TAS)120は、イメージングシステム114によって取得された3D画像に対応する、例えばMRI又はCTスキャンから以前に得られた3D画像データボリュームを受け取ることができる。TASは、データを受信及び送信するための入出力回路122、データをバッファリング及び/又は格納するためのメモリ回路124、及びプロセッサ回路126を含むことができる。任意の適切に編成されたデータ記憶装置であってもよいメモリ回路124は、イメージング及び制御システム112から画像データを受け取ることができる。メモリ回路124は、従来のデータポートを介して無線又は有線の接続を介して画像データを受信することができ、画像データをデジタル化するアナログ画像データ及びアナログ/デジタル変換回路を受信するための回路を含むこともできる。メモリ回路124は、画像データをプロセッサ回路126に供給することができ、プロセッサ回路126は、本発明の機能をハードウェア又はソフトウェアで実現することができ、又は汎用コンピュータ上で両方の組み合わせを実現することができる。一実施形態では、プロセッサ回路126は、グラフィカル処理ユニット(GPU)であってもよい。
【0027】
[0027]
以下でさらに詳細に説明され、本開示に従って、TAS120は、例えばMRIを使用してリアルタイムで取得された一連の2Dスライスから3Dモーションを推定して、リアルタイムで放射線療法治療計画を適合させることができる。学習段階において、TAS120は、2Dスライスを、以前に得られた3D画像データボリューム、例えばMRI又はCTを用いて取得された3D画像データボリュームにリンクする変換モデルを構築することができる。追跡段階では、TAS120は、学習段階で構築された変換モデルに基づいて3Dリアルタイム追跡を実行することができる。TAS120は、領域、例えば標的の位置が変化したかどうかを判定し、決定された位置変化に応答して治療コントローラ回路116が治療を制御することを可能にする情報を撮像制御システム112に出力することができる。
【0028】
[0028]
図2は、2Dスライスを、以前に得られた3D画像データボリュームにリンクすることができる変換モデルを構築するために使用することができる技法の例を示す流れ図である。図2の流れ図は、2Dスライスを3Dモーションにリンクすることができる変換モデルを、TAS120が構築することができる学習段階を表すことができる。まず、TAS120は、撮像制御システム112から1組の取得4D画像データを取得することができる(ブロック200)。画像データは、MR又はCT撮像技術を使用して取得することができる。4D画像データは、ある期間にわたって取得された3D画像データボリュームを含む。任意に、TAS120は、学習ステージからの4D画像データを使用して、追跡ステージ中にTAS120が2Dスライスを後で使用するときに失われる画像の任意の部分を埋めることができる。
【0029】
[0029]
4D画像データから、TAS120は、2Dスライスを抽出し(ブロック202)、時間フレームのエンドポイントとして機能することができるような時間の間に3Dモーションフィールド推定を実行することができる(ブロック204)。まず、3Dモーションフィールド推定(ブロック204)を参照して、4D画像データ200内のモーションを定量化するために、TAS120は、第1の基準3D画像データボリュームを抽出することができる。3D画像データボリュームが時間とともに進行するにつれて、2つの画像データボリューム間の変化は、変形ベクトルフィールドによって定義される変形として特徴付けることができる。TAS120は、例えば、連続する各3D画像データボリュームと基準3D画像データボリュームとの間の変形を見つけるために変形ベクトルフィールド(DVF)を計算することによって3Dモーションフィールド推定を行うことができる。いくつかの実施例では、変形は、各ピクセル(又はボクセル)がある3D画像から次の3D画像へのそのモーションを定義する変形ベクトルを有する、ピクセル間(又はボクセル間ボクセル)の時間的変形である。例えば、患者の石灰化が非常に小さい場合、その石灰化がどのように動いたかをベクトルで定義することができる。もし変形がなければ、すべてのピクセル(又はボクセル)変形ベクトルはヌル(nul)である。もし変形があるならば、ピクセル(又はボクセル)変形ベクトルは様々な方向を指す。
【0030】
[0030]
一実施例では、TAS120のプロセッサ回路126は、変形を決定するために非線形整合技術を使用することができる。一実施例では、プロセッサ回路126は、画像内の各ピクセル(又はボクセル)のDVFを計算することができる。一実施例では、プロセッサ回路126は、セグメント化された画像又は他の画像のような、リスクのある標的又は臓器に特有の関心領域内のピクセル(又はボクセル)のDVFを計算することができる。ある場合には、計算の複雑さを低減するために、TAS120は、変形可能な登録の代わりに厳格な登録を使用することができる。
【0031】
[0031]
TAS120がDVFを計算した後、TAS120は、呼吸中に臓器がどのように動くか、例えば、並進運動及び/又は回転運動及び/又は変形するかを記述する一組のDVFを有する。DVFのセットは、相当量の情報を含むことができ、処理するのが計算上困難である可能性がある。シンプルに計算するために、TAS120のプロセッサ回路126は、必要に応じて、DVFのセットの次元を削減することができる。
【0032】
[0032]
まず、TAS120のプロセッサ回路126は、DVFに次元削減技術を適用することができる。図2に示すように、次元削減技術は、主成分分析(PCA)を3Dモーションフィールドデータに適用すること(ブロック206)を含むことができる。PCAをDVFに適用すると、ベクトルを定義する一組の主成分又は係数が得られる。次に、TAS120は、予め定義された変動量又は再構成された変形フィールドの所定の所望の精度などの所定の基準を使用して、主要構成要素のセットからひとつ又はそれ以上のPCA構成要素を選択することによって次元を削減させることができる(ブロック208) 一実施例では、精度は、再構成された変形フィールドと登録によって与えられたものとの差の尺度として定義することができる。
【0033】
[0033]
次元削減技術は、PCAの使用に限定されない。次元削減技術の他の非限定的な例としては、独立成分分析(ICA)、カーネルPCA、正準相関分析、局所線形埋め込み(LLE)、ヘッセ行列、ラプラシアン固有マップ、局所接線空間整列、最大分散展開、最大有益次元(maximally informative dimensions)を含む。
【0034】
[0034]
上述したように、TAS120は、4D画像データボリュームから2Dスライスを抽出することができる(ブロック202)。3D画像データボリュームの場合と同様に、TAS120は、例えば、連続する2D画像データ(2Dスライス)間の変形を見つけるためにDVFを計算することによって2Dモーションフィールド推定を行うことができる(ブロック210)。
【0035】
[0035]
いくつかの実施例では、TAS120は、4D画像データボリューム内の任意のスライスを選択することができる。他の例では、TAS120は、最大のモーション情報を有するような、例えば矢状、軸方向、冠状のような平面を選択し、その平面又は他の方向からスライスを選択することができる。特定のMRIスライスに関連する「平面」は、厳密に平面である必要はなく、MRI歪みアーチファクトなどのある曲率、又はMRI歪みに対して少なくとも部分的に補償されたスライスを含むことができる。例えば、TAS120は、3つの平面上で訓練することができ、どの平面が3Dモーションのより良い予測を提供するかを決定することができる。いくつかの実施例では、TAS120は、3つの直交する方向の平面からスライスを選択し、それらの平面の各々においてDVFを計算することができる。
【0036】
[0036]
TAS120が2D画像データのDVFを計算した後、TAS120は一組のDVFを有する。単純に計算するために、TAS120のプロセッサ回路126は、DVFに次元削減技術を適用することによって、DVFのセットの次元性を低減することができる。次元削減技法は、主成分の集合を生成するために、TAS120が2DモーションフィールドデータにPCAを適用すること(ブロック212)を含むことができる。次に、予め定義された量の変動、又は再構成された変形フィールドの所定の所望の精度などの所定の基準を使用して、TAS120は、主要構成要素のセットからひとつ又はそれ以上のPCA構成要素を選択することによって次元を低減することができる(ブロック214)。
【0037】
[0037]
例えば、PCA分析の間、TAS120は、主成分変動を決定することができる。具体的な例として、第1主成分は最大であり変動の75%を説明することができ、第2主成分は10%を説明することができる。所定の変動量が85%である場合、TAS120は、第1主成分及び第2主成分を選択することができる。
【0038】
[0038]
一実施例では、精度は、再構成された変形フィールドと登録によって与えられたものとの差の尺度として定義することができる。
【0039】
[0039]
TAS120が3DモーションフィールドPCAと2DモーションフィールドPCAの両方の次元を任意に減少させた後、TAS120のプロセッサ126は、2DPCAと2DモーションフィールドPCAとの間の関係を確立する多変数、多次元関数fを生成する。関数fは、例えば、以下に示すように、変形ベクトルフィールドの3DPCA成分を含む列Yと2DPCA成分を含む列Xとの間の線形回帰とすることができる。
【0040】
【数1】
【0041】
ここで、yijは、3DPCAにおけるi時系列の主成分ベースのj座標であり、
xijは、2DPCAにおけるi番目の時系列の主成分ベースのj座標であり、
mは、時系列の標本数であり、
nは、3DPCAの成分数であり、
pは、考慮中のスライスの2DPCAの成分数である。
【0042】
[0040]
線形回帰は、次のように示すことができる。
【0043】
【数2】
【0044】
ここで、jは、すべての時系列の3D PCAにおけるj成分の座標であり、
βは、回帰係数のベクトルである。
【0045】
[0041]
いくつかの実施例では、線形回帰技術は主成分回帰である。線形回帰技術は、ひとつ又はそれ以上の非線形回帰技術のような任意のタイプの回帰分析を使用することができると記載されているが、このプロセスは、fが多変量多次元関数である場合など、線形回帰に限定されない。
【0046】
[0042]
TAS120が関数fを計算すると(ブロック216)、TASは2Dスライスを3Dモーションにリンクするモデルを計算することができる(ブロック218)。モデルには、2DPCA成分と、3DPCAの成分と、それらをリンクする関数fを含めることができる。
【0047】
[0043]
追跡段階の間、TAS120は、スライスが学習段階で使用されるものと同じ解剖学的位置にある限り、任意の向き、例えば矢状、矢状軸、矢状−軸−冠状の2次元スライスを得ることができる。次に、TAS120は、取得された画像データのPCAを計算し、このモデルを使用して画像データをマップして、完全な3Dモーションの推定値を求める。
【0048】
[0044]
いくつかの実施例では、学習段階のモデルは、一連の4DMRIデータから構築することができる。そのようないくつかの実施例では、4DMRIデータのセットは、より早い時点で、又は治療の直前に取得された位相又は振幅でビンされた(binned)4DMRIスキャンから得ることができる。画像データは、個々の呼吸サイクルが複数の部分を含む、複数の呼吸サイクルにわたって取得することができ、TAS120は、同様の部分の画像データの中心的な傾向を使用して少なくとも2つの3D画像データボリュームを生成することができる。例えば、呼吸周期はビンされる(binned)ことができ、TAS120は、異なる呼吸相で同じビンから情報を取得することによって3D画像を生成することができる。このようにして、TAS120は、複数の呼吸サイクルにわたって平均化された4D画像を生成することができる。
【0049】
[0045]
他の実施例では、一連の高速3DMRIスキャンから4DMRIデータを得ることができる。いくつかの場合、例えば、4D画像データが利用可能でない場合、4DMRIデータは、モーションダイナミックスをモデル化するようないくつかの追加仮説を用いて、静的3DMRI画像からシミュレートすることができる。
【0050】
[0046]
図3は、図2の流れ図に従って構築された変換モデルを使用して患者のリアルタイム3D画像を推定するために使用することができる技法の例を示す流れ図である。図3の流れ図は、リアルタイム追跡段階を表す。TAS120が、3Dモーションフィールド推定を近似することができ、2Dモーションフィールド推定に変換モデルを適用すること、近似された3Dモーションフィールドに基づく標的又は領域の少なくとも一部の、少なくとも1つのリアルタイム変化、例えば3D位置、3D変形、及び/又は3D回転を決定すること、を含む。
【0051】
[0047]
図3において、TAS120は、2D画像、例えば2DMRIスライスに対応する複数のリアルタイム画像データを得ることができる(ブロック300)。いくつかの実施例では、データ画像は、標的の少なくとも一部を含むことができる。TAS120は、例えば、リアルタイムDVF(したがって、患者のリアルタイム3D画像)を推定して、連続する2D画像データ、例えば2Dスライス間の変形を見つけることによって、複数の画像データに対して2Dモーションフィールド推定を行うことができる(ブロック302)。次に、TAS120は、2Dモーションフィールド推定に変換モデルを適用することを含む3Dモーションフィールド推定を近似することができる。例えば、TAS120は、新たに取得された2D画像データ、例えば2Dスライスの2DPCAを計算することができる(ブロック304)。2DPCAと3DPCAとをリンクする関数fによって推定された変換モデルを使用する(ブロック306)ことにより、TAS120は3DPCA成分を推定することができる(ブロック308)。推定された3次元PCA成分を使用して、TAS120は、患者の領域のリアルタイム3Dモーションフィールド推定を近似し(ブロック310)、したがって標的、例えばリスク臓器のモーションを推定する(ブロック312)。
【0052】
[0048]
いくつかの実施例では、TAS120は、治療中に患者を撮像するための2Dスライスの最良の向き及び位置を決定することができる。例えば、TAS120は、各3DPCA構成要素についての最大情報を含む部分空間を決定することができる。この部分空間は、3D画像データボリュームに最も相関があり、モーションの最も正確な予測を与える変形情報を含むことができる。TAS120は、この変形情報を使用して、2Dスライスの選択のための最良の向きを自動的に選択することができる。
【0053】
[0049]
いくつかの実施例では、TAS120は、2DPCA構成要素のリアルタイム推定を可能にすることができる。例えば、2Dスライス間の変形可能な位置合わせを計算する代わりに、TAS120は、2DPCAの現在のスライスの座標値を直接的に推定することができ、それは、現在のスライスをモデルのスライスに変形する最適の座標値を生成する。
【0054】
[0050]
標的の推定されたモーションを決定することによって、TAS120は、領域の少なくとも一部が所定の空間ゲーティング窓の外にある場合に、治療を正確にゲーティングすることによって治療を制御することができる。さらに、TAS120は、処置送達装置の放射された放射方向を制御してその領域を追跡することによって処置を制御することができる。
【0055】
[0051]
本技術は主題に特有のものとして記載されているが、本開示の技術は一般的な統計的3DPCAに拡張することができることに留意されたい。その場合、学習段階で決定された3DPCAは、いくつかの被験者で決定することができる。
【0056】
[0052]
リアルタイム追跡の前に、変換モデルが決定された、もともと取得された4D画像データが患者の現在位置に確実に位置合わせされることを確実にするために、TAS120が前処理段階で事前位置合わせを実行することが望ましい。追跡段階で使用されるスライスが学習段階で使用されたスライスと同じであることを確認することが望ましい。たとえば、4D画像データが前日に取得された場合、ミスアライメントが発生する可能性がある。
【0057】
[0053]
事前整列行為では、TAS120は、第1の時間に第1の患者セッション、例えば、11日目の学習ステージと、第2の時間に第2の患者セッション、例えば、2日目の追跡ステージ、との間の患者のモーションの補正を決定することができる。TAS120は、現在の患者に対する3DPCAのリジッドアラインメントを実行することができる。TAS120は、学習段階での非線形登録の場合に、様々な方向変更ストラテジーによって3DPCA構成要素を修正することができる。一実施例では、TAS120は、一貫性を保証するために、モデリング段階で使用されるスライスに基づいて、追跡段階の間にどのスライスを使用するかを決定することができる。
【0058】
[0054]
図4は、放射線治療システム400の一部、例えば、MRI誘導リナックの例を示す。放射線療法システム400は、治療システム402、画像化システム412、及びエンドユーザのインターフェース434を含むことができる。処理システム402は、線形加速器(「linac」)を含むような処理装置を含むことができる。リニアックは、患者408に放射線治療を送達するように構成することができる。患者408は、テーブル、ソファー、又は他の表面のような、患者支持体410上に配置される。患者支持体410は、例えば、患者408の上昇又は長手方向の位置変更するようにリナックのひとつ又はそれ以上の要素に関する位置を変更するように構成することができる。一実施例では、患者支持体410は、患者408の目標又は治療装置の中心に近接して位置決めを電動化するように構成することができる。
【0059】
[0055]
放射線は、患者408に向かって放射線源406から放出させることができる。一実施例では、放射線源406は、放射源406が結合された回転支持体404(例えば、ガントリ又は機械的アーム)を用いることにより、患者408の周りを回転するように、移動するように構成することができる。放射線源406は、患者408の標的(例えば、癌腫瘍)に向かってX線(又は他の粒子)ビームを向けるように構成することができる。このような治療計画に従う放射線の投与量(例えば、変動する用量)を患者408に供給するように、放射線源406を回転するように構成することができる。
【0060】
[0056]
イメージングシステム412は、処理システム402とともに使用することができる磁気共鳴イメージング(MRI)装置等のイメージング装置414を含む(例えば、MRI線形加速器(「MRIリナック」)を提供する)ことができる。MRI装置は、このような標的に関して、患者408の指定された場所に放射線を誘導するように、患者408内のターゲットの位置を決定するために使用できる情報を画像化するために使用することができる。イメージングシステム412は、追加的に又は代替的にコンピュータ断層撮影(CT)システム、又は他のイメージングシステムを含むことができる。イメージングシステム412は、ひとつ又はそれ以上のセンサ416を含むことができる。ひとつ又はそれ以上のセンサ416は、X線源の反対側に配置されるように、フラットパネル検出器(例えば、X線検出器)を含むことができる。イメージングシステム412は、ひとつ又はそれ以上の入力418と、ひとつ又はそれ以上の出力420と、処理回路422と、メモリ回路424と、データベース426と、通信回路428と、タイマ回路430と、制御回路432とを含むことができる。
【0061】
[0057]
イメージングシステム412は、例えば、少なくとも三次元(例えば、3DMR基準画像又は4DMR基準画像)を有する患者408の基準画像(例えば、治療計画画像)を取得することができる。一実施例では、3DMR基準画像についての情報は、イメージングシステムによって取得することができる。3DMR基準画像は、患者(例えば、標的)の関心領域の位置を決定するのに有用である。一実施例では、患者408の治療セッション中に、イメージングシステム412は、複数の一次元(1D)ライン、二次元(2D)スライス又は投影画像、3DMR画像(例えば、ボリュームの3D画像)、4DMR画像(例えば、経時的な一連の3DMR画像)を取得する。
【0062】
[0058]
処理システム402は、通信イメージングシステム412とエンドユーザのインターフェース434に結合することができる。イメージングシステム412は、エンドユーザのインターフェース434を含む、又は、通信的に結合することができる。この通信接続は、(例えば、通信リンクの各端に)有線又は無線の送信、受信又はトランシーバ回路、通信バス、通信ネットワーク、コンピュータネットワークを含むような、ひとつ又はそれ以上の通信リンク(例えば、通信リンク438)を使用することを含むことができる。
【0063】
[0059]
プロセッサ回路422は、患者408内の標的のロケーション(例えば、ポジション)に関する情報を決定するように構成することができる。出力420は、患者408の放射線治療セッション中に、処理システム402に、標的の位置についての情報を提供するように構成することができる。エンドユーザのインターフェース434は、介護者、例えば、放射線腫瘍医、放射線線量測定、放射線療法(例えば、放射線技師)によって使用することができる。一実施例では、エンドユーザのインターフェース434は、オーディオ/ビジュアル表示装置(例えば、モニタ)を含むことができる。制御回路432は、イメージングシステム412のひとつ又はそれ以上の態様を制御するように構成することができる。一実施例では、制御回路432は、リアルタイム2次元MR画像スライスの向きを指定するなど、イメージング装置414の傾斜コイルの使用又は動作を制御することができる。メモリ回路424は、汎用コンピュータ上のハードウェア又はソフトウェアで本明細書に記載の技術、又は両方の組み合わせを実装することができ、プロセッサ回路422に情報を提供することができる。一実施例では、プロセッサ回路422は、グラフィック処理ユニット(GPU)を含むことができる。
【0064】
[0060]
この文書では、推定された3Dターゲット又はOARのモーション推定を得るために、2次元ターゲット又はOARモーション推定に変換モデルを適用し、3Dモーション推定のためのひとつ又はそれ以上の他の技術が、本明細書に記載の技術と組み合わせて使用することができることを、とりわけ、説明する。例えば、本開示で説明される様々な技術のひとつ又はそれ以上の態様は、以下の米国特許出願のひとつ又はそれ以上と組み合わせることができ、以下の米国特許出願は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
(1)2014年12月10日に出願された発明の名称「MAGNETIC RESONANCE PROJECTION IMAGING」の米国特許出願第62/090、115号(代理人整理番号4186.003PRV)。
(2)2014年10月27日に出願された発明の名称「REAL TIME ORGAN MOTION PREDICTION DUE TO BREATHING FOR MRI−LINAC」の米国特許出願第62/069、066号(代理人整理番号4186.006PRV)。
(3)2014年12月9日に出願された発明の名称「MAGNETIC RESONANCE IMAGING TARGET LOCALIZATION」の米国特許出願第62/089、4825号(代理人整理番号4186.009PRV)。
(4)2014年12月27日に出願された発明の名称「MRI−LINAC REAL−TIME IMAGE GUIDANCE TECHNIQUES」の米国特許出願第62/069、145号(代理人整理番号4186.005PRV)。
【0065】
付記
[0061]
実施例1は、主題(方法、動作を実行する手段、又は、装置読取り可能な記録媒体(コンピュータ読取り可能な記録媒体)であって、装置により実行されたとき装置に次の動作を実行させる命令を含む又は実行するように構成された装置の主題)である、患者の領域の少なくとも一部のリアルタイム画像誘導適応放射線治療を制御する方法であって、前記領域の少なくとも一部を含む2次元磁気共鳴イメージング画像に対応する複数のリアルタイム画像データを取得するステップと、複数の画像データにおける2次元モーションフィールド推定を実行するステップと、3次元モーションフィールド推定を近似するステップであって、変換モデルを前記2次元モーションフィールド推定に適用するステップを含むステップと、前記近似された3次元モーションフィールド推定に基づいて前記領域の少なくとも一部の少なくともひとつのリアルタイム変化を決定するステップと、前記決定された少なくともひとつの変化を用いて、前記領域の少なくとも一部の治療を制御するステップとを有する方法である。
【0066】
[0062]
実施例2では、実施例1の主題に、任意に、前記変換モデルを使用するステップを有し、前記変換モデルは、第1の時間フレームの間に、前記領域の少なくとも一部を含む、少なくともふたつの3次元画像データボリュームを獲得するステップと、前記第1の時間フレームの間に獲得された前記少なくともふたつの3次元画像データボリュームに、3次元モーションフィールド推定を実行するステップと、前記第1の時間フレームの間の少なくともふたつの2次元画像に対応する、前記領域の少なくとも一部を含む2次元画像データを獲得するステップと、前記第1の時間フレームの間に獲得された前記2次元画像データに、2次元モーションフィールド推定を実行するステップと、前記削減された3次元モーションフィールドと前記2次元モーションフィールドを用いて前記変換モデルを決定するステップとを実行することにより特定されることを含む。
【0067】
[0063]
実施例3では、実施例2の主題に、任意に、3次元モーションフィールド推定を実行するステップと2次元モーションフィールド推定を実行するステップとの少なくともひとつは、変形ベクトルフィールドを計算するステップを含むことを含む。
【0068】
[0064]
実施例4では、実施例2及び3のいずれかひとつ又はそれ以上の主題に、任意に、前記推定された3次元モーションフィールドと前記推定された2次元モーションフィールドの少なくともひとつの次元を削減するステップを有することを含む。
【0069】
[0065]
実施例5では、実施例4の主題に、任意に、主成分分析を実行して複数の主成分を決定するステップを有し、前記推定された3次元モーションフィールドと前記推定された2次元モーションフィールドの少なくともひとつの次元を削減するステップは、所定の基準に基づいて前記主成分の少なくともひとつを選択するステップを含むことを含む。
【0070】
[0066]
実施例6では、実施例2−5のいずれかひとつ又はそれ以上の主題に、任意に、前記削減された3次元モーションフィールドと前記2次元モーションフィールドを用いて前記変換モデルを決定するステップは、主成分回帰を実行するステップを含むことを含む。
【0071】
[0067]
実施例7では、実施例1−6のいずれかひとつ又はそれ以上の主題に、任意に、前記治療を制御するステップは、前記領域の前記少なくとも一部が所定の空間ゲーティング窓の外にあるか否かで前記治療をゲーティングするステップを含むことを含む。
【0072】
[0068]
実施例8では、実施例1−7のいずれかひとつ又はそれ以上の主題に、任意に、前記治療を制御するステップは、領域を追跡する治療送達装置の放出される放射方向を制御するステップを含むことを含む。
【0073】
実施例9では、実施例1−8のいずれかひとつ又はそれ以上の主題に、任意に、1回目の第1の患者セッションと2回目の第2の患者セッションとの間の患者の動きの修正を決定するステップを有することを含む。
【0074】
[0070]
実施例10では、実施例2−9のいずれかひとつ又はそれ以上の主題に、任意に、第1の時間フレームの間に少なくともふたつの3次元画像データボリュームを獲得するステップは、複数の呼吸サイクルにわたって画像データを獲得するステップであって、個々の呼吸サイクルが複数の部分を含むステップと、前記画像データの同様の部分の中心傾向を用いて、前記少なくともふたつの3次元画像データボリュームを生成するステップとを含むことを含む。
【0075】
[0071]
実施例11では、実施例1−10のいずれかひとつ又はそれ以上の主題に、前記少なくともひとつのリアルタイムの変化は、少なくともひとつのリアルタイムの3次元の変形を含むことを含む。
【0076】
[0072]
実施例12では、実施例1−11のいずれかひとつ又はそれ以上の主題に、任意に、前記少なくともひとつのリアルタイムの変化は、少なくともひとつのリアルタイムの3次元の位置を含むことを含む。
【0077】
[0073]
実施例13では、実施例1−12のいずれかひとつ又はそれ以上の主題に、任意に、前記少なくともひとつのリアルタイムの変化は、少なくともひとつのリアルタイムの3次元の回転を含むことを含む。
【0078】
[0074]
実施例14は、主題(デバイス、装置、システム、機械のような主題)である、患者の領域の少なくとも一部のリアルタイム画像誘導適応放射線治療を制御するシステムであって、前記システムは、前記領域の少なくとも一部を含む2次元磁気共鳴イメージング画像に対応する複数のリアルタイム画像データを取得し、複数の画像データにおける2次元モーションフィールド推定を実行し、変換モデルを前記2次元モーションフィールド推定に適用して、3次元モーションフィールド推定を近似し、前記近似された3次元モーションフィールド推定に基づいて前記領域の少なくとも一部の少なくともひとつのリアルタイム変化を決定するように構成された治療適応システムと、前記決定された少なくともひとつの変化を用いて、前記領域の少なくとも一部の治療を制御するように構成された治療制御回路とを有するシステムである。
【0079】
[0075]
実施例15では、実施例14の主題に、任意に、前記治療適応システムは前記変換モデルを使用するように構成され、前記変換モデルは、第1の時間フレームの間に、前記領域の少なくとも一部を含む、少なくともふたつの3次元画像データボリュームを獲得するステップと、前記第1の時間フレームの間に獲得された前記少なくともふたつの3次元画像データボリュームに、3次元モーションフィールド推定を実行するステップと、前記第1の時間フレームの間の少なくともふたつの2次元画像に対応する、前記領域の少なくとも一部を含む2次元画像データを獲得するステップと、前記第1の時間フレームの間に獲得された前記2次元画像データに、2次元モーションフィールド推定を実行するステップと、 前記削減された3次元モーションフィールドと前記2次元モーションフィールドを用いて前記変換モデルを決定するステップとを実行することにより特定されることを含む。
【0080】
[0076]
実施例16では、実施例15の主題に、任意に、3次元モーションフィールド推定を実行するステップと2次元モーションフィールド推定を実行するステップとの少なくともひとつは、変形ベクトルフィールドを計算するステップを含むことを含む。
【0081】
[0077]
実施例17では、実施例15及び16のいずれかひとつ又はそれ以上の主題に、任意に、前記治療適応システムは、前記推定された3次元モーションフィールドと前記推定された2次元モーションフィールドの少なくともひとつの次元を削減するように構成されていることを含む。
【0082】
[0078]
実施例18では、実施例17の主題に、任意に、前記治療適応システムは、主成分分析を実行して複数の主成分を決定するように構成されており、前記治療適応システムは、所定の基準に基づいて前記主成分の少なくともひとつを選択して、前記推定された3次元モーションフィールドと前記推定された2次元モーションフィールドの少なくともひとつの次元を削減するように構成されていることを含む。
【0083】
[0079]
実施例19では、実施例15−18のいずれかひとつ又はそれ以上の主題に、任意に、前記治療適応システムは、前記削減された3次元モーションフィールドと前記2次元モーションフィールドを用い、主成分回帰を実行して、前記変換モデルを決定するように構成されていることを含む。
【0084】
[0080]
実施例20では、実施例14−19のいずれかひとつ又はそれ以上の主題に、任意に、前記治療制御回路は、前記領域の前記少なくとも一部が所定の空間ゲーティング窓の外にあるか否かで前記治療をゲーティングするように構成された前記治療を制御するように構成されていることを含む。
【0085】
[0081]
実施例21では、実施例14−20のいずれかひとつ又はそれ以上の主題に、任意に、前記治療制御回路は、領域を追跡する治療送達装置の放出される放射方向を制御するように構成されていることを含む。
【0086】
[0082]
実施例22では、実施例14−21のいずれかひとつ又はそれ以上の主題に、任意に、前記治療適応システムは、1回目の第1の患者セッションと2回目の第2の患者セッションとの間の患者の動きの修正を決定するようの構成されていることを含む。
【0087】
[0083]
実施例23では、実施例15−22のいずれかひとつ又はそれ以上の主題に、任意に、前記治療適応システムは、第1の時間フレームの間に少なくともふたつの3次元画像データボリュームを獲得し、それぞれが複数の部分を含む、複数の呼吸サイクルにわたって画像データを獲得し、前記画像データの同様の部分の中心傾向を用いて、前記少なくともふたつの3次元画像データボリュームを生成するように構成されていることを含む。
【0088】
[0084]
実施例24では、実施例14−23のいずれかひとつ又はそれ以上の主題に、任意に、前記少なくともひとつのリアルタイムの変化は、少なくともひとつのリアルタイムの3次元の変形を含むことを含む。
【0089】
[0085]
実施例25では、実施例14−24のいずれかひとつ又はそれ以上の主題に、任意に、前記少なくともひとつのリアルタイムの変化は、少なくともひとつのリアルタイムの3次元の位置を含むことを含む。
【0090】
[0086]
実施例26では、実施例14−25のいずれかひとつ又はそれ以上の主題に、任意に、前記少なくともひとつのリアルタイムの変化は、少なくともひとつのリアルタイムの3次元の回転を含むことを含む。
【0091】
[0087]
上記の詳細な説明は、詳細な説明の一部を形成する添付の図面の参照を含む。図面は、例示として、本発明を実施することができる特定の実施形態を示す。これらの実施形態は、本明細書では「実施例」とも呼ばれる。そのような例は、図示又は説明された要素に加えて要素を含むことができる。しかしながら、本願発明者らは、図示又は記載された要素のみが提供される実施例も熟考する。
【0092】
[0088]
さらに、本願発明者らは、特定の例(又はそのひとつ又はそれ以上の態様)に関して、又は表示された又は記載された要素(又はそのひとつ又はそれ以上の態様)の任意の組合せ又は置換を使用する例(又はそのひとつ又はそれ以上の態様)を示す。
【0093】
[0089]
この文書で言及した全ての刊行物、特許、特許文献は、それぞれが参照により組み込まれているように、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。本明細書と参考として組み込まれている文書との間に一貫性のない使用(usage)があった場合は、組み込まれた文書の使用はこの文書の使用に補助的に考慮されるべきであり、相容れない矛盾に対しては、本明細書の使用が優先する。
【0094】
[0090]
本明細書では、「少なくともひとつ」又は「ひとつ又はそれ以上」の他の例(instance)又は使用(usage)とは独立して、ひとつ又はそれ以上のものを含み、特許文書で一般的であるように、用語「a」又は「an」が使用される。本明細書において、「又は」という用語は、特に断らない限り、「A又はB」には「AであってBでない」、「BであってAでない」、「A及びB」を含むように非排他的である。本明細書では、用語「including」及び「in which」は、それぞれ、用語「comprising」「wherein」の平易な英語の等価物として使用される。また、以下の特許請求の範囲において、「含む(including)」及び「含む(comprising)」という用語は、オープンエンドであり、すなわち、そのような用語の後に列挙された要素に、ある要素を含む装置、システム、デバイス、品物、組成、動作、プロセスを要素として加えたクレームは依然としてそのクレームの範囲内にあるとみなされる。さらに、添付の特許請求の範囲において、「第1の」、「第2の」、「第3の」などの用語は、単にラベルとして使用されており、それらに数値的な要件を課すことを意図しない。
【0095】
[0091]
本明細書に記載の方法例は、少なくとも部分的に機械的に又はコンピュータで実施することができる。いくつかの実施例は、上記の実施例で説明した方法を実行するように電子デバイスを構成するように動作可能な命令でコード化されたコンピュータ可読媒体又は機械可読媒体を含むことができる。そのような方法の実装には、マイクロコード、アセンブリ言語コード、高水準言語コードなどのコードを含めることができる。そのようなコードは、様々な方法を実行するためのコンピュータ可読命令を含むことができる。コードは、コンピュータプログラム製品の一部を形成してもよい。さらに、一例では、コードは、実行中又は他の時などに、ひとつ又はそれ以上の揮発性、非一時的、又は不揮発性の有形のコンピュータ可読媒体に有形に格納することができる。これらの具体的なコンピュータ可読媒体の例は、ハードディスク、リムーバブル磁気ディスク、取り外し可能な光ディスク(例えば、コンパクトディスク、デジタルビデオディスク)、磁気カセット、メモリカード、メモリスティック、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み出し専用メモリ(ROM)などを含む。
【0096】
[0092]
上記の説明は例示的なものであり、限定的なものではない。例えば、上記の例(又はそのひとつ又はそれ以上の態様)は、互いに組み合わせて使用されてもよい。上記の説明を検討することにより、当業者によって、他の実施形態を使用することができる。要約は、読者が技術的開示の性質を迅速に確認できるように提供される。クレームの範囲又は意味を解釈又は制限するために使用されないことを理解して提出されている。また、上記の詳細な説明では、開示を合理化するために様々な特徴をグループ化することができる。これは、クレームされていない開示された特徴がクレームに不可欠であることを意図していると解釈されるべきではない。むしろ、本発明の主題は、開示された特定の実施形態のすべての特徴よりも少なくてもよい。したがって、添付の特許請求の範囲は、実施形態又は実施形態としての詳細な説明に組み込まれ、各請求項は別個の実施形態として独立して立証され、そのような実施形態は、様々な組み合わせ又は順列で互いに組み合わせることができる。本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲を参照して、そのような特許請求の範囲が権利を与えられる等価物の全範囲と共に決定されるべきである。
図1A
図1B
図2
図3
図4
【手続補正書】
【提出日】2017年8月18日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の領域の少なくとも一部のリアルタイム画像誘導適応放射線治療を制御するコンピュータ実装方法であって、
前記領域の少なくとも一部を含む2次元磁気共鳴イメージング画像に対応する複数のリアルタイム画像データを取得するステップと;
複数の画像データにおける2次元モーションフィールド推定を実行するステップと;
3次元モーションフィールド推定を近似するステップであって、変換モデルを前記2次元モーションフィールド推定に適用するステップを含むステップと;
前記近似された2次元モーションフィールド推定に基づいて前記領域の少なくとも一部の少なくともひとつのリアルタイム変化を決定するステップと;
前記決定された少なくともひとつの変化を用いて、前記領域の少なくとも一部の治療を制御するステップと;
を有することを特徴とするコンピュータ実装方法。
【請求項2】
請求項1記載のコンピュータ実装方法において、
前記変換モデルを使用するステップを有し、
前記変換モデルは、
第1の時間フレームの間に、前記領域の少なくとも一部を含む、少なくともふたつの3次元画像データボリュームを獲得するステップと;
前記第1の時間フレームの間に獲得された前記少なくともふたつの3次元画像データボリュームに、3次元モーションフィールド推定を実行するステップと;
前記第1の時間フレームの間の少なくともふたつの2次元画像に対応する、前記領域の少なくとも一部を含む2次元画像データを獲得するステップと;
前記第1の時間フレームの間に獲得された前記2次元画像データに、2次元モーションフィールド推定を実行するステップと;
前記削減された3次元モーションフィールドと前記2次元モーションフィールドを用いて前記変換モデルを決定するステップと:
を実行することにより特定される
ことを特徴とするコンピュータ実装方法。
【請求項3】
請求項2記載のコンピュータ実装方法において、
3次元モーションフィールド推定を実行するステップと2次元モーションフィールド推定を実行するステップとの少なくともひとつは、変形ベクトルフィールドを計算するステップを含む
ことを特徴とするコンピュータ実装方法。
【請求項4】
請求項2又は3記載のコンピュータ実装方法において、
前記推定された3次元モーションフィールドと前記推定された2次元モーションフィールドの少なくともひとつの次元を削減するステップを有する
ことを特徴とするコンピュータ実装方法。
【請求項5】
請求項4記載のコンピュータ実装方法において、
主成分分析を実行して複数の主成分を決定するステップを有し、
前記推定された3次元モーションフィールドと前記推定された2次元モーションフィールドの少なくともひとつの次元を削減するステップは、所定の基準に基づいて前記主成分の少なくともひとつを選択するステップを含む
ことを特徴とするコンピュータ実装方法。
【請求項6】
請求項2乃至5のいずれか1項に記載のコンピュータ実装方法において、
前記削減された3次元モーションフィールドと前記2次元モーションフィールドを用いて前記変換モデルを決定するステップは、主成分回帰を実行するステップを含む
ことを特徴とするコンピュータ実装方法。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか1項に記載のコンピュータ実装方法において、
前記治療を制御するステップは、前記領域の前記少なくとも一部が所定の空間ゲーティング窓の外にあるか否かで前記治療をゲーティングするステップを含む
ことを特徴とするコンピュータ実装方法。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか1項に記載のコンピュータ実装方法において、
前記治療を制御するステップは、領域を追跡する治療送達装置の放出される放射方向を制御するステップを含む
ことを特徴とするコンピュータ実装方法。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれか1項に記載のコンピュータ実装方法において、
1回目の第1の患者セッションと2回目の第2の患者セッションとの間の患者の動きの修正を決定するステップを有する
ことを特徴とするコンピュータ実装方法。
【請求項10】
請求項2乃至9のいずれか1項に記載のコンピュータ実装方法において、
第1の時間フレームの間に少なくともふたつの3次元画像データボリュームを獲得するステップは、
複数の呼吸サイクルにわたって画像データを獲得するステップであって、個々の呼吸サイクルが複数の部分を含むステップと、
前記画像データの同様の部分の中心傾向を用いて、前記少なくともふたつの3次元画像データボリュームを生成するステップと
を含む
ことを特徴とするコンピュータ実装方法。
【請求項11】
請求項1乃至10のいずれか1項に記載のコンピュータ実装方法において、
前記少なくともひとつのリアルタイムの変化は、少なくともひとつのリアルタイムの3次元の変形を含む
ことを特徴とするコンピュータ実装方法。
【請求項12】
請求項1乃至11のいずれか1項に記載のコンピュータ実装方法において、
前記少なくともひとつのリアルタイムの変化は、少なくともひとつのリアルタイムの3次元の位置を含む
ことを特徴とするコンピュータ実装方法。
【請求項13】
請求項1乃至12のいずれか1項に記載のコンピュータ実装方法において、
前記少なくともひとつのリアルタイムの変化は、少なくともひとつのリアルタイムの3次元の回転を含む
ことを特徴とするコンピュータ実装方法。
【請求項14】
患者の領域の少なくとも一部のリアルタイム画像誘導適応放射線治療を制御するシステムであって、
前記システムは、
前記領域の少なくとも一部を含む2次元磁気共鳴イメージング画像に対応する複数のリアルタイム画像データを取得し;
複数の画像データにおける2次元モーションフィールド推定を実行し;
変換モデルを前記2次元モーションフィールド推定に適用して、3次元モーションフィールド推定を近似し;
前記近似された2次元モーションフィールド推定に基づいて前記領域の少なくとも一部の少なくともひとつのリアルタイム変化を決定する
ように構成された治療適応システムと、
前記決定された少なくともひとつの変化を用いて、前記領域の少なくとも一部の治療を制御する
ように構成された治療制御回路と
を有することを特徴とするシステム。
【請求項15】
請求項14記載のシステムにおいて、
前記治療適応システムは前記変換モデルを使用するように構成され、
前記変換モデルは、
第1の時間フレームの間に、前記領域の少なくとも一部を含む、少なくともふたつの3次元画像データボリュームを獲得するステップと;
前記第1の時間フレームの間に獲得された前記少なくともふたつの3次元画像データボリュームに、3次元モーションフィールド推定を実行するステップと;
前記第1の時間フレームの間の少なくともふたつの2次元画像に対応する、前記領域の少なくとも一部を含む2次元画像データを獲得するステップと;
前記第1の時間フレームの間に獲得された前記2次元画像データに、2次元モーションフィールド推定を実行するステップと;
前記削減された3次元モーションフィールドと前記2次元モーションフィールドを用いて前記変換モデルを決定するステップと:
を実行することにより特定される
ことを特徴とするシステム。
【請求項16】
請求項15記載のシステムにおいて、
3次元モーションフィールド推定を実行するステップと2次元モーションフィールド推定を実行するステップとの少なくともひとつは、変形ベクトルフィールドを計算するステップを含む
ことを特徴とするシステム。
【請求項17】
請求項15又は16記載のシステムにおいて、
前記治療適応システムは、前記推定された3次元モーションフィールドと前記推定された2次元モーションフィールドの少なくともひとつの次元を削減するように構成されている
ことを特徴とするシステム。
【請求項18】
請求項17記載のシステムにおいて、
前記治療適応システムは、主成分分析を実行して複数の主成分を決定するように構成されており、
前記治療適応システムは、所定の基準に基づいて前記主成分の少なくともひとつを選択して、前記推定された3次元モーションフィールドと前記推定された2次元モーションフィールドの少なくともひとつの次元を削減するように構成されている
ことを特徴とするシステム。
【請求項19】
請求項15乃至18のいずれか1項に記載のシステムにおいて、
前記治療適応システムは、前記削減された3次元モーションフィールドと前記2次元モーションフィールドを用い、主成分回帰を実行して、前記変換モデルを決定するように構成されている
ことを特徴とするシステム。
【請求項20】
請求項14乃至19のいずれか1項に記載のシステムにおいて、
前記治療制御回路は、前記領域の前記少なくとも一部が所定の空間ゲーティング窓の外にあるか否かで前記治療をゲーティングするように構成された前記治療を制御するように構成されている
ことを特徴とするシステム。
【請求項21】
請求項14乃至20のいずれか1項に記載のシステムにおいて、
前記治療制御回路は、領域を追跡する治療送達装置の放出される放射方向を制御するように構成されている
ことを特徴とするシステム。
【請求項22】
請求項14乃至21のいずれか1項に記載のシステムにおいて、
前記治療適応システムは、1回目の第1の患者セッションと2回目の第2の患者セッションとの間の患者の動きの修正を決定するようの構成されている
ことを特徴とするシステム。
【請求項23】
請求項15乃至22のいずれか1項に記載のシステムにおいて、
前記治療適応システムは、
第1の時間フレームの間に少なくともふたつの3次元画像データボリュームを獲得し;
それぞれが複数の部分を含む、複数の呼吸サイクルにわたって画像データを獲得し;
前記画像データの同様の部分の中心傾向を用いて、前記少なくともふたつの3次元画像データボリュームを生成する
ように構成されていることを特徴とするシステム。
【請求項24】
請求項14乃至23のいずれか1項に記載のシステムにおいて、
前記少なくともひとつのリアルタイムの変化は、少なくともひとつのリアルタイムの3次元の変形を含む
ことを特徴とするシステム。
【請求項25】
請求項14乃至24のいずれか1項に記載のシステムにおいて、
前記少なくともひとつのリアルタイムの変化は、少なくともひとつのリアルタイムの3次元の位置又は少なくともひとつのリアルタイムの3次元の回転を含む
ことを特徴とするシステム。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0026
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0026】
[0026]
システム102は、稲妻マーク121によって示すように、イメージング及び制御システム112と通信する処置適応システム(TAS)120を含むことができる。処置適応システム(TAS)120は、イメージングシステム114によって取得された3D画像に対応する、例えばMRI又はCTスキャンから以前に得られた3D画像データボリュームを受け取ることができる。TASは、データを受信及び送信するための入出力回路122、データをバッファリング及び/又は格納するためのメモリ回路124、及びプロセッサ回路126を含むことができる。任意の適切に編成されたデータ記憶装置であってもよいメモリ回路124は、イメージング及び制御システム112から画像データを受け取ることができる。メモリ回路124は、従来のデータポートを介して無線又は有線の接続を介して画像データを受信することができ、画像データをデジタル化するアナログ画像データ及びアナログ/デジタル変換回路を受信するための回路を含むこともできる。メモリ回路124は、画像データをプロセッサ回路126に供給することができ、プロセッサ回路126は、本発明の機能をハードウェア又はソフトウェアで実現することができ、又は汎用コンピュータ上で両方の組み合わせを実現することができる。一実施形態では、プロセッサ回路126は、グラフィカル処理ユニット(GPU)であってもよい。
【手続補正3】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図1B
【補正方法】変更
【補正の内容】
図1B
【国際調査報告】