(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2017-537745(P2017-537745A)
(43)【公表日】2017年12月21日
(54)【発明の名称】咽頭側壁牽引装置及びその埋込方法
(51)【国際特許分類】
A61F 5/56 20060101AFI20171124BHJP
A61B 17/24 20060101ALI20171124BHJP
【FI】
A61F5/56
A61B17/24
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】32
(21)【出願番号】特願2017-532156(P2017-532156)
(86)(22)【出願日】2015年12月10日
(85)【翻訳文提出日】2017年6月15日
(86)【国際出願番号】CN2015096892
(87)【国際公開番号】WO2016095746
(87)【国際公開日】20160623
(31)【優先権主張番号】201410805411.8
(32)【優先日】2014年12月19日
(33)【優先権主張国】CN
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】511051616
【氏名又は名称】チョウ,シン
【氏名又は名称原語表記】ZHOU,Xing
(71)【出願人】
【識別番号】511051605
【氏名又は名称】ツァン,シャンミン
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】チョウ,シン
(72)【発明者】
【氏名】ツァン,シャンミン
【テーマコード(参考)】
4C098
4C160
【Fターム(参考)】
4C098BB15
4C098BC08
4C098BC17
4C160MM03
(57)【要約】
本発明は、骨固定具、牽引機構、及び咽頭側壁固定具を備える咽頭側壁牽引装置である。咽頭側壁固定具を口蓋咽頭筋又は他の咽頭側壁の粘膜下組織に固定し、歯槽突起又は翼状鉤又は翼状突起に固定された骨固定具を支点として、牽引機構の一端を骨固定具に接続し、他端を咽頭側壁固定具に接続して、咽頭側壁の粘膜下組織を外側に牽引する。牽引機構による弾性牽引力は、吸気時の負圧による咽頭側壁の陥没力よりも大きく、嚥下時の咽頭側壁の筋肉による収縮力よりも小さい。このようにすれば、吸気によって生成された負圧による咽頭側壁の陥没で形成された閉塞を防止し、OSAを治療する目的を達成するとともに、嚥下機能への影響をできるだけ低減し、良好な嚥下機能を保持する。
【選択図】
図2−2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
咽頭側壁牽引装置(9)であって、
A、前記咽頭側壁牽引装置(9)は、骨固定具(1)、牽引機構(2)、及び咽頭側壁固定具(3)を備え、
B、前記骨固定具(1)に歯槽突起(81)又は翼状鉤(82)又は翼状突起(83)に固定可能な骨固定機構(11)及び牽引機構(2)に接続可能な接続機構(12)が設けられ、前記骨固定機構(11)と前記接続機構(12)とは接続されており、
C、前記牽引機構(2)は、人体内に長期的に埋込可能な材料で製造された線又は線状機構又は扁平状機構であり、
D、前記咽頭側壁固定具(3)は咽頭側壁に固定可能な咽頭側壁固定機構(31)と牽引機構(2)に接続可能な接続機構(32)とを備え、前記咽頭側壁固定機構(31)と前記接続機構(32)とは接続されており、
E、前記骨固定具(1)の骨固定機構(11)は上顎骨の第三大臼歯の歯槽突起(81)又は翼状鉤(82)又は翼状突起(83)に固定され、前記咽頭側壁固定具(3)の咽頭側壁固定機構(31)は口蓋咽頭筋(7)又は他の咽頭側壁の粘膜下組織に固定され、前記牽引機構(2)は一端が前記咽頭側壁固定具(3)の接続機構(32)に接続され、他端が前記骨固定具(1)の接続機構(12)に固定され、前記牽引機構(2)によって、前記骨固定具(1)と前記咽頭側壁固定具(3)とが接続されている
ことを特徴とする咽頭側壁牽引装置。
【請求項2】
前記骨固定具(1)の骨固定機構(11)は骨釘(11-1)を有することを特徴とする請求項1に記載の咽頭側壁牽引装置。
【請求項3】
前記骨釘(11-1)は人体内に長期的に埋込可能な材料で製造されたネジ型骨釘であることを特徴とする請求項2に記載の咽頭側壁牽引装置。
【請求項4】
前記骨固定具(1)の骨固定機構(11)は翼状鉤(82)又は翼状突起(83)に固定可能な骨爪(11-2)を有し、前記骨爪(11-2)に鉤(11-2-1)が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の咽頭側壁牽引装置。
【請求項5】
前記骨固定具(1)の骨固定機構(11)は翼状鉤(82)に外嵌可能な接続リング(11-3)を有し、前記接続リング(11-3)に翼状鉤(82)が貫通できる貫通穴(11-3-1)が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の咽頭側壁牽引装置。
【請求項6】
前記骨固定具(1)の骨固定機構(11)は翼状突起(83)内に嵌め込み可能なブラケット(11-4)を有し、前記ブラケット(11-4)に支持脚部(11-4-1)が設けられ、前記支持脚部(11-4-1)はそれぞれ翼状突起(83)の内側板(83-1)と外側板(83-2)に固定されていることを特徴とする請求項1に記載の咽頭側壁牽引装置。
【請求項7】
前記骨固定具(1)の骨固定機構(11)は翼状鉤(82)又は翼状突起(83)に掛けられる接続鉤(11-5)を有することを特徴とする請求項1に記載の咽頭側壁牽引装置。
【請求項8】
前記牽引機構(2)は人体内に長期的に埋込可能な材料で製造された線(20)を有することを特徴とする請求項1に記載の咽頭側壁牽引装置。
【請求項9】
前記線(20)は弾性を有する線であることを特徴とする請求項8に記載の咽頭側壁牽引装置。
【請求項10】
前記牽引機構(2)は弾性牽引力を生成可能な弾性力発生器(21)を有することを特徴とする請求項1に記載の咽頭側壁牽引装置。
【請求項11】
前記弾性力発生器(21)はバネ機構(21-1)を有することを特徴とする請求項10に記載の咽頭側壁牽引装置。
【請求項12】
前記弾性力発生器(21)はバネ機構(21-1)、ケース(21-2)及び線(20)に接続可能なスライダ(21-3)を有し、
前記バネ機構(21-1)及びスライダ(21-3)はケース(21-2)内に移動可能に取り付けられていることを特徴とする請求項10に記載の咽頭側壁牽引装置。
【請求項13】
前記牽引機構(2)は少なくとも1つの前記弾性力発生器(21)を有し、
前記弾性力発生器(21)は前記牽引機構(2)の両端に設けられ、あるいは前記牽引機構(2)の中央に設けられていることを特徴とする請求項10に記載の咽頭側壁牽引装置。
【請求項14】
前記牽引機構(2)の弾性牽引力は、吸気時の負圧による咽頭側壁の陥没力よりも大きく、嚥下時の咽頭側壁の筋肉の収縮力よりも小さいことを特徴とする請求項1に記載の咽頭側壁牽引装置。
【請求項15】
前記咽頭側壁固定具(3)の咽頭側壁固定機構(31)は咽頭側壁の粘膜下組織に結束又は固定可能な結束線(31-1)、又は結束バンド(31-2)、又は固定鉤(31-3)、又はティシュホルダー(31-4)、又は曲面固定板(31-5)であることを特徴とする請求項1に記載の咽頭側壁牽引装置。
【請求項16】
前記曲面固定板(31-5)はC型又はU型の曲面固定板であることを特徴とする請求項15に記載の咽頭側壁牽引装置。
【請求項17】
前記曲面固定板(31-5)は組み合わせ構造の曲面固定板であり、前記組み合わせ構造の曲面固定板(31-5)は補強リブ(31-5-1)及び膜(31-5-2)を有し、前記膜(31-5-2)は補強リブ(31-5-1)に付着されていることを特徴とする請求項15に記載の咽頭側壁牽引装置。
【請求項18】
前記補強リブ(31-5-1)又は膜(31-5-2)は外力の作用によって弾性変形可能であり、外力が除去された後に元の形状に戻り、又はほぼ戻ることができることを特徴とする請求項17に記載の咽頭側壁牽引装置。
【請求項19】
前記曲面固定板(31-5)は単糸で巻き付けられたスパイラル型C型曲面板を採用することを特徴とする請求項15に記載の咽頭側壁牽引装置。
【請求項20】
骨釘型の咽頭側壁牽引装置の埋込方法であって、
局所麻酔又は全身麻酔下で、開口器を入れ、翼状鉤(82)の表面に縦形の粘膜切欠を切り、前記上歯槽突起(81)及び翼状鉤(82)を分離して露出させ、直角ドリルによって口腔の上側の第三大臼歯の前記歯槽突起(81)において、前記骨釘(11-1)に一致する骨穴(81-1)を開設し、前記骨釘(11-1)を装着して固定するステップ1と、
口蓋舌弓の上端に沿って長さが約15mmの弧状切欠を切り、口蓋咽頭筋(7)を分離して露出させ、又は通常なUPPP手術の後に、口蓋咽頭筋(7)を露出させるステップ2と、
専用ツールによって、翼状鉤(82)の表面の縦形の粘膜切欠に沿って前記咽頭側壁牽引装置(9)を導入し、前記咽頭側壁固定具(3)の咽頭側壁固定機構(31)を請求項15に記載の方法により咽頭側壁の粘膜下組織、例えば口蓋咽頭筋(7)に固定し、そして、前記牽引機構(2)を前記骨固定具(1)の接続機構(12)に接続した後に、前記骨固定機構(11)の骨釘(11-1)に接続するステップ3と、
前記牽引機構(2)の締め具合を調整し、切欠を縫合し、同様に反対側の手術を行うステップ4と、
を備えることを特徴とする咽頭側壁牽引装置の埋込方法。
【請求項21】
骨爪型の咽頭側壁牽引装置の埋込方法であって、
局所麻酔又は全身麻酔下で、開口器を入れ、翼状鉤(82)の表面において縦形の粘膜切欠を切り、翼状鉤(82)又は翼状突起(83)を分離して露出させ、前記骨固定具(1)の骨固定機構(11)の骨爪(11-2)の鉤(11-2-1)を翼状鉤(82)又は翼状突起(83)に引っ掛けるステップ1と、
口蓋舌弓の上端に沿って長さが約15mmの弧状切欠を切り、口蓋咽頭筋(7)を分離して露出させ、又は通常なUPPP手術の後に、口蓋咽頭筋(7)を露出させるステップ2と、
専用ツールによって、翼状鉤の表面の縦形の粘膜切欠に沿って前記咽頭側壁牽引装置(9)を導入し、前記咽頭側壁固定具(3)の咽頭側壁固定機構(31)を請求項15に記載の方法により咽頭側壁の粘膜下組織、例えば口蓋咽頭筋(7)に固定し、前記牽引機構(2)を前記骨固定具(1)の接続機構(12)に接続した後に、前記骨固定機構(11)の骨爪(11-2)に接続するステップ3と、
前記牽引機構(2)の締め具合を調整し、切欠を縫合し、同様に反対側の手術を行うステップ4と、
を備えることを特徴とする咽頭側壁牽引装置の埋込方法。
【請求項22】
接続リング型の咽頭側壁牽引装置の埋込方法であって、
局所麻酔又は全身麻酔下で、開口器を入れ、翼状鉤(82)の表面において縦形の粘膜切欠を切り、翼状鉤(82)を分離して露出させるステップ1と、
口蓋舌弓の上端に沿って長さが約15mmの弧状切欠を切り、口蓋咽頭筋(7)を分離して露出させ、又は通常なUPPP手術の後に、口蓋咽頭筋(7)を露出させるステップ2と、
専用ツールによって、翼状鉤(82)の表面の縦形の粘膜切欠に沿って前記咽頭側壁牽引装置(9)を導入し、前記咽頭側壁固定具(3)の咽頭側壁固定機構(31)を請求項15に記載の方法により咽頭側壁の粘膜下組織、例えば口蓋咽頭筋(7)に固定し、前記牽引機構(2)を前記骨固定具(1)の接続機構(12)に接続し、前記骨固定具(1)の接続リング(11-3)を翼状鉤(82)に外嵌させるステップ3と、
前記牽引機構(2)の締め具合を調整し、切欠を縫合し、同様に反対側の手術を行うステップ4と、
を備えることを特徴とする咽頭側壁牽引装置の埋込方法。
【請求項23】
ブラケット型の咽頭側壁牽引装置の埋込方法であって、
局所麻酔又は全身麻酔下で、開口器を入れ、翼状鉤(82)の表面において縦形の粘膜切欠を切り、前記翼状突起(83)を分離して露出させ、翼状突起(83)の内側板(83-1)と外側板(83-2)にそれぞれ貫通穴を開けるステップ1と、
口蓋舌弓の上端に沿って長さが約15mmの弧状切欠を切り、口蓋咽頭筋(7)を分離して露出させ、又は通常なUPPP手術の後に、口蓋咽頭筋(7)を露出させるステップ2と、
専用ツールによって、翼状鉤(82)の表面の縦形の粘膜切欠に沿って前記咽頭側壁牽引装置(9)を導入し、前記咽頭側壁固定具(3)の咽頭側壁固定機構(31)を請求項15に記載の方法により咽頭側壁の粘膜下組織、例えば口蓋咽頭筋(7)に固定し、前記牽引機構(2)を前記骨固定具(1)の接続機構(12)に接続し、前記骨固定具(1)のブラケット(11-4)の支持脚部(11-4-1)をそれぞれ前記翼状突起(83)の内側板(83-1)と外側板(83-2)の貫通穴内に入れて固定するステップ3と、
前記牽引機構(2)の締め具合を調整し、切欠を縫合し、同様に反対側の手術を行うステップ4と、
を備えることを特徴とする咽頭側壁牽引装置の埋込方法。
【請求項24】
接続鉤型の咽頭側壁牽引装置の埋込方法であって、
局所麻酔又は全身麻酔下で、開口器を入れ、翼状鉤(82)の表面において縦形の粘膜切欠を切り、翼状鉤(82)と翼状突起(83)を分離して露出させ、翼状突起(83)の内側板(83-1)又は外側板(83-2)に貫通穴を開けるステップ1と、
口蓋舌弓の上端に沿って長さが約15mmの弧状切欠を切り、口蓋咽頭筋(7)を分離して露出させ、又は通常なUPPP手術の後に、口蓋咽頭筋(7)を露出させるステップ2と、
専用ツールによって、翼状鉤(82)の表面の縦形の粘膜切欠に沿って前記咽頭側壁牽引装置(9)を導入し、前記咽頭側壁固定具(3)の咽頭側壁固定機構(31)を請求項15に記載の方法により咽頭側壁の粘膜下組織、例えば口蓋咽頭筋(7)に固定し、前記牽引機構(2)を前記骨固定具(1)の接続機構(12)に接続し、前記骨固定具(1)の接続鉤(11-5)を翼状鉤(82)に掛け、又は前記翼状突起(83)の内側板(83-1)又は外側板(83-2)の貫通穴内から貫通させて固定するステップ3と、
前記牽引機構(2)の締め具合を調整し、切欠を縫合し、同様に反対側の手術を行うステップ4と、
を備えることを特徴とする咽頭側壁牽引装置の埋込方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は人体の口腔内に埋込まれた咽頭側壁の粘膜下組織を外側に牽引する牽引装置及び埋込方法に関し、特に閉塞性睡眠時無呼吸症候群(Obstructive sleep apnea/hypopnea syndrome、以下でOSAと略称する)を治療するための咽頭側壁牽引装置及び埋込方法に関する。
【背景技術】
【0002】
閉塞性睡眠時無呼吸症候群は睡眠時の上気道に陥没と閉塞が現れることによる鼾と無呼吸を臨床特徴とする睡眠関連呼吸障害である。OSAの主な有害性は、頻繁に現れる睡眠無呼吸と呼吸低下により、長期的な睡眠時の血液酸素飽和度の低下が発生し、それにより、人体に一連の病理変化を引き起こし、様々な全身的な疾患(糖尿病、高血圧症、冠動脈心疾患、脳血管障害等)のソース疾患になることにある。統計により、現在、OSAの罹病率は人類の2%〜4%まで達し、OSAは中年の発病率が極めて高く、健康と生活品質に大きく影響する。このため、世界保健機関はすでにそれを人類の健康及び生活品質に有害な重大な疾患として挙げている。
【0003】
OSAの発生病理について、一般的に、主な原因は睡眠時に上気道の開放を維持する咽頭括約筋が緩めて軟組織の陥没と閉塞が現れるためであると思われ、閉塞平面は鼻部、口蓋咽頭部及び舌咽頭部を含む。OSAを治療する方法もこれらの閉塞部位の緩解又は開放に着眼して行われている。
【0004】
鼻部の閉塞に対して、鼻内視鏡手術によってより良好な手術治療効果が得られる。
【0005】
口蓋咽頭部の軟口蓋の沈下による閉塞に対して、口蓋咽頭形成術を採用することができる。口蓋垂口蓋咽頭形成術(uvulopalatopharyngoplasty,UPPP)はOSA患者の病状の改善及び治癒後に大いに貢献している。数多くの患者が外科治療方法に助けられているが、長期的な効果から見ると、粘膜、軟口蓋組織構造の過度な切除によって、機能性筋肉が損傷され、嚥下時の鼻腔逆流、開放性鼻声、鼻咽頭腔狭窄又は閉鎖症等の合併症を引き起こす。
【0006】
舌咽頭部の舌の沈下による閉塞に対して、舌容量減少手術、舌前位縫合手術、舌筋電気刺激手術、舌根牽引手術等の術式によって治療を行うことができる。これらの手術方法はそれぞれメリットとデメリットがあり、舌の沈下による舌咽頭部の閉塞に対して一定の治療効果を有する。
【0007】
OSAの発生病理において、軟口蓋の沈下、又は舌根の沈下による閉塞以外に、呼吸時の吸気によって生成された負圧によって、咽頭側壁が陥没して閉塞を形成することがある。このような咽頭側壁の陥没による閉塞はますます重視されてきている。従来の治療方法は様々な咽頭側壁形成術であり、主に手術によって咽頭側壁の筋肉、例えば口蓋咽頭筋等を外側に牽引することで、咽頭腔の左右直径を拡張して気道の閉塞を回避する目的を達成する。しかし、従来の技術において、咽頭側壁の陥没閉塞によるOSAを治療するための有効な埋込式医療機器は未だにない。したがって、咽頭側壁の陥没閉塞によるOSAを治療するための新たな埋込式医療機器を提供する必要がある。
【発明の概要】
【0008】
本発明の要旨は以下のとおりである。埋込式医療機器である咽頭側壁牽引装置9を設計し、歯槽突起81(Processus alveolaris)、又は翼状鉤(Hamulus pterygoideus)82又は翼状突起(Preocessus pterygoideus)83を受力支点として咽頭側壁牽引装置9の骨固定具1を固定し、咽頭側壁固定具3を口蓋咽頭筋(M. palatopharyngeus)7又は他の咽頭側壁の粘膜下組織に固定し、一端が骨固定具1に固定され、他端が咽頭側壁固定具3に接続されている弾性牽引機構2によって牽引することにより、咽頭側壁の粘膜下組織、例えば口蓋咽頭筋7を外側に牽引する。前記弾性牽引機構2による弾性牽引力は、吸気時に負圧による咽頭側壁の陥没力よりも大きくて嚥下時に咽頭側壁の筋肉の収縮力よりも小さい。このようにすれば、吸気によって生成された負圧による咽頭側壁の陥没で形成された閉塞を防止し、OSAを治療する目的を達成するとともに、嚥下機能への影響をできるだけ低減し、良好な嚥下機能を保持する。具体的な技術的解決手段は以下のとおりである。
A、前記咽頭側壁牽引装置9は骨固定具1、牽引機構2、及び咽頭側壁固定具3を備え、
B、前記骨固定具1に歯槽突起81又は翼状鉤82又は翼状突起83に固定可能な骨固定機構11及び牽引線を固定可能な線固定機構12が設けられ、前記骨固定機構11と線固定機構12とは接続され、
C、前記牽引機構2は人体内に長期的に埋込可能な材料で製造された線又は線状機構又は扁平状機構であり、
D、前記咽頭側壁固定具3は咽頭側壁に固定可能な咽頭側壁固定機構31と牽引機構2に接続可能な接続機構32を備え、前記咽頭側壁固定機構31と前記接続機構32とは接続され、
E、前記骨固定具1の骨固定機構11は上顎骨の第三大臼歯の歯槽突起81又は翼状鉤82又は翼状突起83に固定され、前記咽頭側壁固定具3の咽頭側壁固定機構31は口蓋咽頭筋7又は他の咽頭側壁の粘膜下組織に固定され、前記牽引機構2は、一端が前記咽頭側壁固定具3の接続機構32に接続され、他端が前記骨固定具1の接続機構12に固定され、前記牽引機構2によって前記骨固定具1と前記咽頭側壁固定具3とが接続されている
ことを特徴とする前記咽頭側壁牽引装置。
【0009】
更に、前記骨固定具1の骨固定機構11は骨釘11-1を有する。
【0010】
前記骨釘11-1は人体内に長期的に埋込可能な材料で製造されたネジ型骨釘である。ネジ型の設計によって、前記骨釘11-1が骨質構造、例えば前記歯槽突起81へ埋込まれる時に抜け落ち難く、取り付けが更に強固になり、長期間の使用過程において更に安全であることをより好適に確保することができる。
【0011】
前記骨固定具1の骨固定機構11は翼状鉤82又は翼状突起83に固定可能な骨爪11-2を有し、前記骨爪11-2に鉤11-2-1が設けられている。前記骨爪11-2の設計によって、取り付け過程がしやすくなり、前記翼状鉤83の内側板(Lamina medialis)83-1又は外側板83-2上に挟めばよい。
【0012】
前記骨固定具1の骨固定機構11は翼状鉤82に外嵌可能な接続リング11-3を有し、前記接続リング11-3に翼状鉤82が貫通できる貫通穴11-3-1が設けられている。前記接続リング11-3の設計によって、取り付け時に前記接続リング11-3を貫通穴11-3-1を通して前記翼状鉤82に掛ければよい。
【0013】
前記骨固定具1の骨固定機構11は翼状突起83内に嵌め込み可能なブラケット11-4を有し、前記ブラケット11-4に支持脚部11-4-1が設けられ、前記支持脚部11-4-1はそれぞれ翼状突起83の内側板83-1と外側板83-2上に固定されている。
【0014】
前記骨固定具1の骨固定機構11は翼状鉤82又は翼状突起83に掛けられる接続鉤11-5を有する。
【0015】
更に、前記牽引機構2は人体内に長期的に埋込可能な材料で製造された線20を有する。
【0017】
前記牽引機構2は弾性牽引力を生成可能な弾性力発生器21を有する。
【0018】
前記弾性力発生器21はバネ機構21-1を有する。前記弾性力発生器21のバネ機構21-1について、様々な異なる具体的な設計があるが、ここでは省略する。
【0019】
前記弾性力発生器21はバネ機構21-1、ケース21-2及び線20に接続可能なスライダ21-3を有し、前記バネ機構21-1及びスライダ21-3は移動可能にケース21-2内に取り付けられている。
【0020】
前記牽引機構2は、前記弾性力発生器21を少なくとも1つ有し、前記弾性力発生器21は前記牽引機構2の両端に設けられ、あるいは前記牽引機構2の中央に設けられている。
【0021】
前記牽引機構2の弾性牽引力は、吸気時の負圧による咽頭側壁の陥没力よりも大きく、嚥下時の咽頭側壁の筋肉の収縮力よりも小さい。一般的には、前記牽引機構2の弾性牽引力は10gfよりも大きく、300gfよりも小さい。前記牽引機構2の弾性牽引力の値が10gf〜80gfの間にあることが好ましい。
【0022】
更に、前記咽頭側壁固定具3の咽頭側壁固定機構31は咽頭側壁の粘膜下組織に結束又は固定可能な結束線31-1、又は結束バンド31-2、又は固定鉤31-3、又はティシュホルダー31-4、又は曲面固定板31-5である。
【0023】
前記曲面板31-5はC型又はU型の曲面板である。もちろん、前記曲面板31-5を他の形状の曲面板、例えば開口付きの円錐形曲面板等として設計してもよく、当業者であれば、本発明の保護範囲から逸脱することなく、他の有効な曲面板を設計してもよく、ここでは省略する。
【0024】
前記曲面板31-5は組み合わせ構造の曲面板であって、前記組み合わせ構造の曲面板31-5は補強リブ31-5-1及び膜31-5-2を備え、前記膜31-5-2は補強リブ31-5-1に付着されている。
【0025】
前記補強リブ31-5-1又は膜31-5-2は外力の作用によって弾性変形可能であり、外力が除去された後に元の形状に戻り、又はほぼ戻ることができる。
【0026】
前記曲面固定板31-5は単糸で巻き付けられたスパイラル型C型曲面板を採用する。特に、前記曲面固定板31-5はティニ形状記憶合金ワイヤによって製造することができる。他の医療用弾性材料によって製造してもよい。
【0027】
前記咽頭側壁牽引装置9は、前記骨固定具1、牽引機構2、及び咽頭側壁固定具3を備える。前記咽頭側壁固定具3を前記口蓋咽頭筋7又は他の咽頭側壁の粘膜下組織に固定し、前記歯槽突起81又は翼状鉤82又は翼状突起83に固定された骨固定具1を支点として、前記牽引機構2の一端を前記骨固定具1に接続し、他端を前記咽頭側壁固定具3に接続して、咽頭側壁の粘膜下組織を外側に牽引する。前記牽引機構2による弾性牽引力は、吸気時の負圧による咽頭側壁の陥没力よりも大きく、嚥下時の咽頭側壁の筋肉によって生成された収縮力よりも小さい。このようにすれば、吸気によって生成された負圧による咽頭側壁の陥没で形成された閉塞を防止し、OSAを治療する目的を達成するとともに、嚥下機能への影響をできるだけ低減し、良好な嚥下機能を保持する。
【0028】
本発明の埋込方法は以下のとおりである。
本発明の咽頭側壁牽引装置9の埋込方法は、具体的な製品の構造によって、骨釘型の咽頭側壁牽引装置の埋込方法と、骨爪型の咽頭側壁牽引装置の埋込方法と、接続リング型の咽頭側壁牽引装置の埋込方法と、ブラケット型の咽頭側壁牽引装置の埋込方法と、接続鉤型の咽頭側壁牽引装置の埋込方法との5種類に分けられる。
【0029】
埋込方法1:骨釘型の本発明の咽頭側壁牽引装置の埋込方法
ステップ1:局所麻酔又は全身麻酔下で、開口器を入れ、前記翼状鉤82の表面において縦形の粘膜切欠を切り、前記上歯槽突起81及び翼状鉤82を分離して露出させ、直角ドリルによって第三大臼歯の前記歯槽突起81において、前記骨釘11-1に一致する骨穴81-1を開設し、骨釘11-1を装入して固定する。前記骨釘11-1がタッピングスクリュー型の骨釘であれば、直角ドリルによって第三大臼歯の上歯槽突起81において骨穴81-1を開設する必要がなく、直接前記上歯槽突起81に固定してもよい。
ステップ2:口蓋舌弓の上端に沿って長さが約15mmの弧状切欠を切り、口蓋咽頭筋7を分離して露出させ、又は通常なUPPP手術の後に、口蓋咽頭筋7を露出させる。
ステップ3:専用ツールによって、前記翼状鉤82の表面の縦形の粘膜切欠に沿って前記咽頭側壁牽引装置9を導入し、前記咽頭側壁固定具3の咽頭側壁固定機構31を請求項15に記載の方法により咽頭側壁の粘膜下組織、例えば口蓋咽頭筋7に固定し、そして、前記牽引機構2を前記骨固定具1の接続機構12に接続した後に、前記骨固定機構11の骨釘11-1に接続する。
ステップ4:前記牽引機構2の締め具合を調整し、切欠を縫合し、同様に反対側の手術を行う。
【0030】
埋込方法2:骨爪型の本発明の咽頭側壁牽引装置の埋込方法
ステップ1:局所麻酔又は全身麻酔下で、開口器を入れ、前記翼状鉤82の表面において縦形の粘膜切欠を切り、前記翼状鉤82又は翼状突起83を分離して露出させ、前記骨固定具1の骨固定機構11の骨爪11-2の鉤11-2-1を前記翼状鉤82又は翼状突起83に引っ掛ける。
ステップ2:口蓋舌弓の上端に沿って長さが約15mmの弧状切欠を切り、口蓋咽頭筋7を分離して露出させ、又は通常なUPPP手術の後に、口蓋咽頭筋7を露出させる。
ステップ3:専用ツールによって、翼状鉤の表面の縦形の粘膜切欠に沿って前記咽頭側壁牽引装置9を導入し、前記咽頭側壁固定具3の咽頭側壁固定機構31を請求項15に記載の方法により咽頭側壁の粘膜下組織、例えば口蓋咽頭筋7に固定し、前記牽引機構2を前記骨固定具1の接続機構12に接続した後に、前記骨固定機構11の骨爪11-2に接続する。
ステップ4:前記牽引機構2の締め具合を調整し、切欠を縫合し、同様に反対側の手術を行う。
【0031】
埋込方法3:接続リング型の本発明の咽頭側壁牽引装置の埋込方法
ステップ1:局所麻酔又は全身麻酔下で、開口器を入れ、前記翼状鉤82の表面において縦形の粘膜切欠を切り、前記翼状鉤82を分離して露出させる。
ステップ2:口蓋舌弓の上端に沿って長さが約15mmの弧状切欠を切り、口蓋咽頭筋7を分離して露出させ、又は通常なUPPP手術の後に、口蓋咽頭筋7を露出させる。
ステップ3:専用ツールによって、翼状鉤の表面の縦形の粘膜切欠に沿って前記咽頭側壁牽引装置9を導入し、前記咽頭側壁固定具3の咽頭側壁固定機構31を請求項15に記載の方法により咽頭側壁の粘膜下組織、例えば口蓋咽頭筋7に固定し、前記牽引機構2を前記骨固定具1の接続機構12に接続し、前記骨固定具1の接続リング11-3を翼状鉤82に外嵌させる。
ステップ4:前記牽引機構2の締め具合を調整し、切欠を縫合し、同様に反対側の手術を行う。
【0032】
埋込方法4:ブラケット型の本発明の咽頭側壁牽引装置の埋込方法
ステップ1:局所麻酔又は全身麻酔下で、開口器を入れ、前記翼状鉤82の表面において縦形の粘膜切欠を切り、前記翼状突起83を分離して露出させ、翼状突起83の内側板83-1と外側板83-2にそれぞれ貫通穴を開ける。
ステップ2:口蓋舌弓の上端に沿って長さが約15mmの弧状切欠を切り、口蓋咽頭筋7を分離して露出させ、又は通常なUPPP手術の後に、口蓋咽頭筋7を露出させる。
ステップ3:専用ツールによって、前記翼状鉤82の表面の縦形の粘膜切欠に沿って前記咽頭側壁牽引装置(9)を導入し、前記咽頭側壁固定具3の咽頭側壁固定機構31を請求項15に記載の方法により咽頭側壁の粘膜下組織、例えば口蓋咽頭筋7に固定し、前記牽引機構2を前記骨固定具1の接続機構12に接続し、前記骨固定具1のブラケット11-4の支持脚部11-4-1をそれぞれ前記翼状突起83の内側板83-1と外側板83-2の貫通穴内に入れて固定する。
ステップ4:前記牽引機構2の締め具合を調整し、切欠を縫合し、同様に反対側の手術を行う。
【0033】
埋込方法5:接続鉤型の本発明の咽頭側壁牽引装置の埋込方法
ステップ1:局所麻酔又は全身麻酔下で、開口器を入れ、前記翼状鉤82の表面において縦形の粘膜切欠を切り、前記翼状鉤82と翼状突起83を分離して露出させ、翼状突起83の内側板83-1又は外側板83-2に貫通穴を開ける。
ステップ2:口蓋舌弓の上端に沿って長さが約15mmの弧状切欠を切り、口蓋咽頭筋7を分離して露出させ、又は通常なUPPP手術の後に、口蓋咽頭筋7を露出させる。
ステップ3:専用ツールによって、前記翼状鉤82の表面の縦形の粘膜切欠に沿って前記咽頭側壁牽引装置9を導入し、前記咽頭側壁固定具3の咽頭側壁固定機構31を請求項15に記載の方法により咽頭側壁の粘膜下組織、例えば口蓋咽頭筋7に固定し、前記牽引機構2を前記骨固定具1の接続機構12に接続し、前記骨固定具1の接続鉤11-5を前記翼状鉤82に掛け、又は前記翼状突起83の内側板83-1又は外側板83-2の貫通穴内から貫通させて固定する。
ステップ4:前記牽引機構2の締め具合を調整し、切欠を縫合し、同様に反対側の手術を行う。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【
図1】本発明の骨釘型の咽頭側壁牽引装置の構造模式図である。
【
図2】本発明の弾性力発生器付きの骨釘型の咽頭側壁牽引装置の構造模式図である。
【
図3】本発明のブラケット型の咽頭側壁牽引装置の構造模式図である。
【
図4】本発明の接続鉤型の咽頭側壁牽引装置の構造模式図である。
【
図5】本発明の接続リング型の咽頭側壁牽引装置の構造模式図である。
【
図6】本発明の骨爪型の咽頭側壁牽引装置の構造模式図である。
【
図7】本発明の結束線型の咽頭側壁牽引装置の構造模式図である。
【
図8】本発明の結束バンド型の咽頭側壁牽引装置の構造模式図である。
【
図9】本発明の固定鉤型の咽頭側壁牽引装置の構造模式図である。
【
図10】本発明の組み合わせ構造の曲面板型の咽頭側壁牽引装置の構造模式図である。
【
図10-1】本発明の組み合わせ構造の曲面板型の咽頭側壁固定機構の構造模式図である。
【
図11】本発明のバネ機構を有する咽頭側壁牽引装置の構造模式図である。
【
図12】本発明の線状構造を有する牽引機構の咽頭側壁牽引装置の構造模式図である。
【
図13】本発明の弾性帯状咽頭側壁固定具を有する咽頭側壁牽引装置の構造模式図である。
【
図14】本発明の弾性材料で製造されたティシュホルダー型の咽頭側壁牽引装置の構造模式図である。
【
図14-1】
図14のティシュホルダーが開いている時の構造模式図である。
【
図15】本発明の形状記憶合金材料で製造されたティシュホルダー型の咽頭側壁牽引装置の構造模式図である。
【
図15-1】
図15のティシュホルダーが開いている時の構造模式図である。
【
図16】本発明の単糸で巻き付けられたスパイラル型C型曲面板型の咽頭側壁牽引装置の構造模式図である。
【0035】
上記図面において:
1は骨固定具であり、2は牽引機構であり、3は咽頭側壁固定具であり、7は口蓋咽頭筋であり、81は歯槽突起であり、81-1は歯槽突起に開設された骨穴であり、82は翼状鉤であり、83は翼状突起であり、83-1は翼状突起の内側板であり、83-2は翼状突起の外側板であり、83-1-1は内側板上の貫通穴であり、83-2-1は外側板上の貫通穴であり、9は本発明の咽頭側壁牽引装置である。
【0036】
11は骨固定機構であり、12は骨固定具における牽引機構に接続された接続機構である。
【0037】
11-1は骨釘であり、11-2は骨爪であり、11-3は接続リングであり、11-4はブラケットであり、11-5は接続鉤であり、12-1は骨固定具の接続機構の端部の貫通穴であり、12-2は接続機構の位置決めシートであり、12-3は骨爪の尾部の接続機構上の接続鉤であり、
【0038】
11-1-1は骨釘上のネジ構造であり、11-2-1は骨爪上の鉤であり、11-3-1は接続リング上の貫通穴であり、11-4-1はブラケット上の支持脚部である。
【0039】
20は線であり、21は弾性力発生器であり、21-1はバネ機構であり、21-2はケースであり、21-3はスライダであり、22は接続ボスであり、23は貫通穴である。
【0040】
21-2-1はケース上の位置決め凹溝であり、21-3-1はスライダの接続鉤である。
【0041】
31は咽頭側壁固定機構であり、31-1は結束線であり、31-2は結束バンドであり、31-3は固定鉤であり、31-4はティシュホルダーであり、31-5は曲面固定板であり、32は咽頭側壁固定具の接続機構であり、32-1は咽頭側壁固定具の接続機構の底部の貫通穴である。
【0042】
31-4-1はティシュホルダーの左アームであり、31-4-2はティシュホルダーの右アームであり、31-4-3は左アーム及び右アーム上の噛合歯であり、31-4-4はティシュホルダー上顎牽引機構に接続された貫通穴であり、31-4-5はティシュホルダーのハンドルであり、31-5-1は曲面固定板上の補強リブであり、31-5-2は曲面固定板上の膜である。
【発明を実施するための形態】
【0043】
実施例1は本発明の骨釘型の咽頭側壁牽引装置である。
図1及び
図1-2を参照し、本実施例に記載の咽頭側壁牽引装置9は骨固定具1、牽引機構2及び咽頭側壁固定具3を備える。
【0044】
前記骨固定具1に歯槽突起81に固定可能な骨固定機構11及び牽引線を固定可能な線接続機構12が設けられ、前記骨固定機構11と接続機構12とは接続されている。本実施例において、前記骨固定機構11と前記接続機構12との間に着脱可能なネジ接続方式が採用されている。
【0045】
本実施例では、前記骨固定機構11は人体内に長期的に埋込可能なチタン合金で製造されたネジ型骨釘11-1である。ネジ型の設計により、前記骨釘11-1が前記歯槽突起81に埋込する時に抜け落ち難くなり、取り付けが更に強固にあり、長期間の使用過程においてより安全であることをより良好に保証できる。前記骨固定具1の接続機構12の端部に貫通穴12-1が設けられ、前記貫通穴12-1の寸法は前記牽引機構2の寸法に一致する。
【0046】
前記牽引機構2は人体内に長期的に埋込可能な弾性を有する線20である。前記線20の両端に前記骨固定具1の接続機構12及び前記咽頭側壁固定具3の接続機構32に接続可能な接続ボス22が設けられている。前記接続ボス22は線を結び、又は線の端部において継手をかしめる方法により形成することができる。ここでは前記接続ボス22の2つの製造方式を挙げたに過ぎず、当業者であれば、本発明の保護範囲から逸脱することなく、他の有効な製造方式を設計してもよく、ここでは省略する。
【0047】
前記咽頭側壁固定具3は口蓋咽頭筋7に固定可能な咽頭側壁固定機構31及び牽引機構2を固定可能な接続機構32を備え、前記咽頭側壁固定機構31と前記接続機構32とは接続されている。
【0048】
前記咽頭側壁固定具3の咽頭側壁固定機構31は口蓋咽頭筋7に固定可能なC型曲面板31-5である。前記C型曲面板は前記口蓋咽頭筋7に取り付け易く、また、前記口蓋咽頭筋7と大きな接触面積を有し、口蓋咽頭筋への切込みを回避することができる。
【0049】
前記咽頭側壁固定具3の接続機構32の底部に貫通穴32-1が設けられ、前記貫通穴32-1の寸法は前記牽引機構2の線20の寸法に一致する。前記咽頭側壁固定機構31のC型曲面板31-5と前記接続機構32とはピン33により接続されている。
【0050】
製品を組み立てる時に、前記C型曲面板31-5を前記ピン33によって前記接続機構32に接続し、続いて前記線20の一端を前記咽頭側壁固定具3の接続機構32の底部の貫通穴32-1から貫通させ、結び又は継手をかしめして前記接続ボス22を形成する。前記線20の他端を前記骨固定具1の接続機構12の端部の貫通穴12-1から貫通させた後に、結び又は継手をかしめして前記接続ボス22を形成する。最後に前記骨固定具1の骨固定機構11と線接続機構12とをネジによって接続する。
【0051】
図1-2を参照し、本実施例の埋込方法は以下のとおりである。
ステップ1:全身麻酔下で、開口器を入れ、前記翼状鉤82の表面において縦形の粘膜切欠を切り、前記上歯槽突起81及び翼状鉤82を分離して露出させ、直角ドリルによって第三大臼歯の前記歯槽突起81において、前記骨釘11-1に一致する骨穴81-1を開設し、前記ネジ型骨釘11-1を前記骨穴81-1にねじ込む。前記骨釘11-1にタッピングスクリューの設計が採用される場合、直角ドリルによって第三大臼歯の前記上歯槽突起81において前記骨穴81-1を開設する必要がなく、直接前記骨釘11-1を前記上歯槽突起81に取り付けてもよい。
【0052】
ステップ2:口蓋舌弓の上端に沿って長さが約15mmの弧状切欠を切り、口蓋咽頭筋7を分離して露出させる。
【0053】
ステップ3:前記翼状鉤82の表面の縦形の粘膜切欠に沿って前記咽頭側壁牽引装置9を導入し、前記咽頭側壁固定具3の咽頭側壁固定機構31の固定鉤31-3を口蓋咽頭筋7に固定し、そして、前記牽引機構2を前記骨固定具1の接続機構12に接続した後に、前記骨固定機構11の骨釘11-1に接続する。
【0054】
ステップ4:前記牽引機構2の締め具合を調整し、切欠を縫合し、同様に反対側の手術を行う。
【0055】
前記牽引機構2の弾性牽引力は、吸気時の負圧による咽頭側壁の陥没力よりも大きく、嚥下時の咽頭側壁の筋肉の収縮力よりも小さい。一般的には、前記牽引機構2の弾性牽引力は10gfよりも大きく、300gfよりも小さい。前記牽引機構2の弾性牽引力の値が10gf〜80gfの間にあることが好ましい。
【0056】
患者に本発明の咽頭側壁牽引装置9が埋込まれた後に、吸気時に、負圧によって咽頭側壁の陥没が生成されると、前記牽引機構2によって陥没力よりも大きい弾性牽引力が発生するため、前記牽引機構2による弾性牽引力によって、咽頭側壁の筋肉、例えば口蓋咽頭筋7を外側に牽引することができる。また、前記牽引機構2の弾性牽引力は嚥下時の咽頭側壁の筋肉の収縮力よりも小さいため、装着時にできるだけ嚥下機構への影響を低下させ、良好な嚥下機構を保持する。本発明の咽頭側壁牽引装置9を埋込むことにより、吸気によって生成された負圧による咽頭側壁の陥没で形成された閉塞を防止し、OSAを治療する目的を達成するとともに、良好な嚥下機能を保持することもできる。
【0057】
実施例2は本発明の弾性力発生器付きの骨釘型の咽頭側壁牽引装置である。
図2〜
図2-3を参照し、本実施例と実施例1とは、本実施例では、前記牽引機構2は弾性牽引力を生成可能な弾性力発生器21を有する点において異なる。前記牽引機構2に弾性力発生器21が設けられているために、前記牽引機構2が大きな外力作用を受ける場合に、前記弾性力発生器21は緩衝の作用を発揮することができ、それによって前記牽引機構2が大きな外力作用を受けることにより過大な牽引力を生成し、患者に不快感を与え、嚥下に影響することがない。
【0058】
前記弾性力発生器21はバネ機構21-1、ケース21-2及びスライダ21-3を備える。前記バネ機構21-1及びスライダ21-3は移動可能にケース21-2内に取り付けられ、前記スライダ21-3に前記牽引機構2を固定することができる。本実施例において、前記骨釘11-1が前記歯槽突起81に固定された後に、前記翼状突起83の内側板83-1と外側板83-2との間の空間を介して、前記牽引機構2の線20を咽頭側壁にガイドし、前記翼状突起83の内側板83-1及び外側板83-2の骨組織によって前記線20が切断されることを効果的に防止するように、前記弾性力発生器21のケース21-2は弧状となっている。咽頭側壁組織、例えば口蓋咽頭筋7の運動につれて、その上に固定された前記C型曲面板31-5を連動させ、それによって前記線20を運動させる。前記線20の運動によって、前記スライダ21-3を連動させ、前記バネ機構21-1を圧縮して適当な弾性牽引力を生成する。
【0059】
前記弾性力発生器21は、前記牽引機構2における前記骨固定具1に接続された端部に取り付けられ、前記ケース21-2に位置決め凹溝21-2-1が設けられている。前記骨固定具1の接続機構12に位置決めシート12-1が設けられている。前記ケース21-2の端部を前記骨固定具1の接続機構12のキャビティに挿入する際に、前記接続機構12上の位置決めシート12-2は前記ケース21-2の位置決め凹溝21-2-1内に嵌め、凹凸係止嵌合接続を形成することができる。もちろん、当業者であれば、本発明の保護範囲を超えることなく、ネジ接続、凹凸係止嵌合接続、締り嵌合接続等の他の接続方式を設計してもよく、ここでは省略する。
【0060】
図2-3を参照し、本発明の咽頭側壁牽引装置が埋込まれた後に、前記牽引機構2に弾性力発生器21が設けられているために、前記弾性力発生器21のバネ機構21-1を調整することにより、前記牽引機構2の弾性牽引力を理想的な範囲内に良好に設計することができ、前記弾性力発生器21は常に適当な牽引力を保持しながら、良好な力の緩衝作用を果たすことができ、咽頭側壁組織の外側への牽引效果を保証し、OSAを治療する目的を達成することができるとともに、快適性及び嚥下機能を保証する。
【0061】
実施例3は本発明のブラケット型の骨固定具の咽頭側壁牽引装置である。
図3及び
図3-2を参照し、本実施例と実施例2とは、本実施例において、前記骨固定具1の骨固定機構11はブラケット11-4を有する点において異なる。前記ブラケット11-4は、左右両側にそれぞれ配置されている二つの支持脚部11-4-1を有する。前記左右両側の支持脚部11-4-1はそれぞれ前記翼状突起83の内側板83-1上の貫通穴83-1-1及び外側板83-2上に開設された貫通穴83-2-1内に嵌められることができ、固定支持を形成し、
図3-2を参照する。
【0062】
図3-2を参照し、臨床手術において、
ステップ1:局所麻酔又は全身麻酔下で、開口器を入れ、前記翼状鉤82の表面において縦形の粘膜切欠を切り、前記翼状突起83を分離して露出させ、翼状突起83の内側板83-1に貫通穴83-1-1を、外側板83-2に貫通穴83-2-1を開設する。
【0063】
ステップ2:口蓋舌弓の上端に沿って長さが約15mmの弧状切欠を切り、口蓋咽頭筋7を分離して露出させる。
【0064】
ステップ3:専用ツールによって、前記翼状鉤82の表面の縦形の粘膜切欠に沿って前記咽頭側壁牽引装置9を導入し、前記咽頭側壁固定具3の咽頭側壁固定機構31の固定鉤31-3を口蓋咽頭筋7に固定し、前記牽引機構2を前記骨固定具1の接続機構12に接続し、前記骨固定具1のブラケット11-4の支持脚部11-4-1をそれぞれ前記翼状突起83の内側板83-1上の貫通穴83-1-1と外側板83-2上に開設された貫通穴83-2-1内に入れて固定する。
【0065】
ステップ4:前記牽引機構2の締め具合を調整し、切欠を縫合し、同様に反対側の手術を行う。
【0066】
実施例4は本発明の接続鉤型の骨固定具の咽頭側壁牽引装置である。
図4及び
図4-2を参照し、本実施例と実施例2とは、本実施例において、前記骨固定具1の骨固定機構11は接続鉤11-5を有する点において異なる。前記接続鉤11-5は前記翼状突起83の内側板83-1に開設された貫通穴83-1-1を貫通し、内側板に接続して固定することができる。或いは前記翼状鉤82に直接に引っ掛かって固定接続を形成することができる。
【0067】
図4-2を参照し、臨床手術において:
ステップ1:局所麻酔又は全身麻酔下で、開口器を入れ、前記翼状鉤82の表面において縦形の粘膜切欠を切り、前記翼状突起83を分離して露出させ、翼状突起83の内側板83-1又は外側板83-2に貫通穴を開ける。
【0068】
ステップ2:口蓋舌弓の上端に沿って長さが約15mmの弧状切欠を切り、口蓋咽頭筋7を分離して露出させ、又は通常なUPPP手術の後に、口蓋咽頭筋7を露出させる。
【0069】
ステップ3:専用ツールによって、前記翼状鉤82の表面の縦形の粘膜切欠に沿って前記咽頭側壁牽引装置9を導入し、前記咽頭側壁固定具3の咽頭側壁固定機構31を請求項15に記載の方法により咽頭側壁の粘膜下組織、例えば口蓋咽頭筋7に固定し、前記牽引機構2を前記骨固定具1の接続機構12に接続し、前記骨固定具1の接続鉤11-5を前記翼状鉤82に直接に掛け、又は前記翼状突起83の内側板83-1上に開設された貫通穴83-1-1内から貫通させて接続を形成する。
【0070】
ステップ4:前記牽引機構2の締め具合を調整し、切欠を縫合し、同様に反対側の手術を行う。
【0071】
実施例5は本発明の接続リング型の骨固定具の咽頭側壁牽引装置である。
図5及び
図5-2を参照し、本実施例と実施例2とは、本実施例において、前記骨固定具1の骨固定機構11は接続リング11-3を有する点において異なる。前記接続リング11-3に貫通穴11-3-1が開設され、前記翼状鉤82に外嵌させて接続を形成することができる。
【0072】
図5-2を参照し、臨床手術において:
ステップ1:局所麻酔又は全身麻酔下で、開口器を入れ、前記翼状鉤82の表面において縦形の粘膜切欠を切り、前記翼状鉤82を分離して露出させる。
【0073】
ステップ2:口蓋舌弓の上端に沿って長さが約15mmの弧状切欠を切り、口蓋咽頭筋7を分離して露出させ、又は通常なUPPP手術の後に、口蓋咽頭筋7を露出させる。
【0074】
ステップ3:専用ツールによって、翼状鉤の表面の縦形の粘膜切欠に沿って前記咽頭側壁牽引装置9を導入し、前記咽頭側壁固定具3の咽頭側壁固定機構31を請求項15に記載の方法により咽頭側壁の粘膜下組織、例えば口蓋咽頭筋7に固定し、前記牽引機構2を前記骨固定具1の接続機構12に接続し、前記骨固定具1の接続リング11-3を前記翼状鉤82に外嵌させる。
【0075】
ステップ4:前記牽引機構2の締め具合を調整し、切欠を縫合し、同様に反対側の手術を行う。
【0076】
実施例6は本発明の骨爪型の骨固定具の咽頭側壁牽引装置である。
図6及び
図6-2を参照し、本実施例と実施例2とは、本実施例において、前記骨固定具1の骨固定機構11は骨爪11-2を備える点において異なる。前記骨爪11-2の左アーム及び右アームに鉤11-2-1が設けられている。前記骨爪11-2の左アームと右アーム及び鉤11-2-1の間に形成された挟持力は、前記骨固定具1を前記翼状突起83の内側板83-1又は外側板83-2に挟むことができ、固定を形成する。
【0077】
図6-2を参照し、臨床手術において:
ステップ1:局所麻酔又は全身麻酔下で、開口器を入れ、前記翼状鉤82の表面において縦形の粘膜切欠を切り、前記翼状鉤82又は翼状突起83を分離して露出させ、前記骨固定具1の骨固定機構11の骨爪11-2の鉤11-2-1に前記翼状鉤82又は翼状突起83に引っ掛ける。
【0078】
ステップ2:口蓋舌弓の上端に沿って長さが約15mmの弧状切欠を切り、口蓋咽頭筋7を分離して露出させ、又は通常なUPPP手術の後に、口蓋咽頭筋7を露出させる。
【0079】
ステップ3:専用ツールによって、翼状鉤の表面の縦形の粘膜切欠に沿って前記咽頭側壁牽引装置9を導入し、前記咽頭側壁固定具3の咽頭側壁固定機構31を請求項15に記載の方法により咽頭側壁の粘膜下組織、例えば口蓋咽頭筋7に固定し、前記牽引機構2を前記骨固定具1の接続機構12に接続した後に、前記骨固定機構11の骨爪11-2に接続する。
【0080】
ステップ4:前記牽引機構2の締め具合を調整し、切欠を縫合し、同様に反対側の手術を行う。
【0081】
実施例7は本発明の結束線型の骨固定具の咽頭側壁牽引装置である。
図7を参照し、本実施例と実施例2とは、前記牽引機構2は線20及び弾性力発生器21を有する点において異なる。前記弾性力発生器21はバネ機構21-1、ケース21-2及びスライダ21-3で構成される。前記バネ機構21-1として非稠密のコイルバネが採用される。前記ケース21-2は位置決め凹溝21-2-1を有する。前記スライダ21-3は前記バネ機構21-1の先端に設けられ、前記ケース21-2内でスライドすることができる。前記スライダ21-3に接続鉤21-3-1が設けられている。前記骨固定具1は骨固定機構11及び接続機構12を有する。前記骨固定機構11にタッピングネジ構造が採用される。前記接続機構12の接続キャビティ内に位置決めシート12-2が設けられている。前記弾性力発生器21のケース21-2の遠位端を前記接続機構12の接続キャビティ内に挿入する際に、前記位置決めシート12-2が前記ケース21-2の位置決め凹溝21-2-1内に嵌められ、凹凸係止嵌合接続を形成する。
【0082】
前記線20として、吸収不能な手術縫合線が採用される。その一端が咽頭側壁の粘膜下組織例えば口蓋咽頭筋7に結束され、他端が前記スライダ21-3の接続鉤21-3-1に結束固定され、接続を形成する。
【0083】
本実施例は結束線型の咽頭側壁固定具3を採用し、臨床使用時に非常に便利であり、また、弾性力発生器21を有することによってより良好な力の緩衝効果を発揮し、咽頭側壁の陥没を防止することができるとともに、嚥下機能にも影響しない。
【0084】
実施例8は本発明の結束バンド型の骨固定具の咽頭側壁牽引装置である。
図8を参照し、本実施例と実施例7とは、本実施例において、前記結束バンド31-2によって実施例7における結束線31-1を代替する点において異なる。前記結束バンド31-2に貫通穴31-2-1が設けられている。前記貫通穴31-2-1によって、前記結束バンド31-2を前記スライダ21-3の接続鉤21-3-1に掛けて接続を形成することができる。
【0085】
臨床使用時に、前記結束バンド31-2は両端が口蓋咽頭筋7を迂回した後に前記スライダ21-3の接続鉤21-3-1にかかって固定接続を形成する。前記結束バンド31-2を用いる利点は、前記結束バンド31-2が前記結束線31-1と比べて、大きな接触面積を有し、口蓋咽頭筋7への切り込みを回避することができることにある。
【0086】
実施例9は本発明の固定鉤型の骨固定具の咽頭側壁牽引装置である。
図9を参照し、本実施例と実施例7とは、本実施例において、前記咽頭側壁固定具3の咽頭側壁固定機構31は固定鉤31-3を備える点において異なる。前記固定鉤31-3は口蓋咽頭筋7に引掛けることができる。前記固定鉤31-3の近位端に接続機構32が設けられ、前記牽引機構2の線20は前記接続機構32にかしめされる。前記線20の他端は前記スライダ21-3に接続される。
【0087】
実施例10本発明の組み合わせ構造の曲面板型の咽頭側壁牽引装置である。
図10〜
図10-2を参照し、本実施例と実施例2とは、前記咽頭側壁固定具3において組み合わせ構造の曲面板31-5が採用され、前記組み合わせ構造の曲面板31-5は補強リブ31-5-1及び膜31-5-2を有し、前記膜31-5-2は補強リブ31-5-1に付着されている点において異なる。前記補強リブ31-5-1又は膜31-5-2は外力の作用によって弾性変形可能であり、外力が除去された後に元の形状に回復し、又はほぼ回復することができる。前記補強リブ31-5-1はティニ形状記憶合金によって製造されることができ、形状記憶機能を有し、自動的に口蓋咽頭筋7を囲むことができる。前記膜31-5-2は医療用シリカゲル又は医療用シリカゲルによって製造され、ポリプロピレン又はポリテトラフルオロエチレンによって製造されてもよい。このような組み合わせ式の曲面板は、チタン合金で製造された曲面板と比べて、より良好な弾性と柔軟性を有し、口蓋咽頭筋7の変形と運動により良好に適応することができ、嚥下機能への影響が更に少なくなる。
【0088】
実施例11は本発明のバネ機構を有する咽頭側壁牽引装置である。
図11を参照し、本実施例は実施例9と比べて、いずれも固定鉤型構造の咽頭側壁固定具3を採用しているが、本実施例において、前記牽引機構2及び骨固定具1はいずれも実施例9と明らかに異なっている。
【0089】
本実施例において、前記骨固定具1は接続鉤11-5を有する。前記接続鉤11-5に溝穴11-5-1、位置決め凸段11-5-2及び位置決め凹溝11-5-3が設けられている。前記接続鉤11-5を前記翼状突起83の内側板83-1に開設された貫通穴83-1-1又は外側板83-2に開設された貫通穴83-2-1を貫通させた後に、前記位置決め凸段11-5-2によって、前記接続鉤11-5を前記翼状突起83の内側板83-1又は外側板83-2に固定し、滑り抜けを防止することができる。
【0090】
前記牽引機構2の中部にバネ構造21-1が設けられている。前記バネ構造21-1はコイルバネである。前記バネ構造21-1は力に対する良好な緩衝効果を有し、咽頭側壁の陥没を防止することができるとともに、嚥下機能にも影響しない。
【0091】
実施例12は本発明の線状構造を備える咽頭側壁牽引装置である。
図12を参照し、本実施例と実施例7とは、本実施例において、前記咽頭側壁固定具3はU型曲面板31-5を有する点において異なる。前記U型曲面板31-5に貫通穴31-5-1が設けられている。前記貫通穴31-5-1は、前記U型曲面板31-5と咽頭側壁組織とを固着させるように、生長した咽頭側壁組織の成長を通過させることができる。
【0092】
前記牽引機構2にチェーン型の線状構造が採用され、前記チェーン状構造の牽引機構2は一端が前記スライダ21-3上の接続鉤21-3-1に掛けられ、他端が前記咽頭側壁固定具3の接続機構32の貫通穴と接続される。本実施例は臨床使用時に非常に使用しやすい。
【0093】
実施例13は本発明の弾性帯状咽頭側壁固定具を有する咽頭側壁牽引装置である。
図13を参照し、本実施例において、前記骨固定具1は骨爪11-2を有する。前記骨爪11-2の左アーム及び右アームに鉤11-2-1が設けられている。前記骨爪11-2の左アームと右アームと鉤11-2-1との間に形成された挟持力によって、前記骨固定具1を前記翼状突起83の内側板83-1又は外側板83-2に挟み、固定を形成することができる。
【0094】
前記骨固定具1の骨爪11-2の尾部に接続機構12が設けられ、前記接続機構12は接続鉤12-3を有する。前記牽引機構2及び咽頭側壁固定具3は医療用シリカゲルによって一体に製造された扁平状構造であり、その上に貫通穴23が設けられている。前記貫通穴23は、前記骨固定具1の接続鉤12-3に掛けられ、接続を形成することができる。前記咽頭側壁固定具3は位置決めリング31-2-1を有する。前記位置決めリング31-2-1は医療用シリカゲルで製造された環状リングである。使用時に、一体に製造された前記牽引機構2と咽頭側壁固定具3の一端とを前記貫通穴23を介して前記接続鉤12-2に掛け、他端を口蓋咽頭筋7を迂回して前記位置決めリング31-2-1を貫通した後に、前記接続鉤12-3に掛け、接続を形成する。
【0095】
医療用シリカゲル自体が優れた生体適合性及び良好な弾性を有するために、力に対する良好な緩衝効果を有し、咽頭側壁の陥没を防止することができるとともに、嚥下機能にも影響しない。
【0096】
実施例14は本発明の弾性材料で製造されたティシュホルダー型の咽頭側壁牽引装置である。
図14及び
図14-1を参照し、本実施例において、前記咽頭側壁固定具3はティシュホルダー31-4を有し、前記ティシュホルダー31-4は医療用弾性金属材料で製造され、C形クリップ状構造を呈する。前記ティシュホルダー31-4は左アーム31-4-1、右アーム31-4-2、噛合歯31-4-3、貫通穴31-4-4及びハンドル31-4-5を有する。前記ハンドル31-4-5を押すと、前記左アーム31-4-1及び右アーム31-4-2を開けて、咽頭側壁組織、例えば口蓋咽頭筋7を挟持することができる。前記貫通穴31-4-4は前記牽引機構2の線20に接続され、接続機構32として機能することができる。前記ハンドル31-4-5を緩めると、弾性復元力の作用により、前記左アーム31-4-1及び右アーム31-4-2が自動的に閉じ合い、前記噛合歯31-4-3が自動的に噛み合い、閉鎖構造を形成することによって、前記ティシュホルダー31-4内に挟持された組織の滑り抜けを防止する。
【0097】
実施例15は本発明の形状記憶合金材料で製造されたティシュホルダー型の咽頭側壁牽引装置である。
図15及び
図15-1を参照し、本実施例と実施例14とは、本実施例において、前記ティシュホルダー31-4がティニ形状記憶合金によって製造され、ハンドルを設ける必要がない点において異なる。低温、例えば15℃で、前記ティシュホルダー31-4を開け、
図15-1を参照する。前記ティシュホルダー31-4が人体に埋込まれた後に、体温の作用で、ティニ形状記憶合金がその回復温度を超え、前記ティシュホルダー31-4が自動的に元の設定された形状に回復し、前記ティシュホルダー31-4の左アーム31-4-1及び右アーム31-4-2が自動的に閉じ合い、前記噛合歯31-4-3が自動的に噛み合い、閉塞構造を形成することによって、前記ティシュホルダー31-4内に挟持された組織の滑り抜けを防止する。
【0098】
もちろん、前記ティシュホルダー31-4は純チタン金属シート等のプラスチック材料によって製造されてもよく、使用時に、まず外力で前記ティシュホルダー31-4の左アーム31-4-1及び右アーム31-4-2を開け、口蓋咽頭筋7を入れた後に、外力でそれを閉じ合えばよい。
【0099】
実施例16は本発明の単糸で巻き付けられたスパイラル型C型曲面板型の咽頭側壁牽引装置である。
図16を参照し、本実施例と実施例10とは、本実施例における前記曲面固定板31-5として単糸で巻き付けられたスパイラル型C型曲面板が採用される点において異なる。特に、前記曲面固定板31-5はティニ形状記憶合金ワイヤによって製造することができる。他の医療用弾性材料によって製造してもよい。
【0100】
前記曲面板31-5が単糸で巻き付けられたスパイラル型構造であるために、前記牽引機構2の線20は前記C型曲面板31-5のスパイラル型の貫通穴に容易に結束されて接続を形成することができる。本実施例は実施例10と比べて、使用時に更に取り付けやすい。
【0101】
本明細書に開示及び説明された構造は、効果が同様な他の構造によって代替されてもよく、また、本発明に紹介された実施例は本発明を実現するための唯一の構造ではないことに注意すべきである。本発明の好適な実施例はすでに本明細書で紹介及び説明されているが、当業者にとって、これらの実施例は説明のための例として挙げたものに過ぎないことが自明であり、当業者であれば、本発明を逸脱することなく、様々の変更、改善及び代替を行うことができ、したがって、本発明に添付された特許請求の範囲の思想及び範囲によって本発明の保護範囲を限定すべきである。
【手続補正書】
【提出日】2017年6月26日
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
咽頭側壁牽引装置(9)であって、
A、前記咽頭側壁牽引装置(9)は、骨固定具(1)、牽引機構(2)、及び咽頭側壁固定具(3)を備え、
B、前記骨固定具(1)には、歯槽突起(81)、翼状鉤(82)又は翼状突起(83)に固定可能な骨固定機構(11)及び前記牽引機構(2)に接続可能な接続機構(12)が設けられ、前記骨固定機構(11)と前記接続機構(12)とは接続されており、
C、前記牽引機構(2)は、人体内に長期的に埋込可能な材料で製造された線、線状機構又は扁平状機構であり、
D、前記咽頭側壁固定具(3)は、咽頭側壁に固定可能な咽頭側壁固定機構(31)と前記牽引機構(2)に接続可能な接続機構(32)とを備え、前記咽頭側壁固定機構(31)と前記接続機構(32)とは接続されており、
E、前記骨固定具(1)の前記骨固定機構(11)は上顎骨の第三大臼歯の歯槽突起(81)、翼状鉤(82)又は翼状突起(83)に固定され、前記咽頭側壁固定具(3)の前記咽頭側壁固定機構(31)は口蓋咽頭筋(7)又は他の咽頭側壁の粘膜下組織に固定され、前記牽引機構(2)は一端が前記咽頭側壁固定具(3)の前記接続機構(32)に接続され、他端が前記骨固定具(1)の前記接続機構(12)に固定され、前記牽引機構(2)によって、前記骨固定具(1)と前記咽頭側壁固定具(3)とが接続されている
ことを特徴とする咽頭側壁牽引装置。
【請求項2】
前記骨固定具(1)の前記骨固定機構(11)は骨釘(11-1)を有することを特徴とする請求項1に記載の咽頭側壁牽引装置。
【請求項3】
前記骨釘(11-1)は人体内に長期的に埋込可能な材料で製造されたネジ型骨釘であることを特徴とする請求項2に記載の咽頭側壁牽引装置。
【請求項4】
前記骨固定具(1)の前記骨固定機構(11)は翼状鉤(82)又は翼状突起(83)に固定可能な骨爪(11-2)を有し、前記骨爪(11-2)に鉤(11-2-1)が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の咽頭側壁牽引装置。
【請求項5】
前記骨固定具(1)の前記骨固定機構(11)は翼状鉤(82)に外嵌可能な接続リング(11-3)を有し、前記接続リング(11-3)に前記翼状鉤(82)が貫通できる貫通穴(11-3-1)が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の咽頭側壁牽引装置。
【請求項6】
前記骨固定具(1)の前記骨固定機構(11)は翼状突起(83)内に嵌め込み可能なブラケット(11-4)を有し、前記ブラケット(11-4)に支持脚部(11-4-1)が設けられ、前記支持脚部(11-4-1)はそれぞれ前記翼状突起(83)の内側板(83-1)と外側板(83-2)に固定されていることを特徴とする請求項1に記載の咽頭側壁牽引装置。
【請求項7】
前記骨固定具(1)の前記骨固定機構(11)は翼状鉤(82)又は翼状突起(83)に掛けられる接続鉤(11-5)を有することを特徴とする請求項1に記載の咽頭側壁牽引装置。
【請求項8】
前記牽引機構(2)は人体内に長期的に埋込可能な材料で製造された線(20)を有することを特徴とする請求項1に記載の咽頭側壁牽引装置。
【請求項9】
前記線(20)は弾性を有する線であることを特徴とする請求項8に記載の咽頭側壁牽引装置。
【請求項10】
前記牽引機構(2)は弾性牽引力を生成可能な弾性力発生器(21)を有することを特徴とする請求項1に記載の咽頭側壁牽引装置。
【請求項11】
前記弾性力発生器(21)はバネ機構(21-1)を有することを特徴とする請求項10に記載の咽頭側壁牽引装置。
【請求項12】
前記弾性力発生器(21)はバネ機構(21-1)、ケース(21-2)及び線(20)に接続可能なスライダ(21-3)を有し、
前記バネ機構(21-1)及び前記スライダ(21-3)は前記ケース(21-2)内に移動可能に取り付けられていることを特徴とする請求項10に記載の咽頭側壁牽引装置。
【請求項13】
前記牽引機構(2)は少なくとも1つの前記弾性力発生器(21)を有し、
前記弾性力発生器(21)は前記牽引機構(2)の両端に設けられ、あるいは前記牽引機構(2)の中央に設けられていることを特徴とする請求項10に記載の咽頭側壁牽引装置。
【請求項14】
前記牽引機構(2)の弾性牽引力は、吸気時の負圧による咽頭側壁の陥没力よりも大きく、嚥下時の咽頭側壁の筋肉の収縮力よりも小さいことを特徴とする請求項1に記載の咽頭側壁牽引装置。
【請求項15】
前記咽頭側壁固定具(3)の前記咽頭側壁固定機構(31)は咽頭側壁の粘膜下組織に結束又は固定可能な結束線(31-1)、結束バンド(31-2)、固定鉤(31-3)、ティシュホルダー(31-4)、又は曲面固定板(31-5)であることを特徴とする請求項1に記載の咽頭側壁牽引装置。
【請求項16】
前記曲面固定板(31-5)はC型又はU型の曲面固定板であることを特徴とする請求項15に記載の咽頭側壁牽引装置。
【請求項17】
前記曲面固定板(31-5)は組み合わせ構造の曲面固定板であり、前記組み合わせ構造の曲面固定板(31-5)は補強リブ(31-5-1)及び膜(31-5-2)を有し、前記膜(31-5-2)は前記補強リブ(31-5-1)に付着されていることを特徴とする請求項15に記載の咽頭側壁牽引装置。
【請求項18】
前記補強リブ(31-5-1)又は前記膜(31-5-2)は外力の作用によって弾性変形可能であり、外力が除去された後に元の形状に戻り、又はほぼ戻ることができることを特徴とする請求項17に記載の咽頭側壁牽引装置。
【請求項19】
前記曲面固定板(31-5)は単糸で巻き付けられたスパイラル型C型曲面板を採用することを特徴とする請求項15に記載の咽頭側壁牽引装置。
【請求項20】
骨釘型の咽頭側壁牽引装置の埋込方法であって、
局所麻酔又は全身麻酔下で、開口器を入れ、翼状鉤(82)の表面に縦形の粘膜切欠を切り、前記上歯槽突起(81)及び翼状鉤(82)を分離して露出させ、直角ドリルによって口腔の上側の第三大臼歯の前記歯槽突起(81)において、前記骨釘(11-1)に一致する骨穴(81-1)を開設し、前記骨釘(11-1)を装着して固定するステップ1と、
口蓋舌弓の上端に沿って長さが約15mmの弧状切欠を切り、口蓋咽頭筋(7)を分離して露出させ、又は通常なUPPP手術の後に、口蓋咽頭筋(7)を露出させるステップ2と、
専用ツールによって、翼状鉤(82)の表面の縦形の粘膜切欠に沿って前記咽頭側壁牽引装置(9)を導入し、前記咽頭側壁固定具(3)の咽頭側壁固定機構(31)を請求項15に記載の方法により咽頭側壁の粘膜下組織、例えば口蓋咽頭筋(7)に固定し、そして、前記牽引機構(2)を前記骨固定具(1)の接続機構(12)に接続した後に、前記骨固定機構(11)の骨釘(11-1)に接続するステップ3と、
前記牽引機構(2)の締め具合を調整し、切欠を縫合し、同様に反対側の手術を行うステップ4と、
を備えることを特徴とする咽頭側壁牽引装置の埋込方法。
【請求項21】
骨爪型の咽頭側壁牽引装置の埋込方法であって、
局所麻酔又は全身麻酔下で、開口器を入れ、翼状鉤(82)の表面において縦形の粘膜切欠を切り、翼状鉤(82)又は翼状突起(83)を分離して露出させ、前記骨固定具(1)の骨固定機構(11)の骨爪(11-2)の鉤(11-2-1)を翼状鉤(82)又は翼状突起(83)に引っ掛けるステップ1と、
口蓋舌弓の上端に沿って長さが約15mmの弧状切欠を切り、口蓋咽頭筋(7)を分離して露出させ、又は通常なUPPP手術の後に、口蓋咽頭筋(7)を露出させるステップ2と、
専用ツールによって、翼状鉤の表面の縦形の粘膜切欠に沿って前記咽頭側壁牽引装置(9)を導入し、前記咽頭側壁固定具(3)の咽頭側壁固定機構(31)を請求項15に記載の方法により咽頭側壁の粘膜下組織、例えば口蓋咽頭筋(7)に固定し、前記牽引機構(2)を前記骨固定具(1)の接続機構(12)に接続した後に、前記骨固定機構(11)の骨爪(11-2)に接続するステップ3と、
前記牽引機構(2)の締め具合を調整し、切欠を縫合し、同様に反対側の手術を行うステップ4と、
を備えることを特徴とする咽頭側壁牽引装置の埋込方法。
【請求項22】
接続リング型の咽頭側壁牽引装置の埋込方法であって、
局所麻酔又は全身麻酔下で、開口器を入れ、翼状鉤(82)の表面において縦形の粘膜切欠を切り、翼状鉤(82)を分離して露出させるステップ1と、
口蓋舌弓の上端に沿って長さが約15mmの弧状切欠を切り、口蓋咽頭筋(7)を分離して露出させ、又は通常なUPPP手術の後に、口蓋咽頭筋(7)を露出させるステップ2と、
専用ツールによって、翼状鉤(82)の表面の縦形の粘膜切欠に沿って前記咽頭側壁牽引装置(9)を導入し、前記咽頭側壁固定具(3)の咽頭側壁固定機構(31)を請求項15に記載の方法により咽頭側壁の粘膜下組織、例えば口蓋咽頭筋(7)に固定し、前記牽引機構(2)を前記骨固定具(1)の接続機構(12)に接続し、前記骨固定具(1)の接続リング(11-3)を翼状鉤(82)に外嵌させるステップ3と、
前記牽引機構(2)の締め具合を調整し、切欠を縫合し、同様に反対側の手術を行うステップ4と、
を備えることを特徴とする咽頭側壁牽引装置の埋込方法。
【請求項23】
ブラケット型の咽頭側壁牽引装置の埋込方法であって、
局所麻酔又は全身麻酔下で、開口器を入れ、翼状鉤(82)の表面において縦形の粘膜切欠を切り、前記翼状突起(83)を分離して露出させ、翼状突起(83)の内側板(83-1)と外側板(83-2)にそれぞれ貫通穴を開けるステップ1と、
口蓋舌弓の上端に沿って長さが約15mmの弧状切欠を切り、口蓋咽頭筋(7)を分離して露出させ、又は通常なUPPP手術の後に、口蓋咽頭筋(7)を露出させるステップ2と、
専用ツールによって、翼状鉤(82)の表面の縦形の粘膜切欠に沿って前記咽頭側壁牽引装置(9)を導入し、前記咽頭側壁固定具(3)の咽頭側壁固定機構(31)を請求項15に記載の方法により咽頭側壁の粘膜下組織、例えば口蓋咽頭筋(7)に固定し、前記牽引機構(2)を前記骨固定具(1)の接続機構(12)に接続し、前記骨固定具(1)のブラケット(11-4)の支持脚部(11-4-1)をそれぞれ前記翼状突起(83)の内側板(83-1)と外側板(83-2)の貫通穴内に入れて固定するステップ3と、
前記牽引機構(2)の締め具合を調整し、切欠を縫合し、同様に反対側の手術を行うステップ4と、
を備えることを特徴とする咽頭側壁牽引装置の埋込方法。
【請求項24】
接続鉤型の咽頭側壁牽引装置の埋込方法であって、
局所麻酔又は全身麻酔下で、開口器を入れ、翼状鉤(82)の表面において縦形の粘膜切欠を切り、翼状鉤(82)と翼状突起(83)を分離して露出させ、翼状突起(83)の内側板(83-1)又は外側板(83-2)に貫通穴を開けるステップ1と、
口蓋舌弓の上端に沿って長さが約15mmの弧状切欠を切り、口蓋咽頭筋(7)を分離して露出させ、又は通常なUPPP手術の後に、口蓋咽頭筋(7)を露出させるステップ2と、
専用ツールによって、翼状鉤(82)の表面の縦形の粘膜切欠に沿って前記咽頭側壁牽引装置(9)を導入し、前記咽頭側壁固定具(3)の咽頭側壁固定機構(31)を請求項15に記載の方法により咽頭側壁の粘膜下組織、例えば口蓋咽頭筋(7)に固定し、前記牽引機構(2)を前記骨固定具(1)の接続機構(12)に接続し、前記骨固定具(1)の接続鉤(11-5)を翼状鉤(82)に掛け、又は前記翼状突起(83)の内側板(83-1)又は外側板(83-2)の貫通穴内から貫通させて固定するステップ3と、
前記牽引機構(2)の締め具合を調整し、切欠を縫合し、同様に反対側の手術を行うステップ4と、
を備えることを特徴とする咽頭側壁牽引装置の埋込方法。
【国際調査報告】