特表2017-537810(P2017-537810A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特表2017-537810接合平面を高くした容器製造用の金型
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2017-537810(P2017-537810A)
(43)【公表日】2017年12月21日
(54)【発明の名称】接合平面を高くした容器製造用の金型
(51)【国際特許分類】
   B29C 49/48 20060101AFI20171124BHJP
   B29C 49/06 20060101ALI20171124BHJP
   B29C 49/42 20060101ALI20171124BHJP
   B65D 1/00 20060101ALI20171124BHJP
【FI】
   B29C49/48
   B29C49/06
   B29C49/42
   B65D1/00 120
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2017-520361(P2017-520361)
(86)(22)【出願日】2015年10月15日
(85)【翻訳文提出日】2017年5月16日
(86)【国際出願番号】EP2015073838
(87)【国際公開番号】WO2016059136
(87)【国際公開日】20160421
(31)【優先権主張番号】1460037
(32)【優先日】2014年10月17日
(33)【優先権主張国】FR
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】504102770
【氏名又は名称】シデル パルティシパション
【氏名又は名称原語表記】SIDEL PARTICIPATIONS
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】特許業務法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ドゥリアン,ミカエル
(72)【発明者】
【氏名】ビュネル,クリストフ
【テーマコード(参考)】
3E033
4F202
4F208
【Fターム(参考)】
3E033AA01
3E033BA18
3E033FA03
4F202AG23
4F202AG28
4F202AH55
4F202AM32
4F202AR07
4F202AR12
4F202CA15
4F202CB01
4F202CK52
4F202CK85
4F202CP05
4F208AG07
4F208AH55
4F208AM33
4F208LA09
4F208LG03
4F208LG28
(57)【要約】
胴部(4)と、周囲基部(8)を備える底部(6)とを有する容器(2)をブランク(3)から製造するための金型(1)であって、容器(2)の胴部(4)へくぼみを付け、かつ開口(21)を備える壁(15)と、出位置と入位置との間で壁(15)に対して移動可能な金型底部(17)とを備え、金型底部(17)は、容器(2)の基部(8)と胴部(4)との間の接合部(25)に相当する周囲面(24)を有し、基部面(23)よりも高くなっている角部(26)で終わり、金型底部(17)の出位置では、角部(26)は開口(21)の真下に広がり、金型底部(17)の入位置では、角部(26)は開口(21)に近接して広がる、金型(1)。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
胴部(4)と、胴部の下端(7)から胴部(4)に対してほぼ垂直に広がる周囲基部(8)を備える底部(6)とを有する容器(2)をブランク(3)から製造するための金型(1)であって、
−容器(2)の胴部(4)のくぼみの少なくとも部分的に決定し、中心軸(X)周りに広がるキャビティ(18)の境界となる内面(16)を有し、前記内面(16)の下端が中心軸(X)周りの開口(21)で終わる、壁(15)と、
−金型底部(17)が開口(21)から離れる出位置と、金型底部(17)が開口(21)を閉塞する入位置との間で壁(15)に対して移動可能であり、金型底部(17)が、容器(2)の基部(8)にくぼみを付ける基部面(23)を画定する上面(22)を有し、上面が開口(21)の真下に広がる、金型底部(17)と
を備える、金型において、
−金型底部(17)の上面(22)が、容器(2)の基部(8)と胴部(4)との間の接合部(25)に相当する周囲面(24)を画定し、該周囲面(24)が、基部面(23)に続き基部面の周りに広がり、基部面(23)よりも高くなっている角部(26)で終わり、
−金型底部(17)の出位置では、角部(26)は開口(21)の真下に広がり、
−金型底部(17)の入位置では、角部(26)は開口(21)に近接して広がることを特徴とする、金型(1)。
【請求項2】
金型底部(17)の入位置では、角部(26)は開口(21)と合致することを特徴とする、請求項1に記載の金型(1)。
【請求項3】
金型底部(17)の入位置では、角部(26)は径方向のずれ(G)の分だけ開口(21)の内側へずれることを特徴とする、請求項1に記載の金型(1)。
【請求項4】
ずれ(G)が、10分の数ミリメートル〜数ミリメートルであることを特徴とする、請求項3に記載の金型(1)。
【請求項5】
角部(26)が、基部面(23)の外周から0.5mm〜5mmである軸方向の距離(H)の所で広がることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の金型(1)。
【請求項6】
角部(26)から基部面(23)の外周までの軸方向の距離(H)が、約1mmであることを特徴とする、請求項5に記載の金型(1)。
【請求項7】
−壁(15)が、開口(21)の先に接合上面(28)を含み、
−金型底部(17)の上面(22)が、角部(26)の先にある接合下面(29)に続き、接合下面は、接合上面(28)の真下に広がり、金型底部(17)の入位置では、接合上面(28)と共に接合平面(30)を画定することを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載の金型(1)。
【請求項8】
接合上面(28)と接合下面(29)とは、中心軸(X)と共に軸方向の断面に0°〜120°の角度(B)を形成することを特徴とする、請求項7に記載の金型(1)。
【請求項9】
接合上面(28)および接合下面(29)が、中心軸(X)に対して垂直に広がることを特徴とする、請求項8に記載の金型(1)。
【請求項10】
−壁(15)が、接合上面(28)に続く、軸方向に広がる中ぐり(32)を有し、
−金型底部(17)が、接合下面(29)に続く、金型底部(17)の入位置で中ぐり(32)に収容されるように動くスカート部(33)を有することを特徴とする、請求項7〜9のいずれか一項に記載の金型(1)。
【請求項11】
周囲面(24)が、湾曲し、かつキャビティ(18)の方を向いた凹面を有することを特徴とする、請求項1〜10のいずれか一項に記載の金型(1)。
【請求項12】
基部面(23)が、傾斜していることを特徴とする、請求項1〜11のいずれか一項に記載の金型(1)。
【請求項13】
傾斜の角度(A)が1°〜15°であることを特徴とする、請求項12に記載の金型(1)。
【請求項14】
傾斜が約8°の角度(A)を有することを特徴とする、請求項13に記載の金型(1)。
【請求項15】
ブランク(3)から容器(2)を製造する方法であって、
−金型底部(17)が出位置にある状態で、請求項1〜14のいずれか一項に記載の金型(1)にブランク(3)を導入することと、
−ブランク(3)に加圧下の流体を注入して容器(2)をブロー成形することと、
−ブロー成形過程で金型底部(17)を入位置の方へ移動させることと
からなる複数の作業を含むことを特徴とする、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、成形によって、さらに正確にはブロー成形または延伸ブロー成形によって、熱可塑性材料のブランクから得られるボトルまたは瓶などの容器の製造に関する。
【背景技術】
【0002】
ブロー成形の技術にしたがって容器を製造するには、まずブランク(プリフォームまたはプリフォームをブロー成形の第一作業に供した中間容器のこと)をブランクの構成材料のガラス転移温度よりも高い温度に加熱する。次にブランクを金型に導入し、その後、ガス(空気など)を高圧(一般には20バール超)で注入しながらブランクのブロー成形を実施する。
【0003】
延伸ブロー成形の技術は、ブロー成形のほか、容器の軸がずれるのを最小限に抑え、かつ材料の分布をできる限り均一にするために摺動ロッドを用いてブランクを延伸することからなる。
【0004】
容器は、側壁(胴部ともいう)と、胴部の上端から広がる首部と、首部の反対側で胴部の下端から広がる底部とを含む。容器の底部は基部を画定し、基部によって容器を(テーブルのような)平面上に載置することができる。
【0005】
金型は、容器の胴部に金型の形を付けるためのキャビティを画定する壁を含む。このキャビティは、容器の底部に金型の形を付けるための金型底部によって下端が閉じられている。
【0006】
今日、製造者が目指している主な目的の1つは、使用材料の量を削減することであり、これによって容器の使用目的がどのようなものであっても(液状食品、炭酸ガス入りの液体、容器に入った温かい液体)容器の重量が減ることになる。この容器軽量化の代償として、製造方法か設計のいずれかに関わる人工手段で容器の剛性強化を試行する。なぜなら、二方向性(容器の長手中心軸に対する軸方向および径方向の分子配向性)のみに関わる構造剛性は不十分であると思われるためである。
【0007】
特定の仕様書(とりわけ高温充填またはHR−耐熱用途の場合)は、容器の軽量化と構造剛性強化を同時に推奨していることもあり、これによって容器構想の難易度が増す。耐熱用途では、容器の構造剛性は、加熱した金型壁と接触させた状態で容器を維持することからなる材料のヒートセット加工(英語のheat set)を用いた熱手段により強化されることができ、これによって材料の結晶化度が増大する。
【0008】
容器の底部をさらに詳細に説明すると、容器の構造剛性は、容器の胴部にくぼみを付ける固定壁と容器の底部にくぼみを付ける金型底部とを備えた金型を用いて、材料を特定の局所に分布させる(それによって材料をさらに延伸させる)ことによる機械的手段によってさらに強化(または制御)することができ、この金型底部は壁に対して移動可能に組み立てられる。容器は、まず金型底部の低位置で容器の最終形状よりも大きくブロー成形され、その後、金型底部は容器の最終形状に相当する高位置へ移動する。
【0009】
「ボクシング(boxage)」と呼ばれるこの技術は、仏国特許出願公開第2938464号明細書(SIDEL PARTICIPATIONS)またはその同等文献である米国特許出願公開第2012/031916号明細書に説明されており、これによってとりわけ基部での容器底部の機械耐性を向上させることが可能になる。
【0010】
このような金型では、ガイドジャッキに取り付けられた金型底部と壁との間に隙間が設けられて、これら2つの部品の間に以下の2つの機能を有する機能的遊びを維持する。一方の機能は、金型底部を壁に対して止まらず移動させること、他方の機能は、減圧用の通気孔を形成して、ブロー成形過程で金型と容器との間に捕らわれた空気を排出可能にさせることである。
【0011】
この技術は納得のいくものだが、まだ改善の余地がある。
【0012】
実際、金型と金型底部との間の機能的遊びは、約20〜40mmの行程に対して約10分の数ミリメートルであるジャッキのガイド精度より小さくはできない。
【0013】
換言すると、この機能的遊びは、最終容器の材料の厚みと同程度の大きさである。したがって材料は、ブロー成形の際、金型底部が低位置にあるときに隙間に流れる傾向がある。そのようにして挟まった材料は、金型底部が高位置に向かって移動したときに材料の薄いリムを形成し、これが最終容器に残る。このリムは、容器の基部に突起を形成し、容器の安定性を損なう。
【0014】
安定性の必要性は、底部が屈曲および座屈による強い応力の作用を受けて変形するおそれのある特定の容器の場合は特に重要であり、例えば、欧州特許出願公開第2711152号明細書(SIDEL PARTICIPATIONS)に記載されている容器を参照すると、この容器の底部は、容器の冷却に伴って起こる中身の体積縮小を補償するとともに、容器を加圧下に置いて剛性を強化するために、機械的に反転可能な膜を備えている。
【0015】
第1の解決策は、切断または研磨によって容器のバリを除去することであってもよい。しかし、この解決策は、生産速度(ブロー成形機1台あたり1時間に数万の容器)を考慮すると、工業的規模としては現実的ではない。
【0016】
第2の解決策は、金型底部と金型壁との間の機能的遊びを小さくするように、ジャッキに高精度の(例えばボール付きの)ガイド装置を追加することであってもよい。しかしこの解決策は、現実的な問題に直面する。なぜなら、金型の周囲全体のスペースを計算に入れ、とりわけ金型壁の内部を温度調節(加熱および/または冷却)する流体を循環させるのに必要な通路および分岐路があることを考慮すると、ガイド装置の寸法によって金型の設計の本格的な修正が必要になるからである。
【0017】
第3の解決策は、金型壁と金型底部との間に材料が入り込む時間がないように、金型底部を上昇させる制御を早めることであってもよい。ただし、このような条件では、容器底部に向けられた材料が十分に延伸されず、基部がうまく形成されずに仕上がり、これはボクシングの利点を低減する。
【0018】
このほか、金型底部と金型壁との間の機能的遊びを小さくすることは、金型内にある空気の排出を妨げる性質があり、(サイクル時間が同等で)容器が形成不良になるか、あるいは(容器の品質が同等で)サイクル時間が短くなるリスクがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0019】
【特許文献1】仏国特許出願公開第2938464号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2012/031916号明細書
【特許文献3】欧州特許出願公開第2711152号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
第1の目的は、基部の正確な形成を実現できると同時に良好な剛性および良好な安定性を有する容器を製造する技術を提供することである。
【0021】
さらに正確には、第2の目的は、基部にバリのない容器を製造する技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0022】
そのために、第一に、胴部と、胴部の下端から胴部に対してほぼ垂直に広がる周囲基部を備える底部とを有する容器をブランクから製造するための金型であって、
−容器の胴部のくぼみを少なくとも部分的に決定し、かつ中心軸周りに広がるキャビティの境界となる内面を有し、この内面の下端が中心軸周りの開口で終わる、壁と、
−金型底部が開口から離れる出位置と、金型底部が開口を閉塞する入位置との間で壁に対して移動可能であり、金型底部が容器の基部にくぼみを付ける基部面を画定する上面を有し、上面が開口の真下に広がる、金型底部と
を含む、金型を提供する。
【0023】
この金型では、
−金型底部の上面は、容器の基部と胴部との間の接合部に相当する周囲面を画定し、この周囲面は、基部面に続き基部の周囲に広がり、基部面よりも高くなっている角部で終わり、
−金型底部の出位置では、角部は開口の真下に広がり、
−金型底部の入位置では、角部は開口に近接して広がる。
【0024】
このような構成により、キャビティで、金型底部の基部面よりも高くなっている接合平面を実現できる。このような金型内でブロー成形された容器は、軸方向の突起が容器の基部になく、容器の安定性の利点がある。
【0025】
以下の様々な補足的特徴を、単独でまたは組み合わせて設けてもよい。
−金型底部の入位置では、角部は開口と合致する。
−金型底部の入位置では、角部は径方向のずれの分だけ開口の内側へずれる。
−ずれは10分の数ミリメートル〜数ミリメートルである。
−角部は、基部面の外周から0.5mm〜5mm(かつ好ましくは0.5mm〜3mm)の軸方向の距離、例えば約1mmである軸方向の距離の所で広がる。
−壁は、開口の先に接合上面を含み、金型底部の上面は、角部の先にある接合下面に続き、接合下面は、接合上面の真下に広がり、金型底部の入位置では接合上面と共に接合平面を画定し、
−接合上面と接合下面とは、軸方向の断面に0°〜120°の角度を形成する。
−接合上面および接合下面は、中心軸に対して垂直に広がる。
−壁は、接合上面に続く、軸方向に広がる中ぐりを有し、金型底部は、接合下面に続く、金型底部の入位置で中ぐりに収容されるように動くスカート部を有する。
−周囲面は、湾曲し、キャビティの方を向いた凹面を有する。
−基部面は傾斜を有し、その角度は例えば1°〜15°であり、かつ好ましくは約8°である。
【0026】
第二に、ブランクから容器を製造する方法であって、
−金型底部が出位置にある状態で、上記で説明したような金型にブランクを導入することと、
−ブランクに加圧下の流体(とりわけガス)を注入して容器をブロー成形することと、
−ブロー成形過程で金型底部を入位置の方へ移動させることと
からなる複数の作業を含む、方法を提供する。
【0027】
本発明のその他の目的および利点は、添付の図面を参照して以下に記載する実施形態の説明に照らして明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】壁、およびブランクから容器を成形するサイクルに相当する低位置にある移動可能な金型底部を備える金型の断面図である。
図2図1の金型を囲み部IIに沿って拡大した詳細図である。
図3図2の金型を囲み部IIIに沿ってさらに拡大した詳細図である。
図4図1とほぼ同じ図であり、金型底部が高位置にあり、容器が(破線で示した)ブランクから形成されている様子を示す図である。
図5図4の金型を囲み部Vに沿って拡大した詳細図である。
図6図5の金型を囲み部VIに沿ってさらに拡大した詳細図である。
図7図6とほぼ同じ詳細図であり、一変形実施例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
図1および図4には、プラスチック材料(PETなど)のブランク3(この場合はプリフォーム)から、延伸ブロー成形によって容器2を成形するための金型1が示されている。
【0030】
被成形容器2は、中心軸Xに沿って広がる胴部4と、胴部4に続き胴部の上端にある首部5と、胴部の下端7にあって首部5の反対側にあり、胴部4を閉じる底部6とを有する。
【0031】
容器の底部6は周囲の基部8を有し、この基部によって容器2は、テーブルなどの平面上に載置されるように構成されている。
【0032】
基部8は、必ずしも平面である必要はないが、角度Aの傾斜(特に図3で見ることができる)を有することができ、その有用性は以下で明らかになる。
【0033】
底部6は、基部8から容器2の中心軸Xに向かって続く、容器の内側に向かって突出して広がっている中央のアーチ部9を有する。
【0034】
アーチ部9は、ここでは、基部8の内縁から容器2の内側に向かって突出して広がる円錐台形の側壁10と、同じく容器2の内側に向かって突出している中央の駒部11と、側壁10の上縁から中央の駒部11の周囲縁まで傾斜して広がる円錐台形の膜12とを有する。成形されたばかりの容器2では、膜12は、容器2の外側に向かって突出して広がっている。しかし、容器2に(場合によっては高温で)充填して栓をして冷却した後、駒部11は(例えばジャッキに取り付けられた)プッシャーによって容器の内側に向かって押し戻され、これが膜12の反転を引き起こし、容器2の中身を加圧下に維持し、これは容器の機械的剛性の利点がある。成形後の容器2に最初から傾斜Aがあることにより、膜12の反転後に、アーチ部9を押圧する中身の圧力で引き起こされる応力の一部を吸収し、その後アーチ部が固定されるとともに、十分な面積の基部を得て安定性の利点が得られる。
【0035】
図4および図5に示した特定の実施形態によれば、容器2の胴部4は、底部6との接続部近辺で下端7が湾曲している。ただし、この形状は例示的なものであり、胴部4は下端7が直線状であってもよい。
【0036】
各プリフォーム3は、容器2の胴部4を形成するように構成されているほぼ筒状の幹部13と、そのままの状態で容器2の上にある首部5と、首部5の反対側で幹部13を閉じ、容器2の底部6を形成するように構成されている半球状のドーム部14とを含む。
【0037】
金型1には、とりわけノズルと、加圧ガス源と、電磁弁、ならびに必要であれば、プリフォーム3の中心合わせ(および特に容器2の成形時にドーム部14の中心合わせ)を維持できる延伸ロッドとを備えるブロー成形機(図示せず)が接続されている。
【0038】
図からわかるように、金型1は、好ましくは、公知の原理により、2つの半型15A、15Bで形成された側壁15を含み、半型は、(例えば一般の蝶番周りに回転することで)互いに接近するまたは離れることが可能で、半型15A、15Bが互いに接触しているときに、容器2の胴部4のくぼみを決定する内面16を協働して形成する加工表面を有する。
【0039】
金型1は、容器2の底部6のくぼみを決定する金型底部17も含む。内面16はキャビティ18の境界であり、キャビティ内にプリフォーム3が導入され、キャビティ内で容器2の成形が行われる。
【0040】
図1および図4でわかるように、壁15、つまり各半型15A、15Bのそれぞれは、壁15を温度調節(加熱および/または冷却)する流体を循環させるための通路19の孔があいている。この代替として、通路19の代わりまたは通路に補足して、各半型15A、15Bに抵抗器などの電気加熱要素を組み入れることができる。
【0041】
内面16は、被成形容器2の中心軸Xと同一の中心軸周りに広がる。内面16は、プリフォームが金型1内に設置されたときにプリフォーム3の幹部13が広がり通る開口20で上端が終わり、中心軸X周りに広がる開口21で反対側の下端が終わる。
【0042】
金型底部17は、金型底部17が開口21から離れる出位置と、金型底部17が開口21を閉塞する入位置との間で、壁15に対して軸沿いに移動可能に取り付けられる。金型底部17の可動性は、成形過程で容器2の底部6をさらに延伸させ、ボクシングと呼ばれる作業過程で最初に出位置にある金型底部17を入位置に向かって移動可能にさせることを目的としている。そのようにするために、金型底部17は、例えば空圧ジャッキまたは油圧ジャッキ(図示せず)に取り付けられる。
【0043】
容器2は首部5が上向きなっている(例示として挙げた)図示した構成では、金型底部17の出位置は低位置に相当し、入位置は高位置に相当する。
【0044】
金型底部17は上面22を有し、上面は、金型底部17の高位置で開口21を閉塞してキャビティ18を閉じ、そのようにしてくぼみを完成させ、容器2の成形時にこのくぼみに対して材料が押しつけられる。
【0045】
上面22は、その周囲に、容器2の基部8にくぼみを付ける基部面23を画定している。基部面23は、中心軸X周りに周囲に広がる。容器2の基部8が傾斜している場合、基部面23は、それに対応して傾斜角度Aを有する。傾斜角度Aは例えば1°〜15°である。特定の実施形態によれば、傾斜角度Aは約8°である。
【0046】
図2および図3でよくわかるように、金型底部の上面は、基部面に続き基部面の周りに広がる周囲面24を画定している。この周囲面24は、容器2の胴部4と基部8との間の接合部25に相当する。この周囲面24は、外側で、基部面23よりもキャビティ18の方向に高くなっている角部26で終わる。換言すると、周囲面24は基部面23から隆起する盛り上がりを形成する。基部面23の外周から軸方向に測定したこの盛り上がりの高さをHと表記する。
【0047】
図示した例では、接合部25は、断面が円弧状の接続アール部の形状を呈している。この場合、周囲面24は湾曲し、キャビティの方を向いた凹面を有し、その半径は、接合部25を形成する接続アール部の半径に等しい。
【0048】
金型底部17の出位置では、角部26は開口21の真下に広がっている。金型底部17の入位置では、角部26は開口21に近接して広がっている。図5および図6に示した実施形態によれば、角部26および開口21それぞれによって画定される内径はほぼ同じであり、そのため、金型底部17の入位置では、角部26は開口21と合致する。「合致する」という用語は、角部26と開口21とが金型底部17の入位置で一体となることを必ずしも意味するのではなく、以下で分かるように、両者の間に隙間27が設けられてもよい。いずれにしても、金型底部17が入位置にあるとき、角部26は胴部4の下端7に広がる。図7に示した変形実施例によれば、角部26によって画定される内径は、開口21の内径よりも小さく、金型底部17の入位置で、角部26が開口21から径方向のずれGの分だけ内側にずれる。このずれGは、10分の数ミリメートルから数ミリメートルである。図示した例では、このずれGは1.5mm以下であり、例えば約1mm程度である。
【0049】
図示した特定の実施形態によれば、金型1の側壁15は、開口21の先に(径方向に)接合上面28を有し、それに対応して底部の上面22は、角部26の先に、接合上面28の真下に広がる下面29が続く。図5および図6に示したように、金型底部17が入位置にあるとき、接合上面28および接合下面29は協働して周囲の接合平面30を形成する。
【0050】
「接合平面」という表現は、相補的な2つの部品間にある面状の接合部を指し、必ずしも平面である必要はなく、その他のあらゆる形状であってもよく、とりわけ円錐台形であってもよい。
【0051】
接合上面28(および接合下面29)と中心軸Xとによって軸方向断面に形成される角度をBと表記している。この角度Bは0°(この場合の接合平面30は筒状)〜120°(この場合の接合平面30は頂点がキャビティ18の反対側を向いた円錐形)である。
【0052】
ただし、好適な実施形態によれば、角度Bは直角である、すなわち接合上面28および接合下面29は中心軸Xに対して垂直に広がる。換言すると、接合上面28および接合下面29、ならびにそれに伴い接合平面30は平面である。
【0053】
説明したように、金型底部17の高位置では、隙間27があるため、接合上面28と接合下面29との間の接合平面30で必ずしも接触が起きているわけではない。
【0054】
遊びを実現しているこの隙間27は、通気孔の役割を果たし、成形後に容器2と金型1との間に捕らわれた空気を排出可能にさせることを目的としている。それによって、基部8を、とりわけ胴部4の下端7との接合部で正確に形成することが可能になる。さもなければ、1つ(または複数)の気泡がこの接合部に残るおそれがあり、それによって基部8が変形し、少なくとも容器2の安定性を犠牲にして幅が小さくなるおそれがある。
【0055】
金型底部17の高位置で隙間27によって接合平面30に形成される遊びは、好ましくは約10分の数ミリメートルであり、すなわち金型底部17が高位置にあるときにブロー成形後に材料のクリープを抑制する。
【0056】
しかし、容器2内の高圧下で材料の一部が隙間27にクリープを起こすことによって、成形過程で容器2にバリ31が生じることがある。しかし、金型1の内面16で、接合平面30が基部面23の外周から離れている軸方向の距離(または高さ)Hを考慮すると、このバリ31は、容器を平面に載置する基部8の外周から同じ距離Hに広がる。基部8にはバリがなく(あれば胴部4上にそれる)、その結果、容器2の安定性が良好になる。角部26と開口21との間にずれGが設けられた場合、容器2には環状の肩部Eが生じ、場合によって生じるバリ31は、美的観点からこの肩部に溶け込み、使用者から見て偶然できたものではないように見せることができ、専門家の観点からは成形がうまく進行した証になるという利点を有する。
【0057】
高さHは、好ましくは、とりわけ胴部4と基部8との間に接合部25を形成する接続アール部の半径に応じて、0.5mm〜5mmである。好適な実施形態によれば、高さHは0.5mm〜5mmであり、例えば約1mmである。この値で、バリ31を基部8から十分に離して、あらゆる安定性の欠陥を回避できると同時に、容器2の美観を維持し、消費者の視点からバリが比較的目立たない。
【0058】
図に示した実施形態によれば、金型1の側壁15は、接合上面28に続き、接合上面28の外周から軸方向に広がる中ぐり32を有し、それに対応して、金型底部17は、接合下面29の軸方向に続く、金型底部17の入位置で中ぐり32に収容されるように動くスカート部33を有する(とりわけ図5を参照)。
【0059】
スカート部33は、外径が中ぐり32の内径よりも小さく、それによってスカート部33と中ぐり32との間に、約10分の数ミリメートルの機能的遊びが設けられる。その結果、容器2をブロー成形する際に、金型底部17にキャビティ18から排出される気流の通路が生じる。
【0060】
上記の金型1は以下の利点を有する。
【0061】
第一に、説明したように、接合平面30が基部面23から離れていることで、容器2の基部8に、容器の安定性を損なう軸方向に突出するバリが形成されるのを回避する。また、バリ31が胴部4の下端7で突出して形成されたフランジまたはリムの形態で存在する場合、そのような径方向のバリ31が、容器2の安定性を損なうことはない。
【0062】
第二に、そのようなバリ31が底部6の近傍に位置していることで、バリが、容器2の最終的な使用者からほとんど知覚不可能になり、容器の品質が知覚されるという利点がある。
【0063】
第三に、接合平面30がそれることにより、場合によって生じるバリ31の存在は、金型底部17を誘導する正確さにもはや左右されなくなる。よって、金型底部17に対して比較的不正確だが、堅剛な(ジャッキなどの)線形アクチュエータを選定でき、金型1の信頼性が増すという利点がある。その結果、金型1の側壁15と金型底部17との間の空気が膨張するため、キャビティ18内にある空気の排出も良好になる。
【0064】
第四に、同じく接合平面30が外側に向かってそれることにより、材料を損傷するリスクなしに金型底部17の上昇を遅らせることが可能になり、容器2の底部6にくぼみを付けることが良好になり、容器底部の延伸が良好になるという利点がある。
【0065】
容器2の製造は以下のように実施される。
【0066】
まず予備加熱したプリフォーム3を開いた金型1に導入する。このとき金型底部17は低位置にある。金型1を再び閉じ、予備ブロー成形(約5〜13バール)用の加圧下のガス(通常は空気)を、プリフォーム3内に注入する。この注入作業には、プリフォーム3のドーム部14を金型底部17に対して押しつけるように動く可動ロッドを用いて、プリフォーム3を延伸することからなる延伸作業を組み合わせることができる。
【0067】
プリフォーム3のドーム部14が金型底部17に達したとき、金型は引き続き低位置にある。予備ブロー成形の圧力は、材料を金型1の側壁15に対して密に押しつけるのに十分ではない。そのため、成形途中の容器2内に、ガス(通常は空気)を予備ブロー成形の圧力よりも高いブロー成形の圧力で注入する必要がある(実際にはブロー成形の圧力は約20〜40バールである)。
【0068】
金型底部17の上昇は、ブロー成形作業の直前に始めることが好ましく、この上昇によって底部6の材料がさらに延伸され、これが金型底部17の上面22にある材料の分子配向および同材料へのくぼみ付与に有利になる。
【0069】
材料が開口20の周囲の外部に流れた場合、この材料は、図6に示したように、わずかな量で残り、金型底部17の高位置で、厚みがわずかで径方向の拡張がわずかなバリ31を接合平面30に形成する。
【0070】
ヒートセットの実施を所望する場合、ブロー成形の圧力は、そのように形成された容器2内で一時的に維持され、加熱した側壁15と容器とを接触した状態に維持し、高温充填(すなわち、温度が約80℃〜90℃である液状またはペースト状の中身を充填)したときに材料の結晶化度が増し、かつそれによって容器2の機械耐性が増大するようにする。
【0071】
次に容器2の内側に大気を通し、ロッド(ある場合)を引き抜き、次の容器に対してサイクルが繰り返される前に容器2を取り除く。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【国際調査報告】