【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書に記載される融合タンパク質は、少なくとも1つのセルピンポリペプチド、又はセルピンポリペプチド(ポリペプチド1)由来のアミノ酸配列、及び第二ポリペプチド(ペプチド2)を含む。さらに、本明細書に記載される融合タンパク質は、セルピンポリペプチド、又はセルピンポリペプチド(ポリペプチド1)由来のアミノ酸配列、第二ポリペプチド(ポリペプチド2)、及び第三ポリペプチド(ポリペプチド3)を含む。本明細書において交換可能に使用される場合、用語「融合タンパク質(fusion protein)」及び「融合ポリペプチド(fusion polypeptide)」とは、少なくとも第二ポリペプチド又は少なくとも第二ポリペプチド由来のアミノ酸配列に操作可能的に連結されたセルピンポリペプチド、又はセルピンポリペプチド由来のアミノ酸配列をいう。融合タンパク質の個別化された要素は、例えば、直接的結合、中間体又はスペーサーペプチドの使用、リンカー領域の使用、ヒンジ領域の使用、又はリンカー及びヒンジ領域の両者の使用を包含する種々の手段のいずれかで連結され得る。いくつかの実施形態によれば、リンカー領域は、ヒンジ領域の配列内にあり、又は他方では、ヒンジ領域は、リンカー領域の配列内である。好ましくは、リンカー領域は、ペプチド配列である。例えば、リンカーペプチドは、0〜40個のアミノ酸、例えば0〜35個のアミノ酸、0〜30個のアミノ酸、0〜25個のアミノ酸、又は0〜20個のアミノ酸を含む。好ましくは、ヒンジ領域は、ペプチド配列である。例えば、ヒンジペプチドは、0〜75個のアミノ酸、例えば0〜70個のアミノ酸、0〜65個のアミノ酸又は0〜62個のアミノ酸を含む。融合タンパク質がリンカー領域及びヒンジ領域の両者を含む実施形態によれば、好ましくは、リンカー領域及びヒンジ領域の個々は、ペプチド配列である。それらの実施形態によれば、ヒンジペプチド及びリンカーペプチドは共に、0〜90個のアミノ酸、例えば0〜85個のアミノ酸又は0〜82個のアミノ酸を含む。
【0007】
いくつかの実施形態によれば、セルピンポリペプチド及び第二ポリペプチドは、中間結合タンパク質を介して連結され得る。いくつかの実施形態によれば、融合タンパク質のセルピンベース部分及び第二ポリペプチド部分は、非共有的に連結され得る。
【0008】
いくつかの実施形態によれば、本発明の融合タンパク質は、N末端からC末端方向又はC末端からN末端方向に、以下の式の1つを有することができる:
ポリペプチド1
(a) −ヒンジ
m −ポリペプチド2
(b)
ポリペプチド1
(a) −リンカー
n −ポリペプチド2
b)
ポリペプチド1
(a) −リンカー
n −ヒンジ
m −ポリペプチド2
(b)
ポリペプチド1
(a) −ヒンジ
m −リンカー
n −ポリペプチド2
(b)
ポリペプチド1
(a) −ポリペプチド2
(b)−ポリペプチド3
(c)
ポリペプチド1
(a) −ヒンジ
m −ポリペプチド2
(b)−ヒンジ
m −ポリペプチド3
(c)
ポリペプチド1
(a) −リンカー
n −ポリペプチド2
(b)−リンカー
n −ポリペプチド3
(c)
ポリペプチド1
(a) −ヒンジ
m −リンカー
n −ポリペプチド2
(b)−ヒンジ
m −リンカー
n −ポリペプチド3
(c)
ポリペプチド1
(a) −リンカー
n −ヒンジ
m −ポリペプチド2
(b)−リンカー
n −ヒンジ
m−ポリペプチド3
(c)、
式中、nは、0〜20の整数であり、mは1〜62の整数であり、そしてa、b及びcは少なくとも1の整数である。それらの実施形態は、上記式及びそのいずれかの変形又は組み合わせを含む。例えば、式中のポリペプチドの順序はまた、ポリペプチド3
(c) −ポリペプチド1
(a)−ポリペプチド2
(b)、ポリペプチド2
(b)−ポリペプチド 3
(c)−ポリペプチド1
(a)、又はその何れかの変形又は組み合わせを含む。
【0009】
いくつかの実施形態によれば、ポリペプチド1配列は、セルピンポリペプチドを含む。セルピンは、プロテアーゼを阻害できる一組のタンパク質として最初に同定された類似する構造を有するタンパク質群である。本明細書に提供される融合タンパク質における使用のために適切なセルピンタンパク質は、非制限的例によれば:α−1抗トリプシン(AAT)、抗トリプシン関連タンパク質(SERPINA2)、α1−抗キモトリプシン(SERPINA3)、カリスタチン(SERPINA4)、単球好中球エラスターゼ阻害剤(SERPINB1)、PI−6(SERPINB6)、抗トロンビン(SERPINC1)、プラスミノーゲンアクチベーターインヒビター1(SERPINE1)、α2 − 抗プラスミン(SERPINF2)、補体1インヒビター(SERPING1)、及びニューロセルピン(SERPINI1)を含む。
【0010】
いくつかの実施形態によれば、ポリペプチド1配列は、α−1抗トリプシン(AAT)ポリペプチド配列、又はAAT由来のアミノ酸を含む。いくつかの実施形態によれば、ポリペプチド1配列は、AATタンパク質の一部を含む。いくつかの実施形態によれば、ポリペプチド1配列は、AATタンパク質の少なくとも反応部位ループ部分を含む。いくつかの実施形態によれば、AATタンパク質の反応部位ループ部分は、少なくともアミノ酸配列:
【表1】
を含む。
【0011】
好ましい実施形態によれば、AATポリペプチド配列又はAAT由来のアミノ酸配列は、ヒトAATポリペプチド配列であるか、又はそれに由来する。
【0012】
いくつかの実施形態によれば、融合タンパク質は、以下のアミノ酸配列を有する全長ヒトAATポリペプチド配列を含む:
【表2】
【0013】
いくつかの実施形態によれば、融合タンパク質は、配列番号2のアミノ酸配列に対して少なくとも50%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一であるヒトAATポリペプチド配列を含む。
【0014】
いくつかの実施形態によれば、AATポリペプチド配列は、以下のものであるか、又はAATポリペプチド由来のアミノ酸配列は、以下のものに由来する:GenBank受託番号AAB59495.1、CAJ15161.1、P01009.3、AAB59375.1、AAA51546.1、CAA25838.1、NP_001002235.1、CAA34982.1、NP_001002236.1、NP_000286.3、NP_001121179.1、NP_001121178.1、NP_001121177.1、NP_001121176.16、NP_001121175.1、NP_001121174.1、NP_001121172.1及び/又はAAA51547.1で示されるヒトAATポリペプチド配列の1又は2以上の配列。
【0015】
いくつかの実施形態によれば、融合タンパク質は、1又は2以上の変異を含む。例えば、融合タンパク質は、その融合タンパク質のセルピン部分において、メチオニン(Met)残基で少なくとも1つの変異を含む。それらのMet変異においては、Met残基が、任意のアミノ酸により置換され得る。例えば、Met残基は、疎水性側鎖を有するアミノ酸、例えばロイシン(Leu、L)により置換され得る。理論に束縛されるものではないが、Met変異(単数又は複数)は、本発明の融合タンパク質の酸化及びそれに続く阻害活性の不活性化を妨げる。いくつかの実施形態によれば、Met残基は、荷電された残基、例えばグルタミン酸(Glu、E)により置換され得る。いくつかの実施形態によれば、Met変異は、AATポリペプチドの位置358に存在する。例えば、Met変異は、Met358Leu(M358L)である。いくつかの実施形態によれば、Met変異は、AATポリペプチドの位置351に存在する。例えば、Met変異は、Met351Glu(M351E)である。いくつかの実施形態によれば、Met変異は、AATポリペプチドの位置351及び位置358に存在し、例えば、Met変異は、Met351Glu(M351E)及びMet358Leu(M358L)である。例えば、融合AATポリペプチドのこの変異体の反応部位ループは、以下の配列を有する:
【表3】
いくつかの実施形態によれば、Met変異は、AATポリペプチドの位置351及び位置358に存在し、例えば、Met変異は、Met351Leu(M351L)及びMet358Leu(M358L)である。例えば、融合AATポリペプチドのこの変異体の反応部位ループは、以下の配列を有する:
【表4】
【0016】
いくつかの実施形態によれば、融合タンパク質は、M351及びM358で修飾された変異反応部位ループを含む全長ヒトポリペプチド配列を含み、以下のアミノ酸配列を有する:
【表5】
【0017】
いくつかの実施形態によれば、融合タンパク質は、配列番号80のアミノ酸配列に対して少なくとも50%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一であるヒトAATポリペプチド配列を含む。
【0018】
いくつかの実施形態によれば、セルピン融合タンパク質の第二ポリペプチド(ポリペプチド2)は、Fcポリペプチドであるか、又はFcポリペプチド由来である。それらの実施形態は、「セルピン−Fc融合タンパク質(serpin−Fc fusion proteins)」として集合的に言及される。本明細書に記載されるセルピン−Fc融合タンパク質は、少なくとも、セルピンポリペプチド、又はセルピン由来のアミノ酸配列、及びFcポリペプチド又はFcポリペプチド由来のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態によれば、セルピン−Fc融合タンパク質は、単一のセルピンポリペプチドを含む。他の実施形態によれば、セルピン−Fc融合タンパク質は、2つ以上のセルピンポリペプチドを含み、そしてそれらの実施形態は、「セルピン
(a’)−Fc融合タンパク質」(式中、(a’)は少なくとも2の整数である)として、本明細書において集合的に言及される。いくつかの実施形態によれば、セルピン
(a’)−Fc融合タンパク質中の各セルピンポリペプチドは、同じアミノ酸配列を含む。他の実施形態によれば、セルピン(a’)−Fc融合タンパク質中の各セルピンポリペプチドは、異なったアミノ酸配列を有するセルピンポリペプチドを含む。セルピン
(a’)−Fc融合タンパク質のセルピンポリペプチドは、融合タンパク質内の任意の位置に位置することができる。
【0019】
いくつかの実施形態によれば、セルピン−Fc融合タンパク質のセルピンポリペプチドは、AATタンパク質の反応部位ループ部分のアミノ酸配列を少なくとも含む。いくつかの実施形態によれば、AATタンパク質の反応部位ループ部分は、配列番号1のアミノ酸配列を少なくとも含む。いくつかの実施形態によれば、セルピン−Fc融合タンパク質のセルピンポリペプチドは、AATタンパク質の反応部位ループ部分の変異体のアミノ酸配列を少なくとも含む。いくつかの実施形態によれば、AATタンパク質の反応部位ループ部分の変異体は、配列番号32又は33のアミノ酸配列を少なくとも含む。いくつかの実施形態によれば、セルピン−Fc融合タンパク質のセルピンポリペプチドは、配列番号2のアミノ酸配列を有する全長ヒトAATポリペプチド配列を少なくとも含む。いくつかの実施形態によれば、セルピン−Fc融合タンパク質のセルピンポリペプチドは、配列番号80のアミノ酸配列を有する全長ヒトAATポリペプチド配列を少なくとも含む。いくつかの実施形態によれば、セルピン−Fc融合タンパク質のセルピンポリペプチドは、配列番号2、32、33又は80のアミノ酸配列に対して少なくとも50%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一であるヒトAATポリペプチド配列を含む。
【0020】
いくつかの実施形態によれば、セルピン−Fc融合タンパク質のセルピンポリペプチドは、以下のものではあるか、又はAATポリペプチド由来のアミノ酸配列は、以下のものに由来する:GenBank受託番号AAB59495.1、CAJ15161.1、P01009.3、AAB59375.1、AAA51546.1、CAA25838.1、NP_001002235.1、CAA34982.1、NP_001002236.1、NP_000286.3、NP_001121179.1、NP_001121178.1、NP_001121177.1、NP_001121176.16、NP_001121175.1、NP_001121174.1、NP_001121172.1及び/又はAAA51547.1で示されるヒトAATポリペプチド配列の1又は2以上の配列。
【0021】
いくつかの実施形態によれば、融合タンパク質のFcポリペプチドは、ヒトFcポリペプチド、例えばヒトIgG Fcポリペプチド配列、又はヒトIgG Fcポリペプチド配列に由来するアミノ酸配列である。例えば、いくつかの実施形態によれば、Fcポリペプチドは、ヒトIgG1 Fcポリペプチド、又はヒトIgG1 Fcポリペプチド配列に由来するアミノ酸配列である。いくつかの実施形態によれば、Fcポリペプチドは、ヒトIgG2 Fcポリペプチド、又はヒトIgG2 Fcポリペプチド配列に由来するアミノ酸配列である。いくつかの実施形態によれば、Fcポリペプチドは、ヒトIgG3 Fcポリペプチド、又はヒトIgG3 Fcポリペプチド配列に由来するアミノ酸配列である。いくつかの実施形態によれば、Fcポリペプチドは、ヒトIgG4 Fcポリペプチド、又はヒトIgG4 Fcポリペプチド配列に由来するアミノ酸配列である。いくつかの実施形態によれば、Fcポリペプチドは、ヒトIgM Fcポリペプチド、又はヒトIgM Fcポリペプチド配列に由来するアミノ酸配列である。
【0022】
本発明の融合タンパク質がFcポリペプチドを含むいくつかの実施形態によれば、融合タンパク質のFcポリペプチドは、以下のアミノ酸配列を有するIgG1 Fcポリペプチド配列を含む:
【表6】
【0023】
本発明の融合タンパク質がFcポリペプチドを含むいくつかの実施形態によれば、融合タンパク質は、その融合タンパク質のFcポリペプチドのN末端に結合されるヒンジ領域を含み、ここで前記Fcポリペプチドは、以下のアミノ酸配列を有するヒトIgG1 Fcポリペプチド配列を含む。
【表7】
【0024】
本発明の融合タンパク質がFcポリペプチドを含むいくつかの実施形態によれば、融合タンパク質のFcポリペプチドは、配列番号3又は43のアミノ酸配列に対して、少なくとも50%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一であるヒトIgG1 Fcポリペプチド配列を含む。
【0025】
本発明の融合タンパク質がFcポリペプチドを含むいくつかの実施形態によれば、Fcポリペプチドは、FcRn結合を増強するために、変異導入されるか、又は修飾される。それらの実施形態によれば、変異導入されたか又は修飾されたFcポリペプチドは、以下の変異を含む:Met252Tyr、Ser254Thr、Thr256Glu (M252Y、S256T、T256E) 又はMet428Leu及びAsn434Ser (M428L、N434S) 又は Met428Val 及び Asn434Ser (M428V、N434S)(Kabat番号付けシステムを用いる)。いくつかの実施形態によれば、変異導入されたか又は修飾されたFcポリペプチドは、Met252Tyr(M252Y)、Ser254Thr(S256T)、Thr256Glu(T256E)、Met428Leu(M428L)、Met428Val(M428V)、Asn434Ser(N434S)及びそれらの組合せから成る群から選択される1又は2以上の変異を含む。いくつかの実施形態によれば、Fcポリペプチド部分は、Fc−介在性二量体化を破壊するために、変異導入されるか、又は他方では、修飾される。それらの実施形態によれば、融合タンパク質は、天然では、単量体である。
【0026】
本発明の融合タンパク質がFcポリペプチドを含むいくつかの実施形態によれば、Fcポリペプチドは、変異導入されるか、又は修飾される。いくつかの実施形態によれば、変異導入されるか又は修飾されたFcポリペプチドは、M252、T246、M428及びそれらの組合せから選択された位置で、1又は2以上の変異を含む。いくつかの実施形態によれば、変異導入されるか又は修飾されたFcポリペプチドは、以下の変異を含む:Met252Ile、Thr256Asp、Met428Leu (M252I、T256D、M428L)(Kabat番号付けシステムを用いる)。
【0027】
本発明の融合タンパク質が修飾されたIgG1 Fcポリペプチドを含むいくつかの実施形態によれば、融合タンパク質の修飾されたIgG1 Fcポリペプチドは、上記に示される配列番号3の残基22、26及び198、又は配列番号43の残基32、36及び208に対応する、残基M252、T256及びM428に変異を含み、そして以下のアミノ酸配列(変異導入されたアミノ酸残基は囲まれている)を有する:
【表8】
【0028】
本発明の融合タンパク質が修飾されたIgG1 FcポリペプチドのN末端に結合されるヒンジ領域を含むいくつかの実施形態によれば、融合タンパク質の修飾されたIgG1 Fcポリペプチドは、上記に示される配列番号3の残基22、26及び198、又は配列番号43の残基32、36及び208に対応する、残基M252、T256及びM428で変異を含み、そして融合タンパク質は、以下のアミノ酸配列(変異導入されたアミノ酸残基は囲まれている)を少なくとも含む:
【表9】
【0029】
本発明の融合タンパク質が修飾されたIgG1 Fcポリペプチドを含むいくつかの実施形態によれば、融合タンパク質の修飾されたIgG1 Fcポリペプチドは、修飾されたヒトIgG1 Fcポリペプチド配列を含み、ここで上記に示される配列番号3の残基6又は配列番号43の残基16に対応する残基G236が欠失されており、そして以下のアミノ酸配列を有する:
【表10】
【0030】
本発明の融合タンパク質が修飾されたIgG1 FcポリペプチドのN末端に結合されるヒンジ領域を含むいくつかの実施形態によれば、融合タンパク質の修飾されたIgG1 Fcポリペプチドは、修飾されたヒトIgG1 Fcポリペプチド配列を含み、ここで上記に示される配列番号3の残基6又は配列番号委43の残基16に対応する残基G236は欠失されており、そして融合タンパク質は以下のアミノ酸配列を少なくとも含む:
【表11】
【0031】
本発明の融合タンパク質が修飾されたIgG1 Fcポリペプチドを含むいくつかの実施形態によれば、融合タンパク質の修飾されたIgG1 Fcポリペプチドは、上記に示される配列番号3の残基4及び5、又は配列番号43の残基14及び15に対応する残基L234及びL235で変異を含み、そして以下のアミノ酸配列(変異導入されたアミノ酸残基は囲まれている)を有する:
【表12】
【0032】
本発明の融合タンパク質が修飾されたIgG1 FcポリペプチドのN末端に結合されるヒンジ領域を含むいくつかの実施形態によれば、融合タンパク質の修飾されたIgG1 Fcポリペプチドは、上記に示される配列番号3の残基4及び5、又は配列番号43の残基14及び15に対応する残基L234及びL235で変異を含み、そして融合タンパク質は以下のアミノ配列(変異導入されたアミノ酸残基は囲まれている)を少なくとも含む:
【表13】
【0033】
本発明の融合タンパク質が修飾されたIgG1 Fcポリペプチドを含むいくつかの実施形態によれば、融合タンパク質の修飾されたIgG1 Fcポリペプチドは、残基G236で欠失及び残基L234及びL235で変異を含み、そして融合タンパク質は、以下のアミノ酸配列(変異導入されたアミノ酸残基は囲まれている)を少なくとも含む:
【表14】
【0034】
本発明の融合タンパク質が修飾されたIgG1 FcポリペプチドのN末端に結合されるヒンジ領域を含むいくつかの実施形態によれば、融合タンパク質の修飾されたIgG1 Fcポリペプチドは、残基G236で欠失及び残基L234及びL235で変異を含み、そして融合タンパク質は、以下のアミノ酸配列(変異導入されたアミノ酸残基は囲まれている)を少なくとも含む:
【表15】
【0035】
本発明の融合タンパク質が修飾されたIgG1 Fcポリペプチドを含むいくつかの実施形態によれば、融合タンパク質の修飾されたIgG1 Fcポリペプチドは、残基G236で欠失及び残基L234、L235、M252、T256及びM428で変異を含み、そして融合タンパク質は、以下のアミノ酸配列(変異導入されたアミノ酸残基は囲まれている)を少なくとも含む:
【表16】
【0036】
本発明の融合タンパク質が修飾されたIgG1 FcポリペプチドのN末端に結合されるヒンジ領域を含むいくつかの実施形態によれば、融合タンパク質の修飾されたIgG1 Fcポリペプチドは、残基G236で欠失及び残基L234、L235、M252、T256及びM428で変異を含み、そして融合タンパク質は、以下のアミノ酸配列(変異導入されたアミノ酸残基は囲まれている)を少なくとも含む:
【表17】
【0037】
本発明の融合タンパク質が修飾されたIgG1 Fcポリペプチドを含むいくつかの実施形態によれば、融合タンパク質の修飾されたIgG1 Fcポリペプチドは、配列番号44、45、46、47、48、49、50、51、52又は53のアミノ酸配列に対して、少なくとも50%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一である修飾されたヒトIgG1 Fcポリペプチド配列を含む。
【0038】
本発明の融合タンパク質がFcポリペプチドを含むいくつかの実施形態によれば、融合タンパク質のFcポリペプチドは、以下のアミノ酸配列を有するヒトIgG2 Fcポリペプチド配列を含む:
【表18】
【0039】
本発明の融合タンパク質がFcポリペプチドを含むいくつかの実施形態によれば、融合タンパク質のFcポリペプチドは、配列番号4のアミノ酸配列に対して、少なくとも50%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一であるヒトIgG2 Fcポリペプチド配列を含む。
【0040】
本発明の融合タンパク質が修飾されたIgG2 Fcポリペプチドを含むいくつかの実施形態によれば、融合タンパク質の修飾されたIgG2 Fcポリペプチドは、以下のアミノ酸配列(変異導入されたアミノ酸残基は囲まれている)を有する修飾されたヒトIgG2 Fcポリペプチド配列を含む:
【表19】
【0041】
本発明の融合タンパク質が修飾されたIgG2 Fcポリペプチドを含むいくつかの実施形態によれば、融合タンパク質の修飾されたIgG2 Fcポリペプチドは、配列番号54のアミノ酸配列に対して、少なくとも50%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一である修飾されたヒトIgG2 Fcポリペプチド配列を含む。
【0042】
本発明の融合タンパク質がFcポリペプチドを含むいくつかの実施形態によれば、融合タンパク質のFcポリペプチドは、以下のアミノ酸配列を有するヒトIgG3 Fcポリペプチド配列を含む:
【表20】
【0043】
本発明の融合タンパク質がFcポリペプチドを含むいくつかの実施形態によれば、融合タンパク質のFcポリペプチドは、配列番号5のアミノ酸配列に対して、少なくとも50%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一であるヒトIgG3 Fcポリペプチド配列を含む。
【0044】
本発明の融合タンパク質が修飾されたIgG3 Fcポリペプチドを含むいくつかの実施形態によれば、融合タンパク質の修飾されたIgG3 Fcポリペプチドは、以下のアミノ酸配列(変異導入されたアミノ酸残基は囲まれている)を有する修飾されたヒトIgG3 Fcポリペプチド配列を含む:
【表21】
【0045】
本発明の融合タンパク質が修飾されたIgG3 Fcポリペプチドを含むいくつかの実施形態によれば、融合タンパク質の修飾されたIgG3 Fcポリペプチドは、上記に示される配列番号5の残基6に対応する残基G236が欠失され、そして以下のアミノ酸配列を有する、修飾されたヒトIgG3 Fcポリペプチド配列を含む:
【表22】
【0046】
本発明の融合タンパク質が修飾されたIgG3 Fcポリペプチドを含むいくつかの実施形態によれば、融合タンパク質の修飾されたIgG3 Fcポリペプチドは、上記に示される配列番号5の残基4及び5に対応する残基L234及びL235で変異を含み、そして以下のアミノ酸配列(変異導入されたアミノ酸残基は囲まれている)を有する:
【表23】
【0047】
本発明の融合タンパク質が修飾されたIgG3 Fcポリペプチドを含むいくつかの実施形態によれば、融合タンパク質の修飾されたIgG3 Fcポリペプチドは、残基G236で欠失及び残基L234及びL235で変異を含み、そして以下のアミノ酸配列を有する:
【表24】
【0048】
本発明の融合タンパク質が修飾されたIgG3 Fcポリペプチドを含むいくつかの実施形態によれば、融合タンパク質の修飾されたIgG3 Fcポリペプチドは、残基G236で欠失及び残基L234、L235、M252、T256及びM428で変異を含み、そして以下のアミノ酸配列を有する:
【表25】
【0049】
本発明の融合タンパク質が修飾されたIgG3 Fcポリペプチドを含むいくつかの実施形態によれば、融合タンパク質の修飾されたIgG3 Fcポリペプチドは、配列番号55、56、57、58又は59のアミノ酸配列に対して、少なくとも50%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一である修飾されたヒトIgG3 Fcポリペプチド配列を含む。
【0050】
いくつかの実施形態によれば、ヒトIgG3 Fc領域は、抗体のグリコシル化を防止するためにアミノ酸Asn297(Kabat番号付け)で修飾され、例えばAsn297Ala(N297A)を有する。いくつかの実施形態によれば、ヒトIgG3 Fc領域は、半減期を延ばすために、アミノ酸435で修飾され、例えばArg435His(R435H)を有する。いくつかの実施形態によれば、ヒトIgG3 Fc領域は、Lys447を欠いている(Kabat et al 1991 Sequences of Proteins of Immunological Interestの欧州インデックス)。
【0051】
本発明の融合タンパク質がFcポリペプチドを含むいくつかの実施形態によれば、融合タンパク質のFcポリペプチドは、以下のアミノ酸配列を有するヒトIgG4 Fcポリペプチド配列を含む:
【表26】
【0052】
本発明の融合タンパク質がFcポリペプチドを含むいくつかの実施形態によれば、融合タンパク質のFcポリペプチドは、融合タンパク質のFcポリペプチドのN末端に結合されるヒンジ領域を含み、ここでFcポリペプチドは、以下のアミノ酸配列を有するヒトIgG4 Fcポリペプチド配列を含む:
【表27】
【0053】
本発明の融合タンパク質がFcポリペプチドを含むいくつかの実施形態によれば、融合タンパク質のFcポリペプチドは、配列番号6又は60のアミノ酸配列に対して、少なくとも50%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一であるヒトIgG4 Fcポリペプチド配列を含む。
【0054】
本発明の融合タンパク質が修飾されたIgG4 Fcポリペプチドを含むいくつかの実施形態によれば、融合タンパク質の修飾されたIgG4 Fcポリペプチドは、上記に示される配列番号5の残基6の残基22、26及び19、又は配列番号60の残基34、38及び210に対応する残基M252、T256及びM428での変異を含み、そして以下のアミノ酸配列(変異導入されたアミノ酸残基は囲まれている)を有する:
【表28】
【0055】
本発明の融合タンパク質が修飾されたIgG4 FcポリペプチドのN末端に結合されるヒンジ領域を含むいくつかの実施形態によれば、融合タンパク質の修飾されたIgG4 Fcポリペプチドは、上記に示される配列番号6の残基22、26及び197又は配列番号60の残基34、38及び210に対応する、残基M252、T256及びM428で変異を含み、そして融合タンパク質は、以下のアミノ酸配列(変異導入されたアミノ酸残基は囲まれている)を少なくとも含む:
【表29】
【0056】
本発明の融合タンパク質が修飾されたIgG4 Fcポリペプチドを含むいくつかの実施形態によれば、融合タンパク質の修飾されたIgG4 Fcポリペプチドは、上記に示される配列番号6の残基6又、配列番号60の残基19に対応する残基G236が欠失されている修飾されたヒトIgG4 Fcポリペプチド配列を含み、そして以下のアミノ酸配列を有する:
【表30】
【0057】
本発明の融合タンパク質が修飾されたIgG4 FcポリペプチドのN末端に結合されるヒンジ領域を含むいくつかの実施形態によれば、融合タンパク質の修飾されたIgG4 Fcポリペプチドは、上記に示される配列番号6の残基6又、配列番号60の残基19に対応する、残基G236が欠失されている修飾されたヒトIgG4 Fcポリペプチド配列を含み、そして融合タンパク質が、少なくとも以下のアミノ酸配列を有する:
【表31】
【0058】
本発明の融合タンパク質が修飾されたIgG4 Fcポリペプチドを含むいくつかの実施形態によれば、融合タンパク質の修飾されたIgG4 Fcポリペプチドは、上記に示される配列番号6の残基5、又は配列番号60の残基17に対応する、残基L235で変異を含み、そして以下のアミノ酸配列(変異導入されたアミノ酸残基は囲まれている)を含む:
【表32】
【0059】
本発明の融合タンパク質が修飾されたIgG4 FcポリペプチドのN末端に結合されるヒンジ領域を含むいくつかの実施形態によれば、融合タンパク質の修飾されたIgG4 Fcポリペプチドは、上記に示される配列番号6の残基5、又は配列番号60の残基17に対応する、残基L235で変異を含み、そして融合タンパク質が、少なくとも以下のアミノ酸配列(変異導入されたアミノ酸残基は囲まれている)を含む:
【表33】
【0060】
本発明の融合タンパク質が修飾されたIgG4 Fcポリペプチドを含むいくつかの実施形態によれば、融合タンパク質の修飾されたIgG4 Fcポリペプチドは、は上記に示される配列番号6の残基4及び5、又配列番号60の残基16及び17に対応する、残基L234及びL235で変異を含み、そして以下のアミノ酸配列(変異導入されたアミノ酸残基は囲まれている)を有する:
【表34】
【0061】
本発明の融合タンパク質が修飾されたIgG4 FcポリペプチドのN末端に結合されるヒンジ領域を含むいくつかの実施形態によれば、融合タンパク質の修飾されたIgG4 Fcポリペプチドは、上記に示される配列番号6の残基4及び5、又は配列番号60の残基16及び17に対応する、残基L234及びL235で変異を含み、そして融合タンパク質は、少なくとも以下のアミノ酸配列(変異導入されたアミノ酸残基は囲まれている)を有する:
【表35】
【0062】
本発明の融合タンパク質が修飾されたIgG4 Fcポリペプチドを含むいくつかの実施形態によれば、融合タンパク質の修飾されたIgG4 Fcポリペプチドは、上記に示される配列番号60の残基10に対応する、残基S228で変異を含み、そして以下のアミノ酸配列(変異導入されたアミノ酸残基は囲まれている)を有する:
【表36】
【0063】
本発明の融合タンパク質が修飾されたIgG4 FcポリペプチドのN末端に結合されるヒンジ領域を含むいくつかの実施形態によれば、融合タンパク質の修飾されたIgG4 Fcポリペプチドは、上記に示される配列番号60の残基10及び17に対応する、残基S228及びL235で変異を含み、そして融合タンパク質が、少なくとも以下のアミノ酸配列(変異導入されたアミノ酸残基は囲まれている)を含む:
【表37】
【0064】
本発明の融合タンパク質が修飾されたIgG4 Fcポリペプチドを含むいくつかの実施形態によれば、融合タンパク質の修飾されたIgG4 Fcポリペプチドは、上記に示される配列番号6の残基5、22、26及び197、又は配列番号60の残基17、34、38及び210に対応する、残基L235、M252、T256及びM428で変異を含み、そして以下のアミノ酸配列(変異導入されたアミノ酸残基は囲まれている)を有する:
【表38】
【0065】
本発明の融合タンパク質が修飾されたIgG4 FcポリペプチドのN末端に結合されるヒンジ領域を含むいくつかの実施形態によれば、融合タンパク質の修飾されたIgG4 Fcポリペプチドは、上記に示される配列番号6の残基5、22、26及び197、又は配列番号60の残基17、34、38及び210に対応する、残基L235、M252、T256及びM428で変異を含み、そして融合タンパク質が、少なくとも以下のアミノ酸配列(変異導入されたアミノ酸残基は囲まれている)を含む:
【表39】
【0066】
本発明の融合タンパク質が修飾されたIgG4 FcポリペプチドのN末端に結合されるヒンジ領域を含むいくつかの実施形態によれば、融合タンパク質の修飾されたIgG4 Fcポリペプチドは、上記に示される配列番号60の残基10、17、34、38及び210に対応する、残基S228、L235、M252、T256及びM428で変異を含み、そして融合タンパク質が、少なくも以下のアミノ酸配列(変異導入されたアミノ酸残基は囲まれている)を含む:
【表40】
【0067】
本発明の融合タンパク質が修飾されたIgG4 Fcポリペプチドを含むいくつかの実施形態によれば、融合タンパク質の修飾されたIgG4 Fcポリペプチドは、配列番号61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72又は73のアミノ酸配列に対して、少なくとも50%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一である修飾されたヒトIgG4 Fcポリペプチド配列を含む。
【0068】
本発明の融合タンパク質がFcポリペプチドを含むいくつかの実施形態によれば、融合タンパク質のFcポリペプチドは、以下のアミノ酸配列を有するヒトIgM Fcポリペプチド配列を含む:
【表41】
【0069】
本発明の融合タンパク質がFcポリペプチドを含むいくつかの実施形態によれば、融合タンパク質のFcポリペプチドは、配列番号7のアミノ酸配列に対して、少なくとも50%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一であるヒトIgM Fcポリペプチド配列を含む。
【0070】
いくつかの実施形態によれば、セルピン−Fc融合タンパク質は、配列番号3、4、5、6、7、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72又は73の任意の1つのアミノ酸配列を含むか、又はそのアミノ酸配列に由来するFcポリペプチド配列に対して操作可能的に連結されるAATタンパク質の反応部位ループ部分のアミノ酸配列を少なくとも含む。いくつかの実施形態によれば、Fcポリペプチドは、配列番号43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72及び73から成る群から選択されるアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態によれば、Fcポリペプチドは、配列番号43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72及び73から成る群から選択されるアミノ酸配列に対して、少なくとも50%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一であるアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態によれば、AATタンパク質の反応部位ループ部分は、配列番号1のアミノ酸配列を少なくとも含む。いくつかの実施形態によれば、セルピンポリペプチド及びFcポリペプチドは、リンカー領域、例えばグリシン−セリンリンカー又はグリシン−セリン系リンカーを介して操作可能的に連結される。いくつかの実施形態によれば、セルピンポリペプチド及びFcポリペプチドは、ヒンジ領域を介して操作可能的に連結される。いくつかの実施形態によれば、セルピンポリペプチド及びFcポリペプチドは、リンカー領域及びヒンジ領域を介して操作可能的に連結される。他の実施形態によれば、セルピンポリペプチド及びFcポリペプチドは、直接結合される。
【0071】
いくつかの実施形態によれば、セルピン−Fc融合タンパク質は、配列番号3、4、5、6、7、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72又は73の任意の1つのアミノ酸配列を含むか、又はそれに由来するFcポリペプチド配列に操作可能的に連結されるAATタンパク質の反応部位ループ部分の変異体のアミノ酸配列を少なくとも含む。いくつかの実施形態によれば、Fcポリペプチドは、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72及び73から成る群から選択されたアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態によれば、Fcポリペプチドは、配列番号43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72及び73から成る群から選択されたアミノ酸配列に対して、少なくとも50%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一であるアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態によれば、AATタンパク質の反応部位ループ部分の変異体は、配列番号32又は33のアミノ酸配列を少なくとも含む。いくつかの実施形態によれば、セルピンポリペプチド及びFcポリペプチドは、リンカー領域、例えばグリシン−セリンリンカー又はグリシン−セリン系リンカーを介して操作可能的に連結される。いくつかの実施形態によれば、セルピンポリペプチド及びFcポリペプチドは、ヒンジ領域を介して操作可能的に連結される。いくつかの実施形態によれば、セルピンポリペプチド及びFcポリペプチドは、リンカー領域及びヒンジ領域を介して操作可能的に連結される。他の実施形態によれば、セルピンポリペプチド及びFcポリペプチドは、直接結合される。
【0072】
いくつかの実施形態によれば、セルピン−Fc融合タンパク質は、配列番号3、4、5、6、7、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72又は73の任意の1つのアミノ酸配列を含むか、又はそれに由来するFcポリペプチドに操作可能的に連結される配列番号2のアミノ配列を有する全長ヒトAATポリペプチド配列を含む。いくつかの実施形態によれば、Fcポリペプチドは、配列番号43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72及び73から成る群から選択されたアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態によれば、Fcポリペプチドは、配列番号43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72及び73から成る群から選択されたアミノ酸配列に対して、少なくとも50%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一であるアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態によれば、セルピン−Fc融合タンパク質は、配列番号3、4、5、6、7、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72又は73の任意の1つのアミノ酸配列を含むか、又はそれに由来するFcポリペプチド配列に操作可能的に連結される配列番号2のアミノ酸配列に対して少なくとも50%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一であるヒトAATポリペプチド配列を含む。いくつかの実施形態によれば、Fcポリペプチドは、配列番号43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72及び73から成る群から選択されたアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態によれば、Fcポリペプチドは、配列番号43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72及び73から成る群から選択されたアミノ酸配列に対して少なくとも50%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一であるアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態によれば、セルピンポリペプチド及びFcポリペプチドは、リンカー領域、例えばグリシン−セリンリンカー又はグリシン−セリン系リンカーを介して操作可能的に連結される。いくつかの実施形態によれば、セルピンポリペプチド及びFcポリペプチドは、ヒンジ領域を介して操作可能的に連結される。いくつかの実施形態によれば、セルピンポリペプチド及びFcポリペプチドは、リンカー領域及びヒンジ領域を介して操作可能的に連結される。他の実施形態によれば、セルピンポリペプチド及びFcポリペプチドは、直接結合される。
【0073】
いくつかの実施形態によれば、セルピン−Fc融合タンパク質は、配列番号3、4、5、6、7、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72又は73の任意の1つのアミノ酸配列を含むか、又はそれに由来するFcポリペプチドに操作可能的に連結される配列番号80のアミノ配列を有する全長ヒトAATポリペプチド配列を含む。いくつかの実施形態によれば、セルピン−Fc融合タンパク質は、配列番号3、4、5、6、7、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72又は73の任意の1つのアミノ酸配列を含むか、又はそれに由来するFcポリペプチド配列に操作可能的に連結される配列番号80のアミノ酸配列に対して少なくとも50%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一であるヒトAATポリペプチド配列を含む。いくつかの実施形態によれば、セルピンポリペプチド及びFcポリペプチドは、リンカー領域、例えばグリシン−セリンリンカー又はグリシン−セリン系リンカーを介して操作可能的に連結される。いくつかの実施形態によれば、セルピンポリペプチド及びFcポリペプチドは、ヒンジ領域を介して操作可能的に連結される。いくつかの実施形態によれば、セルピンポリペプチド及びFcポリペプチドは、リンカー領域及びヒンジ領域を介して操作可能的に連結される。他の実施形態によれば、セルピンポリペプチド及びFcポリペプチドは、直接結合される。
【0074】
本明細書において提供される融合タンパク質のいくつかの実施形態によれば、セルピン融合タンパク質の第二ポリペプチド(ポリペプチド2)は、サイトカイン標的化ポリペプチドであるか、又はサイトカイン標的化ポリペプチドに由来する。それらの実施形態は、「セルピン−サイトカイン標的化ポリペプチド融合タンパク質」として、本明細書において集合的に言及される。本明細書に記載されるセルピン−サイトカイン標的化ポリペプチド融合タンパク質は、セルピンポリペプチド、又はセルピンポリペプチド由来のアミノ酸配列、及びサイトカイン標的化ポリペプチド、又はその誘導体を少なくとも含む。いくつかの実施形態によれば、セルピン−サイトカイン標的化ポリペプチド融合タンパク質は、単一セルピンポリペプチドを含む。他の実施形態によれば、セルピン−サイトカイン標的化ポリペプチド融合タンパク質は、2つ以上のセルピンポリペプチドを含み、そしてそれらの実施形態は、「セルピン
(a’)−サイトカイン標的化ポリペプチド融合タンパク質」((a’)は少なくとも2の整数である)として、本明細書において集合的に言及される。いくつかの実施形態によれば、セルピン
(a’)−サイトカイン標的化ポリペプチド融合タンパク質中の各セルピンポリペプチドは、同じアミノ酸配列を含む。他の実施形態によれば、セルピン
(a’)−サイトカイン標的化ポリペプチド融合タンパク質中の各セルピンポリペプチドは、異なったアミノ酸配列を有するセルピンポリペプチドを含む。
【0075】
いくつかの実施形態によれば、セルピン−サイトカイン標的化ポリペプチド融合タンパク質中のサイトカイン標的化ポリペプチドは、サイトカイン受容体であるか、又はサイトカイン受容体に由来する。好ましい実施形態によれば、サイトカイン標的化ポリペプチド、又はサイトカイン受容体に由来するアミノ酸配列は、ヒトサイトカイン受容体配列であるか、又はそれに由来する。他の実施形態によれば、サイトカイン標的化ポリペプチドは、抗体又は抗体フラグメント、例えば抗−サイトカイン抗体又は抗−サイトカイン抗体フラグメントである。好ましい実施形態によれば、サイトカイン標的化ポリペプチド、又は抗体又は抗体フラグメントに由来するアミノ酸配列は、キメラ、ヒト化、又は完全ヒト抗体配列に由来する。用語、抗体フラグメントは、単鎖、Fabフラグメント、F(ab’)
2フラグメント、scFv、scAb、dAb、単一ドメイン重鎖抗体及び単一ドメイン軽鎖抗体を含む。
【0076】
他の実施形態によれば、サイトカイン標的化ポリペプチドは、サイトカイン受容体を結合し、そして受容体へのサイトカインの結合を妨げる。他の実施形態によれば、サイトカイン標的化ポリペプチドは、抗体又は抗体フラグメント、例えば抗−サイトカイン受容体抗体又は抗−サイトカイン受容体抗体フラグメントである。
【0077】
いくつかの実施形態によれば、セルピン−サイトカイン標的化ポリペプチド融合タンパク質のセルピンポリペプチドは、AATタンパク質の反応部位ループ部分のアミノ酸配列を少なくとも含む。いくつかの実施形態によれば、AATタンパク質の反応部位ループ部分は、配列番号1のアミノ酸配列を少なくとも含む。いくつかの実施形態によれば、セルピン−サイトカイン標的化融合タンパク質のセルピンポリペプチドは、AATタンパク質の反応部位ループ部分の変異体のアミノ酸配列を少なくとも含む。いくつかの実施形態によれば、AATタンパク質の反応部位ループ部分の変異体は、配列番号32又は33のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態によれば、セルピン−サイトカイン標的化融合タンパク質のセルピンポリペプチドは、配列番号2のアミノ酸配列を有する全長ヒトAATポリペプチド配列を含むか、又はそれに由来する。いくつかの実施形態によれば、セルピン−サイトカイン標的化融合タンパク質のセルピンポリペプチドは、配列番号80のアミノ酸配列を有する完全ヒトAATポリペプチド配列を少なくとも含むか、又はそれに由来する。いくつかの実施形態によれば、セルピン−サイトカイン標的化融合タンパク質のセルピンポリペプチドは、配列番号2、32、33又は80のアミノ酸配列に対して少なくとも50%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一であるヒトAATポリペプチド配列を含む。
【0078】
いくつかの実施形態によれば、セルピン−サイトカイン標的化融合タンパク質のセルピンポリペプチドは、AATポリペプチド配列、或いはGenBank受託番号AAB59495.1、CAJ15161.1、P01009.3、AAB59375.1、AAA51546.1、CAA25838.1、NP_001002235.1、CAA34982.1、NP_001002236.1、NP_000286.3、NP_001121179.1、NP_001121178.1、NP_001121177.1、NP_001121176.16、NP_001121175.1、NP_001121174.1、NP_001121172.1及び/又はAAA51547.1で示されるヒトAATポリペプチド配列の1又は2以上の配列であるか、又はそれに由来するAATポリペプチドに由来するアミノ酸配列を含む。
【0079】
セルピン−サイトカイン標的化ポリペプチド融合タンパク質は、セルピン−Fc融合タンパク質の一部を組込むことができる。例えば、抗体はFcポリペプチドを含む。従って、サイトカイン標的化ポリペプチドがサイトカイン−標的化抗体であるいくつかの実施形態によれば、セルピン−サイトカイン標的化ポリペプチド融合タンパク質は、セルピン−Fc融合タンパク質の一部を組込むであろう。さらに、治療的に有用であるほとんどの受容体融合タンパク質は、Fc融合タンパク質である。従って、セルピン−サイトカイン標的化ポリペプチド融合タンパク質がセルピン−サイトカイン受容体融合タンパク質であるいくつかの実施形態によれば、セルピン−サイトカイン標的化ポリペプチド融合タンパク質は、セルピン部分及びサイトカイン受容体部分に加えて、Fcポリペプチドを組込んでもよい。
【0080】
セルピン−サイトカイン標的化ポリペプチド融合タンパク質がFcポリペプチドを含むいくつかの実施形態によれば、Fcポリペプチド配列は、配列番号3、4、5、6、7、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72又は73の任意の1つのアミノ酸配列を含むか、又はそれに由来する。セルピン−サイトカイン標的化融合タンパク質がFcポリペプチド配列を含むいくつかの実施形態によれば、Fcポリペプチド配列は、配列番号3、4、5、6、7、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72又は73のアミノ酸の任意の1つに対して、少なくとも50%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%の同一性を有する。いくつかの実施形態によれば、セルピンポリペプチド及びサイトカイン標的化ポリペプチドは、リンカー領域、例えばグリシン−セリンリンカー又はグリシン−セリン系リンカーを介して操作可能的に連結される。いくつかの実施形態によれば、セルピンポリペプチド及びサイトカイン標的化ポリペプチドは、ヒンジ領域を介して操作可能的に連結される。いくつかの実施形態によれば、セルピンポリペプチド及びサイトカイン標的化ポリペプチドは、リンカー領域及びヒンジ領域を介して操作可能的に連結される。他の実施形態によれば、セルピンポリペプチド及びサイトカイン標的化ポリペプチドは、直接結合される。
【0081】
本明細書に提供される融合タンパク質のいくつかの実施形態によれば、セルピン融合タンパク質の第二ポリペプチド(ポリペプチド2)は、ホエー酸性タンパク質(WAP)ドメイン含有ポリペプチド、又はWAPドメイン含有ポリペプチドに由来するアミノ酸配列である。それらの実施形態は、「セルピン−WAPドメイン融合タンパク質」として、集合的に本明細書において言及される。セルビン−WAPドメイン融合タンパク質は、少なくともセルピンポリペプチド又は少なくともセルピン由来のアミノ酸配列、WAPドメイン含有ポリペプチド又はWAPドメイン含有ポリペプチドに由来するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態によれば、セルピン−WAPドメイン融合タンパク質は、単一のセルピンポリペプチドを含む。他の実施形態によれば、セルピン−WAP標的化ポリペプチド融合タンパク質は、複数のセルピンポリペプチドを含む。それらの実施形態は、「セルピン
(a’)−WAPドメイン融合タンパク質」((a’)は少なくとも2の整数である)として、本明細書において集合的に言及される。いくつかの実施形態によれば、セルピン
(a’)−WAPドメイン融合タンパク質のセルピンポリペプチドは、同じアミノ酸配列を含む。他の実施形態によれば、セルピン
(a’)−サイトカイン標的化ポリペプチド融合タンパク質のセルピンポリペプチドは、異なったアミノ酸配列を有するセルピンポリペプチドを含む。
【0082】
それらのセルピン−WAPドメイン融合タンパク質は、WAPドメイン含有ポリペプチド、又はWAPドメイン含有ポリペプチドであるか、又はそれに由来するポリペプチド配列を含む。WAPドメインは、特徴的な4−ジスルフィドコア配列(また、4−ジスルフィドコアモチーフとも呼ばれる)に見出される8個のシステイン含有の50個のアミノ酸の進化的に保存された配列モチーフである。WAPドメイン配列モチーフは、多くのタンパク質におけるセリンプロテアーゼ阻害活性により特徴づけられる機能的モチーフである。
【0083】
本明細書に提供される融合タンパク質への使用のために適切なWAPドメイン含有ポリペプチドは、非制限的な例によれば、分泌型白血球プロテアーゼインヒビター(SLPI)、エラフィン(Elafin)及びエッピン(Eppin)を含む。
【0084】
いくつかの実施形態によれば、融合タンパク質のWAPドメイン含有ポリペプチド配列は、分泌型白血球プロテアーゼインヒビター(SLPI)ポリペプチド配列、又はSLPIに由来するアミノ酸配列を含む。それらの実施形態は、「セルピン−SLPI由来の融合タンパク質」として、本明細書において言及される。いくつかの実施形態によれば、SLPIポリペプチド配列は、SLPIタンパク質の一部、例えばWAP2ドメイン、又はその下位部分(sub−portion)を含む。好ましい実施形態によれば、SLPIポリペプチド配列、又はSLPIに由来するアミノ酸配列は、ヒトSLPIポリペプチド配列であるか、又はそれに由来する。
【0085】
本発明のセルビン−SLPI融合タンパク質のいくつかの実施形態によれば、融合タンパク質のSLPI配列又はSLPI由来の配列は、以下のアミノ酸配列を有する全長ヒトSLPIポリペプチド配列を含む:
【表42】
【0086】
本発明のセルピン−SLPI融合タンパク質のいくつかの実施形態によれば、融合タンパク質のSLPI配列又はSLPI由来の配列は、配列番号8のアミノ酸配列に対して、少なくとも50%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一であるヒトSLPIポリペプチド配列を含む。
【0087】
本発明のセルピン−SLPI融合タンパク質のいくつかの実施形態によれば、融合タンパク質のSLPI配列又はSLPI由来の配列は、全長ヒトSLPIポリペプチド配列の一部を含み、ここで前記一部は、以下のアミノ酸配列を有する:
【表43】
【0088】
本発明のセルピン−SLPI融合タンパク質のいくつかの実施形態によれば、融合タンパク質のSLPI配列又はSLPI由来の配列は、配列番号9のアミノ酸配列に対して、少なくとも50%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一であるヒトSLPIポリペプチド配列を含む。
【0089】
本発明のセルピン−SLPI融合タンパク質のいくつかの実施形態によれば、融合タンパク質のSLPI配列又はSLPI由来の配列は、全長ヒトSLPIポリペプチド配列のWAP2ドメインを含み、ここで前記WAP2ドメインは、以下のアミノ酸配列を有する:
【表44】
【0090】
本発明のセルピン−SLPI融合タンパク質のいくつかの実施形態によれば、融合タンパク質のSLPI配列又はSLPI由来の配列は、配列番号10のアミノ酸配列に対して、少なくとも50%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一であるヒトSLPIポリペプチド配列を含む。
【0091】
本発明のセルピン−SLPI融合タンパク質のいくつかの実施形態によれば、SLPIポリペプチド配列、又はSLPIポリペプチド由来のアミノ酸配列は、GenBank受託番号 CAA28187.1、NP_003055.1、EAW75869.1、P03973.2、AAH20708.1、CAB64235.1、CAA28188.1、AAD19661.1及び/又はBAG35125.1に示されるヒトSLPIポリペプチド配列の1又は2以上の配列であるか、又はそれに由来する。
【0092】
本発明のセルピン−SLPI融合タンパク質のいくつかの実施形態によれば、融合タンパク質のSLPIポリペプチド配列又はSLPI由来の配列は、メチオニン(Met)残基で修飾されるヒトSLPIポリペプチドを含む。それらのMet変異においては、Met残基が任意のアミノ酸により置換される。例えば、Met残基は、疎水性側鎖を有するアミノ酸、例えばロイシン(Leu、L)又はバリン(Val、V)により置換され得る。理論的に束縛されるものではないが、Met変異(単数又は複数)は、本発明の融合タンパク質の酸化及び続くその阻害活性の不活性化を防止する。いくつかの実施形態によれば、Met変異は、SLPIポリペプチドの位置98に存在する。例えば、セルピン−SLPIの修飾されたSLPIポリペプチド配列は、配列番号8において変異M98L又はM98Vを含む。
【0093】
他の実施形態によれば、融合タンパク質のWAPドメイン含有ポリペプチド配列は、エラフィン(elafin)ポリペプチド配列、又はエラフィン由来のアミノ酸配列を含む。それらの実施形態は、「セルピン−エラフィン融合タンパク質」として、本明細書において言及される。いくつかの実施形態によれば、エラフィンポリペプチド配列は、エラフィンタンパク質の一部、例えばWAPドメイン又はその下部部分を含む。好ましい実施形態によれば、エラフィンポリペプチド配列、又はエラフィン由来のアミノ酸配列は、ヒトエラフィンポリペプチド配列であるか、又はそれに由来する。
【0094】
セルピン−エラフィン融合タンパク質のいくつかの実施形態によれば、融合タンパク質は、以下のアミノ酸配列を有する全長ヒトエラフィンポリペプチド配列を含む:
【表45】
【0095】
セルピン−エラフィン融合タンパク質のいくつかの実施形態によれば、融合タンパク質は、配列番号11のアミノ酸に対して、少なくとも50%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一であるヒトエラフィンポリペプチド配列を含む。
【0096】
セルピン−エラフィン融合タンパク質のいくつかの実施形態によれば、融合タンパク質は、以下のアミノ酸配列を有する、全長ヒトエラフィンポリペプチド配列の一部を含む:
【表46】
【0097】
セルピン−エラフィン融合タンパク質のいくつかの実施形態によれば、融合タンパク質は、配列番号12のアミノ酸に対して、少なくとも50%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一であるヒトエラフィンポリペプチド配列を含む。
【0098】
セルピン−エラフィン融合タンパク質のいくつかの実施形態によれば、融合タンパク質は、以下のアミノ酸配列を有する、全長ヒトエラフィンポリペプチド配列のWAPドメインを含む:
【表47】
【0099】
セルピン−エラフィン融合タンパク質のいくつかの実施形態によれば、融合タンパク質は、配列番号13のアミノ酸に対して、少なくとも50%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一であるヒトエラフィンポリペプチド配列を含む。
【0100】
セルピン−エラフィン融合タンパク質のいくつかの実施形態によれば、エラフィンポリペプチド配列、又はエラフィンポリペプチドに由来するアミノ酸配列は、GenBank受託番号P19957.3、NP_002629.1、BAA02441.1、EAW75814.1、EAW75813.1、Q8IUB2.1及び/又はNP_542181.1に示されるヒトエラフィンポリペプチド配列の1又は2以上の配列に由来する。
【0101】
他の実施形態によれば、融合タンパク質のWAPドメイン含有ポリペプチド配列は、エッピンポリペプチド配列、又はエッピンポリペプチド由来のアミノ酸配列を含む。それらの実施形態は、「セルピン
(a’)−エッピン融合タンパク質」として、本明細書において言及される。いくつかの実施形態によれば、セルピン−エッピン融合タンパク質のエッピンポリペプチド配列は、エッピンタンパク質の一部、例えばWAPドメイン又はその下部部分を含む。好ましい実施形態によれば、エッピンポリペプチド、又はエッピン由来のアミノ酸配列は、ヒトエッピンポリペプチド配列であるか、又はそれに由来する。
【0102】
セルピン−エッピン融合タンパク質のいくつかの実施形態によれば、エッピンポリペプチド配列、又はエッピンポリペプチドに由来するアミノ酸配列は、GenBank受託番号O95925.1、NP_065131.1、AAH44829.2、AAH53369.1、AAG00548.1、AAG00547.1及び/又はAAG00546.1に示されるヒトエッピンポリペプチド配列の1又は2以上の配列に由来する。
【0103】
いくつかの実施形態によれば、セルピン−WAPドメイン融合タンパク質のセルピンポリペプチドは、AATタンパク質の反応部位ループ部分のアミノ酸配列を少なくとも含む。いくつかの実施形態によれば、AATタンパク質の反応部位ループ部分は、配列番号1のアミノ酸配列を少なくとも含む。いくつかの実施形態によれば、セルピン−WAP融合タンパク質のセルピンポリペプチドは、AATタンパク質の反応部位ループ部分の変異体のアミノ酸配列を少なくとも含む。いくつかの実施形態によれば、AATタンパク質の反応部位ループ部分の変異体は、配列番号32又は33のアミノ酸配列を少なくとも含む。いくつかの実施形態によれば、セルピン−WAPドメイン融合タンパク質のセルピンポリペプチドは、配列番号2のアミノ酸配列を有する全長ヒトAATポリペプチド配列を少なくとも含む。いくつかの実施形態によれば、セルピン−サイトカイン標的化融合タンパク質のセルピンポリペプチドは、配列番号80のアミノ酸配列を有する全長ヒトAATポリペプチド配列を少なくとも含むか、又はそれに由来する。いくつかの実施形態によれば、セルピン−WAPドメイン融合タンパク質のセルピンポリペプチドは、配列番号2、32、33又は80のアミノ酸配列に対して、少なくとも50%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一であるヒトAATポリペプチド配列を含む。
【0104】
いくつかの実施形態によれば、セルピン−WAPドメイン融合タンパク質のセルピンポリペプチドは、AATポリペプチド配列又はAATポリペプチドに由来するアミノ酸配列が、GenBank受託番号 AAB59495.1、CAJ15161.1、P01009.3、AAB59375.1、AAA51546.1、CAA25838.1、NP_001002235.1、CAA34982.1、NP_001002236.1、NP_000286.3、NP_001121179.1、NP_001121178.1、NP_001121177.1、NP_001121176.16、NP_001121175.1、NP_001121174.1、NP_001121172.1及び/又はAAA51547.1に示されるヒトAATポリペプチド配列の1又は2以上の配列である、又はそれに由来するものを含む。
【0105】
いくつかの実施形態によれば、セルピン−WAPドメイン融合タンパク質はまた、Fcポリペプチド、又はFcポリペプチドに由来するアミノ酸配列も含み得る。それらの実施形態は、「セルピン−Fc−WAPドメイン融合タンパク質」として、本明細書において、集合的に言及される。それらの実施形態によれば、この用語法によって特定の順序が解釈されるべきではない。例えば、融合タンパク質の順序は、セルピン−Fc−WAPドメイン、セルピン−WAPドメイン−Fc、又はその任意の変型の組合せであり得る。本明細書に記載されるセルピン−Fc−WAPドメイン融合タンパク質は、セルピンポリペプチド又はセルピンに由来するアミノ酸配列、WAPドメイン含有ポリペプチド又はWAPドメイン含有ポリペプチドに由来するアミノ酸配列、及びFcポリペプチド又はFcポリペプチドに由来するアミノ酸配列を少なくとも含む。
【0106】
セルピン−WAPドメイン融合タンパク質がFcポリペプチド配列を含むいくつかの実施形態によれば、Fcポリペプチド配列は、配列番号3〜7及び43〜73のアミノ酸配列を有し得る。セルピン−WAPドメイン融合タンパク質がFcポリペプチド配列を含むいくつかの実施形態によれば、Fcポリペプチド配列は、配列番号3〜7及び43〜73のアミノ酸配列に対して、少なくとも50%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%の同一性を有する。いくつかの実施形態によれば、セルピン−WAPドメイン融合タンパク質はまた、アルブミンポリペプチド、又はアルブミンポリペプチドに由来するアミノ酸配列も含み得る。それらの実施形態は、「セルピン−アルブミン−WAPドメイン融合タンパク質」として、本明細書において集合的に言及される。それらの実施形態によれば、この用語法によって特定の順序は解釈されない。例えば、融合タンパク質の順序は、セルピン−アルブミン−WAPドメイン、セルピン−WAPドメイン−アルブミン、又はその任意の変型の組合せであり得る。本明細書に記載されるセルピン−アルブミン−WAPドメイン融合タンパク質は、セルピンポリペプチド又はセルピンに由来するアミノ酸配列、WAPドメイン含有ポリペプチド又はWAPドメイン含有ポリペプチドに由来するアミノ酸配列、及びアルブミンポリペプチド又はアルブミンポリペプチドに由来するアミノ酸配列を含む。
【0107】
セルピン−WAPドメイン融合タンパク質がアルブミンポリペプチド配列を含むいくつかの実施形態によれば、アルブミンポリペプチド配列は、本明細書に記載される配列番号14〜15のアミノ酸配列を有する。セルピン−WAPドメイン融合タンパク質がアルブミンポリペプチド配列を含むいくつかの実施形態によれば、アルブミンポリペプチド配列は、配列番号14又は15のアミノ酸配列のいずれか1つに対して、少なくとも50%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%の同一性を有する。
【0108】
いくつかの実施形態によれば、セルピン融合タンパク質の第二ポリペプチド(ポリペプチド2)は、アルブミンポリペプチドであるか、又はアルブミンポリペプチドに由来する。それらの実施形態は、「セルピン
(a’)−アルブミン融合タンパク質」として、本明細書において集合的に言及される。本明細書に記載されるセルピン−アルブミン融合タンパク質は、少なくとも、セルピンポリペプチド又はセルピンに由来するアミノ酸配列、及びアルブミンポリペプチド又はアルブミンポリペプチドに由来するアミノ酸配列を含む。さらに、本発明は、セルピンアルブミン結合ポリペプチド融合タンパク質に関し、ここでアルブミンは中間体結合分子を介してセルピンに操作可能的に連結される。ここで、セルピンは、ヒト血清アルブミンに非共有結合されるか、又は共有結合される。
【0109】
本発明の融合タンパク質がアルブミンポリペプチド配列を含む実施形態によれば、融合タンパク質のアルブミンポリペプチド配列は、ヒト血清アルブミン(HSA)ポリペプチド、又はHSAに由来するアミノ酸配列である。いくつかの実施形態によれば、融合タンパク質は、以下のアミノ酸配列を有するHSAポリペプチド配列を含む:
【表48】
【0110】
本発明の融合タンパク質がアルブミンポリペプチド配列を含むいくつかの実施形態によれば、融合タンパク質のアルブミンポリペプチド配列は、配列番号14のアミノ酸配列に対して、少なくとも50%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一であるヒト血清アルブミンポリペプチド配列を含む。
【0111】
本発明の融合タンパク質がアルブミンポリペプチド配列を含む実施形態によれば、融合タンパク質のアルブミンポリペプチド配列は、以下のアミノ酸配列を有するヒト血清アルブミンポリペプチド配列のドメイン3を含む:
【表49】
【0112】
本発明の融合タンパク質がアルブミンポリペプチド配列を含むいくつかの実施形態によれば、融合タンパク質のアルブミンポリペプチド配列は、配列番号15のアミノ酸配列に対して、少なくとも50%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一であるヒト血清アルブミンポリペプチド配列を含む。
【0113】
本発明の融合タンパク質がアルブミンポリペプチド配列を含むいくつかの実施形態によれば、融合タンパク質は、中間体アルブミン結合ポリペプチドを介して、ヒト血清アルブミンに連結される。アルブミン結合ポリペプチドは、抗体又は抗体フラグメントであるか、又は抗体フラグメントに由来する。好ましい実施形態によれば、アルブミン結合ポリペプチド、又は抗体又は抗体フラグメント由来するアミノ酸配列は、キメラ、ヒト化、又は完全ヒト抗体配列に由来する.用語、抗体フラグメントとは、単鎖、Fabフラグメント、F(ab’)
2フラグメント、scFv、scAb、dAb、単一ドメイン重鎖抗体及び単一ドメイン軽鎖抗体を含む。さらに、アルブミン結合ポリペプチドは、アルブミン結合ペプチドであり得る。本発明の別の実施形態は、セルピンアルブミン結合ポリペプチド融合体であり、ここでアルブミン結合ポリペプチドは、連鎖球菌(Streptococcal)プロテインG、又は連鎖球菌プロテインGのドメイン3に由来する配列である。
【0114】
いくつかの実施形態によれば、セルピン
(a’)−アルブミン融合タンパク質のセルピンポリペプチドは、AATタンパク質の反応部位ループ部分のアミノ酸配列を少なくとも含む。いくつかの実施形態によれば、AATタンパク質の反応部位ループ部分は、配列番号1つのアミノ酸配列を少なくとも含む。いくつかの実施形態によれば、セルビン−アルブミン融合タンパク質のセルピンポリペプチドは、AAT部分の反応部位ループ部分の変異体のアミノ酸配列を少なくとも含む。いくつかの実施形態によれば、AATタンパク質の反応部位ループ部分の変異体は、配列番号32又は33のアミノ酸配列を少なくとも含む。いくつかの実施形態によれば、セルピン−アルブミン融合タンパク質のセルピンポリペプチドは、配列番号2のアミノ酸配列を有する全長ヒトAATポリペプチド配列を少なくとも含む。いくつかの実施形態によれば、セルピン−サイトカイン標的化融合タンパク質のセルピンポリペプチドは、配列番号80のアミノ酸配列を有する全長ヒトAATポリペプチド配列を含むか、又はそれに由来する。いくつかの実施形態によれば、セルピン−アルブミン融合タンパク質のセルピンポリペプチドは、配列番号2、32、33又は80のアミノ酸配列に対して、少なくとも50%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一であるヒトAATポリペプチド配列を含む。
【0115】
いくつかの実施形態によれば、セルピン−アルブミン融合タンパク質のセルピンポリペプチドは、AATポリペプチド配列、又はAATポリペプチドに由来するアミノ酸配列を含み、そしてそのAATポリペプチド配列又はAATポリペプチドに由来するアミノ酸配列は、GenBank受託番号AAB59495.1、CAJ15161.1、P01009.3、AAB59375.1、AAA51546.1、CAA25838.1、NP_001002235.1、CAA34982.1、NP_001002236.1、NP_000286.3、NP_001121179.1、NP_001121178.1、NP_001121177.1、NP_001121176.16、NP_001121175.1、NP_001121174.1、NP_001121172.1及び/又はAAA51547.1に示されるヒトAATポリペプチド配列の1又は2以上の配列であるか、又はそれに由来する。
【0116】
いくつかの実施形態によれば、融合タンパク質は、1又は2以上のタンパク質分解切断部位を変異させることにより、タンパク質分解切断を高め、又は他方では、阻害するために修飾される。いくつかの実施形態によれば、融合タンパク質は、未変更の融合タンパク質に比較して、結合及び阻害機能を同時に保持しながら、融合タンパク質のFcエフェクター機能を変更するか、又は他方では、モジュレートするために修飾される。Fcエフェクター機能は、非制限的例によれば、次のものを包含する:Fc受容体結合、Fc受容体への結合に基づく前炎症性メディエーター放出の防止、ファゴサイトーシス、修飾された抗体依存性細胞介在性細胞毒性(ADCC)、修飾された補体依存性細胞毒性(CDC)、FcポリペプチドのAsn297残基(Kabat番号付けの欧州インデックス、Kabat et al 1991 Sequences of Proteins of Immunological Interest)における修飾されたグリコシル化。いくつかの実施形態によれば、融合タンパク質は、Fc受容体結合に影響を与えるために、変異導入されるか、又は他方では、修飾される。いくつかの実施形態によれば、Fcポリペプチドは、FcRn結合を増強するために修飾される。FcRnへの結合を増強するFcポリペプチド変異の例は、Met252Tyr、Ser254Thr、Thr256Glu (M252Y、S256T、T256E)(Kabat番号付け、Dall’Acqua et al 2006,J.Biol.Chem.Vol.281(33)23514−23524)又はMet428Leu及びAsn434Ser(M428L、N434S)(Zalevsky et al.2010 Nature Biotech.,Vol.28(2)157−159)(Kabat et al.1991 Sequences of Proteins of Immunological Interestの欧州インデックス)又はMet428Val及びAsn434Ser (M428V、N434S)(Kabat番号付けはシステムを用いる)。いくつかの実施形態によれば、変異導入された、又は修飾されたFcポリペプチドは、Met252Tyr(M252Y)、Ser254Thr(S256T)、Thr256Glu(T256E)、Met428Leu (M428L)、Met428Val(M428V)、Asn434Ser(N434S)、及びそれらの組合せから成る群から選択された1又は2以上の変異を含む。いくつかの実施形態によれば、Fcポリペプチド部分は、Fc−介在性二量体化を崩壊するために、変異導入されるか、又は他方では、修飾される(Ying et al.2012 J.Biol.Chem.287(23):19399−19408)。それらの実施形態によれば、融合タンパク質は、天然において単量体である。
【0117】
本明細書に提供される融合タンパク質及びその変異体は、セリンプロテアーゼ、例えばヒト好中球エラスターゼ(NE)、すなわち、炎症応答の間、好中球により分泌されるキモトリプシン−フォールドセリンプロテアーゼを阻害することにより、阻害活性を示す。本明細書に提供される融合タンパク質は、セリンプロテアーゼ、例えばヒトセリンプロテアーゼへの結合、又は他方では、そのプロテアーゼとの相互作用に基づいて、セリンプロテアーゼ発現又は活性を、完全に又は一部、低めるか、又は他方では、モジュレートする。セリンプロテアーゼの生物学的機能の低減又はモジュレーションは、融合タンパク質と、ヒトセリンプロテアーゼタンパク質、ポリペプチド及び/又はペプチドとの間の相互作用に基づいて、完全又は部分的である。本明細書に記載される融合タンパク質との相互作用の不在下、例えば結合の不在下でのセリンプロテアーゼ発現又は活性のレベルに比較して、融合タンパク質の存在下でのセリンプロテアーゼ発現又は活性のレベルが、少なくとも95%、例えば96%、97%、98%、99%又は100%低められる場合、融合タンパク質は、セリンプロテアーゼ発現又は活性を、完全に阻害するとみなされる。本明細書に記載される融合タンパク質との相互作用の不在下、例えば結合の不在下でのセリンプロテアーゼ発現又は活性のレベルに比較して、融合タンパク質の存在下でのセリンプロテアーゼ発現又は活性のレベルが、少なくとも95%以下、例えば10%、20%、25%、30%、40%、50%、60%、75%、80%、85% 又は90%低められる場合、融合タンパク質は、セリンプロテアーゼ発現又は活性を、部分的に阻害するとみなされる。
【0118】
本明細書に記載される融合タンパク質は、種々の治療、診断及び予防指標において有用である。例えば、融合タンパク質は、対象における種々の疾患及び障害の治療において有用である。いくつかの実施形態によれば、本明細書に記載される融合タンパク質を包含するセルピン融合タンパク質は、α−1−抗トリプシン(AAT)欠損症、気腫、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)、アレルギー性喘息、嚢胞性線維症、肺癌、虚血−再灌流傷害(例えば、心臓移植後の虚血/再灌流傷害を含む)、心筋梗塞、慢性関節リウマチ、敗血症性関節炎、乾癬性関節炎、強直性脊椎炎、クローン病、乾癬、I型及び/又はII型糖尿病、細菌感染、真菌感染、ウイルス感染、肺炎、敗血症、移植片対宿主病(GVHD)、創傷治癒、全身性エリテマトーデス、及び多発性硬化症から選択された疾患又は障害を有するか、又はそのリスクがあるものとして同定されている対象における疾患又は障害の症状を治療し、軽減し、その進行を改善し、そして/又は遅延することにおいて有用である。
【0119】
本発明の医薬組成物は、本発明の融合タンパク質(修飾された融合タンパク質及び他の変異体を含む)と、適切な担体とを共に含む。それらの医薬組成物は、キット、例えば診断キットに含まれ得る。