特表2017-537976(P2017-537976A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特表2017-537976タキサンを含む経口投与用薬学的組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2017-537976(P2017-537976A)
(43)【公表日】2017年12月21日
(54)【発明の名称】タキサンを含む経口投与用薬学的組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/337 20060101AFI20171124BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20171124BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20171124BHJP
   A61K 47/14 20060101ALI20171124BHJP
   A61K 47/10 20060101ALI20171124BHJP
   A61K 47/26 20060101ALI20171124BHJP
   A61K 9/08 20060101ALI20171124BHJP
   A61K 9/48 20060101ALI20171124BHJP
【FI】
   A61K31/337
   A61P35/00
   A61P43/00 105
   A61K47/14
   A61K47/10
   A61K47/26
   A61K9/08
   A61K9/48
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】29
(21)【出願番号】特願2017-543682(P2017-543682)
(86)(22)【出願日】2015年7月30日
(85)【翻訳文提出日】2017年5月26日
(86)【国際出願番号】KR2015007987
(87)【国際公開番号】WO2016068457
(87)【国際公開日】20160506
(31)【優先権主張番号】10-2014-0150173
(32)【優先日】2014年10月31日
(33)【優先権主張国】KR
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ
(71)【出願人】
【識別番号】517149645
【氏名又は名称】テファ ファーマ カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】DAE HWA PHARMA. CO., LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100077012
【弁理士】
【氏名又は名称】岩谷 龍
(72)【発明者】
【氏名】イ,インヒュン
(72)【発明者】
【氏名】ソン,ミンヒ
(72)【発明者】
【氏名】パク,ヨンテク
(72)【発明者】
【氏名】イ,スルエ
(72)【発明者】
【氏名】イ,ハング
【テーマコード(参考)】
4C076
4C086
【Fターム(参考)】
4C076AA13
4C076AA56
4C076BB01
4C076CC27
4C076DD01E
4C076DD01Q
4C076DD46E
4C076DD46Q
4C076DD68E
4C076DD68Q
4C076EE23E
4C076EE23Q
4C076EE49E
4C076EE49Q
4C076FF12
4C076FF15
4C076FF36
4C076FF68
4C076GG01
4C076GG46
4C076GG50
4C086AA01
4C086AA02
4C086BA02
4C086MA03
4C086MA05
4C086MA17
4C086MA37
4C086MA52
4C086NA02
4C086NA03
4C086NA10
4C086NA11
4C086ZB21
4C086ZB26
(57)【要約】
本発明は、(a)タキサン、(b)中鎖トリグリセライド、(c)30〜65重量%のモノオレオイルグリセロール;15〜50重量%のジオレオイルグリセロール;および2〜20重量%のトリオレオイルグリセロールを含有するオレオイルグリセロール複合体、(d)界面活性剤、および任意にポリオキシルグリセリル脂肪酸エステルを含む、経口投与用医薬組成物およびその製造方法を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)タキサン、
(b)中鎖トリグリセライド、
(c)30〜65重量%のモノオレオイルグリセロール;15〜50重量%のジオレオイルグリセロール;および2〜20重量%のトリオレオイルグリセロールを含有するオレオイルグリセロール複合体、および
(d)界面活性剤
を含む、経口投与用医薬組成物。
【請求項2】
前記オレオイルグリセロール複合体が、32〜52重量%のモノオレオイルグリセロール;30〜50重量%のジオレオイルグリセロール;および5〜20重量%のトリオレオイルグリセロールを含有することを特徴とする請求項1に記載の経口投与用医薬組成物。
【請求項3】
前記オレオイルグリセロール複合体が、55〜65重量%のモノオレオイルグリセロール;15〜35重量%のジオレオイルグリセロール;および2〜10重量%のトリオレオイルグリセロールを含有することを特徴とする請求項1に記載の経口投与用医薬組成物。
【請求項4】
前記タキサンが、パクリタキセル、ドセタキセル、7−エピパクリタキセル、t−アセチルパクリタキセル、10−デスアセチルパクリタキセル、10−デスアセチル−7−エピパクリタキセル、7−キシロシルパクリタキセル、10−デスアセチル−7−グルタリルパクリタキセル、7−N,N−ジメチルグリシルパクリタキセル、および7−L−アラニルパクリタキセルからなる群から選択される1種以上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の経口投与用医薬組成物。
【請求項5】
前記中鎖トリグリセライドが、トリアセチン、トリプロピオニン、トリブチリン、トリバレリン、トリカプロイン、トリカプリリン、トリカプリン、トリヘプタノイン、トリノナノイン、トリウンデカノイン、トリラウリン、トリトリデカノイン、トリミリスチン、トリペンタデカノイン、トリパルミチン、トリヘプタデカン酸グリセリル、およびトリオレインからなる群から選択される1種以上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の経口投与用医薬組成物。
【請求項6】
前記界面活性剤が、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロック共重合体、ソルビタンエステル、ポリオキシエチレンソルビタン、およびポリオキシエチレンエーテルからなる群から選択される1種以上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の経口投与用医薬組成物。
【請求項7】
0.5〜1.5重量%のタキサン、20〜35重量%の中鎖トリグリセライド、45〜60重量%のオレオイルグリセロール複合体、および15〜25重量%の界面活性剤を含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の経口投与用医薬組成物。
【請求項8】
0.8〜1.2重量%のタキサン、25〜30重量%の中鎖トリグリセライド、50〜55重量%のオレオイルグリセロール複合体、および15〜20重量%の界面活性剤を含むことを特徴とする請求項7に記載の経口投与用医薬組成物。
【請求項9】
ポリオキシルグリセリル脂肪酸エステルをさらに含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の経口投与用医薬組成物。
【請求項10】
前記ポリオキシルグリセリル脂肪酸エステルが、カプリロカプロイルポリオキシルグリセリド、ラウロイルポリオキシルグリセリド、およびステアロイルポリオキシルグリセリドからなる群から選択される1種以上であることを特徴とする請求項9に記載の経口投与用医薬組成物。
【請求項11】
前記ポリオキシルグリセリル脂肪酸エステルが、カプリロカプロイルポリオキシル−32グリセリド、ラウロイルポリオキシル−32グリセリド、およびステアロイルポリオキシル−32グリセリドからなる群から選択される1種以上であることを特徴とする請求項10に記載の経口投与用医薬組成物。
【請求項12】
4〜40重量%のタキサン、10〜30重量%の中鎖トリグリセライド、30〜70重量%のオレオイルグリセロール複合体、5〜30重量%の界面活性剤、および10〜30重量%のポリオキシルグリセリル脂肪酸エステルを含むことを特徴とする請求項9に記載の経口投与用医薬組成物。
【請求項13】
4〜25重量%のタキサン、10〜20重量%の中鎖トリグリセライド、40〜60重量%のオレオイルグリセロール複合体、10〜25重量%の界面活性剤、および10〜20重量%のポリオキシルグリセリル脂肪酸エステルを含むことを特徴とする請求項9に記載の経口投与用医薬組成物。
【請求項14】
(i)タキサンおよび中鎖トリグリセライドを有機溶媒に溶解させる工程、および
(ii)工程(i)で得られた溶液から有機溶媒を除去し、30〜65重量%のモノオレオイルグリセロール;15〜50重量%のジオレオイルグリセロール;および2〜20重量%のトリオレオイルグリセロールを含有するオレオイルグリセロール複合体、および界面活性剤を混合する工程
を含む、経口投与用医薬組成物の製造方法。
【請求項15】
(i’)タキサン、中鎖トリグリセライド、30〜65重量%のモノオレオイルグリセロール;15〜50重量%のジオレオイルグリセロール;および2〜20重量%のトリオレオイルグリセロールを含有するオレオイルグリセロール複合体、および界面活性剤を有機溶媒に溶解させる工程、および
(ii’)工程(i’)で得られた溶液から有機溶媒を除去する工程
を含む、経口投与用医薬組成物の製造方法。
【請求項16】
(i’’)タキサンおよびポリオキシルグリセリル脂肪酸エステルを有機溶媒に溶解させる工程、
(ii’’)工程(i’’)で得られた溶液から有機溶媒を除去し、中鎖トリグリセライド、30〜65重量%のモノオレオイルグリセロール;15〜50重量%のジオレオイルグリセロール;および2〜20重量%のトリオレオイルグリセロールを含有するオレオイルグリセロール複合体、および界面活性剤を混合して溶液を形成する工程、および
(iii’’)任意に、工程(ii’’)で得られた溶液をソフトカプセルに充填する工程
を含む、経口投与用医薬組成物の製造方法。
【請求項17】
(i’’’)タキサン、中鎖トリグリセライド、30〜65重量%のモノオレオイルグリセロール;15〜50重量%のジオレオイルグリセロール;および2〜20重量%のトリオレオイルグリセロールを含有するオレオイルグリセロール複合体、界面活性剤、およびポリオキシルグリセリル脂肪酸エステルを有機溶媒に溶解させる工程、
(ii’’’)工程(i’’’)で得られた溶液から有機溶媒を除去する工程、および
(iii’’’)任意に、工程(ii’’’)で得られた溶液をソフトカプセルに充填する工程
を含む、経口投与用医薬組成物の製造方法。
【請求項18】
前記オレオイルグリセロール複合体が、32〜52重量%のモノオレオイルグリセロール;30〜50重量%のジオレオイルグリセロール;および5〜20重量%のトリオレオイルグリセロールを含有することを特徴とする請求項14〜17のいずれかに記載の製造方法。
【請求項19】
前記オレオイルグリセロール複合体が、55〜65重量%のモノオレオイルグリセロール;15〜35重量%のジオレオイルグリセロール;および2〜10重量%のトリオレオイルグリセロールを含有することを特徴とする請求項14〜17のいずれかに記載の製造方法。
【請求項20】
前記ポリオキシルグリセリル脂肪酸エステルが、カプリロカプロイルポリオキシルグリセリド、ラウロイルポリオキシルグリセリド、およびステアロイルポリオキシルグリセリドからなる群から選択される1種以上であることを特徴とする請求項16または17に記載の製造方法。
【請求項21】
前記ポリオキシルグリセリル脂肪酸エステルが、カプリロカプロイルポリオキシル−32グリセリド、ラウロイルポリオキシル−32グリセリド、およびステアロイルポリオキシル−32グリセリドからなる群から選択される1種以上であることを特徴とする請求項20に記載の製造方法。
【請求項22】
前記有機溶媒が、ハロゲン化アルキル化合物、アルコール、およびケトンからなる群から選択される1種以上であることを特徴とする請求項14〜17のいずれかに記載の製造方法。
【請求項23】
前記有機溶媒が、塩化メチレンおよびエタノールからなる群から選択される1種以上であることを特徴とする請求項22に記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、抗癌剤としてタキサンを含む経口投与用医薬組成物に関する。さらに詳しくは、本発明は、オレオイルグリセロール複合体および任意にポリオキシルグリセリル脂肪酸エステルを含む、タキサン含有経口投与用医薬組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
タキサンは、細胞の細胞骨格系において微小管の組織化に作用することによってその抗増殖効果を示す抗癌剤であり(Huizing M. T. et al., Cancer Inv., 1995, 13: 381−404)、卵巣癌、乳癌、食道癌、黒色腫および白血病などの多様な種類の癌に対して優れた細胞毒性を示すことが知られている。パクリタキセルおよびドセタキセルの非経口剤形は、タキソールTMおよびタキソテールTMという登録商標でそれぞれ市販されている。タキサンは非常に低い水溶性を有することが知られているので、市販されているパクリタキセル含有製剤、例えば、タキソールTMは、注射のために使用する前に希釈されるエマルジョンプレ濃縮物(emulsion preconcentrate)の形態に製剤化されている。しかし、注射剤形態の使用による患者のコンプライアンス、製剤の安定性、および人体に対する安全性などに関する問題を克服するために、経口投与用製剤の研究が行われている。
【0003】
一方、パクリタキセルのようなタキサンの経口投与は、外向きの流出ポンプの作用によって非常に低い経口生体利用率を示すことが報告されている(Walle et al, Drug Metabo. Disp. 26(4): 343−346(1998))。さらに、経口投与されたパクリタキセルは、吸収が非常に悪いこと(1%以下)が報告されている(Eiseman et al,Second NCI Workshop on Taxol and Taxus(sept. 1992)、Suffness(ed.) et al, TaxolTM Science and Applications、CRC Press(1995))。このような低い経口生体利用率を改善するための試みとして、韓国特許公開第10−2004−0009015号は、トリアセチンのような中鎖トリグリセライド、モノオレインのようなモノグリセリド、およびツイーンのような界面活性剤を用いて製剤化された、可溶化されたタキサン含有経口投与用組成物を開示している。前記組成物は、モノオレインのようなモノグリセリドによる高い腸内粘膜付着性を通じ、生体利用率を増加させた、可溶化されたタキサン含有経口投与用組成物である。また、韓国特許公開第10−2007−0058776号は、可溶化されたタキサン含有経口投与用組成物の改善された製造方法を開示しており、この製造方法は、パクリタキセルを中鎖トリグリセライド、モノグリセリド、および界面活性剤とともに、有機溶媒で溶解させることを含む。
【0004】
ソフトカプセルのような固体製剤は、脂質溶液形態に比べ、使い易さの点で利点を有する。患者のコンプライアンスを考慮すると、ソフトカプセルのサイズを適切なサイズに調整する必要がある。したがって、タキサンの治療有効量を含有するソフトカプセルを製造するために、高濃度でタキサンを含有する脂質溶液を製造する必要がある。しかし、従来の製剤化方法(例えば、韓国特許公開第10−2004−0009015号および第10−2007−0058776号)にしたがって、タキサンが高濃度(例えば、4重量%以上)で含有される場合、タキサンが脂質溶液から沈殿するため、完全に可溶化された脂質溶液を得ることができず、その結果、生体利用率が低下する問題につながる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の可溶化されたパクリタキセル含有経口投与用組成物(例えば、韓国特許公開第10−2004−0009015号および第10−2007−0058776号にしたがって製造された組成物)は、半固体形態で冷蔵条件下で保管され、使用時に、溶液形態に転換されて患者に経口投与される。しかし、半固体形態で冷蔵条件下で保管された組成物は、室温で溶液に転換されず、さらに長時間放置された場合も、変わらず半固体形態で存在する。したがって、患者に投与可能な溶液形態に転換させるために、加温による追加の工程を行う必要があるという問題がある。
【0006】
本発明者らは、これらの問題を解決するために多様な研究を行った。驚くべきことに、本発明者らは、モノグリセリドの代わりに特定のオレオイルグリセロール複合体を用いることによって製剤化工程を行うと、得られる製剤が室温で溶液形態で存在し、その結果、加温のような追加の工程無しに、患者に直接投与することができることを見出した。さらに、本発明者らは、オレオイルグリセロール複合体を用いることによって製剤化された組成物が、モノオレインのようなモノグリセリドを用いることによって得られる従来の組成物に比べ、生体内吸収率を効果的に増加させることができることを見出した。
【0007】
また、本発明者らは、ポリオキシルグリセリル脂肪酸エステルをさらに添加して製剤化工程を行うと、高濃度でタキサンを含有する透明な溶液を得ることができ、沈殿物を形成させずに、ソフトカプセル形態に製剤化することができることを見出した。さらに、得られたソフトカプセルが、初期から迅速に吸収され、顕著に増加した生体内吸収率を示すことが見出された。
【0008】
したがって、本発明は、前記オレオイルグリセロール複合体および任意にポリオキシルグリセリル脂肪酸エステルを用いて製剤化された、タキサン含有経口投与用医薬組成物を提供することを目的とする。
【0009】
また、本発明は、前記経口投与用医薬組成物の製造方法を提供することをさらに目的とする。
【発明を解決するための手段】
【0010】
本発明の一態様によれば、(a)タキサン、(b)中鎖トリグリセライド、(c)30〜65重量%のモノオレオイルグリセロール;15〜50重量%のジオレオイルグリセロール;および2〜20重量%のトリオレオイルグリセロールを含有するオレオイルグリセロール複合体、および(d)界面活性剤を含む、経口投与用医薬組成物が提供される。
【0011】
一実施形態において、前記オレオイルグリセロール複合体は、32〜52重量%のモノオレオイルグリセロール;30〜50重量%のジオレオイルグリセロール;および5〜20重量%のトリオレオイルグリセロールを含有する。別の一実施形態において、前記オレオイルグリセロール複合体は、55〜65重量%のモノオレオイルグリセロール;15〜35重量%のジオレオイルグリセロール;および2〜10重量%のトリオレオイルグリセロールを含有する。さらにまた別の一実施形態において、前記経口投与用医薬組成物は、高濃度のタキサンとともにポリオキシルグリセリル脂肪酸エステルをさらに含んでもよい。
【0012】
本発明の別の一態様によれば、(i)タキサンおよび中鎖トリグリセライドを有機溶媒に溶解させる工程、および(ii)工程(i)で得られた溶液から有機溶媒を除去し、30〜65重量%のモノオレオイルグリセロール;15〜50重量%のジオレオイルグリセロール;および2〜20重量%のトリオレオイルグリセロールを含有するオレオイルグリセロール複合体、および界面活性剤を混合する工程を含む、経口投与用医薬組成物の製造方法が提供される。
【0013】
本発明のさらに別の一態様によれば、(i’)タキサン、中鎖トリグリセライド、30〜65重量%のモノオレオイルグリセロール;15〜50重量%のジオレオイルグリセロール;および2〜20重量%のトリオレオイルグリセロールを含有するオレオイルグリセロール複合体、および界面活性剤を有機溶媒に溶解させる工程、および(ii’)工程(i’)で得られた溶液から有機溶媒を除去する工程を含む、経口投与用医薬組成物の製造方法が提供される。
【0014】
本発明のさらに別の一態様によれば、(i’’)タキサンおよびポリオキシルグリセリル脂肪酸エステルを有機溶媒に溶解させる工程、(ii’’)工程(i’’)で得られた溶液から有機溶媒を除去し、中鎖トリグリセライド、30〜65重量%のモノオレオイルグリセロール;15〜50重量%のジオレオイルグリセロール;および2〜20重量%のトリオレオイルグリセロールを含有するオレオイルグリセロール複合体、および界面活性剤を混合して溶液を形成する工程、および(iii’’)任意に、工程(ii’’)で得られた溶液をソフトカプセルに充填する工程を含む、経口投与用医薬組成物の製造方法が提供される。
【0015】
本発明のさらに別の一態様によれば、(i’’’)タキサン、中鎖トリグリセライド、30〜65重量%のモノオレオイルグリセロール;15〜50重量%のジオレオイルグリセロール;および2〜20重量%のトリオレオイルグリセロールを含有するオレオイルグリセロール複合体、界面活性剤、およびポリオキシルグリセリル脂肪酸エステルを有機溶媒に溶解させる工程、(ii’’’)工程(i’’’)で得られた溶液から有機溶媒を除去する工程、および(iii’’’)任意に、工程(ii’’’)で得られた溶液をソフトカプセルに充填する工程を含む、経口投与用医薬組成物の製造方法が提供される。
【発明の効果】
【0016】
可溶化されたタキサン含有経口投与用組成物は、用いられた脂質のタイプおよび/または特性にしたがって、形態および/または外観が顕著に変化することが本発明により見出された。特に、特定のオレオイルグリセロール複合体を用いることによって製剤化工程を行うと、得られる製剤が室温で溶液形態で存在し、その結果、加温のような追加の工程無しに、患者に直接投与することができることが本発明により見出された。さらに、オレオイルグリセロール複合体を用いることによって製剤化された組成物が、モノオレインのようなモノグリセリドを用いることによって得られる従来の組成物に比べ、生体内吸収率を効果的に増加させることができることが本発明により見出された。また、ポリオキシルグリセリル脂肪酸エステルをさらに添加して製剤化工程を行うと、高濃度でタキサンを含有する透明な溶液を得ることができ、沈殿物を形成させずにソフトカプセル形態に製剤化することができることが本発明により見出された。特に、得られたソフトカプセルが、初期から迅速に吸収され、顕著に増加した生体内吸収率を示すことが本発明により見出された。したがって、本発明にしたがう経口投与用医薬組成物は、使用時に追加の可溶化工程を行うべきであるという従来の製剤の問題点を解決することができ;タキサンの生体内吸収率を効果的に増加させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1は、実施例1、実施例2および比較例1で製造されたパクリタキセル含有経口投与用医薬組成物を4℃で8時間保管した後、25℃で72時間放置して得られた外観を示す。
【0018】
図2図2は、実施例1、実施例2および比較例1で製造されたパクリタキセル含有経口投与用医薬組成物を4℃で8時間保管し、50℃で製剤を融解させた後、15℃で1時間放置して得られた外観を示す。
【0019】
図3図3は、実施例27および比較例2で製造されたドセタキセル含有脂質溶液の外観を示す。Aは、実施例27で製造されたドセタキセル含有脂質溶液である。Bは、比較例2で製造されたドセタキセル含有脂質溶液である。
【0020】
図4図4は、実施例48および比較例3で製造されたパクリタキセル含有脂質溶液の外観を示す。Aは、実施例48で製造されたパクリタキセル含有脂質溶液である。Bは、比較例3で製造されたパクリタキセル含有脂質溶液である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明は、(a)タキサン、(b)中鎖トリグリセライド、(c)30〜65重量%のモノオレオイルグリセロール;15〜50重量%のジオレオイルグリセロール;および2〜20重量%のトリオレオイルグリセロールを含有するオレオイルグリセロール複合体、および(d)界面活性剤を含む、経口投与用医薬組成物を提供する。
【0022】
可溶化されたタキサン含有経口投与用組成物は、用いられた脂質のタイプおよび/または特性にしたがって、形態および/または外観が顕著に変化することが本発明により見出された。特に、特定のオレオイルグリセロール複合体を用いることによって製剤化工程を行うと、得られる製剤が室温で溶液形態で存在し、加温のような追加の工程無しに、患者に直接投与することができることが本発明により見出された。さらに、オレオイルグリセロール複合体を用いることによって製剤化された組成物が、モノオレインのようなモノグリセリドを用いることによって得られる従来の組成物に比べ、生体内吸収率を効果的に増加させることができることが本発明により見出された。
【0023】
本明細書において、「オレオイルグリセロール複合体」とは、オレイン酸のトリアシルグリセロールを主に含有する植物油の部分グリセロール分解またはオレイン酸によるグリセロールのエステル化によって得られる混合物を意味する。モノオレオイルグリセロール、ジオレオイルグリセロールおよびトリオレオイルグリセロールのそれぞれの含量は、部分グリセロール分解および/またはエステル化にしたがって変化する。特定の含量比を有するオレオイルグリセロール複合体が、本発明で用いられる。すなわち、30〜65重量%のモノオレオイルグリセロール;15〜50重量%のジオレオイルグリセロール;および2〜20重量%のトリオレオイルグリセロールを含有するオレオイルグリセロール複合体が、本発明で用いられる。一実施形態において、前記オレオイルグリセロール複合体は、32〜52重量%のモノオレオイルグリセロール;30〜50重量%のジオレオイルグリセロール;および5〜20重量%のトリオレオイルグリセロールを含有する。別の一実施形態において、前記オレオイルグリセロール複合体は、55〜65重量%のモノオレオイルグリセロール;15〜35重量%のジオレオイルグリセロール;および2〜10重量%のトリオレオイルグリセロールを含有する。さらに、前記含量比を有する市販されているオレオイルグリセロール複合体、例えば、ペセオールTM(PECEOLTM、Gattefosse社製)またはカプマルTM(CAPMULTM、Abitec社製)が用いられてもよい。
【0024】
本発明の経口投与用医薬組成物において、前記タキサンは、パクリタキセル、ドセタキセル、7−エピパクリタキセル、t−アセチルパクリタキセル、10−デスアセチルパクリタキセル、10−デスアセチル−7−エピパクリタキセル、7−キシロシルパクリタキセル、10−デスアセチル−7−グルタリルパクリタキセル、7−N,N−ジメチルグリシルパクリタキセル、7−L−アラニルパクリタキセルなどからなる群から選択される1種以上を含む。例えば、前記タキサンは、パクリタキセルおよび/またはドセタキセルであってもよい。
【0025】
前記中鎖トリグリセライドは、飽和または不飽和C−C20脂肪酸3分子およびグリセロール1分子が、エステル結合によって連結されている物質を意味する。例えば、前記中鎖トリグリセライドは、トリアセチン、トリプロピオニン、トリブチリン、トリバレリン、トリカプロイン、トリカプリリン(例えば、CaptexTM 8000など)、トリカプリン、トリヘプタノイン、トリノナノイン、トリウンデカノイン、トリラウリン、トリトリデカノイン、トリミリスチン、トリペンタデカノイン、トリパルミチン、トリヘプタデカン酸グリセリル、トリオレインなどを含む。
【0026】
前記界面活性剤は、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロック共重合体(例えば、ポロキサマーTM(PoloxamerTM))、ソルビタンエステル(例えば、スパンTM(SpanTM))、ポリオキシエチレンソルビタン(例えば、ツイーンTM(TweenTM))、ポリオキシエチレンエーテル(例えば、ブリジTM(BrijTM)などを含む。
【0027】
一実施形態において、本発明の医薬組成物は、0.5〜1.5重量%のタキサン、20〜35重量%の中鎖トリグリセライド、45〜60重量%のオレオイルグリセロール複合体、および15〜25重量%の界面活性剤を含んでもよい。好ましくは、本発明の医薬組成物は、0.8〜1.2重量%のタキサン、25〜30重量%の中鎖トリグリセライド、50〜55重量%のオレオイルグリセロール複合体、および15〜20重量%の界面活性剤を含んでもよい。
【0028】
ポリオキシルグリセリル脂肪酸エステルをさらに添加して製剤化工程を行うと、高濃度でタキサンを含有する透明な溶液を得ることができ、沈殿物を形成させずにソフトカプセル形態に製剤化することができることが本発明により見出された。特に、得られるソフトカプセルが、初期から迅速に吸収され、顕著に増加した生体内吸収率を示すことが本発明により見出された。
【0029】
したがって、本発明の経口投与用医薬組成物は、ポリオキシルグリセリル脂肪酸エステルをさらに含んでもよい。前記ポリオキシルグリセリル脂肪酸エステルは、カプリロカプロイルポリオキシルグリセリド、ラウロイルポリオキシルグリセリド、およびステアロイルポリオキシルグリセリドからなる群から選択される1種以上であってもよい。好ましくは、前記ポリオキシルグリセリル脂肪酸エステルは、カプリロカプロイルポリオキシル−32グリセリド(例えば、ラブラゾルTM(LABRASOLTM)など)、ラウロイルポリオキシル−32グリセリド(例えば、ゲルシアTM44/14(GelucireTM44/14)など)、およびステアロイルポリオキシル−32グリセリド(例えば、ゲルシアTM50/13(GelucireTM50/13)など)からなる群から選択される1種以上であってもよい。一実施形態において、本発明の経口投与用医薬組成物は、4〜40重量%のタキサン、10〜30重量%の中鎖トリグリセライド、30〜70重量%のオレオイルグリセロール複合体、5〜30重量%の界面活性剤、および10〜30重量%のポリオキシルグリセリル脂肪酸エステルを含んでもよい。別の一実施形態において、本発明の経口投与用医薬組成物は、4〜25重量%のタキサン、10〜20重量%の中鎖トリグリセライド、40〜60重量%のオレオイルグリセロール複合体、10〜25重量%の界面活性剤、および10〜20重量%のポリオキシルグリセリル脂肪酸エステルを含んでもよい。前記経口投与用医薬組成物は、好ましくはソフトカプセルに充填された形態である。
【0030】
本発明の別の一態様において、(i)タキサンおよび中鎖トリグリセライドを有機溶媒に溶解させる工程、および(ii)工程(i)で得られた溶液から有機溶媒を除去し、30〜65重量%のモノオレオイルグリセロール;15〜50重量%のジオレオイルグリセロール;および2〜20重量%のトリオレオイルグリセロールを含有するオレオイルグリセロール複合体、および界面活性剤を混合する工程を含む、経口投与用医薬組成物の製造方法が提供される。
【0031】
本発明のさらに別の一態様において、(i’)タキサン、中鎖トリグリセライド、30〜65重量%のモノオレオイルグリセロール;15〜50重量%のジオレオイルグリセロール;および2〜20重量%のトリオレオイルグリセロールを含有するオレオイルグリセロール複合体、および界面活性剤を有機溶媒に溶解させる工程、および(ii’)工程(i’)で得られた溶液から有機溶媒を除去する工程を含む、経口投与用医薬組成物の製造方法が提供される。
【0032】
本発明のさらに別の一態様において、(i’’)タキサンおよびポリオキシルグリセリル脂肪酸エステルを有機溶媒に溶解させる工程、(ii’’)工程(i’’)で得られた溶液から有機溶媒を除去し、中鎖トリグリセライド、30〜65重量%のモノオレオイルグリセロール;15〜50重量%のジオレオイルグリセロール;および2〜20重量%のトリオレオイルグリセロールを含有するオレオイルグリセロール複合体、および界面活性剤を混合して溶液を形成する工程、および(iii’’)任意に、工程(ii’’)で得られた溶液をソフトカプセルに充填する工程を含む、経口投与用医薬組成物の製造方法が提供される。
【0033】
本発明のさらに別の一態様において、(i’’’)タキサン、中鎖トリグリセライド、30〜65重量%のモノオレオイルグリセロール;15〜50重量%のジオレオイルグリセロール;および2〜20重量%のトリオレオイルグリセロールを含有するオレオイルグリセロール複合体、界面活性剤、およびポリオキシルグリセリル脂肪酸エステルを有機溶媒に溶解させる工程、(ii’’’)工程(i’’’)で得られた溶液から有機溶媒を除去する工程、および(iii’’’)任意に、工程(ii’’’)で得られた溶液をソフトカプセルに充填する工程を含む、経口投与用医薬組成物の製造方法が提供される。
【0034】
本発明の製造方法において、オレオイルグリセロール複合体、タキサン、中鎖トリグリセライド、界面活性剤、およびポリオキシルグリセリル脂肪酸エステルは、上記で説明した通りである。
【0035】
本発明の製造方法において、前記有機溶媒は、ハロゲン化アルキル化合物、アルコール、およびケトンからなる群から選択される1種以上であってもよい。前記ハロゲン化アルキル化合物は、ハロゲン化C〜Cアルキル化合物からなる群から選択される1種以上であってもよく、好ましくは塩化メチレンまたはクロロホルム、より好ましくは塩化メチレンであってもよい。前記アルコールは、C〜C低級アルコールからなる群から選択される1種以上であってもよく、好ましくはメタノール、エタノールまたはイソプロピルアルコール、より好ましくはエタノールであってもよい。前記ケトンは、アセトンであってもよい。
【0036】
前記有機溶媒は、タキサンおよび中鎖トリグリセライドを溶解することができる量で使用されてもよく、好ましくは中鎖トリグリセライドの体積に対して0.4倍から20倍の量、より好ましくは中鎖トリグリセライドの体積と同一の体積で使用されてもよいが、これらに限定されない。前記有機溶媒の量は、パクリタキセルおよびドセタキセルのようなタキサンを十分に溶解させることができ、過剰量の溶媒の使用から発生される浪費および有機溶媒の除去するための不必要な手間を省くことができる。本発明の製造方法において、有機溶媒を除去する工程は、通常の乾燥方法、例えば、15〜50℃、好ましくは室温で減圧乾燥することによって行ってもよい。前記で説明したように、有機溶媒で溶解させる工程および有機溶媒を除去する工程を行うことで、得られる組成物中のそれぞれの成分を均一に混合することができる。
【0037】
以下、実施例および試験例により、本発明について、さらに詳細に説明する。これらの実施例および試験例は、本発明を例示的に説明するためのものであり、本発明の範囲はこれらによって制限されるものではない。
【0038】
実施例1
パクリタキセル含有経口投与用医薬組成物を、表1で示した成分および含量にしたがって製造した。パクリタキセル(0.174 g)およびトリカプリリン(4.75 g)を塩化メチレン(2.18 mL)に溶解させた。得られた溶液を40℃で減圧乾燥して、塩化メチレンを除去した。得られた混合物に、ペセオールTM(Gattefosse社製)(9.42 g)およびツイーンTM80(3.225 g)を加えた。得られた混合物を約40℃で撹拌して、透明な粘稠性溶液の形態で医薬組成物を得た。
【0039】
【表1】
【0040】
実施例2
塩化メチレンの代わりに無水エタノール(3.49 mL)を用いて、実施例1と同一の手順にしたがって、パクリタキセル含有経口投与用医薬組成物を製造した。
【0041】
実施例3
パクリタキセル(0.174 g)、トリカプリリン(4.75 g)、ペセオールTM(9.42 g)およびツイーンTM80(3.225 g)を塩化メチレン(2.18 mL)に溶解させ、得られた溶液を40℃で減圧乾燥して、塩化メチレンを除去した。得られた混合物を約40℃で撹拌し、透明な粘稠性溶液の形態で医薬組成物を得た。
【0042】
実施例4
塩化メチレンの代わりに無水エタノール(3.49 mL)を用いて、実施例3と同一の手順にしたがって、パクリタキセル含有経口投与用医薬組成物を製造した。
【0043】
実施例5
パクリタキセルの代わりにドセタキセル(0.174 g)を用いて、実施例1と同一の手順にしたがって、ドセタキセル含有経口投与用医薬組成物を製造した。
【0044】
実施例6
塩化メチレンの代わりに無水エタノール(3.49 mL)を用いて、実施例5と同一の手順にしたがって、ドセタキセル含有経口投与用医薬組成物を製造した。
【0045】
実施例7
パクリタキセルの代わりにドセタキセル(0.174 g)を用いて、実施例3と同一の手順にしたがって、ドセタキセル含有経口投与用医薬組成物を製造した。
【0046】
実施例8
塩化メチレンの代わりに無水エタノール(3.49 mL)を用いて、実施例7と同一の手順にしたがって、ドセタキセル含有経口投与用医薬組成物を製造した。
【0047】
実施例9
ペセオールTMの代わりにカプマルTM GMO−50 EP/NF(Abitec社製)(9.42 g)を用いて、実施例1と同一の手順にしたがって、パクリタキセル含有経口投与用医薬組成物を製造した。
【0048】
実施例10
塩化メチレンの代わりに無水エタノール(3.49 mL)を用いて、実施例9と同一の手順にしたがって、パクリタキセル含有経口投与用医薬組成物を製造した。
【0049】
実施例11
トリカプリリンの代わりにトリアセチン(Sigma社製)を用いて、実施例1と同一の手順にしたがって、パクリタキセル含有経口投与用医薬組成物を製造した。
【0050】
実施例12
トリカプリリンの代わりにトリプロピオニン(Sigma社製)を用いて、実施例1と同一の手順にしたがって、パクリタキセル含有経口投与用医薬組成物を製造した。
【0051】
実施例13
トリカプリリンの代わりにトリブチリン(Sigma社製)を用いて、実施例1と同一の手順にしたがって、パクリタキセル含有経口投与用医薬組成物を製造した。
【0052】
実施例14
トリカプリリンの代わりにトリバレリン(Sigma社製)を用いて、実施例1と同一の手順にしたがって、パクリタキセル含有経口投与用医薬組成物を製造した。
【0053】
実施例15
トリカプリリンの代わりにトリカプロイン(Sigma社製)を用いて、実施例1と同一の手順にしたがって、パクリタキセル含有経口投与用医薬組成物を製造した。
【0054】
実施例16
トリカプリリンの代わりにトリヘプタノイン(Sigma社製)を用いて、実施例1と同一の手順にしたがって、パクリタキセル含有経口投与用医薬組成物を製造した。
【0055】
実施例17
トリカプリリンの代わりにトリノナノイン(Sigma社製)を用いて、実施例1と同一の手順にしたがって、パクリタキセル含有経口投与用医薬組成物を製造した。
【0056】
実施例18
トリカプリリンの代わりにトリカプリン(Sigma社製)を用いて、実施例1と同一の手順にしたがって、パクリタキセル含有経口投与用医薬組成物を製造した。
【0057】
実施例19
トリカプリリンの代わりにトリウンデカノイン(Sigma社製)を用いて、実施例1と同一の手順にしたがって、パクリタキセル含有経口投与用医薬組成物を製造した。
【0058】
実施例20
トリカプリリンの代わりにトリラウリン(Sigma社製)を用いて、実施例1と同一の手順にしたがって、パクリタキセル含有経口投与用医薬組成物を製造した。
【0059】
実施例21
トリカプリリンの代わりにトリトリデカノイン(Sigma社製)を用いて、実施例1と同一の手順にしたがって、パクリタキセル含有経口投与用医薬組成物を製造した。
【0060】
実施例22
トリカプリリンの代わりにトリミリスチン(Sigma社製)を用いて、実施例1と同一の手順にしたがって、パクリタキセル含有経口投与用医薬組成物を製造した。
【0061】
実施例23
トリカプリリンの代わりにトリペンタデカノイン(Sigma社製)を用いて、実施例1と同一の手順にしたがって、パクリタキセル含有経口投与用医薬組成物を製造した。
【0062】
実施例24
トリカプリリンの代わりにトリパルミチン(Sigma社製)を用いて、実施例1と同一の手順にしたがって、パクリタキセル含有経口投与用医薬組成物を製造した。
【0063】
実施例25
トリカプリリンの代わりにトリヘプタデカン酸グリセリル(Sigma社製)を用いて、実施例1と同一の手順にしたがって、パクリタキセル含有経口投与用医薬組成物を製造した。
【0064】
実施例26
トリカプリリンの代わりにトリオレイン(Sigma社製)を用いて、実施例1と同一の手順にしたがって、パクリタキセル含有経口投与用医薬組成物を製造した。
【0065】
比較例1.モノオレインを含むパクリタキセル含有経口投与用医薬組成物の製造
韓国特許公開第10−2007−0058776号にしたがって、脂質としてモノオレインを用いて、パクリタキセル含有経口投与用医薬組成物を製造した。すなわち、パクリタキセル(0.174 g)およびトリカプリリン(4.75 g)を塩化メチレン(2.18 mL)に溶解させ、得られた溶液を40℃で減圧乾燥して、塩化メチレンを除去した。得られた混合物に、モノオレイン(9.4 g)およびツイーンTM80(3.225 g)を加えた。得られた混合物を約40℃で撹拌して、透明な粘稠性溶液の形態で医薬組成物を得た。前記モノオレインは、96.12重量%のモノオレオイルグリセロールおよび3.88重量%のジオレオイルグリセロールを含有する。
【0066】
試験例1:温度条件にしたがう製剤の外観の評価
(1)冷蔵保管後25℃の条件での評価
実施例1、実施例2および比較例1で製造されたパクリタキセル含有経口投与用医薬組成物を4℃で8時間保管した後、25℃で72時間放置した。得られた外観を図1に示す。図1に示すように、実施例1と実施例2の製剤は、25℃で2分以内に患者により服薬可能な透明な溶液に変化した。これらに対し、比較例1の製剤は、室温(約25℃)で溶液に変化しなかった。比較例1の製剤は、72時間以上放置されても、半固体形態の外観を依然として維持した。
【0067】
(2)融解後15℃の条件での評価
実施例1、実施例2および比較例1で製造されたパクリタキセル含有経口投与用医薬組成物を4℃で8時間保管した後、50℃で完全に融解させた。それぞれの製剤を15℃で1時間放置した時に、得られた外観を図2に示す。図2に示すように、実施例1と実施例2の製剤は、15℃で1時間経過後も患者により服薬可能な透明な溶液を維持した。これらに対し、比較例1の製剤は固体化した。
【0068】
試験例2.生体内吸収率の評価
実施例1および比較例1で製造されたパクリタキセル含有経口投与用医薬組成物を、ICRマウス(6週齢、雌、Orient Bio社製、韓国)に、それぞれ50 mg/kgの用量で胃ゾンデを用いて経口投与した。比較例1の製剤は、製造後、50℃で完全に融解させ、すぐに投与した。薬物投与から、0分、30分、1時間、2時間、4時間、6時間および8時間後に、マウスの眼窩静脈から血液サンプルを採取した後、8,000×gで20分間遠心分離した血漿サンプルを得て、−70℃で保存した。
【0069】
前記血漿サンプルを室温で放置して融解させた後、ボルテックスミキサーで1分間撹拌した。内部標準溶液(パクリタキセル−d 2.50 μg/mL、メタノール中)(10.0 μL)を血漿サンプル(50.0 μL)に加えて、3分間撹拌した後、4,000×gで約1分間遠心分離した。アセトニトリル(200 μL)を前記サンプルに加えて、3分間撹拌した後、4,000×gで約1分間遠心分離した。それぞれの上澄み液(100 μL)を採取した後、0.1%(v/v)のギ酸を含有する蒸留水(100 μL)を加えた。それぞれ得られた混合物を3分間撹拌した後、4,000×gで室温で約1分間遠心分離した。それぞれの上澄み液(20.0 μL)を採取した後、UPLC−MS/MS分析を行った。
【0070】
UPLC−MS/MS分析条件は以下の通りである。
UPLC:UPLC、Waters ACQUITY UPLCTM System、Waters
検出器:Waters XevoTMTQMS、Waters
カラム:Waters ACQUITY UPLCTMBEHC18、1.7um(2.1mmID × 50mmL)
データプロセッサ:MassLynx V4.1、Waters
移動相:DW中の0.1%(v/v)FA:ACN中の0.1%(v/v)FA(50:50、v/v)
(FA:ギ酸、DW:蒸留水、ACN:アセトニトリル)
流速:0.4 mL/分
検出器条件:ESI+、MRMモード
【0071】
【0072】
上記で測定したパクリタキセルの血中濃度から算出された薬物動態パラメータを表2に示す。
【0073】
【表2】
【0074】
表2の結果から、本発明にしたがうパクリタキセル含有経口投与用医薬組成物は、従来の製剤に比べ、顕著に増加した生体内吸収率を示していることがわかる。
【0075】
実施例27.ドセタキセル含有ソフトカプセル
ドセタキセル含有経口投与用医薬組成物を、表3で示した成分および含量にしたがって製造した。ドセタキセルおよびラブラゾルTM(Gattefosse社製)をエタノール(トリカプリリンの体積の約14倍)に完全に溶解させた。得られた溶液を40℃で減圧乾燥して、エタノールを除去した。得られた混合物に、トリカプリリン(CaptexTM8000、ABITEC社製)、ペセオールTM(Gattefosse社製)、およびツイーンTM80を加えた。得られた混合物を約40℃で撹拌して、透明な油性溶液を得た。得られた透明な油性溶液をソフトカプセルに充填した。この透明な油性溶液の外観を図3(左、A)に示す。
【0076】
【表3】
【0077】
実施例28
ラブラゾルTMの代わりにゲルシアTM 44/14(Gettafosse社製)を用いて、実施例27と同一の手順にしたがって、ソフトカプセル形態のドセタキセル含有経口投与用医薬組成物を製造した。
【0078】
実施例29
ラブラゾルTMの代わりにゲルシアTM 50/13(Gettafosse社製)を用いて、実施例27と同一の手順にしたがって、ソフトカプセル形態のドセタキセル含有経口投与用医薬組成物を製造した。
【0079】
実施例30
トリカプリリンの代わりにトリアセチン(Sigma社製)を用いて、実施例27と同一の手順にしたがって、ソフトカプセル形態のドセタキセル含有経口投与用医薬組成物を製造した。
【0080】
実施例31
トリカプリリンの代わりにトリプロピオニン(Sigma社製)を用いて、実施例27と同一の手順にしたがって、ソフトカプセル形態のドセタキセル含有経口投与用医薬組成物を製造した。
【0081】
実施例32
トリカプリリンの代わりにトリブチリン(Sigma社製)を用いて、実施例27と同一の手順にしたがって、ソフトカプセル形態のドセタキセル含有経口投与用医薬組成物を製造した。
【0082】
実施例33
トリカプリリンの代わりにトリバレリン(Sigma社製)を用いて、実施例27と同一の手順にしたがって、ソフトカプセル形態のドセタキセル含有経口投与用医薬組成物を製造した。
【0083】
実施例34
トリカプリリンの代わりにトリカプロイン(Sigma社製)を用いて、実施例27と同一の手順にしたがって、ソフトカプセル形態のドセタキセル含有経口投与用医薬組成物を製造した。
【0084】
実施例35
トリカプリリンの代わりにトリヘプタノイン(Sigma社製)を用いて、実施例27と同一の手順にしたがって、ソフトカプセル形態のドセタキセル含有経口投与用医薬組成物を製造した。
【0085】
実施例36
トリカプリリンの代わりにトリノナノイン(Sigma社製)を用いて、実施例27と同一の手順にしたがって、ソフトカプセル形態のドセタキセル含有経口投与用医薬組成物を製造した。
【0086】
実施例37
トリカプリリンの代わりにトリカプリン(Sigma社製)を用いて、実施例27と同一の手順にしたがって、ソフトカプセル形態のドセタキセル含有経口投与用医薬組成物を製造した。
【0087】
実施例38
トリカプリリンの代わりにトリウンデカノイン(Sigma社製)を用いて、実施例27と同一の手順にしたがって、ソフトカプセル形態のドセタキセル含有経口投与用医薬組成物を製造した。
【0088】
実施例39
トリカプリリンの代わりにトリラウリン(Sigma社製)を用いて、実施例27と同一の手順にしたがって、ソフトカプセル形態のドセタキセル含有経口投与用医薬組成物を製造した。
【0089】
実施例40
トリカプリリンの代わりにトリトリデカノイン(Sigma社製)を用いて、実施例27と同一の手順にしたがって、ソフトカプセル形態のドセタキセル含有経口投与用医薬組成物を製造した。
【0090】
実施例41
トリカプリリンの代わりにトリミリスチン(Sigma社製)を用いて、実施例27と同一の手順にしたがって、ソフトカプセル形態のドセタキセル含有経口投与用医薬組成物を製造した。
【0091】
実施例42
トリカプリリンの代わりにトリペンタデカノイン(Sigma社製)を用いて、実施例27と同一の手順にしたがって、ソフトカプセル形態のドセタキセル含有経口投与用医薬組成物を製造した。
【0092】
実施例43
トリカプリリンの代わりにトリパルミチン(Sigma社製)を用いて、実施例27と同一の手順にしたがって、ソフトカプセル形態のドセタキセル含有経口投与用医薬組成物を製造した。
【0093】
実施例44
トリカプリリンの代わりにトリヘプタデカン酸グリセリル(Sigma社製)を用いて、実施例27と同一の手順にしたがって、ソフトカプセル形態のドセタキセル含有経口投与用医薬組成物を製造した。
【0094】
実施例45
トリカプリリンの代わりにトリオレイン(Sigma社製)を用いて、実施例27と同一の手順にしたがって、ソフトカプセル形態のドセタキセル含有経口投与用医薬組成物を製造した。
【0095】
実施例46
ペセオールTMの代わりにカプマルTM GMO−50 EP/NF(Abitec社製)を用いて、実施例27と同一の手順にしたがって、ソフトカプセル形態のドセタキセル含有経口投与用医薬組成物を製造した。
【0096】
実施例47
無水エタノールの代わりに塩化メチレンを用いて、実施例27と同一の手順にしたがって、ソフトカプセル形態のドセタキセル含有経口投与用医薬組成物を製造した。
【0097】
実施例48.パクリタキセル含有ソフトカプセル
パクリタキセル含有経口投与用医薬組成物を、表4で示した成分および含量にしたがって製造した。パクリタキセルおよびラブラゾルTM(Gattefosse社製)を塩化メチレン(トリカプリリンの体積の約14倍)に完全に溶解させた。得られた溶液を40℃で減圧乾燥して、塩化メチレンを除去した。得られた混合物に、トリカプリリン(CaptexTM8000、ABITEC社製)、ペセオールTM(Gattefosse社製)、およびツイーンTM80を加えた。得られた混合物を約40℃で撹拌して、透明な油性溶液を得た。得られた透明な油性溶液をソフトカプセルに充填した。この透明な油性溶液の外観を図4(左、A)に示す。
【0098】
【表4】
【0099】
実施例49
ラブラゾルTMの代わりにゲルシアTM 44/14(Gettafosse社製)を用いて、実施例48と同一の手順にしたがって、ソフトカプセル形態のパクリタキセル含有経口投与用医薬組成物を製造した。
【0100】
実施例50
ラブラゾルTMの代わりにゲルシアTM 50/13(Gettafosse社製)を用いて、実施例48と同一の手順にしたがって、ソフトカプセル形態のパクリタキセル含有経口投与用医薬組成物を製造した。
【0101】
実施例51
ペセオールTMの代わりにカプマルTM GMO−50 EP/NF(Abitec社製)を用いて、実施例48と同一の手順にしたがって、ソフトカプセル形態のパクリタキセル含有経口投与用医薬組成物を製造した。
【0102】
実施例52
塩化メチレンの代わりに無水エタノールを用いて、実施例48と同一の手順にしたがって、ソフトカプセル形態のパクリタキセル含有経口投与用医薬組成物を製造した。
【0103】
実施例53
トリカプリリンの代わりにトリアセチン(Sigma社製)を用いて、実施例48と同一の手順にしたがって、ソフトカプセル形態のパクリタキセル含有経口投与用医薬組成物を製造した。
【0104】
実施例54
トリカプリリンの代わりにトリプロピオニン(Sigma社製)を用いて、実施例48と同一の手順にしたがって、ソフトカプセル形態のパクリタキセル含有経口投与用医薬組成物を製造した。
【0105】
実施例55
トリカプリリンの代わりにトリブチリン(Sigma社製)を用いて、実施例48と同一の手順にしたがって、ソフトカプセル形態のパクリタキセル含有経口投与用医薬組成物を製造した。
【0106】
実施例56
トリカプリリンの代わりにトリバレリン(Sigma社製)を用いて、実施例48と同一の手順にしたがって、ソフトカプセル形態のパクリタキセル含有経口投与用医薬組成物を製造した。
【0107】
実施例57
トリカプリリンの代わりにトリカプロイン(Sigma社製))を用いて、実施例48と同一の手順にしたがって、ソフトカプセル形態のパクリタキセル含有経口投与用医薬組成物を製造した。
【0108】
実施例58
トリカプリリンの代わりにトリヘプタノイン(Sigma社製)を用いて、実施例48と同一の手順にしたがって、ソフトカプセル形態のパクリタキセル含有経口投与用医薬組成物を製造した。
【0109】
実施例59
トリカプリリンの代わりにトリノナノイン(Sigma社製)を用いて、実施例48と同一の手順にしたがって、ソフトカプセル形態のパクリタキセル含有経口投与用医薬組成物を製造した。
【0110】
実施例60
トリカプリリンの代わりにトリカプリン(Sigma社製)を用いて、実施例48と同一の手順にしたがって、ソフトカプセル形態のパクリタキセル含有経口投与用医薬組成物を製造した。
【0111】
実施例61
トリカプリリンの代わりにトリウンデカノイン(Sigma社製)を用いて、実施例48と同一の手順にしたがって、ソフトカプセル形態のパクリタキセル含有経口投与用医薬組成物を製造した。
【0112】
実施例62
トリカプリリンの代わりにトリラウリン(Sigma社製)を用いて、実施例48と同一の手順にしたがって、ソフトカプセル形態のパクリタキセル含有経口投与用医薬組成物を製造した。
【0113】
実施例63
トリカプリリンの代わりにトリトリデカノイン(Sigma社製)を用いて、実施例48と同一の手順にしたがって、ソフトカプセル形態のパクリタキセル含有経口投与用医薬組成物を製造した。
【0114】
実施例64
トリカプリリンの代わりにトリミリスチン(Sigma社製)を用いて、実施例48と同一の手順にしたがって、ソフトカプセル形態のパクリタキセル含有経口投与用医薬組成物を製造した。
【0115】
実施例65
トリカプリリンの代わりにトリペンタデカノイン(Sigma社製))を用いて、実施例48と同一の手順にしたがって、ソフトカプセル形態のパクリタキセル含有経口投与用医薬組成物を製造した。
【0116】
実施例66
トリカプリリンの代わりにトリパルミチン(Sigma社製)を用いて、実施例48と同一の手順にしたがって、ソフトカプセル形態のパクリタキセル含有経口投与用医薬組成物を製造した。
【0117】
実施例67
トリカプリリンの代わりにトリヘプタデカン酸グリセリル(Sigma社製)を用いて、実施例48と同一の手順にしたがって、ソフトカプセル形態のパクリタキセル含有経口投与用医薬組成物を製造した。
【0118】
実施例68
トリカプリリンの代わりにトリオレイン(Sigma社製)を用いて、実施例48と同一な工程にしたがって、ソフトカプセル形態のパクリタキセル含有経口投与用医薬組成物を製造した。
【0119】
実施例69.パクリタキセル含有経口投与用医薬組成物
パクリタキセル含有経口投与用医薬組成物を、表5で示した成分および含量にしたがって製造した。パクリタキセルおよびラブラゾルTM(Gattefosse社製)を塩化メチレン(トリカプリリンの体積の約14倍)に完全に溶解させた。得られた溶液を40℃で減圧乾燥して、塩化メチレンを除去した。得られた混合物に、トリカプリリン(CaptexTM8000、ABITEC社製)、ペセオールTM(Gattefosse社製)、およびツイーンTM80を加えた。得られた混合物を40℃で撹拌して、透明な油性溶液を得た。得られた透明な油性溶液をソフトカプセルに充填した。
【0120】
【表5】
【0121】
比較例2
ドセタキセル含有組成物を、表6で示した成分および含量にしたがって製造した。ドセタキセルおよびトリカプリリン(CaptexTM8000、ABITEC社製)をエタノール(トリカプリリンの体積の約14倍)に完全に溶解させた。得られた溶液を40℃で減圧乾燥して、エタノールを除去した。得られた混合物に、ペセオールTM(Gattefosse社製)およびツイーンTM80を加えた。得られた混合物を40℃で撹拌して、油性溶液を得た。得られた油性溶液は、白色の沈殿物を有する不透明な分散液であった。この外観を図3(右、B)に示す。
【0122】
【表6】
【0123】
比較例3
パクリタキセル含有組成物を、表7で示した成分および含量にしたがって製造した。パクリタキセルおよびトリカプリリン(CaptexTM8000、ABITEC社製)を塩化メチレン(トリカプリリンの体積の約14倍)に完全に溶解させた。得られた溶液を40℃で減圧乾燥して、塩化メチレンを除去した。得られた混合物に、ペセオールTM(Gattefosse社製)およびツイーンTM80を加えた。得られた混合物を40℃で撹拌して油性溶液を得た。得られた油性溶液は、白色の沈殿物を有する不透明な分散液であった。この外観を図4(右、B)に示す。
【0124】
【表7】
【0125】
試験例3.ゼラチンカプセルの安定性評価
実施例27および実施例48で製造されたソフトカプセルをHDPEボトルに入れ、25℃および60%(RH)の条件下で6ヶ月間保管し、ゼラチンカプセルの安定性を評価した。ゼラチンカプセルの安定性は、外観およびカプセルからの漏出の観察を通じて評価した。この結果を下記の表8に示す。
【0126】
【表8】
【0127】
表8の結果から、本発明にしたがって製造されたソフトカプセルは、優れた安定性を有することがわかる。
【0128】
試験例4.生体内吸収率の評価
実施例27で製造されたドセタキセル含有油性溶液を、ICRマウス(6週齢、雌、Orient Bio社製、韓国)に、125 mg/kgの用量で胃ゾンデを用いて経口投与した。薬物投与から、0分、15分、30分、1時間、2時間、4時間、および6時間後に、マウスの眼窩静脈から血液サンプルを採取した後、8,000×gで4℃で20分間遠心分離して血漿サンプルを得て、−70℃で保存した。
【0129】
前記血漿サンプルを室温で融解させた後、ボルテックスミキサーで1分間撹拌した。内部標準溶液(パクリタキセル10 μg/mL、アセトニトリル中)(200.0 μL)およびアセトニトリル(400.0 μL)を、血漿サンプル(200.0 μL)に加えた後、ボルテックスミキサーで3,000rpmで5分間撹拌した。それぞれのサンプルを、8℃の条件下で14,000×gで20分間遠心分離した。それぞれの上澄み液(300 μL)を採取した後、シリンジフィルター(PTFE、chromdisc、13 mm、ポアサイズ 0.20 mm)を通じて濾過した。濾液(200.0 μL)を採取した後、HPLC分析を行った。
【0130】
HPLC分析条件は以下の通りである。
HPLC:Shimadzu LC−20AD
検出器:Shimadzu SPD−20A
カラム:Shim−pack GIS、5 μm ODS、250 × 4.6 mm id.
データプロセッサ:Labsolutions、Shimadzu
注入量:100.0 μL
流速:1.0 mL/分
カラム温度:40℃
検出波長:227 nm
移動相:(A)ACN、(B)DW(ACN:アセトニトリル、DW:蒸留水)
【0131】
【0132】
上記で測定したドセタキセルの血中濃度から算出された薬物動態パラメータを表9に示す。
【0133】
【表9】
【0134】
表9の結果から、本発明にしたがう医薬組成物は、初期から迅速に吸収され、顕著に増加した生体内吸収率を示していることがわかる。
【0135】
試験例5.生体内吸収率の評価
実施例48で製造されたパクリタキセル含有油性溶液を、ICRマウス(6週齢、雌、Orient Bio社製、韓国)に、250 mg/kgの用量で胃ゾンデを用いて経口投与した。薬物投与から、0分、15分、30分、1時間、2時間、4時間、および6時間後に、マウスの眼窩静脈から血液サンプルを採取した後、8,000×gで4℃で20分間遠心分離し、血漿サンプルを得て、−70℃で保存した。
前記血漿サンプルを室温で融解させた後、ボルテックスミキサーで1分間撹拌した。内部標準溶液(ドセタキセル 10 μg/mL、アセトニトリル中)(200.0 μL)およびアセトニトリル(400.0 μL)を、血漿サンプル(200.0 μL)に加えた後、ボルテックスミキサーで3,000rpmで5分間撹拌した。それぞれのサンプルを、8℃の条件下で14,000×gで20分間遠心分離した。それぞれの上澄み液(300 μL)を採取した後、シリンジフィルター(PTFE、chromdisc、13 mm、ポアサイズ 0.20 mm)を通じて濾過した。濾液(200.0 μL)を採取した後、試験例1でのHPLC分析と同一の条件下で、HPLC分析を行った。
上記で測定したパクリタキセルの血中濃度から算出された薬物動態パラメータを表10に示す。
【0136】
【表10】
【0137】
表10の結果から、本発明にしたがう医薬組成物は、初期から迅速に吸収され、顕著に増加した生体内吸収率を示していることがわかる。
図1
図2
図3
図4
【国際調査報告】