(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
チゾキサニド、その類似体又は塩のプロドラッグを開示する。プロドラッグは、アミノ酸部分を含むエステル部分を含み、チゾキサニド、その類似体又は塩の生物学的利用能を向上する。細胞内原虫感染、ウイルス感染、又は癌を治療するための組成物及び方法も開示する。
前記医薬組成物は、一定量の請求項1〜16のいずれか1項に記載の化合物又はその医薬的に許容される塩を制御放出製剤内に含む固体経口剤の形態である、請求項17〜21のいずれか1項に記載の医薬組成物。
前記医薬組成物は、1つ又は複数の希釈剤、崩壊剤、結合剤、懸濁化剤、流動促進剤、潤滑剤、又は充填剤を含む、請求項17〜22のいずれか1項に記載の医薬組成物。
前記組成物は、経口的に摂取された場合、請求項1〜16のいずれか1項に記載の化合物又はその医薬的に許容される塩の誘導体の生物学的利用能を統計的に有意に高く誘導するようになっている、請求項17〜24のいずれか1項に記載の医薬組成物。
細胞内原虫感染、ウイルス感染、又は癌を治療する方法であって、それを必要とする患者に、治療的有効量の請求項1〜26のいずれか1項に記載の化合物又は組成物を投与することを含む方法。
請求項1に記載の化合物は、ワクチン、免疫賦活剤、ノイラミニダーゼ阻害剤、アダマンチン類似体、及び組換えシアリダーゼ融合タンパク質からなる群より選択される少なくとも1つの追加成分と組み合わせて投与される、請求項27に記載の方法。
前記ウイルス感染は、H1N1、H2N2、H3N2、H5N1、H7N7、H1N2、H9N2、H7N2、H7N3、及びH10N7から選択されるウイルスにより引き起こされる、請求項30に記載の方法。
前記組成物の化合物は、STI571、CGP 74588、1-β-D-アラビノフラノシルシトシン(Ara-C),ドキソルビシン、ダカルバジン、シスプラチン、ブレオマイシン、ビンクリスチン、ロムスチン、ビンブラスチン、カルムスチン、DTIC、タモキシフェン、スニチニブ、ソラフェニブ、及びインターフェロン-αからなる群より選択される少なくとも1つの抗癌剤と組み合わせて投与される、請求項39に記載の方法。
チアゾリド化合物の生物学的利用能を向上させる方法であって、請求項1〜16のいずれか1項に記載の化合物又はその塩を哺乳動物に投与することを含み、ここで、生物学的利用能はニタゾキサニドの投与に関し向上する方法。
【発明を実施するための形態】
【0050】
本発明をより詳細に説明する前に、本発明は記載された特定の実施形態に限定されるものではなく、当然に種々変更し得ることを理解されたい。本発明の範囲は添付の特許請求の範囲によってのみ限定されるため、本明細書で使用する用語は、特定の実施形態を説明するためだけのものであり、限定する意図ではないことも理解されたい。
【0051】
ある値の範囲を設ける場合、その範囲内の値は、その範囲の上限及び下限の間の特定値その他の特定の明示がない限り、下限の単位の10分の1刻みの値まで本発明に包含される。このような小刻みの範囲の上限及び下限が独立してその小刻みの範囲に含まれてもよく、かかる上限及び下限はこのような範囲から除外されてもよく、いずれの範囲も本発明に包含される。記載の範囲が上限と下限の一方又は両方を含む場合、前記含まれる上限と下限の一方又は両方を除く範囲も本発明に包含される。
【0052】
特定の範囲は、数値に用語「約」を付して本明細書に示される。本明細書では、「約」という用語は、「約」が付される数値それ自体及びその数値に近似する又はほぼ等しい値をサポートする文言上の裏付けを与えるために使用される。ある数値が特定の数値に近似する又はほぼ等しいかを判断するにあたり、近似する値又はほぼ等しい値は、それが示される文脈において、具体的に提示した数値と実質的に等価な数字であってもよい。
【0053】
他で規定されない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。本明細書に記載された方法及び材料と類似又は均等な任意の方法及び材料も、本発明の実施又は試験に使用することができるが、代表的な例示の方法及び材料を本明細書に記載する。
【0054】
本明細書中に援用される全ての刊行物及び特許文献は、それらの刊行物が引用する方法及び/又は材料を本明細書に開示及び記載するように、各個々の刊行物又は特許文献が参照により援用されるごとく参照により本明細書に援用される。いずれ刊行物の援用も、出願日前の開示に関するとされているものの、本発明が先行発明によりそれらの刊行物に先行していないと認めるという解釈がされるべきではない。更に、これらの刊行物に記載の公開日は、実際に公開された日付とは異なる場合があり、各公開日につき独立に確認する必要がありうる。
【0055】
本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用される単数形「a」、「an」、及び「the」は、文脈に明記されない限り、複数の指示対象も含むことに留意されたい。さらに、請求項には、任意の要素を排除するように記載できることに留意されたい。したがって、上述の記載は、請求項に記載の要素の記載又は「否定的」な限定的記載の使用について、「単独で」、「のみ」などのような排他的な用語を使用するための根拠として機能する意図である。
【0056】
本開示を参照する当業者には明らかなように、本明細書に記載又は図示された個々の実施形態のそれぞれは個別の構成要素及び特徴を有し、これらは本発明の範囲又は精神から逸脱することなく、他のいくつかの実施形態のいずれかの特徴と容易に分離又は組み合わせることができる。本明細書に記載の方法は、実際に記載された順序あるいは論理的に可能な他の順序で実施することもできる。
【0057】
「医薬的に許容される」とは、その物質が生物学的又は他の性質が望ましくないものではないという意味、すなわち、かかる物質は医薬組成物に組み込むことができ、患者に投与しても、望ましくない生物学的影響を何ら引き起こすことなく、あるいは、その物質が含まれる該組成物の他の成分のいずれとも有害な様式で相互作用することないことを意味する。用語「医薬的に許容される」は、医薬担体又は賦形剤を指すのに使用される場合、その担体又は賦形剤が、毒性試験及び製造試験で求められる基準を満たしている、あるいは、その担体又は賦形剤が、米国医薬品局の不活性成分指針に基づいて含有されることを示す。
【0058】
「患者」は、治療が望ましい任意の動物を意味する。患者は哺乳動物であってもよく、本明細書中で使用される場合、典型的には、患者はヒト個体である。
【0059】
本明細書で使用される用語「医薬的に許容される塩」は、水溶性又は油溶性又は水分散性又は油分散性である本発明の化合物の塩又は双性イオン形態を指し;過度の毒性、刺激及びアレルギー反応を伴わず疾患の治療に適しており;合理的な利益/リスク比に見合っており;かつ、意図する用途に有効である。塩は、化合物の最終的な単離及び精製において調製できるか、あるいは遊離塩基の形態の適切な化合物を適切な酸と反応させることによって別個に調製できる。代表的な酸付加塩としては、酢酸塩、アジピン酸塩、L-アルギン酸塩、アスコルビン酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、ベンゼンスルホン酸塩(ベシル酸塩)、重硫酸塩、酪酸塩、樟脳酸塩、カンファースルホン酸塩、クエン酸塩、ジグルコン酸塩、ギ酸塩、フマル酸塩、ゲンチジン酸塩、グルタミン酸塩、グリセロリン酸塩、グリコール酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、馬尿酸塩, 塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、2-ヒドロキシエタンスルホン酸塩(イセチオン酸塩)、乳酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、DL-マンデル酸塩、メシチレンスルホン酸塩、メタンスルホン酸塩、ナフチレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、ニコチン酸塩、2-ナフタレンスルホン酸塩、シュウ酸塩、パモ酸塩、ペクチン酸塩、過硫酸塩、3-フェニルプロピオン酸塩、ホスホン酸塩、ピクリン酸塩、ピバリン酸塩、プロピオン酸塩、ピログルタミン酸塩、コハク酸塩、スルホン酸塩、酒石酸塩、L-酒石酸塩、トリクロロ酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、リン酸塩、グルタミン酸塩、重炭酸塩、パラ-トルエンスルホン酸塩(p-トシレート)及びウンデカン酸塩が挙げられる。また、本発明の化合物中の塩基性基は、メチル、エチル、プロピル及びブチルの塩化物、臭化物及びヨウ化物;ジメチル、ジエチル、ジブチル及びジアミルの硫酸塩;デシル、ラウリル、ミリスチル及びステリルの塩化物、臭化物及びヨウ化物;ならびにベンジル及びフェネチルの臭化物で四級化することもできる。医薬的に許容される付加塩を形成させるのに用いることができる酸の例として、塩酸、臭化水素酸、硫酸、及びリン酸などの無機酸、ならびにシュウ酸、マレイン酸、コハク酸及びクエン酸などの有機酸が挙げられる。塩は、アルカリ金属又はアルカリ土類イオンとの化合物の配位によって形成することもできる。したがって、本発明は、本発明の化合物のナトリウム、カリウム、マグネシウム、及びカルシウム塩の化合物等を企図する。
【0060】
用語「溶媒和物」は、最も広い意味で使用される。例えば、溶媒和物という用語は、本発明の化合物が1つ又は複数の結合水分子を含んで形成される水和物も含む。
【0061】
本明細書で使用する用語「アルキル」は、単独で又は組み合わせて、1〜20、好ましくは1 〜10、及びより好ましくは1〜6個の炭素原子を含む直鎖又は分岐のアルキル基を指す。用語「アルキル基」は、最も広い意味で使用される。アルキル基は、場合により本明細書で規定するように置換されていてもよい。アルキル基の例として、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、isoブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、ペンチル、iso-アミル、ヘキシル、オクチル、ノニル等が挙げられる。例えば、O(C
1-C
8)-アルキル基は、直鎖O(C
1-C
8)-アルキル基並びに分岐O(C
1-C
8)-アルキル基を含む。他の例として、この語は、シクロアルキル基も含み、例えば、(C
1-C
8)-アルキル基は(C
3-C
8)-シクロアルキル基も含む。
【0062】
用語「アルケニル」は、最も広い意味で使用される。例えば、アルケニルという用語は、規定の数の炭素原子を含む分岐、非分岐、及び環状の不 飽和炭化水素鎖を指す。例えば、(C
2-C
8)アルケニルは、少なくとも1つの二重結合を有する2〜8個の炭素原子を含む直鎖、分岐、及び環状の炭化水素鎖を包含し、この用語は、限定されないが、特に明記しない限り、プロペニル、iso-プロペニル、ブテニル、iso-ブテニル、sec-ブテニル、tert-ブテニル、n-ペンテニル、n-ヘキセニル等の置換基を包含する。
【0063】
用語「アルキニル」は、最も広い意味で使用される。例えば、アルキニルという用語は、規定の数の炭素原子を含む分岐、非分岐、及び環状の不飽和炭化水素鎖を指す。例えば、(C
2-C
8)アルキニルは、少なくとも1つの三重結合を有する2〜8個の炭素原子を含む直鎖、分岐、及び環状の炭化水素鎖を包含し、この用語は、限定されないが、特に明記しない限り、エチニル、プロピニル、ブテニル、n-ペンチニル及び分岐相当物(branched counterparts)、n-ヘキシニル及び分岐相当物等の置換基を包含する。
【0064】
本明細書において単独で又は組み合わせて使用される用語「シクロアルキル」は、各環 状部分が3〜12個、好ましくは3〜7個の炭素原子環員を有し、場合により、本明細書で規定されるように置換されるベンゾ縮合環系であってよい飽和又は部分飽和の単環式、二環式、又は三環式アルキル基を指す。かかるシクロアルキル基の例として、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、オクタヒドロナフチル、2,3-ジヒドロ-1H-インデニル、アダマンチル等が挙げられる。本明細書で使用される「二環式」及び「三環式」は、デカヒドロナフタレン、オクタヒドロナフタレンなどの縮合環系と、多環(多中心)式飽和又は部分不飽和型の両方を含む意図である。後者のタイプの異性体の例として、一般に、ビシクロ[2,2,2]オクタン、ビシクロ[2,2,2]オクタン、ビシクロ[1,1,1]ペンタン、カンファー及びビシクロ[3,2,1]オクタンが挙げられる。
【0065】
本明細書において単独で又は組み合わせて使用される用語「シクロアルケニル」は、各環状部分が3〜12個、好ましくは5〜8個の炭素原子環員を含み、場合により、本明細書で規定されるように置換されるベンゾ縮合環系であってよい部分不飽和の単環式、二環式又は三環式基を指す。かかるシクロアルケニル基の例として、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、シクロヘキサジエニル、シクロヘプテニル、シクロオクタジエニル、-1H-インデニル等が挙げられる。
【0066】
本明細書において単独で又は組み合わせて使用される用語「シクロアルキルアルキル」は、上記で規定されるようなシクロアルキル基で置換されている上記で規定されるようなアルキル基を指す。かかるシクロアルキルアルキル基の例として、シクロプロピルメチル、シクロブチルメチル、シクロペンチルメチル、シクロヘキシルメチル、1-シクロペンチルエチル、1-シクロヘキシルエチル、2-シクロペンチルエチル、2-シクロヘキシルエチル、シクロブチルプロピル、シクロペンチルプロピル、シクロヘキシルブチル等が挙げられる。
【0067】
本明細書において単独で又は組み合わせて使用される用語「シクロアルケニルアルキル」は、上記で規定されるようなシクロアルケニル基で置換されている上記で規定されるようなアルキル基を指す。かかるシクロアルケニルアルキル基の例として、1-メチルシクロヘキサ-1 -エニル-、4-エチルシクロヘキサ-1-エニル-、1-ブチルシクロペンタ-1-エニル-、3-メチルシクロペンタ-1-エニル-等が挙げられる。
【0068】
本明細書において単独で又は組み合わせて使用される用語「エステル」は、炭素原子で結合した2つの部分を橋渡すカルボニルオキシ-(C=O)O-基を指す。例として、安息香酸エチル、ケイ皮酸n-ブチル、酢酸フェニル等が挙げられる。
【0069】
本明細書において単独で又は組み合わせて使用される用語「アシル」は、アルキル、アルケニル、アリール、ヘテロアリール、複素環、又は他の任意の部分と結合しているカルボニルであって、カルボニルと結合している原子が炭素である基を指す。「アセチル」基は、-C(O)CH
3基を指す。アシル基の例として、ホルミル、アセチル及びプロピオニルなどのアルカノイル基、ベンゾイルなどのアロイル基、ならびにシンナモイルなどの混合アルキル-アリール基が挙げられる。
【0070】
本明細書において単独で又は組み合わせて使用される用語「アルコキシカルボニル」は、カルボニル基を介して親分子部分と結合しているアルコキシ基を指す。かかる「アルコキシカルボニル」基の例として、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカルボニル、ブトキシカルボニル及びヘキシルオキシカルボニルが挙げられる。
【0071】
本明細書において単独で又は組み合わせて使用される用語「アルキルアミノ」は、アルキル基を介して親分子部分と結合しているアミノ基を指す。
【0072】
本明細書で使用される用語「アルカノイル」は、カルボニル基を介して親分子部分と結合しているアルキル基を指す。かかる基の例として、アセチルとしても知られているメチルカルボニル;プロピオニルとしても知られているエチルカルボニル;及び2-メチル-シクロペンチルカルボニル等が挙げられる。
【0073】
本明細書において単独で又は組み合わせて使用される用語「アルキルスルホニル」は、スルホニルを介して親分子部分と結合しているアルキル基を指す。アルキルスルホニル基の例として、メタンスルホニル、エタンスルホニル、tert-ブタンスルホニル等が挙げられる。
【0074】
本明細書において単独で又は組み合わせて使用される用語「アルキルチオ」は、アルキルという用語が上記定義の通りであるアルキルチオエーテル(R-S-)基を指す。適切なアルキルチオエーテル基の例として、メチルチオ、エチルチオ、n-プロピルチオ、イソプロピルチオ、n-ブチルチオ、イソ-ブチルチオ、sec-ブチルチオ、tert-ブチルチオ、エトキシエチルチオ、メトキシプロポキシエチルチオ、エトキシペントキシエトキシエチルチオ等が挙げられる。
【0075】
本明細書において単独で又は組み合わせて使用される用語「アルキルチオアルキル」は、アルキル基と結合したアルキルチオ基を包含する。アルキルチオアルキル基は、1〜6個の炭素原子のアルキル基及び上記で規定されるようなアルキルチオ基を有する「低級アルキルチオアルキル」基を含む。かかる基の例として、メチルチオメチルが挙げられる。
【0076】
用語「アミド」は、カルボニル又はスルホニル基を介して親分子部分と結合している以下に説明するようなアミノ基を指す。本明細書において単独で又は組み合わせて使用される用語「C-アミド」は、-C(=O)-NR
2基(式中、Rは本明細書に規定の通りである)を指す。本明細書において単独で又は組み合わせて使用される用語「N-アミド」は、RC(=O)NH-基(式中、Rは本明細書に規定の通りである)を指す。
【0077】
本明細書において単独で又は組み合わせて使用される用語「アミノ」は、-NRR'を指す(式中、R及びR'は、水素、アルケニル、アルコキシ、アルコキシアルキル、アルコキシカルボニル、アルキル、アルキルカルボニル、アリール、アリールアルケニル、アリールアルキル、シクロアルキル、ハロアルキルカルボニル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルケニル、ヘテロアリールアルキル、複素環、ヘテロシクロアルケニル、及びヘテロシクロアルキルからなる群より独立して選択され、ここで、アリール、アリールアルケニル及びアリールアルキルのアリール部分、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルケニル及びヘテロアリールアルキルのヘテロアリール部分、複素環ならびにヘテロシクロアルケニル及びヘテロシクロアルキルの複素環部分は、場合により、アルケニル、アルコキシ、アルコキシアルキル、アルキル、シアノ、ハロ、ハロアルコキシ、ハロアルキル、ヒドロキシ、ヒドロキシ-アルキル、ニトロ及びオキソからなる群より独立して選択される1、2、3、4又は5個の置換基で置換されていてよい。
【0078】
本明細書において単独で又は組み合わせて使用される用語「アミノアルキル」は、アルキル基を介して親分子部分と結合しているアミノ基を指す。例として、アミノメチル、アミノエチル及びアミノブチルが挙げられる。用語「アルキルアミノ」は、1つ又は2つのアルキル基で置換されているアミノ基を表す。適切な「アルキルアミノ」基は、モノ-又はジアルキル化されて、例えばN-メチルアミノ、N-エチルアミノ、N,N-ジメチルアミノ、N,N-ジエチルアミノなどの基を形成していてよい。
【0079】
本明細書において単独で又は組み合わせて使用される用語「アミノカルボニル」及び「カルバモイル」は、アミノ基がアルキル、アリール、アラルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル基等から選択される置換基を含む第一級又は第二級アミノ基であってよいアミノ置換カルボニル基を指す。
【0080】
本明細書において単独で又は組み合わせて使用される用語「アリール」は、1、2又は3個の環を含み、当該環がペンダント状態(in a pendent manner)で一緒に結合するか、又は縮合していてもよい炭素環式の芳香族系を意味する。用語「アリール」は、フェニル、ナフチル、アントラセニル、フェナントリル及びビフェニルなどの芳香族基を包含する。本発明のアリール基は、場合により、本明細書で規定される基から独立に選択される1、2、3、4又は5個の置換基で置換されていてよい。
【0081】
本明細書で使用される用語「アリールアルケニル」は、アルケニル基を介して親分子部分と結合しているアリール基を指す。
【0082】
本明細書で使用される用語「アリールアルコキシ」は、アルコキシ基を介して親分子部分と結合しているアリール基を指す。
【0083】
本明細書において単独で又は組み合わせて使用される用語「アリールアミノ」は、N-フェニルアミノ等のアミノ基を介して親分子部分と結合しているアリール基を指す。
【0084】
本明細書において単独で又は組み合わせて使用される用語「アリールオキシ」は、酸素原子を介して親分子部分と結合しているアリール基を指す。
【0085】
本明細書において単独で又は組み合わせて使用される用語「アリールスルホニル」は、スルホニル基を介して親分子部分と結合しているアリール基を指す。
【0086】
本明細書において単独で又は組み合わせて使用される用語「アリールチオ」は、硫黄原子を介して親分子部分と結合しているアリール基を指す。
【0087】
用語「カルボキシ」又は「カルボキシル」は、単独又は「カルボキシアルキル」などのように他の用語と一緒に用いる場合のいずれでも、-CO
2Hを表す。
【0088】
本明細書において単独で又は組み合わせて使用される用語「ベンゾ」及び「ベンズ」は、ベンゼンから誘導される二価基C
6H
4=を指す。例としてベンゾチオフェン及びベンズイミダゾールが挙げられる。
【0089】
本明細書において単独で又は組み合わせて使用される用語「カルバモイルオキシ」は、を 酸素原子を介して親分子部分と結合しているアミノ置換カルボニル基(例えば、RR'NC(=O)O-(式中、当該アミノ基は、アルキル、アリール、アラルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル基等から選択される置換基を含む第一級又は第二級アミノ基であってよい)を指す。
【0090】
本明細書において単独で又は組み合わせて使用される用語「カルボネート」は、-O-C(=O)OR基(式中、Rは本明細書に規定の通りである)を指す。
【0091】
本明細書で使用される用語「カルボニル」は、単独の場合ホルミル[-C(O)H]を含み、組み合わせた場合-C(O)-基である。
【0092】
本明細書で使用される用語「カルボキシ」は、-C(O)OH又は対応する「カルボキシレート」、例えばカルボン酸塩誘導体又はエステル誘導体を指す。「O-カルボキシ」基は、RC(O)O-基(式中、Rは本明細書に規定の通りである)を指す。「C-カルボキシ」基は、-C(O)OR基(式中、Rは本明細書に規定の通りである)を指す。
【0093】
本明細書において単独で又は組み合わせて使用される用語「シアノ」は、-CNを指す。
【0094】
本明細書において単独で又は組み合わせて使用される用語「シクロアルキル」は、各環状部分が3〜12個、好ましくは3〜7個の炭素原子環員を有し、場合により、本明細書で規定されるように置換されるベンゾ縮合環系であってよい飽和又は部分飽和の単環式、二環式又は三環式アルキル基を指す。かかるシクロアルキル基の例として、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、オクタヒドロナフチル、2,3-ジヒドロ-1H-インデニル、アダマンチルなどが挙げられる。本明細書で使用される「二環式」及び「三環式」は、デカヒドロナフタレン、オクタヒドロナフタレンなどの縮合環系と、多環(多中心)式飽和又は部分不飽和型の両方を含む意図である。後者のタイプの異性体の例として、一般に、ビシクロ[2,2,2]オクタン、ビシクロ[2,2,2]オクタン、ビシクロ[1,1,1]ペンタン、カンファー及びビシクロ[3,2,1]オクタンが挙げられる。
【0095】
本明細書において単独で又は組み合わせて使用される用語「シクロアルケニル」は、各環状部分が3〜12個、好ましくは5〜8個の炭素原子環員を含み、場合により、本明細書で規定されるように置換されるベンゾ縮合環系であってよい部分不飽和の単環式、二環式又は三環式基を指す。かかるシクロアルケニル基の例として、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、シクロヘキサジエニル、シクロヘプテニル、シクロオクタジエニル、-1H-インデニル等が挙げられる。
【0096】
本明細書において単独で又は組み合わせて使用される用語「シクロアルキルアルキル」は、上記で規定されるようなシクロアルキル基で置換されている上記で規定されるようなアルキル基を指す。かかるシクロアルキルアルキル基の例として、シクロプロピルメチル、シクロブチルメチル、シクロペンチルメチル、シクロヘキシルメチル、1-シクロペンチルエチル、1-シクロヘキシルエチル、2-シクロペンチルエチル、2-シクロヘキシルエチル、シクロブチルプロピル、シクロペンチルプロピル、シクロヘキシルブチル及び等が挙げられる。
【0097】
本明細書において単独で又は組み合わせて使用される用語「シクロアルケニルアルキル」は、上記で規定されるようなシクロアルケニル基で置換されている上記で規定されるようなアルキル基を指す。かかるシクロアルケニルアルキル基の例として、1-メチルシクロヘキサ-1-エニル-、4-エチルシクロヘキサ-1-エニル-、1-ブチルシクロペンタ-1-エニル-、3-メチルシクロペンタ-1-エニル-等が挙げられる。
【0098】
本明細書において単独で又は組み合わせて使用される用語「エステル」は、炭素原子で結合した2つの部分を橋渡すカルボニルオキシ-(C=O)O-基を指す。例として、安息香酸エチル、ケイ皮酸n-ブチル、酢酸フェニル等が挙げられる。
【0099】
本明細書において単独で又は組み合わせて使用される用語「エーテル」は、炭素原子で結合した2つの部分を橋渡すオキシ基を指す。
【0100】
本明細書において単独で又は組み合わせて使用される用語「ハロ」又は「ハロゲン」は、フッ素、塩素、臭素、又はヨウ素を指す。
【0101】
本明細書において単独で又は組み合わせて使用される用語「ハロアルコキシ」は、酸素原子を介して親分子部分と結合しているハロアルキル基を指す。
【0102】
本明細書において単独で又は組み合わせて使用される用語「ハロアルキル」は、1つ又は複数の水素がハロゲンで置き換えられている上記定義のような意味を有するアルキル基を指す。特に包含されるものは、モノハロアルキル、ジハロアルキル、及びポリハロアルキル基である。モノハロアルキル基は、一例として、当該基中にヨード、ブロモ、クロロ又はフルオロ原子を有してもよい。ジハロ及びポリハロアルキル基は、2つ以上の同じハロ原子又は異なるハロ基の組合せを有してもよい。ハロアルキル基の例として、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、クロロメチル、ジクロロメチル、トリクロロメチル、トリクロロエチル、ペンタフルオロエチル、ヘプタフルオロプロピル、ジフルオロクロロメチル、ジクロロフルオロメチル、ジフルオロエチル、ジフルオロプロピル、ジクロロエチル及びジクロロプロピルが挙げられる。「ハロアルキレン」は、2つ以上の位置で結合しているハロヒドロカルビル基を指す。例として、フルオロメチレン(-CFH-)、ジフルオロメチレン(-CF
2-),クロロメチレン(-CHCl-)等が挙げられる。かかるハロアルキル基の例として、クロロメチル、1-ブロモエチル、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、1,1,1-トリフルオロエチル、パーフルオロデシル等が挙げられる。
【0103】
本明細書において単独で又は組み合わせて使用される用語「ヘテロアルキル」は、表示の数の炭素原子ならびにO、N及びSからなる群から選択される1〜3個のヘテロ原子からなり、その窒素及び硫黄原子は場合により酸化されていてよく、その窒素ヘテロ原子は場合によりで四級化されていてよい、完全に飽和しているか又は1〜3個の不飽 和を含む、安定な直鎖又は分枝鎖又は環状の炭化水素基あるいはそれらの組合せを指す。ヘテロ原子(複数可)のO、N及びSは、ヘテロアルキル基の任意の内部位置に配置されていてよい。最大で2個のヘテロ原子は、例えば-CH
2-NH-OCH
3のように連続していてもよい。
【0104】
本明細書において単独で又は組み合わせて使用される用語「ヘテロアリール」は、少なくとも1個の原子がN、O及びSからなる群より選択され、残りの環原子が炭素である芳香族の5員又は6員環を指す。5員環は2個の二重結合を有し、6員環は3個の二重 結合を有する。ヘテロアリール基は、当該環中の置換可能な炭素又は窒素原子を介して親分子基と連結されている。用語「ヘテロアリールは、ヘテロアリール環が本明 細書で規定されるアリール基、本明細書で規定される複素環基、又は追加のヘテロアリール基と縮合している系も包含する。ヘテロアリールの例としては、ベンゾチエニル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾフラニル、ベンズイミダゾリル、ベンズチアゾリル、ベンゾトリアゾリル、シンノリニル、フリル、イミダゾリル、トリアゾリル[例えば、4H-1,2,4-トリアゾリル、1H-1,2,3-トリアゾリル、2H-1,2,3-トリアゾリル等]、テトラゾリル[例えば、1H-テトラゾリル、2H-テトラゾリル等]、インダゾリル、インドリル、イソオキサゾリル、イソキノリニル、イソチアゾリル、ナフチリジニル、オキサジアゾリル[例えば、1,2,4-オキサジアゾリル、1,3,4-オキサジアゾリル、1,2,5-オキサジアゾリル等]、オキサゾリル、イソオキサゾリル、プリニル、チアゾリル、イソチアゾリル、チエノピリジニル、チエニル、チアジアゾリル[例えば、1,2,4-チアジアゾリル、1,3,4-チアジアゾリル、1,2,5-チアジアゾリル等]、ピリジニル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、ピラゾリル、ピロリル、ピリド[2,3-d]ピリミジニル、ピロロ[2,3-b]ピリジニル、キナゾリニル、キノリニル、チエノ[2,3-c]ピリジニル、テトラゾリル、トリアジニル等が挙げられる。本発明のヘテロアリール基は、場合により、本明細書で定義される基から独立に選択される1、2、3、4又は5個の置換基で置換されていてよい。
【0105】
ヘテロアリール基の例として、これらに限定されないが、チエニル、ベンゾチエニル、フリル、ベンゾフリル、ジベンゾフリル、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、ピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、インドリル、キノリル、イソキノリル、キノキサリニル、テトラゾリル、オキサゾリル、チアゾリル、トリアゾリル及びイソオキサゾリルが挙げられる。
【0106】
本明細書において単独で又は組み合わせて使用される用語「ヘテロアラルキル」又は「ヘテロアリールアルキル」は、アルキル基を介して親分子部分と結合しているヘテロアリール基を指す。
【0107】
本明細書において単独で又は組み合わせて使用される用語「ヘテロアラルケニル」又は「ヘテロアリールアルケニル」は、アルケニル基を介して親分子部分と結合しているヘテロアリール基を指す。
【0108】
本明細書において単独で又は組み合わせて使用される用語「ヘテロアラルコキシ」又は「ヘテロアリールアルコキシ」は、アルコキシ基を介して親分子部分と結合しているヘテロアリール基を指す。
【0109】
本明細書において単独で又は組み合わせて使用される用語「ヘテロアラルキリデン」又は「ヘテロアリールアルキリデン」は、アルキリデン基を介して親分子部分と結合しているヘテロアリール基を指す。
【0110】
本明細書において単独で又は組み合わせて使用される用語「ヘテロアリールオキシ」は、酸素原子を介して親分子部分と結合しているヘテロアリール基を指す。
【0111】
本明細書において単独で又は組み合わせて使用される用語「ヘテロアリールスルホニル」は、スルホニル基を介して親分子部分と結合しているヘテロアリール基を指す。
【0112】
本明細書において単独で又は組み合わせて使用される用語「ヘテロシクロアルキル」及び「複素環」という用語は互換的に、それぞれ、環員として1つもしくは複数のヘテロ原子を含む飽和、部分不飽和、もしくは完全不飽和の単環式、二環式又は三環式複素環基であって、各前記ヘテロ原子は窒素、酸素及び硫黄からなる群から独立に選択されてよく、各環 中に典型的には3〜8個の環員が存在する基を指す。最も一般的には、複素環は5〜6個の環 員を含む。本発明のいくつかの実施形態では、複素環は1〜4個のヘテロ原子を含む。べつの実施形態では、複素環は1〜2個のヘテロ原子を含む。「ヘテロシクロアルキル」及び「複素環」は、スルホン、スルホキシド、第三級窒素環員のNオキシド、及び炭素環縮合した及びベンゾ縮合した環系を含む意図であり;さらにいずれの用語も、複素環が本明細書で定義されるアリール基又は追加の複素環基と縮合している系を含む。本発明の複素環基の例として、アジリジニル、アゼチジニル、1,3-ベンゾジオキソリル、ジヒドロイソインドリル、ジヒドロイソキノリニル、ジヒドロシンノリニル、ジヒドロベンゾジオキシニル、ジヒドロ[1,3]オキサゾロ[4,5-b]ピリジニル、ベンゾチアゾリル、ジヒドロインドリル、ジヒドロピリジニル、1,3-ジオキサニル、1,4-ジオキサニル、1,3-ジオキソラニル、イソインドリニル、モルホリニル、ピペラジニル、ピロリジニル、テトラヒドロピリジニル、ピペリジニル、チオモルホリニル等が挙げられる。特に断りのない限り、複素環基は場合により置換されていてもよい。
【0113】
本明細書において単独で又は組み合わせて使用される用語「ヘテロシクロアルケニル」は、アルケニル基を介して親分子部分と結合している複素環基を指す。
【0114】
本明細書において単独で又は組み合わせて使用される用語「ヘテロシクロアルコキシ」は、酸素原子を介して親分子基と結合している複素環基を指す。
【0115】
本明細書において単独で又は組み合わせて使用される用語「ヘテロシクロアルキルアルキル」は、少なくとも1個の水素原子が上記で規定されるようなヘテロシクロアルキル基で置き換えられている上記規定されるようなアルキル基、例えばピロリジニルメチル、テトラヒドロチエニルメチル、ピリジルメチル等を指す。
【0116】
本明細書において単独で又は組み合わせて使用される用語「ヘテロシクロアルキリデン」は、アルキリデン基を介して親分子部分と結合している複素環基を指す。
【0117】
本明細書において単独で又は組み合わせて使用される用語「ヒドラジニル」は、単結合 、すなわち-N-N-で結合している2つのアミノ基を指す。
【0118】
本明細書において単独で又は組み合わせて使用される用語「ヒドロキシ」は、-OHを指す。
【0119】
本明細書において単独で又は組み合わせて使用される用語「ヒドロキシアルキル」は、そのいずれか1つが1つ又は複数のヒドロキシル基で置換されてもよい1〜約10個の炭素原子を有する直鎖又は分岐アルキル基を指す。かかる基の例として、ヒドロキシメチル、ヒドロキシエチル、ヒドロキシプロピル、ヒドロキシブチル及びヒドロキシヘキシルが挙げられる。
【0120】
本明細書において単独で又は組み合わせて使用される用語「ヒドロキシアルキル」は、アルキル基を介して親分子部分と結合しているヒドロキシ基を指す。
【0121】
本明細書において単独で又は組み合わせて使用される用語「低級」は、1〜6個の炭素原子を含むことを意味する。
【0122】
用語「場合により置換される」は、該当する基が置 換されていても置換されていなくてもよいことを意味する。置換されている場合、炭素、窒素、硫黄又は酸素原子と結合している水素原子は、カルボニル(オキソ)、カルボキシル、低級アルキルカルボキシレート、低級アルキルカルボネート、低級アルキルカルバメート、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、アミド、シアノ、ヒドラジニル、ヒドラジニルカルボニル、アルキルヒドラジニル、ジアルキルヒドラジニル、アリールヒドラジニル、ヘテロアリールヒドラジニル、ニトロ、チオール、スルホン酸、三置換シリル、尿素、アシル、アシルオキシ、アシルアミノ、アシルチオ、低級アルキル、低級アルキルアミノ、低級ジアルキルアミノ、低級アルキルオキシ、低級アルコキシアルキル、低級アルキルチオ、低級アルキルスルホニル、低級アルケニル、低級アルケニルアミノ、低級ジアルケニルアミノ、低級アルケニルオキシ、低級アルケニルチオ、低級アルケニルスルホニル、低級アルキニル、低級アルキニルアミノ、低級ジアルキニルアミノ、低級アルキニルオキシ、低級アルキニルチオ、低級アルキニルスルホニル、低級シクロアルキル、低級シクロアルキルオキシ、低級シクロアルキルアミノ、低級シクロアルキルチオ、低級シクロアルキルスルホニル、低級シクロアルキルアルキル、低級シクロアルキルアルキルオキシ、低級シクロアルキルアルキルアミノ、低級シクロアルキルアルキルチオ、低級シクロアルキルアルキルスルホニル、アリール、アリールオキシ、アリールアミノ、アリールチオ、アリールスルホニル、アリールアルキル、アリールアルキルオキシ、アリールアルキルアミノ、アリールアルキルチオ、アリールアルキルスルホニル、ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ、ヘテロアリールアミノ、ヘテロアリールチオ、ヘテロアリールスルホニル、ヘテロアリールアルキル、ヘテロアリールアルキルオキシ、ヘテロアリールアルキルアミノ、ヘテロアリールアルキルチオ、ヘテロアリールアルキルスルホニル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルキルオキシ、ヘテロシクロアルキルアミノ、ヘテロシクロアルキルチオ、ヘテロシクロアルキルスルホニル、低級ハロアルキル、低級ハロアルケニル、低級ハロアルキニル、低級ペルハロアルキル、低級ペルハロアルコキシ、低級ハロアルコキシ、及び低級アシルオキシを包む「置換基」で置き換えられる。2つの置換基は一緒に結合して0〜3個のヘテロ原子を含む縮合した4、5、6もしくは7員の炭素環又は複素環を形成し、例えばメチレンジオキシ又はエチレンジオキシを形 成することができる。場合により置換される基は、非置換(例えば-CH
2CH
3)、完 全置換(例えば-CF
2CF
3)、モノ置換(例えば-CH
2CH
2F)であっても、また、完全置換とモノ置換の間の任意の程度で置換(例えば-CH
2CF
3)されていてもよい。置換基が、置換に関して規定せず記載されている場合、置換と非置換の両方の形態が包含される。置換基が「置換される」と規定されている場合、特に置換形態を意図する。全てのペンダントアリール、ヘテロアリール及びヘテロシクロ部分は、場合により、上記の基より独立に選択される1、2、3、4又は5個の置換基でさらに置換されていてもよい。
【0123】
本明細書において単独で又は組み合わせて使用される用語「オキシ」又は「オキサ」は、-O-を指す。
【0124】
本明細書において単独で又は組み合わせて使用される用語「オキソ」は、二重結合した酸 素=Oを指す。
【0125】
用語「ペルハロアルコキ」は、水素原子のすべてがハロゲン原子で置き換えられているアルコキシ基を指す。
【0126】
本明細書において単独で又は組み合わせて使用される用語「ペルハロアルキル」は、水 素原子のすべてがハロゲン原子で置き換えられているアルキル基を指す。
【0127】
本明細書において単独で又は組み合わせて使用される用語「ホスホネート」という用語は、-P(=O)(OG)(OG1)-基(式中、G及びG1はH、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール等から選択される)を指す。
【0128】
本明細書において単独で又は組み合わせて使用される用語「ホスフィネート」は、-P(=O)(G)(OG1)-基(式中、G及びG1はH、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール等から選択される)を指す。
【0129】
本明細書において単独で又は組み合わせて使用される用語「スルホネート」「スルホン酸」、及び「スルホン酸の(sulfonic)」は、-SO
3H基を指し、スルホン酸としてのアニオンは塩の生成に使用される。
【0130】
本明細書において単独で又は組み合わせて使用される用語「スルファニル」は、-S及び-S-を指す。
【0131】
本明細書において単独で又は組み合わせて使用される用語「スルフィニル」は、-S(O)-を指す。
【0132】
本明細書において単独で又は組み合わせて使用される用語「スルホニル」は、-SO
2-を指す。
【0133】
用語「N-スルホンアミド」は、RS(=O)
2NH-基(式中、Rは本明細書に規定の通りである)を指す。
【0134】
用語「S-スルホンアミド」は、-S(=O)
2NR
2基(式中、Rは本明細書に規定の通りである)を指す。
【0135】
本明細書において単独で又は組み合わせて使用される用語「チア」及び「チオ」は、-S-基、すなわち酸素が硫黄で置き換えられているエーテルを指す。チオ基の酸化誘導体、すなわちスルフィニル及びスルホニルは、チア及びチオの定義に包含される。
【0136】
プロドラッグ部分
本実施形態の化合物は、チゾキサニド、その類似体又は塩は、例えば、米国特許第7,645,783号、第7,550,493号、第7,285,567号、第6,117,894号、第6,020,353号、第5,968,961号、第5,965,590号、第5,935,591号、及び第5,886,013号、並びに、米国特許出願第12/184760号、第12/656704号、第12/821571号、第12/777383号、第13/284242号、第13/471948号に開示される類似体のプロドラッグである。一の実施形態では、チゾキサニド、その類似体又は塩は、フェニル環に少なくとも1つのヒドロキシ部分を含む。対応するプロドラッグは、アミノ酸部分を含むエステル部分を含む。一の実施形態では、チゾキサニド類似体は、ニトロ基がClに置換されていることを除き、チゾキサニドと同一である。
【0137】
本開示のプロドラッグにおいて使用されるアミノ酸は、任意の天然又は非天然のアミノ酸であり得る。例えば、一の実施形態では、アミノ酸は、アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン、グルタミン酸、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リシン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、スレオニン、トリプトファン、チロシン、及びバリンからなる群より選択される。一の実施形態では、アミノ酸は、疎水性側鎖、例えば、アラニン、イソロイシン、ロイシン、メチオニン、フェニルアラニン、トリプトファン、チロシン、及びバリンを含む。一の実施形態では、アミノ酸は、アルキル側鎖、例えば、アラニン、イソロイシン、ロイシン、及びバリンを含む。
【0138】
別の実施形態では、チゾキサニド、その類似体又は塩に結合したアミノ酸は、以下の式(A)により表される:
【0140】
(式中、R'は、水素、アルキル、及び窒素保護基からなる群より選択され;
R''は、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、シクロアルキルアルケニル、シクロアルキルアルキニル、シクロアルケニル、シクロアルケニルアルキル、シクロアルケニルアルケニル、シクロアルケニルアルキニルからなる群より選択される)。
【0141】
一の実施形態では、R'は、水素及び窒素保護基からなる群より選択され、かつ、R''は、直鎖、分岐鎖、又は環状の不飽和(C
1-C
10)-アルキル部分である。別の実施形態では、R''は直鎖又は分岐鎖の(C
1-C
5)-アルキル部分であり、あるいはR''は(C
1-C
3)-アルキル部分であり、あるいはR''はC
3-アルキル部分である。いくつかの実施形態では、R'は水素である。
【0142】
アミノ酸部分は、ラセミ体であってもよく、あるいは光学活性であってもよい。いくつかの実施形態では、アミノ酸部分は、少なくとも50、60、70、80、90、95、96、97、98、99、99.5、99.9%又はそれ以上の鏡像体過剰率を有する。一の実施形態では、式Aは、以下の式から選択される部分である:
【0144】
(式中、R'及びR''は上で定義した値のいずれかであり得る)。
【0145】
別の実施形態では、チゾキサニド、その類似体又は塩に結合したアミノ酸は、以下の式(A')により表される:
【0147】
(式中、R'は、水素、アルキル、及び窒素保護基からなる群より選択され;
R''は、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、シクロアルキルアルケニル、シクロアルキルアルキニル、シクロアルケニル、シクロアルケニルアルキル、シクロアルケニルアルケニル、シクロアルケニルアルキニルからなる群より選択され;かつ、
R''は、OH、NH
2、SeH、SH 又はCONH
2からなる群の1つ又は複数により置換されるか、あるいは、OH、NH
2、SeH、SH又はCONH
2により保護される)。
【0148】
別の実施形態では、チゾキサニド、その類似体又は塩に結合したアミノ酸は、以下の式(B)により表される:
【0150】
(式中、R'は、水素、アルキル、及び窒素保護基からなる群より選択され;
R''及びR'''は、独立して、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、シクロアルキルアルケニル、シクロアルキルアルキニル、シクロアルケニル、シクロアルケニルアルキル、シクロアルケニルアルケニル、シクロアルケニルアルキニルからなる群より選択され;かつ、
R''は、場合により、OH、NH
2、SeH、SH 又はCONH
2からなる群の1つ又は複数により置換されるか、あるいは、OH、NH
2、SeH、SH又はCONH
2により保護される)。
【0151】
OH、NH
2、SeH、SH又はCONH
2の保護基は、当該分野で公知であり、例えば、参照によりその全体が本明細書に援用されるWuts, PGM Greene's Protective Groups in Organic Synthesis 4th edn (John Wiley & Sons, New York, 2007)に開示される。
【0152】
活性部分
本実施形態の活性部分は、チゾキサニド又はその類似体又は塩のプロドラッグである。本開示の範囲内にある類似体として、例えば、米国特許第7,645,783号、第7,550,493号、第7,285,567号、第6,117,894号、第6,020,353号、第5,968,961号、第5,965,590号、第5,935,591号、及び第5,886,013号、並びに、米国特許出願第12/184760号、第12/656704号、第12/821571号、第12/777383号、第13/284242号、第13/471948号に開示される類似体が挙げられる。一の実施形態では、類似体は、下記式(I):
【0154】
(式中、R
1〜R
5は、独立して、水素、CN、NO
2、F、Cl、Br、I、ヒドロキシ、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、シクロアルキルアルケニル、シクロアルキルアルキニル、シクロアルケニル、シクロアルケニルアルキル、シクロアルケニルアルケニル、シクロアルケニルアルキニル、アルコキシ、アルケニルオキシ、アルキニルオキシ、アルコキシアルキル、アルコキシアルケニル、アルコキシアルキニル、アルケニルオキシアルキル、アルケニルオキシアルケニル、アルケニルオキシアルキニル、アルキニルオキシアルキル、アルケニルオキシアルケニル、アルケニルオキシアルキニル、シクロアルコキシ、シクロアルキルアルコキシ、シクロアルキルアルケニルオキシ、シクロアルキルアルキニルオキシ、シクロアルケニルオキシ、シクロアルケニルアルコキシ、シクロアルケニルアルケニルオキシ、シクロアルケニルアルキニルオキシ、アルコキシアルキルアミノ、ヒドロキシアルキル、アシル、アシルオキシ、アロイルオキシ、アリールアルカノイルオキシ、アリールアルケノイルオキシ、ヘテロアロイルオキシ、ヘテロアリールアルカノイルオキシ、ヘテロアリールアルケノイルオキシ、アルコキシカルボニル、アリールオキシカルボニル、アリールアルコキシカルボニル、ヘテロアリールオキシカルボニル、ヘテロアリールアルコキシカルボニル、アルコキシカルボニルオキシ、カルバモイル、カルバモイルオキシ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アルキルアミノアルキル、アミド、アルキルアミド、ジアルキルアミド、ハロアルキル、ペルハロアルキル、ペルハロアルコキシ、アルキルチオ、アルキルチオアルキル、アルキルスルホニル、アルキルスルホニルアルキル、アルケニルスルホニル、アルキニルスルホニル、シクロアルキルスルホニル、シクロアルキルアルキルスルホニル、シクロアルキルスルホニルアルキル、シクロアルキルアルキルスルホニルアルキル、アリールスルホニル、アリールアルキルスルホニル、アリールアルケニルスルホニル、ヘテロアリールスルホニル、ヘテロアリールアルキルスルホニル、ヘテロアリールアルケニルスルホニル、アルキルスルホンアミド、N,N'-ジアルキルスルホンアミド、スルホンアミドアルキル、スルホンアミドアリール、スルホンアミドアリールアルキル、スルホンアミドアリールアルケニル、アリール、アリールアルキル、アリールオキシ、アリールアルコキシ、アリールチオ、アリールアルキルチオ、アリールアミノ、アリールアルキルアミノ、アリールアルケニル、アリールアルキニル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、ヘテロアリールアルケニル、ヘテロアリールアルキニル、ヘテロアリールオキシ、ヘテロアリールアルコキシ、ヘテロアリールアミノ、ヘテロアリールアルキルアミノ、ヘテロアリールチオ、ヘテロアリールアルキルチオ、ヘテロアリールアルキルアミノ、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルケニル、ヘテロシクロアルコキシ、及びヘテロシクロアルケニルオキシからなる群より選択され(これらは場合により置換されていてもよい);かつ、
R
1〜R
5はそれぞれ1〜60個の原子を含む;
但し、R
1〜R
5の少なくとも1つは、エステル部分を介してフェニルに結合するアミノ酸部分である)
の化合物又はその医薬的に許容される塩である。
【0155】
一の実施形態では、R
6は、NO
2、F、Cl、Br、-SO
2-(C
1-C
10)-アルキル、-SO-(C
1-C
10)-アルキル、ハロアルキル、ペルハロアルキル、ハロアルコキシ、ペルハロアルコキシ、S(O)
mC(R
7R
8)
nCF
3、及びC(R
7R
8)
nCF
3からなる群より選択され、かつ、R
9は水素である、あるいは、R
9は、NO
2、F、Cl、Br、-SO
2-(C
1-C
10)-アルキル、-SO-(C
1-C
10)-アルキル、ハロアルキル、ペルハロアルキル、ハロアルコキシ、ペルハロアルコキシ、S(O)
mC(R
7R
8)
nCF
3、及びC(R
7R
8)
nCF
3からなる群より選択され、かつ、R
6は水素である。別の実施形態では、R
6は、NO
2、F、Cl、Br、-SO
2-(C
1-C
10)-アルキル、及び-SO-(C
1-C
10)-アルキルからなる群より選択され、かつ、R
9は水素である、あるいは、R
9は、NO
2、F、Cl、Br、-SO
2-(C
1-C
10)-アルキル、及び-SO-(C
1-C
10)-アルキルからなる群より選択され、かつ、R
6は水素である。さらに別の実施形態では、R
6は、NO
2及びClからなる群より選択され、かつ、R
9は水素である、あるいは、R
9は、NO
2及びClからなる群より選択され、かつ、R
6は水素である。
【0156】
特定の実施形態では、R
9は水素である。別の特定の実施形態では、R
6は水素である。
【0157】
一の実施形態では、化合物は式I(R
1、R
2、及びR
3の1つはエステル部分を介してフェニルに結合するアミノ酸部分であり、かつ、R
4、R
5と、R
1、R
2、及びR
3の残りはHであり;かつ、R
6はNO
2であり、かつR
9はHである)の化合物である。
【0158】
一の実施形態では、化合物は式I(式中、R
6はNO
2であり、かつR
9はHである)の化合物である。別の実施形態では、化合物は式I(式中、R
6はハロ、例えばCl又はFであり、かつR
9はHである)の化合物である。
【0159】
一の実施形態では、化合物は、以下式から選択される:
【0161】
米国特許第7,645,783号、第7,550,493号、第7,285,567号、第6,117,894号、第6,020,353号、第5,968,961号、第5,965,590号、第5,935,591号、及び第5,886,013号、並びに、米国特許出願第12/184760号、第12/656704号、第12/821571号、第12/777383号、第13/284242号、第13/471948号に挙げられるフェニル環に少なくとも1つのヒドロキシ部分を含む他の化合物も、参照により本開示に援用され、上記フェニル環のヒドロキシ部分にてエステル部分を介してフェニルに結合するアミノ酸部分を有する化合物も本開示の化合物である。
【0162】
医薬組成物
本開示の化合物は、該化合物と医薬的に許容される賦形剤とを含め医薬組成物に組み込むことができる。一の実施形態では、医薬組成物は、本開示のチゾキサニド又はその類似体又はその医薬的に許容される塩のプロドラッグと、医薬的に許容される賦形剤とを含む。一の実施形態では、医薬組成物は、錠剤又はカプセルといった固体経口剤の形態である。別の実施形態では、医薬組成物は、静脈内投与といった注射に適した製剤の形態である。
【0163】
医薬組成物は、即時放出又は制御放出である経口医薬の形態であってもよい。医薬組成物は、本開示の化合物に加えて他の医薬化合物、例えば、ニタゾキサニド、チゾキサニド、又は米国特許第7,645,783号、第7,550,493号、第7,285,567号、第6,117,894号、第6,020,353号、第5,968,961号、第5,965,590号、第5,935,591号、及び第5,886,013号、並びに、米国特許出願第12/184760号、第12/656704号、第12/821571号、第12/777383号、第13/284242号、第13/471948号に挙げる化合物を含んでもよい。
【0164】
医薬組成物は、有効量の本開示の化合物を含む。例えば、一の実施形態では、医薬組成物は、50〜600 mg、又は300〜600 mg、あるいは50、75、100、125、150、175、200、225、250、275、300、350、400、450、500、550、又は600 mgの本開示の化合物を含む。この重量はプロドラッグ自体のものであるか、又は活性部分の重量に基づくものである。
【0165】
組成物は、1つ又は複数のさらなる医薬的に許容される添加剤又は賦形剤を含み得る。制御放出部分及び即時放出部分を有する実施形態では、制御放出部分及び即時放出部分のいずれも、1つ又は複数のさらなる医薬的に許容される添加剤又は賦形剤を含んでもよい。これらの賦形剤は、当分野において周知で認識される治療的に不活性な成分である。本明細書中で使用される用語「不活性な成分」は、単独又は様々な組合せで使用することができ、例えば、希釈剤、崩壊剤、結合剤、懸濁化剤、流動促進剤、潤滑剤、充填剤、コーティング剤、可溶化剤、甘味剤、着色剤、風味剤、及び酸化防止剤を含む、製薬科学の分野では周知である治療的に不活性な成分を指す。例えば、Remington; The Science and Practice of Pharmacy(1995年、編者:E.W.Martin、Mack Publishing Company、第19版、Easton、Pa)を参照のこと。
【0166】
希釈剤又は充填剤の例として、限定するものではないが、デンプン、ラクトース、キシリトール、ソルビトール、菓子用の砂糖、圧縮糖、デキストレート、デキストリン、デキストロース、フルクトース、ラクチトール、マンニトール、スクロース、タルク、微結晶セルロース、炭酸カルシウム、二塩基性又は三塩基性のリン酸カルシウム、リン酸二カルシウム二水和物、及び硫酸カルシウム等が挙げられる。
【0167】
希釈剤(複数可)又は充填剤(複数可)は、典型的には、組成物全体の約2 重量%〜約15 重量%を示す。
【0168】
崩壊剤の例として、限定するものではないが、アルギン酸、メタクリル酸DVB、架橋PVP、微結晶セルロース、ナトリウムクロスカルメロース、クロスポビドン、ポラクリリンカリウム、デンプングリコール酸ナトリウム、トウモロコシデンプンを含むデンプン及びアルファ化デンプン等が挙げられる。
【0169】
崩壊剤(複数可)は、典型的には、組成物全体の約2 重量%〜約15 重量%を示す。
【0170】
結合剤の例として、限定するものではないが、デンプン、(例えば、ジャガイモデンプン、コムギデンプン、トウモロコシデンプン);微結晶セルロース;セルロース(例えば、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、エチルセルロース、ナトリウムカルボキシメチルセルロース);天然ゴム(例えば、アラビアゴム、アルギン酸、グアーガム);液状グルコース、デキストリン、ポビドン、シロップ、ポリエチレンオキシド、ポリビニルピロリドン、ポリ−N−ビニルアミド、ポリエチレングリコール、ゼラチン、ポリプロピレングリコール及びトラガカント等が挙げられる。
【0171】
結合剤(複数可)は、典型的には、組成物全体の約0.2 重量%〜約14 重量%を示す。
【0172】
流動促進剤の例として、限定するものではないが、二酸化ケイ素、コロイド状無水シリカ、三ケイ酸マグネシウム、三塩基性リン酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、コロイド状二酸化ケイ素、粉末化セルロース、デンプン、及びタルク等が挙げられる。
【0173】
流動促進剤(複数可)は、典型的には、組成物全体の約0.01 重量%〜約0.3 重量%を示す。
【0174】
潤滑剤の例として、限定するものではないが、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸、ポリエチレングリコール、グリセリルベヘナート、鉱油、ナトリウムステアリルフマレート、タルク、及び水素化植物油等が挙げられる。
【0175】
潤滑剤(複数可)は、典型的には、組成物全体の約0.2 重量%〜約1.0 重量%を示す。
【0176】
本組成物は更に、コーティング材料を含み得る。コーティング材料は典型的には、製剤を完全に覆う剤形上の外層として存在する。例えば、いくつかの実施形態では、剤形は、制御放出部分が錠剤の第1の層を形成し、即時放出部分が、第1の層の上に積層され第2の層を形成し、コア錠剤を成す経口錠剤である。かかる実施形態では、例えば、コーティング材料は、上記コア錠剤の上に積層される外側コーティング層の形態であり得る。
【0177】
コーティング材料
典型的には、組成物の約1 重量%〜約5 重量%である。
【0178】
コーティング材料は、ヒドロキシプロピルメチルセルロース及び/又はポリエチレングリコールを含み得て、また、コーティング剤、乳白剤、味マスキング剤、充填剤、つや出し剤、着色剤、粘着防止剤等からなる群より選択される1つ又は複数の賦形剤を含み得る。例えば、コーティング材料は二酸化チタンを不透明化剤として含み得る。フィルムコーティング用の物質の例やかかるコーティング物質を使用するための方法は当業者には周知である。
【0179】
一の実施形態では、コーティングは腸溶コーティングではない。別の実施形態では、コーティングは腸溶コーティングである。
【0180】
例えば、本組成物において使用される被覆材は、下記の実施例の場合のように、OPADRY AMB 80W91416又はOPADRY FX 63F97546が可能である。
【0181】
制御放出組成物は、pH依存性放出により、微生物誘発送達により、コンジュゲートとして、時間制御送達により、浸透圧調節送達により送達してもよく、圧力制御送達により、マルチマトリックスシステム送達により、生体接着送達により、又は多粒子送達により投与してもよい。制御放出製剤内の化合物は、小腸又は大腸、結腸又は直腸、胃、食道において優先的に放出されてもよく、例えば、いくつかの実施形態では、化合物の投与量の少なくとも60%、70%、80%、又は90%が身体の特定領域の少なくとも1つにおいて2〜24時間、あるいは2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23又は24 時間にわたって放出される。
【0182】
固体の医薬製剤を製造する方法は医薬製剤の当業者にとって公知であり、これらの方法を本組成物を調製するために用いることができる。例えば、Remington; The Science and Practice of Pharmacy(1995)(編者:E.W.Martin、Mack Publishing Company、第19版、Easton、Pa)を参照のこと。
【0183】
1つ又は複数のさらなる活性薬剤を、本医薬組成物及び治療方法に含めてもよい。例えば、いくつかの実施形態では、組成物は、C型肝炎の治療に有用な1つ又は複数のさらなる治療剤(例えば、リバビリン、例えば、インターフェロンα−2b、インターフェロンα−2bの誘導体(例えば、インターフェロンα−2bのポリエチレングリコール結合形態など)、インターフェロンα−2a又はインターフェロンアルファコンn−1などのインターフェロンを含むがこれらに限定されない免疫刺激剤)を含んでもよい。
【0184】
治療の方法
本発明の組成物は、細胞内細菌感染、ウイルス感染又は癌を効果的に治療するために使用され、生物学的利用能の向上及びニタゾキサニドのより良好な吸収をもたらし、標準的なニアゾキサニド製剤に一般的に見られる副作用が少ない。いくつかの実施形態では、本発明の組成物は、水溶解度の顕著な改善を示し、例えば、RM-5061の水溶解度は、1 mg/mL(「非常にわずかな可溶性」〜「わずかな可溶性」)であり、ニタゾキサニドの<0.1 mg/ml(「事実上不溶性」)と比較して高くなっており、よって例えば静脈内への注射が可能な製剤の調製が可能になる。
【0185】
ニタゾキサニドによる細胞内細菌感染の治療は、当技術分野で公知である。本発明の方法は、細胞内細菌感染に罹患している対象の治療を提供し、本開示の治療的有効量の本開示の化合物又は組成物を、それを必要とする対象に投与することを含む。一の実施形態では、医薬組成物は、本開示の化合物が300〜600 mg、あるいは300、350、400、450、500、550、又は600 mgの量となるように1日1回又は1日2回又は1日3回投与される。治療レジメンは、当業者の知識に基づいて調整してもよい。例えば、治療レジメンは、1、2、3、4、5、6、7日間、あるいは1、2、3又は4週間にわたって実施してもよい。一の実施形態では、細胞内細菌感染に罹患している対象の治療であって、本開示の治療的有効量の本開示の化合物又は組成物を、それを必要とする対象に投与することを含む上記治療は、生物学的利用能の向上又はより良好な吸収をもたらし、又はニアゾキサニドによる治療と比較して副作用が改善される。
【0186】
本発明の別の特定の態様では、対象は細胞内原虫感染に罹患している。本発明の更に別の特定の態様では、対象は細胞内原虫感染を発症するリスクに晒されている。一の実施形態では、細胞内原虫感染はCryptosporidium spp.である。本発明の別の態様では、細胞内原虫感染はLeishmania spp.である。本発明のさらに別の態様では、細胞内原虫感染はToxoplasma gondiiである。本発明の更なる態様では、細胞内原虫感染はTrypanosoma cruziiである。一の特定の実施形態では、本開示のプロドラッグ化合物は単独で投与される。
【0187】
本発明の別の特定の実施形態では、本開示のプロドラッグ化合物は、ワクチン、免疫賦活剤、及び抗原虫剤の少なくとも1つと組み合わせて投与される。抗原虫剤として、トリメトプリム/スルファメトキサゾール、アトバクオン、クリンダマイシン、ピリメタミン、スピラマイシン、ジミナジン、ホミジウム、スラミン、メラルサミン、スチボグルコン酸ナトリウム及びメグルミンアンチモンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0188】
ニタゾキサニドによるウイルス感染の治療は、当技術分野で公知である。本発明の方法は、ウイルス感染に罹患している対象の治療を提供し、本開示の治療的有効量の本開示の化合物又は組成物を、それを必要とする対象に投与することを含む。一の実施形態では、医薬組成物は、本開示の化合物が300〜600 mg、あるいは300、350、400、450、500、550、又は600 mgの量となるように1日1回又は1日2回又は1日3回投与される。治療レジメンは、当業者の知識に基づいて調整してもよい。例えば、治療レジメンは、1、2、3、4、5、6、7日間、あるいは1、2、3又は4週間にわたって実施してもよい。一の実施形態では、ウイルス感染に罹患している対象の治療であって、本開示の治療的有効量の本開示の化合物又は組成物を、それを必要とする対象に投与することを含む上記治療は、生物学的利用能の向上又はより良好な吸収をもたらし、又はニアゾキサニドによる治療と比較して副作用が改善される。
【0189】
ウイルス感染は、RNAウイルス又はDNAウイルスによるものであり得る。本発明の方法のRNAウイルスとして、レトロウイルス科:ヒト免疫不全ウイルス又はHIV;レオウイルス科:ノロウイルス又はNoV;カリシウイルス科:ロタウイルス又はRoV;フラビウイルス科:C型肝炎ウイルス又はHCV;黄熱病ウイルス又はYFV;日本脳炎ウイルス又はJEV;デング熱-2ウイルス又はDEV;オルトミクソウイルス科:インフルエンザAウイルス又はIAV及びインフルエンザBウイルス又はIBV;パラミクソウイルス科:パラインフルエンザウイルス又はHPIV及び呼吸器シンシチウムウイルス又はRSV;コロナウイルス科:イヌコロナウイルス又はCCoV及び中東呼吸器ウイルス又はMERSCoVが挙げられる。一の実施形態では、ウイルス感染はインターフェロンを発現する細胞系におけるMERSコロナウイルスによるものであってもよい。
【0190】
本方法のDNAウイルスとして、ヘパドナウイルス科:B型肝炎ウイルス又はHBV;ヘルペスウイルス科:単純ヘルペスウイルス-1及び-2又はHSV-1及びHSV-2;及び水痘帯状疱疹ウイルスが挙げられる。
【0191】
一の実施形態では、本開示の治療は、HIV、HBV、HCV、NoV、RoV、YFV、JEV、DFV、IAV、IBV、HPIV、RSV、CCoV、MERSCoV、HSV-1、HSV-2、VZVに対するものである。
【0192】
ウイルス感染は、インフルエンザ感染であってもよく、あるいは、H1N1、H2N2、H3N2、H5N1、H7N7、H1N2、H9N2、H7N2、H7N3、及びH10N7から選択されるウイルスにより引き起こされるものであってもよい。別の実施形態では、治療は、H1N1感受性又はオセルタミビル耐性、H3N2感受性及びオセルタミビル耐性又はアマンタジン耐性、H3N2v、H3N8、H5N9、H7N9、H7N9感受性及びオセルタミビル耐性を含むインフルエンザA型ウイルスに対するものである。
【0193】
別の実施形態では、ウイルス感染は、B型肝炎である。
【0194】
ウイルス感染に罹患しているか又はウイルス感染を発症するリスクに晒されている対象の治療であって、本開示の治療的有効量の本開示の化合物又は組成物を、それを必要とする対象に投与することを含むことを含む治療は、単回投与又は同時投与の形態であってもよい。一の実施形態では、組成物の化合物は、ワクチン、ラニナミビル、オセルタミビル、ザナミビル又はペラミビル等のノイラミニダーゼ阻害剤、イミキモド又はレジキモッド等の免疫賦活剤、アダマンチン類似体、及びフルダーゼ又は抗B型肝炎剤等の組換えシアリダーゼ融合タンパク質からなる群より選択される少なくとも1つの追加成分と組み合わせて投与される。
【0195】
一の実施形態では、ウイルス感染に罹患している対象の治療であって、本開示の治療的有効量の本開示の化合物又は組成物を、それを必要とする対象に投与することを含む上記治療は、生物学的利用能の向上又はより良好な吸収をもたらし、又はニアゾキサニドによる治療と比較して副作用が改善される。
【0196】
本発明の別の特定の態様では、対象は癌に罹患している。本発明の更に別の特定の態様では、対象は癌を発症するリスクに晒されている。一の実施形態では、癌は、白血病である。好ましくは、白血病は、毛状細胞白血病又は慢性骨髄性白血病である。本発明の別の態様では、癌は、黒色腫である。本発明の更に別の態様では、癌は、非ホジキンリンパ腫である。本発明の更なる態様では、癌は、腎細胞癌である。本発明の更なる態様では、癌は、乳癌又は結腸癌又は前立腺癌である。一つの特定の実施形態では、本開示のプロドラッグ化合物は、単独投与される。別の特定の実施形態では、本開示のプロドラッグ化合物は、ワクチン、免疫賦活剤、及び抗癌剤の少なくとも1つと組み合わせて投与される。抗癌剤として、STI571、CGP 74588、1-β-D-アラビノフラノシルシトシン(Ara-C)、ドキソルビシン、ダカルバジン、シスプラチン、ブレオマイシン、ビンクリスチン、ロムスチン、ビンブラスチン、カルムスチン、DTIC、タモキシフェン、スニチニブ、ソラフェニブ、及びインターフェロン-αが挙げられるがこれらに限定されない。一の実施形態では、医薬組成物は、本開示の化合物が300〜600 mg、あるいは300、350、400、450、500、550、又は600 mgの量となるように1日1回又は1日2回又は1日3回投与される。治療レジメンは、当業者の知識に基づいて調整してもよい。例えば、治療レジメンは、1、2、3、4、5、6、7日間、あるいは1、2、3又は4週間にわたって実施してもよい。
【0197】
一の実施形態では、癌に罹患しているか又は癌を発症するリスクに晒されている対象の治療であって、本開示の治療的有効量の本開示の化合物又は組成物を、それを必要とする対象に投与することを含む上記治療は、生物学的利用能の向上又はより良好な吸収をもたらし、又はニアゾキサニドによる治療と比較して副作用が改善される。
【0198】
一の実施形態では、本開示のプロドラッグ化合物又は組成物は、免疫応答を刺激するようにそれを必要とする対象に投与される。プロドラッグ化合物又は組成物は、免疫刺激効果がある量で投与される。一の実施形態では、本開示のプロドラッグ化合物又は組成物は、ワクチンと共にそれを必要とする対象に投与される。上述のように、対象は、ウイルス感染に罹患しているかウイルス感染を発症するリスクに晒されている。
【0199】
1つの態様では、本開示のプロドラッグ化合物は、同等の量の同じ非プロドラッグ化合物と比較して高い生物学的利用能を示す。いくつかの実施形態では、本開示のプロドラッグ化合物投与した際の絶対生物学的利用能 (曲線下面積によって測定される、AUC)は、同等の量の同じ非プロドラッグ化合物を投与した場合と比較して約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、又は約40%高い。
【0200】
1つの態様では、本開示のプロドラッグ化合物は、同量のニタゾキサニドと比較して少ない副作用を示す。いくつかの実施形態では、本開示のプロドラッグ化合物投与した際の副作用は、同等の量の同じ非プロドラッグ化合物を投与した場合と比較して約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、又は約40%低い。
【0201】
一の実施形態では、本開示のプロドラッグ化合物は、それを必要とする患者に食物なしで投与される。
【0202】
一の実施形態では、本開示の組成物及び追加の活性薬剤(例えば、インターフェロン)は、一緒に、又は別々に、同時に、又は異なる組成物(剤型、放出プロファイル、等が異なる別個の組成物を含む)中に含んで投与してもよい。
【0203】
上記の説明及び以下の実施例は、本発明の範囲を例示するものであり、本発明の範囲を限定するものではないことを理解されたい。本発明の範囲内の他の態様、利点及び変更は、本発明に関係する当業者には明らかであろう。
【実施例】
【0204】
実施例1
【0205】
【化11】
【0206】
スキーム1. チゾキサニドバリニルプロドラッグの合成
試薬:i) Boc-Val-OH, HATU, DMAP, THF;ii) HCl-ジオキサン、0-20℃.
【0207】
実施例2
(S)-[2-[(5-ニトロ-1,3-チアゾール-2-イル)カルバモイル]フェニル]-2-アミノ-3-メチルブタノエート, 塩酸塩の合成
パート1:(S)-[2-[(5-ニトロ-1,3-チアゾール-2-イル)カルバモイル]フェニル]-2-(t-ブトキシカルボニル)アミノ-3-メチルブタノエート:
t-ブトキシカルボニル-L-バリン(Boc-Val-OH; 0.21 g, 0.97 mmol)とチゾキサニド(0.25 g, 0.94 mmol)の混合物を、20℃で無水THF (7.5 mL)内で撹拌した。HATU (viz. O-(7-アザベンゾトリアゾール-1-イル)-1,1,3,3-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロフォスフェート; 0.38 g, 1 mmol)を一度に添加し、その1時間後に4-ジメチルアミノピリジン(DMAP; 0.12 g, 1 mmol)を添加した。20時間後、混合物をセライトでろ過し、沈殿物を更なるTHFで洗浄した後、酢酸エチル(25 mL)で希釈した。ろ液と洗浄物を合わせて7%クエン酸水溶液、飽和NaHCO
3水溶液、水、塩水にて洗浄し、その後無水Na
2SO
4で乾燥した。蒸発させて黄色の泡状物を得、これをシリカゲルクロマトグラフィーにかけ、CH
2Cl
2を流し、1:1の酢酸エチル:ヘキサンで希釈した。適切な画分を合わせ、蒸発させて、表題の化合物を白色固体として得た(280 mg);
1H NMR (400 MHz, CDCl
3) δ
H1.03, 1.12 (6 H, 2d, Me
2CH), 1.40 (9 H, s, Me
3CO), 2.35 (1 H, m, Me
2CHCH), 4.39 (1 H, m, CHCHNH), 5.20 (1 H, m, NH), 7.40 (1 H, d, ArH), 7.45 (1 H, t, ArH), 7.67 (1 H, t, ArH), 8.06 (1 H, d, ArH), 8.18 (1 H, s,チアゾール 4-H) 及び11.10 (1 H, br s, NH); m/z (エレクトロスプレー+veモード) 487 (MNa
+,ベースピーク)。実測値: m/z, 487.1265。C
20H
24N
4O
7Sはm/z, 487.1263を必要とする。
【0208】
パート2:(S)-[2-[(5-ニトロ-1,3-チアゾール-2-イル)カルバモイル]フェニル]-2-アミノ-3-メチルブタノエート, 塩酸塩:
上述のBoc誘導体(0.250 g, 0.54 mmol)をCH
2Cl
2(5 mL)に溶解し、4M HClのジオキサン溶液(2.5 mL)で処理し、20℃で20時間撹拌した。多量の固体が既に沈殿しており、ジエチルエーテル(Et
2O, 10 mL)添加し、その後更に0.5時間撹拌し、沈殿物をろ過し、Et
2Oで洗浄し、真空中で乾燥させ、表題の化合物を非常に明るい黄色の固体として得た(0.220 g);
1H NMR [400 MHz, (CD
3)SO] δ
H1.05 (6 H, 2d, Me
2CH), 2.37 (1 H, m, Me
2CHCH), 4.17 (1 H, m, CHCHNH), 7.49 (1 H, d, ArH), 7.53 (1 H, t, ArH), 7.76 (1 H, t, ArH), 7.90 (1 H, d, ArH), 8.74 (1 H, s,チアゾール 4-H), 8.80-8.90 (3 H, br s, H3N
+) 及び13.80(1 H, br s, NH; m/z (エレクトロスプレー+veモード) 387 (遊離アミンのMNa
+、ベースピーク)。実測値: m/z, 387.0722。C
15H
16N
4O
5SNaはm/z, 387.0739を必要とする。
【0209】
【化12】
【0210】
スキーム2. チゾキサニドのtert-ロイシニルプロドラッグの合成
試薬: i) Boc-Tle-OH, EDC, DMAP, THF; ii) HCl-ジオキサン、0-20℃.
【0211】
実施例3
(S)-[2-[(5-ニトロ-1,3-チアゾール-2-イル)カルバモイル]フェニル]-2-アミノ-3,3-ジメチルブタノエート, 塩酸塩の合成
パート1: (S)-[2-[(5-ニトロ-1,3-チアゾール-2-イル)カルバモイル]フェニル]-2-(t-ブトキシカルボニル)アミノ-3,3-ジメチルブタノエート:
t-ブトキシカルボニル-L-tert-ロイシン(Boc-Tle-OH, 0.23 g, 1 mmol)とチゾキサニド(0.26 g, 1 mmol)の混合物を、20℃で無水THF (10 mL)と無水DMF (4 mL)の混合物内で撹拌し、その後N-エチル-N’-3-(ジメチルアミノ)プロピルカルボジイミド、HCl (EDC; 0.19 g, 1 mmol) 及びDMAP (0.12 g, 1 mmol)で処理した。26時間後、混合物を実施例1に記載したように後処理して、粗生成物を黄色泡状物として得た(0.260 g);
1H NMR (400 MHz, CDCl
3) δ
H 1.15 (9 H, s, Me
3CC), 1.38 (9 H, s, Me
3CO), 4.25 (1 H, d, CHNH), 5.22 (1 H, br d, CHNH), 7.40-7.50 (2 H, m, ArH), 7.67 (1 H, t, ArH), 8.09 (1 H, d, ArH), 8.26 (1 H, s,チアゾール 4-H) 及び11.10 (1 H, br s, NH); m/z (エレクトロスプレー+veモード) 501 (MNa
+,ベースピーク)。実測値: m/z, 501.1417。C
21H
26N
4O
7SNaはm/z, 501.1420を必要とする。
【0212】
パート2: (S)-[2-[(5-ニトロ-1,3-チアゾール-2-イル)カルバモイル]フェニル]-2-アミノ-3,3-ジメチルブタノエート, 塩酸塩:
上述のBoc誘導体(0.254 g, 0.53 mmol)をCH
2Cl
2 (5 mL)に溶解し、4M HClのジオキサン溶液(2 mL)で処理し、20℃で撹拌した。数分後に溶液が得られたが、すぐに固体が沈殿し始めた。16時間後、混合物を実施例1に記載したように後処理して、表題の化合物を得た(0.205 g);
1H NMR [400 MHz, (CD
3)SO] δ
H 1.10 (9 H, s, Me
3C), 4.00 (1 H, s, CHNH
3+), 7.54 (1 H, d, ArH), 7.62 (1 H, t, ArH), 7.75 (1 H, t, ArH), 7.85 (1 H, d, ArH), 8.73 (1 H, s,チアゾール 4-H), 8.86 (3 H, br s, NH
3+) 及び13.85 (1 H, br s, NH);
13C NMR [100 MHz, (CD
3)SO] δ
C 26.6, 33.9, 61.5, 124.0, 126.6, 127.1, 130.0, 133.7, 142.6, 143.0, 147.8, 162.2, 165.8 及び167.5; m/z (エレクトロスプレー+veモード) 379 (ベースピーク,アンモニウムイオン)。実測値: m/z, 379.1060。C
16H
19N
4O
5Sはm/z, 379.1076を必要とする。
【0213】
実施例4
3匹の雄Sprague-Dawleyラットの2つの群に、以下の表に詳述するように、単回経口又はボーラス静脈内投与にてRM-5061を投与した。
【0214】
【表1】
【0215】
投与から0.083、0.167、0.25、0.5、1、2、4、8、12、及び24時間後に各動物から連続的に血液サンプルを得た。RM-5061の単回経口又は単回静脈内投与後のチゾキサニド及びチゾキサニドグルクロニドの薬物動態パラメータを以下の表に要約する。
【0216】
【表2】
【0217】
1kg当たり〜28mgでRM-5061を経口投与した3匹の動物全てにおいて0.083時間後の最初の採血時点で血漿中にチゾキサニドが検出された。RM-5061の経口投与後のチゾキサニドの最大血漿濃度が、経口投与から0.083時間〜0.25時間後にみられた。3匹の動物について最後の定量可能なチゾキサニド血漿濃度は、経口投与から2〜4時間後に起こった。平均チゾキサニド血漿消失半減期は0.55時間であった。チゾキサニドは迅速にそのグルクロニド体に代謝された。チゾキサニドグルクロニドは、0.083時間の最初の採血時点で血漿中に検出された。最大チゾキサニドグルクロニド血漿濃度は経口投与から0.5時間後に観察された。チゾキサニドグルクロニドCmax値はチゾキサニドCmax値の約3〜4倍であった。チゾキサニドグルクロニドAUC値は、チゾキサニドAUC値よりも5〜8倍高く、迅速なグルクロニド化を示唆している。平均チゾキサニドグルクロニドT
1/2,eは1.01時間であった。チゾキサニドの経口生物学的利用能の推定値は〜13%と低く、これは、プロドラッグRM-5061の吸収の程度やチゾキサニドへの変換の度合いより、チゾキサニドグルクロニドへの迅速な代謝に対応するものであった。
【0218】
1kg当たり〜6.3mgでRM-5061を静脈内投与してから0.083時間後の最初の採血時点で血漿中にチゾキサニドが検出された。RM-5061の静脈内投与後のチゾキサニドの最大血漿濃度が、0.083時間後の採血時点でみられた。3匹の動物について最後の定量可能なチゾキサニド血漿濃度は、静脈内投与から1〜2時間後に起こった。平均チゾキサニド血漿消失半減期は0.38時間であった。チゾキサニドは迅速にそのグルクロニド体に代謝された。チゾキサニドグルクロニドは、0.083時間の最初の採血時点で血漿中に検出された。最大チゾキサニドグルクロニド血漿濃度は経口投与から0.25〜1時間後に観察された。
【0219】
チゾキサニドグルクロニドCmax値はチゾキサニドCmax値よりやや少なかった。3匹中2匹の動物において、チゾキサニドグルクロニドAUC値は、チゾキサニドAUC値よりも2〜7倍高かった。個々のチゾキサニドグルクロニドT
1/2,eは0.55 時間及び2 時間であり、一方、ラット1287は静脈内投与の2時間後に死亡していることが判明したため、血漿中の最終的な消失期は観察されなかった。ラット1287のチゾキサニド血漿濃度は、0.083〜1時間の時間枠にわたって他の2匹の動物の濃度よりも高かったことに留意すべきである。
【0220】
ニタゾキサニドの同様の研究と比較して、ラット1kg当たり〜30mgの用量でそれぞれの薬物を強制経口投与し、各薬物の経口製剤を薬物6mg/ビヒクル1mlの濃度で調製した(水中、0.5%のカルボキシメチルセルロース)。また、ニタゾキサニド試験では3匹の雄ラットと3匹の雌ラットを使用し、一方、RM-5061試験では3匹の雄ラットを使用した。薬物動態パラメータを雄間で比較すると、チゾキサニド代謝産物の平均最大血漿濃度(Cmax)は、ニタゾキサニドの経口投与後の場合はたったの0.454 ±0.0895 μg/mlであったのに対し、RM-5061投与後の場合は6.19 ±0.786 μg/mlであった(13.6倍の増加)。チゾキサニドグルクロニド代謝産物の平均Cmaxは、ニタゾキサニドの経口投与後の場合はたったの3.49 ±1.089 μg/mlであったのに対し、RM-5061投与後の場合は18.6 ±2.83 μg/mlであった(5.33倍の増加)。重要なことに、Cmax値の%相対標準偏差(%RSD)は、RM-5061の経口投与後の場合(チゾキサニドCmaxは12.7%、チゾキサニドグルクロニドCmaxは15.2%)は、ニタゾキサニドの経口投与後の場合(チゾキサニドCmaxは19.7%、チゾキサニドグルクロニドCmaxは31.2%)よりも低かった。これらのデータは、RM-5061の経口投与により、かなり高い濃度のチゾキサニド及びチゾキサニドグルクロニドを送達し、吸収の変動が少ないことを示している。ヒトにおけるニタゾキサニドに関連する問題の1つは、その吸収が非常に変動しやすく、吸収を改善するために食物と共に投与しなければならないことである(食物と共に投与する場合約2倍になる)。このデータは、RM-5061が、より高い血漿濃度でチゾキサニド(活性代謝産物)を送達し、より低い変動性をもたらし、そしておそらく食物との同時投与を必要としないということを示唆する。
【0221】
実施例5
患者は、実施例1の化合物を300、400又は500mgで1日2回、1週間経口投与される。対照群は、ニタゾキサニドが300、400又は500mgの同量で1日2回、1週間経口投与される。活性チゾキサニドの血漿レベルは、投与中の全患者集団においてモニターされる。ニタゾキサニドを投与された患者集団に対し、実施例1の化合物を投与された患者集団において、投与した薬剤の生物学的利用能が増加する。