特表2017-538023(P2017-538023A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2017-538023(P2017-538023A)
(43)【公表日】2017年12月21日
(54)【発明の名称】硬化性部分フッ素化ポリマー組成物
(51)【国際特許分類】
   C08L 101/04 20060101AFI20171124BHJP
   C08K 5/13 20060101ALI20171124BHJP
   C08K 5/05 20060101ALI20171124BHJP
【FI】
   C08L101/04
   C08K5/13
   C08K5/05
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】26
(21)【出願番号】特願2017-532105(P2017-532105)
(86)(22)【出願日】2015年12月16日
(85)【翻訳文提出日】2017年6月15日
(86)【国際出願番号】US2015065933
(87)【国際公開番号】WO2016100421
(87)【国際公開日】20160623
(31)【優先権主張番号】1422777.1
(32)【優先日】2014年12月19日
(33)【優先権主張国】GB
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】505005049
【氏名又は名称】スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100077517
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 敬
(74)【代理人】
【識別番号】100087413
【弁理士】
【氏名又は名称】古賀 哲次
(74)【代理人】
【識別番号】100128495
【弁理士】
【氏名又は名称】出野 知
(74)【代理人】
【識別番号】100093665
【弁理士】
【氏名又は名称】蛯谷 厚志
(74)【代理人】
【識別番号】100146466
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 正俊
(74)【代理人】
【識別番号】100173107
【弁理士】
【氏名又は名称】胡田 尚則
(72)【発明者】
【氏名】ウェルナー エム.エー.グルータート
(72)【発明者】
【氏名】ミゲル エー.ゲラ
【テーマコード(参考)】
4J002
【Fターム(参考)】
4J002AC041
4J002BD121
4J002BD151
4J002BD161
4J002BF001
4J002EC016
4J002EJ016
4J002EN137
4J002EV297
4J002EW177
4J002FD146
4J002FD207
4J002GT00
(57)【要約】
本明細書には、硬化性部分フッ素化ポリマー組成物と、その方法とが記載される。組成物は、(i)炭素−炭素二重結合を含む、又は部分フッ素化された非晶性フルオロポリマー鎖内で炭素−炭素二重結合を形成し得る、部分フッ素化された非晶性フルオロポリマーであって、臭素、ヨウ素、及びニトリルを実質的に含まない、部分フッ素化された非晶性フルオロポリマー;及び(ii)少なくとも1個のオレフィン系水素を有する末端オレフィンを含む硬化剤、を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)炭素−炭素二重結合を含む、又は部分フッ素化された非晶性フルオロポリマー鎖内で炭素−炭素二重結合を形成し得る、部分フッ素化された非晶性フルオロポリマーであって、臭素、ヨウ素、及びニトリルを実質的に含まない、部分フッ素化された非晶性フルオロポリマー;及び
(ii)少なくとも1個のオレフィン系水素を有する末端オレフィンを含む硬化剤、を含む、硬化性部分フッ素化ポリマー組成物。
【請求項2】
前記硬化剤が、フェノール基を含む、請求項1に記載の硬化性部分フッ素化ポリマー組成物。
【請求項3】
前記硬化剤が、非芳香族オレフィン系アルコールを含む、請求項1に記載の硬化性部分フッ素化ポリマー組成物。
【請求項4】
前記硬化剤が、ジビニル化合物及びジアリル化合物のうちの少なくとも1つから選択される、請求項1に記載の硬化性部分フッ素化ポリマー組成物。
【請求項5】
前記硬化剤が、式CX=CX−Rのものである[式中、X、X、及びXは、独立して、H、Cl、及びFから選択され、X、X、及びXのうちの少なくとも1つはHであり;Rは、アルコール、アミン、チオール、カルボン酸、及びオレフィンから選択される末端基を含む一価の基である]、請求項1に記載の硬化性部分フッ素化ポリマー組成物。
【請求項6】
前記部分フッ素化された非晶性フルオロポリマーが、(i)VDF及びHFPが隣接して共重合したユニット;(ii)VDF及び酸性水素原子を有するフッ素化コモノマーが共重合したユニット;(iii)TFE及び酸性水素原子を有するフッ素化コモノマーが共重合したユニット;並びに(iv)これらの組み合わせ、を含む、請求項1に記載の硬化性部分フッ素化ポリマー組成物。
【請求項7】
前記硬化性組成物が、助剤を実質的に含まない、請求項1に記載の硬化性部分フッ素化ポリマー組成物。
【請求項8】
有機オニウム化合物を更に含む、請求項1に記載の硬化性部分フッ素化ポリマー組成物。
【請求項9】
酸受容体を更に含む、請求項1に記載の硬化性部分フッ素化ポリマー組成物。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか一項に記載の硬化した組成物を含む物品。
【請求項11】
部分フッ素化されたエラストマーの製造方法であって、
請求項1〜9のいずれか一項に記載の硬化性部分フッ素化ポリマー組成物を準備することと、
前記硬化性部分フッ素化ポリマー組成物を硬化させることと、を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
ヨウ素硬化部位(cure site)、臭素硬化部位、及びニトリル硬化部位を実質的に含まない、部分フッ素化された非晶性フルオロポリマーを、少なくとも1個のオレフィン系水素を有する末端オレフィンを含む硬化剤と共に含む、組成物の硬化を開示する。
【発明の概要】
【0002】
部分フッ素化された非晶性フルオロポリマーの新規硬化システムを特定することが望まれている。
【0003】
一態様では、硬化性部分フッ素化ポリマーが開示され、かかるポリマーは、
(i)炭素−炭素二重結合を含む、又は部分フッ素化された非晶性フルオロポリマー鎖内で炭素−炭素二重結合を形成し得る、部分フッ素化された非晶性フルオロポリマーであって、臭素、ヨウ素、及びニトリルを実質的に含まない、部分フッ素化された非晶性フルオロポリマー;及び
(ii)少なくとも1個のオレフィン系水素を有する末端オレフィンを含む硬化剤、を含む。
【0004】
別の態様では、上記の組成物を硬化させたものを含む物品が開示される。
【0005】
更に別の態様では、上記に開示した硬化性部分フッ素化ポリマー組成物を硬化させることを含む、部分フッ素化されたエラストマーの製造方法が開示される。
【0006】
上記の概要は、各実施形態を記載することを意図したものではない。本発明の1つ以上の実施形態の詳細はまた、以下の説明に記載される。その他の特徴、目的、及び利点は、発明の詳細な説明及び特許請求の範囲から明らかとなろう。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本明細書で使用する場合、用語
「a」、「an」、及び「the」は互換可能に使用され、1又はそれよりも多くを意味する。
「及び/又は」は、表記される場合のいずれか又は両方が生じ得ること、例えば、A及び/又はBは、(A及びB)、及び(A又はB)を含むことを示すために使用される。
「主鎖」は、ポリマーの主要部となる連続鎖を指す。
「架橋」は、2つの予め形成されたポリマー鎖を、化学結合又は化学基を用いて連結することを指す。
「硬化部位」は、架橋に関与し得る官能基を指す。
「共重合」は、モノマーが一緒に重合されてポリマー主鎖を形成することを指す。
「ポリマー」は、多数(例えば、数百〜)の共重合したモノマーユニットから構成された、高分子量(例えば、10,000超、20,000超、50,000超、又は更には100,000グラム/モル超)の巨大分子を指す。
同様にして、本明細書において、端点による範囲の引用は、範囲内に包含される全ての数を含む(例えば、1〜10は、1.4、1.9、2.33、5.75、9.98などを含む)。
【0008】
また、本明細書において、「少なくとも1つの」の説明は、1及びそれより大きい全ての数(例えば、少なくとも2つ、少なくとも4つ、少なくとも6つ、少なくとも8つ、少なくとも10、少なくとも25、少なくとも50、少なくとも100など)を含む。
【0009】
本開示では、臭素基、ヨウ素基、及びニトリル基を実質的に含まない、部分的にフッ素化された非晶性フルオロポリマーは、少なくとも1個のオレフィン系水素を有する末端オレフィンを含む化合物により硬化できることが判明している。
【0010】
フルオロポリマー
【0011】
本開示の非晶性フルオロポリマーは、部分フッ素化されたポリマーである。本明細書で開示するとき、非晶性の部分フッ素化ポリマーは、ポリマー主鎖上に少なくとも1つの炭素−水素結合及び少なくとも1つの炭素−フッ素結合を含むポリマーである。一実施形態では、非晶性の部分フッ素化ポリマーは高度にフッ素化されており、ポリマー主鎖の少なくとも60、70、80、又は更には90%はC−F結合を含む。
【0012】
本開示の非晶性フルオロポリマーは、炭素−炭素二重結合も含み、及び/又はポリマー鎖内で炭素−炭素二重結合を形成し得る。一実施形態では、部分フッ素化された非晶性フルオロポリマーは、部分フッ素化された非晶性フルオロポリマーの主鎖内に炭素−炭素二重結合を含み、又は部分フッ素化された非晶性フルオロポリマーの主鎖内で炭素−炭素二重結合を形成し得る。別の実施形態では、部分フッ素化された非晶性フルオロポリマーは、炭素−炭素二重結合を含み、又は部分フッ素化された非晶性フルオロポリマー主鎖ではなくペンダント基において炭素−炭素二重結合を形成し得る。
【0013】
炭素−炭素二重結合を形成できるフルオロポリマーは、二重結合を形成可能なユニットを含有しているフルオロポリマーを意味する。このようなユニットとしては、例えば、第1の炭素に水素が結合しており、第2の炭素に脱離基が結合している、ポリマー主鎖又はペンダント側鎖内の2つの隣接する炭素が挙げられる。除去反応中(例えば、熱反応、及び/又は酸若しくは塩基を使用)、脱離基及び水素の脱離により、2個の炭素原子間に二重結合が形成される。代表的な脱離基としては、フッ化物、アルコキシド、水酸化物、トシレート、メシレート、アミン、アンモニウム、スルフィド、スルホニウム、スルホキシド、スルホン、及びこれらの組み合わせが挙げられる。
【0014】
非晶性フルオロポリマーは、十分な硬化が生じるよう、これらの基(炭素−炭素二重結合又は二重結合を形成可能な基)を複数含む。概して、複数とは、少なくとも0.1、0.5、1、2、又は更には5mol%、最大で7、10、15、又は更には20mol%(すなわち、ポリマー1molあたりのこれらの炭素−炭素二重結合のmol数又はこれらの前駆体のmol数)を意味する。
【0015】
一実施形態では、非晶性の部分フッ素化ポリマーは、フッ化ビニリデンなどの少なくとも1個の水素含有モノマーから誘導される。
【0016】
一実施形態では、非晶性フルオロポリマーは、フッ化ビニリデン(VDF)及びヘキサフルオロプロピレン(HFP)の隣接する共重合ユニット;酸性水素原子をトリフルオロエチレンなどのポリマー主鎖に送達し得る、VDF(又はテトラフルオロエチレン)及びフッ素化コモノマーの共重合ユニット;フッ化ビニル;3,3,3−トリフルオロプロペン−1;ペンタフルオロプロペン(例えば、2−ヒドロペンタフルオロプロピレン及び1−ヒドロペンタフルオロプロピレン);2,3,3,3−テトラフルオロプロペン;及びこれらの組み合わせ、を含む。
【0017】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示する硬化剤を使用して非晶性フルオロポリマーを硬化させることができるのであれば、追加のモノマーを少量(例えば、10、5、2、又は更には1重量%未満)添加してもよい。
【0018】
一実施形態では、非晶性フルオロポリマーは、ペンタフルオロプロピレン(例えば、2−ヒドロペンタフルオロプロピレン)、プロピレン、エチレン、イソブチレン、及びこれらの組み合わせなどといった水素含有モノマーから付加的に誘導される。
【0019】
一実施形態では、非晶性フルオロポリマーは、パーフルオロ化モノマーから付加誘導される。代表的なパーフルオロ化モノマーとしては、ヘキサフルオロプロペン;テトラフルオロエチレン;クロロトリフルオロエチレン;パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)、例えば、パーフルオロメチルビニルエーテルなど、CF=CFOCFCFCFOCF、CF=CFOCFOCFCFCF、CF=CFOCFOCFCF、CF=CFOCFOCF、及びCF=CFOCFOC、パーフルオロ(アルキルアリルエーテル)、例えば、パーフルオロメチルアリルエーテル、パーフルオロ(アルキルオキシアリルエーテル)、例えば、パーフルオロ−4,8−ジオキサ−1−ノネン(すなわち、CF=CFCFOCFOCF]、及びこれらの組み合わせが挙げられる。
【0020】
代表的な種類のポリマーとしては、(i)フッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレン、及びプロピレン;(ii)フッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレン、エチレン、及びパーフルオロアルキルビニルエーテル、例えば、パーフルオロ(メチルビニルエーテル)など;(iii)ヘキサフルオロプロピレンを備えたフッ化ビニリデン;(iv)ヘキサフルオロプロピレン、テトラフルオロエチレン、及びフッ化ビニリデン;(v)ヘキサフルオロプロピレン及びフッ化ビニリデン、(vi)フッ化ビニリデン及びパーフルオロアルキルビニルエーテル;(vii)フッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレン、及びパーフルオロアルキルビニルエーテル、(viii)フッ化ビニリデン、パーフルオロアルキルビニルエーテル、ヒドロペンタフルオロエチレン、及び場合によりテトラフルオロエチレン;(ix)テトラフルオロエチレン、プロピレン、及び3,3,3−トリフルオロプロペン;(x)テトラフルオロエチレン、及びプロピレン;(xi)エチレン、テトラフルオロエチレン、及びパーフルオロアルキルビニルエーテル、及び場合により3,3,3−トリフルオロプロピレン;(xii)フッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレン、及びパーフルオロアルキルアリルエーテル、(xiii)フッ化ビニリデン及びパーフルオロアルキルアリルエーテル;(xiv)エチレン、テトラフルオロエチレン、及びパーフルオロアルキルビニルエーテル、及び場合により3,3,3−トリフルオロプロピレン;(xv)フッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレン、及びパーフルオロアルキルアリルエーテル、(xvi)フッ化ビニリデン及びパーフルオロアルキルアリルエーテル;(xvii)フッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレン、及びパーフルオロアルキルオキシアリルエーテル、(xviii)フッ化ビニリデン及びパーフルオロアルキルオキシアリルエーテル;(xiv)フッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレン、及びパーフルオロアルキルオキシアリルエーテル、(xv)フッ化ビニリデン及びパーフルオロアルキルオキシアリルエーテル;並びに(xvi)これらの組み合わせ、から誘導された共重合単位を含むポリマーが挙げられる。
【0021】
有利には、本開示の非晶性フルオロポリマーは、本明細書に開示される硬化剤を使用することにより、ポリマー主鎖にペンダントの臭素硬化部位、ヨウ素硬化部位、又はニトリル硬化部位を必要とせずに硬化できる。多くの場合、フルオロポリマー及び/又は鎖末端へと重合させるヨウ素及び臭素含有硬化部位モノマーは特に高価であり得る。
【0022】
本開示の非晶性フルオロポリマーは、I基、Br基、及びニトリル基を実質的に含まず、式中、非晶性フルオロポリマーが含むI基、Br基、及びニトリル基は、全ポリマーに対し0.1、0.05、0.01、又は更には0.005mol%未満である。
【0023】
一実施形態では、本開示の非晶性フルオロポリマーはグラフト化されておらず、すなわち、ビニル、アリル、アクリレート、アミド、スルホン酸塩、ピリジン、カルボン酸エステル、カルボン酸塩、脂肪族又は芳香族トリエーテル又はトリエステルであるヒンダードシランを含むペンダント基は含まない。一実施形態では、非晶性フルオロポリマーは、モノフェノールグラフトを含まない。
【0024】
硬化剤
【0025】
本開示の硬化剤は、少なくとも1個のオレフィン系水素と共に少なくとも1個の末端オレフィンを含む化合物である。すなわち、硬化剤は、少なくとも1個の水素を含む、少なくとも1個の炭素との末端炭素−炭素二重結合を含む。
【0026】
一実施形態では、本開示の硬化剤は、式Iにより表される:
CX=CX−R(I)
式中、X、X、及びXは、独立して、H、Cl、及びFから選択され、X1、、及びXのうちの少なくとも1つはHであり;Rは、一価の基である。
【0027】
Rは、1〜20個の炭素原子を含む一価の基であり、直鎖、分岐鎖、又は環状の基であって良い。Rは、芳香族部分若しくは脂環式部分であってよく、又は芳香族部分及び脂環式部分を両方とも含んでも良い。Rは、非フッ素化(フッ素原子を全く含まない)、部分フッ素化(少なくとも1つのC−H結合及び少なくとも1つのC−F結合を含む)、又はパーフルオロ化(C−H結合を全く含まず、少なくとも1つのC−F結合を含む)されたものであってよい。
【0028】
一実施形態では、Rは、O、S、又はN(例えば、エーテル結合)などの少なくとも1個の鎖状に連結したヘテロ原子を含む。一実施形態では、Rは、アルコール(−OH)、アミン(−NH、−NHR、及び−NRR’、式中、R及びR’は有機基である)、チオール(−SH)、カルボン酸(−COOH)、及びオレフィンから選択された末端基を含む。
【0029】
代表的なR基としては、−O−R’−O−CX=CX;−CX−O−R’−O−CX=CX;−CX−O−R’−O−CXCX=CX;−R’−OHが挙げられ、式中、R’は、部分フッ素化された、又は非フッ素化二価基であり、Xは、独立して、H、Cl、及びFから選択される。R’は、少なくとも1、2、4、又は更には6個の炭素原子を含み、最大で30、25、20、又は更には15個の炭素原子を含む、アルキレン基、シクロアルキレン基、アリーレン基、又はこれらの組み合わせ(例えば、アルカリーレン(alkarylene)基)を含む。
【0030】
硬化剤は、分子量が2000、1500、1000、500、250、又は更には175g/mol未満である非高分子系の小分子である。
【0031】
一実施形態では、硬化剤は、ジビニル化合物及びジアリル化合物のうちの少なくとも1つから選択される。すなわち、化合物は、少なくとも2つのビニル部分又は少なくとも2つのアリル部分を含む。一実施形態では、硬化剤は、ビニル部分及びアリル部分を含む。
【0032】
一実施形態では、硬化剤は、少なくとも1個の非フッ素化末端オレフィン基を含む。一実施形態では、硬化剤は、非芳香族末端オレフィン及び/又は非芳香族アルコールを含む。一実施形態では、硬化剤は、少なくとも1個のフェノール基を含む。
【0033】
代表的な硬化剤としては、
【化1】
【化2】
【化3】
【化4】
【化5】
【化6】
【化7】
【化8】
【化9】
【化10】
及びこれらの組み合わせが挙げられ、式中、nは、独立して、整数1〜50、1〜20、1〜10、又は更には2〜10から選択され、Rfはフッ素化アルキル基である。Rfは、部分フッ素化又は全フッ素化され得る。一実施形態では、Rfは、O、S、又はNなどの連結されたヘテロ原子を含み得る。Rfは、直鎖又は分岐鎖、飽和又は不飽和であってよい。一実施形態では、Rfは、C1〜C12フッ素化アルキル基である(場合により、パーフルオロ化されている)。
【0034】
硬化剤は、ダイレオメーターの稼働時のトルクの上昇などにより示される通り、非晶性フルオロポリマーを硬化させるのに実質的に十分な量で使用する必要がある。例えば、非晶性フルオロポリマー100部当たり少なくとも1、1.5、2、2.5、3、又は更には4ミリモル以上で使用される。硬化剤の使用が少なすぎると、非晶性フルオロポリマーは硬化しない。例えば、非晶性フルオロポリマー100部当たり20、15、10、又は更には8ミリモル以下の硬化剤が使用される。硬化剤の使用が多すぎると、非晶性フルオロポリマーは脆性なものになる恐れがある。
【0035】
一実施形態では、硬化性部分フッ素化ポリマー組成物はモノフェノールを実質的に含まず、すなわち、非晶性フルオロポリマーを含む組成物が含むモノフェノールは、非晶性フルオロポリマーのモル数に対し0.1、0.01、又は更には0.001mol%未満である。
【0036】
酸受容体
【0037】
一実施形態では、酸受容体が本開示に使用され、かかる酸受容体としては、有機、無機、又はこれらのブレンドが挙げられる。無機受容体の例としては、酸化マグネシウム、酸化鉛、酸化カルシウム、水酸化カルシウム、二塩基性リン酸鉛、酸化亜鉛、炭酸バリウム、水酸化ストロンチウム、炭酸カルシウム、ヒドロタルサイトなどが挙げられる。有機受容体としては、アミン、エポキシ、ステアリン酸ナトリウム、及びシュウ酸マグネシウムが挙げられる。特に好適な酸受容体としては、水酸化カルシウム、酸化マグネシウム、及び酸化亜鉛が挙げられる。酸受容体の混合物も同様に使用することができる。酸受容体の量は、一般に、使用する酸受容体の特性により異なる。
【0038】
一実施形態では、非晶性フルオロポリマー100部当たり少なくとも0.5部、1部、2部、3部、又は更には4部の酸受容体が使用される。一実施形態では、非晶性フルオロポリマー100部当たり10部以下、7部以下、又は更には5部以下の酸受容体が使用される。
【0039】
オニウム化合物
【0040】
一実施形態では、有機オニウム化合物が相間移動触媒として組成物に添加されて非晶性フルオロポリマーの架橋を補助し、及び/又は有機オニウム化合物は、脱フッ化水素反応によりフルオロポリマーに二重結合を生成するのに使用できる。このような有機オニウム化合物としては、四級アンモニウム水酸化物又は塩、四級ホスホニウム水酸化物又は塩、及び三級スルホニウム水酸化物又は塩が挙げられる。
【0041】
簡単に、ホスホニウム及びアンモニウム塩又は化合物は、それぞれ中心原子として、炭素−リン(又は炭素−窒素)共有結合により4つの有機部分に共有結合しており、アニオンとイオン会合する、リン又は窒素を含む。有機部分は同じであっても異なっていても良い。
【0042】
簡単に、スルホニウム化合物は、少なくとも1個の硫黄原子に対し、1〜20個の炭素原子を有する3つの有機部分が炭素−硫黄共有結合により共有結合しており、アニオンとイオン的に会合する硫黄含有有機化合物である。有機部分は、同じであっても異なっていてもよい。スルホニウム化合物は、相対的に正の硫黄原子、例えば、[(C(CH(CClを有することができ、二価有機部分の炭素原子間には炭素−硫黄共有結合が2つ含まれていてよく、すなわち、硫黄原子は、環状構造のヘテロ原子であってよい。
【0043】
本開示における使用に好適な有機オニウム化合物は既知であり、当該技術分野で報告されている。例えば、参照により本明細書に援用される米国特許第5,262,490号(Kolb et al.)及び同第4,912,171号(Grootaert et al.)を参照のこと。
【0044】
代表的な有機オニウム化合物としては、C〜C対称テトラアルキルアンモニウム塩、アルキル炭素の合計が8〜24個である非対称テトラアルキルアンモニウム塩、アルキル炭素の合計が7〜19個であるベンジルトリアルキルアンモニウム塩(例えば、テトラブチルアンモニウムブロミド、テトラブチルアンモニウムクロリド、ベンジルトリブチルアンモニウムクロリド、ベンジルトリエチルアンモニウムクロリド、テトラブチルアンモニウム水素スルフェート及びテトラブチルアンモニウム水酸化物、フェニルトリメチルアンモニウムクロリド、テトラペンチルアンモニウムクロリド、テトラプロピルアンモニウムブロミド、テトラヘキシルアンモニウムクロリド、及びテトラヘプチルアンモニウムブロミドテトラメチルアンモニウムクロリド);四級ホスホニウム塩、例えば、テトラブチルホスホニウム塩、テトラフェニルホスホニウムクロリド、ベンジルトリフェニルホスホニウムクロリド、トリブチルアリルホスホニウムクロリド、トリブチルベンジルホスホニウムクロリド、トリブチル−2−メトキシプロピルホスホニウムクロリド、ベンジルジフェニル(ジメチルアミノ)ホスホニウムクロリド、8−ベンジル−1,8−ジアゾビシクロ[5.4.0]7−ウンデセニウムクロリド(undecenium chloride)、ベンジルトリ(ジメチルアミノ)ホスホニウムクロリド、及びビス(ベンジルジフェニルホスフィン)イミニウムクロリドが挙げられる。任意の好適な有機オニウム化合物としては、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン及び1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ−5−エンが挙げられる。フェノラートは、四級アンモニウム及びホスホニウム塩に好ましいアニオンである。
【0045】
一実施形態では、有機オニウム化合物は、非晶性フルオロポリマー100部当たり1〜5ミリモル(mmhr)で使用される。
【0046】
過酸化物
【0047】
一実施形態では、硬化性組成物は、硬化を開始するのに使用されるペルオキシドを含む。このようなペルオキシドとしては、有機ペルオキシドが挙げられる。多くの場合、ペルオキシ酸素に結合している三級炭素原子を有する三級ブチルペルオキシドを使用することが好ましい。
【0048】
代表的なペルオキシドとしては、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキサン;ジクミルペルオキシド;ジ(2−t−ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン;ジアルキルペルオキシド;ビス(ジアルキルペルオキシド);2,5−ジメチル−2,5−ジ(第三級ブチルペルオキシ)3−ヘキシン;ジベンゾイルペルオキシド;2,4−ジクロロベンゾイルペルオキシド;第三級ブチルペルベンゾエート;α,α’−ビス(t−ブチルペルオキシ−ジイソプロピルベンゼン);t−ブチルペルオキシイソプロピルカーボネート、t−ブチルペルオキシ2−エチルヘキシルカーボネート、t−アミルペルオキシ2−エチルヘキシルカーボネート、t−ヘキシルペルオキシイソプロピルカーボネート、ジ[1,3−ジメチル−3−(t−ブチルペルオキシ)ブチル]カーボネート、カルボノペルオキソ酸、O,O’−1,3−プロパンジイルOO,OO’−ビス(1,1−ジメチルエチル)エステル、及びこれらの組み合わせが挙げられる。
【0049】
使用するフリーラジカル源の量は、概して、非晶性フルオロポリマー100部当たり少なくとも0.1、0.2、0.4、0.6、0.8、1、1.2、又は更には1.5重量部;最大で2、2.25、2.5、2.75、3、3.5、4、4.5、5、又は更には5.5重量部となる。
【0050】
典型的な助剤は、硬化中にポリマーに組み込まれ、硬化を補助し、典型的には、ペルオキシド硬化を補助する、末端不飽和部位を含む化合物である。代表的な助剤としては、トリ(メチル)アリルイソシアヌレート(TMAIC)、トリアリルイソシアヌレート(TAIC)、トリ(メチル)アリルシアヌレート、ポリ−トリアリルイソシアヌレート(ポリ−TAIC)、トリアリルシアヌレート(TAC)、キシリレン−ビス(ジアリルイソシアヌレート)(XBD)、N,N’−m−フェニレンビスマレイミド、ジアリルフタレート、トリス(ジアリルアミン)−s−トリアジン、亜リン酸トリアリル、1,2−ポリブタジエン、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、及びこれらの組み合わせが挙げられる。別の有用な助剤は、式CH=CH−Rf1−CH=CHにより表すことができる[式中、Rf1は、炭素原子が1〜8個のパーフルオロアルキレンであり得る]。本明細書で開示される硬化剤を使用することにより、これらの助剤を使用せずとも本開示の非晶性フルオロポリマーを硬化させることができ、あるいは末端臭素基、末端ヨウ素基、又は末端ニトリル基を必要とせずにこれらの助剤を使用して本開示の非晶性フルオロポリマーを硬化させることができる。すなわち、硬化性組成物は、典型的な助剤を実質的に含まない(1重量%未満、0.5重量%未満、又は更には0.1重量%未満、又は更には検出限界未満)。助剤は高価であり、フッ素化ポリマーに不溶性であり、加工に影響する(例えば、組成物のブリードアウト、金型汚れ)ことから、助剤を実質的に含まないことは有益であり得る。
【0051】
硬化性組成物は、顔料、フィラー(カーボンブラックなど)、造孔剤、及び当該技術分野で既知のものなどといった、エラストマー組成物の調製に通常使用される様々な種類の添加剤も含有し得る。
【0052】
硬化性非晶性フルオロポリマー組成物は、従来のゴム加工装置において、非晶性フルオロポリマー及び硬化剤を、その他の構成成分(例えば、酸受容体、オニウム化合物、ペルオキシド、及び/又は更なる添加物)とともに混合して、当該技術分野で「コンパウンド」とも呼ばれる固体混合物、すなわち、追加の原材料を含む固体ポリマーを提供することにより調製され得る。他の成分を含有する固体ポリマー組成物を生成するための、かかる成分の混合プロセスは、典型的には「コンパウンド化」と呼ばれる。かかる装置としては、ゴム用ロール機、バンバリーミキサ等の密閉式ミキサ、及び混合押出成形機が挙げられる。混合中の混合物の温度は、典型的には、約120℃を超えて上昇しない。混合中、構成成分及び添加剤は、結果として得られるフッ素化ポリマー「コンパウンド」又はポリマーシート全体にわたって均一に分散される。その後、この「コンパウンド」は、押出されるか、又は例えば、キャビティ又はトランスファー成形型などの成形型内でプレス成形され、続いてオーブン硬化され得る。代替実施形態では、硬化はオートクレーブの中で行われ得る。
【0053】
硬化は、典型的には、硬化性非晶性フルオロポリマー組成物を加熱処理することにより達成される。熱処理は、硬化フルオロエラストマーを作るのに有効な温度でかつ有効な時間行われる。最適条件は、硬化フルオロエラストマーを、その機械的特性及び物理的特性について評価することにより試験できる。典型的には、硬化は、120℃超又は150℃超の温度で実行される。典型的な硬化条件としては、160℃〜210℃又は160℃〜190℃の温度での硬化が挙げられる。典型的な硬化期間としては、3〜90分が挙げられる。硬化は、圧力下で行われるのが好ましい。例えば、10〜100バールの圧力が加えられ得る。硬化プロセスを確実に完全に完了させるために、二次加硫サイクルを適用してもよい。二次加硫を、170℃〜250℃の温度で1〜24時間の期間行ってもよい。
【0054】
硬化性組成物において、部分フッ素化された非晶性フルオロポリマーは、121℃にて大型ロータ(ML 1+10)を使用する、MV 2000 instrument(Alpha Technologies(Ohio,USA)から利用可能)のASTM D1646−06 TYPE Aによるムーニー粘度を有する。本明細書に記載の硬化剤を使用する硬化により、非晶性フルオロポリマーはエラストマーとなり、非流動性のフルオロポリマーとなって、永久粘度(infinite viscosity)(及びひいては測定不能なムーニー粘度)を有するようになる。
【0055】
本開示の一実施形態では、本明細書に開示される硬化剤及び非晶性フルオロポリマーを含む硬化システムは、典型的な、ヨウ素/臭素に関する化学抵抗性と、ペルオキシド硬化システムを含む助剤を両方示すと同時に、臭素又はヨウ素を含まないことから、熱抵抗性が乏しい、従来のヨウ素又は臭素を含有するフルオロエラストマーの熱抵抗性を向上させ(elevating)、したがって、その結果、硬化したフルオロポリマーは、十分な熱抵抗性及び化学抵抗性を同時に有し得る。
【0056】
硬化したフルオロエラストマーは、なかでも自動車、化学的処理、半導体、航空宇宙産業、及び石油産業用途などにおいて、シール、ガスケット、及び成形パーツとして特に有用である。
【0057】
代表例を以下に挙げる。
【0058】
実施形態1。
(i)炭素−炭素二重結合を含む、又は部分フッ素化された非晶性フルオロポリマー鎖内で炭素−炭素二重結合を形成し得る、部分フッ素化された非晶性フルオロポリマーであって、臭素、ヨウ素、及びニトリルを実質的に含まない、部分フッ素化された非晶性フルオロポリマー;及び
(ii)少なくとも1個のオレフィン系水素を有する末端オレフィンを含む硬化剤、を含む、硬化性部分フッ素化ポリマー組成物。
【0059】
実施形態2。ペルオキシドを更に含む、実施形態1に記載の硬化性部分フッ素化ポリマー。
【0060】
実施形態3。硬化剤が、フェノール基を含む、実施形態1又は2のいずれか一態様に記載の硬化性部分フッ素化ポリマー組成物。
【0061】
実施形態4。硬化剤が、非芳香族オレフィン系アルコールを含む、実施形態1又は2のいずれか一態様に記載の硬化性部分フッ素化ポリマー組成物。
【0062】
実施形態5。硬化剤が、ジビニル化合物及びジアリル化合物のうちの少なくとも1つから選択される、実施形態1〜4のいずれか一態様に記載の硬化性部分フッ素化ポリマー組成物。
【0063】
実施形態6。硬化剤が式CX=CX−Rのものである[式中、X、X、及びXは、独立して、H、Cl、及びFから選択され、X、X、及びXのうちの少なくとも1つはHであり;Rは、アルコール、アミン、チオール、カルボン酸、及びオレフィンから選択される末端基を含む一価の基である]、実施形態1〜5のいずれか一態様に記載の硬化性部分フッ素化ポリマー組成物。
【0064】
実施形態7。硬化剤が、
【化11】
【化12】
【化13】
【化14】
【化15】
及びこれらの組み合わせのうちの少なくとも1つから選択され、式中、nは1〜10の整数である、実施形態1〜6のいずれか一態様に記載の硬化性部分フッ素化ポリマー組成物。
【0065】
実施形態8。部分フッ素化された非晶性フルオロポリマーが、部分フッ素化された非晶性フルオロポリマーの主鎖内に炭素−炭素二重結合を含む、又は部分フッ素化された非晶性フルオロポリマーの主鎖内で炭素−炭素二重結合を形成し得る、実施形態1〜7のいずれか一態様に記載の硬化性部分フッ素化ポリマー組成物。
【0066】
実施形態9。前記部分フッ素化された非晶性フルオロポリマーが、(i)VDF及びHFPが隣接して共重合したユニット;(ii)VDF及び酸性水素原子を有するフッ素化コモノマーが共重合したユニット;(iii)TFE及び酸性水素原子を有するフッ素化コモノマーが共重合したユニット;並びに(iv)これらの組み合わせ、を含む、実施形態1〜8のいずれか一態様に記載の硬化性部分フッ素化ポリマー組成物。
【0067】
実施形態10。酸性水素原子を有するフッ素化コモノマーが、トリフルオロエチレン;フッ化ビニル;3,3,3−トリフルオロプロペン−1;ペンタフルオロプロペン;及び2,3,3,3−テトラフルオロプロペンから選択される、実施形態8に記載の硬化性部分フッ素化ポリマー組成物。
【0068】
実施形態11。部分フッ素化された非晶性フルオロポリマーが、(i)フッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレン、及びプロピレン;(ii)フッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレン、エチレン、及びパーフルオロアルキルビニルエーテル、例えば、パーフルオロ(メチルビニルエーテル)など;(iii)ヘキサフルオロプロピレンを備えたフッ化ビニリデン;(iv)ヘキサフルオロプロピレン、テトラフルオロエチレン、及びフッ化ビニリデン;(v)ヘキサフルオロプロピレン及びフッ化ビニリデン、(vi)フッ化ビニリデン及びパーフルオロアルキルビニルエーテル;(vii)フッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレン、及びパーフルオロアルキルビニルエーテル、(viii)フッ化ビニリデン、パーフルオロアルキルビニルエーテル、ヒドロペンタフルオロエチレン、及び場合により、テトラフルオロエチレン;(ix)テトラフルオロエチレン、プロピレン、及び3,3,3−トリフルオロプロペン;(x)テトラフルオロエチレン、及びプロピレン;(xi)エチレン、テトラフルオロエチレン、及びパーフルオロアルキルビニルエーテル、及び場合により3,3,3−トリフルオロプロピレン;(xii)フッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレン、及びパーフルオロアルキルアリルエーテル、(xiii)フッ化ビニリデン、及びパーフルオロアルキルアリルエーテル;(xiv)フッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレン、及びパーフルオロアルキルオキシアリルエーテル、(xv)フッ化ビニリデン及びパーフルオロアルキルオキシアリルエーテル;(xvi)フッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレン、及びパーフルオロアルキルオキシアリルエーテル、(xv)フッ化ビニリデン及びパーフルオロアルキルオキシアリルエーテル;並びに(xvi)これらの組み合わせ、から誘導される、実施形態1〜10のいずれか一態様に記載の硬化性部分フッ素化ポリマー組成物。
【0069】
実施形態12。硬化性組成物が、助剤を実質的に含まない、実施形態1〜11のいずれか一態様に記載の硬化性部分フッ素化ポリマー組成物。
【0070】
実施形態13。有機オニウム化合物を更に含む、実施形態1〜12のいずれか一態様に記載の硬化性部分フッ素化ポリマー組成物。
【0071】
実施形態14。有機オニウム化合物が、ホスホニウム又はスルホニウムのうちの少なくとも1つから選択される、実施形態13に記載の硬化性部分フッ素化ポリマー組成物。
【0072】
実施形態15。酸受容体を更に含む、実施形態1〜14のいずれか一態様に記載の硬化性部分フッ素化ポリマー組成物。
【0073】
実施形態16。酸受容体が、酸化マグネシウム、酸化鉛、酸化カルシウム、水酸化カルシウム、二塩基性リン酸鉛、酸化亜鉛、炭酸バリウム、水酸化ストロンチウム、炭酸カルシウム、及びヒドロタルサイトのうちの少なくとも1つから選択される、実施形態15に記載の硬化性部分フッ素化ポリマー組成物。
【0074】
実施形態17。ペルオキシドが、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)−ヘキサン、ジクミルペルオキシド、ジ(2−t−ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、及びこれらの組み合わせ、のうちの少なくとも1つから選択される、実施形態2〜16のいずれか一態様に記載の硬化性部分フッ素化ポリマー組成物。
【0075】
実施形態18。部分フッ素化された非晶性フルオロポリマー100部当たり1〜10ミリモルの硬化剤を含む、実施形態1〜17のいずれか一態様に記載の硬化性部分フッ素化ポリマー組成物。
【0076】
実施形態19。実施形態1〜18のいずれか一態様に記載の組成物を硬化させたものを含む物品。
【0077】
実施形態20。
実施形態1〜18のいずれか一態様に記載の硬化性部分フッ素化ポリマー組成物を提供することと、
硬化性部分フッ素化ポリマー組成物を硬化させることと、を含む、部分フッ素化されたエラストマーの製造方法。
実施例
【0078】
本開示の利点及び実施形態を以降の実施例によって更に説明するが、これら実施例において列挙される特定の材料及びその量、並びに他の条件及び詳細は、本発明を不当に制限するものと解釈されるべきではない。これらの実施例では、全ての百分率(%)、割合、及び比率は、特に指示しない限り重量による。
【0079】
特に記載するか又は明らかでない限り、全ての材料は市販(例えばSigma−Aldrich Chemical Company Milwaukee,WIから)されているか、又は当業者に既知である。
【0080】
以下の実施例において次の略語が使用される:phr=ゴム100に対する配合剤の比。g=グラム、kg=キログラム;min=分、mol=モル;hr=時間、℃=セルシウス度;mL=ミリリットル;L=リットル;mm=ミリメートル;kN=キロニュートン;kPa=キロパスカル;GC/MS=ガスクロマトグラフィー質量分析;Pa=パスカル;psig=ポンド毎平方インチ;LC/UV=液体クロマトグラフィー−紫外検出;及びphr=ゴム(又は非晶性ポリマー)100部当たり。
【表1】
【0081】
VDF/BTFE/MA31の製造
【0082】
酸素の非存在下で、4リットルのケトルに3400mLの脱イオン水を充填した。12gのCF−O−(CF−O−CFH−CF−COONHを乳化剤として加えた。90℃へと加熱後、40gのテトラフルオロエテン(TFE)、77gのVDF、3gの1−ブロモトリフルオロエテン(BTFE)を加え、プレエマルジョン(国際公開第200149752号に記載)として140gのパーフルオロ−4,8−ジオキサ−1−ノネン(MA31,Worm et al.の米国特許第5,891,965号における記載と同様に調製)を加えた。280mLの脱イオン水に溶解した1,4gのペルオキソ二硫酸アンモニウム(APS)を持続的に供給することにより反応を開始した。10バールの圧力及び90℃にて、190分かけて200gのTFE、380gのVDF、6.2gのBTFE、560gのMA31(プレエマルジョンとして)を供給した。得られたラテックスの固体含有量は27%であり、12gのMgClにより凝固した。得られた1.1kgのポリマーを130℃で乾燥させた。
【0083】
得られたポリマーの組成は、13.5mol% MV31、69.7mol% VDF、16.1mol% TFE、及び0.7mol% BTFEであった。ガラス転移温度(DSC)はTg=−42℃であり、ムーニー粘度(1+10’,121℃)は51であった。
【0084】
ビスフェノールAF(BF6DAE)の硬化性ジアリルエーテル
【0085】
メカニカルスターラー、凝縮器、及び熱電対を装着した1リットルの三口丸底フラスコに、100gの0.3mol HO−CC(CF−OH、117gの0.97mol アリルブロミド、12gの0.04mol テトラブチルアンモニウムブロミドを充填し、4gの脱イオン(DI)水及び250gのグリムに溶解した。この溶液を撹拌し、50℃に加熱した。53gの0.94mol KOHを34gの脱イオン水に溶解させて、30分かけて滴下したところ、沈殿が生じ温度は62℃に上昇した。反応を2時間にわたって65℃に加熱した後、25℃に冷却した。上側のグリム溶液相を除去し、丸底フラスコに入れ、常圧蒸留でグリムを除去した。粘稠な生成物を100gのメチルtert−ブチルエーテルに溶解させ、ガラストレー上で溶媒を蒸発させた後、真空オーブンで60℃/1.6kPa(12torr)で20時間加熱して、定量的収量で124gの粘稠な生成物を単離した。LC/UV分析によると、mol%は以下の通りであった:91.6% CH=CHCH−OCC(CFO−CHCH=CH、及び1.4% CH=CHCHOCC(CF−OH。ポリマーへの組み込みを良好に進めるため、合成したままの材料をメタノールにより固形分濃度50%に希釈した。
【0086】
ビスフェノールAF(BF6MAE)の硬化性モノアリルエーテル
【0087】
メカニカルスターラー、凝縮器、及び熱電対を装着した2リットルの三口丸底フラスコに、250gの0.7mol HO−CC(CF−OH、30gの0.3mol アリルブロミド、5gの0.02mol テトラブチルアンモニウムブロミドを充填し、4gのDI水及び500gのグリムに溶解した。この溶液を撹拌し、50℃に加熱した。16gの0.3mol KOHを18gの脱イオン水に溶解させて、15分かけて滴下したところ、沈殿が生じ温度は62℃に上昇した。反応を1時間にわたって65℃に加熱した後、25℃に冷却した。上側のグリム溶液相を除去し、丸底フラスコに入れ、50℃/2トルでロータリーエバポレーターにより処理した。続いて、真空ポンプを使用してこれを0.13kPa(1トル)にて50℃に加熱し、400gのクロロホルムを添加し、このスラリーを20時間撹拌した。スラリーを濾過し、溶液を50℃/20トルでロータリーエバポレーターにより処理したところ、50gの粘稠な油状生成物が単離された。固体に対して2回目のクロロホルム抽出を行ったところ、更に21gの油状生成物が得られ、収率は76%となった。LC/UV分析によると、mol%は以下の通りであった:66.8% CH=CHCH−OCC(CF−OH、6.6% CH=CHCHOCC(CFO−CHCH=CH、及び23.7%のHO−CC(CF−OH。シリカゲルカラムを用い、最初はヘプタンを無極性溶媒として溶出を行い、最後は酢酸エチルを極性溶媒として溶出を行って、フラッシュクロマトグラフィー(商品名「INTELLIFLASH 280」(Analogix Co.,Santa Clara,CA)で市販)により、アリルエーテルフェニルヘキサフルオロフルオロイソプロピリデンフェノールを単離した。LC/UV分析によると、99.23mol%のCH=CHCH−OCC(CF−OHが得られた。ポリマーへの組み込みを良好に進めるため、合成したままの材料をメタノールにより固形分濃度50%に希釈した。
【0088】
オクタフルオロヘキサンジオール(OFHDAE/CH=CHCH−OCHCH−OH)の硬化性アリルエーテル
【0089】
メカニカルスターラー、凝縮器、及び熱電対を装着した500mLの三口丸底フラスコに、50gの0.19mol HO−CHCH−OH(EXfluor Research Corporationから市販)と、150gのメチル−t−ブチルエーテルとを入れた。この溶液を撹拌し、26gの脱イオン水中に溶解された12gの0.18mol KOH溶液と、その後、3gの脱イオン水中に溶解された2gの0.01mol テトラブチルアンモニウムブロミドとを加えた。溶液を撹拌し、50℃に加熱し、22gの0.18mol アリルブロミドを20分かけて滴下して、50℃で2時間保持した後、25℃に冷却した。
【0090】
上側のメチル−t−ブチルエーテル溶液相を除去し、丸底フラスコに入れ、ロータリーエバポレーターを使用して50℃/1.33kPa(10トル)にて蒸発させた。生成物の混合物に55gのヘキサンを充填し、撹拌して2相を得た。下側の相を更に50gのヘキサンにより抽出した。下側の相をクロロホルムで2回洗浄して、所望の生成物を抽出し、濾過して不溶性の出発ジオールを除去した。クロロホルム溶液を除去し、丸底フラスコに入れ、ロータリーエバポレーターを使用して55℃/10トルにて蒸発させて、19gの生成物混合物を単離した。GC/MS分析よると、mol%は以下の通りであった:84% CH=CHCH−OCHCH−OH、12.5% CH=CHCH−OCHCHO−CHCH=CH、及び3.9% HO−CHCH−OH。ポリマーへの組み込みを良好に進めるため、合成したままの材料をメタノールにより固形分濃度50%に希釈した。
【0091】
VDF/TFE/HFPの調製
【0092】
2000ガロン(7570L)のケトルに、13,180ポンド(5978kg)の脱イオン水、50ポンド(22.6kg)の50% リン酸水素カリウム水溶液、2ポンド(0.9kg)のヘキサメチルジシランを入れ、次にこの溶液を160°Fに加熱した。撹拌は100rpmに設定した。ケトルを155ポンド(70kg)のHFP、38ポンド(17kg)のVDF及び53ポンド(24kg)のTFEで圧力130psig(896kPa)まで加圧する。12ポンド(5kg)の過硫酸アンモニウムを用い重合を開始した。反応開始から、1/0.739/1.330の比でVDF/TFE/HFPを加えて圧力を130psig(896kPA)に維持した。160°F(71℃)の反応温度を維持した。1726ポンド(783kg)のVDFを加えた時点で、HFPバルブを閉めた。70ポンド(32kg)のVDFが添加されるまで、VDF/TFE=1.4/1の比で追加のVDF及びTFEを加えた。ラテックスは凝集塊を含まず、固形分含量は約28%であった。ポリマーを塩化マグネシウムにより凝固させ、脱イオン水により洗浄し、水分含量が0.5重量%未満になるまで266°F(130℃)のオーブンで乾燥させて単離した。
【0093】
VDF/TFE/P#1の調製
【0094】
2000ガロン(7570L)のケトルに、12,940ポンド(5869kg)の脱イオン水と50ポンド(23kg)の50% リン酸水素カリウム水溶液とを充填した後、溶液を160°F(71℃)に加熱した。撹拌は100rpmに設定した。このケトルを189ポンド(86kg)のVDF及び111ポンド(50kg)のTFEで圧力220psig(1516kPa)まで加圧する。次に、60ポンド(27kg)の過硫酸アンモニウムにより重合を開始した。反応開始から、1/1.885/0.394の比でVDF/TFE/プロピレンを加えて圧力を220psigに維持した。160°F(71℃)の反応温度を維持した。1487ポンド(674kg)のVDFを加えた時点で、VDFバルブを閉めた。40ポンド(18kg)のTFEが添加されるまで、TFE/P=4:1の比で追加のTFE及びプロピレンを加えた。ラテックスは凝集物を含まず、固形分含量は約27%であった。ポリマーを塩化マグネシウムにより凝固させ、脱イオン水により洗浄し、水分含量が0.5重量%未満になるまで280°F(138℃)で乾燥させて単離した。
【0095】
方法
【0096】
硬度:
【0097】
ASTM D−2240(2010)により、二次硬化したサンプルに対し、ショアA硬度(2”)を測定した。測定した硬度を表2及び表3に示す。
【0098】
引張強さ及び伸び
【0099】
1kN ロードセルを用いて機械式引張試験機(Instron,Norwood,MA)を使用して、表2及び表3に示す通り、200mm/minの一定のクロスヘッド変位速度で、DIN 53504(2009)(S2 DIE)により、硬化後のサンプルに対し引張強さ及び伸びを測定した。
【0100】
硬化レオロジー
【0101】
未硬化の、コンパウンド化されたサンプルを使用して、商品名Monsanto Moving Die Rheometer(MDR)Model 2000でMonsanto Company(Saint Louis,Missouri)により市販されているレオメーターを使用して、ASTM D 5289−93aにより、177℃、予熱なし、経過時間(elapsed time)30分、及び弧度0.5で硬化レオロジー試験を実施した。最小トルク(M)と、プラトー又は最大トルク(M)が得られない場合は特定の期間中に到達する最高トルクとの両方を測定した。トルクがM(t2)よりも2ユニット増加した時間、トルクがM+0.5(M−M)に到達した時間、(t′50)、並びにトルクがM+0.9(M−M)に到達した時間、(t′90)、並びにM及びMでのtan(δ)も測定した。tan(δ)は、引張損失弾性率(tensile loss modulus)と引張貯蔵弾性率(tensile storage modulus)との比率に等しい(tan(δ)が低くなるほどより弾性であることを意味する)。
Oリング成形及び圧縮永久歪み
【0102】
断面厚さが0.139インチ(3.5mm)のOリングを成形した後(177℃で15分硬化)、空気中で232℃にて16時間二次加硫した。初期たわみを25%とし、表2及び表3に記載の通りの様々な時間及び温度にて、ASTM 395−89 method B(3連で分析)に記載のものと同様の方法でこのOリングの圧縮試験を行った。
【0103】
実施例(E)及び比較例(CE)のそれぞれに関し、表1に示す通りの量(丸括弧内に記載のゴム100部当たりの量)で構成成分を使用し、二本ロール機でコンパウンド化した。上記の通りの試験方法を使用して、それぞれの実施例及び比較例について、硬化レオロジーの評価を行った。結果を表2及び表3に示す。Oリングを成形し、硬化させ(177℃で15分間加圧硬化及び232℃で16時間二次加硫)、上記の通り「Oリング成形及び圧縮永久歪み」に記載の方法を用い評価した。結果を表4に示す。
【表2】
【表3】
【表4】
【表5】
【0104】
本発明について予測可能な修正及び変更は、本発明の範囲及び趣旨から逸脱せずとも当業者には明らかとなろう。本発明は、本出願に例示目的で記載の実施形態に制限されるものではない。
【国際調査報告】