特表2017-538059(P2017-538059A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ セラミカ、マルペサ、ソシエダッド、アノニマの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2017-538059(P2017-538059A)
(43)【公表日】2017年12月21日
(54)【発明の名称】壁を構築するための構造アセンブリ
(51)【国際特許分類】
   E04B 2/02 20060101AFI20171124BHJP
【FI】
   E04B2/02 G
   E04C1/10 U
   E04C1/08 B
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】28
(21)【出願番号】特願2017-544995(P2017-544995)
(86)(22)【出願日】2015年11月17日
(85)【翻訳文提出日】2017年7月13日
(86)【国際出願番号】EP2015076876
(87)【国際公開番号】WO2016079150
(87)【国際公開日】20160526
(31)【優先権主張番号】14382454.8
(32)【優先日】2014年11月17日
(33)【優先権主張国】EP
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】517172090
【氏名又は名称】セラミカ、マルペサ、ソシエダッド、アノニマ
【氏名又は名称原語表記】CERAMICA MALPESA, S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100091982
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100082991
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 泰和
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【弁理士】
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100150717
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 和也
(72)【発明者】
【氏名】ホセ、マルペサ、ゲレロ
(57)【要約】
本発明は、壁装の形成を可能にする壁を構築するための構造アセンブリに関する。本発明により形成され得る外装の例は、ファサード、境界壁、および間仕切り壁である。構造アセンブリは、垂直位置に応力下に配置されるように意図された複数のケーブルと、一体化接合が確保されて壁を形成するようにケーブルに結合するための結合手段を有する複数のブロックとにより形成されることを特徴とする。かように形成された壁は、モルタルの使用または熟練工による構築の必要性を必要とせず、そのため改装壁面または新たな露出壁面をより容易に、よりきれいに、およびより迅速に構築することが可能となり、薄材料(タイル)の場合にはかかる材料が外れないように確実に構築することが可能となる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下方担持部材(P)と重力方向(Z)にしたがって前記下方担持部材(P)の上方に位置する上方担持部材(T)との間に延在する表面を覆う壁を構築するための構造アセンブリであって、
前記下方担持部材(P)および前記上方担持部材(T)における準線経路(Γ)にしたがって分布した、前記下方担持部材(P)と前記上方担持部材(T)との間に緊張状態で固定されるようになされた、端部に固定手段(1.1)を有する複数のケーブル部分(1)と、
本質的に角柱体を有する複数の建築用ブロック(2)であって、各建築用ブロック(2)が、
前記下方担持部材(P)上にまたは少なくとも別の建築用ブロック(2)上に載置するように構成された第1の支持ベース(2.1)、
少なくとも別の建築用ブロック(2)を支持するように構成された、前記第1のベース(2.1)の反対側の面上に配置された第2のベース(2.2)、
前記第1のベース(2.1)と前記第2のベース(2.2)との間に延在する露出表面(2.3)、および
前記露出表面(2.3)の反対側の面上に配置された、前記第1のベース(2.1)と前記第2のベース(2.2)との間に延在するアンカ表面(2.4)
を少なくとも備える、複数の建築用ブロック(2)と
を備え、
前記建築用ブロック(2)の前記アンカ表面(2.4)は、前記壁を安定化するために前記ケーブル部分(1)に前記建築用ブロック(2)をアンカリングするためのアンカ手段(2.5)を備える、構造アセンブリ。
【請求項2】
前記建築用ブロック(2)に関して以下のことが、すなわち
水平方向Xが、前記準線経路(Γ)に対して接線方向として確立され、
横方向Yが、前記重力方向(Z)および前記水平方向Xの両方に対して直交する前記水平方向として確立される
ことが、確立され、
前記アンカ表面(2.4)の前記アンカ手段(2.5)は、前記アンカ表面(2.4)を貫通する凹部(2.4.1)により構成され、それにより、前記水平方向Xおよび前記横方向Yにより形成される平面に対して平行な前記平面に関する平面投影図において、前記凹部(2.4.1)は、前記水平方向Xに突出する突起部(2.4.1.1)をさらに示し、前記突起部(2.4.1.1)は、前記方向Yにおいて少なくとも1つのケーブル部分(1)を保持するように構成される、請求項1に記載の構造アセンブリ。
【請求項3】
前記凹部(2.4.1)および前記突起部(2.4.1.1)は、少なくとも1つのL字形空洞を前記平面投影図において構成する、請求項2に記載の構造アセンブリ。
【請求項4】
前記凹部(2.4.1)および前記突起部(2.4.1.1)は、少なくとも1つの半蟻ほぞ形状空洞を前記平面投影図において構成する、請求項2に記載の構造アセンブリ。
【請求項5】
前記建築用ブロック(2)は、相互に反対方向に配置された2つの突起部(2.4.1.1)を備え、各前記突起部(2.4.1.1)は、前記建築用ブロック(2)が前記壁内において操作位置にある場合に、少なくとも1つのケーブル部分(1)を保持するように構成される、請求項1から4のいずれか一項に記載の構造アセンブリ。
【請求項6】
前記建築用ブロック(2)は、前記建築用ブロック(2)がスタッガ・パターンで前記壁内に操作的に配設される場合に、端部位置に配置された建築用ブロック(2)のアンカ手段(2.5)が、前記垂直方向(Z)にしたがった中間位置に配置された少なくとも別の建築用ブロック(2)のアンカ手段(2.5)と一致するように、前記アンカ表面(2.4)において前記水平方向Xにしたがった端部位置および中間位置に前記アンカ手段(2.5)を備える、請求項1から5のいずれか一項に記載の構造アセンブリ。
【請求項7】
2つのケーブル部分(1)間に配置されるようになされた1つまたは複数のスペーサ(3)をさらに備え、操作モードにおいて、前記ケーブル部分(1)は、前記少なくとも1つの凹部(2.4.1)内において相互に反対方向に支持される、請求項1から6のいずれか一項に記載の構造アセンブリ。
【請求項8】
前記スペーサ(3)または前記スペーサ(3)の一部は、
建築用ブロック(2)の前記凹部(2.4.1)内に、
前記重力方向(Z)にしたがった2つの連続列の少なくとも2つの建築用ブロック(2)間に、
1つの同じ列において前記水平方向Xにしたがった少なくとも2つの連続建築用ブロック(2)間に、または
これらの任意の組合せに
収容されるように構成される、請求項1から7のいずれか一項に記載の構造アセンブリ。
【請求項9】
前記アセンブリは、保持アンカ(4)をさらに備え、前記保持アンカ(4)は、
被固定構造体に固定するための固定手段(4.1)と、
前記建築用ブロック(2)の凹部(2.4.1)内に収容または保持されるように構成された固定手段(4.2)と
を備えることにより、前記被固定構造体に対して1つまたは複数の箇所にて前記壁を安定化させる、請求項1から8のいずれか一項に記載の構造アセンブリ。
【請求項10】
前記建築用ブロック(2)の凹部(2.4.1)内に収容されるように構成された前記保持アンカ(4)の前記固定手段は、請求項7または請求項8に記載の前記スペーサ(3)である、請求項1から9のいずれか一項に記載の構造アセンブリ。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか一項に記載の前記構造アセンブリにより構築された少なくとも1つの壁を備える構造物であって、前記壁は、前記構造物の下方担持部材(P)と前記重力方向(Z)にしたがって前記下方担持部材(P)の上方に配置された前記構造物の上方担持部材(T)との間に延在する表面を覆い、前記アセンブリは、
前記下方担持部材(P)および前記上方担持部材(T)における準線経路(Γ)にしたがって分布した、前記下方担持部材(P)と前記上方担持部材(T)との間に緊張状態に固定された、端部に固定手段(1.1)を有する複数のケーブル部分(1)と、
前記準線経路(Γ)にそれぞれしたがって列状に分布する複数の建築用ブロック(2)であって、各前記建築用ブロック(2)は、1つまたは複数のケーブル部分(1)にアンカリングされたアンカ手段(2.5)を有する、複数の建築用ブロック(2)と
を備える、構造物。
【請求項12】
前記下方担持部材(P)および前記上方担持部材(T)は、前記ケーブル部分(1)の空間分布を確立するように前記ケーブル部分(1)を固定するための前記固定手段(1.1)が装着される長手方向担持部材をさらに備える、請求項11に記載の構造物。
【請求項13】
保持アンカ(4)をさらに備え、前記保持アンカ(4)は、少なくとも
前記建築物の第2の内方壁部、
前記建築物のファサード、
前記建築物の担持構造体、または
それらの任意の組合せ
に前記少なくとも1つの壁を装着する、請求項11または12に記載の構造物。
【請求項14】
前記壁は、両壁の間に
空気空間、
絶縁材料、
抵抗モルタル、または
それらの任意の組合せ
が存在するように、第2の壁から離間される、請求項11から13のいずれか一項に記載の構造物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、壁装材の形成を可能にする壁を構築するための構造アセンブリに関する。本発明を用いて形成され得る外装の例は、ファサード、境界壁、および間仕切り壁である。
【0002】
構造アセンブリは、垂直位置に応力下に配置されるように意図された複数のケーブルと、一体化接合が確保されて壁を形成するようにケーブルに結合するための結合手段を有する複数のブロックとにより形成されることを特徴とする。
【0003】
このように形成された壁は、モルタルの使用または熟練工による構築の必要性を要求せず、そのため改装面または新たな露出面をより容易に、よりきれいに、およびより迅速に構築することが可能となり、薄材料(タイル)の場合にはかかる材料が外れないように確実に構築することが可能となる。
【背景技術】
【0004】
特定の建設材料の配設の熟練工が不足していることにより、かかる工事を施工するための総額はより高額となり、そのためかかる材料の配設は、いくつかの状況では実施不可能となる。最高品質材料から作製された壁は、適切な仕上げを実現する職人により行われない場合にはしばしば酷い結果をもたらすこととなる。
【0005】
確立された要件に準拠しないこれらの結果は、(例えば露出されるレンガ・ファサードにおいて)単に美観的なものか、または(防音(sound insulation)または断熱(thermal insulation)を施工する場合のように)機能的なものとなる可能性があり、これらには準拠すべき規制が課せられている。
【0006】
壁の特に構造品質の問題としては、建設不良および/または洗浄されないこともしくは不十分な洗浄による建設表面の平面度不足ならびに汚れの存在が含まれる。
【0007】
供給される材料レベルに関してのみならずさらには仕上げられた最終要素レベルに関しても高い品質要件が工事に要求されることにより、施工において生じ得る作業不良を可能な程度まで制限し得る製品が開発されており、施工者が決定すべきものとして残る変数を可能な限り最小にしている。
【0008】
環境汚染意識、快適性へのより高い要求、経済性評価の実施、および他の要因により、結果として建設における防音および断熱に関する規制の要求が高まりつつある。これにより、これまで使用されてきた構造システムの徹底的な見直しが生じている。
【発明の概要】
【0009】
本発明は、配設が容易かつ合理的となり、もっとも重要なこととしてはパーツが剥離するまたは外れるリスクを解消するため、やや薄いパーツ(タイル)を用いた家の改装において特に有用である。
【0010】
本発明は、モルタルの使用を必要としないように構成された、および構築が非常に簡単であることにより非常に高品質の仕上がりで欠陥のない壁をもたらす構造アセンブリを使用することによって、上記に特定した問題を解決する。
【0011】
水平および垂直という用語が本説明の全体を通じて使用されるが、これらの用語は、本発明の文脈においては絶対的かつ非相対的な用語である。なぜならば、垂直という用語は、重力方向(Z)にしたがって配向されるまたは分布するものとして解釈されなければならず、水平は、この垂直に対して直交する方向として解釈されなければならないからである。
【0012】
本発明による壁を構築するための構造アセンブリにより、下方担持部材と下方担持部材の上方に配置された上方担持部材との間に延在する表面を生成するまたは覆うことが可能となる。下方担持部材は、この壁の重量を受けるため、壁の支持部となる。本発明の典型的な一実施形態は、床により形成される下方担持部材上に延在して天井により形成される上方担持部材に到達する壁から構成される。床および天井の両方が、間にこの壁が配置される水平平面をもたらす。
【0013】
構造アセンブリは、
下方担持部材(P)および上方担持部材(T)における準線経路(directrix path)にしたがって分布した、下方担持部材と上方担持部材との間に緊張状態で固定されるようになされた、端部に固定手段を有する複数のケーブル部分
を備える。
【0014】
端部に固定手段を有する各ケーブル部分は、下方担持部材と上方担持部材との間に緊張状態に固定されるように意図される。操作位置において、壁が構築過程にある場合に、および壁が構築されると、ケーブル部分は、垂直方向にしたがって配置される。緊張状態は、端部に配置された固定手段により得られ、一方の端部は、下方担持部材に固定され、他方の端部は、上方担持部材に固定される。
【0015】
上方担持部材の垂直突出部は、この垂直突出部が下方担持部材の上方に位置し、ケーブル部分の上方端部を固定するための固定手段が前記ケーブル部分の緊張状態および垂直配向の実現を可能にするような位置に配置されることが可能である限りにおいては、下方担持部材と必ずしも一致しなくてもよい。これは、下方担持部材が、例えば直立する壁の置かれる水平床により形成され、上方担持部材が、前記ケーブルが垂直になるようにケーブルの上方端部のエッジが固定されるカンチレバー要素である場合に該当する。
【0016】
ケーブル部分は、準線経路Γにしたがって分布する。この準線経路は、下方担持部材および上方担持部材において同一である。準線経路は、通常は直線であり、それにより平坦壁をもたらす。これらの場合には、準線経路は、生成される壁に対して平行な平面と、下方担持部材上に配置された水平支持平面との間の交点とに一致する。この同準線は、ケーブル部分の上方端部が上方担持部材に対するその固定において沿うように分布することとなる経路である。
【0017】
この経路は、曲線状であることが可能であり、やはり曲線状である壁により形成される表面をもたらす。壁の表面は、構築されると、平行な上方準線経路および下方準線経路Γと垂直直線母線とを有する線織面となる。
【0018】
また、部分状の上方担持部材および下方担持部材を用いて本発明を実施することも可能である。上方担持部材および下方担持部材が部分状に分布する一実施形態は、それぞれ異なる高さの段もしくは平面の形態の床、それぞれ異なる高さの段もしくは平面の形態の天井、または床および天井が共にそれぞれ異なる高さに配置された段状平面により形成されたものの上に配置された壁である。
【0019】
本発明の一実施形態によれば、端部に固定手段を有するケーブル部分は、ジグザグ構成を形成する単一ケーブルの部分的な部分である。ケーブルの一方の端部が、下方担持部材または上方担持部材のいずれかに固定され、ケーブルの方向の変更を可能にする滑車または張力要素が配置された反対側の担持部材まで垂直に延在する。この端部は、方向を変更するためのこの要素から隣の要素へと水平方向に延在し、そこから垂直方向に延在して第2の垂直ケーブル部分をもたらす。このジグザグ構成は、下方担持部材と上方担持部材との間に延在する垂直ケーブル部分と、垂直に配向されたケーブル部分と隣のケーブル部分とを連結する水平ケーブル部分とを交互させる。ケーブルの最終端部は、上方担持部材または下方担持部材に固定された端部であり、全ての中間ケーブル部分の張力を確保する。2つのケーブル端部同士を固定することにより発生する張力は、方向を変更するための中間手段の結果として残りの中間ケーブル部分に対して伝達される。
【0020】
一実施形態によれば、固定手段または垂直ケーブル部分の端部の位置を固定する方向を変更するための手段は、単体構成要素である。この実施形態は、各固定手段を現場にて計測および位置決めする必要性がないが、固定手段の上方および下方の両方に単体構成要素を位置決めすることにより準線経路に沿って適切に分布するという利点を有する。
【0021】
別の実施形態によれば、この単体構成要素は、より大きな水平方向長さの壁が、下方担持部材および上方担持部材の両方において2つ以上の単体構成要素を使用するような特定の長さを有する。
【0022】
また、構造アセンブリは、
本質的に角柱体を有する複数の建築用ブロックであって、各建築用ブロックが、
下方担持部材上にまたは少なくとも別の建築用ブロック上に載置するように構成された第1の支持ベース、
少なくとも別の建築用ブロックを支持するように構成された、第1のベースの反対側の面上に配置された第2のベース、
第1のベースと第2のベースとの間に延在する露出表面、および
露出表面の反対側の面上に配置された、第1のベースと第2のベースとの間に延在するアンカ表面
を少なくとも備える、複数の建築用ブロック
を備え、
建築用ブロックのアンカ表面は、壁を安定化するためにケーブル部分に建築用ブロックをアンカリングするためのアンカ手段を備える。
【0023】
ケーブル部分が準線曲線に沿って固定され分布すると、壁の構築は、角柱体を有する建築用ブロックを下から上に向かって列状に配設することにより進められる。これらの列は、準線経路により課せられる経路にしたがったものとなる。
【0024】
各建築用ブロックは、2つのベースを有し、第1の下方支持ベースは、建築用ブロックが第1の列である場合には下方担持部材に対して、または建築用ブロックが第1の列でない場合には下方列の建築用ブロックの列に対してその重量をかける。上方ベースは、直上に配置された列に対する支持としての役割を果たすように配置されたベースである。この支持は、下方建築用ブロック上の建築用ブロックを支持することによる直接的なものであることが可能であり、または建築用ブロック同士の間にギャップまたは距離を生じさせるパーツによる間接的なものであることが可能である。ギャップを生じさせ追加的な機能を有する要素を有し得る中間パーツの例は、本発明の詳細な説明に記載される。
【0025】
また、建築用ブロックは、第1のベースと第2のベースとの間に延在する露出面を有する。この面は、通常は垂直であり、構築される壁の露出表面を生成する。
【0026】
この面の反対側にアンカ表面が位置する。このアンカ表面は、構造物を安定化させるためにケーブル部分をアンカリングするようになされたアンカ手段を有する。換言すれば、建築用ブロックは、単純に支持されず、列状に分布するが、代わりに非露出面が、ケーブルにアンカリングされる。
【0027】
ケーブル部分のこの分布は、建築用ブロックが列状に配設される場合に、これらの建築用ブロックの各アンカ手段が垂直突出部にしたがってケーブル部分と一致するように、建築用ブロックのアンカ手段の位置に対応しなければならない。
【0028】
本発明の文脈では、実現されているアンカリングは、建築用ブロックのアンカ表面の形状に起因するケーブルとの種々のアンカ手段により特に興味深い。
【0029】
この特定のアンカリング方法を定義する前に、本説明を通じて使用される2つの方向を定義する。
【0030】
水平方向Xは、準線経路Γに対して接線方向として定義される。準線経路Γが直線である場合には、構築される壁は平坦となる。この場合に、水平方向Xは、構築される壁の垂直平面と水平平面とが交差する結果として得られる水平直線である。
【0031】
横方向Yは、重力方向(Z)および水平方向Xの両方に対して直交する水平方向として定義される。特に平坦壁の場合には、この方向は、前記壁に対して直交する方向である。
【0032】
これらの方向を定義したが、これらは、建築用ブロックが壁における操作位置にしたがって配向されることを考慮した場合に、前記建築用ブロックに関する基準として認識されることとなる方向である。換言すれば、建築用ブロックは独立パーツであるが、垂直方向は、第1のベースおよび第2のベースが相互から離間される方向として認識され、方向Xは、建築用ブロックが列状に分布するように配向される方向として認識され、横方向Yは、露出面とアンカ手段が配置される面との間の離間をもたらす方向として認識される。
【0033】
また、ブロックが壁に対して操作モードにある場合と同様にブロックに対してこれらの配向基準を適用することにより、水平方向Xおよび横方向Yは、第1のベースおよび第2のベースのための支持平面を画定する方向となる。
【0034】
建築用ブロックに対してこれらの基準を確立した後では、本発明の好ましい一例による建築用ブロックのアンカ手段は、ケーブル部分のうちの少なくとも1つを受けるようになされたアンカ表面を貫通する凹部によるものとなる。
【0035】
この凹部は、水平方向Xおよび横方向Yにより形成される平面に対して平行な平面に対する平面投影図において、この凹部が、水平方向Xに突出する突起部をさらに示し、この突起部が、方向Yにしたがって少なくとも1つのケーブル部分を保持するように構成されるようなものとなる。ケーブル部分は、この凹部内に収容される。
【0036】
保持突起部を有するこの凹部を実現する方法は、独特なものではない。突起部を有する凹部の構成の例は、蟻ほぞである。蟻ほぞは、水平方向Xにしたがって相互に反対方向に配向された、すなわち相互に対面する2つの突起部を有する凹部である。
【0037】
「半蟻ほぞ」という用語もまた使用される。本発明の文脈において、半蟻ほぞは、方向Xにしたがって凹部内に配向された1つのみの突起部が存在する凹部として理解される。蟻ほぞは、単一の凹部を形成する、両半蟻ほぞの突起部が相互に対面する2つの半蟻ほぞを意味するように解釈され得る。
【0038】
1つの同じ建築用ブロックが、同一の凹部または異なる凹部のいずれかにおいて相互に反対方向に配向された突起部を有する2つのアンカ手段を有する場合には、ブロックに進入しブロックとアンカリングされるように意図された2つのケーブル部分が、方向Xにしたがって移動するように付勢されなければならない。この移動は、これらのケーブル部分同士をより近づけるものである。これらのケーブル部分同士をより近づけるこの移動は、特にケーブル部分の長さの一部が依然として自由である結果として壁を構築する場合に、ケーブル部分が応力下にある場合でも可能となる。壁の高さが高くなるにつれて、自由ケーブル部分は、ますます短くなり、方向Xにこれらのケーブル部分を移動させるまたはこれらのケーブル部分を「クランプ固定する」ことがより困難になる。一実施形態によれば、突起部を有する凹部が横方向Yにしたがった単一方向に配向された前記突起部を有するブロックの使用は、最終列に対して適する。この構成により、2つの移動、すなわちケーブル部分を凹部に進入させる、横方向Yへの挿入のための第1の移動と、突起部により建築用ブロックが方向Yにしたがって出るのを防止するように方向Xにしたがった第2の側方移動とによる建築用ブロックの配設が可能となる。
【0039】
タイルとして構成される建築用ブロックは、特に興味深い。
【0040】
一連の図が、本発明の実施形態を説明するために使用される。
【0041】
本発明のこれらのおよび他の特徴ならびに利点は、添付の図面を参照とする専ら例示のかつ非限定的な例として示された好ましい実施形態の以下の詳細な説明に基づきより良く理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0042】
図1】建築用ブロックの固定を可能にする本発明のもっとも関連性のある要素と、壁を構築するための建築用ブロックの概略図とを概略的に示す図である。
図2A】ケーブル部分の端部をアンカリングすることによりこの場合には直線である準線経路Γに沿った事前確立された分布をもたらすためのアンカリングパーツの実施形態を示す図である。
図2B】ケーブル部分の端部をアンカリングすることによりこの場合には直線である準線経路Γに沿った事前確立された分布をもたらすためのアンカリングパーツの実施形態を示す図である。
図3A】ケーブル部分が設置され応力下にある状態の、図2Aおよび図2Bに示すものと同様のアンカリングパーツの実施形態の使用を示す図である。
図3B】ケーブル部分が設置され応力下にある状態の、図2Aおよび図2Bに示すものと同様のアンカリングパーツの実施形態の使用を示す図である。
図3C】ケーブル部分が設置され応力下にある状態の、図2Aおよび図2Bに示すものと同様のアンカリングパーツの実施形態の使用を示す図である。
図3D】ケーブル部分が設置され応力下にある状態の、図2Aおよび図2Bに示すものと同様のアンカリングパーツの実施形態の使用を示す図である。
図4】露出表面とアンカ表面との間の離隔が非常に小さいタイルとして構成された建築用ブロックの4つの例を示す図である。個々の例はそれぞれ異なる高さのタイルを示す。
図5】ページの配向にしたがって上から下に向かって、a)ケーブル部分がアンカ手段内に導入された状態にある建築用ブロックと、b)壁の最終列がどのように見えるかを示した、ケーブル部分が固定手段内に導入された状態にある2つの隣接し合う建築用ブロックと、c)重畳によってケーブル部分の側方移動がどのように阻止されて構造物を安定化させるかを示した、第3の重畳ブロックを伴った2つの先述のブロックとのシーケンスの平面図である。
図6】同じシーケンスを1つのケーブルの1つの領域が拡大された状態で示す図である。
図7】ページの配向にしたがって上から下に向かって、非常に安定的な構成のアンカ手段を用いたタイルタイプ建築用ブロックの別の例においてケーブル部分を挿入するためのシーケンスの平面図である。
図8A】タイルタイプ建築用ブロックの構成の2つの異なる斜視図である。
図8B】ケーブル部分の固定のためにケーブル部分を挿入するためのシーケンスを示す図である。
図9A】水平構成または高さが小さい構成を有するタイルタイプ建築用ブロックの構成の2つの異なる斜視図である。
図9B】垂直構成または幅が小さい構成を有するタイルタイプ建築用ブロックの構成の2つの異なる斜視図である。
図10A】タイルタイプ建築用ブロック用の構成の別の例を使用した、図5に示したものと同様のシーケンスを示す図である。
図10B】凹部が反対方向に配向され、各パーツの端部に凹部が存在する、タイルタイプ建築用ブロック用の構成の別の例を使用した、図10Aに示されたものと同様のシーケンスを示す図である。
図11A】同じシーケンスを2つのケーブルの領域が拡大された状態で示す図である。
図11B】同じシーケンスを2つのケーブルの領域が拡大された状態で示す図である。
図12A】事前確立ギャップを画定するスペーサを含む、図10Aおよび図11Aに示された例に対応する3つの異なる列の建築用ブロックの斜視図である。
図12B】事前確立ギャップを画定するスペーサを含む、図10Bおよび図11Bに示された例に対応する3つの異なる列の建築用ブロックの斜視図である。
図13】ケーブル部分が上方へと出立し、別の実施形態による建築用ブロックが第1の列および第2の列を形成する、下方固定パーツの斜視図である。
図14】2つの壁面が本発明の一実施形態にしたがって合流した、角部の仕上げを可能にするパーツの様々な例を示す図である。
図15】建築用ブロックの凹部内に収容されてケーブル部分が前記凹部から出ないようにケーブル部分の位置を固定し得る保持要素を示す図である。
図16】ケーブル部分が図15に示されたもののようなパーツを用いて固定される、図13の斜視図と同等な斜視図である。
図17】ケーブル部分同士の間の離隔を維持するために凹部内に収容され得る部分をさらに組み込んだ離間パーツの斜視図である。
図18図17の図面に示されたものとは異なる別の実施形態を示す図である。
図19】連続的に配置された建築用ブロック同士の間に垂直ギャップを生じさせるための垂直スペーサをさらに組み込んだ、図18に示されたものとは異なる別の実施形態を示す図である。
図20】2つの連続するケーブル部分同士を相互から離間させるスペーサの別の実施形態の斜視図である。
図21】建築用ブロックの列間の水平ギャップを覆う複数のケーブル部分同士を相互から離間させるスペーサの他の実施形態の斜視図である。一の実施形態は、建築用ブロック同士の間に垂直スペーサを備える。
図22】建築用ブロックの連続列間に配置された場合の、ケーブル部分用のスペーサの一実施形態の使用の斜視図である。
図23】本発明の一実施形態による壁と前出の壁から離間された壁などの構造物との間に構造的連結を確立するための保持アンカを示す図である。
図24】建築用ブロックの凹部内に既に収容された場合の、保持アンカを固定するための固定手段の2つの例の平面図である。
図25】後方部分における保持アンカを示す、本発明の一実施形態による壁の2つの第1の列の構造の斜視図である。
図26】凹部内に収容されるように構成されたスペーサとして機能する要素をさらに備えた固定手段を有する保持アンカの一実施形態を示す図である。
図27】積み重ね時の結合を可能にして構築される壁の安定性を改善するように構成された、およびヘッドに蟻ほぞ結合部を有する、凹部および長手方向突出部をベースに有する建築用ブロックの構成を示す図である。
図28】ケーブルを拘束するためのハウジングを有する建築用ブロックの別の実施形態を示す図である。
図29】アンカ手段が凹部毎に2つのケーブル部分を収容させ得る別の実施形態を示す図である。
図30図29の例におけるものと同一の建築用ブロックと、ケーブル部分の対の間の離隔を維持し、ギャップ・スペーサとしての役割を果たし、モルタル、絶縁(insulation)材料、および他の材料を後に充填するための恒久的枠組みとして機能するようになされた離間要素とを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0043】
本発明の第1の態様によれば、本発明は、壁を構築するための構造アセンブリであり、構築される壁は、構造離間要素をもたらす、または例えばある特定の空間内で仕上げを実現するためなど別の壁を覆うための要素をもたらす壁となり得る。
【0044】
図1は、例えば床部分などのベースとして構成された下方担持部材(P)を概略的に示す。また、例えば天井部分などの上方ベースとして構成された上方担持部材(T)が、上方部分に概略的に図示される。固定手段(1.1)が、下方担持部材(P)および上方担持部材(T)のそれぞれに固定されたケーブル部分(1)の端部のそれぞれに配置された結果として、応力下にある複数のケーブル部分(1)が、下方担持部材(P)と上方担持部材(T)との間に延在する。
【0045】
1つの同じケーブル部分(1)に対応する上方固定手段および下方固定手段(1.1)は、垂直突出部Zにしたがって一致し、前記垂直方向Zは、重力gの方向によって画定される。したがって、ケーブル部分(1)もまた垂直に配向される。
【0046】
ケーブル部分(1)は、下方担持部材(P)上および上方担持部材(T)の下方表面上の両方に再現される準線経路(Γ)に沿って分布する。
【0047】
建築用ブロック(2)が、この図1に示されたケーブル部分(1)に設置されると、この場合には曲線にしたがった準線経路(Γ)により課せられる構成にしたがった壁が実現される。
【0048】
一実施形態では、各ケーブル部分(1)の固定に関与するオペレータが、ケーブル部分(1)を1つずつ固定するための固定手段(1.1)の計測および位置決めを実施することが可能である。別の実施形態によれば、2つ以上の固定手段(1.1)を有するパーツの使用により、複数の適切に位置決めされた固定手段の配置が可能となる。図2Aは、3つのL字形プロファイルを示し、これらは、本発明の一実施形態による壁で覆われることとなる壁にL字形プロファイルを固定するための固定手段(1.1.2)としての穿孔と、ケーブル部分(1)の端部の固定を可能にする、ケーブル部分(1)の端部を通すための穿孔またはスロット(1.1.1)とを有する。穿孔またはスロット(1.1.1)の位置が、ケーブル部分(1)同士の正確な離間および空間的分布を決定する。
【0049】
この同図1は、建築用ブロック(2)を概略的に示し、この建築用ブロック(2)は、
下方担持部材(P)上にまたは少なくとも別の建築用ブロック(2)上に載置するように構成され、下方非露出部分に配置された第1の支持ベース(2.1)と、
少なくとも別の建築用ブロック(2)を支持するように構成され、図の配向にしたがって上方部分に位置決めされた第1のベース(2.1)の反対側の面上に配置された第2のベース(2.2)と、
第1のベース(2.1)と第2のベース(2.2)との間に延在する露出表面(2.3)と、
露出表面(2.3)の反対側の面上に配置された、第1のベース(2.1)と第2のベース(2.2)との間に延在するアンカ表面(2.4)と
を少なくとも備える。
【0050】
アンカ手段(2.5)は、アンカ表面(2.4)上に配置される。図1に示された建築用ブロック(2)におけるアンカ手段(2.5)は、凹部として構成され、この凹部は、平面図ではケーブル部分(1)の進入におよび内部への前記ケーブル部分(1)の保持に適したL字形構成を示す。
【0051】
この図は、建築用ブロック(2)の拡大図を示し、矢印は、方向Yにしたがって1つのケーブル部分(1)の下方部分のより近くへと前記ブロックを移動させる方向を示す。
【0052】
図2Bは、2つの平行フランジを有する別のプロファイルを示し、両平行フランジは、穿孔またはスロット(1.1.1)を備える。
【0053】
図3A図3Dは、相互に離間された、およびケーブル部分(1)が両プロファイル間に位置決めされた状態にある、図2A図2Bに示されたものと同様のプロファイル(1.1)の斜視図を示す。下方プロファイル(1.1)は、下方担持部材(P)に固定され、上方プロファイル(1.1)は、上方担持部材(T)に固定されることとなる。使用可能な全ての穿孔またはスロット(1.1.1)が、使用されなくてもよい。使用は、使用される建築用ブロック(2)のタイプによって決定される。1つの同じプロファイル(1.1)が、建築用ブロック(2)の複数の構成に対して有効な構成を有することが可能である。
【0054】
図3Dは、この場合には直線である準線経路(Γ)にしたがった1つの同じ位置に2つのケーブル部分(1)が存在する一実施形態を示す。この構成は、構築される壁の安定性を高め、2つのケーブル部分(1)に同時に適したアンカ手段(2.5)を有する建築用ブロック(2)に適する。2つのケーブル部分(1)を収容し得る建築用ブロック(2)の例は、以降において図29および図30の説明の際に説明する。
【0055】
図4は、タイルとして構成された建築用ブロック(2)の特定の一構成を示す。この図は、それぞれ異なる高さのタイルを示す。露出面(2.3)は、平滑であり、第1のベース(2.1)および第2のベース(2.2)は、露出面(2.3)とアンカ表面(2.4)との間の距離が建築用ブロック(2)の残りの部分の寸法に比較して小さいため、非常に幅狭である。
【0056】
アンカ表面(2.4)は、蟻ほぞ形状凹部(2.4.1)を組み込んだ構成を有する。これらの蟻ほぞ形状凹部(2.4.1)は、凹部であり、この凹部は、前記凹部(2.4.1)の内部に向かって配向された斜面において、側面の配向にしたがって相互に反対方向である2つの突起部(2.4.1.1)を有する。蟻ほぞ構成または半蟻ほぞ構成は、アンカ手段(2.5)の一代替である。
【0057】
図5および図6は、凹部(2.4.1)および突起部(2.4.1.1)の別の代替構成を示し、この構成は、ケーブル部分(1)が出るのを防止するように意図される。図6は、建築用ブロック(2)が準線経路(Γ)に対して接線方向となる方向にしたがって位置決めおよび配向されることとなるという理解の下における、ブロック(2)に対する方向Xおよび横方向Yを示し、したがって、かかる方向Xおよび横方向Yは、建築用ブロック(2)に対する方向として理解することが可能である。
【0058】
図5は、上から下に向かって配置された3つのグラフィカル表示のシーケンスを示す。第1のグラフィカル表示は、ケーブル部分(1)が出るのを防止するように意図された凹部(2.4.1.1)および突起部(2.4.1.1)の代替構成がL字形状にしたがって構成された、建築用ブロック(2)を示す。
【0059】
第2の列は、ケーブル部分(1)がアンカ手段(2.5)内に、すなわちL字形凹部(2.4.1)の端部に位置決めされた状態にある、2つの連続ブロック(2)を示す。
【0060】
図5の第3の列は、スタッガ・パターンで別の建築用ブロック(2)に重畳している同ブロック(2)列を示す。換言すれば、第3の建築用ブロック(2)は、その下方に配置されたブロック(2)の2つの隣接し合う半部内に支持される。
【0061】
各建築用ブロック(2)は、2つのL字形凹部(2.4.1)を有するが、各凹部(2.4.1)のL字形構成は、反対であり、すなわちそれらは対称的構成を有する。
【0062】
スタッガ・パターンで建築用ブロック(2)を重畳することにより、ケーブル部分(1)は、L字形状が方向Xにしたがって一方の側に向かって配向された状態にて凹部(2.4.1)内に収容され、その上に配置された建築用ブロック(2)の凹部(2.4.1)内では、L字形状が同方向Xにしたがって反対側に向かって配向された状態で別の凹部(2.4.1)内に収容される。
【0063】
図6に示された拡大図により、両L字形凹部(2.4.1)の反対方向への配向によって、垂直突出部Zにおいてまたは平面図において示されるようにケーブル部分(1)が捕捉されることが理解され得る。
【0064】
図7は、前記図7で使用される図面に関して側端部の近くにおいて相互に反対方向である、しかし図5および図6に示された配向とは反対の配向を有する、2つのL字形凹部(2.4.1)を有する建築用ブロック(2)の別の例を示す。この建築用ブロック(2)は、相互に反対方向である2つの突起部(2.4.1.1)を有してT字形凹部をもたらす中央凹部(2.4.1)をさらに有する。この構成により、ブロック(2)同士を側方に協働するように相互に隣接して配置する必要を伴うことなく、ケーブル部分(1)によって建築用ブロック(2)を固定した状態に維持することが可能となる。
【0065】
図7は、上から下に向かって、凹部(2.4.1)内へのケーブル部分(1)の進入のシーケンスを示す。ケーブル部分(1)の進入は、建築用ブロック(2)が壁に正確に位置決めされ、ケーブル部分(1)が突起部(2.4.1.1)の奥の各凹部(2.4.1)の端部にて適切に収容されるように、各ケーブル部分(1)の位置を強制することを必要とする。
【0066】
例としては、同一の中央凹部(2.4.1)内に収容された2つのケーブル部分(1)が、クランプ固定により相互に対してより近くに置かれる。ケーブル部分(1)は、応力下にあるが、ケーブル部分(1)が長い場合には、その側方移動により、相互に反対方向である突起部が存在するかかる建築用ブロック(2)の進入を可能にし得る。
【0067】
壁の構築が進むにつれて、最終建築用ブロック(2)と上方端部との間の自由ケーブル部分(1)の長さは、漸減的により短くなり、側方移動を強制することがより困難になる。この変形を補助する1つの方法は、ケーブル部分に加えられた力を強化するプライヤなどの工具の使用によるものである。
【0068】
これらの工具を用いた場合でも、ケーブル部分(1)の最終列に関しては、十分な変形を実現するのには十分でない場合がある。図8Aおよび図8Bは、これらの最終列において使用し得る建築用ブロック(2)の一構成を示す。
【0069】
図8Aおよび図8Bに示された構成では、各凹部(2.4.1)の突起部は、方向Xにしたがって同一方向に配向される。
【0070】
この構成を有する建築用ブロック(2)内へのケーブル部分(1)の進入のシーケンスが、上から下に向かって図8Bで示される。初めの2つの図像では、建築用ブロック(2)は、ケーブル部分(1)が空洞に完全に進入するまで、方向Yにしたがった移動によりかかるケーブル部分(1)へとより近くに置かれる。この位置において、建築用ブロック(2)は、ケーブル部分(1)が突起部(2.4.1.1)の奥に配置されることにより保持が確保されるまで、方向Xにしたがって側方に移動される。
【0071】
この第2の側方移動は、例えば建築用ブロック(2)が正方向Xにしたがって組みこまれつつある場合には、壁の構築においてある順序を課す。各「L字形」の構成は、後続の建築用ブロック(2)が、正方向Xにしたがって若干変位されて(壁に既に配設された建築用ブロック(2)から離隔されて)横方向Yにしたがって挿入されなければならず、第2の移動が、突起部(2.4.1.1)によりケーブル部分(1)内に建築用ブロック(2)を固定するような負方向Xにしたがうような構成でなければならない。この作業は、最終列を除く列の全ての建築用ブロック(2)に関して可能であり、最終列の建築用ブロック(2)は、正方向Xに対応する端部により小さなブロックを、および残されたギャップを覆わなければならない場合には追加の充填パーツを必要とする。
【0072】
この論理的考証は、L字形凹部(2.4.1)の配向が反対である場合には、反対方向へと変更されなければならない。
【0073】
建築用ブロック(2)のこの構成により、上方担持部材(T)に到達することとなる場合に、この構成の最終列において壁の構築を終了することが可能となる。
【0074】
図9Aおよび図9Bは、相互に反対である2つの蟻ほぞ形状突起部(2.4.1.1)を有する凹部(2.4.1)を有する建築用ブロック(2)の2つ実施形態の斜視図を示す。図9Aは、壁内に配設されると水平構成を有する建築用ブロック(2)に対応し、図9Bは、垂直構成を有する建築用ブロック(2)に対応する。
【0075】
ケーブル部分(1)がスタッガ・パターンでの積み重ねによりどのように捕捉されるかを示すための図5および図6のシーケンスにしたがった同一の論理的考証は、図10Aおよび図11Aのシーケンスに対しても有効であり、このシーケンスは、図7に示されたものと同様の建築用ブロック(2)を使用する。この建築用ブロックの利点は、各建築用ブロック(2)がその端部にて阻止されるケーブル部分(1)を有し、結果として非常に適切な壁をもたらすことである。
【0076】
図12Aは、上方建築用ブロック(2)が若干引き上げられた状態にある壁部分の斜視図を示す。この図は、2つのケーブル部分(1)間に配置されるようになされた離間要素(3)の使用を示し、操作モードでは、かかるケーブル部分(1)同士は、少なくとも1つの凹部(2.4.1)内において相互に反対方向に支持される。このスペーサ(3)は、図20においてさらに詳細に示される。
【0077】
図10Bおよび図11Bは、建築用ブロック(2)の構成が方向Xにしたがって反対方向に配向されたL字形凹部(2.4.1)を有する別の例を再現している。この結果は、主に2つ以上の列を備えるスタックが存在する場合には、1つの列からその直上または直下の列にかけて、凹部(2.4.1)の配向方向が反対であり、ケーブル(1)もまた捕捉された状態に留まることを前提として、図11Bの細部および図12Bの斜視図で示すものと同一となる。
【0078】
この実施形態では、離間要素(3)は、相互に反対方向である2つの端部溝(3.1)を有するプレートの形態のパーツにより形成される。
【0079】
一の溝(3.1)は、ケーブル部分(1)を受け、反対側の溝は、別のケーブル部分(1)を受ける。このスペーサ(3)は、ケーブル連結部分(1)が相互により近くへと移動するのを防止する。建築用ブロック(2)の中央凹部(2.4.1)の場合には、この制限は、ケーブル部分(1)がそれらのハウジングから出ることが不可能となることを意味する。
【0080】
さらに、これらのスペーサ(3)は、連続ブロック(2)の列同士の間のギャップまたは離隔も伴う。このギャップにより、ブロック同士の間における空気の通過が可能となり、通気を促進する。スペーサ(3)の他の構成は、ギャップが覆われて示されているように、ギャップまたは離隔の結果として生じる自由空間全体を覆う。
【0081】
図13は、ケーブル部分(1)に対する建築用ブロック(2)の種々の位置の選択を可能にする複数の蟻ほぞ形状凹部(2.4.1)を有して建築用ブロック(2)が構成された、本発明の一実施形態を示す。
【0082】
図14は、角部に対処するための露出表面(2.3)およびアンカ表面(2.4)をそれぞれが有する2つの部分により形成された建築用ブロック(2)の実施形態を示す。これらの実施形態では、蟻ほぞ形状凹部(2.4.1)は、2つの内方面上に位置し、結果として角部において合流する壁の平面に一つずつ、2つの露出表面(2.3)が得られる。
【0083】
図15は、特にケーブル間に挿入されるように構成された離間要素(3)を示す。
【0084】
本発明の他の実施形態によれば、前記ケーブル(1)が通るブロック(2)の凹部(2.4.1)内に収容されるため壁の構築においてギャップを生じさせない構成を有するスペーサ(3)が、ケーブル(1)同士の間の離隔を維持するために使用される。
【0085】
図16は、蟻ほぞ形状凹部(2.4.1)を有する建築用ブロック(2)の列により形成される構造物におけるこの離間要素(3)の使用を示し、また離間要素(3)の挿入を理解させ得るように若干引き上げられた第2の列の建築用ブロック(2)を示す。
【0086】
建築用ブロック(2)が、ケーブル部分(1)が凹部(2.4.1)内に収容された状態で配設されると、ケーブル部分(1)が切欠部または溝(3.1)内に配置されるため、離間要素(3)は、ケーブル部分(1)同士を離間した状態で配設される。
【0087】
図17は、相互に装着された2つの本体を有するスペーサ(3)の一実施形態を示し、第1の本体(3.2)は、蟻ほぞ形状凹部(2.4.1)内に収容されるように意図され、第2の本体(3.3)は、2列のブロックを離間して、ギャップまたは垂直離隔をもたらす。
【0088】
第1の本体(3.2)は、ケーブル部分(1)が蟻ほぞ形状凹部(2.4.1)の内方角部に一致する位置に拘束されるように、ケーブル部分(1)の通過を限定するための空間を残すために使用される2つの斜角面(3.2.1)を有する。これにより、スペーサ(3)の機能が実現される。
【0089】
図18は、先述の実施形態に類似するスペーサ(3)の別の実施形態を示すが、第1の本体(3.2)および第2の本体(3.3)は、細長プレート(3.4)により相互から垂直方向に離間される。この構成により、第1の本体(3.2)は、より大きな深さまで凹部(2.4.1)内に挿入され得るようになり、第2の本体(3.3)は、その上に配置された建築用ブロック(2)を支持するためのより大きな面積を有することが可能となる。このより大きな面積を有する場合には、第2の本体(3.3)は、ケーブル部分(1)を通し得るようにスロット(3.3.1)形成される。
【0090】
図19は、1つの同じ列に連続的に配置される2つの建築用ブロック(2)間の離隔としての役割を果たす垂直細長プレート(3.5)が、第2の本体(3.3)の上方表面から出ている、スペーサ(3)の別の例を示す。この離隔により、垂直ギャップがそこに与えられ、さらにこのギャップをスペーサの材料で充填することが可能となる。
【0091】
図20は、図12Aにおいて拡大図で記載される簡易スペーサ(3)を示す。
【0092】
図21は、溝(3.3.1)に複数のケーブル部分(1)を通し得るようにするための非常に長い第2の本体(3.3)を有するスペーサ(3)を示す。このスペーサ(3)により、図22に示されたような長い水平ギャップ部分を充填することが可能となる。
【0093】
前記図22は、建築用ブロック(2)の幅と同等の長さを有するまたは複数の建築用ブロック(2)の幅を有する第2の本体(3.3)を有するこれらのスペーサの使用により、生じた水平ギャップをスペーサ(3)の材料で充填することがどのように可能になるかを示す。スペーサ(3)は、様々な色の使用を可能にし、それにより高品質の仕上げをもたらす射出成形プラスチックなどの材料から製造され得る。
【0094】
図23は、保持アンカ(4)を示す。保持アンカ(4)は、
被固定構造体に固定するための固定手段(4.1)と、
建築用ブロック(2)の凹部(2.4.1)内に収容または保持されるように構成された固定手段(4.2)と
を備え、保持アンカ(4)により、被固定構造体に対して1つまたは複数の箇所にて壁を安定化させることが可能となる。
【0095】
図23に示された実施形態によれば、保持アンカ(4)は、型抜きされたまたは曲げ加工された金属細長プレートにより形成される。この垂直部分は、被固定構造体への固定(4.1)を可能にする穿孔を有する。本発明による壁が例えば被覆壁である場合には、被固定構造体は、覆われることとなる壁となる。
【0096】
この場合には、建築用ブロック(2)の凹部(2.4.1)内に収容されるように構成された固定手段(4.2)は、凹部(2.4.1)の蟻ほぞ形状を有する幅広部分であり、その角部は、ケーブル部分(1)を通し得ることによりスペーサ(3)の機能を果たすように斜角面になされる。
【0097】
スペーサのこの機能は、図24の平面図において左側の例に示される。固定手段(4.2)の幅および形状は、保持アンカ(4)が凹部(2.4.1)に進入し、斜角面がケーブル部分(1)用の空間を残すようなものである。
【0098】
右側の実施形態では、固定手段(4.2)は、固定手段(4.2)および凹部(2.4.1)が垂直方向に整列されるか否かに関わらず、保持アンカ(4)の水平細長プレートの部分が、相互に積み重ねられた2つ以上の建築用ブロック(2)の間に捕捉および保持されるように、凹部(2.4.1)よりも幅広である。なぜならば、この幅広により、固定手段(4.2)は凹部(2.4.1)内には収容されず、平面図においてその定位置に保持されるのみとなるからである。
【0099】
図25は、3つの建築用ブロック(2)がケーブル部分(1)内に配設された、および壁の非露出部分に向かって配向された保持アンカ(4)の一部が、覆われることとなる壁に対して平行なおよびその壁上に支持された被固定構造体(明瞭化のため図示せず)に固定するための固定手段(4.1)を有するように構成された、3つの建築用ブロック(2)を有する壁の一実施形態を示す。
【0100】
図26は、凹部(2.4.1)の相補的構成を有する要素である固定手段(4.2)を有するアンカ(4)を示す。固定手段(4.2)は、ケーブル部分(1)を通し得る斜角面(4.2.1)を除いてこの凹部(2.4.1)内に収容されるように意図され、固定手段(4.2)上には、水平ギャップをもたらすための平坦本体(4.3)が存在し、平坦本体(4.3)上には、垂直ギャップのための垂直細長プレート(4.4)が存在する。この実施形態は、全ての要素、すなわち水平ギャップ、垂直ギャップ、スペーサおよび保持アンカを組み込む。
【0101】
図27は、先述の例において広く使用されるタイルとは異なり、より大きな幅を有する建築用ブロック(2)の一実施形態を示す。第1の支持ベース(2.1)は、第2のベース(2.2)内に配置された長手方向チャネルと相補的である長手方向突起部を方向Xに有する。これらの相補的形状は、壁に対する横方向Yにしたがった建築用ブロック(2)の列同士の間に保持が得られ、構造物の安定性がより高くなることを意味する。
【0102】
図27において選択される斜視図により、凹部(2.4.1)が蟻ほぞ形状であるアンカ表面(2.4)を理解することが可能である。先述の例のいずれかの他の構成において得られるように、この図は、凹部(2.4.1)同士が、積み重ねられた場合に、ケーブル部分(1)が複数の凹部(2.4.1)の全長に沿って通り複数の凹部(2.4.1)内に収容されるときにケーブル部分(1)を延在させ得る連続的な垂直溝をもたらす構成をどのように得るかを示す。
【0103】
これらの建築用ブロック(2)は、同一列の連続する建築用ブロック(2)と隣接するように意図された面上に蟻ほぞ形状アンカをさらに組み込む。
【0104】
図28は、先述の例に類似する建築用ブロック(2)の別の例を示し、この例では、アンカ表面(2.4)の凹部(2.4.1)は、L字形構成を有する。
【0105】
上記に示すように、図3Dは、方向Yにしたがって相互から離間された、方向Xにしたがった各位置に対して2つのケーブル部分(1)を固定する固定手段(1.1)を示す。
【0106】
図29は、アンカ表面(2.4)が凹部(2.4.1)を有し、各凹部(2.4.1)内に2つの突起部(2.4.1.1)が異なる深さに存在することにより、ケーブル部分(1)のための2つのハウジングがもたらされるため、ケーブル部分(1)のこの分布に適した建築用ブロック(2)を示す。
【0107】
図30は、対のケーブル部分(1)を受けるようになされた連続凹部を含む2対の延長部を有する積み重ねられたスペーサ(3)とともに、同一の建築用ブロック(2)を示す。したがって、スペーサ(3)は、建築用ブロック(2)間のスタック内に位置決めされることにより、水平ギャップを画定し、積み重ねられた場合のこのスペーサ(3)と建築用ブロック(2)との相対位置決めに関する基準を確立することが可能である。
【0108】
任意には、さらに、覆われることとなる固定壁と任意の厚さの本発明による壁との間に可能な空間が、セメント・モルタル、絶縁モルタル、発泡ポリウレタン、あるいは拘束されることを必要とする任意の他の断熱材料および/または耐性絶縁材料で充填され得る場合には、水平および垂直の連続スペーサ(3)の両方が、恒久的枠組みとして使用され得る。スペーサ(3)は、覆われることとなる固定壁と本発明による壁との間の空間内を充填する材料が、前記スペーサ(3)により生じるギャップを通り出るのを防止する障壁を確立する。
【0109】
本発明の主要用途は、別の固定壁を覆うように意図された壁の形成であるが、他の実施形態によれば、本発明による2つの壁を相互に対して平行にかつ相互に離間して配置することが可能である。
【0110】
別の実施形態によれば、両壁の間に、相互に対して平行に配置された壁を共に強化する1つまたは複数の保持アンカ(4)が存在する。相互から離間されたこれらの壁が、ギャップと、壁の各側に配置された空間同士の間の障壁とを形成するスペーサ(3)を使用する場合には、これらの壁は、セメント・モルタル、絶縁モルタル、発泡ポリウレタン、あるいは拘束されることを必要とする任意の他の断熱材料および/または耐性絶縁材料での充填をさらに可能にする。
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図3C
図3D
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B
図9A
図9B
図10A
図10B
図11A
図11B
図12A
図12B
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
【国際調査報告】