特表2017-538077(P2017-538077A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特表2017-538077車両の支持構造体にワイヤーハーネスを取り付ける自己締結ブラケット、及び、これを備えた車両
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2017-538077(P2017-538077A)
(43)【公表日】2017年12月21日
(54)【発明の名称】車両の支持構造体にワイヤーハーネスを取り付ける自己締結ブラケット、及び、これを備えた車両
(51)【国際特許分類】
   F16B 2/10 20060101AFI20171124BHJP
   F16B 2/08 20060101ALI20171124BHJP
   B60R 16/02 20060101ALI20171124BHJP
【FI】
   F16B2/10 Z
   F16B2/08 B
   B60R16/02 623D
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2017-528152(P2017-528152)
(86)(22)【出願日】2014年11月25日
(85)【翻訳文提出日】2017年7月5日
(86)【国際出願番号】EP2014003136
(87)【国際公開番号】WO2016082848
(87)【国際公開日】20160602
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】512272672
【氏名又は名称】ボルボトラックコーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100129425
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 護晃
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【弁理士】
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【識別番号】100087505
【弁理士】
【氏名又は名称】西山 春之
(74)【代理人】
【識別番号】100168642
【弁理士】
【氏名又は名称】関谷 充司
(74)【代理人】
【識別番号】100096769
【弁理士】
【氏名又は名称】有原 幸一
(74)【代理人】
【識別番号】100107319
【弁理士】
【氏名又は名称】松島 鉄男
(72)【発明者】
【氏名】チャンボッセ,シリル
【テーマコード(参考)】
3J022
【Fターム(参考)】
3J022DA11
3J022EA14
3J022EB03
3J022EB14
3J022EC02
3J022EC14
3J022EC22
3J022FA05
3J022FB03
3J022FB04
3J022FB07
3J022FB12
3J022GA03
3J022GA06
3J022GA24
3J022GB23
3J022GB43
(57)【要約】
【解決手段】ワイヤーハーネス(H)を車両(2)の支持構造体(60)に取り付けるように適合された固定手段(1)は、ワイヤーハーネス(H)をクランプするように適合された硬質部(21)と、固定手段を支持構造体(60)にクランプするように適合されたフレキシブルアーム(26)と、を備え、フレキシブルアーム(60)と硬質部(21)との間で支持構造体(60)を挟み込む。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワイヤーハーネス(H)を車両(2)の支持構造体(60)に取り付ける固定手段であって、
ワイヤーハーネス(H)をクランプするように適合された硬質部(21)と、
前記固定手段を前記支持構造体(60)にクランプするように適合されたフレキシブルアーム(26)と、
を備え、
前記フレキシブルアーム(26)は、前記硬質部(21)に対して前記フレキシブルアーム(26)の回転を可能にするヒンジを介して前記硬質部(21)に連結された、
ことを特徴とする固定手段。
【請求項2】
前記硬質部(21)は、第2のブランチ(22)に直交する第1のブランチ(24)を備えた、
請求項1に記載の固定手段。
【請求項3】
前記フレキシブルアーム(26)は、前記硬質部(21)の前記第1のブランチ(24)に連結された、
請求項1又は請求項2に記載の固定手段。
【請求項4】
前記硬質部(21)は、少なくとも1つの開口(O24)を備え、前記フレキシブルアーム(26)は、結束具の通過を可能にするように適合された、少なくとも1つの開口(O26)を備えた、
請求項1〜請求項3のいずれか1つに記載の固定手段。
【請求項5】
前記固定手段は、開口(O26)が設けられたフレキシブルアーム(26)と、少なくとも1つの開口(O24)が設けられた硬質部(21)と、を備えた自己締結ブラケットであって、前記固定手段を前記支持構造体(60)にクランプしつつ、前記ワイヤーハーネス(H)を締め付ける手段を更に備えた、
請求項1〜請求項4のいずれか1つに記載の固定手段。
【請求項6】
前記ワイヤーハーネス(H)を締め付ける前記手段は、ケーブルタイ(40)である、
請求項5に記載の固定手段。
【請求項7】
ワイヤー、ワイヤーハーネス、チューブ、パイプ及び関連機器を車両の支持体に取り付ける方法であって、
a)結束具の通過に適合された専用開口を備えた固定手段を、前記車両の前記支持体に配置するステップと、
b)ステップa)で使用された前記固定手段に、前記ワイヤー、ワイヤーハーネス、チューブ、パイプ又は関連機器を配置するステップと、
c)前記ワイヤー、ワイヤーハーネス、パイプ、チューブ又は関連機器の周囲に結束具を締め付け、前記結束具が、前記固定手段に設けられた前記専用開口を貫通し、前記ワイヤー、ワイヤーハーネス、チューブ又はパイプの周囲にループを形成するステップと、
を備えた方法。
【請求項8】
ステップa)の前記固定手段は、第2のブランチ(22)に直交する第1のブランチ(24)を有する硬質部(21)に連結されたフレキシブルアーム(26)を備えた、
請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記固定手段の前記フレキシブルアーム(26)は、ヒンジ(260)を介して前記硬質部(21)に連結された、
請求項7又は請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記固定手段は、重合材料で作られる、
請求項7〜請求項9のいずれか1つに記載の方法。
【請求項11】
前記固定手段は、一体的に作られる、
請求項7〜請求項10のいずれか1つに記載の方法。
【請求項12】
ワイヤー、ワイヤーハーネス、チューブ、パイプ又は関連機器を車両の支持構造体(60)に取り付ける固定手段の使用であって、
前記固定手段は、開口(O26)が設けられたフレキシブルアーム(26)と、少なくとも1つの開口(O24)が設けられた硬質部(21)と、を備え、
前記固定手段が前記ワイヤー、ワイヤーハーネス、チューブ、パイプ又は関連機器を固定するのと同時に、前記固定手段が前記支持構造体(60)にクランプされることを特徴とする、固定手段の使用。
【請求項13】
前記固定手段は、前記支持構造体(60)に手でクランプされる、
請求項12に記載の固定手段の使用。
【請求項14】
前記固定手段は、自己締結ブラケットであって、結束具の締め付けによって、前記締結ブラケットが前記ワイヤー、ワイヤーハーネス、チューブ、パイプ又は関連機器を固定するのと同時に、前記締結ブラケットが前記支持構造体にクランプされる、
請求項12又は請求項13に記載の固定手段の使用。
【請求項15】
請求項1〜請求項6のいずれか1つに記載の固定手段を備えるか、又は、請求項7〜請求項11の方法に従って装備されたことを特徴とする車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の支持構造体にワイヤーハーネスを取り付ける自己締結ブラケット(self-fastened bracket)、自己締結ブラケットを使用してそのようなワイヤーハーネスを取り付ける方法、自己締結ブラケットなどの固定手段(fixation means)の使用、及び、そのような自己締結ブラケットを備えた車両に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明は、自走車両(automotive vehicle)、特に、トラック、バス及び建設機械などの中型車両又は大型車両を対象とする。本発明は、トラックについて説明するが、本発明は、この特定車両に限定されず、乗用車などの他の車両にも使用することができる。本発明は、ハイブリッド自動車、電気自動車及び低燃費エンジン(consumption engine)によって電動化された車両を含む、任意のタイプの車両を対象とする。
【0003】
より詳細には、本発明は、車両電気配線システムにその用途(application)を見出す。公知の車両電気配線システムは、一般的に、車両全体に亘る様々な電気部品に電力及び/又は制御信号を供給するように構成されている。例えば、ワイヤーハーネスは、モータ、ヒータ及びライト、内部及び外部の通信手段を駆動する、電力及び/又は制御信号を伝達することができる。車両動作中にワイヤーハーネスの動きを制限するために、ケーブルタイ及びブラケットを使用し、シャーシなどの車両の支持構造体にワイヤーハーネスを固定する。
【0004】
一般的に、CA−A−2 814 456は、ワイヤーハーネスをブラケットに固定するために、結束具(tie)をワイヤーハーネスの周囲に巻き付けることを可能にするように構成された結束部(tie portion)と、車両の構造体にブラケットを固定するように構成された取付部(mounting portion)と、を備えたブラケットを開示している。この例では、ブラケットの結束部は、ストラップのためのワイヤーハーネスの締め付け専用になっている。この結束部は、取付部から完全に独立している。取付部は、ねじのような別の固定手段によって、支持構造体に固定される。上記文献では、ねじは、取付部の開口に挿入されて、支持構造体のねじ孔(threaded opening)に螺合される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この種のブラケットを使用する場合、車両の支持構造体にワイヤーハーネスを固定するには、2つの異なった作業が必要である。第1の作業は、結束部をクランプしてワイヤーハーネスのワイヤーを一緒に保持することからなり、第2の作業は、ねじを回転させて支持構造体に取付部を固定することからなる。また、これは、取付部及び/又は支持構造体に前もってねじを切る必要があり得る。車両に固定するケーブルの数を考慮すると、車両の支持構造体にすべてのケーブルを取り付けることは、非常に時間がかかる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の目的は、車両の支持構造体にワイヤーハーネスを迅速な工程で取り付けることを可能にする、支持部品又は固定手段を提供することである。好ましくは、この取付は、1つのステップで行われる。
【0007】
この目的のために、本発明は、車両の支持構造体にワイヤーハーネスを取り付ける自己締結ブラケットに関する。自己締結ブラケットは、ワイヤーハーネスをクランプするように適合された硬質部(rigid portion)と、支持構造体に自己締結ブラケットをクランプするように適合されたより柔軟な部分(more flexible portion)又はフレキシブルアームと、を備えている。フレキシブルアームは、フレキシブルアームと硬質部との間で支持構造体を挟み込む(squeeze)ようにワイヤーハーネスを締め付けるとき、その第2の端部が硬質部に向かって移動するように、一端部で硬質部に連結される。
【0008】
本発明の自己締結ブラケットは、ワイヤーハーネスを締め付けるときにフレキシブルアームを支持構造体にクランプすることを可能にしつつ、ワイヤーハーネスを硬質部に固定するケーブルタイを受けるように適合される。実際に、ワイヤーハーネスを締め付けるとき、フレキシブルアームは、硬質部に向かって移動し、フレキシブルアームと硬質部との間で万力のようなグリップで支持構造体を捉える。
【0009】
本発明のさらなる態様によれば、固定手段は、以下の特徴の1つ又は複数を組み込むことができる。
−柔軟部又はフレキシブルアームは、柔軟なタブであって、弾性変形によって移動する。
−フレキシブルアームは、結束具の通過に適合した通路開口を含む。
−硬質部は、L字形状を有する。
−フレキシブルアームは、L形硬質部の第1のブランチで硬質部に一端部が連結され、ケーブルタイを締め付けるときに、その第2の端部が、L形硬質部の第2のブランチに向かって移動するように適合される。
−L形硬質部の第1のブランチには、結束具の通過に適合した少なくとも1つの通路開口が設けられる。この通路開口は、L形硬質部の第1のブランチに対するフレキシブルアームの取付箇所の下方に設けられる。
−フレキシブルアームは、硬質部に対してフレキシブルアームの関節運動を可能にする変形可能な要素を介して、L形硬質部の第1のブランチに連結される。
−硬質部に柔軟部を連結する変形可能な要素は、薄いタブである。
−変形可能な要素は、フレキシブルアーム及び硬質部と一体化される。
−フレキシブルアームは、湾曲している。
−ワイヤーハーネスを固定するケーブルタイは、プラスチックのストラップである。
−フレキシブルアームは、硬質部と一体化される。
【0010】
本発明はまた、本明細書に記載の自己締結ブラケットを備えた車両に関する。
【0011】
また、本発明の目的は、腐食を防止する、ワイヤーハーネスを取り付ける手段を提供することである。車両の金属支持体のねじ孔は、腐食に対してより敏感ないくつかの領域を提供するかもしれない。さらに、車両の支持体にクランプするためのねじ又は任意の種類の金属ブラケットの使用は、塗装を損傷し、従って、腐食を誘発又は好むかもしれない。本発明の自己締結ブラケットは、腐食のリスクを回避してケーブルの取り付けを可能にする。
【0012】
本発明のさらなる目的は、軽量で安価な、ケーブルを取り付ける手段を提供することである。最新の車両ではケーブル及びチューブの数が増加しているため、多くの固定手段が必要である。それらが金属であると、これらの固定手段は、燃料消費に有害であり得る重量を呈する。現在説明している自己締結ブラケットは、軽量であるという利点を有し、従って、ある程度の重量を節約することができる。
【0013】
本発明の自己締結ブラケットは電気ケーブルに使用することができるが、硬質又は柔軟であり得る、任意のタイプのチューブ、パイプ又は関連機器を取り付けるためにも使用可能である。このため、本発明の目的はまた、本自己締結ブラケットのような多価固定手段を使用して、車両に使用される多様な固定手段を限定することである。
【0014】
本発明はまた、ワイヤーハーネス、チューブ、パイプ又は関連機器を車両に迅速に取り付ける効率的な方法を提供する。特に、この方法は、支持体にねじ止め又は固定する追加のステップなしで、ワイヤーハーネス、チューブ又はパイプを車両の支持体に直接クランプするような取り付けを可能にする。特定の実施形態では、本発明の方法は、1つのステップで、ワイヤー、ワイヤーハーネス、チューブ、パイプ又は関連機器を固定手段に固定すると共に、固定手段を車両の支持体に固定することを可能にする。従って、支持体に固定手段を固定しつつ、ワイヤー、ワイヤーハーネス、チューブ、パイプ及び関連機器を固定手段に固定することが可能なステップでは、結束具を使用してワイヤーを締め付ける。より詳細には、本発明の方法は、
a)固定手段を支持体に配置するステップと、
b)ステップa)で使用される固定手段に、ワイヤー、ワイヤーハーネス、チューブ、パイプ又は関連機器を配置するステップと、
c)ワイヤー、ワイヤーハーネス、パイプ、チューブ又は関連機器の周囲に結束具を締め付け、結束具が、固定手段に設けられた専用通路を貫通するステップと、
を備える。上述のステップa)及びb)を逆にすることができ、ステップb)がステップa)の前に実行できることを意味する。
【0015】
ここで、本発明の目的を制限することなく、例示的な実施例を表す添付図面に応じて本発明を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明による少なくとも1つの図示しない固定手段を備えたトラックの側面図である。
図2図1の車両の支持構造体の取付位置に表された、ケーブルタイ及びワイヤーハーネスを有する、本発明による固定手段の斜視図である。
図3】解放位置に表された、ケーブルタイがない、本発明の固定手段の斜視図である。
図4図2の矢印に沿った、ワイヤー及びケーブルタイを有する固定手段の断面図である。
図5図2に示されるように、固定手段と共に使用され得る結束具の側面図である。
図6図5の円VIの詳細図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
トラック2は、牽引ユニット又はトラクタ(lorry)6を備えている。トラクタ6は、トレーラ4を牽引し、一対、二対又はそれ以上の車輪10を備えることができる。トレーラ4はまた、二対以上の後輪10を含むことができる。トラック2は、少なくとも1つの固定手段が取り付けられる支持構造体60を含んでいる。この固定手段は、自己締結ブラケット1とすることができる。自己締結ブラケット1及び支持構造体60は、図2に示される。車両2の支持構造体60は、シャーシとすることができる。支持構造体60は、牽引ユニット又はトレーラのいずれかに関連する、任意の垂直構造体又は水平構造体とすることができる。
【0018】
自己締結ブラケット1は、トラック2の支持構造体60にワイヤーハーネスHを取り付けるように適合されている。ワイヤーハーネスHは、電力又は信号を伝達する電気ケーブルであり得る、いくつかのワイヤーWを含んでいる。代わりに、自己締結ブラケット1はまた、空気、圧縮空気、オイル、燃料又は他の流体のような流体を供給するために使用され得る、チューブ又はパイプを取り付けるように適合されている。このようなパイプ又はチューブを介して供給される流体は、冷たくても暖かくてもよい。
【0019】
図2及び図4〜6に示すように、自己締結ブラケット1は、ワイヤーハーネスHの複数のワイヤーWを一緒にクランプ又はグループ化するように、結束具40をワイヤーハーネスHの周囲に巻き付けることができるようにする。結束具40は、図4において矢印E1で示されるように、支持構造体60に向かってフレキシブルアーム26を押し付けて、支持構造体60に自己締結ブラケット1をクランプしつつ、自己締結ブラケット1にワイヤーハーネスHを固定することを可能にする。図の例では、結束具40は、プラスチックストラップであるが、引張装置(tensile device)若しくは伸展装置(stretching device)又はこれらの要素など、締め付ける任意の均等手段を使用することができる。ワイヤーを締め付けるように適合された、いくつかのシステムが既に存在している。図5及び図6は、結束具40が車両の通常使用における振動によってストラップ40が緩まないようにする手段を含んだ、例示的な例を提供する。ストラップ40の端部41及び42は、お互いに協働してストラップ40を閉じる。ストラップ40の端部41は、他方の端部42を受け入れるボックスを定める。ボックス41は、中空であって、他方の端部42の通路を画定する。端部42には、ボックス41のロッキングタブ44と協働するように適合された、連続した歯42aが設けられている。ロッキングタブ44は、弾性変形可能であり、2つの隣接した歯42aの間に係合される。ストラップ40の端部42が通路方向に沿って移動するように曲げることができるので、ストラップの締め付けを阻害しない。しかしながら、ストラップが緩む反対方向D2へのストラップ40の変位を阻害するように、タブ44が配向されている。
【0020】
図3に示すように、自己締結ブラケット1は、L形硬質部21と、L形硬質部21の第1のブランチ24に連結されたフレキシブルアーム26と、を備えている。フレキシブルアーム26は、L形硬質部21の第2のブランチ22と協働して、車両の支持構造体60にクランプする。それは、自己締結ブラケット1が車両の支持構造体60に固定されることを可能にする。自己締結ブラケット1は、例えば、成型又は熱成型することができる、プラスチック、熱可塑性物質、ポリマー又は樹脂などの合成材料とすることができる。一例として、ポリアクリルアミド、特に、ポリアクリルアミドPA66を使用することができる。自己締結ブラケット1は、本発明の目的のために適した柔軟性/剛性を有する、金属要素、金属合金又は他の材料を備えることもできる。自己締結ブラケット1は、そのような材料で完全に作ることもできる。
【0021】
フレキシブルアーム26及びL形硬質部21は、好ましくは、一体的に作られる。フレキシブルアーム26及び硬質部21は、好ましくは、同じ材料で作られる。硬質部21に対してアーム26の厚さを薄くすることによって、硬質部21と比較して、より柔軟性があるアーム26を得ることができる。一般的に、自己締結ブラケット1がPA66などのポリアクリルアミドで作られる場合、アーム26の厚さは、約1mm〜約3mm、好ましくは、1.7mm〜2.2mmにするのが有利である。硬質部の厚さは、約2mm〜約4mm、好ましくは、約3mm〜約3.5mmにすることができる。特定の要件に応じて、アーム26及び硬質部21の厚さの比を変更することができる。特定の実施形態では、フレキシブルアーム26の厚さは、硬質部21の厚さより10%〜30%小さい。換言すると、フレキシブルアーム26の厚さは、硬質部21の厚さの70%〜90%に相当する。他の特定の実施形態では、フレキシブルアーム26の厚さは、硬質部21の厚さの60%〜70%に相当する。硬質部の厚さの約30%〜約50%に厚さが相当すると、より柔軟なアーム26を得ることができる。
【0022】
自己締結ブラケットがポリアクリルアミド以外の材料で作られている場合、この厚さは、材料の固有の剛性との関係で適合されてもよいことに留意されたい。
【0023】
上記及び下記において、アーム26及び硬質部21の柔軟性は、所定の力でその形状が弾性変形する性質に関連している。フレキシブルアーム26は、加えられた力でその形状が容易に変更できることを意味する。そのような加えられた力は、結束具を用いたワイヤー又はワイヤーハーネスの締め付けでもよい。反対に、硬質部21は、ケーブルタイを用いたワイヤーハーネスの締め付けと同様に、拘束下で形状が大きく変化しない部分を意味する。従って、自己締結ブラケット1は、ケーブルタイ40を締め付けることによって、第1のブランチ24及び第2のブランチ22を含む硬質部21がほぼまっすぐで変形しないままであるのに対して、フレキシブルアーム26が弾性変形されるように設計される。
【0024】
硬質部21にフレキシブルアーム26を連結する関節部260は、アーム26より柔軟であって、硬質部21に対してフレキシブルアーム26を回転可能にするヒンジを提供する。本発明の特定の実施形態では、ヒンジ又は関節部260は、約0.3mm〜1mm、好ましくは、約0.4mm〜0.5mmの厚さを有している。他の実施形態では、ヒンジ又は関節部260の厚さは、アーム26の厚さの10%に相当する。他の実施形態では、ヒンジ又は関節部260の厚さは、アーム26の厚さの10%〜25%に相当する。さらなる他の実施形態では、ヒンジ又は関節部260の厚さは、アーム26の厚さの30%〜50%に相当する。
【0025】
以下、図2及び図3の構成に関して、「上方」及び「下方」の方向を考慮しなければならない。この例は限定的でなく、例えば、自己締結ブラケット1が上下逆に取り付けられてもよいことが理解されるべきである。自己締結ブラケット1は、垂直構造体に取り付けることもできる。
【0026】
L形硬質部21は、第2のブランチ22に対して垂直に延び、結束具40が通過する2つの通路開口O24及びO’24を画定する第1のブランチ24を含んでいる。開口O24は、ブランチ22に近いブランチ24の端部に設けられる。開口O’24は、第1のブランチ24の反対側の端部近くに設けられる。開口O24及びO’24は、フレキシブルアーム26の両端部に配設され、それによって、L形硬質部21に接続される。図2及び図3の構成では、第1のブランチ24が垂直に延び、第2のブランチ22が水平に延びている。
【0027】
L形硬質部21の第2のブランチ22は、支持構造体60の底部と接触するように適合されている。第2のブランチ22の上面は、自己締結ブラケット1が支持構造体60に取り付けられたとき、支持構造体60を向く。この上面は、支持構造体60の底面とのグリップを増加する、複数のグリップ小板220を備えることができる。この上面は、自己締結ブラケットのグリップを増加する、材料の層を更に備えることができる。そのような材料として、ゴム、弾性材又は同等の材料でもよい。それは、支持体60への取り付け段階の前に、接着剤又は他の同等手段で第2のブランチ22に固定、又は、ブランチ22の上にスリーブ(sleeve)される。その代わりに、この材料の層は、取付段階中に、L形硬質部21の第2のブランチ22と支持構造体60との間に挿入してもよい。その特定の場合には、自己締結ブラケットに層を固定する追加のステップは不要である。図3は、第1のブランチ24が第2のブランチ22より長いことを示しているが、適用の特異性に応じて、他の構成も可能である。例えば、第2のブランチ22の長さは、車両構造体60へのより良好なグリップのために長くすることができる。一方、第1のブランチ24の長さは、ワイヤーハーネスのサイズに適合しなければならない。
【0028】
第1のブランチ24は、第2のブランチ22に向かって湾曲又は湾曲部を備えた、端部240を有することができる。これによって、ワイヤーハーネスHの円形形状との整合を図り、ワイヤーハーネスHとの接触を改善して、ワイヤーハーネスのクランプを補強することができる。
【0029】
フレキシブルアーム26は、柔軟なタブとすることができ、その端部が、関節部260を介して第1のブランチ24に取り付けられる。より正確には、フレキシブルアーム26は、開口O24と開口O’24との間の第1のブランチ24の中間部に取り付けられる。フレキシブルアーム26は、好ましくは、L形硬質部21に連結されておらず、結束具40の通過を可能にする、その端部付近に配置された通路開口O26を備えている。フレキシブルアーム26は、湾曲している。フレキシブルアーム26は、L形硬質部21の第1のブランチ24の端部240と連続しており、これと同じ向きである。ブランチ24に関しては、フレキシブルアーム26の湾曲部によって、ワイヤーハーネスHの円形形状と整合することができる。
【0030】
フレキシブルアーム26は、結束具40でワイヤーを締め付けるとき、取付位置260の弾性変形によって移動可能である。これによって、フレキシブルアーム26とL形硬質部21の第2のブランチ22との間で支持構造体60を挟み込むことができる。より正確には、結束具40でワイヤーを締め付ける前、フレキシブル部分26の下部が、支持体60の上部に接触するか又は近接している。フレキシブルアーム26がまだ接触していない場合、結束具40でワイヤーを締め付けると、図3及び図4の矢印A2で示されるように、第1のステップにおいて、フレキシブルアーム26は、関節部260により支持部60に接触する。第2のステップにおいて、結束具40でワイヤーをより強く締め付けると、フレキシブルアーム26は、L形硬質部の第2のブランチ22及びフレキシブルアーム26による支持部60の両端部に作用する力が増加しつつ、支持部60との接触面が増加するように弾性変形する。従って、牽引力がアーム26に伝達されるので、アーム26は支持構造体60に力E1を及ぼし、第2のステップでは、アーム26及びブラケット21のブランチ22によって形成された万力のようなグリップになる。これは、ワイヤーハーネスHが車両2内で支持構造体60に固定される、取付位置に相当する。結束具40が最大限に締め付けられると、自己締結ブラケット1及びワイヤーハーネスは、支持構造体60に確実に固定される。上述した第1及び第2のステップは、結束具40を締め付けるときに連続して実行され、ワイヤーの周囲に結束具を締め付ける独自のステップを一緒に形成する。
【0031】
1つの特定の実施形態では、そのように取り付けられた自己締結ブラケットは、約30kgまでの引き抜き力に対抗することができる。好ましくは、ワイヤーハーネスが取り付けられた自己締結ブラケット1は、約20kgまで、より好ましくは、約10kgまでの引き抜き力に対抗する。この引き抜き力は、支持構造体60から自己締結ブラケット1のスライドを引き起こす、任意の牽引力を意味する。
【0032】
構造体60にフレキシブルアーム26をクランプしつつ、硬質部21の第1のブランチ24にワイヤーハーネスを固定することが可能な結束具40は、少なくとも通路O26及びO24を貫通し、ループを形成することによって、ワイヤーハーネスHを取り囲んで固定される。結束具40は、硬質部21の第1のブランチ24の端部に設けられた、孔又は通路O’24を介して更にガイドされることもできる。
【0033】
本発明は、安価、軽量かつ迅速に取り付けられる固定手段を使用して、ワイヤー、ワイヤーハーネス、チューブ、パイプ及び関連機器を車両に取り付ける方法も提供する。特に、本方法は、車両にワイヤーを取り付けるときのステップ数並びにこのステップの所要時間を制限することを目的とする。一例として、本方法は、構造体に固定手段をねじ込むステップを回避して、ケーブル、ワイヤー、ワイヤーハーネス、チューブ又はパイプを車両構造体に取り付けることを可能にする。本発明の目的は、工具を使用せずにワイヤーを固定することであり、ワイヤーの固定が手で行われることを意味する。
【0034】
この目的のため、本発明の方法は、
a)結束具の通過に適合された少なくとも2つの専用開口を備えた固定手段を、車両の構造体に配置するステップと、
b)ステップa)で使用された固定手段に、ワイヤー、ワイヤーハーネス、チューブ、パイプ又は関連機器を配置するステップと、
c)ワイヤー、ワイヤーハーネス、パイプ、チューブ又は関連機器の周囲に結束具を締め付け、結束具が固定手段に設けられた専用開口を貫通し、ワイヤー、ワイヤーハーネス、チューブ又はパイプの周囲にループを形成するステップと、
を備える。
【0035】
本発明の方法は、ステップa)の前又はステップa)と同時に、固定手段と支持体との間にグリップ向上材を挿入するステップを更に備えることができる。
【0036】
上述したステップa)及びb)は、逆又は同時とすることができ、ステップb)がステップa)の前に又は同時に実行され得ることを意味する。
【0037】
ステップa)〜c)において、固定手段は、好ましくは、第1のブランチ24及び第2のブランチ22を有するL形硬質部21に連結されたフレキシブルアーム26を備えた装置である。この装置は、ホモポリマー、ヘテロポリマー、成形ポリマー(molded polymer)、プラスチック又は熱可塑性材料などの重合材料で作ることができる。固定手段は、好ましくは、一体形成され、結束具を受けるように設計又は適合される。
【0038】
ステップa)〜c)で使用される固定手段は、L形硬質部21の第1のブランチ24に対してフレキシブルアーム26が関節接合されるように、フレキシブルアーム26と硬質部21との間にヒンジを備える。
【0039】
ステップc)における結束具40の締め付けは、1つのユニークなステップで、支持体60に固定手段を固定しつつ、ワイヤー、ワイヤーハーネス、チューブ、パイプ又は関連機器を固定手段にグループ化することを可能にする。
【0040】
ステップc)における結束具の締め付けは、手で行うことができ、専用の締め付け装置など、結束具を締め付けるように適合された工具の助けにより改善することができる。ステップc)に続いては、円VI(図6参照)から延びる結束具の余分な部分の切断を任意に行うことができる。使用される結束具は、好ましくは、プラスチックで作られたストラップとすることができる。
【0041】
ステップa)〜c)において、車両の支持体は、車両を設計及び/又は構成するために使用されるシャーシ、又は、任意の他の水平若しくは垂直レール、スケルトン、はりとすることができる。
【0042】
好ましい実施形態では、ステップa)〜c)の固定手段は、本明細書で説明した、自己締結ブラケット1である。
【0043】
本発明のさらなる目的は、ワイヤー、ワイヤーハーネス、チューブ、パイプ又は関連機器を車両に取り付けるように適合された新規な固定手段を使用することであり、この固定手段によって、同時に、ワイヤー、ワイヤーハーネス、チューブ、パイプ又は関連機器を固定すると共に、固定手段を構造体に固定することを可能にする。特に、本発明は、ワイヤー、ワイヤーハーネス、チューブ、パイプ又は関連機器を取り付ける支持体に手でクランプされ得る固定手段の使用を提供し、この固定手段がケーブルタイの通過を可能にする。好ましい実施形態では、本発明は、本明細書で説明する自己締結ブラケット1である、固定手段の使用を提供する。
【0044】
本発明は、上述及び図示の実施形態に限定されないことが理解されよう。むしろ、当業者であれば、添付の特許請求の範囲内で、様々な変更及び修正が可能であることを認識するであろう。
【0045】
なお、上述した本発明の異なる実施形態及び代わりの実施形態の技術的特徴を組み合わせて、本発明の新たな実施形態を作り出すことができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【国際調査報告】