特表2017-538150(P2017-538150A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特表2017-538150均一なテクスチャー化表面および低スパークルを有する防眩基材およびそれを製造する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2017-538150(P2017-538150A)
(43)【公表日】2017年12月21日
(54)【発明の名称】均一なテクスチャー化表面および低スパークルを有する防眩基材およびそれを製造する方法
(51)【国際特許分類】
   G02B 5/02 20060101AFI20171124BHJP
   C03C 15/00 20060101ALI20171124BHJP
【FI】
   G02B5/02 C
   C03C15/00 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】29
(21)【出願番号】特願2017-523444(P2017-523444)
(86)(22)【出願日】2015年9月4日
(85)【翻訳文提出日】2017年6月23日
(86)【国際出願番号】US2015048517
(87)【国際公開番号】WO2016069113
(87)【国際公開日】20160506
(31)【優先権主張番号】62/073,224
(32)【優先日】2014年10月31日
(33)【優先権主張国】US
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】397068274
【氏名又は名称】コーニング インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100073184
【弁理士】
【氏名又は名称】柳田 征史
(74)【代理人】
【識別番号】100175042
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 秀明
(72)【発明者】
【氏名】チェン,ハイシン
(72)【発明者】
【氏名】チェン,リン
(72)【発明者】
【氏名】ゴン,ハオフェイ
(72)【発明者】
【氏名】ホン,リーピン
(72)【発明者】
【氏名】リー,チォン−チュン
【テーマコード(参考)】
2H042
4G059
【Fターム(参考)】
2H042BA04
2H042BA15
2H042BA20
4G059AA08
4G059AC02
4G059BB16
(57)【要約】
防眩物品およびそれを形成するための方法の実施形態が開示される。1つまたは複数の実施形態において、防眩物品は、表面を有する基材と、表面上に配置される複数の特徴とを含み、複数の特徴の約50%以上が約0.5〜約1.5の範囲の正規化面積を含み、および正規化面積が関係式(特徴の表面積/全ての特徴の平均表面積)として定義される。いくつかの実施形態において、特徴の約90%以上が約100マイクロメートル以下の表面積を有する。防眩物品は、約5%以下のPPDr、約20%未満の透過ヘイズおよび約90%未満のDOIを示す。また、基材を形成する方法が開示され、かつ水溶性金属イオン塩を含むエッチング剤で基材の表面をエッチする工程を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
防眩物品において、
表面を有する基材と、
前記表面上に配置される複数の特徴と
を含み、前記複数の特徴の約50%以上が約0.5〜約1.5の範囲の正規化面積を含み、および前記正規化面積が関係式(特徴の表面積/全ての特徴の平均表面積)として定義されることを特徴とする、防眩物品。
【請求項2】
前記特徴の約90%以上が約100マイクロメートル以下の表面積を有することを特徴とする、請求項1に記載の防眩物品。
【請求項3】
前記複数の特徴の約18%以下が約400nm超の平均表面積を有することを特徴とする、請求項1または2に記載の防眩物品。
【請求項4】
約0.15マイクロメートル以下のRaおよび約5%以下のPPDrを示すことを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の防眩物品。
【請求項5】
約20%未満の透過ヘイズを示し、および前記基材表面が約90%未満のDOIを示すことを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の防眩物品。
【請求項6】
前記基材表面が60°において約87%以下の光沢を示すことを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載の防眩物品。
【請求項7】
防眩表面を有する基材を形成する方法において、
水溶性金属イオン塩を含むエッチング剤で基材の第1の表面の部分をエッチして、エッチされた表面を提供する工程と、
前記エッチされた表面の部分を除去して前記防眩表面を提供する工程と
を含み、
前記防眩表面が複数の特徴を含み、
前記複数の特徴の約50%以上が約0.5〜約1.5の範囲の正規化面積を含み、および前記正規化面積が関係式(特徴の表面積/全ての特徴の平均表面積)として定義されることを特徴とする、方法。
【請求項8】
前記水溶性金属イオン塩がCuCl、Cu(NO、CuSO、FeCl、Fe(SO、Fe(NO、CoCl、CoSO、Co(NO、NiCl、NiSO、Ni(NO、ZnCl、ZnSO、Zn(NO、CaCl、CaSO、Ca(NO、MgCl、MgSO、Mg(NOおよびNHClのうちの任意の1つまたは複数を含むことを特徴とする、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記エッチング剤がフッ化物含有酸と充填剤とを含むことを特徴とする、請求項7または8に記載の方法。
【請求項10】
前記エッチング剤が可溶性澱粉、可溶性ポリマー界面活性剤のうちの任意の1つもしくは複数またはそれらの組合せを含み、前記可溶性ポリマー界面活性剤がポリアクリルアミド、ポリアクリル酸、およびポリ(スチレンスルホネート)のうちの任意の1つまたは複数を含むことを特徴とする、請求項7〜9のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本出願は、2014年10月31日に出願された米国仮特許出願第62/073224号(その内容に依拠し、その全体において参照により本明細書に組み込まれる)の、米国法典第35編第119条下における優先権の利益を主張する。
【技術分野】
【0002】
本開示は、防眩性質を示す基材、より詳しくは均一なテクスチャー化表面および低スパークルを示す基材に関する。また、このような基材を製造するための方法も開示される。
【背景技術】
【0003】
大衆消費電子製品技術の進歩は、様々なカバー基材の性質の改良を必要としている。このような改良分野の1つは、スマート(モバイル)フォン、タブレット、電子ブックリーダー、ディスプレイおよびTVなどの家庭電化製品の防眩表面である。
【0004】
正反射の低減は、往々にして、特に特定の光条件において使用されるとき、タッチセンシティブ電子デバイス、電子インクリーダー、インタラクティブホワイトボード、および他のポータブルLCDパネルの望ましい性質である。このような性質を示すカバー基材は、反射防止層をコートするか、またはテクスチャーを表面上に作る(したがって防眩表面を形成する)ことによって達成され得る。表面テクスチャーは反射光の不規則な散乱によって反射光を低減し、ぼやけた反射画像をもたらす。
【0005】
家電用途のために、公知の防眩表面は、低い透過ヘイズレベル(例えば、約10%以下)においてスパークル(または粒状外観)を示すことができる。ディスプレイの「スパークル」は、防眩または光散乱表面がディスプレイ装置に導入されるときに生じ得る現象である。スパークルは、ディスプレイの変化する視角と共に粒子パターンの変化があるように見え得る非常に微細な粒状外観に相関している。このタイプのスパークルは、LCDなどのピクセル化ディスプレイが防眩表面を通して見られるときに観察される。このようなスパークルは、プロジェクションまたはレーザーシステムにおいて観察および特性決定された「スパークル」または「スペックル」と異なるタイプおよび由来である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ディスプレイは、より高い解像力を示し、より多いピクセルがより高い密度で集められ、スパークルの低減がより重要になる。防眩フィルム積層、サンドブラスティング、ゾル−ゲルコーティングなどの公知の防眩技術は、著しいスパークルを生じる傾向がある。したがって、低いDOIおよび低い透過ヘイズをさらに示しながら低スパークルを示す防眩表面が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の態様は、表面テクスチャーと低スパークルとの間の関係を最適化することに関する。説明されるように、本明細書に記載される防眩基材およびそれをを製造するための方法は、特徴の正規化面積のパーセンテージの約50%以上が約0.5〜約1.5である表面を提供し、それはスパークルを著しく低減する。
【0008】
本開示の第1の態様は、(低いピクセルパワー偏差基準またはPPDrを用いて)低いスパークルを示す基材およびこのような基材を含む物品に関する。本開示の1つまたは複数の実施形態は、表面を有する基材と、表面上に配置される複数の特徴とを含む防眩物品を包含する。いくつかの実施形態において、複数の特徴の約50%以上が約0.5〜約1.5の範囲の正規化面積を有する。正規化面積という語句は、関係式:(特徴の表面積/全ての特徴の平均表面積)として定義される。いくつかの代替形態において、特徴の約90%以上が約100マイクロメートル以下の表面積を有する。いくつかの代替形態において、複数の特徴の約18%以下が約400nm超の平均表面積を有する。いくつかの代替形態において、複数の特徴の約15%以下が約400nm超の平均表面積を有する。
【0009】
1つまたは複数の実施形態において、物品は、約0.15マイクロメートル以下の粗さ平均(Ra)を示す。いくつかの実施形態において、物品は、約5%以下のPPDr値を示す。また、1つまたは複数の実施形態の物品が約20%未満の透過ヘイズを示す。いくつかの場合、複数の特徴を含む基材表面が約90%未満のDOIを示す。いくつかの場合、複数の特徴を含む基材表面が60°において約87%以下の光沢を示す。
【0010】
本開示の第2の態様は、防眩表面またはより具体的には、防眩表面を有する基材を形成する方法に関する。1つまたは複数の実施形態において、防眩表面が複数の特徴を含む。いくつかの実施形態において、複数の特徴の約50%以上が約0.5〜約1.5の範囲の正規化面積を含む。いくつかの実施形態において、得られた基材が約20%以下の透過ヘイズおよび/または約6以下のPPDを示す。いくつかの実施形態において、防眩表面が約90%以下のDOIおよび/または60°において約87%以下の光沢を示す。
【0011】
1つまたは複数の実施形態において、防眩表面を有する基材を形成する方法は、エッチング剤で基材の第1の表面の部分をエッチして、エッチされた表面を提供する工程と、エッチされた表面の部分を除去して防眩表面を提供する工程とを含む。いくつかの実施形態において、方法は、第1の表面のエッチング前に耐酸性フィルムを基材の第2の表面上に形成する工程を含む。いくつかの実施形態において、基材の第1の表面の部分をエッチする工程が、第1の表面をエッチング剤と約5分未満にわたり接触させる工程を含む。いくつかの実施形態において、エッチされた表面の部分を除去する工程が、エッチされた表面を酸性溶液と15分未満にわたり接触させる工程を含む。
【0012】
1つまたは複数の実施形態において、エッチング剤が水溶性金属イオン塩を含有する。適した水溶性金属イオン塩の例には、CuCl、Cu(NO、CuSO、FeCl、Fe(SO、Fe(NO、CoCl、CoSO、Co(NO、NiCl、NiSO、Ni(NO、ZnCl、ZnSO、Zn(NO、CaCl、CaSO、Ca(NO、MgCl、MgSO、Mg(NO、NHClまたはそれらの組合せが含まれる。いくつかの実施形態において、エッチング剤がフッ化物含有酸と充填剤とを含有する。適したフッ化物含有酸に例には、NHF、NHHFまたはそれらの組合せが含まれる。エッチング剤のいくつかの実施形態において使用される充填剤がBaSO、CaF、MgF、カオリンまたはそれらの組合せなどの無機塩を含有することができる。いくつかの実施形態において、エッチング剤が可溶性澱粉を含有する。いくつかの実施形態において、エッチング剤がポリアクリルアミド、ポリアクリル酸、ポリ(スチレンスルホネート)およびそれらの組合せなどの可溶性ポリマー界面活性剤を含有してもよい。任意選択により、エッチング剤がKNOを含有してもよい。
【0013】
いくつかの実施形態において利用される酸性溶液がHF、HClまたはそれらの組合せを含有してもよい。
【0014】
さらに別の特徴および利点は以下の詳細な説明に示され、部分的には、当業者にはその説明から容易に明らかであり、もしくは以下の詳細な説明、請求の範囲、ならびに添付した図面を含めて、本明細書において説明されるように実施形態を実施することによって認識される。
【0015】
前述の概要および以下の詳細な説明は典型的な例にすぎず、特許請求の範囲の性質および特徴を理解するための概要または枠組みを提供することを意図するものであることが理解されるはずである。添付した図面は、さらなる理解を提供するために与えられ、本明細書に組み込まれ、かつその一部を構成する。図面は、1つまたは複数の実施形態を示し、説明と共に様々な実施形態の原理および作用を説明するのに役立つ。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】一実施形態の側面図である。
図2】実施例1の光学顕微鏡画像である。
図3】実施例6の光学顕微鏡画像である。
図4】実施例12の光学顕微鏡画像である。
図5】実施例21の光学顕微鏡画像である。
図6】500倍の倍率の実施例30の透過光型光学顕微鏡画像を示す。
図7】200倍の倍率の実施例31の透過光型光学顕微鏡画像を示す。
図8】200倍の倍率の実施例32の透過光型光学顕微鏡画像を示す。
図9】200倍の倍率の比較例33の透過光型光学顕微鏡画像を示す。
図10】実施例30〜32および比較例33の特徴の表面積分布を示す棒グラフである。
図11】実施例30〜32および比較例33の特徴の表面積分布を示す線グラフである。
図12】実施例30〜32および比較例33の特徴の正規化面積分布を示す棒グラフである。
図13】実施例30〜32および比較例33の特徴の正規化面積分布を示す線グラフである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本開示の様々な実施形態がここで詳細に参照される。
【0018】
本開示の第1の態様は、防眩性質を示す基材およびそれを含む物品に関する。具体的には、防眩基材は、防眩表面(またはテクスチャー化もしくは粗い表面)を含む表面上で測定されたとき、PPDrを用いて約5%以下の低スパークル、低い透過ヘイズ(例えば、約20%未満)、低いDOI(例えば、約90%未満)および60°において低い光沢(例えば、約87%以下)を示す。
【0019】
図1を参照すると、1つまたは複数の実施形態において、基材100は、対向した主面112、114および対向した小表面116、118を含む。いくつかの実施形態において、少なくとも1つの表面(例えば、主面)は、複数の特徴122を有するテクスチャー(本明細書においてテクスチャー化表面120と称される)を含む。テクスチャーは表面の部分、全表面にわたってまたは2つ以上の表面上に延在してもよい。テクスチャーは、粗くされると称されてもよい。図1に示されるように、特徴122は、表面から外側に向いていて、表面に開口を有する、表面から基材内に延在する凹形状として記述されてもよい。
【0020】
特に断らない限り、DOIおよび光沢に関する基材100の防眩性能は、テクスチャーまたは複数の特徴122を有する表面上で反射モードで測定される(すなわち、基材の他の表面を考慮しない)。PPDrおよび透過ヘイズ性能は、これらの値が透過モードで測定されるため、基材全体の観点から見られる。
【0021】
複数の特徴が狭い表面積分布を有し、したがって表面が均一なテクスチャーを有する。1つまたは複数の実施形態において、複数の特徴の約50%以上が約0.25〜約1.75(または約0.5〜約1.5、約0.6〜約1.4、約0.7〜約1.3、もしくは約0.75〜約1.25)の範囲の正規化面積を有する。本明細書中で用いられるとき、語句「正規化面積」は、関係式:(特徴の表面積/全ての特徴の平均表面積)として定義される。
【0022】
1つまたは複数の実施形態において、複数の特徴の著しい部分が約100マイクロメートル(μm)以下の表面積を有する。例えば、いくつかの実施形態において、複数の特徴の約90%以上が約100マイクロメートル(μm)以下の表面積を有する。いくつかの場合、特徴の約90%以上が約90マイクロメートル(μm)以下、約80マイクロメートル(μm)以下、約70マイクロメートル(μm)以下、または約60マイクロメートル(μm)以下の表面積を有する。
【0023】
いくつかの場合、複数の特徴のごく一部が約100マイクロメートル(μm)超の表面積を有し、複数の特徴のさらに少数が約400マイクロメートル(μm)以上の表面を有する。例えば、いくつかの実施形態において、複数の特徴の約20%以下(または約18%以下)が約400ナノメートル(nm)以上の平均表面積を有する。いくつかの場合、複数の特徴の約20%以下が約450ナノメートル(nm)以上、約500ナノメートル(nm)以上、約550ナノメートル(nm)以上、または約600ナノメートル(nm)以上の平均表面積を有する。1つまたは複数の実施形態において、複数の特徴の約15%以下が約400ナノメートル(nm)超の平均表面積を有する。
【0024】
複数の特徴は、特徴サイズを用いて特性決定されてもよく、それは特徴の平均最長断面寸法を用いて記述されてもよい。1つまたは複数の実施形態において、複数の特徴が約5マイクロメートル(μm)〜約50マイクロメートル(μm)、またはより具体的には、約5マイクロメートル(μm)〜約30マイクロメートル(μm)の範囲の平均最長断面寸法を有してもよい。本明細書中で用いられるとき、用語「最長断面寸法」は、特徴の最長単一寸法を指す。したがって、明確にするために、特徴が円形であるとき、最長断面寸法はその直径であり;特徴が楕円形であるとき、最長断面寸法は楕円の最長直径であり;および特徴が不規則形状であるとき、最長断面寸法はその外周上の2つの最も離れた対向する点間の線である。「最長断面寸法」と共に使用されるとき、用語「平均」は、同じ試料上の最少20の異なる特徴の測定された最長断面寸法の平均を包含する。
【0025】
いくつかの実施形態において、テクスチャー化表面は、その平均粗さ(Ra)を用いて特性決定されてもよい。防眩表面は、約0.15マイクロメートル(μm)以下のRaを有してもよい。いくつかの場合、防眩表面は、約0.14マイクロメートル(μm)以下、約0.13マイクロメートル(μm)以下、約0.12マイクロメートル(μm)以下、約0.11マイクロメートル(μm)以下、または約0.1マイクロメートル(μm)以下のRaを有してもよい。いくつかの場合、Raは、約0.6マイクロメートル(μm)以下であってもよい。全ての場合において、Ra値は約0.01マイクロメートル(μm)以上である。
【0026】
1つまたは複数の実施形態において、テクスチャー化表面は、平均からのプロファイル高さ偏差の二乗平均平方根(RMS)によって特性決定されてもよい。1つまたは複数の実施形態において、テクスチャー化表面は、約200ナノメートル(nm)以上のRMSを有してもよい。いくつかの場合、テクスチャー化表面は、約200ナノメートル(nm)〜約300ナノメートル(nm)、または約200ナノメートル(nm)〜約260ナノメートル(nm)の範囲のRMSを有してもよい。
【0027】
1つまたは複数の実施形態において、基材は、約5%以下、約4.5%以下、約4%以下、約3.5%以下、または約3%以下のピクセルパワー偏差基準またはPPDrによって特性決定されてもよい、低スパークルを示す。本明細書中で用いられるとき、用語「ピクセルパワー偏差基準」および「PPDr」は、ディスプレイスパークルの定量的測定を指す。特に断らない限り、PPDrは、60μm×180μmの本来のサブピクセルピッチおよび約44μm×約142μmのサブピクセル開口ウィンドウサイズを有するエッジ照明LCDスクリーン(ねじれネマチックLCD)を含むディスプレイ配列を使用して測定される。LCDスクリーンの前面は、光沢のある反射防止型直線偏光板フィルムを有した。ディスプレイ装置またはディスプレイ装置の部分を形成する防眩表面のPPDrを定量するために、スクリーンは、人間の観察者の目のパラメーターに近似する、「アイシミュレーター」カメラの焦点領域内に置かれる。そのため、カメラシステムは、集光角を調節するために、したがってヒトの目の瞳の絞りに似せるために光路に挿入される絞り(または「瞳絞り」)を含む。本明細書に記載されるPPDr測定において、アイリス絞りは18ミリラジアンの角度に対する。
【0028】
PPDr測定は、公知の防眩表面を特性決定するために使用されるPPD測定から区別され得る。PPDrはピクセルパワーの正規化標準偏差を含み、J.Gollierら著、“Display sparkle measurement and human response,”SIDSymposium of Technical Papers 44,No.1,295−297(2013)により詳細に記載されている。ディスプレイのみからのPPD寄与を計算するために、防眩表面を有さない発光型ディスプレイのピクセルパワーのばらつきを除去して、PPDr測定(参照される測定を意味する)を提供する。一般的に、裸ディスプレイの第1の画像を取り、防眩表面を備える試験試料を使用して取られた画像のための基準として使用する。隣接したピクセル間の境界を計算するため、画像中の線、次に列を合計し、最小値を決定する。非常にノイズの多い画像について、一体化領域の位置は発光型ディスプレイのピクセルピッチが一定であるという情報を用いて推定される必要がある場合がある。ピクセル間の暗領域に観察されるバックグラウンドカウントを画像から差し引き、カメラのダークカウントまたはディスプレイ内の他の散乱光を除去する。次に、それぞれのピクセル内の総パワーを一体化し、参照画像からのピクセルパワーによって割ることによって正規化する。次に、ピクセルパワーの分布の標準偏差を計算して、PPDr値を出す。
【0029】
より具体的には、PPDrを測定するとき、LCDピクセルの均一な緑パッチがソースとして使用される。約20×20のLCDピクセルの最小測定面積を使用して緑のサブピクセルのみが照明される。試験画像(Tij)および参照画像(Rij)を取得する。参照画像がソース強度分布の不均一性を除去する。絞りを通して見られたLCDピクセルの画像が、LCDピクセル1個当たり少なくとも約20のCCDピクセルを有するCCD(電荷結合デバイス)カメラによって集められる。また、バックグラウンド値(bg)を決定して、偶然のライトカウントおよびダークカウントからの寄与を除去する。式(1)および(2)によってPPDr値を決定する。
【0030】
【数1】
【0031】
【数2】
【0032】
PPDr測定値は0°および90°で取られてもよい。本明細書に記載されるPPDr値は、これらの測定値の算術平均を指す。
【0033】
いくつかの実施形態において、防眩表面は、約90以下(例えば、約85以下、約80以下、約60以下、または約40以下)の20°の画像の明瞭さ(DOI)を示す。本明細書中で用いられるとき、用語「画像の明瞭さ」は、“Standard Test Methods for Instrumental Measurements of Distinctness−of−Image Gloss of Coating Surfaces”(その内容がそれらの全体において参照により本明細書に組み込まれる)という名称のASTM手順D5767(ASTM 5767)の方法Aによって定義される。ASTM 5767の方法Aに従って、鏡面反射視角でおよび鏡面反射視角からわずかに離れた角度で防眩表面上で基材の反射率係数の測定を行う。これらの測定から得られた値を組み合わせて、DOI値を提供する。特に、DOIは、式
【0034】
【数3】
【0035】
(式中、Rosは、正反射方向から0.2°〜0.4°の相対反射強度の平均であり、Rsは、正反射方向の(正反射方向を中心としてその周りに+0.05°〜−0.05°の)相対反射強度の平均である)に従って計算される。入力光源角度が試料表面法線から+20°である場合(本開示全体にわたり同様である)、かつ試料に垂直な表面が0°とみなされる場合、正反射光Rsの測定は、約−19.95°〜−20.05°の範囲の平均として取られ、Rosは、約−20.2°〜−20.4°の範囲(または−19.6°〜−19.8°、もしくはこれらの2つの範囲の両方の平均)の平均反射強度として取られる。本明細書中で用いられるとき、DOI値は、本明細書において定義されるRos/Rsの目標比を規定すると直接解釈されるべきである。いくつかの実施形態において、防眩表面は、反射光出力の>95%が、任意の入力角度について正反射方向を中心としてその周りに+/−10°の円錐内に含まれるような反射散乱プロファイルを有する。
【0036】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載される防眩表面は、約20%以下の透過ヘイズ値を有する。いくつかの実施形態において、透明なガラス板の透過ヘイズは、約18%以下、約16%以下、約15%以下、約14%以下、約12%以下、約10%以下、または約8%以下である。本明細書中で用いられるとき、用語「透過ヘイズ」および「ヘイズ」は、ASTM手順D1003に従って約±2.5°の角円錐の外側に散乱される透過光のパーセンテージを指す。光学平滑面について、透過ヘイズは略ゼロに近い。
【0037】
防眩表面を形成するために使用される基材は無機系であってもよく、非晶質基材、結晶基材またはそれらの組合せを含んでもよい。1つまたは複数の実施形態において、基材は非晶質であってもよく、強化または非強化であってもよいガラスを含有してもよい。適したガラスの例には、ソーダ石灰ガラス、アルカリアルミノシリケートガラス、アルカリ含有ホウケイ酸ガラスおよびアルカリアルミノホウケイ酸ガラスが含まれる。1つまたは複数の代替実施形態において、基材はガラスセラミック基材(強化または非強化であってもよい)などの結晶基材を含んでもよく、またはサファイアなどの単一結晶構造物を含んでもよい。1つまたは複数の特定の実施形態において、基材は、非晶質ベース(例えば、ガラス)および結晶性クラッディング(例えば、サファイア層、多結晶質アルミナ層および/またはスピネル(MgAl)層)を含有する。
【0038】
基材は略平面またはシート状であってもよいが、他の実施形態は曲線状または他の方法で造形または成形された基材を利用してもよい。基材は、実質的に光学的に透明であり、光の散乱がなくてもよい。このような実施形態において、基材は、光学波長域にわたって約85%以上、約86%以上、約87%以上、約88%以上、約89%以上、約90%以上、約91%以上または約92%以上の平均光透過率を示してもよい。1つまたは複数の代替実施形態において、基材は、不透明色であるかまたは光学波長域にわたって約10%未満、約9%未満、約8%未満、約7%未満、約6%未満、約5%未満、約4%未満、約3%未満、約2%未満、約1%未満、または約0%未満の平均光透過率を示してもよい。基材は、任意選択により、白、黒、赤、青、緑、黄、橙色等の色を示してもよい。
【0039】
さらにまたは代わりに、基材の物理的厚さは、美的および/または機能上の理由のためにその寸法の1つ以上に沿って変化してもよい。例えば、基材の端縁は、基材100のより中央寄りの領域と比べて厚めであってもよい。また、基材の長さ、幅および物理的厚さの寸法は、適用または用途に従って変化してもよい。
【0040】
基材は、様々な異なる方法を使用して提供されてもよい。例えば、基材がガラスなどの非晶質基材を含む場合、様々な形成方法には、フロートガラス法ならびに例えばフュージョンドローおよびスロットドローなどのダウンドロー法が含まれ得る。
【0041】
基材は、形成されると、強化されて強化基材を形成してもよい。本明細書中で用いられるとき、用語「強化基材」は、例えば基材の表面でより大きいイオンをより小さいイオンとイオン交換することによって化学的に強化された基材を指してもよい。しかしながら、当技術分野で公知の他の強化方法、例えば熱焼戻し、または圧縮応力を生じる基材の部分と中央張力領域との間の熱膨脹率の不整合を利用して強化基材を形成してもよい。
【0042】
基材がイオン交換プロセスによって化学的に強化される場合、基材の表層中のイオンは、同じ原子価または酸化数を有するさらに大きいイオンによって置換または交換される。イオン交換プロセスは、典型的に、基材中の小さめのイオンと交換されるさらに大きいイオンを保有する溶融塩槽中に基材を浸漬することによって実施される。限定されないが、槽組成物および温度、浸漬時間、塩槽(または槽)中への基材の浸漬回数、複数塩槽の使用の他、アニーリング、洗浄等の付加的な工程などのイオン交換プロセスのためのパラメーターは、一般的に、基材の組成および強化操作から得られる基材の所望の圧縮応力(CS)、圧縮応力層深さ(または層深さ)によって決定されることは当業者によって理解されるであろう。例として、アルカリ金属含有ガラス基材のイオン交換は、限定されないが、さらに大きいアルカリ金属イオンの硝酸塩、硫酸塩、および塩化物などの塩を含有する少なくとも1つの溶融槽内に浸漬することによって達成されてもよい。溶融塩槽の温度は、典型的に、約380℃〜約450℃までの範囲であり、浸漬時間は約15分〜約40時間までの範囲である。しかしながら、上述の温度および浸漬時間と異なる温度および浸漬時間も使用され得る。
【0043】
さらに、ガラス基材を複数のイオン交換槽中に浸漬し、浸漬中に洗浄および/またはアニーリング工程があるイオン交換プロセスの非限定的な例は、異なる濃度の塩槽中に複数の連続したイオン交換処理として浸漬することによってガラス基材が強化される、2008年7月11日に出願された米国仮特許出願第61/079,995号明細書からの優先権を主張する“Glass with Compressive Surface for Consumer Applications”という名称の、Douglas C.Allanらによって2009年7月10日に出願された米国特許出願第12/500,650号明細書、および流出イオンで希釈されている第1の槽内でイオン交換する工程と、その後、第1の槽よりも小さい濃度の流出イオンを有する第2の槽内に浸漬する工程とによってガラス基材が強化される、2008年7月29日に出願された米国仮特許出願第61/084,398号明細書からの優先権を主張する“Dual Stage Ion Exchange for Chemical Strengthening of Glass”という名称の、Christopher M.Leeらによって2012年11月20日に発行された米国特許第8,312,739号明細書に記載されている。米国特許出願第12/500,650号明細書および米国特許第8,312,739号明細書の内容は、それらの全体において参照により本明細書に組み込まれる。
【0044】
イオン交換によって達成される化学的強化の程度は、中央張力(CT)、表面CS、および層深さ(DOL)のパラメーターに基づいて定量化されてもよい。表面CSは、表面付近でまたは様々な深さで強化ガラス内で測定されてもよい。最大CS値は、強化基材の表面で測定されたCS(CS)を含んでもよい。CTは、ガラス基材内の圧縮応力層に隣接した内部領域について計算され、それはCS、物理的厚さt、およびDOLから計算され得る。CSおよびDOLは、当技術分野で公知の手段を使用して測定される。このような手段には、限定されないが、(株)ルケオ(日本、東京)によって製造された、FSM−6000などの市販の計器を使用する表面応力の測定(FSM)等が含まれ、CSおよびDOLを測定する方法は、“Standard Specification for Chemically Strengthened Flat Glass”という名称のASTM 1422C−99および“Standard Test Method for Non−Destructive Photoelastic Measurement of Edge and Surface Stresses in Annealed,Heat−Strengthened,and Fully−Tempered Flat Glass”という名称のASTM 1279.19779(その内容がそれらの全体において参照により本明細書に組み込まれる)に記載されている。表面応力の測定は、ガラス基材の複屈折に関連している応力光係数(SOC)の正確な測定に依拠する。次に、SOCは、繊維および4点曲げ方法(両方とも“Standard Test Method for Measurement of Glass Stress−Optical Coefficient”という名称のASTM標準C770−98(2008)に記載されている)(その内容がそれらの全体において参照により本明細書に組み込まれる)、およびバルクシリンダー方法などの当技術分野で公知のそれらの方法によって測定される。CSとCTとの間の関係は、式(1):
CT=(CS・DOL)/(t−2DOL) (1)
(式中、tは、ガラス物品の物理的厚さ(μm)である)によって与えられる。本開示の様々な節において、CTおよびCSはここでメガパスカル(MPa)単位で表わされ、物理的厚さtはマイクロメートル(μm)またはミリメートル(mm)単位のいずれかで表わされ、DOLはマイクロメートル(μm)単位で表わされる。
【0045】
一実施形態において、強化基材は、250MPa以上、300MPa以上、例えば、400MPa以上、450MPa以上、500MPa以上、550MPa以上、600MPa以上、650MPa以上、700MPa以上、750MPa以上または800MPa以上の表面CSを有することができる。強化基材は、10μm以上、15μm以上、20μm以上(例えば、25μm、30μm、35μm、40μm、45μm、50μm以上)のDOLおよび/または10MPa以上、20MPa以上、30MPa以上、40MPa以上(例えば、42MPa、45MPa、または50MPa以上)であるが、100Mpa未満(例えば、95、90、85、80、75、70、65、60、55MPa以下)であるCTを有してもよい。1つまたは複数の特定の実施形態において、強化基材は、以下の1つまたは複数を有する:500MPa超の表面CS、15μm超のDOL、および18MPa超のCT。
【0046】
基材において使用されてもよい実施例ガラスは、アルカリアルミノシリケートガラス組成物またはアルカリアルミノホウケイ酸ガラス組成物を含んでもよいが、他のガラス組成物が考えられる。このようなガラス組成物は、イオン交換プロセスによって化学的に強化され得る。一実施例のガラス組成物は、SiO、BおよびNaOを含み、(SiO+B)≧66モル%、およびNaO≧9モル%である。実施形態において、ガラス組成物は、少なくとも6重量%の酸化アルミニウムを含有する。さらなる実施形態において、基材は、アルカリ土類酸化物の含有量が少なくとも5重量%であるように、1つまたは複数のアルカリ土類酸化物を有するガラス組成物を含有する。適したガラス組成物は、いくつかの実施形態において、KO、MgO、およびCaOの少なくとも1つをさらに含む。特定の実施形態において、基材において使用されるガラス組成物は、61〜75モル%のSiO2;7〜15モル%のAl;0〜12モル%のB;9〜21モル%のNaO;0〜4モル%のKO;0〜7モル%のMgO;および0〜3モル%のCaOを含むことができる。
【0047】
基材のために適したさらなる実施例ガラス組成物は、60〜70モル%のSiO;6〜14モル%のAl;0〜15モル%のB;0〜15モル%のLiO;0〜20モル%のNaO;0〜10モル%のKO;0〜8モル%のMgO;0〜10モル%のCaO;0〜5モル%のZrO;0〜1モル%のSnO;0〜1モル%のCeO;50ppm未満のAs;および50ppm未満のSbを含み、12モル%≦(LiO+NaO+KO)≦20モル%および0モル%≦(MgO+CaO)≦10モル%である。
【0048】
基材のために適したさらに別の実施例ガラス組成物は、63.5〜66.5モル%のSiO;8〜12モル%のAl;0〜3モル%のB;0〜5モル%のLiO;8〜18モル%のNaO;0〜5モル%のKO;1〜7モル%のMgO;0〜2.5モル%のCaO;0〜3モル%のZrO;0.05〜0.25モル%のSnO;0.05〜0.5モル%のCeO;50ppm未満のAs;および50ppm未満のSbを含み、14モル%≦(LiO+NaO+KO)≦18モル%および2モル%≦(MgO+CaO)≦7モル%である。
【0049】
特定の実施形態において、基材のために適したアルカリアルミノシリケートガラス組成物は、アルミナ、少なくとも1つのアルカリ金属、およびいくつかの実施形態において50モル%超のSiO、他の実施形態において少なくとも58モル%のSiO、およびさらに他の実施形態において少なくとも60モル%のSiOを含み、
【0050】
であり、比において成分はモル%で表わされ、調節剤はアルカリ金属酸化物である。このガラス組成物は、特定の実施形態において、58〜72モル%のSiO;9〜17モル%のAl;2〜12モル%のB;8〜16モル%のNaO;および0〜4モル%のKOを含み、
【0051】
である。
【0052】
さらに別の実施形態において、基材は、64〜68モル%のSiO;12〜16モル%のNaO;8〜12モル%のAl;0〜3モル%のB;2〜5モル%のKO;4〜6モル%のMgO;および0〜5モル%のCaO(66モル%≦SiO+B+CaO≦69モル%;NaO+KO+B+MgO+CaO+SrO>10モル%;5モル%≦MgO+CaO+SrO≦8モル%;(NaO+B)−Al≦2モル%;2モル%≦NaO−Al≦6モル%;および4モル%≦(NaO+KO)−Al≦10モル%である)を含むアルカリアルミノシリケートガラス組成物を含有してもよい。
【0053】
代替実施形態において、基材は、2モル%以上のAlおよび/もしくはZrO、または4モル%以上のAlおよび/またはZrOを含むアルカリアルミノシリケートガラス組成物を含んでもよい。
【0054】
基材が結晶基材を含む場合、基材は、単結晶(Alを含み得る)を含有してもよい。このような単結晶基材はサファイアと称される。結晶基材のための他の適した材料には、多結晶質アルミナ層および/またはスピネル(MgAl)が含まれる。
【0055】
任意選択により、結晶基材は、強化または非強化であってもよいガラスセラミック基材を含んでもよい。適したガラスセラミックの例には、LiO−Al−SiO系(すなわちLAS系)ガラスセラミック、MgO−Al−SiO系(すなわちMAS系)ガラスセラミック、ならびに/またはβ−石英固溶体、β−ユウ輝石ss、コーディエライト、および二ケイ酸リチウムなどの優勢な結晶相を含有するガラスセラミックが含まれてもよい。ガラスセラミック基材は、本明細書に開示される化学的強化方法を使用して強化されてもよい。1つまたは複数の実施形態において、MAS系ガラスセラミック基材がLiSO溶融塩中で強化されてもよく、それによって2LiとMg2+との交換が生じ得る。
【0056】
1つまたは複数の実施形態による基材は、約100μm〜約5mmの範囲の物理的厚さを有することができる。実施例の基材の物理的厚さは約100μm〜約500μmの範囲である(例えば、100、200、300、400または500μm)。さらなる実施例の基材の物理的厚さは、約500μm〜約1000μm(例えば、500、600、700、800、900または1000μm)の範囲である。基材は、約1mm超の物理的厚さ(例えば、約2、3、4、または5mm)を有してもよい。1つまたは複数の特定の実施形態において、基材は、2mm以下または1mm未満の物理的厚さを有してもよい。基材を酸で磨くかまたは他の方法で処理して、表面傷の効果を除くかまたは低減してもよい。
【0057】
このような防眩基材を含み得る物品の例には、ラップトップ、携帯電話、スマートフォン、タブレット、電子ブックリーダー、POSデバイス、棚卸装置、ナビゲーションシステム、自動車ダッシュボード、自動車コンソール、電気器具(例えば、ストーブ、レンジ、皿洗い機、および冷蔵庫)などの電子デバイスのディスプレイが含まれる。また、本明細書に記載される防眩基材は、装飾目的のためにこのような電子デバイスの筐体において使用されてもよい。また、防眩基材は、調理台、窓、エレベーター等の建築物品に組み込まれてもよい。
【0058】
本開示の第2の態様は、本明細書に記載される防眩基材を形成する方法に関する。方法は、表面を有する本明細書に記載される基材を提供する工程と、表面の部分をエッチして、エッチされた表面を提供または形成する工程とを含む。方法は、エッチされた表面の部分を除去して、本明細書に記載されるような、複数の特徴を含有するテクスチャー化表面を有する防眩表面を提供する工程を含む。
【0059】
1つまたは複数の実施形態において、基材をエッチングのために調製してもよい。いくつかの実施形態において、基材を清浄化して汚染物を除去し、次に、超音波撹拌されるDI水の槽中で洗浄する。清浄化溶液は、洗剤および水を含有してもよい。清浄化および洗浄後、テクスチャー化される表面120をエッチする前に、基材は、処理されていない基材の表面(例えば、図1の表面114、116および/または118)上に耐酸性フィルムが積層されてもよい。耐酸性フィルムを有する基材をフッ化水素酸および塩酸の希釈槽中に短時間(例えば、5秒または10秒)にわたり浸漬し、次いで再びDI水中で短時間にわたり洗浄してもよい。その後、表面120をエッチング剤に暴露して、エッチされた表面を形成し、次に、エッチされた表面の部分を除去してもよい。基材をエッチング剤を保有するタンクまたは槽中に浸してもよい。エッチング剤への表面120の暴露時間は約5分未満であってもよい。いくつかの場合、エッチング剤への基材の暴露時間は、約30秒〜約240秒、約30秒〜約220秒、約30秒〜約200秒、約30秒〜約180秒、約30秒〜約160秒、約30秒〜約140秒、約30秒〜約120秒、約30秒〜約100秒、約30秒〜約80秒、約30秒〜約60秒、約60秒〜約240秒、約80秒〜約240秒、約100秒〜約240秒、約120秒〜約240秒、約140秒〜約240秒、約160秒〜約240秒、または約180秒〜約240秒の範囲である。いくつかの場合、エッチング工程の時間を変えて十分な沈殿物を表面120上に形成してもよく、それはエッチされた表面の厚さの部分を後で除去するためのマスクとして機能する。
【0060】
いくつかの実施形態において、エッチされた表面(沈殿物を含有する)が形成された後、(例えば、基材をDI水タンク中に約20秒以下または約10秒間浸漬することによって)基材を洗浄してエッチング剤を除去してもよい。その後、エッチされた表面(または耐酸性フィルムがその上に配置された基材全体)を酸性溶液中に約15分未満にわたり暴露することにより、エッチされた表面の部分を除去する。例えば、いくつかの場合、エッチされた表面の酸性溶液への暴露時間は、約2分〜約15分、約4分〜約15分、約5分〜約15分、約6分〜約15分、約8分〜約15分、約10分〜約15分、約2分〜約14分、約2分〜約12分、約2分〜約10分、約2分〜約8分、約2分〜約6分、約2分〜約5分、または約5分〜約10分であってもよい。
【0061】
テクスチャー化表面または防眩表面を有する得られた基材をDI水中で洗浄してもよい。該当する場合、耐酸性フィルムを除去してもよく、基材を乾燥させてもよい。
【0062】
1つまたは複数の実施形態において、エッチング剤は可溶性金属イオン塩を含む。いくつかの実施形態の金属イオン塩は水溶性である。金属イオンは遷移金属イオン、非遷移金属イオンまたはそれらの組合せを含有してもよい。適した可溶性金属イオン塩の例には、CuCl、Cu(NO、CuSO、FeCl、Fe(SO、Fe(NO、CoCl、CoSO、Co(NO、NiCl、NiSO、Ni(NO、ZnCl、ZnSO、Zn(NO、CaCl、CaSO、Ca(NO、MgCl、MgSO、Mg(NOおよびNHClが含まれる。このような可溶性金属イオン塩を組み合わせてまたは単独で使用してもよい。換言すれば、エッチング剤は1つのタイプのみの可溶性金属イオン塩または可溶性金属イオン塩の組合せを含有してもよい。
【0063】
1つまたは複数の実施形態において、可溶性金属イオン塩は、エッチング剤に約30重量%までの量で存在している。いくつかの実施形態において、可溶性金属イオン塩は、エッチング剤中に約1重量%〜約30重量%、約1重量%〜約28重量%、約1重量%〜約25重量%、約5重量%〜約30重量%、約10重量%〜約30重量%、または約15重量%〜約30重量%の範囲の量で存在している。
【0064】
いくつかの実施形態において、エッチング剤は、NHF、NHHF、他の公知のフッ化物含有酸を含み得るフッ化物含有酸およびそれらの組合せを含有する。フッ化物含有酸は、約1重量%〜約50重量%、約5重量%〜約50重量%、約10重量%〜約50重量%、約20重量%〜約50重量%、約1重量%〜約45重量%、約1重量%〜約40重量%、約10重量%〜約40重量%、または約20重量%〜約40重量%の範囲の量で存在していてもよい。いくつかの場合、エッチング剤は、NHFを約10重量%〜約20重量%の範囲の量で、およびNHHFを約10重量%〜約20重量%の範囲の量で含有してもよい。
【0065】
いくつかの実施形態において、エッチング剤は無機塩を含有してもよい。このような無機塩の例には、BaSO、CaF、MgF、カオリンおよび他の公知の無機塩が含まれる。エッチング剤は1つの無機塩のみまたは無機塩の組合せを含有してもよい。いくつかの実施形態において、無機塩は、約1重量%〜約30重量%、約5重量%〜約30重量%、約10重量%〜約30重量%、約1重量%〜約25重量%、約1重量%〜約20重量%、または約5重量%〜約20重量%の範囲の量で存在していてもよい。
【0066】
いくつかの実施形態のエッチング剤は、可溶性澱粉または水溶性澱粉を含有してもよい。適した可溶性澱粉の例には、多糖類、キチン、セルロースおよび他のこのような澱粉が含まれる。いくつかの実施形態において、エッチング剤は1つのタイプのみの可溶性澱粉を含有するかまたは可溶性澱粉の組合せを含有してもよい。可溶性澱粉は、エッチング剤中に約0.1重量%〜約20重量%、約1重量%〜約20重量%、約5重量%〜約20重量%、0.1重量%〜約15重量%、約0.1重量%〜約10重量%または約1重量%〜約10重量%の範囲の量で存在していてもよい。
【0067】
1つまたは複数の実施形態のエッチング剤は、可溶性ポリマー界面活性剤または水溶性ポリマー界面活性剤を含有してもよい。適した界面活性剤の例には、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸、ポリ(スチレンスルホネート)および他の公知のポリマー界面活性剤が含まれる。いくつかの実施形態において、エッチング剤は1つのタイプのみのポリマー界面活性剤を含有するかまたはポリマー界面活性剤の組合せを含有してもよい。ポリマー界面活性剤は、エッチング剤中に約0重量%〜約10重量%、約0重量%〜約8重量%、約0重量%〜約5重量%、約0重量%〜約4重量%、約0重量%〜約2重量%、約0.1重量%〜約10重量%、約1重量%〜約10重量%、約2重量%〜約10重量%、約4重量%〜約10重量%、または約0.1重量%〜約5重量%の範囲の量で存在していてもよい。
【0068】
エッチング剤は、任意選択により、KNOなどのカリウム塩を含有してもよい。カリウム塩は、エッチング剤中に約0重量%〜約10重量%、約0.1重量%〜約10重量%、約1重量%〜約10重量%、約0重量%〜約5重量%、または約0.1重量%〜約5重量%の範囲の量で存在していてもよい。
【0069】
1つまたは複数の実施形態において、方法は、可溶性金属イオン塩、フッ化物含有酸、無機塩、可溶性澱粉、可溶性ポリマー界面活性剤および任意選択のカリウム塩のうちの任意の1つまたは複数を一緒に組み合わせることによってエッチング剤を形成する工程を含んでもよい。エッチング剤のこのような成分は、粉末形態で提供されてもよい。約10重量%〜約40重量%の範囲の量のDI水を手作業で攪拌しながら組合せたものに添加してもよい。その後、フッ化水素酸溶液(20%濃度)を、スラリーが形成されるまで手作業で攪拌しながらゆっくりと添加する。総量は、約5重量%〜約20重量%の範囲であってもよい。スラリーは、2時間または3時間まで機械撹拌機を使用してさらに撹拌され、基材の表面をエッチするために使用する前に24時間までにわたり周囲条件で保持されてもよい。エッチング剤は室温(例えば、24℃)で調製されてもよい。
【0070】
理論によって縛られずに、エッチング剤中の金属イオンは基材の表面に直ちに付着し、基材の表面上の核形成および沈殿物の成長に影響を与える。エッチング剤は、均一なテクスチャー化表面を提供する独特のマスクをこのように形成すると考えられる。理論によって縛られずに、エッチング剤の金属イオンは、基材の表面上の沈殿物の生長速度を低減すると考えられる。
【0071】
エッチされた表面の部分を除去するために利用される酸性溶液は、フッ化水素酸(HF)、塩酸(HCl)、他の公知の酸およびそれらの組合せを含有してもよい。いくつかの実施形態において、酸性溶液はHFおよびHClの両方を含有してもよい。1つまたは複数の実施形態において、酸性溶液は、約5重量%〜約15重量%、または約10重量%〜約15重量%、または約12重量%の範囲のHFの濃度を有してもよい。いくつかの実施形態において、酸性溶液は、約10重量%〜約20重量%、約12重量%〜約18重量%、または約15重量%の範囲のHClの濃度を有してもよい。いくつかの場合、溶液は、水を残部で含有してもよい。一実施例において、酸性溶液は約12重量%のHF、約15重量%のHClおよび約73重量%の水を含有する。
【0072】
1つまたは複数の実施形態において、酸性溶液と組合せた本明細書に記載されるエッチング剤は、ここに与えられる範囲内でエッチング剤の成分の濃度を変化させ、および/またはエッチング剤への暴露時間を変えることによって調整され得る、望ましいPPDr、透過ヘイズ、光沢およびDOI値を示すテクスチャー化表面を有する基材を提供することができる。例えば、1つまたは複数の実施形態による得られた基材は、約20%の透過ヘイズ、約5%以下のPPDr値、および90以下のDOI値を示す場合がある。
【0073】
1つまたは複数の実施形態において、方法は、コーティングをテクスチャー化表面上に適用する工程を含んでもよい。いくつかの場合、防眩表面からの反射は、反射防止コーティングを表面上に適用することによって適用されてもよい。他の実施形態において、耐引っ掻き性は、耐引っ掻き性コーティングを表面上に適用することによってテクスチャー化表面に与えられてもよい。
【実施例】
【0074】
様々な実施形態が以下の実施例によってさらに明らかにされる。
【0075】
実施例1〜29
実施例1〜29のそれぞれは、表1に示されるような公称組成を有するA〜Dから選択されるガラス基材を使用する。以下の組成:約16重量%のNHF、約8重量%のNHHF、約8重量%のKNO、約1重量%のポリアクリルアミド、約14重量%のHF酸(40%濃度)および約18重量%のCuCl、および約35重量%のDI水を有するエッチング剤にそれぞれのガラス基材の1つの主面を暴露した。主面を約1〜3分間にわたりエッチング剤に暴露し、次に洗浄し、エッチされた表面を後に残した。エッチされた表面の部分を除去するため、エッチされた表面を、HFおよびHCl酸を含有する酸性溶液に約5分〜約20分にわたり暴露した。
【0076】
【表1】
【0077】
図2〜5は、それぞれ、実施例1、6、12および21の光学顕微鏡画像を示す。図2〜5のそれぞれのスケールは、20マイクロメートル(μm)を示す。
【0078】
表2には、実施例1〜19について、測定されたRa(マイクロメートル)、0°および90°で取られたPPDr測定値およびそれらの平均、透過ヘイズ、DOI、ならびに60°での光沢が記載されている。表3には、実施例20〜29について、測定されたPPDr(平均)、透過ヘイズ、DOI、60°、85°および20°での光沢、ならびにRMSが記載されている。
【0079】
【表2】
【0080】
【表3】
【0081】
実施例30〜33
実施例30〜32および比較例33を調製して、スパークル(またはPPDr値)とテクスチャー化表面の均一性との間の相関関係を記述した。実施例30〜32を形成するため、基材Bの公称組成を有する基材をエッチング剤に1〜3分の暴露時間にわたり暴露した。エッチング剤は、約11.22重量%のNHF、約8.44重量%のNHHF、約4.94重量%のNHCl、約9.07重量%のKNO、約5.39重量%のBaSO、約15.35重量%のHF酸(40%濃度)、約4.49重量%の澱粉、および41.1重量%のDI水の組成を有した。次に、エッチされた表面をHFおよびHCl酸の酸性溶液に5〜20分の暴露時間にわたり暴露した。比較例33は市販の防眩ガラスを使用した。
【0082】
実施例30〜32および比較例33のそれぞれのPPDr値を測定し(表4に示される)、PPDrを定量するために使用される画像を画像処理ソフトウェアを使用して分析し、特徴の表面積および特徴の表面積分布を定量した。
【0083】
【表4】
【0084】
図6は、実施例30の500倍の倍率の透過光型光学顕微鏡画像を示す。図7は、実施例31の200倍の倍率の透過光型光学顕微鏡画像を示す。図8は、実施例32の200倍の倍率の透過光型光学顕微鏡画像を示す。図9は、比較例33の200倍の倍率の透過光型光学顕微鏡画像を示す。
【0085】
画像処理および計算により、実施例30〜32および比較例33のそれぞれの特徴表面積および特徴の表面積分布の統計的分析が行われ、表5および図10および11に示される。図10および11は表5のデータをグラフで示し、実施例30〜32および比較例33の特徴面積分布を示す。図10および11に示されるように、図30は狭い特徴の表面積分布を有し、したがって、低いPPDrを示す。比較例33は最も広い特徴の表面積分布を有し、最も高いPPDrを示す。
【0086】
【表5】
【0087】
実施例30〜32および比較例33の特徴の表面積分布のそれぞれを、それぞれの実施例の特徴面積の算術平均によって正規化し、正規化面積をもたらした。正規化面積分布が表6に示され、図12〜13に示された相当する分布プロットに表わされる。図12および13に示されるように、PPDrは、特徴の正規化面積分布と強い相関関係がある。
【0088】
【表6】
【0089】
実施例30の狭い分布は、その実施例の低めのPPDrと相関関係があり得るが、比較例33の特徴面積の広めの分布は、その実施例の高めのPPDrと相関関係があり得る。具体的には、正規化面積0.5〜1.0および1.0〜1.5のパーセンテージおよび相関されたPPDrが表7に示される。
【0090】
【表7】
【0091】
表6および7および図12〜13に示されるように、特徴の表面積分布が狭くなるとPPDrが低くなった。他方、より多数の特徴が正規化面積範囲0〜0.5の範囲内に含まれるとき、PPDrが増加した。より大きい表面積を有する特徴のパーセンテージが増加するとき、PPDrも増加する。したがって、データは、PPDrが特徴の表面積分布と相関関係がある(すなわち、同様の表面積を有する特徴があるより均一なテクスチャー化表面は、より低いPPDrをもたらす)ことを示唆する。
【0092】
本発明の趣旨または範囲から逸脱せずに様々な改良形態および変型形態がなされ得ることは当業者に明白であろう。
【0093】
以下、本発明の好ましい実施形態を項分け記載する。
【0094】
実施形態1
防眩物品において、
表面を有する基材と、
前記表面上に配置される複数の特徴と
を含み、前記複数の特徴の約50%以上が約0.5〜約1.5の範囲の正規化面積を含み、および前記正規化面積が関係式(特徴の表面積/全ての特徴の平均表面積)として定義されることを特徴とする、防眩物品。
【0095】
実施形態2
前記特徴の約90%以上が約100マイクロメートル以下の表面積を有することを特徴とする、実施形態1に記載の防眩物品。
【0096】
実施形態3
前記複数の特徴の約18%以下が約400nm超の平均表面積を有することを特徴とする、実施形態1または2に記載の防眩物品。
【0097】
実施形態4
前記複数の特徴の約15%以下が約400nm超の平均表面積を有することを特徴とする、実施形態3に記載の防眩物品。
【0098】
実施形態5
約0.15マイクロメートル以下のRaを示すことを特徴とする、実施形態1〜4のいずれか一項に記載の防眩物品。
【0099】
実施形態6
約5%以下のPPDrを示すことを特徴とする、実施形態1〜5のいずれか一項に記載の防眩物品。
【0100】
実施形態7
約20%未満の透過ヘイズを示し、および前記基材表面が約90%未満のDOIを示すことを特徴とする、実施形態6に記載の防眩物品。
【0101】
実施形態8
前記基材表面が60°において約87%以下の光沢を示すことを特徴とする、実施形態6に記載の防眩物品。
【0102】
実施形態9
防眩表面を有する基材を形成する方法において、
水溶性金属イオン塩を含むエッチング剤で基材の第1の表面の部分をエッチして、エッチされた表面を提供する工程と、
前記エッチされた表面の部分を除去して前記防眩表面を提供する工程と
を含み、
前記防眩表面が複数の特徴を含み、
前記複数の特徴の約50%以上が約0.5〜約1.5の範囲の正規化面積を含み、および前記正規化面積が関係式(特徴の表面積/全ての特徴の平均表面積)として定義されることを特徴とする、方法。
【0103】
実施形態10
前記水溶性金属イオン塩がCuCl、Cu(NO、CuSO、FeCl、Fe(SO、Fe(NO、CoCl、CoSO、Co(NO、NiCl、NiSO、Ni(NO、ZnCl、ZnSO、Zn(NO、CaCl、CaSO、Ca(NO、MgCl、MgSO、Mg(NOおよびNHClのうちの任意の1つまたは複数を含むことを特徴とする、実施形態9に記載の方法。
【0104】
実施形態11
前記エッチング剤がフッ化物含有酸と充填剤とを含むことを特徴とする、実施形態10に記載の方法。
【0105】
実施形態12
前記フッ化物含有酸がNHFおよびNHHFのうちの任意の1つまたは複数を含むことを特徴とする、実施形態11に記載の方法。
【0106】
実施形態13
前記充填剤が無機塩を含むことを特徴とする、実施形態11に記載の方法。
【0107】
実施形態14
前記無機塩がBaSO、CaF、MgFおよびカオリンのうちの任意の1つまたは複数を含むことを特徴とする、実施形態13に記載の方法。
【0108】
実施形態15
前記エッチング剤が可溶性澱粉を含むことを特徴とする、実施形態9〜14のいずれか一項に記載の方法。
【0109】
実施形態16
前記エッチング剤が可溶性ポリマー界面活性剤をさらに含むことを特徴とする、実施形態9〜15のいずれか一項に記載の方法。
【0110】
実施形態17
前記可溶性ポリマー界面活性剤がポリアクリルアミド、ポリアクリル酸、およびポリ(スチレンスルホネート)のうちの任意の1つまたは複数を含むことを特徴とする、実施形態16に記載の方法。
【0111】
実施形態18
前記エッチング剤がKNOをさらに含むことを特徴とする、実施形態9〜17のいずれか一項に記載の方法。
【0112】
実施形態19
前記第1の表面のエッチング前に耐酸性フィルムを前記基材の第2の表面上に形成する工程をさらに含むことを特徴とする、実施形態9〜18のいずれか一項に記載の方法。
【0113】
実施形態20
前記基材の前記第1の表面の部分をエッチする工程が、前記第1の表面を前記エッチング剤と約5分未満にわたり接触させる工程を含むことを特徴とする、実施形態9〜19のいずれか一項に記載の方法。
【0114】
実施形態21
前記エッチされた表面の部分を除去する工程が、前記エッチされた表面を酸性溶液と15分未満にわたり接触させる工程を含むことを特徴とする、実施形態20に記載の方法。
【0115】
実施形態22
前記酸性溶液がHFおよびHClのうちの任意の1つまたは複数を含むことを特徴とする、実施形態21に記載の方法。
【0116】
実施形態23
前記基材が約20%以下の透過ヘイズおよび約6以下のPPDのうちの任意の1つまたは複数を示すことを特徴とする、実施形態9〜22のいずれか一項に記載の方法。
【0117】
実施形態24
前記防眩表面が約90%以下のDOIおよび60°において約87%以下の光沢のうちの任意の1つまたは複数を示すことを特徴とする、実施形態9〜23のいずれか一項に記載の方法。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
【国際調査報告】