(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2017-538189(P2017-538189A)
(43)【公表日】2017年12月21日
(54)【発明の名称】圧電フィルム構造体およびセンサ並びにそれらを用いた表示アセンブリ
(51)【国際特許分類】
G06F 3/041 20060101AFI20171124BHJP
G06F 3/043 20060101ALI20171124BHJP
H01L 41/187 20060101ALI20171124BHJP
H01L 41/113 20060101ALI20171124BHJP
H01L 41/193 20060101ALI20171124BHJP
H01L 41/18 20060101ALI20171124BHJP
H01L 41/047 20060101ALI20171124BHJP
H01L 41/083 20060101ALI20171124BHJP
【FI】
G06F3/041 602
G06F3/041 495
G06F3/043
H01L41/187
H01L41/113
H01L41/193
H01L41/18
H01L41/047
H01L41/083
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】30
(21)【出願番号】特願2017-519827(P2017-519827)
(86)(22)【出願日】2015年10月14日
(85)【翻訳文提出日】2017年6月13日
(86)【国際出願番号】US2015055409
(87)【国際公開番号】WO2016061155
(87)【国際公開日】20160421
(31)【優先権主張番号】62/063,441
(32)【優先日】2014年10月14日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】62/185,892
(32)【優先日】2015年6月29日
(33)【優先権主張国】US
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】397068274
【氏名又は名称】コーニング インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100073184
【弁理士】
【氏名又は名称】柳田 征史
(74)【代理人】
【識別番号】100175042
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 秀明
(72)【発明者】
【氏名】アミン,ジェイミン
(72)【発明者】
【氏名】ハート,シャンドン ディー
(72)【発明者】
【氏名】コック,カール ウィリアム ザ サード
(72)【発明者】
【氏名】ミラー,ウィリアム ジェイムズ
(72)【発明者】
【氏名】ポールソン,チャールズ アンドリュー
(72)【発明者】
【氏名】ルセフ,ロスティスラフ ヴァチェフ
(57)【要約】
本開示は、圧電フィルム構造体およびセンサ、並びに、それらを用いた表示アセンブリに関する。圧電フィルム構造体は透明であり、基板、前記基板の上または上方に置かれた底面光学層、前記底面光学層の上または上方に置かれた底面導電層、前記底面導電層の上または上方に置かれた少なくとも1つの圧電層、前記少なくとも1つの圧電層の上または上方に置かれた上面導電層、および、前記上面導電層の上または上方に置かれた上面光学層を含む。センサは、信号処理システムに電気的に接続された圧電フィルム構造体を含む。表示アセンブリは、表示装置に対し操作可能に配置されたセンサを含む。圧電フィルム構造体およびセンサは、接触イベントに関連した1つ以上の接触感知特性を決定するように構成しうる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
可視光に対し実質的に透明である圧電フィルム構造体であって、
透明基板、
前記基板上に置かれた少なくとも1つの透明圧電層、
前記少なくとも1つの透明圧電層上、または、前記透明基板と該少なくとも1つの透明圧電層との間に置かれた透明上面導電層、および、
前記透明上面導電層上に置かれると共に1つ以上の上面誘電体層を含む透明上面光学層
を備えたことを特徴とする圧電フィルム構造体。
【請求項2】
前記透明基板の上または上方に置かれると共に1つ以上の底面誘電体層を含む透明底面光学層、および、前記透明底面光学層の上または上方に置かれた透明底面導電層をさらに備え、
前記透明上面および底面導電層が、各々、ITO、AZOまたは金属薄膜のうち1つを含み、
前記透明圧電層が、CdS、CdSe、ZnS、ZnTe、ZnO、AlN、酸素が添加されたAlN、チタン酸バリウム(BaTiO3)、無鉛ニオブ酸塩、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)、チタン酸ジルコン酸ランタン鉛(PLZT)および無鉛チタン酸塩を含む圧電材料の群から選択された少なくとも1つの圧電材料を含むことを特徴とする請求項1に記載の圧電フィルム構造体。
【請求項3】
前記透明圧電層が、20原子パーセントまでの酸素を有する酸素が添加されたAlNからなり、
前記少なくとも1つの透明圧電層が、50nm≦TH50≦5000nmの範囲の厚さTH50を任意で有することを特徴とする請求項1または2に記載の圧電フィルム構造体。
【請求項4】
i)バーコビッチのナノインデンテーション法によって測定された8GPaより高い硬度と、
ii)2%未満の明所視平均反射率、および、a*またはb*のいずれかの座標において0から60度の光入射範囲で5未満の角度による色ずれとのうち、
少なくとも1つの物性を有することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の圧電フィルム構造体。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載の前記圧電フィルム構造体であって、前記透明上面光学層上の少なくとも1つのイベントに応じて出力信号を生成するものである該圧電フィルム構造体、並びに、
前記底面および上面透明導電層に電気的に接続され、前記少なくとも1つのイベントに関連した少なくとも1つの感知特性を決定するように前記出力信号を受信および処理する信号処理システムを備えた圧電センサシステムであって、
前記圧電センサシステムは、
前記少なくとも1つ感知特性が、接触感知特性を含み、前記少なくとも1つのイベントが、接触イベントを含み、前記少なくとも1つの接触感知特性が、各接触イベント毎に、接触イベントの接触位置、圧力量、力の大きさ、継続時間、サイズ、形状、加速度、音響感知、および、振動環境発電を含むこと、および、
前記少なくとも1つの感知特性が、各イベント毎に、超音波近接感知、超音波撮像、超音波洗浄、および、超音波データまたはエネルギー伝達を含むことのいずれかを含むことを特徴とする圧電センサシステム。
【請求項6】
表示アセンブリにおいて、
ユーザインタフェースを有する装置、および、
請求項5に記載の前記圧電センサシステムであって、該圧電センサシステムの前記圧電フィルム構造体を通して前記ユーザインタフェースが見えるように、前記装置に対して操作可能に置かれた該圧電センサシステム
を備え、
前記装置が、該ユーザインタフェースを通して光を発する表示システムであり、
前記光が、該ユーザインタフェースを画定すると共に、該圧電フィルム構造体を通って進むことを特徴とする表示アセンブリ。
【請求項7】
接触位置での接触イベントに応じる接触感知能力を有する圧電フィルムセンサであって、
第1および第2の電極を画定する第1および第2の透明導電層と、
前記第1および第2の電極間に挿入され、または、該第1および第2の電極に隣接して置かれた少なくとも1つの透明圧電層と
を備え、
該第1の電極、該第2の電極、および、該少なくとも1つの透明圧電層は、接触位置機能性を提供すると共に、前記接触イベントに応じて出力信号を生成するように構成され、
前記圧電フィルムセンサは、
第1の透明光学層が最上部表面を画定する状態で、前記圧電層の反対側に該第1および第2の電極にそれぞれ離接して置かれた前記第1の透明光学層および第2の透明光学層と、
前記第2の光学層に隣接して置かれた基板と、
前記底面および上面透明導電層に電気的に接続され、前記少なくとも1つの接触イベントに関連した少なくとも1つの接触感知特性を決定するように前記出力信号を処理する信号処理システムと
を備え、
前記少なくとも1つの接触感知特性が、前記接触イベントの接触位置、圧力量、力の大きさ、継続時間、サイズ、形状、加速度、音響感知、および、振動環境発電のうち1つ以上を含む、圧電フィルムセンサ。
【請求項8】
前記出力信号が圧電および焦電要素を含み、
前記信号処理システムが、前記圧電要素を前記焦電要素から実質的に分離するように該出力信号にフィルタリングを行うように配置された1つ以上のフィルタを含むことを特徴とする請求項7に記載の圧電フィルムセンサ。
【請求項9】
前記少なくとも1つの圧電層が、
多数の垂直方向に積層された圧電層、
多数の水平方向に積層された圧電層、および、
単一の連続した圧電層のいずれか1つ
を含み、
前記第1の電極が、第2の電極より前記最上部表面に近く、
該第1の電極が、前記信号処理システムへの電気接続部を介して個別に電気的に扱いうる、間隔をあけて電気的に絶縁された領域を有することを特徴とする請求項7または8に記載の圧電フィルムセンサ。
【請求項10】
ユーザインタフェースを有する装置、および、
請求項9に記載の前記圧電センサであって、前記圧電センサシステムの前記圧電フィルム構造体を通して前記ユーザインタフェースが見えるように、前記装置に対して操作可能に置かれた該圧電センサ
を備え、
前記装置が、その表面を通して光を発する表示システムであり、
前記光が、前記ユーザインタフェースを画定すると共に、前記圧電フィルム構造体を通って進むことを特徴とする表示アセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【0001】
本出願は、米国特許法第119条の下、2015年6月29日出願の米国仮特許出願第62/185,892号および2014年10月14日出願の米国仮特許出願第62/063,441号の優先権の利益を主張し、その内容は依拠され、全体として参照により本明細書に組み込まれる。
【技術分野】
【0002】
本開示は、フィルム構造体、特に圧電フィルム構造体およびセンサ、並びに、それらを用いた表示アセンブリに関する。
【背景技術】
【0003】
スマートフォンおよび同様の表示系装置は、典型的には、その装置の表示部または表示部カバーと一体化されたタッチセンサを有する。タッチセンサは、ユーザの接触位置(場合によっては、その動き)を感知することによって接触感知機能を提供し、この情報を1つ以上の装置機能を実施するのに用いる。
【0004】
さらに、表示系装置は、単なる接触位置感知に留まらず、更なる機能性も有することが望ましい。他の機能性は、圧力感知、音響感知、加速度感知および振動環境発電を含むものである。さらに、表示系装置は、多数の接触感知機能性を有することも望ましいかもしれない。
【0005】
接触感知特性の他に、表示系装置のカバーは、(例えば、高い光透過性、低い反射率、低い歪み、優れた色特性などの)高い光学性能特性も有しながら、耐久性、つまり、耐ひっかき性および耐破壊性を有する必要がある。
【発明の概要】
【0006】
本開示の一態様は、可視光に対し実質的に透明である圧電フィルム構造体であって、透明基板、透明基板の上または上方に置かれると共に1つ以上の底面誘電体層を含む透明底面光学層、透明底面光学層の上または上方に置かれた透明底面導電層、透明底面導電層の上または上方に置かれた少なくとも1つの透明圧電層、少なくとも1つの透明圧電層の上または上方に置かれた透明上面導電層、および、透明上面導電層の上または上方に置かれると共に1つ以上の上面誘電体層を含む透明上面光学層を備えたものである。
【0007】
本開示の他の態様は、上記のような圧電フィルム構造体であって、透明上面および底面導電層が、各々、ITO、AZOまたは金属薄膜のうち1つを含み、透明圧電層が、CdS、CdSe、ZnS、ZnTe、ZnO、AlN、酸素が添加されたAlN、チタン酸バリウム(BaTiO
3)、無鉛ニオブ酸塩、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)、チタン酸ジルコン酸ランタン鉛(PLZT)および無鉛チタン酸塩を含む圧電材料の群から選択された少なくとも1つの圧電材料を含むものである。
【0008】
本開示の他の態様は、上記のような圧電フィルム構造体であって、透明圧電層が、20原子パーセントまでの酸素を有する酸素が添加されたAlNからなるものである。
【0009】
本開示の他の態様は、上記のような圧電フィルム構造体であって、少なくとも1つの圧電層が、50nm≦TH
50≦5000nmの範囲の厚さTH
50を有するものである。
【0010】
本開示の他の態様は、上記のような圧電フィルム構造体であって、透明上面光学層が、SiN
x、SiO
xN
y、AlN
x、AlO
xN
y、SiAl
xO
yN
z、SiO
2、SiO
x、Al
2O
3、およびAlO
xを含む材料の群から選択された少なくとも1つの材料を含むものである。
【0011】
本開示の他の態様は、上記のような圧電フィルム構造体であって、
i)バーコビッチのナノインデンテーション法によって測定された8GPaより高い硬度と、
ii)2%未満の明所視平均反射率、および、a
*またはb
*のいずれかの座標において0から60度の光入射範囲で5未満の角度による色ずれとのうち少なくとも1つの物性を有するものである。
【0012】
本開示の他の態様は、上記のような圧電フィルム構造体を含む圧電センサシステムであって、透明上面光学層上の少なくとも1つの接触イベントに応じて出力信号を生成するものである圧電フィルム構造体、並びに、底面および上面透明導電層に電気的に接続され、少なくとも1つの接触イベントに関連した少なくとも1つの接触感知特性を決定するように出力信号を受信および処理する信号処理システムを備えた圧電センサシステムである。
【0013】
本開示の他の態様は、圧電センサシステムであって、少なくとも1つの接触感知特性が、各接触イベント毎に、接触イベントの接触位置、圧力量、力の大きさ、継続時間、サイズ、形状、加速度、音響感知、および、振動環境発電を含むものである。
【0014】
本開示の他の態様は、上記のような圧電センサシステムであって、透明底面導電層、少なくとも1つの透明圧電層、および、透明上面導電層のうち少なくとも1つが、少なくとも1つの接触イベントに接触位置感知を提供するようにパターン形成されているものである。
【0015】
本開示の他の態様は、ユーザインタフェースを有する装置、および、圧電センサシステムの圧電フィルム構造体を通してユーザインタフェースが見えるように、装置に対して操作可能に置かれた上記のような圧電センサシステムを備えた表示アセンブリである。
【0016】
本開示の他の態様は、上記のような表示アセンブリであって、装置が、光を発する表示システムであり、光が、ユーザインタフェースを画定すると共に、圧電フィルム構造体を通って進むものである。
【0017】
本開示の他の態様は、接触位置での接触イベントに応じる接触感知能力を有する圧電フィルムセンサである。圧電フィルムセンサは、第1および第2の電極を画定する第1および第2の透明導電層と、第1および第2の電極間に挿入された少なくとも1つの透明圧電層とを備え、第1の電極、第2の電極、および、少なくとも1つの透明圧電層は、接触位置機能性を提供すると共に、接触イベントに応じて出力信号を生成するように構成され、圧電フィルムセンサは、第1の透明光学層が最上部表面を画定する状態で、圧電層の反対側に第1および第2の電極にそれぞれ離接して置かれた第1および第2の透明光学層と、第2の光学層に隣接して置かれた基板と、底面および上面透明導電層に電気的に接続され、少なくとも1つの接触イベントに関連した少なくとも1つの接触感知特性を決定するように出力信号を処理するように構成された信号処理システムとを備えたものである。
【0018】
本開示の他の態様は、上記のような圧電フィルムセンサであって、少なくとも1つの接触感知特性が、接触イベントの接触位置、圧力量、力の大きさ、継続時間、サイズ、形状、加速度、音響感知、および、振動環境発電のうち1つ以上を含むものである。
【0019】
本開示の他の態様は、上記のような圧電フィルムセンサであって、透明圧電層が、20原子パーセントまでの酸素を有する酸素が添加されたAlNからなるものである。
【0020】
本開示の他の態様は、上記のような圧電フィルムセンサであって、出力信号が圧電および焦電要素を含み、信号処理システムが、圧電要素を焦電要素から分離するように出力信号にフィルタリングを行うように配置された1つ以上のフィルタを含むものである。
【0021】
本開示の他の態様は、上記のような圧電フィルムセンサであって、少なくとも1つの圧電層が、多数の垂直方向に積層された圧電層、または、多数の水平方向に積層された圧電層を含むものである。
【0022】
本開示の他の態様は、上記のような圧電フィルムセンサであって、少なくとも1つ圧電層が、単一の連続した圧電層によって構成され、第1の電極が、第2の電極より最上部表面に近く、第1の電極が、信号処理システムへの電気接続部を介して個別に電気的に扱いうる、間隔をあけて電気的に絶縁された領域を有するものである。
【0023】
本開示の他の態様は、ユーザインタフェースを有する装置、および、圧電センサシステムの圧電フィルム構造体を通してユーザインタフェースが見えるように、装置に対して操作可能に置かれた上記のような圧電センサシステムを備えた表示アセンブリである。
【0024】
本開示の他の態様は、上記のような表示アセンブリであって、装置が、表面を通して光を発する表示システムであり、光が、ユーザインタフェースを画定すると共に、圧電フィルム構造体を通って進むものである。
【0025】
本開示の他の態様は、ユーザインタフェースを有する装置に圧電接触感知を提供する方法である。その方法は、圧電フィルムセンサの透明圧電接触感知(PETS)圧電フィルム構造体を通してユーザインタフェースが見えるように、接触感知能力を有する圧電フィルムセンサを装置にインタフェース接続する工程と、ユーザインタフェースの位置に対応する接触位置で圧電フィルムセンサの表面に接触することによって、接触イベントを引き起こし、それによって、PETS圧電フィルム構造体に出力信号を生成させる工程と、接触イベントに関連した少なくとも1つの接触感知特性を決定するように出力信号を処理する工程とを含むものである。
【0026】
本開示の他の態様は、上記のような方法であって、少なくとも1つの接触感知特性が、接触位置、接触位置で加えられた圧力量、接触位置で加えられた力の大きさ、接触イベントの継続時間、接触位置のサイズ、接触位置の形状、加速度、音響感知、および、振動環境発電のうち1つ以上を含むものである。
【0027】
本開示の他の態様は、表示画像を形成するように可視光を生成する画像形成表示部、および、透明圧電フィルム構造体を通して表示画像が見えるように、画像形成表示部に対して操作可能に配置された透明圧電フィルム構造体を備え、圧電フィルム構造体が、20%より高い可視光の光透過率、バーコビッチのナノインデンテーション法によって測定された8GPaより高い硬度、および、a
*またはb
*のいずれかの座標において0から60度の光入射範囲で5未満の角度による色ずれを有する表示アセンブリである。
【0028】
更なる特徴および利点は、以下の発明を実施するための形態の記載に示されると共に、部分的には、当業者には、その記載から容易に明らかであるか、または、添付の図面に加えて、本明細書および請求項に記載された実施形態を実施することにより理解されるだろう。上記概略的な記載および次の発明を実施するための形態の記載の両方が、単に例示的なものであり、請求項の本質および特徴を理解するための概観または枠組みを提供することを意図したものであると理解されるべきである。
【0029】
添付の図面は、更なる理解のために含められたものであり、本明細書に組み込まれ、その部分を構成するものである。図面は、1つ以上の実施形態を示し、発明を実施するための形態の記載と共に、様々な実施形態の原理および動作を説明する役割を果たす。従って、添付の図面と併せて以下の発明を実施するための形態の記載から、より十分に理解されるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】本開示による例示的な圧電フィルム構造体の立面図である。
【
図3】
図1および2の例示的な圧電フィルム構造体を採用する例示的な圧電センサシステムの概略図である。
【
図4】
図3と同様であり、圧電層と底面光学層の間に結晶層を含む例示的な圧電センサシステムを示している。
【
図5】例示的な圧電接触感知(PETS)フィルム構造体の前面の立面分解図である。
【
図6】例示的な圧電接触感知(PETS)フィルム構造体の前面の立面分解図である。
【
図7】例示的な圧電接触感知(PETS)フィルム構造体の前面の立面分解図である。
【
図8】例示的な圧電接触感知(PETS)フィルム構造体の前面の立面分解図である。
【
図9】例示的な圧電接触感知(PETS)フィルム構造体の前面の立面分解図である。
【
図10】例示的な圧電接触感知(PETS)フィルム構造体の前面の立面分解図である。
【
図11】例示的な圧電接触感知(PETS)フィルム構造体の前面の立面分解図である。
【
図12】圧電層に対する底面および上面導電層の例示的な構成の立面分解図であって、上面および底面導電層が、列および行をそれぞれ画定する細片として形成されている。
【
図13A】圧電層の最上面に形成された例示的な上面導電層の上面図であって、上面導電層が、電気的に絶縁された複数の導電領域によって画定されており、導電領域は、領域間の隙間を通された配線を介して個別に扱いうるものである。
【
図13B】連続する底面および上面導電層に挟まれた圧電層の概略断面図であって、構造体によって形成された等価回路の活性化を示している。
【
図13C】
図13Bと同様であるが、上面導電層が
図13Aに示されたように形成された状態であって、構造体の等価回線の局所的な活性化を示している。
【
図14】多数の圧電層、底面および上面導電層、並びに、積層構成に配置された中間または中央の導電層を含む例示的な圧電構造体の断面図であって、隣接する圧電層の間に中央の導電層が挿入されている。
【
図15】誘電体の封止層によって電気的に絶縁された
図14の圧電構造体アレイの立面図である。
【
図16】所定の層の面内で交互の分極方向を有する多数の圧電層の積層構造を有する例示的な圧電構造体の立面図である。
【
図17】他の例示的な圧電構造体の立面図であって、圧電層が水平方向に積層された、つまり、横に並んだ構成を有する。
【
図18】
図17と同様であり、水平方向に積層された圧電構造体の例示的な構成を示しており、圧電層が同じ分極方向を有している。
【
図19A】表示システムに対して操作可能に配置された本開示の圧電センサシステムを含む例示的な表示アセンブリの立面分解図である。
【
図19B】表示システムに対して操作可能に配置された本開示の圧電センサシステムを含む例示的な表示アセンブリの立面図である。
【
図19C】
図19Bの例示的な表示アセンブリの断面図であって、接触位置における接触イベント、および、少なくとも1つの接触感知機能を提供するように信号処理システムによって処理される出力信号の生成を示している。
【発明を実施するための形態】
【0031】
ここで、添付の図面に例が示された本開示の様々な実施形態を詳細に記載する。全図面を通して、同じまたは類似した部分を参照するには、同じまたは類似した参照番号および記号を可能な限り用いる。図面は、必ずしも縮尺通りではなく、当業者であれば、開示の重要な態様を示すために図面がどこで簡略化されたかわかるだろう。
【0032】
以下のような請求項は、この発明を実施するための形態の記載に組み込まれ、その部分を構成するものである。
【0033】
いくつかの図面には、参照のためにデカルト座標が示されているが、方向または向きについて限定することを意図したものではない。「底面」および「上面」という用語は、参照のため、並びに、図示および記載を容易にするために用いられるものであり、位置または向きについて限定することを意図するものではない。
【0034】
以下の記載において、圧電フィルム構造体および、その中の様々な層に関して「透明」という用語は、可視波長範囲内の光(つまり、可視光)に言及するものであり、必ずしも完全な透明を意味するものではなく、いくらかの(および、実質的にも)光吸収、散乱などが存在する状態を含む。一例において、透明という用語は、人が圧電フィルム構造体を通してユーザインタフェースなどの物体を見るのを可能にするのに十分な光透過率を有することを意味する。尚、装置のユーザインタフェースが発光表示部によって構成されているような場合には、圧電構造体を通してユーザインタフェースを見るための圧電構造体の光透過率を、ユーザインタフェースが非発光の場合のものより低くしうる。限定するものではない様々な例において、本開示の圧電フィルム構造体は、明所視平均で、少なくとも20%、または、少なくとも50%、または、少なくとも80%、または、少なくとも90%、または、少なくとも95%、または、少なくとも98%の光透過率を有する。
【0035】
圧電フィルム構造体
図1は、本開示による例示的な圧電(PE)フィルム構造体の立面図であり、
図2は、
図1のPEフィルム構造体の断面図である。PEフィルム構造体10は、+z方向の順に、透明基板20、第1または底面透明光学層(「底面光学層」)30B、第1または底面透明導電層(「底面導電層」)40B、透明圧電層(「圧電層」)50、第2または上面透明導電層(「上面導電層」)40T、および、第2または上面透明光学層(「上面光学層」)30Tを含む。底面および上面光学層30B、30Tは、1つ以上の誘電体層32B、32Tをそれぞれ含みうる。1つ以上の底面および上面誘電体層32B、32Tは、反射防止機能を発揮するように構成された屈折率分布型または高屈折率/低屈折率の組合せ(積層)でありうる。
【0036】
一例において、上面光学層30Tは、接触面を画定する上面34を有する。一例において、上面光学層30Tは、例えば、“Low−color scratch−resistant articles with a multilayer optical film”という名称で2014年9月9日に出願され、参照により本明細書に組み込まれた米国特許出願第14/480,898号明細書に記載されたような性能に関する多数の物性を有する。性能に関する物性の例は、高い硬度、高い耐ひっかき性、高い耐摩耗性、高い光透過性、低い光反射率、および、優れた色特性(つまり、低い色ずれ)のうち1つ以上を含む。一例において、上面光学層30Tは、バーコビッチのナノインデンテーション法を用いて測定された8GPaより高いか、または10GPaより高いか、または12GPaより高いか、または14GPaより高い硬度を有する。
【0037】
一例において、上面光学層30Tは、多数の誘電体層32Tを含み、いくつかの誘電体層は、約1.6より高いか、または約1.7より高いか、または約1.8より高いか、または、約1.9より高い屈折率を有する高屈折率層である。さらに、様々な例において、高屈折率誘電体層32Tが、上面光学層30Tの厚さの35%より多くか、40%より多くか、50%より多くか、60%より多くか、または、70%より多くを構成する。一例において、高屈折率層32Tは、SiN
x、SiO
xN
y、AlN
x、AlO
xN
y、SiAl
xO
yN
z、または、約1.7から2.3の範囲の屈折率を有する他の材料のうち少なくとも1つから作られていてもよい。他の誘電体層32Tは、SiO
2、SiO
x、SiO
xN
y、Al
2O
3、AlO
x、AlO
xN
y、SiAlO
xN
y、または、約1.3から1.7の範囲の屈折率を有する他の材料などの低屈折率材料で作られていてもよい。
【0038】
様々な例において、上面光学層30Tは、可視光範囲の明所視平均で、80%より高いか、90%より高いか、95%より高いか、または、98%より高い全光透過率を有する。
【0039】
さらに、様々な例において、上面光学層30Tは、可視光範囲の明所視平均で、20%未満か、10%未満か、5%未満か、4%未満か、3%未満か、2%未満か、1%未満か、0.7%未満か、0.5%未満か、または、0.4%未満の反射率を有する。いくつかの実施形態において、(組み合わされた全ての光学、電気的および圧電層を含む)フィルム構造体の全被覆面が、これらの低い反射率の値を示してもよい。
【0040】
一例において、上面光学層30Tは、5度から60度の範囲の視野角について、視野角による低い色ずれを示す。様々な例において、D65またはF2照明を用いたa
*およびb
*の両方で、色ずれは、10.0未満か、4.0未満か、3.0未満か、または、2.0未満である。他の様々な例において、[(a
*)
2+(b
*)
2]
1/2によって定義される色ずれは、D65またはF2照明を用いて、10未満か、5未満か、4未満か、3未満である。いくつかの実施形態において、(組み合わされた全ての光学、電気的および圧電層を含む)フィルム構造体10の全被覆面が、これらの低い色ずれの値を示してもよい。
【0041】
他の例において、上面光学層30Tは、テーバー摩耗試験が行われた場合、高い耐摩耗性を有する。一例において、上面光学層30Tは、ガーネットサンドペーパー摩耗試験を用いて測定した場合、高い耐摩耗性を有する。
【0042】
一例において、上面光学層30Tは、約2nm未満か、約1nm未満か、約0.5nm未満か、または、約0.3nm未満のRMS表面粗さを有する。
【0043】
様々な例において、基板20は、ガラス、イオン交換されたガラス、ガラス‐セラミック、セラミック、スピネル、ムライト、ZrO
2、サファイア、または、ダイヤモンドのうち少なくとも1つを含む。
【0044】
様々な例において、底面および上面導電層40B、40Tは、ITO、AZO、金属薄膜などを含みうるものであり、一例においては、2nmから500nmの範囲の厚さTH
B、TH
Tをそれぞれ有する。
【0045】
一例において、透明基板20は上面22を備え、一例においては、結晶性であると共に、ガラスの熱伝導率より実質的に高い熱伝導率κを有し、好ましくは、κ>5W/m・Kである。一例において、基板20は、サファイアクリスタルで作られている。他の例において、基板20は、化学強化ガラスなどのガラスで作られている。化学強化ガラス基板20の例は、イオン交換で形成されたものである。基板20用の他の材料は、ダイヤモンド、ポリマー、可撓性ガラス、サファイア、または、上記のような層を支持しうる他の透明な材料を含む。一例において、基板上面22は、低い粗さを有する。基板20は、厚さTH
Sを有する。
【0046】
底面および上面導電層40B、40Tのシート抵抗は、約100オーム/スクエア未満か、50オーム/スクエア未満か、20オーム/スクエア未満か、または、10オーム/スクエア未満であってもよい。底面および上面導電層40B、40Tは、それぞれ、細い金属線、ワイヤまたはトレースと接触したフィルム状であってもよい。各底面および上面導電層40B、40Tは、基板の表面を高い割合で覆った連続した、またはパターン形成されたITO層などの2つの材料を含み、ITO層は、細い金属線またはワイヤからなる格子と電気的に接続された(または、それによってITO層の導電性が高められた)状態であってもよい(例えば、
図11Aおよびワイヤ82Tを参照)。細い金属線からなる格子は、接触位置だけではなく圧力を検出するなどの局所的感知機能を有するセンサ格子の生成も助けるものであってもよい。
【0047】
圧電層
圧電層50は厚さTH
50を有し、一例においては、50nm≦TH
50≦5000nmによって画定される範囲である。PEフィルム構造体10の圧電層50は、多数の異なるタイプの圧電材料のうち1つ以上で作られうる。圧電材料の例は、CdS、CdSe、ZnS、ZnTe、ZnO、AlN、チタン酸バリウム(BaTiO
3)、Na
0.5K
0.5NbO
3などの無鉛ニオブ酸塩、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)、チタン酸ジルコン酸ランタン鉛(PLZT)、並びに、Na
0.5Bi
0.5TiO
3およびK
0.5Bi
0.5Ti
O3などの無鉛チタン酸塩を含む。圧電層50用の例示的な圧電材料は、マグネシウムニオブ酸チタン酸鉛(PMN−PT)粒子を高分子マトリックス中に組み込んだものなどの「圧電複合材」だけではなく、PVDF、ポリイミド、および、パリレン系材料を含む高分子圧電材料も含む。圧電材料および複合材の更なる例は、Ramadanら、“A review of piezoelectric polymers as functional materials for electromechanical transducers,”Smart Mater.Struct.Vol.23,No.3(2014)の記事で見つけうるものであり、その記事は、参照により本願に組み込まれる。
【0048】
材料であるAlNおよびZnOは、公知技術を用いた薄膜積層に特に適用し易いので、積層を容易にすることを検討する状況で圧電層50に使用しうる。材料であるAlNは、相対的に高い硬度を有し、酸素が添加されたAlNは、他の圧電材料と比べて相対的に高い硬度および相対的に低い光吸収という望ましい組合せを有する。圧電層50に使われるAlN、酸素が添加されたAlN、または、AlONフィルムは、結晶ウルツ鉱構造を有しうる。約20原子パーセントまでの酸素を含む、酸素が添加されたAlNでも、実質的な圧電効果を示しうることが知られている。
【0049】
本発明者らは、AlNに酸素を添加して実験を行い、AlN層の光透過性を高めるか、または、光吸収を下げるのに、酸素の添加を効果的に使用しうることを見出した。しかしながら、酸素の添加が多すぎると、AlNフィルムの圧電性能を損なわせうる。従って、添加後のAlNフィルムの酸素含有量を、一例において、約40%未満に、他の例において、約20%未満に、他の例において、約10%未満に、他の例において、約5%未満に、または、他の例では、酸素濃度を約0.1から20%、または、0.1から10%の範囲に制限するのが望ましいかもしれず、ここでは、全ての値が原子パーセントで示されている。
【0050】
一例において、圧電層50は、空間反転対称性でない結晶、単結晶層、多結晶構造、または、基板表面22によって画定された平面に対して略垂直に向いたc軸を有する結晶材料を含みうる。
【0051】
他の例において、圧電層50は、1つ以上の強誘電体材料を含みうるものであり、微細構造を配向させるように、処理中に外から電場が加えられる。他の例においては、薄膜積層処理中に実質的な結晶粒の配向が行われた状態で、1つ以上の非強誘電体材料を使用しうる。
【0052】
一例において、圧電層50は、実質的に結晶性または多結晶性であり、基板表面22の平面に略垂直または直交であるc軸結晶配向を有し、つまり、実質的にz軸に配向されている。多結晶性の場合には、大多数の結晶子(結晶子の50%、60%、70%、80%、または、90%より多い)は、基板表面の平面に略垂直であるc軸配向を有しており、それは、X線回折を用いて測定しうる。材料は、回折角2θ=36度の近くで、対応する重要または顕著なX線回折ピークを示すかもしれず、基板表面22に略直交する正しいc軸配向を示し、(0002)結晶面が基板表面に略水平であることを意味する。場合によっては、結晶性圧電材料は、約20度未満か、約10未満か、約5度未満か、約3度未満か、または、約2度未満のX線ロッキングカーブ幅(AlNの(0002)ピークのFWHM)によって示されるような質の高い結晶配向の均一性を示しうる。
【0053】
圧電層50は、0.1pm/V(1ボルト当たりのピコメータで示した単位)より大きいか、1pm/Vより大きいか、2pm/Vより大きいか、4pm/Vより大きいか、または、5pm/Vより大きい、若しくは、0.1から15pm/Vの範囲の圧電係数d(または、任意の軸に沿ったd
ij、または、特定の軸に沿ったd
33)を有しうる。圧電係数dの単位は、ピコクーロン/ニュートンで表してもよく、上記の範囲は、0.1から15pC/Nに相当する。
【0054】
圧電層50内の材料の圧電電圧係数g(または、任意の軸に沿ったg
ij、または、特定の軸に沿ったg
33)は、約1より大きいか、10より大きいか、20より大きいか、40より大きいか、50より大きいか、または、1から150mV−m/N(1ニュートン当たりミリボルト‐メートル)の範囲であってもよい。圧電層50は、1より大きいか、5より大きいか、または、10より大きい比誘電率ε/ε
0を有していてもよい。圧電層50および/または透明電極層の屈折率は、約1.7から約2.3の範囲であってもよい。さらに、圧電層50は、(引張または圧縮であろうと)絶対値で約1000MPa未満か、500MPa未満か、または、200MPa未満の低いフィルム応力を示してもよい。
【0055】
一例において、圧電層50の結晶構造は、32晶族または
【0056】
3m晶族に属するものとして略分類しうる。より具体的な例では、圧電層50の結晶構造は、閃亜鉛鉱構造を有する水晶結晶またはZnS結晶によって表されうる。例示的な実施形態において、c結晶軸は、基板表面に直交していなくてもよい。関連した例において、底面および上面導電電極40B、40Tが、圧電層50の2つの大きな底面および上面の上ではなく、圧電層50の内側にエッチングされた細長い溝の中に置かれていてもよい。
【0057】
一例において、結晶性圧電層50を、i)望ましい圧電材料の結晶ウェハのイオン注入、ii)次に、イオン注入された表面を、接触感知ガラスカバーとして使用されるようにガラス基板に接着、iii)次に、結晶ウェハのイオン注入された側の層を、結晶ウェハのそれ以外の部分から分離することによって、取得してもよい。溝のエッチングおよび導電電極を置くことは、圧電層50のガラス基板への取付け、および、それを結晶ウェハから分離する前または後に完了してもよい。
【0058】
他の実施形態では、圧電層50は、圧電効果および焦電効果の両方を示す。いくつかの実施形態において、焦電的に生成された電気信号は、圧力感知には使用されない。むしろ、圧電効果による信号成分が、焦電効果による信号成分から実質的に絶縁される(分離される)。一例において、この信号分離は、力学的および熱的手段の組合せ、および/または、時間および/または周波数領域における電子およびソフトウェア技術(例えば、フィルタリング)を用いて下記のように行われる。
【0059】
PEフィルム構造体10を構成する異なる層は、スパッタリング、反応性スパッタリング、eビーム蒸着、CVD、PECVDまたはPLDなどの公知の薄膜技術を用いて形成しうる。場合によっては、他の蒸着方法も利用してもよい。
【0060】
様々な例において、圧電層50は、電気的に隔てられた領域を形成するように離散化または「画素に分解」されるか、格子として形成されうる。一例において、圧電層50の異なる領域における空間または隙間は、誘電材料、または、低い導電性または低い圧電昨日を有する類似した材料で充填しうる。一例において、誘電材料は、圧電層50の圧電材料と同様の屈折率を有し、従って、パターン形成は、ほぼ見えないようにされる。
【0061】
圧電センサシステム
図3は、
図1および2の例示的なPEフィルム構造体10を採用した例示的な圧電(PE)センサシステム80の概略図であり、例においては、PEフィルム構造体10は、下記のような例示的なPE接触感知(PETS)フィルム構造体10Sの一つでありうる。PEセンサシステム80は、PEフィルム構造体10に力Fが加えられた時の圧電層50の圧電効果を通して信号(電圧または電流)を生成するように構成されている。
図3は、力Fが指81によって加えられたのを示しており、力Fは、圧電効果を通して信号を誘発する圧電層50内の力学的応力を高める。ここでは、PEフィルム構造体10の上面(接触面)34に指81を当てることを「接触イベント」TEと称し、接触イベントの位置(x,y)を「接触位置」TLと称するものとする。
【0062】
PEセンサシステム80は、底面および上面電極として機能する底面および上面導電層40B、40Tにそれぞれ接続された電気接続部82B、82Tを含む。電気接続部82B、82Tは、例えば、上記のような細い金属線、ワイヤまたはトレースを含みうる。
【0063】
電気接続部82B、82Tは、PEフィルム構造体10によって出力された電気信号を処理するように構成された信号処理システム83にも電気的に接続されている。一例において、信号処理システム83は、アナログ回路84を含む。一例において、アナログ回路84は、差動増幅器、積分器、または、微分器を含む。アナログ回路84は、PEフィルム構造体10からの信号(出力電圧または出力電流)が低い時に、PEフィルム構造体10からの信号を増幅するのに使用しうる。さらに、それは、PEフィルム構造体10に加えられた応力の尺度として全電荷が用いられる場合に、電流信号を積分するのにも使用しうる。若しくは、ピーク衝撃応力の尺度として電流の導関数が用いられる場合に、信号を微分しうる。
【0064】
図3は、底面および上面透明導電層40B、40Tで生成された底面および上面電圧V
B、V
Tを示すと共に、例示的なアナログ出力信号SAとして出力電圧V
OUTを生成するアナログ回路84を示している。アナログ出力信号SAは、例えば、i
OUTなどの電流信号であってもよい。
【0065】
PEセンサシステム80の信号処理システム83は、上記のような信号の微分に相当するタスクを、ハイパスフィルタリングを通して出力信号の初期傾斜を分離することによって代わりに行いうる1つ以上のアナログフィルタ86を任意で含みうる。微分および/またはハイパスフィルタリングは、付随する焦電信号が不必要な場合に実質的にそれを除去しながら、圧電信号を抽出するのに使用しうる。さらに、アナログフィルタ86によって行われるバンドパスまたはローパスフィルタリングを、アナログ出力信号SA中の高周波ノイズを除去するのに使用しうる。
【0066】
PEセンサシステム80の信号処理システム83は、アナログ出力信号SAを受信して、それをデジタル出力信号SDに変換するアナログからデジタルへの変換器(ADC)も含む。さらに、信号処理システム83は、ADC88に電気的に接続されたデジタルフィルタ90を任意で含み、それは、アナログフィルタ86がアナログ出力信号SAについて行うのに類似したフィルタリング機能をデジタル信号SDについて行うものである。従って、一例において、フィルタ86(アナログ)または90(デジタル)のうち1つのタイプのフィルタだけが採用される。
【0067】
PEセンサシステム80の信号処理システム83は、(例えば、任意のデジタルフィルタ90を通して)ADC88に電気的に接続された中央処理装置(CPU)92も含んでいる。CPU92は、受信したデジタル出力信号SDを、例えば1つ以上の信号要件に適合しているか決定するように処理しうる、非一時的なコンピュータ読み取り可能な媒体における命令(例えば、論理、ソフトウェア、ファームウェアなど)の実施形態を含みうる。
【0068】
一例において、CPU92は、1つ以上の各接触イベントTEについて、接触位置TLの場所、接触位置での加圧量、接触位置で加えられた力の大きさ、接触イベントの継続時間、接触位置のサイズ、接触位置の(例えば、スワイプの距離または形状によって形成された)形状、加速度、および、音声コマンドなどに対する音響感知など、少なくとも1つ接触感知特性を決定する。
【0069】
いくつかの実施形態において、PEセンサシステム80は、システムの他の構成要素に有用なエネルギーを提供するために、または、バッテリ(不図示)に蓄えうるエネルギーを生成するために、振動エネルギーを収集するのにも使用しうる。PEセンサシステム80のそのような環境発電の実施形態においては、信号処理システム83は、それほどには信号処理または計算能力を要しないかもしれない。
【0070】
上記のように、PEセンサシステム80の一例において、圧電層50で焦電および圧電効果が組み合わさって起こり、PEフィルム構造体10からアナログ出力信号(電圧または電流)SAを発生させる。次に、出力信号SAは、接触イベントTEに関連した1つ以上の特性を推定するように処理される。圧電層50がスプッタリングされたAlNフィルムから形成された一例において、焦電効果による電気出力(電圧または電流)は、圧電効果と同等か、または、それより大きいかもしれない。
【0071】
PEセンサシステム80の他の例において、焦電効果は、実質的に低下されるか、アナログ出力信号SAに寄与しないようにようにされる。これは、圧電層50の結晶構造の対称性が、圧電効果を支持しながら、焦電効果を確実に抑制するか、または、妨げることによって行われる。
【0072】
本発明者らは、アナログ出力信号が、接触イベントTEが最初に感知された直後の約40ms、60ms、80ms、100ms、または、120msの期間に回収されるなら、PE層50からのアナログ出力信号SA(の成分)への圧電効果の寄与を、アナログ出力信号(の成分)への焦電効果の寄与と比べて高められることに気付いた。
【0073】
さらに、120ms以下程度の回収期間が選択された場合には、基板20の厚さTH
Sを厚くすることで、信号回収期間における圧電信号のアナログ出力信号SAへの寄与(成分)を高めると共に焦電信号の寄与(成分)を低下させることが見出された。
【0074】
一例において、基板20の厚さTH
Sは、0.4以上、0.5以上、0.6以上、0.7mm以上、特に、0.8以上、0.9以上、および、1.0m以上であることが好ましい。接触する指81の表皮角質層は、典型的にはガラスより数倍低い熱伝導率および0.5mm程度の厚さを有する。基板の厚さTH
Sを0.5mmを超えるように増加させること、および、より高い熱伝導率、特に1W/m・Kより高いか、さらには、1.2W/m・Kより高い材料を基板20用に選択することを、圧電信号成分の絶縁(分離)を高めるのに用いうる。
【0075】
さらに、PEセンサシステム80からのアナログ出力信号SAの周波数領域フィルタリングが、さらに圧電信号成分を焦電信号成分から分離すると共に、信号対ノイズ比を高めるのに用いられる。特に、信号処理システム83は、約7Hzと約30Hzの間、または、約8Hzと25Hzの間、または、約10Hzと20Hzの間の遮断周波数f
1でハイパスフィルタリングを行うように構成しうる。さらに、信号処理システム83は、アナログまたはデジタル出力信号SA、SDからノイズを除去するように、約10Hzと約10kHzの間、または、約15Hzと5kHzの間、または、約20Hzと1kHzの間の遮断周波数f
2でローパスフィルタリングを行うように構成しうる。
【0076】
他の実施形態において、圧電および焦電効果からの電気信号(パルス)が、アナログ出力信号SAを形成するように生成されると共に、信号処理システム82は、この出力信号の導関数を分析するように構成される。特に、パルスの最初での導関数は、パルスの後方の部分よりは低いわずかな寄与を、焦電効果から受ける。従って、接触位置TLでの接触イベントTEに関連した特性または機能性を評価するのに用いられる信号は、パルスの最初で回収された電気アナログ出力信号の部分の導関数、または、パルスの最初の1ms、2ms、5ms、10ms、または、20msからの平均導関数に比例するように選択されてもよい。
【0077】
一例において、信号処理システム83は、アナログ出力信号SAの全パルス波形をデジタル出力信号SD用にデジタル化するように構成しうるものであり、次に、デジタル出力信号SDは、一時的に保存され分析される。若しくは、信号処理システム83は、公知の方法でアナログ出力信号SAの導関数を抽出するように構成されてもよく、その方法は、パルスを遅延すること、増幅されたパルスを作成すること、および、電圧、電荷または電流が、ある正の値より高くなったか、ある負の値より低くなった時にトリガーにすることを含んでいてもよい。トリガーにすることは、前端を見つけて測定する必要があるパルスが到着したことを示すのに用いてもよい。
【0078】
焦電効果を低減または軽減するようにアナログ出力信号SAを処理するための上記実施形態は、実質的な熱伝導性を有する結晶性基板20と組み合わせた場合に、特によく働きうる。そのような基板20は、基板本体を通した急速な熱伝達による圧電層50の急激な温度上昇を防ぐことによって、焦電応答ピークを最初でわずかに遅延させるように働く。このわずかな遅延は、数msから数十msの間、基板20の本体中の温度が接触領域で目立った変化を開始するまで働く。
【0079】
図4は
図3と同様であり、圧電層50と基板20の間に置かれた厚さTH
26の結晶層26を含むPEセンサシステム80の実施形態を示している。一例において、結晶層26の厚さTH
26は、例えば、TH
26=約20μmから約300μmの範囲である、小さい、または、中間の値を有し、さらに一例において、基板20は、厚さTH
S>0.3mmを有する。結晶層26の大きな熱伝導率が、圧電層50の温度上昇を数ミリセカンド遅延させるのに用いられ、その結果、アナログ出力信号SAの前端の導関数の主要部分は、圧電効果によるものとなる。結晶層26に水晶とガラスの混成物を使用することで、水晶のみの材料を使用するのと比べて、本実施形態のコスト低減を助けうる。
【0080】
上記のように、PEセンサシステム80の実施形態は、アナログ出力信号SAの立ち上がり部分での導関数の測定を利用している。この場合、パルスの後方の部分の間で積分された電荷に比例する部分を初期導関数に減算または加算することによって、最終アナログまたはデジタル出力信号SA、SDを、初期信号導関数における焦電効果の寄与について補正してもよい。これは、アナログ出力信号SA上のアナログ領域で、または、デジタル出力信号SDを形成するようにパルスをデジタル化した後のいずれかに行いうる。
【0081】
補正部分の加算または減算は、パルスの初期導関数への焦電信号の寄与が、圧電効果からの寄与と同じ符号かどうかに基づいて行いうる。これは、次に、特定の装置配置に効果的な圧電係数に対する適切な焦電係数の相対的な符号、および、接触イベントTEの直前の瞬間に、接触する装置の温度(人の指の皮膚の温度など)が圧電層50の温度より高いか、または、低いかに応じたものになる。
【0082】
例示的なPEフィルム構造体
本開示の態様は、上記のようなPEフィルム構造体10に基づく例示的なPEフィルム構造体を含むが、PEセンサシステム80で使用された時に、1つ以上の接触位置TLで1つ以上の接触感知特性の決定を可能にする1つ以上の接触感知機能性を追加するものである更なる層および/または特性を含むものである。以下では、これらのPEフィルム構造体をPE接触感知(PETS)フィルム構造体10Sと称するものとする。
【0083】
図5は、PETSフィルム構造体10Sの第1の例の前面の立面分解図である。PETSフィルム構造体10Sは、PEフィルム構造体10の層、つまり、基板20、底面および上面光学層30B、30T、並びに、底面および上面導電層40B、40Tを含む。底面および上面導電層40B、40Tは、ここでは、上面および底面パターン電極をそれぞれ画定するように(例えば、x−y格子で)パターン形成されている。一例において、光学層30Tの最上層32Tは、ユーザインタフェース層として機能する。1つ以上の実施形態において、光学層30Tは、上面34を画定すると共に、高い硬度、高い耐摩耗性、および/または、高い耐ひっかき性を有する材料または構造体を含みうる。
【0084】
PETSフィルム構造体10Sは、底面導電層40Bの下方および上面導電層40Tの上方にそれぞれ置かれた底面および上面透明電磁気(EM)遮蔽層110B、110Tも含む。EM遮蔽層110B、110Tの例示的な材料は、TCO、金属、カーボンナノチューブ、グラフェンなどを含む。EM遮蔽層110B、110Tは、EM遮蔽層の中の導電体を、パターン電極内の導電体から絶縁するのに使用される絶縁材料または層と、遮蔽のために使用される導電材料の両方を含んでいてもよい。絶縁層用の例示的な材料は、SiO
2、SiN
x、および、表示およびタッチセンサ技術で公知の他の誘電材料を含んでもよい。底面および上面EM遮蔽層110B、110Tは、任意の特徴であり、ノイズを削減するために使用される。
【0085】
PETSフィルム構造体10Sは、例として基板20の下に直接置かれたものとして示された、少なくとも1つの投影型静電容量タッチセンサ層(「P−CAP層」)120も含む。一例において、P−CAP層120は、パターン形成されたTCO122を絶縁フィルム層124上に含み、TCOのパターンは、P−CAP層が導電体またはEM遮蔽層から完全に遮蔽されるのを避けるように、底面および上面パターン導電層40B、40T、および/または、EM遮蔽層110B、110Tと比べて、より大きな、または、位置がずれた領域を覆うものである。P−CAP層120は、片面のもの、または、両面のものでありうる。
図6に示されるように、P−CAP層120も、例えば基板上面22の上など、基板20の上方に置かれうる。多数のP−CAP層120も採用されうる。
【0086】
一例において、基板20は、硬質層または光学層でありうる絶縁フィルム層の形状であるか、または、それと置き換えうる。さらに、更なるの光学層が、1つ以上のP−CAP層120の上方および/または下方にあってもよい。
【0087】
底面および上面導電層40B、40Tは、電極として働き、PE層50で発生する圧電効果によって生成されるアナログ出力信号SAを抽出するのに使用される。一例において、底面および上面導電層40B、40Tの格子構造は、それぞれ開口部41B、41Tを画定する。様々な例において、開口部41B、41Tは、層面積の30%より広い面積か、好ましくは全層面積の50%より広い面積か、理想的には、全層面積の70%より広い面積を含む。さらに、開口部41B、41Tの平均サイズは、基板20の厚さTH
Sの約30%より大きいことが好ましく、他の例においては、基板の厚さTH
S程度であり、また、他の例においては、基板の厚さTH
Sより実質的に大きい。これらの実施形態は、
図5に示されるように、P−CAP層120が基板の下に置かれた場合に特に有用である。
【0088】
図7は
図5と同様であり、例示的なPETS構造体10Sを示しており、圧電層50が、空間51を開けて(例えば、x−y格子として)パターン形成されている。これにより、接触イベントTEの位置に基づいて圧電層50を選択的に活性化することが可能になり、接触位置機能性を提供する。
【0089】
図8は
図5と同様であり、例示的なPETS構造体10Sを示しており、P−CAP層120が、圧電層50と底面導電層40Bの間に置かれている。この構成は、接触イベントTEの位置を画定するための静電容量接触感知、および、例示的な特性が圧力感知である、1つ以上の接触感知特性を提供するための圧電接触感知の両方を可能にする。一例において、P−CAP層120の電極は、底面導電層40Bによって画定される底面電極としても働きうる。他の例において、底面電極40Bは、P−CAP層から分離されているが、P−CAP層が底面電極40Bの間に挿入されていてもよい。
【0090】
図9は
図8と同様であり、例示的なPETS構造体10Sを示しており、P−CAP層120は、圧電層50と上面導電層40Tの間に置かれている。
図8および
図9に示されたようなPETS構造体10Sの構成において、必要に応じて、P−CAP層120中の隣り合った導電層の間、または、P−CAP層と底面または上面導電層40B、40Tとの間など、隣り合った導電層の間に絶縁層(不図示)を追加してもよい。そのような絶縁層および方法は、タッチセンサ設計技術の当業者に知られている。
【0091】
図10は
図9と同様であり、例示的なPETS構造体10Sを示しており、底面および上面導電層40B、40Tのうち1つのみがパターン形成されている(例として、上面導電層40Tがパターン形成されて示されている)。この場合、底面導電層40Bによってユーザ入力面34とP−CAP層120間が遮蔽されないように、P−CAPタッチ層120が、パターン形成されていない(または、「連続した」)底面導電層40B(連続電極として働く)の上方に置かれている。
【0092】
図11は
図10と同様であり、代わりの実施形態を示しており、底面導電層40Bを除きうると共に、P−CAP層120の導電部122を、P−CAP層で発生した電圧または電流を電気的に感知するための底面電極として、圧電層50および上面導電層40Tと共働で使用しうる。
【0093】
図12は、圧電層50の反対側の面上の底面および上面導電層40B、40Tの例示的な構成の立面分解図である。例示的な構成において、各上面および底面導電層40B、40Tは、細片状に形成され、上面導電層の細片はy方向に延びて「列」42Tを形成し、底面導電層の細片はx方向に延びて「行」42Bを形成する。各細片42B、42Tは、連続した、または隣接した透明導電層を構成してもよく、若しくは、散在する格子に構成されてもよい。この構成は、静電容量接触感知装置に使われるものに似ており、行42Bおよび列42Tからの信号を処理することによって、接触位置TLの決定を可能にする。
【0094】
一例において、導電層40B、40Tのうちの1つが接地されて、他方の導電層からのアナログ出力信号SAである第1のセットが測定される。次に、他方の導電層が接地されて、接地されていない透明導電層からのアナログ出力信号SAである第2のセットが測定される。次に、第1および第2のアナログ出力信号SAのセットは、CPU92(
図3参照)によって、部分的には導電細片42B、42Tの幅および間隔によって決まるものである列および行構造の分解能の範囲内まで接触位置TLを抽出するように処理される。
【0095】
図13Aは、圧電層50上に形成された例示的な上面導電層40Tを、上から下に見た図である。上面導電層40Tは、複数の電気的に絶縁された導電領域43によって画定されている。隣接した絶縁領域43は、隙間44によって分離され、隙間を通って信号処理システム82(不図示、
図3参照)まで通された配線(つまり、導線)82Tを介して個別に扱いうる。上面導電層40Tの分割された構成は、接触イベントTEに関して、接触位置TLの局所的検知を可能にする。
図13Aの構成は、圧電層50中で直接には圧力を受けないがアナログ出力信号SAには寄与する領域による「ローディング」効果を削減する。ローディング効果を削減することで、アナログ出力信号SAの強さが高まる。
【0096】
上記の点を示すために、
図13Bは、圧電層50を挟む連続した底面および上面導電層40B、40T(連続した絶縁されていない導線であってもよい)を備えた圧電層50を有する例示的な構造の断面を示す概略図である。
図13Bは、その構造によって形成された等価回路48も示している。接触位置TLで指81によって圧力が加えられることで、全ての等価回路48が様々な程度に活性化されて、全体のアナログ出力信号SA(
図3参照)の取込みに寄与する。
【0097】
図13Cは
図13Bと同様であるが、
図13Aの分割された構成を示し、上面導電層40Tが、上記のような絶縁領域43にまで分割されている。この場合、絶縁領域43の1つに関連した接触位置TLで指81によって圧力が加えられると、局所等価回路48のみが活性化されて、その結果、アナログ出力信号SAは、接触位置TLに関連した局所的領域43からのみになる。
【0098】
図14は、多数の圧電層50を含む例示的な圧電構造体52の断面図である。多数の圧電層50、2つの底面および上面導電層40B、40T、並びに、2つの中間または中央の導電層40Mが、積層構成で配置され、中央の層は、隣接する圧電層の間に挿入されている。圧電層50は、同じ分極Pを有している。底面および上面導電層40B、40Tは、信号回収送信のために使用され、中央の層40Mは、歪み解放のために使用される。
【0099】
例において、中央の層40Mは、透明であると共に必要な応力解放機能を果たす材料である限り、導電または非導電材料から作製しうる。中央の層40Mは、光学機能を果たすためにも使用されてもよく、換言すれば、圧電構造体52の全体の反射率または色に、選択されたように寄与するように設計されていてもよい。単一の圧電層50からのアナログ出力信号SAが低すぎるか、または、信号処理システム83が多すぎるノイズを有する場合、
図14の圧電構造体52の積層構成をアナログ出力信号SAを強めるのに使用しうる。
【0100】
図15は、
図14の圧電構造体52のアレイを示す立面図であり、圧電構造体は、誘電材料で作られた封止層53によって電気的に絶縁されている。
図15の構成は、x‐y位置感知のために別のセンサを使用する必要なく、空間的に分離された接触感知を提供するのに使用しうる。
【0101】
図14の圧電構造体52の積層構成の他の利点は、厚い単結晶が成長するのが、応力により困難かもしれない場合に、秩序良く並んだ結晶構造を有する非常に厚い積層の形成を可能にすることである。応力解放層40Mは、積層された全ての層について、最大正味電気分極のために結晶の高い質および共通の結晶配向を可能にし、従って、典型的な加えられた応力について最大電圧を可能にする。分極Pの主な向きは、上向き、または、下向きであり、圧電構造体52中の全ての圧電層50について共通である。
【0102】
図16は、多数の圧電層50の積層構造を有する例示的な圧電構造体52の立面図であり、分極方向Pが層の面内、つまり、x−y平面内であると共に、交互の方向である(すなわち、+x方向、または、−x方向)。圧電構造体52は、導電電極40L、40Rを、圧電層50の左側および右側にそれぞれを含む。絶縁層47が、隣接する圧電層50を電気的に絶縁するのに使用される。
図14の圧電構造体52の積層構成のように、
図16の積層構成も、単一の圧電層50からのアナログ出力信号SAが検出するには低すぎるか、多すぎるノイズを含む場合に、アナログ出力信号SAを強めるのに使用しうる。
【0103】
図16の圧電構造体52において、各圧電層50は、所定の層の平面内に分極方向Pを有し、それは、応力の方向に垂直である。c軸の優先的結晶配向は、隣接する圧電層50間で交互である。
【0104】
図14の圧電構造52のように、圧電構造体52の異なる積層は、圧電構造体が形成されてパターン形成された後に、誘電封止層53によって電気的に絶縁されてもよい。さらに、
図16の圧電構造体52のアレイは、x‐y位置感知用に別のセンサを使用する必要なく、空間的に分解された感知(つまり、接触位置機能性)を提供するように置かれてもよい。
【0105】
図18は、他の例示的な圧電構造体52の立面図であり、圧電層が、「水平方向に積層された」領域54を含み、換言すれば、横に並んだ構成を有する。圧電層50の各領域54は、応力の方向に垂直である層の平面内に、つまり、x−y平面に、分極方向Pを有する。右側および左側導電層40L、40Rは、圧電領域54の左縁および右縁に隣接して置かれている。
【0106】
圧電層50は、誘電構造体47によって電気的に絶縁され、それによって、領域54を画定する。誘電構造体47は、積層処理を用いて、パターン形成された誘電体として形成されてもよい。誘電構造体47は、圧電層50の前および後に積層されうるものであり、圧電層の異なる領域54を封止し、電気的に絶縁する働きをする。上記のようなアプローチの組合せは、圧電層50の異なる領域54を電気的に絶縁するのに使用される誘電構造体47の形成にも採用しうる。c軸の優先的な結晶配向は、隣接する共平面の圧電層間で、交互である。多数の圧電構造体52が、x‐y位置感知用に別のセンサを使用する必要なく、接触位置機能性を提供するように置かれてもよい。
【0107】
図18は、
図17と同様であり、圧電構造体52の例示的な構成を示しており、圧電層50の領域54が同じ分極方向Pを有している。この特性は、電極を画定する導電層のために異なる構成を必要とする。上記のようなアプローチの組合せは、圧電層50の異なる領域54を電気的に絶縁するのに使用される誘電構造体47の形成にも採用しうる。多数の圧電構造体52が、x‐y位置用に別のセンサを使用する必要なく、空間的に分解された感知を提供するように配置されてもよい。
【0108】
表示アセンブリ
図19Aは、上面212を有する装置210に対し操作可能に配置された(つまり、操作可能にインタフェース接続された)本開示のPEセンサシステム80を含む例示的な表示アセンブリ200の立面分解図であり、
図19Bは、立面図である。例示的な装置 210は、表示システムであり、スマートフォン、タブレット、ラップトップ、テレビ、コンピュータのモニターまたは表示部などの表示部を有する任意のシステムでありうる。装置210は、器具、道具、機械などの非表示装置でもありうる。一例において、装置210は、光を発し、一例においては、光214は表示画像を表すものである。
【0109】
一例において、装置210は、ユーザインタフェース213を含み、一例においては、ユーザインタフェースは、記号215(例えば、
図19Aの拡大挿入図の示されているようなボタン、ラベル、印、アイコンなど)を含む。ユーザインタフェース213は、PETSフィルム構造体10Sを通して見られるものであり、PETSフィルム構造体は、装置210の非接触感知または限定された接触感知のいずれかのユーザインタフェース213に対する望ましい接触感知特性を提供する。一例において、ユーザインタフェース213は、表示部によって形成され、例えば、表示画像として形成される。一例において、PETSフィルム構造体10Sは、装置200用の接触感知表示カバーとして機能する。一例において、ユーザインタフェース213は、グラフィカルユーザインタフェース(GUI)を含む。一例においては、装置210が表示システムである例における上面212を通して、可視光214が発せられる。他の例において、可視光214が、上面212から反射される。一例においては、可視光214が、表示画像を構成する。
【0110】
一例において、PEセンサシステム80は、例えば接触位置決定および圧力感知を含む少なくとも1つの接触感知特性を提供する本開示のPETSフィルム構造体10Sの1つを含む。
図19Cは、
図19Bの表示アセンブリ200の断面図であり、接触面34に接触している指81も示しており、指が、接触位置TLにおいて、PETSフィルム構造体10S上の接触イベントTEを生成している。接触イベントTEを生成するために、タッチペン、ペン、鉛筆などの指81以外の他の手段が用いられうる。
【0111】
接触イベントTEに応じて、PETSフィルム構造体10Sは、信号処理装置83によって処理されるアナログ出力信号SAを生成し、アナログ出力信号は、接触位置TLの場所、接触位置で加えられた圧力量、接触位置における力の大きさ、接触イベントの継続時間、接触位置のサイズ(例えば、スワイプの距離または形状)、加速度、音声コマンドなどに対する音響感知、振動環境発電を含む少なくとも1つの接触感知特性を確立させる。
【0112】
一例において、PETSフィルム構造体10Sは、圧電接触感知および静電容量接触感知のうち少なくとも1つを提供しうる。他の例において、表示アセンブリ200が2つ以上の異なる種類の接触感知を含むように、装置210は圧電接触感知以外の少なくとも1種類の接触感知機能性を含む。一例において、PEセンサシステム80によって提供される接触感知は、接触位置については識別せず、接触イベントTEに関連した、圧力、力、継続時間などの測定機能を提供する。他の例において、PETSフィルム構造体10Sは、上記のように接触イベントTEの接触位置TLについての情報を提供するように構成される。1つ以上の実施形態において、表示アセンブリ200は、光学導波、光検出、LCDインセルまたはオンセル型タッチセンサなどの非静電容量または非電気的接触感知方法を取り入れてもよい。
【0113】
当業者には、添付の請求項に記載されたような開示の精神または範囲から逸脱することなく、ここに記載されたような開示の好適な実施形態に様々な変更を加えうることが明らかであろう。従って、本開示は、そのような変更および変形を、添付の請求項およびその等価物の範囲であれば包含するものである。
【0114】
以下、本発明の好ましい実施形態を項分け記載する。
【0115】
実施形態1
可視光に対し実質的に透明である圧電フィルム構造体であって、
透明基板、
前記基板上に置かれた少なくとも1つの透明圧電層、
前記少なくとも1つの透明圧電層上、または、前記透明基板と該少なくとも1つの透明圧電層との間に置かれた透明上面導電層、および、
前記透明上面導電層上に置かれると共に1つ以上の上面誘電体層を含む透明上面光学層
を備えたことを特徴とする圧電フィルム構造体。
【0116】
実施形態2
前記透明基板の上または上方に置かれると共に1つ以上の底面誘電体層を含む透明底面光学層、および、前記透明底面光学層の上または上方に置かれた透明底面導電層をさらに備え、
前記透明上面および底面導電層が、各々、ITO、AZOまたは金属薄膜のうち1つを含み、
前記透明圧電層が、CdS、CdSe、ZnS、ZnTe、ZnO、AlN、酸素が添加されたAlN、チタン酸バリウム(BaTiO
3)、無鉛ニオブ酸塩、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)、チタン酸ジルコン酸ランタン鉛(PLZT)および無鉛チタン酸塩を含む圧電材料の群から選択された少なくとも1つの圧電材料を含むことを特徴とする実施形態1に記載の圧電フィルム構造体。
【0117】
実施形態3
前記透明圧電層が、20原子パーセントまでの酸素を有する酸素が添加されたAlNからなることを特徴とする実施形態1または2に記載の圧電フィルム構造体。
【0118】
実施形態4
前記少なくとも1つの透明圧電層が、50nm≦TH
50≦5000nmの範囲の厚さTH
50を有することを特徴とする実施形態1から3のいずれか1つに記載の圧電フィルム構造体。
【0119】
実施形態5
前記透明上面光学層が、SiN
x、SiO
xN
y、AlN
x、AlO
xN
y、SiAl
xO
yN
z、SiO
2、SiO
x、Al
2O
3、およびAlO
xを含む材料の群から選択された少なくとも1つの材料を含むことを特徴とする実施形態1から4のいずれか1つに記載の圧電フィルム構造体。
【0120】
実施形態6
i)バーコビッチのナノインデンテーション法によって測定された8GPaより高い硬度と、
ii)2%未満の明所視平均反射率、および、a
*またはb
*のいずれかの座標において0から60度の光入射範囲で5未満の角度による色ずれとのうち、
少なくとも1つの物性を有することを特徴とする実施形態1から5のいずれか1つに記載の圧電フィルム構造体。
【0121】
実施形態7
実施形態1から6のいずれか1つに記載の前記圧電フィルム構造体であって、前記透明上面光学層上の少なくとも1つのイベントに応じて出力信号を生成するものである該圧電フィルム構造体、並びに、
前記底面および上面透明導電層に電気的に接続され、前記少なくとも1つのイベントに関連した少なくとも1つの感知特性を決定するように前記出力信号を受信および処理する信号処理システム
を備えたことを特徴とする圧電センサシステム。
【0122】
実施形態8
前記少なくとも1つ感知特性が、接触感知特性を含み、前記少なくとも1つのイベントが、接触イベントを含み、
前記少なくとも1つの接触感知特性が、各接触イベント毎に、接触イベントの接触位置、圧力量、力の大きさ、継続時間、サイズ、形状、加速度、音響感知、および、振動環境発電を含むことを特徴とする実施形態7に記載の圧電センサシステム。
【0123】
実施形態9
前記少なくとも1つの感知特性が、各イベント毎に、超音波近接感知、超音波撮像、超音波洗浄、および、超音波データまたはエネルギー伝達を含むことを特徴とする実施形態7に記載の圧電センサシステム。
【0124】
実施形態10
前記透明底面導電層、前記少なくとも1つの透明圧電層、および、前記透明上面導電層のうち少なくとも1つが、前記少なくとも1つの接触イベントに接触位置機能性を提供するようにパターン形成されていることを特徴とする実施形態7から9のいずれか1つに記載の圧電センサシステム。
【0125】
実施形態11
ユーザインタフェースを有する装置、および、
実施形態8または9に記載の前記圧電センサシステムであって、該圧電センサシステムの前記圧電フィルム構造体を通して前記ユーザインタフェースが見えるように、前記装置に対して操作可能に置かれた該圧電センサシステム
を備え、
前記装置が、該ユーザインタフェースを通して光を発する表示システムであり、
前記光が、該ユーザインタフェースを画定すると共に、該圧電フィルム構造体を通って進むことを特徴とする表示アセンブリ。
【0126】
実施形態12
接触位置での接触イベントに応じる接触感知能力を有する圧電フィルムセンサであって、
第1および第2の電極を画定する第1および第2の透明導電層と、
前記第1および第2の電極間に挿入され、または、該第1および第2の電極に隣接して置かれた少なくとも1つの透明圧電層と
を備え、
該第1の電極、該第2の電極、および、該少なくとも1つの透明圧電層は、接触位置機能性を提供すると共に、前記接触イベントに応じて出力信号を生成するように構成され、
前記圧電フィルムセンサは、
第1の透明光学層が最上部表面を画定する状態で、前記圧電層の反対側に該第1および第2の電極にそれぞれ離接して置かれた前記第1の透明光学層および第2の透明光学層と、
前記第2の光学層に隣接して置かれた基板と、
前記底面および上面透明導電層に電気的に接続され、前記少なくとも1つの接触イベントに関連した少なくとも1つの接触感知特性を決定するように前記出力信号を処理する信号処理システムと
を備えたことを特徴とする圧電フィルムセンサ。
【0127】
実施形態13
前記少なくとも1つの接触感知特性が、前記接触イベントの接触位置、圧力量、力の大きさ、継続時間、サイズ、形状、加速度、音響感知、および、振動環境発電のうち1つ以上を含むことを特徴とする実施形態12に記載の圧電フィルムセンサ。
【0128】
実施形態14
前記透明圧電層が、20原子パーセントまでの酸素を有する酸素が添加されたAlNからなることを特徴とする実施形態12または13に記載の圧電フィルムセンサ。
【0129】
実施形態15
前記出力信号が圧電および焦電要素を含み、
前記信号処理システムが、前記圧電要素を前記焦電要素から実質的に分離するように該出力信号にフィルタリングを行うように配置された1つ以上のフィルタを含むことを特徴とする実施形態12から14のいずれか1つに記載の圧電フィルムセンサ。
【0130】
実施形態16
前記少なくとも1つの圧電層が、多数の垂直方向に積層された圧電層、または、多数の水平方向に積層された圧電層を含むことを特徴とする実施形態12から15のいずれか1つに記載の圧電フィルムセンサ。
【0131】
実施形態17
前記少なくとも1つ圧電層が、単一の連続した圧電層によって構成され、
前記第1の電極が、第2の電極より前記最上部表面に近く、
該第1の電極が、前記信号処理システムへの電気接続部を介して個別に電気的に扱いうる、間隔をあけて電気的に絶縁された領域を有することを特徴とする実施形態12から16のいずれか1つに記載の圧電フィルムセンサ。
【0132】
実施形態18
ユーザインタフェースを有する装置、および、
実施形態12に記載の前記圧電センサシステムであって、該圧電センサシステムの前記圧電フィルム構造体を通して前記ユーザインタフェースが見えるように、前記装置に対して操作可能に置かれた該圧電センサシステム
を備えたことを特徴とする表示アセンブリ。
【0133】
実施形態19
前記装置が、その表面を通して光を発する表示システムであり、
前記光が、前記ユーザインタフェースを画定すると共に、前記圧電フィルム構造体を通って進むことを特徴とする実施形態18に記載の表示アセンブリ。
【0134】
実施形態20
ユーザインタフェースを有する装置に圧電接触感知を提供する方法であって、
圧電フィルムセンサの透明圧電接触感知(PETS)圧電フィルム構造体を通して前記ユーザインタフェースが見えるように、接触感知能力を有する前記圧電フィルムセンサを前記装置にインタフェース接続する工程と、
前記圧電フィルムセンサの表面に前記ユーザインタフェースの位置に対応する接触位置で接触することによって、接触イベントを引き起こし、それによって、前記PETS圧電フィルム構造体に出力信号を生成させる工程と、
前記接触イベントに関連した少なくとも1つの接触感知特性を決定するように、前記出力信号を処理する工程と
を含むことを特徴とするユーザインタフェースを有する装置に圧電接触感知を提供する方法。
【0135】
実施形態21
前記少なくとも1つの接触感知特性が、前記接触位置、該接触位置で加えられた圧力量、該接触位置で加えられた力の大きさ、前記接触イベントの継続時間、該接触位置のサイズ、該接触位置の形状、加速度、音響感知、および、振動環境発電のうち1つ以上を含むことを特徴とする実施形態20に記載の方法。
【0136】
実施形態22
表示アセンブリにおいて、
表示画像を形成するように可視光を生成する画像形成表示部、および、
圧電フィルム構造体であって、前記圧電フィルム構造体を通して前記表示画像が見えるように、前記画像形成表示部に対して操作可能に配置された該圧電フィルム構造体
を備え、
該圧電フィルム構造体が、20%より高い可視光の光透過率、バーコビッチのナノインデンテーション法によって測定された8GPaより高い硬度、および、a
*またはb
*のいずれかの座標において0から60度の光入射範囲で5未満の角度による色ずれを有することを特徴とする表示アセンブリ。
【0137】
実施形態23
前面および裏面を有し、前記裏面が前記画像形成表示部に隣接するものであるカバー基板をさらに備えたことを特徴とする実施形態22に記載の表示アセンブリ。
【0138】
実施形態24
前記圧電フィルム構造体が、前記前面上に置かれたことを特徴とする実施形態23に記載の表示アセンブリ。
【0139】
実施形態25
前記圧電フィルム構造体が、前記カバー基板と前記画像形成表示部との間の前記裏面上に置かれたことを特徴とする実施形態23に記載の表示アセンブリ。
【0140】
実施形態26
前記圧電フィルム構造体が、接触位置感知、圧力感知、力感知、接触継続時間、動き感知、接触サイズ、接触形状、加速度、音響感知、超音波近接感知、超音波撮像、超音波洗浄、超音波データまたはエネルギー伝達、および、振動環境発電のうち1つ以上の機能を行うシステムに一体化されていることを特徴とする実施形態22から25のいずれか1つに記載の表示アセンブリ。
【符号の説明】
【0141】
10 PEフィルム構造体
10S PETSフィルム構造体
20 基板
30B 底面光学層
30T 上面光学層
32B、32T 誘電体層
40B 底面導電層
40T 上面導電層
50 圧電層
80 PEセンサシステム
83 信号処理システム
84 アナログ回路
86 アナログフィルタ
88 ADC
90 デジタルフィルタ
92 CPU
200 表示アセンブリ
【国際調査報告】