(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2017-538448(P2017-538448A)
(43)【公表日】2017年12月28日
(54)【発明の名称】エアロゾル発生システム用の連続モードヒーター組立品
(51)【国際特許分類】
A24F 47/00 20060101AFI20171201BHJP
【FI】
A24F47/00
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2017-549597(P2017-549597)
(86)(22)【出願日】2015年12月14日
(85)【翻訳文提出日】2017年6月14日
(86)【国際出願番号】EP2015079600
(87)【国際公開番号】WO2016096733
(87)【国際公開日】20160623
(31)【優先権主張番号】14197974.0
(32)【優先日】2014年12月15日
(33)【優先権主張国】EP
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】596060424
【氏名又は名称】フィリップ・モーリス・プロダクツ・ソシエテ・アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100141553
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 信彦
(72)【発明者】
【氏名】シルヴェストリーニ パトリック チャールズ
(57)【要約】
エアロゾル発生システム用のヒーター組立品は、ヒーター要素と、エアロゾル発生液体を含む貯蔵部と、ヒーター組立品の使用時に発生した過剰な蒸気を凝縮するための凝縮器とを備える。凝縮器は、凝縮物が少なくとも部分的に貯蔵部に運び戻されるように形成される。本発明は、エアロゾル発生システム用のヒーター組立品を製造する方法をも対象とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアロゾル発生システム用のヒーター組立品であって、
−ヒーター要素と、
−エアロゾル発生液体を含む貯蔵部と、
−前記ヒーター組立品の使用時に発生した過剰な蒸気を凝縮するための凝縮器であって、前記凝縮器が、凝縮物が少なくとも部分的に前記貯蔵部に運び戻されるように形成されるものと、を備える、ヒーター組立品。
【請求項2】
前記凝縮器が前記エアロゾル発生液体のすぐ近くに配置される、請求項1に記載のヒーター組立品。
【請求項3】
前記凝縮器が非多孔性、非吸収性の材料、好ましくは重合体、金属、またはセラミック材料から作製される、請求項1〜2のいずれか1項に記載のヒーター組立品。
【請求項4】
前記凝縮器が円錐形状および先端部の穴を有し、前記過剰な蒸気が前記ヒーター組立品の方に向いた前記凝縮器の前記円錐形表面に凝縮し、また前記凝縮物が、前記凝縮器の前記円錐形表面に沿って流れ、最終的に前記ヒーター組立品に滴り落ちる、請求項1〜3のいずれか1項に記載のヒーター組立品。
【請求項5】
前記貯蔵部が、前記エアロゾル発生液体が吸収される多孔性材料を含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載のヒーター組立品。
【請求項6】
前記貯蔵部が、前記エアロゾル発生が消費された後で交換できる消耗品である、請求項1〜5のいずれか1項に記載のヒーター組立品。
【請求項7】
前記ヒーター要素が0.1〜10オーム、0.4〜5オーム、より好ましくは0.8〜2オーム、最も好ましくは約1.5オームの抵抗を有する抵抗ヒーターである、請求項1〜6のいずれか1項に記載のヒーター組立品。
【請求項8】
前記ヒーター組立品が100〜200℃、好ましくは150〜180℃の範囲の使用温度を有する、請求項1〜7のいずれか1項に記載のヒーター組立品。
【請求項9】
前記エアロゾル発生液体が0.1〜10重量パーセント、好ましくは1〜2重量パーセントのニコチンを含む、請求項1〜8のいずれか1項に記載のヒーター組立品。
【請求項10】
前記エアロゾル発生液体が、200℃での蒸気圧が200℃でのニコチンの蒸気圧の少なくとも20%、好ましくは少なくとも50%を持つ、20〜60重量パーセント、好ましくは30〜50重量パーセントである化合物を含む、請求項1〜9のいずれか1項に記載のヒーター組立品。
【請求項11】
前記エアロゾル発生液体が、200℃での蒸気圧が200℃でのニコチンの蒸気圧の少なくとも50%未満、好ましくは少なくとも30%未満を持つ、40〜80重量パーセント、好ましくは50〜70重量パーセントである化合物を含む、請求項1〜10のいずれか1項に記載のヒーター組立品。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれか1項に記載のヒーター組立品を備えるエアロゾル発生システム。
【請求項13】
少なくとも2つの部品を持つハウジングであって、前記第一の部品がマウスピースと、前記凝縮器と、前記ヒーター要素とを備え、また前記第二の部品が電源と、制御回路と、前記貯蔵部のための支持体とを備え、前記貯蔵部が前記第一の部品と前記第二の部品との間に挿入され、前記2部品のハウジングが組み立てられる時に前記ヒーター要素と前記支持体との間にしっかりと保持される、請求項12に記載のエアロゾル発生システム。
【請求項14】
空気吸込み口から、前記ヒーター組立品を備えるエアロゾル形成チャンバーを通り、前記マウスピースへと空気の流れ経路が確立され、吸煙間の前記空気の流れを遮断するための遮断手段が前記空気の流れ経路内に提供される、請求項12または13に記載のエアロゾル発生システム。
【請求項15】
エアロゾル発生システム用のヒーター組立品を製造する方法であって、
−ヒーター要素を提供する工程と、
−エアロゾル発生液体を含む貯蔵部を提供する工程であって、それによって、前記エアロゾル発生システムの使用時に前記貯蔵部が前記ヒーター要素と熱的に接触して位置付けられる工程と、
−前記ヒーター組立品の使用時に発生した過剰な蒸気を凝縮するための凝縮器を提供する工程とを含み、
前記凝縮器が、前記凝縮物が少なくとも部分的に前記貯蔵部に戻されるように形成される、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒーター要素と、エアロゾル発生液体を含む貯蔵部と、ヒーター組立品の使用時に発生した過剰な蒸気を凝縮するための凝縮器とを備えた、エアロゾル発生装置用のヒーター組立品に関連する。本発明はまた、こうしたヒーター組立品を備えたエアロゾル発生装置と、ヒーター組立品を製造する方法にも関連する。
【背景技術】
【0002】
eシガレットなど従来的な電気駆動式のエアロゾル発生装置では、エアロゾル発生液体(eリキッドとも呼ばれる)を気化するのに電気ヒーターが使用されている。eリキッドは通常、約65容積パーセントのプロピレングリコール、約30容積パーセントのグリセロール、約2容積パーセントの水、約2容積パーセントの風味剤および約1容積パーセントのニコチンから成る。従来的なeシガレットでは、ヒーターは250〜300℃の温度範囲で動作する。この温度は、eリキッドのすべての成分を気化させるほど十分高い。ユーザーがe−シガレットを吸う時、気流はヒーター組立品の上を流れるように配され、発生したエアロゾルがユーザーにより吸い込まれる。eシガレットは通常、吸煙中のみにヒーター、よって気化を起動する吸煙検出システムを備える。吸煙間で、ヒーター要素はオフに切り替わり、エアロゾルは発生されない。
【0003】
従来的なエアロゾル発生システムの一つの問題は、エアロゾル発生システム内部のeリキッド貯蔵部からのeリキッドの漏れに関連する。漏れは、対応する構成要素の誤作動、特にeリキッド容器の誤作動を原因としうる。漏れの別の理由は、使用中におけるエアロゾル発生システムの構成要素の変形である。こうした変形は、エアロゾル発生システムに作用する機械的応力を原因としうる。変形は、エアロゾル発生システム内で発生する温度の上昇によって引き起こされることもある。最高300℃の温度が局部的に発生するヒーター要素が使用されている特定の従来的なエアロゾル発生システムでは、高温効果による個別構成要素の変形が発生しがちである。
【0004】
従来的なエアロゾルヒーターの1つ以上の問題が、本発明のヒーター組立品によって軽減されうる。
【発明の概要】
【0005】
本発明のエアロゾル発生システム用のヒーター組立品は、ヒーター要素と、エアロゾル発生液体を含む貯蔵部と、凝縮器とを備える。凝縮器は、ヒーター組立品の使用時に発生した過剰な蒸気を凝縮し、凝縮物が少なくとも部分的に貯蔵部に運び戻されるように形成される。凝縮器は、少なくとも10%または少なくとも20%、または少なくとも50%、または少なくとも80重量パーセントの凝縮物が貯蔵部に運び戻されるように形成されることが好ましい。
【0006】
ヒーター要素は、80〜240℃、好ましくは120〜200℃、より好ましくは150〜180℃の範囲の温度で動作することが好ましい。最適な温度は、エアロゾル発生システムの設計、特に使用するeリキッドの正確な組成に依存する。使用温度は、通常使用される使用温度である約250〜300℃よりも低いことが好ましい。したがってシステムは動作時に受ける熱応力が低く、したがってエアロゾル発生システムの構成要素の熱変形に起因する漏れのリスクが低減される。
【0007】
典型的なエアロゾル発生システムとは対照的に、本発明のヒーター組立品は通常、ヒーター要素の連続的な動作が可能な低温で動作される。吸煙間に発生する過剰な蒸気が浪費されるのを避けるために、これらの過剰な蒸気を凝縮するために使用され、凝縮した蒸気をヒーター要素またはeリキッド貯蔵部に運び戻す凝縮器が提供される。
【0008】
その効率を高めるために、特に凝縮物が貯蔵部に戻るのを促進するために、凝縮器はエアロゾル発生液体、特に液体・蒸気相界面のすぐ近くに配置されることが好ましい。凝縮器は、ヒーター要素のすぐ近くに配置されることが好ましい。すぐ近くとは、1cm未満、好ましくは5mm未満、好ましくは2mm未満の距離を意味する。
【0009】
凝縮器は非多孔性、非吸収性の材料で作製されることが好ましい。さらに、凝縮器は高分子、金属、またはセラミック材料で作製されることが好ましい。凝縮器は、凝縮物のための非湿潤表面を持つ材料で作製されることが最も好ましい。
【0010】
好ましい一つの実施形態では、凝縮器はヒーター要素の下流に位置し、円錐形状および尖端部に穴を有する。尖端部の穴は、エアロゾル形成チャンバーを出るエアロゾルのための下流への通過のみを画定することが好ましい。凝縮器は、尖端部がヒーター要素から離れる方向を向いていることが好ましい。凝縮器の円錐形状のため、凝縮物は半径方向外向きの方向に流れ、エアロゾル発生システムのハウジング内に配置される時に、エアロゾル発生システムのハウジングの側面に沿って液体貯蔵部に向けて流れることが好ましい。凝縮器の周辺形状は、ヒーター組立品が使用されるエアロゾル発生システムのハウジングの断面形状に対応することが好ましい。通常、凝縮器の周辺形状はしたがって、円形、楕円形、または丸い端を持つまたは持たない四角形である。
【0011】
貯蔵部は、エアロゾル発生液体が吸収される多孔性材料を含むことが好ましい。多孔性材料は、従来的なeシガレットで使用される任意の多孔性材料としうる。適切な材料には、ポリエチレンまたはポリプロピレン繊維または耐熱性ポリエチレン/ポリブチレンテレフタレート繊維などの織布または不織布が含まれる。適切な材料の例としては、海綿体または発泡体材料、繊維または焼結粉末の形態のセラミック系またはグラファイト系の材料、発泡性の金属またはプラスチックの材料、例えば紡がれたかまたは押し出された繊維(酢酸セルロース、ポリエステル、または結合されたポリオレフィン、ポリエチレン、テリレンまたはポリプロピレン繊維、ナイロン繊維またはセラミックなど)でできた繊維性材料がある。材料は異なる液体物理特性で使用されるように、適切な任意の毛細管および空隙率を有する場合がある。液体は、貯蔵部の多孔性材料によって液体が貯蔵できるようにする粘性、表面張力、密度、熱伝導率、沸点および蒸気圧を含むがこれに限定されない物理的特性を持つ。
【0012】
貯蔵部は支持体上にあることが好ましい。支持体は、貯蔵部がヒーター組立品内の明確な位置に保持されるように保証しうる。支持体は、固形の平坦な表面を持つものでもよく、またはメッシュの形態を持つものでもよい。後者の形態では、空気は支持体を通り、またその上に保持される貯蔵部を通って流れることができる。
【0013】
貯蔵部は、適切な任意の形状を持つことができ、ヒーター組立品が使用されるべきエアロゾル発生システムの寸法に対応した形状およびサイズを持つことが好ましい。貯蔵部は、HRM材料でできた円筒形のパッドであることが好ましい。貯蔵部の厚さは、0.1〜5ミリメートル、好ましくは0.2〜3ミリメートル、好ましくは約2ミリメートルの範囲であることが好ましい。貯蔵部は、5ミリグラム〜1グラム、好ましくは50〜500ミリグラム、最も好ましくは約200ミリグラムの容量を持つことが好ましい。
【0014】
貯蔵部は、吸煙約20回分の液体のみを保持し、その後で交換されることが好ましい。貯蔵部はしたがって、エアロゾル発生液体が消費された後で定期的に交換される必要がある。貯蔵部のサイズおよび貯蔵能力は低減されているため、ヒーター組立品は限定的な量の液体のみを含む。したがって、漏れが発生した場合でも、漏れる恐れのある液体は少量しか存在しない。
【0015】
ヒーター要素は、0.1〜10オーム、0.4〜5オーム、より好ましくは0.8〜2オーム、最も好ましくは約1.5オームの抵抗を有する抵抗ヒーターであることが好ましい。ヒーター組立品は、平坦なヒーター表面および広い加熱表面を有することが好ましい。さらに好ましくは、ヒーター要素は平坦な加熱コイルでもよく、またヒーター要素は平坦なエッチング加工されたステンレス鋼ヒーターであることがより好ましい。ヒーターの平坦な形状の利点は、ヒーター要素が貯蔵部と密着して理想的な気化条件を提供できるように、貯蔵部が支持体の一般的に平坦な表面とヒーター要素の平坦な表面との間に挟まれうることである。
【0016】
ヒーター組立品の使用時、ヒーター要素は貯蔵部の近くにある適切な任意の場所に配置されうる。ヒーター要素は、貯蔵部の周りに、貯蔵部と凝縮器または凝縮器の反対側との間に配置されうる。ヒーター要素は貯蔵部と凝縮器との間に配置されることが好ましい。凝縮器はヒーター要素の下流に位置しうる。
【0017】
エアロゾル発生液体は、沸点が約247℃のニコチンを含むことが好ましい。エアロゾル発生液体は、0.1〜10重量パーセント、好ましくは0.2〜5重量パーセント、好ましくは0.5〜2重量パーセントのニコチンを含むことが好ましい。
【0018】
エアロゾル発生液体は、ニコチンの200℃での蒸気圧に匹敵する200℃での蒸気圧を持つ化合物を含むことが好ましい。
【0019】
エアロゾル発生液体は、200℃での蒸気圧が200℃でのニコチンの蒸気圧の少なくとも20%、好ましくは少なくとも50%である蒸気圧を持つ、20〜60重量パーセント、好ましくは30〜50重量パーセントの化合物を含みうる。
【0020】
エアロゾル発生液体は、ニコチンの200℃での蒸気圧よりも低い200℃での蒸気圧を持つ化合物を含むことが好ましい。
【0021】
エアロゾル発生液体は、200℃での蒸気圧が200℃でのニコチンの蒸気圧の50%未満、好ましくは30%未満を持つ、40〜80重量パーセント、好ましくは50〜70重量パーセントの化合物を含みうる。
【0022】
エアロゾル発生液体はグリセロールを含みうる。グリセロールは約290℃の沸点を持つ。エアロゾル発生液体は、20〜80重量パーセントまたは50〜70重量パーセントのグリセロールを含みうる。
【0023】
エアロゾル発生液体は水、好ましくは5〜20重量パーセントの水、例えば8〜15重量パーセントの水を含みうる。
【0024】
エアロゾル発生液体は、プロピレングリコール、好ましくは5〜50重量パーセントのプロピレングリコール、例えば10〜40重量パーセントのプロピレングリコールを含みうる。
【0025】
エアロゾル発生液体は、風味剤、好ましくは0.1〜5重量パーセントの風味剤、例えば0.5〜3重量パーセントの風味剤を含みうる。
【0026】
ニコチンの使用温度および濃度を変化させることにより、発生するエアロゾルのニコチン含有量が、従来的な紙巻たばこのニコチン含有量に匹敵するように、または低めのニコチン含有量になるように気化の性能を調節できる。
【0027】
連続モードで動作するヒーター組立品のさらなる利点は、吸煙中にヒーターを起動する目的での吸煙の検出が必要ないことである。したがって、ヒーター組立品、特にこのヒーター組立品を使用するエアロゾル発生システムは、従来的なシステムよりも製造しやすく、かつ使用しやすい。
【0028】
本発明はまた、上記で考察したヒーター組立品を備えたエアロゾル発生システム、好ましくはe−シガレットに関連する。エアロゾル発生システムは、好ましくは少なくとも2つの接続可能な部品を含むハウジングを持つ。第一の部品は、マウスピース、凝縮器およびヒーター要素を備える。第二の部品は、電源、制御回路および貯蔵部用の支持体を備える。エアロゾル発生システムの組立のために、eリキッドを含む貯蔵部が第二の部品の支持体上に配置される。第一の部品を第二の部品に取り付けることにより、貯蔵部は支持体とヒーター要素との間にしっかり締め付けられる。さらに、第二の部品の電源および制御回路が第一の部品のヒーター要素に接続されるように、2つの部品間に電気接点が確立される。ハウジングの2つの部品間の取付けは、ねじ接続またはクランプ接続を含めた適切な任意の取付け手段によって確立されうる。この2部品から成るハウジングの構成は、貯蔵部の交換が非常に簡単であるという利点を持つ。こうした簡単な交換性は、貯蔵部がどちらかといえば少量のeリキッドのみを含むため頻繁に交換される必要があるため、本件では特に重要である。
【0029】
エアロゾル発生システムのハウジングは、空気吸込み口および空気出口(通常はマウスピース)を含み、その間に空気の流れ経路が画定される。空気の流れ経路は、ヒーター組立品を備えたエアロゾル形成チャンバーを貫通する。吸煙間に、すなわちユーザーがエアロゾル発生システムから吸入していない時に、空気の流れを阻止するために、空気の流れ経路内には遮断手段が提供される。遮断手段は、エアロゾル形成チャンバーの上流、下流、または上流および下流に提供されうる。遮断手段は機械的な遮断手段または空気弁でもよい。遮断手段は、電気回路を経由して電気的に制御されることが好ましい。吸煙されているかどうかを検出するためのセンサーとして、吸煙検出器が使用されてもよい。吸煙検出器は当業者にはよく知られている。
【0030】
本発明は、エアロゾル発生システム用のヒーター組立品を製造する方法をも対象とする。方法は、ヒーター要素と、エアロゾル発生液体を含む貯蔵部とを提供する工程を含み、それによってエアロゾル発生システムの使用時に貯蔵部がヒーター要素と直接接触して位置付けられる。方法は、ヒーター組立品の使用時に発生した過剰な蒸気を凝縮するための凝縮器を提供する工程をさらに含み、凝縮器は凝縮物が少なくとも部分的にヒーター上または貯蔵部に運び戻されるように形成される。
【0031】
本発明のさらなる態様では、凝縮器は二次ヒーター要素である。二次ヒーター要素は吸煙中にのみ起動される。吸煙間で、二次ヒーター組立品は凝縮器の役割を果たし、連続的に動作する第一のヒーター要素によって発生した過剰な蒸気が二次ヒーターで凝縮される。ユーザーが吸煙する時、二次ヒーター要素に付着する凝縮した蒸気が気化されるように、二次ヒーター要素が起動される。
【0032】
本発明のさらなる態様では、ヒーター組立品は、ハウジングの反対側に2つの開口部を持つハウジングを備える。ハウジングは、液体エアロゾル発生基体を保持する多孔性材料を含む。一次流体透過性ヒーターは、ハウジングの第一の開口部に提供され、エアロゾル発生システム内の排気流部分に接続される。第一のヒーターは連続的に動作し、排気流部分を介してシステムから排出されるeリキッドを連続的に気化する。第二の開口部には、吸煙中にのみ起動される二次ヒーターが提供される。第二の開口部は、ハウジングの空気吸込み口とマウスピースとの間の空気の流れ経路に接続される。ユーザーが吸煙する時、二次ヒーターによって発生したエアロゾルが消費者によって吸入される。
【0033】
本発明は以下の添付図面を参照しながら、例証としてのみであるがさらに説明する。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【
図1】
図1は、本発明によるヒーター組立品を示す。
【
図2】
図2はe−シガレットで使用されるヒーター組立品の個別構成要素を示す。
【
図3】
図3は、2つの部分から成るハウジングを持つe−シガレット内の液体貯蔵部を交換するための交換手順を示す。
【
図4】
図4は、凝縮器が二次ヒーターとして使用されるe−シガレットの実施形態を示す。
【
図5】
図5は、二次ヒーターを備えたe−シガレットの代替的な実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0035】
図1は、支持体10と、eリキッドの貯蔵部12と、ヒーター要素14と凝縮器16とを備える、本発明のヒーター組立品を示す。貯蔵部12は、支持体10上に配置され、支持体10とヒーター要素14との間に挟まれる。支持体の周辺領域には、ヒーター要素14の電気接点部分15のための2つのフィードスルー18が提供されている。ヒーター要素14は、一般的に平面を持つ平坦なエッチング加工されたステンレス鋼ヒーターである。貯蔵部12は、耐熱性のPETポリマーで作製された一般的に円筒形の多孔性ポリマーディスクである。貯蔵部の厚さは約2ミリメートルである。貯蔵部12は最大250ミリグラムのeリキッドを貯蔵できる。eリキッドは、グリセロール50%、プロピレングリコール37%、ニコチン2%、水10%、風味剤1%の組成を持つことができ、ヒーター要素の使用温度は130〜150℃である。eリキッドは、グリセロール70%、プロピレングリコール14%、ニコチン2%、水13%、風味剤1%の組成を持つことができ、ヒーター要素の使用温度は150〜200℃である。
【0036】
図2には、
図1のヒーター組立品を含む、2つの部品から成るハウジングを備えたe−シガレットが図示されている。明瞭にする目的で、電源(図示せず)、電気回路(図示せず)および空気吸込み口(図示せず)を含むハウジング20の第二の部品のみが図示されている。部品20の上側には、電源をヒーター要素14に接触するための電気接点22と、空気流スリット24とが提供されている。支持体10は、支持体10のフィードスルー18が部品20の電気接点22と一致するように、部品20の上に配置される。支持体10は、空気が流れることができるようにするスリット26も備える。
【0037】
支持体10上には貯蔵部12が配置される。貯蔵部は、貯蔵部12の半径方向の局所化が確実になるように、円形要素30によって横方向に囲まれる。円形要素はまた、ヒーター要素の電気接点15のためのフィードスルー32を有する。円形要素30の外側寸法は、支持体12の外側寸法に対応する。円形要素30は、その上端が貯蔵部12の上側表面と同一面になるような厚さを持つ。ヒーター要素14は貯蔵部12の上部に配置され、その電気接点部分15は、フィードスルー内に挿入され、下の接点22に接続され、これらの接点を経由して、ハウジングの第二の部品20内の電源に接続される。ヒーター要素14の上には、エアロゾル形成チャンバー36の側壁を形成する円筒形要素34がある。エアロゾル形成チャンバー36の上部壁を形成する凝縮器16は、円筒形要素34の上に配置される。凝縮器16は円錐形状を持ち、円錐状の尖端部はヒーター要素14から離れる方向を向いている。円錐状の凝縮器16の尖端部には、それを通してエアロゾルがエアロゾル形成チャンバー36を出ることができる穴38が提供される。吸煙中、エアロゾル形成チャンバーを通して空気の流れが創り出され、エアロゾルがe−シガレットのマウスピースを通して消費者によって吸入される。ヒーター組立品は、吸煙間にもeリキッドが気化されるように、連続モードで動作される。これらの過剰な蒸気の大部分は、凝縮器の内部表面で凝縮される。凝縮器が円錐形状であることにより、凝縮物はエアロゾル形成チャンバーの側壁に沿って流れ、ヒーター要素、およびヒーター要素のすぐ近くにある貯蔵部の表面に戻る。
【0038】
図3には、2つの部品から成るハウジングの第一の部品40を含む
図2のe−シガレットが図示されている。第一の部品40はマウスピース部分42を含む。その下端44では、ハウジングの第一の部品40は、凝縮器16と、円筒形要素34と、ヒーター要素14と、円形要素30(
図3では非表示)を備える。ヒーター要素14は、ヒーター要素14の不良時に、ハウジングの第一の部品40全体ではなくヒーター要素14自体のみを新しくする必要があるように交換可能であることが好ましい。貯蔵部12を挿入または元の場所に戻すために、2つの部品から成るハウジングの2つの部品20、40は分離される。貯蔵部12は支持体10上の元の場所に戻すかまたは挿入され、2つの部品20、40は再び接続される。
図3に示す実施形態では、ハウジングの2つの部品20、40はクランプ接続で接続される。
【0039】
図4はさらなる発明の実施形態を示す。貯蔵部は、多孔性材料52に吸収されたeリキッドを含み、かつ下端に開口部54を備えた円筒形容器50である。容器50の開口部54内に一次ヒーター56が提供されている。凝縮器は二次ヒーター要素58である。二次ヒーター要素58は吸煙中にのみ起動される。吸煙間で、二次ヒーター組立品58は凝縮器の役割を果たし、連続的に動作する一次ヒーター要素56によって発生した過剰な蒸気が二次ヒーター58で凝縮される。気流チャネル62は、エアロゾル形成チャンバーの空気吸込み口60と出口64の間に定義される。制御回路66および電源68は、ヒーター要素56、58を制御しかつ電力供給するために提供される。ユーザーが吸煙する時、二次ヒーター要素58に付着する凝縮した蒸気が気化されるように、二次ヒーター要素58が起動される。
【0040】
図5には、本発明の別の実施形態が図示されている。ヒーター組立品は、ハウジング70の反対側に2つの開口部72、74を持つハウジング70を備える。ハウジング70は、液体エアロゾル発生基体を保持するための多孔性液体吸収材料を含む。一次流体透過性ヒーター76は、ハウジング70の第一の開口部72に提供され、エアロゾル発生システム内の排気流部分78に接続される。一次ヒーター76は、連続的に動作し、排気流部分78を介してシステムから排出されるeリキッドを連続的に気化する。第二の開口部74には、吸煙中にのみ起動される二次ヒーター80が提供される。第二の開口部47は、空気吸込み口82とマウスピースとの間の空気の流れ経路84に接続される。ユーザーが吸煙する時、二次ヒーター80によって発生したエアロゾルが消費者によって吸入される。
【国際調査報告】