特表2017-538454(P2017-538454A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特表2017-538454生理的過程を監視するための超低周波聴診器
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2017-538454(P2017-538454A)
(43)【公表日】2017年12月28日
(54)【発明の名称】生理的過程を監視するための超低周波聴診器
(51)【国際特許分類】
   A61B 7/04 20060101AFI20171201BHJP
   A61B 7/02 20060101ALI20171201BHJP
   H04R 19/04 20060101ALI20171201BHJP
   H04R 19/01 20060101ALN20171201BHJP
【FI】
   A61B7/04 C
   A61B7/04 J
   A61B7/02 L
   A61B7/02 H
   A61B7/04 T
   H04R19/04
   A61B7/04 M
   A61B7/04 S
   A61B7/04 X
   H04R19/01
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2017-517264(P2017-517264)
(86)(22)【出願日】2015年3月17日
(85)【翻訳文提出日】2017年5月16日
(86)【国際出願番号】US2015020964
(87)【国際公開番号】WO2016053380
(87)【国際公開日】20160407
(31)【優先権主張番号】62/058,794
(32)【優先日】2014年10月2日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】14/658,584
(32)【優先日】2015年3月16日
(33)【優先権主張国】US
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.MATLAB
(71)【出願人】
【識別番号】510149563
【氏名又は名称】ザ・ユナイテッド・ステイツ・オブ・アメリカ・アズ・リプレゼンテッド・バイ・ジ・アドミニストレーター・オブ・ザ・ナショナル・エアロノーティクス・アンド・スペース・アドミニストレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【弁理士】
【氏名又は名称】原 裕子
(72)【発明者】
【氏名】シャムス、 カマー エイ.
(72)【発明者】
【氏名】ズッカーワール、 アラン ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】ディマルカントニオ、 アルバート エル.
【テーマコード(参考)】
5D021
【Fターム(参考)】
5D021CC08
5D021CC15
(57)【要約】
患者の生理的過程を監視するための超低周波聴診器は、可聴周波数帯域及び超低周波帯域(0.03から1000ヘルツ)の音響信号を検出することができるマイクロホンと、マイクロホンの第一開口で本体に取り付けられた身体カプラと、マイクロホンの第二開口で本体に取り付けられた可撓管と、可撓管に取り付けられたイヤーピースとを含んでいる。本体カプラは、患者に取り付けることができ、人間からの音を、マイクロホンに、そしてイヤーピースに送る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の生理的過程を監視するための超低周波聴診器であって、
0.03ヘルツから1000ヘルツの周波数範囲の音響信号を検出することができ、第一及び第二の離間した開口を有する本体を含むマイクロホンと、
実質的に気密シールを形成するために前記本体の第一の開口に取り付けられ、前記患者に取り付けることができる本体カプラと、
前記本体の第二の開口に取り付けられた可撓管と、
前記可撓管に取り付けられたイヤーピースと
を含む超低周波聴診器。
【請求項2】
前記本体は空洞を形成し、前記空洞内にあるバックプレートであって、前記バックプレート及び前記本体の間にバックチャンバを画定する前記バックプレートと、前記空洞内の導電性膜とをさらに含み、前記バックプレート及び前記膜はコンデンサを形成するために互い離間し、前記バックプレートに電気的に接続された前置増幅器基板をさらに含み、前記前置増幅器は前記膜及び前記バックプレートの間の静電容量を測定し、この測定された静電容量を電圧に変換する請求項1に記載の超低周波聴診器。
【請求項3】
前記前置増幅器基板、前記バックプレート及び前記膜は、互いに平行である請求項2に記載の超低周波聴診器。
【請求項4】
前記バックプレートは複数の孔を画定し、前記バックプレートの外径と前記本体の内壁との間にスロットが画定され、前記孔の位置及び寸法並びに前記スロットの寸法は、前記膜の動きが実質的に臨界的に減衰されるように選択された請求項2に記載の超低周波聴診器。
【請求項5】
前記本体に取り付けられ、それを通る通路及び少なくとも一つの開口を有する導電支持プレートと、前記支持プレートの前記通路を通って延びる絶縁部材と、前記絶縁部材を通ってそこから延び、前記バックプレート及び前記前置増幅器基板に電気的に接続された導電部材とをさらに含み、前記バックプレートは前記支持プレートの一側にあり、前記前置増幅器基板は前記支持プレートの他側にある請求項2に記載の超低周波聴診器。
【請求項6】
前記バックプレートは、前記絶縁部材に装着されている請求項5に記載の超低周波聴診器。
【請求項7】
スロットが、前記前置増幅器基板及び約0.025″の長さを有する前記本体の間に画定された請求項2に記載の超低周波聴診。
【請求項8】
前記前置増幅器基板は、前記本体に約0.1287立方インチの体積を有する第一室を画定し、前記本体に約0.6立方インチの体積を有する第二室を画定する請求項7に記載の超低周波聴診器。
【請求項9】
前記前置増幅器基板は、前記本体に約0.1287立方インチの体積を有する第一室を画定し、前記本体に約0.6立方インチの体積を有する第二室を画定する請求項2に記載の超低周波聴診器。
【請求項10】
前記マイクロホンから離間したデジタイザ基板をさらに含む請求項2に記載の超低周波聴診器。
【請求項11】
前記前置増幅器基板からの信号がデジタル化され、遠隔地に電子的に送信される請求項2に記載の超低周波聴診器。
【請求項12】
前記信号は、有線によって電子的に送信される請求項11に記載の超低周波聴診器。
【請求項13】
前記信号は、無線によって電子的に送信される請求項11に記載の超低周波聴診器。
【請求項14】
前記本体カプラは、それに取り付けられた可撓性で非導電のダイアフラムを有するリングで形成され、前記リングは前記本体に取り付けられた請求項1に記載の超低周波聴診器。
【請求項15】
前記リング及び前記本体は、螺合により接続された請求項14に記載の超低周波聴診器。
【請求項16】
前記本体カプラは、出口ポートを有する壁、及び前記出力ポートに取り付けられたカテーテルで形成された請求項1に記載の超低周波聴診器。
【請求項17】
前記本体は前記第二の開口を取り囲む出口ポートを有し、前記可撓管は前記出口ポートに螺合により取り付けられた請求項1に記載の超低周波聴診器。
【請求項18】
前記マイクロホンから離間したデジタイザ基板をさらに含む請求項1に記載の超低周波聴診器。
【請求項19】
前記前置増幅器基板からの信号は、デジタル化され、遠隔地に電子的に送信される請求項1に記載の超低周波聴診器。
【請求項20】
前記信号は電子的に実時間で送信される請求項19に記載の超低周波聴診器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
この出願は、2014年10月2日提出の米国仮特許出願第62/058794号の利益及び優先権を主張する、2015年3月16日提出の米国非仮特許出願第14/658584号の利益及び優先権を主張し、それら内容は参照により本明細書に全体が組み込まれる。
【0002】
連邦政府支援の研究又は開発に関する言明
本明細書に記載された発明は、NASA契約の下で米国政府の従業員の業務の履行でなされ、公法96から517(35USC§202)の規定が適用され、それについて又はそのための使用料の支払いなしで政府によって又は政府のために製造及び使用してよい。35USC§202に従い、選択された契約者は、権利を保持しない。
【0003】
技術分野
本開示は、生理的過程を監視するための超低周波聴診器“infrasonic stethoscope”(又はインフラスコープ“infrascope”)に関し、詳しくは、無線超低周波聴診器に関する。
【背景技術】
【0004】
20ヘルツより低い周波数の音は、「超低音“infrasound”」と名付けられる。超低音の特に有用な性質は、長距離にわたり僅かな減衰で伝播することである。超低周波音がこのような特性を有するのは、超低周波の周波数では大気吸収が実質的に無視できること、成層圏に音響的「天井」があり、そこでは高度に対する音速の正の勾配が超低周波線の地球への反射を生じるからである。長距離にわたる超低周波伝播(例えば、数千キロメートル)は、主として大気の上層からの屈折によるものであるが、短距離の伝播は直接経路によるものである。
【0005】
異なる人間及び動物の組織を通る密度、音響インピーダンス及び音速は、聴診の位置に応じて変化する。音響信号が組織層を通るとき、元の信号の振幅は、音響信号源の深さより減衰するようになる。減衰(すなわち、エネルギー損失)は、吸収、反射、及び異なる組織の界面における散乱に起因することがある。また、減衰の程度は、音波の周波数及びそれが伝わる距離に依存する。一般的に言って、高周波音響信号は高い減衰に関連付けられるため、組織への浸透も制限されるが、低周波数は減衰の問題がないため、医師に心臓の機能のより良い理解を提供する。心臓信号の60%を超える電力スペクトル密度は、超低周波帯域幅に該当する。心臓などの異なる人体器官から検出された低周波音響信号は、心臓及び肺臓を監視するための医師に価値がある。
【0006】
マイクロホン及び聴診器は、生理的条件を監視するための音を検出する際に医師によって規則的に使用される。心音図検査は、心拍を監視するだけでなく、心臓を流れる血液の可聴音を検出するために、75年以上にわたり使用されている。これらの生理的状態のモニタは人体に直接結合され、過程は特定の帯域幅の信号を聴くか又は記録するかのいずれかによって測定される。呼吸及び心臓活動のような生理的過程は、1/10ヘルツから500ヘルツまでの異なる周波数帯域幅に反映される。他の聴診器は、可聴周波数帯域幅のみを監視することができ、20Hzより低い超低周波数を監視することはできない。20ヘルツより低い低周波音響信号は可聴ではないが、医師に有用な情報を提供することができる。
【0007】
正常な心臓の内側には、右心房、左心房、右心室、及び左心室の4室がある。心臓の機能は、一方向に流れる血液を維持することである。弁が開くと、弁は通過する血液を適切な量にすることができ、その後、心拍の間に血液が逆流しないように維持するために閉じる。患者の心臓の状態の容易でかつ比較的安価な評価は、胸の音によって決定することができる。良い聴診への鍵は、高音及び低音にある。心臓が反動すると、血液は右心房から三尖弁を通って右心室に流れる。
【0008】
その後、血液は、適切な量の酸素を取り込むために、肺動脈弁(時には半月弁と称される。)を通って肺に流入する。血液は肺から戻り左心房に流れ、僧帽弁を通って左心室に入る。その後、血液は、大動脈弁を通って大動脈に送り込まれ、体の他の部分に出て行き体細胞に酸素及び栄養を提供する。全四室(右心房、右心室、左心房、及び左心室)は、正常な心臓が適切に機能するのにちょうど正しい時間に収縮しなければならない。適切なタイミングは、心臓の電気経路によって調整される。電気信号は、洞房結節(SA結節)と房室結節(AV結節)によって生成される。
【0009】
右心房に位置するSA結節は、対応する心室に血液を押し出すために、両方の心房の収縮を開始する細胞群である。心房及び心室の間の絶縁のため、SA結節信号は心室に直接続行しないが、AV結節を通り、それは、心房及び心室の間の右心房の床に位置する別の細胞群である。AV結節は、心臓から血液を押し出すために心室が収縮する前に、心房が空で閉じていることを確保するために信号を調整する。SA結節は、毎分60回から100回の間で拍動するように心臓を刺激するために信号を送信する。
【0010】
心臓血管系は複雑であり、心臓の電気システムから大小の血管まで内部のどこでも問題が生じ得る。60を上回る異なる種類の心血管疾患があり、それらのすべては幾分かは心臓又は血管システムに影響を及ぼす。心音は心臓の拍動によって生成され、その結果として生じた血流が心臓の状態について重要な情報を提供することができる。健康な成人では、二つの正常な心音は心拍に続いて起こる。第一の音は、心房及び心室の間に位置する房室弁(すなわち、僧帽弁及び三尖弁)の閉鎖に基づいて生成され、S1と称される。第二の音は、半月弁(すなわち、肺動脈弁及び大動脈弁)の閉鎖の結果として生成され、それは、動脈を介して心臓を離れるときに血流を制御し、S2と称される。
【0011】
第一の心音S1は、四つの連続する成分から構成されている。第一に左心室収縮の開始と同時に発生する小さな低周波振動であり、第二に僧帽弁閉鎖(M1)に関連した容易に聴き取れる高周波数振動であり、第三に三尖弁閉鎖に関連した第二高周波成分であり、第四に大血管への血液の加速と同時に発生する小さな周波振動である。
【0012】
これらの正常な音に加えて、様々な種類の他の音も存在することがあるが、これらの音を拾うためには最低音響背景雑音レベルの好感度マイクロホン及びフィルタが必要である。第三の低周波音は、拡張期の開始時に聞けることがあり、S3と称される。第四の音は、心房収縮の間の遅い拡張期に聴こえることがあり、S4と称される。これらの音は、心雑音、不定音、心室性ギャロップ及びギャロップリズムに関連付けることができる。S4は、高血圧及び急性心筋梗塞についての情報を提供する。
【0013】
心臓音S1、S2、S3、及びS4は、特定の心臓活動に帰することができる。S1は、心室収縮(10から140ヘルツの帯域)の開始に起因している。S2は、半月弁(10から400ヘルツの帯域)の閉塞に起因している。S3は、心室ギャロップに起因してもよく、それは、心室の急速な充填(すなわち、拡張期)中に聴こえることがある。S4は、心房性ギャロップに起因することがあり、それは、心房収縮の間であって、遅い拡張期に聴こえることがある。S3及びS4は、非常に低い強度であり、増幅したときに外部から聴くことができる。
【0014】
他の音は、僧帽弁の開放音又は大動脈への血液の駆出音であることがあり、それらは、狭窄又は逆流のような弁の機能不全を示している。他の高周波雑音が、収縮期又は拡張期の間に二つの主要な心音の間に発生することがあり得る。雑音は無害ではあり得ず、特定の心臓血管の欠陥も示し得る。
【0015】
連続胎児心拍モニタリングは、胎児の健康状態を評価するための重要なステップである。胎児の心拍数は、胎児が酸素を十分に取得しているかどうかを示すことがある。大抵の場合、胎児の心拍数のために超音波トランスデューサが使用されるが、これは、従来の聴診器が母体の腹腔から信号を拾うことが望ましくないからである。母の腹部の脂肪又は胎児の位置によって、受動的に胎児の心臓を監視することが困難なことがあり、大抵の場合に超音波トランスデューサが使用され、超音波パルスが胎児に向かって放射され、反射パルスがモニタリングのために使用される。十分な反射信号が受信されないと、超音波パルスの侵入深さが増加し、それは、品質及び信号対雑音比を低下させることがある。高周波超音波信号は、腹部の脂肪による吸収、反射、及び散乱によって減衰するようになる。超低周波信号は相対的に非常に低い減衰係数を有し、したがって信号はより良い信号対雑音比を有して高品質であり、婦人科医に有用であることが期待される。
【0016】
多くの心音は低い強度レベルで低周波帯域にあり、医師の耳によって知覚することができない有用な情報を取得するために非常に敏感な超低周波マイクロホンを要することがある。受動フィルタは、低及び高周波帯域を個別に記録するために有用であることがある。音は、短い持続期間で及び高度に非定常的であるが、収縮期及び拡張期の時間間隔を測定することを可能にし、それは、診断に重要である。
【0017】
したがって、従来技術によって提示された不利益を克服するモニタリング装置の必要性がある。
【発明の概要】
【0018】
超低周波聴診器(又はインフラスコープ)又は患者の生理的過程のモニタリングは、可聴周波数帯域及び超低周波帯域の音響信号を検出することが可能なマイクロホンを含んでいる。マイクロホンは本体を有し、それは、第一及び第二の離間した開口部を含んでいる。本体カプラは実質的に気密シールを形成するために本体の第一の開口に取り付けられ、本体カプラは生理的過程をモニタするために患者に取り付けることができる。可撓管は、マイクロホンの第二の開口で本体に取り付けられている。イヤーピースは、可撓管に取り付けられている。本体カプラは、患者からの音をマイクロホンに、次いでイヤホンに送るために患者に取り付けることができる。
【0019】
本発明のこれら及び他の特徴、利益、及び目的は、以下の明細書、特許請求の範囲、及び添付図面をさらに参照することによって当業者により理解及び認識されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0020】
開示された実施形態の構造及び動作の構成及び方法は、それらのさらなる目的及び利益と共に、以下の記載を参照することによって、添付の図面との関係で考慮することによって最も理解されることがあるが、それは、必ずしも一定の縮尺で描かれたものではなく、同様の参照番号は同様の構成要素を参照している。
【0021】
図1図1はインフラスコープの実施形態の斜視図であり、患者の外部モニタリングに使用することができる。
図2図2はカテーテルに取り付けられたインフラスコープの斜視図であり、患者の内部の胎児のモニタリングに使用される。
図3図3は一対のインフラスコープの斜視図であり、ドップラー心音図検査に使用することができる。
図4図4、心音の帯域幅を示すグラフである。
図5図5は、本発明のインフラスコープの一部を形成するマイクロホン及びマイクロホンに取り付けられ第一実施形態に従い、及び本開示のインフラスコープの一部を形成する本体カプラの断面図である。
図5A図5Aは第二実施形態に係る本体カプラの断面図であり、本開示のインフラスコープの一部を形成している。
図6図6は、患者の骨格の概略図である。
図7図7は、インフラスコープからの信号がどのように送信されて分析されるかの過程に関するフローチャートである。
図8図8は、図6の位置AでECG又はEKGと称される心電図の信号を参照して収集されたインフラスコープ信号のチャートである。
図9図9は、図6の位置AでECG又はEKGと称される心電図の信号を参照して収集されたインフラスコープ信号のチャートである。
図10図10は、図6の位置PでECG又はEKGと称される心電図の信号を参照して収集されたインフラスコープ信号のチャートである。
図11図11は、図6の位置PでECG又はEKGと称される心電図の信号を参照して収集されたインフラスコープ信号のチャートである。
図12図12は、図6の位置TでECG又はEKGと称される心電図の信号を参照して収集されたインフラスコープ信号のチャートである。
図13図13は、図6の位置TでECG又はEKGと称される心電図の信号を参照して収集されたインフラスコープ信号のチャートである。
図14図14は、図6の位置MでECG又はEKGと称される心電図の信号を参照して収集されたインフラスコープ信号のチャートである。
図15図15は、図6の位置MでECG又はEKGと称される心電図の信号を参照して収集されたインフラスコープ信号のチャートである。
図16図16は、図6の位置TでECG又はEKGと称される心電図の信号を参照して収集されたインフラスコープ信号のチャートである。
図17図17は、図6の位置TでECG又はEKGと称される心電図の信号を参照して収集されたインフラスコープ信号のチャートである。
図18図18は、1Hzから1000Hzまでの第一の被験者についてECG又はEKGと比較したインフラスコープデータのチャートを示している。
図19図19は、1Hzから1000Hzまでの第二の被験者についてECG又はEKGと比較したインフラスコープデータのチャートを示している。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本開示は異なる形態での実施形態が可能であるが、図面に示され、本明細書で詳細に説明され、特定の実施形態は本開示が本開示の原理の例示し、図示及び記載された開示を限定することを意図しないと理解される。したがって、特記しない限り、本明細書に開示された特徴は、他に簡潔のために図示されなかった追加的な組み合わせを形成するために一緒に組み合わされてもよい。また、いくつかの実施形態において、図面に例として図示された一つ以上の構成要素を除去及び/又は本開示の範囲内の他の構成要素で代替されることが理解されるであろう。
【0023】
図1に示すように、インフラスコープ20は、患者の生理的過程を監視するために提供される。インフラスコープ20は、0.03Hzから1000Hzまで、又はそれに代わって0.03Hzから500Hzまでの帯域幅で信号を検出する。これらの帯域幅は、人間の耳に聞こえる信号及び聞こえない信号を含んでいる。インフラスコープ20は、心臓モニタリング、外部胎児モニタリング、内部胎児モニタリング、ストレス心音図検査試験、ドップラー心音図検査、生体認証及びポリグラフを含むが、これらに限定されない様々な人間の再理学的過程を測定する複数の用途を有している。心臓活動によって生成された可聴及び不可聴音の帯域幅は図4に示され、それは、周波数(Hz)の関数としてエネルギー分布(dynes/cm)を示している。
【0024】
インフラスコープ20は、マイクロホン22、マイクロホン22に取り付けられた本体カプラ24又は24a、マイクロホン22に取り付けられた可撓管26、及び可撓管26に取り付けられたイヤーピース28を含んでいる。内部胎児モニタリングについては、図2に示し、本明細書でさらに記載するように、本体カプラ24aが使用され、マイクロホン22が本体カプラ24aを介してカテーテル23に接続されている。
【0025】
マイクロホン22は米国特許第8401217号に記載されたマイクロホンと実質的に同じであり、修正点が本明細書に記載されている。米国特許第8401217号の内容は、参照によりその全体が援用される。
【0026】
マイクロホン22は、図5に最も良く示され、カップ状本体30、カップ状支持プレート32、絶縁部材34、導体36、バックプレート38、膜40、及び低雑音前置増幅器基板42を含んでいる。
【0027】
本体30は、近位端及び遠位端を有する円筒形の側壁44、本体30の近位端にある端壁46、端壁46から近位に延在する接続ポート48を有している。本体30は、ステンレス鋼やアルミニウムなどの金属で形成されている。側壁44及び端壁46は、本体30内の内部空洞50を画定している。本体30の遠位端は、開口52が本体30に画定されるように開放されている。ねじ山形状54が、遠位端で側壁44の外面に設けられている。端壁46は、それを通る開口56を除いて、本体30の近位端を実質的に閉じ、側壁44に対して垂直に延在してもよい。開口56は、端壁46の中央に位置してもよく、接続ポート48と連通している。接続ポート48は、端壁46から近位に延び、それを通る通路58を有し、それは、開口56を介して空洞50と連通している。接続ポート48の外面は、その上にねじ山形状60を有している。開口62は、側壁44の近位端から離間した位置で側壁44を通って備えられている。
【0028】
支持プレート32は、側壁44の内面に取り付けられ、空洞50内に装着されている。支持プレート32は金属で形成され、側壁44の直径に及ぶ円形で端壁46に平行な底壁64、及びそれに応じて底壁64から遠位に延在する側壁6を有している。側壁66は、自由端で終わっている。側壁66は、本体30の側壁44の内面に係合し、側壁66の自由端が本体30の遠位端に近接し、底壁64が本体30の遠位端から離間するようにされている。支持プレート32は溶接などの適切な手段によって本体30に固定され、アセンブリ全体が前置増幅器基板42のグランドに接続することができるようにされている。このような構成の結果、遠位室68が底壁64及び本体30の遠位端の間に形成され、近位室70が底壁64及び本体30の近位端の間に形成される。底壁64はそれを通る開口72を有し、それは、中央に位置してもよい。底壁64は、空気が遠位室68から近位室70に流れることができるように、それを通る少なくとも一つの開口74又はスロットも有している。
【0029】
絶縁部材34は、プラスチック、セラミック、木材又は適切な絶縁材料から形成されてもよく、支持プレート32の開口72内に装着され、支持プレート32から導体36、バックプレート38及び前置増幅器基板42を電気的に隔離するために使用されている。図示されているように、絶縁部材34は、開口72から延びる中央部76、底壁64の遠位側で中央部76から径方向に外側に延びる近位部78、及び底壁64の近位側で中央部76から径方向に外側に延びる遠位部80を有している。通路82は、中央部76を通って延びている。
【0030】
バックプレート38は、導電材料で形成され、底壁88から形成され、さらに底壁88から垂直に延びる近位延在部90から形成されてもよい。バックプレート38は、例えば、導電性セラミックス、真鍮、又はステンレス鋼によって形成されてもよい。通路89は、その近位面から遠位面まで底壁88を通って、備えられているなら延在部90も、通って延びている。恒久的に偏極した薄いポリマーフィルム91が、バックプレート38の遠位面にコーティングされている。偏極した薄いポリマーフィルム91は、外部電源を必要とすることなく動作する。米国特許第8401217号に記載されているように、バックプレート38は、それを通る離間した複数の孔92を有している(二つの孔が図5に見られる)。延在部90は、絶縁部材34の遠位部80に係合し、導体36の遠位端に固定され、バックプレート38及び導体36が電気的に連通されるようにしている。バックプレート38の底壁88は、支持プレート32の底壁64に平行である。スロット94は、バックプレート38の外径及び本体30の側壁44の間に画定されている。バックプレート38及び本体30の近位端の間の領域は、後室を画定している。
【0031】
導体36は、通路82、89を通って延び、近位室70内に延びている。導体36は、バックプレート38に電気的に接続されている。図示されているように、導体36は、導電性ロッド又はワイヤ84で形成され、それは、通路82、89を通って延び、導電性ロッド86は導電性ロッド又はワイヤ84及び絶縁部材34から近位に延びている。二つの構成部品から形成されていると、構成部品は互いに適切な電気的な接続を形成するように相互に接続されている。ロッド又はワイヤ84及びロッド86は、真鍮で形成されてもよく、異なる導電性材料で形成されてもよい。導体36の近位端は、端壁46に近接するが、離間され、それらの間にギャップが画定されているようされている。
【0032】
膜40は、可撓導電性材料で形成され、支持プレート32の側壁66の遠位自由端に装着され、膜40が、遠位室68内に配置され、本体30の遠位端に近接するが離間するようにされている。膜40の直径は、膜40が側壁66内の留まるように選択されている。膜40は、本体30の端壁46及び支持プレート32の底壁64に平行である。その結果、膜40は支持プレート32と電気的に連通している。膜40の張力は、約400ニュートン毎メートルより小さくてもよい。
【0033】
バックプレート38は、膜40に近接するが、離間し、米国特許第8401217号に記載されているように、マイクロホン22にコンデンサを作成するために、膜40及びバックプレート38との間にエアギャップ98が形成されるようにしている。米国特許第8401217号に記載されているように、孔92の数、位置及び寸法、スロット94の寸法、並びに後室の内部容積は、十分な空気の流れによって膜40の動きの適切な減衰を提供することができるように選択されている。米国特許第8401217号に記載されているように、後室は、バックプレートの孔92を通る空気の流れのための貯蔵槽として機能している。
【0034】
例示的な実施形態では、膜40は、約1.05インチ(0.0268メートル)の直径を有している。膜40は、以下の特性/寸法を有してもよい。
半径=0.0134メートル
厚さ=2.54×10−5メートル
密度=8000キログラム/メートル
張力=400N/メートル
面密度=0.1780キログラム/メートル
応力=47.4045PSI
マイクロホン22は空気層を含んでもよく、それは、以下の特性/寸法を有してもよい。
エアギャップ=2.54×10−5メートル
密度=1.2050キログラム/メートル
粘度=1.8×10−5パスカル秒
エアギャップを通る音速=290.2メートル毎秒
ガンマ=1.4
マイクロホン22はスロット94を含んでもよく、それは、以下の特性/寸法を有してもよい。
バックプレートの中心からの距離=0.0117メートル
幅=0.00351メートル
深さ=0.00114メートル
面積=0.000258メートル
バックプレート38は六つの孔92を画定してもよいし、各孔92は以下の特性/寸法を有してもよい。
バックプレートの中心から孔の中心までの距離=0.00526メートル
半径=0.002メートル
深さ=0.045メートル
バックプレートの中心から孔のいずれかの側縁に向かう二本の直線の間の角度=43.5度
面積=1.26×10−5メートル
また、マイクロホン22は、以下のさらなる特性/寸法を有してもよい。
後室の容積=5×10−5メートル
膜の質量=480キログラム/メートル
膜コンプライアンス=3.2×10−11メートル/ニュートン
エアギャップコンプライアンス=3.5×10−10メートル/ニュートン
【0035】
一実施形態では、マイクロホン22の共振周波数は3108.01ヘルツであってもよい。
【0036】
前置増幅器基板42は平坦であり、導体36の近位端から径方向に外向きに延びている。前置増幅器基板42は、適当な手段によって導体36の近位端に接続され、前置増幅器基板42及び真鍮ねじ99のような導体36の間に電気的な接続が存在するようにしている。前置増幅器基板42は、本体30の端壁36、支持プレート32の底壁64、及びバックプレート38の底壁88と平行である。前記増幅器基板42の位置は、前置増幅器基板42及び本体30の端壁46の間に容積V1を有する第一の近位室100、及び前置増幅器基板42及び支持プレート32の底壁64の間に容積V2を有する第二の遠位室102を画定している。スロット104は、空気が遠位室102から近位室100に流れるように、前置増幅器基板42の外径及び本体30の側壁44の間に画定されている。実施形態では、容積V1は約0.1287立方インチであり、容積V2は約0.6立方インチである。空気は、遠位室102から近位室100にスロット104のみを通って流れることができる。実施形態では、このスロット104は、前置増幅器基板42の外径及び側壁44の間に約0.025″のクリアランス距離を有し、そこで、スロット104が前置増幅器基板42の周りに延びている。
【0037】
電気的な接続106は、側壁44の開口62を通って延び、適切な手段によって側壁44に封止されている。電気的な接続106は、ワイヤ108、110を介して前置増幅器基板42と電気的に連通している。前置増幅器基板42は、ワイヤ110を介して本体30にも電気的に接続され、それは、前置増幅器基板42にアースを提供している。前置増幅器基板42は、膜40及びバックプレート38の間の容量を測定し、この測定された容量を電圧に変換するための公知の構成部品を含んでいる。
【0038】
接続ポート48は、可撓管26の近位端に接続され、それは、ラテックス又はゴムで形成してもよく、管26の遠位端にイヤーピース28を有している。そのような可撓管26及びイヤーピース28は、典型的な聴診器のように、音を伝達するための技術分野では知られている。可撓管26は接続ポート48に取り付けられ、可撓管26と本体30との間に空気の交換がないように、管26を通る通路が遠位室100と通路58及び開口56を介して連通するようにされている。イヤーピース28は、医療従事者の耳に挿入されたとき、これによって、マイクロホン22の空洞50及びマイクロホン22の外部の間で空気が実質的に交換しないようにすることができる。可撓管26の長さは、最大可聴音がイヤーピース28で受け取られるように調整され、それは、医療従事者が所望の音を実時間で聴くために使用される。
【0039】
容積V1及びV2並びに前置増幅器基板42の周囲のスロット104の組み合わせは、圧力均等化のために十分な音響抵抗を提供し、低周波数閾値を低下させる。可撓管26がイヤーピース28に接続されたとき、増加した音響抵抗及び圧力均等化のためのより長い所要時間によって、これは低−3dB周波数を0.03Hzに低下させる。
【0040】
本明細書に記載されているように、マイクロホンは米国特許第8401217号と異なっていてもよく、それは、接続ポート48がマイクロホン22を可撓管26及びイヤーピース28に接続するために設けられ、本体30が接続ポート48に完全に封止されていない点であり、前置増幅器基板42が後室を二つの低位室100及び102に分割するために本体30に水平に取り付けられ、前置増幅器基板42が膜40に水平であり、米国特許第8401217号の位置のように膜40に直交して垂直に配置されていない点であり、米国特許第8401217号のグリッドが除去され、その代わりに、本体30が本体カプラ24又は24aを本体30の遠位端に連結するためのねじ山54を含む点である。
【0041】
本体カプラ24、24aは、本体の遠位端でねじ山形状54に螺合され、本体カプラ24、24a及び本体30の間で空気の交換がないようにされる。一実施形態では、図5に示すように、本体カプラ24は外リング114で形成され、それは、それに取り付けられ、リング114の直径に及ぶ可撓性非導電ダイアフラム116を有している。外リング114は、熱可塑性ポリウレタンエラストマー(TPU)又は異なる密度で作成することができる独立気泡ポリウレタンフォーム材料のいずれかで形成されてもよく、外リング114を本体30の遠位端に取り付けるための内ねじ山形状118を有している。TPU材料は、心臓からの音響信号の全スペクトルが記録されるときに使用され、独立気泡ポリウレタンフォーム材料は超低周波信号が記録されるときにのみ使用されるが、それは、この材料が受動フィルタとして作用し、可聴音が分離されるからである。取り付けられたとき、マイクロホン22の膜40及び本体カプラのダイアフラム116は、約0.1インチにわたり離間している。本体カプラ24は、生理的過程のモニタリングの間、患者の身体に配置されている。他の実施形態では、図5Aに示すように、本体カプラ24aは、内部に空洞126を画定する反対の近位端及び遠位端を有するカップ状の壁120、及び遠位端から延びる接続ポート122を有している。接続ポート122は、それを通る通路128を有し、それは空洞126と開口130によって壁120を通って流体連通している。接続ポート122の外面は、その上にねじ山形状を有していてもよい。壁120の近位端は開き、ねじ山形状124が壁120の内面に設けられている。壁120及び接続ポート122は、アルミニウム又は真鍮のいずれかで形成されている。本体カプラ24aの第二実施例では、可撓カテーテルチューブ23の近位端が接続ポート122に取り付けられ、ねじ山形状124がマイクロホン22の本体30のねじ形状54と係合している。このように、カテーテルチューブ23、本体カプラ24a、マイクロホン22の間の連結は、それを通って空気が入らないように密閉されている。知られているように、カテーテルチューブ23は、チューブ23の端に開口25を有している。チューブ23の端は、内部胎児モニタリングを提供するために、患者の膀胱132に挿入することができる。膀胱132は子宮134に近接し、音、特に超低周波音の伝達は、子宮134から、膀胱132に、開口25を介してカテーテルチューブ23に、そしてマイクロホン22に伝えられる。
【0042】
本明細書で説明したように、前置増幅器基板42は、底壁54に、及び膜24に平行になるように設置されている。前置増幅器基板42の端及び側壁44の間のスロット104は、音響抵抗を増加させるために、小さく、例えば0.025″である。組み合わせた容積V1及びV2並びに可撓チューブ26の容積は、5×10−5メートルである。音響抵抗の増加のため、圧力均等化は長くなり、より低い−3dB周波数を0.03Hzにすることを補助する。
【0043】
使用時に、本体カプラ24又はカテーテルチューブ23は、心臓、子宮からの、又はそれが配置された身体の他の位置からの入射音圧を検出する。例えば、図6に示すように、本体カプラ24は、患者の身体の位置A、P、T及び/又はMに配置されてもよい。音圧は、マイクロホン22内の膜40の動きを起こす。膜40の動きは、膜40及びバックプレート38の間の容量を変化させる。この電気信号は、バックプレート38から導体36を通って前置増幅器基板42に伝播し、それによって、前置増幅器基板42で比例した出力電圧を生成する。前置増幅器基板42は、ワイヤ112を介して接地されている。信号は、前置増幅器基板42から密封された電気接続106を通って電子基板に送られ、それは、データをデジタル化し、近くのコンピュータに無線で送信する。受信信号は、0.03から1000ヘルツの帯域幅で検出される。
【0044】
マイクロホン22は、エアギャップ98及びバックプレート38の孔92を使用することによって、所望の範囲にわたる平坦な周波数応答のために膜40の動きの減衰を提供する。膜40が振動するとき、膜40はエアギャップ98の空気層を圧縮及び拡張し、反作用の圧力を生成し、それは、膜40の動きと反対である。反作用圧力は空気流を生成し、主に二つの場所で、すなわち、膜40及びバックプレート38の間のエアギャップ98において、及び粘性境界層減衰のために大きな表面積を提供するバックプレート38の孔92において、減衰を導入する。
【0045】
米国特許第8401217号に記載されているように、直径3インチの超低周波マイクロホン22において、膜40の張力は約1500ニュートン毎メートルより小さくてもよい。例えば、膜40の半径は約0.0342メートルであり、膜40の張力は約1000ニュートン毎メートルより小さくてもよい。また、マイクロホン22の共振周波数は約1000ヘルツより小さくてもよい。さらに、後室の容積は、膜40のコンプライアンスを少なくとも3倍だけ超える低周波空気コンプライアンスを生成するように選択してもよい。一例では、膜40の半径は約0.0342メートルである。この例では、バックプレート38は6つの孔92を画定し、それぞれは約0.00302メートルの半径を有している。孔92は、バックプレート38上の仮想的な円に沿って等間隔であり、各孔92の中心は仮想的な円に沿って整列されている。仮想的な円の中心は、バックプレート38の中心と一致して位置し、仮想的な円の半径は約0.0105メートルである。スロット94の幅は約0.0144メートルであり、スロット94の面積は約0.00179m2である。
【0046】
約1.5インチの直径の超低周波マイクロホン22では、膜40の半径は約0.0134メートルであり、膜40の張力は約400ニュートン毎メートルより小さくてもよい。また、マイクロホン22の共振周波数は、約1500ヘルツより小さくてもよい。さらに、後室の容積は、膜40のコンプライアンスを少なくとも10倍だけ超える低周波空気コンプライアンスを生成するように選択してもよい。他の例では、膜40の半径は、約0.0134メートルである。この例では、6つの孔92のそれぞれの半径は約0.002メートルであり、仮想的な円の半径は約0.0117メートルである。スロット94の幅は約0.00351メートルであり、スロット94の面積は、約0.000258mである。後室の容積は、約0.00005mである。
【0047】
図7のブロック図に示すように、インフラスコープ20からの信号は、アナログデジタルデジタイザ基板140を介してデジタル化される。ひとたびデジタル化されると、信号は、無線で又はケーブルでラップトップ又はパーソナルコンピュータのようなワークステーション142に送信される。144において、時間履歴は、図6に示すように位置A、T、P及びMのような患者の異なる位置で収集されたデータについて描かれる。ワークステーション142は、記録されたデータの管理、分析、及び表示装置を提供している。MATLABは、146及び148における対応するデータの短時間フーリエ変換(STFT)スペクトルを用いた実時間スペクトログラムを生成するように、データを処理するために使用してもよい。時間履歴及び生体信号のスペクトログラムは、望むなら観測及び分析のために、遠隔のワークステーション152にインターネット150によって転送される。そのような遠隔ワークステーション52の例は、遠隔のコンピュータモニタ、スマートフォン又はタブレットであってもよい。信号は、処理のためにPC又はラップトップに、有線接続を介して送信してもよく、市販のBluetooth(登録商標)モジュールを使用することによってなど、無線で送信してもよい。データは、スペクトログラムとも称される有用な視覚フォーマットに変換してもよく、それは、任意の異常を診断する医師に有益であることがある。短期スペクトルの表示は、データにおける短期イベントの出現を検出するために、実時間で実行される。
【0048】
図8から図17は、通常はECG又はEKGと称される心電図信号を参照して図6の位置A、P、T及びMで収集されたインフラスコープ信号のチャートを示している。図18及び19は、1Hzから1000Hzまでの二人の異なる被験者に関するECG又はEKGと比較したインフラスコープのデータを表示するチャートである。両方の被験者のECG信号は全く異なり、インフラスコープ信号もECGの傾向に従っている。
【0049】
インフラスコープ20は、ストレス心音図検査の試験のために使用することができる。いくつかの心臓の問題は、身体活動中にのみ起こる。ストレス心音図検査テストは、トレッドミル上の歩行又は固定式自転車に乗った直前及び直後にインフラスコープ20からの信号を使用して達成することができる。
【0050】
インフラスコープ20は、胎児の心拍数と子宮の収縮の強さ及び持続時間を追跡するために、妊娠、陣痛、及び分娩時に胎児の心臓のモニタリングに使用することができる。外部胎児心臓モニタリングは、本体カプラ24を患者の腹部に置き、休んでいるときと動いているときに赤ちゃんの心拍数を追跡し、陣痛及び分娩時の収縮の回数及び収縮がどれだけ持続するかを測定し、早期分娩があるかどうかを決定することを含んでいる。内部胎児心臓モニタリングは、図2に示され、本明細書で説明したカテーテル23を使用し、陣痛のストレスが赤ちゃんの健康を脅かすかどうかを決定し、陣痛収縮の強さと持続時間を測定する。
【0051】
図3に示すように、インフラスコープ20は、ドップラー心音図検査のために使用することができる。ドップラー心音図検査は、侵襲性手順なしで心臓内の血流を測定するために使用することができる。左心室充満圧及び血流は、二つのインフラスコープ20を用いて推定することができる。インフラスコープ20は、2次元速度推定及び画像化を決定するために、マイクロホン22に取り付けられた調整可能なロッド162を有する取付構造体160を用いることによって例えば位置A、P、T及びMのような所望の位置に配置することができる。
【0052】
インフラスコープ20は、生体識別のために使用することができる。指紋は識別のために100年を超えて使用されて来たが、生体認証のために心拍を使用すると、利便性やセキュリティなどのいくつかの利点がある。心拍署名は、ECG/EKGのいずれかを使用するか又は遠隔地でインフラスコープ20を使用することによって抽出することができる。セキュリティ特徴は、ユーザのECG又は音響署名は個人の同意なしにキャプチャすることができないということによって確保されている。指紋の他の欠点は、後に残されたサンプルを使用して複製することができるということである。超低周波帯域信号は、より良好でより高い信号対雑音比値及び生体認証のための他のツールを提供する。
【0053】
インフラスコープ20は嘘発見器に使用することができる。ポリグラフで測定される生理的過程は、心血管、皮膚電気、及び呼吸である。心血管反応の方向及び程度は、覚醒とみなされ得る刺激に応じて個体間で異なり得る。皮膚抵抗又はコンダクタンスの観点からの電気皮膚活動は、皮膚に電流を流すことによって測定される。制御された関連する質問に応じて、基礎レベルからの変化は、電気皮膚又はEDR応答又は電気皮膚活動レベルと称され、ポリグラフ解釈に使用される。呼吸の変化は、心拍数及び皮膚電気活動にも変化を及ぼし、関連する制御する質問への応答が人為産物であるかを決定するために監視される。現在、ポリグラフ時の呼吸数及び呼吸の深さは、胸部及び腹部に配置されたひずみゲージを使用して測定された変化によって測定される。超低周波信号の測定は、被験者の胸部又は腹部にインフラスコープ20を配置することによって実施することができ、呼吸及び心臓血管活動の変動を測定するための比較的安価なツールである。
【0054】
本開示のインフラスコープ20は、医療従事者が可聴帯域幅及び超低帯域幅を見ることを可能にし、それによって医療従事者に生理的過程を分析するための他のツールを提供する。インフラスコープ20は、呼吸器、心臓、及び胎児心臓のモニタリングのために使用することができる。インフラスコープ20は、生理的過程の信号を実時間で世界のどの場所にも転送することを可能にする。救急車はインフラスコープ20を装備することができ、医療従事者は実時間で患者の生理的情報を得ることができる。インフラスコープ20は、初期段階で異常を診断するための比較的安価なツールである。
【0055】
本開示を通じて使用された「患者」という用語は、人間及び動物を含み、それは、本発明が獣医の診療のための生理的過程をもモニタリングすることができると予想されるからである。
【0056】
本明細書に開示された全ての参考文献は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0057】
特定の実施形態が図示され、図面に関して説明されているが、当業者は、添付の特許請求の範囲の要し及び範囲から逸脱することなく様々な修正を工夫することができることが想定される。したがって、開示の範囲及び添付の特許請求の範囲は、図示され及び図面に関して説明されている特定の実施形態に限定されず、修正及び他の実施形態が開示及び添付の図面内に含まれることが意図されることが理解されよう。また、前述の説明及び関連する図面は構成要素及び/又は機能の特定の例の組み合わせの文脈おいて例示的な実施形態を説明しているが、開示の範囲及び添付の特許請求の範囲から逸脱することのない代替の実施形態によって提供されてもよいことが理解されるべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図5A
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
【手続補正書】
【提出日】2017年6月5日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の生理的過程を監視するためのインフラスコープで使用するためのマイクロホンであって、
近位端、遠位端、前記近位端及び前記遠位端の間に延びる本体側壁、前記近位端の端壁、並びに前記遠位端の開口を含む本体と、
実質的に気密シールを形成するように、前記遠位端であって前記開口の上に取り付けられ、前記患者に取り付けることができる本体カプラと、
前記本体側壁、前記端壁及び本体カプラによって取り囲まれた空洞と、
前記空洞内にあって、前記端壁との間に後室を画定する導電性バックプレートと、
前記空洞内にあって、コンデンサを形成するように前記導電性バックプレートと互いに離間された導電性膜と、
前記導電性バックプレートに電気接続され、(i)前記導電性膜及び前記導電性バックプレートの間の容量を測定し、前記測定された容量を電圧信号に変換することができ、(ii)前記導電性バックプレート及び前記導電性膜のそれぞれに平行な前置増幅器基板と
を含み、
前記マイクロホンは0.03ヘルツから1000ヘルツの周波数範囲の音響信号を検出することができるマイクロホン。
【請求項2】
前記空洞内の前記本体側壁の内面に取り付けられ、(i)前記空洞を前記本体の前記遠位端との間の遠位室及び前記本体の前記近位端との間の近位室に分割する底壁と、(ii)前記底壁内の底壁開口と、(iii)空気が前記遠位室から前記近位室に流れることを可能にする前記底壁内にあって少なくとも一つの開口又はスロットとを含む導電性支持プレートと、
前記導電性支持プレートの前記底壁開口を通って延びる絶縁部材と、
前記絶縁部材を通って延び、前記導電性バックプレート及び前記前置増幅器基板に電気的に接続された導体と
をさらに含み、
前記導電性バックプレートは前記導電性支持プレートの一側にあり、前記前置増幅器基板は前記導電性支持プレートの他側にある請求項1に記載のマイクロホン。
【請求項3】
(i)前記導電性バックプレートは複数の孔を画定し、(ii)スロットが前記導電性バックプレートの外径及び前記本体の内壁の間に画定され、(iii)前記孔の寸法及び前記スロットの寸法は膜の動きが実質的に臨界的に減衰されるように選択された請求項1又は2に記載のマイクロホン。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載のマイクロホンを含む、患者の生理的過程を監視するためのインフラスコープ。
【請求項5】
患者の身体内の一つ以上の位置から音圧を検出するためのものであって、請求項1から3のいずれか一項に記載のマイクロホン又は請求項4に記載のインフラスコープの使用。
【国際調査報告】