特表2017-538735(P2017-538735A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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特表2017-538735フェンタニルを含む経皮薬物送達デバイス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2017-538735(P2017-538735A)
(43)【公表日】2017年12月28日
(54)【発明の名称】フェンタニルを含む経皮薬物送達デバイス
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/4468 20060101AFI20171201BHJP
   A61P 23/00 20060101ALI20171201BHJP
   A61P 25/04 20060101ALI20171201BHJP
   A61K 9/70 20060101ALI20171201BHJP
   A61K 47/58 20170101ALI20171201BHJP
   A61K 47/14 20060101ALI20171201BHJP
   A61K 47/10 20060101ALI20171201BHJP
【FI】
   A61K31/4468
   A61P23/00
   A61P25/04
   A61K9/70 401
   A61K47/58
   A61K47/14
   A61K47/10
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】29
(21)【出願番号】特願2017-532823(P2017-532823)
(86)(22)【出願日】2015年12月17日
(85)【翻訳文提出日】2017年6月16日
(86)【国際出願番号】US2015066453
(87)【国際公開番号】WO2016100708
(87)【国際公開日】20160623
(31)【優先権主張番号】62/094,659
(32)【優先日】2014年12月19日
(33)【優先権主張国】US
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】505005049
【氏名又は名称】スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100110803
【弁理士】
【氏名又は名称】赤澤 太朗
(74)【代理人】
【識別番号】100135909
【弁理士】
【氏名又は名称】野村 和歌子
(74)【代理人】
【識別番号】100133042
【弁理士】
【氏名又は名称】佃 誠玄
(74)【代理人】
【識別番号】100157185
【弁理士】
【氏名又は名称】吉野 亮平
(72)【発明者】
【氏名】プレツラー プリンス,エイミー
(72)【発明者】
【氏名】カンター,アダム エス.
(72)【発明者】
【氏名】ウォール,スティーブン ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】ハート,ジョン アール.
(72)【発明者】
【氏名】ディジオ,ジェイムズ ピー.
(72)【発明者】
【氏名】シコラ,サラ
(72)【発明者】
【氏名】ハズバーグ,マイケル エル.
【テーマコード(参考)】
4C076
4C086
【Fターム(参考)】
4C076AA74
4C076BB31
4C076CC01
4C076DD37N
4C076DD38N
4C076DD45N
4C076DD46N
4C076EE13
4C076EE48
4C076FF34
4C076FF68
4C086AA01
4C086BC21
4C086MA03
4C086MA05
4C086MA32
4C086MA63
4C086NA10
4C086ZA04
4C086ZA08
(57)【要約】
経皮薬物送達デバイスは、支持体と、支持体上に配置された接着剤組成物と、を含む。接着剤組成物はコポリマーを含み、このコポリマーは、コポリマーの総重量に対して少なくとも50重量%のC〜C10アルキルアクリレート単位と、ビニルアセテート、アクリルアミド、エチルアクリレート、メチルアクリレート、及びN−ビニル−2−ピロリドンからなる群から選択される1種以上の第2のモノマー単位と、を有する。C〜C10アルキルアクリレート単位と1種以上の第2のモノマー単位は、合わせてコポリマーの少なくとも98重量%を占める。接着剤組成物は、接着剤組成物の総重量に対して5重量%〜25重量%の範囲の皮膚透過促進剤と、フェンタニルと、を更に含む。接着剤組成物は、未溶解のフェンタニルを実質的に含まない。経皮薬物送達デバイスを哺乳動物の皮膚上に配置することを含む、哺乳動物を治療する方法もまた、開示される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
経皮薬物送達デバイスであって、
支持体と、
前記支持体上に配置された接着剤組成物と、
を含み、前記接着剤組成物は、
コポリマーであって、前記コポリマーの総重量に対して少なくとも50重量%のC〜C10アルキルアクリレート単位と、ビニルアセテート、アクリルアミド、エチルアクリレート、メチルアクリレート、及びN−ビニル−2−ピロリドンからなる群から選択される1種以上の第2のモノマー単位と、を含むコポリマー(ここで、前記C〜C10アルキルアクリレート単位と、前記1種以上の第2のモノマー単位が、合わせて前記コポリマーの少なくとも98重量%を占める)と、
前記接着剤組成物の総重量に対して5重量%〜25重量%の範囲の皮膚透過促進剤と、
前記接着剤組成物の総重量に対して3重量%〜7.5重量%の範囲のフェンタニルと、
を含み、
前記接着剤組成物は、未溶解のフェンタニルを実質的に含まず、且つ、前記接着剤組成物は、前記支持体上に3〜6mg/cmの範囲の被覆重量の層として配置されている、経皮薬物送達デバイス。
【請求項2】
前記経皮薬物送達デバイス中の前記フェンタニル含量が最大0.3mg/cmである、請求項1に記載の経皮薬物送達デバイス。
【請求項3】
前記経皮薬物送達デバイスの72時間後の正規化累積流束が、フェンタニル1mg当たり少なくとも600μgである、請求項1又は2に記載の経皮薬物送達デバイス。
【請求項4】
経皮薬物送達デバイスであって、
支持体と、
前記支持体上に配置された接着剤組成物と、
を含み、前記接着剤組成物は、
コポリマーであって、前記コポリマーの総重量に対して少なくとも50重量%のC〜C10アルキルアクリレートと、ビニルアセテート、アクリルアミド、エチルアクリレート、メチルアクリレート、及びN−ビニル−2−ピロリドンからなる群から選択される1種以上の第2のモノマー単位と、を含むコポリマー(ここで、アルキルアクリレートと、前記1種以上の第2のモノマー単位が、合わせて前記コポリマーの少なくとも98重量%を占める)と、
前記接着剤組成物の総重量に対して5重量%〜25重量%の範囲の皮膚透過促進剤と、
フェンタニルと
を含み、
前記経皮薬物送達デバイス中の前記フェンタニル含量は最大0.5mg/cmであり、前記接着剤組成物は未溶解のフェンタニルを実質的に含まず、前記経皮薬物送達デバイスの72時間後の正規化累積流束は、フェンタニル1mg当たり少なくとも600μgである、経皮薬物送達デバイス。
【請求項5】
前記接着剤組成物が、フェンタニルを、前記接着剤組成物の総重量に対して3重量%〜7.5重量%の範囲で含む、請求項4に記載の経皮薬物送達デバイス。
【請求項6】
1.4〜1.9の範囲の形状係数を更に有し、前記形状係数は式:
(72時間×ピーク流束)/72時間中の累積流束
(式中、前記72時間×ピーク流束は72時間中のピーク流束であり、μg/cm/時の単位で測定され、前記72時間中の累積流束は、μg/cmの単位で測定される)によって示される、請求項1〜5のいずれか一項に記載の経皮薬物送達デバイス。
【請求項7】
約1.25mg、約2.5mg、約5mg、約7.5mg、及び約10mgからなる群から選択されるフェンタニル総含量を更に有する、請求項1〜6のいずれか一項に記載の経皮薬物送達デバイス。
【請求項8】
商品名「DURAGESIC」又は「DUROGESIC」でJohnson&Johnsonより入手される経皮フェンタニルマトリックス型パッチと生物学的に同等である、請求項1〜7のいずれか一項に記載の経皮薬物送達デバイス。
【請求項9】
前記コポリマーが前記第2のモノマー単位を少なくとも2種含み、前記C〜C10アルキルアクリレートと、前記第2のモノマー単位の少なくとも2種が、合わせて前記コポリマーの少なくとも98重量%を占める、請求項1〜8のいずれか一項に記載の経皮薬物送達デバイス。
【請求項10】
前記コポリマーが、前記C〜C10アルキルアクリレートを60〜97重量%の範囲で、アクリルアミド又はN−ビニル−2−ピロリドンのうちの少なくとも1種を3〜10重量%の範囲で、及びビニルアセテートを0〜30重量%の範囲で(ここで、各重量%は前記コポリマーの総重量に対するものである)含む、請求項1〜9のいずれか一項に記載の経皮薬物送達デバイス。
【請求項11】
前記コポリマーが、前記C〜C10アルキルアクリレートを50〜75重量%の範囲で、及びビニルアセテートを25〜50重量%の範囲で(ここで、各重量%は前記コポリマーの総重量に対するものである)含む、請求項1〜8のいずれか一項に記載の経皮薬物送達デバイス。
【請求項12】
前記C〜C10アルキルアクリレートが、イソオクチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、又はこれらの組み合わせである、請求項10又は11に記載の経皮薬物送達デバイス。
【請求項13】
前記接着剤組成物が、皮膚透過促進剤を、前記接着剤組成物の総重量に対して13〜20重量%の範囲で含む、請求項1〜12のいずれか一項に記載の経皮薬物送達デバイス。
【請求項14】
前記皮膚透過促進剤が、イソプロピルミリステート、テトラグリコール、メチルラウレート、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノラウレート、エチルオレエート、2−オクチル−1−ドデカノール、ラウリルラクテート、又はラウリルアルコールのうちの少なくとも1つを含む、請求項1〜13のいずれか一項に記載の経皮薬物送達デバイス。
【請求項15】
哺乳動物においてフェンタニルによる治療が可能な状態を治療する方法であって、
請求項1〜14のいずれか一項に記載の経皮薬物送達デバイスを、前記接着剤組成物が前記哺乳動物の皮膚と接触するように、前記哺乳動物の皮膚上に配置すること、及び
前記接着剤組成物を、前記哺乳動物においてフェンタニルの治療上有効な血中濃度を確立又は維持するのに十分な時間、前記皮膚上に留まらせること
を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2014年12月19日に出願された米国特許仮出願第62/094,659号の優先権を主張するものであり、その開示の全容が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
経皮薬物送達デバイスは、治療有効量の薬物を、患者の皮膚を通して送達するように設計されている。経皮薬物送達デバイスは、典型的には、送達される薬物が中に組み込まれる、担体(液体、ゲル、若しくは固体マトリックス、又は感圧接着剤等)を伴う。当該技術で既知のデバイスとしては、皮膚への薬物放出速度を制御する膜を含むリザーバー型デバイスと、薬物が感圧接着剤等のマトリックスの中に分散又は溶解されているデバイスと、が挙げられる。
【0003】
フェンタニルは極めて強力、且つ効果的な麻酔薬であり、鎮痛薬であることが、長く知られている。フェンタニルは、治療効果をもたらすために、クエン酸塩として静脈内(IV)又は筋肉内(IM)投与されることが最も多い。フェンタニルクエン酸塩は、その水への溶解度のため、注射剤への使用が好まれる。フェンタニルはまた、経皮パッチ又はトローチ剤として投与される場合もある。フェンタニルの薬物動態、用法・用量に関する更なる詳細については、モノグラフ「Fentanyl Citrate」,AHFS 98 Drug Information,ed.:G.K.McEvoy,American Society of Health−Systems Pharmacists,p.1677〜1683(1998)に見出すことができる。
【0004】
IV又はIM投与後、作用の発現は非常に速いが、血清中のフェンタニル濃度の低下も速く、頻繁に投与する必要がある。フェンタニルの鎮痛作用の最低有効血清中濃度は0.2〜2ng/mLの範囲である。その上、フェンタニルの経口吸収は低い。経粘膜及び経口投与の組み合わせを提供するトローチ剤は、突出癌性疼痛の治療に適応されるが、これもまた作用の持続時間が短い。
【0005】
フェンタニルの経皮投与により、前述の投与経路で必要とされる頻回投与の欠点を克服することができる。この投与により、拍動性送達によって得られるピーク及び谷を防止することができ、血清中濃度のピークに起因し得る重篤な副作用を起こさずに治療量を維持するのが容易となる。
【0006】
フェンタニルを72時間持続的に全身に送達する、米国特許第4,588,580号に記載のフェンタニル経皮システムは、「DURAGESIC」及び「DUROGESIC」という語を含む様々な商品名で入手可能である。Johnson&Johnsonにより販売されている「DURAGESIC」リザーバー型経皮フェンタニルパッチには、濃度が12.5、25、50、75、及び100μg/時のパッチがあり、フェンタニルの総含量は、パッチ1枚当たりそれぞれ1.25、2.5、5.0、7.5、及び10.0mgである。液体リザーバーは、アルコール、ゲル化剤、及びフェンタニルを含む。リザーバー型パッチは、典型的には、接着剤中薬物型(drug-in-adhesive)パッチよりも大きく嵩高で、製造費用もより高価である。また、フェンタニルの液体リザーバーからの漏出の可能性もある。フェンタニルをアクリレート接着剤中に有する、接着剤中薬物型パッチは、米国特許公開第2002/0119187号(Cantorら)、同第2004/0213832号(Venkatramanら)、同第2006/0039960号(Cordesら)、及び同第2004/0001882号(Tisa−Bostedtら)、並びに国際出願公開第2003/097008号(Stefanoら)に記載されている。Johnson&Johnsonにより販売されている「DURAGESIC」又は「DUROGESIC」マトリックス型経皮フェンタニルパッチ(DUROGESIC MAT、DUROGESIC D−TRANS、DUROGESIC SMATとしても商標化されている)には、濃度が12.5、25、50、75、及び100μg/時のパッチがあり、フェンタニルの総含量は、パッチ1枚当たりそれぞれ2.1、4.2、8.4、12.6、及び16.8mgである。
【発明の概要】
【0007】
一態様において、本開示は、支持体と、支持体上に配置された接着剤組成物と、を含む経皮薬物送達デバイスを提供する。接着剤組成物はコポリマーを含み、このコポリマーは、コポリマーの総重量に対して少なくとも50重量%のC〜C10アルキルアクリレート単位と、ビニルアセテート、アクリルアミド、エチルアクリレート、メチルアクリレート、及びN−ビニル−2−ピロリドンからなる群から選択される1種以上の第2のモノマー単位と、を有する。C〜C10アルキルアクリレートと1種以上の第2のモノマー単位は、合わせてコポリマーの少なくとも98重量%を占める。接着剤組成物は、接着剤組成物の総重量に対して5重量%〜25重量%の範囲の皮膚透過促進剤と、フェンタニルと、を更に含む。接着剤組成物は、未溶解のフェンタニルを実質的に含まない。
【0008】
前述の経皮薬物送達デバイスは、少なくともin vitroでは、「DURAGESIC」又は「DUROGESIC」マトリックス型経皮フェンタニルパッチの送達特性及び効率性能に匹敵し得ることが判明した。
【0009】
本開示による低薬物含量(例えば、低被覆重量又は低重量%のフェンタニル)の経皮薬物送達デバイスは、典型的には、高薬物含量のパッチよりも効率的にフェンタニルを送達することが更に判明した。したがって、いくつかの実施形態において、フェンタニルは、接着剤組成物の総重量に対して3重量%〜7.5重量%の範囲で存在し、接着剤組成物は、支持体上に被覆重量が3〜6mg/cmの層として配置される。いくつかの実施形態において、経皮薬物送達デバイス中のフェンタニル含量は最大0.5mg/cmであり、経皮薬物送達デバイスの72時間後の正規化累積流束(normalized cumulative flux)は、フェンタニル1mg当たり少なくとも600μgである。したがって、本経皮薬物送達デバイスは、いくつかの実施形態において、より多くの薬物をパッチ中に有する特定の競合製品と同量又はより多くのフェンタニルを送達することができる。
【0010】
他の一態様において、本開示は、哺乳動物においてフェンタニルによる治療が可能な状態を治療する方法を提供する。この方法は、上記の実施形態のいずれかに記載の経皮薬物送達デバイスを、接着剤組成物が哺乳動物の皮膚と接触するように、哺乳動物の皮膚上に配置することを含む。この方法は、接着剤組成物を、哺乳動物においてフェンタニルの治療上有効な血中濃度を確立又は維持するのに十分な時間、皮膚上に留まらせることを更に含む。
【0011】
用語「含む(comprises)」及びこの変化形は、明細書及び「特許請求の範囲」においてこれらの用語が現れる箇所で、限定的な意味を持たない。
【0012】
用語「アクリレート」は、アクリレート及びメタクリレートを包含する。
【0013】
本明細書で使用する「a」、「an」、「the」、「少なくとも1種の(at least one)」、及び「1種以上の(one or more)」は、互換的に使用される。
【0014】
また、本明細書において、端点による数値範囲の記載は、その範囲内に包含される全ての数を含む(例えば、1〜5は、1、1.5、2、2.75、3、3.80、4、5等を含む)。
【0015】
上記の本発明の概要は、本発明の開示される各実施形態又は全ての実施の記載を意図するものではない。下記の説明は、実例となる実施形態をより詳細に例示するものである。説明全般のいくつかの箇所において、実施例の列挙を通して指針が提供され、実施例は様々な組み合わせで用いることができる。各事例において、記載した列挙は代表的な群としての役割を果たすのみであり、排他的な列挙と解釈されるべきではない。
【発明を実施するための形態】
【0016】
いくつかの亜飽和の接着剤中薬物型(DIA)パッチが発売されている。しかしながら、これらのパッチは、Johnson&Johnsonにより商品名「DURAGESIC」で販売されている経皮フェンタニルリザーバー型パッチの長時間の送達に匹敵するよう、元のリザーバー型パッチよりも60%〜140%多い薬物を所定のパッチ濃度として含んでいる。フェンタニルは高価な薬物であるため、含量を最小化することが望ましい。更に、米国FDAは、潜在的な薬物乱用への懸念から、Johnson&Johnsonにより商品名「DURAGESIC」で販売されているリザーバー型パッチよりも著しく高含量の同種医薬品のDIAパッチの承認を拒絶している。
【0017】
Johnson&Johnsonにより商品名「DURAGESIC」で販売されている経皮フェンタニルリザーバー型パッチの送達特性及び効率性能に、典型的には少なくともin vitroで匹敵する、アクリレート接着剤組成物を含む経皮薬物送達デバイスが、今回見出された。
【0018】
本開示による経皮薬物送達デバイス中の接着剤組成物はコポリマーを含み、このコポリマーは、コポリマーの総重量に対して少なくとも50重量%のC〜C10アルキルアクリレート単位を含む。いくつかの実施形態において、接着剤組成物はコポリマーを含み、このコポリマーは、コポリマーの総重量に対して、少なくとも50重量%のC〜Cアルキルアクリレート単位を含み、いくつかの実施形態においては、少なくとも50重量%のCアルキルアクリレート単位を含む。このC〜C10アルキルアクリレート単位は、4〜10、6〜8、又は8個の炭素原子をアルキル基中に含むアルキルアクリレート及び4〜10、6〜8、又は8個の炭素原子をアルキル基中に含むアルキルメタクリレートからなる群から選択される1種以上のモノマーから構成される。好適なアルキルアクリレート及びアルキルメタクリレートの例としては、n−ブチルアクリレート、n−ペンチルアクリレート、n−ヘキシルアクリレート、イソヘプチルアクリレート、n−ノニルアクリレート、n−デシルアクリレート、イソヘキシルアクリレート、2−エチルオクチルアクリレート、イソオクチルアクリレート、及び2−エチルヘキシルアクリレート、並びにn−ブチルメタクリレート、n−ペンチルメタクリレート、n−ヘキシルメタクリレート、イソヘプチルメタクリレート、n−ノニルメタクリレート、n−デシルメタクリレート、イソヘキシルメタクリレート、2−エチルオクチルメタクリレート、イソオクチルメタクリレート、及び2−エチルヘキシルメタクリレートを挙げることができる。いくつかの実施形態において、アルキルアクリレート単位は、イソオクチルアクリレート単位、2−エチルヘキシルアクリレート単位、n−ブチルアクリレート単位、又はシクロヘキシルアクリレート単位のうちの少なくとも1種を含む。いくつかの実施形態において、アルキルアクリレート単位は、イソオクチルアクリレート単位又は2−エチルヘキシルアクリレート単位のうちの少なくとも1種を含む。いくつかの実施形態において、アルキルアクリレート単位はイソオクチルアクリレート単位を含む。いくつかの実施形態において、アルキルアクリレート単位は2−エチルヘキシルアクリレート単位を含む。
【0019】
接着剤組成物での使用に好適なコポリマーは、コポリマー中の全てのモノマー単位の総重量に対して、いくつかの実施形態では約50〜約97重量%、いくつかの実施形態では約60〜約97重量%、約50〜約75重量%、又は約60〜約75重量%のC〜C10アルキルアクリレート単位を含む。
【0020】
接着剤組成物での使用に好適なコポリマーは、コポリマー中の全てのモノマー単位の総重量に対して、いくつかの実施形態では約50〜約97重量%、いくつかの実施形態では約60〜約97重量%、約50〜約75重量%、又は約60〜約75重量%のC〜Cアルキルアクリレート単位を含む。
【0021】
接着剤組成物での使用に好適なコポリマーは、コポリマー中の全てのモノマー単位の総重量に対して、いくつかの実施形態では約50〜約97重量%、いくつかの実施形態では約60〜約97重量%、約50〜約75重量%、又は約60〜約75重量%のCアルキルアクリレート単位を含む。
【0022】
アクリレートコポリマーは、当業者によって補強モノマー単位とみなされることがある、第2のモノマー単位を更に含む。補強モノマー単位は典型的には接着剤組成物に補強をもたらし、使用中の分裂及び漏出を防止する。補強モノマーは、コポリマーのガラス転移温度を上昇させることによって機能することができ、個々のコポリマー間の分子間相互作用を引き起こし、共有結合によってコポリマーを架橋し、且つ/又は物理的にコポリマーを架橋する。本開示の実施に有用な第2のモノマーは、コポリマーのガラス転移温度を有利に上昇させる。好適な第2のモノマー単位は、ビニルアセテート、アクリルアミド、エチルアクリレート、メチルアクリレート、及びN−ビニル−2−ピロリドンのうちの少なくとも1種を含む。いくつかの実施形態において、コポリマーは、ビニルアセテート単位又はアクリルアミド単位のうちの少なくとも1種を含む。いくつかの実施形態において、コポリマーは、ビニルアセテート単位を含む。
【0023】
〜C10アルキルアクリレート単位と第2のモノマー単位は、合わせてコポリマーの少なくとも約98重量%を占める。いくつかの実施形態において、C〜C10アルキルアクリレート単位と第2のモノマー単位は、合わせてコポリマーの少なくとも約98.5重量%、99重量%、又は99.5重量%を占める。C〜C10アルキルアクリレート単位及び第2のモノマー単位の有用な個々の量は、第2のモノマー単位の選択に応じて変動する。
【0024】
いくつかの実施形態において、C〜Cアルキルアクリレート単位と第2のモノマー単位は、合わせてコポリマーの少なくとも約98重量%を占める。いくつかの実施形態において、C〜Cアルキルアクリレート単位と第2のモノマー単位は、合わせてコポリマーの少なくとも約98.5重量%、99重量%、又は99.5重量%を占める。C〜Cアルキルアクリレート単位及び第2のモノマー単位の有用な個々の量は、第2のモノマー単位の選択に応じて変動する。
【0025】
いくつかの実施形態において、Cアルキルアクリレート単位と第2のモノマー単位は、合わせてコポリマーの少なくとも約98重量%を占める。いくつかの実施形態において、Cアルキルアクリレート単位と第2のモノマー単位は、合わせてコポリマーの少なくとも約98.5重量%、99重量%、又は99.5重量%を占める。Cアルキルアクリレート単位及び第2のモノマー単位の有用な個々の量は、第2のモノマー単位の選択に応じて変動する。
【0026】
例えば、いくつかの実施形態において、ビニルアセテートは、コポリマーの総重量に対して最大50重量%で有用である場合がある。いくつかの実施形態において、ビニルアセテートは、コポリマーの総重量に対して5〜50、5〜30、25〜50、又は35〜50重量%の範囲で存在する。いくつかの実施形態において、コポリマーは、C〜C10アルキルアクリレートを50〜75重量%の範囲で、及びビニルアセテートを25〜50重量%の範囲で(ここで、各重量%はコポリマーの総重量に対するものである)含む。
【0027】
いくつかの実施形態において、コポリマーは、C〜Cアルキルアクリレートを50〜75重量%の範囲で、及びビニルアセテートを25〜50重量%の範囲で(ここで、各重量%はコポリマーの総重量に対するものである)含む。いくつかの実施形態において、ビニルアセテートは、C〜Cアルキルアクリレートとビニルアセテートとのコポリマーの総重量に対して5〜50、5〜30、25〜50、又は35〜50重量%の範囲で存在する。いくつかの実施形態において、ビニルアセテートは、C〜Cアルキルアクリレートとビニルアセテートとのコポリマーの総重量に対して最大50重量%の量で存在する。
【0028】
いくつかの実施形態において、コポリマーは、Cアルキルアクリレートを50〜75重量%の範囲で、及びビニルアセテートを25〜50重量%の範囲で(ここで、各重量%はコポリマーの総重量に対するものである)含む。いくつかの実施形態において、ビニルアセテートは、Cアルキルアクリレートとビニルアセテートとのコポリマーの総重量に対して5〜50、5〜30、25〜50、又は35〜50重量%の範囲で存在する。いくつかの実施形態において、ビニルアセテートは、Cアルキルアクリレートとビニルアセテートとのコポリマーの総重量に対して最大50重量%の量で存在する。
【0029】
アクリルアミド及びN−ビニル−2−ピロリドンは、ビニルアセテートよりも、コポリマーを硬化する傾向がある。したがって、これらの補強モノマー単位については、より低い量が、典型的には有用である。いくつかの実施形態において、N−ビニル−2−ピロリドン又はアクリルアミドのうちの少なくとも1種が、コポリマーの総重量に対して3〜10、5〜10、又は4〜8重量%の範囲で存在する。N−ビニル−2−ピロリドン又はアクリルアミドのうちの少なくとも1種が3重量%未満で唯一の第2のモノマー単位として存在する場合、その量は典型的には、接着剤組成物の使用中の分裂及び漏出を防止するには十分ではない。N−ビニル−2−ピロリドン又はアクリルアミドのうちの少なくとも1種が10重量%を超えて存在する場合、接着剤組成物は典型的には硬くなりすぎる。
【0030】
メチルアクリレート及びエチルアクリレートもまた、ビニルアセテートよりも、コポリマーを硬化する傾向がある。いくつかの実施形態において、エチルアクリレート又はメチルアクリレートのうちの少なくとも1種が、コポリマーの総重量に対して5〜25、5〜20、5〜15、又は10〜20重量%の範囲で存在する。
【0031】
いくつかの実施形態において、コポリマーは、C〜C10アルキルアクリレートを60〜97重量%の範囲で、アクリルアミド又はN−ビニル−2−ピロリドンのうちの少なくとも1種を3〜10重量%の範囲で、及びビニルアセテートを0〜30重量%の範囲で(ここで、各重量%はコポリマーの総重量に対するものである)含む。いくつかの実施形態において、コポリマーは、C〜C10アルキルアクリレートを50〜95重量%の範囲で、メチルアクリレート又はエチルアクリレートのうちの少なくとも1種を5〜20重量%の範囲で、及びビニルアセテートを0〜30重量%の範囲で(ここで、各重量%はコポリマーの総重量に対するものである)含む。
【0032】
いくつかの実施形態において、コポリマーは、C〜Cアルキルアクリレートを60〜97重量%の範囲で、アクリルアミド又はN−ビニル−2−ピロリドンのうちの少なくとも1種を3〜10重量%の範囲で、及びビニルアセテートを0〜30重量%の範囲で(ここで、各重量%はコポリマーの総重量に対するものである)含む。いくつかの実施形態において、コポリマーは、C〜Cアルキルアクリレートを50〜95重量%の範囲で、メチルアクリレート又はエチルアクリレートのうちの少なくとも1種を5〜20重量%の範囲で、及びビニルアセテートを0〜30重量%の範囲で(ここで、各重量%はコポリマーの総重量に対するものである)含む。
【0033】
いくつかの実施形態において、コポリマーは、Cアルキルアクリレートを60〜97重量%の範囲で、アクリルアミド又はN−ビニル−2−ピロリドンのうちの少なくとも1種を3〜10重量%の範囲で、及びビニルアセテートを0〜30重量%の範囲で(ここで、各重量%はコポリマーの総重量に対するものである)含む。いくつかの実施形態において、コポリマーは、Cアルキルアクリレートを50〜95重量%の範囲で、メチルアクリレート又はエチルアクリレートのうちの少なくとも1種を5〜20重量%の範囲で、及びビニルアセテートを0〜30重量%の範囲で(ここで、各重量%はコポリマーの総重量に対するものである)含む。
【0034】
いくつかの実施形態において、コポリマーは2重量%未満(いくつかの実施形態においては1重量%未満)のヒドロキシル置換モノマー単位(例えば、ヒドロキシエチルアクリレート)を含む。
【0035】
有用なコポリマー組成物は、C〜C10アルキルアクリレート及び補強モノマーと共重合性で、重量平均分子量が約500〜約500,000、約2,000〜約100,000、又は約4,000〜約20,000g/モルの範囲の、実質的に直線状のマクロモノマーを任意選択的に更に含み得る。マクロモノマーが使用される場合、コポリマー中の全てのモノマーの総重量に対して、概ね約20重量%以下、好ましくは約10重量%以下の量で存在する。好適なマクロモノマーとしては、末端に官能基を有する、ポリメチルメタクリレートマクロモノマー、スチレン/アクリロニトリルマクロモノマー、ポリエーテルマクロモノマー、及びポリスチレンマクロモノマーが挙げられる。有用なマクロモノマー及びこれらの調製の例は、米国特許第4,693,776号(Krampeら)に記載されており、この開示は参照により本明細書に組み込まれる。いくつかの実施形態において、マクロモノマーはポリメチルメタクリレートマクロモノマーである。
【0036】
上記のコポリマーは、例えば、米国特許第RE 24,906号(Ulrich)、同第4,732,808号(Krampe)、及び/又は同第7,097,853号(Garbe)に記載の任意の好適な方法によって調製することができ、これらの開示は参照により本明細書に組み込まれる。
【0037】
コポリマーの固有粘度は、例えば、本開示によるデバイスに使用される際に、最終的に好適な感圧接着剤を提供できる程度である。いくつかの実施形態において、コポリマーの固有粘度は、約0.2dL/g〜約2.0dL/g又は約0.3dL/g〜約1.4dL/gの範囲である。固有粘度は、米国特許第7,097,853号(Garbe)に記載のように測定することができる。
【0038】
フェンタニルは、接着剤組成物中に、接着剤組成物の総重量に対して約3重量%〜約7.5重量%の量で存在する。いくつかの実施形態において、フェンタニルは、接着剤組成物中に、組成物の総重量に対して約3重量%〜約7重量%、4重量%〜7.5重量%、又は5重量%〜7重量%の量で存在する。接着剤組成物は、未溶解のフェンタニルを実質的に含まない。フェンタニルは、典型的には、接着剤組成物中に完全に溶解される。未溶解のフェンタニルの存在は、光学顕微鏡で20倍の倍率で調べることにより、検出することができる。未溶解のフェンタニルが接着剤組成物中にあると、経時的に接着剤組成物の物理的不安定性を招くことがあるため、典型的には望ましくない。所望の治療結果を達成するのに十分なフェンタニルを送達する組成物中のフェンタニルの特定の量は、治療される状態、フェンタニルと共投与される任意の薬物、所望の治療持続時間、デバイスが配置される皮膚の表面積及び場所、並びに経皮送達デバイスの補助剤及び他の構成成分の選択によって変動する。
【0039】
所望であれば、接着剤組成物は、可塑剤又は粘着付与剤等の、コポリマーの特性を変更する構成成分を、当業者であれば容易に決定可能な量で含むことができる。
【0040】
本開示による薬物送達デバイスにおいて有用な接着剤組成物としては、皮膚透過促進剤が挙げられる。様々な皮膚透過促進剤が有用であり得る。好適な皮膚透過促進剤の例としては、オレイルアルコール及びラウリルアルコール等のC〜C36脂肪族アルコール、エチルオレエート、イソプロピルミリステート、ブチルステアレート、及びメチルラウレート等のC〜C36脂肪酸の低級アルキルエステル、テトラグリコール(テトラヒドロフルフリルアルコールポリエチレングリコールエーテル)、並びにプロピレングリコール、並びにこれらのいずれかの組み合わせが挙げられる。いくつかの実施形態において、皮膚透過促進剤は、イソプロピルミリステート、テトラグリコール、メチルラウレート、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノラウレート、エチルオレエート、イソプロピルミリステート、2−オクチル−1−ドデカノール、ラウリルラクテート、ラウリルアルコール、及びこれらのいずれかの組み合わせのうちの少なくとも1つを含む。いくつかの実施形態において、皮膚透過促進剤はメチルラウレートである。
【0041】
本開示による薬物送達デバイスにおいて有用な接着剤組成物中では、皮膚透過促進剤は、(典型的には、実質的に一様に)分散されているか、又は接着剤組成物中に溶解されており、且つ、以下に記載の皮膚透過モデルを用いて皮膚を通してのフェンタニルの透過の現象を測定したときに、皮膚透過促進剤を含まない同様の組成物と比較して、フェンタニルの透過を促進する量で存在する。皮膚透過促進剤の量はまた、典型的には経皮薬物送達デバイスにおける物理的特性にも影響する。例えば、コールドフローが十分に小さく、本発明のデバイスが、保存に際して非破壊的変形に対して安定であることが望ましい。本発明のデバイスは皮膚に良好に接着し、且つ皮膚からきれいに剥離することもまた望ましい。コールドフローに対する抵抗性、皮膚への接着及びきれいな剥離を達成するために、接着剤層においてこれらの特性について所望のバランスが得られるように、コポリマー中のコモノマーの量及び構造、コポリマーの固有粘度、並びに補助剤の量及び種類が選択される。
【0042】
皮膚透過促進剤の総量は、接着剤組成物の総重量に対して概ね約5重量%〜約25重量%である。皮膚透過促進剤が5重量%未満で存在する場合、皮膚を通してのフェンタニルの透過を促進するには、効果的ではない場合がある。皮膚透過促進剤が25重量%を超えて存在する場合、接着剤組成物は柔らかすぎて、残留物が皮膚上に残ってしまう場合がある。いくつかの実施形態において、接着剤組成物は、皮膚透過促進剤を、接着剤組成物の総重量に対して10重量%〜23重量%、10重量%〜20重量%、13重量%〜20重量%、又は15重量%〜20重量%の範囲で含む。
【0043】
いくつかの実施形態において、接着剤組成物は、約1.0×10−5〜5.0×10−5cm/ダインの剪断クリープコンプライアンス(下記の試験法により測定される)を有する。この範囲にある接着剤組成物は、皮膚に対して良好な適合及び接着を有し、皮膚上に過剰な残留物を残すほど柔らかすぎることはない。いくつかの実施形態において、剪断クリープコンプライアンスは1.0×10−5〜4.0×10−5cm/ダイン、1.5×10−5〜4.0×10−5cm/ダイン、又は1.5×10−5〜3.0×10−5cm/ダインである。
【0044】
いくつかの実施形態において、経皮薬物送達デバイスは、商品名「DURAGESIC」でJohnson&Johnsonより入手される経皮フェンタニルリザーバー型パッチと生物学的に同等である。すなわち、本開示による薬物送達デバイスは、商品名「DURAGESIC」でJohnson&Johnsonより入手される経皮フェンタニルリザーバー型パッチの送達特性に概ね匹敵する送達特性を有する。更に、いくつかの実施形態において、経皮薬物送達デバイスは、商品名「DURAGESIC」でJohnson&Johnsonより入手される経皮フェンタニルリザーバー型パッチの効率性能に概ね匹敵する効率性能を有する。
【0045】
いくつかの実施形態において、経皮薬物送達デバイスは、商品名「DURAGESIC」でJohnson&Johnsonより入手される経皮フェンタニルマトリックス型パッチと生物学的に同等である。すなわち、本開示による薬物送達デバイスは、商品名「DURAGESIC」でJohnson&Johnsonより入手される経皮フェンタニルリザーバー型パッチの送達特性に概ね匹敵する送達特性を有する。
【0046】
送達特性及び効率性能の比較は、2つの重要なin vitroパラメータ、すなわち、1)送達特性を示す「形状」係数(‘shape’factor)と、2)薬物の所定量に対して総流束(total flux)を示す正規化累積流束と、を用いて行うことができる。
【0047】
形状係数「S」は式:
S=(72時間×ピーク流束)/72時間中の累積流束
(式中、72時間×ピーク流束は72時間の透過試験中のピーク流束であり、μg/cm/時の単位で測定され、累積流束は72時間全体にわたり、μg/cmの単位で測定される)によって示される。仮にピーク流束が72時間全体にわたって維持された場合には、形状係数は1.0となる。そうでない場合には、72×(ピーク流束)が72時間にわたる累積流束よりも大きくなるため、形状係数は1よりも大きくなる。本開示による薬物送達デバイスの形状係数は、「DURAGESIC」パッチ(リザーバー型又はマトリックス型のいずれか)の形状係数と類似であることが望ましい。この形状の類似性は、生物学的同等性試験では、比較対象の製品のCmax(最高血漿中濃度)及びAUC(血漿曲線下面積)の両方が一致する(信頼区間の80〜125%以内)必要があるため、重要である。Cmax及びAUCは、一般にパッチのサイズを調整することにより直接調整することができるが、これらは互いに一致して変化する。送達形状のピークが鋭すぎるか、又は平坦すぎる場合には、Cmax及びAUCの両方を同時に一致させるのはより困難となる。「DURAGESIC」リザーバー型の形状係数は、以下の実施例に記載の方法に従った多数の異なるロットの死体皮膚についてのいくつかの透過性試験による流束データの平均を取ることにより、1.81と測定された。例えば、いくつかの実施形態において、形状係数は1.3〜2.2、1.4〜1.9、1.5〜1.9、又は1.6〜1.8の範囲である。形状係数は、パッチがどの程度素早く薬物を放出しきるかについて影響するため、ある程度、皮膚の相対的な透過性に影響される。したがって、形状係数の絶対値は、一般的には、同一のロットの皮膚で試験した対照試料(例えば、「DURAGESIC」リザーバー型)と比較すべきである。
【0048】
正規化累積流束は、フェンタニル1mg当たり(又は代替的に、「DURAGESIC」リザーバー型パッチ25μg/時中の含量に対応する、フェンタニル2.5mg当たり)の累積流束である。本開示による薬物送達デバイスの正規化累積流束が「DURAGESIC」リザーバー型パッチの正規化累積流束よりも大きい場合には、実験のパッチは、「DURAGESIC」リザーバー型パッチと等量の総含量を有するパッチから、同量以上のフェンタニルを送達するものと予想することができる。他の生物学的に同等な市販のアクリレートパッチの正規化累積流束は、「DURAGESIC」リザーバー型パッチの正規化累積流束よりもかなり低い。すなわち、これらの製品では、「DURAGESIC」リザーバー型パッチと比較した場合、生物学的に同等な送達に匹敵させるためには、過剰の薬物が必要となる。「DURAGESIC」リザーバー型パッチの正規化累積流束は、以下の実施例に記載の試験法に従った多数の異なるロットの死体皮膚についてのいくつかの透過性試験による流束データの平均を取ることにより、1681μg/(フェンタニル2.5mg)であることが判明した。したがって、「DURAGESIC」リザーバー型パッチの正規化累積流束は、672μg/(フェンタニル1mg)であることが判明した。例えば、いくつかの実施形態において、本開示による経皮薬物送達デバイスの72時間後の正規化累積流束は、フェンタニル1mg当たり少なくとも600μgであり、いくつかの実施形態においては、フェンタニル1mg当たり少なくとも610、620、650、又は675μgである。
【0049】
本開示による経皮薬物送達デバイスのこのより高い正規化累積流束は、本デバイスの効率についての根拠を提供する。本開示による経皮薬物送達デバイスは、より少量のフェンタニルを薬物送達デバイス中に使用して、市販のパッチと同一又はより高い量のフェンタニルを皮膚を通して送達することができる。いくつかの実施形態において、経皮薬物送達デバイス中のフェンタニル含量は最大0.5、0.45、0.4、0.35、又は0.3mg/cmである。いくつかの実施形態において、支持体への接着剤組成物の被覆重量を低下させることにより、高効率を予想外に達成することができる。いくつかの実施形態において、接着剤組成物は、支持体上に3mg/cm〜6mg/cm、3mg/cm〜5.5mg/cm、又は4mg/cm〜6mg/cmの範囲の被覆重量の層として配置される。被覆重量は、単位面積当たりの接着剤の重量である。この量は、薬物送達デバイス又は接着剤組成物を含むデバイスのある一定の領域を秤量し、支持体の重量を差し引くことによって求めることができる。
【0050】
本開示による経皮送達デバイスは、任意の有用な形態で作製することができる。例えば、薬物送達デバイスは、テープ、パッチ、シート、又はドレッシング材の形態で作製することができる。概して、本デバイスは予め選択された量のフェンタニルを皮膚を通して送達するのに好適なサイズのパッチの形態である。いくつかの実施形態において、12μg/時の濃度のデバイスの表面積は、パッチの場合約3cm〜約6cmである。いくつかの実施形態において、25μg/時の濃度のデバイスの表面積は、パッチの場合約6cm〜約15cmであり、いくつかの実施形態においては、約6cm〜約10cmである。いくつかの実施形態において、50μg/時の濃度のデバイスの表面積は、パッチの場合約12cm〜約30cmであり、いくつかの実施形態においては、約12cm〜約20cmである。いくつかの実施形態において、75μg/時の濃度のデバイスの表面積は、パッチの場合約18cm〜約45cmであり、いくつかの実施形態においては、約18cm〜約30cmである。いくつかの実施形態において、100μg/時の濃度のデバイスの表面積は、パッチの場合約24cm〜約60cmであり、いくつかの実施形態においては、約24cm〜約40cmである。本開示による経皮薬物送達デバイスは、例えば、約1.25mg、約2.5mg、約5mg、約7.5mg、及び約10mgからなる群から選択されるフェンタニル総含量を有することができる。
【0051】
本開示による経皮薬物送達デバイスはまた、支持体を含む。支持体は、典型的には、デバイスが皮膚に沿うように、可撓性である。支持体は通気性又は閉塞性であってもよく、布地、ポリマーフィルム、被覆紙製品、及びアルミニウムフィルムのうちの少なくとも1つを含んでもよい。いくつかの実施形態において、支持体は閉塞性支持体である。好適な支持体材料としては、感圧接着剤テープに使用される既存の可撓性支持体材料、例えば、ポリエチレン、特に低密度のポリエチレン、線形低密度ポリエチレン、メタロセンポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、ランダム配向ナイロン繊維、エチレン−ビニルアセテートコポリマー、ポリウレタン、レーヨン等の天然繊維等が挙げられる。ポリエチレンテレフタレート−アルミニウム−ポリエチレン複合体等の多層の支持体も好適である。支持体は典型的には、接着剤層の構成成分に対して実質的に不活性である。
【0052】
本開示による経皮デバイスは、コポリマー、皮膚透過促進剤、及びフェンタニルを、有機溶媒(例えば、エチルアセテート、イソプロパノール、メタノール、アセトン、2−ブタノン、エタノール、トルエン、アルカン、及びこれらの混合物)と混合し、コーティング組成物を提供することによって調製することができる。混合物は、均質なコーティング組成物が得られるまで振盪又は撹拌することができる。得られた組成物を、次に既存のコーティング方法(例えば、ナイフコーティング又は押出ダイコーティング)を用いて剥離ライナーに塗布し、所定の均一の厚さのコーティング組成物を提供することができる。好適な剥離ライナーとしては、既知のシート材料を含む既存の剥離ライナー、例えば、ポリエステルウェブ、ポリエチレンウェブ、ポリスチレンウェブ、又は好適なフルオロポリマー若しくはシリコーン系コーティングで被覆されたポリエチレン被覆紙が挙げられる。組成物で被覆された剥離ライナーは次に乾燥され、既存の方法を用い、支持体上に積層することができる。
【0053】
本開示の経皮薬物送達組成物は、鎮痛作用を誘発するために使用することができる。本開示は、哺乳動物においてフェンタニルによる治療が可能な状態を治療する方法を提供する。この方法は、上記の実施形態のいずれかに記載の経皮薬物送達デバイスを、接着剤組成物が哺乳動物の皮膚と接触するように、哺乳動物の皮膚上に配置することを含む。この方法は、接着剤組成物を、哺乳動物においてフェンタニルの治療上有効な血中濃度を確立又は維持するのに十分な時間、皮膚上に留まらせることを更に含み、例えば、目的とする鎮痛作用を維持する。十分な時間とみなされる時間は、本発明のデバイスによってもたらされる流束量及び治療される状態を考慮することにより、当業者によって選択することができる。
【0054】
送達される必要のあるフェンタニルの量及び治療的に有効であるために必要な血清中濃度は、個体間でかなりの変動を示す。継続使用に伴い、フェンタニルに対する耐性が一般に生じ、典型的には、治療時間の経過に伴い、用量を増加する必要性が生じる。この患者間及び患者内の変動のため、広範な治療上有効なフェンタニルの血清中濃度が報告されている。更なる詳細については、モノグラフ「Fentanyl Citrate」、AHFS 98 Drug Information,ed.:G.K.McEvoy,American Society of Health−Systems Pharmacists,p.1677〜1683(1998)及び「Fentanyl:A Review for Clinical and Analytical Toxicologists」,A.Poklis,Clinical Toxicology,33(5),439〜447(1995)に見出すことができる。
【0055】
本発明のいくつかの実施形態
第1の実施形態において、本開示は、
支持体と、
支持体上に配置された接着剤組成物と、
を含む経皮薬物送達デバイスを提供し、当該接着剤組成物は、
コポリマーであって、コポリマーの総重量に対して少なくとも50重量%のC〜C10アルキルアクリレート単位と、ビニルアセテート、アクリルアミド、エチルアクリレート、メチルアクリレート、及びN−ビニル−2−ピロリドンからなる群から選択される1種以上の第2のモノマー単位と、を含むコポリマー(ここで、C〜C10アルキルアクリレート単位と、1種以上の第2のモノマー単位が、合わせてコポリマーの少なくとも98重量%を占める)と、
接着剤組成物の総重量に対して5重量%〜25重量%の範囲の皮膚透過促進剤と、
接着剤組成物の総重量に対して3重量%〜7.5重量%の範囲のフェンタニルとを含み、接着剤組成物は、未溶解のフェンタニルを実質的に含まない。
【0056】
第2の実施形態において、本開示は、C〜C10アルキルアクリレート単位が6〜8個の炭素原子を有する、第1の実施形態に記載の経皮薬物送達デバイスを提供する。
【0057】
第3の実施形態において、本開示は、少なくとも1種の第2のモノマー単位が、ビニルアセテート、アクリルアミド、及びN−ビニル−2−ピロリドンからなる群から選択される、第1又は第2の実施形態に記載の経皮薬物送達デバイスを提供する。
【0058】
第4の実施形態において、本開示は、少なくとも1種の第2のモノマー単位が、ビニルアセテート及びアクリルアミドからなる群から選択される、第1〜第3の実施形態のいずれかに記載の経皮薬物送達デバイスを提供する。
【0059】
第5の実施形態において、本開示は、接着剤組成物が、支持体上に3〜6mg/cmの範囲の被覆重量の層として配置されている、第1〜第4の実施形態のいずれかに記載の経皮薬物送達デバイスを提供する。
【0060】
第6の実施形態において、本開示は、経皮薬物送達デバイスの72時間後の正規化累積流束が、フェンタニル1mg当たり少なくとも600μgである、第1〜第5の実施形態のいずれかに記載の経皮薬物送達デバイスを提供する。
【0061】
第7の実施形態において、本開示は、経皮薬物送達デバイス中のフェンタニル含量が最大0.5mg/cmである、第1〜第6の実施形態のいずれかに記載の経皮薬物送達デバイスを提供する。
【0062】
第8の実施形態において、本開示は、経皮薬物送達デバイス中のフェンタニル含量が最大0.3mg/cmである、第1〜第7の実施形態のいずれかに記載の経皮薬物送達デバイスを提供する。
【0063】
第9の実施形態において、本開示は、
支持体と、
支持体上に配置された接着剤組成物と、
を含む経皮薬物送達デバイスを提供し、当該接着剤組成物は、
コポリマーであって、コポリマーの総重量に対して少なくとも50重量%のC〜C10アルキルアクリレートと、ビニルアセテート、アクリルアミド、エチルアクリレート、メチルアクリレート、及びN−ビニル−2−ピロリドンからなる群から選択される1種以上の第2のモノマー単位と、を含むコポリマー(ここで、アルキルアクリレートと、1種以上の第2のモノマー単位が、合わせてコポリマーの少なくとも98重量%を占める)と、
接着剤組成物の総重量に対して5重量%〜25重量%の範囲の皮膚透過促進剤と、
フェンタニルとを含み、
経皮薬物送達デバイス中のフェンタニル含量は最大0.5mg/cmであり、接着剤組成物は未溶解のフェンタニルを実質的に含まず、経皮薬物送達デバイスの72時間後の正規化累積流束は、フェンタニル1mg当たり少なくとも600μgである。
【0064】
第10の実施形態において、本開示は、接着剤組成物が、フェンタニルを、接着剤組成物の総重量に対して3重量%〜7.5重量%の範囲で含む、第9の実施形態に記載の経皮薬物送達デバイスを提供する。
【0065】
第11の実施形態において、本開示は、1.4〜1.9の範囲の形状係数を更に有し、形状係数は式:
(72時間×ピーク流束)/72時間中の累積流束
(式中、72時間×ピーク流束は72時間中のピーク流束であり、μg/cm/時の単位で測定され、72時間中の累積流束は、μg/cmの単位で測定される)によって示される、第1〜第10の実施形態のいずれかに記載の経皮薬物送達デバイスを提供する。
【0066】
第12の実施形態において、本開示は、約1.25mg、約2.5mg、約5mg、約7.5mg、及び約10mgからなる群から選択されるフェンタニル総含量を更に有する、第1〜第11の実施形態のいずれかに記載の経皮薬物送達デバイスを提供する。
【0067】
第13の実施形態において、本開示は、商品名「DURAGESIC」又は「DUROGESIC」でJohnson&Johnsonより入手される経皮フェンタニルマトリックス型パッチと生物学的に同等である、第1〜第12の実施形態のいずれかに記載の経皮薬物送達デバイスを提供する。
【0068】
第14の実施形態において、本開示は、コポリマーが第2のモノマー単位を少なくとも2種含み、C〜C10アルキルアクリレートと、第2のモノマー単位の少なくとも2種が、合わせてコポリマーの少なくとも98重量%を占める、第1〜第13の実施形態のいずれかに記載の経皮薬物送達デバイスを提供する。
【0069】
第15の実施形態において、本開示は、コポリマーが、C〜C10アルキルアクリレートを60〜97重量%の範囲で、アクリルアミド又はN−ビニル−2−ピロリドンのうちの少なくとも1種を3〜10重量%の範囲で、及びビニルアセテートを0〜30重量%の範囲で(ここで、各重量%はコポリマーの総重量に対するものである)含む、第1〜第14の実施形態のいずれかに記載の経皮薬物送達デバイスを提供する。
【0070】
第16の実施形態において、本開示は、コポリマーが、C〜C10アルキルアクリレートを50〜95重量%の範囲で、メチルアクリレート又はエチルアクリレートのうちの少なくとも1種を5〜20重量%の範囲で、及びビニルアセテートを0〜30重量%の範囲で(ここで、各重量%はコポリマーの総重量に対するものである)含む、第1〜第14の実施形態のいずれかに記載の経皮薬物送達デバイスを提供する。
【0071】
第17の実施形態において、本開示は、コポリマーが、C〜C10アルキルアクリレートを50〜75重量%の範囲で、及びビニルアセテートを25〜50重量%の範囲で(ここで、各重量%はコポリマーの総重量に対するものである)含む、第1〜第13の実施形態のいずれかに記載の経皮薬物送達デバイスを提供する。
【0072】
第18の実施形態において、本開示は、C〜C10アルキルアクリレートが、イソオクチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、又はこれらの組み合わせである、第1〜第17の実施形態のいずれかに記載の経皮薬物送達デバイスを提供する。
【0073】
第19の実施形態において、本開示は、接着剤組成物が、皮膚透過促進剤を、接着剤組成物の総重量に対して13重量%〜20重量%の範囲で含む、第1〜第18の実施形態のいずれかに記載の経皮薬物送達デバイスを提供する。
【0074】
第20の実施形態において、本開示は、接着剤組成物が、皮膚透過促進剤を、接着剤組成物の総重量に対して15重量%〜20重量%の範囲で含む、第1〜第18の実施形態のいずれかに記載の経皮薬物送達デバイスを提供する。
【0075】
第21の実施形態において、本開示は、皮膚透過促進剤が、イソプロピルミリステート、テトラグリコール、メチルラウレート、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノラウレート、エチルオレエート、2−オクチル−1−ドデカノール、ラウリルラクテート、又はラウリルアルコールのうちの少なくとも1つを含む、第1〜第20の実施形態のいずれかに記載の経皮薬物送達デバイスを提供する。
【0076】
第22の実施形態において、本開示は、皮膚透過促進剤が、イソプロピルミリステート、メチルラウレート、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノラウレート、エチルオレエート、2−オクチル−1−ドデカノール、又はラウリルラクテートのうちの少なくとも1つを含む、第1〜第21の実施形態のいずれかに記載の経皮薬物送達デバイスを提供する。
【0077】
第23の実施形態において、本開示は、皮膚透過促進剤が、メチルラウレートを含む、第1〜第22の実施形態のいずれかに記載の経皮薬物送達デバイスを提供する。
【0078】
第24の実施形態において、本開示は、支持体が密封性支持体である、第1〜第23の実施形態のいずれかに記載の経皮薬物送達デバイスを提供する。
【0079】
第25の実施形態において、本開示は、哺乳動物においてフェンタニルによる治療が可能な状態を治療する方法を提供し、この方法は、
第1〜第24の実施形態のいずれかに記載の経皮薬物送達デバイスを、接着剤組成物が哺乳動物の皮膚と接触するように、哺乳動物の皮膚上に配置すること、及び
接着剤組成物を、哺乳動物においてフェンタニルの治療上有効な血中濃度を確立又は維持するのに十分な時間、皮膚上に留まらせることを含む。
【0080】
第26の実施形態において、本開示は、フェンタニルの濃度が約6重量%であり、皮膚透過促進剤が濃度約16.5%のメチルラウレートであり、且つ被覆重量が約4.5mg/cmである、第1の実施形態に記載の経皮デバイスを提供する。
【0081】
本発明の実施形態を下記の非限定的な実施例によって更に説明するが、これらの実施例に記載される特定の物質及びその量、並びに他の条件及び詳細は、本発明を不当に限定するものとして解釈すべきではない。
【実施例】
【0082】
実施例1
フェンタニル(0.8400g)及びメタノール/エチルアセテートの40:60ブレンド(0.4766g)を共に加え、フェンタニルの全てが溶解するまで混合し、フェンタニル溶液を調製した。メチルラウレート(2.6549)及び溶媒和コポリマー(イソオクチルアクリレート/アクリルアミド93:7のコポリマー28.2867gを固体31.2%でエチルアセテート/メタノール91:9中に含む)をフェンタニル溶液に加え、均質なコーティング配合物が得られるまで混合した。コーティング配合物を、湿潤厚さ230マイクロメートル(μm)で剥離ライナー(SCOTCHPAK(登録商標)9742フルオロポリマー被覆剥離ライナー、3M Companyより入手可)上にナイフコーティングした。被覆されたライナーを43℃で2分間、続いて63℃で4分間オーブンで乾燥した。被覆されたライナーを支持体(SCOTCHPAK(登録商標)9732ポリエステルフィルムラミネート、3M Companyより入手可)上に積層し、バルク経皮パッチラミネートを形成した。乾燥した被覆のフェンタニル及びメチルラウレートの見かけ濃度は、それぞれ7.0%及び20.0%であった。乾燥した接着剤マトリックスの被覆重量は、5.5mg/cmであった。適切なサイズの経皮パッチを、後続の試験用にバルクラミネートから切り出した。ヒト死体皮膚を通しての透過を、以下に記載の試験法を用いて測定した。結果を表1に報告する。接着剤のコンプライアンスを、以下に記載の試験法を用いて測定した。結果を表1に報告する。
【0083】
実施例2〜12
配合物を実施例1と同様に調製した。ただし、フェンタニル及びメチルラウレートの見かけ濃度並びに乾燥した接着剤マトリックスの見かけ被覆重量は、表1に示したように変更した。ヒト死体皮膚を通しての透過を、以下に記載の試験法を用いて測定した。結果を表1に報告する。接着剤のコンプライアンスを(測定した場合は)、以下に記載の試験法を用いて測定した。結果を表1に報告する。
【0084】
実施例13〜14
配合物を実施例11及び12と同様に調製した。ただし、溶媒和コポリマーは、イソオクチルアクリレート/アクリルアミド/ビニルアセテート75:5:20コポリマーの固体24.0%をエチルアセテート/メタノール90:10に含むものであった−注:この比はJPDにより確認)。ヒト死体皮膚を通しての透過を、以下に記載の試験法を用いて測定した。結果を表1に報告する。接着剤のコンプライアンスを、以下に記載の試験法を用いて測定した。結果を表1に報告する。
【0085】
実施例15
配合物を実施例1の一般手順に従い調製した。ただし、配合物は、メチルラウレートの代わりに軽質流動パラフィン(light mineral oil)NFを含んだ。乾燥した被覆のフェンタニル及び軽質流動パラフィンNFの見かけ濃度は、それぞれ7.0%及び10.0%であった。乾燥した接着剤マトリックスの被覆重量は、4.6mg/cmであった。ヒト死体皮膚を通しての透過を、以下に記載の試験法を用いて測定した。結果を表2に報告する。
【0086】
実施例16
配合物を実施例15の一般手順に従い調製した。ただし、乾燥した被覆のフェンタニル及び軽質流動パラフィンNFの見かけ濃度は、それぞれ7.0%及び20.0%であった。乾燥した接着剤マトリックスの被覆重量は、5.2mg/cmであった。ヒト死体皮膚を通しての透過を、以下に記載の試験法を用いて測定した。結果を表2に報告する。
【0087】
実施例17
配合物を実施例1の一般手順に従い調製した。ただし、配合物は、メチルラウレートの代わりにラウリルラクテートを含んだ。乾燥した被覆のフェンタニル及びラウリルラクテートの見かけ濃度は、それぞれ7.0%及び20.0%であった。乾燥した接着剤マトリックスの被覆重量は、5.6mg/cmであった。ヒト死体皮膚を通しての透過を、以下に記載の試験法を用いて測定した。結果を表2に報告する。
【0088】
実施例18
配合物を実施例1の一般手順に従い調製した。ただし、配合物は、メチルラウレートの代わりに、軽質流動パラフィンNFとラウリルラクテートとの組み合わせを含んだ。乾燥した被覆のフェンタニル、軽質流動パラフィンNF及びラウリルラクテートの見かけ濃度は、それぞれ7.0%、10.0%及び10.0%であった。乾燥した接着剤マトリックスの被覆重量は、5.3mg/cmであった。ヒト死体皮膚を通しての透過を、以下に記載の試験法を用いて測定した。結果を表2に報告する。
【0089】
実施例19
配合物を実施例1の一般手順に従い調製した。ただし、配合物は、メチルラウレートに加え、軽質流動パラフィンNFも含んだ。乾燥した被覆のフェンタニル、軽質流動パラフィンNF及びメチルラウレートの見かけ濃度は、それぞれ7.0%、10.0%及び10.0%であった。乾燥した接着剤マトリックスの被覆重量は、4.8mg/cmであった。ヒト死体皮膚を通しての透過を、以下に記載の試験法を用いて測定した。結果を表2に報告する。
【0090】
実施例20
配合物を実施例1の一般手順に従い調製した。ただし、配合物は、メチルラウレートに加え、ラウリルラクテートも含んだ。乾燥した被覆のフェンタニル、ラウリルラクテート及びメチルラウレートの見かけ濃度は、それぞれ7.0%、10.0%及び10.0%であった。乾燥した接着剤マトリックスの被覆重量は、5.1mg/cmであった。ヒト死体皮膚を通しての透過を、以下に記載の試験法を用いて測定した。結果を表2に報告する。
【0091】
実施例21
配合物を実施例1の一般手順に従い調製した。ただし、配合物は、メチルラウレートに加え、2−オクチル−1−ドデカノールも含んだ。乾燥した被覆のフェンタニル、2−オクチル−1−ドデカノール及びメチルラウレートの見かけ濃度は、それぞれ6.6%、12.0%及び12.0%であった。乾燥した接着剤マトリックスの被覆重量は、5.1mg/cmであった。ヒト死体皮膚を通しての透過を、以下に記載の試験法を用いて測定した。結果を表2に報告する。
【0092】
実施例22
配合物を実施例1の一般手順に従い調製した。ただし、配合物は、メチルラウレートの代わりに、エチルオレエートとプロピレングリコールとの組み合わせを含んだ。乾燥した被覆のフェンタニル、エチルオレエート及びプロピレングリコールの見かけ濃度は、それぞれ6.3%、12.0%及び12.0%であった。乾燥した接着剤マトリックスの被覆重量は、4.2mg/cmであった。ヒト死体皮膚を通しての透過を、以下に記載の試験法を用いて測定した。結果を表2に報告する。
【0093】
実施例23
配合物を実施例1の一般手順に従い調製した。ただし、配合物は、メチルラウレートの代わりに、エチルオレエートと軽質流動パラフィンNFとの組み合わせを含んだ。乾燥した被覆のフェンタニル、エチルオレエート及び軽質流動パラフィンNFの見かけ濃度は、それぞれ4.7%、12.0%及び12.0%であった。乾燥した接着剤マトリックスの被覆重量は、4.3mg/cmであった。ヒト死体皮膚を通しての透過を、以下に記載の試験法を用いて測定した。結果を表2に報告する。
【0094】
実施例24
配合物を実施例1の一般手順に従い調製した。ただし、配合物は、メチルラウレートの代わりに、エチルオレエートとイソプロピルミリステートとの組み合わせを含んだ。乾燥した被覆のフェンタニル、エチルオレエート及びイソプロピルミリステートの見かけ濃度は、それぞれ5.3%、12.0%及び12.0%であった。乾燥した接着剤マトリックスの被覆重量は、4.6mg/cmであった。ヒト死体皮膚を通しての透過を、以下に記載の試験法を用いて測定した。結果を表2に報告する。
【0095】
実施例25
配合物を実施例1の一般手順に従い調製した。ただし、配合物は、メチルラウレートの代わりに、プロピレングリコールモノラウレートと軽質流動パラフィンNFとの組み合わせを含んだ。乾燥した被覆のフェンタニル、プロピレングリコールモノラウレート及び軽質流動パラフィンNFの見かけ濃度は、それぞれ7.0%、12.0%及び12.0%であった。乾燥した接着剤マトリックスの被覆重量は、4.6mg/cmであった。ヒト死体皮膚を通しての透過を、以下に記載の試験法を用いて測定した。結果を表2に報告する。
【0096】
実施例26
配合物を実施例1の一般手順に従い調製した。ただし、配合物は、メチルラウレートの代わりに、2−オクチル−1−ドデカノールと軽質流動パラフィンNFとの組み合わせを含んだ。乾燥した被覆のフェンタニル、2−オクチル−1−ドデカノール及び軽質流動パラフィンNFの見かけ濃度は、それぞれ5.4%、12.0%及び12.0%であった。乾燥した接着剤マトリックスの被覆重量は、4.7mg/cmであった。ヒト死体皮膚を通しての透過を、以下に記載の試験法を用いて測定した。結果を表2に報告する。
【0097】
in vitro皮膚透過試験法
上記の実施例で言及した皮膚透過データは、下記の試験法を用いて取得した。剥離ライナーを1.0cmのパッチから除去し、パッチをヒト死体皮膚に適用し、押圧して皮膚と均一に接触させた。得られたパッチ/皮膚積層物を、垂直拡散セルの下部のオリフィス全体にわたり、パッチ側を上にして定置した。拡散セルを組み立て、下部に温かい(32℃)レセプタ液(0.1Mリン酸緩衝液、pH6.5)5mLを、レセプタ液が皮膚に接触するように充填した。サンプリングポートは、使用時以外は遮蔽した。
【0098】
セルは、実験中を通じて32±2℃に維持した。試料を確実に均質とし、皮膚の真皮側の拡散障壁を確実に低減するために、レセプタ液を、実験中を通じてマグネチックスターラーで撹拌した。レセプタ液の全量を所定の時間間隔で回収し、直ちに新鮮な液体と交換した。回収した液を、0.45μmのフィルタで濾過した。次いで、約1〜2mLを、既存の高速液体クロマトグラフィー(カラム:80A Extend C18 4.6mm×75mm、粒径3.5μm;移動相:35/65 25mM水酸化アンモニウム/アクリロニトリル。流速:1.5mL/分;検出器:UV 210nm;注入量:25μL;測定時間:3.0分)を用い、フェンタニルについて分析した。各時間間隔において皮膚を透過したフェンタニルの累積量をμg/cmで算出及び報告した。「正規化」累積流束CFnormは、フェンタニル含量2.5mgを有するサイズのパッチにより達成される、72時間における累積流束(CFnorm=(72時間における累積流束(Cum. flux)μg/cm)×(2.5mg)/(含量mg/cm))を計算することによって求めた。形状係数Sは、次のようにして求めた。すなわち、S=(72×ピーク流束)/(72時間における累積流束)。形状係数Sは、全時間にわたる平均流束と比較して、ピーク流束がどの程度高いかを示す。
【0099】
接着剤コンプライアンス試験法
剥離ライナーを試験対象材料の試料から取り除く。露出された接着剤面を縦方向に折り曲げ、「サンドイッチ」形状、すなわち、支持体/接着剤/支持体をもたらす。「サンドイッチ」形状の試料をラミネーターに通すか、あるいは手動式ローラーで圧着し、次いで5cmの試験試料を2つ、円形ダイを使用して切り出す。1つの試験試料は、パラレルプレート剪断クリープレオメーターの第1固定プレート上の中央に置く。剪断クリープレオメーターの小型の非固定プレートを第1固定プレート上の第1の試料上で中央に置き、重り(500g)に結合したストリングがレオメーターの前方になるようにする。第2の試験試料を、小型の非固定プレートの上面上の中央に置く。第2の固定プレートを第2の試験試料上に定置し、アセンブリ全体を固定し、固定プレートのずれを防止する。プレートは、水平配置で定置する。ストリングの末端部及び重りの反対側にある小型の非固定プレートの末端部を、変位測定機構によりモニターする。ストリングはレオメーターの前部プーリー上で伸長されるが、重りは最初は支持され、非固定プレートに力を加えない。重りの支持を取り除いて重りを自由懸垂させ、非固定プレートの変位を3分間測定する。3分における変位を用い、コンプライアンスJを、式:
J=2×A×X/(h×f)
[式中、Aは試験試料の1面の面積、hは接着剤集合体の厚さ(すなわち、試験対象試料のマトリックスの厚さの2倍)、Xは変位、fはストリングに結合した集合体による力である]を用いて計算する。全ての試験を22℃±1℃で実施する。
【表1】
【表2】
【0100】
本明細書で言及した特許、特許文献、及び刊行物の完全な開示内容は、それぞれが個々に組み込まれたかのように、それらの全容が参照により組み込まれる。本発明の範囲及び趣旨から逸脱のない、本発明への様々な改変及び変更が、当業者には明らかとなるであろう。本発明は、本明細書に記載された例示的な実施形態及び実施例によって過度に限定されることを意図するものではなく、かかる実施例及び実施形態は、例としてのみ提示され、本発明の範囲は、下記のとおりここに記載される「特許請求の範囲」によってのみ限定されることを意図するものと理解すべきである。
【国際調査報告】