特表2017-538836(P2017-538836A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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特表2017-538836改善された熱安定性を有する硬化性ベンゾオキサジン組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2017-538836(P2017-538836A)
(43)【公表日】2017年12月28日
(54)【発明の名称】改善された熱安定性を有する硬化性ベンゾオキサジン組成物
(51)【国際特許分類】
   C08G 14/073 20060101AFI20171201BHJP
【FI】
   C08G14/073
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
【全頁数】30
(21)【出願番号】特願2017-532915(P2017-532915)
(86)(22)【出願日】2015年12月8日
(85)【翻訳文提出日】2017年7月12日
(86)【国際出願番号】US2015064366
(87)【国際公開番号】WO2016099988
(87)【国際公開日】20160623
(31)【優先権主張番号】62/093,508
(32)【優先日】2014年12月18日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】62/134,210
(32)【優先日】2015年3月17日
(33)【優先権主張国】US
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】505005049
【氏名又は名称】スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100128381
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 義憲
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100211018
【弁理士】
【氏名又は名称】財部 俊正
(72)【発明者】
【氏名】ゴロディッシャー, イリア
(72)【発明者】
【氏名】ソレンソン, グレゴリー ピー.
(72)【発明者】
【氏名】マコーミック, マーク
(72)【発明者】
【氏名】ウィッコ, カトリ エム.
(72)【発明者】
【氏名】ウェッブ, ロバート ジェイ.
【テーマコード(参考)】
4J033
【Fターム(参考)】
4J033FA01
4J033FA04
4J033FA11
4J033FA12
4J033FA13
4J033HB02
(57)【要約】
硬化性ベンゾオキサジン組成物が記載されており、このベンゾオキサジンは、b.p.>200℃を有するアリールアミンから誘導される。硬化性組成物は、より大きな熱安定性があり、硬化の際に重量損失及び副生成物が低減される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式:
【化1】

[式中、
それぞれのRは、アルキル又はHであり、
それぞれのRは、H、アルキル基、アリール基又はベンゾオキサジン基であり、
yは、1〜4であり、
arylは、200℃を超える沸点を有するアリールアミンから誘導され、
N−Bzは、窒素連結ベンゾオキサジン基を表し、
zは、0〜3である。]
の硬化性ベンゾオキサジン、並びに
チオール化合物、アミン化合物及びこれらの組み合わせの群から選択される硬化剤。
【請求項2】
ビスフェノール−Aから誘導される、請求項1に記載の硬化性ベンゾオキサジン。
【請求項3】
arylは、210℃を超える沸点を有するアリールアミンから誘導される、請求項1に記載の硬化性ベンゾオキサジン。
【請求項4】
arylはアリールジアミンから誘導され、zは1である、請求項1に記載の硬化性ベンゾオキサジン。
【請求項5】
arylは、フェニル、ナフチル、アントラセニル及びビフェニルから選択され、これらはそれぞれ、場合により1つ以上のアルキル基又はアリール基により置換されており、Rarylは、b.p.>200℃を有する、請求項1に記載の硬化性ベンゾオキサジン。
【請求項6】
zは0又は1である、請求項1に記載の硬化性ベンゾオキサジン。
【請求項7】
b.p.>200℃を有するフェノールから誘導される、請求項1に記載の硬化性ベンゾオキサジン。
【請求項8】
前記硬化剤は多官能性である、請求項1に記載の硬化性ベンゾオキサジン。
【請求項9】
強化剤を更に含む、請求項1〜8のいずれか一項に記載の硬化性組成物。
【請求項10】
前記強化剤は、前記ベンゾオキサジンに対して、約3重量%〜35重量%で存在する、請求項9に記載の硬化性組成物。
【請求項11】
共触媒を更に含む、請求項1〜8のいずれか一項に記載の硬化性組成物。
【請求項12】
前記共触媒は酸触媒である、請求項11に記載の硬化性組成物。
【請求項13】
前記酸触媒はブロックされた酸触媒である、請求項12に記載の硬化性組成物。
【請求項14】
前記ブロックされた酸触媒はトシレートである、請求項13に記載の硬化性組成物。
【請求項15】
前記チオール硬化剤はポリチオールである、請求項1〜8のいずれか一項に記載の硬化性組成物。
【請求項16】
前記アミン硬化剤はポリアミンである、請求項1〜8のいずれか一項に記載の硬化性組成物。
【請求項17】
前記硬化剤は、下記式:
30−(ZH)
[式中、
30は、(ヘテロ)ヒドロカルビル基であり、
それぞれのZは、独立して、−S−又は−NR31(式中、R31は、H、又はアリール及びアルキルを含むヒドロカルビル基である。)であり、
pは、1〜6である。]
のものである、請求項1〜8のいずれか一項に記載の硬化性組成物。
【請求項18】
pは2〜6である、請求項17に記載の硬化性組成物。
【請求項19】
ベンゾオキサジン基の、「Z」基に対するモル量比が、3:2〜100:1である、請求項17に記載の硬化性組成物。
【請求項20】
ベンゾオキサジン基の、「Z」基に対するモル量比が、4:1〜50:1である、請求項17に記載の硬化性組成物。
【請求項21】
前記硬化剤が、ベンゾオキサジン同等物の少なくとも5wt%、60%までの量で存在する、請求項1に記載の硬化性組成物。
【請求項22】
エポキシ樹脂を更に含む、請求項1〜8のいずれか一項に記載の硬化性組成物。
【請求項23】
前記エポキシ樹脂は、前記ベンゾオキサジンに対して、3〜35wt%の量で使用される、請求項22に記載の硬化性組成物。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
(背景)
ベンゾオキサジン及びベンゾオキサジンを含有する組成物は知られている(例えば、Ishida et al.の米国特許第5,543,516号及び同第6,207,786号、S.Rimdusit and H.Ishida,「Development of New Class of Electronic Packaging Materials Based on Ternary Systems of Benzoxazine,Epoxy,and Phenolic Resins」,Polymer,41,7941〜49(2000)、並びにH.Kimura et al.,「New Thermosetting Resin from Bisphenol A−based Benzoxazine and Bisoxazoline」,J.App.Polym.Sci.,72,1551〜58(1999)を参照のこと)。
【0002】
米国特許第7,517,925号(Dershem et al.)は、ベンゾオキサジン化合物及びそれから調製される熱硬化性樹脂組成物について記載している。この組成物は、マイクロエレクトロニクスパッケージ内の界面における接着力を高めるため、硬化時の収縮を低減するため、熱膨張係数(CTE)を低下させるために有用であると言われている。
【0003】
米国特許第7,053,138号(Magendie et al.)は、プリプレグ及びラミネートの製造におけるベンゾオキサジン及び熱可塑性又は熱硬化性樹脂を含む組成物について記載している。この組成物から、高いガラス転移温度を有する防炎積層樹脂が得られると言われている。
【0004】
米国特許第6,376,080号(Gallo)は、ベンゾオキサジン及び複素環式ジカルボン酸を含む成形組成物を、この成形組成物を硬化してポリベンゾオキサジンを形成するのに十分な温度まで加熱することを含む、ポリベンゾオキサジンを調製する方法について記載している。この組成物は、硬化後の体積変化がほぼゼロであると言われている。
【0005】
米国特許第6,207,786号(Ishida et al.)は、ベンゾオキサジンモノマーを重合してポリマーにすることは、オキサジン環を別の構造、例えば、直鎖ポリマー又はより大きい複素環に変換するイオン性開環重合であると考えられると記述している。連鎖移動ステップは、得られるポリマーの分子量を制限し、いくつかの分枝を生じさせると考えられる。FTIR(フーリエ変換赤外)分析は、多くの場合に、オキサジン環からポリマーへの変換をモニターして、異なる温度における重合速度の推定値を提供するために使用される。NMR(核磁気共鳴)分光法を、ベンゾオキサジンモノマーからポリマーへの変換をモニターするために使用することもできる。
【0006】
エポキシ接着剤は、構造用接着剤用途で広く使用されており、要求の厳しい多くの工業用途に適している。しかし、エポキシは、制限された高温安定性、高吸湿性、収縮性及び重合時の大きな発熱が挙げられる、その使用を制限する多くの顕著な欠点を有する。
【0007】
エポキシにおける制限の多くを克服するために、ポリベンゾオキサジンが提案されている。ポリベンゾオキサジンは、硬化時に低い発熱を有し、収縮が少なく、より高い熱安定性を有し、副生成物が少なく、ベンゾオキサジンから容易に調製することができ、ベンゾオキサジンは、高収率でアミン、ホルムアルデヒド及びフェノールから容易に調製される。しかし、多くの用途において、硬化の際に生成される副生成物の量は、それらの使用を制限する。改善された熱安定性を有する硬化性ベンゾオキサジンを見出す努力が続けられている。
【0008】
(概要)
本開示は、b.p.>200℃を有するアリールアミンから誘導されるベンゾオキサジン化合物を含む硬化性組成物を対象とする。いくつかの実施形態において、ベンゾオキサジンは、更に、b.p.>200℃を有するフェノールから誘導される。硬化性組成物を硬化して、塗布剤、封止剤、接着剤及び多くの他の用途に有用な硬化組成物を生じさせることができる。本開示は、更に、ベンゾオキサジン化合物を含む硬化性組成物を提供し、これは、硬化されたとき、高温構造用接着剤用途に有用である。本開示は、重合をもたらすのに十分な温度及び時間により硬化性組成物を加熱することを含む、ポリベンゾキサジンを調製する方法を更に提供する。
【0009】
1つの実施形態において、本開示は、ベンゾオキサジンと、膜形成材料、共触媒、硬化剤又はこれらの組み合わせとを含む重合性組成物を提供する。特定の実施形態において、重合性組成物は、強靱化剤(すなわち、強化剤)、エポキシ樹脂、反応性希釈剤又はこれらの組み合わせを更に含むことができる。
【0010】
本開示は、ポリベンゾキサジンの重合の際に注目される欠点の多くを克服し、低沸点アミンから誘導されたものと比べて、硬化の際の良好な熱安定性及び少ない副生成物が挙げられる。
【0011】
いくつかの実施形態において、生成物であるポリベンゾキサジンは、良好な熱安定性を有する可撓性固体であり、多くの工業用途に有用である。
【0012】
出願者の実験結果は、求核剤によるベンゾオキサジンの開環の際に、ベンゾオキサジンが求核剤によりオキサジンメチレンを失う、メチレン交換が発生すると思われることを示している。この過程では、利用可能な水が制限されていても、求核剤は、それ自体がマンニッヒ構造のHO−CH−Nu及びHO−CH−Nu−CH−OHを形成する。この反応は、また、第二級及び第一級アミンを親ベンゾオキサジン第三級アミンから遊離させる。より高い温度(T>180℃)では、第二級アミン構造(これも、芳香族アミンから誘導されるベンゾオキサジン)は、更にベンジルアニリニウム転位を受け、これによって第一級アミンの更なる遊離をもたらす。米国特許出願第2014/034863号(Gorodisher et al.)を参照することができ、これは参照として本明細書に組み込まれる。ベンジルアニリニウム転位温度は、DSCにより決定することができる。
【0013】
ビスフェノール、ホルムアルデヒド及びアニリンから作製される市販のベンゾオキサジン(例えば、Araldite MT 35600、Araldite 35700など)を硬化する場合、遊離する第一級及び第二級アミンはアニリンである。これらのアニリン種は、反応して、イミニウムカチオンの求電子付加によってポリマー網状組織に共有結合することができる。遊離アニリンの物理的な蒸発が化学反応と競合する。ベンジルアニリニウム転位の際に、アニリンはほぼ沸点で遊離する。
【0014】
ベンゾオキサジン重合の際のアニリンの損失は、空隙及び欠陥をもたらし、不十分な塗布及び接着特性を与える。ベンゾオキサジン分子が誘導される完全なアミン/フェノール/ホルムアルデヒド化学量論の平衡を崩して、網状組織の強靱性及び水素結合の程度を低減する。
【0015】
沸点>200℃を有する芳香族アミンを選択することによって、アミンの蒸発損失が低減され、得られたベンゾオキサジンコーティングの熱安定性を改善し、欠陥を低減する。
【0016】
好ましくは、ベンゾオキサジンが誘導されるフェノールも、ベンジルアニリニウム転位温度を超える沸点、例えば200℃超を有する。
【0017】
本明細書において使用されるとき、用語「ベンゾキサジン」は、特徴的なベンゾキサジン環を有する化合物及びポリマーを含む。例示されるベンゾオキサジン基において、Rは、モノ−又はポリ−芳香族アミンの残基である。
【化1】
【0018】
本明細書において使用されるとき、「ポリベンゾオキサジン」は、2つ以上のベンゾオキサジン環を有する化合物を指す。
【0019】
本明細書において使用されるとき、「ポリ(ベンゾオキサジン)」は、ベンゾオキサジン又はポリベンゾオキサジン化合物の開環重合によってもたらされるポリマーを指す。
【0020】
本明細書において使用されるとき、「アルキル」は、直鎖、分枝鎖及び環状アルキル基を含み、非置換及び置換アルキル基の両方を含む。特に指定のない限り、アルキル基は、典型的には1〜20個の炭素原子を含有する。「アルキル」の例には、本明細書において使用されるとき、メチル、エチル、n−プロピル、n−ブチル、n−ペンチル、イソブチル、t−ブチル、イソプロピル、n−オクチル、n−ヘプチル、エチルヘキシル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、アダマンチル及びノルボルニルなどが挙げられるが、これらに限定されない。特に示されない限り、アルキル基は、1価又は多価でありうる。
【0021】
本明細書において使用されるとき、用語「ヘテロアルキル」は、独立してS、O、及びNから選択される1個以上のヘテロ原子を有する直鎖、分枝鎖及び環状アルキル基を含み、非置換及び置換アルキル基の両方を含む。特に指定のない限り、ヘテロアルキル基は、典型的には、1〜20個の炭素原子を含有する。「ヘテロアルキル」は、以下に記載される「ヘテロ(ヘテロ)ヒドロカルビル」の部分集合である。「ヘテロアルキル」の例には、本明細書において使用されるとき、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、3,6−ジオキサヘプチル、3−(トリメチルシリル)−プロピル、4−ジメチルアミノブタニルなどが挙げられるが、これらに限定されない。特に示されない限り、ヘテロアルキル基は、1価又は多価でありうる。
【0022】
本明細書において使用されるとき、「アリール」は、6〜18個の環原子を含有する芳香族であり、縮合環を含有することができ、これは、飽和、不飽和又は芳香族でありうる。アリール基の例には、フェニル、ナフチル、ビフェニル、フェナントリル及びアントラシルが挙げられる。ヘテロアリールは、窒素、酸素又は硫黄などの1〜3個のヘテロ原子を含有するアリールであり、縮合環を含有することができる。ヘテロアリールのいくつかの例は、ピリジル、フラニル、ピロリル、チエニル、チアゾリル、オキサゾリル、イミダゾリル、インドリル、ベンゾフラニル及びベンズチアゾリルである。特に示されない限り、アリール基及びヘテロアリール基は、1価又は多価でありうる。
【0023】
本明細書において使用されるとき、「(ヘテロ)ヒドロカルビル」は、(ヘテロ)ヒドロカルビルアルキル基及びアリール基、並びにヘテロ(ヘテロ)ヒドロカルビルヘテロアルキル基及びヘテロアリール基を含み、後者は、エーテル基又はアミノ基などの1つ以上のカテナリー酸素ヘテロ原子を含む。ヘテロ(ヘテロ)ヒドロカルビルは、場合によりエステル官能基、アミド官能基、尿素官能基、ウレタン官能基及びカーボネート官能基を含む1つ以上のカテナリー(鎖内)官能基を含有してもよい。特に指定のない限り、非重合性(ヘテロ)ヒドロカルビル基は、典型的には、1〜60個の炭素原子を含有する。このような(ヘテロ)ヒドロカルビルのいくつかの例には、本明細書において使用されるとき、上記の「アルキル」、「ヘテロアルキル」、「アリール」及び「ヘテロアリール」について記載したものに加えて、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、4−ジフェニルアミノブチル、2−(2’−フェノキシエトキシ)エチル、3,6−ジオキサヘプチル、3,6−ジオキサへキシル−6−フェニルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0024】
本明細書において使用されるとき、用語「残基」は、描写されている式中の結合している官能基又は結合している基の除去(又は反応)後に残る基の(ヘテロ)ヒドロカルビル部分を定義するために使用される。例えば、フェニレンジアミンHN−C−NHの「残基」は、2価アリール−C−である。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】実施例1及び比較例1のDSCプロットである。
図2】実施例2〜4及び比較例2のTGAプロットである。
【0026】
(詳細な説明)
本開示は、下記式:
【化2】

[式中、
それぞれのRは、アルキル又はHであり、
それぞれのRは、H、アルキル基、アリール基又はベンゾオキサジン基であり、
yは、1〜4であり、
arylは、200℃を超える、より好ましくは210℃を超える沸点を有するアリールアミンから誘導され、
N−Bzは、窒素連結ベンゾオキサジン基を表し、
zは、0〜3、好ましくは0又は1である。]の硬化性ベンゾオキサジン化合物を提供する。
【0027】
下付き文字zがゼロのとき、ベンゾオキサジンは芳香族モノアミンから誘導され、zが1のとき、ビス−ベンゾオキサジンは、芳香族ジアミンから誘導されることが、理解される。N−Bzは、全体が描写されているベンゾオキサジンと同じ構造を有する。
【0028】
ポリベンゾオキサジンの調製では、b.p.>200℃を有する芳香族アミンから誘導される任意のベンゾオキサジン化合物を使用することができる。ベンゾオキサジンは、フェノール化合物と、脂肪族アルデヒドと、アルキルアニリン又はナフチルアミンなどの第一級芳香族アミン(又はポリアミン)とを組み合わせることによって、調製することができる。参照によって本明細書に組み込まれる米国特許第5,543,516号(Ishida)及び米国特許第7,041,772号(Aizawa et al.)は、ベンゾキサジンを形成する方法を記載している。モノ−、ジ−及びより高い官能性のベンゾオキサジンを生成する他の適した反応スキームは、N.N.Ghosh et al.,Polybenzoxazine−new high performance thermosetting resins:synthesis and properties,Prog.Polym.Sci.32(2007),pp.1344〜1391に記載されている。
【0029】
出発ベンゾオキサジン化合物を生成する1つの適した方法は、以下の反応スキームにより例示され、
【化3】

[式中、
それぞれのRは、H又はアルキル基であり、かつ脂肪族アルデヒドの残基であり、
は、H、共有結合、フェノール又は多価(ヘテロ)ヒドロカルビル基、好ましくはH、共有結合又はアルキル基であり、
Arylは、b.p.>180℃を有する第一級アミノ化合物RAryl(NHのアリール残基であり、ここで、RArylはアリール基であり、mは1〜4であり、xは少なくとも1である。]のものである。
【0030】
基は、ポリフェノール化合物の一部であってもよく、このR基は、下記の式IVに例示されているように、別のベンゾオキサジン環と結合していてもよいことが理解される。同様に、RArylがポリアミンから誘導されうるように、RArylは、式Iに例示されているように、別のベンゾオキサジン環と結合することもできる。
【0031】
出発ベンゾオキサジンの調製では、モノ−又はポリフェノール化合物を使用することができる。フェノール化合物は制限なしに更に置換されうることが、望ましい。例えば、フェノール化合物の3、4、及び5位は、水素であってもよく、あるいはアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、ヘテロアラルキル、アルコキシ、アルコキシアルキレン、ヒドロキシルアルキル、ヒドロキシル、ハロアルキル、カルボキシル、ハロ、アミノ、アミノアルキル、アルキルカルボニルオキシ、アルキルオキシカルボニル、アルキルカルボニル、アルキルカルボニルアミノ、アミノカルボニル、アルキルスルホニルアミノ、アミノスルホニル、スルホン酸又はアルキルスルホニルなどの他の適切な置換基により置換されていてもよい。望ましくは、ヒドロキシル基のオルト位置のうちの少なくとも1つは、ベンゾオキサジン環形成を促進するために非置換である。
【0032】
フェノール化合物のアリール環は、描写されているフェニル環であってもよく又はナフチル、ビフェニル、フェナンスリル及びアントラシルから選択されていてもよい。フェノール化合物のアリール環は、窒素、酸素又は硫黄などの1〜3個のヘテロ原子を含有するヘテロアリール環を更に含んでいてもよく、縮合環を含有することができる。ヘテロアリールのいくつかの例は、ピリジル、フラニル、ピロリル、チエニル、チアゾリル、オキサゾリル、イミダゾリル、インドリル、ベンゾフラニル及びベンズチアゾリルである。
【0033】
単官能性フェノールの例には、フェノール、クレゾール、2−ブロモ−4−メチルフェノール、2−アリフェノール、4−アミノフェノールなどが挙げられる。二官能性フェノール(ポリフェノール化合物)の例には、フェノールフタレイン、ビフェノール、4−4’−メチレン−ジ−フェノール、4−4’−ジヒドロキシベンゾフェノン、ビスフェノール−A、1,8−ジヒドロキシアントラキノン、1,6−ジヒドロキシナフタレン、2,2’−ジヒドロキシアゾベンゼン、レソルシノール、フルオレンビスフェノールなどが挙げられる。三官能性フェノールの例には、1,3,5−トリヒドロキシベンゼンなどが含まれる。
【0034】
ベンゾオキサジン出発物質の調製に使用されるアルデヒド反応体には、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、ポリオキシメチレン、並びにRがH又はアルキル基である一般式RCHOを有するアルデヒドが挙げられ、望ましくは1〜12個の炭素原子を有する、そのようなアルデヒドの混合物が挙げられる。R基は、直鎖若しくは分枝鎖、環式若しくは非環式、飽和若しくは不飽和又はこれらの組み合わせであってもよい。他の有用なアルデヒドには、クロトンアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ブチルアルデヒド及びヘプトアルデヒドが挙げられる。
【0035】
出発ベンゾオキサジンの調製に有用なアミノ化合物は、少なくとも1つの第一級アミン基を有し、b.p.>200℃を有する、置換又は非置換芳香族アミンでありうる。アリール環は、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル又はヘテロアラルキルなどの基により置換されうる。
【0036】
出発ベンゾオキサジン化合物の調製に有用なアミンには、アリールモノアミン及びポリアミンを含む、式RAryl(NHのものが挙げられる。RArylは、価数mを有するアリール基であり、mは1〜4であり、少なくとも1つの第一級アミン基を有するモノ−、ジ−又はより高級の芳香族アミンの残基である。
【0037】
有用な芳香族アミンの例には、o−、m−又はp−トルイジン、2,6−ジメチルアニリン、2,5−ジメチルアニリンp−ブロモアニリン、3,5−ジメチルアニリン及び2,4−ジメチルアニリン、p−ニトロアニリン、ジ−(4−アミノフェニル)スルホン、ジ−(4−アミノフェニル)エーテル、2、2−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジメチル(4,4’−ジアミノジフェニルメタン)、m−又はp−フェニレンジアミン、m−キシリレンジアミン、トルエンジアミン、4,4’−メチレンジアニリンベンジジン、4,4’−チオジアニリン、4−メトキシ−1,3−フェニルジアミン、2,6−ジアミノピリジン、並びにジアニシジンなどのアルキル化アニリンが挙げられる。
【0038】
モノアミンが、アルデヒド及びフェノール化合物により環化されて、モノ−ベンゾオキサジン化合物を生成すること、一方、ジ−又はより高級のアミンが環化されて、ジ−及びポリ−ベンゾオキサジン化合物を生成することが理解される。例えば、アリールジアミンは、ジ−ベンゾオキサジンを生成し、
【化4】

[式中、
それぞれのRは、H又はアルキル基であり、かつ脂肪族アルデヒドの残基であり、
は、H、共有結合又は多価(ヘテロ)ヒドロカルビル基、好ましくはH、共有結合又は2価のアルキル基であり、
Arylは、b.p.>200℃を有する第一級アリールジアミノ化合物のアリール残基である。]のものである。
【0039】
更に、ポリマーベンゾオキサジンは、ビスフェノール−A及びジ−又はポリアミンなどのポリフェノール化合物から調製することができ、
【化5】

[式中、
それぞれのRは、H又はアルキル基であり、かつ脂肪族アルデヒドの残基であり、
は、共有結合又は多価(ヘテロ)ヒドロカルビル基、好ましくは、共有結合又は2価のアルキル基であり、
は、第一級アミノ化合物の(ヘテロ)ヒドロカルビル残基であり、
Arylは、b.p.>180℃を有する第一級アリールアミノ化合物のアリール残基であり、
zは、少なくとも1、好ましくは2以上である。]のものである。
【0040】
望ましい場合、酸触媒を使用して、ベンゾオキサジンをポリ(ベンゾオキサジン)にする開環を促進することができる。ルイス酸及びブレンステッド酸は、重合開始温度の低下及び硬化に応じた発熱のピーク温度の低減によって示されるように、ベンゾオキサジン付加物のアミン硬化を加速する。適切な酸触媒には、塩酸、硫酸、リン酸などの強無機酸、並びに酢酸、パラ−トルエンスルホン酸及びシュウ酸などの有機酸が挙げられるが、これらに限定されない。
【0041】
いくつかの実施形態において、ペンタフルオロアンチモン酸などの「超酸(super acid)」を、米国特許出願第2010/044986号(Gorodisher et al.)に記載されているように使用することができ、これは、参照として本明細書に組み込まれる。いくつかの実施形態において、トシレートなど、熱により酸を生じる潜酸(latent acid)を使用してもよい。いくつかの実施形態において、酸形成ペルオキシ触媒を国際公開第2014/105422号(Gorodisher et al.)に記載されているように使用することができる。
【0042】
酸触媒は、ベンゾオキサジン反応体の量に対して2wt%以下、好ましくは1wt%以下、最も好ましくは0.5wt%以下の量で使用されうる。
【0043】
いくつかの実施形態において、硬化性ベンゾオキサジン組成物は、共触媒を含んでもよい。適切な共触媒には、元素状硫黄、元素状セレン、周期表(旧CAS又はアメリカのグループナンバリングシステム(American group numbering system)を参照のこと)の第VA族元素(例えば、N、P、As、Sb、Bi)の硫化物、第VIA族元素(例えば、O、S、Se、Te、Po)の硫化物、第VA族元素のセレン化物、第VIA族元素のセレン化物及びこれらの組み合わせからなる群から選択されるものが挙げられる。
【0044】
望ましくは、選択された添加共触媒の融点は用いたベンゾオキサジンの熱的自触媒作用温度より低い。
【0045】
元素状硫黄の結晶質又は非晶質形態を共触媒として使用してもよい。元素状硫黄は、名目上はS環として説明されるが、他のポリマー及びオリゴマーが知られている。元素状セレンの多様な同素形態を使用してもよい。名目上、硫化セレンは、硫黄及びセレンの多くの異なる化合物を指すが、概ね式SeSによって得られる。セスキ硫化リン、五硫化二リン及びテトラ硫黄テトラニトリドを使用することができる。
【0046】
他の適切な共触媒は、有機金属錯カチオンの塩である。そのような化合物は、遷移金属原子に結合した、少なくとも1個の炭素原子を有するカチオンを含む。
【0047】
本開示の重合性組成物の特定の実施形態において、本開示の重合性組成物の有機金属錯塩は、以下の式により表され、
[(L(LM]+qX (XX)
[式(XX)中、
本開示の重合性組成物は、1つ以上の硬化剤を含む。]のものである。そのような硬化剤は、チオール化合物、アミン化合物及びこれらの組み合わせの群から選択される。特定の実施形態において、少なくとも1つのチオール化合物及びアミン化合物は、多官能性である。そのような硬化剤は、反応性希釈剤として機能することができる。
【0048】
有用な、そのような化合物は、ベンゾオキサジンを開環する少なくとも1つの求核性官能基を有する。そのような化合物は、下記の一般式:
30−(ZH) (XII)
[式中、
30は、(ヘテロ)ヒドロカルビル基であり、
それぞれのZは、独立して、−S−又は−NR31(式中、R31は、H、又はアリール及びアルキルを含むヒドロカルビル基である。)であり、
pは、1〜6である(特定の実施形態において、pは、少なくとも2である。)。]のものである。
【0049】
上記に記述されたように、ベンゾオキサジンモノマーをポリマーにする重合は、オキサジン環を別の構造、例えば、直鎖ポリマー又はより大きな複素環に変換するイオン性開環重合であると考えられる。連鎖移動ステップは、得られるポリマーの分子量を制限し、いくつかの分枝を引き起こすと考えられる。開環反応は、ビスフェノールAに基づいたベンゾオキサジンと、式R10−(ZH)の硬化剤との反応によってポリマー材料を形成する、以下のスキームIIによって表すことができる。
【化6】

[式中、
それぞれのRは、独立して、H又はアルキル基であり、かつ脂肪族アルデヒドの残基であり、
それぞれのRArylは、独立して、200℃を超える沸点を有するアリールアミンの残基であり、
それぞれのR30は、独立して、(ヘテロ)ヒドロカルビル基であり、
Zは、−S−又は−NR11(式中、ぞれぞれのR11は、H、又はアリール及びアルキルを含むヒドロカルビル基であり、pは、1〜6又は2〜6である。)であり、
qは、繰り返し単位の数であり、少なくとも1である(特定の実施形態において、qは、少なくとも2である。)。]のものである。
【0050】
スキームIIに例示されている硬化剤は、2つの−ZH基のみを有するが、他の硬化剤は、2つを超える−ZH基を有することができる。このように、2つのベンゾオキサジン基が反応した後、そのような硬化剤は、追加のベンゾオキサジン基との更なる反応に利用可能な追加の−ZH基を有することができる。更に、出発ベンゾオキサジンがポリアミンにより調製される実施形態では、RArylを追加のベンゾオキサジン基に連結させることができる。組成物が少なくとも1つの多官能性チオール化合物又はアミン化合物を含むと、ポリマー反応生成物がもたらされることに、更に留意されたい。
【0051】
これらの実施形態では、未反応ベンゾオキサジンが、触媒の存在下でホモポリマー化して、式(XII)の硬化剤及びポリ(ベンゾオキサジン)を有するベンゾオキサジン付加物の同延(同一の広がりをもつ)混合物又はポリマー網状組織を形成するので、ベンゾオキサジンは過剰量で存在する。そのような実施形態において、ベンゾオキサジン基の、化合物R30−(ZH)のアミン及び/又はチオール「Z」基の合計に対するモル量比が、3:2〜100:1又は特定の実施形態では4:1〜50:1である。
【0052】
式(XII)の硬化剤、R30(ZH)を参照すると、ベンゾオキサジン環は、アミン化合物によって開環されうる。有用なアミン化合物は、下記式の第一級及び第二級アミンに相当し、
30(NHR11 (XIII)
[式(XIII)中、R30、R11及びpは、上記の式(XII)において定義されたとおりである。]のものである。そのような化合物には、第一級及び第二級(ヘテロ)ヒドロカルビルモノアミン及びポリアミンが挙げられる。アミノ基は、第一級又は第二級炭素にあってもよい。式(VIII)の化合物において、R10は、価数pを有する(ヘテロ)ヒドロカルビル基であってもよく、少なくとも1つの第一級アミン基を有するモノ−、ジ−又はより高級なアミンの残基である。R30は、アルキル、シクロアルキル又はアリールであってもよく、pは、1〜4又は2〜4である。特定の実施形態において、R30は、1価及び多価(ヘテロ)ヒドロカルビル(すなわち、1〜30個の炭素原子を有するアルキル化合物及びアリール化合物、あるいは1〜20個のヘテロ原子の酸素を有するヘテロアルキル及びヘテロアリールが挙げられる(ヘテロ)ヒドロカルビル)から選択される。それぞれのR11は、独立して、H、又はアリール及びアルキルを含むヒドロカルビル基であり、pは1〜6又は2〜6である。ベンゾオキサジンの調製に使用されるものと同じアミンは、開環反応においても有用であることが、当業者には明らかである。
【0053】
ベンゾオキサジン環は、下記式のチオールにより開環することもでき、
30−(SH) (XIV)
[式(XIV)中、R30及びpは、上記の式(XIII)において定義されたとおりである。]のものである。すなわち、式(XIV)の化合物において、pは、1〜6又は2〜6であり、R30には、脂肪族及び芳香族のモノチオール及びポリチオールを含む、(ヘテロ)ヒドロカルビル基が挙げられる。R30は、場合により、ヒドロキシル基、酸基、エステル基、シアノ基、尿素基、ウレタン基及びエーテル基を含む1つ以上の官能基を更に挙げることができる。チオール基は、第一級又は第二級炭素にあってもよい。
【0054】
いくつかの好ましい実施形態において、式(XIV)のチオール化合物は、下記式のものであり、
32−[(CO−R33−SH] (XV)
[式(XV)中、
32は、アルキレン基、アリール基、オキシアルキレン基又はこれらの組み合わせであり、R33は2価のヒドロカルビル基であり、
xは、0又は1であり、
yは、1〜6、好ましくは2〜6である。]のものである。
【0055】
特定の実施形態において、式(XV)の化合物は、R32がアルキレン基であるものである。
【0056】
有用なアルキルチオールには、メチル、エチル及びブチルチオールが挙げられる。他の有用なチオールには、2−メルカプトエタノール、3−メルカプト−1,2−プロパンジオール、4−メルカプトブタノール、メルカプトウンデカノール、2−メルカプトエチルアミン、2,3−ジメルカプトプロパノール、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、メルカプトプロピオン酸を含むメルカプトアルカン酸及びそのエステル、2−クロロエタンチオール、2−アミノ−3−メルカプトプロピオン酸、ドデシルメルカプタン、チオフェノール、2−メルカプトエチルエーテル、並びにテトラチオグリコール酸ペンタエリトリトールが挙げられる。有用なポリチオールの特定の例には、ジメルカプトジエチルスルフィド、1,6−ヘキサンジチオール、1,8−ジメルカプト−3,6−ジチアオクタン、プロパン−1,2,3−トリチオール、1,2−ビス[(2−メルカプトエチル)チオ]−3−メルカプトプロパン、テトラキス(7−メルカプト−2,5−ジチアヘプチル)メタン及びトリチオシアヌル酸が挙げられる。
【0057】
ポリチオールの別の有用な部類には、チオグリコール酸若しくはβ−メルカプトプロピオン酸又はそのエステルなどのα−又はβ−メルカプトカルボン酸を含む、ポリオールと、チオール末端置換カルボン酸(又はエステル若しくはアシルハライドなどのこれらの誘導体)とのエステル化により得られるものが挙げられる。このようにして得られる化合物の有用な例には、エチレングリコールビス(チオグリコレート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)、エチレングリコールビス(3−メルカプトプロピオネート)、トリメチロールプロパントリス(チオグリコレート)、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(チオグリコレート)ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)が挙げられ、これらは全て市販されている。ポリマーポリチオールの特定の例は、ポリプロピレン−エーテルグリコール(例えば、BASF Wyandotte Chemical Corp.から商標名PLURAXOL P201により入手可能)及び3−メルカプトプロピオン酸をエステル化することによって調製される、ポリプロピレンエーテルグリコールビス(3−メルカプトプロピオネート)である。
【0058】
いくつかの実施形態において、有用なチオールは、エポキシ化合物から誘導されるチオールを含む。ポリチオールは、HS(又は同等なもの)と、2つ以上の官能基を有し、好ましくは1000未満の分子量を有するエポキシ樹脂との反応によって誘導されうる。例えば、ビスフェノールAエポキシ樹脂及びビスフェノールFエポキシ樹脂などの二官能性エポキシ樹脂、並びにフェノールノボラックエポキシ樹脂及びクレゾールノボラックエポキシ樹脂などのノボラックエポキシ樹脂、又はアミンエポキシ樹脂を使用することができる。加えて、概ね知られている多官能性エポキシ樹脂、複素環含有エポキシ樹脂及び脂環式エポキシ樹脂を使用することができる。これらのエポキシ樹脂を、単独で又は2つ以上の化学的種類若しくは分子量範囲の組み合わせで使用することができる。
【0059】
特に有用なポリチオールは、ビスフェノール−Aジグリシジルエーテルから誘導されるものであり、Japan Epoxy ResinsからQX−11として入手することができ、およそ245のチオール当量及び以下の一般構造(式中、nは少なくとも1である。)を有する。
【化7】
【0060】
有用な可溶性高分子量チオールには、ポリエチレングリコールジ(2−メルカプトアセテート)、商標名LP−3(LP North America,Houston,TXから供給される)及びPERMAPOL P3(Products Research&Chemical Corp.,Glendale,CAから供給される)により入手可能な樹脂、並びに2−メルカプトエチルアミン及びカプロラクタムの付加物などの化合物が挙げられる。
【0061】
スキームIの化合物は、ベンゾオキサジン化合物を、未希釈の又は適切な溶媒中のいずれかの硬化剤と組み合わせることによって調製することができる。適切な溶媒には、好ましくは室温で反応体が溶解し、重合性組成物の様々な構成成分と非反応性であるものが挙げられる。適切な溶媒の例には、ブチルアセテート、トルエン、キシレン、テトラヒドロフラン、エチレングリコールジメチルエーテルなどが挙げられる。加熱は、チオール及びアミン誘導性開環が発熱性であるので、概ね不必要である。
【0062】
望ましい場合は、様々な硬化剤の組み合わせを使用することができる。
【0063】
使用される場合、硬化剤は、ベンゾオキサジン同等物の少なくとも5wt%、多くの場合に60%までの量で存在する。
【0064】
本開示の重合性組成物は、膜形成材料を含んでもよく、モノマー、オリゴマー、重合性プレポリマー、ポリマー又はこれらの組み合わせの形態でありうる。これらの材料は、名称が示唆するように、ベンゾオキサジン含有膜の形成を可能にし、典型的なベンゾオキサジンの脆性を低減する。そのような膜は、典型的には、周囲温度以下からベンゾオキサジン硬化温度範囲までの望ましい温度範囲にわたって可撓性及び粘着性である。膜形成剤は、ベンゾオキサジン又は触媒、共触媒、硬化剤、強靱化剤などの任意の他の構成成分と反応性又は非反応性でありうる。
【0065】
いくつかの実施形態において、膜形成剤は、材料、特にオリゴマー又はポリマーであり、これらはベンゾオキサジン/触媒混合物と均質な混合物を、好ましくは周囲以下から重合性ベンゾオキサジン組成物処理までの処理温度で形成する。これらの膜に存在する触媒は、膜が高温で保存される場合であっても、優れた貯蔵寿命をもたらす。
【0066】
任意に、膜形成剤は、ベンゾオキサジン部分と反応する反応性官能基を有することができる。膜形成材料には、チオール、アミン、ベンゾオキサジン、ホルムアルデヒド、アルデヒド及びこれらの組み合わせの群から選択されるものなどの、ベンゾオキサジンと反応する1つ以上の官能基を含む反応性膜形成材料を挙げることができる。反応性膜形成材料には、ベンゾオキサジンと反応及び結合することができる化合物を挙げることができる。1つ以上の官能基の存在は、処理可能性について多くの選択肢をこの膜にもたらすことができ、反応基の反応温度を上回って又は下回って膜を処理することによって、様々な程度の粘着性、可撓性及び他の望ましい特性をもたらすことができる。そのような反応性膜形成剤の例には、アミン末端ブタジエン−ニトリル(ATBN)、ヒドロキシ末端ブタジエン−ニトリル(HOTBN)、カルボキシ末端ブタジエン−ニトリルCTBN、アミン末端ポリ(アルキレンオキシド)(商標名JEFFAMINE及びVERSALINKにより入手可能なものなど)、並びに関連する化合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0067】
いくつかの実施形態において、反応性膜形成剤は、主鎖及び末端に異なる反応基を有することができる。そのような材料の例には、ATBNなど末端官能性ブタジエン−ニトリルゴムが挙げられ、その繰り返し単位に不飽和を有し、その末端にアミン官能性反応基を有する。アミン官能基は、求核的開環(例えば、硬化剤に関して本明細書に記載されている。)によってベンゾオキサジンと反応することができ、不飽和は、加硫によって触媒と反応することができる。
【0068】
塗布製剤に適した非反応性膜形成ポリマーの例には、アクリル系ポリマー(例えば、ポリ(メチルメタクリレート−co−エチルアクリレート)及びポリ(メチルアクリレート−co−アクリル酸));ポリウレタン(例えば、脂肪族、脂環式又は芳香族ジイソシアネートと、ポリエステルグリコール又はポリエーテルグリコールとの反応生成物);ポリオレフィン;ポリスチレン;スチレンとアクリレートのコポリマー(例えば、ポリ(スチレン−co−ブチルアクリレート);ポリエステル(例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレートイソフタレート及びポリカプロラクトン);ポリアミド(例えば、ポリヘキサメチレンアジポアミド);ビニルポリマー(例えば、ポリ(ビニルアセテート/メチルアクリレート)及びポリ(ビニリデンクロリド/ビニルアセテート);ポリジエン(例えば、ポリ(ブタジエン/スチレン));セルロースエーテル及びセルロースエステルを含むセルロースポリマー(例えば、エチルセルロース及びセルロースアセテート/ブチレート);ポリイミド;ポリスルホン;ウレタン−アクリレートコポリマー;並びにポリエーテルが挙げられる。そのようなポリマーは、例えば、商業的供給源から入手可能である、又は当該技術において既知の方法及び出発材料を使用して調製してもよい。
【0069】
望ましい場合には、様々な膜形成材料の組み合わせを使用することができる。
【0070】
使用される場合、膜形成材料は、重合性組成物の総重量に基づいて、少なくとも10wt%、特定の実施形態では少なくとも25wt%の量で存在する。使用される場合、膜形成材料は、重合性組成物の総重量に基づいて、75wt%以下、特定の実施形態では50wt%以下の量で存在する。
【0071】
特定の他の任意の添加剤を含めることもでき、例えば、強靱化剤、エポキシ樹脂及び他の反応性希釈剤が挙げられる。そのような添加剤は、多様な機能(例えば、膜形成)をもたらす。例えば、強化剤は、硬化を妨げることなく、硬化後に、組成物の脆性を低減すること及び/又は組成物に強度を追加することができる。エポキシ樹脂は、粘度を低減すること、Tを低下させること及び/又は強化剤の担体として機能することができる。
【0072】
1つの化合物が2つ以上の異なる機能を形成しうることが、当業者には理解される。例えば、化合物は、強化剤及び硬化剤の両方として機能することができる。
【0073】
いくつかの実施形態において、そのような添加剤は、ベンゾオキサジンと反応しない。いくつかの実施形態において、そのような添加剤は、反応性官能基を、特に末端基として含んでもよい。
【0074】
そのような反応性官能基の例には、アミン、チオール、アルコール、エポキシド、ビニル及びこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。本開示の重合性組成物に有用である強化剤は、重合ジエンゴム状コアとポリアクリレート、ポリメタクリレートシェルとを有するグラフトポリマー、ゴム状ポリアクリレートコアとポリアクリレート又はポリメタクリレートシェルとを有するグラフトポリマー、並びにフリーラジカル重合性モノマー及び共重合性ポリマー安定剤からエポキシドにおいてその場で重合されたエラストマー粒子などの、ゴム状相及び熱可塑性相の両方を有するポリマー化合物である。
【0075】
有用な第1の種類の強化剤の例には、米国特許得第3,496,250号(Czerwinski)に開示されているように、アクリル酸エステル若しくはメタクリル酸エスエル、モノビニル芳香族炭化水素又はこれらの混合物のシェルがグラフトされている、重合ジエンゴム状主鎖又はコアを有するグラフトコポリマーが挙げられる。例示的なゴム状主鎖には、重合ブタジエン又はブタジエン及びスチレンの重合混合物が挙げられる。重合メタクリル酸エステルが挙げられる例示的なシェルは、低級アルキル(C〜C)置換メタクリレートである。例示的なモノビニル芳香族炭化水素は、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、ビニルキシレン、エチルビニルベンゼン、イソプロピルスチレン、クロロスチレン、ジクロロスチレン及びエチルクロロスチレンである。グラフトコポリマーは、触媒を汚染する官能基を含有しないことが重要である。
【0076】
有用な第2の種類の強化剤の例は、コア又は主鎖が、ポリメチルメタクリレートなどの25℃を上回るガラス転移温度を有するポリメタクリレートポリマー(シェル)がグラフトされている、ポリブチルアクリレート又はポリイソオクチルアクリレートなどの、0℃を下回るガラス転移温度を有するポリアクリレートポリマーである、アクリレートコア−シェルグラフトコポリマーである。
【0077】
本発明に有用な第3の部類の強化剤には、組成物の他の構成成分と混合する前に、25℃を下回るガラス転移温度(T)を有するエラストマー粒子が挙げられる。これらのエラストマー粒子は、フリーラジカル重合性モノマー及びベンゾオキサジンに可溶性である共重合性ポリマー安定剤から重合される。フリーラジカル重合性モノマーは、ジオール、ジアミン及びアルカノールアミンなどの共反応性二官能性水素化合物と組み合わせたエチレン性不飽和モノマー又はジイソシアネートである。
【0078】
有用な強化剤には、コアが架橋スチレン/ブタジエンゴムであり、シェルがポリメチルアクリレートであるメタクリレート−ブタジエン−スチレン(MBS)コポリマーなどのコア/シェルポリマー(例えば、Rohm and Haas,Philadelphia,PAから商標名ACRYLOID KM653及びKM680により入手可能なもの)、ポリブタジエンを含むコアとポリ(メチルメタクリレート)を含むシェルとを有するもの(例えば、Kaneka Corporation,Houston,TXから商標名KANE ACE M511、M521、B11A、B22、B31及びM901により入手可能なもの、ATOFINA,Philadelphia,PAから商標名CLEARSTRENGTH C223により入手可能なもの)、ポリシロキサンコアとポリアクリレートシェルとを有するもの(例えば、ATOFINAから商標名CLEARSTRENGTH S−2001により入手可能なもの、Wacker−Chemie GmbH,Wacker Silicones,Munich,Germanyから商標名GENIOPERL P22により入手可能なもの)、ポリアクリレートコアとポリ(メチルメタクリレート)シェルとを有するもの(例えば、Rohm and Haasから商標名PARALOID EXL2330により入手可能なもの、Takeda Chemical Company,Osaka,Japanから商標名STAPHYLOID AC3355及びAC3395により入手可能なもの)、MBSコアとポリ(メチルメタクリレート)シェルとを有するもの(例えば、Rohm and Haasから商標名PARALOID EXL2691A、EXL2691及びEXL2655により入手可能なもの)など、並びにこれらの混合物が挙げられる。
【0079】
上記に使用されたように、アクリルコア/シェル材料では、「コア」は、0℃未満のTを有するアクリル系ポリマーであることが理解され、「シェル」は、25℃を超えるTを有するアクリル系ポリマーであることが理解される。
【0080】
他の有用な強化剤には、B.F.Goodrich Chemical Co.から商標名HYCAR CTBN 1300X8、ATBN 1300X16及びHYCAR 1072により入手可能なものなどの、カルボキシル化及びアミン末端アクリロニトリル/ブタジエン加硫性エラストマー前駆体;商標名HYCAR CTBにより入手可能なものなどのブタジエンポリマー;3M Co.,St.Paul,MNからの10,000MWの第一級アミン末端化合物であるHCl 101(すなわち、ポリテトラメチレンオキシドジアミン)及びHuntsman Chemical Co.,Houston,TXから商標名JEFFAMINEにより入手可能なものなどの、アミン官能性ポリエーテル;Rohm&Haasから商標名ACRYLOID KM330及び334により入手可能なものなどの、アクリルコア/シェル材料を含む官能性アクリルゴム;並びにコアが架橋スチレン/ブタジエンゴムであり、シェルがポリメタクリレートであるメタクリレート−ブタジエン−スチレン(MBS)コポリマーなどの、コア/シェルポリマー(例えば、Rohm and Haasから商標名ACRYLOID KM653及びKM680により入手可能なもの)が挙げられる。有用な液体ポリ−ブタジエンヒドロキシル末端樹脂には、Wilmington DEのPetroflexから商標名LIQUIFLEX Hにより入手可能なもの及びExton,PNのSartomerから商標名HT 45により入手可能なものが挙げられる。
【0081】
強靱化剤は、エポキシ末端化合物を含んでもよく、これをポリマー主鎖に組み込むことができる。好ましい典型的な強靱化剤の列挙には、アクリルコア/シェルポリマー、スチレン−ブタジエン/メタクリレートコア/シェルポリマー、ポリエーテルポリマー、カルボキシル化アクリロニトリル/ブタジエン及びカルボキシル化ブタジエンが挙げられる。上記の強化剤が不在であっても、エポキシ樹脂を有する組成物に鎖延長剤を提供することによって、利益を得ることができる。しかし、特定の利益は、既に示唆されたように、強化剤又は異なる作用剤の組み合わせの存在によって達成される。
【0082】
いくつかの記載された天然及び合成ゴムは、触媒によって架橋されうる鎖内に不飽和を有することが理解される。したがって、触媒はベンゾオキサジンを重合し、同時に、ポリ(ベンゾオキサジン)の同延網状組織及び加硫ゴムのためにゴムを加硫する。
【0083】
望ましい場合には、強化剤の様々な組み合わせを使用することができる。
【0084】
使用される場合、強化剤は、ベンゾオキサジンの重量に基づいて、少なくとも3wt%又は少なくとも5wt%の量で重合性組成物に存在する。使用される場合、強化剤は、ベンゾオキサジンの重量に基づいて、35wt%以下又は25wt%以下の量で重合性組成物に存在する。
【0085】
他の任意の添加剤には、エポキシ樹脂が挙げられる。そのような材料は、硬化剤、反応性希釈剤又は共反応体として機能してもよい。エポキシ基は、硬化剤のアミン又はチオールが行うように、ベンゾオキサジンと直接反応しないが、ベンゾオキサジンの開環によってもたらされるフェノール基は、更に反応してエポキシ基を開環しうる。
【0086】
本開示の組成物に利用できるポリエポキシ化合物には、脂肪族と芳香族の両方のポリエポキシドが挙げられる。特定の実施形態では、グリシジル脂肪族エポキシドが好ましい。芳香族ポリエポキシドは、少なくとも1つの芳香環構造、例えばベンゼン環と、2つ以上のエポキシ基とを含有する化合物である。好ましい芳香族ポリエポキシドには、多価フェノールのポリグリシジルエーテル(例えば、ビスフェノールA誘導体樹脂、エポキシクレゾール−ノボラック樹脂、ビスフェノールF誘導体樹脂、エポキシフェノール−ノボラック樹脂)及び芳香族カルボン酸のグリシジルエステルが挙げられる。最も好ましい芳香族ポリエポキシドは、多価フェノールのポリグリシジルエーテルである。
【0087】
本開示の組成物に利用できる脂肪族ポリエポキシドの代表例には、3’,4’−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、3,4−エポキシシクロヘキシルオキシラン、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート、リノール二量体酸のジグリシジルエステル、1,4−ビス(2,3−エポキシプロキシ)ブタン、4−(1,2−エポキシエチル)−1,2−エポキシシクロヘキサン、2,2−ビス(3,4−エポキシシクロヘキシル)プロパン、グリセロールなどの脂肪族ポリオールのポリグリシジルエーテル又は水素添加4,4’−ジヒドロキシジフェニル−ジメチルメタン及びこれらの混合物が挙げられる。好ましい、そのようなポリエポキシドは、脂環式基を含まない。
【0088】
本開示の組成物に利用できる芳香族ポリエポキシドの代表例には、芳香族カルボン酸のグリシジルエステル、例えば、フタル酸ジグリシジルエステル、イソフタル酸ジグリシジルエステル、トリメリト酸トリグリシジルエステル及びピロメリト酸テトラグリシジルエステル、並びにこれらの混合物;N−グリシジルアミノベンゼン、例えば、N,N−ジグリシジルベンゼンアミン、ビス(N,N−ジグリシジル−4−アミノフェニル)メタン、1,3−ビス(N,N−ジグリシジルアミノ)ベンゼン及びN,N−ジグリシジル−4−グリシジルオキシベンゼンアミン、並びにこれらの混合物;多価フェノールのポリグリシジル誘導体、例えば、2,2−ビス−(4−(2,3−エポキシプロポキシ)フェニルプロパン、多価フェノールのポリグリシジルエーテル、例えば、テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、ピロカテコール、レソルシノール、ヒドロキノン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルメタン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルジメチルメタン、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルメタン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルメチルメタン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルシクロヘキサン、4,4’−ジヒドロキシ−3,31−ジメチルジフェニルプロパン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン及びトリス−(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ノボラックのポリグリシジルエーテル(酸触媒の存在下での1価又は多価フェノールとアルデヒドとの反応生成物)、米国特許第3,018,262号(Schroeder)及び同第3,298,998号(McConnell et al.)に記載されている誘導体、またHandbook of Epoxy Resins by Lee and Neville,McGraw−Hill Book Co.,New York(1967)に記載されている誘導体、並びにこれらの混合物が挙げられる。
【0089】
例示的な部類のポリエポキシ化合物は、多価アルコール、特にポリフェノールのポリグリシジルエーテルである。グリシジルエポキシ化合物は、概ね、脂環式エポキシ化合物よりもアミンに対して反応性が高い。いくつかの実施形態において、エポキシ化合物は、概ね170〜4,000又は170〜1,000のエポキシ当量(EW)を有する。エポキシド当量(EW)は、1グラム当量のエポキシ(オキシラン)官能基を含有するエポキシ官能性化合物のグラム重量と定義される。
【0090】
使用される場合、エポキシ樹脂は、ベンゾオキサジンの重量に基づいて、少なくとも5wt%又は少なくとも3wt%の量で重合性組成物に存在する。使用される場合、強化剤は、ベンゾオキサジンの重量に基づいて、35wt%以下又は25wt%以下の量で重合性組成物において有用である。
【0091】
他の任意の添加剤又は補助剤を、所望により組成物に添加することができる。そのような他の任意の添加剤の例には、着色剤、研磨顆粒、酸化防止安定剤、熱分解安定剤、光安定剤、導電性粒子、粘着付与剤、流動化剤、増粘剤、艶消し剤、不活性充填剤、結合剤、発泡剤、殺真菌剤、殺菌剤、界面活性剤、可塑化剤、ゴム強靱化剤及び当業者に既知の他の添加剤が挙げられる。そのような添加剤は、無機と有機両方の充填剤など、典型的には実質的に非反応性である。存在する場合、これらの補助剤又は他の任意の添加剤は、それらの意図された目的に有効な量で添加される。
【0092】
任意の構成成分の選択及び量は、特定用途の必要性に応じて決まる。例えば、構造用/半構造用ベンゾオキサジン接着剤では、重合性組成物は、シリカ充填剤、ガラス球及び強靱化剤を含有することができる。これら補助剤は、重合性組成物に強靱性を付与し、密度を低減させる。概ね硬質である耐摩耗コーティングなどの保護コーティングでは、製剤の相当の部分が、概ね短い鎖長及び高い官能性を含む硬質樹脂であることが要求される。いくらかの屈曲を受けるコーティングは、強靭性を増加する及び柔軟性を増加する上記の添加剤を使用することによって得ることができる強靱性を必要とする。クリアコーティングは、硬化樹脂が、ほとんど又は全く相分離しないことを必要とする。このことは、樹脂の相溶性を制御することによって又は硬化速度により相分離を制御することによって得られる。
【0093】
組成物を硬化する反応条件は、使用される反応体及び量によって決まり、当業者によって決定することができる。硬化性組成物は、ベンゾオキサジン化合物と上記のアルキル化剤とを任意の順序で混合することによって作製される。概ね組成物は、次に、約50〜200℃、好ましくは約130〜180℃の温度で、約1〜120分間にわたって加熱される。
【0094】
本発明の組成物を硬化するのに適した熱源には、誘導加熱コイル、オーブン、ホットプレート、ヒートガン、レーザーを含む赤外線源、マイクロ波源が挙げられる。適切な光源及び放射線源には、紫外線源、可視光線源及び電子ビーム源が挙げられる。
【0095】
溶媒を使用して、ベンゾオキサジンモノマーにおけるアクリル(コ)ポリマーの溶解を補助することができ、加工助剤として使用することもできる。少量の溶媒中でアルキル化剤の濃縮溶液を調製して、重合性組成物の調製を単純化することが有利でありうる。有用な溶媒は、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン及びε−カプロラクトンなどのラクトン;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロペンタノン及びシクロヘキサノンなどのケトン;テトラメチレンスルホン、3−メチルスルホラン、2,4−ジメチルスルホラン、ブタジエンスルホン、メチルスルホン、エチルスルホン、プロピルスルホン、ブチルスルホン、メチルビニルスルホン、2−(メチルスルホニル)エタノール、2,2’−スルホニルジエタノールなどのスルホン;ジメチルスルホキシドなどのスルホキシド;炭酸プロピレン、炭酸エチレン及び炭酸ビニレンなどの環状炭酸エステル;酢酸エチル、酢酸メチルセロソルブ、ギ酸メチルなどのカルボン酸エステル;並びに塩化メチレン、ニトロメタン、アセトニトリル、亜硫酸グリコール及び1,2−ジメトキシエタン(グリム)などの他の溶媒である。
【0096】
本発明の組成物は、コーティング、発泡体、成形物品、接着剤(構造用及び半構造用接着剤を含む)、磁気媒体、充填又は補強複合材、被覆研磨材、コーキング及びシーリング化合物、鋳造及び成形化合物、製陶及び封入化合物、含浸及び塗布化合物、電子機器用導電性接着剤、電子機器用保護コーティング、並びに当業者に既知の他の用途において有用である。未硬化又は部分的に硬化されている場合、ベンゾオキサジン組成物は、粘着性を含む感圧性接着特性を呈する。いくつかの実施形態において、本開示は、ベンゾオキサジンの硬化コーティングを有する基材を含む被覆物品を提供する。
【0097】
構造用/半構造用ベンゾキサジン接着剤を調製するため、硬化性組成物は、シリカ充填剤、ガラス球及び強靱化剤などの追加の補助剤を含有することができる。これら補助剤は、硬化組成物に強靱性を付与し、密度を低減させる。
【0098】
保護コーティングを調製するために、材料の選択は、特定用途の必要性に応じて決まる。耐摩耗性コーティングは、概ね硬質であり、製剤の相当部分が硬質樹脂である必要があり、これは、概ね短い鎖長であり、高い官能性を有する。いくらかの屈曲を受けるコーティングは、硬化製剤の架橋密度を低下させることによって得ることができる強靱性を必要とする。クリアコーティングは、硬化樹脂が、ほとんど又は全く相分離しないことを必要とする。このことは、樹脂の相溶性を制御することによって又は硬化速度により相分離を制御することによって得られる。意図される用途に有効な量の補助剤を、これらの塗布製剤に添加することができる。
【0099】
組成物は、25〜500マイクロメートル以上の範囲の有用な厚さで基材に被覆されうる。コーティングは、ローラー、ディップ、ナイフ又は押出塗布などの任意の従来の手段によって達成することができる。硬化性組成物の溶液を使用して、塗布を促進することができる。安定した厚さは、組成物を架橋する前に、所望のコーティング厚さを維持して架橋組成物を形成するために必要である。
【0100】
有用な基材は、任意の性質及び組成のものであり、無機又は有機でありうる。有用な基材の代表例には、セラミックス、ガラス、金属、天然及び人工石を含むシリカ質基材、織布及び不織布物品、熱可塑性及び熱硬化性のものを含む高分子材料(例えば、ポリメチル(メタ)アクリレート、ポリカーボネート、ポリスチレン、スチレンアクリロニトリルコポリマーなどのスチレンコポリマー、ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート)、シリコーン、塗料(例えば、アクリル樹脂に基づいたもの)、粉末コーティング(例えば、ポリウレタン又はハイブリッド粉末コーティング)、及び木材、並びに前述の材料の複合材が挙げられる。
【0101】
本開示は、更に、接着テープの裏材などの適切な基材上に未硬化の又は部分的に硬化されたベンゾキサジン組成物のコーティングを含む感圧性接着剤を提供する。感圧性接着剤物品を調製する好ましい方法は、有用なコーティング粘度まで新規組成物を部分的に硬化させ、部分的に架橋された組成物を基材(例えば、テープの裏材)に塗布し、更に組成物を硬化させることを含む。有用なコーティング粘度は、概ね500〜10,000cpsの範囲である。
【実施例】
【0102】
試験方法
硬化の示差走査熱量測定(DSC分析)
硬化の際の組成物の熱特性を、ある量の組成物を差走査熱量計(DSC)の開放アルミニウムパンの中に置き、10℃/分の加熱速度により25℃〜300℃又は330℃で加熱することによって決定した。DSC装置はTA Instruments,New Castle,DEからのものであり、これを「TA」と表し、Seiko Instruments USA,Inc.,Torrance,CAからのDSCを「Seiko」と表した。DSC追跡によって、組成物の硬化の際にピーク硬化温度、℃(「ピーク」)、推定硬化開始温度、℃(「開始」)及び放出総エネルギー(「エネルギー」)、ジュール/グラム(J/g)を報告した。
【0103】
核磁気共鳴(NMR分析)
核磁気共鳴スペクトル(13C NMR、H NMR、HSQC及びHMBC NMR)は、NMR分光計(NMR試料を25℃で保持する逆プローブヘッドを備えたVarian Inova 600MHz NMR分光計)を使用して決定した。NMRは、ポリマーの硬化を示す情報及び触媒がポリマー鎖に組み込まれたかを示す情報を提供した。
【0104】
固体核磁気共鳴(固体NMR分析)
試料を液体窒素に浸けて、乳鉢と乳棒で粉砕した。試料をVarianの4mmローターに詰めた。全てのデータを、Varian 4mm Magic Angle Spinning(MAS)プローブを備えたVarian NMRS 400MHz固体NMR分光計により収集した。試料を、実験の間中25℃で保持した。8kHz又は10kHzのMAS速度を使用した。プロトンスペクトルは、2.5ミリ秒(ms)の単一90°パルスを使用して収集した。13C CP/MASスペクトルは、交差偏波ステップの前に、2.5msのHパルスを用いる正接交差偏波実験を使用して収集した。Hパワーを62.5kHzに設定し、13Cパワーを、62.5kHzを下回る第1のスピニングサイドバンド(spinning sideband)に同等のパワーレベルに最適化した。データを、50Hzのガウス関数でアポダイズし、フーリエ変換し、位相し、ACDソフトウエアの使用によりベースラインを修正した。等核デカップルHスペクトルをDUMBOパルスシーケンスの使用により収集した。この実験は、芳香族及び脂肪族のピークを検出できるように、そうでなければ非常に広幅であるものを狭幅にする。DUMBOシーケンスを、13C{H}異核相関実験(HETCOR)において等核デカップリングステップとして使用した。これらを、間接(プロトン)次元がDUMBOシーケンスにより狭められている二次元データとしてもたらす。このLee−Goldburg(LG)交差偏波との組み合わせは、Hスピン分散を制限し、13C化学シフトによる芳香族及び脂肪族共鳴の分離をもたらす。芳香族スピニングサイドバンドは、容易に検出された。
【0105】
ヘッドスペース質量分析
試料の調製:およそ25mgの試料を計量して、20mLのヘッドスペースバイアルに入れた。バイアルを、ポリ(テトラフルオロエチレン)裏打ちシリコーンセプタムを有するアルミニウムクリンプキャップで封止した。試料をヘッドスペース分析の前に220℃で15分間加熱した。
【0106】
GC/MS条件:GC:Agilent 6890 Plus GC System、MSD:Agilent 5973 Network Mass Selective Detector;カラム:Agilent J&W DB−5MS、30メートル×0.32mm×1マイクロメートル;2.0mL/分の一定流量;注入機温度180℃;オーブン:40℃で1分間保持、15℃/分で320℃まで、5.33分間保持;分割注入(10:1);15〜550amuでのMS EI Full Scan。
【0107】
ヘッドスペース条件:HS:Agilent G1888 Network Headspace Sampler、オーブン温度220℃、ループ温度230℃、移送ライン温度240℃、バイアル平衡時間15分間、注入時間1分間、バイアル加圧時間1分間。
【0108】
方法の条件:
ヘッドスペース装置:Agilent G1888 Headspace Sampler
試料オーブン温度:220℃
ループ温度:230℃
移送ライン温度:240℃
バイアル平衡時間:15分間
注入時間:1分間
バイアル加圧時間:1分間
GCサイクル時間:35分間
GC装置:Agilent 6890 Plus GC、MSD:Agilent 5973 Mass Selective Detector
カラム:J&W DB−5−MS、30m×0.32mm
カラム温度:40℃で1分間保持、15℃/分の直線速度で320℃に増加、5.33分間保持キャリヤー:2.0mL/分、一定流量
注入:分割様式(10/1)
検出:電子衝撃(EI)モード、70eV、m/z 15〜550
【0109】
熱重量分析(TGA)
アミン硬化ベンゾオキサジン組成物の熱安定性を、熱重量分析(TGA)の使用により決定した。5〜10mgの組成物試料を、1分間あたり60mLの空気パージ下で熱重量分析機(TA Q500 THERMOGRAVIMETRIC ANALYZER)の白金パンの中に置き、1分間あたり10℃の一定傾斜速度で周囲温度から500℃まで加熱した。
【0110】
初期分解事象の活性化エネルギーを、ASTM規格E1641に記載されているOzawa/Fylnn/Wall方法によって調べた。5〜10mgの材料のアリコートを、1分間あたり60mLの空気パージ下で熱重量分析機(TA Q500 THERMOGRAVIMETRIC ANALYZER)の白金パンの中に置いた。1分間あたり20、10、5及び2℃の加熱速度を用いて、25℃〜500℃でのそれぞれの試料の重量損失を記録した。
【0111】
特に記述のない限り、実施例に使用した材料は、Sigma−Aldrich Corp.,St.Louis,MOなどの化学薬品供給会社から入手可能であった。
【表1】
【0112】
調製例1(PE−1):Ph−BAPPベンゾオキサジン(BZ−3)
【化8】

Ph−BAPPベンゾオキサジン(BZ−3)を、以下のように調製した。磁気撹拌子を備えた500mLのフラスコに、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン(10.26g、25.00mmol)、フェノール(2.35g、50mmol)、パラホルムアルデヒド(3.08、100mmol)及びキシレン(62.5mL)を入れた。フラスコに水冷式冷却器を取り付け、溶液を140℃で3時間加熱した。その時間の後、反応を25℃まで冷却し、反応溶液を750mLの冷ヘキサンに注いだ。無色の沈殿物を、真空濾過により単離し、クロロホルム(100mL)で溶解した。クロロホルム溶液を、1M NaOH(3×50mL)、水(50mL)及び飽和塩化ナトリウム水溶液(50mL)により連続して洗浄した。溶液をNaSOで乾燥した後、全ての揮発物を真空下で除去して、明黄色の固体を収率70.8%でもたらした。分子構造を、H及び13C NMRの使用により確認した。
【0113】
比較例1(CE−1):AM−1とBZ−1との反応
0.34g(0.01molの活性水素同等物)のAM−1を2.31g(0.01molのベンゾオキサジン)のBZ−1と混合し、一様なペーストを得るまで室温で数分間撹拌した。
【0114】
実施例1(EX−1)
0.34g(0.01molの活性水素同等物)のAM−1を2.17g(0.01molのベンゾオキサジン)のBZ−2と混合し、一様なペーストを得るまで室温で数分間撹拌した。
【0115】
CE−1及びEX−1のアリコートをDSC分析に付した。それぞれ、図1に示されているように、3つの発熱性ピークを有するプロファイルを示した。2つの試料の硬化プロファイルに顕著な差が観察され、220℃あたりでCE−1に急激な吸熱があり、EX−1にはなかった。
【0116】
TGA
比較例2(CE−2):
上記のCE−1の試料のアリコートを、180℃で1時間加熱した。200℃を上回る温度での硬化後の重量損失を調べるため、この混合物のアリコートを、10℃/分の加熱速度でTGAに使用した。この走査の結果を下記の表1に要約した。
【0117】
実施例2(EX−2)
0.34g(0.01molの活性水素同等物)のAM−1を2.17g(0.01molのベンゾオキサジン)のBZ−2と混合し、一様なペーストを得るまで室温で数分間撹拌した。次に試料を空気循環オーブンにより180℃で2時間硬化した。200℃を上回る温度での硬化後の重量損失を調べるため、この混合物のアリコートを、10℃/分の加熱速度でTGAに使用した。この走査の結果を表1に要約した。
【0118】
実施例3(EX−3)
0.55g(0.01molの活性水素同等物)のAM−2を2.17g(0.01molのベンゾオキサジン)のBZ−2と混合し、一様なペーストを得るまで室温で数分間撹拌した。次に試料を空気循環オーブンにより180℃で2時間硬化した。200℃を上回る温度での硬化後の重量損失を調べるため、この混合物のアリコートを、10℃/分の加熱速度でTGAに使用した。この走査の結果を下記の表1に要約した。
【0119】
実施例4(EX−4)
0.34g(0.01molの活性水素同等物)のAM−1を3.23g(0.01molのベンゾオキサジン)のBZ−3と混合し、一様なペーストを得るまで室温で数分間撹拌した。次に試料を空気循環オーブンにより180℃で1時間硬化した。200℃を上回る温度での硬化後の重量損失を調べるため、この混合物のアリコートを、10℃/分の加熱速度でTGAに使用した。この走査の結果を下記の表1に要約した。
【表2】
【0120】
比較例3(CE−3)
4.62g(0.02molのベンゾオキサジン同等物)のBZ−1を100℃に加熱し、0.68g(0.02molの活性水素同等物)のAM−1と20mLのガラスバイアル中で混合した。混合物のアリコートを空気循環オーブンにより180℃で1時間硬化した。
【0121】
比較例3(CE−4)
2.31g(0.01molのベンゾオキサジン)のBZ−1を100℃に加熱し、0.55g(0.01molの活性水素同等物)のAM−2と、撹拌しながら混合した。アリコートを空気循環オーブンにより180℃で1時間硬化した。
【0122】
実施例5(EX−5)
4.34g(0.02molのベンゾオキサジン同等物)のBZ−2を100℃に加熱し、0.68g(0.02molの活性水素同等物)のAM−1と20mLガラスバイアル中で混合した。混合物のアリコートを空気循環オーブンにより180℃で1時間加熱した。
【0123】
実施例6(EX−6)
3.24g(0.01molのベンゾオキサジン同等物)のBZ−3を100℃に加熱し、0.34g(0.01molの活性水素同等物)のAM−1と20mLのガラスバイアル中で混合した。混合物のアリコートを空気循環オーブンにより180℃で1時間加熱した。
【0124】
CE−3、CE−4、EX−3、EX−5及びEX−6の試料を、ヘッドスペース質量分析(HSMS)によって分析し、結果を下記の表2に要約した。DSCプロットを図2に示す。表2のHSMSの結果は、上記のTGA分析により観察されたものを確認している。アニリンのような低沸騰画分から合成されたベンゾオキサジンを、EX−3、EX−5及びEX−6のより重いメチレンジアニリン及びフェノールに代えることによって、HSMS及びTGAにより観察された揮発物の量を劇的に低減している。これらの両方の観察は、本開示のベンゾオキサジンが、改善された熱安定性を呈し、同時に、180℃以上の温度で生成された揮発物の体積を低減することを確認した。
【表3】
【0125】
NMR
実施例7(EX−7)
2.17g(0.01molのベンゾオキサジン同等物)のBZ−2に、0.535g(0.01molの活性水素同等物)のAM−3を、ガラスフラスコ中において加え、一様になるまで室温で撹拌した。次に混合物をオーブンの中に110℃で30分間置いた。アリコートをNMR分析のために5分、15分及び30分間隔で取り出した。NMR分析(HSQC及びHMBC)は、アミナール(aminal)生成物を検出しなかった。NMRスペクトルは、イミン生成物の形成と一致していた。
【0126】
実施例8(EX−8)
EX−7の反応混合物を150℃で更に1時間加熱して、深橙色の透明な硬質ガラス状ポリマーを生成した。この材料のアリコートを、乳鉢と乳棒の使用により微粉末に粉砕した。10mgのこの粉末を、NMR分析(HSQC)のため、2mLのdmso−d6に100℃で24時間後に最終的に溶解した。
【0127】
驚くべきことに、第2の重合発熱温度で1時間後、EX−8の反応混合物は、可溶性の状態を(かろうじて)維持した。
【0128】
NMRスペクトルを注意深く検査すると、低温ではその場で形成される、ベンゾオキサジンモノマーである元のBZ−2及びベンジルアミンベンゾオキサジンが、両方とも消滅していることが明らかとなった。N−ヒドロキシベンジルアニリニウム及び「伝統的な」N,N’−ジベンジルフェノールアミンなどの様々なオルト及びパラ置換フェノール構造により置き換えられたマンニッヒ塩基も、消えていた。30ppm〜40ppmの炭素領域に外形とのo−,o’−及びo−,p’−メチレン架橋として出現する任意のベンジルアニリニウム転位生成物の不在も、注目された。
【0129】
固体NMR(13C{H}Dumbo−hetcor固体NMR)も、試験方法セクションに記載された手順に従って、EX−8の試料に実施した。この実験の二次元NMRは、脂肪族プロトン/40ppm〜60ppm炭素領域に外形の存在を検出し、メチレン架橋フェノールの形成に対応する30ppm〜40ppm領域に、あらゆる炭素の不在を確認した。
【0130】
実施例9(EX−9)
次にEX−8の反応混合物を220℃で更に2時間加熱して、暗褐色の透明な硬質ガラス状ポリマーを生成した。固体NMR(13C{H}Dumbo−hetcor固体NMR)をEX−9の試料に実施した。この実験の二次元NMRは、40ppm〜60ppm炭素領域におけるあらゆる構造的特徴の欠如、及びメチレン架橋フェノールの形成の対応する30ppm〜40ppm領域における構造の出現と一致した。
【0131】
活性化エネルギーの分解
CE−3及びEX−6の分解のための活性化エネルギー(E)を、ASTM規格E1641に記載されている変動加熱速度によりTGAを使用して調べた。CE−3及びEX−6のアリコートを、1分間あたり60mLの空気パージ下で熱重量分析機(TA Q500 THERMOGRAVIMETRIC ANALYZER)の白金パンの中に置いた。1分間あたり20、10、5及び2℃の加熱速度を用いて、25℃〜500℃でのそれぞれの試料の重量損失を記録した。分析を3、4、5及び6%の重量損失時に実施して、これらの試料の初期分解について調べた。表3は、この研究の結果を要約している。EX−6の分解Eは、CE−6を一貫して超えており、アニリンより高い沸点のアミンから誘導されたベンゾオキサジンが優れた熱安定性を示し、より熱的に安定していることを示している。
【表4】
図1
図2
【国際調査報告】