特表2017-538930(P2017-538930A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特表2017-538930直列ブロッキングコンデンサを備える本質安全バリア回路
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2017-538930(P2017-538930A)
(43)【公表日】2017年12月28日
(54)【発明の名称】直列ブロッキングコンデンサを備える本質安全バリア回路
(51)【国際特許分類】
   G01F 23/284 20060101AFI20171201BHJP
【FI】
   G01F23/284
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2017-528426(P2017-528426)
(86)(22)【出願日】2015年11月18日
(85)【翻訳文提出日】2017年7月18日
(86)【国際出願番号】US2015061382
(87)【国際公開番号】WO2016085731
(87)【国際公開日】20160602
(31)【優先権主張番号】62/085,112
(32)【優先日】2014年11月26日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】14/608,791
(32)【優先日】2015年1月29日
(33)【優先権主張国】US
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】500575824
【氏名又は名称】ハネウェル・インターナショナル・インコーポレーテッド
【氏名又は名称原語表記】Honeywell International Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100140109
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 新次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100120112
【弁理士】
【氏名又は名称】中西 基晴
(74)【代理人】
【識別番号】100147991
【弁理士】
【氏名又は名称】鳥居 健一
(72)【発明者】
【氏名】ウィリアムズ,マイケル
【テーマコード(参考)】
2F014
【Fターム(参考)】
2F014AA16
2F014FC01
2F014GA10
(57)【要約】
タンク(205)内の生成物(227)をレベルセンシングするためのレーダーシステム(200)は、中心導体がタンクの頂部でプローブ(240)に結合されるか、又はタンクの中に延在する同軸コネクタ(218)に結合された、RF出力(230a)をもたらすトランシーバ(220)を含む、レーダーレベル計(RLG)(230)を含む。RLGは、格納されたレベル発見アルゴリズム(211)を含む関連メモリ(210)を有するトランシーバ(220)に結合されたプロセッサ(215)を含む。本質安全(IS)バリア回路(250)は、RF出力に結合するための入力(250a)を有する信号経路(335)を含む回路基板(350)に形成される。ISバリア回路は、信号経路に位置付けられた少なくとも1つのブロッキングコンデンサ(C1、C2)を含み、信号経路と接地との間に結合された少なくとも1つのダイオード(D2、D3、及びD4)がある。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本質安全(IS)バリア回路(250’)であって、
前記ISバリア回路が前記回路基板に形成され、レーダーセンサ回路(260)のRF出力(230a)に結合するための入力(250a)を有する信号経路(335)を含む、回路基板(350)と、
前記信号経路に位置付けられた少なくとも1つのブロッキングコンデンサ(C1、C2)と、
前記信号経路と接地との間に結合された少なくとも1つのダイオード(D2、D3、D4)と
を備え、
前記ISバリア回路によってもたらされる出力(219)が、エネルギーが制限されている保護RF出力である、本質安全(IS)バリア回路(250’)。
【請求項2】
前記ブロッキングコンデンサの静電容量が10nF未満である、請求項1に記載のISバリア回路。
【請求項3】
前記ダイオードには、バックトゥバック接続されたツェナーダイオード対が含まれる、請求項1に記載のISバリア回路。
【請求項4】
いずれも前記ダイオードに電気的に並列な、気体放電管(GDT)(330)及び抵抗器(R1)をさらに備える、請求項1に記載のISバリア回路。
【請求項5】
タンク(205)内の生成物(227)をレベルセンシングするためのレーダーシステム(200)であって、
中心導体が、前記タンクの頂部でプローブ(240)に結合されるか、又は前記タンクの中に延在する同軸コネクタ(218)に結合されたRF出力(230a)をもたらすトランシーバ(220)を含む、レーダーレベル計(RLG)(230)であって、前記トランシーバが、格納されたレベル発見アルゴリズム(211)を含む関連メモリ(210)を有するプロセッサ(215)に結合されている、レーダーレベル計(RLG)(230)と、
前記同軸コネクタと前記トランシーバとの間に結合された本質安全(IS)バリア回路(250)であって、
前記RF出力(230a)に結合するための入力(250a)を有する信号経路(335)を含む回路基板(350)と、
前記信号経路に位置付けられた少なくとも1つのブロッキングコンデンサ(C1、C2)と、
前記信号経路と接地との間に結合された少なくとも1つのダイオード(D2、D3、D4)とを備える、本質安全(IS)バリア回路(250)と
を備え、
前記ISバリア回路によってもたらされる出力(219)が、エネルギーが制限されている保護RF出力である、レーダーシステム(200)。
【請求項6】
前記ブロッキングコンデンサの静電容量が10nF未満である、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記ダイオードには、バックトゥバック接続されたツェナーダイオード対が含まれる、請求項5に記載のシステム。
【請求項8】
防爆筐体(180)をさらに備え、前記RLG及び前記ISバリア回路が、いずれも前記防爆筐体内にある、請求項5に記載のシステム。
【請求項9】
レーダーシステム(200)のレーダーレベル計(RLG)(230)のプローブ(240)に達する障害状態中にエネルギーを制限する方法であって、前記RLGが可燃物質を含むタンク(205)内の生成物(227)をレベルセンシングするための前記プローブにRF出力(230a)をもたらし、前記方法が、
前記RF出力に結合するための入力(250a)を有する信号経路(335)、前記信号経路における少なくとも1つのブロッキングコンデンサ(C1、C2)、及び前記信号経路と接地との間に結合された少なくとも1つのクランピングダイオード(D2、D3、D4)を含む、回路基板(350)に、本質安全(IS)バリア回路(250)を設けるステップ
を含み、
前記ISバリア回路が、前記RF出力を、エネルギーが制限されている(制限されたエネルギー)保護RF出力(219)にし、それにより、障害状態中、前記制限されたエネルギーのおかげで、前記プローブによって前記タンク内の前記可燃物質が発火することが防止される、方法。
【請求項10】
前記ブロッキングコンデンサの静電容量が10nF未満である、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記ダイオードには、バックトゥバック接続されたツェナーダイオード対が含まれる、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記保護RF出力には、同軸出力が含まれる、請求項9に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
[0001]本出願は、その全体が参照により本明細書に組み込まれている、2014年11月26日出願の「INTRINSIC SAFETY BARRIER CIRCUIT WITH SERIES BLOCKING CAPACITOR(直列ブロッキングコンデンサを備える本質安全バリア回路)」という名称の米国特許仮出願第62/085,112号の利益を主張するものである。
【0002】
[0002]開示された実施形態は、コンテナにおける生成物のレベルを測定するために電磁波を使用する、レーダーレベル計(radar level gauge)システムに関し、より具体的には、タンク内の可燃物質が障害状態中に発火しないように、特に障害状態中にシステムのプローブ(probe)でエネルギーを制限する、本質安全デバイスに関する。
【背景技術】
【0003】
[0003]レーダーレベル計(RLG)は、プロセス流体、顆粒状物質及び他の物質などの生成物のレベルの測定のためによく使用される。このようなレーダーレベル計の例は、マイクロ波を送受信するためのトランシーバ、マイクロ波を向け、かつ、トランシーバに生成物表面によって影響を受けた反射したマイクロ波を結合させるように配置された伝播デバイス(例えば、アンテナ又は導波プローブ(すなわち、タンクの頂部から底部まで吊るされた伝送路))、トランシーバを制御しかつトランシーバによって送受信されたマイクロ波間の時間関係に基づいたレベルを決定するように適合されたタイミング回路、及び、電力を受け取りかつレーダーレベル計を外部に接続するように構成されたインタフェースを含む。
【0004】
[0004]通常は気体もしくは液体である可燃物質を含んでいるタンクにおいて、又はRLGが爆発危険領域に位置する他の状況において、レベル測定がプローブによってなされる場合、RLGシステムが危険場所用に設計されていることが必要とされる。この必要条件は、通常、ツェナーダイオードなどのバリアデバイスが、タンクの中に延在するプローブに供給される無線周波数(RF)出力で、電圧、電流及び電力を制限するように実施される、本質安全(IS)設計を使用して実現される。
【0005】
[0005]図1Aは、全RLGシステム100がISである、従来のRLGシステム100を示す。非危険領域において、典型的に50又は60Hzで250VのACを供給するAC電圧源110があり、これはISバリア125に結合された制御機器(例えば、プロセス制御装置)120に結合されている。危険領域において、ISバリア125とプローブ(又は導波管)240との間で結合されたRLG130があり、RLG130は、プローブ240に結合されたRF入力/出力(RF出力として示される)131を有する。
【0006】
[0006]より一般には、導波レーダー(GWR)用途において利用されるものを含むRF出力は、RLG130が防爆筐体(enclosure)に取り付けられている用途を含む、危険場所用途のためのISである、RF出力が必要である。図1Bは、RLG130が防爆仕様として取り付けられ、プローブ240がISである、従来のRLGシステム150を示す。RLG130、ISバリア125及び関連した配線は、危険領域内にある防爆筐体180の内部にすべて示される。プローブ240は、したがって、タンク205内の可燃物質が障害状態中でさえ発火しないように、ISにされる。このRLGシステム150の実施形態において、ISバリア125は、通常、ツェナーダイオード分路(shunt)及び/又はガルバニック絶縁を備え、これはどちらも一般に嵩張って高価なISバリアの解決策である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本質的安全バリア回路を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
[0007]本概要は、米国特許法規則§1.73に準拠して提供され、本開示の性質及び本質を簡単に表す概要を提示する。本概要は、請求項の範囲又は意味を解釈又は限定するためには用いられないという理解のもと提出される。
【0009】
[0008]開示された実施形態は、送信用のRLGのRF入力/出力のRF出力を保護RF出力にし、その結果としてそこに結合されたプローブがエネルギーを制限された、レーダーレベル計(RLG)システムにおいてレーダー計とプローブ(又は導波管)との間で結合された、直列ブロッキングコンデンサ及びクランピング(clamping)ダイオードを備える、本質安全(IS)バリア回路を記述する。その結果、障害状態中でさえ、制限されたエネルギーのおかげで、プローブによってタンク内の可燃物質が発火することが防止される。開示されたISバリア回路は、従来のガルバニック絶縁又は嵩張るISバリアの必要性を無くす。追加された利益として、開示されたISバリアは、RLGの電子装置に対する静電放電(ESD)保護も提供する。
【0010】
[0009]開示されたISバリアは、原則的に、RF出力に著しい高周波減衰も加えない。逆に、従来のISバリアは、RF信号に不必要なインピーダンス(及び上述のような減衰)を加える。通常は、クランピング(ツェナー)ダイオードは、それらが不必要な静電容量及び過剰なRF減衰を加えるので、RF出力に加えられ得ない。コンデンサのインピーダンスは、cが静電容量で、fが周波数である場合、1/(2πfc)に等しいことが認識される。したがって、開示されたISバリア回路は、比較的大きな低周波(AC電源周波数)インピーダンスを加え、小サイズ、低出力、低静電容量のESDダイオードを有するISバリアの使用は、低RF減衰を有するIS RF出力をもたらすことを可能にする。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1A】[0010]全システムがISである、従来のRLGシステムの図である。
図1B】[0011]レーダー計が防爆仕様として取り付けられ、プローブがISである、従来のRLGシステムの図である。
図2A】[0012]例示の実施形態による、開示されたISバリア回路がRLGのトランシーバとプローブとの間に位置付けられる、例示のGWRシステムの図である。
図2B】[0013]RLGが防爆仕様として取り付けられ、プローブがISである例示のRLGシステムを示す図であり、例示の実施形態によれば、ISバリア回路がRLGとプローブとの間に位置付けられている。
図3A】[0014]例示の実施形態による、例示のISバリア回路のデザインを示す図である。
図3B】[0015]例示の実施形態による、別の例示のISバリア回路のデザインを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[0016]開示された実施形態は、添付図に関して記述され、類似の参照番号は、同様又は同等の要素を示すために図全体を通して使用される。図は、正確な縮尺ではなく、本明細書に開示された態様を説明するためだけに提供される。いくつかの開示された態様は、説明のための例示的用途に関して以下に記述される。多数の具体的な詳細、関係、及び方法は、本明細書に開示された実施形態の完全な理解を提供するように記載されることが理解されるべきである。
【0013】
[0017]しかしながら、当業者であれば、開示された実施形態が、具体的な詳細のうちの1つもしくは複数なしで、又はその他の方法を用いて実施され得ることをすぐに認識するであろう。他の例では、本明細書に開示された態様を不明瞭にしないために、よく知られている構造又は操作が詳細には示されない。いくつかの動作が、様々な順序で、かつ/又は他の動作もしくは事象と同時に起こり得るので、開示された実施形態は、動作又は事象の図示された順序付けに限定されない。さらに、図示された動作又は事象のすべてが、本開示による方法論を実施するよう要求されるわけではない。
【0014】
[0018]また、それ以上の修飾なしで本明細書に使用されるような「coupled to(に結合された)」又は「coupled with(と結合された)」(等)という用語は、間接又は直接いずれかの電気接続を記述するものである。したがって、第1のデバイスが第2のデバイスに「結合する」場合、その接続は、経路に寄生成分(parasitic)のみがある直接電気接続を通してか、又は他のデバイス及び接続を含む介在物品を介した間接電気接続を通してとすることができる。間接結合では、介在物品は、一般に、信号の情報を修正しないが、その電流レベル、電圧レベル、及び/又は電力レベルを調整し得る。
【0015】
[0019]図2Aは、例示の実施形態による、RLG230のトランシーバ220とプローブ240との間に位置付けられる、開示されたISバリア回路250を備える例示のGWRシステム200を示す。プロセス流体227は、それ自体が可燃性であり、及び/又は、その上に可燃性ガスを有する、タンク205において示される。GWRシステム200は、タンク205の中に延在するプローブ(又は導波管)240に中心導体が結合された状態で、タンク205の頂部にある同軸コネクタ218も含む。RLG230は、関連メモリ210を有するプロセッサ215も含み、トランシーバ220はプロセッサ215に結合され、関連メモリ210は、格納されたレベル発見アルゴリズム211(例えば、時間分域反射率測定(TDR)アルゴリズム)を含む。
【0016】
[0020]ISバリア回路250は、同軸コネクタ218とトランシーバ220との間に示される。ISバリア回路250は、RLG230のRF入力/出力からRF出力230aを受信し、保護RF出力219を出力する。フランジ(図示されず)が、タンク205の頂部に設けられてもよい。GWRシステム200の作動において、トランシーバ220からの送信パルスは、プローブ240に沿って射出され、図示した反射パルスとして戻り、プロセッサ215によって処理される。送信パルスは、約1.5GHzであり得る。概してGWR用途について記述されるが、開示されたISバリア回路は、非接触式レーダーシステムの電子装置を含む、他のシステムの電子装置を保護するように適用されることもできる。このようなすべてのシステムにおいて、デバイスに供給される高電圧源(例えば、AC電源)からの障害を含む障害状態中、危険場所/領域ISに入るRF出力を保持するのに役立つように制限されたエネルギーである必要があることが認識される。
【0017】
[0021]図2Bは、レーダー計230が危険領域内の筐体180を備える防爆仕様として取り付けられ、プローブ240がISである、例示のRLGシステム280を示しており、例示の実施形態によれば、ISバリア回路250はRLG230とプローブ240との間にある。開示されたISバリア回路250は、小サイズであり、通常、RLG230の電子装置と共に、小領域のプリント回路基板(PCB)上に取り付けられる。
【0018】
[0022]図3Aは、開示された実施形態により、特定用途向け集積回路(ASIC)レーダーセンサ回路260として示される、レーダーセンサのRF出力230aとして示される、RF入力/出力と直列の信号経路335を含む、例示のISバリア回路250’のためのデザインを示す。ISバリア回路250’は、PCB350上に示される。ISバリア回路250’は、C1及びC2として示されるブロッキングコンデンサを含み、この場合のコンデンサは、通常、DC電流のみにガルバニック絶縁を提供することによる従来考えられてきたISである。しかしながら、単一のブロッキングコンデンサ(C1又はC2)は、開示されたISバリア回路のために使用され得る。ブロッキングコンデンサC1及びC2は、信号経路335内のバリア回路250’に位置付けられ、バリア回路250’の入力250aは、ASICレーダーセンサ回路260のピン260aからRF出力230aを受信し、かつ、保護RF出力219(同軸出力として示される)を供給する。
【0019】
[0023]バリア回路250’は、図2Bにおいて示される、非危険領域における制御機器(例えば、プロセス制御装置)120に結合された、通常50又は60Hzで250VのACである、AC電圧源110によって供給されるAC電源周波数から高インピーダンスを供給する。C1及びC2は、バックトゥバック接続されたツェナーダイオード対D2、D3、及びD4として示される低静電容量のESDダイオード(通常、1pF以下の静電容量を有する)に電力を制限するように機能し、その結果、D2、D3、D4は、プローブ240に達するエネルギーを、それがタンク内の可燃物にとって発火源とならないように十分低く(障害状態においてさえ)保持するために、プローブ240に達する前に、保護RF出力219上の電圧をISレベル範囲に十分含まれるレベルまで分路する。
【0020】
[0024]ツェナーダイオードは、電圧を制限するように配置された他の分路ダイオード、又は信号ダイオードに置き換えることができる。上述のように、C1及びC2は、IS標準に従って、ISの特定の低いレベル用に単一のコンデンサに置き換えることができる。D2、D3、D4は、2つのダイオード対、1つのダイオード対、又は、以下に説明されるように、必要とされるISのレベルに依存する単一のダイオードにさえ置き換えることができる。シャーシ接地は、R1及びGDT330と同様に、D2、D3、D4の低側上に示されるが、アナログ接地(AGND)は、D1の低側上に、かつ、ASICレーダーセンサ回路260用に示される。
【0021】
[0025]電圧固定用の単一ダイオードは、通常作動モードにおいて、RF信号が比較的低い電圧振幅を有する場合に使用され得ることが、本明細書において認識される。ダイオードは、RF信号の電圧がダイオードの降伏電圧を超える場合のみ、正極性に固定されることとなる(すなわち、ダイオードに逆方向にバイアスをかけること)。同じダイオードは、RF信号の電圧が負の時、もし、それが通常1V未満(例えば、シリコンpnダイオードに対して室温で約0.6〜0.7V)の順方向導通電圧より振幅が高い場合、負方向にも固定されることとなる(すなわち、ダイオードに順方向バイアスをかけること)。例えば、RF信号電圧が普通は常に−1Vより大きいなら、単一ダイオードは、したがって、いずれかの極性に対してRF信号を固定するために使用され得る。図3A(及び以下に記述された図3B)において示されるような付加的ダイオードは、クランピング閾値を増加させるために加えられ得る。同様に、ダイオードの他の配列は、正負両方の所望のクランピング振幅を調整するために作られ得る。
【0022】
[0026]GWRシステム200又は280によって使用されたRF周波数が、約1.5GHzなどのように比較的高いので、約数百pFなどのように、小さな値のコンデンサは、RF信号に著しい減衰を加えることなく、C1及びC2として示されるブロッキングコンデンサ用に使用され得ることが認識される。小さな値のコンデンサの使用は、連続レーダー作動中において基本的にD2、D3、D4にわたって電力散逸をもたらさず、かつ、障害状態中においてきわめて低い電力散逸をもたらす。
【0023】
[0027]バリア回路250’は、R1として示される抵抗器、及び、ISを損なうことなく、RF出力219に結合されたプローブ又はアンテナの静電放電保護に対して示される、気体放電管(GDT)330を加えることなどによって、他の構成要素を含むように発展させられ得る。別のコンデンサC3も、静電放電構成要素R1とGDT330との間のインピーダンス、ならびに、D2、D3、及びD4の低電圧固定特性を提供するように加えられ、図3Aにおいて示される。ツェナーダイオードであるD1として示される別のダイオードは、そのピン260aと局所的接地基準(図示されず)との間で直接的に、さらなるESD、及びRF生成デバイス、例えばASICレーダーセンサ回路260に過渡的保護を提供するように加えられることができる。
【0024】
[0028]図3Bは、開示された実施形態による、別の例示の本質安全バリア回路250”のデザインを示す。バリア回路250”は、ASICレーダーセンサ回路260と共に、共通のPCB350上に一緒にあり得る。成分値の例は、R1に対して330pF及び10オームであるC1、C2に対して示される。開示されたバリア回路の実施形態に対する基本的な回路構成要素は、C1、C2、D2、D3及びD4である。
【0025】
[0029]様々な開示された実施形態が上に記述されたが、それらは、単に例として提示され、限定としてではないことが理解されるべきである。本開示の趣旨又は範囲から逸脱することなく、本明細書における開示に従って、開示された実施形態に対して多くの変更が行われ得る。したがって、本開示の広がり及び範囲は、上述の実施形態のいずれにも限定されるべきではない。むしろ、本開示の範囲は、以下の特許請求の範囲とそれらの均等物に従って定義されるべきである。
【0026】
[0030]開示された実施形態が、1つ又は複数の実施形態に関連して図示、説明されたが、本明細書及び添付図面を読み、理解した時点で、当業者には、等価の変更及び修正が思い付くであろう。いくつかの実施形態のうちのただ1つに関して、特定の特徴が開示されたが、このような特徴は、任意の所与の又は特定の用途に望まれ、有利であり得るように、その他の実施形態の1つ又は複数のその他の特徴と組み合わされてもよい。
図1A
図1B
図2A
図2B
図3A
図3B
【手続補正書】
【提出日】2017年8月8日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本質安全(IS)バリア回路(250’)であって、
前記ISバリア回路が前記回路基板に形成され、レーダーセンサ回路(260)のRF出力(230a)に結合するための入力(250a)を有する信号経路(335)を含む、回路基板(350)と、
前記信号経路に配置された少なくとも1つのブロッキングコンデンサ(C1、C2)と、
前記信号経路と接地との間に結合された少なくとも1つのダイオード(D2、D3、D4)であって、前記ブロッキングコンデンサと前記ISバリア回路によってもたらされる出力(219)との間に配置される、少なくとも1つのダイオード(D2、D3、D4)
を備え、
前記ISバリア回路によってもたらされる前記出力(219)が、エネルギーが制限されている保護RF出力である、本質安全(IS)バリア回路(250’)。
【請求項2】
前記ブロッキングコンデンサの静電容量が10nF未満である、請求項1に記載のISバリア回路。
【請求項3】
いずれも前記ダイオードに電気的に並列な、気体放電管(GDT)(330)及び抵抗器(R1)をさらに備える、請求項1に記載のISバリア回路。
【請求項4】
タンク(205)内の生成物(227)をレベルセンシングするためのレーダーシステム(200)であって、
記タンクの頂部でプローブ(240)に結合されるか又は前記タンクの中に延在する中心導体を有する同軸コネクタ(218)に結合されたRF出力(230a)をもたらすトランシーバ(220)を含む、レーダーレベル計(RLG)(230)であって、前記トランシーバが、格納されたレベル発見アルゴリズム(211)を含む関連メモリ(210)を有するプロセッサ(215)に結合されている、レーダーレベル計(RLG)(230)と、
前記同軸コネクタと前記トランシーバとの間に結合された本質安全(IS)バリア回路(250)であって、
前記RF出力(230a)に結合するための入力(250a)を有する信号経路(335)を含む回路基板(350)と、
前記信号経路に配置された少なくとも1つのブロッキングコンデンサ(C1、C2)と、
前記信号経路と接地との間に結合された少なくとも1つのダイオード(D2、D3、D4)であって、前記ブロッキングコンデンサと前記ISバリア回路によってもたらされる出力(219)との間に配置される、少なくとも1つのダイオード(D2、D3、D4)とを備える、本質安全(IS)バリア回路(250)と
を備え、
前記ISバリア回路によってもたらされる前記出力(219)が、エネルギーが制限されている保護RF出力である、レーダーシステム(200)。
【請求項5】
前記ブロッキングコンデンサの静電容量が10nF未満である、請求項に記載のシステム。
【請求項6】
レーダーシステム(200)のレーダーレベル計(RLG)(230)のプローブ(240)に達する障害状態中にエネルギーを制限する方法であって、前記RLGが可燃物質を含むタンク(205)内の生成物(227)をレベルセンシングするため前記プローブにRF出力(230a)をもたらし、前記方法が、
本質安全(IS)バリア回路(250)であって、前記RF出力に結合するための入力(250a)を有する信号経路(335)、前記信号経路における少なくとも1つのブロッキングコンデンサ(C1、C2)、及び前記信号経路と接地との間に結合された少なくとも1つのクランピングダイオード(D2、D3、D4)であって前記ブロッキングコンデンサと前記ISバリア回路によってもたらされる出力(219)との間に配置される少なくとも1つのクランピングダイオード(D2、D3、D4)を含む、ISバリア回路(250)を、回路基板(350)に設けるステップ
を含み、
前記ISバリア回路によってもたらされる出力が、エネルギーが制限されている保護RF出力(219)であり、それにより、障害状態中、前記制限されたエネルギーにより、前記プローブによって前記タンク内の前記可燃物質が発火することが防止される、方法。
【国際調査報告】