特表2017-539178(P2017-539178A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特表2017-539178ネットワークデバイスのクロックを同期させる方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2017-539178(P2017-539178A)
(43)【公表日】2017年12月28日
(54)【発明の名称】ネットワークデバイスのクロックを同期させる方法
(51)【国際特許分類】
   H04L 7/04 20060101AFI20171201BHJP
   H04L 7/00 20060101ALI20171201BHJP
【FI】
   H04L7/04 100
   H04L7/00 990
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】24
(21)【出願番号】特願2017-533001(P2017-533001)
(86)(22)【出願日】2014年12月16日
(85)【翻訳文提出日】2017年8月16日
(86)【国際出願番号】EP2014078034
(87)【国際公開番号】WO2016095972
(87)【国際公開日】20160623
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】390023711
【氏名又は名称】ローベルト ボツシユ ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ハンス エス.ペー. ファン デル スハール
(72)【発明者】
【氏名】アントン プリンス
【テーマコード(参考)】
5K047
【Fターム(参考)】
5K047AA05
5K047GG10
5K047GG22
5K047GG56
5K047HH01
5K047MM50
(57)【要約】
本発明は、有利にはチャネルアクセス方式を用いる非決定論的ネットワーク(1)において、複数のネットワークデバイス(100、200)のクロックを同期させる方法に関する。ネットワークデバイスが、非決定論的ネットワーク(1)にアクセスするために要する時間を求めることは不可能である。各ネットワークデバイス(100、200)は、少なくとも1つのクロックを含む。第1のネットワークデバイス(100)の第1のクロックと、第2のネットワークデバイス(200)の第2のクロック(VCXOa)とは、オフセットの分だけ異なっており、当該オフセットは、ドリフトに起因して経時的に変化する。第2のネットワークデバイス(200)の第2のクロック(VCXOa)は、第1のネットワークデバイス(100)の第1のクロックに同期されるべきである。第2のネットワークデバイス(200)の第2のクロック(VCXOa)は、第2のネットワークデバイス(200)のその他のすべてのクロックとは別個に適応させられ、かつ、その他のすべてのネットワークデバイスのその他のすべてのクロックとは別個に適応させられる。第1のネットワークデバイス(100)のクロックと、第2のネットワークデバイス(200)のクロック(VCXOa)との間のドリフトが求められて補償される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
有利には非決定論的ネットワーク(1)における、複数のネットワークデバイス(100、200)のクロックを同期させる方法であって、
−各ネットワークデバイス(100、200)は、少なくとも1つのクロックを含んでおり、
−第1のネットワークデバイス(100)の第1のクロックと、第2のネットワークデバイス(200)の第2のクロック(VCXOa)とは、オフセットの分だけ異なっている可能性があり、かつ、当該オフセットは、ドリフトに起因して経時的に変化する可能性があり、
−前記第2のネットワークデバイス(200)の前記第2のクロック(VCXOa)は、前記第1のネットワークデバイス(100)の前記第1のクロックに同期されるべきである、方法において、
前記第2のネットワークデバイス(200)の前記第2のクロック(VCXOa)を、前記第2のネットワークデバイス(200)のその他のすべてのクロックとは別個に適応させ、かつ、その他のすべてのネットワークデバイスのその他のすべてのクロックとは別個に適応させ、
前記第1のネットワークデバイス(100)の前記第1のクロックと、前記第2のネットワークデバイス(200)の前記第2のクロック(VCXOa)との間の前記ドリフトを求めて補償することを特徴とする、方法。
【請求項2】
前記第1のネットワークデバイス(100)の前記第1のクロックと、前記第2のネットワークデバイス(200)の前記第2のクロック(VCXOa)との間の前記オフセットを求めて補償する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
−第1のステップにおいて、前記第1のネットワークデバイス(100)の前記第1のクロックと、前記第2のネットワークデバイス(200)の前記第2のクロック(VCXOa)との間の前記ドリフトを求め、
−第2のステップにおいて、前記第1のネットワークデバイス(100)の前記第1のクロックと、前記第2のネットワークデバイス(200)の前記第2のクロック(VCXOa)との間の、求められた前記ドリフトを補償し、
−第3のステップにおいて、前記第1のネットワークデバイス(100)の前記第1のクロックと、前記第2のネットワークデバイス(200)の前記第2のクロック(VCXOa)との間の前記オフセットを求めて補償する、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記オフセットを補償するために、前記第2のネットワークデバイス(200)の前記第2のクロック(VCXOa)の周期の整数倍である変化を、前記第2のネットワークデバイス(200)の前記第2のクロック(VCXOa)に適用する、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記第2のネットワークデバイス(200)の前記第2のクロック(VCXOa)は、データクロックであり、特にタイムセンシティブなデータクロックである、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記第2のネットワークデバイス(200)は、データクロック(VCXOa)及びシステムクロック(XO)を含んでおり、前記データクロック(VCXOa)は、前記システムクロック(XO)とは別個に調整されており、かつ、前記システムクロック(XO)から切り離されている、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記データクロック(VCXOa)によって特徴付けられている、前記第2のネットワークデバイス(200)のタイムセンシティブなデータ領域(201a)は、前記システムクロック(XO)によって特徴付けられている、前記第2のネットワークデバイス(200)のローカルクロック領域(210)からは切り離されており、かつ、前記第2のネットワークデバイス(200)のローカルクロック領域(210)とは別個に調整されている、請求項5又は6に記載の方法。
【請求項8】
前記第2のネットワークデバイス(200)は、前記ネットワークを介して、有利には前記非決定論的ネットワークを介して、タイムセンシティブなデータを伝送する、請求項1乃至7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記非決定論的なネットワークは、無線ネットワーク、バスネットワーク、リング型ネットワーク、スター型ネットワーク、又は、半二重ポイント・ツー・ポイントリンクである、請求項1乃至8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記第1のネットワークデバイス(100)の前記クロックと、前記第2のネットワークデバイス(200)の前記クロック(VCXOa)との間の前記ドリフトを求めることは、
−前記第1のネットワークデバイス(100)が、第1の同期メッセージ(sync1)を第1の伝送時間(T1master)に伝送し、前記第2のネットワークデバイス(200)が、前記第1の同期メッセージ(sync1)を第1の受信時間(T1slave)に受信するステップと、
−前記第1のネットワークデバイス(100)が、第2の同期メッセージ(sync2)を第2の伝送時間(T2master)に伝送し、前記第2のネットワークデバイス(200)が、前記第2の同期メッセージ(sync2)を第2の受信時間(T2slave)に受信するステップと、
−前記第1のネットワークデバイス(100)の前記第1のクロックと前記第2のネットワークデバイス(200)の前記第2のクロック(VCXOa)との間の前記ドリフトを、前記第1の受信時間(T1slave)、前記第2の受信時間(T2slave)、前記第1の伝送時間(T1master)及び前記第2の伝送時間(T2master)を考慮して求めるステップと、
を備えている、請求項1乃至9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記ドリフトを、前記第1の受信時間(T1slave)と前記第2の受信時間(T2slave)との差を、前記第1の伝送時間(T1master)と前記第2の伝送時間(T2master)との差で除算したものとして求める、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記第1のネットワークデバイス(100)の前記クロックと、前記第2のネットワークデバイス(200)の前記クロック(VCXOa)との間の前記オフセットを求めることは、
−前記第1のネットワークデバイス(100)が、第3の同期メッセージ(sync3)を第3の伝送時間(T3master)に伝送し、前記第2のネットワークデバイス(200)が、前記第3の同期メッセージ(sync3)を第3の受信時間(T3slave)に受信するステップと、
−前記第2のネットワークデバイス(200)が、遅延要求(delay1)を第4の伝送時間(T4slave)に伝送し、前記第1のネットワークデバイス(100)が、前記遅延要求(delay1)を第4の受信時間(T4master)に受信するステップと、
−前記オフセット及び遅延時間を、前記第3の受信時間(T3slave)、前記第3の伝送時間(T3master)、前記第4の伝送時間(T4slave)及び前記第4の受信時間(T4master)によって求めるステップと、
を備えている、請求項1乃至11のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ネットワークデバイスのクロックを同期させる方法に関する。
【背景技術】
【0002】
タイムセンシティブなデータを、特に非決定論的ネットワークにおいて、特に無線ネットワークにおいて、短い待ち時間で伝送するために、送信器のクロックと受信器のクロックとの同期を維持することが要求される。特に、データの転送に使用されるデータクロックは、同期されていなければならない。
【0003】
クロックの同期を達成するために種々のプロトコルを利用することができる。いくつかの例として、NTPv3(Network Time Protocol)、IEEE1588(PTP:Precision Time Protocol)、又は、その派生である802.1AS(Timing and Synchronization for Time−Sensitive Applications in Bridged Local Area Networks)及び802.11v(Wireless LAN)が挙げられる。有線ネットワークにおいてデータクロックを同期させるための解決手段は、同期が維持されているシステムクロックから、データクロックを導き出している。
【0004】
2つのクロックを同期させるために、2つの値又はパラメータ、即ち、オフセット及びドリフトが特に重要である。オフセットは、2つのクロック間の瞬間的な差異である。ドリフトは、このオフセットの経時的な増加量である。また、オフセットは通常の場合、遅延時間(伝送遅延時間又は転送遅延時間とも称される)も考慮する。この遅延時間は、送信器と受信器との間でデータを伝送するために要する時間である。オフセット及びドリフトは、同期すべきクロックに関して0でなければならない。特に、スレーブクロックのオフセット及びドリフトは、このスレーブクロックをマスタクロックに同期させるために0に調整される。
【0005】
有線ネットワークの公知の実現形態において、ドリフトは、オフセットを補償するために、かつ、制御ループを生成するために使用されている。この制御ループのコンバージェンス時間は、遅延時間も含めた、絶対的なオフセットに依存している。通常の場合、ロック状態に達するためには所定の時間が、即ち、スレーブシステムのオフセットが0になるまでの、ドリフトまでの時間が要求される。オフセットが大きい場合には、初期ドリフトは長い時間を要する。従って、2つのクロックが同期されるまで長い時間を要すると考えられる。
【0006】
用いられることの多い解決策は、スレーブシステムクロックのハードウェア調整である。しかしながら、そのような調整は、このシステムクロックから導出される複数のクロックに、(復原性の)結果をもたらし得る。さらには、システムクロックの使用は、不所望な挙動をもたらす可能性があり、例えば、導出されたすべてのクロック(周辺クロックとも称される)は、クロックの同期が要求されているだけであったのに、それどころか「変動する」周波数を有することになる。
【0007】
さらに、それらの公知の実現形態は、有線ネットワークのために設計されたものであって、通常の場合、非決定論的ネットワークとの互換性がない。非決定論的ネットワークにおいては、チャネルアクセス法によって、同一のマルチポイント伝送媒体に接続されている種々の端末が、非決定論的ネットワークを介して伝送を行うことができ、また、その非決定論的ネットワークの容量を共有することができる。種々のネットワークデバイスは、同一の媒体を共有する。特に、非決定論的ネットワークは、無線ネットワーク、バスネットワーク、リング型ネットワーク、スター型ネットワーク、又は、半二重ポイント・ツー・ポイントリンクである。
【0008】
非決定論的ネットワークの媒体を共有しているネットワークデバイスがこのように多数にのぼることから、所定のネットワークデバイスが媒体にアクセスできるか否かを決定することは不可能である。さらに、所定のネットワークデバイスが非決定論的ネットワークを介してデータを伝送できるか否かを予測することは困難であり、又は、それどころか不可能であり、その結果、データ伝送において可変の(非決定論的な)待ち時間がもたらされる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
それらの種類のネットワークの非決定論性に基づき、非決定論的ネットワークは、より決定論的なネットワークとは異なる、ネットワークデバイスのクロックを同期させる方法を必要とする。従って、本発明の課題は、非決定論的ネットワークにおけるネットワークデバイスのクロックを、短時間で、かつ、ネットワークデバイスに関する安定性問題が生じることなく、同期させる方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
発明の開示
本発明によれば、独立請求項1の特徴部分に記載の構成を備えている、有利には非決定論的ネットワークにおける、ネットワークデバイスのクロックを同期させる方法が提案される。
【0011】
本発明によれば、少なくとも、複数のネットワークデバイスを含んでいる非決定論的ネットワークにおける第1のネットワークデバイスのクロックと、第2のネットワークデバイスのクロックとが、同期されるべきである。
【0012】
非決定論的ネットワークは、特に、(多重)チャネルアクセス方式を用いるネットワーク、即ち、ネットワークデバイスが非決定論的ネットワークにアクセスするために要する時間を決定することが不可能なネットワークである。有利には、ネットワークデバイスが非決定論的ネットワークにアクセスできるか否かを決定することは不可能である。さらに、ネットワークデバイスが非決定論的ネットワークを介してデータを伝送できるか否かを確実に決定することは不可能である(予測不可能な可変の待ち時間)。
【0013】
各ネットワークデバイスは、少なくとも1つのクロックを、特に少なくとも2つのクロックを含んでいる。特に、ネットワークデバイスの一方のクロックは、CPUクロック、即ち、対応するネットワークデバイスのマスタクロックである。特に、ネットワークデバイスの他方のクロックは、データクロック、特にタイムセンシティブなデータクロックである。このデータクロックは、データ転送に使用される。
【0014】
特に、ネットワークデバイスのうちの1つはマスタである。このマスタは、マスタタイムベースを有しており、このマスタタイムベースに、(スレーブとみなされる)その他のネットワークデバイスが同期されるべきである。非決定論的ネットワークを介してデータを伝送するために、スレーブのデータクロックは、マスタのクロックに同期されなければならない。
【0015】
特に、第1のネットワークデバイスは、マスタとみなされ、また、第2のネットワークデバイスは、スレーブとみなされる。第1のネットワークデバイスの第1のクロックは、マスタクロックとみなされる。第2のネットワークデバイスの第2のクロックは、スレーブクロックとみなされる。スレーブクロックは、スレーブのこの第2のクロックを、マスタのマスタクロックに適応させるために調整される。マスタのマスタクロックは、データクロック、タイムセンシティブなマスタクロック、及び/又は、CPUクロックであってよい。
【0016】
発明の利点
本発明の核心は、3つの異なる態様を含む。本発明の第1の態様は、ネットワークが非決定論的ネットワークであるということである。特に、第1の態様は、スレーブのスレーブクロックが、非決定論的ネットワークのマスタクロックに同期されるべきであって、その結果、データ伝送において可変の(非決定論的な)待ち時間がもたらされることを含む。
【0017】
本発明の第2の態様は、このスレーブクロックが非決定論的ネットワークにおけるその他のすべてのクロックから切り離されているということである。本発明のこの態様によれば、すべてのネットワークデバイスのすべてのクロックは相互に切り離されている。特に、単一のネットワークデバイスの各クロックは、前述のネットワークデバイスのその他のすべてのクロックから切り離されており、また、その他のすべてのネットワークデバイスのその他のすべてのクロックからも切り離されている。
【0018】
スレーブのスレーブクロック(即ち、第2のネットワークデバイスの第2のクロック)は、マスタのマスタクロック(即ち、第1のネットワークデバイスの第1のクロック)に同期される。従って、このスレーブクロックは、第2のネットワークデバイスのその他のすべてのクロックから独立して、それらの第2のネットワークデバイスのその他のすべてのクロックとは別個に適応させられ、また、その他のすべてのネットワークデバイスのその他のすべてのクロックとも別個に適応させられる。従って、スレーブクロックは、ネットワークデバイスのその他のすべてのクロックから切り離されている。
【0019】
本発明によれば、このスレーブクロックは、スレーブのシステムクロック又はローカルクロックそれぞれから切り離されており、特にスレーブのCPUクロックから切り離されている。従って、スレーブのローカル/システムクロックは、本発明に係る方法の過程において調整されず、また、スレーブクロックとマスタクロックとを同期させるために、このスレーブのローカル/システムクロックを適応させる必要はない。これによって、スレーブのシステム、及び、ローカル/システムクロックから導き出されたその他のクロックに対してより高い安定性がもたらされる。各クロックをこのように切り離すことによって、種々の利点及び可能性が提供される。従って、データクロックに対して円滑な調整を行うことができる。異なる速度の複数のデータクロックを有することも可能である。
【0020】
本発明の第3の態様は、クロックの同期が安定した状況を介して達成されることである。特に、スレーブクロックとマスタクロックとを同期させるために、スレーブクロックとマスタクロックとの間のドリフトが求められて補償される。この補償されたドリフトによって、スレーブクロック及びマスタクロックが前述の安定した状況になる。
【0021】
スレーブクロックを相応に調整することによって、ドリフトが補償される。特に、このドリフト補償は、スレーブクロックの1回の更新で達成される。この更新によって、スレーブクロックが強制的に、安定した状況になる。この更新のために、制御信号とクロック偏差との関係が既知でなければならない。特に、この制御信号は、スレーブクロックを特にクロック偏差によって調整する際に用いる信号である。この更新後に、マスタクロック及びスレーブクロックは安定した状況になり、従って、それら2つのクロック間にドリフトは存在しない。
【0022】
従って、本発明は、2つのクロックが最終的に収束して同期状態になるまで2つのクロックを適応させるために、連続的なドリフト補償又は連続的な制御ループを使用しない。むしろ本発明は、ステップベースのアプローチを使用する。本発明によれば、ドリフトが直接的に求められ、固有に補償される。このようにして、クロックの同期を短時間で達成することができる。
【0023】
同期は特に、適切なデータの交換によって、特に適切なメッセージ及び/又はリクエストの交換によって達成される。このデータは、特にデータパケットの形態で、即ち、適切な同期パケットの形態で交換される。
【0024】
特に、時刻(TOD:Time of Day)が、マスタクロックの絶対的な時間として使用される。時刻は、年、月、日にち、時間、分、秒及びナノ秒の情報を含んでいる。時刻を使用することによって、タイムセンシティブなデータを、異なる非決定論的ネットワーク間で伝送することもできる。
【0025】
有利には、マスタクロックとスレーブクロックとの間のオフセットが補償される。ドリフトが求められ、そのドリフトが補償された後に、マスタクロック及びスレーブクロックは安定した状況になる。しかしながら、通常は2つのクロック間の(初期)オフセットが存在することになる。特にこのオフセットが求められて補償される。特に、(転送)遅延時間も補償される。特に、遅延時間を固有に設定する必要はないが、しかしながら、遅延時間はオフセットと共に自動的に補償される。
【0026】
オフセット及び遅延は、更新メカニズムを介してスレーブクロックが設定されることによって補償される。この更新メカニズムは、データクロックの周期時間を考慮する。データクロックの1つ又は複数の完全な周期時間がスキップされる。ここに安定した状況が維持され、従って、マスタクロックとスレーブクロックとの間にドリフトは存在しない。
【0027】
この段階において、オフセットは、特に遅延補償されたオフセットは、マスタクロックの周期内にある。ドリフトが0になると、その段階でクロックがロック状態になる。即ち、マスタクロックとスレーブクロックとが同期される。この同期を経時的に維持するために、適応補償を実施することができる。
【0028】
有利には、クロックがステップベースのアプローチで同期される。このステップベースのアプローチの第1のステップである解析ステップにおいては、2つのクロックのドリフトが求められる。第2のステップであるドリフト補償ステップにおいては、ドリフトが補償される。特にドリフトは、上記において述べたように、スレーブクロックの1回の更新で補償される。このドリフト補償ステップにおけるドリフト補償後に、マスタクロック及びスレーブクロックは安定した状況になり、従って、それら2つのクロック間にドリフトは存在しない。第3のステップであるオフセット修正ステップにおいては、オフセットが求められて補償される。特に、(転送)遅延時間もこのオフセット修正ステップにおいて補償される。その段階でクロックはロック状態になり、従って、マスタクロックとスレーブクロックとが同期される。この同期を経時的に維持するために、第4のステップである適応補償ステップにおいて、適応補償を実施することができる。
【0029】
上記において述べたように、本発明は、2つのクロックが最終的に収束して同期状態になるまで2つのクロックを適応させるために、同期、連続的なドリフト補償又は制御ループを最初に達成する適応的なアプローチは使用しないが、しかしながら、有利には前述のステップベースのアプローチを使用する。この決定論的なアプローチによって、ドリフトもオフセットも直接的に求められ、また、固有に補償される。このようにして、クロックの同期を短時間で達成することができる。
【0030】
有利には、スレーブクロックに適用される変化は、スレーブクロックの整数倍である。このようにして、クロックエッジは正しい位置に維持され、その一方でカウンタ値(時間)だけは変化する。ドリフトを使用する最大要求修正時間は、スレーブクロックの周期時間の半分の時間である。
【0031】
例えば、スレーブクロックの周期時間が1秒であり、かつ、オフセット5.5秒である場合、5周期がスキップされる。このことは、スレーブクロックの周期の5倍の時間(即ち、上記において述べた、スレーブクロックの整数倍の時間)の変化が適用されることを意味している。従って、1秒の5倍の時間の変化、即ち、5秒が適用される。従って、修正されたオフセットは僅か0.5秒(5.5秒−5秒)、即ち、スレーブクロックの周期時間の半分の時間である。
【0032】
有利には、スレーブクロック(即ち、第2のネットワークデバイスの第2のクロック)は、データクロックであり、特にタイムセンシティブなデータクロックである。スレーブは、このデータクロックを使用して、非決定論的ネットワークを介してデータを伝送する。さらに、マスタクロックは、タイムセンシティブなマスタクロックとして設計されている。本発明により各クロックを相互に切り離すことによって、スレーブのデータクロックを、スレーブのその他のすべてのクロックから切り離すことができる。
【0033】
有利には、データクロックをスレーブのシステム/ローカルクロックから切り離すことができ、特にスレーブのCPUクロックから切り離すことができる。従って、データクロックによって特徴付けられている、スレーブのタイムセンシティブなデータ領域を、システムクロック、ローカルクロック又はCPUクロックによって特徴付けられている、スレーブのローカルクロック領域から切り離すことができ、かつ、そのようなスレーブのローカルクロック領域とは別個に調整することができる。
【0034】
有利には、タイムセンシティブな(時間に敏感な)データが非決定論的ネットワークを介して伝送される。特に、タイムクリティカルな(時間が重要な)データが非決定論的ネットワークを介して伝送される。特に、第2のネットワークデバイスが、非決定論的ネットワークを介して前述のタイムセンシティブなデータを伝送する。例えば、タイムセンシティブなデータを、第2のネットワークデバイスから第3のネットワークデバイスに伝送することができる。第3のネットワークデバイスは、第2のネットワークデバイスと同じ手法で、第1のネットワークデバイスに、即ち、マスタに同期される。このようにして、第2のネットワークデバイスのクロックと第3のネットワークデバイスのクロックとがやはり同期される。従って、マスタクロックに同期されるスレーブクロックは、特にタイムセンシティブなデータクロックである。マスタクロックは、又は、一般的にマスタは、特にタイムセンシティブなデータマスタクロックデバイスである。
【0035】
タイムクリティカルなデータは、短い待ち時間のデータ及び/又はタイムセンシティブなデータであってよい。タイムセンシティブなデータは、イベント駆動型データであってもよく、例えば測定データ又は投票(voting)データであってよい。そのようなデータを、例えば、複数の電子制御ユニット(ECU)間で非決定論的ネットワークを介して伝送することができる。
【0036】
有利には、スレーブクロックとマスタクロックとの間のドリフトを求めることは、以下のステップを含む:マスタは、2つの同期メッセージをスレーブに伝送する。マスタは、第1の同期メッセージを第1の伝送時間に送信する。スレーブは、その第1の同期メッセージを第1の受信時間に受信する。マスタは、第2の同期メッセージを第2の伝送時間に送信する。スレーブは、その第2の同期メッセージを第2の受信時間に受信する。マスタクロックとスレーブクロックとの間のドリフトを、第1の受信時間、第2の受信時間、第1の伝送時間及び第2の伝送時間を考慮して求める。
【0037】
有利には、ドリフトは、第1の受信時間と第2の受信時間との差を、第1の伝送時間と第2の伝送時間との差で除算したものとして求められる。特に、ドリフトは、次式によって求められる:
ドリフト=(T2slave−T1slave)/(T2master−T1master
【0038】
有利には、スレーブクロックとマスタクロックとの間のオフセットが、遅延要求/応答要求によって求められる。マスタは、第3の同期メッセージを第3の伝送時間に伝送し、スレーブは、第3の同期メッセージを第3の受信時間に受信する。その後、スレーブは、遅延要求を第4の伝送時間に伝送し、マスタは、遅延要求を第4の受信時間に受信する。オフセット及び遅延時間が、第3の受信時間、第3の伝送時間、第4の伝送時間及び第4の受信時間によって求められる。
【0039】
以下では、添付の図面を参照しながら、本発明を例示的にさらに説明する。
【図面の簡単な説明】
【0040】
図1】本発明による1つの有利な実施の形態を実行するように設計されている、第1のネットワークデバイス、第2のネットワークデバイス及び第3のネットワークデバイスを備えている非決定論的ネットワークを概略的に示す。
図2a】本発明に係る方法の1つの有利な実施の形態をフローチャートとして概略的に示す。
図2b】本発明に係る方法の1つの有利な実施の形態をフローチャートとして概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0041】
詳細な説明
図1には、ワイヤレスネットワークとして設計されている非決定論的ネットワークが概略的に示されており、また、参照番号1によって表されている。
【0042】
第1のネットワークデバイスは、マスタ100である。マスタ100は、マスタクロックを表し、また特に、タイムセンシティブなマスタクロックデバイスとして構成されている。ワイヤレスネットワーク1内の他のすべてのネットワークデバイスは、マスタクロック100に同期されていなければならない。それぞれマスタによって配布される時間又は時間信号は、絶対的な時間である。特に、マスタ100のこの絶対的な時間は、時刻(TOD:Time of Day)である。
【0043】
この特定の例においては、ワイヤレスネットワークに関与している他の2つのネットワークデバイス、即ち、第2のネットワークデバイス200及び第3のネットワークデバイス300が存在している。第2のネットワークデバイス200及び第3のネットワークデバイス300は、類似に構成されており、かつ、同一のコンポーネントを含んでいる。以下では、第2のネットワークデバイス200及びそのコンポーネントのみを詳細に説明する。類似の説明は、第3のネットワークデバイス300に対しても当てはまる。第3のネットワークデバイス300に関する参照番号は、以下の記載においては括弧内に示している。
【0044】
各ネットワークデバイス200(300)は、ローカルクロック領域210(310)を含んでいる。ローカルクロック領域210(310)は、ネットワークデバイス200(300)のシステムクロック及び/又はローカルクロックをそれぞれ示す。ローカルクロック領域210(310)内では、内部ソフトウェアISが実行される。特に、内部ソフトウェアISは、ネットワークデバイス200(300)のオペレーティングシステムである。システム/ローカルクロックXOは、特に発振器によって提供される。このシステム/ローカルクロックXOは、特にネットワークデバイス200(300)のCPUクロックである。
【0045】
さらに、ネットワークデバイス200(300)は、タイムセンシティブなデータクロック領域201a及び201b(301a及び301b)を含んでいる。各タイムセンシティブなデータクロック領域201a及び201bは、タイムセンシティブなデータクロックと称される、固有のクロックを含んでいる。また特に、このタイムセンシティブなデータクロックは、各制御水晶発振器VCXOa及びVCXObによって提供される。タイムセンシティブなデータクロック領域201a及び201b(301a及び301b)のタイムセンシティブなデータクロックVCXOa及びVCXObは、ローカルクロック領域210(310)のシステムクロックXOからは切り離されている。
【0046】
特に、タイムセンシティブなデータクロック領域201a、201b、301a及び301bは、すべて同じように構成されており、かつ、同一のコンポーネントを含んでいる。
【0047】
この例において、第2のネットワークデバイス200と第3のネットワークデバイス300との間のタイムセンシティブなデータは、無線ネットワーク1を介して交換されるものとする。このデータ交換のために、第2のネットワークデバイス200及び第3のネットワークデバイス300は、第1のネットワークデバイス100に同期されなければならない。従って、ネットワークデバイス100、200及び300は、本発明に係る方法の有利な実施の形態を実行するように構成されている。
【0048】
ローカルクロック領域210及び310のシステム/ローカルクロックは、マスタクロック100に同期されない。その代わりに、タイムセンシティブなデータクロック領域201a、201b、301a及び301bのタイムセンシティブなデータクロックVCXOa/VCXObが、マスタクロック100に同期される。従って、ローカルクロック領域210及び310のシステム/ローカルクロックは、タイムセンシティブなデータクロック領域201a、201b、301a及び301bの調整可能なクロックからは切り離されている。
【0049】
制御ロジック、例えばローカルクロック領域210(310)において実行されるオペレーティングシステムISによって、また、タイムセンシティブなデータクロック領域201a及び201b(301a及び301b)において実行されるタイムクリティカルな部分、即ち、タイムセンシティブなデータによって、明確な利点を達成することができ、また、責任を分担させることができる。このようにして、単一のネットワークデバイス200(300)において、異なるレートの複数のタイムセンシティブなデータクロックを確立することができ、また、確実にローカル/システムクロックXOを安定状態に維持することができる。
【0050】
タイムセンシティブなデータは、例えば投票データの測定のようなイベント駆動型データであってよい。例えば、タイムセンシティブなデータは、測定、オーディオ、ビデオ、センサ及び/又はモータ位置に関連するデータを含むことができる。
【0051】
図1の特定の例においては、第2のネットワークデバイス200及び第3のネットワークデバイス300は、無線ネットワーク1を介して相互に通信する電子制御ユニット(ECU)である。特に、第2のネットワークデバイス200は、センサから伝送された信号を受信する。各タイムセンシティブなデータクロック領域201a及び201bは、アナログ/ディジタル変換器A/Da及びA/Dbをそれぞれ含んでいる。アナログ/ディジタル変換器A/Da及びA/Dbは、センサから受信した測定信号をディジタル化する。それらのディジタル化された信号は、それぞれタイムセンシティブなデータ又はタイムクリティカルなデータであり、また、無線ネットワーク1を介して、第3のネットワークデバイス300と交換されるべきである。
【0052】
特に、第3のネットワークデバイス300は、第2のネットワークデバイス200から送信されたタイムセンシティブなデータを受信して処理する。ディジタル/アナログ変換器D/Aa及びD/Abによって、タイムセンシティブなデータクロック領域301a及び301bは、ディジタル化された信号を再びアナログ信号に戻すことができる。それらのディジタル化された信号は、第3のネットワークデバイス300の出力であってよく、また、別のコンポーネントを制御するために使用することができる。
【0053】
以下の特定の例において、タイムセンシティブなデータクロック領域201aとタイムセンシティブなデータクロック領域301aとの間のタイムセンシティブなデータは、無線ネットワーク1を介して交換されるものとする。このデータ交換のために、タイムセンシティブなデータクロック領域201aのタイムセンシティブなデータクロックVCXOa及びタイムセンシティブなデータクロック領域301aのタイムセンシティブなデータクロックVCXOaは、本発明に係る方法の有利な実施の形態に従い、マスタクロック100に同期されなければならない。以下では、タイムセンシティブなデータクロック領域201aのタイムセンシティブなデータクロックVCXOaが、どのようにマスタクロック100に同期されるかを説明する。以下の説明は、タイムセンシティブなデータクロック領域301aの同期についても同様に当てはまる。
【0054】
分かり易くするために、以下の説明においては、タイムセンシティブなデータクロックは、スレーブクロックVXCOaと記し、また、タイムセンシティブなデータクロック領域201aは、スレーブ201aと記す。交換されるべきタイムセンシティブなデータは、単純に交換データと記す。
【0055】
マスタ100は、適切なデータを、特に適切な信号、メッセージ及び/又はリクエストを、スレーブに伝送する。有利には、このデータは、データパケットの形態で交換される。以下の説明においては、それらの適切なデータ及び/又は適切なデータパケットを、同期データと記す。
【0056】
マスタ100は、それらの同期データを、スレーブ201aのタイムスタンプセクションTaに伝送又は送信し、また、反対に、スレーブ201aのタイムスタンプセクションTaは、それらの同期データを、マスタ100に伝送又は送信する。それらの信号を用いて、マスタクロック100とスレーブクロックVCXOaとの間のドリフト及びオフセットが、本発明によって求められる。タイムスタンプセクションTaは、ローカルクロック領域210におけるサーボ制御部SCaと通信する。サーボ制御部SCaは、スレーブクロックVCXOaを制御及び調整し、かつ、ドリフト及びオフセットを補償する。
【0057】
本発明に係る、スレーブクロックVCXOaとマスタクロック100とを同期させるための方法を、図2を参照しながら詳細に説明する。
【0058】
タイムセンシティブなデータクロック領域201a及び301aのスレーブクロックVCXOaがマスタクロック100に同期されると、交換データを第2のネットワークデバイス200と第3のネットワークデバイス300との間で交換することができる。スレーブ201aのスレーブクロックVCXOaは、同期時間又は時間信号をアナログ/ディジタル変換器A/Daに伝送する。アナログ/ディジタル変換器A/Daは、相応のタイムスタンプを有する交換データを、サンプルセクションSaに伝送する。サンプルセクションSaは、ローカルクロック領域210におけるパッケージングセクションPに、交換データを伝送する。パッケージングセクションPにおいては、交換データの伝送の準備が行われる。特に、交換データが複数のパケットに分割される。
【0059】
交換データは、データ伝送クロック領域220を介して、第3のネットワークデバイス300に送信される。データ伝送クロック領域220は、固有のクロック、即ち、物理的なパケット変換及び/又は物理的なデータ変換に使用されるデータ伝送クロックを含んでいる。データ伝送クロック領域220においては、交換データの他に同期データも、マスタ100に送信され、また、マスタ100から受信される。
【0060】
ネットワークデバイス300は、自身の伝送クロック領域320を介して、送信された交換データを受信する。ローカルクロック領域310のパッケージングセクションPにおいては、交換データをパージングによって、即ち、構文解析によって、アンパックすることができる。アンパックされた交換データは、パッケージングセクションPからタイムセンシティブなデータクロック領域301aのサンプルセクションSaへと伝送され、また、そこからさらにディジタル/アナログ変換器D/Aaへと伝送される。スレーブ301aのスレーブクロックVCXOaは、同期時間又は時間信号を、ディジタル/アナログ変換器A/Daに伝送する。
【0061】
上記の説明は、同様に、タイムセンシティブなデータクロック領域201b及び301bのタイムスタンプセクションTb、サンプルセクションSb、電圧制御水晶発振器VCXOb及びサーボ制御部SCbについても妥当する。
【0062】
すべてのタイムセンシティブなデータクロックVCXOa、VCXObは、マスタと関係を有しており、特に、マスタの絶対的な時間と関係を有している。この関係は、ローカルクロック領域210(310)におけるサーボ制御部SCa及びSCbによって管理される。マスタの絶対的な時間としての時刻によって、複数の非決定論的ネットワーク間において、特に複数の無線ネットワーク間において、タイムセンシティブなデータを伝送することができる。それらの非決定論的ネットワークを、特に無線ネットワークを、それぞれ、図1に示した無線ネットワーク1と同様に構成することができる。各無線ネットワークには、それらの無線ネットワーク固有のマスタクロックが提供されている。
【0063】
図2には、スレーブクロックVCXOaとマスタクロック100とが同期される、本発明の有利な実施の形態がフローチャートとして概略的に示されている。スレーブクロックVCXOaとマスタクロック100とは、ステップベースのアプローチによって同期される。図2のフローチャートは、一般的には、第1のネットワークデバイス100と、第2のネットワークデバイス200と、の間で交換される同期データを表しており、また特には、それぞれ、タイムセンシティブなマスタクロックデバイス100と、スレーブ、即ち、タイムセンシティブなデータクロック領域201aと、の間で交換される同期データを表している。
【0064】
垂直方向の軸は、どの時点にマスタ及びスレーブが同期データを相互に伝送するかをシンボリックに表している時間軸である。左側の時間軸は、マスタを表しており、また、右側の時間軸は、スレーブを表している。
【0065】
図2aには、本発明に係る方法の有利な実施の形態の第1のステップ(解析ステップ)が示されており、この第1のステップにおいては、マスタクロックとスレーブクロックとの間のドリフトが求められる。
【0066】
第1の伝送時間T1masterでは、マスタが同期データとしての第1の同期メッセージsync1をスレーブに伝送する。第1の受信時間T1slaveでは、スレーブが第1の同期メッセージsync1を受信する。
【0067】
第2の伝送時間T2masterでは、マスタが同期データとしての第2の同期メッセージsync2をスレーブに伝送する。第2の受信時間T2slaveでは、スレーブが第2の同期メッセージsync2を受信する。
【0068】
ドリフトは、第1の受信時間T1slave、第2の受信時間T2slave、第1の伝送時間T1master及び第2の伝送時間T2masterを考慮して求められる。有利には、ドリフトは、受信時間の差と伝送時間の差との比率として求められる。有利には、ドリフトは次式に従って求められる:
ドリフト=(T2slave−T1slave)/(T2master−T1master
【0069】
第2のステップ(ドリフト補償ステップ)においては、ドリフトがスレーブにおいて補償される。特に、タイムスタンプセクションTaは、この求められたドリフトをサーボ制御部SCaに伝送する。サーボ制御部SCaは、電圧制御水晶発振器VXCOaを相応に制御し、それによってこのドリフトが補償される。スレーブ及びマスタは、安定した状況になる。
【0070】
同期メッセージの経過において、マスタは、フォローアップメッセージをスレーブに伝送することもできる。フォローアップメッセージは、どの正確な時点にマスタが同期メッセージをスレーブに送信したかという情報を含んでいる。従って、第1のフォローアップメッセージfollow1は、正確な第1の伝送時間T1masterを含んでいる。また、第2のフォローアップメッセージfollow2は、正確な第2の伝送時間T2masterを含んでいる。
【0071】
図2bには、本発明に係る方法の有利な実施の形態の第3のステップ(オフセット修正ステップ)が示されており、この第3のステップにおいては、マスタクロック100とスレーブクロックVCXOaとの間のオフセットが求められて、補償される。
【0072】
第3の伝送時間T3masterでは、マスタが同期データとしての第3の同期メッセージsync3をスレーブに伝送する。第3の受信時間T3slaveでは、スレーブが第3の同期メッセージsync3を受信する。
【0073】
第3の伝送時間T3masterと第3の受信時間T3slaveとの間には、以下の関係が存在している:
T3slave−T3master=オフセット+Tdelay
但し、Tdelayは、遅延時間、即ち、マスタとスレーブとの間でデータ(特に同期データ)を伝送するために要する時間である。
【0074】
正確な第3の伝送時間T3masterを、第3のフォローアップメッセージfollow3の経過において供給することができる。
【0075】
第4の伝送時間T4slaveでは、スレーブが遅延要求delay1をマスタに伝送する。第4の受信時間T4masterでは、マスタが遅延要求delay1を受信する。受信時間T4masterにおいて遅延要求を受信した後に、マスタは、この遅延要求delay1に対する応答として、遅延応答delay2を(即座に)スレーブに伝送する。
【0076】
遅延時間と第4の受信時間T4masterとの間には、以下の関係が存在している:
Tdelay=1/2(T4master−T4slave*)
但し:
T4slave*=T4slave−(オフセット+Tdelay)
【0077】
この関係は、遅延が対称的であるという仮定、即ち、マスタからスレーブへのデータ伝送に関する平均時間は、スレーブからマスタへのデータ伝送に関する平均時間に等しく、かつ、この平均時間は一定であるか又は無視できる程度にしか経時的に変化しないという仮定に相当する。
【0078】
上記の関係によって、オフセットを求めることができる。オフセットは、有利には、第3の受信時間T3slave、第3の伝送時間T3master、第4の伝送時間T4slave及び第4の受信時間T4masterを考慮して求められる。有利には、オフセットは、次式に従って求められる:
オフセット=(T3slave−T3master)−Tdelay
但し:
Tdelay=1/2(T4master−T4slave*)
【0079】
求められたオフセット(従って、遅延)を用いて、ドリフトと同様に、オフセット(従って、遅延)を補償することができる。本発明に係る方法によって、スレーブクロックに関するドリフト、オフセット及び遅延を非常に円滑かつ高速に修正することができる。
【0080】
第2の受信時間T2slave後にドリフトを高速に補償できる場合には、又は、最小限のドリフトしか求められなかった場合には、第3の同期メッセージsync3を伝送する必要はなくなる。この場合には、第2の伝送時間T2master及び第2の受信時間T2slaveが、遅延及びオフセットを計算するための入力として使用される。この場合、上記の式において、第3の伝送時間T3masterが、第2の伝送時間T2masterに置換され、かつ、第3の受信時間T3slaveが、第2の受信時間T2slaveに置換される:
オフセット=(T2slave−T2master)−Tdelay
但し:
Tdelay=1/2(T4master−T4slave*)
【0081】
従って、オフセットは、第2の受信時間T2slave、第2の伝送時間T2master、第4の伝送時間T4slave及び第4の受信時間T4masterを考慮して求められる。
【0082】
本発明に係る方法によって、スレーブは、正確な周期となるように設定され、また、スレーブのクロックとマスタのクロックとが同期される。同期を経時的に維持するために、第4のステップ(適応補償ステップ)において、適応補償を適用することができる。この適応補償は、ドリフトを使用して最後の周期内オフセットの補償を処理する。適応補償の経過において、制御水晶発振器VCXOaは、サーボ制御部SCaによって相応に制御される。
【0083】
本発明により、ローカルクロック領域210のシステム/ローカルクロックVCXOを、タイムセンシティブなデータクロック領域201aの調整可能なスレーブクロックVCXOaから分離して切り離すことによって、サーボ制御部SCaは、同期データの受信時間によって影響を受けず又はトリガされない。同期データは、オフセット及びドリフトを求めるための情報を供給する。サーボ制御部SCaは、タイムセンシティブなデータクロック領域201a及びデータ伝送クロック領域220から切り離された固有の領域において、即ち、ローカルクロック領域において動作する。サーボ制御部SCaは、オフセット情報及びドリフト情報を使用する。この切り離しは、サーボ制御部SCaを、ネットワークジッタ性能からより一層独立したものにする。
【0084】
例えば、マスタクロックの絶対的な時間が35.7秒であり、かつ、スレーブクロックの時間が25秒である場合には、オフセット及び遅延時間に関して、−10.7秒の(オフセット+Tdelay)値が求められる。スレーブクロックの周波数は例えば、f=48Hzであり、かつ、相応の周期時間は:
period=1/48Hz=20.833s
【0085】
従って、オフセット(及び遅延時間)を補償するために、
correction_offset=10.7s/Tperiod=513608
の修正が求められ、即ち、513608周期の調整が適用されなければならない。
【0086】
ドリフトを補償するために、
correction_drift=4.536μs
の修正が求められる。
【0087】
本発明に係る方法によって、マスタクロックとスレーブクロックとの同期を、適応的なアプローチ、連続的なドリフト補償又は制御ループに比較して高速に、かつ、短時間で達成することができる。
【0088】
本発明によってスレーブクロックをマスタクロックにロックするために、3つの同期メッセージ、即ち、(少なくとも)1つのフォローアップメッセージ、1つの遅延要求/応答シーケンス及び最後の周期内のドリフトまでの時間が必要になる。
【0089】
例えば、毎秒4回、例えば250ms毎に同期メッセージが送信される場合、3つの同期メッセージは、750msの時間を必要とする。
【0090】
遅延要求及び遅延応答が、各遅延時間で交換される。従って、1回の遅延要求/遅延応答シーケンスは、遅延時間の2倍の時間を必要とする。典型的な遅延時間は1msである。
【0091】
20ppm(百万分率)のドリフトでは、最後の周期内のドリフトまでの時間は、
4.536μs/(20×10-6)=226.8ms
である。
【0092】
従って、スレーブクロックとマスタクロックとが同期するまでの時間は、979.8msである。
【0093】
第2の受信時間T2slave後にドリフトを高速に補償できる場合、又は、最小限のドリフトしか求められなかった場合、従って、第3の同期メッセージsync3を伝送する必要がない場合には、同期がより高速に達成されることになる。この場合、同期メッセージは2つだけが送信されればよい。従って、スレーブクロックとマスタクロックとが同期するための時間は、250msだけ短縮されて、729.8msである。
図1
図2a
図2b
【手続補正書】
【提出日】2017年9月12日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
数のネットワークデバイス(100、200)のクロックを同期させる方法であって、
−各ネットワークデバイス(100、200)は、少なくとも1つのクロックを含んでおり、
−第1のネットワークデバイス(100)の第1のクロックと、第2のネットワークデバイス(200)の第2のクロック(VCXOa)とは、オフセットの分だけ異なっている可能性があり、かつ、当該オフセットは、ドリフトに起因して経時的に変化する可能性があり、
−前記第2のネットワークデバイス(200)の前記第2のクロック(VCXOa)は、前記第1のネットワークデバイス(100)の前記第1のクロックに同期されるべきである、方法において、
前記第2のネットワークデバイス(200)の前記第2のクロック(VCXOa)を、前記第2のネットワークデバイス(200)のその他のすべてのクロックとは別個に調整し、かつ、その他のすべてのネットワークデバイスのその他のすべてのクロックとは別個に調整し
前記第1のネットワークデバイス(100)の前記第1のクロックと、前記第2のネットワークデバイス(200)の前記第2のクロック(VCXOa)との間の前記ドリフトを求めて補償することを特徴とする、方法。
【請求項2】
前記第1のネットワークデバイス(100)の前記第1のクロックと、前記第2のネットワークデバイス(200)の前記第2のクロック(VCXOa)との間の前記オフセットを求めて補償する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
−第1のステップにおいて、前記第1のネットワークデバイス(100)の前記第1のクロックと、前記第2のネットワークデバイス(200)の前記第2のクロック(VCXOa)との間の前記ドリフトを求め、
−第2のステップにおいて、前記第1のネットワークデバイス(100)の前記第1のクロックと、前記第2のネットワークデバイス(200)の前記第2のクロック(VCXOa)との間の、求められた前記ドリフトを補償し、
−第3のステップにおいて、前記第1のネットワークデバイス(100)の前記第1のクロックと、前記第2のネットワークデバイス(200)の前記第2のクロック(VCXOa)との間の前記オフセットを求めて補償する、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記オフセットを補償するために、前記第2のネットワークデバイス(200)の前記第2のクロック(VCXOa)の周期の整数倍である変化を、前記第2のネットワークデバイス(200)の前記第2のクロック(VCXOa)に適用する、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記第2のネットワークデバイス(200)の前記第2のクロック(VCXOa)は、データクロックである、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記第2のネットワークデバイス(200)の前記第2のクロック(VCXOa)は、タイムセンシティブなデータクロックである、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記第2のネットワークデバイス(200)は、データクロック(VCXOa)及びシステムクロック(XO)を含んでおり、前記データクロック(VCXOa)は、前記システムクロック(XO)とは別個に調整されており、かつ、前記システムクロック(XO)から切り離されている、請求項5又は6に記載の方法。
【請求項8】
前記データクロック(VCXOa)によって特徴付けられている、前記第2のネットワークデバイス(200)のタイムセンシティブなデータ領域(201a)は、前記システムクロック(XO)によって特徴付けられている、前記第2のネットワークデバイス(200)のローカルクロック領域(210)からは切り離されており、かつ、前記第2のネットワークデバイス(200)のローカルクロック領域(210)とは別個に調整されている、請求項5乃至7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記第2のネットワークデバイス(200)は、前記ネットワークを介してタイムセンシティブなデータを伝送する、請求項1乃至のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記第2のネットワークデバイス(200)は、非決定論的ネットワーク(1)を介して、タイムセンシティブなデータを伝送する、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記複数のネットワークデバイス(100、200)は、非決定論的ネットワーク(1)におけるネットワークデバイスである、請求項1乃至10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記非決定論的なネットワーク(1)は、無線ネットワーク、バスネットワーク、リング型ネットワーク、スター型ネットワーク、又は、半二重ポイント・ツー・ポイントリンクである、請求項10又は11に記載の方法。
【請求項13】
前記第1のネットワークデバイス(100)の前記第1のクロックと、前記第2のネットワークデバイス(200)の前記第2のクロック(VCXOa)との間の前記ドリフトを求めることは、
−前記第1のネットワークデバイス(100)が、第1の同期メッセージ(sync1)を第1の伝送時間(T1master)に伝送し、前記第2のネットワークデバイス(200)が、前記第1の同期メッセージ(sync1)を第1の受信時間(T1slave)に受信するステップと、
−前記第1のネットワークデバイス(100)が、第2の同期メッセージ(sync2)を第2の伝送時間(T2master)に伝送し、前記第2のネットワークデバイス(200)が、前記第2の同期メッセージ(sync2)を第2の受信時間(T2slave)に受信するステップと、
−前記第1のネットワークデバイス(100)の前記第1のクロックと前記第2のネットワークデバイス(200)の前記第2のクロック(VCXOa)との間の前記ドリフトを、前記第1の受信時間(T1slave)、前記第2の受信時間(T2slave)、前記第1の伝送時間(T1master)及び前記第2の伝送時間(T2master)を考慮して求めるステップと、
を備えている、請求項1乃至12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記ドリフトを、前記第1の受信時間(T1slave)と前記第2の受信時間(T2slave)との差を、前記第1の伝送時間(T1master)と前記第2の伝送時間(T2master)との差で除算したものとして求める、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記第1のネットワークデバイス(100)の前記第1のクロックと、前記第2のネットワークデバイス(200)の前記第2のクロック(VCXOa)との間の前記オフセットを求めることは、
−前記第1のネットワークデバイス(100)が、第3の同期メッセージ(sync3)を第3の伝送時間(T3master)に伝送し、前記第2のネットワークデバイス(200)が、前記第3の同期メッセージ(sync3)を第3の受信時間(T3slave)に受信するステップと、
−前記第2のネットワークデバイス(200)が、遅延要求(delay1)を第4の伝送時間(T4slave)に伝送し、前記第1のネットワークデバイス(100)が、前記遅延要求(delay1)を第4の受信時間(T4master)に受信するステップと、
−前記オフセット及び遅延時間を、前記第3の受信時間(T3slave)、前記第3の伝送時間(T3master)、前記第4の伝送時間(T4slave)及び前記第4の受信時間(T4master)によって求めるステップと、
を備えている、請求項1乃至14のいずれか一項に記載の方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0054
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0054】
分かり易くするために、以下の説明においては、タイムセンシティブなデータクロックは、スレーブクロックVCXOaと記し、また、タイムセンシティブなデータクロック領域201aは、スレーブ201aと記す。交換されるべきタイムセンシティブなデータは、単純に交換データと記す。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0060
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0060】
第3のネットワークデバイス300は、自身のデータ伝送クロック領域320を介して、送信された交換データを受信する。ローカルクロック領域310のパッケージングセクションPにおいては、交換データをパージングによって、即ち、構文解析によって、アンパックすることができる。アンパックされた交換データは、パッケージングセクションPからタイムセンシティブなデータクロック領域301aのサンプルセクションSaへと伝送され、また、そこからさらにディジタル/アナログ変換器D/Aaへと伝送される。スレーブ301aのスレーブクロックVCXOaは、同期時間又は時間信号を、ディジタル/アナログ変換器A/Daに伝送する。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0069
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0069】
第2のステップ(ドリフト補償ステップ)においては、ドリフトがスレーブにおいて補償される。特に、タイムスタンプセクションTaは、この求められたドリフトをサーボ制御部SCaに伝送する。サーボ制御部SCaは、電圧制御水晶発振器VCXOaを相応に制御し、それによってこのドリフトが補償される。スレーブ及びマスタは、安定した状況になる。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0075
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0075】
第4の伝送時間T4slaveでは、スレーブが遅延要求delay1をマスタに伝送する。第4の受信時間T4masterでは、マスタが遅延要求delay1を受信する。第4の受信時間T4masterにおいて遅延要求を受信した後に、マスタは、この遅延要求delay1に対する応答として、遅延応答delay2を(即座に)スレーブに伝送する。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0083
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0083】
本発明により、ローカルクロック領域210のシステム/ローカルクロックXOを、タイムセンシティブなデータクロック領域201aの調整可能なスレーブクロックVCXOaから分離して切り離すことによって、サーボ制御部SCaは、同期データの受信時間によって影響を受けず又はトリガされない。同期データは、オフセット及びドリフトを求めるための情報を供給する。サーボ制御部SCaは、タイムセンシティブなデータクロック領域201a及びデータ伝送クロック領域220から切り離された固有の領域において、即ち、ローカルクロック領域において動作する。サーボ制御部SCaは、オフセット情報及びドリフト情報を使用する。この切り離しは、サーボ制御部SCaを、ネットワークジッタ性能からより一層独立したものにする。
【国際調査報告】