(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2017-539195(P2017-539195A)
(43)【公表日】2017年12月28日
(54)【発明の名称】整流子電動機、整流子電動機を製造するための方法、及びフロントガラス用ワイパモータ
(51)【国際特許分類】
H02K 23/30 20060101AFI20171201BHJP
B60S 1/08 20060101ALI20171201BHJP
H02K 15/095 20060101ALI20171201BHJP
【FI】
H02K23/30
B60S1/08
H02K15/095
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2017-530711(P2017-530711)
(86)(22)【出願日】2015年12月9日
(85)【翻訳文提出日】2017年8月7日
(86)【国際出願番号】EP2015079169
(87)【国際公開番号】WO2016091979
(87)【国際公開日】20160616
(31)【優先権主張番号】102014118185.9
(32)【優先日】2014年12月9日
(33)【優先権主張国】DE
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】512092737
【氏名又は名称】ヴァレオ システム デシュヤージュ
【氏名又は名称原語表記】VALEO SYSTEMES D’ESSUYAGE
(74)【代理人】
【識別番号】100091982
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100082991
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 泰和
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【弁理士】
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100208188
【弁理士】
【氏名又は名称】榎並 薫
(72)【発明者】
【氏名】マティアス、ショエンデリング
(72)【発明者】
【氏名】マルクス、シュトゥッベ
【テーマコード(参考)】
3D025
5H615
5H623
【Fターム(参考)】
3D025AA01
3D025AC01
3D025AD02
3D025AD09
3D025AE02
3D025AE57
5H615AA01
5H615BB04
5H615BB14
5H615PP02
5H615PP13
5H615PP26
5H615QQ19
5H615SS11
5H615SS16
5H623AA03
5H623BB07
5H623GG13
5H623GG16
5H623GG23
5H623HH01
5H623JJ03
(57)【要約】
本発明は、特にフロントガラス用ワイパモータ(100)の一部である、整流子電動機(10)であって、前記整流子電動機(10)は、周方向に交互にかわる極性を有する、アーマチュアシャフト(2)の回転軸の周囲となる基準円の直径上に配設された少なくとも4つの磁石要素(11〜14)を有するとともに、アーマチュアスロット(N1〜N18)とアーマチュア歯(Z1〜Z18)とを有するアーマチュア(15)を有する整流子電動機(10)において、それぞれがコイル(C1〜C9)を構成する複数の巻部(27、28)を有する巻線(20)が前記アーマチュアスロット(N1〜N18)に配設され、巻線(20)の始点(21)及び終点(22)が、整流子フック(H1〜H18)のそれぞれに導電性を有するように連結され、巻線(20)は、2つの巻線部(25、26)を有し、これらの巻線部(25、26)は、第1巻方向において第1の複数の巻部(27)を有する第1巻線部(25)が第1磁石要素(11〜14)に割り当てられて、2つのアーマチュアスロット(N1〜N18)に配置されるとともに、前記第1巻方向と反対の第2巻方向において第2の複数の巻部(28)を有する第2巻線部(26)が第2磁石要素(11〜14)に割り当てられて、2つのアーマチュアスロット(N1〜N18)に配置されるような態様で、異なる磁石要素(11〜14)の領域に配設され、前記2つの磁石要素(14)は、異なる極性を有する、整流子電動機(10)において、前記2つの巻線部(25、26)の前記巻部(27、28)は、前記一方の巻線部(25、26)の前記巻部(27、28)が、前記他方の巻線部(26、25)の前記巻部(28、27)の前記アーマチュアスロット(N1〜N18)の間に配置されたアーマチュアスロット(N1〜N18)に配置されるような態様で交差する、ことを特徴とする整流子電動機(10)に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
特にフロントガラス用ワイパモータ(100)の一部である、整流子電動機(10)であって、
前記整流子電動機(10)は、周方向に交互にかわる極性を有した、アーマチュアシャフト(2)の回転軸の周囲となる基準円の直径上に配設された少なくとも4つの磁石要素(11〜14)を有するとともに、アーマチュアスロット(N1〜N18)とアーマチュア歯(Z1〜Z18)とを有するアーマチュア(15)を有し、
それぞれがコイル(C1〜C9)を構成する複数の巻部(27、28)を有する巻線(20)が、前記アーマチュアスロット(N1〜N18)に配設され、
巻線(20)の始点(21)及び終点(22)が、それぞれにおいて、整流子フック(H1〜H18)に導電性を有するように連結され、
巻線(20)は、2つの巻線部(25、26)を有し、これらの巻線部(25、26)は、第1巻方向の第1の複数の巻部(27)を有する第1巻線部(25)が第1磁石要素(11〜14)に割り当てられて、2つのアーマチュアスロット(N1〜N18)に配置されるとともに、前記第1巻方向と反対の第2巻方向の第2の複数の巻部(28)を有する第2巻線部(26)が第2磁石要素(11〜14)に割り当てられて、2つのアーマチュアスロット(N1〜N18)に配置されるような態様で、異なる磁石要素(11〜14)の領域に配設され、
前記2つの磁石要素(14)は、異なる極性を有する、整流子電動機(10)において、
前記2つの巻線部(25、26)の前記巻部(27、28)は、前記一方の巻線部(25、26)の前記巻部(27、28)が、前記他方の巻線部(26、25)の前記巻部(28、27)の前記アーマチュアスロット(N1〜N18)の間に配置されたアーマチュアスロット(N1〜N18)に配置されるような態様で交差する、
ことを特徴とする整流子電動機(10)。
【請求項2】
前記一方の巻線部(25、26)の前記アーマチュアスロット(N1〜N18)は、前記他方の巻線部(26、25)のアーマチュアスロット(N1〜N18)の直ぐ隣りに配置される、
ことを特徴とする請求項1に記載の整流子電動機。
【請求項3】
前記一方の巻線部(25、26)のアーマチュアスロット(N1〜N18)及び前記他方の巻線部(26、25)の前記アーマチュアスロット(N1〜N18)の間に、少なくとも1つの追加のアーマチュアスロット(N1〜N18)が配設される、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の整流子電動機。
【請求項4】
前記2つの巻線部(25、26)の前記アーマチュアスロット(N1〜N18)の個数が異なる、
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の整流子電動機。
【請求項5】
前記アーマチュア(15)は18個のアーマチュア歯(Z1〜Z18)を有し、
前記一方の巻線部(25)は、前記アーマチュア(15)の周方向に見て、3つのアーマチュアスロット(N2〜N4)により互いから離間した2つのアーマチュアスロット(N1、N5)に配設され、
前記他方の巻線部(26)は、前記アーマチュア(15)の周方向に見て、4つのアーマチュアスロット(N5〜N8)により互いから離間した2つのアーマチュアスロット(N4、N9)に配設される、
ことを特徴とする請求項4に記載の整流子電動機。
【請求項6】
前記2つの巻線部(25、26)の巻部(27、28)の数が、少なくとも実質的に同一であり、好適には同一である、
ことを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の整流子電動機。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一項に記載の整流子電動機(10)を製造する方法であって、
第1巻工程において、巻線(20)の巻線部(25)が、アーマチュア(15)の2つのアーマチュアスロット(N1、N5)に第1巻方向に設けられ、
次いで、第2巻工程において、前記巻線(20)の他の巻線部(26)が、前記アーマチュア(15)の2つのアーマチュアスロット(N4、N9)に、前記第1巻方向に対して反対方向に設けられる、方法において、
前記第1巻工程の実施後に前記第2巻工程が実施されるように、前記巻線(20)が、前記第1巻線部(25)の前記アーマチュアスロット(N1、N5)の間に配設されたアーマチュアスロット(N4)に導入されるような態様で、前記2つの巻線部(25、26)の前記巻部(27、28)は、前記アーマチュアスロット(N1〜N18)の周方向に見て交差する、
ことを特徴とする方法。
【請求項8】
前記一方の巻線部(25)の前記アーマチュアスロット(N1、N5)及び前記他方の巻線部(26)の前記アーマチュアスロット(N4、N9)の間に、少なくとも1つの更なるアーマチュアスロット(N2〜N4、N5〜N8)が配設され、
前記2つの巻線部(25、26)の前記アーマチュアスロット(N2〜N4、N5〜N8)の個数が異なり、
前記第1巻工程において、前記巻線部(25)は、より少ない個数の離間アーマチュアスロット(N2〜N4)を伴って形成される、
ことを特徴とする請求項7に記載の方法。
【請求項9】
請求項1〜6のいずれか一項に記載の、及び/又は請求項7又は8に記載の方法に従って製造された整流子電動機(10)を有する、
フロントガラス用ワイパモータ(100)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前段部に記載の整流子電動機に関する。更に、本発明は、本発明による整流子電動機を製造するための方法、及び本発明による整流子電動機を有するフロントガラス用ワイパモータに関する。
【背景技術】
【0002】
請求項1の前段部に記載の整流子電動機、及びこのタイプの整流子電動機を製造するための方法は、US8,378,547 B2から公知である。公知の整流子電動機は、周方向に交互にかわる極性を有する、アーマチュアシャフトの回転軸の周囲となる基準円の直径上に配設された4つの磁石要素を含む。更に、アーマチュアは、それぞれが2つの巻線部を有する複数の巻線を含む。2つの巻線部は、第1の巻線部が第1磁石要素に割り当てられるとともに、第2の巻線部が、第1磁石要素に周方向に隣接する第2磁石要素に割り当てられるような態様で、異なる磁石要素の領域に配設されている。周方向に互いに連続する2つの磁石要素は異なる極性を有するため、2つの巻線部の巻方向を異なるように構成する必要がある。この目的のために、例えば、当文献の
図19及び
図21から、2つの巻線部はアーマチュアスロットを有し、その内部に2つの巻線部が一緒に配設されていると推測できる。磁石要素は周方向に見て互いに直接的に隣接せずに、長手方向に延びる間隙を介して互いから離間しているため、十分に効率的な比較的低ノイズの整流が、実際にこのタイプの巻線設計にもたらされる。
【発明の概要】
【0003】
上述の先行技術から進んで、本発明は、十分なノイズ作用及び高い効率性を有する整流子電動機の別の実施形態を達成するように、請求項1の前段部に記載の整流子電動機を開発する目的に基づく。
【0004】
本発明によれば、請求項1の特徴を有する整流子電動機において、この目的は、一方の巻線部の巻線が、他方の巻線部の巻線のアーマチュアスロットの間に配置されたアーマチュアスロットにそれぞれ配置されるような態様で、2つの巻線部の巻線が交差することにより達成される。
【0005】
冒頭に記載の従来技術とは対照的に、2つの巻線部の巻線が同時に配設されるアーマチュアスロットが設けられていない。むしろ、2つの巻線部の交差部は、周方向に見て、2つの巻線部の交差部が存在するような態様で設けられており、交差部は、少なくとも1つのアーマチュア歯により形成されている。
【0006】
本発明による整流子電動機の有利な形態が、従属請求項において特定される。請求項に開示された少なくとも2つの特徴を含む全ての組合せ、詳細な説明及び/又は図面が、本発明の範囲に含まれる。
【0007】
1つの特に好適な構造の実施形態において、一方の巻線部のアーマチュアスロットは、他方の巻線部のアーマチュアスロットの直ぐ隣りに配置されることが規定されている。換言すれば、これは、アーマチュアの周方向に見て、2つの巻線部同士の交差部が、できるだけ小さく構成されているということを意味する。したがって、巻線は可能な交差変形例において最適化される。なぜならば、各巻線部が、その各磁石要素にできる限り割り当てられて、これと相互作用するからである。
【0008】
更に、特に、一方の巻線部のアーマチュアスロット及び他方の巻線部のアーマチュアスロットの間に、それぞれ、少なくとも1つの追加のアーマチュアスロットが配設されることが規定されている。
【0009】
ここで、特に、2つの巻線部の追加の又は離間アーマチュアスロットの個数が異なることが規定され得る。
【0010】
最後に記載の提案の具体的な実施形態又は適用において、アーマチュアは18個のアーマチュア歯を有し、一方の巻線部は、アーマチュアの周方向に見て3つのアーマチュアスロットにより互いから離間した2つのアーマチュアスロットに配設され、他方の巻線部は、アーマチュアの周方向に見て4つのアーマチュアスロットにより互いから離間した2つのアーマチュアスロットに配設される、ということが規定される。周方向に見てそれぞれが同一の周方向長さを有する4つの磁石要素を有する四極電動機の場合、このようにして磁石要素に対する巻線部の比較的一様な配置又は分布が得られ、これにより、整流子電動機の比較的高い効率性が十分なノイズ特性とともに得られる。
【0011】
同様に、特に好適には、各巻線部の巻部の数が、少なくとも実質的におおよそ同一であるか、又は好ましくは同一であることが規定される。
【0012】
本発明は、また、本発明による整流子電動機を製造するための方法を含み、当該方法において、第1巻工程において、巻線の巻線部が、アーマチュアの2つのアーマチュアスロットに第1巻方向に配設され、次いで、第2巻工程において、巻線の他の巻線部が、アーマチュアの2つのアーマチュアスロットに、第1巻方向に対して反対の巻方向に配設される。本発明によれば、以下の方法で2つの巻線部の巻部がアーマチュアスロットの周方向に見て交差することが規定される。すなわち、第1巻工程の実施後に、第2巻工程を実施するよう、巻線が、第1巻線部のアーマチュアスロットの間に配設されたアーマチュアスロットに導入される。
【0013】
本発明による方法の好適な一実施形態において、一方の巻線部のアーマチュアスロットの及び他方の巻線部のアーマチュアスロットの間に、それぞれ、少なくとも1つの更なるアーマチュアスロットが設けられ、更なるアーマチュアスロットの個数が異なり、第1巻工程において、巻線部は、離間アーマチュアスロットの個数がより少ない状態で形成されることが規定される。この方法は、一方の巻線部における離間アーマチュアスロットの個数が多いほど、巻工程中にアーマチュアシャフトの方向に巻線が案内されたり延びたりする傾向が強くなり、巻きの性質や物理的理由から不利になると考えられるという点に鑑みて、特に有利である。
【0014】
本発明は、また、本発明による整流子電動機を有するフロントガラス用ワイパモータ、及び、本発明による方法に従って製造された整流子を含む。
【0015】
本発明の更なる利点、特徴及び詳細が、図面を参照しつつなされる以下の好適な例示的実施形態の説明から生じる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】フロントガラス用ワイパモータの形態の本発明による整流子電動機の縦断面図。
【
図2】
図1の整流子電動機のアーマチュア領域における横断面図。
【
図3】
図1の整流子電動機に使用されるアーマチュアを単独で示す側面図。
【
図4】本発明による整流子電動機における、本発明による巻線設計を説明する概略図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図面において、同一の要素又は同一の機能を有する要素には同じ参照が付されている。
【0018】
図1は、フロントガラス用ワイパモータ100において構成部品として機能する、本発明による整流子電動機10を示す。整流子電動機10は、フロントガラス用ワイパモータ100のハウジング1内に収容されており、このハウジング1内で複数の軸受装置3、4に取付けられたアーマチュアシャフト2を伴うアーマチュア15を有している。特に
図2から理解されるように、4つの永久磁石要素11、12、13、14が、例えばハウジング1内においてその内壁に配設され、これらの永久磁石要素11、12、13、14の間に、間隙が形成されている。これらの間隙は、それぞれ長手方向に延びるとともに、永久磁石要素11、12、13、14を互いから離間させる。したがって、整流子電動機10は、いわゆる四極電動機として構成されている。更に、4つの永久磁石要素11、12、13、14の極性が、それぞれ周方向に見て互いに交替していることが必須である。
【0019】
図示の好適な実施形態の変形例において、4つの永久磁石要素11、12、13、14に代えて、より個数の多い永久磁石が設けられ、これらの間に、対応する長手方向スロット又はスペースが同様に長手方向に構成されることが規定され得る。
【0020】
互いに積層されるとともに互いに同一平面に配設される複数のアーマチュアプレート5が、公知の態様でアーマチュア15に配置されている。特に
図2に示すように、例えば乾燥ワニス(baked varnish)により互いに連結されたアーマチュアプレート5は、均一な角度間隔で径方向外側に突出する18個のアーマチュア歯Z1〜Z18と、これらのアーマチュア歯Z1〜Z18の間に配設された18個のアーマチュアスロットN1〜N18と、を有している。アーマチュア歯Z1〜Z18は、径方向外側端部領域において公知の態様でT字形状をなすように幅が広くなっている。
【0021】
図3及び
図4に示すように、アーマチュア15は、更に、総数が18である整流子フックH1〜H18を有しているが、
図2及び
図4には、全ての整流子フックH1〜H18は図示されていない。整流子フックH1〜H18は、コイルC1〜C9に導電性を有する態様で連結されている。コイルC1〜C9は、それぞれのコイルC1〜C9を形成する巻線20の各始点21及び終点22の溶接又はろう付け連結により、アーマチュアスロットN1〜N18に配設されている。このようにして、9個の巻線20が設けられて、コイルC1〜C9を形成している。整流子フックH1〜H18は、導電性を有する態様で電流セグメント7に連結され、電流セグメント7は、
図1によれば、例えばカーボンブラシの形状にあるがこれに限られない2つのブラシ要素B1、B2を有するブラシ装置と相互作用する。ブラシ要素B1、B2は、互いに対して180°オフセットして配置されており、バネ力により電流セグメント7に対して付勢されている。
【0022】
本発明による整流子電動機10は、
図2及び
図4を参照して以下により詳細に説明される特別な巻きタイプを特徴としている。特に
図4に示すように、コイルC4を形成する巻線20は、(例示的に)整流子フックH4において始点21と、その終点22において整流子フックH5に電気に接続している。巻線20は、2つの巻線部25、26を有している。永久磁石要素11に割り当てられた第1巻線部25は、時計回り方向に進む巻方向を有するのに対し、永久磁石要素12に割り当てられた第2巻線部26は、時計回り方向に対向して進む巻方向に巻かれている。更に、
図2及び
図4において、第1巻線部25がアーマチュアスロットN1及びN5に配設される一方で、第2巻線部26がアーマチュアスロットN4及びN9に配設されていることが理解される。3つの離間アーマチュアスロットN2、N3及びN4が、第1巻線部25の2つのアーマチュアスロットN1とN5との間に配設されるとともに、4つの離間アーマチュアスロットN5、N6、N7及びN8が第2巻線部26の2つのアーマチュアスロットN4とN9との間に配設されている。したがって、特に図面から、2つの巻線部25、26が周方向に交差していることがわかる。
【0023】
2つの巻線部25、26のそれぞれは、複数の巻部27、28を有し、巻部27、28の数は好適には少なくともおおよそ同一である。
【0024】
例えば
図4に記載の2つの巻線部25、26を有するコイルC4の作製は、最初に巻線20の始点21が整流子フックH4に連結されることで実施される。次いで、第1巻線部25が、巻部27を伴ってアーマチュアスロットN1及びN5に挿入される。その後(すなわち、所望の数の巻部27の作製後)、巻線20は、アーマチュアスロットN4に案内されて戻され、回転方向の一斉反転及びアーマチュアスロットN4及びN9における第2巻線部26の巻部28の配置がなされる。第2巻線部26の所望の数の巻部28の作製後、終点22が整流子フックH5に連結される。他のコイルC1〜C3及びC5〜C9が、同様の巻線設計に従ってアーマチュアスロットN1〜N18に導入される。
【0025】
図示して説明した巻き設計の変形例において、最初に、より多くの離間アーマチュアスロットN1〜N18を有する巻線部26の巻部28が作製され、次いで、巻線20を対応して案内して戻した後、他方の巻部27又は他方の巻線部25が作製されることが規定され得る。
【0026】
上述の整流子電動機10は、本発明の趣旨を逸脱せずに多様な態様で変換又は変形することができる。
【0027】
1 ハウジング
2 アーマチュアシャフト
3、4 支持装置
5 アーマチュアプレート
7 電流部
10 整流子電動機
11〜14 永久磁石要素
15 アーマチュア
20 巻線
21 始点
22 終点
25、26 巻線部
27、28 巻部
100 フロントガラス用ワイパモータ
Z1〜Z18 アーマチュア歯
B1、B2 ブラシ要素
N1〜N18 アーマチュアスロット
H1〜H18 整流子フック
C1〜C9 コイル
【国際調査報告】