(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2018-501842(P2018-501842A)
(43)【公表日】2018年1月25日
(54)【発明の名称】センサ装置を皮膚に接触させるための装置及び方法。
(51)【国際特許分類】
A61B 5/00 20060101AFI20171222BHJP
H04N 7/18 20060101ALI20171222BHJP
【FI】
A61B5/00 B
H04N7/18 D
H04N7/18 C
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2017-528438(P2017-528438)
(86)(22)【出願日】2015年11月19日
(85)【翻訳文提出日】2017年6月22日
(86)【国際出願番号】FI2015050805
(87)【国際公開番号】WO2016083665
(87)【国際公開日】20160602
(31)【優先権主張番号】14195295.2
(32)【優先日】2014年11月28日
(33)【優先権主張国】EP
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】315002955
【氏名又は名称】ノキア テクノロジーズ オーユー
(74)【代理人】
【識別番号】100127188
【弁理士】
【氏名又は名称】川守田 光紀
(72)【発明者】
【氏名】コソネン マッティ
(72)【発明者】
【氏名】ラサロヴ ハッリ
【テーマコード(参考)】
4C117
5C054
【Fターム(参考)】
4C117XC11
4C117XC14
4C117XC15
4C117XE14
4C117XE20
4C117XE27
4C117XE29
5C054CC00
5C054CE01
5C054CF01
5C054CF05
5C054HA12
(57)【要約】
ウェアラブル装置の本体は、固定具によって、ユーザの皮膚の所定の位置に保持される。センサプラットフォームは移動可能に支持され、前記本体と前記皮膚との間に挟まれる。前記ウェアラブル装置が前記ユーザに装着された状態で、前記本体から前記皮膚の方へ、また前記皮膚から前記本体の方へと、前記センサプラットフォームは、前記本体に対して移動可能なように前記本体に支持される。センサは前記センサプラットフォームに支持される。前記センサは、皮膚又はその下の組織の特性に対応するセンサ信号を生成する。皮膚に対する前記センサプラットフォームの位置は、アクチュエータによって調節される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウェアラブル装置のためのセンサ構成であって、
前記ウェアラブル装置の本体とユーザの皮膚との間に挟まれることとなるセンサプラットフォームであって、前記センサプラットフォームが前記ウェアラブル装置に取り付けられ、前記ウェアラブル装置が前記ユーザに装着された状態で、前記本体から前記皮膚の方へ、また前記皮膚から前記本体の方へと、前記本体に対して移動可能なように前記本体に支持される、前記センサプラットフォームと;
前記センサプラットフォームに支持され、前記皮膚又は前記皮膚の下の組織の特性に対応するセンサ信号を生成するように構成されるセンサと;
前記皮膚に対する前記センサプラットフォームの位置を調整するように構成されるアクチュエータと;
を備える、センサ構成。
【請求項2】
プロセッサを更に備える請求項1のセンサ構成であって、前記プロセッサは、
前記センサ信号を受信し、該センサ信号から前記センサプラットフォームの適切な補償移動を決定すると共に、前記アクチュエータに前記センサプラットフォームの位置を調節させるように構成される、センサ構成。
【請求項3】
前記皮膚に対して前記センサが横方向に移動することを抑制すべく、前記本体に対して前記センサプラットフォームが横方向に移動することを可能にする横フロートを更に備える、請求項1又は2に記載のセンサ構成。
【請求項4】
前記皮膚に対する前記本体の横方向の移動を補償するように構成される横アクチュエータを更に備える、請求項3に記載のセンサ構成。
【請求項5】
前記アクチュエータは、前記皮膚から前記センサを離そうとする遠心力を補償するように構成される、請求書1から4のいずれかに記載のセンサ構成。
【請求項6】
請求項1から5のいずれかに記載のセンサ構成を備える装置であって、ウェアラブル装置である、装置。
【請求項7】
前記本体を前記ユーザの皮膚の所定の場所に保持しうるように構成される固定具を備える、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記固定具は、ストラップ、ベルト、靴下、靴、ヘッドフォンのフレーム、眼鏡やサングラスのフレーム、ワイシャツやプルオーバーの袖や襟、ズボンやスカートの腰ベルトのいずれかである、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
固定具を用いて、ウェアラブル装置の本体をユーザの皮膚の所定の場所に保持することと;
前記本体と前記皮膚との間に挟まれるセンサプラットフォームであって、前記ウェアラブル装置が前記ユーザに装着された状態で、前記本体から前記皮膚の方へ、また前記皮膚から前記本体の方へと、前記本体に対して移動可能なように前記本体に支持されるセンサプラットフォームを、移動可能に支持することと;
前記センサプラットフォームでセンサを支持し、前記皮膚又は前記皮膚の下の組織の特性に対応するセンサ信号を生成することと;
前記皮膚に対する前記センサプラットフォームの位置をアクチュエータで調整することと;
を含む、方法。
【請求項10】
前記センサ信号を受信し、該センサ信号から前記センサプラットフォームの適切な補償移動を決定すると共に、前記アクチュエータに前記センサプラットフォームの位置を調節させることを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記固定具は、ストラップ、ベルト、靴下、靴、ヘッドフォンのフレーム、眼鏡やサングラスのフレーム、ワイシャツやプルオーバーの袖や襟、ズボンやスカートの腰ベルトのいずれかである、請求項9または10に記載の方法。
【請求項12】
前記アクチュエータによって、前記皮膚から前記センサを離そうとする遠心力を補償することを更に含む、請求項9から11のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
ウェアラブル装置を制御するように構成されるコンピュータ実行可能なプログラムコードを含むコンピュータプログラムであって、前記プログラムコードはプロセッサで実行されると、
ユーザの皮膚の方へ又は前記皮膚から離れる方向に、前記ウェアラブル装置の本体に対してアクチュエータによって調整可能とされる、移動可能に支持されたセンサプラットフォームに支持されるセンサから、皮膚又はその下の組織の特性に対応するセンサ信号を受信することと;
前記センサプラットフォームは前記アクチュエータによって動かされるべきか否かを決定することと;
前記センサの動作を改善すべく、前記皮膚に対する前記センサプラットフォームの位置をアクチュエータで調整することと;
を前記ウェアラブル装置に行わせる、コンピュータプログラム。
【請求項14】
前記センサの動作を改善することは、血流の阻害を軽減すべく、前記皮膚に対する前記センサプラットフォームの押し付けを軽減することを含みうる、請求項13に記載のコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、一般的に、センサ装置を皮膚に接触させることに関する。
【0002】
このセクションは、有用な背景情報を紹介する。ただし、最先端の技術を紹介しようという意図ではない。
【0003】
脈波センサのような様々な測定器が、心拍や体動等のパラメータを測定するために使われるようになってきている。身体の健康に影響を与える可能性がある全てのパラメータを数値化したいという要望のため、"quantified self"すなわち「自身を数値化」という用語が表れている。測定器は、このような目的のために人々が自身を測ることに役に立っている。例えば、脈拍に基づいて運動の影響を測定したり運動のやり方を調節したりするために役に立っている。
【0004】
脈拍の測定は通常、腕ストラップを使って行われる。腕ストラップは服の下に装着される。このような腕ストラップは電気的な心拍センサをユーザの皮膚上に位置させるように構成され、またセンサによって生成された信号から心拍を計算しうるように構成される。このようなストラップは装着するのにあまり格好の良いものではなく、いくつかの会社は、腕時計型の脈拍センサを販売している。このような腕時計型の脈拍センサはしばしば、歩数計として機能しうる加速度計を備えている。
【0005】
光学的な心拍測定という方法も存在する。この測定方法は、肌の上で日中ユーザの手の届きにくい特別な場所に装着されるセンサを必要とするか、皮膚上で極めて安定して保持されうるセンサを必要とする。後者のセンサのために、スプリングを利用してセンサを皮膚に押し付け、振動を補償するような器具が知られている。このような器具がなければ、センサは簡単に皮膚との接触を失い、信頼性のある測定を行うことができなくなってしまう。
【0006】
本発明の種々の例示的態様は特許請求の範囲に提示されている。
【0007】
本発明の第1の態様によれば、次のような装置が提供される。この装置はユーザに装着されうるウェアラブル装置であって、本体と;前記本体をユーザの皮膚の所定の場所に保持しうるように構成される固定具と;前記本体と前記皮膚との間に挟まれるセンサプラットフォームであって、前記ウェアラブル装置が前記ユーザに装着された状態で、前記本体から前記皮膚の方へ、また前記皮膚から前記本体の方へと、前記本体に対して移動可能なように前記本体に支持されるセンサプラットフォームと;前記センサプラットフォームに支持され、前記皮膚又は前記皮膚の下の組織の特性に対応するセンサ信号を生成するように構成されるセンサと;前記皮膚に対する前記センサプラットフォームの位置を調整するように構成されるアクチュエータと;を備える。
【0008】
前記装置は更にプロセッサを備えてもよい。このプロセッサは、センサ信号を受信し、該センサ信号から前記センサプラットフォームの適切な補償移動を決定すると共に、前記アクチュエータに前記センサプラットフォームの位置を調節させるように構成される。
【0009】
前記固定具は、ストラップ、ベルト、靴下、靴、ヘッドフォンのフレーム、眼鏡やサングラスのフレーム、ワイシャツやプルオーバーの袖や襟、ズボンやスカートの腰ベルトのいずれかであってもよい。
【0010】
前記アクチュエータは、皮膚からセンサを離そうとする遠心力を補償するように構成される。
【0011】
本発明の第2の例示的側面によれば、次のような方法が提供される。この方法は、固定具を用いて、ウェアラブル装置の本体をユーザの皮膚の所定の場所に保持することと;前記本体と前記皮膚との間に挟まれるセンサプラットフォームであって、前記ウェアラブル装置が前記ユーザに装着された状態で、前記本体から前記皮膚の方へ、また前記皮膚から前記本体の方へと、前記本体に対して移動可能なように前記本体に支持されるセンサプラットフォームを、移動可能に支持することと;前記センサプラットフォームでセンサを支持し、前記皮膚又は前記皮膚の下の組織の特性に対応するセンサ信号を生成することと;前記皮膚に対する前記センサプラットフォームの位置をアクチュエータで調整することと;を含む。
【0012】
前記方法は、前記センサ信号を受信し、該センサ信号から前記センサプラットフォームの適切な補償移動を決定すると共に、前記アクチュエータに前記センサプラットフォームの位置を調節させることを更に含んでもよい。
【0013】
前記固定具は、ストラップ、ベルト、靴下、靴、ヘッドフォンのフレーム、眼鏡やサングラスのフレーム、ワイシャツやプルオーバーの袖や襟、ズボンやスカートの腰ベルトのいずれかであってもよい。
【0014】
前記方法は更に、前記アクチュエータによって、前記皮膚から前記センサを離そうとする遠心力を補償することを含んでもよい。
【0015】
本発明の第3の例示的側面によれば、次のようなコンピュータプログラムが提供される。このコンピュータプログラムは、ウェアラブル装置を制御するように構成されるコンピュータ実行可能なプログラムコードを含み、前記プログラムコードは実行されると、ユーザの皮膚の方へ又は前記皮膚から離れる方向に、前記ウェアラブル装置の本体に対してアクチュエータによって調整可能とされる、移動可能に支持されたセンサプラットフォームに支持されるセンサから、皮膚又はその下の組織の特性に対応するセンサ信号を受信することと;前記センサプラットフォームは前記アクチュエータによって動かされるべきか否かを決定することと;前記センサの動作を改善すべく、前記皮膚に対する前記センサプラットフォームの位置をアクチュエータで調整することと;を前記ウェアラブル装置に行わせる。
【0016】
前記センサの動作を改善することは、血流の阻害を軽減すべく、前記皮膚に対する前記センサプラットフォームの押し付けを軽減することを含みうる。
【0017】
前記コンピュータプログラムは、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体に格納されていてもよい。
【0018】
上述の記憶媒体は、データディスクやディスケット、光学記憶装置、磁気記憶装置、ホログラフィック記憶装置、光磁気記憶装置、相変化メモリ、抵抗変化型ランダムアクセスメモリ、磁気ランダムアクセスメモリ、固体電解質メモリ、強誘電体メモリ、有機メモリ、高分子メモリ等のデジタルデータ記憶装置を有してもよい。これらの記憶媒体は、記憶以外の機能は事実上備えていないようなデバイスとして実装されてもよく、または、様々な機能を有する装置の一部として実装されてもよい。例えば、限定するわけではないが、コンピュータやチップセット、電子機器のサブアセンブリのメモリとして実装されてもよい。
【0019】
本発明の第4の例示的側面によれば、メモリ及びプロセッサを備える装置であって、前記メモリ及びプロセッサが、前記装置に、前記第1の例示的側面に係る方法を遂行させるように構成される、装置が提供される。
【0020】
本発明の第5の例示的側面によれば、メモリ及びプロセッサを備える装置であって、前記メモリ及びプロセッサが、前記装置に、前記第2の例示的側面に係る方法を遂行させるように構成される、装置が提供される。
【0021】
本発明の様々な態様及び実施形態を示したが、これらは発明の範囲を限定するために提示されたものではない。これらの例は、本発明の実施において利用される可能性のある特徴やステップを、いくつか選択して説明したものに過ぎない。いくつかの具現化形態は、本発明の例示的な側面のあるものを参照してのみ示されるかもしれない。そのため、対応する実施形態が他の例示的態様にも適用可能であることを理解すべきである。
【図面の簡単な説明】
【0022】
本発明の例示的実施形態をより詳細に理解するために、次の添付図面と合わせて以下の説明を参照されたい。
【
図1】ある例示的実施形態のシステムの構造を示す図である。
【
図2】ある例示的実施形態の装置200のブロック図である。
【
図3】ある例示的実施形態の処理のフローチャートである。
【0023】
本発明のある例示的実施形態とその可能性のある利点が、添付の
図1から
図3を参照して理解されよう。本明細書及び図面では、同様の要素や方法ステップには同様の引用符号が使われる。
【0024】
図1は、ある例示的実施形態の装置100の概略図である。
図1は、腕時計型のウェアラブル装置100を示す。ウェアラブル装置100は時間を表示するように構成されてもよい。ウェアラブル装置100は本体110を備える。本体110の材質は、プラスチックやカーボンファイバー材、ガラス、木材、セラミック等であってもよく、又はこれらを組み合わせたものであってもよい。本体110の片面には部材がない部分があってもよく、本体110は、おおまかに言って凹んだ部品またはユニットであってもよく、または凹んだ部品またはユニットとして形成されてもよい。装置100は更に固定具120を備える。固定具120は本体110を、装置100のユーザの皮膚130の所定の場所に保持しうるように構成される。
図1において、本体110の寸法は誇張されたものとなっている。ある例示的実施形態において、固定具120の少なくともいくつかの部分は、皮膚130としっかり係わり合っている。
図1を例にとると、この例示的実施形態では、固定具120の左端と右端は皮膚130に届いており、皮膚130と接触している。
【0025】
図1の実施例では、固定具120は腕時計のストラップである。装置100はセンサプラットフォーム140を更に備える。センサプラットフォーム140は、本体110と皮膚130とに挟まれる。センサプラットフォーム140は、本体110から皮膚130の方へ向かうように、また皮膚130から本体110の方へ向かうように、本体110に対して動くことが可能なように、本体110に支持される。装置100は更に、センサプラットフォーム140に支持されるセンサ150を備える。センサ150は、皮膚又はその下部にある組織(例えば血管)の特性に対応する信号を生成するように構成される。装置100は更にアクチュエータ160を備える。アクチュエータ160は、皮膚に対するセンサプラットフォーム140の位置を調整するように構成される。装置100は更にプロセッサ170を備える。プロセッサ170は、(
図1には図示されない接続部を通じて)センサの信号を受け取り、その信号に基づいて、センサプラットフォーム140の適切な補償運動を決定し、アクチュエータ160が、センサプラットフォーム140の位置を調節できるように構成される。
【0026】
実施形態によっては、センサ150は、2つ又はそれ以上の部品から構成される。例えばセンサ150は(例えば光の)送信機を有していてもよく、また受信機を有していてもよい。これら送信機や受信機は、センサ150の筐体内に搭載されていてもよく、またセンサプラットフォーム140に指示される別の筐体に配されていてもよい。
【0027】
実施形態によって様々な種類の装置が提供される。固定具も、実施形態に応じて様々な種類のものから選択されうる。ある例示的実施形態において、固定具は、ストラップ、ベルト、靴下、靴、ヘッドフォンのフレーム、眼鏡やサングラスのフレーム、ワイシャツやプルオーバーの袖や襟、ズボンやスカートの腰ベルトのいずれかであってもよい。注意すべきは、実施形態によっては、固定具は、本体110に永久的に結合しているわけではないという点である。例えば、腕時計型の実施形態の場合、ストラップは取り替え可能であってもよい。別の例では、本体110は皮膚130に対して、靴下や下着によって固定されてもよい。例えば、靴下や下着における本体110の周りの部分が、本体110を皮膚130に固定してもよい。
【0028】
ある例示的実施形態において、アクチュエータ160は、皮膚からセンサを離そうとする遠心力を補償するように構成される。本願発明者が検討したところによると、皮膚に接触させるセンサをスプリングで付勢することは、エラーを生じやすい。これは次の理由による。
【0029】
a)しっかりとした接触を実現することができず、信頼性の高い測定を行うことができないことがある。接触が緩いと、例えば光学的な測定の場合、周囲の光が侵入したり、放出された光が皮膚に適切に浸透できなかったりする。
b)逆に、押し付けが強過ぎる場合がある。その場合、センサに接触されている部分の毛細血管の血行をセンサが阻害してしまい、適切な測定ができなくなる。
【0030】
ある例示的実施形態では、センサ150が皮膚130との接触を保つことを助けるために、弾性部材又はスプリング180が設けられる。それに加えてアクチュエータ160が、皮膚上130からセンサプラットフォーム140までの距離を調節するように構成される。ここで距離を調節するとは、皮膚130に対してセンサプラットフォームの距離が、弾性的な付勢のために少し変化しうる場合は、平均距離を調節するという意味であってもよい。また、センサ150がセンサプラットフォーム140の表面から突出しているためなどで、センサ150が皮膚130やその下部の組織を押し付けている場合に、上記距離の調節が必要になってもよい。
【0031】
図1には、センサプラットフォーム140の両端において、センサプラットフォーム140と本体110との間に隙間が存在することが描かれている。ある例示的実施形態において、センサプラットフォーム140は、本体110を形成するカバーの後壁により形成されてもよい。そのような実施形態は例えば、当該カバーを適切な可撓性部材によって形成するか、センサプラットフォームと、本体110の周縁部材との間の部分を可撓性の継ぎ目とすることで、実装することができる。本体110におけるセンサプラットフォーム140の周囲の部分と、センサプラットフォーム140の両方を形成するカバーを採用することにより、装置100の内部にホコリや水の浸入を防ぐバリアを形成することが可能になる。
【0032】
ある例示的実施形態では、本体110は、可撓性部材又はスプリング180として機能する、(図示しない)可撓性後壁を備える。この実施形態では、装置がユーザに装着されると、アクチュエータ及びセンサプラットフォームは、前記可撓性後壁と皮膚との間に挟まれる。
【0033】
ある例示的実施形態では、それぞれ独立にアクチュエータにより動かされるセンサ領域が2つ又はそれ以上設けられる。それぞれのセンサ領域は送信機又は受信機を有していてもよく、これらの送信機又は受信機は同じ機能のために設けられてもよく、または異なる機能のために設けられてもよい。例えば、光電脈波測定部は、電気的な測定部や温度計よりも、接触が軽いことが必要とされるかもしれない。ある例示的実施形態では、それぞれ独立にアクチュエータにより動かされる複数のセンサ150は、同じセンサプラットフォーム140に支持される。例えば、センサプラットフォーム140の両端にそれぞれ、異なるアクチュエータ160及びセンサ150が設けられてもよい。
【0034】
ある例示的実施形態では、センサ150は、その支持部(例えば腕時計本体)に対して、横方向のフロート(浮き)190を有している。この横方向のフロートは、例えば、可撓性の支持部及び/又は摺動可能な回転支持部を備えていてもよい。ある例示的実施形態において、前記横方向のフロートは、スプリング、磁石、アクチュエータ、圧電アクチュエータ、形状記憶合金アクチュエータ、ソレノイドコイルアクチュエータのいずれかを備えている。
図1は、摺動可能に支持されたフロート190と、横方向へ駆動力を発生するアクチュエータ195とが描かれている。アクチュエータ195はリニアモーターであってもよい。アクチュエータ195は例えば、光電脈波測定の信頼性又は正確性を向上させうる。更に、フロート190を有するある実施形態では、(例えば前記皮膚反応及び/又は温度測定のための部分のような)接触部で、強い力で皮膚に押し付けられているような接触部が、皮膚に対してセンサプラットフォーム140及びセンサ150を固定するのに役立ってもよい。皮膚130の横方向の変位が、センサ150のエラーを誘発しやすい場合がある。上記の実施形態は、そのような場合に測定の精度を向上させうる。なお
図1は、図示の容易さのために、腕時計型装置110を装着しているユーザの腕の方向からフロート190を描いている。別の実施例では、フロート190は別の方向に実装されてもよい。例えばユーザの腕に垂直な方向に実装されてもよい。一般的に、フロート190のような横方向のフロートは、皮膚130に対するセンサ150の横方向の大きな動きを補償しうるように配される。
【0035】
ある例示的実施形態において、センサプラットフォームは、本体に対して、複数の勾配を有する一つ又は溝に結合する粗いねじまたは突起によって、回動可能に支持される。このような例示的実施形態において、アクチュエータは、長さが縮むときに回動可能な形状記憶合金ワイヤにより構成される。センサプラットフォームは、ねじ又は勾配溝のために、本体に対して回動しながら上昇又は下降する。形状記憶合金ワイヤの長さが伸びるときにセンサプラットフォームを回転させて元に戻すために、形状記憶合金ワイヤに対抗して、伸縮バネの力が働くように構成されてもよい。
【0036】
ある実施形態において、接触のためのアクチュエータの制御は、純粋に信号に基づいてもよい。すなわち、例えばこの制御のための専用の圧力測定などに基づかないで行われてもよい。この制御は、必要があったときのみに行われてもよい。従って、調節を行うにおいて、センサを動かすための消費電力は極めて少なくて済みうる。ある例示的実施形態において、調節は、受信した一時的な信号や、複数の信号の平均、ホストデバイスの動作モードのいずれかを考慮に入れて、行われてもよい。例えば、調節は、複数の測定機能のうち現在どれが必要とされているか、に応じて行われてもよい。また、皮膚との接触の許容範囲がどのくらい狭いか広いかに基づいて行われてもよい。ある例示的実施形態において、調節は、調節中を除いて電力を消費しないように行われる。
【0037】
別の例示的実施形態において、接触のための付勢の制御は、圧力や、接触力、接触測定を用いて行われる。例えば、装置は、流体が充填された可撓性要素180を備え、その流体の圧力が測定されてもよい。(この流体は、気体の空気や窒素、液体の油や空気、窒素であってもよい。)力センサは、例えば、圧電ロードセルや油圧ロードセル、空気圧ロードセル等のロードセルを用いて実装されることができる。接触センサは、例えば、入射する周囲の光を測るなどして、光学的に実装することができる。また接触センサは、例えば、超音波領域の音波送信の音響応答を測定するなどして、音響的に実装することができる。また接触センサは、例えば、サイズが異なる二つのパッドの間の伝導率を測定し、それらの値から、接触面積の推定比を決定する等して、電気的に実装することもできる。ある実施形態において、上記の調節は、センサプラットフォーム全体を動かすことによって行われてもよく、または、所定の道筋に沿って(例えば直線的に、または曲線的に)、サブフレームを動かすことによって行われてもよい。ある例示的実施形態において、上記の調節は、センサプラットフォームの2つ又はそれ以上の端部を動かすことによって行われてもよく、それによって、ホストデバイスに対するセンサプラットフォームの角度や移動軌道が変化したり一定に保たれたりされてもよい。
【0038】
ある例示的実施形態において、アクチュエータ160は、連続的に接続された2つ又はそれ以上の要素によって構成される。
【0039】
ある例示的実施形態において、アクチュエータ160は、移動可能な要素と機能的につながっている可撓性部材を備えてもよい。それによってアクチュエータは、力を加える位置を調節することができるだけでなく、位置の調節において、ある復元力を提供することができる。
【0040】
ある例示的実施形態において、アクチュエータによって移動させられることが可能なセンサ150は、アクチュエータによって接触させられた状態における動作が信頼性のあるものとなるように、較正されてもよい。光電脈波測定の場合、上記較正は例えば、血流を生じる心臓の鼓動の様々なフェーズのための閾値レベルを決定することを含んでもよい。この閾値は例えば、心臓の鼓動の開始を示すセンサ読み取り値のパーセンテージや、心臓の鼓動の終了を示すセンサ読み取り値のパーセンテージであってもよい。ある例示的実施形態において、センサ150の再較正の前に、センサの動作を改善するアクチュエータの動作を最適化するための別の制御ループが設けられる。アクチュエータの動作の最適化は、アクチュエータを動作させる必要性を減少するために行われてもいない。ある例示的実施形態において、ユーザは、皮膚に対するセンサの圧力を増やしたいか減らしたいかを指示することができてもよい。そしてこの指示は、アクチュエータの動作を自動的に最適化するために使われてもよい。
【0041】
なお、関連する2つの部分の移動に関して、一方の移動も両方の移動も、移動していると言えることに注意されたい。例えば、前述の実施形態において、腕時計型の装置が、センサプラットフォームを囲むカバー又は本体を有すると共に、カバー又は本体に取り付けられたストラップを有する場合、ストラップは本体を適切な位置に保持しており、センサプラットフォームは皮膚及び本体の両方に対して動くと言える。しかし、センサプラットフォームがストラップ又は(一般的に)固定機構に取り付けられており、アクチュエータがセンサプラットフォームを本体に対して動かす場合、センサプラットフォームは、本体に対して、等しく移動可能である。またこの場合、センサプラットフォームは装置の本体に対して移動可能である。センサプラットフォームを本体に対して移動するためにアクチュエータを使うことにより、本体は、強い力又は弱い力で皮膚としっかり関係付けられることができる。また、アクチュエータは、センサプラットフォームの位置を皮膚に対して調節することができる。
【0042】
上記の装置は非常に多くの種類のホストデバイスに組み込まれることができる。例えばベルトのバックル、腕時計、ヘッドセット、眼鏡のフレーム、足首ストラップ、靴のかかと、人工器官等に組み込まれることができる。また、多くの種類のアクチュエータを使うことができる。
【0043】
図2は、ある例示的実施形態に従う装置200のブロック図である。この図は、様々な処理や制御に関する側面の理解に資するために提供される。装置200は、装置100として用いられるのに適している。
【0044】
装置200は、不揮発性メモリ242及び揮発性メモリ246を有する記憶手段240を備える。不揮発性メモリ242は、アプリケーションやオペレーティングシステムのようなコンピュータプログラムコード244を格納し、揮発性メモリ246はワーキングメモリとして使用される。不揮発性メモリ242は、例えば、ROM、フラッシュRAM、光学的メモリ、磁気的メモリ、ハードディスクドライブ、SDRAMのいずれか一つ以上を用いて実装されることができる。ワーキングメモリは、例えば、RAM、SDRAM、DDR SDRAMを用いて実装されることができる。装置200はまた、プロセッサ220を備える。プロセッサ220は、ワーキングメモリ246を用いてコンピュータプログラムコード242を実行し、装置200の動作を制御する。装置200はまた、セルラネットワーク120と通信するための無線ユニット210も備える。無線ユニット210は、例えば、UMTS通信ユニット、LTE通信ユニット、衛星データ通信ユニットを備えてもよい。プロセッサ220は、例えば、MCU、マイクロプロセッサ、DSP、ASIC、FPGA、マイクロコントローラ、の一つ又は複数を備えてもよい。装置200は更に、加入者識別モジュール250を備えてもよい。
【0045】
図3は、ある例示的実施形態の処理のフローチャートである。この処理は次のことを含む。センサ信号を受信する(310)。前記センサ信号に基づいて、測定結果データを生成する(320)。これは例えば、健康や運動のモニタリングのために行う。前記センサ信号に基づいて、センサプラットフォーム140をアクチュエータ160で調節すべきかどうかを判断する(330)。必要であると判断した場合、センサプラットフォームを調節する(340)。前記センサ信号に基づいて、センサ150の較正が必要かどうかを判断する(350)。もし必要な場合、適切なアクチュエータ動作によってセンサ150の較正を行う(360)。例えば様々な位置で測定を行うためにセンサプラットフォーム140の位置を変化させる。ステップ340におけるセンサプラットフォームの調節は、センサプラットフォーム140を皮膚130に近づけたり遠ざけたりすることを含んでもよく、及び/又は、センサプラットフォーム140の位置を横方向に調節することを含んでもよい。
【0046】
以下に述べる事項は、請求項に係る発明の範囲や解釈を如何なる意味においても限定するものではない。本明細書で紹介される例示的実施形態の一つ又は複数が提供する技術的効果の一つは、センサの皮膚に対する接触が、測定についての真の必要性に従って、自動的に最適化されることである。従って、当該接触が不必要に強すぎたり、測定には不適切になったりしないで済む。
【0047】
本明細書で紹介される例示的実施形態の一つ又は複数が提供する技術的効果の別の一つは、接触の自動的な最適化が、毛細血管を過度に圧迫することを防ぐために役に立つことである。本明細書で紹介される例示的実施形態の一つ又は複数が提供する技術的効果の更に別の一つは、接触の自動的な最適化が、皮膚との間の摩擦によるサポートを強め、皮膚に対するセンサの横方向の移動を抑制することである。本明細書で紹介される例示的実施形態の一つ又は複数が提供する技術的効果の更に別の一つは、接触の自動的な最適化が、センサによる測定の較正の信頼性を向上させることである。
【0048】
必要に応じて、本出願で開示した様々な機能が異なる順序で、及び/又は同時に実行されてもよい。さらに必要に応じて、前述の機能の1つ又は複数がオプションであったり、統合されていたりしてもよい。
【0049】
本発明の様々な態様が独立請求項に記載されているが、前述の実施形態からの特定事項の他の組合せ、および/または独立請求項の特定事項を備える従属請求項を、請求項に明記された単なる組合せとは別に、本発明の他の態様が備えてもよい。
【0050】
前述の通り、本発明の例示的実施形態が説明されてきたが、これらの説明を限定的な意味で理解すべきでないことにも留意されたい。むしろ、添付の特許請求の範囲で定義されるような技術的範囲から逸脱することなく、様々な変形や修正を行うことができることを理解されたい。
【手続補正書】
【提出日】2017年6月22日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウェアラブル装置のためのセンサ構成であって、
前記ウェアラブル装置の本体とユーザの皮膚との間に挟まれることとなるセンサプラットフォームであって、前記センサプラットフォームが前記ウェアラブル装置に取り付けられ、前記ウェアラブル装置が前記ユーザに装着された状態で、前記本体から前記皮膚の方へ、また前記皮膚から前記本体の方へと、前記本体に対して移動可能なように前記本体に支持される、前記センサプラットフォームと;
前記センサプラットフォームに支持され、前記皮膚又は前記皮膚の下の組織の特性に対応するセンサ信号を生成するように構成されるセンサと;
前記皮膚に対する前記センサプラットフォームの位置を調整するように構成されるアクチュエータと;
を備える、センサ構成。
【請求項2】
プロセッサを更に備える請求項1のセンサ構成であって、前記プロセッサは、
前記センサ信号を受信し、該センサ信号から前記センサプラットフォームの適切な補償移動を決定すると共に、前記アクチュエータに前記センサプラットフォームの位置を調節させるように構成される、センサ構成。
【請求項3】
前記皮膚に対して前記センサが横方向に移動することを抑制すべく、前記本体に対して前記センサプラットフォームが横方向に移動することを可能にする横フロートを更に備える、請求項1又は2に記載のセンサ構成。
【請求項4】
前記皮膚に対する前記本体の横方向の移動を補償するように構成される横アクチュエータを更に備える、請求項3に記載のセンサ構成。
【請求項5】
前記アクチュエータは、前記皮膚から前記センサを離そうとする遠心力を補償するように構成される、請求書1から4のいずれかに記載のセンサ構成。
【請求項6】
請求項1から5のいずれかに記載のセンサ構成を備える装置であって、ウェアラブル装置である、装置。
【請求項7】
前記本体を前記ユーザの皮膚の所定の場所に保持しうるように構成される固定具を備える、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記固定具は、ストラップ、ベルト、靴下、靴、ヘッドフォンのフレーム、眼鏡やサングラスのフレーム、ワイシャツやプルオーバーの袖や襟、ズボンやスカートの腰ベルトのいずれかである、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
ウェアラブル装置を制御するように構成されるコンピュータ実行可能なプログラムコードを含むコンピュータプログラムであって、前記プログラムコードはプロセッサで実行されると、
ユーザの皮膚の方へ又は前記皮膚から離れる方向に、前記ウェアラブル装置の本体に対してアクチュエータによって調整可能とされる、移動可能に支持されたセンサプラットフォームに支持されるセンサから、皮膚又はその下の組織の特性に対応するセンサ信号を受信することと;
前記センサプラットフォームは前記アクチュエータによって動かされるべきか否かを決定することと;
前記センサの動作を改善すべく、前記皮膚に対する前記センサプラットフォームの位置をアクチュエータで調整することと;
を前記ウェアラブル装置に行わせる、コンピュータプログラム。
【請求項10】
前記センサの動作を改善することは、血流の阻害を軽減すべく、前記皮膚に対する前記センサプラットフォームの押し付けを軽減することを含みうる、請求項9に記載のコンピュータプログラム。
【国際調査報告】