(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2018-502473(P2018-502473A)
(43)【公表日】2018年1月25日
(54)【発明の名称】移動体デバイスにインストールされたアプリケーションのトラフィックをルーティングするための方法およびデバイス
(51)【国際特許分類】
H04W 48/18 20090101AFI20171222BHJP
【FI】
H04W48/18
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】25
(21)【出願番号】特願2017-522930(P2017-522930)
(86)(22)【出願日】2015年10月19日
(85)【翻訳文提出日】2017年4月27日
(86)【国際出願番号】US2015056181
(87)【国際公開番号】WO2016077034
(87)【国際公開日】20160519
(31)【優先権主張番号】62/080,232
(32)【優先日】2014年11月14日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】14/600,093
(32)【優先日】2015年1月20日
(33)【優先権主張国】US
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.WCDMA
(71)【出願人】
【識別番号】510284071
【氏名又は名称】モトローラ モビリティ エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】MOTOROLA MOBILITY LLC
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】サルキンティス、アポストリス
【テーマコード(参考)】
5K067
【Fターム(参考)】
5K067AA21
5K067EE04
5K067EE10
(57)【要約】
移動体デバイスが、移動体デバイスにインストールされたアプリケーションのトラフィックをルーティングするための方法を実行する。方法は、移動体デバイスにインストールされた第1のアプリケーションに関する属性のセットを移動体デバイスの外部のソースから受信する工程を備える。方法は、アプリケーション・トラフィック・ルーティング規則のセットをネットワーク要素から受信する工程をさらに備える。さらに、方法は、アプリケーション・トラフィック・ルーティング規則の受信されたセットのうちの少なくとも1つのアプリケーション・トラフィック・ルーティング規則の制御下で、第1のアプリケーションのトラフィックをルーティングするためのネットワーク・アクセスを、移動体デバイスの複数のネットワーク・アクセスから選択する工程を備える。選択する工程は、第1のアプリケーションに関する属性のセットに基づく。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体デバイスによって実行される、前記移動体デバイスにインストールされたアプリケーションのトラフィックをルーティングするための方法であって、
前記移動体デバイスにインストールされた第1のアプリケーションに関する属性のセットを前記移動体デバイスの外部のソースから受信する、属性受信工程と、
アプリケーション・トラフィック・ルーティング規則のセットをネットワーク要素から受信する、規則受信工程と、
アプリケーション・トラフィック・ルーティング規則の受信された前記セットのうちの少なくとも1つのアプリケーション・トラフィック・ルーティング規則の制御下で、前記第1のアプリケーションのトラフィックをルーティングするためのネットワーク・アクセスを、前記移動体デバイスの複数のネットワーク・アクセスから選択する工程とを備え、前記選択する工程は、前記第1のアプリケーションに関する属性の前記セットに基づく、方法。
【請求項2】
前記規則受信工程は、アプリケーション・トラフィックがどのようにルーティングされるべきかを、前記第1のアプリケーションの属性の前記セットのうちの第1の属性に基づいて定義する第1のアプリケーション・トラフィック・ルーティング規則を受信する工程を備え、前記ネットワーク・アクセスは、前記第1のアプリケーション・トラフィック・ルーティング規則の制御下で選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ユーザプレファレンスを決定する工程と、
前記第1のアプリケーションの属性の前記セットのうちの少なくとも1つの属性が前記ユーザプレファレンスと互いに関係するかどうかを決定する工程とをさらに備え、前記ネットワーク・アクセスを選択する工程は、前記少なくとも1つの属性が前記ユーザプレファレンスと互いに関係するかどうかに基づく、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記第1のアプリケーションの属性の前記第1のセットのカテゴリ・タイプは、前記少なくとも1つの属性が前記ユーザプレファレンスと互いに関係するかどうかを決定する際に使用される、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記カテゴリ・タイプは、前記第1のアプリケーションが取得された出所のアプリケーション・ストアによって、複数のアプリケーションのうちの前記第1のアプリケーションを分類するのに使用される、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記規則受信工程は、ユーザプレファレンスと互いに関係するアプリケーション・トラフィックがどのようにルーティングされるべきかを定義するアプリケーション・トラフィック・ルーティング規則のセットを受信する工程を備える、請求項3に記載の方法。
【請求項7】
前記ユーザプレファレンスは、ユーザのソーシャル・プロファイルにおける情報から決定される、請求項3に記載の方法。
【請求項8】
前記属性受信工程は、前記第1のアプリケーションが受信された出所のアプリケーション・ストアにクエリを行って、属性の前記セットを受信する工程を備える、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記属性受信工程は、前記第1のアプリケーションの開発者のサーバにクエリを行って、属性の前記セットを受信する工程を備える、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記属性受信工程は、
カテゴリ・タイプ、および、
開発者名のうちの少なくともいずれかを取得する工程を備える、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記属性受信工程は、
ランク付け、
費用、および、
バージョン番号のうちの少なくとも1つを取得する工程を備える、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
アプリケーション・トラフィック・ルーティング規則の前記セットは、3GPP準拠のネットワーク要素から受信される、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
移動体デバイスにインストールされたアプリケーションのトラフィックをルーティングするために構成された移動体デバイスであって、
前記移動体デバイスにインストールされた第1のアプリケーションに関する属性のセットを受信する工程と、
アプリケーション・トラフィック・ルーティング規則のセットをネットワーク要素から受信する工程と、
前記第1のアプリケーションに関する属性の前記セットのうちの第1の属性に基づいて、前記第1のアプリケーションのトラフィックをルーティングするための第1のネットワーク・アクセスを、前記移動体デバイスの複数のネットワーク・アクセスから選択するようにアプリケーション・トラフィック・ルーティング規則の受信された前記セットのうちの第1のアプリケーション・トラフィック・ルーティング規則を適用する工程と、を行うように構成された処理要素を備える、移動体デバイス。
【請求項14】
前記処理要素は、3GPP準拠のネットワークのアクセス・ネットワーク発見および選択機能サーバに接続されて、アプリケーション・トラフィック・ルーティング規則の前記セットを受信するように構成される、請求項13に記載の移動体デバイス。
【請求項15】
前記処理要素は、
ユーザプレファレンスを決定する工程と、
前記第1の属性が前記ユーザプレファレンスと互いに関係すると決定する工程と、
前記第1の属性が前記ユーザプレファレンスと互いに関係することに基づいて、前記第1のネットワーク・アクセスを選択するように前記第1のアプリケーション・トラフィック・ルーティング規則を適用する工程と、を行うようにさらに構成される、請求項13に記載の移動体デバイス。
【請求項16】
前記第1の属性は、カテゴリ・タイプである、請求項15に記載の移動体デバイス。
【請求項17】
移動体デバイスによって実行される、前記移動体デバイスにインストールされたアプリケーションのトラフィックをルーティングするための方法であって、
前記移動体デバイスにインストールされた第1のアプリケーションに関する属性のセットを決定する工程と、
ユーザプレファレンスと互いに関係するアプリケーション・トラフィックがどのようにルーティングされるべきかを定義する第1のアプリケーション・トラフィック・ルーティング規則をネットワーク要素から受信する工程と、
ユーザプレファレンスを決定する工程と、
前記ユーザプレファレンスと、前記第1のアプリケーションに関する属性の前記セットのうちの第1の属性を互いに関係付ける、関係付け工程と、
前記関係付け工程に応答して、前記第1のアプリケーションのトラフィックをルーティングするための第1のネットワーク・アクセスを、前記移動体デバイスの複数のネットワーク・アクセスから選択するように前記第1のアプリケーション・トラフィック・ルーティング規則を適用する工程と、を備える、方法。
【請求項18】
前記関係付け工程は、アプリケーション・カテゴリ・プレファレンスを前記第1のアプリケーションのカテゴリ・タイプと互いに関係付ける工程を備える、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記アプリケーション・カテゴリ・プレファレンスをユーザ・ソーシャル・プロファイルにおける情報から決定する工程をさらに備える、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記第1のアプリケーション・トラフィック・ルーティング規則は、前記ネットワーク要素から受信される3GPP準拠のシステム間ルーティング・ポリシーに含められる、請求項17に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、ワイヤレス通信に関し、より詳細には、移動体デバイスにインストールされたアプリケーションのトラフィックをルーティングするための方法およびデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
ワイヤレス通信デバイスが複数のワイヤレス・アクセス技術を実装することがますます一般的になるにつれ、ワイヤレス・ネットワーク・オペレータは、同一のコア・ネットワークを共有する異なるワイヤレス・アクセス・ネットワーク(無線アクセス・ネットワーク(RAN)とも呼ばれ、本明細書において単にアクセス・ネットワークとも呼ばれる)を展開しはじめている。例えば、ロング・ターム・エボリューション(LTE)ネットワークなどの1つまたは複数の第3世代パートナーシップ・プロジェクト(3GPP)標準もしくは3GPP規格を実装し、かつ/またはそのような標準もしくは規格に準拠するネットワークのいくつかのオペレータが、彼らの既存のセルラ・ネットワーク・インフラにWiFiネットワークを統合することを計画している。そのようなWiFiネットワークは、標準により「信頼される」WiFiネットワークと呼ばれる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
利用可能なワイヤレス・アクセス・ネットワーク・カバレッジにおける拡大を活用して、ワイヤレス通信デバイスは、ますます、1つまたは複数の利用可能なワイヤレス・アクセス・ネットワーク上で複数のアクティブなネットワーク・アクセスを維持する能力を有するように設計されている。したがって、ワイヤレス通信デバイスは、複数のアクティブなネットワーク・アクセス・インターフェースに関して、例えば、ネットワーク・オペレータおよび/またはユーザのデバイスについてのルーティング・ポリシーまたはルーティングプレファレンスを扱うこともできなければならない。例えば、多くのワイヤレス通信デバイスが、データ・トラフィックを通信する複数のアプリケーションをインストールしている。このため、ワイヤレス通信デバイスは、デバイスにインストールされたアプリケーションのデータ・トラフィックをルーティングすることを支援するルーティング・ポリシーを扱うことができることが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0004】
一般的に、様々な実施形態によれば、移動体デバイスにインストールされたアプリケーションのトラフィックをルーティングするために構成された方法、および本明細書において移動体デバイスとも呼ばれるワイヤレス通信デバイスである。1つの特定の実施形態によれば、移動体デバイスにインストールされた第1のアプリケーションに関する属性のセットを移動体デバイスの外部のソースから受信する工程を備える、移動体デバイスにインストールされたアプリケーションのトラフィックをルーティングするための方法である。属性は、アプリケーションに一意である識別情報もしくは識別子と対比される、アプリケーションの、もしくはアプリケーションに関連付けられた一般的な、もしくは一意でないパラメータ、ラベル、特性、態様、または要素として定義される。アプリケーション属性、または単に属性の例は、カテゴリ・タイプ、費用、開発者名その他を含む。方法は、アプリケーション・トラフィック・ルーティング規則のセットをネットワーク要素から受信する工程をさらに備える。さらに、方法は、アプリケーション・トラフィック・ルーティング規則の受信されたセットのうちの少なくとも1つのアプリケーション・トラフィック・ルーティング規則の制御下で、第1のアプリケーションのトラフィックをルーティングするためのネットワーク・アクセスを、移動体デバイスの複数のネットワーク・アクセスから選択する工程を備える。選択する工程は、第1のアプリケーションに関する属性のセットに基づく。
【0005】
別の実施形態によれば、移動体デバイスにインストールされたアプリケーションのトラフィックをルーティングするために構成された移動体デバイスである。移動体デバイスは、本明細書においてプロセッサとも呼ばれる、少なくとも処理要素を備える。プロセッサは、移動体デバイスにインストールされた第1のアプリケーションに関する属性のセットを受信するように、かつ、アプリケーション・トラフィック・ルーティング規則のセットをネットワーク要素から受信するように構成される。また、プロセッサは、第1のアプリケーションに関する属性のセットのうちの第1の属性に基づいて、第1のアプリケーションのトラフィックをルーティングするための第1のネットワーク・アクセスを、移動体デバイスの複数のネットワーク・アクセスから選択するように、アプリケーション・トラフィック・ルーティング規則の受信されたセットのうちの第1のアプリケーション・トラフィック・ルーティング規則を適用するようにも構成される。
【0006】
さらに別の態様によれば、移動体デバイスにインストールされたアプリケーションのトラフィックをルーティングするための方法である。方法は、移動体デバイスにインストールされた第1のアプリケーションに関する属性のセットを決定する工程を備える。また、方法は、ユーザプレファレンスと互いに関係するアプリケーション・トラフィックがどのようにルーティングされるべきかを定義する第1のアプリケーション・トラフィック・ルーティング規則をネットワーク要素から受信する工程も備える。方法は、ユーザプレファレンスを決定する工程、および第1のアプリケーションに関する属性のセットのうちの第1の属性をユーザプレファレンスと互いに関係付ける工程をさらに備える。さらに、方法は、第1の属性をユーザプレファレンスと互いに関係付ける工程に応答して、第1のアプリケーションのトラフィックをルーティングするための第1のネットワーク・アクセスを、移動体デバイスの複数のネットワーク・アクセスから選択するために、第1のアプリケーション・トラフィック・ルーティング規則を適用する工程を備える。
【0007】
本教示の様々な実施形態のうちの少なくともいくつかによれば、移動体デバイスは、移動体デバイスにインストールされた1つまたは複数のアプリケーションのトラフィックを、複数のアクティブなネットワーク・アクセス・インターフェース(本明細書において互換的にネットワーク・アクセス、データ・インターフェース、および仮想プライベート・ネットワーク(VPN)インターフェースとも呼ばれる)上で、従来のルーティング機構を用いて可能であるよりも高い柔軟性でルーティングすることができる。例えば、アプリケーション・トラフィック・ルーティングに関する本教示は、ネットワーク・デバイスを介してネットワーク・オペレータによって移動体デバイスにおいてプロビジョニングされるルーティング・ポリシーの更新に容易に対応することができる。さらに、アプリケーション・トラフィック・ルーティングに関する本教示は、アクティブなネットワーク・アクセス・インターフェースの変更、および移動体デバイスが利用可能なアクセス・ネットワークの変更にも対応することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】いくつかの実施形態による少なくとも1つのワイヤレス通信デバイスが構成可能であるワイヤレス通信環境を示す概略図。
【
図2】いくつかの実施形態による構成されたワイヤレス通信デバイスの内部ハードウェア・コンポーネントを示すブロック図。
【
図3】実施形態によるワイヤレス通信デバイスにインストールされたアプリケーションのトラフィックをルーティングするための方法を示すフローチャート。
【
図4】別の実施形態によるワイヤレス通信デバイスにインストールされたアプリケーションのトラフィックをルーティングするための方法を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0009】
同様の参照符号が別々の図にわたって同一の、または機能的に類似した要素を参照する添付の図面は、後段の詳細な説明と一緒に、本明細書に援用され、本明細書の一部を形成し、主張される実施形態を含む概念の実施形態をさらに示し、かつそれらの実施形態の様々な原理および利点を説明する役割をする。
【0010】
当業者は、図における要素が、簡単および明瞭のために示されており、必ずしも一律の縮尺に従って描かれてはいないことを理解しよう。例えば、図における要素のうちのいくつかの寸法は、本開示の実施形態の理解を向上させるのを助けるように他の要素との関係で誇張されていることがあり得る。
【0011】
装置コンポーネントおよび方法コンポーネントは、適宜、図面における従来の記号によって表されており、本開示の実施形態の理解と関係のある特定の詳細だけを示して、本明細書における説明の利益を有する当業者には直ちに明白である詳細で開示を不明瞭にしないようにしている。
【0012】
図1は、本教示による、移動体デバイスにインストールされたアプリケーションのトラフィックをルーティングするための方法およびデバイスが実装され得る例示的な環境100の概略図を示す。この特定の実施形態において、この例において移動体デバイスまたはポータブル・デバイスであるワイヤレス通信デバイス102が、複数のアクセス・ネットワーク、例えば、アクセス・ネットワーク104およびアクセス・ネットワーク110の内部のインフラ設備に対してワイヤレス・リンクを確立して、例えば、他の移動体デバイスもしくはポータブル・デバイスを相手に、またはプリンタおよびサーバなどの他のデバイスを相手にデータおよび音声通信を交換するように構成される。任意の所与の時点で、ワイヤレス通信デバイスの範囲内にあり、かつワイヤレス通信デバイスがワイヤレス・リンクを確立するように構成されたアクセス・ネットワークは、本明細書において、ワイヤレス通信デバイスに対する利用可能なアクセス・ネットワークと呼ばれる。2つのアクセス・ネットワーク104および110は、ワイヤレス通信デバイスが、アクセス・ネットワークを使用してアクセスすること、および通信することを行うための任意のタイプのアクセス技術を使用することができるが、一実施形態において、2つの異なるアクセス技術が、それぞれ、2つのアクセス・ネットワーク104および110上で通信するために使用される。アクセス技術は、本明細書においてワイヤレス・アクセス技術とも呼ばれ、かつ当技術分野において無線アクセス技術(RAT)としても知られる。
【0013】
この例示的な実施形態において、アクセス・ネットワーク104は、当技術分野においてWiFi技術とも呼ばれる米国電気電子学会(IEEE)802.11標準を使用する、ワイヤレス・リンク、例えば、126を円滑にするための少なくとも1つのアクセス・ポイント、例えば、106、108を有するワイヤレス・ローカル・エリア・ネットワーク(WLAN)である。このため、アクセス・ネットワーク104は、本明細書においてWiFiネットワークまたはWiFiアクセス・ネットワークとも呼ばれる。しかし、ワールドワイド・インターオペラビリティ・フォー・マイクロウェイブ・アクセス(WiMAX)またはセルラ・アクセス技術もしくはセルラ・ベースのアクセス技術などの他の任意のタイプのワイヤレス・アクセス技術がアクセス・ネットワーク104において実装され得る。さらに、移動体デバイス102は、WLANネットワーク104を使用してインターネット140に接続され得る。
【0014】
アクセス・ネットワーク110は、アクセス・ネットワーク110に対するワイヤレス・リンク、例えば、138を円滑にするために少なくとも1つのセルラ塔または基地局、例えば、112を有する、本明細書においてセルラ・ネットワークとも呼ばれるセルラ・アクセス・ネットワークである。図示されるとおり、セルラ・ネットワーク110、およびセルラ・ネットワーク110を使用する通信をサポートするコア・ネットワークは、本明細書において3GPP規格とも呼ばれる3GPP標準を、例えば、LTEネットワークとして使用して実装される。より具体的には、セルラ・ネットワーク110は、ワイヤレス通信デバイス102などのユーザ機器(UE)に対するワイヤレス・リンクを円滑にするために少なくとも1つのeノードBまたはノードB、例えば、112を有する発展型UMTS地上無線アクセス・ネットワーク(E−UTRAN)または従来のUTRANである。
実施形態において、セルラ・アクセス・ネットワーク110は、E−UTRAをRATとして使用する。しかし、アドバンスト移動体電話システム(AMPS)などのアナログ・アクセス技術、符号分割多元接続(CDMA)、時分割多元接続(TDMA)、グローバル・システム・フォー・モバイル・コミュニケーション(GSM(登録商標))、インテグレーテッド・デジタル・エンハンスト・ネットワーク(iDEN)、汎用パケット無線サービス(GPRS)、エンハンスト・データ・フォーGSMエボリューション(EDGE)その他などのデジタル・アクセス技術、および/またはユニバーサル・モバイル・テレコミュニケーション・システム(UMTS)、広帯域CDMA(WCDMA)、IEEE802.16その他、または以上の変形を含むが、以上には限定されない他の任意のセルラ・アクセス技術またはセルラ・ベースのアクセス技術が使用され得る。
【0015】
WiFiネットワーク104およびセルラ・ネットワーク110をサポートし、互いに接続するコア・ネットワークは、この実施形態において、当技術分野において発展型パケット・コア(EPC)とも呼ばれるシステム・アーキテクチャ・エボリューション(SAE)コアである。EPCサブコンポーネントは、サブコンポーネントのなかでもとりわけ、図示されないモビリティ管理エンティティ(MME)、サービング・ゲートウェイ(S−GW)118、PDN Gateway(P−GW)120、図示されないホーム加入者サーバ(HSS)、アクセス・ネットワーク発見および選択機能(ANDSF)サーバ128、および図示されない発展型パケット・データ・ゲートウェイ(ePDG)を含み得る。
【0016】
実施形態に関して、ANDSFサーバ128は、ANDSFサーバ128と移動体デバイス102におけるANDSFクライアント(図示せず)との間のIPレベル通信を可能にするS14インターフェース130を使用して、移動体デバイス102とインターフェースをとる、または接続される。セルラ・ネットワーク110は、P−GW120とS−GW118の間でS5インターフェース124を使用してEPCとインターフェースをとることが可能である。この実施形態において、WiFiネットワーク140は、信頼されるWiFiネットワークとして実装され、したがって、信頼されるWiFiアクセス・ゲートウェイ(TWAG)116を含む。このため、WiFiネットワーク104は、P−GW120とTWAG116の間でS2インターフェース122を使用してEPCとインターフェースをとることが可能である。3GPP規格において参照ポイントとも呼ばれる3GPPインターフェース、ならびに3GPP EPCサブコンポーネントおよび他の3GPPネットワーク・デバイスもしくは3GPPネットワーク要素は、よく知られており、様々な3GPP規格において規定される。したがって、それらの機能、動作、構成、および/または実施様態の詳細は、簡素化のため、本明細書において省略される。
【0017】
図示されるとおり、ワイヤレス通信デバイス102は、ビデオおよび/または音声などのデータを通信するために1つまたは複数のアクティブな通信セッションをサポートするのに使用される2つの物理ワイヤレス・リンクを維持する。より具体的には、ワイヤレス通信デバイス102は、WiFiネットワーク104を使用してデータを通信するWiFiネットワーク104におけるアクセス・ポイント108に対するワイヤレス・リンク126を有し、かつワイヤレス通信デバイス102は、WiFiネットワーク110を使用してデータを通信するセルラ・ネットワーク110における基地局112に対するワイヤレス・リンク138を有する。
【0018】
実施形態において、リンク126は、ネットワーク・アクセス・インターフェースまたはデータ・インターフェース(例えば、IPアドレスが関連付けられているインターネット・プロトコル(IP)インターフェース)に対応し、かつそのようなネットワーク・アクセス・インターフェースまたはデータ・インターフェースを使用して実装される層3接続またはネットワーク層接続を参照する直接WLAN接続をサポートする。直接WLAN接続は、WiFiネットワーク104を介して移動体デバイス102とインターネット140の間でIPトラフィックをルーティングするのに使用される。このトラフィックは、シームレスでないWLANオフロード・トラフィックと呼ばれる。リンク126は、WiFiネットワーク104を介してアクセス・ポイント・ネーム(APN)ルーティングのための別個のデータ・インターフェースに対応し、かつそのようなインターフェースを使用して実装されるパケット・データ・ネットワーク(PDN)接続をサポートすることも可能である。
【0019】
より具体的には、移動体デバイス102は、単一の物理WiFiリンク126を使用する複数のアクティブなネットワーク・アクセス・インターフェースまたはデータ・インターフェース、すなわち、直接WLAN接続に対応する直接WLANインターフェース、およびWLAN PDN接続に対応するWLAN PDNインターフェースなどの0または1つ以上の仮想プライベート・ネットワーク(VPN)インターフェースを有することが可能である。直接インターフェースは、移動体デバイス102が、アクセス・ポイント108を使用して物理リンク126に接続され、かつ物理リンク126を確立すると、作成される。移動体デバイス102と、コア・ネットワーク(EPC)においてP−GW、例えば、
図1の120に接続されたパケット・データ・ネットワーク142との間で論理接続を確立するVPNインターフェース(WLAN PDN)が、後に作成され得る。PDNは、例えば、企業ネットワーク、IPマルチメディア・サブシステム(IMS)、インターネットその他であり得る。また、本明細書において使用されるリンクとは、物理接続に及ぶ。ネットワーク接続とは、所与の物理リンクを使用する特定のネットワーク(特定のPDNを含み得る)を使用してデータ・パケットをルーティングするのに移動体デバイス102によって使用される論理接続(APN、セキュリティ方法、IPアドレスその他によって代表され得る)に及ぶ。データ・インターフェース、ネットワーク・アクセス・インターフェース、ネットワーク・アクセス、およびVPNインターフェースとは、所与のネットワーク接続を使用するルーティングに対応し、かつそのようなルーティングを円滑にする、移動体デバイスが使用する論理構成に及ぶ。
【0020】
直接インターフェース(直接WLAN)に向かうすべてのパケットは、WLAN104に配信され、次に、WLAN104が、それらを転送する。逆に、VPNインターフェース(WLAN PDN)に向かうすべてのパケットは、EPCにおけるP−GWに転送され、次に、P−GWが、それらを外部PDNに転送する。すなわち、直接インターフェースに送信されるパケットは、EPCを通過せず(WLAN104に直接にオフロードされ)WLAN PDNインターフェースに送信されるパケットは、EPCに向かう。直接インターフェースに送信されるトラフィックは、WiFiが失われた(EPCにハンドオーバされ得ない)場合、中断され、このため、このトラフィックは、「シームレスでないWLANオフロード」トラフィックと呼ばれることに留意されたい。しかし、WLAN PDNインターフェースに送信されるトラフィックは、WiFiが失われた場合、UTRAN/E−UTRANにシームレスにハンドオーバされることが可能であり、このため、「シームレスなWLANオフロード」トラフィックと呼ばれる。本明細書における教示によれば、複数のアクティブなネットワーク・アクセス・インターフェース上で、例えば、ワイヤレス・リンク126および138に対応する複数のアクティブなネットワーク・アクセス・インターフェース上で、移動体デバイスにインストールされたアプリケーションのトラフィックをルーティングするための方法が、ワイヤレス通信デバイス102によって実行され得る。
【0021】
図2は、実施形態による、
図1のワイヤレス通信デバイス102の例示的な内部ハードウェア・コンポーネント200を示すブロック図を示す。ワイヤレス通信デバイス102は、例えば、セルラ電話、携帯情報端末(PDA)、スマート・フォン、ラップトップ・コンピュータ、タブレット、ファブレット、または他のハンドヘルド電子デバイスもしくはポータブル電子デバイスを含む様々な移動体デバイスまたはUEを表すことを意図している。
図2に示されるとおり、内部ハードウェア要素または内部ハードウェア・コンポーネント200は、1つまたは複数のトランシーバ202と、1つまたは複数のプロセッサ210と、出力コンポーネント212と、コンポーネント・インターフェース220と、1つまたは複数のセンサ222と、メモリ・コンポーネント224と、入力コンポーネント226と、電源234とを含む。さらに例示されるとおり、内部コンポーネント200は、1つまたは複数の内部通信リンク236、例えば、内部バスによって互いに結合され、かつ互いに通信状態にある。限られた数のデバイス・コンポーネント202、210、212、220、222、224、226、および234が、例示を容易にするために200において示されるが、他の実施形態は、デバイス102などのデバイスにおいてより少ない数のそのようなコンポーネント(構成要素)を含んでも、より多い数のそのようなコンポーネントを含んでもよい。さらに、200において示されるコンポーネントを含むデバイスの商用の実施形態に必要とされる他の要素は、開示される実施形態の説明を明瞭にするために
図2から省かれる。
【0022】
次に、概略
図200内のコンポーネントの簡単な説明に移る。一般に、プロセッサ210およびメモリ224は、残りの
図3〜
図4に関連して後段で詳細に説明される本開示の実施形態による機能を有して構成され得る。本明細書において使用される「適応させられた」、「動作する」、「できる」、または「構成された」は、示される構成要素が、1つまたは複数のハードウェア要素を使用して実装されることを意味し、ハードウェア要素は、それらの所望される機能を実装する示されるコンポーネントのための手段としてソフトウェアおよび/またはファームウェアを有してプログラミングされていることも、そうでないことも可能である。そのような機能は、デバイス・コンポーネント202、212、220、222、226、および/または234を含む、
図2に示される他のハードウェアによってサポートされる。
【0023】
200において示されるデバイス・コンポーネントの簡単な説明を続けると、デバイス102内に含まれるものとして、ワイヤレス・トランシーバ202は、セルラ・トランシーバ204と、WLANトランシーバ206と、全地球測位システム(GPS)トランシーバ208とを含む。より具体的には、セルラ・トランシーバ204は、セルラ・ネットワーク110などのセルラ・ネットワーク上でデータのセルラ通信を行う任意の適切なセルラ技術またはセルラ・ベースの技術を実装するように構成される。WLANトランシーバ206は、IEEE802.11(a、b、g、n、またはac)標準により、WiFiネットワーク104などのWiFiネットワークを介してWiFi通信を行うように構成されたWiFiトランシーバ206である。
【0024】
プロセッサ210は、デバイス102によって要求されるデジタル処理を実行して、例えば、本明細書において説明される実施形態と合致する様態で移動体デバイスにインストールされたアプリケーションのトラフィックをルーティングするのに必要な演算装置およびレジスタを含む。一実施形態に関して、プロセッサ210は、スマート・フォン102のアプリケーション・プロセッサなどのデバイス102の1次マイクロプロセッサまたは中央処理装置(CPU)を表す。別の実施形態において、プロセッサ210は、ワイヤレス・トランシーバ202のうちの1つまたは複数によって使用されて、例えば、
図3〜
図4に示されるフローチャートを参照して、本教示によりデバイスの動作を円滑にするワイヤレス伝送を含むデバイス102の意図される機能を実行するのにデバイス102に全部が、または一部が必要とされる処理能力を提供するCPUに対するベースバンド・プロセッサ、または他の補助プロセッサもしくはスタンドアロンのプロセッサを表す。実行される特定の機能、および所与のデバイス102設計に少なくとも部分的に依存して、様々な機能またはプロトコルが、プロセッサ210によってハードウェアにおいて、またはソフトウェア・コードもしくはファームウェア・コードとして実行され得る。
【0025】
示される実施形態において、出力コンポーネント212は、液晶ディスプレイおよび/または発光ダイオードインジケータなどの1つまたは複数の視覚的出力コンポーネント214と、スピーカ、アラーム、および/またはブザーなどの1つまたは複数のオーディオ出力コンポーネント216と、振動機構などの1つまたは複数の機械的出力コンポーネント218とを含む。同様に、入力コンポーネント226は、カメラ・レンズおよび光センサなどの1つまたは複数の視覚的入力コンポーネント228と、例えば、マイクロフォン・アレイおよびビームフォーマ構成、またはBLUETOOTH(登録商標)ヘッドセットのマイクロフォンを含む、1つまたは複数のトランスデューサ(例えば、マイクロフォン)などの1つまたは複数の音響レシーバまたはオーディオ入力コンポーネント230と、タッチスクリーン・ディスプレイ、フリップ・センサ、キーボード、キーパッド選択ボタン、および/またはスイッチなどの1つまたは複数の機械的入力コンポーネント232とを含む。
【0026】
前述したとおり、内部コンポーネント200のこの実施形態は、様々なタイプのセンサ222のうちの1つまたは複数、ならびにそれらのセンサの1つまたは複数の機能を管理するセンサ・ハブも含む。センサ222は、いくつかだけを挙げると、例えば、近接センサ(例えば、光検出センサ、超音波トランシーバ、または赤外線トランシーバ)、タッチ・センサ、高度センサ、加速度計、傾斜センサ、およびジャイロスコープを含む。
【0027】
メモリ・コンポーネント224は、様々な形態のうちのいずれかの1つまたは複数のメモリ要素、例えば、読取り専用メモリ、ランダム・アクセス・メモリ、スタティック・ランダム・アクセス・メモリ、ダイナミック・ランダム・アクセス・メモリその他を表す。実施形態において、プロセッサ210は、メモリ・コンポーネント224を使用してデータを記憶すること、および取り出すことをする。いくつかの実施形態において、メモリ・コンポーネント224は、集積回路上などの単一のコンポーネントになるようにプロセッサ210と一体化される。しかし、そのような単一のコンポーネントは、それでも、異なる処理機能およびメモリ機能を実行する別々の部分/セクションを通常、有する。
【0028】
メモリ・コンポーネント224によって記憶されるデータは、オペレーティング・システム、プログラム(例えば、アプリケーション、プロトコル、および他のコード)、および情報データを含むが、以上には限定されない。各オペレーティング・システムは、内部コンポーネント200のなかに含まれる様々なコンポーネントの間の対話、ワイヤレス・トランシーバ202および/またはコンポーネント・インターフェース220を経由した外部デバイスとの通信、ならびにメモリ・コンポーネント224にプログラムおよびデータを記憶すること、およびメモリ・コンポーネント224からプログラムおよびデータを取り出すことなどの、ワイヤレス通信デバイス102の基本機能を制御する実行可能コードを含む。移動体デバイス102にインストールされた1つまたは複数のアプリケーションなどのプログラムに関して、各プログラムは、オペレーティング・システムを利用して、ファイル・システム・サービス、ならびにメモリ・コンポーネント224に記憶された保護されたデータおよび保護されていないデータを扱うことなどの、より特定の機能をもたらす実行可能コードを含む。そのようなプログラムは、とりわけ、音声および/またはビデオなどの様々なデータを通信する(例えば、送信すること、および/または受信すること)ため、およびワイヤレス通信デバイス102が、
図3〜
図4を参照して後段で説明されるような方法または工程を実行することを可能にするためのプログラミングを含む。最後に、情報データに関して、これは、オペレーティング・システムまたはプログラムが、一実施形態において、ワイヤレス通信デバイス102の機能を実行するために参照し、かつ/または操作するルーティング・ポリシー・データ、ユーザ参照データ、またはアプリケーション属性データなどの非実行可能コードまたは情報である。
【0029】
実施形態において、コンポーネント・インターフェース220は、ドッキング・ステーションまたはプリンタあるいはさらなる機能または拡張された機能のためのアクセサリなどの補助コンポーネントに対する直接物理接続をもたらす。例えば、コンポーネント・インターフェース220は、1つもしくは複数のユニバーサル・シリアル・バス(USB)ポート、RS−232コネクタ、または他のシリアル・コネクタその他として実装され得る。バッテリなどの電源234が、ワイヤレス通信デバイス102がポータブルであることを可能にしながら、その他の内部コンポーネント200に電力を供給する。
【0030】
図示されないものの、移動体デバイス102は、例えば、
図3〜
図4を参照して、例示される本開示によりワイヤレス通信デバイス102の様々な機能を可能にする1つまたは複数のプロトコル、手続き、および/またはアルゴリズムをそれぞれが有する、含む、包含する、または実装する複数の「層」を有するプロトコル・スタックまたはプロトコル・スイートを実装する。一実施形態において、プロトコル・スタックは、メモリ・コンポーネント224に記憶されたプロトコル、手続き、アルゴリズム、および情報データ(本明細書において、アプリケーション・トラフィック・ルーティング規則もしくはステアリング規則、ユーザ参照データ、およびアプリケーション属性とも呼ばれる、プロビジョニングされたルーティング・ポリシーなどの)を使用して1つまたは複数のプロセッサ210によって実行される。
【0031】
一実施形態において、プロトコル・スタックは、3つの層またはセクション、すなわち、アプリケーション層、オペレーティング・システム(OS)フレームワーク層、およびルーティング層を含む。プロトコル・スタックは、他の層、例えば、ネットワーキングのオープン・システム・インターコネクション(OSI)モデルに対応する、またはインターネット・プロトコル・スイートに対応する他の層を含み得る。そのような層は、例えば、物理層、データ・リンク層もしくはリンク層、トランスポート層、セッション層、またはプレゼンテーション層を含む。
【0032】
アプリケーション層は、Skypeアプリケーション(アプリ)、YouTube(登録商標)アプリケーション、ボイス・オーバIPもしくはビデオ・オーバIPをサポートするIMSベースのアプリケーション(本明細書においてIMSクライアントとも呼ばれる)、ファイル共有その他、および1つもしくは複数の他のアプリケーション、例えば、マルチメディア・メッセージング・サービス(MMS)アプリケーションを含むが、以上には限定されない移動体デバイスにインストールされた様々なアプリケーションを包含する。一例において、アプリケーションは、アプリケーション・ストアから取得される、またはダウンロードされる。例えば、アプリケーション・ストアは、サーバを使用して実装され、かつサーバに記憶されたアプリケーションに対するユーザによるアクセスを円滑にする、移動体デバイス102上に表示されるアイコンとして表される。
【0033】
移動体デバイス102の動作中、アプリケーションは、アクティブな通信セッション、例えば、Skypeアプリケーションによる音声呼、およびIMSクライアントによるビデオ・セッションの確立を開始することができる。アクティブな通信セッションは、2つのエンドポイントの間でトラフィックの進行中の通信を可能にする必要なシグナリングを使用して、セッションが確立される特定の時点とセッションが切断される特定の時点の間で行われる。トラフィックは、本明細書においてパケットと総称されるデータのまとまりの形態であり得る。アクティブな通信セッション中、アプリケーションが、複数のネットワーク・アクセスのうちの1つを使用して供給され、かつ/または転送される発信トラフィックまたは発信パケットを生成する。より具体的には、移動体デバイス102は、本教示により複数のアクティブなネットワーク・アクセス・インターフェースのうちの1つを選択することを、選択されたアクセス・ネットワーク・アクセス・インターフェースに関連付けられ、かつ/またはそのインターフェースによって識別されるアクセス・ネットワーク上でエンドポイントにパケットをルーティングするために行うことが可能である。
【0034】
OSフレームワーク層は、アプリケーション層と少なくともトランスポート層との間で通信をサポートする機能のセットを実装する。OSフレームワーク層は、アプリケーションが、トランスポート層によって提供されるトランスポート・サービスを利用することを可能にし、他の層によって提供される他のサービスを利用することも可能にする。そのようなサービスは、ロケーション・サービス、メディア・レンダリング・サービス、コンテンツ符号化、プレゼンテーション・サービスその他を含み得る。OSフレームワーク層は、本教示を円滑にする、3GPP規格、例えば、技術規格(TS)24.312およびTS23.402第4.8条による、
図1の環境100に示されるANDSFサーバ128などのANDSFサーバと通信するための機能を有するANDSFクライアントを含み得る。代替として、アプリケーション層は、ANDSFクライアントをモバイル・アプリケーションとして含む。OSIモデルのネットワーク層とも呼ばれるルーティング層は、パケットが、セットの、すなわち、1つまたは複数のアクセス・ネットワークを介して効果的にルーティングされることを可能にする。
【0035】
次に、
図3および
図4を参照して例示される本明細書における教示によりプロトコル、手続き、および/またはアルゴリズムを実装する
図1のデバイス102および
図2のデバイス・コンポーネント200の機能の詳細な説明に移る。
図3および
図4は、本教示による移動体デバイスにインストールされたアプリケーションのトラフィックをルーティングするためにデバイス102などのデバイスによってそれぞれ実行される一般的な方法300および400を示す論理フローチャートをそれぞれ示す。特定の実施様態において、方法300および400の少なくともいくつかの部分は、デバイス102の少なくとも1つのプロセッサ210およびメモリ224を使用して実行される。
【0036】
次に、方法300の詳細に移る。方法300において、移動体デバイス102は、アプリケーションがインストールされる際にそのアプリケーションに関する1つまたは複数の属性を自動的に受け取ることをしない。移動体デバイス102は、移動体デバイス102にインストールされた1つまたは複数のアプリケーションの属性に関して外部ソースにクエリを行うこと(302)が可能である。一例において、移動体デバイス102は、移動体デバイス102にインストールされたアプリケーションのうちのすべての属性に関してクエリを行う。別の例において、移動体デバイス102は、移動体デバイス102にインストールされたすべてのアプリケーションのうちのサブセットに関してクエリを行う。いずれにしても、移動体デバイス102は、移動体デバイス102にインストールされたアプリケーションのうちのすべてまたはサブセットに関する属性のセットを受信する(304)。このことは、移動体デバイス102にインストールされたSkypeアプリケーション(本明細書において第1のアプリケーションとも呼ばれる)、IMSベースのアプリケーション、YouTubeアプリケーション、および他の任意のアプリケーションに関する1つまたは複数の属性のセットを受信することを含み得る。外部ソースにクエリを行う代替として、移動体デバイス102は、ダウンロードされたアプリケーションのコンテンツ内でアプリケーション属性を受信する。
【0037】
実施形態に関して、1つまたは複数のアプリケーションに関する属性のセットを受信すること(304)は、アプリケーションが受信された出所のアプリケーション・ストアにクエリを行って(302)、属性のセットを受信することを含む。例えば、移動体デバイス102は、アプリケーション・プログラミング・インターフェース(API)を使用して、アプリケーション属性を取り出す、または取得することが可能である。1つの例示的なAPI使用は、例えば、リクエスト・フォー・コメント(RFC)2616において説明されるハイパーテキスト転送プロトコル(HTTP)において定義されるGET要求を移動体デバイス102がユニフォーム・リソース・アイデンティファイア(URI)に対して発行することを介して実装される。例えば、第1の(Skype)アプリケーションに関して、移動体デバイス102は、以下、すなわち、https://play.google.com/store/apps/details?id=com.skype.raiderのとおりのアプリケーション・ストアのURIに対して直接GET要求を発行することが可能である。別の実施形態に関して、第1のアプリケーションに関する属性のセットを受信することは、第1のアプリケーションの開発者のサーバにクエリを行って、属性のセットを受信することからなる。Skypeアプリケーションの例に関して、移動体デバイス102は、以下、すなわち、https://androidquery.appspot.com/api/market?app=com.skype.raiderのとおりの開発者のサーバのURIにGET要求を発行することが可能である。
【0038】
アプリケーション属性は、単一のアプリケーションに一意であるアプリケーション識別子またはアプリケーション識別情報とは異なり、複数のアプリケーションに対応する、もしくは関係する、または記述する、もしくは分類する任意のタイプの情報であり得る。例示的な属性は、カテゴリ・タイプ、開発者名もしくは開発者識別情報、ランク付け、費用、バージョン番号その他を含むが、以上には限定されない。実施形態において、カテゴリ・タイプは、複数のアプリケーションをグループ化する、または分類するのにアプリケーション・ストアによって使用されるラベルであり、アプリケーション・ストアは、数十のそのようなカテゴリ・タイプを有することが可能である。言い換えると、カテゴリ・タイプは、アプリケーションが取得された出所のアプリケーション・ストアによって、複数のアプリケーションのうちのアプリケーションを分類するのに使用される。例示的なカテゴリ・タイプは、ビジネス、コミック、ゲーム、金融、医療、音楽およびオーディオ、メディアおよびビデオ、家族、スポーツ、ソーシャルその他を含むが、以上には限定されない。ランク付けは、1名または複数名のユーザがアプリケーションをどのように評価したか、例えば、アプリケーションに与えられた星の数を識別する。費用は、実際の費用を識別すること、または単に、ユーザがアプリケーションの代金を支払ったかどうか、もしくはアプリケーションが無料であったかどうかを示すことが可能である。
【0039】
方法300は、移動体デバイス102が、ステアリング規則およびルーティング・ポリシーとも呼ばれる、1つまたは複数のアプリケーション・トラフィック・ルーティング規則のセットをネットワーク要素から受信すること(306)に進む。本明細書において使用されるアプリケーション・トラフィック・ルーティング規則は、あるアプリケーション・トラフィックをルーティングするアクセス・ネットワークのネットワーク・オペレータ(operator)プレファレンスを識別する1つまたは複数の規則を含む。一実施形態において、アプリケーション・トラフィック・ルーティング規則は、移動体デバイスが利用可能なアクセス・ネットワークのセットをサポートするコア・ネットワーク内のネットワーク要素に対するインターフェースを使用して移動体デバイス102においてプロビジョニングされる。例えば、アプリケーション・トラフィック・ルーティング規則のセットは、3GPP準拠のネットワーク要素から受信される。より具体的には、プロセッサ210が、3GPP準拠のネットワークのアクセス・ネットワーク発見および選択機能(ANDSF)サーバに接続されて、アプリケーション・トラフィック・ルーティング規則のセットを受信するように構成され得る。
【0040】
特定の例に関して、移動体デバイス102のOSフレームワーク層内、またはアプリケーション層内のANDSFクライアントは、第3世代パートナーシップ・プロジェクト準拠のネットワークの発展型パケット・コアのアクセス・ネットワーク発見および選択機能サーバ128に対するS14インターフェース上でネットワーク・ルーティング・ポリシーまたはオペレータ・ルーティング・ポリシーとともにプロビジョニングされ得る。3GPP規格によれば、ANDSFクライアントは、ANDSFサーバ128によって、APN間ルーティング・ポリシー(IARP)および/またはシステム間ルーティング・ポリシー(ISRP)を含むANDSFポリシーとともにプロビジョニングされ得る。したがって、アプリケーション・トラフィック・ルーティング規則が、ネットワーク要素から受信される3GPP準拠のISRPまたはIARPに含まれ得る。IARPは、3GPPアクセス・ネットワークと非3GPPアクセス・ネットワークの両方における利用可能なIPインターフェースの選択肢のうちパケットをルーティングするIPインターフェースを選択するためのインターフェース選択ポリシーを包含する。ISRPは、3GPP規格において定義される様々なフィーチャのために構成された移動体デバイスのための異なるアクセス・ネットワークを介する異なるタイプのアプリケーションからの異なるタイプのトラフィック・フローに関するトラフィック配信のためのインターフェース選択規則(IARPと類似した)を包含する。これらすべてのポリシーは、任意のロケーションおよび時間において有効であることが可能であり、または所与のロケーションにおいて、かつ/または所与の時間にわたって有効であることが可能である。
【0041】
ブロック308において、移動体デバイス102が、Skypeアプリケーションなどの第1のアプリケーションに関するデータ・トラフィックを通信することを決定し、移動体デバイスは、Skypeアプリケーションの属性に基づいて、受信され、かつプロビジョニングされたアプリケーション・トラフィック・ルーティング規則が、ルーティングを定義する第1のルーティング規則を包含するかどうかを決定する(310)。移動体デバイス102がそのような規則をプロビジョニングされた場合、移動体デバイス102は、この規則を適用して(314)、Skypeアプリケーションの属性に基づいてネットワーク・アクセスを選択し、選択されたネットワーク・アクセスを使用してSkypeトラフィックをルーティングする(316)。この事例において、アプリケーション・トラフィック・ルーティング規則のセットを受信することは、Skypeアプリケーションの属性のセットのうちの第1の属性に基づいて、アプリケーション・トラフィックがどのようにルーティングされるべきかを定義する第1のアプリケーション・トラフィック・ルーティング規則を受信することを含み、ネットワーク・アクセスは、この第1のアプリケーション・トラフィック・ルーティング規則の制御下で選択される。そうでなければ、移動体デバイス102は、デフォルトのルーティング、または任意の種類の記憶されたルーティング・テーブルに基づくなど、アプリケーション属性以外の基準に基づいて、Skypeトラフィックをルーティングする(312)。
【0042】
1つの例示的な実施様態に関して、移動体デバイス102に関するホーム・オペレータ、例えば、AT&Tは、ANDSFサーバ128に、以下、すなわち、AT&Tサービス社(AT&T Services,Inc.)によって開発されたアプリケーションのすべてのトラフィックは、セルラ・ネットワーク110を介してルーティングされるべきであること、およびSkypeまたはYouTubeなどのメディアおよびビデオというカテゴリ・タイプの属性を有するすべてのアプリケーションは、WiFiネットワーク104上でルーティングされるべきであることを明記するアプリケーション・トラフィック・ルーティング規則を包含するポリシーをプロビジョニングする。移動体デバイス102は、このルーティング・ポリシー、および関連付けられたルーティング規則を受信し(306)、記憶する。したがって、移動体デバイス102が、Skypeアプリケーションのデータ・トラフィックを通信することを決定した(308)場合、移動体デバイスは、トラフィック・ルーティング規則が、この事例において、メディアおよびビデオというカテゴリ・タイプである、Skypeアプリケーションの属性に基づいてルーティングを定義することを決定する(310)。この規則を適用する(314)と、移動体デバイス102は、WiFiネットワーク104に対応するネットワーク・アクセスを選択し、選択されたネットワーク・アクセスを使用してSkypeトラフィックをルーティングする(316)。
【0043】
方法400は、ブロック302、304、および306に関連して対応するように前段で説明されるのと同一の、または同様の機能を表すブロック402、404、および406を含む。簡潔化のため、説明をここで繰り返すことはしない。しかし、方法400は、異なる基準、すなわち、ユーザプレファレンスに基づいてアプリケーション・トラフィックをルーティングするルーティング規則を使用する。一般に、移動体デバイス102は、ユーザプレファレンスを決定し、少なくとも1つのアプリケーションの属性のセットのうちの少なくとも1つの属性がユーザプレファレンスと互いに関係するかどうか、または合致するかどうかを決定する。その結果、ネットワーク・アクセスを選択することは、その少なくとも1つの属性がユーザプレファレンスと互いに関係するかどうか、または合致するかどうかに基づく。より具体的には、プロセッサ210が、ユーザプレファレンスを決定すること、第1の属性がユーザプレファレンスと互いに関係することを決定すること、および第1の属性がユーザプレファレンスと互いに関係することに基づいて、第1のアプリケーション・トラフィック・ルーティング規則を適用して、第1のネットワーク・アクセスを選択することを行うように構成され得る。特定の実施形態に関して、第1の属性は、カテゴリ・タイプである。このため、第1のアプリケーションの属性の第1のセットのカテゴリ・タイプが、その少なくとも1つの属性がユーザプレファレンスと互いに関係するかどうかを決定する際に使用され得る。
【0044】
したがって、方法400は、移動体デバイス102が、方法400の残りの部分を参照して説明されるとおり使用されるユーザプレファレンスを決定して(408)、アプリケーション・トラフィックをルーティングするネットワーク・アクセスを選択することに進む。移動体デバイス102は、いくつかの様態でユーザプレファレンスを決定することができる。例えば、移動体デバイス102は、ユーザによってデバイスに手動で入力されたユーザプレファレンスを取り出すことが可能である。別の例において、移動体デバイス102は、任意の適切なアルゴリズムを使用して、記憶されたユーザ・プロファイルからの情報、またはユーザが他の1つまたは複数のアプリケーションに提供した他の情報などの、移動体デバイス102が自動的に取得することができる情報に基づいて、ユーザプレファレンスを自動的に決定する。
【0045】
一実施形態に関して、移動体デバイス102は、ユーザのソーシャル・プロファイルにおける情報から1つまたは複数のユーザプレファレンスを決定する。1つの特定の例において、移動体デバイス102は、ソーシャル・ウェブサイト上で、またはソーシャル・ウェブサイトにアクセスするのに使用されるインストールされたアプリケーションを介してユーザ情報にアクセスする。例えば、ソーシャル・アプリケーション上のソーシャル・プロファイルおよび/または他の情報が、ユーザが医者であることを示す場合、移動体デバイス102は、ユーザが医療というカテゴリ・タイプのものであるアプリケーションを選好すると決定することが可能である。ソーシャル・アプリケーション上のソーシャル・プロファイルおよび/または他の情報が、ユーザが、フットボールをし、かつ音楽、オンライン・ゲーム、ならびにYouTubeアプリケーションからのビデオを観ること、およびYouTubeアプリケーションにビデオをアップロードすることを好む10代の少年であることを示す場合、移動体デバイス102は、ユーザが、スポーツ、ゲーム、メディアおよびビデオ、ならびに音楽およびオーディオというカテゴリ・タイプであるアプリケーションを選好すると決定することが可能である。これらの例において、決定されるユーザプレファレンスは、ユーザ・ソーシャル・プロファイルにおける情報から決定されるアプリケーション・カテゴリ・プレファレンスであると言うことができる。
【0046】
ブロック410において、移動体デバイス102が、この例においてYouTubeアプリケーションである、第1のアプリケーションに関するトラフィックを通信することを決定する。方法400は、移動体デバイス102が、YouTubeアプリケーションの属性がユーザプレファレンスと互いに関係するかどうか、または合致するかどうかを決定すること(412)に進む。特定の実施例において、ユーザは、アプリケーション・カテゴリ・プレファレンスが、スポーツ、ゲーム、メディアおよびビデオ、ならびに音楽およびオーディオというカテゴリ・タイプを含むと決定されている10代の少年である。移動体デバイス102は、YouTubeアプリケーションの属性、すなわち、メディアおよびビデオというYouTubeアプリケーションのカテゴリ・タイプが、メディアおよびビデオというカテゴリ・タイプを有するアプリケーションのユーザプレファレンスと互いに関係し、かつ、この事例において、合致すると決定する(412)。このため、この例において、ユーザプレファレンスを第1のアプリケーションの第1の属性と互いに関係付けることは、アプリケーション・カテゴリ・プレファレンスをアプリケーションのカテゴリ・タイプと互いに関係付けることを含む。したがって、方法400は、ブロック414に向かって進む。代替として、移動体デバイス102が、ユーザプレファレンスと互いに関係するアプリケーションの属性も、合致するアプリケーションの属性も存在しないと決定した(414)場合、方法400は、ブロック416に進み、移動体デバイス102が、デフォルトのルーティング、または任意の種類の記憶されたルーティング・テーブルに基づくなどの他の任意の基準に基づいて、YouTubeアプリケーション・トラフィックをルーティングする(416)。
【0047】
ブロック414において、移動体デバイス102は、受信され、かつプロビジョニングされたトラフィック・ルーティング規則が、ユーザプレファレンスに基づいてルーティングを定義するルーティング規則を包含するかどうかを決定する。1つの実施例に関して、移動体デバイス102は、ユーザプレファレンスと互いに関係するアプリケーション・トラフィックがどのようにルーティングされるべきかを定義するアプリケーション・トラフィック・ルーティング規則のセットを受信する(406)。例えば、受信されたステアリング規則が、ユーザプレファレンスのうちの1つまたは複数と合致する属性を有するアプリケーションのセルラ・ネットワーク110を介してすべてのトラフィックをルーティングするよう移動体デバイス102を導く。したがって、移動体デバイス102は、ユーザのアプリケーション・カテゴリ・プレファレンスと合致するYouTubeアプリケーションのカテゴリ・タイプ属性に基づいて、この規則を適用して(418)ネットワーク・アクセスを選択する。すなわち、移動体デバイス102は、ステアリング規則を適用し、セルラ・ネットワーク100に対応するネットワーク・アクセスを選択し、選択されたネットワーク・アクセスを使用してYouTubeトラフィックをルーティングする(420)。そうでなければ、移動体デバイス102は、他の任意の基準に基づいてYouTubeトラフィックをルーティングする(416)。
【0048】
本教示によれば、移動体デバイスは、あるアプリケーション・トラフィックに関する選好されるルーティングを示すルーティング規則とともにプロビジョニングされ得る。1つまたは複数のルーティング規則は、例えば、メディアおよびビデオ・アプリに関する選好されるワイヤレス・アクセス、例えば、WLAN、ホーム・オペレータによって開発されたアプリに関する選好されるワイヤレス・アクセス、ユーザのプロファイルと合致するアプリに関する選好されるワイヤレス・アクセス、例えば、WAN帯域幅>2Mbpsである場合、WLANにメディアおよびビデオ・アプリをルーティングするためのアクセス基準、WLANに音楽およびオーディオ・アプリをルーティングするためのアクセス基準その他を示すことが可能である。
【0049】
移動体デバイスは、情報、例えば、各アプリに関して取得された属性、例えば、ソーシャル・プロファイルに基づくユーザの関心、およびプロビジョニングされたトラフィック・ステアリング規則に基づいて、移動体デバイスのルーティングの振舞いを取り入れることが可能である。例えば、メディアおよびビデオ・アプリまたは音楽およびオーディオ・アプリのトラフィックが、WLANに、またはトラフィック規則によって示されるワイヤレス・アクセスにルーティングされる。WLANに対するルーティングは、無条件であること、またはWLANが、ポリシーにおけるあるアクセス基準、例えば、BSS負荷<60%、またはバックホール帯域幅>2Mbpsその他を満たす場合に限ることが可能である。ホーム・オペレータによって開発されたアプリは、体験の良好な品質を保証するようにセルラにルーティングされる。ユーザ・プロファイルと合致するアプリの前景トラフィックは、セルラにルーティングされる一方で、ユーザ・プロファイルと合致するアプリのバックグラウンドトラフィックは、WLANにルーティングされる。ユーザ・プロファイルと合致するアプリ、例えば、医者のための医療アプリのトラフィックは、セルラ上のデータ割当て量を超えた場合、セルラにルーティングされる(そうでなければ、WLANにルーティングされる)。ホーム・オペレータによって開発されたアプリのトラフィックは、ローミングしている場合であっても、セルラ上でルーティングされる。ユーザによって代金が支払われたアプリは、バックグラウンドトラフィックを送信することを許される一方で、無料アプリは、バックグラウンドトラフィックを送信することを制限される。メディアおよびビデオ・アプリ、および/または音楽およびオーディオ・アプリは、ローミングしている場合、セルラ上でブロックされる。
【0050】
したがって、単一のトラフィック・ステアリング規則が、ネットワーク要素における冗長さのより少ないポリシー・プロビジョニング、および移動体デバイスにおけるより効率的なトラフィック・ステアリングのためにある範囲のアプリケーションに適用され得る。例えば、単一のトラフィック・ステアリング規則が、あるカテゴリ・タイプを有するすべてのアプリ、ユーザのソーシャル・プロファイルにおける情報と合致するすべてのアプリ、すべての支払い済みのアプリ、同一の開発者からのすべてのアプリその他に適用されることが可能である。このことは、AT&Tサービス社(AT&T Services,Inc.)からのアプリのトラフィックをセルラにルーティングする、またはWLANバックホール帯域幅>Xである場合に限って、メディアおよびビデオ・アプリのトラフィックをWLANにルーティングする、またはWLANチャネル利用率<Yである場合に限って、ユーザのソーシャル・プロファイルと合致するアプリのトラフィックをWLANにルーティングする、またはRSRP>−90dBmである場合に限って、「支払い済みの」アプリをセルラにルーティングする、その他などの、移動体デバイスによるよりインテリジェントなルーティング決定を可能にする。
【0051】
前述の詳細において、特定の実施形態について説明してきた。しかし、添付の特許請求の範囲に記載される本開示の範囲を逸脱することなく、様々な変形および変更が行われ得ることが、当業者には認識されよう。したがって、本明細書および図は、限定するものではなく、例示するものと見なされるべきであり、すべてのそのような変形は、本教示の範囲に含まれることが意図される。
【0052】
利益、利点、問題の解決法、ならびにいずれかの利益、利点、または解決法が生じること、またはより顕著になることをもたらし得るような要素は、いずれかのクレーム、またはすべてのクレームの肝要な、要求される、または不可欠の特徴もしくは要素と解釈されるべきではない。本発明は、本出願の係属中に行われる補正を含む添付の特許請求の範囲、ならびに発行される特許請求の範囲のすべての均等物によってのみ規定される。
【0053】
さらに、本明細書において、第1の、および第2の、一番上、および一番下などの関係を示す用語は、1つのエンティティもしくはアクションを別のエンティティもしくはアクションと区別するのにだけ使用されることが可能であり、そのようなエンティティもしくはアクションの間に実際のそのような関係もしくは順序を必ずしも要求するわけでも、暗示するわけでもない。「からなる」、「からなっている」、「有する」、「有している」、「含む」、「含んでいる」、「包含する」、「包含している」という用語、または以上の他の任意の変形は、非排他的に含むことに及ぶことを意図しており、したがって、要素のリストからなる、または要素のリストを有する、含む、包含する工程、方法、物品、または装置は、それらの要素だけを含むのではなく、そのような工程、方法、物品、または装置に明示的にリストアップされることも、固有に備わることもない他の要素を含むことも可能である。さらなる制約なしに、「1つの〜を備える」、「1つの〜を有する」、「1つの〜を包む」、「1つの〜を包含する」として記載される要素は、その要素からなる、もしくはその要素を有する、含む、包含する工程、方法、物品、または装置にさらなる同一の要素が存在することを排除しない。「ある」という用語は、特に明記しない限り、1つまたは複数として定義される。「実質的に」、「基本的に」、「約」、「およそ」という用語、または以上の他の任意の変形は、当技術分野によって理解されるところと近いものとして定義され、1つの非限定的な実施形態において、この用語は、10%内であると定義され、別の実施形態において5%内、別の実施形態において1%内、別の実施形態において0.5%内であると定義される。本明細書において使用される「結合された」という用語は、必ずしも直接にではなく、必ずしも機械的にではないものの、接続されたものとして定義される。ある様態で「構成された」デバイスまたは構造は、少なくともその様態で構成されるが、リストアップされない様態で構成されることも可能である。
【0054】
いくつかの実施形態は、マイクロプロセッサ、デジタル・シグナル・プロセッサ、カスタマイズされたプロセッサ、およびフィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)などの1つまたは複数の汎用もしくは専用のプロセッサ(または「処理デバイス」)と、本明細書において説明される方法および/または装置の機能のうちのいくつか、ほとんど、またはすべてを、いくつかの非プロセッサ回路と連携して実装するように、その1つまたは複数のプロセッサを制御する独特の記憶されたプログラム命令(ソフトウェアとファームウェアの両方を含む)からなることが可能であることが認識されよう。代替として、いくつかの機能、またはすべての機能は、記憶されたプログラム命令を有さない状態マシンによって、あるいは各機能、または機能のうちのいくつかのいくつかの組合せがカスタム・ロジックとして実装される1つもしくは複数の特定用途向け集積回路(ASIC)において実装されることも可能である。もちろん、2つのアプローチの組合せが使用されることも可能である。状態マシンとASICは共に、前述の説明、およびクレームの言葉において、本明細書で「処理デバイス」と見なされる。
【0055】
さらに、実施形態が、本明細書において説明され、主張される方法を実行するようにコンピュータ(例えば、プロセッサからなる)をプログラミングするためのコンピュータ可読コードを記憶しているコンピュータ可読記憶媒体として実装され得る。そのようなコンピュータ可読記憶媒体の例は、ハード・ディスク、CD−ROM、光ストレージ・デバイス、磁気ストレージ・デバイス、ROM(読取り専用メモリ)、PROM(プログラマブル読取り専用メモリ)、EPROM(消去可能なプログラマブル読取り専用メモリ)、EEPROM(電気的に消去可能なプログラマブル読取り専用メモリ)、およびフラッシュ・メモリを含むが、以上には限定されない。さらに、当業者は、場合により、相当な労力、ならびに例えば、利用可能な時間、現在の技術、および経済的考慮によって動機付けられる多くの設計上の選択にもかかわらず、本明細書において開示される概念および原理によって導かれるとき、最小限の実験でそのようなソフトウェア命令およびソフトウェア・プログラム、ならびにICを容易に生成することができるものと見込まれる。
【0056】
本開示の要約書は、読者が技術的開示の性質を速やかに確かめることを可能にするように与えられる。要約書は、要約書が特許請求の範囲または趣旨を解釈するのにも、限定するのにも使用されることがないという理解で提出される。さらに、前述の詳細な説明において、様々な特徴は、開示を効率化するために様々な実施形態において一緒にまとめられることが理解され得る。開示のこの方法は、主張される実施形態が、各クレームに明示的に記載されるより多くの特徴を要求するという意図を反映するものと解釈されるべきではない。むしろ、添付の特許請求の範囲が反映するとおり、発明の主題は、開示される単一の実施形態のすべての特徴に及ばないことにある。このため、添付の特許請求の範囲は、詳細な説明に援用され、各クレームはそれ自体で別個に主張される主題として成立する。
【国際調査報告】