(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2018-502795(P2018-502795A)
(43)【公表日】2018年2月1日
(54)【発明の名称】ロードキャリア及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
B65D 19/24 20060101AFI20180105BHJP
B29C 43/18 20060101ALI20180105BHJP
【FI】
B65D19/24 A
B29C43/18
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2017-550991(P2017-550991)
(86)(22)【出願日】2015年12月9日
(85)【翻訳文提出日】2017年8月14日
(86)【国際出願番号】EP2015079120
(87)【国際公開番号】WO2016096569
(87)【国際公開日】20160623
(31)【優先権主張番号】14199158.8
(32)【優先日】2014年12月19日
(33)【優先権主張国】EP
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】517213544
【氏名又は名称】フィブロイゼ エヌヴィ
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】特許業務法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ナエツ、シルヴァン
(72)【発明者】
【氏名】ガレ、ルディ
(72)【発明者】
【氏名】セルス、イェッセ
【テーマコード(参考)】
3E063
4F204
【Fターム(参考)】
3E063AA01
3E063BA05
4F204AD16
4F204FA01
4F204FB01
4F204FB11
4F204FB21
4F204FG09
4F204FN11
4F204FN15
(57)【要約】
本発明は、不織複合材料板から少なくとも一部分が作製されるロードキャリアを対象とし、前記不織複合材料板は、分解された天然繊維及び/又はガラス繊維と、プラスチック繊維とを含む。加えて、本発明は、分解された天然繊維及び/又はガラス繊維と、プラスチック繊維とを混合することと、前記混合物を不織複合材料層に熱成形することとを含む、ロードキャリアを製造するプロセスを対象とする。本発明が、箱、上面デッキ、ケース、クレートなどのあらゆる種類のロードキャリア、特にパレットに適用されることは明らかである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
不織複合材料板から少なくとも一部分が作製されるロードキャリアであって、前記不織複合材料板が、
− 分解された天然繊維及び/又はガラス繊維と、
− プラスチック繊維と
を含む、ロードキャリア。
【請求項2】
少なくとも40重量%、少なくとも50重量%、少なくとも60重量%、少なくとも80重量%、又は少なくとも90重量%の前記分解された天然繊維及び/又はガラス繊維を含む、請求項1に記載のロードキャリア。
【請求項3】
60重量%未満、50重量%未満、40重量%未満、20重量%未満、10重量%未満、又は5%未満の前記プラスチック繊維を含む、請求項1又は2に記載のロードキャリア。
【請求項4】
熱硬化物をさらに含む、請求項1から3までのいずれか一項に記載のロードキャリア。
【請求項5】
50重量%未満、25重量%未満、20重量%未満、10重量%未満、又は5%未満の前記熱硬化物を含む、請求項4に記載のロードキャリア。
【請求項6】
50から75重量%までの前記分解された天然繊維及び/又はガラス繊維と、10から40重量%までの前記プラスチック繊維と、10から40重量%までの前記熱硬化物とを含む、請求項5に記載のロードキャリア。
【請求項7】
前記不織複合材料板が二成分繊維をさらに含む、請求項1から6までのいずれか一項に記載のロードキャリア。
【請求項8】
分解された天然繊維及び/又はガラス繊維と、プラスチック繊維とを混合することと、前記混合物を不織複合材料層に熱成形することとを含む、ロードキャリアを製造するプロセス。
【請求項9】
前記熱成形することが、蒸気加熱、蒸気噴射加熱、マイクロ波加熱、又は空気加熱を含む、請求項8に記載のロードキャリアを製造するプロセス。
【請求項10】
40から90重量%までの前記分解された天然繊維及び/又はガラス繊維と、10から60重量%までの前記プラスチック繊維とが混合される、請求項8又は9に記載のロードキャリアを製造するプロセス。
【請求項11】
40から90重量%までの前記分解された天然繊維及び/又はガラス繊維と、40から5重量%までの前記プラスチック繊維と、40から5重量%までの熱硬化物が混合される、請求項8から10までのいずれか一項に記載のロードキャリアを製造するプロセス。
【請求項12】
前記混合するステップが、エアレイング、ニードルパンチング、カーディング、ウェットレイング、スパンレーシング、又はそれらの組み合わせを含む、請求項8から11までのいずれか一項に記載のロードキャリアを製造するプロセス。
【請求項13】
前記混合するステップが、ニードルパンチング若しくはスパンレーシング、又はそれらの組み合わせを含む、請求項8から12までのいずれか一項に記載のロードキャリアを製造するプロセス。
【請求項14】
前記熱成形することに続いて、前記不織複合材料層が、冷間プレス加工、熱プレス加工、又は真空成形され、それにより、単層又は多層の不織複合材料板を形成する、請求項8から13までのいずれか一項に記載のロードキャリアを製造するプロセス。
【請求項15】
複数の不織複合材料層を熱成形することと、それらをプレス加工、真空成形、糊付、又は溶接によって連結し、それにより、多層の不織複合材料板を形成することとを含む、請求項8から13までのいずれか一項に記載のロードキャリアを製造するプロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、不織複合材料板(nonwoven composite material board)から少なくとも一部分が作製されるロードキャリア(load carrier)に関する。
【0002】
加えて、本発明は、不織複合材料板から少なくとも一部分が作製されるロードキャリアを製造するプロセスに関する。
【背景技術】
【0003】
本発明との関係において、パレットは、フォークリフト、パレットジャッキ、フロントローダ、ワークセーバ(work saver)、又は他のジャッキ装置によって持ち上げられながら、物品を安定して支持する平坦な運送構造体である。パレットは、運搬及び保管の効率化を可能にするユニットロード(unit load)の構造的基盤である。
【0004】
従来のパレットは木製であるが、使用分野によっては、プラスチック、金属、紙、及びリサイクル材料で作製されることもできる。
【0005】
特に、パレットに対するリサイクル材料の使用においては、環境への影響を低減する目的で多くの試みがなされている。例えば、台湾公開特許第201113197号公報は、環境に優しいパレットを製造する方法に関し、農業廃棄物又は廃棄木材が繊維化され、古紙スラリー及び粉砕された廃棄プラスチックとブレンドされる。続いて、このブレンド物は、パレットに射出成形される。
【0006】
しかしながら、射出成形は、比較的単純な設計を比較的小さい体積で生産するには、かなり高価な技術であることが一般的に知られている。
【0007】
別の実例はベルギー特許第901742号明細書であり、産業廃棄物が、単回使用の回収できない(non−returnable)運送パレット、クレートなどを生産するために使用される。混ぜ合わされる廃棄物は、廃棄プラスチック及びファイル生産品、破損した又は使用された箱、ボビンからの廃棄厚紙(waste cardboard)、型板、不合格パレット、又は庭の剪定した枝(garden prunings)からの廃棄木材、並びにセルロース繊維であり、これらは細断され混合される。次いで、乾燥接着接合化合物(dry adhesive bonding compound)が加えられ、混合物は加熱され、プレス機に供給されパレットを生産する。
【0008】
しかしながら、明らかな欠点は、このパレットが単回使用を意図したものにすぎず、例えばパレットプールシステムにおけるような複数の使用サイクル(use cycles)に必要とされる特性を有さないという事実である。
【0009】
パレット又はロード支持装置を作成する他の実例は、上部及び底部表皮層によって囲まれた発泡体及び/又はセル状の芯の構築を記載している国際公開第2014/058665号、国際公開第2004/011337号である。さらに、米国特許出願公開第2005/040307号明細書は、プラスチックを成形(押出、射出成形など)することによって作製され、それにより、最終構造体の強度が材料のリブ構造から得られる、ロードキャリアを記載している。記載されたパレット又はロードキャリアはすべて、必要とされる機械的特質を得るために複雑な加工及び/又は複雑な構造の組立(structural build−up)を必要とする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】台湾公開特許第2011/13197号公報
【特許文献2】ベルギー特許第901742号明細書
【特許文献3】国際公開第2014/058665号
【特許文献4】国際公開第2004/011337号
【特許文献5】米国特許出願公開第2005/040307号明細書
【特許文献6】国際公開第2013/079635号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
したがって、本発明の目的は、例えばパレットプールシステムにおける多重の使用サイクル、及び重負荷用途で使用されるために必要とされる特性を有し、複雑な加工ステップが不要で、構造の組立が単純であるロードキャリア、特にパレットを提供することである。衝撃強度、膨張性、耐熱性、熱抑制性(heat retardancy)、寸法安定性、吸水性、又はラッキング強度(racking capability)は、従来のパレットと少なくとも同等であるか、又は改良され得る。
【0012】
本発明の別の目的では、従来の木製パレットの特性と同等の衝撃強度及び荷重特性を有し、大幅な軽量化を伴い、結果として運送費用を大幅に低減させるロードキャリアが提供される。
【0013】
本発明の別の目的は、リサイクル可能及び/又はリサイクル材料から作製されたロードキャリアを提供することである。
【0014】
さらに、本発明の目的は、リサイクル及びリサイクル可能材料を使用することを可能にする、ロードキャリアを製造する改良された方法を提供することである。
【0015】
さらに、本発明は、耐久性があり、再使用可能な、寸法的に安定したロードキャリアの製造において、基礎材料として、多孔性、吸湿性、粘弾性の原材料を使用することを可能にするプロセスを提供する。
【0016】
本発明のさらなる一般的な目的は、使い捨ての使用及び多重の使用(one way use as well as multiple use)、軽負荷用途及び重負荷用途に適合された、異なる品質レベル及び最終使用目的のロードキャリアの製造を可能にすることである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明は、
− 分解された(unravelled)天然繊維及び/又はガラス繊維と、
− プラスチック繊維と
を含む不織複合材料板から少なくとも一部分が作製されるロードキャリアを対象とする。
【0018】
加えて、本発明は、分解された天然繊維及び/又はガラス繊維と、プラスチック繊維とを混合することと、前記混合物を不織複合材料層に熱成形することとを含む、ロードキャリアを製造するプロセスを対象とする。
【0019】
本発明が、箱、ケース、クレート、上面デッキなどのあらゆる種類のロードキャリア、特にパレットに適用されることは明らかである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明による実施例では、不織複合材料板から少なくとも一部分が作製されるロードキャリアが提供され、前記不織複合材料板は、
− 分解された天然繊維及び/又はガラス繊維と、
− プラスチック繊維と
を含む。
【0021】
本発明との関係においては、ジュート、ヘンプ、ココヤシなどの天然原材料は、じん皮繊維開繊機(bast fibre opening machine)又は引き裂き機(tearing machine)によって処理され、繊維段階(fiber stage)まで分解される。分解された天然繊維は、じん皮繊維とも呼ばれ、数センチメートルまでの長さであり得る。分解された天然繊維は、例えばジュート、アマ、ヘンプ、サイザル麻、ココヤシ、若しくは竹、又は動物性繊維のような任意の天然繊維を含むことができる。
【0022】
代替え的には、又は分解された天然繊維と組み合わせて、ガラス繊維も使用され得る。
【0023】
本発明によるロードキャリアで使用される最も重要な種類の天然繊維は、それらの特質及び入手しやすさゆえにアマ、ヘンプ、ジュート、ケナフ、ココヤシ、及びサイザル麻である。ジュート繊維を使用することは、多くの有利性を有する。第一に、それはじん皮繊維であるので、木質様特性を有する。ジュートは、高い特異性、低密度性、加工機器に対する小さい摩耗挙動性(abrasive behaviour)、良好な寸法安定性、及び無害性を有する。この繊維は、高アスペクト比、高い強度重量比(strength to weight ratio)を有し、良好な断熱性(insulation properties)を有する。ジュートは、低コストの自然に優しい産物であり、大量に入手可能で、運送が容易である。
【0024】
本発明との関係においては、プラスチック繊維は、新たに生産された繊維であっても、又は、テキスタイル、布地、カーペット、衣類、若しくはビッグバッグ(すなわちフレキシブルコンテナ(FIBC))などのあらゆる種類の廃棄若しくはリサイクルプラスチック繊維シート材料に由来してもよい。リサイクルプラスチック繊維の場合、それらは、織られた及び不織のリサイクルプラスチック繊維材料を分解又は引き裂き、任意に、続いてすくことによって得られることができる。このプラスチック繊維材料は、例えば、ポリプロピレン繊維、ポリビニル繊維、ポリエチレン繊維、ポリエステル繊維などのような、プラスチック繊維材料の生産において使用される、織られた又は不織のあらゆる種類のプラスチックとすることができる。
【0025】
本発明によるロードキャリアは、想定される機械的特質を生成するための追加の補強材料又は構造を要することなく強度及び剛性が存在する、プラスチック母材に埋め込まれた、絡み合わされた分解された天然繊維及び/又はガラス繊維の芯を備える。改良された機械的特質は、使用される原材料及びプラスチック繊維の機械的な絡み合いから、不織の絡み合い、及び絡み合わされた構造の熱成形を通じ結果として得られる。
【0026】
本発明による実施例では、少なくとも40重量%、少なくとも50重量%、少なくとも60重量%、少なくとも80重量%、又は少なくとも90重量%の分解された天然繊維及び/又はガラス繊維を含むロードキャリアが提供される。
【0027】
本発明による別の実施例では、60重量%未満、50重量%未満、40重量%未満、20重量%未満、10重量%未満、又は5%未満のプラスチック繊維を含むロードキャリアが提供される。
【0028】
いかなる理論に束縛されるものではないが、分解された繊維を上述のように使用することは、プラスチック母材に埋め込まれた3次元網目構造を有する不織複合材料を結果としてもたらし、本発明によるロードキャリアに、例えばパレットプールシステムにおける多重の使用サイクルで使用されるために必要とされる特性を提供すると思量される。例えば、洗浄サイクル中の衝撃強度、ラッキング強度、膨張性(すなわち吸水性)、及び耐熱性は、重要な特性である。
【0029】
さらに、衝撃強度及び荷重特性は、従来の木製パレットの特性と同等となり得、大幅な軽量化を伴い、結果として運送費用を大幅に低減させる。例えば、20から25kgの重量の典型的な木製パレットは、15kg未満、又はさらには12kg未満の重量のパレットによって置き換えられ得る。
【0030】
別の利点は、これらのロードキャリアが、リサイクル可能及び/又はリサイクル材料から作製されることである。
【0031】
本発明によるロードキャリアは、熱硬化物(thermoharder)をさらに含むことができる。そのような熱硬化物は、分解された天然繊維及び/又はガラス繊維と、プラスチック繊維とのブレンド物との混合が可能なあらゆる種類の熱硬化材料とすることができる。そのような熱硬化物は、粉体状又は液体状であり得、例えば、ポリエステル系粉体、エポキシ系粉体若しくは液体、ホルムアルデヒド系粉体若しくは液体、ポリウレタン液体樹脂、本明細書に参照により組み込まれる国際公開第2013/079635号で記載されるような水ガラス系結着剤、天然及び/若しくは合成生物学的物質を含む生物学的結合剤、それらの複合体、又は、それらのポリマーを含む誘導体などである。実例は、多糖類系結合剤とすることができる。
【0032】
熱硬化物を使用することは、結果としてプラスチック繊維母材を増強させることができ、より一層耐久性、剛性が高い不織複合材料板構造の形成を促進することができる。
【0033】
本発明によるロードキャリアは、50重量%未満、25重量%未満、20重量%未満、10重量%未満、又は5%未満の前記熱硬化物を含むことができる。
【0034】
本発明の特定の実施例では、ロードキャリアは、40から90重量%までの分解された天然繊維及び/又はガラス繊維と、40から5重量%までのプラスチック繊維と、40から5重量%までの熱硬化物とを含むことができる。
【0035】
本発明の別の特定の実施例では、ロードキャリアは、50から75重量%までの分解された天然繊維及び/又はガラス繊維と、10から40重量%までのプラスチック繊維と、10から40重量%までの熱硬化物とを含むことができる。
【0036】
本発明の別の特定の実施例では、ロードキャリアは、50から75重量%までの分解された天然繊維及び/又はガラス繊維と、15から40重量%までのプラスチック繊維と、10から30重量%までの熱硬化物とを含むことができる。
【0037】
加えて、本発明のロードキャリアは、好ましくは25重量%未満、20重量%未満、10重量%未満、又は5重量%未満の二成分繊維をさらに含むことができる。
【0038】
二成分繊維は、2つの異なるポリマーから、それらを1つの紡糸口金から同時プロセスで紡糸し接合し、例えば、ポリエチレンテレフタレートの芯と、ポリプロピレンの外層とを有する繊維を結果として得ることにより製造される。
【0039】
本発明との関係においては、二成分繊維は、外層について少なくとも80℃又は少なくとも110℃、及び、芯について少なくとも140℃又は少なくとも170℃の融点を有する、2つの成分から作製され得る。
【0040】
いかなる理論に束縛されるものではないが、芯の繊維は、融点が高いために加工中に損なわれずに分解された天然繊維及び/又はガラス繊維と混合され、一方、外層はプラスチック母材の一部となる事実のため、より一層強固で剛性が高い構造が得られることができると思量される。
【0041】
加えて、本発明によるロードキャリアは、不織複合材料板から少なくとも一部分が作製され得、前記不織複合材料板は、熱成形及びプレス加工された不織複合材料の単層から作製されるか、又は、相互にプレス加工された、熱成形された不織複合材料層の多層から作製される。
【0042】
代替え的には、不織複合材料層の多層内で、いくつかの単層が代替え材料の層と交互にされてもよい。
【0043】
本発明によるロードキャリアは、1つ又は複数の側面に塗装又は他の仕上げステップのために処理された外層を有する不織複合材料板から少なくとも一部分が作製され得る。
【0044】
さらに、本発明によるロードキャリアは、1つ又は複数の側面に、例えば被覆層などの1つ又は複数の仕上げ層を有する不織複合材料板から少なくとも一部分が作製され得る。
【0045】
さらに、本発明は、分解された天然繊維及び/又はガラス繊維と、プラスチック繊維とを混合することと、前記混合物を不織複合材料層に熱成形することとを含む、ロードキャリアを製造するプロセスを提供する。
【0046】
本発明との関係においては、熱成形は、複合板形成に適する任意の種類の熱成形(例えば熱接着、熱プレス加工、成形、真空成形など)とすることができ、例えば蒸気加熱、蒸気噴射加熱、マイクロ波加熱、又は空気加熱(すなわち材料上に及び/又は材料を通して温風を吹くこと)など、熱成形中に複合材料の混合物の芯の中の温度を十分に上昇させる能力を有する任意の種類の加熱を含むことができる。
【0047】
熱成形中の複合材料の混合物の芯の中の温度は、少なくとも100℃、少なくとも120℃、又はさらには少なくとも140℃になり得る。
【0048】
本発明によるプロセスは、40から90重量%までの分解された天然繊維及び/又はガラス繊維と、10から60重量%までのプラスチック繊維とを混合することを含むことができる。
【0049】
ジュートなどの天然繊維は、多孔性、吸湿性、粘弾性の材料であるが、本発明によるプロセスは、耐久性があり、再使用可能なロードキャリアの製造において、基礎材料としてのその使用を可能にする。
【0050】
プラスチック繊維は、分解された天然繊維(又はガラス繊維)が、熱成形中に十分に溶融プラスチック(plastic melt)の中に埋め込まれるように、少なくとも100℃、少なくとも120℃、又はさらには少なくとも140℃の融点を有することができる。
【0051】
本発明の特定の実施例では、40から90重量%までの分解された天然繊維及び/又はガラス繊維と、40から5重量%までのプラスチック繊維と、40から5重量%までの熱硬化物とが混合され得る。
【0052】
本発明の別の特定の実施例では、50から75重量%までの分解された天然繊維及び/又はガラス繊維と、10から40重量%までのプラスチック繊維と、10から40重量%までの熱硬化物とが混合され得る。
【0053】
天然又はガラス繊維とプラスチック繊維とは、エアレイング(airlaying)、ニードルパンチング(needle punching)、カーディング(carding)、ウェットレイング(wet−laying)、スパンレーシング(spunlacing)、又はそれらの組み合わせなどの、繊維を混ざり合わせるのに適する任意の従来の技術によってブレンドされ得る。例えば、ニードルパンチングが使用され得、これは、数千の有刺フェルティングニードル(barbed felting needles)が繰り返し繊維の混合物に出入りすることによって、繊維の機械的なかみ合い(mechanical interlocking)又は絡み合いが達成される技術である。
【0054】
分解された天然繊維及び/若しくはガラス繊維、並びに/又はプラスチック繊維は、分解された天然繊維の長さ又は元のプラスチック繊維の長さと比べて繊維の長さを短くする目的で、任意の他の技術によって細断、切断、粉砕、又は処理されなくてもよい。
【0055】
分解された天然繊維の長さ又はガラス繊維の長さは、所望の3次元網目構造を得るために、少なくとも0.5cm、又は少なくとも0.7cmであり得、少なくとも50%は少なくとも1cm、又は少なくとも2cmである。好ましくは、繊維の長さは、少なくとも1.2cm、好ましくは少なくとも1.5cm、又はさらにより好ましくは少なくとも4cmである。
【0056】
熱硬化物は、繊維のブレンド物の中に粉体を混合するあらゆる種類の従来技術、例えば繊維層の上へのエアブロー又は散布によって、分解された天然繊維及び/又はガラス繊維、並びにプラスチック繊維と混合され得る。代替え的には、液体の熱硬化物の場合、噴霧又は浸漬が用いられ得、例えば、ニードルパンチされた材料層が、液体の熱硬化物の浴に浸漬されてもよい。
【0057】
熱成形することに続いて、不織複合材料層は、冷間プレス加工され、それにより、単層の不織複合材料板を形成することができる。冷間プレス加工は、破断する危険性を減少させるために不織複合材料板を緩めるという有利性を有し得る。代替え的には、熱プレス加工、又は真空成形も使用され得る。
【0058】
別の代替えは、熱成形のステップが、不織複合材料層を単層の不織複合材料板に即時に熱プレス加工又は真空成形することを含み得ることである。
【0059】
本発明の実施例では、ロードキャリアを製造するプロセスは、二成分繊維を繊維の混合物の中で混合することをさらに含むことができる。
【0060】
本発明の好ましい実施例では、複数の不織複合材料層を熱成形することと、それらをプレス加工、真空成形、糊付、又は溶接によって連結し、それにより、多層の不織複合材料板を形成することとを含む、ロードキャリアを製造するプロセスが提供される。代替え的には、不織複合材料層の多層内で、いくつかの単層が代替え材料の層と交互にされてもよい。
【0061】
単層又は多層の複合材料板は、次いでさらに、ロードキャリア構造に連結される複数の細長い複合材料板への鋸断又は切断に進むことができる。
【0062】
細長い複合材料板は、相互に、又は、例えばブロックパレットで使用されるようなブロック要素上に糊付又は釘止めされ得る。
【0063】
本発明によるロードキャリアを製造するプロセスは、不織複合板材料の1つ又は複数の側面上への、例えば被覆、塗装、ワックスがけなどの仕上げ処理をさらに含むことができる。
【0064】
代替え的にはそのようなプロセスは、1つ又は複数の仕上げ層を提供することと、前記1つ又は複数の仕上げ層を、不織複合板材料の1つ又は複数の側面上にプレス加工することとをさらに含むことができる。そのような仕上げ層は、例えば被覆層とすることができる。
【0065】
本発明の実施例では、
− 分解された天然繊維及び/又はガラス繊維と、プラスチック繊維と、熱硬化物の粉体とを混合することと、
− 予熱型で混合物を予熱することと、
− 予熱された繊維層を蒸気噴射オーブンの中に運び、それにより、不織複合材料層を形成することと、
− 不織複合材料層を冷間プレス加工することと、
− いくつかの不織複合材料層を相互にプレス加工し、それにより、多層の不織複合板を形成することと、
− 多層の不織複合板を細長い板に鋸断/切断することと、
− 細長い板をブロック要素上に釘止めすることと
を含む、ロードキャリアを製造する特定のプロセスが提供される。
【0066】
本発明の別の実施例では、
− 分解された天然繊維及び/又はガラス繊維と、プラスチック繊維とを、エアレイング、ニードルパンチング、カーディング、ウェットレイング、スパンレーシング、又はそれらの組み合わせによって混合し、暫定的な不織複合繊維マットを結果として得ることと、
− 熱硬化物の液体をこの複合繊維マット上に振りかける、又は熱硬化物の液体の浴の中にマットを浸漬させることと、
− 浸漬されたマットを不織複合材料層に熱プレス加工することと、
− いくつかの不織複合材料層を相互にプレス加工し、それにより、多層の不織複合板を形成することと、
− 多層の不織複合板を細長い板に鋸断/切断することと、
− 細長い板をブロック要素上に釘止めすることと
を含む、ロードキャリアを製造する代替えのプロセスが提供される。
【0067】
本発明は、使い捨ての使用及び多重の使用、軽負荷用途及び重負荷用途に適合された、異なる品質レベル及び最終使用目的のロードキャリアの製造を可能にする。品質(及び価格)レベルの違いは、原材料の混合物の違い、加工ステップの違い、及び/又はロードキャリアを生成するのに使用される複合材料板の厚さの違いによるものである。
【国際調査報告】