(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2018-505854(P2018-505854A)
(43)【公表日】2018年3月1日
(54)【発明の名称】不均一系金属触媒反応によるアルデヒドまたはケトンからのアミドおよびアミンの合成
(51)【国際特許分類】
C07C 231/02 20060101AFI20180202BHJP
C07C 233/18 20060101ALI20180202BHJP
C07C 233/20 20060101ALI20180202BHJP
C07C 233/22 20060101ALI20180202BHJP
C07C 217/58 20060101ALI20180202BHJP
C07C 209/24 20060101ALI20180202BHJP
C07C 211/27 20060101ALI20180202BHJP
C07C 211/07 20060101ALI20180202BHJP
C07C 213/02 20060101ALI20180202BHJP
C07C 227/08 20060101ALI20180202BHJP
C07C 229/38 20060101ALI20180202BHJP
C07C 229/04 20060101ALI20180202BHJP
C07C 211/29 20060101ALI20180202BHJP
C07C 211/17 20060101ALI20180202BHJP
C12P 13/02 20060101ALI20180202BHJP
C12N 9/20 20060101ALI20180202BHJP
C12N 11/08 20060101ALI20180202BHJP
C12N 9/10 20060101ALI20180202BHJP
A61K 31/165 20060101ALI20180202BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20180202BHJP
C07B 61/00 20060101ALN20180202BHJP
【FI】
C07C231/02
C07C233/18
C07C233/20
C07C233/22
C07C217/58
C07C209/24
C07C211/27
C07C211/07
C07C213/02
C07C227/08
C07C229/38
C07C229/04
C07C211/29
C07C211/17
C12P13/02
C12N9/20
C12N11/08
C12N9/10
A61K31/165
A61P43/00 111
C07B61/00 300
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】52
(21)【出願番号】特願2017-530139(P2017-530139)
(86)(22)【出願日】2015年12月15日
(85)【翻訳文提出日】2017年8月4日
(86)【国際出願番号】EP2015079869
(87)【国際公開番号】WO2016096905
(87)【国際公開日】20160623
(31)【優先権主張番号】62/091,912
(32)【優先日】2014年12月15日
(33)【優先権主張国】US
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】516351946
【氏名又は名称】オルガノフール スウェーデン エービー
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】龍華国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】コルドバ、アルマンド
(72)【発明者】
【氏名】パロ−ニエト、カーロス
(72)【発明者】
【氏名】アフェウェルキ、サムソン
【テーマコード(参考)】
4B033
4B050
4B064
4C206
4H006
4H039
【Fターム(参考)】
4B033NA27
4B033NB34
4B033NB62
4B033ND02
4B033ND20
4B033NH09
4B050CC07
4B050DD02
4B050DD04
4B050KK02
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4B050KK11
4B050LL02
4B050LL05
4B064AE02
4B064BJ06
4B064BJ20
4B064CA21
4B064CA35
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4B064CD05
4B064CD12
4B064DA10
4B064DA20
4C206AA04
4C206GA03
4C206GA28
4C206ZC41
4H006AA02
4H006AC52
4H006AC53
4H006BA25
4H006BB11
4H006BC10
4H006BD70
4H006BE20
4H006BJ50
4H006BN30
4H006BP30
4H039CA71
(57)【要約】
この発明は、不均一系金属触媒およびアミン供与体を使用した、アルデヒドまたはケトンからの、第一級アミンおよびアミドの穏やかで高効率な最初の合成に関する。カルボニルおよびアミン供与体成分間の不均一系金属触媒された最初の反応に続いて、ワンポットでの、適切なアシル化剤成分の添加が行われる。従って、本発明は、アミドの新規な触媒ワンポット3成分合成を提供する。さらに、酵素触媒反応を組み込むことは、それぞれアルデヒド基質およびケトン基質からの、環境に優しいワンポットでのアミドの共触媒合成を可能にする。この処理は、バニリンまたはバニリルアルコールからの、カプサイシンおよびその類似体の共触媒ワンポット3成分合成に適用され得る。これはまた、不斉合成にも適用され得る。本発明において、ケトンから光学的に活性なアミドを不斉合成するための、新規な共触媒還元的アミノ化/動的速度論的分割(dkr)リレーシーケンスが開示される。さらに、触媒還元的アミノ化/速度論的分割(kr)リレーシーケンスの実施は、出発ケトンとは反対の立体化学を有する、対応する光学的に活性なアミド生成物および光学活性な第一級アミン生成物を生成する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルデヒドまたはケトンを変換するための方法であって、
アルデヒドまたはケトンを提供するステップと、
前記アルデヒドまたはケトンをアミンに変換するステップと、
前記アミンをアミドに変換するステップと、
を含み、
アミンへの前記変換およびアミドへの前記変換の少なくとも一方は、不均一系金属触媒により触媒される、方法。
【請求項2】
前記アルデヒドは、式
のアルデヒドであり、式中、Rは、置換されたまたは置換されていないアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、シンナミル基、および複素環基から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ケトンは、式
のケトンであり、式中、RおよびR
1は、置換されたまたは置換されていないアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、および複素環基から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記不均一系金属触媒は、不均一系パラジウム(Pd)触媒であり、好ましくはPd(0)触媒であり、より好ましくはPd(0)−ナノ粒子触媒である、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記不均一系パラジウム触媒は、Pd0−AmP−MCF(パラジウム(0)−アミノプロピル−メソセルラ発泡物質)およびPd0−AmP−CPG(パラジウム(0)−アミノプロピル−制御細孔ガラス)から選択される、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記アルデヒドまたはケトンをアミンに変換する前記ステップは、アミン供与体および還元剤の存在下で不均一系金属触媒により触媒される、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記アミン供与体は、
ギ酸アンモニウム(HCO2NH4)またはその誘導体、および
アミン
から選択される、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記還元剤は、
ギ酸アンモニウム(HCO2NH4)またはその誘導体、
ギ酸、および
H2
から選択される、請求項6または請求項7に記載の方法。
【請求項9】
ギ酸アンモニウム(HCO2NH4)が前記アミン供与体および還元剤である、請求項6から請求項8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記アルデヒドまたはケトンをアミンに変換する前記ステップは、少なくとも22℃、好ましくは60−100℃の温度で実行され、溶媒として有機溶液が使用される、請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記アミンをアミドに変換する前記ステップは、アシル供与体の存在下で実行され、前記アシル供与体は、酸、エステル、アルキルケテン二量体、酸塩化物および無水物から選択されるアシル化剤である、請求項1から請求項10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記アミンをアミドに変換する前記ステップは、不均一系金属触媒および酵素の少なくとも一方により触媒される、請求項1から請求項11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記アルデヒドまたはケトンをアミンに変換する前記ステップは、Pd0−AmP−MCFまたはPd0−AmP−CPGによって触媒され、
前記アミンをアミドに変換する前記ステップは、アシル供与体の存在下でPd0−AmP−MCFおよび酵素により触媒される、
請求項1から請求項12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記酵素は、リパーゼおよびアミントランスアミナーゼ(ATA)から選択され、
前記リパーゼは、好ましくはリパーゼBであり、より好ましくは前記リパーゼはCALB(カンジダ・アンタークティカ由来リパーゼB)であり、リパーゼBは、任意でマクロ多孔性アニオン性樹脂に固定されており、
前記アミントランスアミナーゼは、好ましくは、ATA−117、ATA−113およびCV−ATA(クロモバクテリウム・ビオラセウムATA)から、より好ましくは(R)−選択的ATAまたは(S)−選択的ATAから選択される、
請求項1から請求項13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
前記アルデヒドまたはケトンをアミンに変換する前記ステップは、Pd0−AmP−MCFまたはPd0−AmP−CPGによって触媒され、溶媒としてメタノールまたはトルエンが使用され、
前記アミンをアミドに変換する前記ステップは、アシル供与体の存在下でPd0−AmP−MCFおよび酵素によって触媒され、前記酵素は、好ましくはリパーゼおよびATAから選択され、
溶媒としてトルエンが使用される、
請求項1から請求項14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
前記アルデヒドまたはケトンをアミンに変換する前記ステップは、Pd0−AmP−MCFまたはPd0−AmP−CPGによって触媒され、溶媒としてトルエンが使用され、
前記アミンをアミドに変換する前記ステップは、アシル供与体の存在下でPd0−AmP−MCFおよびリパーゼBによって触媒され、
溶媒としてトルエンが使用される、
請求項1から請求項15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
前記アルデヒドまたはケトンをアミンに変換する前記ステップは、ケトンまたはアルデヒドをトルエン中でギ酸アンモニウムおよびPd0−AmP−MCFまたはPd0−AmP−CPGと混合するステップ、および、続いて、少なくとも22℃の温度において少なくとも1時間にわたって、好ましくは60−100℃にて撹拌するステップを含み、前記反応は、少なくとも1時間、好ましくは1.5−7時間、より好ましくは2.5−3.5時間にわたって実行され、
前記アミンをアミドに変換する前記ステップは、
リパーゼBおよび任意で添加剤を添加するステップであって、前記添加剤は好ましくはモレキュラーシーブであり、前記モレキュラーシーブは好ましくは直径4Åを有する、添加するステップと、
アシル供与体を添加するステップであって、前記アシル供与体は好ましくは酸である、添加するステップと、
少なくとも22℃、好ましくは60−100℃の温度において少なくとも1時間、好ましくは36時間にわたって混合するステップと、
を含む、請求項1から請求項16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
前記アルデヒドまたはケトンは、構造式
のアルデヒドであり、式中、Rは、以下の置換基
のうちの1つから選択される、請求項15から請求項17のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
前記アシル供与体は、構造式
の酸であり、式中、R
1は、以下の置換基
のうちの1つから選択される、請求項15から請求項18のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
生じる生成物は、構造式
のアミドである、請求項15から請求項19のいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
生じる生成物は、それぞれ以下の構造式
を有するノニバミド、カプサイシン、またはフェニルカプサイシンである、請求項15から請求項20のいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
前記アルデヒドまたはケトンをアミンに変換する前記ステップは、Pd0−AmP−MCFによって触媒され、溶媒としてメタノールが使用され、
前記アミンをアミドに変換する前記ステップは、アシル供与体の存在下でPd0−AmP−MCFおよび酵素によって触媒され、前記酵素は、好ましくはリパーゼBであり、より好ましくは前記酵素はCALBであり、
前記アミド化ステップにおいて溶媒としてトルエンが使用される、
請求項1から請求項15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項23】
前記アルデヒドまたはケトンをアミンに変換する前記ステップは、Pd0−AmP−MCFによって触媒され、ギ酸アンモニウムが前記アミン供与体であり、メタノールが前記溶媒であり、前記反応は、少なくとも22℃、好ましくは60−100℃にて実行され、前記反応は、少なくとも1時間、好ましくは1.5−7時間、より好ましくは1.5−4.5時間にわたって実行され、
前記アミンをアミドに変換する前記ステップは、アシル供与体の存在下でPd0−AmP−MCFおよび酵素によって触媒され、前記酵素は、好ましくはリパーゼBであり、より好ましくは前記酵素はCALBであり、
前記アミド化ステップにおいて溶媒としてトルエンが使用される、
請求項1から請求項15および請求項22のいずれか1項に記載の方法。
【請求項24】
前記アルデヒドまたはケトンをアミンに変換する前記ステップは、Pd0−AmP−MCFによって触媒され、ギ酸アンモニウムが前記アミン供与体であり、メタノールが前記溶媒であり、前記反応は、少なくとも22℃、好ましくは60−100℃にて実行され、前記反応は、少なくとも1時間、好ましくは1.5−7時間、より好ましくは1.5−4.5時間にわたって実行され、
前記アミンをアミドに変換する前記ステップは、Pd0−AmP−MCFおよびリパーゼBによって触媒され、リパーゼBは好ましくはCALBであり、
前記アミド化ステップにおいて溶媒としてトルエンが使用される、
請求項1から請求項15、請求項22、および請求項23のいずれか1項に記載の方法。
【請求項25】
前記アルデヒドまたはケトンをアミンに変換する前記ステップは、ケトンまたはアルデヒドをメタノール中でギ酸アンモニウムおよびPd0−AmP−MCFと混合するステップ、および、続いて、少なくとも22℃の温度において少なくとも1時間にわたって、好ましくは60−100℃にて撹拌するステップを含み、前記反応は、少なくとも1時間、好ましくは1.5−7時間、より好ましくは1.5−4.5時間にわたって実行され、前記アルデヒドまたはケトンをアミンに変換する前記ステップは、好ましくはN2雰囲気下で実行され、
前記アミンをアミドに変換する前記ステップは、
溶媒を蒸発させるステップと、
Pd0−AmP−MCFを添加するステップと、
CALBおよび任意で添加剤を添加するステップであって、前記添加剤は、好ましくはモレキュラーシーブまたはNa2CO3であり、前記モレキュラーシーブは、好ましくは直径4Åを有し、Na2CO3は好ましくは乾燥Na2CO3である、添加するステップと、
H2雰囲気下でトルエンを添加するステップと、
H2雰囲気下でアシル供与体を添加するステップと、
H2雰囲気下で、好ましくは少なくとも1時間、より好ましくは6時間、12時間または16時間にわたって混合するステップと、
を含む、請求項1から請求項15および請求項22から請求項24のいずれか1項に記載の方法。
【請求項26】
前記アルデヒドまたはケトンをアミンに変換する前記ステップは、ケトンまたはアルデヒドをメタノール中でギ酸アンモニウムおよびPd0−AmP−MCFと混合するステップ、および、続いて、少なくとも22℃の温度において少なくとも1時間にわたって、好ましくは60−100℃にて撹拌するステップを含み、前記反応は、少なくとも1時間、好ましくは1.5−7時間、より好ましくは1.5−4.5時間にわたって実行され、前記アルデヒドまたはケトンをアミンに変換する前記ステップは、好ましくはN2雰囲気下で実行され、
前記アミンをアミドに変換する前記ステップは、
溶媒を蒸発させるステップと、
Pd0−AmP−MCFを添加するステップと、
CALBおよび添加剤を添加するステップであって、前記添加剤は、好ましくはモレキュラーシーブまたはNa2CO3であり、前記モレキュラーシーブは、好ましくは直径4Åを有し、Na2CO3は好ましくは乾燥Na2CO3である、添加するステップと、
H2雰囲気下でトルエンを添加するステップと、
H2雰囲気下でアシル供与体を添加するステップと、
H2雰囲気下で、好ましくは少なくとも1時間、より好ましくは6時間、12時間または16時間にわたって混合するステップと、
を含む、請求項1から請求項15および請求項22から請求項25のいずれか1項に記載の方法。
【請求項27】
前記アルデヒドまたはケトンをアミンに変換する前記ステップは、ケトンまたはアルデヒドをメタノール中でギ酸アンモニウムおよび1mol%のPd0−AmP−MCFと混合するステップ、および、続いて、少なくとも22℃の温度において少なくとも1時間にわたって、好ましくは60−100℃にて撹拌するステップを含み、前記反応は、少なくとも1時間、好ましくは1.5−7時間、より好ましくは1.5−4.5時間にわたって実行され、前記アルデヒドまたはケトンをアミンに変換する前記ステップは、好ましくはN2雰囲気下で実行され、
前記アミンをアミドに変換する前記ステップは、
溶媒を蒸発させるステップと、
4mol%のPd0−AmP−MCFを添加するステップと、
CALBおよびモレキュラーシーブを添加するステップであって、前記モレキュラーシーブは、好ましくは直径4Åを有する、添加するステップと、
H2雰囲気下でトルエンを添加するステップと、
H2雰囲気下でアシル供与体を添加するステップと、
H2雰囲気下で、好ましくは少なくとも1時間、より好ましくは6時間、12時間または16時間にわたって混合するステップと、
を含む、請求項1から請求項15および請求項22から請求項26のいずれか1項に記載の方法。
【請求項28】
前記アシル供与体はメトキシ酢酸エチルである、請求項1から請求項15および請求項22から請求項27のいずれか1項に記載の方法。
【請求項29】
前記アルデヒドまたはケトンは、構造式
のケトンであり、式中、Rは、H、アルコキシ、またはアルキルから選択され、生じる前記アミドが構造式
のアミドである、請求項1から請求項15および請求項22から請求項28のいずれか1項に記載の方法。
【請求項30】
前記置換基Rは同一であり、RがHまたはメトキシのいずれかである、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
それぞれのRはH、メトキシ、またはメチルから選択され、生じる前記アミドは、以下のアミド
から選択される、請求項29に記載の方法。
【請求項32】
前記ケトンをアミンに変換する前記ステップは、ケトンをメタノール中でギ酸アンモニウムおよびPd0−AmP−MCFと混合するステップ、および、続いて、少なくとも22℃の温度において少なくとも1時間にわたって、好ましくは60−100℃にて撹拌するステップを含み、前記反応は、少なくとも1時間、好ましくは1.5−7時間、より好ましくは1.5−4.5時間にわたって実行され、前記ケトンをアミンに変換する前記ステップは、好ましくはN2雰囲気下で実行され、
前記アミンをアミドに変換する前記ステップは、
溶媒を蒸発させるステップと、
DIPEAを添加するステップと、
有機溶媒を添加するステップであって、好ましくは前記有機溶媒はジクロロメタンである、添加するステップと、
アシル供与体を添加するステップであって、好ましくは前記アシル供与体はメトキシアセチルクロリドである、添加するステップと、
好ましくは少なくとも1時間、より好ましくは一晩混合するステップと、
を含む、請求項1から請求項15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項33】
前記ケトンは、
から選択される構造式
のケトンであり、
前記アミノ化ステップにおいて対応して生じる前記アミンは、
から選択される構造式
のアミンであり、
上記アミンのアミノ基は、前記アミド化ステップにおいてメトキシアセチル基によってアシル化され、それにより前記アミド化ステップにおいて生じる前記アミドは、式
のアミドである、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記アルデヒドまたはケトンをアミンに変換する前記ステップは、ケトンまたはアルデヒドをメタノール中でギ酸アンモニウムおよびPd0−AmP−MCFと混合するステップ、および、続いて、少なくとも22℃の温度において少なくとも1時間にわたって、好ましくは60−100℃にて撹拌するステップを含み、前記反応は、少なくとも1時間、好ましくは1.5−7時間、より好ましくは1.5−4.5時間にわたって、好ましくはN2雰囲気下で実行され、
前記アミンをアミドに変換する前記ステップは、
任意で混合物を氷上に置くステップと、
前記混合物にメタノールを添加するステップと、
ATAおよびアシル供与体を添加するステップと、
少なくとも1時間、より好ましくは24時間にわたって混合するステップであって、好ましくは暗所で行われる、混合するステップと、
を含む、請求項1から請求項15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項35】
前記アルデヒドまたはケトンをアミンに変換する前記ステップは、ケトンまたはアルデヒドをメタノール中でギ酸アンモニウムおよびPd0−AmP−MCFと混合するステップ、および、続いて、少なくとも22℃の温度において少なくとも1時間にわたって、好ましくは60−100℃にて撹拌するステップを含み、前記反応は、少なくとも1時間、好ましくは1.5−7時間、より好ましくは1.5−4.5時間にわたって、好ましくはN2雰囲気下で実行され、
前記アミンをアミドに変換する前記ステップは、
混合物を氷上に置くステップと、
前記混合物にメタノールを添加するステップと、
(R)−選択的ATAまたは(S)−選択的ATAを添加するステップと、
アシル供与体を添加するステップと、
少なくとも1時間、より好ましくは24時間にわたって混合するステップであって、好ましくは暗所で行われる、混合するステップと、
を含む、請求項1から請求項15および請求項34のいずれか1項に記載の方法。
【請求項36】
前記アシル供与体はピルビン酸ナトリウムである、請求項34または請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記変換はワンポット合成であり、好ましくは、前記変換は、中間体を精製することなく、ワンポットで実行される、請求項1から請求項36のいずれか1項に記載の方法。
【請求項38】
前記アルデヒドまたはケトンは、O2の存在下でアルコールをPd0−AmP−CPGと反応させることによって提供され、前記アルコールは、第一級アルコール、第二級アルコールおよびアルドールから選択され、好ましくは、前記アルコールはバニリルアルコールであり、より好ましくは、前記アルコールはリグニン由来のバニリルアルコールである、請求項1から請求項37のいずれか1項に記載の方法。
【請求項39】
アルデヒドまたはケトンを変換するための方法であって、
アルデヒドまたはケトンを提供するステップと、
前記アルデヒドまたはケトンをアミンに変換するステップと、
を含み、
アミンへの前記変換は、不均一系金属触媒によって触媒される、方法。
【請求項40】
前記アルデヒドは、式
のアルデヒドであり、式中、Rは、置換されたまたは置換されていないアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、シンナミル基、および複素環基から選択される、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記ケトンは、式
のケトンであり、式中、RおよびR
1は、置換されたまたは置換されていないアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、および複素環基から選択される、請求項39に記載の方法。
【請求項42】
前記不均一系金属触媒は、不均一系パラジウム(Pd)触媒であり、好ましくはPd(0)触媒であり、より好ましくはPd(0)−ナノ粒子触媒である、請求項39から請求項41のいずれか1項に記載の方法。
【請求項43】
前記不均一系パラジウム触媒は、Pd0−AmP−MCF(パラジウム(0)−アミノプロピル−メソセルラ発泡物質)およびPd0−AmP−CPG(パラジウム(0)−アミノプロピル−制御細孔ガラス)から選択される、請求項39から請求項42のいずれか1項に記載の方法。
【請求項44】
前記アルデヒドまたはケトンをアミンに変換する前記ステップは、アミン供与体および還元剤の存在下で不均一系金属触媒により触媒される、請求項39から請求項43のいずれか1項に記載の方法。
【請求項45】
前記アミン供与体は、
ギ酸アンモニウム(HCO2NH4)またはその誘導体、および
アミン
から選択される、請求項39から請求項44のいずれか1項に記載の方法。
【請求項46】
前記還元剤は、
ギ酸アンモニウム(HCO2NH4)またはその誘導体、
ギ酸、および
H2
から選択される、請求項39から請求項45のいずれか1項に記載の方法。
【請求項47】
ギ酸アンモニウム(HCO2NH4)が前記アミン供与体および還元剤である、請求項39から請求項46のいずれか1項に記載の方法。
【請求項48】
前記アルデヒドまたはケトンをアミンに変換する前記ステップは、少なくとも22℃、好ましくは60−100℃の温度で実行され、溶媒として有機溶液が使用される、請求項39から請求項47のいずれか1項に記載の方法。
【請求項49】
前記アルデヒドまたはケトンをアミンに変換する前記ステップは、Pd0−AmP−MCFまたはPd0−AmP−CPGによって触媒される、請求項39から請求項48のいずれか1項に記載の方法。
【請求項50】
前記アルデヒドまたはケトンをアミンに変換する前記ステップは、Pd0−AmP−MCFまたはPd0−AmP−CPGによって触媒され、溶媒としてメタノールまたはトルエンが使用される、請求項39から請求項49のいずれか1項に記載の方法。
【請求項51】
前記アルデヒドまたはケトンをアミンに変換する前記ステップは、ケトンまたはアルデヒドをトルエン中でギ酸アンモニウムおよびPd0−AmP−MCFまたはPd0−AmP−CPGと混合するステップ、および、続いて、少なくとも22℃の温度において少なくとも1時間にわたって、好ましくは60−100℃にて撹拌するステップを含み、前記反応は、少なくとも1時間、好ましくは1.5−7時間、より好ましくは2.5−3.5時間にわたって実行される、請求項39から請求項50のいずれか1項に記載の方法。
【請求項52】
前記アルデヒドまたはケトンは、構造式
のアルデヒドであり、式中、Rは、以下の置換基
のうちの1つから選択される、請求項39から請求項51のいずれか1項に記載の方法。
【請求項53】
前記アルデヒドまたはケトンをアミンに変換する前記ステップは、Pd0−AmP−MCFによって触媒され、溶媒としてメタノールが使用される、請求項39から請求項52のいずれか1項に記載の方法。
【請求項54】
前記アルデヒドまたはケトンをアミンに変換する前記ステップは、Pd0−AmP−MCFによって触媒され、ギ酸アンモニウムが前記アミン供与体であり、メタノールが前記溶媒であり、前記反応は、少なくとも22℃、好ましくは60−100℃にて実行され、前記反応は、少なくとも1時間、好ましくは1.5−7時間、より好ましくは1.5−4.5時間にわたって実行される、請求項39から請求項53のいずれか1項に記載の方法。
【請求項55】
前記アルデヒドまたはケトンをアミンに変換する前記ステップは、ケトンまたはアルデヒドをメタノール中でギ酸アンモニウムおよびPd0−AmP−MCFと混合するステップ、および、続いて、少なくとも22℃の温度において少なくとも1時間にわたって、好ましくは60−100℃にて撹拌するステップを含み、前記反応は、少なくとも1時間、好ましくは1.5−7時間、より好ましくは1.5−4.5時間にわたって実行され、前記アルデヒドまたはケトンをアミンに変換する前記ステップは、好ましくはN2雰囲気下で実行される、請求項39から請求項54のいずれか1項に記載の方法。
【請求項56】
前記ケトンは、
から選択される構造式
のケトンである、請求項39から請求項55のいずれか1項に記載の方法。
【請求項57】
前記アルデヒドまたはケトンは、O2の存在下でアルコールをPd0−AmP−CPGと反応させることによって提供され、前記アルコールは、第一級アルコール、第二級アルコールおよびアルドールから選択され、好ましくは、前記アルコールはバニリルアルコールであり、より好ましくは、前記アルコールはリグニン由来のバニリルアルコールである、請求項1から請求項56のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、不均一系金属触媒系を使用することによる、アルデヒドまたはケトンをアミンおよびアミドに変換するための環境に優しい方法に関する。本発明は、アミノ化のためのアミン供与体、およびアミド化のための適切なアシル供与体を使用することによる、アルデヒドまたはケトンのアミドへのワンポットの変換にさらに関する。触媒の3成分変換は、不斉合成にもまた使用され得る。
【背景技術】
【0002】
アミンおよびアミドは、ファインケミカルおよび医薬品の製造にとって、有用で非常に価値の高い化合物である。このような状況において、自然界および合成化学の両方において、還元的アミノ化は、カルボニル化合物からアミンを調製するための、最も有用で用途の広い変換の1つである。有機合成において、これは魅力的である。何故ならば、アルデヒドまたはケトンが、中間体のイミンまたはヒドロキシルアミンを単離する必要無く、対応する第一級または第二級アルキルアミンへと一段階で直接変換され得るからである
[1]。さらに、アルキルアミン生成物は、医薬品および農薬のための価値の高いシントンとしてのそれらの用途の広い有用性
[2]、並びに、化学工業、材質科学、およびバイオテクノロジーにおける応用
[3、4]のために重要である。
【0003】
ロイカート反応は、ホルムアミド、ギ酸アンモニウム、またはギ酸とホルムアミドによる、アルデヒドまたはケトンの還元的アミノ化のための伝統的な処理である
[5]。しかしながら、これは、いくつかの欠点(例えば、150−240℃の高温が必要)に苦しんでおり、多量のエネルギー消費および製造コストの増大、N−ホルミル誘導体の形成、第一級アミンの合成に対する低化学選択性、および長い反応時間につながる。ここで、高温に対して反応混合物の露出が長引くと、必然的に、成分の著しい熱分解につながり、その結果、生成物のより低い収率、並びにそれらの生成物の単離および精製の困難さにつながる。さらに、製造コストが増大する。従って、第一級アミンを合成するための現在の還元的アミノ化手順のほとんどは、個別のアミノ化反応と還元反応の二段階の組み合わせとして現在実行されている。これらの二段階の手順は、しばしば、伝統的なロイカート反応と同じだけの時間がかかりかねない。従って、好ましくは環境に優しい条件下で、この伝統的な反応のための速くて安価な方法に対する切実な要求があることは明らかである。
【0004】
Rh、Ru、およびIrのような遷移金属触媒が、ロイカート型還元的アミノ化において第一級アミンを合成するために使用されてきた
[6]。触媒としてのPd/Cの使用が、カルボニル基質の、対応するメチレン誘導体への還元につながることは注目に値する
[7]。しかしながら、パラジウムは、ほぼ間違いなく、最も強力で用途の広い遷移金属触媒の一つであり、様々な有機変換に対して使用されることができ、様々な不均一系担持体上で固定され得る
[8]。これはまた、結果として経済的利点および環境上の利点を伴う、高効率の再利用につながり得た。このような状況において、近年、我々は、不均一系パラジウム触媒を単純なキラルアミン共触媒と組み合わせる合成方法を開発した
[9]。
【0005】
しかしながら、上記から理解され得るように、ロイカート型の条件と不均一系パラジウム触媒を使用して、アルデヒドまたはケトンから第一級アミンを高効率で合成するための新たな選択的な方法を開発することは非常に難しいだろう(スキーム1)。考慮すべき、重要な化学選択性の問題が存在する。例えば、アルデヒド1は、所望のアミン2、ジアルキルアミン2'、アルカン3、またはアルコール4のいずれかに還元され得る。さらに、このアルデヒド基質は、オリゴマー形成し得る。または重合し得る。これは、ケトンの場合にもまた当てはまる。
スキーム1
【0006】
ワンポットの多成分反応が、生物系および化学系においては非常に重要である
[10]。これはまた、環境に優しい化学の一部分である
[10b]。不均一系触媒を含む、多触媒系を使用したこれらのタイプの反応の触媒反応が、近年開示されてきている
[11]。これに基づいて、アルデヒド、ギ酸アンモニウム、および適切なアシル供与体から出発する、アミドの直接的形成のための、新規なワンポットの3成分変換の開発が可能となり得た。ここで、インサイチュで生成されたアミンの酵素触媒による直接的アミド化を、修飾されていない酸とともに組み込むことは、魅力的であろう
[11b]。特に、天然物の全合成に向けた応用が望ましい目的である。
【0007】
例えば、ノニバミド6aおよびカプサイシン6bは、最低でも紀元前7500年から、アメリカの食餌の一部分であった、天然に生じる刺激性のアミドである(チリペッパー)。これらは、TRPV1受容体を活性化し
[12a、b]、これらによって誘起された多種多様な生理的および生物的活性が、近年報告されている
[12]。従って、カプサイシンおよびその類似体の合成は、不均一系金属触媒を使用した、アルデヒド1からの高効率の第一級アミン2の最初の合成、これに続く、最終生成物6を形成するための、塩化アシルとの反応によって実現され得た。あるいは、アミン2と様々な酸誘導体との間の酵素触媒による反応によってアミド化が成され得る。
【0008】
この技術の別の応用は、不斉合成に対するその使用である。ここでは、同一の方策および適切な条件を使用して、ケトンが、対応するキラルアミドに変換される。酵素/不均一系金属触媒によるステップは、反応条件の選択に応じて、このケトンを、不斉合成によって対応する光学活性なアミドに変換するか、または、このアミドおよび反対の絶対立体化学を有する光学活性なアミンの両方に変換するか、のいずれかであり得た。
[発明の目的]
【0009】
本発明の第1の目的は、アルデヒドおよびケトンからアミドを合成することである。
【0010】
本発明の第2の目的は、バニリンまたはバニリルアルコールおよびそれらの誘導体から出発した、カプサイシノイドの全合成である。
【0011】
本発明の第3の目的は、出発アルコールの触媒酸化によって生成されたアルデヒドまたはケトンからアミドへの、直接的なインサイチュでの変換である。
【0012】
本発明の第4の目的は、アルデヒドおよびケトンからアミンを合成することである。
【0013】
本発明のさらなる目的は、環境および健康の観点から有利な、上述の種類の方法を提供することである。
【発明の概要】
【0014】
本発明は、適切なアミン供与体および還元剤を使用して、アルデヒドまたはケトンをアミンに変換することのできる不均一系金属触媒系の使用に基づく(スキーム2に従う)。
スキーム2
【0015】
本発明の別の態様は、アシル供与体とともに組み込まれた場合に、アミン供与体と還元剤の存在下で、それぞれ、順々に、またはワンポットで、アルデヒドまたはケトンをアミドに変換することのできる不均一系金属触媒系の使用である(スキーム3に従う)。
スキーム3
【0016】
本発明の別の態様は、別の触媒系(例えば、酵素触媒)とともに組み込まれた場合に、それぞれ、順々に、またはワンポットで、アルデヒドおよびケトンをアミドに変換することのできる不均一系金属触媒系の使用である(スキーム2に従う)。
【0017】
本発明の別の態様は、他の触媒系(例えば、不均一系金属触媒、均一系触媒、および有機触媒)とともに組み込まれた場合に、それぞれ、順々に、またはワンポットで、アルコールを、それぞれ生成されたアルデヒドまたはケトンを経てアミンおよびアミドへと変換することのできる不均一系触媒系の使用である(スキーム2に従う)。
【0018】
本発明の別の態様は、不均一系金属触媒、適切なアミン供与体、還元剤、およびアシル供与体を使用した、バニリンまたはバニリルアルコールおよびそれらの誘導体から出発した、カプサイシノイドおよび類似の誘導体の合成である(スキーム3に従う)。
【0019】
本発明の別の態様は、別の触媒系(例えば、酵素触媒)とともに組み込まれた場合に、ケトンを、光学的に活性なキラルアミドに変換することのできる不均一系金属触媒系の使用である(スキーム4に従う)。
スキーム4
【0020】
本発明の別の態様は、別の触媒系(例えば、酵素触媒)とともに組み込まれた場合に、ケトンを、光学的に活性なキラルアミンおよびアミドに変換することのできる不均一系金属触媒系の使用である(スキーム5に従う)。
スキーム5
【0021】
本発明の第1の目的は、アルデヒドまたはケトンを変換するための方法であって、
−アルデヒドまたはケトンを提供するステップと、
−アルデヒドまたはケトンをアミンに変換するステップと、
−アミンをアミドに変換するステップと、
を含み、
アミンおよび/またはアミドへの変換が不均一系金属触媒により触媒される方法によって実現される。
【0022】
本発明のさらなる好ましい実施形態において、この変換はワンポット合成である。好ましくは、この変換は、中間体の精製を何ら必要とせずに、ワンポットで実行される。
【0023】
本発明の好ましい実施形態において、アルデヒドは、式
のアルデヒドであり、式中、Rは、置換されたまたは置換されていないアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、シンナミル基、および複素環基から選択される。
【0024】
本発明のさらなる好ましい実施形態において、ケトンは、式
のケトンであり、式中、RおよびR
1は、置換されたまたは置換されていないアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、および複素環基から選択される。
【0025】
本発明のさらなる好ましい実施形態において、不均一系金属触媒は、不均一系パラジウム(Pd)触媒であり、好ましくはPd(0)触媒であり、より好ましくはPd(0)−ナノ粒子触媒である。
【0026】
本発明のさらなる好ましい実施形態において、不均一系パラジウム触媒は、Pd
0−AmP−MCF(パラジウム(0)−アミノプロピル−メソセルラ発泡物質)およびPd
0−AmP−CPG(パラジウム(0)−アミノプロピル−制御細孔ガラス)から選択される。
【0027】
本発明のさらなる好ましい実施形態において、アルデヒドまたはケトンをアミンに変換するステップは、アミン供与体および還元剤の存在下で不均一系金属触媒により触媒される。
【0028】
本発明のさらなる好ましい実施形態において、アミン供与体は、
−ギ酸アンモニウム(HCO
2NH
4)またはその誘導体、および
−アミン
から選択される。
【0029】
本発明のさらなる好ましい実施形態において、還元剤は、
−ギ酸アンモニウム(HCO
2NH
4)またはその誘導体、
−ギ酸、および
−H
2
から選択される。
【0030】
本発明のさらなる好ましい実施形態において、ギ酸アンモニウム(HCO
2NH
4)がアミン供与体および還元剤である。
【0031】
本発明のさらなる好ましい実施形態において、アルデヒドまたはケトンをアミンに変換するステップは、少なくとも22℃、好ましくは60−100℃の温度で実行され、溶媒として有機溶液が使用される。
【0032】
本発明のさらなる好ましい実施形態において、アミンをアミドに変換するステップは、アシル供与体の存在下で実行され、このアシル供与体は、酸、エステル、アルキルケテン二量体、酸塩化物および無水物から選択されるアシル化剤である。
【0033】
本発明のさらなる好ましい実施形態において、アミンをアミドに変換するステップは、不均一系金属触媒および/または酵素により触媒される。
【0034】
本発明のさらなる好ましい実施形態において、アミンをアミドに変換するステップは、不均一系金属触媒および酵素により触媒される。
【0035】
本発明のさらなる好ましい実施形態において、アルデヒドまたはケトンをアミンに変換するステップは、Pd
0−AmP−MCFまたはPd
0−AmP−CPGによって触媒される。これに対し、アミンをアミドに変換するステップは、アシル供与体の存在下でPd
0−AmP−MCFおよび酵素により触媒される。
【0036】
本発明のさらなる好ましい実施形態において、酵素は、リパーゼおよびアミントランスアミナーゼ(ATA)から選択される。リパーゼは、好ましくはリパーゼBであり、より好ましくはリパーゼはCALB(カンジダ・アンタークティカ由来リパーゼB)である。アミントランスアミナーゼは、好ましくは、ATA−117、ATA−113およびCV−ATA(クロモバクテリウム・ビオラセウムATA)から選択される。
【0037】
本発明のさらなる好ましい実施形態において、酵素はリパーゼであり、好ましくはリパーゼBであり、より好ましくは、リパーゼBはCALB(カンジダ・アンタークティカ由来リパーゼB)である。
【0038】
本発明のさらなる好ましい実施形態において、リパーゼBは、マクロ多孔性アニオン性樹脂に固定されている。
【0039】
本発明のさらなる好ましい実施形態において、酵素はATAであり、好ましくは、ATA−117、ATA−113およびCV−ATA(クロモバクテリウム・ビオラセウムATA)から、より好ましくは、(R)−選択的ATAまたは(S)−選択的ATAから選択される。
【0040】
本発明のさらなる好ましい実施形態において、
−アルデヒドまたはケトンをアミンに変換するステップは、Pd
0−AmP−MCFまたはPd
0−AmP−CPGによって触媒され、溶媒としてメタノールまたはトルエンが使用され、
−アミンをアミドに変換するステップは、アシル供与体の存在下でPd
0−AmP−MCFおよび酵素によって触媒され、酵素は、好ましくはリパーゼおよびATAから選択され、
−溶媒としてトルエンが使用される。
【0041】
本発明のさらなる好ましい実施形態において、
−アルデヒドまたはケトンをアミンに変換するステップは、Pd
0−AmP−MCFまたはPd
0−AmP−CPGによって触媒され、溶媒としてトルエンが使用され、
−アミンをアミドに変換するステップは、アシル供与体の存在下でPd
0−AmP−MCFおよびリパーゼBによって触媒され、
−溶媒としてトルエンが使用される。
【0042】
本発明のさらなる好ましい実施形態において、
−アルデヒドまたはケトンをアミンに変換するステップは、ケトンまたはアルデヒドをトルエン中でギ酸アンモニウムおよびPd
0−AmP−MCFまたはPd
0−AmP−CPGと混合するステップ、および、続いて、少なくとも22℃の温度において少なくとも1時間にわたって、好ましくは60−100℃にて撹拌するステップを含み、この反応は少なくとも1時間、好ましくは1.5−7時間、より好ましくは2.5−3.5時間にわたって実行され、
−アミンをアミドに変換するステップは、
−リパーゼBおよび任意で添加剤を添加するステップであって、添加剤は好ましくはモレキュラーシーブであり、モレキュラーシーブは好ましくは直径4Åを有する、添加するステップと、
−アシル供与体を添加するステップであって、アシル供与体は好ましくは酸である、添加するステップと、
−少なくとも22℃、好ましくは60−100℃の温度において少なくとも1時間、好ましくは36時間にわたって混合するステップと、
を含む。
【0043】
本発明のさらなる好ましい実施形態において、
−アルデヒドまたはケトンをアミンに変換するステップは、Pd
0−AmP−MCFによって触媒され、溶媒としてメタノールが使用され、
−アミンをアミドに変換するステップは、アシル供与体の存在下でPd
0−AmP−MCFおよび酵素によって触媒され、酵素は、好ましくはリパーゼBであり、より好ましくは酵素はCALBであり、
−アミド化ステップにおいて溶媒としてトルエンが使用される。
【0044】
本発明のさらなる好ましい実施形態において、
−アルデヒドまたはケトンをアミンに変換するステップは、Pd
0−AmP−MCFによって触媒され、ギ酸アンモニウムがアミン供与体であり、メタノールが溶媒であり、この反応は、少なくとも22℃、好ましくは60−100℃にて実行され、この反応は、少なくとも1時間、好ましくは1.5−7時間、より好ましくは1.5−4.5時間にわたって実行され、
−アミンをアミドに変換するステップは、アシル供与体の存在下でPd
0−AmP−MCFおよび酵素によって触媒され、酵素は、好ましくはリパーゼBであり、より好ましくは酵素はCALBであり、
−アミド化ステップにおいて溶媒としてトルエンが使用される。
【0045】
本発明のさらなる好ましい実施形態において、
−アルデヒドまたはケトンをアミンに変換するステップは、Pd
0−AmP−MCFによって触媒され、ギ酸アンモニウムがアミン供与体であり、メタノールが溶媒であり、この反応は、少なくとも22℃、好ましくは60−100℃にて実行され、この反応は、少なくとも1時間、好ましくは1.5−7時間、より好ましくは1.5−4.5時間にわたって実行され、
−アミンをアミドに変換するステップは、Pd
0−AmP−MCFおよびリパーゼBによって触媒され、リパーゼBは好ましくはCALBであり、
−アミド化ステップにおいて溶媒としてトルエンが使用される。
【0046】
本発明のさらなる好ましい実施形態において、
−アルデヒドまたはケトンをアミンに変換するステップは、ケトンまたはアルデヒドをメタノール中でギ酸アンモニウムおよびPd
0−AmP−MCFと混合するステップ、および、続いて、少なくとも22℃の温度において少なくとも1時間にわたって、好ましくは60−100℃にて撹拌するステップを含み、この反応は、少なくとも1時間、好ましくは1.5−7時間、より好ましくは1.5−4.5時間にわたって実行され、アルデヒドまたはケトンをアミンに変換するステップは、好ましくはN
2雰囲気下で実行され、
−アミンをアミドに変換するステップは、
−溶媒を蒸発させるステップと、
−Pd
0−AmP−MCFを添加するステップと、
−CALBおよび任意で添加剤を添加するステップであって、添加剤は、好ましくはモレキュラーシーブまたはNa
2CO
3であり、モレキュラーシーブは、好ましくは直径4Åを有し、Na
2CO
3は好ましくは乾燥Na
2CO
3である、添加するステップと、
−H
2雰囲気下でトルエンを添加するステップと、
−H
2雰囲気下でアシル供与体を添加するステップと、
−H
2雰囲気下で、好ましくは少なくとも1時間、より好ましくは6時間、12時間または16時間にわたって混合するステップと、
を含む。
【0047】
本発明のさらなる好ましい実施形態において、
−アルデヒドまたはケトンをアミンに変換するステップは、ケトンまたはアルデヒドをメタノール中でギ酸アンモニウムおよびPd
0−AmP−MCFと混合するステップ、および、続いて、少なくとも22℃の温度において少なくとも1時間にわたって、好ましくは60−100℃にて撹拌するステップを含み、この反応は、少なくとも1時間、好ましくは1.5−7時間、より好ましくは1.5−4.5時間にわたって実行され、アルデヒドまたはケトンをアミンに変換するステップは、好ましくはN
2雰囲気下で実行され、
−アミンをアミドに変換するステップは、
−溶媒を蒸発させるステップと、
−Pd
0−AmP−MCFを添加するステップと、
−CALBおよび添加剤を添加するステップであって、添加剤は、好ましくはモレキュラーシーブまたはNa
2CO
3であり、モレキュラーシーブは、好ましくは直径4Åを有し、Na
2CO
3は好ましくは乾燥Na
2CO
3である、添加するステップと、
−H
2雰囲気下でトルエンを添加するステップと、
−H
2雰囲気下でアシル供与体を添加するステップと、
−H
2雰囲気下で、好ましくは少なくとも1時間、より好ましくは6時間、12時間または16時間にわたって混合するステップと、
を含む。
【0048】
本発明のさらなる好ましい実施形態において、
−アルデヒドまたはケトンをアミンに変換するステップは、ケトンまたはアルデヒドをメタノール中でギ酸アンモニウムおよび1mol%のPd
0−AmP−MCFと混合するステップ、および、続いて、少なくとも22℃の温度において少なくとも1時間にわたって、好ましくは60−100℃にて撹拌するステップを含み、この反応は、少なくとも1時間、好ましくは1.5−7時間、より好ましくは1.5−4.5時間にわたって実行され、アルデヒドまたはケトンをアミンに変換するステップは、好ましくはN
2雰囲気下で実行され、
−アミンをアミドに変換するステップは、
−溶媒を蒸発させるステップと、
−4mol%のPd
0−AmP−MCFを添加するステップと、
−CALBおよびモレキュラーシーブを添加するステップであって、モレキュラーシーブは、好ましくは直径4Åを有する、添加するステップと、
−H
2雰囲気下でトルエンを添加するステップと、
−H
2雰囲気下でアシル供与体を添加するステップと、
−H
2雰囲気下で、好ましくは少なくとも1時間、より好ましくは6時間、12時間または16時間にわたって混合するステップと、
を含む。
【0049】
本発明のさらなる好ましい実施形態において、アシル供与体はメトキシ酢酸エチルである。
【0050】
本発明のさらなる好ましい実施形態において、構造式
のものであり、式中、Rは、H、アルコキシ、またはアルキルから選択され、生じるアミドが構造式
のアミドである、
または、置換基Rは同一であり、RがHまたはメトキシのいずれかである。
【0051】
本発明のさらなる好ましい実施形態において、それぞれのRはH、メトキシ、またはメチルから選択され、生じるアミドは、以下のアミド
から選択される。
【0052】
本発明のさらなる好ましい実施形態において、
−ケトンをアミンに変換するステップは、ケトンをメタノール中でギ酸アンモニウムおよびPd
0−AmP−MCFと混合するステップ、および、続いて、少なくとも22℃の温度において少なくとも1時間にわたって、好ましくは60−100℃にて撹拌するステップを含み、この反応は、少なくとも1時間、好ましくは1.5−7時間、より好ましくは1.5−4.5時間にわたって実行され、ケトンをアミンに変換するステップは、好ましくはN
2雰囲気下で実行され、
−アミンをアミドに変換するステップは、
−溶媒を蒸発させるステップと、
−DIPEAを添加するステップと、
−有機溶媒を添加するステップであって、好ましくは有機溶媒はジクロロメタンである、添加するステップと、
−アシル供与体を添加するステップであって、好ましくはアシル供与体はメトキシアセチルクロリドである、添加するステップと、
−好ましくは少なくとも1時間、より好ましくは一晩混合するステップと、
を含む。
【0053】
本発明のさらなる好ましい実施形態において、ケトンは、
から選択される構造式
のケトンであり、
アミノ化ステップにおける、対応する生じるアミンは、
から選択される構造式
のアミンであり、
上記アミンのアミノ基は、アミド化ステップにおいてメトキシアセチル基によってアシル化され、それによりアミド化ステップにおいて生じるアミドは、式
のアミドである。
【0054】
本発明のさらなる好ましい実施形態において、
−アルデヒドまたはケトンをアミンに変換するステップは、ケトンまたはアルデヒドをメタノール中でギ酸アンモニウムおよびPd
0−AmP−MCFと混合するステップ、および、続いて、少なくとも22℃の温度において少なくとも1時間にわたって、好ましくは60−100℃にて撹拌するステップを含み、この反応は、少なくとも1時間、好ましくは1.5−7時間、より好ましくは1.5−4.5時間にわたって、好ましくはN
2雰囲気下で実行され、
−アミンをアミドに変換するステップは、
−任意で混合物を氷上に置くステップと、
−混合物にメタノールを添加するステップと、
−ATAおよびアシル供与体を添加するステップと、
−少なくとも1時間、より好ましくは24時間にわたって混合するステップであって、好ましくは暗所で行われる、混合するステップと、
を含む。
【0055】
本発明のさらなる好ましい実施形態において、
−アルデヒドまたはケトンをアミンに変換するステップは、ケトンまたはアルデヒドをメタノール中でギ酸アンモニウムおよびPd
0−AmP−MCFと混合するステップ、および、続いて、少なくとも22℃の温度において少なくとも1時間にわたって、好ましくは60−100℃にて撹拌するステップを含み、この反応は、少なくとも1時間、好ましくは1.5−7時間、より好ましくは1.5−4.5時間にわたって、好ましくはN
2雰囲気下で実行され、
−アミンをアミドに変換するステップは、
−混合物を氷上に置くステップと、
−混合物にメタノールを添加するステップと、
−(R)−選択的ATAまたは(S)−選択的ATAを添加するステップと、
−アシル供与体を添加するステップであって、アシル供与体は好ましくはピルビン酸ナトリウムである、添加するステップと、
−少なくとも1時間、より好ましくは24時間にわたって混合するステップであって、好ましくは暗所で行われる、混合するステップと、
を含む。
【0056】
本発明の第2の目的は、上記にて開示された好ましい変換が、構造式
のアルデヒドによって行われる場合に実現され、式中Rは、以下の置換基
のうちの1つから選択される。
【0057】
好ましい実施形態において、アシル供与体は、構造式
の酸である。
【0058】
さらなる好ましい実施形態において、R
1は、以下の置換基
のうちの1つから選択される。
【0059】
さらなる好ましい実施形態において、生じる生成物は、構造式
のアミドである。
【0060】
さらなる好ましい実施形態において、生じる生成物は、それぞれ以下の構造式
を有するノニバミド、カプサイシン、またはフェニルカプサイシンである。
【0061】
本発明の第3の目的は、アルデヒドまたはケトンが、O
2の存在下でアルコールをPd
0−AmP−CPGと反応させることによって提供され、このアルコールが第一級アルコール、第二級アルコールおよびアルドールから選択される場合に実現される。好ましくは、このアルコールはバニリルアルコールであり、より好ましくは、このアルコールはリグニン由来のバニリルアルコールである。
【0062】
本発明の第4の目的は、本発明の第1の目的の上記した好ましい実施形態に開示された、アルデヒドまたはケトンをアミンに変換するステップによって実現される。
【発明を実施するための形態】
【0063】
本発明は、アルデヒドまたはケトンをアミンまたはアミドに変換する方法に関する。この方法は、(i)アルデヒドまたはケトンを提供するステップ、(ii)このアルデヒドまたはケトンをアミンに変換するステップ、および(iii)このアミンをアミドに変換するステップを含む。アミン化合物への変換は、アミド化合物への変換と同様に、不均一系金属触媒によって触媒される。この方法の利点の1つは、これがワンポット合成であるということである。
【0064】
この変換方法において使用されるアルデヒドは、式
のアルデヒドであってよく、式中、Rは、置換されたまたは置換されていないアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、シンナミル基、および複素環基から選択される。
【0065】
使用され得るケトンは、式
のケトンであり、式中、RおよびR
1は、置換されたまたは置換されていないアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、および複素環基から選択される。
【0066】
不均一系金属触媒は、Pd(0)触媒またはPd(0)−ナノ粒子触媒のような、不均一系パラジウム(Pd)触媒であってよい。好ましい不均一系パラジウム触媒は、Pd
0−AmP−MCF(パラジウム(0)−アミノプロピル−メソセルラ発泡物質)およびPd
0−AmP−CPG(パラジウム(0)−アミノプロピル−制御細孔ガラス)である。
【0067】
アルデヒドまたはケトンのアミンへの変換は、アミン供与体および還元剤の存在下で、不均一系金属触媒によって触媒される。アミン供与体は、(i)ギ酸アンモニウム(HCO
2NH
4)またはその誘導体、もしくは(ii)アミンであることができる。還元剤は、(i)ギ酸アンモニウム(HCO
2NH
4)またはその誘導体、(ii)ギ酸、もしくは(iii)H
2から選択され得る。好ましい実施形態においては、ギ酸アンモニウムがアミン供与体であり、同じく還元剤でもある。
【0068】
アルデヒドまたはケトンをアミンに変換する反応ステップは、少なくとも22℃の温度で実行される。最良の収率は、温度が60−100℃の場合に実現される。メタノールまたはトルエンのような有機溶媒が、アミノ化ステップにおいて使用されてよい。
【0069】
このアミンをアミドに変換する反応ステップは、アシル供与体の存在下で実行される。アシル供与体は、酸、エステル、アルキルケテン二量体、酸塩化物および無水物から選択されるアシル化剤であってよい。このアミド化ステップは、不均一系金属触媒および/または酵素によって触媒されてよい。
【0070】
好ましくは、アルデヒドまたはケトンをアミンに変換するステップは、Pd
0−AmP−MCFまたはPd
0−AmP−CPGによって触媒され、これに対し、アミンをアミドに変換するステップは、アシル供与体の存在下でPd
0−AmP−MCFおよび酵素により触媒される。酵素は、リパーゼまたはアミントランスアミナーゼ(ATA)であってよい。CALB(カンジダ・アンタークティカ由来リパーゼB)のようなリパーゼBが、特に好ましい。さらに、マクロ多孔性アニオン性樹脂に固定されたリパーゼBもまた使用されてよい。アミントランスアミナーゼは、好ましくは、ATA−117、ATA−113およびCV−ATA(クロモバクテリウム・ビオラセウムATA)から選択される。さらに、(R)−選択的ATAまたは(S)−選択的ATAが、光学的に活性なキラルアミンを調製するために使用され得る。
【0071】
以下の例は、アルデヒドおよびケトンから、並びにアルコールからアミンおよびアミドを調製するための様々な方法を提供する。
【0072】
一般的な実験条件
化学薬品および溶媒は、商用の供給業者から購入したpuriss p. A.であったか、または、標準的な技術によって精製されたかのいずれかであった。市販の試薬が、さらなる精製をせずに、購入したままの状態で使用された。
【0073】
アルミニウムシートシリカゲルプレート(Fluka 60 F254)が薄層クロマトグラフィ(TLC)に使用された。化合物は、UV光(254nm)の照射によって、または、リンモリブデン酸(25g)、Ce(SO
4)
2・H
2O(10g)、濃H
2SO
4(60mL)、およびH
2O(940mL)の溶液による処理と続く加熱によって視覚化された。生成物の精製は、シリカゲル(Fluka 60、粒子サイズ0.040−0.063mm)を使用したフラッシュカラムクロマトグラフィによって実行された。
【0074】
Pd
0−AmP−MCF(8.25wt% Pd)およびPd
0−AmP−CPG(2.05wt% Pd)触媒が、以前に報告された手順に従って調製された。
【0075】
赤外(IR)スペクトルが、Thermo Fisher Nicolet 6700 FT−IR分光計に記録された。n
maxはcm
−1で示される。バンドは、ブロード(br)、強い(s)、中程度(m)、または、弱い(w)と特徴付けられている。
1H NMRスペクトルがBruker Avance(500MHz)分光計に記録された。化学シフトは、不完全な重水素取り込みから生じる溶媒共鳴を内部標準として(CDCl
3:δ 7.26ppm)テトラメチルシランからのppm単位で報告されている。データは、次のように報告されている。化学シフト、多重度(s=一重線、d=二重線、q=四重線、br=ブロード、m=多重線)、および、カップリング定数(Hz)、積分値。
13C NMRスペクトルが、完全なプロトンデカップリングを伴うBruker Avance(125.8MHzまたは100MHz)分光計に記録され、化学シフトは、内部標準(CDCl
3:δ 77.16ppm)として溶媒共鳴を伴うテトラメチルシランからのppm単位で報告されている。高分解能質量分析法が、Agilent 6520 Accurate−Mass Q−TOF LC/MS(ポジティブモード)で実行された。
【0076】
例1 − 不均一系金属触媒のスクリーニング
モデル基質としてバニリン1aを使用することによって、初期スクリーニング調査が行われた。バニリンは、再生可能資源リグニンから生成され得る。表1に示されるように、様々なパラジウム触媒の存在下で、ギ酸アンモニウム(HCO
2NH
4)がアミン供与体および還元剤として使用された。
表1 − 還元的アミノ化反応の最適化
【0077】
例えば、アルデヒド1aが、トルエン中のパラジウム(0)−アミノプロピル−メソセルラ発泡物質(Pd
0−AmP−MCF、5mol%)の存在下で、室温において、かなりの量の6aと一緒に、乏しい化学選択性で所望のアミン2aに変換された(項目1)。温度を上昇させることで、反応を著しく加速するとともに、化学選択性をアミン2aの形成に向けたものに切り替えた(項目3−5)。これは、触媒としてパラジウム(0)−アミノプロピル−制御細孔ガラス(Pd
0−AmP−CPG)を使用した場合にもまた当てはまった(項目7)。その他の商業的に入手できる不均一系および均一系Pd触媒の使用は、低い化学選択性につながった(項目9−11)。さらに、触媒として均一系Pd(PPh
3)
4を使用した同一のリレーシーケンス、または、パラジウム源無しで反応を実行することは、アミン2aを産出しなかった(出発原料のみが検出された、項目2および6)。
【0078】
スクリーニングの基本手順
Pd
0−触媒(5mol%)およびギ酸アンモニウム(37.8mg、0.6mmol、3.0当量)を含むマイクロ波バイアルに対し、固体のバニリン1a(0.2mmol、1.0当量)がN
2雰囲気下で添加された。次に、トルエン(1mL)が室温にて添加された。温度は、次いで、表1に示される温度に設定され、反応混合物はN
2雰囲気下で撹拌された。表1に示される時間の後、粗製反応混合物は、溶出液としてCHCl
3(10mL)を使用してセライトを通してろ過され、蒸発された。この粗製物質は、シリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィによって精製された。NMR収率用のNMRサンプルが、反応混合物から0.05mLのアリコートを除去し、溶出液としてCDCl
3(1.5mL)を使用してセライトを通してろ過され、メシチレンを内部標準とすることによって調製された。
【0079】
例2 − アミンの合成
例1におけるこれらの結果を手にした状態で、不均一系触媒としてPd
0−AmP−MCFまたはPd
0−AmP−CPG(6.6mol%)を使用した、様々なアルデヒドの触媒アミノ化の範囲が調査された。ギ酸アンモニウム(3当量)が、アミン供与体および還元剤として使用された。反応は、トルエン中で80℃にて実行された。結果は表2に示されている。
表2 − 調製されたアミンの例
【0080】
反応は非常に化学選択的であり、様々なアルデヒドが、対応するアミンおよびグリシン誘導体2a−2lに変換された。(収率55−93%。表2)特に、この変換は、基質として脂肪族アルデヒドが使用された場合、アミン2−形成に向けて化学特異的であった。天然物の全合成は、非常に望ましい目的である。ここで、ノニバミド3aおよびカプサイシン3bは、最低でも紀元前7500年から、アメリカの食餌の一部分であった、刺激性のアミドである(チリペッパー)。これらは、TRPV1受容体を活性化し、これらによって誘起された多種多様な生理的および生物的活性が近年報告されている。スキーム6に従うと、これらは、不均一系金属/酵素還元的アミノ化/アミド化、または好気的酸化/還元的アミノ化/アミド化シーケンスによって、構築することが可能なはずである。
スキーム6
【0081】
アミンの合成のための基本手順
Pd
0−触媒(Pd
0−AmP−MCF、13.4mg、0.01mmol、8.25wt%、5mol%)または(Pd
0−CPG、569Å、74.0mg、0.013mmol、2.05wt%、6.6mol%)およびギ酸アンモニウム(37.8mg、0.6mmol、3.0当量)を含むマイクロ波バイアルに対し、固体の1(0.2mmol、1.0当量)がN
2雰囲気下で添加された。次に、トルエン(1mL)が室温にて添加された。アルデヒド基質が液体の場合、トルエンの添加の後にこれが添加された。次いで、温度が上げられ、反応混合物は、N
2雰囲気下において、表2中に示される時間にわたって80℃にて撹拌された。生成物を精製する前に、粗製反応混合物は、溶出液としてCHCl
3(10mL)を使用してセライトを通してろ過され、蒸発された。この粗製物質は、シリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィによって精製され、対応するアミン2を生じた。NMR収率用のNMRサンプルが、反応混合物から0.05mLのアリコートを除去し、溶出液としてCDCl
3(1.5mL)を使用してセライトを通してろ過され、メシチレンを内部標準とすることによって調製された。ヘキサン−1−アミン 2d、フラン−2−イルメタンアミン 2h、およびプロパン−1−アミン 2jが、ノボザイム(Novozyme)435によって、対応するアミドへと直接アシル化され、次いで、シリカゲルカラムクロマトグラフィによって単離された(表2を参照のこと)。
【0082】
例3 − 還元的アミノ化/アミド化触媒リレー
例1におけるこれらの結果を手にした状態で、マクロ多孔性樹脂に固定された商業的に入手できるカンジダ・アンタークティカ由来リパーゼB(ノボザイム−435、CALB)を共触媒として使用した、アルデヒド1a、HCO
2NH
4、およびノナン酸4aの間のワンポットの共触媒反応が開発された。CALBは、2aをアミド化するその能力のため、触媒として選択された。ワンポットの共触媒リレーシーケンスは、Pd(0)−ナノ粒子および酵素触媒系を使用して、高い収率(74%)でノニバミド3aを生じた。しかしながら、酵素またはPd触媒のいずれかが存在しない場合、アミド3aは形成されなかった。従って、酵素およびPd−触媒は、インサイチュのアミド化ステップの間、相乗的に作用した。この共触媒ワンポットカスケード変換シーケンスの範囲、並びにカプサイシン3bおよび"フェニルカプサイシン"3cの全合成が、表3に示されるように、次に調査された。
表3 還元的アミノ化/アミド化触媒リレー
【0083】
共触媒ワンポット全合成は、非常に化学選択的であり、一段階の精製の後、対応する価値の高い3bおよび3cを、それぞれ73%および78%の全収率で生じた。さらに、相乗的不均一系Pdおよびリパーゼ−触媒によるインサイチュのアミド化ステップは、アルデヒド成分並びに機能性酸に対する芳香族置換基、複素環置換基、および脂肪族置換基を許容し、大抵は、良好な全収率から高い全収率で3a−3dを生じた(2つのインサイチュステップ)。ここで、インサイチュで生成されたアミン基質およびアミド供与体の両方に対する、明らかなCALBの基質特異性が観察された。例えば、酸4aは、n−ヘキシルアミン2dと比較して、中間体のバニリルアミン2aに対して、より良好な供与体であった(項目1および7)。長鎖アルキンが、脂肪酸4bを機能化させ、酵素に対する非常に良好な供与体であることが分かった。0.5gスケールでの1aの共触媒ワンポット還元的アミノ化/アミド化カスケード反応を実行することは、良好な収率(51%、0.5g)で3aを提供した。
【0084】
還元的アミノ化/アミド化触媒リレーの基本手順
1(0.2mmol、1.0当量)、ギ酸アンモニウム(37.8mg、0.6mmol、3.0当量)、およびPd
0−触媒(Pd
0−AmP−MCF、13.4mg、0.01mmol、8wt%、5mol%)または(Pd
0−CPG、569Å、74.0mg、0.013mmol、6.6mol%)をトルエン(1mL)中に有する溶液を含むマイクロ波バイアルが、N
2条件下、80℃にて、表3に示される時間にわたって撹拌された。その後、モレキュラーシーブ4Å、酸4(0.2mmol、1.0当量)およびリパーゼ(120mg/mmol)が反応混合物に添加され、80℃にて36時間撹拌された。粗製反応混合物は、溶出液としてCHCl
3(10mL)を使用してセライトを通してろ過され、蒸発された。この粗製物質は、シリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィによって精製され、表3に示されるように、対応するアミド3を与えた。リパーゼは、好ましくは、マクロ多孔性アニオン性樹脂に固定されたノボザイム−435である。
【0085】
大スケールの基本手順:1a(500mg、3.28mmol、1.0当量)、ギ酸アンモニウム(620mg、9.84mmol、3.0当量)、およびPd
0−AmP−MCF触媒(219.7mg、0.16mmol、8wt%、5mol%)をトルエン(16.4mL)中に有する溶液を含むフラスコが、N
2条件下、80℃にて3時間撹拌された。その後、モレキュラーシーブ4Å、酸4(3.28mmol、1.0当量)およびリパーゼ(120mg/mmol)が反応混合物に添加され、80℃にて40時間撹拌された。粗製反応混合物は、溶出液としてCHCl
3(10mL)を使用してセライトを通してろ過され、蒸発された。この粗製物質は、シリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィによって精製された。最終生成物3aが、収率51%(491mg、1.7mmol)で単離された。
【0086】
例4 − 好気的酸化/還元的アミノ化/アミド化触媒リレー
スキーム7に示されるように、アルコール基質5aから出発する、共触媒好気的酸化/還元的アミノ化/アミド化シーケンスもまた開発された。特に、アルコール5aが、多触媒系を使用して、ワンポットでノニバミド3aに変換された(収率49%)。
スキーム7
【0087】
好気的酸化/還元的アミノ化/アミド化触媒リレーの基本手順
アルコール5a(0.2mmol、1.0当量)およびPd
0−AmP−CPG(10.1mg、0.002mmol、1mol%)を乾燥トルエン(0.25mL)中に有する溶液を含むマイクロ波バイアルに対して、O
2バルーンが接続された。反応混合物を16時間にわたって80℃にて撹拌した後、HCO
2NH
4(37.8mg、0.6mmol、3.0当量)、Pd
0−AmP−MCF(10.8mg、0.008mmol、8wt%、4mol%)、およびトルエン(0.75mL)がN
2条件下で添加された。この反応混合物は、80℃にて2.5時間撹拌された。次に、モレキュラーシーブ4Å、酸4a(0.2mmol、1.0当量)およびリパーゼ(120mg/mmol)が反応混合物に添加された。これは、80℃にて40時間撹拌された。粗製反応混合物は、溶出液としてCHCl
3(10mL)を使用してセライトを通してろ過され、次に、減圧下で濃縮された。この粗製物質は、シリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィによって精製された。
【0088】
例5 − ケトンからのアミンの合成
CH
3OH(0.3mL)中のケトン(0.2mmol、1.0当量)の溶液が、ギ酸アンモニウム(126mg、2mmol、10.0当量)およびPd
0−ナノ触媒(Pd
0−AmP−MCF、2.69mg、0.002mmol、8wt%、1mol%)を含むマイクロ波バイアルに対してN
2条件下で添加され、70℃にて1−3時間にわたって撹拌された。次に、反応混合物は室温まで冷却され、飽和NaHCO
3水溶液(0.3mL)が添加された。水性層が、CH
2Cl
2によって5回抽出された(0.3×5mL)。混ぜ合わさった有機物層が無水Na
2SO
4で乾燥され、減圧下で濃縮された。この粗製物質は、シリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィによって精製され、対応するアミンを得た。
【0089】
例6 − ケトンの触媒還元的アミノ化
キラルな第一級アミンを生じるための、HCO
2NH
4を用いた不均一系Pd(0)−ナノ粒子触媒されたケトン1の還元的アミノ化が開発された。広範囲に及ぶ条件のスクリーニングは、Pd
0−AmP−MCF触媒されたアセトフェノン1mの還元的アミノ化が、トルエン中において、対応するアルコール5mを主生成物として生じたことを明らかにした。この変換が、量を低減するとともに最適化された触媒充填とともにMeOH中で実行された場合、化学選択性が2mへと切り替わった(表4)。従って、ケトン1の触媒還元的アミノ化の範囲が、この条件を使用して調査された(表4)。
表4 ケトン1基質範囲
【0090】
この触媒変換は、高い化学選択性を示し、アミン2のインサイチュでのアミド化の後、対応するラセミ体アミド3が高い収率で単離された。
【0091】
ケトンの触媒還元的アミノ化の基本手順
1(0.2mmol、1.0当量)、HCO
2NH
4(37.8mg、2mmol、10.0当量)、およびPd
0−ナノ触媒(Pd
0−AmP−MCF、2.68mg、0.002mmol、8wt%、1mol%)をMeOH(0.3mL)中に有する溶液を含むバイアルが、N
2雰囲気下、70℃にて、表4に示される時間にわたって撹拌された。次に、溶媒が蒸発され、乾燥ジクロロメタン(2.0mL)中にDIPEA(N,N−ジイソプロピルエチルアミン、0.052mL、0.3mmol、1.5当量)を有する溶液が、Arによって洗浄されたバイアルに添加され、メトキシアセチルクロリド(0.4mL、0.51mmol/mL、1当量)の添加がこれに続いた。室温で一晩撹拌した後、CH
2Cl
2(2.5mL)を用いてセライトを通して反応混合物がろ過され、溶媒は減圧下で除去された。ラセミ体のα−メトキシ−アセトアミド3が、シリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィによって、次に単離された。
【0092】
例7 − 還元的アミノ化/KR触媒リレー
例6におけるこれらの結果を手にした状態で、不均一系金属/酵素非対称リレー触媒反応の方策が試験された。不均一系金属/酵素共触媒による還元的アミノ化/krリレーシーケンスが最初に調査された(スキーム8)。
スキーム8
【0093】
ここでは、アシル供与体としてエステル7が使用された。何故ならば、これは、CALBの活性サイトにおける水素結合活性化によって、アミンのアシル化速度を向上させることが以前に示されているからである。第二級アミンのdkrに対して共触媒としてCALBと組み合わせてPd−ナノ粒子を使用することが、近年報告されている。従って、Pd−触媒の存在下での、krに代わるこのタイプの処理もまた予期することができた。この触媒リレーシーケンスはワンポットで実行され、ケトン1mおよび1nを対応するアミド(R)−3mおよび(R)−3nに変換し、それぞれ、97%および92%の鏡像体過剰率で全体の単離された収率は36%および25%であった。ケトン1mの>76%が2mに変換されたのに対し、これは、次に、共触媒アミド化によって、およそ50%でアミド(R)−3mに変換された。従って、触媒リレーシーケンスの最終変換は速度論的分割ステップに従って機能した。Pd
0−AmP−MCF触媒の存在は、アミド化が起きるのに必須であった。何故ならば、上記にて記載されたように、今回もまた、Pd
0−AmP−MCFが共触媒として作用し、過剰なギ酸をH
2、CO
2、およびH
2Oに変換したからである。
【0094】
還元的アミノ化/KR触媒リレーの基本手順
1(0.2mmol、1.0当量)、HCO
2NH
4(37.8mg、2mmol、10.0当量)、およびPd
0−ナノ触媒(Pd
0−AmP−MCF、2.68mg、0.002mmol、8wt%、1mol%)をMeOH(0.3mL)中に有する溶液を含むバイアルが、N
2雰囲気下、70℃にて、表4に示される時間にわたって撹拌された。次に、溶媒が蒸発され、Pd
0−AmP−MCF(5.4mg、0.008mmol、8wt%、2mol%)、ノボザイム−435(50mg/mmol)、およびモレキュラーシーブ(4Å、100mg)が、アミン生成物を有するバイアルに添加された。このバイアルは、3回排気され、H
2で再充填された。乾燥トルエン(0.6mL)がこのバイアルに添加され、この混合物が70℃に加熱され、メトキシ酢酸エチル(47μL、0.4mmol)の添加がこれに続き、6時間撹拌された。次に、粗製反応混合物は、溶出液としてCHCl
3(10mL)を使用してセライトを通してろ過され、蒸発された。この粗製物質は、シリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィによって精製された。
【0095】
例8 − 還元的アミノ化/DKR触媒リレー
例7におけるこれらの結果を手にした状態で、不均一系金属/酵素共触媒による還元的アミノ化/dkrリレーシーケンスが開発された(スキーム9)。H
2ガスの添加は、動的速度論的分割ステップの間にアミン2のラセミ化を促進し得ることが文献から知られている。従って、我々は、2への触媒還元的アミノ化が完了した後で、Pd触媒充填並びに添加されるH
2を増大させた(スキーム9)。この共触媒反応シーケンスは、ケトン1から、高い鏡像体過剰率を有し、良好な全収率で対応するアミド(R)−3を形成した。
スキーム9 (a)1から単離された全収率。(b)12時間。(c)モレキュラーシーブ(4Å)の代わりにNa
2CO
3。20時間。(d)16時間。
【0096】
還元的アミノ化/DKR触媒リレー
1(0.2mmol、1.0当量)、HCO
2NH
4(37.8mg、2mmol、10.0当量)、およびPd
0−ナノ触媒(Pd
0−AmP−MCF、2.68mg、0.002mmol、8wt%、1mol%)をMeOH(0.3mL)中に有する溶液を含むバイアルが、N
2雰囲気下、70℃にて、表4に示される時間にわたって撹拌された。次に、溶媒が蒸発され、Pd
0−ナノ触媒(Pd
0−AmP−MCF、10.72mg、0.008mmol、8wt%、4mol%)、ノボザイム−435(50mg/mmol)、および添加剤(モレキュラーシーブ、4Å(100mg)または乾燥Na
2CO
3(20mg))が、アミン生成物を有するバイアルに添加された。このバイアルは、3回排気され、H
2で再充填された。乾燥トルエン(0.6mL)がこのバイアルに添加され、H
2を含むバルーンがバイアルに接続された。混合物は70℃に加熱され、続いて、メトキシ酢酸エチル(47μL、0.4mmol)が添加され、このスキームに示される時間にわたって撹拌された。次に、粗製反応混合物は、溶出液としてCHCl
3(10mL)を使用してセライトを通してろ過され、蒸発された。この粗製物質は、シリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィによって精製された。
【0097】
例9 − 還元的アミノ化/KR触媒リレー
触媒としてPd
0−AmP−MCFおよびトランスアミナーゼ(ATA、EC2.6.1.18)の組み合わせを使用した、不均一系金属/酵素共触媒による還元的アミノ化/速度論的分割リレーシーケンスもまた開発された(スキーム10)。ワンポットの触媒リレーシーケンスが達成され、ケトン1およびギ酸アンモニウムから、対応するアミン(S)−2または(R)−2が、それぞれ高い鏡像体過剰率で形成された。
スキーム10 (a)ATA−117が使用された。(b)ATA−113が使用された。(c)クロモバクテリウム・ビオラセウム(CV−ATA)が使用された。(d)キラル相HPLC分析に基づいた、反応したケトンに基づく収率。HEPES(50mM)溶液が使用された。
【0098】
還元的アミノ化/KR触媒リレー
1(0.2mmol、1.0当量)、HCO
2NH
4(37.8mg、2mmol、10.0当量)、およびPd
0−ナノ触媒(Pd
0−AmP−MCF、2.68mg、0.002mmol、8wt%、1mol%)をMeOH(0.3mL)中に有する溶液を含むバイアルが、N
2雰囲気下、70℃にて、表4に示される時間にわたって撹拌された。次に、このバイアルは氷上に置かれ、メタノール(0.367mL)が添加された。続いて、アミントランスアミナーゼ(ATA)および2−5当量のピルビン酸ナトリウム(1当量=0.2mmol、22mg)を含む6mLの緩衝水溶液(50mMのHEPES、pH8.2)が添加された。これらの管は、オービタルシェーカー上で穏やかに混合しながら、室温にて24時間、暗所に置かれた。HPLC分析によって鏡像体過剰率(ee)が決定された(三重サンプル)。
【0099】
例10 − Pdナノ粒子の再利用のための手順(表5−7)
1dまたは1a(0.2mmol、1.0当量)、ギ酸アンモニウム(37.8mg、0.6mmol、3.0当量)、およびPd
0−触媒(Pd
0−CPG、569Å、74.0mg、0.013mmol、6.6mol%)をトルエン中に有する溶液を含むマイクロ波バイアルが、80℃にて撹拌された。次に、反応混合物は遠心分離バイアルに移され、CH
2Cl
2(8mL)が添加され、遠心分離の後、上澄み液が除去され、触媒がCH
2Cl
2(8mL)で3回洗浄された。その後、触媒は真空下で乾燥された。
表5 2d合成のためのPd
0−AmP−CPGの再利用調査
表6 2d合成のためのPd
0−AmP−MCFの再利用調査。
表7 2aの合成のためのPd
0−AmP−CPGの再利用調査
【0100】
例11 − 反応混合物(中間体)のHRMS分析
基本手順:反応は、1aと2aとの間のいずれかで実行された。80℃にて20分間撹拌した後、アリコート(20μL)が、シリンジを使用して反応混合物から除去され、CH
3CN/H
2O(70/30、v/v)の混合物1.0mLに溶解され、HRMSによって直接分析された。LC−HRMS条件:ZORBX Eclipse Plus C18、2.1×100mm、1.8−マイクロカラム、移動相:CH
3CN/H
2O(70/30、v/v)、0.3mL/分、230nm。MS:Dual ESIイオン源、ポジティブモード、65eV。HRMS分析によって中間体Iが確認された。
スキーム11
【0101】
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【手続補正書】
【提出日】2017年9月27日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルデヒドまたはケトンを変換するための方法であって、
アルデヒドまたはケトンを提供するステップと、
前記アルデヒドまたはケトンをアミンに変換するステップと、
前記アミンをアミドに変換するアミド化ステップと、
を含み、
アミンへの前記変換およびアミドへの前記変換の少なくとも一方は、不均一系金属触媒により触媒される、方法。
【請求項2】
前記アルデヒドは、式
のアルデヒドであり、式中、Rは、置換されたまたは置換されていないアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、シンナミル基、および複素環基から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ケトンは、式
のケトンであり、式中、RおよびR
1は、置換されたまたは置換されていないアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、および複素環基から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記不均一系金属触媒は、不均一系パラジウム(Pd)触媒である、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記不均一系金属触媒は、Pd0−AmP−MCF(パラジウム(0)−アミノプロピル−メソセルラ発泡物質)およびPd0−AmP−CPG(パラジウム(0)−アミノプロピル−制御細孔ガラス)から選択される、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記アルデヒドまたはケトンをアミンに変換する前記ステップは、アミン供与体および還元剤の存在下で不均一系金属触媒により触媒される、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記アミン供与体は、
ギ酸アンモニウム(HCO2NH4)またはその誘導体、および
アミン
から選択される、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記還元剤は、
ギ酸アンモニウム(HCO2NH4)またはその誘導体、
ギ酸、および
H2
から選択される、請求項6または請求項7に記載の方法。
【請求項9】
ギ酸アンモニウム(HCO2NH4)が前記アミン供与体および還元剤である、請求項6から請求項8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記アルデヒドまたはケトンをアミンに変換する前記ステップは、少なくとも22℃の温度で実行され、溶媒として有機溶液が使用される、請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記アミンをアミドに変換する前記アミド化ステップは、アシル供与体の存在下で実行され、前記アシル供与体は、酸、エステル、アルキルケテン二量体、酸塩化物および無水物から選択されるアシル化剤である、請求項1から請求項10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記アミンをアミドに変換する前記アミド化ステップは、不均一系金属触媒および酵素の少なくとも一方により触媒される、請求項1から請求項11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記アルデヒドまたはケトンをアミンに変換する前記ステップは、Pd0−AmP−MCFまたはPd0−AmP−CPGによって触媒され、
前記アミンをアミドに変換する前記アミド化ステップは、アシル供与体の存在下でPd0−AmP−MCFおよび酵素により触媒される、
請求項1から請求項12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記酵素は、リパーゼおよびアミントランスアミナーゼ(ATA)から選択され、
前記リパーゼはリパーゼBであり、
前記アミントランスアミナーゼは、ATA−117、ATA−113およびCV−ATA(クロモバクテリウム・ビオラセウムATA)から選択される、
請求項12または請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記アルデヒドまたはケトンをアミンに変換する前記ステップは、Pd0−AmP−MCFまたはPd0−AmP−CPGによって触媒され、溶媒としてメタノールまたはトルエンが使用され、
前記アミンをアミドに変換する前記アミド化ステップは、アシル供与体の存在下でPd0−AmP−MCFおよび酵素によって触媒され、前記酵素はリパーゼおよびATAから選択され、
溶媒としてトルエンが使用される、
請求項1から請求項14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
前記アルデヒドまたはケトンをアミンに変換する前記ステップは、Pd0−AmP−MCFまたはPd0−AmP−CPGによって触媒され、溶媒としてトルエンが使用され、
前記アミンをアミドに変換する前記アミド化ステップは、アシル供与体の存在下でPd0−AmP−MCFおよびリパーゼBによって触媒され、
溶媒としてトルエンが使用される、
請求項1から請求項15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
前記アルデヒドまたはケトンをアミンに変換する前記ステップは、ケトンまたはアルデヒドをトルエン中でギ酸アンモニウムおよびPd0−AmP−MCFまたはPd0−AmP−CPGと混合するステップ、および、続いて、少なくとも22℃の温度において少なくとも1時間にわたって撹拌するステップを含み、反応は、少なくとも1時間にわたって実行され、
前記アミンをアミドに変換する前記アミド化ステップは、
リパーゼBを添加するステップと、
アシル供与体を添加するステップであって、前記アシル供与体は酸である、添加するステップと、
少なくとも22℃の温度において少なくとも1時間にわたって混合するステップと、
を含む、請求項1から請求項16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
前記アルデヒドまたはケトンは、構造式
のアルデヒドであり、式中、Rは、以下の置換基
のうちの1つから選択される、請求項15から請求項17のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
前記アシル供与体は、構造式
の酸であり、式中、R
1は、以下の置換基
のうちの1つから選択される、請求項15から請求項18のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
生じる生成物は、構造式
のアミドである、請求項15から請求項19のいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
生じる生成物は、それぞれ以下の構造式
を有するノニバミド、カプサイシン、またはフェニルカプサイシンである、請求項15から請求項20のいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
前記アルデヒドまたはケトンをアミンに変換する前記ステップは、Pd0−AmP−MCFによって触媒され、溶媒としてメタノールが使用され、
前記アミンをアミドに変換する前記アミド化ステップは、アシル供与体の存在下でPd0−AmP−MCFおよび酵素によって触媒され、前記酵素はリパーゼBであり、
前記アミド化ステップにおいて溶媒としてトルエンが使用される、
請求項1から請求項15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項23】
前記アルデヒドまたはケトンをアミンに変換する前記ステップは、Pd0−AmP−MCFによって触媒され、アミン供与体としてギ酸アンモニウムが使用され、溶媒としてメタノールが使用され、反応は、少なくとも22℃にて実行され、前記反応は、少なくとも1時間にわたって実行され、
前記アミンをアミドに変換する前記アミド化ステップは、アシル供与体の存在下でPd0−AmP−MCFおよび酵素によって触媒され、前記酵素はリパーゼBであり、
前記アミド化ステップにおいて溶媒としてトルエンが使用される、
請求項1から請求項15および請求項22のいずれか1項に記載の方法。
【請求項24】
前記アルデヒドまたはケトンをアミンに変換する前記ステップは、Pd0−AmP−MCFによって触媒され、アミン供与体としてギ酸アンモニウムが使用され、溶媒としてメタノールが使用され、反応は、少なくとも22℃にて実行され、前記反応は、少なくとも1時間にわたって実行され、
前記アミンをアミドに変換する前記アミド化ステップは、Pd0−AmP−MCFおよびリパーゼBによって触媒され、リパーゼBはCALBであり、
前記アミド化ステップにおいて溶媒としてトルエンが使用される、
請求項1から請求項15、請求項22、および請求項23のいずれか1項に記載の方法。
【請求項25】
前記アルデヒドまたはケトンをアミンに変換する前記ステップは、ケトンまたはアルデヒドをメタノール中でギ酸アンモニウムおよびPd0−AmP−MCFと混合するステップ、および、続いて、少なくとも22℃の温度において少なくとも1時間にわたって撹拌するステップを含み、反応は、少なくとも1時間にわたって実行され、前記アルデヒドまたはケトンをアミンに変換する前記ステップはN2雰囲気下で実行され、
前記アミンをアミドに変換する前記アミド化ステップは、
溶媒を蒸発させるステップと、
Pd0−AmP−MCFを添加するステップと、
CALBを添加するステップと、
H2雰囲気下でトルエンを添加するステップと、
H2雰囲気下でアシル供与体を添加するステップと、
H2雰囲気下で少なくとも1時間にわたって混合するステップと、
を含む、請求項1から請求項15および請求項22から請求項24のいずれか1項に記載の方法。
【請求項26】
前記アルデヒドまたはケトンをアミンに変換する前記ステップは、ケトンまたはアルデヒドをメタノール中でギ酸アンモニウムおよびPd0−AmP−MCFと混合するステップ、および、続いて、少なくとも22℃の温度において少なくとも1時間にわたって撹拌するステップを含み、反応は、少なくとも1時間にわたって実行され、前記アルデヒドまたはケトンをアミンに変換する前記ステップはN2雰囲気下で実行され、
前記アミンをアミドに変換する前記アミド化ステップは、
溶媒を蒸発させるステップと、
Pd0−AmP−MCFを添加するステップと、
CALBおよび添加剤を添加するステップであって、前記添加剤はモレキュラーシーブまたはNa2CO3であり、前記モレキュラーシーブは直径4Åを有し、Na2CO3は乾燥Na2CO3である、添加するステップと、
H2雰囲気下でトルエンを添加するステップと、
H2雰囲気下でアシル供与体を添加するステップと、
H2雰囲気下で少なくとも1時間にわたって混合するステップと、
を含む、請求項1から請求項15および請求項22から請求項25のいずれか1項に記載の方法。
【請求項27】
前記アルデヒドまたはケトンをアミンに変換する前記ステップは、ケトンまたはアルデヒドをメタノール中でギ酸アンモニウムおよび1mol%のPd0−AmP−MCFと混合するステップ、および、続いて、少なくとも22℃の温度において少なくとも1時間にわたって撹拌するステップを含み、反応は、少なくとも1時間にわたって実行され、前記アルデヒドまたはケトンをアミンに変換する前記ステップはN2雰囲気下で実行され、
前記アミンをアミドに変換する前記アミド化ステップは、
溶媒を蒸発させるステップと、
4mol%のPd0−AmP−MCFを添加するステップと、
CALBおよびモレキュラーシーブを添加するステップであって、前記モレキュラーシーブは直径4Åを有する、添加するステップと、
H2雰囲気下でトルエンを添加するステップと、
H2雰囲気下でアシル供与体を添加するステップと、
H2雰囲気下で少なくとも1時間にわたって混合するステップと、
を含む、請求項1から請求項15および請求項22から請求項26のいずれか1項に記載の方法。
【請求項28】
アシル供与体としてメトキシ酢酸エチルが使用される、請求項1から請求項15および請求項22から請求項27のいずれか1項に記載の方法。
【請求項29】
前記アルデヒドまたはケトンは、構造式
のケトンであり、式中、
置換基Rは、H、アルコキシ、またはアルキルから選択され、生じる前記アミドが構造式
のアミドである、請求項1から請求項15および請求項22から請求項28のいずれか1項に記載の方法。
【請求項30】
前記置換基Rは同一であり、前記置換基RがHまたはメトキシのいずれかである、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
それぞれの
置換基RはH、メトキシ、またはメチルから選択され、生じる前記アミドは、以下のアミド
から選択される、請求項29に記載の方法。
【請求項32】
前記ケトンをアミンに変換する前記ステップは、ケトンをメタノール中でギ酸アンモニウムおよびPd0−AmP−MCFと混合するステップ、および、続いて、少なくとも22℃の温度において少なくとも1時間にわたって撹拌するステップを含み、反応は、少なくとも1時間にわたって実行され、前記ケトンをアミンに変換する前記ステップはN2雰囲気下で実行され、
前記アミンをアミドに変換する前記アミド化ステップは、
溶媒を蒸発させるステップと、
DIPEAを添加するステップと、
有機溶媒を添加するステップであって、前記有機溶媒はジクロロメタンである、添加するステップと、
アシル供与体を添加するステップであって、前記アシル供与体はメトキシアセチルクロリドである、添加するステップと、
少なくとも1時間混合するステップと、
を含む、請求項1から請求項15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項33】
前記ケトンは、
から選択される構造式
のケトンであり、
前記ケトンをアミンに変換する前
記ステップにおいて対応して生じる前記アミンは、
から選択される構造式
のアミンであり、
上記アミンのアミノ基は、前記アミド化ステップにおいてメトキシアセチル基によってアシル化され、それにより前記アミド化ステップにおいて生じる前記アミドは、式
のアミドである、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記アルデヒドまたはケトンをアミンに変換する前記ステップは、ケトンまたはアルデヒドをメタノール中でギ酸アンモニウムおよびPd0−AmP−MCFと混合するステップ、および、続いて、少なくとも22℃の温度において少なくとも1時間にわたって撹拌するステップを含み、反応は、少なくとも1時間にわたってN2雰囲気下で実行され、
前記アミンをアミドに変換する前記アミド化ステップは、
混合物にメタノールを添加するステップと、
ATAおよびアシル供与体を添加するステップと、
少なくとも1時間にわたって混合するステップであって、暗所で行われる、混合するステップと、
を含む、請求項1から請求項15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項35】
前記アルデヒドまたはケトンをアミンに変換する前記ステップは、ケトンまたはアルデヒドをメタノール中でギ酸アンモニウムおよびPd0−AmP−MCFと混合するステップ、および、続いて、少なくとも22℃の温度において少なくとも1時間にわたって撹拌するステップを含み、反応は、少なくとも1時間にわたってN2雰囲気下で実行され、
前記アミンをアミドに変換する前記アミド化ステップは、
混合物を氷上に置くステップと、
前記混合物にメタノールを添加するステップと、
(R)−選択的ATAまたは(S)−選択的ATAを添加するステップと、
アシル供与体を添加するステップと、
少なくとも1時間にわたって混合するステップであって、暗所で行われる、混合するステップと、
を含む、請求項1から請求項15および請求項34のいずれか1項に記載の方法。
【請求項36】
前記アシル供与体はピルビン酸ナトリウムである、請求項34または請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記変換はワンポット合成であり、前記変換は、中間体を精製することなく、ワンポットで実行される、請求項1から請求項36のいずれか1項に記載の方法。
【請求項38】
前記アルデヒドまたはケトンは、O2の存在下でアルコールをPd0−AmP−CPGと反応させることによって提供され、前記アルコールは、第一級アルコール、第二級アルコールおよびアルドールから選択され、前記アルコールはバニリルアルコールである、請求項1から請求項37のいずれか1項に記載の方法。
【請求項39】
アルデヒドまたはケトンを変換するための方法であって、
アルデヒドまたはケトンを提供するステップと、
前記アルデヒドまたはケトンをアミンに変換するステップと、
を含み、
アミンへの前記変換は、不均一系金属触媒によって触媒される、方法。
【請求項40】
前記アルデヒドは、式
のアルデヒドであり、式中、Rは、置換されたまたは置換されていないアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、シンナミル基、および複素環基から選択される、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記ケトンは、式
のケトンであり、式中、RおよびR
1は、置換されたまたは置換されていないアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、および複素環基から選択される、請求項39に記載の方法。
【請求項42】
前記不均一系金属触媒は、不均一系パラジウム(Pd)触媒である、請求項39から請求項41のいずれか1項に記載の方法。
【請求項43】
前記不均一系金属触媒は、Pd0−AmP−MCF(パラジウム(0)−アミノプロピル−メソセルラ発泡物質)およびPd0−AmP−CPG(パラジウム(0)−アミノプロピル−制御細孔ガラス)から選択される、請求項39から請求項42のいずれか1項に記載の方法。
【請求項44】
前記アルデヒドまたはケトンをアミンに変換する前記ステップは、アミン供与体および還元剤の存在下で不均一系金属触媒により触媒される、請求項39から請求項43のいずれか1項に記載の方法。
【請求項45】
前記アミン供与体は、
ギ酸アンモニウム(HCO2NH4)またはその誘導体、および
アミン
から選択される、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
前記還元剤は、
ギ酸アンモニウム(HCO2NH4)またはその誘導体、
ギ酸、および
H2
から選択される、請求項44または請求項45に記載の方法。
【請求項47】
ギ酸アンモニウム(HCO2NH4)が前記アミン供与体および還元剤である、請求項44から請求項46のいずれか1項に記載の方法。
【請求項48】
前記アルデヒドまたはケトンをアミンに変換する前記ステップは、少なくとも22℃の温度で実行され、溶媒として有機溶液が使用される、請求項39から請求項47のいずれか1項に記載の方法。
【請求項49】
前記アルデヒドまたはケトンをアミンに変換する前記ステップは、Pd0−AmP−MCFまたはPd0−AmP−CPGによって触媒される、請求項39から請求項48のいずれか1項に記載の方法。
【請求項50】
前記アルデヒドまたはケトンをアミンに変換する前記ステップは、Pd0−AmP−MCFまたはPd0−AmP−CPGによって触媒され、溶媒としてメタノールまたはトルエンが使用される、請求項39から請求項49のいずれか1項に記載の方法。
【請求項51】
前記アルデヒドまたはケトンをアミンに変換する前記ステップは、ケトンまたはアルデヒドをトルエン中でギ酸アンモニウムおよびPd0−AmP−MCFまたはPd0−AmP−CPGと混合するステップ、および、続いて、少なくとも22℃の温度において少なくとも1時間にわたって撹拌するステップを含み、反応は、少なくとも1時間にわたって実行される、請求項39から請求項50のいずれか1項に記載の方法。
【請求項52】
前記アルデヒドまたはケトンは、構造式
のアルデヒドであり、式中、Rは、以下の置換基
のうちの1つから選択される、請求項39から請求項51のいずれか1項に記載の方法。
【請求項53】
前記アルデヒドまたはケトンをアミンに変換する前記ステップは、Pd0−AmP−MCFによって触媒され、溶媒としてメタノールが使用される、請求項39から請求項52のいずれか1項に記載の方法。
【請求項54】
前記アルデヒドまたはケトンをアミンに変換する前記ステップは、Pd0−AmP−MCFによって触媒され、アミン供与体としてギ酸アンモニウムが使用され、溶媒としてメタノールが使用され、反応は、少なくとも22℃にて実行され、前記反応は、少なくとも1時間にわたって実行される、請求項39から請求項53のいずれか1項に記載の方法。
【請求項55】
前記アルデヒドまたはケトンをアミンに変換する前記ステップは、ケトンまたはアルデヒドをメタノール中でギ酸アンモニウムおよびPd0−AmP−MCFと混合するステップ、および、続いて、少なくとも22℃の温度において少なくとも1時間にわたって撹拌するステップを含み、反応は、少なくとも1時間にわたって実行され、前記アルデヒドまたはケトンをアミンに変換する前記ステップはN2雰囲気下で実行される、請求項39から請求項54のいずれか1項に記載の方法。
【請求項56】
前記ケトンは、
から選択される構造式
のケトンである、請求項39から請求項55のいずれか1項に記載の方法。
【請求項57】
前記アルデヒドまたはケトンは、O2の存在下でアルコールをPd0−AmP−CPGと反応させることによって提供され、前記アルコールは、第一級アルコール、第二級アルコールおよびアルドールから選択され、前記アルコールはバニリルアルコールである、請求項39から請求項56のいずれか1項に記載の方法。
【国際調査報告】