特表2018-507415(P2018-507415A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特表2018-507415可撓性容器の完全性試験のためのシステム及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2018-507415(P2018-507415A)
(43)【公表日】2018年3月15日
(54)【発明の名称】可撓性容器の完全性試験のためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
   G01M 3/26 20060101AFI20180216BHJP
【FI】
   G01M3/26 L
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2017-546697(P2017-546697)
(86)(22)【出願日】2016年1月12日
(85)【翻訳文提出日】2017年11月1日
(86)【国際出願番号】US2016013057
(87)【国際公開番号】WO2016140736
(87)【国際公開日】20160909
(31)【優先権主張番号】62/127,520
(32)【優先日】2015年3月3日
(33)【優先権主張国】US
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】504115013
【氏名又は名称】イー・エム・デイー・ミリポア・コーポレイシヨン
(74)【代理人】
【識別番号】110000523
【氏名又は名称】アクシス国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】スティーブン・プルー
(72)【発明者】
【氏名】ジェフリー・ピアソンズ
【テーマコード(参考)】
2G067
【Fターム(参考)】
2G067AA47
2G067BB02
2G067BB25
2G067CC04
2G067DD05
2G067EE05
2G067EE09
(57)【要約】
可撓性容器の完全性を測定するためのシステム及び方法が開示される。当該システムは、低質量流量変換器を使用して可撓性容器内の流体の流れを監視する。この流量に基づいて、可撓性容器内のオリフェスの存在を検出することができる。当該システムはまた、より速い充填時間を可能にするために可撓性容器への第2流路を備える。第2の高質量流量変換器又は較正されたバイパス経路の使用を通じて、より大きな流量が達成される。これらの代替経路によって、可撓性容器がほぼ満タンであると決定されるまで、その時点で全ての流れが低質量流量変換器を通過するまで、より大きな流量が可能である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器の完全性を決定するためのシステムであって、
定圧流体源と、
第1出口及び第2出口を有するバルブと、
前記第1出口及び前記容器と連通する高質量流量変換器と、
前記第2出口及び前記容器と連通する低質量流量変換器と、
前記バルブ、前記高質量流量変換器及び前記低質量流量変換器と連通する制御装置と
を備え、前記制御装置は、前記バルブを制御して前記第1出口又は前記第2出口を選択する、システム。
【請求項2】
前記定圧流体源は可変流体供給部と圧力変換器とを備え、前記制御装置は、前記圧力変換器を使用して前記流体の圧力を監視し、前記監視された圧力を使用して前記可変流体供給部を調整する、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記制御装置は、前記高質量流量変換器を通る流体の流量が所定のレベルより減少すると、前記バルブの前記第2出口を選択する、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記制御装置は、前記低質量流量変換器を通る流量を監視して前記容器の完全性を決定する、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
容器の完全性を決定するためのシステムであって、
定圧流体源と、
前記定圧流体源及び前記容器と連通する低質量流量変換器と、
バルブを備えるバイパス経路であって、前記バルブの入力部は前記定圧流体源と連通し、前記バルブの出力部は前記容器と連通しており、且つ、前記バルブが開いているとき前記低質量流量変換器と前記バイパス経路を通る流量との間に所定の関係があるバイパス経路と、
前記バルブ及び前記低質量流量変換器と連通する制御装置とを備え、前記制御装置は、前記バルブを制御して前記バイパス経路を通る流体の流れを許容又は停止する、システム。
【請求項6】
前記定圧流体源は可変流体供給部と圧力変換器とを備え、前記制御装置は、前記圧力変換器を使用して前記流体の圧力を監視し、前記監視された圧力を使用して前記可変流体供給部を調整する、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記制御装置は、前記低質量流量変換器を通る流体の流量が所定のレベルより減少すると、前記バルブを閉じる、請求項5に記載のシステム。
【請求項8】
前記制御装置は、前記低質量流量変換器を通る流量を監視して前記容器の完全性を決定する、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
容器の完全性を決定する方法であって、該方法は、
定圧流体を、高質量流量変換器と連通する第1出口と低質量流量変換器と連通する第2出口を有するバルブの入口に供給し、前記高質量流量変換器及び前記低質量流量変換器は前記容器と連通しており、
流体が前記高質量流量変換器を通るように前記第1出口を選択し、
前記高質量流量変換器を通る流量を監視し、
前記監視される前記高質量流量変換器を通る流量が所定のレベルより減少すると、流体が前記低質量流量変換器を通るように前記第2出口を選択し、
前記低質量流量変換器を通る流量を監視して前記容器の完全性を決定する、
ことを含む方法。
【請求項10】
容器の完全性を決定する方法であって、該方法は
定圧流体を、前記容器と連通するバイパス経路へと、前記容器と連通する低質量流量変換器への出口を有するバルブの入口に供給し、
流体が前記バイパス経路と前記低質量流量変換器を通るように前記バルブを開き、
前記低質量流量変換器を通る流量を監視し、
前記監視される前記低質量流量変換器を通る流量が所定のレベルよりも減少すると、流体が前記低質量流量変換器のみを通るように前記バルブを閉じ、
前記低質量流量変換器を通る流量を監視して前記容器の完全性を決定する、
ことを含む方法。
【請求項11】
前記バイパス経路を通る流量と前記低質量流量変換器を通る流量との間に既知の関係がある、請求項10に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2015年3月3日に出願された米国仮特許出願第62/127,520号の優先権を主張するものであり、その開示内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
背景
完全性試験は、物品が望ましくない粒子又は他の物質の通過を許容する欠陥を有しているかどうかを決定するための機構を提供する。完全性試験はフィルタ要素において広く行われる。いくつかの実施形態では、フィルタ要素は湿潤されて、その入口側で所定の圧力での流体に曝される。その後、出口側で圧力を測定し、差圧を用いてフィルタ要素の完全性を決定することができる。
【0003】
他の実施形態では、圧力減衰を使用して物品の完全性を決定する。例えば、所定の圧力の流体を物品の入口に供給することができる。流体が当該物品を通過するにつれて、入口側での圧力は低下する。圧力減衰速度を使用して流体の物品を出る速度が許容限界内であるかどうかを決定することができる。上記の両方の場合において、実際の漏れ率を計算するために正確な容積を知る必要がある。このことは時間を要し、且つ、異なるサイズ/容積の装置において必要とされる。
【0004】
この技術を使用して可撓性の、好ましくは閉じた容器の完全性を試験することができる。作業において、所定の圧力が可撓性容器内で達するまで可撓性容器を流体で充填する。その後、可撓性容器を密封し圧力減衰を監視する。圧力が減衰する速度は、流体の可撓性容器を出る速度を示す。この速度に基づいて、可撓性容器の完全性を決定することができる。
【0005】
別の実施形態では、外部環境の圧力を監視する。例えば、可撓性容器を、所定の圧力で流体で充填する。その後、可撓性容器を真空チャンバのような既知の圧力の外部環境に配置する。次に、外部環境における圧力上昇を監視して、流体が可撓性容器を出る速度を決定する。この上昇は、可撓性容器の完全性を決定するために使用される外部環境の圧力である。
【0006】
これらの技術は、可撓性容器の容積が比較的小さい場合に有用である。しかしながら、より大きな容積では、可撓性容器を密封された外部環境に配置することは実用的ではない。
【0007】
更に、圧力減衰を測定することは無駄な場合もある。可撓性容器の容積が大きいことは、容積と圧力変化との間に逆の関係があるので、非常に小さい圧力減衰が観察されることを意味する。加えて、この圧力減衰の大きさは正確に測定されないことがある。圧力減衰の大きさを増大させる1つの選択肢は、完全性試験の期間を延長することである。しかしながら、このアプローチは処理能力と効率を低下させる。別の選択肢は、可撓性容器内の流体の所定の圧力を増加させることである。しかしながら、多くの場合、可撓性容器は、伸長又は変形することなくこの高い圧力に耐えることができないことがある。
【0008】
従って、より大きな可撓性容器の完全性を測定するためのシステム及び方法があれば有益であろう。
【発明の概要】
【0009】
概要
可撓性容器の完全性を測定するためのシステム及び方法が開示される。当該システムは、低質量流量変換器を使用して可撓性容器内への流体の流れを監視する。この流量に基づいて、可撓性容器内のオリフィスの存在を検出することができる。当該システムはまた、より速い充填時間を可能にするために可撓性容器への第2流路を備える。第2の高質量流量変換器又は較正されたバイパス経路の使用を通じて、より大きな流量が達成される。これらの代替経路によって、可撓性容器がほぼ満タンであると決定されるまで、その時点で全ての流れが低質量流量変換器にて通過するまで、より大きな流量が可能である。
【0010】
ある実施形態では、容器の完全性を決定するためのシステムが開示される。当該システムは、定圧流体源と、第1出口及び第2出口を有するバルブと、第1出口及び容器と連通する高質量流量変換器と、第2出口及び容器と連通する低質量流量変換器と、バルブ、高質量流量変換器及び低質量流量変換器と連通する制御装置とを備え、制御装置はバルブを制御して第1出口又は第2出口を選択する。
【0011】
別の実施形態では、容器の完全性を決定するためのシステムが開示される。当該システムは、定圧流体源と、定圧流体源及び容器と連通する低質量流量変換器と、バルブを備えるバイパス経路と、ここで、バルブの入力部は定圧流体源と連通し、バルブの出力部は容器と連通しており、また、バルブが開いているとき低質量流量変換器とバイパス経路を通る流量との間に所定の関係があり、且つ、バルブと低質量流量変換器と連通する制御装置とを備え、制御装置はバルブを制御してバイパス経路を通る流体の流れを許容又は停止する。
【0012】
別の実施形態では、容器の完全性を決定する方法が開示される。当該方法は、定圧流体を高質量流量変換器と連通する第1出口と低質量流量変換器と連通する第2出口を有するバルブの入口へと供給すること、高質量流量変換器及び低質量流量変換器は容器と連通しており、流体が高質量流量変換器を通るように第1出口を選択すること、高質量流量変換器を通る流量を監視すること、監視される高質量流量変換器を通る流量が所定のレベルより減少すると、流体が低質量流量変換器を通るように第2出口を選択すること、低質量流量変換器を通る流量を監視して容器の完全性を決定することを含む。
【0013】
別の実施形態では、容器の完全性を決定する方法が開示される。当該方法は、定圧流体を、容器と連通するバイパス経路へと、容器と連通する低質量流量変換器への出口を有するバルブの入口に供給すること、流体がバイパス経路と低質量流量変換器を通るようにバルブを開くこと、低質量流量変換器を通る流量を監視すること、監視される低質量流量変換器を通る流量が所定のレベルより減少すると、流体が低質量流量変換器のみを通るようにバルブを閉じること、低質量流量変換器を通る流量を監視して容器の完全性を決定することを含む。特定の実施形態では、バイパス経路を通る流量と低質量流量変換器を通る流量との間に既知の関係がある。
【0014】
本発明をより良く理解するために、参照により本明細書に組み込まれる添付の図面を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、可撓性容器の完全性を決定するためのシステムの第1の実施形態を示す。
図2A図2Aは、漏れのない可撓性容器の充填を表すグラフを示す。
図2B図2Bは、小さな漏れを有する可撓性容器の充填を表すグラフを示す。
図2C図2Cは、小さな漏れを有する可撓性容器の充填を表す第2のグラフを示す。
図3図3は、図1のシステムを使用した可撓性容器の充填及び試験のフローチャートを示す。
図4図4は、可撓性容器の完全性を決定するためのシステムの第2の実施形態を示す。
図5図5は、図4のシステムを使用した可撓性容器の充填及び試験のフローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
上述するように、典型的な圧力に基づいた完全性試験は、特には200リットルを超えるような試験対象の可撓性容器の容積が大きいときには限界がある。
【0017】
圧力変化を使用して完全性を決定するのではなく、本システム及び方法は、流量を使用してこの決定を行う。図1は可撓性容器を充填し、またその完全性を試験するために使用することのできるシステムを示す。
【0018】
本実施形態において、空気又は他の好適な流体の供給がある。典型的には、使用する流体はガス形状である。流体供給部10は、圧縮空気又は送風機、ファン若しくは他の装置を通過する空気の供給源であってよい。各実施形態において、流体供給部10は、周囲環境の圧力よりも高い可変圧力で、空気といった流体を提供する。
【0019】
流体供給部10は、変換器20と連通している。この変換器20は、流体供給部10からの流入流体の圧力を測定するデジタル式圧力変換器であってもよい。制御装置30は、変換器20と連通している。制御装置30は、処理ユニット31と、処理ユニット31と通信する記憶素子32とを備える。記憶素子32は、処理ユニット31が本明細書で説明するステップ及びプロセスを実行するための必要な命令を含んでもよい。更に、記憶素子32は他のデータを含んでもよい。処理ユニット31は、マイクロプロセッサ、専用制御装置、コンピュータ又は他のそのような装置といった任意の好適な装置であってよい。記憶素子32は、ランダムアクセスメモリ(RAM)デバイス、フラッシュメモリのような不揮発性メモリデバイス、電気的に消去可能なROM、又は半導体記憶装置の磁気といった記憶装置を含む非一時的なコンピュータ可読媒体であってもよい。このように、処理ユニット31及び記憶素子32の実装は、本発明によって限定されない。
【0020】
制御装置30は、変換器20によって測定される圧力を監視する。その後、制御装置30は、変換器20の測定に応答して流体供給部10の出力部を調節する。言い換えれば、変換器20から一定の圧力を供給することができる。制御装置30は閉ループで動作し、変換器20からの圧力を読み取り、その読み取りに応じて流体供給部10を調整する。流体供給部10は、様々な方法で調節されてもよい。流体供給部10がファン又は送風機を使用する場合、流体供給部10からの流体の圧力は、可変周波数送風機又はファンを使用することにより調整することができる。流体供給部10が圧縮空気を使用する場合、電子調整器を所望の試験圧力を達成するように調整してもよい。
【0021】
全ての実施形態において、変換器20の出力部に供給される流体は、所望の試験圧力であってもよい。いくつかの実施形態では、制御装置30は、流体供給部10から供給される試験圧力を0.1psi以内に制御することができる。いくつかの実施形態では、制御装置30は、流体供給部10から供給される試験圧力をその設定点の約5%以内に制御することができる。いくつかの実施形態では、制御装置30は、温度センサの使用によるなどして流体供給部10に含まれる流体の温度を決定する。制御装置30は流体の温度に関する情報を使用して、流量と関連して可撓性容器内のオリフィスのサイズを決定することができる。
【0022】
図1は、変換器20及び可変流体供給部10の使用による流体圧力の閉ループ制御を示す。しかしながら、他の実施形態では、定圧流体源を使用してもよい。例えば、定圧流体源には、この出力部に圧縮空気の圧力を細かく制御する調整器を有する圧縮空気源が含まれてもよい。
【0023】
従って、流体供給部10、変換器20及び制御装置30は、定圧流体源の一実施形態を構成する。他の定圧流体源も使用することができ、本発明の範囲内である。
【0024】
一定圧力を有する流体は、変換器20を通過してバルブ40に入る。制御装置30は、温度センサを用いて流体の温度を監視してもよい。バルブ40は入口を有し、電子的に制御可能であり、少なくとも2つの異なる出口41、42の間で選択可能である。制御装置30はバルブ40と連通しており、異なる出口41、42のうちの1つを選択することができる。第1出口41は、それを通過する流体の流量を測定する高質量流量変換器50と連通している。高質量流量変換器50を通過した流体は、可撓性容器100に入る。高質量流量変換器50は、100標準リットル/分(slpm)を超えるような大きな流量を測定することができる。バルブ40の第2出口42は、低質量流量変換器60と連通している。高質量流量変換器50と同様に、低質量流量変換器60は、流体が可撓性容器100に入るときに、低質量流量変換器60を通過する流体の流れを測定することができる。しかしながら、低質量流量変換器60は、4標準立方センチメートル/分(sccm)未満のような非常に小さい流量を正確に測定するように設計されている。各質量流量変換器は、それが正確に検出することができる流量の範囲を有する。いくつかの実施形態では、高質量流量変換器50の範囲の下端は、低質量流量変換器60の上端よりも小さい。このようにして、低質量流量変換器60によって検出可能な最小値と高質量流量変換器50によって検出可能な最大値との間のすべての流量を正確に決定することができる。
【0025】
高質量流量変換器50及び低質量流量変換器60からの流量測定値は、両方とも制御装置30に提供される。
【0026】
制御装置30は、動作中、変換器20からの圧力測定値を使用して一定の流体圧力がバルブ40へと存在するように流体供給部10を調整する。可撓性容器100が最初に取り付けられて空であるとき、制御装置30はバルブ40を制御して第1出口41が有効になるようにする。このようにして、流体は、可撓性容器100に入る前に高質量流量変換器50を通過する。バルブ40での流体と可撓性容器100の内部との間に大きな圧力差があるので、この時点での流体の流量は高いであろう。この大きな圧力差は、バッグがほぼ充填されるまで可撓性容器100内の圧力がほぼゼロのままであるという事実に起因する。可撓性容器100が流体で満たされほぼ完全に膨張すると、圧力差は減少し、それに応じて高質量流量変換器50を通る流量が減少する。
【0027】
流量が所定のレベルに減少すると、制御装置30は可撓性容器100がほぼ満タンであると決定する。この所定のレベルは、絶対流量であってもよいし、又は初期流量に対して相対的な流量であってもよい。例えば、所定のレベルは、初期流量の5%であってもよい。別の実施形態では、所定のレベルは、低質量流量変換器60の最大許容流量に基づく。
【0028】
制御装置30が、可撓性容器100がほぼ満タンであると決定すると、制御装置30はバルブ40を作動させて第2出口42を有効にし、第1出口41を閉じる。これにより、流体は、これらのより小さい流量を測定することができる低質量流量変換器60を通って流れる。
【0029】
漏れを有していない可撓性容器では、低質量流量変換器60を通る流量は0に近づくか又は0に達するはずである。図2Aは、漏れのない可撓性容器100における時間に対する流量のグラフを示す。上述するように、流量は高い値で始まり、可撓性容器100が満タンになると減少する。時間t1では、制御装置30は、可撓性容器100がほぼ満タンであると決定して、バルブ40の第2出口42に切り替えて、且つ、第1出口41を無効にする。従って、時間t1より前に取られた流量測定値は高質量流量変換器50からのものである。その後のある時間で、低質量流量変換器60を通る流量はゼロに達し、且つ、ゼロを保持しており、可撓性容器100が完全であり、漏れがないことを示す。流量曲線の下の領域は、可撓性容器100の容積を表す。
【0030】
しかしながら、漏れを有する可撓性容器100では、流量はゼロに達することはなく、何らかの非ゼロ定常状態に留まることがある。図2Bは、漏れを有する可撓性容器100における時間に対する流量のグラフを示す。上述するように、流量は高い値で始まり、可撓性容器100が満タンになると減少する。時間t1では、制御装置30は、可撓性容器100がほぼ満タンであると決定して、バルブ40の第2出口42に切り替えて、且つ、第1出口41を無効にする。従って、時間t1より前に取られた流量測定値は高質量流量変換器50からのものである。しかしながら、この実施形態では、低質量流量変換器60を通る流量は決してゼロに達することはない。むしろ、流量はある非ゼロ値のままであり、可撓性容器100が完全ではなく、漏れがあることを示す。
【0031】
図2Cは、漏れを有する可撓性容器100における時間に対する流量の別のグラフを示す。この実施形態では、流量はある期間にわたってゼロに達している。しかしながら、可撓性容器100内の圧力に起因して流体が漏れ始め、これにより流体が再び低質量流量変換器60を通って流れ始める。
【0032】
なお、図2B及び2Cの両方とも、非ゼロ定常状態値を示す。この定常状態値は、可撓性容器100の実際の漏れ率を表す。有利には、この漏れ率は可撓性容器100の容積とは無関係であり、欠陥の大きさのみを反映する。この漏れ率に基づいて、また場合によっては流体の温度に基づいて、可撓性容器100内の欠陥のサイズを決定することが可能である。
【0033】
図3は、可撓性容器100を充填しその完全性を決定するプロセスを示すフローチャートを示す。まず、ステップ300に示すように、可撓性容器100の容積が制御装置30に提供される。いくつかの実施形態では、制御装置30は、可撓性容器100の容積に基づいて所望の流体圧力を決定する。他の実施形態では、所望の流体圧力も制御装置30に提供される。いくつかの実施形態では、容器の容積は制御装置30に提供されない。むしろ、制御装置30は、試験対象の可撓性容器100の容積を知ることに依存することなく、普遍的な充填及び完全性試験を実施する。特定の実施形態では、所望の圧力は、可撓性容器の広範囲の容積に対して許容可能であると考えられる固定値に設定される。
【0034】
所望の流体圧力に基づいて、制御装置30は、ステップ310に示すように変換器20からの読み取り値に基づいて流体供給部10を調整する。
【0035】
制御装置30は、その後ステップ320に示すように、バルブ40を作動させてバルブ40の第1出口41を選択する。これにより、流体供給部10からの流体が高質量流量変換器50を通過する。
【0036】
制御装置30は、次にステップ330に示すように、高質量流量変換器50にクエリすることによって可撓性容器100に流入する流量を監視する。可撓性容器100は比較的空である間、図2A−Cに示すように流量は高いが、可撓性容器100が充填されるにつれて減少する。ステップ340に示すように、高質量流量変換器50によって測定された流量を、制御装置30によって所定のレベル、例えば30リットル/分と比較する。上述するように、所定のレベルは、低質量流量変換器60によって測定可能な最大流量を下回る流量のような絶対流量であってもよい。他の実施形態では、所定のレベルは、高質量流量変換器50によって検出される初期流量の割合であってもよい。流量が依然として所定のレベルよりも大きい場合、制御装置30はステップ330に示すように、高質量流量変換器50によって測定される流量の監視を継続する。
【0037】
流量が所定のレベルよりも少なくなると、制御装置30はステップ350に示すように、バルブ40を作動させて第2出口42を選択する。これにより、流体は低質量流量変換器60を通って流れることができ、第1出口41を通る流れを無効にする。制御装置30は、次にステップ360に示すように、低質量流量変換器60にクエリすることによって流量を監視する。
【0038】
制御装置30は、その後ステップ370に示すように、可撓性容器100の完全性を決定する。いくつかの実施形態では、完全性は低質量流量変換器60への移行後の一定時間の流量を監視することによって決定される。このようにして、可撓性容器100が完全である場合、流量はこの時点でいくつかの低い閾値を下回っていると考えられる。更に、所与の圧力及び温度での流量を、オリフィス開口部に相関付けてもよい。例えば、50ミクロンサイズの孔は0.5psiでの特定の漏れ率を有すると決定してもよい。同様に、他のサイズのオリフィスも所定の圧力及び温度で特定の漏れ率を有し得る。従って、圧力、流体の温度及び最終流量に基づいて、欠陥(又はオリフィス)のサイズを決定することができる。
【0039】
図4は、一般的な試験プラットフォームとして使用できるシステムの第2の実施形態を示す。この図において、一部の構成要素は図1に示したものと同じであり、同じ参照符号が与えられている。
【0040】
図1に関して述べたとおり、流体供給部10は変換器20と連通している。この変換器20は、デジタル式圧力変換器又は圧力を測定するための好適な装置であってもよい。変換器20は、流体供給部10からの流入する流体の圧力を測定する。制御装置430は、変換器20と連通している。制御装置430は、処理ユニット431と、処理ユニット431と通信する記憶素子432とを備える。記憶素子432は、処理ユニット431が本明細書で説明するステップ及びプロセスを実行するための必要な命令を含んでもよい。更に、記憶素子432は他のデータを含んでもよい。処理ユニット431は、マイクロプロセッサ、専用制御装置、コンピュータ又は他のそのような装置といった任意の好適な装置であってよい。記憶素子432は、ランダムアクセスメモリ(RAM)デバイス、フラッシュメモリのような不揮発性メモリデバイス、電気的に消去可能なROM、又は半導体記憶装置の磁気といった記憶装置を含む非一時的なコンピュータ可読媒体であってもよい。このように、処理ユニット431及び記憶素子432の実装は、本発明によって限定されない。
【0041】
制御装置430は、変換器20によって測定される圧力を監視する。その後、制御装置430は、変換器20の測定に応答して流体供給部10の出力部を調節する。言い換えれば、変換器20から一定の圧力を供給することができる。制御装置30は閉ループで動作し、変換器20からの圧力を読み取り、その読み取りに応じて流体供給部10を調整する。流体供給部10は、様々な方法で調節されてもよい。流体供給部10がファン又は送風機を使用する場合、流体供給部10からの流体の圧力は、可変周波数送風機又はファンを使用することにより調整することができる。流体供給部10が圧縮空気を使用する場合、電子調整器を所望の試験圧力を達成するように調整してもよい。
【0042】
全ての実施形態において、変換器20の出力部に供給される流体は、所望の試験圧力であってもよい。いくつかの実施形態では、制御装置430は、流体供給部10から供給される試験圧力を0.1psi以内に制御することができる。いくつかの実施形態では、制御装置430は、流体供給部10から供給される試験圧力をその設定点の約5%以内に制御することができる。上述するように、制御装置430は流体供給部10からの流体の温度を監視してもよい。
【0043】
図1と同様に図4は、変換器20及び可変流体供給部10の使用による流体圧力の閉ループ制御を示す。しかしながら、他の実施形態では、定圧流体源を使用してもよい。例えば、定圧流体源にはこの出力部に圧縮空気の圧力を細かく制御する調整器を有する圧縮空気源が含まれてもよい。
【0044】
従って、流体供給部10、変換器20及び制御装置430は、定圧流体源の一実施形態を構成する。他の定圧流体源も使用することができ、本発明の範囲内である。
【0045】
一定圧力を有する流体は、変換器20を通過して導管470に入る。この導管470は、2つの枝路又は経路471、472を有する。第1経路又はバイパス経路471は、流体がそこを通るように作動され得るか、又は流体の流れを停止するように作動され得るバルブ440への入力部と連通している。バルブ440の出力部は、可撓性容器100と連通している。
【0046】
第2経路又は測定経路472は、低質量流量変換器60と連通している。低質量流量変換器60は、流体が可撓性容器100に入るとき低質量流量変換器60を通過する流体の流れを測定することができる。しかしながら、低質量流量変換器60は、4標準立方センチメートル/分(sccm)未満のような非常に小さい流量を正確に測定するように設計されている。
【0047】
更に、バイパス経路471及び測定経路472に使用する導管のサイズは、これら2つの経路471、472を通る流量の間に既知の関係が存在するように選択される。例えば、バイパス経路471は、全流体の99%がバイパス経路471を通過するようなサイズにすることができる。もちろん、他の比率も本発明の範囲内であり、本システムは特定の比率に制限されない。バイパス経路471を通る流量と低質量流量変換器60を通る流量との間に既知の関係があるので、低質量流量変換器60のみを使用して可撓性容器100内への全体流量を決定することが可能である。例えば、上記の例では、低質量流量変換器60によって測定される流量に20を乗算して可撓性容器100への総流量を決定することができる。いくつかの実施形態では、充填プロセス中に可撓性容器100内への流量を正確に決定する必要はなくてもよい。むしろ、流量が低質量流量変換器60によって正確に測定できるレベルに減少したときに決定することが重要なだけである。
【0048】
例えば、低質量流量変換器60はXsccm未満の流量を正確に測定できると仮定する。また、バイパス経路471を通る流量は、低質量流量変換器60を通る流量よりもM倍大きいとも仮定する。従って、可撓性容器100への総流量は、およそ(M+1)*Fであり、ここで、Fは低質量流量変換器60によって測定された流量である。低質量流量変換器60を通る流量(F)がX/(M+1)より減少すると、(低質量流量変換器60とバイパス経路471の両方を通る)総流量は、低質量流量変換器60によって測定可能な最大値よりも小さいことがわかる。この時点で、バルブ440を作動させてバイパス経路471を通る流体の流れを停止し、それによって流体の全流れを低質量流量変換器60に導くことができる。可撓性容器100の充填を完了するために必要な流量を監視することができる。同様に、漏れを(図2B及び図2Cに示すように)残留流量に基づいて検出することができる。
【0049】
図5は、図4のシステムを動作する制御装置430によって実施することができるフローチャートを示す。まず、ステップ500に示すように、可撓性容器の容積が制御装置430に提供される。いくつかの実施形態では、制御装置430は、可撓性容器100の容積に基づいて所望の流体圧力を決定する。他の実施形態では、所望の流体圧力も制御装置430に提供される。いくつかの実施形態では、可撓性容器の容積は制御装置430に提供されない。むしろ、制御装置430は、試験対象の容器の容積を知ることに依存することなく、普遍的な充填及び完全性試験を実施する。特定の実施形態では、所望の圧力は、可撓性容器の広範囲の容積に対して許容可能であると考えられる固定値に設定される。
【0050】
所望の流体圧力に基づいて、制御装置430は、ステップ510に示すように変換器20からの読み取り値に基づいて流体供給部10を調整する。
【0051】
制御装置430は、その後ステップ320に示すように、バルブ440を作動させてバイパス経路471を開く。これにより、流体供給部10からの流体がバイパス経路471及び低質量流量変換器60を通過する。上述するように、この実施形態では、可撓性容器100への流量は、低質量流量変換器60によって測定される流量の(M+1)倍である。
【0052】
制御装置430は、次にステップ530に示すように、低質量流量変換器60にクエリすることによって可撓性容器100に流入する流量を監視する。可撓性容器100は比較的空である間、図2A−Cに示すように総流量は高いが、可撓性容器100が充填されるにつれて減少する。ステップ540に示すように、低質量流量変換器60によって測定された流量を、制御装置430によって所定のレベル、例えば5sccmと比較する。上述するように、所定のレベルは、(M+1)で除算することにより、低質量流量変換器60によって測定可能な最大流量を下回る流量のような絶対流量であってもよい。流量が依然として所定のレベルよりも大きい場合、制御装置430はステップ530に示すように、低質量流量変換器60によって測定される流量の監視を継続する。
【0053】
流量が所定のレベルよりも少なくなると、制御装置430はステップ550に示すように、バルブ440を作動させてバイパス経路471の通過を無効にする。これにより、流体の全量が低質量流量変換器60を通って流れることができる。このように、低質量流量変換器60を通る流量は、(M+1)倍だけ増加する。制御装置430は、次にステップ560に示すように、低質量流量変換器60にクエリすることによって流量を監視する。
【0054】
制御装置430は、その後ステップ570に示すように、可撓性容器100の完全性を決定する。いくつかの実施形態では、完全性は低質量流量変換器60への移行後の一定時間の流量を監視することによって決定される。このようにして、可撓性容器100が完全である場合、流量はこの時点でいくつかの低い閾値を下回っていると考えられる。更に、所与の圧力及び温度での流量を、オリフィス開口部に相関付けてもよい。例えば、50ミクロンサイズの孔は0.5psiでの特定の漏れ率を有すると決定してもよい。同様に、他のサイズのオリフィスも所定の圧力及び温度で特定の漏れ率を有し得る。従って、圧力、流体の温度及び最終流量に基づいて、欠陥(又はオリフィス)のサイズを決定することができる。
【0055】
開示されたシステム及び方法は、任意のサイズの容器に使用できる一般的な試験プラットフォームを提供する。圧力減衰ではなく流量を使用して漏れを決定するため、本システムはいかなる容積の容器に適応することができる。更に、流体供給部10及び変換器20を用いることによって、流体圧力を容器の容積に基づいてカスタマイズすることができ、それにより充填プロセスを最適化することができる。
【0056】
本発明は、本明細書に記載される特定の実施形態によって範囲が限定されるものではない。実際に、本明細書に記載されたものに加えて、本発明の他の様々な実施形態及び改変は、前述の説明及び添付の図面から当業者には明らかであろう。従って、このような他の実施形態及び改変は、本発明の範囲内に入ることが意図される。更に、本発明は特定の目的のために特定の環境における特定の実装の内容で本明細書に記載されたが、当業者は、その有用性がそれに限定されず、本発明が任意の数の目的のために任意の数の環境において有益に実施されることを認識するだろう。従って、以下に規定される特許請求の範囲は、本明細書に記載される本発明の完全な範囲及び思想を考慮して解釈されるべきである。
図1
図2A
図2B
図2C
図3
図4
図5
【国際調査報告】