(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2018-508721(P2018-508721A)
(43)【公表日】2018年3月29日
(54)【発明の名称】車両風防ガラス洗浄液分配システムのための流体分配バルブ
(51)【国際特許分類】
F16K 31/06 20060101AFI20180302BHJP
B60S 1/48 20060101ALI20180302BHJP
B60S 1/46 20060101ALI20180302BHJP
F16K 7/12 20060101ALI20180302BHJP
F16K 49/00 20060101ALI20180302BHJP
【FI】
F16K31/06 305L
B60S1/48 Z
B60S1/46 A
F16K7/12 A
F16K49/00 B
F16K31/06 305C
F16K31/06 385A
F16K31/06 385E
B60S1/48 B
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2017-540212(P2017-540212)
(86)(22)【出願日】2015年12月17日
(85)【翻訳文提出日】2017年9月19日
(86)【国際出願番号】EP2015080237
(87)【国際公開番号】WO2016119974
(87)【国際公開日】20160804
(31)【優先権主張番号】1550729
(32)【優先日】2015年1月30日
(33)【優先権主張国】FR
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】512092737
【氏名又は名称】ヴァレオ システム デシュヤージュ
【氏名又は名称原語表記】VALEO SYSTEMES D’ESSUYAGE
(74)【代理人】
【識別番号】100091982
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100082991
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 泰和
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【弁理士】
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100164688
【弁理士】
【氏名又は名称】金川 良樹
(72)【発明者】
【氏名】ジェラルド、カイユ
【テーマコード(参考)】
3D025
3H066
3H106
【Fターム(参考)】
3D025AA01
3D025AB01
3D025AC01
3D025AC02
3D025AD02
3D025AD09
3D025AF10
3D025AF13
3H066AA07
3H066BA35
3H066BA36
3H106DA07
3H106DA13
3H106DA23
3H106DB02
3H106DB12
3H106DC14
3H106EE34
3H106EE43
3H106GB11
3H106GC18
3H106KK09
3H106KK17
(57)【要約】
特に車両スクリーン洗浄システムのための流体分配バルブ(11)において、流体の通過のためのダクト(43)を画成する本体(41)であって、少なくとも1つの流体入口(45)と少なくとも1つの流体出口(47、49)とを有する本体(41)と、前記ダクトに収容される薄膜(53)であって、磁場の作用によってによって、前記ダクトを少なくとも部分的に閉鎖する第1位置と、前記ダクトを少なくとも部分的に開放する第2位置との間で変形するように構成された薄膜(53)と、前記薄膜を変形させるように、前記ダクトの内部で磁場を生成するための手段(51)と、を備える、ことを特徴とするバルブ(11)。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
特に車両風防ガラス洗浄液分配システム(1)のための流体分配バルブ(11)において、
流体の通過のためのダクト(43)を画成する本体(41)であって、少なくとも1つの流体入口(45)と少なくとも1つの流体出口(47、49)とを有する本体(41)と、
前記ダクトに収容される薄膜(53)であって、磁場によって、前記ダクトを少なくとも部分的に閉鎖する第1位置と、前記ダクトを少なくとも部分的に開放する第2位置との間で変形されるように構成された薄膜(53)と、
前記薄膜の変形を制御するように、前記ダクトの内部で磁場を生成するための手段(51)と、を備える、
ことを特徴とするバルブ(11)。
【請求項2】
前記薄膜(53)は、可撓性材料から構成される、
ことを特徴とする請求項1に記載のバルブ(11)。
【請求項3】
前記薄膜(53)は、磁性粒子を含有する、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のバルブ(11)。
【請求項4】
前記薄膜(53)は、前記ダクト(43)の内壁(40)に固定される、
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載のバルブ(11)。
【請求項5】
前記手段(51)は、前記薄膜(53)を収容する前記ダクト(43)の部分を囲む少なくとも1つの電線の巻線からなる、
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載のバルブ(11)。
【請求項6】
前記巻線(51)は、前記流体を加熱するための熱を生成するように構成される、
ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載のバルブ(11)。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか一項に記載の少なくとも1つのバルブ(11)を備える、車両風防ガラス洗浄液分配システム(1)用の油圧コネクタ(33)。
【請求項8】
請求項1乃至6のいずれか一項に記載の少なくとも1つのバルブ(11)を備える、
ことを特徴とする、車両風防ガラス洗浄液分配システム(1)。
【請求項9】
少なくとも1つのワイパー(5)と、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の少なくとも1つのバルブ(11)と、を備える、
ことを特徴とする、車両風防ガラスワイパーシステム(10)。
【請求項10】
ポンプ(15)と、前記ポンプに前記バルブ(11)によって連結された少なくとも1つの噴霧マニホルド(9)と、を備える、
ことを特徴とする先行請求項に記載のワイパーシステム。
【請求項11】
前記ワイパー(5)を駆動するためのアーム(7)を更に備える、
ことを特徴とする、請求項9又は10のいずれか一項に記載のワイパーシステム。
【請求項12】
前記ワイパー(5)を前記ワイパーを駆動するための前記アーム(7)に連結するように、前記バルブ(11)は前記手段(33、35、36)に一体化される、
ことを特徴とする先行請求項に記載のワイパーシステム。
【請求項13】
前記少なくとも1つのマニホルド(9)は、前記ワイパー(5)に配置される、
ことを特徴とする請求項10乃至12のいずれか一項に記載のワイパーシステム。
【請求項14】
前記少なくとも1つのマニホルド(9)は、前記アーム(7)に配置される、
ことを特徴とする請求項11及び12のいずれか一項に記載のワイパーシステム。
【請求項15】
請求項1乃至6のいずれか一項に記載の少なくとも1つのバルブ(11)を備える、特に撮像手段又は電磁検出手段である自動車運転支援装置を清掃するためのシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に車両風防ガラス洗浄液分配システムのための、流体分配バルブに関する。
【背景技術】
【0002】
風防ガラス洗浄装置を有する風防ガラスワイパーを備える自動車風防ガラスワイパーシステムが知られている。ワイパーのそれぞれは、1つ又は2つの風防ガラス洗浄液噴霧マニホルドを有している。単独のマニホルド(モノ‐マニホルド)を有するワイパーの場合、マニホルドは、ワイパーの片側に延在して、風防ガラス洗浄液を風防ガラスに噴霧する。液は、一般に、直ちに払拭されて運転者の視界を妨げることがないように、移動するワイパーの前方に噴霧される。例えば、液は上方向に噴霧され、噴霧はアームの下方向への移動のために停止される。いくつかの適用例において、液時間が除去すべき汚染物質と相互作用可能であるように、水がワイパーの後から噴霧され得る。
【0003】
風防ガラス洗浄液のマニホルドへの供給には、液をシングル(単独)‐チャネルポンプからマニホルドに供給するパイプが必要である。シングル‐チャネルポンプは、風防ガラス洗浄液を、車両のボンネットの下に設けられた風防ガラス洗浄液タンクから引き出す。
【0004】
2つのマニホルド(バイ‐マニホルド)を有するワイパーの場合、ワイパーの各側部にマニホルドが存在する。これらのマニホルドは、ワイパーの回転の上方向及び下方向において交互に、風防ガラス洗浄液を風防ガラスに噴霧するように設計されている。これらのマニホルドへの風防ガラス洗浄液の供給には、2つの別箇のパイプが必要であり、これらのパイプは、タンクから液を引き上げるダブル‐チャネルポンプからマニホルドに液を供給する。しかしながら、特にワイパーの駆動アームであってこれに沿った確保可能な内部スペースが小さい駆動アームの高さ位置において、これら2つのパイプを噴霧マニホルドまで設置することは比較的複雑である。
【0005】
また、アーム上に見える2つのパイプは、見た目が美しくないと思われることが多く、液供給装置の外観を改良することへの要望もある。
【0006】
また、2つのパイプは、空気力学的性能に悪影響をもたらす。
【0007】
上述の欠点を軽減するために、すなわち2つの噴霧マニホルドを単独のパイプに連結してこれらのマニホルドがシングル‐チャネルポンプから供給を受け得るようにしたワイパーシステムが既に提案されている。風防ガラス洗浄液を選択された1つ又は2つの噴霧マニホルドに導く少なくとも1つのバルブによって、風防ガラス洗浄液は一方及び/又は他方の前記噴霧マニホルドに分配される。
【0008】
特に、本発明は、例えば風防ガラス洗浄液をシングル‐チャネルポンプから1つ又は2つ(或いはそれ以上)の噴霧マニホルドに分配可能とする新型のバルブによって、このような技術を改良することを目的とする。
【0009】
しかしながら、このような新型のポンプは特定の適用に限定されず、流体の分配を必要とするあらゆる適用において利用可能である。
【発明の概要】
【0010】
この目的のために、本発明は、特に車両風防ガラス洗浄液分配システムのための流体分配バルブにおいて、流体の通過のためのダクトを画成する本体であって、少なくとも1つの流体入口と少なくとも1つの流体出口とを有する本体と、前記ダクトに収容される薄膜であって、磁場によって、前記ダクトを少なくとも部分的に閉鎖する第1位置と、前記ダクトを少なくとも部分的に開放する第2位置との間で変形されるように構成された薄膜と、前記薄膜の変形を制御するように、前記ダクトの内部で磁場を生成するための手段と、を備えることを特徴とするバルブ、を提案する。したがって、本発明によるバルブは磁場によって制御され、このような磁場の印加が薄膜の移動を誘導する。この技術は、機械的制約を有利に回避し得る。
【0011】
本出願において、ダクトの少なくとも部分的な閉鎖(開放)は、ダクトの少なくとも1つの入口又は出口の閉鎖(開放)を意味する。薄膜は、ダクトの少なくとも一部、特にダクトの少なくとも1つの出口を、その第1位置において閉塞するように構成され得る。第1位置は、磁場が印加されていない状態に相当する。この第1位置において、薄膜は、非平面的な形状の輪郭を有し得る。
【0012】
磁場が印加されると、薄膜は変形して、第2位置と称される力線に従う位置を取る。この第2位置において、薄膜は、少なくとも部分的にダクトの内壁に押圧され得る。この第2位置において、それは実質的に平面的な形状の輪郭を有し得る。薄膜は、好適には可撓性材料から構成され、例えば、ポリマー材料、特にシリコーンから構成される。
【0013】
本発明の一実施形態によれば、この薄膜は、磁性粒子を含有する。前記手段により生成された磁場により活性化されると、磁性粒子は薄膜を変形させることが可能となる。したがって、磁場の印加は、薄膜の変形、及びダクトの開放又は閉鎖を生じさせ得る。より正確には、薄膜に保持された粒子は、磁場が印加されると力線に従って整列するようになり、これにより薄膜の変形、及びその或る位置から別の位置への移動を生じさせるのである。
【0014】
薄膜は、ダクトの内壁に固定され得る。
【0015】
磁場を生成するための手段は、好適には、薄膜を収容するダクトの一部を囲む少なくとも1つの電線の巻線を備える。この巻線は、電源に連結されることが意図されたコイル‐又はソレノイド‐を形成する。したがって、本発明によるバルブは、ソレノイドバルブとして想定され得る。磁場を誘導するのは、巻線内の電流の流れである。
【0016】
この巻線は、流体を加熱するための熱を生成するように構成され得る。これは、流体が凍結する惧れがある場合に有利である。
【0017】
バルブは、流体パイプに一体化され得る。或いは、バルブはこの種のパイプに連結される。例えば、流体入口は、これをポンプから延びる供給パイプに連結するためのコネクタを有する、及び/又は、流体出口は、これを噴霧マニホルドに連結するためのコネクタを有する。本発明の文脈において、噴霧マニホルドとは、当業者に公知のあらゆる車両風防ガラス洗浄液噴霧装置を意味し、噴霧マニホルドは例えば複数の噴霧ノズルを有する。変形例において、マニホルドは単純なノズルである。
【0018】
他の態様によれば、本発明は、本発明による少なくとも1つのバルブを備える、車両風防ガラス洗浄液分配システム用の油圧コネクタからなる。
【0019】
更なる態様によれば、本発明は、上述の少なくとも1つのバルブを備える車両風防ガラス洗浄液流体システムからなる。
【0020】
また、本発明は、上述の少なくとも1つのバルブを備える車両風防ガラスワイパーシステムに関する。
【0021】
このシステムは、シングル‐チャネルポンプ等のポンプと、少なくとも1つのワイパーと、ポンプに前記バルブによって連結された少なくとも1つの噴霧マニホルドと、を備え得る。後者は、例えばワイパーに配置される。
【0022】
モノ‐マニホルドワイパーの場合、バルブは、ポンプに連結された入口とマニホルドに連結された出口とを有し、二方バルブと称される。バイ‐マニホルドワイパーの場合、バルブは三方タイプであり、ポンプに連結された入口と各マニホルドに連結された2つの出口とを有する。
【0023】
バルブは、ワイパーを前記ワイパーの駆動アームに連結するための手段に一体化され得る。或いは、バルブは、ワイパーの端部取付具に一体化される。
【0024】
一実施形態において、ワイパーシステムは、ワイパー駆動アームを更に備え、例えば噴霧マニホルドはこのワイパー駆動アームに配置される。
【0025】
他の変形例において、それは、ワイパーシステムを設けられた車両のボンネットの下方に取付けられ得る。
【0026】
更なる変形例において、バルブは、ワイパーアームに一体化されたノズル又はマニホルドに供給するように使用され、同じ原理に基づいて噴霧を制御するように機能する。
【0027】
また、本発明は、上述の定義のいずれかによる少なくとも1つのバルブを備える、特に撮像手段又は電磁検出手段である自動車運転者支援装置を清掃するためのシステムに関する。「撮像手段」とは、例えばビデオカメラを意味し、「電磁検出手段」とは、例えばレーダー又はライダー手段を意味する。車両の運転者を特定の運転状況において支援するために、周知例として駐車の支援のために、センサがますます多くの車両に取付けられている。この支援をできる限り効果的なものとするように、例えば撮像手段により提供された画像やレーダーにより送信されたデータは、可能な限り最良の品質でなければならず、このため、車両の外部に面するこれらのセンサの表面を清掃する必要がある。この目的のために、センサを清掃する装置がセンサに関連付けられるとともに、検出の実施前にセンサに清掃流体流を噴射するように制御されてもよい。この装置を清掃シーケンスの開始と継続時間を決定するように制御すること、及び、もし必要であれば、センサの動作中にこれが検出を妨げないように、且つこれらを例えば衝撃から保護するように、使用後に清掃装置を後退させ得ることが有益である。更に、車両の全体寸法における制約を満たすために、装置はできる限り小型でなくてはならない。このような装置は、更に、気体か液体かを問わず異なる流体を噴射可能であることも必要である。実際に、清掃液がセンサに、例えば撮像ビデオカメラのレンズに、それから汚れを落とすように噴霧される場合、このような液体が後に残し得る痕跡(液滴、縞等)による画像の汚染のリスクを回避するように、迅速にこのレンズを乾燥させることが有益である。したがって、この種の運転支援装置に、本発明によるバルブを備えたこの種の清掃システムを設けることは、特に有利である。当該バルブは小型であり、必要であれば、前記運転者支援装置に給電するための電流により生成された磁場によって直接的に制御可能である。これにより、本発明によるバルブを制御する追加の手段を設ける必要が回避される。
【0028】
更に、本発明は、上述の少なくとも1つのバルブ又は1つのシステムを備えることを特徴とする、車両、特に自動車に関する。
【0029】
更に、本発明は、バルブのダクトの内部で磁場を生成するステップを備えることを特徴し、その目的は前記ダクトに収容された薄膜を、ダクトを部分的に閉鎖する第1位置からダクトを部分的に開放する第2位置に移動させることである、特に車両風防ガラスワイパーシステム用の流体分配バルブを制御するための方法に関する。
【0030】
非制限的な例としての以下の説明を読み且つ添付図面を参照することで、本発明はより良く理解されるであろうとともに、本発明の他の詳細、特徴及び利点が明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図2】車両風防ガラスワイパーシステムのワイパーの斜視図。
【
図3】バイ‐マニホルドワイパー用の本発明によるバルブのある位置における軸方向断面を示す概略図。
【
図4】バイ‐マニホルドワイパー用の本発明によるバルブの別の位置における軸方向断面を示す概略図。
【
図5】モノ‐マニホルドワイパー用の本発明によるバルブの変形実施例を示す、
図3と同様の軸方向断面概略図。
【
図6】モノ‐マニホルドワイパー用の本発明によるバルブの変形実施例を示す、
図4と同様の軸方向断面概略図。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下の説明において、長手(方向)及び横手(方向)という用語は、ワイパーが取付けられる駆動アームの向きを参照している。長手方向は、アームの主軸に相当し、この主軸に沿ってアームが延在する。横手配向は、長手方向を横切る、特にアームの長手軸に対してその回転平面において垂直な、一致する直線セグメントに相当する。長手方向に対して、前方及び後方という用語は、ワイパーがアームに固定される点に対して理解されるべきである。前方という用語はアームの先端からの方向を指定し、後方という用語は反対方向を指定する。更に、上方又は下方と称される方向は、アームの回転面に対して垂直な向きに相当する。下方という用語は、風防ガラスの面を含む。
【0033】
最後に、同一の参照符号が、同一又は類似の要素を指すように使用される。
【0034】
自動車の風防ガラス3を払拭するためのシステム1を示す
図1を参照されたい。ここで、このシステムは、風防ガラス3を払拭するためのバイ‐マニホルドワイパー5を有する。ワイパー5は、駆動アーム7から取り外された状態で示されている。ワイパー5は、ワイパーに取付けられた、2つの風防ガラス洗浄液噴霧マニホルド9を有する。
【0035】
ワイパーシステム1は、風防ガラス洗浄液供給手段を更に備えている。この手段は、風防ガラス洗浄液をマニホルド9のそれぞれに選択的に分配するための本発明によるバルブ11と、風防ガラス洗浄液供給ポンプ15と、風防ガラス洗浄液をポンプ15からバルブ11に供給するための供給パイプ13と、を備えている。バルブ11は、マニホルド9に2つのパイプ17によって連結される。
【0036】
図示例において、ワイパーシステム1は、風防ガラス3の実質的に中央に配置された単一のワイパー5を有する。或いは、ワイパーシステム1は、一方が運転者(運転席)に面して配置されるとともに他方が同乗者(助手席)に面して配置される2つのワイパーを有し得る。
【0037】
マニホルド9は、ワイパーの長さに実質的に亘って、その長手方向軸の各側に延在する。したがって、これらのマニホルド9は、風防ガラス洗浄液をワイパーに沿って噴霧するのに適したものとなっている。
【0038】
ワイパー5は駆動アーム7に取付けられ、これにより、それは後者によって駆動され、風防ガラス上での回転軸19を中心とした円の実質的に一部における周期的な回転運動を以て風防ガラス3を払拭し得る。
【0039】
マニホルド9に風防ガラス洗浄液を供給するポンプ15それ自体は、本例において可撓性パイプである供給パイプ13によってバルブ11に連結されるとともに、風防ガラス洗浄コンテナ21に連結される。このコンテナ21から、液が取り出されてマニホルド9に供給される。
【0040】
供給パイプ13、及びバルブ11の好適にはパイプ13に連結された給電ケーブル25は、例えば、少なくとも部分的にアーム7に、且つ部分的に車両のボンネット23の下方に収容される。
【0041】
本発明によるバルブ11は、アーム7の先端部31において、例えばアームのヘッドピースの高さ位置において、取付けられ得る。
【0042】
図2に示すように、バルブ11は、好適には、少なくとも部分的に、バルブ11のマニホルド9への油圧連結を確立するように構成された油圧コネクタ33と一体とされ、これにより、その少なくとも2つの出口が、ワイパーに連結されることが意図された油圧コネクタを部分的に形成するように構成されている。
【0043】
油圧コネクタ33は、
図2では示さないアーム7に配置される。ここで、ワイパー5は、機械的コネクタ35と、機械的コネクタに関節接合されるとともにアーム7にロックされるように構成されたアダプタ36と、を更に有する。
【0044】
バルブ11及びポンプ15は、制御ユニット37に連結される。本例において、制御ユニット37は、車両の本体コントローラであってバルブとポンプを一体に制御するための手段を形成する。
【0045】
この制御ユニット37は、バルブ11及びポンプ15の動作を、複数の別箇の動作モードに従って管理し得る。このようなモードのひとつは、ポンプ15の清掃サイクルにおける連続起動や、関連する払拭サイクルにおけるワイパー5の風防ガラス3上の種々の位置に応じたバルブ11の選択的制御を提供し得る。
【0046】
次に、本発明によるバルブ11の第1実施形態を示す概略図である
図3及び4を参照されたい。
【0047】
バルブ11は、風防ガラス洗浄液用のダクト43を画成する本体41であって、入口45と2つの出口47、49とを有する本体41を備える。第1出口47は、例えば入口と整列しており、第2出口49は、入口45に対して側方にある、ここでは実質的に垂直である。したがって、ダクト43は、実質的にT字形状である。上述のように、バルブの入口は、パイプ13によってポンプ15に連結され、バルブの出口47、49は、それぞれのパイプ17に連結される。
【0048】
本体41は、入口45及び第1出口47を画成する主部41aと、第2出口49を画成する分岐部41bと、を備える。本体の主部41aは、コイル又はソレノイドを形成する電線からなる巻線51であって、制御ユニット37の給電ケーブル25を介して図示しない電源に連結された巻線51によって包囲されている。この巻線51は、本体の一部41a上の電線の単数又は複数の層の形状を取り得る。或いは、巻線51は、バルブの本体41に一体とされてダクト43の周囲をその長さの一部に亘って延在し得る。バルブ11は、ダクト43を少なくとも部分的に閉鎖する第1位置(
図3)と、ダクトを少なくとも部分的に開放する第2位置(
図4)との間で可動である薄膜53を更に備える。
【0049】
三方バルブのダクトのT字形状は、本発明を限定するものではない。したがって、入口と2つの出口は、可動薄膜の形状や、バルブのシステムへの統合に適したY字や他の形状を形成し得る。
【0050】
図示例において、薄膜53がその第1位置(
図3)にある場合、それは、ダクトの第1出口47を閉塞しつつ、その第2出口49をフリーな状態にする。ポンプ15が起動されると、風防ガラス洗浄液がバルブの入口45から第2出口49へ流れて、風防ガラス洗浄液がワイパー5のマニホルド9の一方に供給される(矢印55)。
【0051】
薄膜53がその第2位置にある場合、それはダクトの第2出口49を閉塞しつつ、その第1出口47をフリーな状態にする。ポンプ15が起動されると、風防洗浄液がバルブの入口45から第1出口47に流れて、矢印57に示すように、風防ガラス洗浄液がワイパー5の他方のマニホルド9に供給される。
【0052】
薄膜53は、ダクト43に、特に、薄膜を収容するダクトの部分に磁場を印加することによって、第1及び第2位置の間で変形する。
【0053】
ここで、薄膜53は、ダクトの主部41aに収容されている。ここで、磁場が印加されてない場合、薄膜は
図3に示す第1位置にある。巻線51へ給電により誘導された磁場が印加されると、直ちに薄膜53が変形して
図4に示す第2位置を取る。
【0054】
この目的のために、薄膜53は、柔軟性のある、すなわち可撓性のある材料(例えばポリマー材料)から構成されるとともに、磁性粒子を含有する。磁性粒子は、磁場により活性化されると、薄膜を変形させてこれをその第1位置から第2位置へ移動させることが意図されている。磁場が印加されると、薄膜に保持された粒子は、力線59に対して平行に整列し、これにより薄膜53が変形する。
【0055】
図示例において、薄膜53は、その実質的に中央において、本体の主部41aの内壁に固定される。それは、(ダクト43内の液の流れの方向に対して)上流部61を備える。上流部61は、ダクト内で第2出口49の口部63の周縁部に当接されてこれによりこの出口49を閉塞する(
図4)位置と、その自由端部が口部63に対面するダクト43の内面に接触してこれにより第1出口47を閉塞する(
図3)位置との間で変形可能である。
【0056】
薄膜53は、下流部65も備える。下流部65は、口部63と同じ側に位置するダクト43の内面に当接されてこれにより第1出口47をフリーな状態とする(
図4)位置と、その自由端部が口部63の反対側に位置するダクトの内面に接触してこれにより第1出口47を閉塞する(
図3)位置との間で変形可能である。
【0057】
図3に示す位置において、薄膜53は、U乃至V字形状を有し、中央部分がダクト43の内壁に固定されて、その分岐部が上述の上流部61及び下流部65をそれぞれ形成する。
図4に示す位置において、薄膜53は、実質的に平面的な形状を有する。
【0058】
薄膜53の概略形状は、特にダクト43の断面形状に依存する。ダクト43が正方形の断面を有する場合、薄膜53は全体として長方形の形状を有し得る。こうして、薄膜53は、
図4においてダクト43の平面的な内面に当接されるように設計され得るとともに、その上流部61及び下流部65は、その周縁部が流体密封的に
図3におけるダクトの他の内面と協働するようにそれぞれ構成され得る。
【0059】
ダクト43が円形の断面を有する場合、薄膜53の上流部61及び下流部65は、円形又は楕円形の全体形状をそれぞれ有し得る。
【0060】
図3及び4のワイパーシステム1及びバルブ11は、以下の態様で動作し得る。ワイパー5に風防ガラス洗浄液を供給する必要が生じると、制御ユニット37は、バルブにコンテナ21からの風防ガラス洗浄液を供給するポンプ15を起動する。バルブ11の巻線51は、この段階においては電力供給されないままであり得るため、薄膜53は
図3に示す第1位置にあり続ける。この場合、風防ガラス洗浄液は、例えばワイパーの上方向への回転中に、第2出口49に連結されたワイパーのマニホルドに供給する。次いで、制御ユニット37は、バルブ11を起動する、すなわち巻線51への給電を起動する。こうして、薄膜53は、
図4に示す第2位置に移動し、これにより、風防ガラス洗浄液は、例えばワイパーの下方向への回転中に、第1出口47に連結されたワイパーのマニホルドに流れる。
【0061】
図5及び6は、本発明によるバルブの変形実施形態を示す。このバルブ11は、入口45と、1つのみの出口47とを有し、したがって、二方タイプであり、洗浄液をモノ・マニホルドワイパーに供給するために使用され得る。
図3及び4において使用した符号が、
図5及び6において同一の要素を示すために再度使用される。
【0062】
図3及び4の実施形態と
図5及び6の実施形態との本質的な構造的差異は、バルブの本体41が分岐部を有していないということである。薄膜53は、
図5に示すその第1位置においてダクト43を完全に閉塞し、
図6に示すその第2位置においてダクト43をフリーな状態とする。
【0063】
制御ユニット37は、
図5及び6のポンプ15とバルブ11との同時起動を指令し得る。こうして、風防ガラス洗浄液は、コンテナ21からワイパーのシングルマニホルドへ、バルブ11のダクト43を介して流れる。本発明は、上述の例に制限されるものではない。
【国際調査報告】