(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
抗CD47抗体に関連するまたは抗CD47抗体に由来する組成物および方法が開示される。より具体的には、CD47に結合する完全ヒト抗体、CD47抗体結合断片およびこのような抗体の誘導体、ならびにこのような断片を含むCD47結合ポリペプチドが開示される。さらに、このような抗体、抗体断片および誘導体およびポリペプチドをコードする核酸、このようなポリヌクレオチドを含む細胞、このような抗体、抗体断片および誘導体およびポリペプチドを作製する方法、ならびに疾患を治療する方法を含む、このような抗体、抗体断片および誘導体およびポリペプチドを使用する方法が開示される。
CD47エピトープに結合するIgGクラスの単離された完全ヒト抗CD47抗体であって、配列番号1、配列番号7、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号22、配列番号24、および配列番号32からなる群から選択されるアミノ酸配列と少なくとも95%同一である重鎖可変ドメイン配列、ならびに配列番号2、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号8、配列番号15、配列番号19、配列番号20、配列番号21、配列番号23、配列番号25、配列番号26、配列番号27、配列番号28、配列番号29、および配列番号30からなる群から選択されるアミノ酸配列と少なくとも95%同一である軽鎖可変ドメイン配列を含む完全ヒト抗CD47抗体。
抗体が、配列番号1/配列番号2(C47A8)、配列番号1/配列番号4(C47B10)、配列番号1/配列番号8(C47B10−1)、配列番号1/配列番号5(C47B10−1H4S)、配列番号1/配列番号6(C47B10−1F6S)、配列番号7/配列番号8(C47B10−2A9S)、配列番号9/配列番号8(C47B10−2B11S)、配列番号10/配列番号4(C47B10−2B8S)、配列番号11/配列番号4(C47B10−2C1S)、配列番号12/配列番号4(C47B10−2B9S)、配列番号13/配列番号4(2C4S)、配列番号14/配列番号15(C47B10−B1C)、配列番号16/配列番号15(C47B10−C6C)、配列番号17/配列番号15(C47B10−D3C)、配列番号18/配列番号15(C47B10−C11C)、配列番号19/配列番号15(C47B10−C11C)、配列番号1/配列番号20(C47KD8)、配列番号1/配列番号21(C47KD9)、配列番号1/配列番号8(C47B10−1H4S2)、配列番号32/配列番号15(C47B10−C3C)、配列番号1/配列番号19(C47K11)、配列番号22/配列番号8(C47B10−H3−D4)、配列番号1/配列番号23(C47B10−L1A−A10)、配列番号24/配列番号8(C47B10−H3−D3)、配列番号1/配列番号25(C47B10−L1A−A4)、配列番号1/配列番号26(C47B10−L3−B2)、配列番号1/配列番号27(C47A8−CA)、配列番号1/配列番号28(C47A8−CL)、配列番号1/配列番号29(C47−A8−CQ)、および配列番号1/配列番号30(C47A8−CS)からなる群から選択される重鎖/軽鎖可変ドメイン配列を含む、請求項1に記載の完全ヒト抗体。
配列番号1、配列番号7、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号22、配列番号24、および配列番号32からなる群から選択されるアミノ酸配列と少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメイン;ならびに配列番号2、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号8、配列番号15、配列番号19、配列番号20、配列番号21、配列番号23、配列番号25、配列番号26、配列番号27、配列番号28、配列番号29、および配列番号30からなる群から選択されるアミノ酸配列と少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインを含む抗CD47完全ヒト抗体Fab断片。
抗体が、配列番号1/配列番号2、配列番号1/配列番号4、配列番号1/配列番号5、配列番号1/配列番号8、配列番号1/配列番号6、配列番号7/配列番号8、配列番号9/配列番号8、配列番号10/配列番号4、配列番号11/配列番号4、配列番号12/配列番号4、配列番号13/配列番号4、配列番号14/配列番号15、配列番号16/配列番号15、配列番号17/配列番号15、配列番号18/配列番号15、配列番号1/配列番号20、配列番号1/配列番号21、配列番号1/配列番号22、配列番号1/配列番号8、配列番号32/配列番号15、配列番号1/配列番号19、配列番号22/配列番号8、配列番号1/配列番号23、配列番号24/配列番号8、配列番号1/配列番号25、配列番号1/配列番号26、配列番号1/配列番号27、配列番号1/配列番号28、配列番号1/配列番号29、および配列番号1/配列番号30からなる群から選択される重鎖/軽鎖可変ドメイン配列を含む、請求項4に記載の完全ヒト抗体Fab断片。
ペプチドリンカーによって連結された重鎖可変ドメインおよび軽鎖可変ドメインを含む抗CD47一本鎖ヒト抗体であって、重鎖可変ドメインが、配列番号1、配列番号7、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号22、配列番号24、および配列番号32からなる群から選択されるアミノ酸配列と少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を含み;軽鎖可変ドメインが、配列番号2、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号8、配列番号15、配列番号19、配列番号20、配列番号21、配列番号23、配列番号25、配列番号26、配列番号27、配列番号28、配列番号29、および配列番号30からなる群から選択されるアミノ酸配列と少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を含む、抗CD47一本鎖ヒト抗体。
一本鎖完全ヒト抗体が、配列番号1/配列番号2、配列番号1/配列番号4、配列番号1/配列番号5、配列番号1/配列番号8、配列番号1/配列番号6、配列番号7/配列番号8、配列番号9/配列番号8、配列番号10/配列番号4、配列番号11/配列番号4、配列番号12/配列番号4、配列番号13/配列番号4、配列番号14/配列番号15、配列番号16/配列番号15、配列番号17/配列番号15、配列番号18/配列番号15、配列番号19/配列番号15、配列番号1/配列番号20、配列番号1/配列番号21、配列番号1/配列番号22、配列番号1/配列番号8、配列番号32/配列番号15、配列番号1/配列番号19、配列番号22/配列番号8、配列番号1/配列番号23、配列番号24/配列番号8、配列番号1/配列番号25、配列番号1/配列番号26、配列番号1/配列番号27、配列番号1/配列番号28、配列番号1/配列番号29、および配列番号1/配列番号30からなる群から選択される重鎖/軽鎖可変ドメイン配列を含む、請求項7に記載の完全ヒト一本鎖抗体。
請求項1から9のいずれか一項に記載の有効量の抗CD47抗体または抗体断片を、それを必要とする対象に投与することを含む、がんまたは線維性疾患を治療する方法。
がんが、卵巣がん、結腸がん、乳がん、肺がん、骨髄腫、神経芽球由来のCNS腫瘍、単球性白血病、B細胞由来の白血病、T細胞由来の白血病、B細胞由来のリンパ腫、T細胞由来のリンパ腫、および肥満細胞由来の腫瘍からなる群から選択される、請求項10に記載の方法。
配列番号1、配列番号7、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号22、配列番号24、および配列番号32からなる群から選択される重鎖可変ドメインアミノ酸配列に記載される相補性決定領域(CDR)を含む重鎖可変ドメイン;ならびに配列番号2、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号8、配列番号15、配列番号19、配列番号20、配列番号21、配列番号23、配列番号25、配列番号26、配列番号27、配列番号28、配列番号29、および配列番号30からなる群から選択される軽鎖可変領域アミノ酸配列に記載されるCDRを含む軽鎖可変ドメインを含む、単離された抗CD47抗体またはその抗原結合断片。
請求項13に記載の有効量の抗CD47抗体またはその抗原結合断片を対象に投与し、それによりがんまたは線維性疾患を治療することを含む、それを必要とするヒト対象においてがんまたは線維性疾患を治療する方法。
がんが、卵巣がん、結腸がん、乳がん、肺がん、骨髄腫、神経芽球由来のCNS腫瘍、単球性白血病、B細胞由来の白血病、T細胞由来の白血病、B細胞由来のリンパ腫、T細胞由来のリンパ腫、および肥満細胞由来の腫瘍からなる群から選択される、請求項15に記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0028】
定義
用語「ペプチド」、「ポリペプチド」および「タンパク質」はそれぞれ、ペプチド結合により互いに繋がれている2つ以上のアミノ酸残基を含む分子を意味する。これらの用語は、例えば、タンパク質配列の天然および人工のタンパク質、タンパク質断片およびポリペプチド類似体(例えば、突然変異体、改変体および融合タンパク質)、ならびに翻訳後修飾、または他には共有結合もしくは非共有結合的に修飾されたタンパク質を包含する。ペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質は、単量体または重合体であってもよい。
【0029】
ポリペプチドの「改変体」(例えば、抗体の改変体)は、1つ以上のアミノ酸残基が、別のポリペプチド配列と比較してアミノ酸配列に挿入され、アミノ酸配列から欠失されおよび/または置換されるアミノ酸配列を含む。開示される改変体には、例えば、融合タンパク質が含まれる。
【0030】
ポリペプチドの「誘導体」は、例えば、別の化学的部分(例えば、ポリエチレングリコールまたはアルブミン、例えば、ヒト血清アルブミンのような)へのコンジュゲーション、リン酸化およびグリコシル化を介して化学的に修飾されているポリペプチド(例えば、抗体)である。他に指示がない限り、用語「抗体」には、2つの全長重鎖および2つの全長軽鎖を含む抗体に加えて、それらの誘導体、改変体、断片および突然変異タンパク質が含まれ、それらの例を以下に記載する。
【0031】
「抗原結合タンパク質」は、抗原に結合する部分を含むタンパク質であり、任意選択的に、抗原結合部分が、抗原結合タンパク質の抗原への結合を促進する構造を取ることを可能にする、骨格またはフレームワーク部分を含むタンパク質である。抗原結合タンパク質の例としては、抗体、抗体断片(例えば、抗体の抗原結合部分)、抗体誘導体および抗体類似体が含まれる。抗原結合タンパク質は、例えば、CDRまたはCDR誘導体が移植された、代替のタンパク質骨格または人工骨格を含んでいてもよい。このような骨格には、限定されないが、例えば、抗原結合タンパク質の3次元構造を安定化させるために導入される、突然変異を含む抗体由来の骨格、ならびに、例えば、生体適合性ポリマーを含む全合成骨格が含まれる。例えば、Korndorferら、2003年、Proteins:Structure,Function,and Bioinformatics、Volume 53、Issue 1:121−129頁;Roqueら、2004年、Biotechnol.Prog.20巻:639−654頁を参照されたい。さらに、ペプチド抗体模倣体(「PAM」)、ならびにフィブロネクチン成分を骨格として利用する抗体模倣物に基づく骨格を、使用することができる。
【0032】
抗原結合タンパク質は、例えば、免疫グロブリンの構造を有することができる。「免疫グロブリン」は、2つの同一対のポリペプチド鎖で構成される四量体分子であり、各対は1つの「軽」鎖(約25kDa)および1つの「重」鎖(約50−70kDa)を有する。各鎖のアミノ末端部分は、抗原認識に最初に関与する約100から110個以上のアミノ酸の可変領域を含む。各鎖のカルボキシ末端部分は、エフェクター機能に最初に関与する定常領域を画定する。ヒトの軽鎖は、カッパまたはラムダ軽鎖として分類される。重鎖は、ミュー、デルタ、ガンマ、アルファまたはイプシロンとして分類され、抗体のアイソタイプをそれぞれIgM、IgD、IgG、IgAおよびIgEと定義する。一実施形態において、本明細書に開示される抗CD47抗体は、重V
Hおよび軽V
Lアミノ酸配列におけるこれらの可変ドメイン領域配列によって特徴付けられる。軽鎖および重鎖内において、可変領域および定常領域は、約12個以上のアミノ酸の「J」領域によって結合し、重鎖はまた約10個以上のアミノ酸の「D」領域も含む。一般的には、Fundamental Immunology Ch.7(Paul,W.、編集、2nd ed.Raven Press、N.Y.(1989年))を参照されたい。各々の軽鎖/重鎖の対の可変領域は、インタクトな免疫グロブリンが2つの結合部位を有するように抗体結合部位を形成する。
【0033】
免疫グロブリン鎖の可変領域は、相補性決定領域またはCDRとも呼ばれる3つの超可変領域によって繋がれた、比較的保存されたフレームワーク領域(FR)の同じ一般構造を示す。N末端からC末端へ、軽鎖と重鎖の両方とも、FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3およびFR4ドメインを含む。各ドメインへのアミノ酸の割り当ては、Kabatら、in Sequences of Proteins of Immunological Interest、5th Ed.、US Dept.of Health and Human Services、PHS、NIH、NIH Publication no.91−3242、1991年の定義に従って行われる。免疫グロブリン鎖中のアミノ酸の他のナンバリングシステムには、IMGT.RTM.(国際ImMunoGeneTics情報システム;Lefrancら、Dev.Comp.Immunol.29巻:185−203頁;2005年)およびAHo(HoneggerおよびPluckthun、J.Mol.Biol.309巻(3号):657−670頁;2001年)が含まれる。
【0034】
「抗体」とは、他に特記しない限り、インタクトな免疫グロブリン、または特異的結合に関してインタクトな抗体と競合する、インタクトな免疫グロブリンの抗原結合部分を指す。一実施形態において、抗体は、重鎖可変ドメインならびに重鎖定常領域C
H1、C
H2およびC
H3を含む重鎖、ならびに軽鎖可変ドメインおよび軽鎖定常領域(C
L)を含む軽鎖を含む。重鎖および軽鎖可変ドメイン配列は、配列番号1から32において本明細書に記載されるものから選択され得る。
【0035】
抗体の抗原結合部分は、組換えDNA技術によって、またはインタクトな抗体の酵素的もしくは化学的切断によって生成され得る。抗原結合部分としては、とりわけ、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fv、ドメイン抗体(dAb)、および相補性決定領域(CDR)断片、一本鎖抗体(scFv)、キメラ抗体、ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディ、およびポリペプチドに特異的抗原結合を与えるのに十分な免疫グロブリンの少なくとも一部分を含有するポリペプチドが挙げられる。
【0036】
ある特定の実施形態において、抗体は、様々な抗原特異性を有する免疫グロブリンを含む血清または血漿のような供給源から得ることができる。このような抗体をアフィニティー精製に供する場合、それらは特定の抗原特異性に対して富化することができる。このような抗体の富化調製物は、通常、特定の抗原に対して特異的結合活性を有する約10%未満の抗体で作製される。これらの調製物を数回の親和性精製を行うことにより、抗原に対して特異的結合活性を有する抗体の割合を増加することができる。この方法で製造された抗体は、多くの場合、「単一特異的」抗体と呼ばれる。
【0037】
本明細書で使用される用語「単一特異的」とは、1つの特定のエピトープに対して親和性を示す抗体を意味する。単一特異的抗体調製物は、特定抗原に対する特異的結合活性を有する、約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、97%または99.9%の抗体により作製することができる。
【0038】
「抗体断片」または「抗体の抗原結合断片」は、インタクトな抗体の一部を含み、好ましくは抗体抗原結合ドメインまたは可変ドメインを含む。抗体断片の例としては、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fv断片および直鎖状抗体が挙げられる。
【0039】
Fab断片は、V
L、V
H、C
LおよびC
H1ドメインを有する一価断片であり;F(ab’)
2断片は、ヒンジ領域でジスルフィド架橋によって連結された2つのFab断片を有する二価断片であり;Fd断片は、V
HおよびC
H1ドメインを有し;Fv断片は、抗体の単一アームのV
LおよびV
Hドメインを有し;dAb断片は、V
Hドメイン、V
Lドメイン、またはV
HもしくはV
Lドメインの抗原結合断片を有する(米国特許第6,846,634号、同第6,696,245号;米国出願公開第2002/02512号、同第2004/0202995号、同第2004/0038291号、同第2004/0009507号、同第2003/0039958号;Wardら、Nature 341巻:544−546頁、1989年)。
【0040】
一本鎖抗体(scFv)は、V
LおよびV
H領域がリンカー(例えば、アミノ酸残基の合成配列)を介して連結されて、連続タンパク質鎖を形成する抗体であり、ここで、リンカーは、タンパク質鎖がそれ自体に折り重ねられて一価抗原結合部位を形成することを可能にするのに十分に長い(例えば、Birdら、1988年、Science 242巻:423−26頁、およびHustonら、1988年、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 85巻:5879−83頁参照)。
【0041】
ダイアボディは、2つのポリペプチド鎖を含む二価抗体であり、各ポリペプチド鎖は、同じ鎖の2つのドメイン同士を対合させるには短すぎ、故に、各ドメインを別のポリペプチド鎖の相補性ドメインと対合させるのを可能にするリンカーによって繋がれているV
HおよびV
Lドメインを含む(例えば、Holligerら、1993年、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90巻:6444−48頁、およびPoljakら、1994年、Structure 2巻:1121−23頁参照)。ダイアボディの2つのポリペプチド鎖が同一のとき、それらの対合からもたらされるダイアボディは2つの同一の抗原結合部位を有することになる。異なる配列を有するポリペプチド鎖を使用して、2つの異なる抗原結合部位を有するダイアボディを作製することができる。同様に、トリアボディおよびテトラボディは、それぞれ3つおよび4つのポリペプチド鎖を含み、それぞれ、同じでありまたは異なっていてよい、3つおよび4つの抗原結合部位を形成する、抗体である。
【0042】
抗原結合タンパク質、例えば、抗体は、1つ以上の結合部位を有し得る。1を超える結合部位があるとき、結合部位は、互いに同一であってもよくまたは異なってもよい。例えば、天然に存在するヒト免疫グロブリンは、典型的には、2つの同一な結合部位を有し、一方で、「二重特異性」または「二機能性」抗体は、2つの異なる結合部位を有する。
【0043】
用語「ヒト抗体」には、ヒト免疫グロブリン配列に由来する1つ以上の可変領域および定常領域を有する抗体が含まれる。一実施形態において、抗体の可変ドメインおよび定常ドメインのすべては、ヒト免疫グロブリン配列(「完全ヒト抗体」と呼ばれる。)に由来する。これらの抗体は、ヒト重鎖および/または軽鎖をコードする遺伝子に由来する抗体を発現するように遺伝子修飾されたマウスの目的の抗原を用いた免疫化を介することを含む、様々な方法において調製することができ、その例は以下に記載される。好ましい実施形態において、完全ヒト抗体は、抗体のグリコシル化パターンが、天然に存在する場合、同じアミノ酸配列を有する抗体とは異なるものとなるように組換え法を用いて作製される。
【0044】
「ヒト化抗体」は、1つ以上のアミノ酸の置換、欠失および/または付加によって非ヒト種に由来する抗体の配列とは異なる配列を有し、そのため、ヒト化抗体は、ヒト対象に投与されるとき、非ヒト種抗体と比較して、免疫応答を誘発する可能性が低く、および/または重篤度がより低い免疫応答を誘導する。一実施形態において、非ヒト種抗体の重鎖および/または軽鎖のフレームワークドメインおよび定常ドメイン内のある種のアミノ酸を突然変異させてヒト化抗体を作製する。別の実施形態において、ヒト抗体に由来する定常ドメインを非ヒト種の可変ドメインに融合する。別の実施形態において、非ヒト抗体の1つ以上のCDR配列における1つ以上のアミノ酸残基を変更して、それがヒト対象に投与される場合の非ヒト抗体の可能性のある免疫原性を低減させ、ここで、変更されたアミノ酸残基は、その抗原への抗体の免疫特異的結合に重要ではない、または行われるアミノ酸配列への変更は保存的変更であり、そのため、ヒト化抗体の抗原への結合が非ヒト抗体の抗原への結合よりも顕著には悪くならない。ヒト化抗体の作製方法の例は、米国特許第6,054,297号、第5,886,152号および第5,877,293号に見出すことができる。
【0045】
用語「キメラ抗体」とは、1つの抗体に由来する1つ以上の領域、および1つ以上の他の抗体に由来する1つ以上の領域とを含有する抗体を意味する。一実施形態において、CDRの1つ以上は、ヒト抗CD47抗体に由来する。別の実施形態において、CDRのすべてはヒト抗CD47抗体に由来する。別の実施形態において、1を超えるヒト抗CD47抗体に由来するCDRを混合し、キメラ抗体に合致させる。例えば、キメラ抗体は、第1のヒト抗CD47抗体の軽鎖由来のCDR1、第2のヒト抗CD47抗体の軽鎖由来のCDR2およびCDR3、ならびに第3の抗CD47抗体の重鎖由来のCDRを含み得る。他の組合せも可能である。
【0046】
さらに、フレームワーク領域は、同じ抗CD47抗体の1つに由来し、ヒト抗体のような1つ以上の異なる抗体に由来、またはヒト化抗体に由来してもよい。キメラ抗体の1つの例において、重鎖および/または軽鎖の一部分は、特定の種に由来し、または特定の抗体クラスもしくはサブクラスに属する抗体と、同一であり、相同であり、またはそれに由来するが、一方で、その鎖の残りの部分は、別の種に由来し、または別の抗体クラスもしくはサブクラスに属する抗体と、同一であり、相同であり、またはそれに由来する。所望の生物学的活性(すなわち、CD47に特異的に結合する能力)を示す、このような抗体の断片もまた含まれる。
【0047】
「阻害抗体」は、CD47の活性を阻害する抗体である。一実施形態において、抗CD47抗体は、その抗体が、CD47によるそのリガンドシグナル調節タンパク質−α(SIRPα)との結合を妨げることができる場合には阻害抗体である。一実施形態において、抗CD47阻害抗体は、過剰の抗CD47抗体がCD47活性の量を少なくとも約20%減少させる場合、CD47のタンパク質分解活性化を阻害する。CD47活性化は、当該技術分野において公知である種々の方法のいずれかによって、例えば、実施例において本明細書に記載されているようなアッセイを用いて決定することができる。様々な実施形態において、抗原結合タンパク質は、CD47のタンパク質分解活性の量を少なくとも30%、40%、50%、60%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、97%、99%および99.9%減少させる。
【0048】
「CDR移植抗体」は、特定の種またはアイソタイプの抗体由来の1つ以上のCDR、および同一でありまたは異なる種またはアイソタイプの別の抗体のフレームワークを含む抗体である。
【0049】
「多重特異的抗体」は、1つ以上の抗原上に1を超えるエピトープを認識する抗体である。抗体のこのタイプのサブクラスは、同一でありまたは異なる抗原上の2つの異なるエピトープを認識する「二重特異的抗体」である。
【0050】
抗原結合タンパク質は、1ナノモル以下の解離定数で抗原に結合するとき、抗原(例えば、ヒトCD47)に「特異的に結合する」。
【0051】
「抗原結合ドメイン」、「抗原結合領域」または「抗原結合部位」とは、抗原と相互作用し、抗原結合タンパク質の抗原に対する特異性および親和性に貢献するアミノ酸残基(または他の部分)を含む、抗原結合タンパク質の一部である。その抗原に特異的に結合する抗体に関して、これは、そのCDRドメインの少なくとも1つの少なくとも一部を含む。
【0052】
用語「Fcポリペプチド」には、抗体のFc領域に由来するポリペプチドの天然および突然変異形態が含まれる。二量体化を促進するヒンジ領域を含有するこのようなポリペプチドの切断形態もまた含まれる。Fc部分を含む融合タンパク質(およびそこから形成されたオリゴマー)は、プロテインAまたはプロテインGカラム上の親和性クロマトグラフィーによる容易な精製という利点を提供する。
【0053】
「エピトープ」は、抗原結合タンパク質によって(例えば、抗体によって。)結合される分子の部分である。エピトープは、分子の接触していない部分(例えば、ポリペプチド中、ポリペプチドの一次配列にて互いに連続しないが、ポリペプチドの三次構造および四次構造に関しては、抗原結合タンパク質によって結合されるのに十分近いアミノ酸残基)を含んでいてもよい。
【0054】
2つのポリヌクレオチドまたは2つのポリペプチド配列の「同一性パーセント」または「相同性パーセント」は、GAPコンピュータープログラム(GCG Wisconsin Package、version 10.3(Accelrys、San Diego、Calif.)の一部)を使用して、そのデフォルトパラメーターを使用して配列を比較することにより決定される。
【0055】
用語「ポリヌクレオチド」、「オリゴヌクレオチド」および「核酸」は、本明細書中、互換的に使用され、DNA分子(例えば、cDNAまたはゲノムDNA)、RNA分子(例えば、mRNA)、ヌクレオチド類似体(例えば、ペプチド、核酸および天然に存在しないヌクレオチド類似体)を使用して作製されるDNAまたはRNAの類似体、およびそれらのハイブリッドを含む。核酸分子は、一本鎖または二本鎖であり得る。一実施形態において、本発明の核酸分子は、抗体、または断片、その誘導体、突然変異体もしくは変異体をコードする隣接するオープンリーディングフレームを含む。
【0056】
2つの一本鎖ポリヌクレオチドは、それらの配列が、1つのポリヌクレオチド中の各ヌクレオチドが、ギャップの導入がなく、およびそれぞれの配列の5’末端または3’末端に不対ヌクレオチドがなく、他のポリヌクレオチド中のその相補的ヌクレオチドと反対になるように、逆並行方向に整列され得るとき、互いの「相補体」である。ポリヌクレオチドは、2つのポリヌクレオチドが適度にストリンジェントな条件下で互いにハイブリダイズし得るとき、別のポリヌクレオチドに「相補的」である。したがって、ポリヌクレオチドは、その相補体ではない別のポリヌクレオチドに相補的であってよい。
【0057】
「ベクター」は、細胞にそれと結合された別の核酸を導入するために使用され得る核酸である。1つのタイプのベクターは、「プラスミド」であり、付加的核酸部分がそこに結合され得る、直線状または環状の二本鎖DNA分子を意味する。別のタイプのベクターは、ウイルスベクター(例えば、複製欠損レトロウイルス、アデノウイルスおよびアデノ関連ウイルス)であり、付加的DNA部分がウイルスゲノム中に導入され得る。ある種のベクターは、それらが導入される宿主細胞中で自律的に複製可能である(例えば、細菌の複製起点を含む細菌ベクターおよびエピソーム哺乳動物ベクター)。他のベクター(例えば、非エピソーム哺乳動物ベクター)は、宿主細胞への導入時に、宿主細胞のゲノムに組み込まれ、それにより、宿主ゲノムとともに複製される。「発現ベクター」は、目的のポリヌクレオチドを発現させ得るタイプのベクターである。
【0058】
ヌクレオチド配列は、調節配列がヌクレオチド配列の発現(例えば、発現のレベル、時期または場所)に影響を与えるとき、調節配列に「作動可能に連結されている」。「調節配列」は、それが作動可能に連結されている核酸の発現(例えば、発現のレベル、時期または場所)に影響を与える核酸である。調節配列は、例えば、調節核酸に直接、または1つ以上の他の分子(例えば、調節配列および/または核酸に結合するポリペプチド)の作用を介して、その影響を及ぼし得る。調節配列の例としては、プロモーター、エンハンサーおよび他の発現制御エレメント(例えば、ポリアデニル化シグナル)が挙げられる。調節配列のさらなる例は、例えば、Goeddel、1990年、Gene Expression Technology:Methods in Enzymology 185,Academic Press,San Diego,Calif,およびBaronら、1995年、Nucleic Acids Res.23巻:3605−06頁に記載されている。
【0059】
「宿主細胞」は、核酸、例えば、本発明の核酸を発現するために使用され得る細胞である。宿主細胞は、原核生物、例えばE.コリ(E.coli)であり、または真核生物、例えば、単細胞真核生物(例えば、酵母または他の菌類)、植物細胞(例えば、タバコまたはトマト植物細胞)、動物細胞(例えば、ヒト細胞、サル細胞、ハムスター細胞、ラット細胞、マウス細胞、または昆虫細胞)またはハイブリドーマであり得る。宿主細胞の例としては、サル腎臓細胞のCOS−7株(ATCC CRL 1651)(Gluzmanら、1981年、Cell 23巻:175頁参照)、L細胞、C127細胞、3T3細胞(ATCC CCL 163)、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞もしくはVeggie CHOおよび血清不含有培地中で増殖させた関連する細胞株(Rasmussenら、1998年、Cytotechnology 28巻:31頁参照)のようなそれらの誘導株、またはDHFR中に欠損を有するCHO株DX−B11(Urlaubら、1980年、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 77巻:4216−20頁参照)、HeLa細胞、BHK(ATCC CRL 10)細胞株、アフリカミドリザル腎臓細胞株CV1由来のCV1/EBNA細胞株(ATCC CCL 70)(McMahanら、1991年、EMBO J.10巻:2821頁参照)、293、293 EBNAまたはMSR 293のようなヒト胎児性腎臓細胞、ヒト上皮A431細胞、ヒトColo205細胞、他の形質転換した霊長動物細胞株、正常2倍体細胞、インビトロでの一次組織培養物に由来する細胞株、初代外植片、HL−60、U937、HaKまたはJurkat細胞が挙げられる。一実施形態において、宿主細胞は、哺乳動物宿主細胞であるが、ヒト宿主細胞ではない。典型的に、宿主細胞は、ポリペプチドをコードする核酸を用いて形質転換またはトランスフェクトされ得て、次に、宿主細胞中で発現され得る培養細胞である。語句「組換え宿主細胞」は、発現されるべき核酸を用いて形質転換またはトランスフェクトされている宿主細胞を示すために用いられ得る。宿主細胞はまた、核酸を含むが、核酸と作動可能に連結されるように、調節配列が宿主細胞中に導入されない限り、所望のレベルでそれを発現しない細胞であり得る。宿主細胞なる用語は、特定の対象細胞のみを意味するのではなく、このような細胞の後代系統または可能性のある後代系統を意味することが理解される。ある種の修飾がその後代において、例えば突然変異または環境の影響により起こり得るため、このような後代系統は、実際に、親細胞と同一ではない場合があるが、それでも本明細書において用いられる用語の範囲内に包含される。
【0060】
用語「組換え抗体」とは、抗体(またはその部分)のコード配列を含む発現ベクター(または場合により1を超える発現ベクター)をトランスフェクトされた細胞または細胞株から発現される抗体を意味し、この場合、該コード配列は、天然において細胞と関連していない。一実施形態において、組換え抗体は、天然に存在する場合、同じ配列を有する抗体のグリコシル化パターンとは異なるグリコシル化パターンを有する。一実施形態において、組換え抗体は、ヒト宿主細胞ではない哺乳動物宿主細胞において発現される。特に、個々の哺乳動物宿主細胞は、固有のグリコシル化パターンを有する。
【0061】
本明細書で使用される用語「有効量」とは、対象に投与される場合、本明細書に記載されるCD47依存性シグナル伝達に関連する疾患の治療、予後診断または診断を達成するのに十分な、CD47に結合する抗体またはその抗原結合部分の量を意味する。本明細書において提供される治療有効量の抗体は、単独でまたは組み合わせて使用される場合、抗体(例えば、CD47を発現するがん細胞のマクロファージ媒介食作用を促進すること)の相対活性に依存して変化し、処置される対象および疾患状態、対象の体重および年齢、疾患状態の重症度、投与様式などに依存して変化し、これらは当業者によって容易に決定され得る。
【0062】
本明細書で使用される用語「単離された」とは、他の細胞物質を実質的に含まないタンパク質(例えば、抗体)を意味する。一実施形態において、単離された抗体は、同じ種に由来する他のタンパク質を実質的に含まない。一実施形態において、単離された抗体は、異なる種由来の細胞によって発現され、異なる種由来の他のタンパク質を実質的に含まない。タンパク質は、当該技術分野において周知であるタンパク質精製技術を使用して、単離により、天然に会合した成分(または抗体を産生するために使用される細胞発現系に関連する成分)を実質的に含まない状態であってもよい。一実施形態において、本発明の抗体または抗原結合断片が単離される。
【0063】
CD47抗原結合タンパク質
本発明は、CD47、例えば、ヒトCD47に結合するCD47結合タンパク質、特に抗CD47抗体またはそれらの抗原結合部分、およびその使用に関する。本発明の様々な態様は、抗体および抗体断片、医薬組成物、核酸、組換え発現ベクター、ならびにこのような抗体および断片を作製するための宿主細胞に関する。ヒトCD47を検出するため、インビトロまたはインビボのいずれかでCD47活性を抑制するため、およびがんのような障害を予防または治療するための本発明の抗体の使用方法はまた、本発明により包含される。
【0064】
以下の表5に記載されるように、本発明には、CD47に特異的な新規抗体の重鎖および軽鎖可変領域が含まれる。一実施形態において、本発明は、配列番号1、7、9、10、11、12、13、14、16、17、18、22、24および32のいずれか1つに記載されるアミノ酸配列を含む可変ドメインを有する重鎖を含む抗CD47抗体またはその抗原結合断片を提供する。一実施形態において、本発明は、配列番号2、4、5、6、8、15、19、20、21、23、25、26、27、28、29、および30のいずれか1つに記載されるアミノ酸配列を含む可変ドメインを有する軽鎖を含む、抗CD47抗体またはその抗原結合断片を提供する。一実施形態において、本発明は、配列番号2、4、5、6、8、15、19、20、21、23、25、26、27、28、29および30のいずれか1つに記載されるアミノ酸配列を含む可変ドメインを有する軽鎖、ならびに配列番号1、7、9、10、11、12、13、14、16、17、18、22、24および32のいずれか1つに記載されるアミノ酸配列を含む可変ドメインを有する重鎖を含む抗CD47抗体またはその抗原結合断片を提供する。
【0065】
相補性決定領域(CDR)は、軽鎖可変ドメインと重鎖可変ドメインの両方の超可変領域として知られている。可変ドメインのより高度に保存された部分は、フレームワーク(FR)と呼ばれる。所定の抗体の相補性決定領域(CDR)およびフレームワーク領域(FR)は、上記のKabatら;上記のLefrancらおよび/または上記のHoneggerおよびPluckthunに記載のシステムを使用して、同定することができる。また、当業者が親しいのは、Kabatら(1991年、NIH Publication 91−3242、National Technical Information Service、Springfield、Va)に記載される番号付けシステムである。これに関して、Kabatらは、任意の抗体に適用可能な可変ドメイン配列のための番号付けシステムを定義した。当業者は、配列自体を超えたいずれの実験データに依存することなく、この「カバット番号付け」システムを任意の可変ドメインのアミノ酸配列に明白に割り当てることができる。
【0066】
ある特定の実施形態において、本発明は、表5に記載のような重鎖および軽鎖可変ドメインのCDRを含む抗CD47抗体を提供する(配列番号1−32)。例えば、本発明は、配列番号1、7、9、10、11、12、13、14、16、17、18、22、24および32のいずれか1つに記載されるアミノ酸配列に記載されるCDRを有する重鎖可変領域を含む抗CD47抗体またはその抗原結合断片を提供する。一実施形態において、本発明は、配列番号2、4、5、6、8、15、19、20、21、23、25、26、27、28、29および30のいずれか1つに記載されるアミノ酸配列に記載されるCDRを有する軽鎖可変領域を含む抗CD47抗体またはその抗原結合断片を提供する。一実施形態において、本発明は、配列番号2、4、5、6、8、15、19、20、21、23、25、26、27、28、29および30のいずれか1つに記載されるアミノ酸配列に記載されるCDRを有する軽鎖可変領域を含み;配列番号1、7、9、10、11、12、13、14、16、17、18、22、24および32のいずれか1つに記載されるアミノ酸配列に記載されるCDRを有する重鎖可変領域を含む抗CD47抗体またはその抗原結合断片を提供する。
【0067】
1つ以上のCDRは、共有結合または非共有結合のいずれかで分子に組み込まれて、それを抗原結合タンパク質にすることができる。抗原結合タンパク質は、CDRをより大きなポリペプチド鎖の一部として組み込むことができ、CDRを別のポリペプチド鎖に共有結合させることができ、またはCDRを非共有結合的に組み込むことができる。CDRは、抗原結合タンパク質が、目的とされる特定の抗原に特異的に結合することを可能にする。
【0068】
一実施形態において、本開示は、CD47エピトープに結合し、配列番号1、配列番号7、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号16、配列番号17、配列番号18、22、配列番号24、配列番号32、およびそれらの組合せからなる群から選択されるアミノ酸配列と少なくとも95%同一、少なくとも96%同一、少なくとも97%同一、少なくとも98%同一、または少なくとも99%同一である重鎖可変ドメイン配列、ならびに配列番号2、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号8、配列番号15、配列番号19、配列番号20、配列番号21、配列番号23、配列番号25、配列番号26、配列番号27、配列番号28、配列番号29、および配列番号30、ならびにそれらの組合せからなるアミノ酸配列と少なくとも95%同一、少なくとも96%同一、少なくとも97%同一、少なくとも98%同一、または少なくとも99%同一である軽鎖可変ドメイン配列を有するIgGクラスの完全ヒト抗体を提供する。一実施形態において、CD47に結合するIgGクラスの抗体は、CD47に対する結合親和性が10
−6M以下である。一実施形態において、完全ヒト抗体は、重鎖と軽鎖の両方を有し、ここで、抗体は、配列番号1/配列番号2(本明細書においてC47A8と呼ばれる。)、配列番号1/配列番号4(本明細書においてC47B10と呼ばれる。)、配列番号1/配列番号5(本明細書においてC47B10−1H4Sと呼ばれる。)、配列番号1/配列番号8(本明細書においてC47B10−1と呼ばれる。)、配列番号1/配列番号6(本明細書においてC47B10−1F6Sと呼ばれる。)、配列番号7/配列番号8(本明細書においてC47B10−2A9Sと呼ばれる。)、配列番号9/配列番号8(本明細書においてC47B10−2B11Sと呼ばれる。)、配列番号10/配列番号4(本明細書においてC47B10−2B8Sと呼ばれる。)、配列番号11/配列番号4(本明細書においてC47B10−2C1Sと呼ばれる。)、配列番号12/配列番号4(本明細書においてC47B10−2B9Sと呼ばれる。)、配列番号13/配列番号4(本明細書においてC47B10−2C4Sと呼ばれる。)、配列番号14/配列番号15(本明細書においてC47B10−B1Cと呼ばれる。)、配列番号16/配列番号15(本明細書においてC47B10−C6Cと呼ばれる。)、配列番号32/配列番号15(本明細書においてC47B10−C3Cと呼ばれる。)、配列番号17/配列番号15(本明細書においてC47B10−D3Cと呼ばれる。)、配列番号18/配列番号15(本明細書においてC47B10−C11Cと呼ばれる。)、配列番号1/配列番号19(本明細書においてC47K11と呼ばれる。)、配列番号1/配列番号20(本明細書においてC47KD8と呼ばれる。)、配列番号1/配列番号21(本明細書においてC47KD9と呼ばれる。)、配列番号22/配列番号8(本明細書においてC47B10−H3−D4と呼ばれる。)、配列番号1/配列番号23(本明細書においてC47B10−L1A−A10と呼ばれる。)、配列番号24/配列番号8(C47B10−H3−D3)、配列番号1/配列番号25(本明細書においてC47B10−L1A−A4と呼ばれる。)、配列番号1/配列番号26(本明細書においてC47B10−L3−B2と呼ばれる。)、配列番号1/配列番号27(本明細書においてC47−A8−CAと呼ばれる。)、配列番号1/配列番号28(本明細書においてC47−A8−CLと呼ばれる。)、配列番号1/配列番号29(本明細書においてC47−A8−CQと呼ばれる。)、および配列番号1/配列番号30(本明細書においてC47A8−CSと呼ばれる、ならびにそれらの組合せからなる群から選択される重鎖/軽鎖可変ドメイン配列を有する。
【0069】
全体を通じて記載されている抗CD47抗体は、その名称の前に「C47」が付されていてもいなくてもよいことに留意されたい。例えば、C47KD8は、全体を通じて互換的に、C47KD8およびKD8と称される。
【0070】
一実施形態では、本発明は、配列番号1、7、9、10、11、12、13、14、16、17、18、22、24および32のいずれか1つに記載されるCDR3ドメインを含み、配列番号1、7、9、10、11、12、13、14、16、17、18、22、24および32のいずれか1つに記載される配列と少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも99%同一であるアミノ酸配列を含む可変ドメインを含む重鎖を含む抗CD47抗体またはその抗原結合断片を提供する。一実施形態では、本発明は、配列番号2、4、5、6、8、15、19、20、21、23、25、26、27、28、29および30のいずれか1つに記載されるCDR3ドメインを含み、配列番号2、4、5、6、8、15、19、20、21、23、25、26、27、28、および30のいずれか1つに記載される配列と少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも99%同一であるアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインを有する軽鎖を含む抗CD47抗体またはその抗原結合断片を提供する。したがって、ある特定の実施形態において、抗体またはその抗原結合断片が、CD47に結合する能力を保持し、親の機能的特徴、例えば結合親和性を保持する一方で、重鎖および/または軽鎖の残りのCDRおよび/またはフレームワーク領域に可変性を導入することができるが、CDR3ドメインは一定に保つ。
【0071】
一実施形態において、少なくとも95%同一(または少なくとも96%同一、または少なくとも97%同一、または少なくとも98%同一、または少なくとも99%同一)である重鎖または軽鎖内でなされる置換は、保存的アミノ酸置換である。「保存的アミノ酸置換」は、アミノ酸残基が、類似の化学的特性(例えば、電荷または疎水性)を有する側鎖(R基)を有する別のアミノ酸残基によって置換されているものである。一般的に、保存的アミノ酸置換は、タンパク質の機能的特性を実質的に変化させない。2つ以上のアミノ酸配列が保存的置換によって互いに異なる場合、置換の保存的性質を正すために、配列同一性パーセントまたは類似性の程度を上方に調整することがある。この調節を行うための手段は、当業者に周知である。例えば、参照により本明細書に組み込む、Pearson(1994年)Methods Mol.Biol.24巻:307−331頁を参照されたい。類似の化学的特性を有する側鎖を有するアミノ酸の群の例には、以下が含まれる。(1)脂肪族側鎖:グリシン、アラニン、バリン、ロイシンおよびイソロイシン;(2)脂肪族−ヒドロキシル側鎖:セリンおよびスレオニン;(3)アミド含有側鎖:アスパラギンおよびグルタミン;(4)芳香族側鎖:フェニルアラニン、チロシン、およびトリプトファン;(5)塩基性側鎖:リジン、アルギニン、およびヒスチジン;(6)酸性側鎖:アスパラギン酸およびグルタミン酸、ならびに(7)硫黄含有側鎖はシステインおよびメチオニンである。
【0072】
一実施形態において、本発明は、表5に記載される抗体のいずれかの抗原結合領域を有する抗体またはその抗原結合断片に関する。
【0073】
一実施形態において、本発明は、抗体C47A8の抗原結合領域を有する抗体またはその抗原結合断片に関する。一実施形態において、本発明は、配列番号1に記載される重鎖可変ドメイン配列、および配列番号2に記載される軽鎖可変ドメイン配列を含む抗体またはその抗原結合断片を提供する。一実施形態において、本発明は、配列番号1のCDRを含む重鎖可変ドメイン、および配列番号2のCDRを含む軽鎖可変ドメインを有する抗体に関する。一実施形態において、本発明は、配列番号1に記載される配列と少なくとも95%同一、少なくとも96%同一、少なくとも97%同一、少なくとも98%同一、または少なくとも99%同一であるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域を含み、配列番号2に記載される配列と少なくとも95%同一、少なくとも96%同一、少なくとも97%同一、少なくとも98%同一、または少なくとも99%同一であるアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域を含む、単離されたヒト抗体またはその抗原結合断片を特徴とする。さらに、抗体は、IgG1またはIgG4アイソタイプであってもよい。
【0074】
一実施形態において、本発明は、抗体C47B10の抗原結合領域を有する抗体またはその抗原結合断片に関する。一実施形態において、本発明は、配列番号1に記載される重鎖可変ドメイン配列、および配列番号4に記載される軽鎖可変ドメイン配列を含む抗体またはその抗原結合断片を提供する。一実施形態において、本発明は、配列番号1のCDRを含む重鎖可変ドメイン、および配列番号4のCDRを含む軽鎖可変ドメインを有する抗体に関する。一実施形態において、本発明は、配列番号1に記載される配列と少なくとも95%同一、少なくとも96%同一、少なくとも97%同一、少なくとも98%同一、または少なくとも99%同一であるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域を含み、配列番号4に記載される配列と少なくとも95%同一、少なくとも96%同一、少なくとも97%同一、少なくとも98%同一、または少なくとも99%同一であるアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域を含む、単離されたヒト抗体またはその抗原結合断片を特徴とする。さらに、抗体は、IgG1またはIgG4アイソタイプであってもよい。
【0075】
一実施形態において、本発明は、抗体C47B10−1H4Sの抗原結合領域を有する抗体またはその抗原結合断片に関する。一実施形態において、本発明は、配列番号1に記載される重鎖可変ドメイン配列、および配列番号5に記載される軽鎖可変ドメイン配列を含む抗体またはその抗原結合断片を提供する。一実施形態において、本発明は、配列番号1のCDRを含む重鎖可変ドメイン、および配列番号5のCDRを含む軽鎖可変ドメインを有する抗体に関する。一実施形態において、本発明は、配列番号1に記載される配列と少なくとも95%同一、少なくとも96%同一、少なくとも97%同一、少なくとも98%同一、または少なくとも99%同一であるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域を含み、配列番号5に記載される配列と少なくとも95%同一、少なくとも96%同一、少なくとも97%同一、少なくとも98%同一、または少なくとも99%同一であるアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域を含む、単離されたヒト抗体またはその抗原結合断片を特徴とする。さらに、抗体は、IgG1またはIgG4アイソタイプであってもよい。
【0076】
一実施形態において、本発明は、抗体C47B10−1の抗原結合領域を有する抗体またはその抗原結合断片に関する。一実施形態において、本発明は、配列番号1に記載される重鎖可変ドメイン配列、および配列番号8に記載される軽鎖可変ドメイン配列を含む抗体またはその抗原結合断片を提供する。一実施形態において、本発明は、配列番号1のCDRを含む重鎖可変ドメイン、および配列番号8のCDRを含む軽鎖可変ドメインを有する抗体に関する。一実施形態において、本発明は、配列番号1に記載される配列と少なくとも95%同一、少なくとも96%同一、少なくとも97%同一、少なくとも98%同一、または少なくとも99%同一であるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域を含み、配列番号8に記載される配列と少なくとも95%同一、少なくとも96%同一、少なくとも97%同一、少なくとも98%同一、または少なくとも99%同一であるアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域を含む、単離されたヒト抗体またはその抗原結合断片を特徴とする。さらに、抗体は、IgG1またはIgG4アイソタイプであってもよい。
【0077】
一実施形態において、本発明は、抗体C47B10−1F6Sの抗原結合領域を有する抗体またはその抗原結合断片に関する。一実施形態において、本発明は、配列番号1に記載される重鎖可変ドメイン配列、および配列番号6に記載される軽鎖可変ドメイン配列を含む抗体またはその抗原結合断片を提供する。一実施形態において、本発明は、配列番号1のCDRを含む重鎖可変ドメイン、および配列番号6のCDRを含む軽鎖可変ドメインを有する抗体に関する。一実施形態において、本発明は、配列番号1に記載される配列と少なくとも95%同一、少なくとも96%同一、少なくとも97%同一、少なくとも98%同一、または少なくとも99%同一であるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域を含み、配列番号6に記載される配列と少なくとも95%同一、少なくとも96%同一、少なくとも97%同一、少なくとも98%同一、または少なくとも99%同一であるアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域を含む、単離されたヒト抗体またはその抗原結合断片を特徴とする。さらに、抗体は、IgG1またはIgG4アイソタイプであってもよい。
【0078】
一実施形態において、本発明は、抗体C47B10−2A9Sの抗原結合領域を有する抗体またはその抗原結合断片に関する。一実施形態において、本発明は、配列番号7に記載される重鎖可変ドメイン配列、および配列番号8に記載される軽鎖可変ドメイン配列を含む抗体またはその抗原結合断片を提供する。一実施形態において、本発明は、配列番号7のCDRを含む重鎖可変ドメイン、および配列番号8のCDRを含む軽鎖可変ドメインを有する抗体に関する。一実施形態において、本発明は、配列番号7に記載される配列と少なくとも95%同一、少なくとも96%同一、少なくとも97%同一、少なくとも98%同一、または少なくとも99%同一であるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域を含み、配列番号8に記載される配列と少なくとも95%同一、少なくとも96%同一、少なくとも97%同一、少なくとも98%同一、または少なくとも99%同一であるアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域を含む、単離されたヒト抗体またはその抗原結合断片を特徴とする。さらに、抗体は、IgG1またはIgG4アイソタイプであってもよい。
【0079】
一実施形態において、本発明は、抗体C47B10−2B11Sの抗原結合領域を有する抗体またはその抗原結合断片に関する。一実施形態において、本発明は、配列番号9に記載される重鎖可変ドメイン配列、および配列番号8に記載される軽鎖可変ドメイン配列を含む抗体またはその抗原結合断片を提供する。一実施形態において、本発明は、配列番号9のCDRを含む重鎖可変ドメイン、および配列番号8のCDRを含む軽鎖可変ドメインを有する抗体に関する。一実施形態において、本発明は、配列番号9に記載される配列と少なくとも95%同一、少なくとも96%同一、少なくとも97%同一、少なくとも98%同一、または少なくとも99%同一であるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域を含み、配列番号8に記載される配列と少なくとも95%同一、少なくとも96%同一、少なくとも97%同一、少なくとも98%同一、または少なくとも99%同一であるアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域を含む、単離されたヒト抗体またはその抗原結合断片を特徴とする。さらに、抗体は、IgG1またはIgG4アイソタイプであってもよい。
【0080】
一実施形態において、本発明は、抗体C47B10−2B8Sの抗原結合領域を有する抗体またはその抗原結合断片に関する。一実施形態において、本発明は、配列番号10に記載される重鎖可変ドメイン配列、および配列番号4に記載される軽鎖可変ドメイン配列を含む抗体またはその抗原結合断片を提供する。一実施形態において、本発明は、配列番号10のCDRを含む重鎖可変ドメイン、および配列番号4のCDRを含む軽鎖可変ドメインを有する抗体に関する。一実施形態において、本発明は、配列番号10に記載される配列と少なくとも95%同一、少なくとも96%同一、少なくとも97%同一、少なくとも98%同一または少なくとも99%同一であるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域を含み、配列番号4に記載される配列と少なくとも95%同一、少なくとも96%同一、少なくとも97%同一、少なくとも98%同一または少なくとも99%同一であるアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域を含む、単離されたヒト抗体またはその抗原結合断片を特徴とする。抗体はさらに、IgG1またはIgG4アイソタイプであってもよい。
【0081】
一実施形態において、本発明は、抗体C47B10−2C1Sの抗原結合領域を有する抗体またはその抗原結合断片に関する。一実施形態において、本発明は、配列番号11に記載される重鎖可変ドメイン配列および配列番号4に記載される軽鎖可変ドメイン配列を含む抗体またはその抗原結合断片を提供する。一実施形態において、本発明は、配列番号11のCDRを含む重鎖可変ドメインおよび配列番号4のCDRを含む軽鎖可変ドメインを有する抗体に関する。一実施形態において、本発明は、配列番号11に記載される配列と少なくとも95%同一、少なくとも96%同一、少なくとも97%同一、少なくとも98%同一または少なくとも99%同一であるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域を含み、配列番号4に記載される配列と少なくとも95%同一、少なくとも96%同一、少なくとも97%同一、少なくとも98%同一または少なくとも99%同一であるアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域を含む、単離されたヒト抗体またはその抗原結合断片を特徴とする。抗体はさらに、IgG1またはIgG4アイソタイプであってもよい。
【0082】
一実施形態において、本発明は、抗体C47B10−2B9Sの抗原結合領域を有する抗体またはその抗原結合断片に関する。一実施形態において、本発明は、配列番号12に記載される重鎖可変ドメイン配列および配列番号4に記載される軽鎖可変ドメイン配列を含む抗体またはその抗原結合断片を提供する。一実施形態において、本発明は、配列番号12のCDRを含む重鎖可変ドメインおよび配列番号4のCDRを含む軽鎖可変ドメインを有する抗体に関する。一実施形態において、本発明は、配列番号12に記載される配列と少なくとも95%同一、少なくとも96%同一、少なくとも97%同一、少なくとも98%同一または少なくとも99%同一であるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域を含み、配列番号4に記載される配列と少なくとも95%同一、少なくとも96%同一、少なくとも97%同一、少なくとも98%同一または少なくとも99%同一であるアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域を含む、単離されたヒト抗体またはその抗原結合断片を特徴とする。抗体はさらに、IgG1またはIgG4アイソタイプであってもよい。
【0083】
一実施形態において、本発明は、抗体C47B10−2C4Sの抗原結合領域を有する抗体またはその抗原結合断片に関する。一実施形態において、本発明は、配列番号13に記載される重鎖可変ドメイン配列および配列番号4に記載される軽鎖可変ドメイン配列を含む抗体またはその抗原結合断片を提供する。一実施形態において、本発明は、配列番号13のCDRを含む重鎖可変ドメインおよび配列番号4のCDRを含む軽鎖可変ドメインを有する抗体に関する。一実施形態において、本発明は、配列番号13に記載される配列と少なくとも95%同一、少なくとも96%同一、少なくとも97%同一、少なくとも98%同一または少なくとも99%同一であるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域を含み、配列番号4に記載される配列と少なくとも95%同一、少なくとも96%同一、少なくとも97%同一、少なくとも98%同一または少なくとも99%同一であるアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域を含む、単離されたヒト抗体またはその抗原結合断片を特徴とする。抗体はさらに、IgG1またはIgG4アイソタイプであってもよい。
【0084】
一実施形態において、本発明は、抗体C47B10−B1Cの抗原結合領域を有する抗体またはその抗原結合断片に関する。一実施形態において、本発明は、配列番号14に記載される重鎖可変ドメイン配列および配列番号15に記載される軽鎖可変ドメイン配列を含む抗体またはその抗原結合断片を提供する。一実施形態において、本発明は、配列番号14のCDRを含む重鎖可変ドメインおよび配列番号15のCDRを含む軽鎖可変ドメインを有する抗体に関する。一実施形態において、本発明は、配列番号14に記載される配列と少なくとも95%同一、少なくとも96%同一、少なくとも97%同一、少なくとも98%同一または少なくとも99%同一であるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域を含み、配列番号15に記載される配列と少なくとも95%同一、少なくとも96%同一、少なくとも97%同一、少なくとも98%同一または少なくとも99%同一であるアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域を含む、単離されたヒト抗体またはその抗原結合断片を特徴とする。抗体はさらに、IgG1またはIgG4アイソタイプであってもよい。
【0085】
一実施形態において、本発明は、抗体C47B10−C6Cの抗原結合領域を有する抗体またはその抗原結合断片に関する。一実施形態において、本発明は、配列番号16に記載される重鎖可変ドメイン配列および配列番号15に記載される軽鎖可変ドメイン配列を含む抗体またはその抗原結合断片を提供する。一実施形態において、本発明は、配列番号16のCDRを含む重鎖可変ドメインおよび配列番号15のCDRを含む軽鎖可変ドメインを有する抗体に関する。一実施形態において、本発明は、配列番号16に記載される配列と少なくとも95%同一、少なくとも96%同一、少なくとも97%同一、少なくとも98%同一または少なくとも99%同一であるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域を含み、配列番号15に記載される配列と少なくとも95%同一、少なくとも96%同一、少なくとも97%同一、少なくとも98%同一または少なくとも99%同一であるアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域を含む、単離されたヒト抗体またはその抗原結合断片を特徴とする。抗体はさらに、IgG1またはIgG4アイソタイプであってもよい。
【0086】
一実施形態において、本発明は、抗体C47B10−C3Cの抗原結合領域を有する抗体またはその抗原結合断片に関する。一実施形態において、本発明は、配列番号32に記載される重鎖可変ドメイン配列および配列番号15に記載される軽鎖可変ドメイン配列を含む抗体またはその抗原結合断片を提供する。一実施形態において、本発明は、配列番号32のCDRを含む重鎖可変ドメインおよび配列番号15のCDRを含む軽鎖可変ドメインを有する抗体に関する。一実施形態において、本発明は、配列番号32に記載される配列と少なくとも95%同一、少なくとも96%同一、少なくとも97%同一、少なくとも98%同一または少なくとも99%同一であるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域を含み、配列番号15に記載される配列と少なくとも95%同一、少なくとも96%同一、少なくとも97%同一、少なくとも98%同一または少なくとも99%同一であるアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域を含む、単離されたヒト抗体またはその抗原結合断片を特徴とする。抗体はさらに、IgG1またはIgG4アイソタイプであってもよい。
【0087】
一実施形態において、本発明は、抗体C47B10−D3Cの抗原結合領域を有する抗体またはその抗原結合断片に関する。一実施形態において、本発明は、配列番号17に記載される重鎖可変ドメイン配列および配列番号15に記載される軽鎖可変ドメイン配列を含む抗体またはその抗原結合断片を提供する。一実施形態において、本発明は、配列番号17のCDRを含む重鎖可変ドメインおよび配列番号15のCDRを含む軽鎖可変ドメインを有する抗体に関する。一実施形態において、本発明は、配列番号17に記載される配列と少なくとも95%同一、少なくとも96%同一、少なくとも97%同一、少なくとも98%同一または少なくとも99%同一であるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域を含み、配列番号15に記載される配列と少なくとも95%同一、少なくとも96%同一、少なくとも97%同一、少なくとも98%同一または少なくとも99%同一であるアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域を含む、単離されたヒト抗体またはその抗原結合断片を特徴とする。抗体はさらに、IgG1またはIgG4アイソタイプであってもよい。
【0088】
一実施形態において、本発明は、抗体C47B10−C11Cの抗原結合領域を有する抗体またはその抗原結合断片に関する。一実施形態において、本発明は、配列番号18に記載される重鎖可変ドメイン配列および配列番号15に記載される軽鎖可変ドメイン配列を含む抗体またはその抗原結合断片を提供する。一実施形態において、本発明は、配列番号18のCDRを含む重鎖可変ドメインおよび配列番号15のCDRを含む軽鎖可変ドメインを有する抗体に関する。一実施形態において、本発明は、配列番号18に記載される配列と少なくとも95%同一、少なくとも96%同一、少なくとも97%同一、少なくとも98%同一または少なくとも99%同一であるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域を含み、配列番号15に記載される配列と少なくとも95%同一、少なくとも96%同一、少なくとも97%同一、少なくとも98%同一または少なくとも99%同一であるアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域を含む、単離されたヒト抗体またはその抗原結合断片を特徴とする。抗体はさらに、IgG1またはIgG4アイソタイプであってもよい。
【0089】
一実施形態において、本発明は、抗体C47K11の抗原結合領域を有する抗体またはその抗原結合断片に関する。一実施形態において、本発明は、配列番号1に記載される重鎖可変ドメイン配列および配列番号19に記載される軽鎖可変ドメイン配列を含む抗体またはその抗原結合断片を提供する。一実施形態において、本発明は、配列番号1のCDRを含む重鎖可変ドメインおよび配列番号19のCDRを含む軽鎖可変ドメインを有する抗体に関する。一実施形態において、本発明は、配列番号1に記載される配列と少なくとも95%同一、少なくとも96%同一、少なくとも97%同一、少なくとも98%同一または少なくとも99%同一であるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域を含み、配列番号19に記載される配列と少なくとも95%同一、少なくとも96%同一、少なくとも97%同一、少なくとも98%同一または少なくとも99%同一であるアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域を含む、単離されたヒト抗体またはその抗原結合断片を特徴とする。抗体はさらに、IgG1またはIgG4アイソタイプであってもよい。
【0090】
一実施形態において、本発明は、抗体C47KD8の抗原結合領域を有する抗体またはその抗原結合断片に関する。一実施形態において、本発明は、配列番号1に記載される重鎖可変ドメイン配列および配列番号20に記載される軽鎖可変ドメイン配列を含む抗体またはその抗原結合断片を提供する。一実施形態において、本発明は、配列番号1のCDRを含む重鎖可変ドメインおよび配列番号20のCDRを含む軽鎖可変ドメインを有する抗体に関する。一実施形態において、本発明は、配列番号1に記載される配列と少なくとも95%同一、少なくとも96%同一、少なくとも97%同一、少なくとも98%同一または少なくとも99%同一であるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域を含み、配列番号20に記載される配列と少なくとも95%同一、少なくとも96%同一、少なくとも97%同一、少なくとも98%同一または少なくとも99%同一であるアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域を含む、単離されたヒト抗体またはその抗原結合断片を特徴とする。抗体はさらに、IgG1またはIgG4アイソタイプであってもよい。
【0091】
一実施形態において、本発明は、抗体C47KD8の抗原結合領域を有する抗体またはその抗原結合断片に関する。一実施形態において、本発明は、配列番号1に記載される重鎖可変ドメイン配列および配列番号21に記載される軽鎖可変ドメイン配列を含む抗体またはその抗原結合断片を提供する。一実施形態において、本発明は、配列番号1のCDRを含む重鎖可変ドメインおよび配列番号21のCDRを含む軽鎖可変ドメインを有する抗体に関する。一実施形態において、本発明は、配列番号1に記載される配列と少なくとも95%同一、少なくとも96%同一、少なくとも97%同一、少なくとも98%同一または少なくとも99%同一であるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域を含み、配列番号21に記載される配列と少なくとも95%同一、少なくとも96%同一、少なくとも97%同一、少なくとも98%同一または少なくとも99%同一であるアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域を含む、単離されたヒト抗体またはその抗原結合断片を特徴とする。抗体はさらに、IgG1またはIgG4アイソタイプであってもよい。
【0092】
一実施形態において、本発明は、抗体C47B10−H3−D4の抗原結合領域を有する抗体またはその抗原結合断片に関する。一実施形態において、本発明は、配列番号1に記載される重鎖可変ドメイン配列および配列番号19に記載される軽鎖可変ドメイン配列を含む抗体またはその抗原結合断片を提供する。一実施形態において、本発明は、配列番号1のCDRを含む重鎖可変ドメインおよび配列番号19のCDRを含む軽鎖可変ドメインを有する抗体に関する。一実施形態において、本発明は、配列番号1に記載される配列と少なくとも95%同一、少なくとも96%同一、少なくとも97%同一、少なくとも98%同一または少なくとも99%同一であるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域を含み、配列番号19に記載される配列と少なくとも95%同一、少なくとも96%同一、少なくとも97%同一、少なくとも98%同一または少なくとも99%同一であるアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域を含む、単離されたヒト抗体またはその抗原結合断片を特徴とする。抗体はさらに、IgG1またはIgG4アイソタイプであってもよい。
【0093】
一実施形態において、本発明は、抗体C47B10−L1A−A10の抗原結合領域を有する抗体またはその抗原結合断片に関する。一実施形態において、本発明は、配列番号1に記載される重鎖可変ドメイン配列および配列番号23に記載される軽鎖可変ドメイン配列を含む抗体またはその抗原結合断片を提供する。一実施形態において、本発明は、配列番号1のCDRを含む重鎖可変ドメインおよび配列番号23のCDRを含む軽鎖可変ドメインを有する抗体に関する。一実施形態において、本発明は、配列番号1に記載される配列と少なくとも95%同一、少なくとも96%同一、少なくとも97%同一、少なくとも98%同一または少なくとも99%同一であるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域を含み、配列番号23に記載される配列と少なくとも95%同一、少なくとも96%同一、少なくとも97%同一、少なくとも98%同一または少なくとも99%同一であるアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域を含む、単離されたヒト抗体またはその抗原結合断片を特徴とする。抗体はさらに、IgG1またはIgG4アイソタイプであってもよい。
【0094】
一実施形態において、本発明は、抗体C47B10−H3−D3の抗原結合領域を有する抗体またはその抗原結合断片に関する。一実施形態において、本発明は、配列番号24に記載される重鎖可変ドメイン配列および配列番号8に記載される軽鎖可変ドメイン配列を含む抗体またはその抗原結合断片を提供する。一実施形態において、本発明は、配列番号24のCDRを含む重鎖可変ドメインおよび配列番号8のCDRを含む軽鎖可変ドメインを有する抗体に関する。一実施形態において、本発明は、配列番号24に記載される配列と少なくとも95%同一、少なくとも96%同一、少なくとも97%同一、少なくとも98%同一または少なくとも99%同一であるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域を含み、配列番号8に記載される配列と少なくとも95%同一、少なくとも96%同一、少なくとも97%同一、少なくとも98%同一または少なくとも99%同一であるアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域を含む、単離されたヒト抗体またはその抗原結合断片を特徴とする。抗体はさらに、IgG1またはIgG4アイソタイプであってもよい。
【0095】
一実施形態において、本発明は、抗体C47B10−L1A−A4の抗原結合領域を有する抗体またはその抗原結合断片に関する。一実施形態において、本発明は、配列番号1に記載される重鎖可変ドメイン配列および配列番号25に記載される軽鎖可変ドメイン配列を含む抗体またはその抗原結合断片を提供する。一実施形態において、本発明は、配列番号1のCDRを含む重鎖可変ドメインおよび配列番号25のCDRを含む軽鎖可変ドメインを有する抗体に関する。一実施形態において、本発明は、配列番号1に記載される配列と少なくとも95%同一、少なくとも96%同一、少なくとも97%同一、少なくとも98%同一または少なくとも99%同一であるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域を含み、配列番号25に記載される配列と少なくとも95%同一、少なくとも96%同一、少なくとも97%同一、少なくとも98%同一または少なくとも99%同一であるアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域を含む、単離されたヒト抗体またはその抗原結合断片を特徴とする。抗体はさらに、IgG1またはIgG4アイソタイプであってもよい。
【0096】
一実施形態において、本発明は、抗体C47B10−L3−B2の抗原結合領域を有する抗体またはその抗原結合断片に関する。一実施形態において、本発明は、配列番号1に記載される重鎖可変ドメイン配列および配列番号26に記載される軽鎖可変ドメイン配列を含む抗体またはその抗原結合断片を提供する。一実施形態において、本発明は、配列番号1のCDRを含む重鎖可変ドメインおよび配列番号26のCDRを含む軽鎖可変ドメインを有する抗体に関する。一実施形態において、本発明は、配列番号1に記載される配列と少なくとも95%同一、少なくとも96%同一、少なくとも97%同一、少なくとも98%同一または少なくとも99%同一であるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域を含み、配列番号26に記載される配列と少なくとも95%同一、少なくとも96%同一、少なくとも97%同一、少なくとも98%同一または少なくとも99%同一であるアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域を含む、単離されたヒト抗体またはその抗原結合断片を特徴とする。抗体はさらに、IgG1またはIgG4アイソタイプであってもよい。
【0097】
一実施形態において、本発明は、抗体C47A8−CAの抗原結合領域を有する抗体またはその抗原結合断片に関する。一実施形態において、本発明は、配列番号1に記載される重鎖可変ドメイン配列および配列番号27に記載される軽鎖可変ドメイン配列を含む抗体またはその抗原結合断片を提供する。一実施形態において、本発明は、配列番号1のCDRを含む重鎖可変ドメインおよび配列番号27のCDRを含む軽鎖可変ドメインを有する抗体に関する。一実施形態において、本発明は、配列番号1に記載される配列と少なくとも95%同一、少なくとも96%同一、少なくとも97%同一、少なくとも98%同一または少なくとも99%同一であるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域を含み、配列番号27に記載される配列と少なくとも95%同一、少なくとも96%同一、少なくとも97%同一、少なくとも98%同一または少なくとも99%同一であるアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域を含む、単離されたヒト抗体またはその抗原結合断片を特徴とする。抗体はさらに、IgG1またはIgG4アイソタイプであってもよい。
【0098】
一実施形態において、本発明は、抗体C47A8−CLの抗原結合領域を有する抗体またはその抗原結合断片に関する。一実施形態において、本発明は、配列番号1に記載される重鎖可変ドメイン配列および配列番号28に記載される軽鎖可変ドメイン配列を含む抗体またはその抗原結合断片を提供する。一実施形態において、本発明は、配列番号1のCDRを含む重鎖可変ドメインおよび配列番号28のCDRを含む軽鎖可変ドメインを有する抗体に関する。一実施形態において、本発明は、配列番号1に記載される配列と少なくとも95%同一、少なくとも96%同一、少なくとも97%同一、少なくとも98%同一または少なくとも99%同一であるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域を含み、配列番号28に記載される配列と少なくとも95%同一、少なくとも96%同一、少なくとも97%同一、少なくとも98%同一または少なくとも99%同一であるアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域を含む、単離されたヒト抗体またはその抗原結合断片を特徴とする。抗体はさらに、IgG1またはIgG4アイソタイプであってもよい。
【0099】
一実施形態において、本発明は、抗体C47A8−CQの抗原結合領域を有する抗体またはその抗原結合断片に関する。一実施形態において、本発明は、配列番号1に記載される重鎖可変ドメイン配列および配列番号29に記載される軽鎖可変ドメイン配列を含む抗体またはその抗原結合断片を提供する。一実施形態において、本発明は、配列番号1のCDRを含む重鎖可変ドメインおよび配列番号29のCDRを含む軽鎖可変ドメインを有する抗体に関する。一実施形態において、本発明は、配列番号1に記載される配列と少なくとも95%同一、少なくとも96%同一、少なくとも97%同一、少なくとも98%同一または少なくとも99%同一であるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域を含み、配列番号29に記載される配列と少なくとも95%同一、少なくとも96%同一、少なくとも97%同一、少なくとも98%同一または少なくとも99%同一であるアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域を含む、単離されたヒト抗体またはその抗原結合断片を特徴とする。抗体はさらに、IgG1またはIgG4アイソタイプであってもよい。
【0100】
一実施形態において、本発明は、抗体C47A8−CSの抗原結合領域を有する抗体またはその抗原結合断片に関する。一実施形態において、本発明は、配列番号1に記載される重鎖可変ドメイン配列および配列番号30に記載される軽鎖可変ドメイン配列を含む抗体またはその抗原結合断片を提供する。一実施形態において、本発明は、配列番号1のCDRを含む重鎖可変ドメインおよび配列番号30のCDRを含む軽鎖可変ドメインを有する抗体に関する。一実施形態において、本発明は、配列番号1に記載される配列と少なくとも95%同一、少なくとも96%同一、少なくとも97%同一、少なくとも98%同一または少なくとも99%同一であるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域を含み、配列番号30に記載される配列と少なくとも95%同一、少なくとも96%同一、少なくとも97%同一、少なくとも98%同一または少なくとも99%同一であるアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域を含む、単離されたヒト抗体またはその抗原結合断片を特徴とする。抗体はさらに、IgG1またはIgG4アイソタイプであってもよい。
【0101】
表5に記載されるように、重鎖可変配列である配列番号1、配列番号7、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号22、配列番号24および配列番号32は、互いに少なくとも95%の同一性を共有する。
【0102】
表5に記載されるように、多数の軽鎖可変ドメインは、配列番号27(抗体C47A8−CAについて記載される。)、配列番号28(抗体C47A8−CLについて記載される。)、配列番号29(抗体C47A8−CQについて記載される。)および配列番号30(抗体C47A8−CSについて記載される。)を含む配列番号2と少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を有する。
【0103】
多数の軽鎖可変ドメインは、配列番号2(抗体C47A8について記載される。)、配列番号28(抗体C47A8−CLについて記載される。)、配列番号29(抗体C47A8−CQについて記載される。)および配列番号30(抗体C47A8−CSについて記載される。)を含む配列番号27と少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を有する。
【0104】
多数の軽鎖可変ドメインは、配列番号2(抗体C47A8について記載される。)、配列番号27(抗体C47A8−CAについて記載される。)、配列番号29(抗体C47A8−CQについて記載される。)および配列番号30(抗体C47A8−CSについて記載される。)を含む配列番号28と少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を有する。
【0105】
多数の軽鎖可変ドメインは、配列番号2(抗体C47A8について記載される。)、配列番号27(抗体C47A8−CAについて記載される。)、配列番号28(抗体C47A8−CLについて記載される。)および配列番号30(抗体C47A8−CSについて記載される。)を含む配列番号29と少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を有する。
【0106】
多数の軽鎖可変ドメインは、配列番号2(抗体C47A8について記載される。)、配列番号27(抗体C47A8−CAについて記載される。)、配列番号28(抗体C47A8−CLについて記載される。)および配列番号29(抗体C47A8−CQについて記載される。)を含む配列番号30と少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を有する。
【0107】
多数の軽鎖可変ドメインは、配列番号26(抗体C47B10−L3−B2について記載される。)、配列番号25(抗体C47B10−L1A−A4について記載される。)、配列番号23(抗体C47B10−L1A−A10について記載される。)、配列番号15(抗体C47B10−C11C、C47B10−D3C、C47B10−C3C、C47B10−C6C、C47B10−B1Cについて記載される。)、配列番号6(抗体C47B10−1F−6Sについて記載される。)、配列番号5(抗体C47B10−1H4Sについて記載される。)および配列番号4(抗体C47B10、C47B10−2B8S、C47B10−2C1S、C47B10−2B9S、C47B10−2C4Sについて記載される。)を含む配列番号8と少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を有する。
【0108】
多数の軽鎖可変ドメインは、配列番号26(抗体C47B10−L3−B2について記載される。)、配列番号25(抗体C47B10−L1A−A4について記載される。)、配列番号23(抗体C47B10−L1A−A10について記載される。)、配列番号15(抗体C47B10−C11C、C47B10−D3C、C47B10−C3C、C47B10−C6C、C47B10−B1Cについて記載される。)、配列番号6(抗体C47B10−1F6Sについて記載される。)、配列番号5(抗体C47B10−1H4Sについて記載される。)および配列番号8(抗体C47B10−1、C47B10−2A9S、C47B10−2B11S、C47B10−H3−D4、C47B10−H3−D3について記載される。)を含む配列番号4と少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を有する。
【0109】
多数の軽鎖可変ドメインは、配列番号26(抗体C47B10−L3−B2について記載される。)、配列番号25(抗体C47B10−L1A−A4について記載される。)、配列番号23(抗体C47B10−L1A−A10について記載される。)、配列番号15(抗体C47B10−C11C、C47B10−D3C、C47B10−C3C、C47B10−C6C、C47B10−B1Cについて記載される。)、配列番号6(抗体C47B10−1F6Sについて記載される。)、配列番号4(抗体C47B10、C47B10−2B8S、C47B10−2C1S、C47B10−2B9S、C47B10−2C4Sについて記載される。)および配列番号8(抗体C47B10−1、C47B10−2A9S、C47B10−2B11S、C47B10−H3−D4、C47B10−H3−D3について記載される。)を含む配列番号5と少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を有する。
【0110】
多数の軽鎖可変ドメインは、配列番号26(抗体C47B10−L3−B2について記載される。)、配列番号25(抗体C47B10−L1A−A4について記載される。)、配列番号23(抗体C47B10−L1A−A10について記載される。)、配列番号15(抗体C47B10−C11C、C47B10−D3C、C47B10−C3C、C47B10−C6C、C47B10−B1Cについて記載される。)、配列番号5(抗体C47B10−1H4Sについて記載される。)、配列番号4(抗体C47B10、C47B10−2B8S、C47B10−2C1S、C47B10−2B9S、C47B10−2C4Sについて記載される。)および配列番号8(抗体C47B10−1、C47B10−2A9S、C47B10−2B11S、C47B10−H3−D4、C47B10−H3−D3について記載される。)を含む配列番号6と少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を有する。
【0111】
多数の軽鎖可変ドメインは、配列番号26(抗体C47B10−L3−B2について記載される。)、配列番号25(抗体C47B10−L1A−A4について記載される。)、配列番号23(抗体C47B10−L1A−A10について記載される。)、配列番号5(抗体C47B10−1H4Sについて記載される。)、配列番号6(抗体C47B10−1F6Sについて記載される。)、配列番号4(抗体C47B10、C47B10−2B8S、C47B10−2C1S、C47B10−2B9S、C47B10−2C4Sについて記載される。)および配列番号8(抗体C47B10−1、C47B10−2A9S、C47B10−2B11S、C47B10−H3−D4、C47B10−H3−D3について記載される。)を含む配列番号15と少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を有する。
【0112】
多数の軽鎖可変ドメインは、配列番号26(抗体C47B10−L3−B2について記載される。)、配列番号25(抗体C47B10−L1A−A4について記載される。)、配列番号15(抗体C47B10−C11C、C47B10−D3C、C47B10−C3C、C47B10−C6C、C47B10−B1Cについて記載される。)、配列番号5(抗体C47B10−1H4Sについて記載される。)、配列番号6(抗体C47B10−1F6Sについて記載される。)、配列番号4(抗体C47B10、C47B10−2B8S、C47B10−2C1S、C47B10−2B9S、C47B10−2C4Sについて記載される。)および配列番号8(抗体C47B10−1、C47B10−2A9S、C47B10−2B11S、C47B10−H3−D4、C47B10−H3−D3について記載される。)を含む配列番号23と少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を有する。
【0113】
多数の軽鎖可変ドメインは、配列番号26(抗体C47B10−L3−B2について記載される。)、配列番号23(抗体C47B10−L1A−A10について記載される。)、配列番号15(抗体C47B10−C11C、C47B10−D3C、C47B10−C3C、C47B10−C6C、C47B10−B1Cについて記載される。)、配列番号5(抗体C47B10−1H4Sについて記載される。)、配列番号6(抗体C47B10−1F6Sについて記載される。)、配列番号4(抗体C47B10、C47B10−2B8S、C47B10−2C1S、C47B10−2B9S、C47B10−2C4Sについて記載される。)および配列番号8(抗体C47B10−1、C47B10−2A9S、C47B10−2B11S、C47B10−H3−D4、C47B10−H3−D3について記載される。)を含む配列番号25と少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を有する。
【0114】
多数の軽鎖可変ドメインは、配列番号25(抗体C47B10−L1A−A4について記載される。)、配列番号23(抗体C47B10−L1A−A10について記載される。)、配列番号15(抗体C47B10−C11C、C47B10−D3C、C47B10−C3C、C47B10−C6C、C47B10−B1Cについて記載される。)、配列番号5(抗体C47B10−1H4Sについて記載される。)、配列番号6(抗体C47B10−1F6Sについて記載される。)、配列番号4(抗体C47B10、C47B10−2B8S、C47B10−2C1S、C47B10−2B9S、C47B10−2C4Sについて記載される。)および配列番号8(抗体C47B10−1、C47B10−2A9S、C47B10−2B11S、C47B10−H3−D4、C47B10−H3−D3について記載される。)を含む配列番号26と少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を有する。
【0115】
抗原結合タンパク質(例えば、抗体、抗体断片、抗体誘導体、抗体突然変異タンパク質および抗体改変体)は、CD47に結合するポリペプチドである。
【0116】
本発明の抗原結合タンパク質の抗原結合断片は、従来の技術によって製造することができる。このような断片の例としては、限定されないが、FabおよびF(ab’)2断片が挙げられる。
【0117】
一本鎖抗体は、一本のポリペプチド鎖を得るように、アミノ酸架橋(短いペプチドリンカー)を介して、重鎖および軽鎖可変ドメイン(Fv領域)断片の結合により形成することができる。このような一本鎖Fv(scFv)は、2つの可変ドメインポリペプチド(V
LおよびV
H)をコードするDNA間のペプチドリンカーをコードするDNAを融合することにより生成されている。得られたポリペプチドは、2つの可変ドメインの間の可動性リンカーの長さに応じて、折り畳まれて抗原結合モノマーを形成することができ、または多量体(例えば、二量体、三量体もしくは四量体)を形成することができる(Korttら、1997年、Prot.Eng.10巻:423頁;Korttら、2001年、Biomol.Eng.18巻:95−108頁)。異なるV
LおよびV
H含有ポリペプチドを組み合わせることによって、異なるエピトープに結合する多量体scFvを形成することができる(Kriangkumら、2001年、Biomol.Eng.18巻:31−40頁)。一本鎖抗体の生成のために開発された技術は、米国特許第4,946,778号;Bird、1988年、Science 242巻:423頁;Hustonら、1988年、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 85巻:5879頁;Wardら、1989年、Nature 334巻:544頁、de Graafら、2002年、Methods Mol.Biol.178巻:379−87頁に記載のものを含む。
【0118】
ある特定の実施形態において、本開示は、重鎖由来の可変ドメイン領域および軽鎖由来の可変ドメイン領域を有するFab完全ヒト抗体断片を提供し、ここで、重鎖可変ドメイン配列は、配列番号1、配列番号7、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号22、配列番号24、配列番号32、およびこれらの組合せからなる群から選択されるアミノ酸配列と少なくとも95%同一、少なくとも96%同一、少なくとも97%同一、少なくとも98%同一または少なくとも99%同一であり、軽鎖可変ドメイン配列は、配列番号2、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号8、配列番号15、配列番号19、配列番号20、配列番号21、配列番号23、配列番号25、配列番号26、配列番号27、配列番号28、配列番号29、および配列番号30、およびこれらの組合せからなる群から選択されるアミノ酸配列と少なくとも95%同一、少なくとも96%同一、少なくとも97%同一、少なくとも98%同一または少なくとも99%同一である。一実施形態において、完全ヒト抗体Fab断片は、重鎖可変ドメイン領域と軽鎖可変ドメイン領域の両方を有し、ここで、抗体は、配列番号1/配列番号2、配列番号1/配列番号4、配列番号1/配列番号5、配列番号1/配列番号8、配列番号1/配列番号6、配列番号7/配列番号8、配列番号9/配列番号8、配列番号10/配列番号4、配列番号11/配列番号4、配列番号12/配列番号4、配列番号13/配列番号4、配列番号14/配列番号15、配列番号16/配列番号15、配列番号32/配列番号15、配列番号17/配列番号15、配列番号18/配列番号15、配列番号1/配列番号19、配列番号1/配列番号20、配列番号1/配列番号21、配列番号22/配列番号8、配列番号1/配列番号23、配列番号24/配列番号8、配列番号1/配列番号25、配列番号1/配列番号26、配列番号1/配列番号27、配列番号1/配列番号28、配列番号1/配列番号29および配列番号1/配列番号30、からなる群から選択される重鎖/軽鎖可変ドメイン配列を有する。
【0119】
一実施形態において、本開示は、重鎖由来の可変ドメイン領域および軽鎖由来の可変ドメイン領域、ならびに重鎖可変ドメイン領域と軽鎖可変ドメイン領域を連結するペプチドリンカーを有する一本鎖ヒト抗体であって、重鎖可変ドメイン配列が、配列番号1、配列番号7、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号22、配列番号24、および配列番号32、からなる群から選択されるアミノ酸配列と少なくとも95%同一、少なくとも96%同一、少なくとも97%同一、少なくとも98%同一または少なくとも99%同一であり、軽鎖可変ドメイン配列が、配列番号2、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号8、配列番号15、配列番号19、配列番号20、配列番号21、配列番号23、配列番号25、配列番号26、配列番号27、配列番号28、配列番号29、および配列番号30からなるアミノ酸配列と少なくとも95%同一である、一本鎖ヒト抗体を提供する。一実施形態において、完全ヒト一本鎖抗体は、重鎖可変ドメイン領域と軽鎖可変ドメイン領域の両方を有し、ここで、一本鎖完全ヒト抗体は、配列番号1/配列番号2、配列番号1/配列番号4、配列番号1/配列番号5、配列番号1/配列番号8、配列番号1/配列番号6、配列番号7/配列番号8、配列番号9/配列番号8、配列番号10/配列番号4、配列番号11/配列番号4、配列番号12/配列番号4、配列番号13/配列番号4、配列番号14/配列番号15、配列番号16/配列番号15、配列番号32/配列番号15、配列番号17/配列番号15、配列番号18/配列番号15、配列番号1/配列番号19、配列番号1/配列番号20、配列番号1/配列番号21、配列番号22/配列番号8、配列番号1/配列番号23、配列番号24/配列番号8、配列番号1/配列番号25、配列番号1/配列番号26、配列番号1/配列番号27、配列番号1/配列番号28、配列番号1/配列番号29、配列番号1/配列番号30、およびこれらの組合せからなる群から選択される重鎖/軽鎖可変ドメイン配列を有する。
【0120】
目的とする抗体から異なるサブクラスまたはアイソタイプの抗体を導く技術、すなわち、サブクラススイッチングが知られている。したがって、例えば、IgG抗体をIgM抗体から誘導することができ、その逆も可能である。このような技術は、所与の抗体(親抗体)の抗原結合特性を有するが、さらに、親抗体のものとは異なる抗体アイソタイプまたはサブクラスに関連する生物学的特性を示す新規な抗体の調製を可能にする。組換えDNA技術を用いることができる。特定の抗体ポリペプチドをコードするクローニングされたDNAは、このような手順、例えば、所望のアイソタイプの抗体の定常ドメインをコードするDNA(Lanttoら、2002年、Methods Mol.Biol.178巻:303−16頁)において用いることができる。さらに、IgG4が所望される場合、ヒンジ領域において点突然変異(CPSC−>CPPC)(それぞれ配列番号3および31)を導入して(Bloomら、1997年、Protein Science 6巻:407頁)、IgG4抗体において異種性をもたらし得るH鎖内ジスルフィド結合を形成する傾向を緩和することを望むこともまた可能である。したがって、一実施形態において、本発明の抗体はヒトIgG1抗体である。したがって、一実施形態において、本発明の抗体はヒトIgG4抗体である。
【0121】
本開示は、可変ドメイン領域のアミノ酸配列によって構造的に特徴付けられる多数の抗体を提供する。しかしながら、アミノ酸配列は、それらの特定の標的へのそれらの高度の結合を保持しながらいくらかの変化を受け得る。より具体的には、可変ドメイン領域における多数のアミノ酸は保存的置換により変更させることができ、得られた抗体の結合特性は野生型抗体配列の結合特性と異ならないことが予測し得る。抗体可変ドメインには、抗原と直接的に相互作用せずまたは抗原結合に影響を及ぼさず、抗体構造を決定するために重要ではない多数のアミノ酸がある。例えば、開示された抗体のいずれかにおける予測された非必須アミノ酸残基は、好ましくは、同じクラス由来の別のアミノ酸残基で置換される。抗原結合を排除しないアミノ酸保存的置換を同定するための方法は、当該技術分野において周知である(例えば、Brummellら、Biochem.32:1180−1187頁(1993年);Kobayashiら、Protein Eng.12(10):879−884頁(1999年);Burksら、Proc.Natl.Acad.Set USA 94:412−417頁(1997年)を参照されたい。)。Nearら、Mol.Immunol.30:369−377頁、1993年は、部位特異的突然変異誘発による結合にどのように影響を及ぼすまたは影響を及ぼさないかを説明している。Nearらは、抗原結合を変化させる可能性が高いと考えた残基だけを突然変異させた。大部分は、結合親和性(Nearら、表3)および種々の形態のジゴキシンへの結合(Nearら、表2)への適度または負の効果を有した。したがって、本発明はまた、ある特定の実施形態において、本明細書に開示される配列と少なくとも95%同一の同一性を有する可変配列を含む。
【0122】
ある特定の実施形態において、本明細書に提供される抗CD47抗体またはその抗原結合断片は、1×10
−6M以下;5×10
−7M以下;1×10
−7M以下;5×10
−8M以下;1×10
−8M以下;5×10
−9M以下;または1×10
−9M以下の解離定数(K
D)を有する。一実施形態において、本発明の抗体またはその抗原結合断片は、1×10
−7Mから1×10
−10MのK
Dを有する。一実施形態において、本発明の抗体またはその抗原結合断片は、1×10
−8Mから1×10
−10MのK
Dを有する。
【0123】
当業者は、抗体またはその断片のK
Dを決定するための公知の標準的方法を理解している。例えば、一実施形態において、K
Dは、放射性標識抗原結合アッセイ(RIA)によって測定される。一実施形態において、RIAは、目的とする抗体のFabバージョンおよびその抗原、例えば、ヒトCD47を用いてRIAが行われる。例えば、抗原に対するFabの溶液結合親和性は、滴定系列の非標識抗原の存在下でFabを最小濃度の(
125I)標識抗原で平衡化し、次に結合した抗原を抗Fab抗体被覆プレートで捕捉することによって測定される(例えば、Chenら、J.Mol.Biol.293巻:865−881頁(1999年)を参照されたい。)。別の実施形態によれば、K
Dは、BIACORE表面プラズモン共鳴アッセイを使用して測定される。本明細書で使用される用語「表面プラズモン共鳴」とは、例えば、BIACOREシステム(GE HealthcareのBiacore Life Sciences部門、Piscataway、NJ)を使用して、バイオセンサーマトリックス内のタンパク質濃度の変化を検出することにより、リアルタイム相互作用の分析を可能にする光学現象を意味する。
【0124】
特定の実施形態において、本発明の抗原結合タンパク質は、少なくとも10
6M
−1のCD47に対する結合親和性(K
a)を有する。他の実施形態において、抗原結合タンパク質は、少なくとも10
7M
−1、少なくとも10
8M
−1、少なくとも10
9M
−1、または少なくとも10
10M
−1のK
aを示す。別の実施形態において、抗原結合タンパク質は、実施例において本明細書に記載される抗体のものと実質的に同じK
aを示す。
【0125】
別の実施形態において、本開示は、CD47からの低い解離速度を有する抗原結合タンパク質を提供する。一実施形態において、抗原結合タンパク質は、K
offが1×10
−4から
−1sec
−1以下である。別の実施形態において、K
offは5×10
−5から
−1sec
−1以下である。別の実施形態において、K
offは、本明細書に記載される抗体と実質的に同じである。別の実施形態において、抗原結合タンパク質は、本明細書に記載される抗体と実質的に同じK
offでCD47に結合する。
【0126】
別の態様において、本開示は、CD47の活性を阻害する抗原結合タンパク質を提供する。一実施形態において、抗原結合タンパク質は、IC
50が1000nM以下である。別の実施形態において、IC
50は100nM以下であり;別の実施形態において、IC
50は10nM以下である。別の実施形態において、IC
50は、実施例において本明細書に記載される抗体のIC
50と実質的に同じである。別の実施形態において、抗原結合タンパク質は、本明細書に記載される抗体と実質的に同じIC
50でCD47の活性を阻害する。
【0127】
別の態様において、本開示は、細胞の表面上に発現したCD47に結合する抗原結合タンパク質を提供し、このように結合した場合、細胞の表面上のCD47の量を有意に減少させることなく、細胞内のCD47シグナル伝達活性を阻害する。細胞の表面上および/または細胞の内部のCD47の量を決定または推定するための任意の方法を使用することができる。他の実施形態において、抗原結合タンパク質のCD47発現細胞への結合は、約75%、50%、40%、30%、20%、15%、10%、5%、1%または0.1%未満の細胞−表面CD47を内在化させる。
【0128】
一実施形態において、本明細書に記載される抗CD47抗体および抗体断片は、CD47に結合し、CD47を発現する腫瘍細胞のマクロファージ媒介性食作用を促進する。マクロファージによる食作用は、標的細胞に対する前貪食(「食べる」)および抗貪食(「食べない」)シグナルの細胞認識に依存する。抗CD47ブロッキング抗体および抗体断片、例えば、本明細書に記載のものは、抗貪食シグナルを阻害することによってがん細胞のマクロファージ食作用を誘導し、前貪食シグナルを支配することを可能にする(Majetiら(2009年)Cell 138巻(2):286−299頁;Willinghamら(2012年)Proc Natl Acad Sci USA 109巻(17):6662−6667頁)。したがって、一実施形態において、本明細書に開示されている抗体または抗体断片は、CD47がCD47リガンドであるSIRPαと相互作用することを妨げる。
【0129】
別の態様において、本開示は、インビトロまたはインビボで(例えば、ヒト対象に投与する場合)少なくとも1日の半減期を有する抗原結合タンパク質を提供する。一実施形態において、抗原結合タンパク質は、少なくとも3日の半減期を有する。別の実施形態において、抗原結合タンパク質は、4日以上の半減期を有する。別の実施形態において、抗原結合タンパク質は、8日以上の半減期を有する。別の実施形態において、抗原結合タンパク質は、非誘導体化または非修飾の抗原結合タンパク質と比較して半減期が長くなるように、誘導体化または修飾される。別の実施形態において、抗原結合タンパク質は、本明細書において参照により組み込まれる国際公開第WO00/09560号に記載されるように、血清半減期を延長させる、1つ以上の点突然変異を含有する。
【0130】
本開示はさらに、多重特異的抗原結合タンパク質を提供し、例えば、二重特異的抗原結合タンパク質、例えば、CD47の2つの異なるエピトープに結合し、または2つの異なる抗原結合部位もしくは領域を介して、CD47のエピトープおよび別の分子のエピトープに結合する抗原結合タンパク質を提供する。さらに、本明細書に開示される二重特異的抗原結合タンパク質は、本明細書に記載される抗体の1つに由来するCD47結合部位、および本明細書に記載される抗体の別のものに由来する第2のCD47結合領域を含み得、他の刊行物を参照して本明細書に記載されるものが含まれる。代替的に、二重特異的抗原結合タンパク質は、本明細書に記載される抗体の1つに由来する抗原結合部位、および当該技術分野において公知である別のCD47抗体由来の第2の抗原結合部位、または公知の方法もしくは本明細書に記載される方法によって調製される抗体由来のものを含んでもよい。
【0131】
二重特異的抗体を調製するための多数の方法が当該技術分野において知られている。このような方法は、Milsteinら、1983年、Nature 305巻:537頁に記載されるハイブリッド−ハイブリドーマ、および抗体断片の化学的カップリング(Brennanら、1985年、Science 229巻:81頁;Glennieら、1987年、J.Immunol.139巻:2367頁;米国特許第6,010,902号)の使用を含む。さらに、二重特異的抗体は、組換え手段により、例えば、ロイシンジッパー部分(すなわち、優勢にヘテロ二量体を形成するFosおよびJunタンパク質由来;Kostelnyら、1992年、J.Immunol.148巻:1547頁)または米国特許第5,582,996号に記載される他の鍵孔と鍵の相互作用的ドメイン構造の使用により生成され得る。さらに有用な技術は、米国特許第5,959,083号および同第5,807,706号に記載されるものを含む。
【0132】
別の態様において、抗原結合タンパク質は、抗体の誘導体を含む。誘導体化された抗体は、特定の使用における半減期の増加のような所望の特性を抗体に与える任意の分子または物質を含み得る。誘導体化された抗体は、例えば、検出可能(または標識)部分(例えば、放射性、比色、抗原性または酵素分子、検出可能ビーズ(例えば、磁気または電極(例えば、金)ビーズ)、または別の分子と結合する分子(例えば、ビオチンまたはストレプトアビジン)、治療的もしくは診断的な部分(例えば、放射性、細胞毒性または医薬として活性な部分)、または特定の使用(例えば、対象、例えばヒト対象への投与または他のインビボまたはインビトロ使用)のための抗体の適性を増加させる分子を含み得る。抗体を誘導体化させるために使用することができる分子の例としては、アルブミン(例えば、ヒト血清アルブミン)およびポリエチレングリコール(PEG)が挙げられる。抗体のアルブミン結合およびペグ化誘導体は、当該技術分野において周知の技術を用いて生成され得る。一実施形態において、抗体は、トランスサイレチン(TTR)またはTTR改変体にコンジュゲートされ、または他には結合させる。TTRまたはTTR改変体は、例えば、デキストラン、ポリ(n−ビニルピロリドン)、ポリエチレングリコール、プロプロピレングリコールホモポリマー、ポリプロピレンオキシド/エチレンオキシドコポリマー、ポリオキシエチル化されたポリオールおよびポリビニルアルコールからなる群から選択される化学物質で化学修飾され得る。
【0133】
1つ以上の抗原結合タンパク質を含有するオリゴマーはCD47アンタゴニストとして用いられてもよい。オリゴマーは、共有的に結合したもしくは非共有的に結合した、二量体、三量体またはそれ以上のオリゴマーの形態であってもよい。2つ以上の抗原結合タンパク質を含むオリゴマーは、用途が企図され、一例としては、ホモ二量体である。他のオリゴマーには、ヘテロ二量体、ホモ三量体、ヘテロ三量体、ホモ四量体、ヘテロ四量体などが含まれる。
【0134】
一実施形態は、抗原結合タンパク質に融合されたペプチド部分間の共有的または非共有的相互作用を介して繋がれている複数の抗原結合タンパク質を含むオリゴマーを対象とする。このようなペプチドは、ペプチドリンカー(スペーサー)、またはオリゴマー化を促進する特性を有するペプチドであってもよい。ロイシンジッパー、および抗体に由来するある種のポリペプチドは、以下により詳細に記載される通り、それに結合された抗原結合タンパク質のオリゴマー化を促進し得るペプチドに含まれる。
【0135】
特定の実施形態において、オリゴマーは、2から4個の抗原結合タンパク質を含む。オリゴマーの抗原結合タンパク質は、上記の形態のうちの任意のもの、例えば、改変体または断片であってもよい。好ましくは、オリゴマーは、CD47結合活性を有する抗原結合タンパク質を含む。
【0136】
一実施形態において、オリゴマーは、免疫グロブリンに由来するポリペプチドを使用して調製される。抗体由来のポリペプチドの種々の部分(Fcドメインを含む。)に融合された、ある種の異種ポリペプチドを含む融合タンパク質の調製は、例えば、Ashkenaziら、1991年、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 88巻:10535頁;Byrnら、1990年、Nature 344巻:677頁;およびHollenbaughら、1992年「Construction of Immunoglobulin Fusion Proteins」、in Current Protocols in Immunology、補遺4、10.19.1−10.19.11頁に記載されている。
【0137】
一実施形態は、抗CD47抗体のCD47結合断片を抗体のFc領域に融合させることによって作製された2つの融合タンパク質を含む二量体に関する。二量体は、例えば、融合タンパク質をコードする遺伝子融合体を、適切な発現ベクターに挿入し、組換え発現ベクターを用いて形質転換した宿主細胞において遺伝子融合体を発現させ、発現した融合タンパク質を抗体分子に酷似するように構築することによって作製することができ、その後、鎖間ジスルフィド結合がFc部分間に形成されて、二量体が得られる。
【0138】
オリゴマー抗原結合タンパク質を調製するための別の方法は、ロイシンジッパーの使用を伴う。ロイシンジッパードメインは、それらが見出されるタンパク質のオリゴマー化を促進するペプチドである。ロイシンジッパーは、元々は、いくつかのDNA結合タンパク質において同定されたものであり(Landschulzら、1988年、Science 240巻:1759頁)、種々の異なるタンパク質においてそれ以来発見されている。公知のロイシンジッパーには、天然に存在するペプチドおよび二量体化または三量体化するこれらの誘導体がある。可溶性オリゴマータンパク質の生成に適したロイシンジッパードメインの例は、国際公開第WO94/10308号に記載され、肺サーファクタントタンパク質D(SPD)に由来するロイシンジッパーは、Hoppeら、1994年、FEBS Letters 344巻:191頁に記載されている。それに融合された異種タンパク質の安定な三量体化を可能にする、修飾されたロイシンジッパーの使用は、Fanslowら、1994年、Semin.Immunol.6巻:267−78頁に記載されている。1つのアプローチにおいて、ロイシンジッパーペプチドに融合された、抗CD47抗体断片または誘導体を含む組換え融合タンパク質は、適切な宿主細胞において発現され、形成される可溶性オリゴマー抗CD47抗体断片または誘導体が、培養上清から回収される。
【0139】
CD47に対して指向される抗原結合タンパク質は、例えば、インビトロまたはインビボのいずれかでCD47ポリペプチドの存在を検出するアッセイにおいて使用することができる。抗原結合タンパク質はまた、イムノアフィニティークロマトグラフィーによるCD47タンパク質の精製において用いることができる。抗原結合タンパク質のブロックは、本明細書に開示される方法において使用され得る。CD47アンタゴニストとして機能するこのような抗原結合タンパク質は、限定されないが、様々ながんなどの任意のCD47により誘導される状態の治療に使用することができる。
【0140】
抗原結合タンパク質は、インビトロでの手順において使用され得る、またはCD47により誘導される生物活性を阻害するためにインビボで投与され得る。したがって、例えば、CD47のタンパク質分解活性化から(直接的または間接的に)恩恵を受ける障害は、これらの例は本明細書に提供されるが、治療することができる。
【0141】
一実施形態において、本発明は、CD47により誘導される生物学的活性を低下させるのに有効な量で、それを必要とする哺乳動物にCD47ブロッキング抗原結合タンパク質をインビボで投与することを含む治療方法を提供する。
【0142】
本発明の特定の実施形態において、抗原結合タンパク質は、CD47のSIRPαへの結合などのCD47の生物学的活性を阻害する完全ヒトモノクローナル抗体を含む。
【0143】
本明細書に記載される抗体および抗体断片を含む、抗原結合タンパク質は、多数の従来技術のいずれかにより調製され得る。例えば、それらを天然に発現する細胞から精製することができ(例えば、抗体を、それを産生するハイブリドーマから精製することができる。)、または組換え発現系において、当該技術分野において公知の任意の技術を使用して生成することができる。例えば、Monoclonal Antibodies,Hybridomas:A New Dimension in Biological Analyses、Kennetら(編集)、Plenum Press、New York(1980年);およびAntibodies:A Laboratory Manual、HarlowおよびLand(編集)、Cold Spring Harbor Laboratory Press、Cold Spring Harbor、N.Y.(1988年)を参照されたい。
【0144】
当該技術分野において公知である任意の発現系を用いて、本発明の、本明細書に記載される抗体および抗体断片を含む、組換えポリペプチドを作製することができる。一般に、宿主細胞は、所望のポリペプチドをコードするDNAを含む組換え発現ベクターで形質転換される。用いることができる宿主細胞の中には、原核生物、酵母または高等真核細胞が含まれる。原核生物は、グラム陰性生物またはグラム陽性生物、例えば、E.コリまたはバチリ(bacilli)を含む。高等真核細胞は、昆虫細胞および哺乳動物起源の確立された細胞株を含む。適切な哺乳動物宿主細胞株の例としては、サル腎臓細胞のCOS−7株(ATCC CRL 1651)(Gluzmanら、1981年、Cell 23巻:175頁)、L細胞、293細胞、C127細胞、3T3細胞(ATCC CCL 163)、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、HeLa細胞、BHK(ATCC CRL 10)細胞株、およびMcMahanら、1991年、EMBO J.10巻:2821頁に記載されているアフリカミドリザル腎臓細胞株CV1由来のCV1/EBNA細胞株(ATCC CCL 70)が挙げられる。細菌、真菌、酵母および哺乳動物細胞宿主とともに使用するのに適したクローニングベクターおよび発現ベクターは、Pouwelsら(Cloning Vectors:A Laboratory Manual、Elsevier、N.Y.、1985年)に記載されている。
【0145】
形質転換細胞は、ポリペプチドの発現を促進する条件下で培養され、ポリペプチドを慣用のタンパク質精製手法により回収することができる。このような精製手法の1つは、例えば、それに結合したCD47のすべてまたは一部(例えば、細胞外ドメイン)を含むマトリックス上の親和性クロマトグラフィーの使用を含む。本明細書において使用が企図されるポリペプチドには、混入している内因性物質を実質的に含まない、実質的に均一な組換え哺乳動物の抗CD47抗体ポリペプチドが含まれる。
【0146】
抗原結合タンパク質は、多数の公知技術のいずれかにより調製され、所望の特性についてスクリーニングすることができる。これらの技術のいくつかは、目的とする抗原結合タンパク質(例えば、抗CD47抗体)のポリペプチド鎖(またはその一部)をコードする核酸を単離し、組換えDNA技術を介して核酸を操作することを伴う。核酸を、対象とする別の核酸と融合させ、または、例えば1つ以上のアミノ酸残基を付加、欠失または置換するように(例えば、突然変異誘発または他の従来技術により)改変してもよい。
【0147】
本開示のポリペプチドは、当該技術分野において公知の任意の標準的な方法を用いて生成することができる。一例において、ポリペプチドは、ポリペプチドをコードする核酸配列(例えば、cDNA)を組換え発現ベクターに挿入し、発現を促進させる条件下でDNA配列を発現させることにより、組換えDNA法によって生成される。
【0148】
本明細書に開示される種々のポリペプチドのいずれかをコードする核酸を化学的に合成することができる。細胞における発現を向上させるようにコドン使用頻度を選択することができる。このようなコドン使用頻度は、選択される細胞型に依存する。特殊なコドン使用頻度パターンは、E.コリおよび他の細菌、ならびに哺乳動物細胞、植物細胞、酵母細胞および昆虫細胞用に開発されている。例えば、Mayfieldら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA.2003年、100(2):438−42頁;Sinclairら、Protein Expr.Purif.2002年(1):96−105頁;Connell N D.Curr.Opin.Biotechnol.2001年、12(5):446−9頁;Makridesら、Microbiol.Rev.1996年、60(3):512−38頁;およびSharpら、Yeast.1991年、7(7):657−78頁を参照されたい。
【0149】
核酸操作のための一般的技術は、例えば、参照により本明細書に組み込まれる、Sambrookら、Molecular Cloning:A Laboratory Manual.Vols.1−3,Cold Spring Harbor Laboratory Press、2ed.、1989年、またはF.Ausubelら、Current Protocols in Molecular Biology (Green Publishing and Wiley−Interscience:New York、1987年)および定期的な更新版に記載されている。ポリペプチドをコードするDNAは、哺乳動物遺伝子、ウイルス遺伝子または昆虫遺伝子に由来する適切な転写または翻訳の調節エレメントに作動可能に連結される。このような調節エレメントには、転写プロモーター、転写を制御する任意のオペレーター配列、適切なmRNAリボソーム結合部位をコードする配列、ならびに転写および翻訳の終結を制御する配列が含まれる。宿主において複製する能力は、通常、複製起源により付与され、形質転換体の認識を容易にする選択遺伝子をさらに組み込む。
【0150】
組換えDNAはまた、タンパク質を精製するために有用であり得る、任意のタイプのタンパク質タグ配列を含むことができる。タンパク質タグの例としては、限定されないが、ヒスチジンタグ、FLAGタグ、mycタグ、HAタグまたはGSTタグが挙げられる。細菌、真菌、酵母および哺乳動物細胞の宿主を用いた使用に適したクローニングベクターおよび発現ベクターは、Cloning Vectors:A Laboratory Manual(Elsevier、N.Y.、1985年)に見出すことができる。
【0151】
発現構築物は、宿主細胞に適した方法を使用して宿主細胞に導入される。核酸を宿主細胞に導入するための種々の方法は、当該技術分野において公知であり、限定されないが、エレクトロポレーション;塩化カルシウム、塩化ルビジウム、リン酸カルシウム、DEAE−デキストランまたは他の物質を用いるトランスフェクション;微粒子銃(microprojectile bombardment);リポフェクション;および感染(ベクターが感染性因子である。)が挙げられる。適切な宿主細胞には、原核生物、酵母、哺乳動物細胞または細菌細胞が含まれる。適切な細菌には、グラム陰性生物またはグラム陽性生物、例えば、E.コリまたはバチラス属種(Bacillus spp.)が含まれる。好ましくはサッカロミセス・セレビシエ(S.cerevisiae)のようなサッカロミセス属種由来の酵母はまた、ポリペプチドの生成に使用され得る。また、種々の哺乳動物細胞または昆虫細胞の培養システムを用いて、組換えタンパク質を発現させることができる。昆虫細胞における異種タンパク質の生成のためのバキュロウイルス系は、LuckowおよびSummers(Bio/Technology、6:47、1988年)に概説される。適切な哺乳動物の宿主細胞株の例としては、内皮細胞、COS−7サル腎臓細胞、CV−1、L細胞、C127、3T3、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)、ヒト胎児性腎臓細胞、HeLa、293、293TおよびBHK細胞株が含まれる。精製ポリペプチドは、適切な宿主/ベクター系を培養して、組換えタンパク質を発現させることにより調製される。多くの適用に関して、少量の本明細書に開示されるポリペプチドの多くが、好ましい発現方法としてE.コリ(E.coli)において発現される。次に、タンパク質を培養培地または細胞抽出物から精製する。
【0152】
本明細書に開示されるタンパク質はまた、細胞翻訳システムを使用して生成され得る。このような目的に関して、ポリペプチドをコードする核酸は、インビトロで転写され、mRNAを生成するために、および利用される特定の無細胞系(哺乳動物細胞もしくは酵母のような真核生物の無細胞翻訳系または細菌のような原核生物の無細胞翻訳系)においてmRNAの無細胞翻訳を可能にするために修飾される必要がある。また、CD47結合ポリペプチドは、化学合成(例えば、Solid Phase Peptide Synthesis、第2版、1984年、The Pierce Chemical Co.、Rockford、IIIに記載される方法によって。)により生成され得る。タンパク質への修飾はまた、化学合成により生成され得る。本開示のポリペプチドは、タンパク質化学の分野において一般的に公知であるタンパク質の単離/精製法により精製され得る。限定されない例としては、抽出、再結晶、塩析(例えば、硫酸アンモニウムまたは硫酸ナトリウムを用いる。)、遠心分離、透析、限外濾過、吸着クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、疎水性クロマトグラフィー、順相クロマトグラフィー、逆相クロマトグラフィー、ゲル濾過、ゲル浸透クロマトグラフィー、親和性クロマトグラフィー、電気泳動、向流分配またはこれらの任意の組合せが挙げられる。精製後、ポリペプチドは、異なる緩衝液に交換され、および/または、限定されないが、濾過および透析を含むが、当該技術分野において公知である種々の方法のいずれかにより富化され得る。精製されたポリペプチドは、好ましくは、少なくとも85%純度、より好ましくは少なくとも95%純度、最も好ましくは少なくとも98%純度である。純度の正確な数値に関わらず、ポリペプチドは、医薬品として使用するために十分に純粋である。
【0153】
ある特定の実施形態において、本開示は、CD47に結合するモノクローナル抗体を提供する。モノクローナル抗体は、当該技術分野において公知の任意の技術を使用して、例えば、免疫化スケジュール終了後のトランスジェニック動物から採取した脾臓細胞を不死化することにより生成することができる。脾臓細胞は、当該技術分野において公知の任意の技術を用いて、例えば、それらを骨髄腫細胞と融合させてハイブリドーマを生成することにより不死化することができる。ハイブリドーマ生成融合手法において使用するための骨髄腫細胞は、好ましくは非抗体産生であり、高融合効率であり、所望の融合細胞(ハイブリドーマ)だけの増殖を支持するある種の選択的培地中での増殖を不可能とさせる酵素欠乏を有する。マウス融合物において使用するための適切な細胞株の例には、Sp−20、P3−X63/Ag8、P3−X63−Ag8.653、NS1/1.Ag41、Sp210−Ag14、FO、NSO/U、MPC−11、MPC11−X45−GTG1.7およびS194/5XX0 Bulが含まれ;ラット融合物において使用するための細胞株の例には、R210.RCY3、Y3−Ag1.2.3、IR983Fおよび48210が含まれる。細胞融合物に有用な他の細胞株は、U−266、GM1500−GRG2、LICR−LON−HMy2およびUC729−6である。
【0154】
抗体の断片または類似体は、本明細書に記載の教示に従い、当該技術分野において公知の技術を使用して、当業者によって容易に調製することが可能である。断片または類似体の好ましいアミノ末端およびカルボキシ末端は、機能的ドメインの境界近くに存在する。構造的および機能的ドメインは、ヌクレオチドおよび/またはアミノ酸配列データを公のまたは特許の配列データベースと比較することにより同定が可能である。コンピューターによる比較方法が、公知の構造および/または機能をもつ他のタンパク質中に存在する配列モチーフまたは予想されるタンパク質コンフォメーションのドメインを同定するために用いることができる。公知の3次元構造へ折り畳まれているタンパク質配列を同定する方法が知られている。Bowieら、1991年、Science 253巻:164頁を参照されたい。
【0155】
ポリペプチドの翻訳後修飾
ある種の実施形態において、本発明の結合ポリペプチドは、翻訳後修飾をさらに含み得る。タンパク質の翻訳後修飾の例としては、リン酸化、アセチル化、メチル化、ADP−リボシル化、ユビキチン化、グリコシル化、カルボニル化、SUMO化(sumoylation)、ビオチン化またはポリペプチド側鎖もしくは疎水性基の付加が挙げられる。結果として、修飾された可溶性ポリペプチドは、脂質、多糖または単糖、およびリン酸塩のような非アミノ酸エレメントを含み得る。グリコシル化の好ましい形態は、1つ以上のシアル酸部分をポリペプチドにコンジュゲートさせるシアリル化である。シアル酸部分は、溶解性および血清半減期を改善し、一方、タンパク質の免疫遺伝学的解析の可能性を減少させる。Rajuら、Biochemistry.2001年、31;40(30):8868−76頁を参照されたい。
【0156】
一実施形態において、目的の可溶性ポリペプチドの修飾形態は、目的の可溶性ポリペプチドを非タンパク質性ポリマーに連結したものを含む。一実施形態において、ポリマーは、ポリエチレングリコール(「PEG」)、ポリプロピレングリコールまたはポリオキシアルキレンであり、米国特許第4,640,835号;第4,496,689号;第4,301,144号;第4,670,417号;第4,791,192号または第4,179,337号に記載されているようなものである。
【0157】
PEGは、市販されているまたは当該技術分野において周知である方法(SandlerおよびKaro、Polymer Synthesis、Academic Press、New York、Vol.3、138−161頁)によるエチレングリコールの開環重合により調製することができる、水溶性ポリマーである。用語「PEG」は、PEGのサイズまたは末端での修飾に関わらず、任意のポリエチレングリコール分子を包含するように広く使用され、式:X−O(CH
2CH
2O)
nCH
2CH
2OH(1)(式中、nは、20から2300であり、Xは、Hまたは末端修飾、例えばC
1−4アルキルである。)によって表すことができる。一実施形態において、本発明のPEGは、一方の末端がヒドロキシまたはメトキシで終わる、すなわち、XがHまたはCH
3である(「メトキシPEG」)。PEGは、結合反応に必要なさらなる化学基を含み得る;それは、分子の化学合成の結果生じる;または分子の一部の最適距離のためのスペーサーである。加えて、このようなPEGは、互いに結合した1つ以上のPEG側鎖で構成され得る。1を超えるPEG鎖を含むPEGは、多腕型(multiarmed)または分岐型PEGと呼ばれる。分岐型PEGは、例えば、グリセロール、ペンタエリスリトールおよびソルビトールなどの種々のポリオールに酸化ポリエチレンを付加することによって製造することができる。例えば、4アーム型PEGは、ペンタエリスリトールおよび酸化エチレンから製造され得る。分岐型PEGは、例えば、欧州特許出願公開第0473084A号および米国特許第5,932,462号に記載されている。PEGの一形態は、リシンの一級アミノ基を介して結合された2つのPEG側鎖(PEG2)を含む(Monfardiniら、Bioconjugate Chem.6巻(1995年)62−69頁)。
【0158】
PEG修飾ポリペプチドの血清クリアランス率は、非修飾結合ポリペプチドのクリアランス率と比べて、約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%またはさらには90%減少し得る。PEG修飾ポリペプチドは、非修飾タンパク質の半減期と比べて増大された半減期(t
1/2)を有し得る。PEG結合ポリペプチドの半減期は、非修飾結合ポリペプチドの半減期と比べて、少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%、125%、150%、175%、200%、250%、300%、400%もしくは500%またはさらには1000%増大され得る。いくつかの実施形態において、タンパク質の半減期は、インビトロで、例えば、緩衝化生理食塩水または血清中で決定される。他の実施形態において、タンパク質の半減期は、インビボでの半減期であり、例えば、動物の血清または他の体液中のタンパク質の半減期である。
【0159】
治療法、製剤および投与様式
特定の実施形態において、本開示はさらに、抗CD47ポリペプチドを投与することを含む、免疫応答または免疫抑制のいずれかの刺激を必要とする、広範囲の哺乳動物のがんまたは広範囲の線維性疾患を治療する方法を提供する。本明細書に開示される抗体のいずれも、このような方法において使用され得る。例えば、本方法は、少なくとも10
−6Mの結合親和性でCD47エピトープに結合するIgGクラスの完全ヒト抗体、重鎖由来の可変ドメイン領域および軽鎖由来の可変ドメイン領域を有するFab完全ヒト抗体断片、重鎖由来の可変ドメイン領域および軽鎖由来の可変ドメイン領域ならびに重鎖と軽鎖可変ドメイン領域を連結するペプチドリンカーを有する一本鎖ヒト抗体であって、配列番号1−32(表5)に記載される重鎖および軽鎖可変領域(および該配列内のCDR)を含む一本鎖抗体からなる群から選択される抗CD47ポリペプチドを使用して行われてもよい。
【0160】
例えば、一実施形態において、本明細書に開示される方法は、配列番号1、配列番号7、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号22、配列番号24および配列番号32、からなる群から選択されるアミノ酸配列と少なくとも95%同一、少なくとも96%同一、少なくとも97%同一、少なくとも98%同一または少なくとも99%同一である重鎖可変ドメイン配列を有し、および配列番号2、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号8、配列番号15、配列番号19、配列番号20、配列番号21、配列番号23、配列番号25、配列番号26、配列番号27、配列番号28、配列番号29、および配列番号30からなる群から選択されるアミノ酸配列と少なくとも95%同一、少なくとも96%同一、少なくとも97%同一、少なくとも98%同一または少なくとも99%同一である軽鎖可変ドメイン配列を有する、抗CD47完全ヒト抗体の使用を含む。
【0161】
一実施形態において、本明細書に記載される方法は、配列番号1、配列番号7、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号22、配列番号24および配列番号32、からなる群から選択されるアミノ酸配列と少なくとも95%同一、少なくとも96%同一、少なくとも97%同一、少なくとも98%同一または少なくとも99%同一である重鎖可変ドメイン配列を有し、および配列番号2、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号8、配列番号15、配列番号19、配列番号20、配列番号21、配列番号23、配列番号25、配列番号26、配列番号27、配列番号28、配列番号29、および配列番号30;からなるアミノ酸配列と少なくとも95%同一、少なくとも96%同一、少なくとも97%同一、少なくとも98%同一または少なくとも99%同一である軽鎖可変ドメイン配列を有する、抗CD47完全ヒトFab抗体断片の使用を含む。
【0162】
一実施形態において、本明細書に記載される方法は、配列番号1、配列番号7、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号22、配列番号24および配列番号32、からなる群から選択されるアミノ酸配列と少なくとも95%同一、少なくとも96%同一、少なくとも97%同一、少なくとも98%同一または少なくとも99%同一である重鎖可変ドメイン配列を有し、配列番号2、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号8、配列番号15、配列番号19、配列番号20、配列番号21、配列番号23、配列番号25、配列番号26、配列番号27、配列番号28、配列番号29、および配列番号30からなるアミノ酸配列と少なくとも95%同一、少なくとも96%同一、少なくとも97%同一、少なくとも98%同一または少なくとも99%同一である軽鎖可変ドメイン配列を有する抗CD47一本鎖ヒト抗体の使用を含む。
【0163】
一実施形態において、抗CD47完全ヒト抗体は、重鎖と軽鎖の両方を有し、ここで、抗体は、配列番号1/配列番号2、配列番号1/配列番号4、配列番号1/配列番号5、配列番号1/配列番号8、配列番号1/配列番号6、配列番号7/配列番号8、配列番号9/配列番号8、配列番号10/配列番号4、配列番号11/配列番号4、配列番号12/配列番号4、配列番号13/配列番号4、配列番号14/配列番号15、配列番号16/配列番号15、配列番号32/配列番号15、配列番号17/配列番号15、配列番号18/配列番号15、配列番号1/配列番号19、配列番号1/配列番号20、配列番号1/配列番号21、配列番号22/配列番号8、配列番号1/配列番号23、配列番号24/配列番号8、配列番号1/配列番号25、配列番号1/配列番号26、配列番号1/配列番号27、配列番号1/配列番号28、配列番号1/配列番号29、および配列番号1/配列番号30からなる群から選択される重鎖/軽鎖可変ドメイン配列を有する。
【0164】
一実施形態において、抗CD47完全ヒト抗体Fab断片は、重鎖可変ドメイン領域と軽鎖可変ドメイン領域の両方を有し、ここで、抗体は、配列番号1/配列番号2、配列番号1/配列番号4、配列番号1/配列番号5、配列番号1/配列番号8、配列番号1/配列番号6、配列番号7/配列番号8、配列番号9/配列番号8、配列番号10/配列番号4、配列番号11/配列番号4、配列番号12/配列番号4、配列番号13/配列番号4、配列番号14/配列番号15、配列番号16/配列番号15、配列番号32/配列番号15、配列番号17/配列番号15、配列番号18/配列番号15、配列番号1/配列番号19、配列番号1/配列番号20、配列番号1/配列番号21、配列番号22/配列番号8、配列番号1/配列番号23、配列番号24/配列番号8、配列番号1/配列番号25、配列番号1/配列番号26、配列番号1/配列番号27、配列番号1/配列番号28、配列番号1/配列番号29、および配列番号1/配列番号30からなる群から選択される重鎖/軽鎖可変ドメイン配列を有する。
【0165】
一実施形態において、抗CD47完全ヒト一本鎖抗体は、重鎖可変ドメイン領域と軽鎖可変ドメイン領域の両方を有し、ここで、一本鎖完全ヒト抗体は、配列番号1/配列番号2、配列番号1/配列番号4、配列番号1/配列番号5、配列番号1/配列番号8、配列番号1/配列番号6、配列番号7/配列番号8、配列番号9/配列番号8、配列番号10/配列番号4、配列番号11/配列番号4、配列番号12/配列番号4、配列番号13/配列番号4、配列番号14/配列番号15、配列番号16/配列番号15、配列番号32/配列番号15、配列番号17/配列番号15、配列番号18/配列番号15、配列番号1/配列番号19、配列番号1/配列番号20、配列番号1/配列番号21、配列番号22/配列番号8、配列番号1/配列番号23、配列番号24/配列番号8、配列番号1/配列番号25、配列番号1/配列番号26、配列番号1/配列番号27、配列番号1/配列番号28、配列番号1/配列番号29、および配列番号1/配列番号30からなる群から選択される重鎖/軽鎖可変ドメイン配列を有する。
【0166】
CD47は、正常細胞と比較してがん細胞上に高度に発現され(Majetiら(2009年)Cell 138巻(2):286−299頁;Willinghamら(2012年)Proc Natl Acad Sci USA 109巻(17):6662−6667頁)、マクロファージ上のリガンドシグナル調節タンパク質α(SIRP−α)と相互作用する(BrownおよびFrazier(2001年)Trends Cell Biol 11巻(3):130−135頁)。
【0167】
したがって、一実施形態において、本発明の抗CD47抗体および抗体断片は、広範囲の哺乳動物のがんを治療するために使用される。一実施形態において、本明細書に記載される抗体および抗体断片は、卵巣がん、結腸がん、乳がん、肺がん、骨髄腫、神経芽細胞由来のCNS腫瘍、単球性白血病、B細胞由来の白血病、T細胞由来の白血病、B細胞由来のリンパ腫、T細胞由来のリンパ腫、肥満細胞由来の腫瘍、およびそれらの組合せなどの願を治療するために使用される。
【0168】
一実施形態において、本明細書に記載される抗CD47抗体は、血液悪性腫瘍および/またはCD47+腫瘍を含むがんまたは他の新生物状態の治療、その進行の遅延、その再発の予防、およびその症状の緩和に有用である。
【0169】
一実施形態において、CD47を過剰発現する腫瘍を有するヒト対象は、本明細書に開示される抗CD47抗体または抗体断片を用いて治療される。一実施形態において、本明細書に開示される方法は、異常な、例えば、過剰発現の、CD47発現、活性またはシグナル伝達に関連する固形腫瘍を有する対象を治療するために使用される。固形腫瘍には、例えば、乳房腫瘍、卵巣腫瘍、肺腫瘍、膵臓腫瘍、前立腺腫瘍、メラノーマ腫瘍、結腸直腸腫瘍、肺腫瘍、頭頸部腫瘍、膀胱腫瘍、食道腫瘍、肝腫瘍および腎臓腫瘍が含まれる。
【0170】
本明細書に記載されるCD47抗体は、B細胞由来のリンパ腫、T細胞由来のリンパ腫、非ホジキンリンパ腫(NHL)、急性リンパ球性白血病(ALL)、急性骨髄性白血病(AML)、慢性リンパ球性白血病(CLL)、慢性骨髄性白血病(CML)、多発性骨髄腫(MM)、乳がん、卵巣がん、頭頸部がん、膀胱がん、黒色腫、結腸直腸がん、膵臓がん、肺がん、平滑筋腫、平滑筋肉腫、神経膠腫、神経膠芽細胞腫および固形腫瘍からなる群から選択されるがんの治療に有用であり、ここで、固形腫瘍は、乳房腫瘍、卵巣腫瘍、肺腫瘍、膵臓腫瘍、前立腺腫瘍、メラノーマ腫瘍、結腸直腸腫瘍、肺腫瘍、頭頸部腫瘍、膀胱腫瘍、食道腫瘍、肝腫瘍、腎臓腫瘍、神経芽細胞由来のCNS腫瘍および肥満細胞由来の腫瘍からなる群から選択される。
【0171】
一実施形態において、本発明の抗CD47抗体および抗体断片は、広範囲の線維性疾患を治療するために使用される。例えば、一実施形態において、治療されるべき線維性疾患は、心筋梗塞、狭心症、変形性関節症、肺線維症、喘息、嚢胞性線維症、気管支炎、喘息およびそれらの組合せからなる群から選択される。
【0172】
本開示は、抗CD47ポリペプチドを投与することを含む、S.アウレウス感染を治療または予防するための方法を特徴とする。投与のための技術および投与量は、特定の種類のポリペプチドおよび処置されるべき特定の病状によって変わるが、当業者により容易に決定することができる。一般的に、監督当局は、治療剤として使用されるタンパク質試薬が、許容される低レベルの発熱物質を有するように製剤化されることを要求する。したがって、治療製剤は、一般的に、それらが実質的に発熱物質を含まない、または少なくとも適切な監督当局(例えば、FDA)により決定される、許容されるレベル未満の発熱物質を含む点で、他の製剤と区別される。
【0173】
本開示の治療組成物は、医薬として許容される希釈剤、担体または賦形剤とともに、単一の投与量形態で投与され得る。投与は、非限定的な例として、非経腸(例えば、静脈内、皮下)、経口または局所であり得る。さらに、本発明のポリペプチドをコードする核酸を用いる任意の遺伝子治療技術、例えばネイキッドDNA送達、組換え遺伝子およびベクター、患者の細胞のエクスビボでの操作を含む細胞ベースの送達などを用いることができる。
【0174】
組成物は、経口投与用の丸剤、錠剤、カプセル剤、液剤または持続放出錠;または静脈内、皮下もしくは非経腸投与用の液剤;局所投与用のゲル、ローション、軟膏、クリームもしくはポリマーまたは他の持続放出ビヒクルの形態であり得る。
【0175】
ある特定の実施形態において、開示された抗体は、吸入により投与されるが、全長IgG抗体のエアロゾル化は、抗体の分子サイズ(約150kDa)に起因して制限させることが判明することがある。市販のエアロゾル化デバイスを最大にするために、より小さなFab断片が必要とされる場合がある。
【0176】
製剤の製造方法に関する当該技術分野において周知の方法は、例えば、「Remington:The Science and Practice of Pharmacy」(20th ed.、編集、A.R.Gennaro A R.、2000年、Lippincott Williams & Wilkins、Philadelphia、Pa)に見出される。非経腸投与用製剤は、例えば、賦形剤、滅菌水、生理食塩水、ポリエチレングリコールのようなポリアルキレングリコール、植物由来のオイルまたは水素化ナフタレンを含むことができる。生体適合性の生分解可能なラクチドポリマー、ラクチド/グリコリドコポリマーまたはポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンコポリマーは、化合物の放出を制御するために使用することができる。ナノ粒子製剤(例えば、生分解可能なナノ粒子、固体脂質ナノ粒子、リポソーム)は、化合物の生体内分布を制御するために使用することができる。他の有用な可能性のある非経腸送達系には、エチレン−酢酸ビニルコポリマー粒子、浸透圧ポンプ、埋め込み式点滴システムおよびリポソームが含まれる。製剤中の化合物の濃度は、投与される薬物の投薬量、および投与経路を含む、多数の因子に応じて変化する。
【0177】
ポリペプチドは、任意選択的に、製薬分野で通常使用される非毒性の酸付加塩または金属錯体のような医薬として許容される塩として投与されてもよい。酸付加塩の例としては、酢酸、乳酸、パモ酸、マレイン酸、クエン酸、リンゴ酸、アスコルビン酸、コハク酸、安息香酸、パルミチン酸、スベリン酸、サリチル酸、酒石酸、メタンスルホン酸、トルエンスルホン酸またはトリフルオロ酢酸のような有機酸;タンニン酸、カルボキシメチルセルロースのようなポリマー酸;および、塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸のような無機酸が含まれる。金属錯体には、亜鉛、鉄などが含まれる。一例において、ポリペプチドは、熱安定性を増加させるために、酢酸ナトリウムの存在下で製剤化される。
【0178】
経口使用のための製剤としては、非毒性の医薬として許容される賦形剤との混合物中に有効成分を含有する錠剤が含まれる。これらの賦形剤は、例えば、不活性希釈剤または充填剤(例えば、スクロースおよびソルビトール)、潤滑剤、流動促進剤および抗接着剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸、シリカ、硬化植物油またはタルク)であり得る。
【0179】
経口使用のための製剤はまた、チュアブル錠として、または硬質ゼラチンカプセルとして与えられてもよく、ここで、有効成分は、不活性固体希釈剤とともにまたは軟質ゼラチンカプセルとして混合され、有効成分は水または油媒体とともに混合される。
【0180】
治療的に有効な投薬量とは、投与された場合に治療効果を生じる投薬量を意味する。正確な投薬量は、処置される障害に依存し、当業者により公知の技術を用いて確かめられ得る。一般的に、ポリペプチドは、1日あたり約0.01μg/kgから約50mg/kg、好ましくは1日あたり0.01mg/kgから約30mg/kg、最も好ましくは1日あたり0.1mg/kgから約20mg/kgで投与される。ポリペプチドは、毎日(例えば、1日1回、2回、3回または4回)、または好ましくは低頻度で(例えば、週に1回、2週間に1回、3週間に1回、月に一回または年に4回)投与され得る。さらに、当該技術分野において公知であるように、年齢ならびに体重、一般的な健康状態、性別、食事、投与時期、薬物相互作用および疾患の重症度による調整が必要であり、当業者により常套実験にて確認され得る。
【0181】
本明細書に開示されるように、CD47結合ポリペプチドは、単独で投与することができ、または化学療法、放射線療法、免疫療法、外科的処置またはこれらの任意の組合せのような1つ以上のさらなる療法と組み合わせて投与することができる。上記の他の治療戦略のもとで、長期治療が同様に可能であり、アジュバント療法もまた可能である。
【0182】
このような方法のある種の実施形態において、1つ以上のポリペプチド治療剤は、共に(同時に)または異なる時点において(連続的に)投与され得る。さらに、ポリペプチド治療剤は、がんを治療するためまたは血管新生を阻害するための別のタイプの化合物とともに投与することができる。
【0183】
ある種の実施形態において、本発明の目的とする抗CD47抗体剤を単独で使用することができる。
【0184】
ある種の実施形態において、断片の結合ポリペプチドは、診断目的のために標識されていても標識されていなくてもよい。典型的には、診断アッセイは、結合ポリペプチドがCD47に結合することによって生ずる複合体の形成を検出することを伴う。結合ポリペプチドまたはその断片は、抗体と同様に、直接標識され得る。様々な標識が使用でき、限定されないが、放射性核種、蛍光剤、酵素、酵素の基質、酵素補助因子、酵素阻害剤およびリガンド(例えば、ビオチン、ハプテン)が挙げられる。多数の適切な免疫アッセイが当業者に公知である(例えば、米国特許第3,817,827号;第3,850,752号;第3,901,654号;および第4,098,876号を参照されたい。)。標識されない場合、結合ポリペプチドは、凝集アッセイ法などのアッセイにて使用できる。また、標識されていない結合ポリペプチドは、結合ポリペプチドまたは他の適切な試薬(例えば、標識されたプロテインA)と反応性のある標識抗体などの、結合ポリペプチドを検出するために使用できる別の(1つ以上の)適切な試薬と併用することもできる。
【0185】
一実施形態において、本発明の結合ポリペプチドは、目的とするポリペプチドが酵素にコンジュゲートする酵素免疫アッセイに利用することができる。CD47タンパク質を含む生物学的サンプルが目的とする結合ポリペプチドと混合される場合、結合ポリペプチドとCD47タンパク質の間で結合が生じる。一実施形態において、CD47タンパク質を発現する細胞(例えば、内皮細胞)を含むサンプルが、目的とする抗体と混合され、結合ポリペプチドと結合ポリペプチドによって認識されるCD47タンパク質を有する細胞の間で結合が生じる。これらの結合細胞は、結合しなかった試薬から分離され、細胞に特異的に結合した結合ポリペプチド−酵素コンジュゲートの存在は、例えば、サンプルと、酵素が作用すると色または他の検出可能な変化を生じさせる酵素の基質とを接触させることにより決定される。別の実施形態において、目的とする結合ポリペプチドは、標識されていなくてもよく、目的とする結合ポリペプチドを認識する第2の標識ポリペプチド(例えば、抗体)を加えることができる。
【0186】
ある種の態様において、生物学的サンプル中にCD47タンパク質が存在することを検出する際に使用するためのキットもまた製造することができる。このようなキットは、CD47タンパク質または該受容体の部分に結合するCD47結合ポリペプチド、ならびに結合ポリペプチドと受容体タンパク質またはその部分との間の複合体の存在を検出するのに適切な1つ以上の補助試薬を含む。本発明のポリペプチド組成物は、単独でまたは他のエピトープに特異的なさらなる抗体と組み合わせて、凍結乾燥形態で提供され得る。標識されていてもよくまたは標識されていなくてもよい結合ポリペプチドおよび/または抗体は、補助成分(例えば、Tris、リン酸塩および炭酸塩のような緩衝剤、安定化剤、賦形剤、殺生物剤および/または不活性タンパク質、例えば、ウシ血清アルブミン)と共にキットに含み得る。例えば、結合ポリペプチドおよび/または抗体は、補助成分との凍結乾燥された混合物として提供され、または、補助成分は、使用者が組み合わせるために別々に提供され得る。一般に、これらの補助材料は、活性な結合ポリペプチドまたは抗体の量を基準にして約5重量%未満で存在し、通常、ポリペプチドまたは抗体濃度を基準にして少なくとも約0.001重量%の総量で存在する。結合ポリペプチドに結合することができる二次抗体を使用する場合、このような抗体は、キット中、例えば、別個のバイアルまたは容器中に提供され得る。二次抗体は、存在する場合、典型的には標識され、上記の抗体製剤に類似した方法で製剤することができる。
【0187】
ポリペプチド配列は、標準の一文字表記または三文字表記を用いて示される。特記しない限り、各ポリペプチド配列は、左にアミノ末端および右にカルボキシ末端を有する;各々の一本鎖核酸配列、および各々の二本鎖核酸配列の上の鎖は、左に5’末端および右に3’末端を有する。また、特定のポリペプチド配列は、それが参照配列とどの程度異なるかを説明するために記載され得る。
【実施例】
【0188】
[実施例1]
抗体C47B10、C47A8、C47A11およびC47D8を含む、ヒト抗CD47抗体由来の重鎖および軽鎖可変ドメインアミノ酸配列が同定された。これらの抗体の重鎖および軽鎖可変ドメイン配列は、以下の表5に記載される(表5は、本明細書において開示されているすべての配列の要約である。)。
【0189】
以下の実施例は、マクロファージによるがんの抗CD47抗体媒介性食作用を説明する。具体的には、CD47に対する抗体A8、B10、A11およびD8の機能活性は、腫瘍細胞のマクロファージ媒介性食作用を促進するそれらの能力を測定することによって決定された。
【0190】
マクロファージは、30ng/mlのマクロファージコロニー刺激因子(M−CSF)を含有する培地中で精製されたCD14陽性単球を培養することによって調製された。培養5日後、細胞はマクロファージの特徴を示し、食作用アッセイに使用された。貪食アッセイの前日に、K562標的細胞(ヒト骨髄性白血病株)をCFSE(カルボキシフルオレセインスクシンイミジルエステル)を用いて標識した。アッセイ当日に、標的細胞は、1マイクログラム/ミリリットルの試験抗体とともにプレインキュベートされた。15分後、細胞を洗浄し、1つの標的細胞に対して2つのマクロファージの割合でマクロファージに添加した。37℃で3時間後、細胞をフィコエリトリン結合させた抗CD11bを用いて染色し、さらに15分間インキュベートした。次に、細胞をウェルから取り出し、フローサイトメトリーによって分析した。
【0191】
図1は、抗CD47抗体にはK562がん細胞の食作用を促進する能力があるが、対照抗体(アイソタイプが一致した陰性対照抗体、すなわちCD47に結合しないだけでなく、細胞にも結合しない抗体)にはその能力がないことを実証するデータを提供する。
図1の右上象限の細胞集団は、貪食されたK562細胞を含むマクロファージを表す。右下象限の細胞は、貪食されていないK562細胞である。試験されたすべての抗CD47抗体はいくらかの活性を示し、C47B10(
図1においてB10と呼ばれる。)は最も食作用を促進した。
【0192】
[実施例2]
C47B10抗体(または「B10」抗体)の生殖系列突然変異を実施して、安定性を高め、免疫原性の危険性を減少させた。B10抗体の生殖系列化は、生殖系列配列と一致するように、特定のフレームワーク残基を変化させることを伴った。生殖系列配列と比較すると、軽鎖の第3のアミノ酸は生殖系列配列と異なっていた。これは、既知の生殖系列データベースを用いて同定された。したがって、B10抗体の軽鎖中の第3のアミノ酸はVからAに変化させた。以下の表1は、C47B10野生型配列(配列番号1/配列番号4)およびC47B10−1生殖細胞系列を変化させた配列(配列番号1/配列番号8)を示す。
【0193】
【表1】
【0194】
[実施例3]
改善されたC47B10抗体
C47B10−1は、さらなる突然変異のための親抗体として用いて親和性特性を改良しようと試みた。簡単には、C47B10−1(Ch47B10またはC47B10−1抗体は、軽鎖可変領域中の1つのフレームワーク残基のみが異なるため、CDRが同じであることに留意されたい。)のCDR内の単一アミノ酸(ChothiaまたはKabat番号付けのいずれかによって定義される。)は、各々のCDR内の各位置がすべての可能な20アミノ酸に突然変異されるように突然変異させた。次に、これらのB10改変体抗体は、C47B10−1親抗体と比較した親和性変化についてスクリーニングされ、結合の差異を示す抗体を配列決定した。C47B10−1と比較したCD47に対する親和性がより低いことを示した特定の改変体を同定した。これらのより低い親和性改変体は、C47B10−1に対して単一の突然変異のみを有し、抗体C47B10 H3−D4、C47B10 L1A−A10、C47B10H3−D3、C47B10 L1A−A4およびC47B10L3−B2として同定された。抗体C47B10H3−D4およびC47B10L1A−A10は、ELISAに従って選択および試験された改変体のうち最も低い親和性を示した(以下により詳細に説明する。)。また、増加した親和性を有するヒットが配列決定され、コンビナトリアルライブラリーに含まれ、次に、これは、さらに改善された親和性抗体について発現およびスクリーニングされた。C47B10−1改変体の軽鎖および重鎖可変ドメインアミノ酸配列(増加および減少した親和性改変体;上記されないものは高親和性改変体である。)は、以下の表2に記載される。
【0195】
【表2】
【0196】
赤血球凝集試験は、インビボでの赤血球凝集が急性貧血をもたらす可能性があり、避けるべきであることを前提として、治療用抗体の副作用の尺度として使用することができる。このように、インビトロでの赤血球凝集アッセイを用いて、血清中の上記B10改変体抗体の活性を試験することを決定した。簡単には、ヒト赤血球をPBS中、20%溶液に希釈し、この溶液の100マイクロリットルを96ウェル丸底プレートのウェルに添加した。PBS中の試験抗体の連続希釈液(100マイクロリットル)をこれらのウェルに添加し、赤血球と混合した。抗体およびアイソタイプが一致した非CD47結合抗体を対照として使用しなかった。プレートを一晩、37℃でインキュベートし、翌日、(血液細胞ボタンの形成である)凝集について視覚的に評価した。低親和性抗体C47B10 H3−D4、C47B10 L1A−A10、C47B10H3−D3、C47B10 L1A−A4およびC47B10L3−B2は、親抗体C47B10−1と比較して高親和性を有するC47B10改変体抗体と比較して、低レベルの赤血球凝集を示した。
【0197】
改善されたC47A8抗体
改善された抗体はまたC47A8抗体から生成された。C47A8は、インビトロでの赤血球凝集アッセイ(上記)の低赤血球凝集を示したため選択された。
【0198】
C47A8は、その軽鎖CDR3ドメインにおいて不対システインを有する。このシステインは、親C47A8抗体由来の親和性を保存するためにその位置で一連の点突然変異を用いて除去した。元のC47A8配列およびC47A8の改変体は、以下の表3に記載されている。システインからA/L/Q/またはSへのアミノ酸変化は、軽鎖の表3において太字で強調されている。
【0199】
【表3】
【0200】
[実施例4]
ELISAは、抗体C47A8およびC47A8改変体(表3に示される。)のヒトCD47への結合を評価するために行われた。ELISAプレートは、PBS中の1μg/mlのヤギ抗ヒトF
D抗体で一晩4℃にて被覆された。翌日、プレートをカゼインで1.5時間ブロックし、洗浄し、抗CD47 IgG抗体をカゼイン中で1μg/ml添加して2時間放置した。ビオチニル化されたCD47をニュートラアビジン−APを用いて20分間プレ複合体化し、カゼインで連続希釈し、ELISAプレートに添加した。室温で1時間インキュベートした後、プレートを洗浄し、p−ニトロフェニルホスフェート(PNPP)基質で発色させ、吸光度を測定した。結果を
図2に示す。
図2に示されるように、C47A8−CLはC47A8よりも多くのCD47受容体に結合した。これらの条件下で、C47 A8−CLは、C47 A8と比較して抗原に対する結合が良好であると考えられたが、他の抗体は、親抗体C47A8よりもCD47抗原に対してわずかに低い親和性を有した。
【0201】
ELISAは、選択されたC47B10改変体のヒトCD47への結合を評価するためにも行われた。ELISAプレートは、PBS中の1μg/mlのヤギ抗ヒトラムダ抗体で一晩4℃にて被覆された。翌日、プレートをカゼインで1.5時間ブロックした。抗体をカゼイン中1.3μg/mlで添加し、室温で4時間インキュベートした。洗浄後、ニュートラアビジン−APを用いてプレ複合体化された、連続希釈のビオチン化されたCD47を添加し、室温で1時間インキュベートした。洗浄後、プレートをPBS−Tweenとともに20分間インキュベートした後、洗浄し、PNPP基質で発色させ、吸光度を測定した。結果を
図3に示す。
図3に示されるように、これらのB10改変体はすべて、C47B10抗体よりもヒトCD47に対する親和性が低いことが実証した。これらの条件下で、突然変異した抗体は、C47B10と比較して抗原に対して結合が弱いと考えられる。
【0202】
ELISAはまた、他の選択されたC47B10改変体、すなわち、親抗体B10よりも高い親和性を有するものとして同定された改変体の結合を評価するために行われた。ELISAプレートは、PBS中の1μg/mlのヤギ抗ラムダ抗体で一晩4℃にて被覆された。翌日、それをカゼインで2時間ブロックした。抗体をカゼイン中1μg/mlで添加し、室温で2.5時間インキュベートした。洗浄後、連続希釈のビオチン化されたCD47を添加し、室温で1時間インキュベートした。洗浄後、プレートをニュートラアビジン−APとともに25分間インキュベートし、次に、洗浄し、PNPP基質で発色させ、吸光度を測定した。結果を
図4に示す。対照抗体は、抗原に結合しないIgG1であり、アッセイにおいて非特異的な結合がないことを示すために使用された。
図4に示されるように、C47B10と比較して、試験された改変体のすべては、CD47標的と結合し、C47B10−B1C(i)、C47B10−C6C(ii)、C47B10−C11C(iii)、C47B10−DC3(iv)およびC47B10−C3C(v)は、試験されたC47B10改変体の最大結合量を示した。これらの条件下で、突然変異した抗体は、C47B10と比較して抗原に対して結合が強いと考えられる。
【0203】
抗体CD47B10およびCD47A8、ならびにA8改変体C47A8−CSおよびC47A8−CQは、BIACORE親和性試験においてさらに試験された。ヒトCD47に対する試験抗体の親和性は、表面プラズモン共鳴(BIACORE)を用いて決定された。試験の結果を以下の表4に示す。
【0204】
【表4】
【0205】
【表5】
【0206】
参照による組み込み
本出願を通して引用されたすべての参考文献、特許、係属中の特許出願および公開された特許の内容は、参照により本明細書に明示的に組み込まれる。
CD47エピトープに結合するIgGクラスの単離された完全ヒト抗CD47抗体であって、配列番号1、配列番号7、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号22、配列番号24、および配列番号32からなる群から選択されるアミノ酸配列と少なくとも95%同一である重鎖可変ドメイン配列、ならびに配列番号4、配列番号2、配列番号5、配列番号6、配列番号8、配列番号15、配列番号19、配列番号20、配列番号21、配列番号23、配列番号25、配列番号26、配列番号27、配列番号28、配列番号29、および配列番号30からなる群から選択されるアミノ酸配列と少なくとも95%同一である軽鎖可変ドメイン配列を含む完全ヒト抗CD47抗体。
配列番号1、配列番号7、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号22、配列番号24、および配列番号32からなる群から選択されるアミノ酸配列と少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメイン;ならびに配列番号4、配列番号2、配列番号5、配列番号6、配列番号8、配列番号15、配列番号19、配列番号20、配列番号21、配列番号23、配列番号25、配列番号26、配列番号27、配列番号28、配列番号29、および配列番号30からなる群から選択されるアミノ酸配列と少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインを含む抗CD47完全ヒト抗体Fab断片。
ペプチドリンカーによって連結された重鎖可変ドメインおよび軽鎖可変ドメインを含む抗CD47一本鎖ヒト抗体であって、重鎖可変ドメインが、配列番号1、配列番号7、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号22、配列番号24、および配列番号32からなる群から選択されるアミノ酸配列と少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を含み;軽鎖可変ドメインが、配列番号4、配列番号2、配列番号5、配列番号6、配列番号8、配列番号15、配列番号19、配列番号20、配列番号21、配列番号23、配列番号25、配列番号26、配列番号27、配列番号28、配列番号29、および配列番号30からなる群から選択されるアミノ酸配列と少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を含む、抗CD47一本鎖ヒト抗体。
請求項1から9のいずれか一項に記載の有効量の抗CD47抗体または抗体断片を、それを必要とする対象に投与することを含む、がんまたは線維性疾患を治療する方法。
がんが、卵巣がん、結腸がん、乳がん、肺がん、骨髄腫、神経芽球由来のCNS腫瘍、単球性白血病、B細胞由来の白血病、T細胞由来の白血病、B細胞由来のリンパ腫、T細胞由来のリンパ腫、および肥満細胞由来の腫瘍からなる群から選択される、請求項10に記載の方法。
配列番号1、配列番号7、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号22、配列番号24、および配列番号32からなる群から選択される重鎖可変ドメインアミノ酸配列に記載される相補性決定領域(CDR)を含む重鎖可変ドメイン;ならびに配列番号4、配列番号2、配列番号5、配列番号6、配列番号8、配列番号15、配列番号19、配列番号20、配列番号21、配列番号23、配列番号25、配列番号26、配列番号27、配列番号28、配列番号29、および配列番号30からなる群から選択される軽鎖可変領域アミノ酸配列に記載されるCDRを含む軽鎖可変ドメインを含む、単離された抗CD47抗体またはその抗原結合断片。
請求項13に記載の有効量の抗CD47抗体またはその抗原結合断片を対象に投与し、それによりがんまたは線維性疾患を治療することを含む、それを必要とするヒト対象においてがんまたは線維性疾患を治療する方法。
がんが、卵巣がん、結腸がん、乳がん、肺がん、骨髄腫、神経芽球由来のCNS腫瘍、単球性白血病、B細胞由来の白血病、T細胞由来の白血病、B細胞由来のリンパ腫、T細胞由来のリンパ腫、および肥満細胞由来の腫瘍からなる群から選択される、請求項15に記載の方法。