(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2018-511079(P2018-511079A)
(43)【公表日】2018年4月19日
(54)【発明の名称】低PKA駆動ポリマーストリップ中の電荷錯体銅保護を促進する組成物および方法
(51)【国際特許分類】
G03F 7/42 20060101AFI20180323BHJP
H01L 21/027 20060101ALI20180323BHJP
【FI】
G03F7/42
H01L21/30 572B
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2017-548003(P2017-548003)
(86)(22)【出願日】2016年3月11日
(85)【翻訳文提出日】2017年11月7日
(86)【国際出願番号】EP2016055252
(87)【国際公開番号】WO2016142507
(87)【国際公開日】20160915
(31)【優先権主張番号】62/132,469
(32)【優先日】2015年3月12日
(33)【優先権主張国】US
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】511293803
【氏名又は名称】アーゼッド・エレクトロニック・マテリアルズ(ルクセンブルグ)ソシエテ・ア・レスポンサビリテ・リミテ
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100139527
【弁理士】
【氏名又は名称】上西 克礼
(74)【代理人】
【識別番号】100164781
【弁理士】
【氏名又は名称】虎山 一郎
(72)【発明者】
【氏名】ムーア・ジョン・クリーオン
【テーマコード(参考)】
2H196
5F146
【Fターム(参考)】
2H196AA27
2H196BA06
2H196EA27
2H196LA03
5F146MA02
5F146MA04
(57)【要約】
本発明は、ポリマー除去の間に金属を保護する電荷錯体化学組成物である。ポリマーコーティングは、化学増幅および光酸発生(PAG)手段による架橋系をエポキシと同様に含む。このシステムは、溶媒、電荷錯体添加剤、およびマイクロエレクトロニクス部品の処理に必要な溶解および洗浄の実施中に感応性金属のための保護複合体を生成する酸を含む。この組成物は、化学増幅またはPAG−エポキシ光画像形成性コーティングに由来する部分的かつ完全に硬化した架橋コーティングを除去するための方法で利用することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリマーコーティング除去工程中の保護手段としての金属と電荷錯体を生成する組成物であって、
溶媒;
pKa<3を有する有機酸;および
電荷錯体化特性を示す添加剤を含む、前記組成物。
【請求項2】
前記溶媒がテトラヒドロフルフリルアルコール(THFA)である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
THFAが>40%質量/質量の濃度で存在する、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
pKa<3の前記有機酸が、カルボン酸およびスルホン酸からなる群から選択される、請求項1〜3のいずれか一つに記載の組成物。
【請求項5】
前記カルボン酸が、シュウ酸およびマレイン酸からなる群から選択される、請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
前記カルボン酸がマレイン酸であり、0.25〜1モルの濃度で存在する、請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
前記スルホン酸が、メタンスルホン酸、パラ−トルエンスルホン酸、およびドデシルベンゼンスルホン酸からなる群から選択される、請求項4に記載の組成物。
【請求項8】
前記スルホン酸がドデシルベンゼンスルホン酸であり、0.25〜1モルの濃度で存在する、請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
電荷錯体化特性を示す前記添加剤が、ジカルボン酸およびロジンからなる群から選択される、請求項1〜8のいずれか一つに記載の組成物。
【請求項10】
前記ジカルボン酸が、シュウ酸、マレイン酸、コハク酸、フマル酸、フタル酸、イソフタル酸およびサリチル酸からなる群から選択される、請求項9に記載の組成物。
【請求項11】
前記ジカルボン酸が0.1〜15%質量/質量で存在する、請求項9または10に記載の組成物。
【請求項12】
前記ロジンが総酸価(TAN)≧100を示す、請求項9に記載の組成物。
【請求項13】
電荷錯体化特性を示す前記添加剤が、フマル酸、シトラコン酸、メサコン酸、アコニット酸、イタコン酸、無水マレイン酸、フマル酸ロジン、マレイン酸ロジン、ロジンエステル、樹脂変性フェノールロジン、トール油樹脂、テルペン樹脂、樹脂変性酸フェノール樹脂からなる群から選択される、請求項1〜8のいずれか一つに記載の組成物。
【請求項14】
電荷錯体化特性を示す前記添加剤がフマル酸変性ロジンエステルである、請求項13に記載の組成物。
【請求項15】
前記フマル酸変性ロジンエステルが、0.1〜15%質量/質量で存在する、請求項14に記載の組成物。
【請求項16】
化学増幅または光酸発生(PAG)により硬化するポリマーを除去する方法であって、基材上にコーティングを生成することを意味し、
噴霧器、浸漬浴またはチャンバを利用して、前記コーティングに請求項1〜15のいずれか一つに記載の前記組成物を適用する工程;
所定の温度で前記組成物を前記コーティング上に所定時間、直接的に、露光する工程;
および
前記露光された基板を洗浄、乾燥する工程を含む前記方法。
【請求項17】
前記時間が30分未満である、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記温度が20℃〜100℃である、請求項16または17に記載の方法。
【請求項19】
前記コーティングがマイクロエレクトロニクス製造および半導体製造に利用される、請求項16〜18のいずれか一つに記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の背景
本発明は、酸性条件(低pKa)の条件を用いて架橋ポリマーコーティングを除去する間に銅金属を保護する化学ストリッパー(剥離)組成物に関する。低いpKa条件で除去された材料には、ネガ型の化学的に増幅された(例えば、エポキシ)および酸触媒された光画像形成(フォトイメージ)可能なコーティングが含まれる。マイクロエレクトロニクスコーティングのための商業化されたストリッパーの多くは、最低限の製造要件を満たすのに十分に機能しない。本発明は、銅を含むデバイスで一般的に観察される有害なエッチングおよび損傷作用なしに酸性媒体中で反応する架橋系のための除去生成物を生成するための商業的枠組みを提供する。
【背景技術】
【0002】
ハードベーキングまたは完全硬化と呼ばれる様々な処理条件では、組成物は、高温での従来の浸漬条件を用いて、銅などの高感度金属への影響を受けることなく数分以内に化学増幅された反応化合物を除去し溶解させる。このような完全硬化コーティングは、Mooreらの米国特許第6,551,973号(2003年)に例示されているようなアルカリ成分を一般に含む従来の有機剥離剤(ストリッパー)に耐性であることが判明している。これらの従来のストリッパーを使用すると、溶解は起こらない。その代わりに、これらの従来のアルカリ性ストリッパーは、持ち上げる(リフト)かまたは破片に分割する機構によってコーティングを除去されることが観察される。このリフトオフ機構は、微小電気機械システム(MEMS)装置に一般的に見られるような複雑な三次元トポグラフィからの不完全な除去を生じされる。溶解していない材料は、浴を通して循環する粒子を生成し、溶解しない部分を装置の他の領域に再堆積させる。これらの小型コンピュータ制御ギア、センサ、スプリング、ポンプ、および関連するマイクロまたはナノスケールの固定具上で生じるこのような汚染は、汚染および装置の故障をもたらす。所与の剥離および除去期間中に望ましくないポリマー材料を完全に溶解させることが、本発明の目的である。
【0003】
完全溶解によって、リサイクルされた組成物の効率的な洗浄(リンス)および濾過の利点を提供する。この組成物は、半導体ウエハ、MEMSデバイス、およびディスプレイの製造において特に有用であることが見出されている。これらの微細回路またはマイクロデバイスの製造中に、単結晶シリコンおよび多結晶シリコンなどの様々な無機基板、ヒ化ガリウムなどのハイブリッド半導体、および金属には、恒久的または一時的なデザインの抵抗性フレームワークを形成する有機コーティング(「フォトレジスト」またはレジスト)で被膜され、フォトリソグラフィ工程を経た後にパターンを示す。レジストは、導体を絶縁するために、またはシリコン、二酸化シリコン、またはアルミニウムのような基板表面の選択された領域を、湿式(化学)形態および乾式(プラズマ)形態の両方の化学物質の作用から保護するために利用され得る。材料がフォトレジストとして利用される場合、基板の露出領域は、所望のエッチング(除去)または堆積(添加)プロセスを実行することができる。この操作が完了した後、その後の洗浄またはコンディショニングの後、必須の仕上げ操作を可能にするためにレジストおよび任意の塗布後の残留物を除去する必要がある。レジストを除去すると、特定のマイクロエッチングまたは堆積パターンが残される。マスキングおよびパターニングプロセスは、最終デバイスの技術を含む層状構造を生成するために数回繰り返される。各工程は、最終的な成形装置が比較的高い収率で確実に製造され十分に実施されることを確実にするために、完全なレジストの剥離および溶解を必要とする。米国特許出願第2014/0076356号(2012年)では、Dariotらは、ある種の架橋ポリマー系を除去するために酸性添加剤と共にエーテル溶剤を使用する組成物を記載している。さらに、米国特許第2011/0253171A1号(2011年)の放棄された出願において、ムーア(Moore)は酸性添加剤もエポキシ系光画像形成性(フォトイメージ可能)コーティングの除去に影響を及ぼすストリッピング(剥離)化学を記載している。これらの出願のいずれも、マイクロエレクトロニクス製造に必要な程度に銅表面を十分に保護する化学について教示していない。より具体的には、Dariotらのこの出願は金属の安全性を保証するには不完全かつ不十分である。すなわち、望ましくない残留物を生成することで既知である化合物、シュウ酸を含む配合物を挙げる例がある。シュウ酸は、鉄および他の金属の酸化物を洗浄および錯化するために使用される一般的な工業用カルボン酸であるが、シュウ酸銅溶解度積(Ksp)が10e−22であるため強い沈殿効果を有する。この錯体からの残留物は、小学校における定性分析においては許容されるものであるが、製造プロセスのスケーリングには最大の困難である。さらに、Mooreらの出願においては、阻害剤ベンゾトリアゾール(BTA)およびトリトリアゾール(TTA)の使用を記載されているが、これらは酸性媒体中では機能しないことが知られている。これらの用途の両方とも、酸性媒体(低pKa)における除去およびストリッピング(剥離)の実施を教示しているが、金属保護に対するそれらの提案は、製造の実施において使用するには不十分である。本発明のさらなる目的は、錯体銅基材を保護することができる剥離および除去の実施を提供することである。
【0004】
【特許文献1】米国特許第6,551,973号
【特許文献2】米国特許出願第2014/0076356号
【特許文献3】米国特許出願第2011/0253171A1号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、ネガ型(ネガトーン)PAGおよび化学増幅されたフォトレジストを除去し、数分で完全溶解を達成する改良された剥離組成物を提供することである。また、本発明の目的は、そのようなフォトレジスト除去を、下層の露出した銅および他の金属への攻撃なしに基板から行うことである。作業者または環境に害を及ぼさない安全で無秩序な化学作用を利用して、このフォトレジスト除去および金属保護を行うことが、さらなる目的である。これらの目的および他の目的は、半導体、MEMS、およびディスプレイなどのマイクロデバイスの製造に使用される複合無機基板上で行われる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
発明の概要
本発明の一実施形態は、その分子発現において電荷共鳴を示す化学物質を含む組成物を記載する。電荷共鳴の特性は、金属イオンとの良好な相互作用を最大にするように分子の電気陰性度を分配する。ネガ型の化学増幅型光画像形成性コーティングおよびPAG促進性架橋剤を有するコーティングを化学的に溶解および除去する条件では、このような化学物質の電荷移動共鳴の選択は金属イオン保護のために好ましい。具体的には、フランの電荷共鳴化学が、フォトレジストおよび関連するコーティングを除去するために好ましく、より具体的には、テトラヒドロフルフリルアルコール(CAS番号97−99−4)が最も好ましい。この化学の一部として、pKa<3を示す1種以上の酸性添加剤の使用もある。エノール変種の電荷共鳴特性を含む阻害剤、もしくはアルコール官能性に隣接する不飽和炭素鎖を含むものとして記載される。代表的なエノール阻害剤には、フマル酸、マレイン酸およびフタル酸が含まれる。ロジン種の阻害剤、さらに、最も好ましくは、フマル化ロジンが挙げられる。
【0007】
一実施形態においては、溶媒はフラン溶媒である。一実施形態では、溶媒はテトラヒドロフルフリルアルコール(THFA)である。一実施形態では、溶媒はプロピレングリコールモノメチルエーテルである。一実施形態では、溶媒はn−メチルピロリドン(NMP)である。一実施形態では、溶媒はジメチルスルホキシド(DMSO)である。
【0008】
一実施形態では、溶媒は>40%w/w(質量/質量)の濃度で存在する。一実施形態では、溶媒は60〜80%w/wの濃度で存在する。一実施形態では、溶媒は85〜95%w/wの濃度で存在する。
【0009】
一実施形態では、有機酸は、置換または非置換のスルホン酸である。一実施形態では、有機酸はアルキルスルホン酸である。一実施形態では、有機酸はメタンスルホン酸である。一実施形態では、有機酸はエタンスルホン酸である。一実施形態では、有機酸はプロパンスルホン酸である。一実施形態では、有機酸はブタンスルホン酸である。一実施形態では、有機酸はアリールスルホン酸である。一実施形態では、アリールスルホン酸はトルエンスルホン酸である。一実施形態では、スルホン酸はパラ−トルエンスルホン酸である。一実施形態では、有機酸は、置換または非置換のアルキルアリールスルホン酸である。一実施形態では、アルキルアリールスルホン酸はドデシルベンゼンスルホン酸である。一実施形態では、有機酸はマレイン酸である。一実施形態では、有機酸はシュウ酸である。一実施形態では、有機酸はギ酸である。
【0010】
一実施形態では、添加剤は、電荷共鳴特性を有する阻害剤である。一実施形態では、添加剤はエノール阻害剤である。一実施形態では、添加剤はカルボン酸阻害剤である。一実施形態では、添加剤はジカルボン酸阻害剤である。一実施形態では、添加剤は脂肪酸様阻害剤である。一実施形態では、添加剤はアクリル酸である。一実施形態では、添加剤はTAN≧100のロジンである。一実施形態では、添加剤は、フマル酸(fumeric)変性ロジンエステルである。一実施形態では、添加剤はマレイン酸変性ロジンエステルである。一実施形態では、添加剤はトール油ロジンの変性エステルである。一実施形態では、添加剤は二量化ガムロジンである。一実施形態では、添加剤はドデカン二酸である。
【0011】
一実施形態では、添加剤はpKa≦6を有する。一実施形態では、添加剤は約4〜約6の間のpKaを有する。
【0012】
一実施形態では、添加剤は0.1〜15%w/wの濃度で存在する。一実施形態では、添加剤は1〜10%w/wの濃度で存在する。一実施形態では、添加剤は3〜7%w/wの濃度で存在する。
【発明の効果】
【0013】
本発明の一実施形態においては、浸漬を利用したPAG架橋を有し高温でのスプレープロセスによるネガ型化学増幅型光画像形成性コーティングを分離することによって半導体製造を補助する方法を提供し、従来の剥離剤に対して改善された性能を有する方法を提供する。
【0014】
本発明は、有毒物質の導入なしで実施し、適度な温度で実施され、軟質金属、特に銅に対して安全であるとみなされる。このシステムの有用性は、低温での迅速な処理および簡便な洗浄を用いて清浄な基材を製造するのに有効なラインを製造する際に特に有利である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
発明の詳細な説明
例示的な実施形態の様々な態様は、当業者がその技術の内容を当業者に伝えるために一般的に用いられる用語を用いて説明される。しかしながら、当業者には、本発明は記載された態様のいくつかのみを用いて実施されてもよいことは明らかであろう。説明のために、例示的な実施形態の完全な理解を提供するために、特定の数、材料および構成が示されている。しかしながら、当業者には、本発明が特定の詳細なしに実施され得ることは明らかであろう。他の例では、例示的な実施形態を不明瞭にしないために、周知の特徴は省略または簡略化される。
【0016】
様々な操作は、本発明の理解に最も有用なやり方で、複数の別個の操作として説明される。しかしながら、説明の順序は、これらの操作が必然的に順序依存であることを意味すると解釈されるべきではない。特に、これらの操作は、提示の順番で実行される必要はない。
【0017】
一実施形態における句は繰り返し使用される。フレーズは、一般的に同じ実施形態を指していないが、そうであってもよい。有する、含む、含油するという用語は、文脈が別のことを指示しない限り、同義である。
【0018】
ネガ型PAG開始及び化学増幅型光画像形成可能コーティングの使用がマイクロデバイス製造に利用される一方で、そのようなコーティング及びその残留物の除去も、装置を完成させるために行われなければならない。これらの工程は、ウエハバンピング工程におけるバックエンドウエハレベルパッケージングの間にウエハ上により行われる。本発明の組成物および方法は、除去が困難であると認識されていたネガ型PAGおよび化学増幅型光画像形成性コーティングの除去に適しており、また、従来の洗浄剤に対して耐性である完全硬化状態の場合に特に適している。ストリッピング(剥離)、除去および清浄(洗浄)という用語は同じ意味で使用され、用語ストリッパー(剥離剤)、リムーバー(除去剤)、および洗浄組成物は交換可能に利用される。不定冠詞には、単数形および複数形の両方の名詞形が含まれている。このような数値範囲が最大100%に制限されることが明らかである場合を除き、すべての組成範囲は包括的であり、任意の順序で組み合わせ可能である。用語「質量%」は、他に指示がない限り、ストリッピング組成物の総質量に基づく質量%を意味する。
【0019】
当該組成物および方法は、特に、金属、半導体および関連する有機材料のような様々な層および構造を含むことができ、ウエハまたはフラットパネルディスプレイなどの基板からそのようなコーティングを除去するように適合される。典型的な基板材料として、シリコン、ヒ化ガリウム、およびリン化インジウムおよびサファイアのような半導体材料、ならびにガラスおよびセラミックならびに他の適切な半導体材料が含まれる。
【0020】
当該組成物および方法は、金属性、非金属および金属化非金属基材、無機基材からネガ型PAGおよび化学増幅型光画像形成性コーティングを迅速かつ効果的に溶解および除去する。当該組成物は、架橋ポリマー物質を加水分解し、そのモノマー形態をバルク溶剤に放出し、次いで基材から洗浄される酸性成分を含む。架橋ポリマーの溶解および除去は、電子製造において微細回路を製造するための望ましい加工条件を表す。除去されるべき有機物質は消費者の工程にさらされたときに硬質で化学的に耐性のある骨格に硬化することができるが、当該組成物および方法は、比較的許容できる性能を維持することが見出された。
【0021】
無機基材から有機物質を剥離(ストリッピング)する方法は、組成物を、熱の有無にかかわらず基板と直接接触させ、エポキシベースのコーティングを溶解し水で洗浄することによって得られる種を除去するのに十分な所与の時間、接触させる。
【0022】
ネガ型PAGおよび化学増幅型光画像形成性コーティングを溶解して除去しなければならない場合、組成物を除去すべきコーティングを含む基材と直接接触させる。当該工程の条件は、浸漬(液浸)、スプレー、または複数の作業の組み合わせを提供するシステムにおいて必要となる。所定の露光時間の後、基板を浴またはチャンバから取り出し、水で洗浄し、乾燥させる。露光の条件は、室温20℃〜100℃の範囲の種々の加熱条件で行うことができる。組成物を使用した際の典型的な特性としては、ポストベーキング(ベーキングの後の)工程に応じて、60〜80℃の温度で5〜20分以内に完全に溶解する。これらの結果は、除去が比較的高い温度(すなわち、約100℃)で2時間を超えて行われる場合であっても、ネガ型PAGおよび化学増幅された光画像形成性(フォトイメージ可能)コーティングを溶解しない従来の組成物ストリッパーとはきわめて対照的である。
【0023】
当該組成物は、フランの使用に基づく溶媒系、より具体的にはテトラヒドロフルフリルアルコール(THFA、CAS No.97−99−4)を含む。THFAは安全な溶媒であり、米国運輸省(DOT)によって規制されず、世界中で商業的に利用可能である。THFAは、CRC Press Handbook of Chemistry and Physicsに示されているように、誘電定数13.6および双極子モーメント2.1(>2)を示す。THFAは、添加剤阻害剤のpKaに依存して、約60質量パーセント〜約99質量パーセントを構成する。阻害剤のpKaが2〜3の間である場合、THFAの典型的な量は約60質量パーセント〜約90質量パーセントである。添加剤のpKa<2の場合、THFAの典型的な量は、約80質量%〜約99質量%である。
【0024】
組成物は、pKa<6を示すカルボン酸阻害剤、好ましくはジカルボン酸変種を含む。このような阻害剤には、カルボン酸、ポリカルボン酸、脂肪酸、ロジン、およびそれらの組み合わせが含まれる。例えば、ギ酸、酢酸、シュウ酸、リンゴ酸、マレイン酸、プロピオン酸、酪酸および高級炭素鎖の種々の酸が含まれる。ハロゲン化カルボン酸としては、トリクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸、ジクロロ酢酸、ブロモ酢酸、フルオロ酢酸、クロロ酢酸、ヨード酢酸、およびニトロ酢酸が挙げられる。これらの酢酸複合体の変形例はまた、より高い分子量にも適用される。4〜6の間のpKa値を示すロジンおよびアクリル酸は、本発明のための阻害剤の例として含まれる。例示される低pKa酸性抑制剤には、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、αおよびβ不飽和ポリカルボン酸、例えば、フマル酸、シトラコン酸、メサコン酸、アコニット酸、イタコン酸および無水マレイン酸が含まれる。ロジンの追加の変形例としては、100以上の全酸価(TAN)として表される酸価を有し、ロジンエステル、トール油樹脂、テルペンベースの樹脂および樹脂変性酸フェノール樹脂を含む合成または天然の、水和またはフマル化された形態であるものが含まれる。系内で使用される低pKa阻害剤の量は、カルボン酸のタイプに対して1〜40%(1〜40%)、具体的には5〜25%(5〜25%)、より具体的には2〜10%(2〜10%)である。
【0025】
本発明の別の実施形態は、直鎖状または分枝状の分子形態のDBSを含む、好ましくはアニオン型の、より好ましくはアニオン性p−トルエンスルホネート(PTS)またはドデシルベンゼンスルホネート(DBS)の界面活性剤の使用を含む。最も好ましくは、PTSまたはDBSの低pKaバージョンの化学的形態であり、ここで、それらは中和に対するアミンの添加に依存して変化するpKa値を示す。一般的なアミン反応したPTSおよびDBSのpKa値は<2〜>7まで変化する。好ましいPTSおよびDBSのpKa値は<2である。
【0026】
この組成物は、ネガ型PAGおよび化学増幅型光画像形成性コーティングに利用された場合、溶解環境を維持することによって機能する。ストリッピング(剥離作用)中、溶媒はレジスト除去のための溶解環境を提供し、一方、低pKa阻害剤添加剤は基板マイクロデバイス構造内に存在する金属種を保護する。イソプロパノール(IPA)および脱イオン水(DIW)で通常の洗浄を行う。低pKaアニオン性界面活性剤が使用される適切な条件において、DIWによる優れた洗浄が認められる。
【0027】
フォトレジストは、ポジ型のおよびネガ型の両方のトーンを含むが、本発明は、ネガ型の変形例、より具体的には、酸触媒または化学増幅によって硬化されるネガ型システムに焦点を当てている。光酸発生剤(PAG)による架橋を受けるネガ型ポリマーコーティングは、酸性成分への暴露で反応して不溶性になり、未露光部分を溶解して現像させる。これにより、放射線露光デザインのネガ画像として観察されるパターンまたはマスクが生成される。ネガ型材料は架橋されており、熱可塑性(非架橋)ポリマーと比較して除去がより困難であるというのが周知である。フォトレジストおよび誘電体として利用されるいくつかの架橋結合可能な系が市場に存在する。これらには、ポリイミド(PI)、ビスベンゾシクロブテン(BCB)、環化イソプレン、フォトポリマー(例えばアクリル)、エポキシ、およびそれらの混合物が含まれる。ある場合には、これらの架橋可能な系は、ポリヒドロキシスチレンまたはノボラック樹脂としてポジ型系で使用される従来のポリマーとブレンドされる。
【0028】
多くのPAGシステムは、エポキシ系樹脂を利用している。エポキシは、それらの迅速な処理条件、剛性、高解像度、低透過性、および堅牢な耐薬品性のために、他の従来の材料よりも好ましい。エポキシベースのポリマーは三次元であり、エポキシのカチオン光開始開環の生成物であり、それに続く縮合重合は、それを鎖間架橋のための良好な候補となる。その結果、永久的な絶縁体または一時的なレジストとして利用される剛性ポリマーネットワークが得られる。
【0029】
ほとんどのPAG系は、オニウム塩、例えば、フッ素化ホウ酸塩、アンチモン酸塩、スルホン酸塩、およびトリフラートなどの強酸の錯体を含む。同様の酸性種のヨードニウム化合物もこのようなレジストおよび光画像形成性化合物中に存在する。PAGネガ型コーティングの一般的な種類には、エポキシベースの硬化システムが含まれる。コーティングおよび紫外線(UV)露光に続いて、典型的に約100℃までの熱加熱である露光後ベーク処理が続く。これらの工程の組合せは、光化学反応およびその後の重合が部分硬化状態を達成するのを促進する。一般的には100℃を超える加熱であり、完全な架橋を確実にするために150℃にも及ぶことがあるハードベーク処理工程が行われると、完全架橋状態が達成される。部分硬化状態では、コーティング系は未露光材料よりも溶解性が低い。露光されていない材料は溶解され、露光された材料から洗浄され(現像され)、光が移動したパターンと比較してネガ画像が残る。
【0030】
高解像度顕微鏡(すなわち、走査型電子顕微鏡またはSEM)下で残りのパターンを見るとき、レジストの結果としての側壁は、一般に、上から下に垂直(すなわち、90°)ではない。実際、パターン壁は、現像領域の底面から測定して、負の傾斜(すなわち、90°未満)を有する。この傾斜した状態は、光がエポキシネットワークを通って下向きに進むにつれて光化学反応または架橋の効率が低下し、ポリマーの画像化および硬化が少なくなる場合に生じる。パターンエッジでは、上面付近のポリマーは完全に露光されることができるが、底部付近の材料に対しては露光が低減される。その結果、輪郭の頂部における材料のより大きい断面積が硬化され、溶解度が低下するが、底部付近で硬化がより少なくなる。現像プロセスの間において、底部近くの材料のより大きい断面量は可溶性であり、したがって現像され除去される。得られるパターンは、底部よりも上部で比較的大きく見られ、負の傾斜の効果を与える。
【0031】
この負の勾配は、エポキシベースの系が、一般に堆積およびリフトオフと呼ばれる工程において厚い金属ラインを堆積するためのマスクとして利用される場合に有用である。パターニング工程に続いて、プラズマ堆積または湿式化学めっきのいずれかによってパターン上に金属がコーティングされる。堆積後、マスクは表面から剥離され、もともとパターン上に直接付着した不要な金属をもたらす。これは、溶媒ストリッピング工程によって生じ、溶媒分子が負の傾斜プロファイルで側面から硬化ポリマーマスクを浸透する。
溶剤が浸透するにつれて、マスクが膨潤して溶解し始め、不要な金属が浮き上がる(リフトオフする)。一度金属とマスクがバルクの化学物質に入ると、それをろ過して再利用またはリサイクルすることができる。マスクが剥離され、金属が持ち上げられて洗浄し落とされた後、マスクパターン内に最初に堆積された金属ラインは後に残される。
【0032】
露光条件のばらつきのために、リフトオフ工程またはストリッピング工程で信頼性の問題が発生する可能性がある。このばらつきが硬化プロセスに影響を及ぼす要因に起因する場合、レジストの化学的構成の変化をもたらす。硬化プロセスを制御する当該要因には、光、温度および酸素が含まれる。この説明の目的のために、着目すべき点は製造工程における最も一般的な変数の1つである温度に限定される。温度変化は、ホットプレートまたはオーブンを使用した場合の基板の導電率またはサーモスタット制御のばらつきに起因する。異なる温度に曝された有機材料は、そのバルク形態において様々な密度を示し、表面組成の変化を示すことがある。これは、材料コーティングが対流によって加熱されるオーブン硬化ポリマーにおいて観察される。
【0033】
対流熱に暴露されたポリマーは、表面膜の形成のためにより高度に硬化することが一般的に観察されている。表面膜は、環境中の熱(すなわち、対流熱)との直接的な接触に起因し、硬化が促進されて、表面(すなわち、膜)により高いバルク密度ポリマーを形成する。ポリマー膜は、一般に、内部でまたはより低い温度で硬化する材料よりもはるかに遅く溶媒和する。従って、温度変化は共通のプロセス変数であり、ある範囲の溶解特性を示すコーティングを生成する可能性がある。従って、極端な温度に暴露されたポリマーを溶媒和するように設計された組成物は、一般的な洗浄プロセスに対して堅牢である。
【0034】
デバイスの製造においては、処理ステップ間でレジスト剥離を行うことが一般的であるので、このような剥離は、適宜に、作業者にとって安全であり、製造プラントの取扱い特性に負担を生じさせない方法で行わなければならない。ネガ型レジストを剥離するとき、これらのシステムは一般に、それらのポジ型カウンターパートよりも厚く、より密に架橋し、除去に効果的な化学物質を必要とする。これらの需要を満たすために、より高い温度およびより長い時間の除去が一般的に実施される。これらの条件は、より急速に作業者の安全性の懸念を促進し、エッチング、ピットまたは他の方法で腐食した表面を生成するデバイス金属構造の化学的攻撃をもたらす。いくつかの条件では、従来のストリッパー(剥離剤)はレジストを溶解しないが、その代わりに、持ち上げられ、多くの表面上の汚染物として再堆積する可能性のある小片に分割され、結果として低収率またはそうでなければ完全に廃棄する。
【0035】
所与の処理時間で金属と組み合わせて使用する場合、組成物はアルミニウムおよび銅のような比較的柔らかい金属と共に安全であることが見いだされた。この組成物は無毒性であり、水で簡便に洗浄され、使用されたとみなされると、大部分の電子製造工場で典型的な共通の有機廃棄物ストリーム収集システムに直接配置することができる。
【実施例】
【0036】
実施例
本発明の組成物および実施例の製造方法を記載する。しかしながら、本発明は、そこに記載された詳細に限定されることを意味するものではないことが理解される。実施例において、特に示されない限り、パーセンテージは質量%である。
【0037】
本発明を、以下の実施例によってさらに説明するが、これらに限定されない。本発明の特性および選択性の測定は、業界が容易に受け入れる方法を用いて行われる。そのような場合には、光学顕微鏡、金属基材に対する高感度重量測定試験によるエッチング速度の決定、および必要に応じて走査型電子顕微鏡(SEM)を用いたより詳細な研究によって測定を行う。
【0038】
以下の実施例において、有機物質(光画像形成可能なコーティングなど)が塗布され硬化される無機基板としてシリコンウエハが使用される。この材料は、本発明が実証した調査の基礎をなすものである。
【0039】
実証に使用される化学的に増幅された光画像形成可能なコーティングは、Branchburg NJ(米国、
www.azem.com)にあるAZ Electronic Materials(AZEM)によって製造された材料AZ−15nXTである。本件提出日現在、AZEMは、世界的企業Merck KGaA Darmstadt Germany(
www.emdgroup.com)の一員であるEmanuel Merck Darmstadt(EMD)の子会社である。
【0040】
AZ−15nXTコーティングは、スピンコーティング法を使用して厚さを決定する利用可能な様々な粘度(例えば、115cps、450cps)を有する。様々な450cpsの場合、10〜15umのコーティング厚さは、1000〜1500の共通rpm値によって達成される。コーティングは、Brewer Science、Inc.CB−100コーターを使用し、液体形態のポリマー材料(有機物質)を前記無機基材に塗布するための標準的なプロトコルに従って、スピンコーティング方式で適用される。材料がコーティングされると、規定の温度および時間でホットプレート上のソフトベーク工程に送られる。材料は、365nmで放射する広帯域タイプの紫外線(UV)により露光され、0.12W/cm2−秒、60秒の高い露光線量のものである。化学増幅反応を誘発するために、露出したコーティングを120℃で60秒間露光後ベーク処理(PEB)する。架橋レジスト層をホットプレートを用いて110℃まで、そして極端な場合には150℃まで5分間ハードベークする。
【0041】
この特性評価で利用されるネガ型ベースのコーティングは、2009年の取得に基づいてDOW Chemicalが現在所有しているRohm and Haas Electronic Materials(RHEM)のものに基づく。エポキシベースのコーティングはフォトイメージング可能であり、Intervia(商標)は、半導体パッケージング用途の誘電体コーティングとして知られている。使用されるエポキシベースのコーティングは、Intervia(商標)8023シリーズである。典型的な処理条件は、約100〜1500rpmの範囲のスピンコーティングプロセスによる塗布、約140℃でのソフトベーク、およそ350〜450nmの範囲のUV光をエポキシに露光し、100℃(PEB)、および約200℃での最終硬化が挙げられる。全てのベーキング処理工程はホットプレートによって行われる。エポキシコーティングは永久的なものであるため、この材料の除去は困難である。フォトレジストとは異なり、このエポキシ誘電体の除去は工程において共通ではない。除去が必要な場合、その工程は「再作業」とみなされ、それによって最終状態になる前に恒久システムが除去される。エポキシ系が最終的な硬化として分類されると、除去することは困難または不可能であると考えられる。本発明の目的のために、エポキシ硬化Intervia(商標)8023シリーズが被膜されたウエハは、PEB工程(すなわち、100℃)でのみ取得される。
【0042】
溶媒、添加剤、界面活性剤およびその他の化学物質および材料は、Sigma−Aldrich(
www.sigmaaldrich.com)から入手した。この会社によって利用できない材料は、別途、示される。従来のように分類されたストリッパーは、一般的な非プロトン性溶媒と混合されたアルカリ性添加剤に基づいている。これには以下が含まれる:
・従来のストリッパーA&B:PG中の6%TMAHとしてプロピレングリコール(PG、CAS 57−55−6)中で無水に調製されたAZベースのストリッパー、水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH、CAS 75−59−2)をN−メチルピロリドン(NMP、CAS 872−50−4)と1:1および1:3(TMAH/PG:NMP)の濃度でそれぞれ混合し、AZ300Tおよび400Tとしてそれぞれ標識した。AZ300Tおよび400Tは通常のように活性について測定され、約0.37Nおよび0.175Nとそれぞれ測定された。
・従来のストリッパーC:GenSolve470/475として表され、この製品は、他の同様のストリッパーについて記載されているのと同様に調製されるが、ベンジルトリメチルアンモニウムヒドロキシド(BTMAH、CAS 100−85−6)がエチレングリコール(EG、CAS 107−21−1)中においてストック濃度40%(w/w)で1:4(BTMAH/EG:NMP)の比でNMPと混合し、活性を約0.48Nとして試験された。
【0043】
工程を実施するために、およびテストのために、再結晶シリコン基板は、100〜200mm(4〜8インチ)の既知の結晶配向および厚さ(1−0−0、〜525μm;Wollemi Technical、Inc.Taiwan、www.wollemi.com.tw)を使用した。銅スパッタリングコーティングを有するシリコン200mm(8インチ)ウエハは、250Å(オングストローム)Ta(アディソンエンジニアリング
www.addisonengineering.com )上で15,000Å(オングストローム)のCuを使用する金属保護試験に使用される。
【0044】
例#1
以下の実施例は、単純な平滑な基材上での剥離がリフトオフによって起こるが、クリーナー中の酸の存在によって完全な溶解が引き起こされることを示すレジスト除去ダイナミクスを実証する。
【0045】
AZ 15nXT(450cps)PRを有するコーティングされたシリコンウエハは、150℃の露光後ハードベークを使用して、前述したように、150mm(6インチ)のSiウエハ上に調製される。剥離試験は70−80℃で行い、定期検査で2時間(120分)までPRと接触させ、リフトオフ、溶解、または他の同様の方法を確認する。結果を表1に示す。
【0046】
【表1】
【0047】
*従来のストリッパーA:PG中のプロピレングリコール(PG、CAS 57−55−6)TMAH中に6%(w/w)の無水物を調製されたテトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH、CAS75−59−2)をn−メチルピロリドン(NMP、CAS 872−50−4)と1:1(TMAH/PG:NMP)の濃度で混合し、活性が約0.37Nと測定された;
*従来のストリッパーB:プロピレングリコール(PG、CAS 57−55−6)中に無水物6%(w/w)を調製したテトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH、CAS 75−59−2)−50−4)を、n−メチルピロリドン(NMP、CAS 872)と1:3の濃度で(TMAH/PG:NMP)混合し、活性が約0.175Nと測定された
*従来のストリッパーC:エチレングリコール(EG、CAS 107−21−1)中40%(w/w)で無水に調製したベンジルトリメチルアンモニウムヒドロキシド(BTMAH、CAS 100−85−6)を、NMPと1:4の比(BTMAH/EG:NMP)で混合し、活性が約0.48Nと測定された。
【0048】
例#2
以下の実施例は、PAG硬化エポキシ系の除去ダイナミクスを示し、クリーナー中の酸の存在に基づいて完全な溶解によって単純な平滑な基材上での剥離が起こることを示す。
【0049】
DOW Intervia(商標)8023シリーズ誘電体を有するコーティングされたシリコンウエハは、100℃のPEBを用いて、前述したように、150mm(6インチ)のSiウエハ上に準備される。ストリップ試験は70〜80℃で行い、定期的に2時間(120分)の間誘電体に接触させて除去を確認した。結果を表2に示す。
【0050】
【表2】
【0051】
*従来のストリッパーA:PG中のプロピレングリコール(PG、CAS 57−55−6)TMAH中に6%(w/w)の無水物を調製されたテトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH、CAS75−59−2)をn−メチルピロリドン(NMP、CAS 872−50−4)と1:1(TMAH/PG:NMP)の濃度で混合し、活性が約0.37Nと測定された;
*従来のストリッパーB:プロピレングリコール(PG、CAS 57−55−6)中に無水物6%(w/w)を調製したテトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH、CAS 75−59−2)−50−4)を、n−メチルピロリドン(NMP、CAS 872)と1:3の濃度で(TMAH/PG:NMP)混合し、活性が約0.175Nと測定された
*従来のストリッパーC:エチレングリコール(EG、CAS 107−21−1)中40%(w/w)で無水に調製したベンジルトリメチルアンモニウムヒドロキシド(BTMAH、CAS 100−85−6)を、NMPと1:4の比(BTMAH/EG:NMP)で混合し、活性が約0.48Nと測定された。
【0052】
例#3
以下の例は、洗浄(クリーナー)化学の酸性を表す一連の溶液中の銅の感度を示す。銅でコーティングされたウエハを使用し、金属の状態を確認するため定期的に検査しながら70〜80℃で15〜30分間化学薬品に暴露する。エッチングを示す表面ヘイズ(かすみ)の存在を顕微鏡で検査する。表面ヘイズは、重量分析(<10Å/分)より感度が高いレベルで同定および確認することができる。結果を表3に示す。
【0053】
【表3】
【0054】
*従来のストリッパーA:PG中のプロピレングリコール(PG、CAS 57−55−6)TMAH中に6%(w/w)の無水物を調製されたテトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH、CAS75−59−2)をn−メチルピロリドン(NMP、CAS 872−50−4)と1:1(TMAH/PG:NMP)の濃度で混合し、活性が約0.37Nと測定された;
*従来のストリッパーB:プロピレングリコール(PG、CAS 57−55−6)中に無水物6%(w/w)を調製したテトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH、CAS 75−59−2)−50−4)を、n−メチルピロリドン(NMP、CAS 872)と1:3の濃度で(TMAH/PG:NMP)混合し、活性が約0.175Nと測定された
*従来のストリッパーC:エチレングリコール(EG、CAS 107−21−1)中40%(w/w)で無水に調製したベンジルトリメチルアンモニウムヒドロキシド(BTMAH、CAS 100−85−6)を、NMPと1:4の比(BTMAH/EG:NMP)で混合し、活性が約0.48Nと測定された。
【0055】
例#4
以下の実施例は、pKaで分類された様々な酸を用いたTHFA溶媒溶液への溶解によるレジスト除去ダイナミクスを実証する。各溶液は、0.5Mの酸をTHFAに混合して調製する。溶解度の限界のために、ある種の酸溶液は室温で不溶性である。すべて70〜80℃の高温で溶解する。
【0056】
AZ 15nXT(450cps)PRを有するコーティングされたシリコンウエハは、150℃の露光後ハードベークを使用して前述したように、150mm(6インチ)のSiウエハ上に調製される。剥ぎ取り試験は70〜80℃で行い、定期的に30分以内にPRと接触させて溶解を確認する。結果は、同定されたプロセスでpKa<3の酸がAZ 15nXT PRを溶解することを示唆している。結果を表4に示す。
【0057】
【表4】
【0058】
例#5
以下の例は、THFA溶媒溶液における長期安定性試験におけるストリッパー活性の動態を示す。ストリッパー化学の活性は、70〜80℃のプロセス温度で保持されている間に経時的に評価される。溶液は、例#4(#6マレイン酸および#9メタンスルホン酸の2つの変形誘導体)から選択する。これらの化学物質は、70〜80℃で操作されるオーブンに入れられ、保持された容器に調製され充填される。試料は時間=0(開始)および〜1日(〜24時間)および〜1週間(〜168時間)の2つのさらなる間隔で試験管から収集される。試験は、遊離酸の分析滴定によって行う。すなわち、酸性度が保存され、劣化していない場合、その候補はより安定であると考えられる。結果を表5に示す。
【0059】
【表5】
【0060】
例#6
特性の最終的な実証として、例#5で実施された安定性試験からのストリッパー化学物質は、AZ15nXT(450cps)PRの洗浄について確認されている。 AZ 15nXT(450cps)PRを有するコーティングされたシリコンウエハは、150℃の露光後ハードベークを使用して、前述したように、150mm(6インチ)のSiウエハ上に調製される。剥離試験を70〜80℃で行い、例#4で決定したのと同じ時間、PRと接触させて作用させる。この時間は、リフトオフと溶解を確認するために定期的に30分である。結果を表6に示す。
【0061】
【表6】
【0062】
例#7
以下の例は、酸の種類によって異なる一連のストリッパー溶液中の銅の表面を保護する能力を示す。金属外観の改善効果を試験するために、銅に特異的な共通の阻害剤ベンゾトリアゾール(BTA、CAS#95−14−7)を各ストリッパー溶液に別々に添加し、性能について試験する。銅被覆ウエハを使用し、定期的な検査を用いて70〜80℃で10分および20分の短時間化学薬品に暴露し、エッチングの指標として表面ヘイズの存在を目視および顕微鏡で検査することにより金属表面の状態を確認する。表面ヘイズは、重量分析(<10Å/分)より感度が高いレベルで同定および確認することができる。すべての溶液は、溶媒、テトラヒドロフルフリルアルコール(THFA、CAS 97−99−4)を含有する。結果を表7に示す。
【0063】
【表7】
【0064】
例#8
以下の実施例は、阻害剤添加によって変化する一連のストリッパー溶液中の銅の表面を保護する能力を実証する。比較のため脂肪酸添加による金属保護の利点を評価するために、例#7におけるBTAの使用についての試験がこれらの試験に含まれている。この実験は、金属を保護する、13時間の期間である長期間の能力を試験する。銅被覆ウエハを使用し、定期的に検査して70−80℃で13時間の間、化学的に暴露し、エッチングの指標として表面ヘイズの存在を目視および顕微鏡で検査して金属表面の状態を確認する。表面ヘイズは、重量分析(<10Å/分)より感度が高いレベルで同定および確認することができる。すべての溶液は20%(〜0.5M)の高濃度で酸DDBSAを含む溶媒THFAを含む。結果を表8に示す。
【0065】
【表8】
【0066】
例#9
以下の例は、阻害剤添加によって変化する一連のストリッパー溶液中の銅の表面を保護する特性を実証する。表8の阻害剤としてロジンの使用への参照し(#1と2)、それらは比較のために、これらの試験に含まれており、ロジンのフマル酸またはマレイン化エステル中に存在する電荷錯体(複合体)構造によって金属保護の利点を評価する。この実験は、高温(100℃)で1時間金属を保護する能力を試験する。銅コーティングウエハは、エッチングを示す表面ヘイズの存在について視覚的および顕微鏡的検査によって金属表面の状態を確認するために、検査と共に100℃で1時間化学に曝露される。表面ヘイズは、重量分析(<10Å/分)より感度が高いレベルで同定および確認することができる。全ての溶液は、10%(〜0.25M)の高濃度で溶媒DDBSAを含む溶媒THFAを含む。結果を表9に示す。
【0067】
【表9】
【0068】
例#10
以下の実施例は、実施例#9の続きであり、ロジンのフマル酸またはマレイン酸エステル(Filtrezシリーズ、Lawter社)によって阻害電荷錯体保護と剥離液の一連の銅の表面を保護する能力を実証する。この実験は、電荷錯体ロジン構造の異なる分子量によって金属を保護する能力を試験する。試験は高温(100℃)で最大2時間実施された。銅コーティングされたウエハはエッチングの指標として表面ヘイズの存在について視覚的および顕微鏡検査により、金属表面の状態を確認するために検査して、最大2時間の期間にわたって100℃で化学物質にさらされる。表面ヘイズは、重量分析(<10Å/分)より感度が高いレベルで同定および確認することができる。全ての溶液は、10%(〜0.25M)の高濃度で溶媒DDBSAを含む溶媒THFAを含む。結果を表10に示す。
【0069】
【表10】
【0070】
本発明は、特定の試験および実施形態に関して記載されているが、当業者は、本発明の本質から逸脱することなく他の既知の変形、試験および実施形態に置き換えることができることは明らかである。したがって、本発明は、添付の特許請求の範囲によってのみ限定されるものである。
【0071】
本発明は前述の実施形態に関して関連してきたが、当業者であれば、本発明は記載された実施形態に限定されないことを認識するであろう。本発明は、添付の特許請求の範囲の趣旨及び範囲内で変更及び改変して実施することができる。したがって、この説明は、本発明を限定する代わりに、例示的なものとみなされるべきである。
【国際調査報告】