特表2018-511304(P2018-511304A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2018-511304(P2018-511304A)
(43)【公表日】2018年4月26日
(54)【発明の名称】細胞カプセル化装填装置
(51)【国際特許分類】
   C12M 1/00 20060101AFI20180330BHJP
   C12N 5/00 20060101ALN20180330BHJP
   C12M 3/00 20060101ALN20180330BHJP
【FI】
   C12M1/00 A
   C12N5/00
   C12M3/00 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】26
(21)【出願番号】特願2017-543946(P2017-543946)
(86)(22)【出願日】2016年2月18日
(85)【翻訳文提出日】2017年9月27日
(86)【国際出願番号】US2016018391
(87)【国際公開番号】WO2016134101
(87)【国際公開日】20160825
(31)【優先権主張番号】62/117,974
(32)【優先日】2015年2月19日
(33)【優先権主張国】US
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】509087759
【氏名又は名称】ヤンセン バイオテツク,インコーポレーテツド
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100093676
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 純子
(74)【代理人】
【識別番号】100187964
【弁理士】
【氏名又は名称】新井 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100104282
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 康仁
(72)【発明者】
【氏名】エヴァンス,ステファン
(72)【発明者】
【氏名】ベル,オードリー
【テーマコード(参考)】
4B029
4B065
【Fターム(参考)】
4B029AA27
4B029BB11
4B029DG08
4B065AA90X
4B065BD06
4B065CA44
(57)【要約】
細胞、細胞塊、及び培地を免疫隔離装置に装填するための装填器具を提供する。本装填器具は、免疫隔離装置のマニュアル操作を行うことなく、使用場所において装填装置が開封されるまでの間、免疫隔離装置に細胞を装填することを可能とすることにより、装填装置の汚染のリスクを最小限に留めるものである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
免疫隔離装置を装填するためのシステムであって、
ベース底面と、前記ベース底面から延びてキャビティを形成するベース壁とを有するベースと、
前記ベース上に配置され、前記ベースを貫通して前記ベースの前記キャビティ内に延びる入口導路と、
前記キャビティを密封するために前記ベースに着脱可能に取り付けることが可能なディスク蓋と、
前記ベースの前記キャビティ内に摺動可能に配置された刃先を有するブレードと
を備え、
前記ブレードの刃先が前記入口導路の前で摺動するように構成され、
前記システムが通気されるように構成されている、システム。
【請求項2】
前記ディスク蓋に開口部を更に含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記ブレードが、前記ベースの前記キャビティ内に摺動可能に配置されたブレードアセンブリの端部に配置されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記ブレードアセンブリが、前記ディスク蓋とラチェットを介して相互作用するように構成されている、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記ブレードアセンブリが第1の歯群を含み、前記ディスク蓋が第2の歯群を含み、前記第1の歯群が前記第2の歯群と噛み合う、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記ブレードアセンブリが半円形である、請求項4に記載のシステム。
【請求項7】
前記ディスク蓋と相補的な形状に形成されたスナップ蓋であって、前記ベース上の少なくとも1つの形状要素と噛み合うことで前記ディスク蓋を前記ベースに固定する複数のスナップを有するスナップ蓋を更に備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記少なくとも1つの形状要素が、前記ベース壁から延びる傾斜面を含み、前記複数のスナップが前記少なくとも1つの形状要素と係合するように概ね鉤状となっている、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記ディスク蓋が、前記複数のスナップの少なくとも一部が前記少なくとも1つの形状要素と係合する前に貫通して延びることを可能とするように構成された複数のスナップ穴を更に含む、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
第1の開口部と第2の開口部とを有する連結ブロックを更に備え、前記第1の開口部及び第2の開口部が前記連結ブロックを貫通する通路を画定し、前記第1の開口部が、前記ベース壁の外側部分上の前記入口導路と接続されるように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
前記通路が複数の部分を含み、前記通路の前記複数の部分のそれぞれが異なる直径を有する、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
第3の開口部が、前記通路の前記複数の部分のうちの第1の部分と交差している、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記連結ブロックが、前記ベース壁上の第2の形状要素と噛み合う、前記第1の開口部の近くの第1の形状要素を更に含む、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記連結ブロックが、ピンを受容するように構成され、かつ前記連結ブロックの前記第2の開口部の近くに配置された、第1のピン導路及び第2のピン導路を更に含む、請求項12に記載のシステム。
【請求項15】
前記複数の部分のうちの第1の部分と相補的な形状を有するバーブを更に含み、前記バーブが、前記連結ブロックの前記通路に挿入されることで免疫隔離装置又は連結ブロック内にシールを形成するように構成されている、請求項12に記載のシステム。
【請求項16】
前記複数の部分のうちの第2の部分と相補的な形状を有するバーブプラグであって、前記バーブプラグを貫通するバーブ通路を有するバーブプラグを更に含み、前記バーブ通路が前記バーブと相補的である、請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
前記通路を通して前記バーブを前進させるように構成されたプランジャを含むバーブプッシャを更に備える、請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
前記ベースが、前記キャビティの外側の前記ベース底面上に形状要素を更に含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項19】
前記形状要素が、人の手で掴まれるか又は輸送時に外側の形状要素と噛み合うように構成されている、請求項18に記載のシステム。
【請求項20】
前記ベースが、前記キャビティの内側の前記ベース壁上に複数のリブを更に含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項21】
前記複数のリブ上に置かれるように構成された支持プレートを更に備えた、請求項20に記載のシステム。
【請求項22】
前記支持プレートが少なくとも1つの開口部を更に含む、請求項21に記載のシステム。
【請求項23】
前記ベース底面が傾斜しているか又は1つの高い点を有している、請求項1に記載のシステム。
【請求項24】
パウチに取り付けられた入口管を含む免疫隔離装置を更に備え、前記入口管が前記キャビティ内の前記ベース上に配置された前記入口導路に接続されるように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項25】
装填装置を使用する方法であって、
装填装置であって、
ベースと、
ルアーアダプタが固定的に取り付けられたディスク蓋と、
スナップ蓋であって、前記ディスク蓋及び前記スナップ蓋が前記ベース内にキャビティを形成する、スナップ蓋と、
前記ベースに摺動可能に連結されたブレードリングアセンブリと、
前記ベースに固定的に取り付けられ、ルアーアダプタが固定的に取り付けられた連結ブロックと、
バーブ、及び前記バーブ内に摺動可能に連結されたバーブプッシャと、
入口管、及び前記キャビティ内に挿入される細胞パウチを備えた免疫隔離装置であって、前記細胞パウチが前記ベース上に置かれ、前記入口管が前記連結ブロックに挿通される、免疫隔離装置とを備えた前記装填装置を提供することと、
前記装填装置を滅菌することと、
前記細胞パウチに細胞を、前記キャビティに培地を充填することと、
前記入口管を前記バーブで封止することと、
前記装填装置を閉じることと、
前記装填装置を使用場所まで輸送することと、
前記ディスク蓋を反時計回りに回転させることにより前記装填装置を開封し、これにより、前記入口管を切断することと、
前記使用場所において前記装填装置から前記細胞パウチを取り出すことと
を含む方法。
【請求項26】
前記細胞パウチを親水性の液体で濡らすことを更に含む、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
免疫隔離装置を作製する方法であって、
装填システムであって、
ベース底面と、前記ベース底面から延びてキャビティを形成するベース壁と、を有するベースと、
前記ベース上に配置され、前記ベースを貫通して前記キャビティ内に延びる入口導路と、
前記キャビティを密封するために前記ベースに着脱可能に取り付けることが可能なディスク蓋とを備えた前記装填システムを提供することと、
パウチに取り付けられた入口管を含む免疫隔離装置を、前記キャビティ内で前記ベース上に配置された前記入口導路に接続することと、
前記キャビティを前記ディスク蓋で密封することと、
前記免疫隔離装置の前記パウチに前記入口導路を介して細胞を充填することと、
前記キャビティに細胞培地を充填することと、
前記入口管を封止することと
を含む方法。
【請求項28】
前記パウチを充填する前に前記免疫隔離装置を濡らすことを更に含む、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記装填システムを滅菌することを更に含む、請求項27に記載の方法。
【請求項30】
前記滅菌することが、γ線滅菌法、電子線滅菌法、及びエチレンオキシド滅菌法のうちの少なくとも1つを含む、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記ディスク蓋の開口部を通して生理食塩水を導入することを更に含む、請求項28に記載の方法。
【請求項32】
ポンプ又は圧力を用いずに生理食塩水を導入することを含む、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記入口導路を通してアルコールを導入することを更に含む、請求項31に記載の方法。
【請求項34】
前記アルコール及び生理食塩水を平衡化させることを更に含む、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記アルコ−ルの一部を前記入口導路を通して除去することを更に含む、請求項33に記載の方法。
【請求項36】
生理食塩水源を前記入口導路に接続することと、ポンプを前記ディスク蓋の穴に接続することとを更に含む、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記ポンプにより減圧することにより前記生理食塩水源から生理食塩水を吸い出すことを更に含む、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記装填システムを密封することと、前記装填システムを平衡化させることとを更に含む、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
細胞及び培地源を前記入口導路に接続することを更に含む、請求項37に記載の方法。
【請求項40】
前記ポンプにより減圧することにより前記細胞及び培地源から細胞及び培地を吸い出すことを更に含む、請求項37に記載の方法。
【請求項41】
前記免疫隔離装置を密封することを更に含む、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記免疫隔離装置を密封することが、前記入口管内にプランジャを用いてバーブを挿入することを含む、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
前記装填システムが輸送時に安定化されるように、前記キャビティの外側の前記ベース底面上の第1の形状要素を第2の形状要素と係合させる、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
前記装填システムが、前記ベースの前記キャビティ内に摺動可能に配置され、かつ前記入口導路の前で摺動するように構成された刃先を有するブレードを更に備え、前記ブレードを摺動させて前記免疫隔離装置の前記入口管を切断する、請求項42に記載の方法。
【請求項45】
前記ブレードが、前記ベースの前記キャビティ内に摺動可能に配置されたブレードアセンブリの一部であり、前記ブレードアセンブリが前記ディスク蓋とラチェットを介して相互作用するように構成されている、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
前記ディスク蓋を外して前記免疫隔離装置を露出させる、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
前記ディスク蓋を外すことが、前記免疫隔離装置の前記入口管を切断する前記ブレードの前記摺動を促す、請求項46に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2015年2月19日出願の米国特許仮出願第62/117,974号に基づく利益を主張するものであり、あらゆる目的で参照によりその全容を本明細書に援用するものである。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、カプセル化装置内に細胞を装填するうえで有用な装填装置の分野に関する。詳細には、本発明は、体内に埋め込まれる医療装置内に細胞を装填するための装置に関する。
【背景技術】
【0003】
生細胞をカプセル化し、宿主からの強い免疫反応を誘発することなく宿主の体内に移植することを可能とする装置が臨床的に求められている。一般に、1匹の動物から採取され、別の動物に移植された細胞物質は、同種のものであったとしても宿主の免疫反応によって攻撃され、破壊されてしまう。臓器移植の場合では、臓器の拒絶反応を防止するために免疫抑制剤が必要とされる。免疫抑制剤を使用しない場合、臓器及び組織の移植はほとんどの場合で免疫反応を引き起こし、移植された組織の破壊につながる。
【0004】
しかしながら、免疫抑制剤の必要をなくすため、組織又は細胞をカプセル化する装置を構築することが可能である。こうした装置は、通常、細胞と宿主との間で代謝物質、栄養素、及び老廃物質の必要な交換を可能とする多孔質材料で構成される。同時に、装置の内部を食細胞などの宿主の免疫系の侵入から隔離するために材料の多孔度が制御される。
【0005】
装置に生細胞が装填された後、装置は宿主の体内に埋め込まれる。血管がカプセル化された細胞との代謝物質の交換を灌流によって促進できるよう、宿主の脈管構造が装置の外側の表面と緊密に接触するように成長することが重要である。移植された生細胞は、細胞が確実に生存し、機能し続けるように宿主の血管と近接していなければならない。したがって、細胞が血管に近接するように装置内に細胞を装填することが最も重要な点となる。更に、細胞の装填は、治療的に有効な量の細胞が装置内への装填を生きのびるよう、細胞への損傷が最小限に留められるようにして行う必要がある。
【0006】
細胞の装填において考慮すべき別の要素は、現行の実施方法では、「開放」滅菌環境下で無菌、滅菌的な方法を用いて免疫隔離装置(immune-isolation device)(IID)のマニュアル操作を多く行う必要がある点である。この開放空気環境は無菌状態であるが、これらの条件下でのIIDのマニュアル操作は、望ましくない微生物による汚染のリスクが高まるために望ましくない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、装置内に細胞を望ましい形で配置し、細胞への損傷を最小限に留めつつ、IIDのマニュアル操作を減らすか又は実質的になくすことにより、埋め込み式装置の汚染のリスクを低減する装填器具及び装填方法が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
一実施形態では、本発明は、ベースと、ルアーアダプタが固定的に取り付けられたディスク蓋と、スナップ蓋であって、前記ディスク蓋と前記スナップ蓋とが前記ベース内にキャビティを形成する、スナップ蓋と、前記ベースに摺動可能に連結されたブレードリングアセンブリと、前記ベースに固定的に取り付けられ、ルアーアダプタが固定的に取り付けられた連結ブロックと、バーブ(barb)、及びバーブ内に摺動可能に連結されるバーブプッシャとを備えた装填装置を提供する。
【0009】
特定の実施形態では、装填装置は、入口管、及び前記キャビティ内に挿入される細胞パウチを有する免疫隔離装置を更に備え、前記細胞パウチは前記ベース上に置かれ、前記入口管は前記連結ブロックに挿通される。
【0010】
他の実施形態では、本発明は、装填装置を使用する方法であって、a)ベースと、ルアーアダプタが固定的に取り付けられたディスク蓋と、スナップ蓋であって、前記ディスク蓋と前記スナップ蓋とが前記ベース内にキャビティを形成する、スナップ蓋と、前記ベースに摺動可能に連結されたブレードリングアセンブリと、前記ベースに固定的に取り付けられ、ルアーアダプタが固定的に取り付けられた連結ブロックと、バーブ、及びバーブ内に摺動可能に連結されるバーブプッシャとを備えた装填装置、並びに入口管、及び前記キャビティ内に挿入される細胞パウチを備えた免疫隔離装置であって、前記細胞パウチが前記ベース上に置かれ、前記入口管が前記連結ブロックに挿通される、免疫隔離装置、を備えた装填装置を提供することと、(b)前記装填装置を滅菌し、場合により、前記細胞パウチを親水性の液体で濡らすことと、(c)前記細胞パウチに細胞を、前記キャビティに培地を充填することと、(d)前記入口管を前記バーブで封止することと、(d)前記装填装置を閉じることと、(e)前記装填装置を使用場所まで輸送することと、(f)前記ディスク蓋を反時計回りに回転させることにより前記装填を開封し、これにより、前記入口管を切断することと、(g)前記使用場所において前記装填装置から前記細胞パウチを取り出すこととを含む方法を提供する。
【0011】
別の実施形態では、本発明は、免疫隔離装置を装填するためのシステムであって、ベース底面、及び該ベース底面から延びてキャビティを形成するベース壁を有するベースと、前記ベース上に配置され、前記ベースを貫通して前記ベースの前記キャビティ内に延びる入口導路と、前記キャビティを密封するために前記ベースに着脱可能に取り付けることが可能なディスク蓋と、前記ベースの前記キャビティ内に摺動可能に配置された刃先を有するブレードとを備え、前記ブレードの刃先が前記入口導路の前で摺動するように構成され、システムが通気されるように構成された、免疫隔離装置を装填するためのシステムを提供する。
【0012】
更に別の実施形態では、本発明は、免疫隔離装置を作製する方法であって、(a)ベース底面、及び該ベース底面から延びてキャビティを形成するベース壁を有するベースと、前記ベース上に配置され、前記ベースを貫通して前記キャビティ内に延びる入口導路と、前記キャビティを密封するために前記ベースに着脱可能に取り付けることが可能なディスク蓋と、を備えた装填システムを提供することと、(b)パウチに取り付けられた入口管を有する免疫隔離装置を、前記キャビティ内で前記ベース上に配置された前記入口導路に接続することと、(c)前記キャビティを前記ディスク蓋で密封することと、(d)前記免疫隔離装置の前記パウチに前記入口導路を介して細胞を充填することと、(e)前記キャビティに細胞培地を充填することと、(f)前記入口管を封止することとを含む方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1A】本発明の装填装置の上面斜視図である。
図1B】代表的な免疫隔離装置(IID)を有する図1Aの装填装置の上面斜視図である。
図1C図1Bの装填装置及びIIDの別の上面斜視図である。
図2A図1Aの装填装置の分解図である。
図2B図1Bの装填装置の分解図である。
図3図1Aの装填装置のベースの側面斜視図である。
図4図3のベースの底面斜視図である。
図5図3のベースの上面図である。
図6図1Aの装置のブレードリングアセンブリの上面斜視図である。
図7図1Aの装置のディスク蓋の上面斜視図である。
図8図7のディスク蓋の底面斜視図である。
図9図1Aの装置のスナップ蓋の上面斜視図である。
図10図1Aの装置の連結ブロックの側面図である。
図11図1Aの装置のバーブプラグの側面斜視図である。
図12図1Aの装置のバーブプッシャアセンブリの側面斜視図である。
図13】支持プレートを有する図3のベースの別の実施形態の分解図である。
図14図13のベースの上面斜視図である。
図15図13のベースの下面斜視図である。
図16図13のベースの別の上面斜視図である。
図17図13の支持プレートの上面斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の以下の詳細な説明は、添付の図面と併せて読むことでより深い理解が得られるであろう。本発明を例示する目的で、各図面は本発明の実施形態を示している。しかしながら、本発明は、示される正確な構成、実施例、及び手段に限定されない。
【0015】
「近位」及び「遠位」なる用語は、本明細書では、部品又は構成要素の互いに対する向きを説明する際に用いられる。本開示の目的では、近位側とは、装填装置20が組み立てられた形態(図1A〜1C及び2A〜2Bを参照)にある場合に、バーブプッシャアセンブリ46(図12を参照)のプランジャ182に最も近い側であり、遠位側とは、バーブプッシャアセンブリ46(図12を参照)のプランジャ182から最も遠い側である。
【0016】
図1Aには、本発明の装填装置20が示されている。本発明の装置は、装置20内に保持された免疫隔離装置(immune-isolation device)(IID)23(図2B)の内部に使用者が細胞又は細胞塊を装填することを可能とするものである(図1B及び1Cも参照)。IID 23は、治療用細胞製品を装置から滲出させ、同時に装置内部の細胞又は細胞塊を宿主の免疫反応から保護する埋め込み式医療装置である。本発明の装置は、使用者が細胞又は細胞塊をIID 23内に装填することを可能とする一方で、マニュアル操作による汚染の可能性を最小限に留め、装置内に細胞を正確に配置することを促す。更に、装填装置20は、IID 23の輸送及び保管用のパッケージングとしても機能することができる。IID 23は、使用される時点まで、例えば装填装置20内のIID 23が手術が行われる場所に届いて移植の準備が整うまで、装填装置20から取り出されないことが好ましい。好ましい一実施形態では、装填装置20は、使用者が、IID 23を親水性の液体で濡らし、IID 23を水溶液中ですすぐか又は水溶液中に浸漬して残留した親水性の液体を除去し、細胞又は細胞塊をIID 23内に装填し、細胞が所定の時間生存することを可能とする培地で細胞が装填されたIID 23を囲み、IID 23を密封し、最後に、IID 23を取り出すための器具を使用せずに使用場所において装填装置20を開封し、これらをいずれも無菌状態を保ったまま、汚染のリスクを低減しつつ行うことを可能とする。
【0017】
装填装置20の一実施形態を、図1A〜1C及び2A〜2Bに示す。装填装置20は、ブレードリングアセンブリ24と可動に連結されたベース22を有している。Oリング26がベース22とディスク蓋28との間に置かれる。スナップ蓋30がディスク蓋28を通して着脱可能に連結され、スナップ蓋30は更にベース22に着脱可能に取り付けられ、Oリング26とともにディスク蓋28とベース22との間にシールを形成する。ディスク蓋28は、時計回りに回転される場合にはブレードリングアセンブリ24とラチェットを介して相互作用し、反時計回りに回転される場合にはブレードリングアセンブリ24とロックされる。第1のルアー取り付け具32が、その上に着脱可能に置かれる第1のルアーキャップ34とともに、ディスク蓋28の上面に固定的に取り付けられる。
【0018】
装填装置20は、ベース22に固定的に取り付けられた連結ブロック36も有している。連結ブロック36の遠位端には2個のタブが配置されている。ロックタブ174は連結ブロック36の上面にあり、上方に延びている。ラッチタブ176は図10に示されるように連結ブロック36の下面にあり、下方に延びている。ラッチタブ176はフランジベース88の切欠き90に挿入され(図3を参照)、ロックタブ174はディスク蓋28上の連結ブロック保持要素142によって固定される(図8を参照)。連結ブロックシール38が連結ブロック36とベース22との間に圧縮シールを形成することにより、液体が連結ブロック36とベース22との間から漏出することを防止する。第2のルアーキャップ40が、連結ブロック36上の第2のルアー取り付け具166に着脱可能に取り付けられる。バーブ44がバーブプラグ42内に着脱可能に置かれ、バーブプラグ42は連結ブロック36内に着脱可能に置かれる。バーブプラグ42は、バーブプラグ42の外側において連結ブロック36の内部に対して、また、バーブプラグ42の内側においてバーブ44に対して圧縮シールを形成し、これにより、連結ブロック36上の第2のルアー取り付け具166を通って装填装置20から流出又は流入する液体が連結ブロック36内に漏れることを防止する。バーブプッシャアセンブリ46は、連結ブロック36内に可動に挿入され、リテーナピン48及び安全ピン50によって定位置に保持される。リテーナピン48はバーブプッシャアセンブリ46が連結ブロック36から抜けることを防止し、安全ピン50はバーブプッシャアセンブリ46が連結ブロック36内に早期に更に滑り込むことを防止する。バーブプッシャアセンブリ46は、バーブ44を入口管内に押し込み、IID 23を封止する手段として機能する。例示的なIID 23が図1B、1C、及び2Bに示されている。
【0019】
図3には、ベース22の斜視図が示されている。ベース22は、ベース面ロフト60(図5の代替図も参照)、ベース底面62、及びその周囲のベース壁64を有している。ベース壁64はベース内壁66及びベース外壁68を有しており、Oリング溝70がベース壁64の上面に形成されている。Oリング26はOリング溝70内に着脱可能に置かれる。図に示されるようにベース面ロフト60とベース壁64とはキャビティ72を形成している。ベース22は、少なくとも1つの連結ブロックフランジ76、複数の足78、複数のタブ傾斜面80、タブ傾斜面係止部82、及びスナップ蓋係止部84も有している。連結ブロックフランジ76は、ベース底面62とベース外壁68との交点に配置されることが好ましい。連結ブロックフランジ76は、2個のフランジ側面86、フランジ側面86の間の1個のフランジベース88、及びフランジベース88内の切欠き90を有している。図に示されるように、複数の足78はベース外壁68から外側に延び、好ましくはベース底面62とベース外壁68との交点に配置され、ベース22の外周に沿って均等に分配されている。一実施形態では、少なくとも2個の足78が設けられる。別の実施形態では、4個の足78が設けられるが、任意の便利のよい数を用いることができる。同様に、図に示されるように、複数のタブ傾斜面80がベース外壁68の上縁部に配置されてベース外壁68から外側に延び、ベース22の外周に沿って均等に分配されており、最初のタブ傾斜面92は一方のフランジ側面86と整列し、最後のタブ傾斜面94はタブ傾斜面係止部82を有している。各タブ傾斜面80は時計回りに幅が大きくなっているため、ディスク蓋28(図8を参照)が時計回りに回転される際にタブ傾斜面80にスナップ156(図9を参照)が係合し、同時にOリング26がディスク蓋28とベース22との間にシールを形成することで装填装置20から液体が漏出しないようにすることができる。タブ傾斜面係止部82はディスク蓋28及びスナップ蓋30(図9を参照)の移動長さを制限することによって過剰な時計回りの回転を防止することにより、スナップ蓋30のスナップ156がベース22上のタブ傾斜面80から外れることを防止する。一実施形態では、少なくとも4個のタブ傾斜面80が設けられる。別の実施形態では、少なくとも6個のタブ傾斜面80が設けられる。この場合もやはり、任意の便利のよい数を用いることができる。スナップ蓋係止部84は一方のフランジ側面86及びベース外壁68の上縁部と整列している。更に、スナップ蓋係止部84は最後のタブ傾斜面94と連結ブロックフランジ76との間に配置されているため、スナップ蓋係止部84はスナップ蓋30及びディスク蓋28の反時計回りの回転を制限し、これにより、スナップ蓋30上のスナップ156が隣のタブ傾斜面80と再係合することを防止し、装填装置20を開いてIID 23へのアクセスを得ることが可能となる。
【0020】
図4は、ベース22の底面斜視図を示している。この図は、ベース底面62が陥凹ベース底部63を更に有していることを示している。陥凹ベース底部63はベース面ロフト60の下面を反映しており、その周囲にベース底面62を有している。ハンドル74が陥凹ベース底部63にハンドル74の長さに沿って固定的に取り付けられている。ハンドル74は陥凹ベース底部63から下方に延びている。ハンドル74は、例えば陥凹ベース底部63に型成形することによって形成することができる。ハンドル74は、装填装置20を安定化させる、例えば、パッケージング内で安定化させるうえで有用であり、IID 23を取り出すために装填装置20を開封する際に装填装置20を掴むための形状要素を与える。
【0021】
図5は、ベース面ロフト60及びその周囲のベース壁64を示すベース22の上面図を示したものであり、ベース面ロフト60とベース壁64との間に陥凹ブレードリング溝96が形成されている。ベース壁64はベース内壁66及びベース外壁68を有しており、Oリング溝70がベース壁64の上面に形成されている。ベース面ロフト60はほぼ平坦であるがわずかに傾斜しており、IID受容部104の反対側に高い点65がある。ベース面ロフト60の傾斜は、ディスク蓋28がベース22に着脱可能に取り付けられる際にディスク蓋28の蓋床底部144(図8を参照)と均一な間隔が維持されるように選択される。陥凹ブレードリング溝96は、ブレードリング係止部98、及びブレードリング支持部100を更に有している。ブレードリング係止部98及びブレードリング支持部100は、陥凹ブレードリング溝96内に配置されている。ブレードリング支持部100は、フランジ側面86及びスナップ蓋係止部84とほぼ整列している。ブレードリング係止部98は陥凹ブレードリング溝96内に配置されているため、ブレードリング端部116(図6に示される)がブレードリング係止部98と接して位置し、ブレード端部118がブレードリング支持部100の上に位置する。ベース壁64は、ベース内壁66上にベース外壁68(図に示されていない)に抜ける入口管導路102を有している。入口管導路102は、ベース壁64と陥凹ブレードリング溝96との接合部の上のベース壁64のほぼ中央で、かつ連結ブロックフランジ76内に位置している。入口管導路102はベース壁64上に配置されているため、IID 23がベース面ロフト60上に置かれる際、IID 23の入口管は入口管導路102を通って連結ブロック36(図2Bを参照)内へと延びることになる。ベース面ロフト60は、ベース面ロフト60上の入口管導路102と一直線上にIID受容部104も有している。IID受容部104は、IID 23の入口管とIID 23の細胞パウチとの間の取り付け点に緩和(又はクリアランス空間)を与える切欠き部であり、これにより、IID 23の入口管は装填装置20の組み立て時に圧縮されないようになっている。IIDアセンブリ補助部106により、IID 23がベース面ロフト60上に置かれる際にIID 23の輪郭が確認される。IID 23の入口管(図1Bを参照)は入口管導路102を通って延び、IID 23の細胞パウチの近位端(図1Cを参照)がIID受容部104内に位置する。
【0022】
ベース22は、任意の周知の方法によって製造することができるが、便宜よくは、プラスチック部品製造の分野における当業者には周知の方法を用いて一体の部品として製造することができる。ベース22は、医療グレードのポリマーのような医療用途に適したポリマーで作製することができる。ポリマーは、形状を維持するように剛性で、真空又は圧力に耐え、成形可能、半透明、かつ滅菌可能なものでなければならない。熱可塑性ポリマーのような適当なポリマーとしては、これらに限定されるものではないが、ポリカーボネート、アクリロニトリルブタジエンスチレン、ポリプロピレン、ポリメチルメタクリレートなどが挙げられる。一実施形態では、ポリマーはポリカーボネートである。ベース22は、これらに限定されるものではないが、型成形、機械加工、及びステレオリソグラフィー、選択的レーザ焼結法などのラピッドプロトタイピングなどを含む、当該技術分野では周知の様々な方法を用いて製造することができる。
【0023】
図6は、ブレードリング108及びブレード110を有する半円形の可撓性構造であるブレードリングアセンブリ24を示している。ブレードリング108は、ブレードリング壁112、上縁部114、ブレードリング端部116、及びブレード端部118を有している。ブレードリング108は、一端においてブレードポスト120で、他端においてブレードリング端部116で終端している。上縁部114にはブレードポスト120に隣接して歯122が配置されており、歯122に隣接して配置されたスペーサ124で終端している。ブレード端部118は、可撓性を与えるためにテーパさせることができる。更に、ブレードリングアセンブリ24はブレードリング開口部126を有している。
【0024】
ブレードリングアセンブリ24は、ブレード110及びブレードリング108の2個の部品から作製される。ブレード110は、切断を行うために充分な剛性を有する耐食性材料で形成される。一実施形態では、ブレード110は外科用グレードのスチールで形成される。ブレード110は、刃先を形成するための周知の機械加工及び研磨方法を用いて設計及びオーダーメードされる。ブレードリング108は、ベース22と同様、一体の部品として作製される。ブレードリング108とブレード110とは、ブレード110をブレードポスト120上に嵌めつけてからブレードポスト120を溶融してブレード110をブレードリング108に固定する、熱かしめなどの当該技術分野では周知のプロセスにより組み立てることができる。熱かしめは、ブレードポスト120を溶融するのに充分な温度で行われる。あるいは、ブレード110は、ブレードリング108にオーバーモールドするか、又はスナップ機構などを用いて機械的に取り付けることもできる。別の実施形態では、ブレード110は完全に省略され、ブレードリング108のブレード端部118自体に刃先が設けられる。
【0025】
図7及び8は、ディスク蓋28の上面図及び底面図をそれぞれ示す。ディスク蓋28の上面図は、複数の溝130を有するディスク蓋外壁128、及びディスク蓋外壁128の内側面127から内側に延びるフランジ132を示している。フランジ132は、複数のスナップ蓋穴134を有している。一実施形態では、少なくとも4個のスナップ蓋穴134が設けられる。別の実施形態では、少なくとも6個のスナップ蓋穴134が設けられる。任意の数のスナップ蓋穴134が考えられるが、スナップ蓋穴134の数はスナップ蓋30上のスナップ156の数に等しくなければならない。内側床壁136がフランジ132から下方に延びて、内側壁床136から内側に延びる蓋床138で終端するフランジ132につながっている。ルアー取り付け受容部140が蓋床138から上方に延び、内側床壁136に隣接している。図8に見られるディスク蓋28の底面図は、フランジ132の下面から下方に延びるフランジである連結ブロック保持要素142を示している。内側床壁136(図7を参照)と整列し、蓋床底部144から下方に延びるブレードリング保持要素146を有する蓋床底部144も示されている。更に、ブレードリング保持要素146は、連結ブロック保持要素142と整列されてIID 23の入口管の緩和を与える切欠き150を有している。装填装置20が組み立てられる際、ブレードリング保持要素146がブレードリング壁112と摺動可能に連結されることにより、ブレードリングアセンブリ24が陥凹ブレードリング溝96内に確実に留まり、また、蓋の歯148がブレードリングアセンブリ24上の歯122と確実に噛合する。蓋の歯148は切欠き150に隣接して配置され、外側床壁149と蓋床底部144との交点において下方に延びている。蓋の歯148は、ディスク蓋28が時計回りに回転される場合にブレードリングアセンブリ24上の歯122とラチェットを介して連結され、スナップ蓋30上のスナップ156がベース22のタブ傾斜面80と係合する。蓋の歯148はディスク蓋28が反時計回りに回転される場合には歯122と噛み合い、これによりブレードリングアセンブリ24を反時計回りに動かし、同時にIID 23の入口管の切断を可能とする。蓋床底部144には、ルアー取り付け受容部140の開口部も示されている。蓋床底部144は、ほぼ平坦であるが、所望の角度で傾斜しており、切欠き150の反対側のルアー取り付け受容部140に高い点がある。蓋床底部144の傾斜の角度は、ディスク蓋28上のルアー取り付け受容部140に向かって気泡を移動させるのに充分な角度であり、これにより気泡を除去することができる。
【0026】
図9は、スナップ蓋30の斜視図を示している。スナップ蓋30は、リング外壁154、及びリングの一方の表面から下方に突出する複数のスナップ156を有するリング部材152である。一実施形態では、少なくとも4個のスナップ156が設けられる。別の実施形態では、少なくとも6個のスナップ156が設けられる。更に別の実施形態では、スナップ156の数はスナップ蓋穴134の数に等しく、スナップ蓋穴134の数はタブ傾斜面80の数に等しい。スナップ156は、ディスク蓋28上のスナップ蓋穴134と相補的でスナップ蓋穴134に嵌まり込み、ベース22上の対応するタブ傾斜面80と着脱可能に係合するように構成されている。ディスク蓋28が時計方向に回転されるとタブ傾斜面80にスナップ156が係合する。同時に、Oリング26がディスク蓋28とベース22との間にシールを形成し、これにより装填装置20から液体が漏出しなくなる。
【0027】
図10には、連結ブロック36の側面図が示されている。連結ブロック36はバーブプラグ通路160へとテーパするプッシャ通路158を有しており、バーブプラグ通路160はバーブ通路162へと更に狭くなり、更にバーブ通路162は入口管通路164へと広がっており、これらは共に連結ブロック36の長さにわたって延びている。第2のルアー取り付け具166がバーブ通路162へと下方につながっている。プッシャ通路158は連結ブロック36の幅を通じて水平に延びる2本のピン導路も有している。リテーナピン導路168は安全ピン導路170の近位に位置し、両方のピン導路はプッシャ通路開口部172に隣接して配置されている。連結ブロック36の遠位端には2個のタブが配置されている。ロックタブ174は連結ブロック36の上面に配置され、上方に延びている。ラッチタブ176は連結ブロック36の下面に配置され、図に示されるように下方に延びている。連結ブロック36は、ディスク蓋28によってベース22に固定的に取り付けられる。ラッチタブ176はフランジベース88(図3を参照)の切欠き90内に挿入される。連結ブロックシール38が連結ブロック36とベース22との間で、連結ブロックフランジ76内に配置される。連結ブロックシール38は、連結ブロック36とベース22との間に圧縮シールを形成する。第2のルアーキャップ40が、連結ブロック36上の第2のルアー取り付け具166に着脱可能に取り付けられる(図2A及び2Bを参照)。ディスク蓋28が時計回りに回転されるとロックタブ174に連結ブロック保持要素142が係合し、スナップ蓋30上のスナップ156がベース22のタブ傾斜面80と係合する。タブ傾斜面係止部82はディスク蓋28及びスナップ蓋30の過剰な時計回りの回転を防止することにより、スナップ蓋30のスナップ156がベース22上のタブ傾斜面80から外れることを防止する。同様に、スナップ蓋係止部84はスナップ蓋30及びディスク蓋28の反時計回りの回転を制限し、これにより、スナップ蓋30上のスナップ156が隣接するタブ傾斜面80と再係合することはなく、IID 23にアクセスを得るために装填装置20が開封される際に装填装置20が開くことが防止される。
【0028】
ディスク蓋28、スナップ蓋30、及び連結ブロック36はいずれもベース22について上記に述べた方法にしたがって、それぞれ1個の完全な部品として作製される。
【0029】
図11には、バーブプラグ42の斜視図が示されている。バーブプラグ42は、バーブプラグ42の長さにわたって延びるバーブ受容通路178を有している。バーブプラグ42はバーブ受容通路178内にバーブ44を保持し、連結ブロック36(図10を参照)のバーブプラグ通路160内に着脱可能に配置される。バーブプラグ42、並びにOリング26及び連結ブロックシール38はいずれも、設けられた空間に一致し、装填装置20からのいっさいの液体の漏れを防止する例えばエラストマーなどの柔軟な材料から作製される。一実施形態では、エラストマーはポリウレタン又はシリコーンエラストマーであってよい。別の実施形態では、エラストマーはシリコーンエラストマーである。エラストマー材料は、分解又は変形することなく滅菌することができる。
【0030】
図12には、バーブプッシャアセンブリ46の斜視図が示されている。バーブプッシャアセンブリ46は、遠位端にワイヤプッシャ180を、近位端にプランジャ182を有している。プランジャ182は、プランジャ係止部184及びガイド面186を有している。安全ピン50は連結ブロック36の安全ピン導路170内に挿入される。バーブプッシャアセンブリ46は、プランジャ係止部184が安全ピン50にぶつかるまで、ガイド面186が上に面した状態で連結ブロック36のプッシャ通路開口部172内に挿入される。次いで、リテーナピン48がプランジャ係止部184の近位側でリテーナピン導路168内に挿入されることにより、バーブプッシャアセンブリ46が連結ブロック36から抜け落ちることが防止される(図10も参照)。
【0031】
バーブプッシャアセンブリ46は、IID 23内にバーブ44を前進させて配置するうえで適当な柱強度を有するように設計及び構成される。ワイヤプッシャ180は耐食性の医療グレードの金属から作製され、バーブ44を変形させることなく配置するのに適した強度を有する。適当な金属としては、これらに限定されるものではないが、ステンレス鋼、コバルトクロム合金、チタン、及びチタン合金が挙げられる。一実施形態では、金属はステンレス鋼である。プランジャ182は医療用途に適したポリマーで形成することができるが、例えばこのポリマーは形状を維持するような剛性を有し、滅菌可能なものでなければならない。適当なポリマーとしては、これらに限定されるものではないが、ポリカーボネート、アクリロニトリルブタジエンスチレン、ポリプロピレン、ポリメチルメタクリレートなどが挙げられる。一実施形態では、ポリマーはポリカーボネートである。バーブプッシャアセンブリ46は、公知のインサート成形法又は機械加工などの他のプロセスを用いて製造することができる。
【0032】
リテーナピン48及び安全ピン50は、耐食性の医療グレードの金属から作製される。適当な金属としては、これらに限定されるものではないが、ステンレス鋼、コバルトクロム合金、チタン、及びチタン合金が挙げられる。一実施形態では、金属はステンレス鋼である。
【0033】
バーブ44は、IID 23の入口管から細胞若しくは細胞塊又は培地が漏れることを防止するためのシールを与える適当な形状で適当な材料から作製することができる。適当な材料としては、これらに限定されるものではないが、エラストマー又は耐食性の医療グレードの金属が挙げられる。適当なエラストマーとしては、これらに限定されるものではないが、ポリウレタン又はシリコーンエラストマーが挙げられる。適当な金属としては、これらに限定されるものではないが、ステンレス鋼、コバルトクロム合金、チタン、及びチタン合金が挙げられる。一実施形態では、金属はチタンである。
【0034】
装填装置20は、最初にベース22内にIID 23を設置し、ベース22の内側から入口管導路102を通じて入口管を挿入することによって組み立てられる。IID 23をIIDアセンブリ補助部106と整列させ、連結ブロックシール38を入口管上に設置した状態で定位置に保持する。連結ブロックシール38を、連結ブロックシール38がベース22のベース外壁68に当接するまで入口管上に進める。次いで紫外線により活性化される接着剤を入口管に塗布し、入口管を連結ブロック36の入口管通路164内に挿入する。次いで、連結ブロック36上のラッチタブ176をベース22のフランジベース88の切欠き90に嵌め合わせる。次いで、紫外線源を作動させて透明なプラスチック連結ブロック36の側面から照射し、各構成部品が定位置に保持された状態で内部の紫外線硬化接着剤を硬化させる。紫外線硬化接着剤は入口管導路102内で入口管を固定することにより、細胞装填プロセスの間にIID 23を定位置に保持する。適当な紫外線硬化接着剤は、無溶媒で可撓性であり、速やかに硬化し、装填装置20のポリマー成分と相溶性を有するものである。次いで、ブレードリング端部116がブレードリング係止部98に当接し、ブレード端部118がブレードリング支持部100上に位置した状態でブレードリングアセンブリ24を陥凹ブレードリング溝96内に挿入する。Oリング26をOリング溝70内に配置する。次いで、スナップ蓋30を使用してディスク蓋28をベース22に固定する。スナップ蓋30上のスナップ156がディスク蓋28のスナップ蓋穴134に通され、スナップ蓋30がディスク蓋28内の奥まった位置に置かれ、ディスク蓋をベース22上に時計回りに回転させるとスナップ156がタブ傾斜面80と係合する。ディスク蓋28を時計回りに回転させると蓋の歯148がブレードリングアセンブリ24上の歯122とラチェットを介して噛み合い、連結ブロック保持要素142がロックタブ174と嵌まり合うことにより、連結ブロック36が連結ブロックフランジ76内で定位置に固定される。バーブ44をバーブプラグ42内のバーブ受容通路178内に装填し、バーブプラグ42をバーブプラグ通路160内に配置する。次いで、ワイヤプッシャ180をバーブプラグ42内のバーブ受容通路178内に滑り込ませた状態で、バーブプッシャアセンブリ46を連結ブロック36のプッシャ通路158内に挿入する。安全ピン50を安全ピン導路170内に配置し、リテーナピン48をリテーナピン導路170内に配置することにより、バーブプッシャアセンブリ46を連結ブロック36内で定位置に保持する。安全ピン50は、IID 23の入口管内にバーブ44が早期に配置されてしまうことを防止し、リテーナピン48はバーブプッシャアセンブリ46が連結ブロック36から抜けてしまうことを防止する。最後に第1及び第2のルアーキャップ34及び40を使用して装填装置20を閉じ、第1及び第2のルアー取り付け具32及び166をそれぞれ閉じる。
【0035】
組み立てが完了した後、装填装置20を滅菌して使用できる状態とする。装填装置20は、γ線滅菌法、電子線滅菌法、及びエチレンオキシド滅菌法などの滅菌の分野の当業者には周知の方法を用いて滅菌される。装填装置20は上記に述べた方法のいずれを用いて滅菌することもできるが、IID 23は装填装置20内で滅菌されるため、滅菌法を選択する際にはIID 23の作製に使用される材料を考慮する必要がある。一実施形態では、装填装置20はエチレンオキシド滅菌法を用いて滅菌される。
【0036】
滅菌された装填装置20は、細胞、細胞塊、又は培地をIID 23内に装填するうえで有用である。細胞を装填する各工程はいずれも、無菌状態を維持し、汚染の確率を低減するために層流フード内で無菌的滅菌法を用いて行われる。IID 23の細胞パウチは、その性質が親水性又は疎水性であってよい半透膜から作製される。半透膜は親水性である場合、以下の濡らし工程は任意に行うことができるが、半透膜が疎水性である場合にはIID 23の濡れ度を高めるために以下の濡らし工程が必要である。IID 23の濡らし工程は以下のとおりである。滅菌生理食塩水をディスク蓋28の第1のルアー取り付け具32から導入する。装填装置20のキャビティ72全体を、ポンプ又は圧力によらずに、高い位置の容器(<3m)から生理食塩水で満たす。IID 23を加圧しすぎないように注意を払う。次に、アルコールの入った注射器を、連結ブロック36上の第2のルアー取り付け具166に取り付ける。適当なアルコールとしては、これらに限定されるものではないが、エタノール及びイソプロパノール、並びにこれらの混合物が挙げられる。一実施形態では、アルコールはエタノールである。別の実施形態では、アルコールは、最大40体積%の水を含むイソプロパノール水溶液である。このアルコ−ルを連結ブロック36に注入すると、アルコールは入口管に流入した後、IID 23の細胞パウチ(半透膜)を濡らす。この系を平衡化させ、半透膜がアルコールで濡れるのに充分な時間を置く(例えば約3分間)。少なくとも1mLの液体を連結ブロック36上の第2のルアー取り付け具166から抜いて余分なアルコールを除去する。次いで注射器を連結ブロック36上の第2のルアー取り付け具166から取り外す。生理食塩水の供給源をディスク蓋28上の第1のルアー取り付け具32から移動し、連結ブロック36上の第2のルアー取り付け具166に移す。次に真空ラインをディスク蓋28上の第1のルアー取り付け具32に取り付ける。最大0.03MPa(200mmHg)の真空圧をかけ、少なくとも約40mLの生理食塩水が連結ブロック36上の第2のルアー取り付け具166を通過するまで維持することにより、IID 23及び装填装置20を完全に洗い流して残留アルコールを除去する。すべてのラインを第1及び第2のルアー取り付け具32及び166から外し、第1及び第2のルアー取り付け具32及び166を第1及び第2のルアーキャップ34及び40でそれぞれ封止する。その後、装填装置20を室温で静置する(12〜18時間)。
【0037】
この後、真空ラインをディスク蓋28上の第1のルアー取り付け具32に取り付け、細胞及び培地源を連結ブロック36上の第2のルアー取り付け具166に取り付ける。細胞及び培地源がなくなるまで最大0.03MPa(200mmHg)の真空をかける。安全ピン50を連結ブロック36から引き抜き、バーブプッシャアセンブリ42を、プランジャ182の遠位面が連結ブロック36の近位面と接触するまで押し込む。この運動によってプランジャ係止部184が前進してバーブプラグ42の圧縮を生じると同時にプッシャワイヤ180がバーブ44を連結ブロック36のバーブ通路162を通じてIID 23の入口管内に押し込み、バーブ44が展開されることによりIID 23の入口管を封止する。プランジャ182を放すと、バーブプッシャアセンブリ46がわずかに跳ね返るため、ワイヤプッシャ180は連結ブロック36の遠位端を超えて延びることはなく、ブレードリングアセンブリ24のブレード110の経路の外側となる。この後、装填装置20をアセンブリの外側の滅菌性が保たれるようにして輸送用にパッケージングする。一実施形態では、足78を熱成形モールド内で折り取ることにより装填装置20をモールド内で安定化させた後、滅菌パッケージ内に封入する。その後、パッケージングされた装填装置20をアセンブリの滅菌状態を維持したまま、使用場所まで輸送する。一実施形態では、パッケージングされた装填装置20は、内部の細胞の生存率が維持されるような適当な条件下で輸送される。適当な出荷温度は、当業者により決めることができ、細胞に依存する。装填装置20は滅菌野に導入され、滅菌パッケージから取り出される。片方の手で装填装置20のディスク蓋28のディスク蓋外壁128上の溝130を掴み、もう片方の手でハンドル74を掴む。ディスク蓋28を反時計回りに捻ることによりブレードリングアセンブリ24を回転させ、入口管をIID 23の細胞パウチの端部と面一となるようにして切断するのと同時にディスク蓋28を取り外す。この後、IID 23を外科医に供し、移植することができる。
【0038】
装填装置20は、IID 23のサイズに適合させることができる。より詳細には、装填装置20は、より大型のIID 23内のより多くの細胞のニーズに合わせてより大量の培地が入れられるように適合させることができる。ベース52及び支持プレート54の分解図が図13に示されている。図に示されるように、ベース52は、より多くの培地を収容できるように上記に述べたベース22と比較してより深くなっている。ベース52の深さのため、更なる構成部品として支持プレート54が必要となるがこれについて下記に詳しく述べる。
【0039】
ベース52の幾つかの図が図14、15、及び16に示されている。ベース52は、ベース面218及びその周囲のベース壁220を有している。図に示されるように、ベース面218とベース壁220とはキャビティ228を形成している。ベース壁220はベース内壁222及びベース外壁224を有しており、Oリング溝226がベース壁220の上面に形成されている。ベース壁220は、ベース内壁222上にベース外壁224に抜ける入口管導路250を有している(図16を参照)。入口管導路250はベース壁220上に配置されているため、IID 23が支持プレート54上に置かれる際、IID 23の入口管は入口管導路250を通って延びることになる。ベース52は、少なくとも1つの連結ブロックフランジ230、複数の足232、複数のタブ傾斜面234、タブ傾斜面係止部236、及びスナップ蓋係止部238も有している。連結ブロックフランジ230は、ベース外壁224の上縁部の下に配置されて外側に延びており、入口管導路250がその中のほぼ中央に位置している。連結ブロックフランジ230は、2個のフランジ側面240、フランジ側面240の間の1個のフランジベース242、及びフランジベース242内の切欠き244を有している。図に示されるように、複数の足232はベース外壁224から外側に延び、好ましくはベース底面252(図15を参照)とベース外壁224との交点に配置され、ベース52の外周に沿って均等に分配されている。一実施形態では、少なくとも2個の足232が設けられる。別の実施形態では、4個の足232が設けられるが、任意の便利のよい数を用いることができる。同様に、図に示されるように、複数のタブ傾斜面234がベース外壁224の上縁部に配置されてベース外壁224から外側に延び、ベース52の外周に沿って均等に分配されており、最初のタブ傾斜面246は一方のフランジ側面240と整列し、最後のタブ傾斜面248は下方に延びるタブ傾斜面係止部236を有している(図15を参照)。タブ傾斜面234は時計回りに幅が大きくなっているため、ディスク蓋28が時計回りに回転される際にタブ傾斜面234にスナップ蓋30のスナップ156が係合すると、同時にOリング26がディスク蓋28とベース52との間にシールを形成し、これによりベース52から液体が漏出しなくなる。タブ傾斜面係止部236(図15を参照)はディスク蓋28及びスナップ蓋30の過剰な時計回りの回転を防止することにより、スナップ蓋30のスナップ156がベース52上のタブ傾斜面234から外れることを防止する。一実施形態では、少なくとも4個のタブ傾斜面234が設けられる。別の実施形態では、少なくとも6個のタブ傾斜面234が設けられる。スナップ蓋係止部238は一方のフランジ側面240及びベース外壁224の上縁部と整列している。更に、スナップ蓋係止部238は最後のタブ傾斜面248と連結ブロックフランジ230との間に配置されているため、スナップ蓋係止部238はスナップ蓋30及びディスク蓋28の反時計回りの回転を制限し、これにより、スナップ蓋30上のスナップ156が隣のタブ傾斜面234と再係合することを防止し、装填装置20が開封される際に装填装置20を開いてIID 23へのアクセスを得ることが可能となる。
【0040】
ベース52の別の上面斜視図が図16に示されている。ベース52は、ベース面218から上方に延びてベース面218及びベース内壁222に固定的に連結されている複数の支持リブ256を有している。支持リブ256の数は、ベース52内で持ち上げられている支持プレート54を傾けることなく保持するのに充分な数であり、支持リブ256の高さはIID 23が入口管導路250と一直線に保持されるようなものである。図に示されるように、支持リブ256はベース52の外周に沿って均等に分配されており、入口管導路250の下に配置された第1の支持リブ258から始まっていて、第1の支持リブ258の上面には支持リブ切欠き260が成形されている。一実施形態では、少なくとも4個の支持リブ256が設けられる。別の実施形態では、少なくとも6個の支持リブ256が設けられるが、任意の便利のよい数を用いることができる。
【0041】
図15は、ベース52の上面斜視図を示している。ハンドル254は、例えばベース底面252に型成形することによって形成することができる。ハンドル254は、装填装置20を安定化させる、例えば、パッケージング内で安定化させるうえで有用であり、IID 23を取り出すために装填装置20を開封する際に装填装置20を掴むための形状要素を与える。
【0042】
支持プレート54の上面斜視図が図27に示されている。支持プレート54は、支持リブ256上にベース内壁222と接して置かれることによりベース52と着脱可能に連結される。支持プレート54の下面に配置された支持プレートタブ304が第1の支持リブ258上の支持リブ切欠き260内に着脱可能に位置する。支持プレート54はプレート面308及びその周囲のブレードリング溝296を有しており、ブレードリング溝296はブレードリング係止部298及びブレードリング溝296内のブレードリング支持部300を更に有している。ブレードリング支持部300は、装填装置20が組み立てられる際、フランジ側面240及びスナップ蓋係止部238とほぼ整列される。ブレードリング係止部298は陥凹ブレードリング溝296内に配置されているため、ブレードリング端部116がブレードリング係止部298と接して位置し、ブレード端部118がブレードリング支持部300の上に位置する。プレート面308はほぼ平坦であるが、高い点310から下に傾斜しており、IID受容部302に向かって角度をなしている。傾斜は、装填装置20が組み立てられる際にディスク蓋28の蓋床底部144と均一な間隔が維持されるように選択される。IID受容部302はプレート面308上に配置され、IID 23の入口管とIID 23の細胞パウチとの間の取り付け点に緩和(又はクリアランス空間)を与える切欠き部であり、これにより、IID 23の入口管は装填装置20の組み立て時に圧縮されないようになっている。支持プレート54は、支持プレート54の高さを通じて垂直方向に貫通する複数のプレート穴306を有している。プレート穴306は、支持プレート54の上下で液体及び気体の交換を充分に可能とする一方でプレート面308上にIID 23を支持するように選択される。
【0043】
装填装置20の構成部品の残りのものは、装填装置20について上記に述べたのと同様にして組み立てられる。
【0044】
装填装置20は、免疫隔離装置(immune-isolation device)(IID)に細胞又は細胞塊を装填するうえで有用である一方で、マニュアル操作による汚染の可能性を最小限に留める。従来、細胞、細胞塊、培地、又は湿潤剤を装置に装填する過程では、IID 23の入口管又は細胞パウチに直接手で触れるなど、使用者がIID 23を手で扱う必要があった。本発明は、移植するために装填装置20からIID 23が意図的に取り出されるまでIID 23にいっさい触れることなく使用者が装填装置20を扱うことを可能とするものである。IID 23は、使用場所まで装填装置20から取り出されない。
【0045】
更に、装填装置20はIID 23のパッケージとしても有用である。足78(又は232)は、装填装置20を二次パッケージ内で固定する。使用場所において、装填装置20を二次パッケージから取り出し、ディスク蓋28を摘まんで反時計回りに回すと、装填装置20が開封されると同時に装填装置20とブレード110がIID 23の入口管をIID 23の細胞パウチ(図に示されていない)の近位端と面一となるようにして切断する。次いで、IID 23を装填装置20から注意深く取り出して使用場所において移植する。
【実施例】
【0046】
(実施例1)
本実施例は、IID 23内に細胞又は細胞塊を装填するための装填装置20の使用について述べるものである。装填装置20を上記に述べたようにして組み立て、エチレンオキシド滅菌法を用いて滅菌する。以下の各工程はすべて、そうでない旨が断られないかぎりは、無菌的滅菌法を用いて行う。最初に、IID 23の濡れ度を高めるためにIID 23を処理する。滅菌食塩水をディスク蓋28上の第1のルアー取り付け具32から導入する。装填装置20のキャビティ72全体を、ポンプ又は圧力によらずに、高い位置の容器(<3m)から生理食塩水で満たす。IID 23を加圧しすぎないように注意を払う。次いで、エチルアルコールの入った注射器を、連結ブロック36上の第2のルアー取り付け具166に取り付ける。エタノールを連結ブロック36に注入し、これによりIID 23の半透膜を濡らす。この系を約3分間平衡化した後、連結ブロック36上の第2のルアー取り付け具166から少なくとも1mLの液体を抜く。次いで注射器を連結ブロック36上の第2のルアー取り付け具166から取り外す。生理食塩水源をディスク蓋28上の第1のルアー取り付け具32から連結ブロック36上の第2のルアー取り付け具166に移動し、同時に真空ラインをディスク蓋28上の第1のルアー取り付け具32に取り付ける。最大0.03MPa(200mmHg)の真空圧をかけ、約40mLの生理食塩水が連結ブロック36上の第2のルアー取り付け具166を通過するまで維持する。すべてのラインを第1及び第2のルアー取り付け具32及び166から外し、第1及び第2のルアー取り付け具32及び166を第1及び第2のルアーキャップ34及び40でそれぞれ封止する。その後、装填装置20を室温で静置する(12〜18時間)。
【0047】
この後、真空ラインをディスク蓋28上の第1のルアー取り付け具32に取り付け、細胞及び培地源を連結ブロック36上の第2のルアー取り付け具166に取り付ける。細胞及び培地源がなくなるまで最大0.03MPa(200mmHg)の真空をかける。安全ピン50を連結ブロック36から引き抜き、バーブプッシャアセンブリ46を、プランジャ182の遠位面が連結ブロック36の近位面と接触するまで押し込む。この運動によってプランジャ係止部184が前進してバーブプラグ42の圧縮を生じると同時にプッシャワイヤ180がバーブ44を連結ブロック36のバーブ通路162を通じてIID 23の入口管内に押し込み、バーブ44が展開されることによりIID 23の入口管を封止する。プランジャ182を放すと、バーブプッシャアセンブリ46がわずかに跳ね返るため、ワイヤプッシャ180は連結ブロック36の遠位端を超えて延びることはなく、ブレードリングアセンブリ24のブレード110の経路の外側となる。この後、装填装置20をアセンブリの外側の滅菌性が保たれるようにして輸送用にパッケージングする。その後、パッケージングされた装填装置20をアセンブリの滅菌状態を維持したまま、使用場所まで再び輸送する。装填装置20を滅菌野に入れて反時計回りに開き、IID 23を移植に供する。装填装置20を開く動作によってIID 23の入口管をIID 23の細胞パウチの端部と面一になるようにして切断すると、細胞が装填されたIID 23を移植用に取り出すことが可能となる。
図1A
図1B
図1C
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
【国際調査報告】