(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2018-511538(P2018-511538A)
(43)【公表日】2018年4月26日
(54)【発明の名称】周囲温度の充填およびダイヤフラムの反転によって容器パッケージングを形成する方法
(51)【国際特許分類】
B67C 3/24 20060101AFI20180330BHJP
【FI】
B67C3/24
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2017-553941(P2017-553941)
(86)(22)【出願日】2016年4月1日
(85)【翻訳文提出日】2017年11月6日
(86)【国際出願番号】EP2016057249
(87)【国際公開番号】WO2016165960
(87)【国際公開日】20161020
(31)【優先権主張番号】15305568.6
(32)【優先日】2015年4月15日
(33)【優先権主張国】EP
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】504102770
【氏名又は名称】シデル パルティシパション
【氏名又は名称原語表記】SIDEL PARTICIPATIONS
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】特許業務法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ル・ギュエン,バンサン
【テーマコード(参考)】
3E079
【Fターム(参考)】
3E079AB01
3E079BB07
3E079CC01
3E079DD01
3E079GG02
3E079GG10
(57)【要約】
パッケージングを形成する方法であって、前記方法が、側壁(5)と、開いた首部(2)と、基部(7)と、を含む空の容器(1)を準備するステップであって、前記容器が外側に突出した位置で反転可能なダイヤフラム(9)をさらに含むステップと、首部(2)を通して容器(1)内部に、周囲温度以下の温度で製品(16)を注入する充填するステップと、首部(2)に取り付けられたキャップ(18)によって、充填された容器(1)を密封閉鎖する蓋をかぶせるステップと、ダイヤフラム(9)を内側に突出した位置に移動させる反転ステップであって、前記反転ステップが、容器(1)を密封閉鎖する後に数秒以内で実施される、ステップと、を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
パッケージングを形成する方法であって、
側壁(5)と、開いた首部(2)と、基部(7)と、を含む空の容器(1)を準備するステップと、
首部(2)を通して容器(1)内部に、周囲温度以下の温度で製品(16)を注入する充填するステップと、
首部(2)に取り付けられたキャップ(18)によって、充填された容器(1)を密封閉鎖する蓋をかぶせるステップと、
を含む方法であって、
容器(1)が、反転可能なダイヤフラム(9)を含み、前記ダイヤフラム(9)が、外側に突出した位置にあり、
方法が、ダイヤフラム(9)を内側に突出した位置に移動させる、反転ステップをさらに含み、前記反転ステップが、容器(1)を密封閉鎖する後に実施され、反転ステップが、前記蓋をかぶせるステップの完了前に開始されることを特徴とする、方法。
【請求項2】
容器(1)の基部(7)が高い起立リング(8)を含み、反転可能なダイヤフラム(9)が基部(7)上の中央に設けられる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
注入される製品の温度が40℃以下である、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
注入される製品(16)の温度が20℃以下である、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
製品(16)が水である、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
反転ステップが、機械式プッシャ(22)によって実施される、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、容器が周囲温度以下の温度の内容物で充填され、次いで蓋をかぶせられる、プラスチック製容器のパッケージングに関する。
【背景技術】
【0002】
容器は、
PET(ポリエチレンテレフタレート)のようなプラスチック材料製のブランク(材料を注入したプリフォームまたはプリフォームをプレブロー成形することによって得られた中間容器のいずれかを指す用語)を材料のガラス転移温度(PETでは約80℃)を超える温度で加熱するステップと、
そのような加熱されたブランクを、容器の対向型を画定する側壁を含む金型に挿入するステップと、
圧力下(15バール以上)の気体(空気など)をブランクの中に注入するステップと、
を一般的に含むブロー成形によって、通常は製造される。
【0003】
ブローイングは、摺動ロッド(「ストレッチロッド」と呼ばれる)を用いてブランクを引き伸ばすことによって補われ得る。
【0004】
ブロー成形または延伸ブロー成形の間、材料は二重の分子配向(軸方向および径方向、すなわち容器の全体の軸線に対してそれぞれ平行および垂直)を受ける。この二重の分子配向は容器にある程度の構造的剛性を与える。
【0005】
しかしながら、近年、容器の製造に許容される材料の量が減少していることが見受けられる。言い換えれば、容器、およびしたがって、プリフォーム(またはブランク)は、エネルギー消費および汚染の削減に対する要求に応答して、常により軽量化されている。
【0006】
容器の剛性を高めるための周知の方法の1つは、熱によって、より正確には、材料がブローイングの終わりに当てられる、金型の側壁を加熱することによって、材料の結晶化速度を高めることから成る熱硬化であり、仏国特許発明第2649035号明細書(Sidel Participations)、またはそれに相当するアメリカの米国特許第5145632号明細書を参照されたい。しかし、そのコストおよびその遅い製造速度ために、熱硬化は、一般に高温充填容器、すなわち周囲温度より高い温度(一般に80℃を超える)の内容物で充填される容器に限定される。
【0007】
周囲温度の充填用途(例えば、非発泡水、風味のある水、フルーツジュース)について、製造業者は通常、容器の機械的強度を安価に向上させるために形状のトリックを用いる。一例として、欧州特許第2580132号明細書および米国特許出願公開第2013/175236号明細書(Sidel Participations)に記載されている容器には、容器の底部に径方向に延在する補剛材が設けられている。
【0008】
しかし、そのような補剛材は、厳しい負荷条件、例えば、容器がパレットの下側列に配置されているか、および/または許容される材料の量がさらに減少する場合には不十分となる可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】仏国特許発明第2649035号明細書
【特許文献2】米国特許第5145632号明細書
【特許文献3】欧州特許第2580132号明細書
【特許文献4】米国特許出願公開第2013/175236号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、周囲温度の(または冷たい)充填容器パッケージングの機械抵抗を向上させることである。
【0011】
本発明の別の目的は、周囲温度の(または冷たい)充填を意図される容器のさらなる軽量化を可能にすることである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
したがって、パッケージングを形成する方法が提供され、前記方法は、
側壁と、開いた首部と、基部と、を含む空の容器を準備するステップであって、前記容器が外側に突出する位置で反転可能なダイヤフラムを含むステップと、
首部を通して容器内に、周囲温度以下の温度で製品を注入する充填するステップと、
首部に取り付けられたキャップによって、充填された容器を密封閉鎖する蓋をかぶせるステップと、
ダイヤフラムを内側に突出した位置に移動させる反転ステップであって、前記反転ステップが、容器を密封閉鎖する後に数秒以内で実施される、ステップと、を含む。
【0013】
様々な実施形態において、
基部が、高い起立リングを含み、ダイヤフラムが基部の中央に設けられており、
注ぎ込まれる製品の温度が40℃以下、場合によっては20℃以下であり、
製品が水であり、
反転ステップが、機械式プッシャを用いて実施され、
反転ステップが、蓋をかぶせるステップの完了前に開始されること
が、別々にまたは組み合わせて実施される。
【0014】
本発明の上記の、および他の目的および利点が、添付の図面と併せて考察される、好適な実施形態の詳細な説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】高い起立リングと、外側へ突出する位置にあるダイヤフラムとを備え付ける空の容器の断面図である。
【
図2】充填ステップ中の
図1の容器の断面図である。
【
図3】充填ステップおよび蓋をかぶせるステップの完了後、
図1および
図2の容器の断面図である。
【
図4】反転ステップの完了後、
図3の容器の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1に示すのは、PETなどのプラスチック製のブランク(例えばプリフォーム)からブロー成形または延伸ブロー成形によって製造された容器1である。以下に説明するように、容器1は、周囲温度(または室温)以下の温度の内容物を充填するのに適している。一実施形態では、内容物は水(例えば、非発泡水または風味のある水)である。別の実施形態において、内容物は果汁飲料である。
【0017】
容器1は開いた円筒形のネジ付き上部または首部2を含み、容器1は開口部または口部3によって、その上端で終了し、口部3によって容器1が充填され、続いて空にされることができる。容器1は、首部2の下に、首部2と反対方向に直径が増大する肩部4を含む。
【0018】
容器1は、肩部4の下に、容器主軸Xを中心として略円筒形である側壁5を有する。側壁5は、
図1に示すように、充填ステップ、蓋をかぶせるステップおよびその後の取り扱い中に、容器1が受ける応力に対して側壁5の機械抵抗を向上させるように設計された環状補剛リブ6を含む。
【0019】
側壁5の下方端において、容器1は、容器1を閉鎖し、容器1を平坦な面上(例えば、最終的な顧客によって使用される場合のテーブル、またはコンテナ1の自動的取り扱い中のコンベアの上面などのような)に垂直に置かれることを可能にする基部7(底部とも呼ばれる)を有する。
【0020】
容器の基部7は、後で説明される高い起立リングである起立リング8と、中央の反転可能なダイヤフラム9とを備え、ダイヤフラム9は、主軸Xを中心とした回転の対称性を含み、
図1〜
図3に示される、ダイヤフラム9が容器1に対して外側に突出した(または下方)位置と、
図4に示される、ダイヤフラム9が容器1に対して内側に突出した(または上方)位置との間で、側壁5に対して変形可能である。
【0021】
容器1は、ダイヤフラム9が下方位置になるようにブロー成形されている。以下でさらに詳細に説明するように、ダイヤフラム9は、容器1が注入可能な製品で満たされた後に機械的に上方に(すなわち、容器1に対して内側に)押し付けられることが可能であって、取り扱いおよび保管中の容器1の機械的性能に役立つために、さらに顧客の品質認識に役立つために、充填された容器1の全体的剛性を向上させることができる。
【0022】
起立リング8は、その下方端部10で容器1の側壁5に接続する。起立リング8は、側壁5の下方端部10に隣接し、下方端部10に略垂直な支持フランジ11と、支持フランジ11をダイヤフラム9に接続する円筒状あるいは円錐台形状の内側部分12とを有する。支持フランジ11はまた、容器主軸Xに対して略垂直である。
【0023】
好ましい実施形態では、側壁5の下方端部10は、
図1に示す横断面で見た場合、容器1に対して内側に曲がった凹面を有するアーチ形状を有し、それによって支持フランジ11の外径は、側壁5の全体の直径よりも小さい。
【0024】
図示されているように、内側部分12は、好ましくは、円錐台の形状を有し、
図1および
図2に示すような横断面で見た場合、容器1に対して、抜き勾配によって内側に傾斜している。
【0025】
内側部分12の円錐形状は、その反転された位置(
図4に示す)でダイヤフラム9にアーチ型補剛および係止機能を提供し、それによって、ダイヤフラム9との接合部における内側部分12の直径を制限することにより、ダイヤフラム9が内側部分12に対して反転された位置からもとに戻って関節接合を成すことを防止する。その結果、ダイヤフラム9が内容物の圧力下でその内向き突出位置から最初の外向き突出位置へ逆戻りする危険性が抑制されるか、または少なくとも低下する。
【0026】
ダイヤフラム9の表面は、平滑であり、波形がないことが好ましい。これは、ダイヤフラム9をその下方位置からその上方位置へ反転させるのに必要な力を増加させるが、しかし上方位置でダイヤフラム9の安定性を高め、下方位置へ反転して戻る危険性を低減する。
【0027】
内側部分12は、支持フランジ11の外径に対して重要である軸方向の延長部を有し、したがって、「高い起立リング」という表現によって起立リング8を名付ける。より具体的には、内側部分12の軸方向の延長部(または高さ)は、支持フランジ11の外径の1/10より大きく、好ましくは支持フランジ11の外径の1/10〜1/5である。
【0028】
図1に示された容器1のブローされた構成では、反転可能なダイヤフラム9は、ダイヤフラム9が内側部分12の上方端部に接続する外側縁部13から、ダイヤフラム9が上方に突出する中央の凹部15に接続する内側縁部14まで、円錐台形状に外側に延在する。
【0029】
さらに、容器1のブローされた構成では、ダイヤフラム9の軸方向の延長部すなわち高さは、ダイヤフラム9の内側縁部14が、支持フランジ11と側壁5の下方端部10との間の接合部で画定される支持平面のわずかに上方に延在する。言い換えれば、ダイヤフラム9の高さは起立リング8の高さよりもわずかに低い。
【0030】
容器1がブロー成形された後、充填ユニット内部で、製品16(例えば飲料、例えば水などの液体など)をその首部2を通って(より正確にはその口部3を通って)注入する充填ステップを経る。製品16は、必ずしもその近傍ではないが、容器1の外側で測定され得る平均温度に相当する周囲温度(T
0で示される)以下のTで示される温度で注がれる。充填ステップは、
図2に示されている。充填ステップは、ダイヤフラム9が下方位置にある状況で実施される。
【0031】
T<T
0の場合、充填物は冷熱充填物と呼ばれる。
【0032】
T=T
0(または
【数1】
)のとき、充填は周囲温度の充填と呼ばれる。
【0033】
周囲温度T
0が約40℃である場合、製品16の温度Tは40℃以下である。これは、温暖な国(熱帯国など)の周囲温度に相当する。
【0034】
周囲温度T
0が約20℃である場合、そのとき製品16の温度Tは20℃以下である(製品の温度Tは、例えば、10℃と同じくらい新鮮な可能性がある湧き水のようにさらに低くてもよい)。これらの例は、西側諸国の通常の周囲気温である。
【0035】
容器1は通常完全には充填されていないので、それで首部2内部の製品16の上に空の容積(ヘッドスペースとも呼ばれる)17が残る。注入製品16の容積は、1つの容器1と別の容器1との間で変化する可能性がある。結果として、ヘッドスペース17は、分配された製品の正確な体積に相当する基準ヘッドスペースと常に概ね同じ体積であるべきであるが、ヘッドスペース17は、容器1ごとにやはり変化する可能性がある。
【0036】
次に、充填された容器1は、首部2上に取り付けられたキャップ18によって口部3(したがって容器1)を密封閉鎖する蓋をかぶせるステップを経る。好ましい実施形態では、首部2およびキャップ18の両方が対応してねじ込まれ、キャップ18が首部2にねじ込まれて、容器1の密封閉鎖を提供する。
【0037】
さらに、容器1は、ダイヤフラム9を内側に突出する位置に移動させる、反転ステップを経る。
【0038】
図3および
図4に示すように、反転ステップは、容器基部7に係合するのに適した容器支持リング20を含む加工ユニット19内で実施され得る。より正確には、支持リング20は、少なくとも支持フランジ11および容器側壁5の下方端部10の対向型を形成する。
【0039】
加工ユニット19は、垂直位置に容器1をしっかりと保持するための容器保持部材21をさらに含み、ダイヤフラム9が反転されている間、その基部は支持リング20内部に配置される。
【0040】
図示の例では、保持部材21は、容器軸線Xに沿って垂直にキャップ18に当接するのに適した円錐形ヘッドを備え付ける。
【0041】
ダイヤフラム9をその外側に突出した位置(
図3)から内側に突出した位置(
図4)へ反転させるために、加工ユニット19は、支持リング20に対して移動可能であり、支持リング20を介して容器基部7に当接可能な機械式プッシャ22をさらに含む。
【0042】
より正確には、プッシャ22は、中央凹部15内部に当接するために、軸線Xに沿って摺動自在に移動可能である。図示の例では、プッシャ22は、中央凹部15と形状が相補的である先端部23を有するが、しかし先端部23は、円筒形などのより単純な形状であってもよい。
【0043】
さらに、加工ユニット19は、支持リング20を通ってプッシャ22を前方(すなわち上方)に、容器基部7に向かって摺動移動させて、ダイヤフラム9の反転を達成し、その後、別の容器の反転サイクルの準備をするために後方(すなわち下方)に移動させるアクチュエータ24を含む。
【0044】
より正確には、図示の例では、アクチュエータ24が、好ましくは双方向型の油圧シリンダまたは空気圧シリンダであることが理解されよう。
【0045】
アクチュエータ24は、シリンダハウジング25と、ピストン26と、ピストン26に固定されたロッド27とを備え、プッシャ22は、ロッド27に取り付けられているか、またはロッド27と一体である。
【0046】
公知の方法では、アクチュエータ24は、ハウジング25を介して接続された閉鎖ヘッド28および閉鎖底部29を有する。ピストン26は、ハウジング25内部で、ロッド27の周りの前方チャンバ30と、ロッド27の反対側の後方チャンバ31とを画定し、それにより前方チャンバ30は、ピストン26と閉鎖ヘッド28との間に主に画定され、一方で、後方チャンバ31は、ピストン26と閉鎖底部29との間に主に画定される。
【0047】
後方チャンバ31は、閉鎖底部29の中に形成された底部流体ポート32を通って、圧力下で流体源(空気または油など)および通気孔に連結された制御弁と流体連通している。同様に、前方チャンバ30もまた、閉鎖ヘッド28の中に形成された上部流体ポート33を通って、圧力下の流体源および通気孔に連結された制御弁と流体連通している。後方チャンバ31および前方チャンバ30は、流体源および通気孔に交互に流体連通され、その結果、プッシャ22は、ピストン26が閉鎖底部29の近傍にある下方位置(
図3)と、ピストン26が閉鎖ヘッド28(
図4)の近傍にある上方位置との間で前方(または上方向)および後方(または下方向)に移動する。
【0048】
ダイヤフラム9の反転は、以下に記載するように実施される。
【0049】
ピストン26の下方位置から開始して、後方チャンバ31は流体の供給源に接続され、一方で、前方チャンバ30は通気孔に接続され、その結果、ピストン26は、その下の位置から離れて、機械式プッシャ22全体と共に前方(または上に)に移動し始める。プッシャ22は、抵抗に直面しない限り、時間に関して比例して前方へ移動する。
【0050】
後方チャンバ31が流体源に接続された後、約1/10秒から十分の数秒後に、プッシャ22が容器基部7と接触し、より正確には中央凹部15と接触し始め、容器1に対して同じ容器基部7を内側に押し込む。プッシャ22がその上方位置まで上方へ移動し続けるにつれて、ダイヤフラム9は、その内側に突出した位置に反転される(
図3)。
【0051】
ダイヤフラム9その外側に突出した位置と外側に突出した位置との間で移動する反転中に、事実上圧縮不可能な製品16が上方に移動され、それによって、ヘッドスペース17内に封入された気体(一般に空気)が、ダイヤフラム9によって掃き出された体積(いわゆる抽出体積)に概ね等しい体積によって圧縮される。
【0052】
プッシャ22がその上方位置に到達した後、ダイヤフラム9をその内側に突出した位置に安定させることを保証し(振動を減衰させる)、ダイヤフラム9が再び反転して外側に突出した位置へ戻ることを防止するために、約十分の数秒から約1秒または数秒の期間、プッシャ22が定位置に保持されることが好ましい。
【0053】
次いで、プッシャ22は低い方の位置に移動されて戻り、次のサイクルが別の容器1で開始されるまでプッシャ22はその低い方の位置を保持する。そうするために、前方チャンバ30は流体の供給源に接続されるが、一方で、後方チャンバ31は通気孔に接続され、その結果、ピストン26は、機械式プッシャ22全体と共に下方位置に後退する。
【0054】
反転ステップは、容器1を密封閉鎖した後、数秒以内に実施される。「密封閉鎖」という表現は、必ずしもキャップ18が首部2に完全にねじ込まれていることを意味するものではない。むしろ、キャップ18が容器1の密封閉鎖を提供することを意味し、これはキャップ18を首部2上にわずか数度、回転させる後に達成され得る。
【0055】
したがって、反転ステップは、容器1の密封閉鎖が達成されるならば、蓋をかぶせるステップの完了前に開始されてもよい。キャップ18が首部2にねじ込まれるにつれて、ヘッドスペース17の容積が減少し、そのため、その内部の空気圧が増加する。
【0056】
ダイヤフラム9を反転させるのに必要な労力がヘッドスペース17内の圧力に依存するので、反転ステップが早く開始されるほど、ダイヤフラム9の反転を開始させるのに必要な労力は小さくなる。蓋をかぶせるステップは一般に約1秒間持続するので、反転ステップは、蓋をかぶせるステップの開始後に1秒未満(例えば、十分の数秒)に開始されてもよく、これはダイヤフラム9の反転中に達成され得る。
【0057】
もちろん、反転ステップは、蓋をかぶせるステップの完了後に開始されてもよいが、しかし、ダイヤフラム9の反転を開始するのに必要な労力は、そのときより大きくなるであろう。その場合、反転は、キャップ18が首部2に完全にねじ込まれた後、蓋をかぶせるステップの完了直後、すなわち1秒未満(例えば、十分の数秒)に実施され得る。
【0058】
内容物が周囲(または冷熱)温度である場合、充填された容器1は、充填および蓋をかぶせる後に容積の減少を受けない。したがって、ダイヤフラム9の反転は、容器1内の容積減少(真空)を補償するものではない。言い換えれば、抽出容積全体が、充填された容器1の内部、より正確にはヘッドスペース17内に余分な圧力を加えるために使用される(製品16が非圧縮性であり、またはそうであると考えられるので)。この余分な圧力は、側壁5の大きな剛性をもたらし、それによって、積み重ねられ、またはパレット化された場合、容器1は高い圧縮労力を受けることができる。
【0059】
高い起立リング8の存在は、いくつかの利点を有する。
【0060】
第1に、ダイヤフラム9が、外側に突出する位置で支持フランジ11の上方に延在するので、容器1は通常のコンベアで搬送可能であり、すなわち、容器1は支持フランジ11によってコンベアの平坦な面上に載ることができる。
【0061】
第2に、すでに述べたように、内側部分12の円錐形状(または抜き勾配)は、内側に突出した位置でダイヤフラム9に対して係止機能を提供する。鋭い外側縁部13は、ダイヤフラム9がその外側に突出した位置に戻る関節接合を成すのを防止することにもまた役立つ。
【0062】
さらに、ダイヤフラム9の平滑度および回転の対称性(軸線Xを中心として)は、ダイヤフラム9がその内側に突出した位置を維持することに役立つ。
【0063】
他の実施形態では、反転可能なダイヤフラム9は、基部7以外の領域に容器上に設けられてもよい。例えば、一実施形態では、ダイヤフラムは容器側壁5上に設けられる。そのような場合、ダイヤフラムを反転させるために使用されるプッシャは、軸方向に移動するのではなく、容器に対して径方向に移動する。
【国際調査報告】