特表2018-511615(P2018-511615A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特表2018-511615神経伝達物質の排出を調節する成分が含まれた溶解性マイクロニドル
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2018-511615(P2018-511615A)
(43)【公表日】2018年4月26日
(54)【発明の名称】神経伝達物質の排出を調節する成分が含まれた溶解性マイクロニドル
(51)【国際特許分類】
   A61K 47/36 20060101AFI20180330BHJP
   A61P 17/00 20060101ALI20180330BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20180330BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20180330BHJP
   A61K 31/353 20060101ALI20180330BHJP
   A61P 3/14 20060101ALI20180330BHJP
   A61K 31/7048 20060101ALI20180330BHJP
   A61K 31/191 20060101ALI20180330BHJP
   A61K 9/00 20060101ALI20180330BHJP
   A61K 47/38 20060101ALI20180330BHJP
   A61K 47/32 20060101ALI20180330BHJP
   A61K 47/26 20060101ALI20180330BHJP
   A61K 8/02 20060101ALI20180330BHJP
   A61K 8/49 20060101ALI20180330BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20180330BHJP
   A61K 8/365 20060101ALI20180330BHJP
   A61K 31/352 20060101ALI20180330BHJP
【FI】
   A61K47/36
   A61P17/00
   A61K45/00
   A61P43/00 111
   A61K31/353
   A61P3/14
   A61K31/7048
   A61K31/191
   A61K9/00
   A61K47/38
   A61K47/32
   A61K47/26
   A61K8/02
   A61K8/49
   A61Q19/00
   A61K8/365
   A61K31/352
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2017-553096(P2017-553096)
(86)(22)【出願日】2016年4月12日
(85)【翻訳文提出日】2017年10月10日
(86)【国際出願番号】KR2016003845
(87)【国際公開番号】WO2016167545
(87)【国際公開日】20161020
(31)【優先権主張番号】10-2015-0052043
(32)【優先日】2015年4月13日
(33)【優先権主張国】KR
(31)【優先権主張番号】10-2015-0052575
(32)【優先日】2015年4月14日
(33)【優先権主張国】KR
(31)【優先権主張番号】10-2015-0144855
(32)【優先日】2015年10月16日
(33)【優先権主張国】KR
(31)【優先権主張番号】10-2015-0159978
(32)【優先日】2015年11月13日
(33)【優先権主張国】KR
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ
(71)【出願人】
【識別番号】514112488
【氏名又は名称】エルジー ハウスホールド アンド ヘルスケア リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(74)【代理人】
【識別番号】100122161
【弁理士】
【氏名又は名称】渡部 崇
(72)【発明者】
【氏名】ネ−ギュ・カン
(72)【発明者】
【氏名】ヒョン−ジョン・イ
(72)【発明者】
【氏名】ユン−ヒ・チャン
(72)【発明者】
【氏名】テ−ユン・キム
(72)【発明者】
【氏名】キ−ヨン・キム
(72)【発明者】
【氏名】ウ−ソン・シム
【テーマコード(参考)】
4C076
4C083
4C084
4C086
4C206
【Fターム(参考)】
4C076AA51
4C076AA95
4C076BB31
4C076CC18
4C076CC45
4C076DD67A
4C076EE06A
4C076EE16A
4C076EE32A
4C076EE37A
4C076EE48A
4C076FF68
4C083AC122
4C083AC301
4C083AC302
4C083AC432
4C083AC841
4C083AC842
4C083AD071
4C083AD091
4C083AD111
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4C083AD332
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4C086NA10
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4C086ZA89
4C086ZC50
4C086ZC52
4C206AA01
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4C206MA01
4C206MA02
4C206MA03
4C206MA04
4C206MA05
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4C206NA10
4C206NA11
4C206ZA89
4C206ZC50
4C206ZC52
(57)【要約】
本発明は、神経伝達物質の排出を調節する成分の皮膚伝達率を向上させることができる皮膚投与システムに関し、特に、神経伝達物質の排出を調節する成分を含むマイクロニドルに関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
神経伝達物質の排出を調節する成分を含むマイクロニドル。
【請求項2】
前記神経伝達物質の排出を調節する成分が、i)ポリフェノールまたはこの誘導体、ii)カルシウムチャネル遮断剤、またはiii)これらの混合物であることを特徴とする請求項1に記載のマイクロニドル。
【請求項3】
前記ポリフェノールまたはこの誘導体が、ケンペロール、ケルセチン、ミリセチン、ルテオリン、デルフィニジン、シアニジン、ブテイン、エラグ酸、アンペロプシン、ヘスピリジン、オーランチニジン、ユーロピニジン、ペラルゴニジン、マルビジン、ペオニジン、ペツニジン、ロシニジン及びこれらの誘導体からなる群より選択されたいずれか一種以上であることを特徴とする請求項2に記載のマイクロニドル。
【請求項4】
前記ポリフェノールが、アンペロプシン、ヘスピリジンまたはこれらの誘導体であることを特徴とする請求項3に記載のマイクロニドル。
【請求項5】
前記マイクロニドルが、マイクロニドルの総重量に対し0.01〜10重量%のポリフェノールまたはこの誘導体を含むことを特徴とする請求項1に記載のマイクロニドル。
【請求項6】
前記カルシウムチャネル遮断剤が、グルコン酸銅、グルコン酸亜鉛、硫酸マグネシウム、グルコン酸マグネシウム、及びアスパラギン酸マグネシウムからなる群より選択される一種以上の有機金属化合物と、
アムロジピン、レルカニジピン、フェロジピン、ニフェジピン、ニカルジピン、イスラジピン、ニソルジピン及びこれらの薬学的に許容可能な塩からなる群より選択されたいずれか一種以上のジヒドロピリジン系カルシウムチャネル遮断剤と、
ベラパミルを含むフェニルアルキルアミン系カルシウムチャネル遮断剤と、
ジルチアゼムを含むベンゾジアゼピン系カルシウムシャネル遮断剤と、
ガバペンチノイド及びジンコノチドからなる群より選択されたN−タイプカルシウムチャネル遮断剤と、からなる群より選択されたいずれか一種以上であることを特徴とする請求項2に記載のマイクロニドル。
【請求項7】
前記カルシウムチャネル遮断剤が、グルコン酸マグネシウムであることを特徴とする請求項6に記載のマイクロニドル。
【請求項8】
前記マイクロニドルが、皮膚内で溶解されることを特徴とする請求項1に記載のマイクロニドル。
【請求項9】
前記マイクロニドルを形成する物質が、ヒアルロン酸、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ビニルピロリドン−ビニルアセテート共重合体、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、糖またはこれらの混合物であることを特徴とする請求項1に記載のマイクロニドル。
【請求項10】
前記マイクロニドルが、マイクロニドルを形成する物質に加え、可塑剤をさらに含むことを特徴とする請求項9に記載のマイクロニドル。
【請求項11】
請求項1から請求項10のうちいずれか一項に記載のマイクロニドルを含む、皮膚しわ改善用のマイクロニドル。
【請求項12】
請求項1から請求項10のうちいずれか一項に記載のマイクロニドルを用いて皮膚のしわを改善することを特徴とする、神経伝達物質の排出を調節する成分の皮膚投与方法。
【請求項13】
神経伝達物質の排出を調節する成分が含まれたマイクロニドルの皮膚しわ改善の用途。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、溶解性マイクロニドルに関し、より詳しくは、神経伝達物質の放出を制御する物質を皮膚に伝達できる、皮膚投与システムに関する。
【0002】
本出願は、2015年4月13日出願の韓国特許出願第10−2015−0052043号、2015年11月13日出願の韓国特許出願第10−2015−0159978号、2015年4月14日出願の韓国特許出願第10−2015−0052575号及び2015年10月16日出願の韓国特許出願第10−2015−0144855号に基づく優先権を主張し、該当出願の明細書及び図面に開示された内容は、すべて本出願に援用される。
【背景技術】
【0003】
皮膚を介して薬物を伝達することは、使用の便利性から多様な分野及び形態で用いられている。このような皮膚を通過する薬物は、主に皮膚を介して体循環系(systemic circulation)に伝達するためのものであるが、外にもアトピー治療剤、美白またはしわ改善用の化粧品などの薬物は皮膚自体の器官に伝達しようとする目的として用いられることもある。このような便利性及び機能性にもかかわらず、皮膚の構造上、薬物を皮膚を介して伝達するには多くの困難が存在し、皮膚を通過する薬物を開発することが容易でない。皮膚の角質層は、ケラチンが豊かな角質細胞からなるブリック(brick)構造と、このような角質細胞の間をセラマイド(ceramide)、脂肪酸(fatty acid)またはワックス(wax)などのような脂質が満たしたモルタル(mortar)構造からなる。このような構造は、障壁として働き、物質透過性が非常に低い特性を有する。500Da以下の低分子構造の成分のみが拡散方式によって皮膚内に伝達され得、脂質親和性に優れた物質のみが皮膚を通過することができる。
【0004】
一方、神経伝達物質の排出は、神経伝達物質を含む神経末端に位置するシナプス小胞(synaptic vesicle)とシナプス前膜(presynaptic membrane)とが融合した後、両境界間の通路が形成されることによって発生する。小胞タンパク質VAMP(synaptobrevin)と原形質膜結合タンパク質であるシンタキシン(Syntaxin)1a、SNAP−25からなる三種のタンパク質複合体であるSNAREタンパク質(SNARE proteins)が、シナプス小胞とシナプス前膜との融合に根源的な力を提供する。ここで、シナプス小胞とシナプス前膜との膜融合によって神経伝達物質排出通路が開くことは、標的膜(target membrane)に付着されているシンタキシン1aタンパク質とSNAP−25タンパク質の二種の複合体であるt−SNARE、及び小胞(vesicle)に付着されているv−SNAREの作用による結果である。前記膜の融合時には、 脂質二重層(lipid bilayer)の再配列が起こるようになる。生体膜は相互強く押し出すため、これらの膜は、自発的に融合することなく外部からの強い力が与えられて膜間反発力を克服しなければならないが、このような力を提供するものがSNAREタンパク質であることと知られている。このようにSNARE複合体の形成は、神経伝達物質の排出を含む細胞外排出作用(exocytosis)の核心現象である。
【0005】
最近、植物性ポリフェノールが神経伝達物質の排出を調節してボトックスに類似な効能を発揮するという点を用いて、塗る形態の化粧品や実際にボトックスが使用できない状況に適用しようとする努力が存在するが、多くのポリフェノール類は溶解性が良くないため、化粧料剤形内に含有させ得る量が制限的であり、これによって皮膚透過量が非常に低くて効能を現し難いという問題点が存在した。
【0006】
なお、カルシウムチャネル遮断剤(Calcium channel blocker)は、筋肉を収縮させる重要な要素であるカルシウムが筋肉血管繊維細胞に入らないように抑制する作用をすることで、筋肉の収縮を低下させると知られている。顔面の動きは皮膚の下に存在する筋肉の収縮によって起こり、相異なる筋肉が顔の他の部分を動かすようになっている。
【0007】
このようなカルシウムチャネル遮断剤が筋肉収縮を低下させ、弛緩効果を与えるためには、薬物が筋肉層まで伝達しなければならないため、化粧品の単なる塗布では筋肉層まで薬物を吸収させにくく、その効果が微々たるという問題があった。
カルシウムチャネル遮断剤を皮膚に注射する場合、痛症を伴い、施術を受けなければならないため、個人が使うのに制限があり、経口投与する場合、全身に影響を及ぼすようになるので副作用が発生し得る。
【0008】
しわ及びフェイスラインの改善のためにカルシウムチャネル遮断剤を化粧品に含有させて皮膚に伝達しようとする試みはあるが、未だに皮膚透過の改善を考慮していない実情である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】韓国特許出願第10−2015−0052043号
【特許文献2】韓国特許出願第10−2015−0159978号
【特許文献3】韓国特許出願第10−2015−0052575号
【特許文献4】韓国特許出願第10−2015−0144855号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、皮膚透過量に優れた溶解性マイクロニドルを提供することを目的とする。
【0011】
神経伝達を遮断してしわ改善の効果に優れた成分を溶解性マイクロニドルに含浸させて皮膚に適用することで、微細針によって痛症を伴わず皮膚内に透過され、微細針が皮膚内の水分によって溶解されながら薬物を皮膚内へ伝達する溶解性マイクロニドルを提供する。
本発明は、微細針が皮膚内の水分によって溶解されながら有効成分が皮膚内に伝達されるようにする。
【0012】
本発明は、皮膚内に伝達された有効成分が神経伝達物質の放出を遮断して筋肉を緩めることで、しわ及びフェイスラインを改善し、痛みを抑制する。
【0013】
本発明は、通常の化粧料組成物において、溶解性が良くないことからポリフェノール類の使用量に制限があった問題を解消し、ポリフェノール類の溶解度を向上させて皮膚に適用できる皮膚伝達システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記の課題を達成するため、本発明は、神経伝達物質の排出を調節する成分を含むマイクロニドルを提供し、望ましくは、前記マイクロニドルは溶解性マイクロニドルである。
前記神経伝達物質の排出を調節する成分は、i)ポリフェノールまたはこの誘導体、ii)カルシウムチャネル遮断剤、またはiii)これらの混合物であり得る。
【0015】
望ましくは、本発明は、神経伝達物質の排出を調節する成分を含み、しわ改善の効果を奏するマイクロニドルを提供する。前記マイクロニドルを形成する物質は、皮膚内で溶解されるか、生分解性であり得、前記マイクロニドルは、皮膚適用時、マイクロニドルが溶解または崩壊されることで神経伝達物質の排出を調節する成分が放出され、前記神経伝達物質の排出を調節する成分が安定的に皮膚に伝達できるようになる。
【0016】
本発明の一実施例によれば、前記マイクロニドルに含まれる成分は、ポリフェノールまたはこの誘導体である。
【0017】
本発明者は多様な投与システムを研究したが、いかなるシステムも、上述のようにポリフェノールの溶解度が低いことから通常の化粧品に適用して皮膚に塗布するだけでは適用の限界があることを解消できなかった。本発明者は、鋭意研究の末、皮膚内溶解性のマイクロニドル内に、ポリフェノールを含ませることで、効果的に皮膚内に伝達できるという驚くべき発明を完成した。
【0018】
上記の課題を達成するために、マイクロニドルは、皮膚内において溶解性でなければならず、溶解性マイクロニドルを形成するために、ヒアルロン酸(Hyaluronic acid)、カルボキシメチルセルロースナトリウム(Na−CMC,Sodium carboxymethyl cellulose)、ビニルピロリドン−ビニルアセテート共重合体、ポリビニルアルコール(Poly vinyl alcohol)及びポリビニルピロリドン(Poly vinyl pyrrolidone)などの水溶性高分子;キシロース(Xylose)、スクロース(Sucrose)、マルトース(Maltose)、ラクトース(Lactose)、トレハロース(Trehalose)などの糖類;またはこれらの混合物を用いることができる。特に、マイクロニドルの皮膚透過強度、皮膚内における溶解速度などを総合的に考慮すれば、ヒアルロン酸(Oligo−Hyaluronic acid)、カルボキシメチルセルロースナトリウム及び糖類(saccharide)(より望ましくは、トレハロース(Trehalose))の混合物が望ましく、後述のグリセリン(Glycerine)をさらに混合したものがさらに望ましい。望ましくは、本発明によるマイクロニドルは、マイクロニドルを形成する前述の成分に加え、可塑剤、界面活性剤、保存剤、抗炎剤などをさらに含むことができる。
【0019】
前記可塑剤(plasticizer)としては、例えば、エチレングリコール(Ethylene glycol)、プロピレングリコール(Propylene glycol)、ジプロピレングリコール(Dipropylene glycole)、ブチレングリコール(Butylene glycol)、グリセリン(Glycerine)などのポリオールを単独または混合して用いることができる。
【0020】
望ましくは、本発明のマイクロニドルは神経伝達物質の排出を調節し、しわ改善の効果を奏するポリフェノールをマイクロニドルの総重量に対し0.01〜10重量%を含み、より望ましくは0.1〜5重量%を含み得る。
【0021】
前記マイクロニドルは、ポリフェノール成分を高含量で含むことができ、皮膚に伝達される量が通常の化粧料組成物の剤形に比べて遥かに増加したポリフェノールの皮膚伝達システムが提供できる。
【0022】
ポリフェノール成分は、溶解性が良くないことから化粧料組成物に含有される量が極めて少なかったが、本発明のマイクロニドルは水の含量が極めて少ないため、ポリフェノール成分の析出なくマイクロニドルに高含量を適用して皮膚に伝達することができる。
前記ポリフェノールは、ケンペロール、ケルセチン、ミリセチン、ルテオリン、デルフィニジン、シアニジン、ブテイン、エラグ酸、アンペロプシン、ヘスピリジン、オーランチニジン(Aurantinidin)、ユーロピニジン(Europinidin)、ペラルゴニジン(Pelargonidin)、マルビジン(Malvidin)、ペオニジン(Pheonidin)、ペツニジン(Petunidin)及びロシニジン(Rosinidin)及びこれらの誘導体からなる群より選択されたいずれか一種以上であり得、望ましくは、アンペロプシン、ヘスピリジンまたはこれらの誘導体からなる群より選択されたいずれか一種以上であり得る。
【0023】
本明細書において、前記ポリフェノールの誘導体は、遊離形態(遊離酸または塩基形態)及び全てのプロドラッグ(prodrug)、多形体(polymorph)、水和物(hydrate)、溶媒和物(solvate)、互変異性体(tautomer)、立体異性体(stereoisomer)など、特に特定しない限り前記のような薬学的に許容可能な全ての形態を含み、前記化合物の全ての活性形態を含む意味で用いられる。本発明の一実施例による、ポリフェノールを含むマイクロニドルは、SNAREの複合体形成を阻害して膜融合を阻害し、その結果として、神経伝達物質、例えば、アセチルコリンの放出を阻害し、筋肉細胞の収縮を抑制することができる。
【0024】
また、本発明の前記マイクロニドルが付着されているポリフェノールまたはこの誘導体投与用(伝達用)のマイクロニドルパッチ(patch)システムを提供する。
本発明のマイクロニドルは、業界の通常の溶解性マイクロニドルを製造する方法で製造でき、製造方法は特に制限されない。
【0025】
例えば、本発明のマイクロニドル製造方法は、(S1)神経伝達物質の排出をペプタ調節する成分(例えば、カルシウムチャネル遮断剤、ポリフェノールまたはこの誘導体、またはこれらの混合物)を含む溶液を製造する段階と、(S2) 前記溶液をマイクロニドルモールドに注入する段階と、(S3)乾燥段階及び前記モールドからマイクロニドルを分離する段階と、を含むことができる。
【0026】
また、本発明は、本発明によるマイクロニドルを用いることを特徴とする、溶解度及び皮膚伝達率が向上したポリフェノールの皮膚投与方法を提供する。
【0027】
また、本発明は、前記神経伝達物質の排出を調節し、しわの改善効果を奏するポリフェノールを含むマイクロニドルのしわ改善用途を提供する。
【0028】
本発明の一実施例によれば、本発明はポリフェノールを含み、SNARE複合体の形成を阻害するマイクロニドルを提供する。
【0029】
本発明の他の実施例によれば、本発明は、神経伝達物質の排出を調節する成分が含まれたマイクロニドルの皮膚しわ改善用途を提供する。
【0030】
また他の実施例によれば、本発明は、カルシウムチャネル遮断剤を含み、筋肉弛緩作用によってしわの改善効果またはフェースラインの改善効果を奏するマイクロニドルを提供する。より望ましくは、前記マイクロニドルを形成する物質は、皮膚内で溶解され、マイクロニドルの皮膚適用時、マイクロニドルが溶解または崩壊されることでカルシウムチャネル遮断剤が放出され、前記カルシウムチャネル遮断剤が安定的に皮膚に伝達できるようになる。
【0031】
本発明者は、多様な投与システムの鋭意研究の末、皮膚内における溶解性マイクロニドル内に、カルシウムチャネル遮断剤を含ませることで、効果的に神経伝達物質の伝達を減少させて筋肉の縮小を防止し、皮膚しわ改善の効果またはフェイスラインを改善してリフティング効果を奏する驚くべき発明を完成した。
【0032】
クリーム、ローションなどのような化粧品剤形にカルシウムチャネル遮断剤を含めて塗布する場合、皮膚浸透力が良くないことから効果の発現がまともに成されず、注射を用いる場合、家庭で個人が適用できないという短所があった。本発明者は、このような問題点を解消しながら痛症なく簡便に皮膚しわ改善の効果を得ることができる方案を模索したあげく、本発明を完成するに至った。
【0033】
上記の課題を達成するために、マイクロニドルは、皮膚内において溶解性でなければならず、溶解性マイクロニドルを形成するために、ヒアルロン酸、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ビニルピロリドン−ビニルアセテート共重合体、ポリビニルアルコール及びポリビニルピロリドンなどの水溶性高分子;キシロース、スクロース、マルトース、ラクトース、トレハロースなどの糖類;またはこれらの混合物を用いることができる。特に、マイクロニドルの皮膚透過強度、皮膚内における溶解速度などを総合的に考慮すれば、ヒアルロン酸、カルボキシメチルセルロースナトリウム及び糖類(より望ましくは、トレハロース)の混合物が望ましく、後述のグリセリンをさらに混合したものがさらに望ましい。望ましくは、本発明によるマイクロニドルは、マイクロニドルを形成する前述の成分に加え、可塑剤、界面活性剤、保存剤、抗炎剤などをさらに含むことができる。
【0034】
前記可塑剤としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ブチレングリコール、グリセリンなどのポリオールを単独または混合して用いることができる。
【0035】
望ましくは、本発明のマイクロニドルは神経伝達物質の放出を制御し、皮膚筋肉の収縮を防止できるカルシウムチャネル遮断剤をマイクロニドル製造溶液の総重量に対し0.0001〜20重量%を含み、より望ましくは0.001〜5重量%を含み得る。
【0036】
本明細書で用いられた「カルシウムチャネル遮断剤」とは、カルシウム拮抗剤ともいい、カルシウムが筋肉内に流入することを遮断して筋肉収縮を抑制する物質を意味する。前記カルシウムチャネル遮断剤としては、グルコン酸銅(copper gluconate)、グルコン酸亜鉛(zinc gluconate)、硫酸マグネシウム(Magnesium Sulfate)、グルコン酸マグネシウム(magnesium gluconate)及びアスパラギン酸マグネシウム(magnesium aspatate)からなる群より選択される一種以上の有機金属化合物;アムロジピン、レルカニジピン、フェロジピン、ニフェジピン、ニカルジピン、イスラジピン、ニソルジピン及びこれらの薬学的に許容可能な塩からなる群より選択されたいずれか一種以上のジヒドロピリジン系カルシウムチャネル遮断剤;ベラパミルを含むフェニルアルキルアミン系カルシウムチャネル遮断剤;ジルチアゼムを含むベンゾジアゼピン系カルシウムシャネル遮断剤;ガバペンチノイド(gabapentinoid)及びジンコノチド(zinconotide)からなる群より選択されたN−タイプカルシウムチャネル遮断剤;からなる群より選択されたいずれか一種以上が挙げられ、カルシウムチャネルに流入するカルシウムを遮断して筋肉弛緩作用をする物質であれば、全て含まれ得、種類は特に制限されない。
【0037】
前記カルシウムチャネル遮断剤としては、望ましくは、グルコン酸マグネシウムを用いることができる。
【0038】
また、本発明は、前記のマイクロニドルが付着されている神経伝達物質の排出を調節する成分が含まれたマイクロニドルパッチシステム、望ましくは、カルシウムチャネル遮断剤投与用(伝達用)のマイクロニドルパッチシステムを提供する。
【0039】
また、本発明は、本発明によるマイクロニドルを用いることを特徴とする、皮膚伝達率が向上した神経伝達物質の排出を調節する成分の皮膚投与方法、望ましくは、カルシウムチャネル遮断剤の皮膚投与方法を提供する。
【0040】
また、本発明は、前記神経伝達物質の排出を調節する成分が含まれたマイクロニドルを含む、顔筋肉弛緩用マイクロニドル及びこの顔筋肉弛緩用途を提供する。
【0041】
前記顔筋肉弛緩用は、皮膚の筋肉収縮を抑制してしわを改善する用途、顔の輪郭を改善する用途、皮膚のたるみを防止してリフティング効果を奏する用途を含む概念である。
【0042】
本発明の一実施例によれば、本発明のマイクロニドルを用いる神経伝達物質の排出を調節する成分の皮膚投与方法、望ましくは、しわ改善用カルシウムチャネル遮断剤の皮膚投与方法を提供する。
【発明の効果】
【0043】
本発明は、皮膚しわ改善の効果を奏するマイクロニドルを提供する。
【0044】
本発明は、しわ改善効果を奏するポリフェノールの皮膚透過効率を向上させることができ、皮膚投与用マイクロニドルを提供する。また、本発明は、このようなマイクロニドルを用いることを特徴とする神経伝達物質の排出を調節する成分の皮膚投与方法を提供する。
【0045】
本発明は、皮膚しわの改善効果またはフェイスラインの改善効果を奏するマイクロニドルを提供する。
【0046】
本発明は、微細針によって痛症なく皮膚内に有効成分を透過させることができる。
【0047】
本発明は、神経細胞のカルシウムチャネルを抑制して神経伝達物質の放出を遮断して筋肉を緩ませ、しわ及びフェイスラインを改善することができる。
【0048】
本明細書に添付される次の図面は、本発明の望ましい実施例を例示するものであり、発明の詳細な説明とともに本発明の技術的な思想をさらに理解させる役割をするため、本発明は図面に記載された事項だけに限定されて解釈されてはならない。
【図面の簡単な説明】
【0049】
図1】本発明によるマイクロニドルを製造する多くの方法の一例を示す図である。溶解性マイクロニドルは、溶液キャスト法(solution casting)により製造することができ、溶液をモールドにキャストして真空及び/または遠心回転(centrifuge)により微細モールドに液を満たした後、乾燥させることで製造することができる。マイクロニドル構造体を形成する材料としては、通常の合成及び天然水溶性高分子を用いることができる。
図2】本発明によるマイクロニドルの薬物放出の挙動を評価するためのフランツ型拡散セル(Franz diffusion cell)を示す。
図3】本発明のボトックスに類似な効果を奏するポリフェノールを例示的に示した図である。ミリセチン、デルフィニジン、シアニジン、ケンペロール、ケルセチン、ピセチン、ブテイン、ルテオリン、エラグ酸、没食子酸エピガロカテキン(Epigallocatechin gallate, EGCG)、アンペロプシン、ヘスピリジン及びこれらの誘導体を用いることができる。
図4】ケンペロール、ミリセチン、及びアンペロプシンのSNARE形成阻害の確認結果を示す(Cell line:C2C12(筋肉細胞)+NG108−15(神経細胞)条件、濃度:ppm)。
図5】豚皮膚及び収容体溶液内のアンペロプシン含量を比較した結果を示したグラフである。
図6】人体を対象としてアンペロプシンクリームとアンペロプシンマイクロニドルのしわ改善効果を確認した結果を示したグラフである。
図7】ケンペロール、ミリセチン、及びアンペロプシンの筋収縮抑制効果を確認した結果を示す。
図8】グルコン酸マグネシウムクリーム及びグルコン酸マグネシウムマイクロニドルの豚皮膚及び収容体溶液内におけるグルコン酸マグネシウムの含量を示したグラフである。
図9】グルコン酸マグネシウムのインビトロにおける筋収縮阻害効果の測定結果を示した。インビトロで筋細胞と神経芽細胞を共同培養し、グルコン酸マグネシウムを濃度別に処理してから10分後、筋収縮回数の減少結果を示したグラフである。
図10】グルコン酸マグネシウムクリーム及びグルコン酸マグネシウムマイクロニドルのしわ改善指数を示したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0050】
以下、本発明を具体的な実施例を挙げて説明する。しかし、本発明による実施例は多くの他の形態に変形されることができ、本発明の範囲が後述する実施例に限定されると解釈されてはならない。本発明の実施例は当業界で平均的な知識を有する者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。
【0051】
<溶解性マイクロニドルの製造>
溶解性マイクロニドルは、溶液キャスト法により製造され、溶液をモールドにキャストして真空及び/または遠心機により微細モールドに液を満たした後、乾燥させることで製造する。この際、マイクロニドル構造体を形成する材料としては、通常の合成及び天然水溶性高分子を用いた。
【0052】
<SNARE形成抑制ポリフェノールマイクロニドルの製造>
下記の表1の組成を有するマイクロニドルを製造した。ヒアルロン酸(Oligo−HATM )、Na−CMC及びトレハロースを精製水に溶解した後、グリセリン、PEG−40水添ヒマシ油(PEG−40 hydrogenated castor oil,HCO−40TM)及びアンペロプシン溶液(アンペロプシン10%,DPG90%)を添加し、アンペロプシン溶液を製造した(Dipropylene glycol,DPG)。製造したポリフェノール分散溶液をシリコーンマイクロニドルモールドにキャストした後、3000rpmで10分間遠心回転して微細モールドに溶液を充填した。
溶液の充填後、乾燥オーブン(70℃)で3時間乾燥し、接着フィルムを用いてマイクロニドルをシリコーンモールドから型抜きした。 下記表1の含量は、重量%で示した。
製造過程は、図1に示した。
【0053】
【表1】
【0054】
<SNARE形成抑制ポリフェノールの水中油(Oil−in−Water)剤形クリームの製造>
マイクロニドルに含浸されたポリフェノールの皮膚透過量と比較するために、比較例として通常の水中油剤形のクリームにポリフェノールを含浸させて比較した。
【0055】
【表2】
【0056】
<薬物の放出挙動>
豚皮膚を載置したフランツ型拡散セルを用いて、上記で製造したマイクロニドルからのアンペロプシンの放出を評価した(図2参照)。受容体溶液としては、30重量%のDPGが含有されたPBS溶液を用いた。
【0057】
即ち、フランツ型拡散セルを用いて、時間の経過による豚皮膚組織及び受容体溶液のアンペロプシンの含量を液体クロマトグラフィーによって測定した。
【0058】
アンペロプシンを含むクリームは、皮膚を介して透過する量が約1μgであってその量が僅かであったが、マイクロニドルに含浸されたアンペロプシンはニドルによって皮膚に直接透過してその透過量が13μg以上となり、クリームに比べて約13倍以上の高い皮膚透過量を示した。その結果を図5に示した。
【0059】
<しわの改善効果>
アンペロプシンクリーム及びアンペロプシンが含浸されたマイクロニドルを目じりのしわに12週間毎日処理した後、しわの改善程度をシリコーン模写板(silicone replica)及び画像分析方法により確認した(N=20)。
アンペロプシンクリームに比べ、アンペロプシンが含浸されたマイクロニドルから5倍以上の優れた改善効果を奏し、これは、アンペロプシンがマイクロニドルによって皮膚内へ効果的に浸透することでしわの改善効果が高かったことを確認した。このような結果を図6に示した。
【0060】
<SNARE複合体形成阻害実験>
アンペロプシン、ケンペロール、ミリセチンなど、ポリフェノールのSNARE複合体形成阻害可否を確認するために、SDS−PAGE(Sodium dodecyl sulfate−polyacrylamide gel electrophoresis)分析を行った。SNAREタンパク質であるSNAP25、SynH3、Vpsタンパク質を1:1:1のモール濃度で混合したときに形成される複合体が、1〜50ppmの濃度でポリフェノール化合物の添加によって抑制されるかを確認した。各々のタンパク質を1mlチューブに点滴した後、ポリフェノール化合物を入れて混合してから室温で30分間反応させた。その後、12%SDS−PAGE上で電気泳動し、SNARE複合体形成の可否を確認した。
【0061】
ケンペロール、ミリセチン、アンペロプシン全て濃度依存的にSNARE複合体を効果的に阻害することが確認された。実験結果、ミリセチンに比べてケンペロールとアンペロプシンが、低い濃度でSNARE複合体形成抑制能力が活発なことを確認することができた。ミリセチン、アンペロプシン(ジヒドロキシミリセチン)、ケンペロール、A440のSNARE形成阻害効果を確認し、図4に示した(Cell line:C2C12(筋肉細胞)+NG108−15(神経細胞条件、濃度:ppm)。
【0062】
<筋収縮抑制実験>
C2C12細胞をプレートに10%ウシ胎仔血清及び1%の抗生物質が入ったDMEM培地で培養した。その後、神経芽細胞を同一のプレートに追加的に共同培養した。その後、C2C12細胞の細胞収縮が始まるとき、30秒間C2C12細胞の収縮回数を測定し、培地を全て除去した後にPBSで3回洗浄した後、ウシ胎仔血清が入っていない培地とポリフェノール化合物50ppmを入れて2時間の間反応させた。その後、C2C12細胞の収縮回数をさらに30秒間測定し、筋収縮抑制程度を確認した。
【0063】
ケンペロール、ミリセチン、アンペロプシンが神経細胞からの神経伝達物質の排出を抑制してC2C12細胞の収縮回数を減少させる結果を確認することができた。このうち、アンペロプシン及びケンペロールが、ミリセチンに比べて放出を阻害する効果が相対的に高く測定された。その結果は、図7に示した。
【0064】
本発明のアンペロプシンを含む化粧料組成物を製造する場合、0.5%未満(PEG400 5%,水70%基準)のアンペロプシンを含み得るが、本発明のマイクロニドルの製造方法で製造されたマイクロニドルは、アンペロプシンの含有量をマイクロニドル乾燥重量に対し5%内外に増加させることができる。したがって、高濃度のポリフェノールを含む製品を製造することができる。
【0065】
<溶解性マイクロニドルの製造>
溶解性マイクロニドルは、溶液キャスト法により製造し、溶液をモールドにキャストして真空及び/または遠心機により微細モールドに液を満たした後、乾燥させることで製造した。
【0066】
マイクロニドル構造体を形成する材料としては、通常の合成及び天然水溶性高分子を用いた。
【0067】
<グルコン酸マグネシウムが含浸された溶解性マイクロニドルの製造>
【0068】
【表3】
【0069】
Oligo−HA、Na−CMC及びトレハロースを精製水に溶解した後、グリセリン、HCO−40及びグルコン酸マグネシウムを添加し、グルコン酸マグネシウム溶液を製造した(DPG:ジプロピレングリコール)。
【0070】
製造したグルコン酸マグネシウム分散溶液をシリコーンマイクロニドルモールドにキャストした後、3000rpmで10分間遠心回転して微細モールドに溶液を充填した。溶液の充填後、乾燥オーブン(70℃)で3時間乾燥し、接着フィルムを用いてマイクロニドルをシリコーンモールドから型抜きした。
【0071】
<グルコン酸マグネシウムが含浸された水中油剤形のクリーム>
【0072】
【表4】
【0073】
マイクロニドルに含浸されたグルコン酸マグネシウムの皮膚透過量と比較するために、比較例として通常の水中油剤形のクリームにグルコン酸マグネシウムを含浸させて比較した。
【0074】
<薬物の放出挙動>
フランツ型拡散セルを用いて、時間の経過による豚皮膚組織及び受容体溶液のグルコン酸マグネシウムの含量を液体クロマトグラフィーによって測定した。豚皮膚にグルコン酸マグネシウムクリームを塗布するか、グルコン酸マグネシウムが含浸されたマイクロニドルを付着して、時間の経過によるグルコン酸マグネシウムの皮膚透過量を比較した。
【0075】
グルコン酸マグネシウムを含むクリームは、皮膚を介して透過する量が約1μgであってその量が僅かであったが、マイクロニドルに含浸されたグルコン酸マグネシウムはニドルによって皮膚に直接透過してその透過量が20μg以上となり、クリームに比べて約20倍以上の高い皮膚透過量を示した。その結果を図8に示した。
【0076】
<インビトロにおける筋収縮阻害効果>
図9から分かるように、グルコン酸マグネシウムを処理する場合、グルコン酸マグネシウムの濃度が増加するほど筋肉収縮回数が著しく減少する傾向にあることを確認した。
【0077】
<しわ改善の効果>
グルコン酸マグネシウムクリームと、グルコン酸マグネシウムが含浸されたマイクロニドルを目じりのしわに12週間毎日処理した後、しわの改善程度をシリコーン模写板及び画像分析方法により確認した(N=20)。
【0078】
図10から分かるように、グルコン酸マグネシウムクリームに比べ、グルコン酸マグネシウムが含浸されたマイクロニドルから2〜3倍以上の優れた改善効果が現われ、これは、グルコン酸マグネシウムがマイクロニドルによって皮膚内へ効果的に浸透することでしわの改善効果が高かったことを意味する。
【産業上の利用可能性】
【0079】
本発明は、皮膚のしわ改善のための化粧品、薬学用途に用いることができる。
【0080】
本発明のマイクロニドルは、優れた皮膚のしわ減少効果を奏する。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
【国際調査報告】