特表2018-512240(P2018-512240A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ワンダークラフトの特許一覧

特表2018-5122402つの枢動軸を有する機械的足関節リンクを備えたエグゾスケルトン
<>
  • 特表2018512240-2つの枢動軸を有する機械的足関節リンクを備えたエグゾスケルトン 図000003
  • 特表2018512240-2つの枢動軸を有する機械的足関節リンクを備えたエグゾスケルトン 図000004
  • 特表2018512240-2つの枢動軸を有する機械的足関節リンクを備えたエグゾスケルトン 図000005
  • 特表2018512240-2つの枢動軸を有する機械的足関節リンクを備えたエグゾスケルトン 図000006
  • 特表2018512240-2つの枢動軸を有する機械的足関節リンクを備えたエグゾスケルトン 図000007
  • 特表2018512240-2つの枢動軸を有する機械的足関節リンクを備えたエグゾスケルトン 図000008
  • 特表2018512240-2つの枢動軸を有する機械的足関節リンクを備えたエグゾスケルトン 図000009
  • 特表2018512240-2つの枢動軸を有する機械的足関節リンクを備えたエグゾスケルトン 図000010
  • 特表2018512240-2つの枢動軸を有する機械的足関節リンクを備えたエグゾスケルトン 図000011
  • 特表2018512240-2つの枢動軸を有する機械的足関節リンクを備えたエグゾスケルトン 図000012
  • 特表2018512240-2つの枢動軸を有する機械的足関節リンクを備えたエグゾスケルトン 図000013
  • 特表2018512240-2つの枢動軸を有する機械的足関節リンクを備えたエグゾスケルトン 図000014
  • 特表2018512240-2つの枢動軸を有する機械的足関節リンクを備えたエグゾスケルトン 図000015
  • 特表2018512240-2つの枢動軸を有する機械的足関節リンクを備えたエグゾスケルトン 図000016
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2018-512240(P2018-512240A)
(43)【公表日】2018年5月17日
(54)【発明の名称】2つの枢動軸を有する機械的足関節リンクを備えたエグゾスケルトン
(51)【国際特許分類】
   A61H 3/00 20060101AFI20180417BHJP
   A61F 5/02 20060101ALI20180417BHJP
   A61F 5/01 20060101ALI20180417BHJP
【FI】
   A61H3/00 B
   A61F5/02 N
   A61F5/01 N
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】31
(21)【出願番号】特願2017-552928(P2017-552928)
(86)(22)【出願日】2016年4月7日
(85)【翻訳文提出日】2017年11月28日
(86)【国際出願番号】EP2016057626
(87)【国際公開番号】WO2016162425
(87)【国際公開日】20161013
(31)【優先権主張番号】1552975
(32)【優先日】2015年4月7日
(33)【優先権主張国】FR
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】516282835
【氏名又は名称】ワンダークラフト
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100082991
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 泰和
(74)【代理人】
【識別番号】100106655
【弁理士】
【氏名又は名称】森 秀行
(72)【発明者】
【氏名】チボー、ガイラル
(72)【発明者】
【氏名】アレクサンドル、ブーランジェ
【テーマコード(参考)】
4C046
4C098
【Fターム(参考)】
4C046AA09
4C046AA25
4C046AA29
4C046AA42
4C046AA48
4C046AA49
4C046BB03
4C046BB07
4C046CC01
4C046CC04
4C046DD02
4C046DD12
4C046DD17
4C046DD22
4C046DD38
4C046DD39
4C046EE02
4C098AA01
4C098AA02
4C098BB02
4C098BB11
4C098BC02
4C098BC03
4C098BC04
4C098BC08
4C098BC17
4C098BC33
4C098BD04
4C098BD13
4C098BD15
(57)【要約】
本発明は、足構造と、下脚構造と、枢動軸を有する機械的膝リンクと、足構造を下脚構造に接続する機械的足関節リンクであって、機械的膝リンクの枢動軸にほぼ平行である第1の枢動軸を有する第1のピボット接続と第1の枢動軸に垂直であってエグゾスケルトンが直立静止しているときに支持面に対して30°と60°の間の角度をなす第2の枢動軸を有する第2のピボット接続を備えた機械的足関節リンクとを備えるエグゾスケルトンに関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エグゾスケルトンであって、
− ユーザの足を受けるように構成された支持面を備える足構造と、
− ユーザの脚の下側部分を受けるように構成された下脚構造と、
− 前記下脚構造をユーザの脚の上側部分を受けるように構成された上脚構造に接続するように構成された機械的膝リンクであって、枢動軸を有する機械的膝リンクと、
− 前記足構造を前記下脚構造に接続している機械的足関節リンクであって、第1の枢動軸を有する第1のピボットリンクを備え、前記第1の枢動軸は前記機械的膝リンクの前記枢動軸にほぼ平行である機械的足関節リンクと、
を備え、
前記機械的足関節リンクはさらに、第2の枢動軸を有する第2のピボットリンクを備え、前記第2の枢動軸は、前記第1の枢動軸に垂直な平面内において延在し、前記エグゾスケルトンが立脚静止しているときに前記支持面に対して30°と60°の間に含まれる角度をなすことを特徴とするエグゾスケルトン。
【請求項2】
請求項1に記載のエグゾスケルトンであって、
前記第2の枢動軸は、前記エグゾスケルトンが立脚静止しているときに前記支持面に対して40°と50°の間に含まれる、好ましくは45°台の角度をなすことを特徴とするエグゾスケルトン。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のエグゾスケルトンであって、
前記足構造と前記下脚構造の間に取り付けられるとともに前記機械的足関節リンクの前記第1の枢動軸及び前記第2の枢動軸の周りの前記足構造の角度位置を制御するように構成された並列の2つのアクチュエータをさらに備えることを特徴とするエグゾスケルトン。
【請求項4】
請求項3に記載のエグゾスケルトンであって、
前記アクチュエータは前記下脚構造の両側部に並列に取り付けられていることを特徴とするエグゾスケルトン。
【請求項5】
請求項3または請求項4に記載のエグゾスケルトンであって、
前記アクチュエータはそれぞれ、
前記下脚構造上に取り付けられたリニアアクチュエータと、
コネクティングロッドであって、前記リニアアクチュエータの並進が前記足構造に対する前記コネクティングロッドの回動を生じるように、一方側において前記リニアアクチュエータ上に取り付けられているとともに他方側においてピボットジョイントを用いて前記足構造上に取り付けられたコネクティングロッドとを備えることを特徴とするエグゾスケルトン。
【請求項6】
請求項5に記載のエグゾスケルトンであって、
前記リニアアクチュエータは、モータに結合された、好ましくはボールスクリュー型またはスクリューナット型のシリンダを備えることを特徴とするエグゾスケルトン。
【請求項7】
請求項1乃至請求項6のいずれか1つに記載のエグゾスケルトンであって、
前記シリンダは、前記モータによって回動駆動されるねじロッドと、前記足構造に対して回動するように取り付けられたナットとを備え、前記コネクティングロッドは、前記ナット上に取り付けられた1つの端部を、前記ナットの並進が前記コネクティングロッドの前記端部の並進を生じるように備えることを特徴とするエグゾスケルトン。
【請求項8】
請求項7に記載のエグゾスケルトンであって、
各アクチュエータは、前記下脚構造に取り付けられたガイドレールを有する少なくとも1つのスライドと、前記ガイドレールに沿って並進移動可能なキャリッジとをさらに備え、前記ナットは前記スライドの前記キャリッジに取り付けられていることを特徴とするエグゾスケルトン。
【請求項9】
請求項8に記載のエグゾスケルトンであって、
前記キャリッジは、前記スライドの前記ガイドレール上に並進移動可能に取り付けられているとともに接続部によって一体に接続された、第1のスライダ及び第2のスライダを備え、前記ナット及び前記コネクティングロッドは前記キャリッジの前記接続部に取り付けられていることを特徴とするエグゾスケルトン。
【請求項10】
請求項7乃至請求項9のいずれか1つに記載のエグゾスケルトンであって、
前記ナットと前記コネクティングロッドの間の機械的リンクはピボットリンクを備え、前記コネクティングロッドと前記足構造の間の機械的リンクはピボットジョイントを備えることを特徴とするエグゾスケルトン。
【請求項11】
請求項10に記載のエグゾスケルトンであって、
前記ナットと前記コネクティングロッドの間の前記機械的リンクは、ユニバーサルジョイント、またはほぼ直交する軸の2つのピボットリンクを備えることを特徴とするエグゾスケルトン。
【請求項12】
請求項7乃至請求項11のいずれか1つに記載のエグゾスケルトンであって、
前記シリンダは、前記モータの出力と前記ねじロッドの間に介在する単純な機械軸受をさらに備え、前記機械軸受は、5分角と15分角の間に含まれる、典型的には約10分角のミスアライメントを有することを特徴とするエグゾスケルトン。
【請求項13】
請求項1乃至請求項12のいずれか1つに記載のエグゾスケルトンであって、
前記第1のピボットリンクは、前記エグゾスケルトンを装着したユーザの内果及び外果に面するように前記足構造上に配置され、及び/または
前記第2のピボットリンクは、かかと部またはユーザのアキレス腱に面するように前記足構造上に配置されていることを特徴とするエグゾスケルトン。
【請求項14】
請求項1乃至請求項13のいずれか1つに記載のエグゾスケルトンであって、
前記第1の枢動軸と前記機械的膝リンクの前記枢動軸とは、0°と約15°の間、好ましくは6°と10°の間に含まれる、例えば8°の角度をなすことを特徴とするエグゾスケルトン。
【請求項15】
請求項1乃至請求項14のいずれか1つに記載のエグゾスケルトンであって、
前記第1の枢動軸は、前記エグゾスケルトンが立脚静止しているときに地面に平行な平面内において延在することを特徴とするエグゾスケルトン。
【請求項16】
請求項1乃至請求項15のいずれか1つに記載のエグゾスケルトンであって、
中間部であって、一方側において前記足構造上に取り付けられて前記足構造に対して前記第2の枢動軸の周りに自由に回動するとともに、他方側において前記下脚構造上に前記第1の枢動軸の周りに枢動可能に取り付けられた中間部をさらに備えることを特徴とするエグゾスケルトン。
【請求項17】
請求項16に記載のエグゾスケルトンであって、
前記中間部は、前記下脚構造上に取り付けられているとともに、受動ピボットリンクを用いて前記足構造上に取り付けられていることを特徴とするエグゾスケルトン。
【請求項18】
請求項16または請求項17に記載のエグゾスケルトンであって、
一方側において前記中間部に取り付けられているとともに他方側において前記下脚構造上に取り付けられた圧縮ばねアセンブリをさらに備えることを特徴とするエグゾスケルトン。
【請求項19】
請求項18に記載のエグゾスケルトンであって、
前記ばねアセンブリは第1の弾性変形可能な部材を備え、前記第1の部材は、一方側において係着要素により前記第1のピボットリンクと前記第2のピボットリンクの間の前記中間部に接続されているとともに、他方側において前記下脚構造に接続されており、前記第1の部材は前記中間部に張力を作用させるように構成されていることを特徴とするエグゾスケルトン。
【請求項20】
請求項19に記載のエグゾスケルトンであって、
前記係着要素は柔軟性を有することを特徴とするエグゾスケルトン。
【請求項21】
請求項19または請求項20に記載のエグゾスケルトンであって、
前記ばねアセンブリは、第1の端部及び前記第1の端部と反対側の第2の端部を有するほぼ長尺の中空体をさらに備え、前記中空体は前記下脚構造に形成されたハウジング内に取り付けられており、前記中空体の前記第1の端部は前記ハウジングの底部に面し、前記第1の部材は前記ハウジング内に取り付けられているとともに前記ハウジングの底部と前記中空体の前記第2の端部との間に圧縮されていることを特徴とするエグゾスケルトン。
【請求項22】
請求項21に記載のエグゾスケルトンであって、
前記中空体内に収容された第2の弾性変形可能な部材をさらに備え、前記第2の部材は前記中空体の前記第1の端部の近傍に取り付けられており、前記係着要素は前記第2の部材が前記係着要素に張力をかける構成となるように前記第2の部材と協働し、前記係着要素は前記中空体内に収容されているとともに前記中空体の前記第1の端部及び前記ハウジングの前記底部から突出していることを特徴とするエグゾスケルトン。
【請求項23】
請求項22に記載のエグゾスケルトンであって、
前記第1の部材及び/または前記第2の部材は圧縮ばねを備えることを特徴とするエグゾスケルトン。
【請求項24】
請求項23に記載のエグゾスケルトンであって、
前記第1の部材及び前記第2の部材は圧縮ばねを備え、前記第2の部材は前記第1の部材の剛性より低い剛性を有することを特徴とするエグゾスケルトン。
【請求項25】
請求項21乃至請求項24のいずれか1つに記載のエグゾスケルトンであって、
前記係着要素は前記中空体内に収容された肉厚部分を有し、前記第2の部材は、前記肉厚部分に対する制止部をなすように構成されたロック部を備えることを特徴とするエグゾスケルトン。
【請求項26】
請求項21乃至請求項25のいずれか1つに記載のエグゾスケルトンであって、
前記係着要素は前記係着要素に取り付けられたストッパをさらに備え、かつ、前記中空体は前記中空体の内壁に取り付けられた突起であって、前記ストッパと協働し、前記係着要素の前記ストッパに対する障害物をなすように構成された突起をさらに備えることを特徴とするエグゾスケルトン。
【請求項27】
請求項21乃至請求項26のいずれか1つに記載のエグゾスケルトンであって、
前記中空体は前記中空体の第2の端部の近傍に取り付けられたボルトをさらに備え、前記第1の部材は前記ボルトに当接していることを特徴とするエグゾスケルトン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特にモータ障害の影響を受けるユーザの補助を可能とする人移動支援システム、またはエグゾスケルトンに関する。
【背景技術】
【0002】
エグゾスケルトンは、一般に、骨盤構造、2つの脚構造、2つの足構造、及び2つの臀部構造を備え、
− 骨盤構造は、エグゾスケルトンを装着したときにユーザの腎臓の背後に配置されるように構成されており、ハーネスまたはストラップによって骨盤に取り付けられ得る。
− 各脚構造は、ユーザの脚の一方(当該構造に応じて、左または右)に面して配置されるように構成されており、ユーザの大腿部、ふくらはぎにそれぞれ面するように配置された上脚部、下脚部を備える。
− 各足構造は、同様に、ユーザの足の一方(当該構造に応じて、左または右)を足が平坦に置かれた場合に支持し得る支持面を備える。
− 各臀部構造は、臀部の一方(当該構造に応じて、左または右)に面して配置されるように構成されている。
【0003】
エグゾスケルトンの完全な制御には、エグゾスケルトンの動作を可能とし、したがってエグゾスケルトンを装着したユーザの移動を可能とするアクチュエータ及び構造的リンクが必要である。機械的リンクは、通常、ピボットリンク、摺動リンク、及び/またはボールジョイントリンクを備える一方、アクチュエータはシリンダ、モータなどを備え得る。
【0004】
これらの機械的リンク及びアクチュエータは、エグゾスケルトンを装着するユーザを負傷させずにエグゾスケルトンの動作を可能とするように選定される。このためには、ユーザの肢体が耐えることのできない力を作用させず、薄型であること及び適度な重量の両方を有するエグゾスケルトンを提供することが本質的に重要である。
【0005】
例えば、国際公開パンフレットWO2011/002306号(特許文献1)には、ユーザによって装着されたエグゾスケルトンを制御し、ユーザの身体部分に対応したエグゾスケルトンの種々の部材にそれぞれ結合されたアクチュエータを有するシステムが記載されている。当該エグゾスケルトンは、特に、足構造を作動させるとともに足構造を地形に適応させることを可能とするように構成された、主足アクチュエータ及び副足アクチュエータを備える。
【0006】
このために、主足アクチュエータは、膝の枢動軸に平行な軸の周りのピボットリンクを用いて、下脚構造に対する足構造の回動を作動させるように構成されている。一方、副足アクチュエータは、足構造を地形に適応させようとするものである。しかし、このような足関節構造は比較的複雑であって、かさばり、重く、エネルギーを大きく消費する。
【0007】
また、本出願人名義の2014年3月21日に出願されたフランス国特許公報FR1452370号(特許文献2)には、脚構造、足構造、及び足構造を脚構造に接続する足関節ピボットリンクを備えたエグゾスケルトンが提案されており、当該足関節ピボットリンクは傾斜した枢動軸、すなわち、エグゾスケルトンの前頭面、矢状面、及び水平面のうちのいずれの基準面内にも含まれない枢動軸を有する。こうして、足関節枢動軸は、足構造の支持面に対して0°と30°の間に含まれるゼロでない角度をなし、支持面の正中縦軸に垂直な平面に対して0°と45°の間に含まれるゼロでない角度をなす。このような構成は、上記に示すように方向付けられた1つのアクチュエータのみを用いて、自然な人間の動作に近い足関節の動作を再生する利点を有する。当該エグゾスケルトンの構造は、単純化及び軽量化されている。さらにこの構成は、脚の空間の側方への使用を低減するので、歩行動作中の衝突の危険性を低減する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】国際公開パンフレットWO2011/002306号
【特許文献2】フランス国特許公報FR1452370号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって、本発明の目的は、コンパクトで適度な重量を有する、エグゾスケルトンの歩行動作中の安定性を向上させることと、人間の歩行動作を正確に再現することとの両方に対する解決手法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
このために、本発明は、エグゾスケルトンであって、
− ユーザの足を受けるように構成された支持面を備える足構造と、
− ユーザの脚の下部を受けるように構成された下脚構造と、
− 前記下脚構造をユーザの脚の上部を受けるように構成された上脚構造に接続するように構成された機械的膝リンクであって、枢動軸を有する機械的膝リンクと、
− 前記足構造を前記下脚構造に接続している機械的足関節リンクであって、第1の枢動軸を有する第1のピボットリンクを備え、前記第1の枢動軸は前記機械的膝リンクの前記枢動軸にほぼ平行である機械的足関節リンクと、を備えるエグゾスケルトンを提案する。ほぼ平行であることにより、ここでは、第1の枢動軸X1が枢動軸Yに対して0°と約15°の間、好ましくは約6°と10°の間に含まれる、典型的には8°台の角度をなすと理解される。
【0011】
さらに、前記機械的足関節リンクは第2の枢動軸を有する第2のピボットリンクを備え、前記第2のピボットリンクは、前記第1の枢動軸に垂直な面内において延在し、前記エグゾスケルトンが立脚静止しているときに前記支持面に対して30°と60°の間に含まれる角度をなす。
【0012】
本構成によって、歩行動作の立脚相中におけるエグゾスケルトンの足構造と地面の間の平坦な接触と、エグゾスケルトンの歩行動作の遊脚相中における人間の生体力学的動作に近い歩行動作とが確保される。
【0013】
上述したエグゾスケルトンの、好ましいが限定的ではないいくつかの特徴は以下のとおりであって、これらは個別にまたは組み合わせて採用され得る。
− 前記第2の枢動軸は、前記エグゾスケルトンが立脚静止しているときに前記支持面に対して40°と50°の間に含まれる、好ましくは45°台の角度をなす。
− さらに、前記エグゾスケルトンは、前記足構造と前記下脚構造の間に取り付けられるとともに前記機械的足関節リンクの前記第1の枢動軸及び前記第2の枢動軸の周りの前記足構造の角度位置を制御するように構成された並列の2つのアクチュエータを備える。
− 前記アクチュエータは前記下脚構造の両側部に並列に取り付けられている。
− 前記アクチュエータはそれぞれ、前記下脚構造上に取り付けられたリニアアクチュエータと、コネクティングロッドであって、前記リニアアクチュエータの並進が前記足構造に対する前記コネクティングロッドの回動を生じるように、一方側において前記リニアアクチュエータ上に取り付けられているとともに他方側においてピボットジョイントを用いて前記足構造上に取り付けられたコネクティングロッドとを備える。
− 前記リニアアクチュエータは、モータに結合された、好ましくはボールスクリュー型またはスクリューナット型のシリンダを備える。
− 前記シリンダは、前記モータによって回動駆動されるねじロッドと、前記足構造に対して回動するように取り付けられたナットとを備え、前記コネクティングロッドは、前記ナット上に取り付けられた1つの端部を、前記ナットの並進が前記コネクティングロッドの前記端部の並進を生じるように備える。
− さらに、各アクチュエータは、前記下脚構造に取り付けられたガイドレールを有する少なくとも1つのスライドと、前記ガイドレールに沿って並進移動可能なキャリッジとを備え、前記ナットは前記スライドの前記キャリッジに取り付けられている。
− 前記キャリッジは、前記スライドの前記ガイドレール上に並進移動可能に取り付けられるとともに接続部により一体に接続された、第1のスライダ及び第2のスライダを備え、前記ナット及び前記コネクティングロッドは前記キャリッジの前記接続部に取り付けられている。
− 前記ナットと前記コネクティングロッドの間の機械的リンクはピボットリンクを備え、前記コネクティングロッドと前記足構造の間の機械的リンクはピボットジョイントを備える。
− 前記ナットと前記コネクティングロッドの間の前記機械的リンクは、ユニバーサルジョイント、またはほぼ直交する軸の2つのピボットリンクを備える。
− さらに、前記シリンダは、前記モータの出力と前記ねじロッドの間に介在する単純な機械軸受を備え、前記機械軸受は、5分角と15分角の間に含まれる、典型的には約10分角であるミスアライメントを有する。
− 前記第1のピボットリンクは、前記エグゾスケルトンを装着したユーザの内果及び外果に面するように前記足構造上に配置されており、及び/または前記第2のピボットリンクは、かかと部またはユーザのアキレス腱に面するように前記足構造上に配置されている。
− 前記第1の枢動軸と前記機械的膝リンクの前記枢動軸とは、0°と約15°の間、好ましくは6°と10°の間に含まれる、例えば8°の角度をなす。
− 前記第1の枢動軸は、前記エグゾスケルトンが立脚静止しているときに地面と平行な平面内において延在する。
− さらに、前記エグゾスケルトンは、中間部であって、一方側において前記足構造上に取り付けられて前記足構造に対して前記第2の枢動軸の周りに自由に回動するとともに、他方側において前記下脚構造上に前記第1の枢動軸の周りに枢動可能に取り付けられた中間部を備える。
− 前記中間部は、受動ピボットリンクを用いて前記下脚構造上と前記足構造上とに取り付けられている。
− さらに、前記エグゾスケルトンは、一方側において前記中間部に取り付けられているとともに他方側において前記下脚構造上に取り付けられた圧縮ばねアセンブリを備える。
− 前記ばねアセンブリは第1の弾性変形可能な部材を備え、前記第1の部材は、一方側において係着要素により前記第1のピボットリンクと前記第2のピボットリンクとの間の前記中間部に接続されているとともに、他方側において前記下脚構造に接続されており、前記第1の部材は前記中間部に張力を作用させるように構成されている。
− 前記係着要素は柔軟性を有する。
− さらに、前記ばねアセンブリは、第1の端部と前記第1の端部と反対側の第2の端部とを有するほぼ長尺の中空体を備え、前記中空体は前記下脚構造において形成されたハウジング内に取り付けられており、前記中空体の前記第1の端部は前記ハウジングの底部に面し、前記第1の部材は前記ハウジング内に取り付けられているとともに前記ハウジングの底部と前記中空体の前記第2の端部との間に圧縮されている。
− さらに、前記エグゾスケルトンは前記中空体内に収容された第2の弾性変形可能な部材を備え、前記第2の部材は前記中空体の前記第1の端部の近傍に取り付けられており、前記係着要素は前記第2の部材が前記係着要素に張力をかける構成となるように前記第2の部材と協働し、前記係着要素は前記中空体内に収容されているとともに前記中空体の前記第1の端部及び前記ハウジングの前記底部から突出している。
− 前記第1の部材及び/または前記第2の部材は圧縮ばねを備える。
− 前記第1の部材及び前記第2の部材は圧縮ばねを備え、前記第2の部材は前記第1の部材の剛性より低い剛性を有する。
− 前記係着要素は前記中空体内に収容された肉厚部分を有し、前記第2の部材は前記肉厚部分に対する制止部をなすように構成されたロック部を備える。
− さらに前記係着要素は前記係着要素に取り付けられたストッパを備え、さらに前記中空体は、前記中空体の内壁に取り付けられた突起であって、前記ストッパと協働し、前記係着要素の前記ストッパに対する障害物をなすように構成された突起を備える。
− さらに、前記中空体は前記中空体の第2の端部の近傍に取り付けられたボルトを備え、前記第1の部材は前記ボルトに当接している。
【0014】
本発明の第2の目的は、歩行のいくつかの相中、例えば推進相の終了時における立脚相中に、エグゾスケルトンのアクチュエータを解除することが可能なばねアセンブリを提供することである。
【0015】
このために、本発明は、一方側において第1の部分に取り付けられているとともに他方側において前記第1の部分に対して可動である第2の部分に取り付けられた圧縮ばねアセンブリを提案するものであり、前記圧縮ばねアセンブリは、
− 第1の弾性変形可能な部材であって、前記第1の部材は一方側において係着要素により前記第1の部分に接続されているとともに他方側において前記第2の部分に接続されており、前記第1の部材は前記第1の部分に張力を作用させるように構成された、第1の弾性変形可能な部材と、
− 第1の端部と前記第1の端部と反対側の第2の端部とを有するほぼ長尺の中空体であって、前記中空体は前記第2の部分に一体に取り付けられたハウジング内に取り付けられており、前記中空体の前記第1の端部は前記ハウジングの底部に面し、前記第1の部材は前記ハウジング内に取り付けられているとともに前記ハウジングの底部と前記中空体の前記第2の端部との間において圧縮された中空体と
を備える。
【0016】
上述したアセンブリの、好ましいが限定的ではないいくつかの特徴は以下のとおりであって、これらは個別にまたは組み合わせて採用され得る。
− 前記係着要素は柔軟性を有する。
− 前記係着要素はケーブルからなる。
− さらに、前記ばねアセンブリは、前記中空体内に収容された第2の弾性変形可能な部材を備え、前記第2の部材は前記中空体の前記第1の端部の近傍に取り付けられており、前記係着要素は前記第2の部材が前記係着要素に張力をかける構成となるように前記第2の部材と協働し、前記係着要素は前記中空体内に収容されているとともに前記中空体の前記第1の端部及び前記ハウジングの前記底部から突出している。
− 前記ハウジングは前記第2の部分において形成されている。
− 前記第1の部材及び/または前記第2の部材は圧縮ばねを備える。
− 前記第1の部材及び前記第2の部材は圧縮ばねを備え、前記第2の部材は前記第1の部材の剛性より低い剛性を有する。
− 前記係着要素は前記中空体内に収容された肉厚部分を有し、前記第2の部材は前記肉厚部分に対する制止部をなすように構成されたロック部を備える。
− さらに、前記係着要素は前記係着要素に取り付けられたストッパを備え、さらに前記中空体は、前記中空体の内壁に取り付けられた突起であって、前記ストッパと協働し、前記係着要素の前記ストッパに対する障害物をなすように構成された突起を備える。
− さらに、前記中空体は、前記中空体の第2の端部の近傍に取り付けられたボルトを備え、前記第1の部材は前記ボルトに当接している。
【図面の簡単な説明】
【0017】
本発明の他の特徴、目的及び利点は、以下に続く詳細な説明と非限定的な例として与えられた添付の図面とを理解するに従い、明らかになる。
【0018】
図1a図1aは、本発明の実施形態のエグゾスケルトンの斜視図である。
図1b図1bは、図1aのエグゾスケルトンの足構造及び下脚構造の詳細図である。
図2図2は、本発明に係る第1の実施形態の足構造及び下脚構造の断面側面図である。
図3a図3aは、足構造に張力が掛けられた図2の構造を斜め後ろから見た図である。
図3b図3bは、足構造が曲げられた図2の構造を斜め後ろから見た図である。
図4図4は、図2の構造の運動学的な図である。
図5図5は、単一のアクチュエータが示された、本発明に係る第2の実施形態の足構造及び下脚構造を斜め後ろから見た簡略図である。
図6a図6aは、図2の構造に用いられ得る第1の実施形態のアクチュエータの斜視図である。
図6b図6bは、図6aの一部の断面図である。
図7図7は、図2の構造に用いられ得る第2の実施形態のアクチュエータの斜視図である。
図8a図8aは、図2の構造に用いられ得る第3の実施形態のアクチュエータの断面図である。
図8b図8bは、図8aのアクチュエータの斜視図である。
図9図9は、ばねアセンブリの例示的な実施形態を示す、図1bの細部である。
図10図10は、図9のばねアセンブリの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明に係るエグゾスケルトン1は、
− ユーザの足を受けるように構成された支持面40を備える足構造4と、
− ユーザの脚の下部、上部をそれぞれ受けるように構成された下脚構造2、上脚構造6と、
− 下脚構造2を上脚構造に接続している機械的膝リンク3と、
− 足構造4を下脚構造2に接続している機械的足関節リンク5と
を備える。
【0020】
任意選択的に、エグゾスケルトン1は、
− エグゾスケルトン1を装着したときにユーザの腎臓の背後に配置されるように構成されており、ハーネスまたはストラップによってユーザの骨盤に取り付けられ得る骨盤構造7と、
− 例えば背後または体側において、ユーザの臀部の一つに面して配置されるように構成された臀部構造8と
をさらに備え得る。
ここでは、臀部構造8は、ユーザの関連する臀部に対して側方に延在する。
【0021】
好ましくは、エグゾスケルトン1は、エグゾスケルトン1の正中面Mに関して対称であり、右足構造4及び左足構造4、右脚構造及び左脚構造、右機械的膝リンク3及び左機械的膝リンク3、右臀部構造及び左臀部構造などを備える。
【0022】
エグゾスケルトン1の正中面Mとは、ここではエグゾスケルトン1の右半分から左半分を分離する概念的な平面であると理解される。この面Mは矢状断面という名称でも知られる。
【0023】
エグゾスケルトン1は、正中面Mに垂直な概念的な平面であってエグゾスケルトン1を前部と後部とに分離する前頭面Fをさらに備える。
【0024】
以下では、説明を読みやすくするために、エグゾスケルトン1の一方の半分のみを説明する。この説明が、エグゾスケルトン1の正中面Mから右半分に対して対称である左半分に適宜変更して適用されることは当然に理解できる。
【0025】
通常、機械的膝リンク3は、エグゾスケルトン1を装着したユーザが、特に歩行動作中に、膝を曲げることが可能なように枢動軸Yを有し得る。このために、機械的膝リンク3は、例えば、膝の枢動軸Yに対応する軸を有するピボットリンクを備え得る。一実施形態において、機械的膝リンクは、1自由度、すなわち枢動軸Yの周りの回動のみを有する。
【0026】
膝の枢動軸Yは、ほぼ水平な面内において、エグゾスケルトン1の歩行方向に概して垂直に延在する。
【0027】
機械的足関節リンク5はその一部として、第1の枢動軸X1を有する第1のピボットリンク50と第2の枢動軸X2を有する第2のピボットリンク52とを備える。一実施形態において、機械的足関節リンク5は、これらの2自由度のみを有する。本出願人は、実際には3自由度を有する機械的足関節リンクが機械的リンクの重量及び容積を著しく増加させることとなり、人間の歩行を再現して地形に適合するには2自由度のみで十分であることを見出した。
【0028】
第1の枢動軸X1は、ユーザが足構造4内で自分の足を曲げ伸ばしすることができるように、機械的膝リンク3の枢動軸Y1にほぼ平行である。この動作は、例えば、エグゾスケルトン1の前頭面Fにほぼ垂直な方向の歩行動作中に足が行う動作に相当する。
【0029】
ほぼ平行であることにより、ここでは、第1の枢動軸X1は枢動軸Yに対して0°と約15°の間に含まれる角度をなすと理解される。より具体的には、下脚構造2全体は、下脚構造を2つの等価な内側部分と外側部分とに分離する垂直面P1を提供し、この面P1がエグゾスケルトン1の正中面Mに対して、したがって歩行の方向に対して0°と約15°の間に含まれる角度をなすことによって、エグゾスケルトン1の(両方の)足構造4はエグゾスケルトン1が立脚静止しているときに僅かに向きを違える。その場合に、第1の枢動軸X1はこの面P1に垂直である。例えば、第1の枢動軸X1は枢動軸Yに対して、6°と10°の間に含まれる、典型的には8°の角度をなし得る。
【0030】
つまり、下脚構造2が縦軸Zを規定する主方向に延在することを考慮すると、第1の枢動軸X1は、この縦軸にほぼ垂直な面内にあり、エグゾスケルトン1の歩行方向にほぼ垂直に、また面P1に垂直に延在する。
【0031】
なお、実際は、下脚構造2の縦軸Zは、エグゾスケルトン1が立脚静止位置にあるときに、足構造4の支持面40に対して、したがって地面に対して90°と95°の間に含まれる角度をなす。このように、第1の枢動軸X1は、エグゾスケルトン1が立脚静止しているときに、地面にほぼ平行な面内に含まれる。
【0032】
第1の枢動軸X1は、好ましくは、エグゾスケルトン1を装着したユーザの足の内果及び外果において延在する。
【0033】
これに対して第2の枢動軸X2は、第1の枢動軸X1に垂直な面内において延在し、エグゾスケルトン1が立脚静止しているときに、支持面40に対して30°と60°の間に含まれる角度αをなす。この第2の枢動軸X2は、実質的に人間の足関節のヘンケの軸に相当し、エグゾスケルトン1の足構造4が内反及び回外の動作を行うことを可能とする。特に、面P1と正中面とが一致しない場合に、第2の枢動軸X2は面P1におけるヘンケの軸の投影に相当する。
【0034】
好ましくは、第2の枢動軸X2は、エグゾスケルトン1が立脚静止しているときに、支持面40に対して、40°と50°の間に含まれる、好ましくは45°台の角度αをなす。これらの角度値によって、エグゾスケルトン1を装着したユーザのヘンケの軸の面P1における投影の実際の角度に近付いて、エグゾスケルトン1のエルゴノミック性を向上させることが可能となる。したがって、エグゾスケルトン1はより安定し、モータの不具合により影響を受けるおそれがあるユーザであって、それによりエグゾスケルトン1内の身体部分の動きを制御することができないおそれがあるユーザに対する傷害の危険性が低減される。
【0035】
下脚構造2に対する足構造4の動きを制御するために、特に、エグゾスケルトン1は、足構造4と下脚構造2の間に取り付けられているとともに機械的足関節リンク5の第1及び第2の枢動軸X2の周りの足構造4の角度位置を制御するように構成された、並列の2つのアクチュエータ60を備え得る。特に、並列のアクチュエータ60は、下脚構造2の両側部及び足構造4の両側部から延在し得る。
【0036】
ここでは、並列のアクチュエータ60は、エグゾスケルトン1を装着したユーザのふくらはぎの内側部分及び外側部分に面して延在する。
【0037】
並列の2つのアクチュエータ60の実装には、1つの作動運動につき、いくつかのモータの動力の蓄積を可能とする利点がある。このような動力は、短期間に大きなトルクが必要とされる場合に、例えばエグゾスケルトン1及びそのユーザの転倒を防止するのに有利となり得る。さらに、アクチュエータ60は下脚構造2に対して固定されており、これによって下脚構造2に対して運動している質量、したがって質量の慣性の低減が可能となる。
【0038】
図5に概略的に示す第1の実施形態において、並列のアクチュエータ60は、平行軸を備えていることが好ましい2つのギア60を備え得る。本実施形態において、特に、ギア60の各々は、
− 下脚構造2に取り付けられているとともに第1の枢動軸X1と同軸である駆動歯合部材60aであって、平、斜歯、または山歯かさの型のギアまたはギアホイールからなり得る駆動歯合部材60aと、
− 足構造4上に取り付けられているとともに第1の枢動軸X1に平行な回動軸と第2の枢動軸X2に対する回動軸とを有する出力歯合部材60bであって、やはり平、斜歯、または山歯かさの型のギアまたはギアホイールからなり得る出力歯合部材60bと
を備え得る。
【0039】
アクチュエータ60の寸法を低減するために、駆動歯合部材60aは好ましくはギアホイールを備えるのに対して、出力歯合部材60bはギアリムセクタを備え得る。
【0040】
ギア60は、好ましくは、エグゾスケルトン1を装着したユーザの足の内果及び外果に面して配置される。
【0041】
各ギア60は、さらに、専用のモータ60cによって回動される。通常、モータ60cは下脚構造2に取り付けられ、エグゾスケルトン1の装着時にユーザのふくらはぎに面して配置され得る。
【0042】
アクチュエータ60の横方向寸法を抑制するには、モータがギア60から分離して、プーリベルト方式の駆動システムに連結された、ギア60の駆動歯合部材60aを駆動するのが好ましい。
【0043】
さらに、各モータ60cと、結合された駆動歯合部材60aの間に減速機構が設けられ得る。好ましくは、減速機構をモータ60sと伝達機構の間に配置して、各アクチュエータ60の容積を低減する。
【0044】
第2の実施形態において、並列のアクチュエータ60はそれぞれ、リニアアクチュエータ62及びコネクティングロッド80を備え得る。このために、特に、リニアアクチュエータ62は下脚構造2に固設され得るのに対して、コネクティングロッド80は、一方側において機械的リンク82によってリニアアクチュエータ62上に取り付けられ得るとともに、他方側においてボールジョイントリンク84によって足構造4上に取り付けられ得ることにより、リニアアクチュエータ62の並進が足構造4に対するコネクティングロッド80の回動を生じさせる。
【0045】
本実施形態は、構造的に単純、軽量、コンパクトであるという利点を有する。さらに、アクチュエータ60の動きの伝達は、モータから作用する力とさほど容積を要しない足構造4の反作用とに耐えることが可能であるコネクティングロッド80を直接に介して行われる。
【0046】
各リニアアクチュエータ62は、結合されたモータ63によって駆動されるシリンダ62を備え得る。
【0047】
特に、シリンダ62は、スクリューナット66型またはボールスクリュー(ボールねじ)型であり得るとともに、この目的のために、モータ63によって回動されるねじロッド64と下脚構造2に対して回動するように取り付けられたナット66とを備え得る。ボールスクリューには、可逆であって良好な性能を有するという利点もある。
【0048】
この場合に、シリンダ62の各々はエンコーダ20に結合されて、好ましくはそれらの寸法を低減するように並列にモータ63に取り付けられ得る。次いで、機構内のクリアランス及び雑音を最小化しながらモータ63の効率を確保するとともに高回転速度に耐えるプーリベルト方式のシステムを用いて、エンコーダ20に結合されたモータ63の軸の回動の伝達が行われ得る。
【0049】
その場合に、ナット66の並進が、機械的リンク82を用いてナット66に取り付けられたコネクティングロッド80の端部の並進を生じるように、コネクティングロッド80はナット66上に取り付けられ得る。
【0050】
シリンダ62を阻止し、または損傷させ得る、シリンダ62のねじロッド64への横方向力の作用を回避するように、ナット66を、下脚構造2に取り付けられたスライド68上に取り付けてもよい。
【0051】
特に、スライド68は、下脚構造2に取り付けられたガイトレール69と、ガイドレール69に沿って並進移動可能なキャリッジ70とを備え得る。その場合に、ナット66は、ナット66に対するねじロッド64の回動がスライド68のガイドレール69に沿ったナット66及びキャリッジ70の並進を生じるように、キャリッジ70に取り付けられる。なお、特にナット66がキャリッジ70上にはめ込まれていない場合に、ナット66及びキャリッジ70は多様な動きをなし得る。このことは、図6bに示す実施形態の場合に顕著に当てはまる。
【0052】
モータ63とねじロッド64の間、ねじロッド64とナット66の間、及び/またはナット66とスライド68の間の、シリンダ62を損傷させ得る任意の位置決め誤差を補償するように、アクチュエータ60はさらに、これらの生じ得る誤差を補償するように適応する手段を備える。
【0053】
このために、図6a及び図6bに示す第1の実施形態によれば、アクチュエータ60は、モータ63の出力軸63aとねじロッド64の間に取り付けられた剛性軸受72を、ねじロッド64とモータ63の出力軸63aとのフレキシブルカップリング手段73と組み合わせて備えることが可能であり、このような剛性軸受72には、モータ63の単一の軸受によっては支持されない負荷を支持してねじロッド64の回動のガイドを確保するという利点がある。
【0054】
本実施形態において、その場合にナット66は、キャリッジ70に対するねじロッド64の主軸に沿ったナット66の回動及び並進を阻止することが可能な機械的リンク74を介して、キャリッジ70に取り付けられ得る。
【0055】
例えば、キャリッジ70は、ナット66を収容するとともにねじロッド64が横断するように構成されたチャンバ74aを画定する壁部を備え得る。チャンバ74aの壁部の一つにおいて、ナット66から突出する抗回動ピン74cを収容するように構成された第1のポート74bが形成され得る。好ましくは、チャンバ74aに面する壁部において、ナット66の2つの抗回動ピン74cに結合された2つのポート74bを形成して、ナット66の回動ロックを向上させる。一実施形態において、2つのポート74b及び2つの抗回動ピン74cをねじロッド64の軸に対して対称に配設して、当該ねじロッド64への寄生力を生じないようにする。
【0056】
適宜、これら2つのポート74bを、ナット66の並進移動のキャリッジ70への伝達に併用してもよい。これに代えて、ナット66から突出したローラ74eを収容してキャリッジ70をガイドレール69に対して並進駆動するように各々が構成された2つのハウジング74dを、チャンバ74aの壁部において形成してもよい。本変形実施形態において、抗回動ピン74cを収容するポート74bは、その場合、ポート74bの主軸がねじロッド64の軸に調心した楕円形状をなし得るものとなって、チャンバ74aの壁部に対するクリアランスを形成し、ねじロッド64に対するナット66の並進を阻止し得るミスアライメントを補償する。一実施形態において、2つのハウジング74d及び2つのローラ74eをねじロッド64の軸に対して対称に配設して、当該ねじロッド64への寄生力を生じないようにする。
【0057】
図6a及び図6bは、このような機械的リンクの例示的な実施形態を示す。本実施形態において、チャンバ74aは、ほぼ矩形をなし、ガイドレール69に面する底壁と、底壁に対向する上壁と、底壁及び上壁につながった2つの側壁とを備える。2つのポート74bは、ここでは長尺スロットの形状をなし、それぞれキャリッジ70のチャンバ74aの底壁及び上壁に形成されている。ハウジング74dは、同様に楕円形状をなし、チャンバ74aの側壁に形成されている。
【0058】
さらに、機械的リンク74は、例えば取付けによってナット66に一体にあてがわれて取り付けられたリング66aと、リング66a上に枢動可能に取り付けられた補助キャリッジ66bとを備える。補助キャリッジ66b、リング66a、及びナット66は、キャリッジ70のチャンバ74aに収容されている。
【0059】
補助キャリッジ66bは2つの対置された抗回動ピン74cを備え、この抗回動ピン74cは、ねじロッド64の回動時にキャリッジ70に対する補助キャリッジ66bの回動を防止するように、突出し、かつキャリッジ70のチャンバ74aの上壁及び底壁に形成されたポート74b中に収容されるように構成される。リング66aに対する補助キャリッジ66bの枢動軸は抗回動ピン74cどうしを結ぶ軸にほぼ平行である。
【0060】
リング66aは、キャリッジ70のハウジング74dを貫通してスライド68のキャリッジ70を並進駆動するように構成されたローラ74eをさらに備える。
【0061】
図7に示す第2の実施形態によれば、アクチュエータ60は、ねじロッド64に対するナット66の回転を阻止して下脚構造2に対する、したがってガイドレール69に対するナット66の並進を可能とする機械的リンク76に結合された、モータ63の出力軸63aとねじロッド64の間に介在するピボットジョイント75を備える。
【0062】
特に、機械的リンク76はユニバーサルジョイントを備え得る。
【0063】
ピボットジョイント75は、例えば2600−2RS型の自己調心軸受からなる、自己調心玉軸受または自己調心ころ軸受を備え得る。自己調心軸受75は、実際は、転がり要素を収容したリングの相対移動を可能とし、これによって、ねじロッド64とガイドレール69の間のミスアライメントの存在とは無関係にねじロッド64の平衡案内を可能とする。
【0064】
ねじロッド64とモータ63の出力軸63aとの調心上の何らかの不良を補償するように、ねじロッド64とモータ63の出力軸63aとのフレキシブルカップリング手段73がさらに設けられ得る。
【0065】
シリンダ62は、摺動に関連する力を低減する軸受ブッシングに代えて玉軸受を備えたボールスクリュー型であることが好ましい。
【0066】
第2の実施形態は、第1の実施形態より小容積であるとともに複雑でなく、第1の実施形態のローラ74eとキャリッジ70との線接触における摩擦に起因してナット66に作用し得る寄生力を低減するという利点を有する。
【0067】
図8a及び図8bに示す第3の実施形態によれば、アクチュエータ60は、モータ63の出力軸63aとねじロッド64の間に介在する単純な機械軸受76を備える一方、ナット66は、例えばねじ止めまたは溶接によってスライド68のキャリッジ70上にはめ込まれている。
【0068】
単純な機械軸受76は、玉、ころ、軸受ブッシングなどの転がり要素が間に配置されるとともにケージにより互いに離間して保持された2つの同軸リングを有する、ピボット型の機械的リンクであると理解される。本実施形態によるアクチュエータ60に実装され得る機械軸受76は、例えば629−ZZ型の軸受を備える。
【0069】
機械軸受76は、好ましくは、ねじロッド64と例えば部分65からなる軸受76のハウジングとの間のミスアライメントを補償する、5分角と15分角の間に含まれる、典型的には約10分角からなるミスアライメントを有する。本出願人は、実際、このような機械軸受76は、自己調心軸受75より複雑でなく、小容積であり、また低廉であって、部品製造不良と、特にねじロッド64とモータ63の出力軸63aとの間のミスアライメントとに起因するアクチュエータ60への損傷を防止するのに実際上十分であるという知見を得た。実際、ねじロッド64とモータ63の出力軸63aとの間に、出力軸63aと当該出力軸が挿入されるねじロッド64の穴との間に意図的なクリアランスを残す、数分角のミスアライメントが生じ得る。その場合に、軸63aとねじロッド64の間の回動の伝達は、ミスアライメントを許容する障害物によって、例えば溝内のコッタによって達成され得る。この機械軸受76により、出力軸63aの軸とねじロッド64の軸との間に許容されることとなる同軸性の僅かな不良があることで、出力軸63aとねじロッド64の間のフレキシブルカップリング手段の使用が省略される。最後に、フレキシブルカップリング手段73から離間して自己調心軸受75を配置する必要がある、したがってねじロッド64の軸沿いに容積が増す第2の実施形態とは異なり、機械軸受76は、モータ63の出力軸63aに直接に配置され得る。
【0070】
例えば、機械軸受76は、玉軸受629−ZZのような、約10分角のミスアライメントを有する玉軸受を備え得る。
【0071】
第2の実施形態と比較して、スライド68のキャリッジ70上へのナット66のはめ込みには、ナット66におけるアクチュエータ60の径方向寸法を大きく抑制するという利点があり、必要な部品の数を抑制することによって、アクチュエータ60を構造的に簡略化する。さらに、ユニバーサルジョイントによってスライド68上にナット66を固定することにより、ナット66とスライド68の間に、大きなレバーアームを生じること、すなわちこのユニバーサルジョイント76をはめ込み接続に置換することが可能な大きな距離がさらに生成され、ねじロッド64によってスライド68上に作用する力が減少する。
【0072】
ユニバーサルジョイント76をはめ込み接続に置換することは、軸受76により許容される調心不良と機械部品の製造不良の制御が可能であることとを通して可能となる。
寄生力、特にナット66及びスライド68によってねじロッド64に伝達され得る横方向力を低減し、そしてアクチュエータ60を固定する危険性を低減するために、キャリッジ70は、スライド68のガイドレール69上に並進移動可能に取り付けられた少なくとも2つのスライダ70a、70bを備え、その上に接続部70cを一体に取り付けることが可能である。例えば、キャリッジ70は二対のスライダ70a、70bを備え得るとともに、スライドは2つのガイドレール69を備えて、スライダ70a、70bの各対がスライド68に結合されたガイドレール69上に取り付けられ得る。
【0073】
その場合にナット66は第1のスライダ70aにおいて接続部70cにはめ込まれ得るのに対して、コネクティングロッド80は第2のスライダ70bにおいて接続部70c上に取り付けられ得る。このようにして、コネクティングロッド80によってアクチュエータ60に作用する横方向力は、ねじロッド64に直接には伝達されずに、キャリッジ70の2つのスライダ70a、70bによって部分的に負担され、これにより接続部70cの変位、したがってコネクティングロッド80へのナット66の移動の伝達を保証しながら横方向力を減衰させる。
【0074】
本実施形態の変形例において、ナット66は、はめ込み接続に代えてピボットリンクを介してスライド68に取り付けられ得る。このような構成によって、ねじロッド64とスライド68の間の径方向距離を低減させきることが可能となる。しかし、本出願人は、作製精度に関する制約は、機械的リンクがピボットリンクであれ、はめ込み接続であれ、実質的に同じであり、したがって、特に2つのスライダ70a、70bを備えたキャリッジ70によって横方向力を部分的に負担する場合に、はめ込み接続が好ましいことを見出した。
【0075】
最後に、特にコネクティングロッド80によってねじロッド64に作用し得る寄生力に対してより良好に耐えるように、ねじロッド64の直径を、最初の2つの実施形態のねじロッドの直径と比較して増大させてもよく、これは全く等方的な解決手法を排除するものである。こうして、ねじロッドの直径は、例えば最初の2つの実施形態において10mm台であり得る一方、第3の実施形態においては12mmであり得る。
【0076】
なお、このようなねじロッド64の直径の増大は、アクチュエータ60の寸法を増大せることを意味しない。一方で、ねじロッド64の直径を増大させることは、同じモータ63を用いるロッド64のピッチ、したがってナット66のストロークの増大を含む。しかし、フレキシブルカップリング手段73及び自己調心軸受75に代わる単純な機械軸受76の実装については、モータ63の出力軸63aとねじロッド64との間に必要とされる空間が縮小することにより、アクチュエータ60の軸長を低減することが可能となる。
【0077】
いかなる実施形態であっても、コネクティングロッド80は、機械的リンク82であって、ピボットリンク、ほぼ直交する軸の2つのピボットリンク、ボールジョイントリンク84、または、ユニバーサルジョイントなどのフィンガーボールジョイントリンクを備え得る機械的リンク82によってナット66に取り付けられ得る。
【0078】
図面に示す例において、コネクティングロッド80は、例えば、ユニバーサルジョイント82を備えたキャリッジ70の第2部分に取り付けられている。本実施形態によって、コネクティングロッド80と、ねじロッド64の軸を有するシリンダ62との間の機械的リンクの中心を調心し、これにより当該機構によってスライド68に作用するモーメントを低減することが可能となる。
【0079】
また、コネクティングロッド80は、ボールジョイントリンク84によって足構造4に取り付けられ得る。輻輳問題と足構造4へのアクチュエータ60の力の伝達とに関して、コネクティングロッド80は、好ましくは、例えばエグゾスケルトン1を装着したユーザのかかとに面して配置されるように構成された足構造4の領域からなる、足構造4の後部領域に取り付けられる。
【0080】
最後に、コネクティングロッド80は、シリンダ62との機械的リンク及び足構造4とのボールジョイントリンクにおいて強固に継合された2つのアーム86を備え得る。本実施形態によって、コネクティングロッド80は、モータ63に向かって並進中に、この場合にコネクティングロッド80の2つのアームの間に配置され得るねじロッド64と接触する危険性を伴わずに、ナット66の移動に追随することが可能となり、さらに、2つのアームの存在には、コネクティングロッド80に作用する引張力及び圧縮力のより良い吸収が可能となる利点がある。
【0081】
特に、足構造4は、足関節構造が並列のアクチュエータ60の制御によって2つの枢動軸の周りに枢動することを可能とするように、足構造4上と下脚構造2上とに受動ピボットリンク44、46により回動するように取り付けられた中間部42を備え得る。
【0082】
より具体的には、中間部42は、受動ピボットリンク44、46を通じて下脚構造2上の第1の枢動軸X1の周りと足構造4上の第2の枢動軸X2の周りとに回動するように取り付けられ得る。
【0083】
特に、第1の枢動軸X1の周りの受動ピボットリンク44は、第1の枢動軸X1に中心を置いて足構造4の両側部において延在する、テーパーころ要素を有する軸受をOまたはXにおいて備えることが可能であり、このようなOまたはXにおける軸受は、横方向のかさばりが少なく、したがって障害物と接触する危険性を伴って歩行する場合にユーザに対する障害物を形成しない。例えば、61904−ZZ型の2つの軸受を実装し得る。
【0084】
したがって、この第1の受動ピボットリンク44は、アクチュエータ60が足構造4を第1の枢動軸X1に固定する危険性を伴わずに第2の枢動軸X2の周りに回動させることを可能とする。
【0085】
第2の枢動軸X2の周りの受動ピボットリンク46は、第2の枢動軸X2の両側部からの2つの軸受の挿入がエグゾスケルトン1を装着したユーザの足に衝合するのであれば、単一の軸受を備えることが好ましい。この第2の受動ピボットリンク46は、例えば、NKIB型のスラスト玉軸受を有する複合ニードル軸受を備え得る。
【0086】
このようにして、アクチュエータ60の一方及び/または他方の作動は、特にコネクティングロッド80に結合されたシリンダ62の場合に、阻止の危険性を伴わずに足構造4の回動を生じる。
【0087】
ここでは、足構造4は、足構造4にはめ込まれるとともに第2の枢動軸X2の周りの受動ピボットリンク46を支持する固定部48を備え、中間部42は固定部48上で第2の枢動軸X2の周りに回動するように取り付けられている。図面に示す実施形態において、コネクティングロッド80は、受動ピボットリンク46の両側部において、ボールジョイントリンク84を介してこの係着要素48に取り付けられている。したがって、このような構成は、足構造4内へのユーザの足の導入を妨げずにすむように、ユーザのかかとに隣接する領域においてコネクティングロッド80を足構造4に取り付けることを容易化することができる。
【0088】
エグゾスケルトン1を装着したユーザのくるぶしにおいて延在する第1の枢動軸X1の周りに回動する中間部42の取付けを可能にするように、中間部42は、足構造4に足が載置されたときにユーザの足関節を迂回するように構成されたU字部を有し、同時に中間部42の受動ピボットリンク44、46をU字部のくるぶし部に対面させてもよい。当然ながら、中間部42は簡単に単一の部品で実施され得るか、あるいは単一の部品を形成するように組み立てられるいくつかの要素を備え得ると理解される。
【0089】
ここで、アクチュエータ60がボールスクリュー型またはスクリューナット66型のシリンダ62とコネクティングロッド80とを備える場合のエグゾスケルトン1の動作の例を説明する。2つのシリンダ62は同一であり、したがって同じ長さ及び同じピッチのねじロッド64、同じモータ63、及び同一のロッド80を備える。ねじロッド64は、反時計方向または時計方向に回動され得る。
【0090】
ナット66をロッド64の自由端に向かって並進させるように2つのねじロッド64を等しく同時に動かす場合に、ナット66に取り付けられたコネクティングロッド80の端部は足構造4に向かって移動し、この場合にコネクティングロッド80の反対側の端部は足構造4に、足構造4を第1の枢動軸X1の周りのみで枢動させようとする力を作用させる。この移動によって、エグゾスケルトン1を装着したユーザの足は曲げられるようになる。
【0091】
ナット66をモータ63に向かって並進させるように2つのねじロッド64を反対の回動方向に等しく同時に動かす場合に、ナット66に取り付けられたコネクティングロッド80の端部は、足構造4と反対側の方向に機械的膝リンク3まで動く。その場合にコネクティングロッド80の反対側の端部は足構造4に、足構造4を第1の枢動軸X1の周りのみで反対方向に枢動させようとする力を作用させ、ユーザの足は伸ばせるようになる。
【0092】
2つのねじロッド64を異なる方向、例えば一方を反時計方向に、他方を時計方向に動かす場合に、コネクティングロッド80の一方は足構造4の方向に変位するのに対して、コネクティングロッド80の他方は反対方向に変位し、これによって第2の枢動軸X2の周りの足構造4の回動、したがって、各ねじロッド64の回動の方向に内反及び回外の動きを行うことが可能となる。当然ながら、2つのナット66のストロークは、足の向きをより良く調整するために、同一であっても異なっていてもよく、また必要であれば、第1の枢動軸X1及び/または第2の枢動軸X2の周りの足構造4の回動を引き起こす。
【0093】
足構造4の制御は、各ねじロッド64の回動の方向及びストロークの方向に応じて、非常に精度よくなされ得る。
【0094】
エグゾスケルトン1は、また、立脚相の最後に足の離地に必要な推進力を与えるようにアクチュエータ60のモータ60c、63を解除するように構成されたシステム100を備え得る。実際、立脚相の最後に、エグゾスケルトン1の歩行動作をまかなうのに枢動軸X1の周りに大きなトルクが必要である。
【0095】
したがって、システム100は、一方側において中間部42に取り付けられるとともに他方側において下脚構造2に取り付けられ、立脚相中にのみ、特に足の離地中に、足構造4を付勢するように構成された圧縮ばねアセンブリを備え得る。
【0096】
このために、ばねアセンブリ100は、例えば、第1の端部112及び第2の端部114を備えるとともに第1の剛性を有する弾性変形可能な部材120を収容した中空体110を備え得る。
【0097】
中空体110は、下脚構造2において形成されたハウジング105内に取り付けられている。当該ハウジングは底部106及びマウスピース108を備え、中空体110の第1の端部112は底部106に面する。さらに、底部106は、マウスピース108を外部に開放し、及び外部につなげ得る、またはカバーにより閉塞し得るスルーホール107を備える。
【0098】
特に、弾性変改可能な部材120はばねを備え得る。中空体110は円筒形状または管形状をなし得る。
【0099】
ばね120は、中空体110内に中空体110の端部112に当接したように取り付けられており、ハウジング105、中空体110、及びばね120内を通って第1の端部112から及びスルーホール107から突出した係着要素130に接続されている。この係着要素130は、さらに、足構造4に、例えば中間部42において取り付けられている。
【0100】
一実施形態において、係着要素130は柔軟性を有し、例えばケーブルを含み得る。この柔軟性を有する性質によって、係着要素130は足構造4の回転移動に適応し、ばねアセンブリ100に引張力以外の力を伝達しない。以下において、ケーブルを含む係着要素130の場合について、本発明をより具体的に説明する。しかし、これは限定的ではなく、ケーブルは係着要素の一つの採り得る実施形態にすぎない。
【0101】
本目的は立脚相中、ひいては足を伸ばすときにモータ60c、63を解除することであり、ケーブル130は、足構造4の後部領域に、好ましくは第1の枢動軸X1と足構造4のかかと部との間の領域内に取り付けられている。特に、ケーブル130は、例えば中間部42に取り付けられて中間部42に対してケーブル130を阻止するように構成された部分43によって、中間部42に取り付けられ得る。
【0102】
中空体110に収容されたばね120は、好ましくは中空体110と同軸である。
【0103】
ばね120とケーブル130との接続は、接着または溶接によってなされ得る。これに代えて、ばね120は、中空体110の第1の端部112から離れるほうに延伸するばね120の一部分に取り付けられたロック部122を備えてもよく、一方でケーブル130が、ロック部122に当接したように構成された肉厚部分132を有する。したがって、ケーブル130を中空体110の第2の端部114と反対側の方向に引き寄せることには、肉厚部分132をロック部122に接触させてばね120を圧縮する作用がある。
【0104】
ばね120の剛性及び長さは、足構造2に対する足構造4の位置にかかわらず、したがってエグゾスケルトン1の歩行相にかかわらず、確実にケーブル130に常時張力がかけられた状態となるように、ケーブル130の長さと下脚構造2に対して足構造4が移動し得る角度範囲とに応じて選定される。これによりユーザに不快となり得る何らかの突発的な引張りが回避されて、ばねアセンブリ100の反応時間を改善することが可能となる。
【0105】
さらに、ケーブル130は、肉厚部分132と中空体110内に収容されたケーブル130の端部との間においてケーブル130に取り付けられ、または一体に形成されたストッパ134を備え、ストッパ134は、中空体110内に取り付けられてストッパ134に対する障害物をなす突起116と協働するように構成されており、突起116は例えばカラーの形状を有し得る。ストッパ134自体はケーブル130の端部に取り付けられ得る。
【0106】
最後に、ばねアセンブリ100は、中空体110の周囲のハウジング105内に配置された有効ばね140を備える。有効ばね140は、下脚構造2のハウジング105の底部106と中空体110上に形成された支持ストップ118との間に支持及び圧縮されている。したがって、有効ばね140及び中空体110は同軸であり、中空体110は有効ばね140に対する支持体をなす。特に、中空体110の支持ストップ118は、中空体110の第2の端部114の近傍に取り付けられ、中空体110に対する支持ストップ118の変位を生じさせること、したがって有効ばね140の剛性の調整を可能とするためにボルトを備え得る。
【0107】
このようにして、ケーブル130に引張力が作用するときに、肉厚部分132が中空体110内で移動し、ストッパ134が突起116に接触するまでばね120を圧縮し、中空体110に対するケーブル130の相対移動及びばね120の相対移動を阻止する。こうして、ケーブル130は、突起116によって並進を阻止され、それ以上ばね120を圧縮しなくなり得る。足構造4がケーブル130を引き寄せ続けると、ケーブル130、中空体110、及び支持ストップ118によって形成されたアセンブリは、支持ストップ118とハウジング105の底部106との間にばね140を圧縮しながら移動し、ハウジング105は下脚構造2と一体に動く。
【0108】
ばねアセンブリ100は、本構成が、足構造4が地面上で支持相を開始する場合に対応するように寸法が決められ得る。
【0109】
有効ばね140の剛性は、好ましくは、ストッパ134が突起116に接触しないときには中空体110に収容されたばね120のみが圧縮されることが確実となるように、中空体110内に収容されたばね120の剛性より大きい。この相において、モータ60c、63を解除することは、実際は必要ない。次いで、ストッパ134が突起116に当接すると、ケーブル130は有効ばね140を圧縮しやすくすることとなる張力を中空体110に作用させ、これにより足構造4に第1の枢動軸X1の周りのトルクを生成して足を緊張させ、アクチュエータ60のモータ60c、63を解除して歩行周期中に足の離地に推進力を付与するように支援する。
【0110】
当然ながら、中空体110に収容されたばね120及び/または有効ばね140に代えて、剛性を有する他の弾性部材を実装し得ることは理解される。
【0111】
さらに、本明細書で説明したエグゾスケルトン1にかかわらず、装置のある一定の動作相中にのみ力の作用を必要とする任意の装置に、圧縮ばねアセンブリ100を実装し得る。したがって、本ばねアセンブリ100の説明は、有効ばね140を支持する中空体110が取り付けられ得る第1の部分と、第1の部分に対して可動であって力を作用させる有効ばね140の他端が取り付けられ得る第2の部分とを備える任意の装置にあてはまる。その場合に、係着要素130は第2の部分に取り付けられて、第2の部分が第1の部分に対して移動するときに中空体110内に収容されたばね120に力を作用させるようにし、第2の部分が、係着要素、ばね120、及び中空体110が連携して移動する起点からあらかじめ定義された閾値に達するまで、有効ばね140のみが付勢されて両部分に力を作用させる。
図1a
図1b
図2
図3a
図3b
図4
図5
図6a
図6b
図7
図8a
図8b
図9
図10
【国際調査報告】