特表2018-512314(P2018-512314A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特表2018-512314水圧転写フィルムを物品に適用する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2018-512314(P2018-512314A)
(43)【公表日】2018年5月17日
(54)【発明の名称】水圧転写フィルムを物品に適用する方法
(51)【国際特許分類】
   B44C 1/175 20060101AFI20180417BHJP
【FI】
   B44C1/175 D
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2017-567040(P2017-567040)
(86)(22)【出願日】2016年3月11日
(85)【翻訳文提出日】2017年11月7日
(86)【国際出願番号】US2016021940
(87)【国際公開番号】WO2016149071
(87)【国際公開日】20160922
(31)【優先権主張番号】62/133,020
(32)【優先日】2015年3月13日
(33)【優先権主張国】US
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】517319813
【氏名又は名称】クロージャー・システムズ・インターナショナル・インコーポレーテッド
【氏名又は名称原語表記】CLOSURE SYSTEMS INTERNATIONAL INC.
(74)【代理人】
【識別番号】110001508
【氏名又は名称】特許業務法人 津国
(72)【発明者】
【氏名】ミガス,ジェレマイア
(72)【発明者】
【氏名】モリン,ジェレミー
【テーマコード(参考)】
3B005
【Fターム(参考)】
3B005EA06
3B005EB05
3B005FA17
3B005FB22
3B005FE03
3B005GA24
3B005GA28
(57)【要約】
本発明は、美観を強化するために水圧転写フィルムを適用した、ポリマー材料などから成形されたプラスチッククロージャなどの物品に関する。本発明は更に、水圧転写フィルムインクでプラスチッククロージャなどの物品にコーティングを適用する技術に関し、最初にインクを乾燥させずに水槽内で物品にインクを適用し、これにより、インクを流体状態に維持し、望ましくは、時間がかかり多くの場合問題のある水圧転写フィルムインクを乾燥及び再活性化させるステップを回避することを企図する方法に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コートされる1つ以上の物品を提供するステップであって、各々の前記物品が、装飾される少なくとも1つの面を有するステップと、
インクでフィルムを印刷するステップと、
印刷されたフィルムを流体容器の面へ移送するステップであって、前記フィルムが、フィルムを印刷するインクを乾燥させずに移送されるステップと、
前記複数の物品を前記流体容器に浸漬して、前記インクが前記物品の各々の前記面に適用されるように前記物品を前記流体容器から除去するステップと、
を含む、物品をコートする方法。
【請求項2】
前記印刷するステップ及び前記移送するステップが、制御及び調整される、請求項1に記載の物品をコートする方法。
【請求項3】
前記インクが、流体状態に維持され、その結果、前記インクが、前記インクの追加的な活性化なしに前記物品に適用される、請求項1に記載の物品をコートする方法。
【請求項4】
前記1つ以上の物品が、前記インクが適用される面を各々有したポリマー材料から成形されたクロージャを含む、請求項1に記載の物品をコートする方法。
【請求項5】
前記1つ以上の物品の各々が、浸漬の後に乾燥及び/又は硬化される、請求項1に記載の物品をコートする方法。
【請求項6】
前記物品の各々が、円形上壁部分及び前記上壁部分から垂れ下がる環状スカート部分を有するポリマー材料から成形されたクロージャを含み、前記インクが適用される前記面が、前記上壁部分及び前記スカート部分の外面である、請求項1に記載の物品をコートする方法。
【請求項7】
コートされる1つ以上の物品を提供するステップであって、各々の前記物品が、装飾される少なくとも1つの面を有するステップと、
フィルムを流体容器の流体の面へ移送するステップと、
インクをフィルム上へ印刷するステップと、
フィルム上へ印刷されたインクを乾燥させることなく前記1つ以上の物品を前記流体容器に浸漬して、前記インクが前記1つ以上の物品のうちの各々の面に適用されるように前記1つ以上の物品を前記流体容器から除去するステップと、
を含む、物品をコートする方法。
【請求項8】
前記物品の各々が、円形上壁部分及び前記上壁部分から垂れ下がる環状スカート部分を有するポリマー材料から成形されたクロージャを含み、前記インクが適用される前記面が、前記上壁部分及び前記スカート部分の外面である、請求項7に記載の物品をコートする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
該当なし
【0002】
連邦政府による資金提供を受けた研究開発の記載
該当なし
【0003】
マイクロフィッシュ/著作権参照
該当なし
【0004】
分野
本発明は、一般に、飲料、食料製品などをパッケージングするための関連する容器と共に使用されるポリマー材料から成形されたプラスチッククロージャなどの物品に関し、より詳細には、美観を強化するためにパターン化された水圧転写フィルムを適用したクロージャなどの、成形されたプラスチック物品に関する。本発明は更に、プラスチッククロージャなどの物品にコーティングを適用する技術に関し、より詳細には、水圧転写フィルムインクで物品をコートする方法であって、最初にインクを乾燥させずに水槽内で物品にインクを適用し、これにより、インクを流体状態に維持し、望ましくは、時間がかかり多くの場合問題のある水圧転写フィルムインクを乾燥及び再活性化させるステップを回避することを企図する方法に関する。
【0005】
背景
ポリプロピレン、ポリエチレン、コポリマーブレンド、及び他のオレフィンポリマーを含む、ポリマー材料から成形されたプラスチッククロージャは、炭酸及び非炭酸飲料、食料製品、非食料製品などをパッケージングする関連する容器での使用で商業的に非常に成功している。この性質のクロージャは、圧縮又は射出成形によって好適には形成され、典型的に、関連する容器の雄ねじ形成部との螺合のための雌ねじ形成部を含む。このようなクロージャは、望ましくは、効果的でかつ信頼性の高い不正開封証拠明示を使用者に提供するように構成され得る。
【0006】
この種類の成形プラスチッククロージャの美観を強化するために、色素又は他の色が、クロージャを形成するポリマー組成物に組み込まれ得る。これまで、このようなクロージャの全体の外観は、典型的に、成形されたポリマーの組成物、及びポリマー材料の任意の色素又は色によって決定されてきた。限定された範囲で、グラフィックが、このようなインク転写又はインクジェット印刷によって、成形されたクロージャに適用されるが、このような印刷は、通常、クロージャ上にレタリング又は単純なグラフィックを提供することに限定される。
【0007】
近年、水圧転写印刷の技法において進歩がなされ、印刷された水圧転写フィルムインクが、物品、すなわちこのような成形されたクロージャ、の面に適用されるようになった。この技術によって、事実上無制限の様々なグラフィックが、クロージャの封止及び不正開封証拠明示機能に悪影響を与えることなく、クロージャに適用され得る。これらの技術は、通常、例えば水溶性ポリビニルアルコール(PVA)から形成される、フィルムキャリアへのインクの適用を伴う。この種類のフィルム材料(例えば洗剤パウチ、口臭ケアストリップなどのために頻繁に使用される)は、水との接触の際に、通常約60秒以下で、溶解し、したがって、コートされる物品への適用のためにフィルム上に印刷された装飾インクが残される。
【0008】
これまで、水圧転写グラフィックをクロージャ及び他の物品に適用する典型的なプロセスは、インクで水圧転写フィルムを印刷して、その後インクを乾燥させることを伴ってきた。適用のために、乾燥したフィルムのインク側を、溶媒によってリウェットし(多くの場合再活性化すると呼ばれる)、コーティングのために物品が導入される水槽を保持する浸漬タンクの面上にフィルムを浮かばせる。フィルムが溶解した後、水圧が物品の面に水圧転写インクを適用する働きをするように、物品は、水槽の面上に移送されたインクを通って下方へ移動する。典型的なインクは実際には疎水性であるので、物品がインク層を通って水槽内に下方へ導入される前に、物品の未乾燥は回避される。
【0009】
これまで、水圧転写フィルムは、典型的に、グラビア印刷によって作製されており、これは、印刷が比較的高速度で行われ、その後、フィルムを物品への次の適用のために乾燥させ巻くことができるという点で有利である。しかしながら、作製されるパターンの任意の所望の変化のために新しいグラビアロールが製造されなければならないという点で、カスタム化がいくらか制限される。追加的に、水溶性フィルムは、典型的に、4〜9色グラビア印刷機上で印刷され、色ごとにフィルム巻出、印刷、乾燥、及び巻取を必要とする。グラビアロールは、表面エネルギー及びフィルムとの接触を介してインクを転写し、加えられた各々の色の完全な乾燥が、このプロセスに必須となる。
【0010】
非接触、インクジェット印刷技術もまた、水圧転写フィルムを作製するために利用されており、印刷プロセスのデジタル性質がカスタム化を容易にする。しかしながら、水槽への導入前の、印刷されたフィルムを乾燥させる必須ステップが、コーティングプロセスの効率を低下させることが想定される。コーティングのための線プロセス速度は、典型的に、フィルムをデジタル印刷し乾燥させることができる線速度より著しく高い。デジタルプリンタは、典型的に、1.1リニアフィート/分よりも速く動かず、水圧転写印刷プロセスは、典型的に、4.0リニアフィート/分よりも遅い速度では動作せず、したがって、2.9リニアフィート/分の処理の食い違いをもたらし、不所望に物品コーティングの「ボトルネック」を発生させ、物品の「インライン」処理及びコーティングを不可能にする。追加的に、活性剤溶媒のコストだけではなく、不十分又は過剰な活性剤溶媒の使用の例も、溶媒の均等ではない分布の例もあり得るので、必須とされるフィルムのインクの再活性化は、多くの場合、問題がある。
【0011】
本発明は、フィルムインクを乾燥させずに、したがってインクを活性化状態に維持することで、インク再活性化と関連した処理の非効率性並びに問題及びコストを回避してコーティングを行うことによって、従来の水圧転写フィルムインクでの物品のコーティングと関連した欠点を克服しようする。
【0012】
概要
本発明に従って、プラスチッククロージャをコートする方法は、各々の個々に成形されたプラスチッククロージャに対してパターン化された水圧転写フィルムを適用することを企図する。これらの種類の水圧転写フィルムは、木目、織布、アニマル柄などのパターンを含む、事実上無制限の様々なパターン及び構成で提供され得る。空想的又は抽象的なパターンもまた、適用され得る。関連する容器とクロージャとのパッケージ内の製品の、写真のようにリアルな画像の形態のパターンが、このようなパッケージングされた製品の視覚的アッピールを強化するために利用され得る。グラフィックパターンは、コマーシャル又はスポーツロゴなどを含むことができ、このようなクロージャのアッピールに役立ち、更に成形されたクロージャ製品に収集価値を付与することができる。
【0013】
本発明は、水圧転写グラフィックで物品を、すなわちこのようなプラスチッククロージャを、コートする方法であって、効率的でコスト効果の高い処理を大幅に容易にする方法を目的とする。特に、本方法は、1つ以上の物品に適用される水圧転写フィルムを、フィルムを形成するインクを最初に乾燥させずに、水槽内に導入し、それにより、インク転写の手段として印刷したてのフィルムインクの未乾燥を利用することを企図する。これにより、著しい時間の節約及び処理の汎用性の強化がもたらされるだけでなく、不適切な溶媒適用と関連した問題である、典型的な活性化溶媒のコストが回避される。
【0014】
本発明の一態様に従って、プラスチッククロージャをコートする方法は、円形上壁部分及び上壁部分から垂れ下がる環状スカート部分を有したプラスチッククロージャを提供するステップを含む。環状スカート部分には、関連する容器の雄ねじ形成部との協働螺合のための雌ねじ形成部が提供され、容器の内容物のために好適なパッケージを共に提供する。本方法は更に、パターン化された水圧転写フィルムを提供すること、及びパターン化された水圧転写フィルムをクロージャの外面に適用することにより被覆プラスチッククロージャを形成することを企図する。クロージャの外面は、上壁部分及び環状スカート部分の外側に面する面を含む。
【0015】
被覆プラスチッククロージャの美観及び触覚アッピールを強化するために、被覆プラスチッククロージャは、凹凸を付けられ得る。このような凹凸付けは、パターン化された水圧転写フィルムを適用するステップの前にクロージャの外面に凹凸を付けることによって行われ得ることが企図される。代替的に又は追加的に、パターン化された水圧転写フィルムが、所望の凹凸のある被覆プラスチッククロージャを提供するために、凹凸を付けられ得る。
【0016】
本発明の更なる態様に従って、物品をコートする方法は、コートされる1つ以上の物品を提供するステップを含み、物品の各々は、装飾される少なくとも1つの面を有する。本方法は、インクでフィルムを印刷することと、印刷されたフィルムを流体容器、典型的に水浸漬タンク、の面へ移送することとを更に含む。特に、フィルムは、好ましくは、フィルムを印刷するインクを乾燥させずに移送される。
【0017】
本方法は更に、1つ以上の物品を流体容器に浸漬することを企図し、その結果、水圧転写フィルムインクが、装飾される各々の物品の面に適用される。したがって、本発明は、物品への転写を行う十分な時間にわたりインクが活性化状態に維持され、したがってプロセス内の活性化ステップが省略されるので、典型的なコーティングプロセスの乾燥ステップが回避されることを企図する。浸漬の後、1つ以上のコートされた物品は、コーティングの所望の耐久性を得るために、必要に応じて乾燥及び/又は硬化される。
【0018】
本発明の別の態様では、印刷ステップ及び移送ステップが制御及び調整され、したがって、望ましくは処理効率が促進される。本方法に従って、インクは流体状態に維持され、その結果、インクは、インクの追加的な活性化なしに物品に適用される。
【0019】
本発明の他の特性及び利点は、以下の詳細な説明、添付図面、及び添付の特許請求の範囲から容易に明白になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】クロージャが取り付けられた容器の部分側面図であり、クロージャは、本発明に従って適用された水圧転写グラフィックを有する。
図2】本発明に従って適用された水圧転写グラフィックを有するクロージャの斜視図である。
図3】本発明に従って適用された水圧転写グラフィックを有する別のクロージャの斜視図である。
図4】本発明に従って適用された水圧転写グラフィックを有する別のクロージャの斜視図である。
図5】本発明に従って適用された水圧転写グラフィックを有する別のクロージャの斜視図である。
図6】水槽上で水圧転写グラフィックを提供する方法のステップを示したフロー図である。
図7】水槽上で水圧転写フィルムを提供する別の方法のステップを示したフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
発明の詳細な説明
本発明は多様な形態の実施形態を可能にするが、現在好ましい実施形態が、図面に示されかつ以下に説明され、本開示が本発明の例示とみなされること及び図示又は説明される特定の実施形態に本発明を限定するものではないことが理解される。
【0022】
添付の図1〜5は、本発明の原理を実施するクロージャ10の形態の被覆プラスチック物品の多様な実施形態を示す。多様な実施形態に図示されるように、各々の被覆プラスチッククロージャ10は、円形上壁部分12及び上壁部分12から垂れ下がる環状スカート部分14を含む。クロージャ10の一般に円筒状の構成によって、各々のクロージャは、上壁部分12の中心を通って延在する垂直軸を定める。
【0023】
本発明に従って、パターン化された水圧転写フィルム20が、上壁部分12の外側に面する面及び環状スカート部分14を含むクロージャ10の外面に適用される。水圧転写フィルム20のパターンは、クロージャの垂直軸、環状スカート部分14の上部及び下部マージン14a、14bのうちの少なくとも1つ、又は円筒状のクロージャのまわりに延在する円周などの、クロージャの物理特性に記録される。
【0024】
図面は、被覆プラスチッククロージャ10に適用され得る多様な種類のパターン化された水圧転写フィルムを示す。このようなパターンとしては、木目パターン(図5)、織布パターン(図4)、アニマル柄パターン(図2)、又は他の空想的若しくは自然のパターンを挙げることができる。図3に示された実施形態では、パターンは、コマーシャル又はスポーツロゴなどの、個別のグラフィカル要素22を含み、グラフィカル要素22は、例えば垂直軸などのクロージャの物理特性と実質的に位置合わせすることによって、クロージャ10に記録され、それにより、クロージャの上壁部分12の中心に配置される。この特定の実施形態では、例えばバスケットボールチームのロゴに関連して使用するためのバスケットボールに似た皮革様パターンなど、スポーツをテーマにしたグラフィカル要素22が適切なパターンに関連して提供され得ることが企図される。水圧転写フィルムが、関連するクロージャと容器とのパッケージの内容物を代表するか、又は内容物に関する、食料製品の写真のようにリアルなパターンを含むように形成され得ることが企図される。想定されるように、このような写真のようにリアルなパターンは、非常に望ましくは、このようなパッケージングの美観を強化する。
【0025】
水圧転写フィルムを関連する成形プラスチッククロージャに適用する技術は、公知である。一般的に言えば、パターン化された水圧転写フィルムを水槽で懸架するか又は浮かせ、プラスチッククロージャの1つ1つを一般に水圧転写フィルムを通して水槽に浸漬することによって、水圧転写フィルムがクロージャの外面に適用される。関連する水圧転写フィルムと所定の関係にある各々のクロージャの出現により、水圧転写フィルムのパターンのクロージャの物理特性への記録が行われ得る。
【0026】
水圧転写フィルムを物品に適用する典型的な方法は、以下のステップを含む。
(1)印刷PVA(ポリビニルアルコール)を、PVA側を下にして温水槽に配置する。
(2)温水によって、疎水性インク層を残してPVA層を溶解させる。
(3)インク層の面を軟化して部品面への付着を促進するために、「活性剤」をインク層上に吹き付ける。
(4)大部分のポリオレフィン部品を、浸漬の前に、一連の付着促進剤で吹き付けコートする。
(5)部品を水に緩やかに押し込みながら、インクを部品の面に確実に整合させる。
(6)活性剤を、強い付着を形成する部品とインクとの間の合一助剤として作用させる。
(7)部品を除去した後に、水で吹き付け洗浄、加熱乾燥し、次いでクリヤコートする。
【0027】
高密度ポリエチレン(HDPE)又はポリプロピレン(PP)などの、ポリオレフィンから形成される物品に水圧転写フィルムを適用するステップは、物品への水圧転写フィルムの適用前のエーテルコート及びベースコートの適用を含む。アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン(ABS)などの、アモルファス材料から形成される物品への水圧転写フィルムの適用は、典型的に、エーテルコート及びベースコートを適用するステップを企図しない。
【0028】
本方法はコーティングを広範な様々な物品に適用するために実践され得ることが企図される。本方法はコーティングをポリマー材料から成形されたクロージャに適用するための詳細な適用方法を見出したが、本発明は、水圧転写フィルムインクで、ポリマー材料だけでなく金属材料から形成された広範な様々な物品をコートするために適用可能である。クロージャをコートするために、各々のクロージャの外面への水圧転写フィルムインクの適用が企図されるが、いくつかの用途のために、物品が透明ポリマー材料及び内面に適用されたコーティングから形成され、したがって、摩耗又は他の損傷に対する強化された耐久性及び抵抗と共に所望の装飾効果を提供することができることが想定される。
【0029】
図6は、本発明を実践するために使用され得る、一般に公知の技術に従った、コートされる1つ以上の物品を提供することを含み、物品の各々が装飾される少なくとも1つの面を有した、水槽上で水圧転写フィルムを提供する方法を示したフロー図である。
【0030】
図7に示される、本発明の更なる態様に従って、本方法は、インクでフィルムを印刷すること、及び印刷されたフィルムを流体容器、典型的に水浸漬タンク、の面へ移送することを更に含む。特に、フィルムは、好ましくは、フィルムを印刷するインクを乾燥させずに移送される。
【0031】
本方法は、1つ以上の物品を流体容器に浸漬することを更に企図し、その結果、水圧転写フィルムインクが、装飾される各々の物品の面に適用される。したがって、本発明のこの態様は、物品への転写を行う十分な時間にわたりインクが活性化状態に維持され、したがってプロセス内の活性化ステップが省略されるので、典型的なコーティングプロセスのインク乾燥ステップが回避されることを企図する。浸漬の後、1つ以上のコートされた物品は、コーティングの所望の耐久性を得るために、必要に応じて乾燥及び/又は硬化される。
【0032】
本発明の別の態様では、印刷ステップ及び移送ステップが制御及び調整され、したがって、望ましくは処理効率が促進される。本方法に従って、インクは流体状態に維持され、その結果、インクは、インクの追加的な活性化なしに物品に適用される。
【0033】
したがって、本発明のこの態様は、望ましくは、未乾燥インクが処理のために望ましい状態で維持されるので、処理速度を1.1リニアフィート/分から11.1リニアフィート/分程度、又は11.1リニアフィート/分以上まで増加させて、必要な乾燥プロセスと関連する従来技術と関連したデジタル印刷速度制限に対処する。本方法はまた、望ましくは、伝統的なプロセスの典型的なインク活性化ステップを不要にする。追加的に、完全な環境性、衛生性、及び安全性(EHS)の重要性を考慮すると、活性化ステップの排除は、呼吸懸念を低減させながら、防爆を提供する要件を満たすことを容易にする。
【0034】
本発明のこの態様はまた、望ましくは、活性剤溶媒の適用を介してインクをリウェットする追加的なコストを不要にする。特に、印刷インクは、そのままの未乾燥の状態、すなわち物品への適用及びコーティングのための転写に理想的な状態に維持される。当業者は、水圧転写印刷の最も問題のある態様の1つがインク活性化プロセスに関することを認識しており、したがって、インク活性化と関連した問題点(例えば、多過ぎる活性剤、十分ではない活性剤、均等ではない活性剤分布)を排除することによって、一貫したインク転写が達成され得ると考えられる。
【0035】
特に、本発明のこの態様の変形形態は、フィルムが、浸漬タンクの水槽の面上などの、流体容器の流体の面上に、搬送される際のキャリアフィルムへの装飾インクの適用を企図する。本発明のこの態様のために、キャリアフィルムは、水などの流体の面へ移送され、次いで、インクが、フィルムが流体の面上に搬送される際にフィルム上へ印刷される。次いで、コートされる物品が、インクを乾燥させることなく流体容器内に下方へ浸漬される。したがって、インクは、コートされる各々の物品の所望の面に適用される。インクジェット印刷プロセスのデジタル性質が装飾コーティングのコスト効果の高いカスタム化を可能にするので、大幅に強化された処理効率が達成され得る。
【0036】
溶媒型装飾インクの使用が本明細書で企図されるが、紫外光硬化型インクなどの、代替的なインク組成物が、有利には、利用され得ることが本発明の範囲内である。
【0037】
前記に認められるように、印刷及びコーティングプロセスの制御及び調整が、全体の処理の効率を最大にするために企図される。この点に関して、いくつかの適用のために、コートされる物品の導入前に、印刷されたフィルムを、流体容器にある間に延伸又は延長することが望ましい場合がある。これは、水圧転写フィルムの効率的な使用を最大にする一助となり得る。
【実施例】
【0038】
段階1:フィルムへのインクの転写(フィルム印刷)
装置
プリンタ:デジタルインクジェットプリンタ
・印刷方式:バルブジェット、ドロップオンデマンド、圧電駆動方式
・ノズルの#:(180×8列)x1ヘッド
・最小液滴サイズ:3.5pl
・印刷ヘッドの数:1(CMYK)
・ヘッド高さ:1.5mm/2.5mm
・最大印刷速度/解像度600sqf/時/360x360
・最大解像度:1440dpi
・最大メディア幅:64"
消耗品
インク:溶剤キャリアベースの顔料(45〜55%乳酸エチル及び35〜45%エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート混合物)
メディア:PVA水溶性フィルム(厚み35μmで幅1m)
生産物
印刷されたフィルム:インクが未乾燥状態のままの転写印刷されたPVAフィルム
主なプリンタ設定
印刷温度:周囲68〜72°F(すべての従来の熱硬化プロセスを無効にする)
印刷解像度:720x720DPI
カラーモード:CMYK可変ドット
印刷ディザ:SO拡散
印刷速度:毎時151平方フィート
手順
1.インク及びフィルムをプリンタに確実に正しく装填する。
2.適用可能なプリンタパラメータ調節ソフトウェアへデジタル画像をロードする。
3.主な印刷設定が上記のものと合致することを確認する。
4.段階2へ進む。
【0039】
段階2:部品へのインクの転写(部品浸漬)
装置
浸漬タンク:上面開口水保持容器(フィルタ堰を有する温度制御可能な幅60”x奥行120”x高さ36”ステンレス鋼タンク)
消耗品
印刷されたフィルム:インクが未乾燥状態のままの転写印刷されたPVAフィルム
フィルム溶解剤:水(80〜90°F間の温度で栓保持された軟水)
部品:成形されたポリオレフィンクロージャ
生産物
装飾された部品:3次元に外面印刷されたクロージャ
手順
1.デジタルインクジェット印刷後直ちにフィルムをプリンタから切断し、未乾燥インク側を上にして浸漬タンクまで移送する。
2.タンクに入れて60秒以内に部品をフィルムの面に浸漬する。
3.タンクから部品を除去する。
4.部品から残留PVAを濯ぎ落とす。
5.部品を乾燥させる。
6.部品が完全に装飾される。
【0040】
これまでの記載から、本発明の新規概念の真の趣旨及び範囲を逸脱することなく、数多くの修正及び変更を行うことができると考察される。特定の実施形態に関する限定が、なされるものではなく又は推認されるべきではないと理解すべきである。本開示は、添付の特許請求の範囲によって、特許請求の範囲内にあるすべてのこのような修正を網羅するものである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【国際調査報告】