特表2018-512971(P2018-512971A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特表2018-512971不応期の間に心筋の活動を刺激するための方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2018-512971(P2018-512971A)
(43)【公表日】2018年5月24日
(54)【発明の名称】不応期の間に心筋の活動を刺激するための方法
(51)【国際特許分類】
   A61N 1/362 20060101AFI20180420BHJP
【FI】
   A61N1/362
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2017-555459(P2017-555459)
(86)(22)【出願日】2016年2月22日
(85)【翻訳文提出日】2017年10月23日
(86)【国際出願番号】US2016018867
(87)【国際公開番号】WO2016171790
(87)【国際公開日】20161027
(31)【優先権主張番号】14/695,237
(32)【優先日】2015年4月24日
(33)【優先権主張国】US
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】514215309
【氏名又は名称】ザ ガイ ピー.カーティス アンド フランセス エル.カーティス トラスト
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】特許業務法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ガイ ピー.カーティス
【テーマコード(参考)】
4C053
【Fターム(参考)】
4C053JJ02
4C053JJ04
4C053JJ23
4C053KK02
4C053KK07
(57)【要約】
患者の心機能周期(心拍)の間に心臓の収縮を改善するためのシステムおよび方法は、その周期の間に局所的な電気的事象(脱分極)を検出することを必要とする。次いで、この局所的な電気的事象を使用して、時刻tで刺激間隔Δtをトリガする。重要なのは、刺激間隔Δtが、心機能周期の絶対不応期の間に時刻tで終了するように設定されることである。時刻tに、刺激装置がトリガされて、心臓の心外膜面上の局所的交感神経を刺激する。この刺激により、交感神経は、ノルエピネフリンを分泌して後続の心臓の収縮を改善する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
心機能を改善するために患者の交感神経を電気的に刺激するための方法であって、
前記交感神経に隣接する心臓の心外膜面上の心外膜静脈内に電極を配置するステップと、
前記電極/センサで局所的な電気的事象を検出するステップであって、前記局所的な電気的事象は、前記電極/センサの近傍で発生し、前記患者の自然の心筋周期に起因する、ステップと、
開始時刻tをトリガするために前記検出された局所的な電気的事象を使用するステップと、
前記開始時刻t後に時刻tまで所定の時間間隔Δtを待つステップであって、tは、前記患者の自然の心筋周期の絶対不応期内にある(t−t=Δt)、ステップと、
前記患者の心筋の収縮を改善するために、時刻tに刺激装置を起動して、少なくとも1つの電気パルスで前記交感神経を電気的に刺激するステップと、を含む、方法。
【請求項2】
Δtは、刺激間隔を構成し、前記方法は、前記刺激間隔を連続的に繰り返すステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記検出するステップおよび前記使用するステップを延期するステップと、
前記開始時刻tをトリガするためにペーシングデバイスを実装するステップと、をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
Δtは、100〜120ミリ秒の範囲内である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記交感神経を刺激するための前記電気パルスは、前記心筋の収縮を活性化するために必要とされる強度の3倍未満の所定の強度を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記開始時刻tは、前記心筋の収縮中に、前記患者の心筋における局所的な電気的事象によってトリガされる、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記開始時刻tは、前記心筋の拡張期の間に、前記患者の心筋における電気的事象によってトリガされる、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
心機能を改善するために患者の交感神経を電気的に刺激するためのデバイスであって、
前記患者の自然の心筋周期の間に、時刻tで心臓の電気的事象を検出するためのセンサと、
前記開始時刻tと時刻tとの間に所定の時間間隔Δtを有する刺激間隔を測定するためのタイマーであって、tは、前記患者の心周期の絶対不応期内にある(Δt=t−t)、タイマーと、
前記心筋の収縮を改善するために、前記時刻tに少なくとも1つの電気パルスで前記交感神経を刺激するために電極と接続された刺激装置と、を備える、デバイス。
【請求項9】
前記交感神経に隣接する心臓の心外膜面上の心外膜静脈内に前記電極を配置するための展開カテーテルをさらに備える、請求項8に記載のデバイス。
【請求項10】
を電気的に確立するために前記刺激装置と選択的に接続されたペーシングデバイスと、
前記センサおよび前記ペーシングデバイスの間で、前記刺激装置との接続を選択的に交代させるためのスイッチと、をさらに備える、請求項8に記載のデバイス。
【請求項11】
前記時刻tに前記電気パルスを発生させるための電圧源と、
前記刺激装置の動作を、前記センサ、前記ペーシングデバイス、前記スイッチ、および前記タイマーのそれぞれの動作と連携させるためのコンピュータと、をさらに備える、請求項10に記載のデバイス。
【請求項12】
前記交感神経を刺激するための前記電気パルスは、前記心筋の収縮を活性化するために必要とされる強度の3倍未満の所定の強度を有する、請求項8に記載のデバイス。
【請求項13】
Δtは、刺激周期を構成し、前記刺激間隔が継続的に繰り返される、請求項8に記載のデバイス。
【請求項14】
前記刺激間隔Δtは、100〜120ミリ秒の範囲内である、請求項8に記載のデバイス。
【請求項15】
前記開始時刻tは、前記心筋の収縮中に前記患者の心筋における電気的事象によってトリガされる、請求項8に記載のデバイス。
【請求項16】
前記開始時刻tは、前記心筋の拡張期中に患者の心筋における電気的事象によってトリガされる、請求項8に記載のデバイス。
【請求項17】
格納された実行可能命令を上に有する非一過性コンピュータ可読媒体であって、前記命令が、患者の自然の心筋周期の間に、時刻tで心臓の電気的事象を検出することと、前記開始時刻tと時刻tとの間に所定の時間間隔Δtを有する刺激間隔を測定することであって、tは、前記患者の心周期の絶対不応期内にある(Δt=t−t)、測定することと、前記心筋の収縮を改善するために、前記時刻tに少なくとも1つの電気パルスで前記交感神経を刺激することであって、前記電気パルスは、前記心筋の収縮を活性化するために必要とされる強度の3倍未満の所定の強度を有する、刺激することと、を含む、プロセスを実行することをコンピュータシステムに指示する、非一過性コンピュータ可読媒体。
【請求項18】
前記電気的事象を検出するためのセンサと前記交感神経を刺激するための刺激装置との接続および切断を選択的に交代させるため、ならびに前記センサが前記刺激装置から切断されたときにtを確立するためにペーシングデバイスを使用するため、の命令をさらに含む、請求項17に記載の非一過性コンピュータ可読媒体。
【請求項19】
Δtは、刺激間隔を構成し、前記刺激間隔は、一連の心筋周期のために継続的に繰り返され、さらに、前記刺激間隔Δtは、100〜120ミリ秒の範囲内である、請求項18に記載の非一過性コンピュータ可読媒体。
【請求項20】
前記開始時刻tは、収縮および拡張期を含む期間中に患者の心筋における電気的事象によってトリガされる、請求項18に記載の非一過性コンピュータ可読媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、心筋の機能を改善するためのシステムおよび方法に関する。より具体的には、本発明は、心筋周期の絶対不応期の間にノルエピネフリンを分泌するように交感神経を刺激し、それによって心筋の収縮を改善するためのシステムおよび方法に関する。本発明は、排他的にではないが、特に、絶対不応期の神経刺激が心筋の局所的な電気的脱分極によってトリガされるシステムおよび方法として有用である。
【背景技術】
【0002】
正常な心筋周期(すなわち、心拍)は、反復性であり、いくつかの周知の明確に識別可能な機械的および電気的特徴によって特徴付けられる。その機械的周期において、心筋は、その収縮によって患者の脈管構造に血液を送り出し(収縮期)、その弛緩によって脈管構造から血液を受け取る(拡張期)ように交互に機能する。生理学的に、心筋周期は、機械的周期に重畳させた電気的周期の結果である。しかしながら、ここでの直接の関心は、絶対不応期である。
【0003】
拡張期の間の細胞発火に続く、約120〜300ミリ秒の期間である絶対不応期の間、心筋は、電気刺激に反応することができない。しかしながら、心臓の心外膜面上の交感神経は、絶対不応期の間に電気的に刺激され得、それによってノルエピネフリンを分泌する。ここで重要なのは、分泌されたノルエピネフリンが、その後、心筋の収縮を制御および改善する補助となり得るということである。当然のことながら、心臓の電気的および機械的周期が妨害されないように、心臓の絶対不応期の間に交感神経を刺激することは不可欠である。
【0004】
交感神経を電気的に刺激するのに適した時間の特定は、必ず心筋周期に対して相対的に確立されなければならない。これまで、神経刺激のタイミングは、ペーシングデバイスの動作によって決定されてきた。例えば「System and Method for Transvascular Activation of Cardiac Nerves with Automatic Restart」という名称の発明に対して、Curtisに発行された米国特許第8,463,376号は、電気的にペーシングされた心筋の刺激について開示および請求している。
【0005】
次に、本発明は、心筋自体が自然の信号(すなわち、電気的事象)を生成し、それが後に交感神経の電気刺激をトリガするために使用され得ることを認識する。重要なのは、この後続の神経刺激は、心筋周期の絶対不応期に発生するように時間を調整することができるということである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記を考慮して、本発明の目的は、自然に発生する心筋の電気的事象に応じて、患者の交感神経を電気的に刺激するためのシステムおよび方法を提供することである。本発明の別の目的は、患者の心筋の収縮を助けるために、心筋周期の絶対不応期の間に、単一パルスまたは複数パルスを用いて患者の交感神経を電気的に刺激することである。本発明のさらに別の目的は、使用し易く、製造が簡単であり、かつ商業的に費用効率が高い、患者の交感神経を電気的に刺激するためのシステムおよび方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、心機能周期(心拍)の間に患者の心臓の収縮を改善するためのシステムおよび方法が提供される。この操作のためにシステムを設定するために、展開カテーテルを使用して、心臓の心外膜面上に位置する心外膜静脈に電極およびセンサを配置する。電極およびセンサの適切な配置には、それらが交感神経に隣接して位置する必要がある。
【0008】
本発明の概要として、各心機能周期の間に、本発明は、心筋の局所的な電気的事象(脱分極)を検出することを認識されたい。時刻tにおけるこの局所的な電気的事象の発生に基づいて、刺激間隔Δtが確立される。詳しく述べると、Δtは、時刻tに開始し、心機能周期の絶対不応期の間に時刻tで終了する。時刻tには、心臓の心外膜面上に位置する交感神経が刺激される。この刺激によって、交感神経がノルエピネフリンを分泌して、後続の心臓の収縮を改善する。
【0009】
構造的に、本発明のデバイスは、時刻tに心臓の局所的な電気的事象を検出するためのセンサを含む。典型的には、患者の自然の心筋周期において、心臓の収縮の間、拡張期の間に発生する局所的な電気的事象が選択および使用される。デバイスはまた、時刻tに起動され、かつ所定の刺激間隔Δtを測定するために使用されるタイマーも含む。Δtは、患者の心周期の絶対不応期において、開始時刻tと時刻tとの間に及ぶことに留意されたい(Δt=t−t)。さらに、デバイスは、時刻tに、少なくとも1つの電気パルスにより交感神経を刺激するために電極と接続された刺激装置を含む。好ましくは、交感神経を刺激するための電気パルス(複数可)は、心筋の収縮を活性化するために必要とされる強度の本質的に約3倍未満である所定の強度を有する。
【0010】
本発明の代替の実施形態の場合、本発明のシステムはまた、センサとともに、スイッチによって刺激装置と選択的に接続され得るペーシングデバイスも含み得る。この実施形態では、選択された場合、ペーシングデバイスは、tを電気的に確立するために使用される。スイッチは、センサまたはペーシングデバイスの間で、刺激装置との接続を選択的に交代させるために使用することができるが、システムの全体としての目的および機能は変わらない。
【0011】
本発明のデバイスのさらなる構成要素は、時刻tに電気パルスを発生する電圧源を含む。これらの構成要素はまた、刺激装置の動作を、センサ、ペーシングデバイス、スイッチ、およびタイマーのそれぞれの動作と連携させるためのコンピュータも含む。
【0012】
機能的観点からすれば、本発明の方法は、心機能周期に依存する。したがって、心機能を改善するために患者の交感神経を電気的に刺激するための方法は、最初に、交感神経に隣接する心臓の心外膜面上の心外膜静脈内に電極/センサを配置することを必要とする。次いで、電極/センサは、局所的な電気的事象を検出するために使用される。具体的には、センサによって検出されるべき局所的な電気的事象は、電極の近傍で発生する必要があり、患者の自然の心筋周期に起因する。
【0013】
一旦、局所的な電気的事象が検出されると、次いで、コンピュータを使用して開始時刻tから時刻tまで及ぶ所定の刺激間隔Δtを確立することができる。上述のように、時刻tは、患者の自然の心筋周期の絶対不応期に属する必要がある(t−t=Δt)。次いで、コンピュータは、時刻tに刺激装置を起動することができる。ここでの目的は、当然のことながら、少なくとも1つの電気パルスで交感神経を電気的に刺激し、それによって後続の患者の心筋の収縮を改善することである。
【0014】
上記を考慮して、本発明の操作は、心機能周期ごとに刺激間隔Δtを連続的に繰り返すことを必要とすることを理解されたい。また、交感神経がいつ刺激されるべきかを決定する刺激間隔Δtは、100〜120ミリ秒の近似範囲内である。さらに、交感神経を刺激するための電気パルス(複数可)は、心筋の収縮を活性化するために必要とされる強度の約3倍未満である所定の強度を有する。
【0015】
本発明の新規な特徴および本発明自体は、その構造およびその操作の両方に関して、添付の説明と併せて、同様の参照文字が同様の部分を指す添付の図面から、最もよく理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明によるシステムを、その意図される動作環境とともに示す図である。
図2】本発明のシステムにおいて用いられる構成要素の機能配置図である。
図3】本発明の動作を絶対不応期と関連付けて重畳させた心筋周期の時系列図である。
図4】本発明のコンピュータ制御システムの動作中に必要とされる機能的タスクに関する論理フローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
最初に図1を参照すると、心機能を改善するために患者の交感神経を電気的に刺激するためのシステムが示され、10で一般的に示される。図示されるように、システム10は、展開カテーテル12の遠位端に一緒に取り付けられたセンサ14および電極16を有する展開カテーテル12を含む。上で述べた機械的構成要素に加えて、システム10は、図2を参照して後に開示される種々の電気的構成要素も含む。後に開示されるように、これらの電気的構成要素は、コンソール18内に取り付けられ、互いに相互作用してシステム10に対する動作制御を提供する。本発明の目的のために、コンソール18は、体外式または埋込式のいずれかであり得ることを理解されたい。例えば、埋込式の場合、コンソール18は、ペースメーカーまたは除細動器の一部であってもよい。
【0018】
さらに図1を参照すると、心筋20が、本発明の手術標的として示されている。解剖学的に、心筋20の横隔膜面の図は、その冠静脈洞22およびいくつかの連結する静脈を示す。具体的には、左心室の後静脈24および中心臓静脈26が示される。また、神経系の交感神経(複数可)28も示されているが、神経束28a、28b、および28cは、例示に過ぎない。重要なのは、神経28が、左心室の心外膜面上に位置しており、それらが冠静脈洞22に隣接しているか、または冠静脈洞22に連結する静脈(例えば、静脈24または26)のうちの1つに隣接しているかのいずれかであるということである。
【0019】
次に図2を参照すると、システム10のためのコンピュータ30が提供され、コンピュータ30は、スイッチ32、タイマー34、刺激装置36、および電圧源38と電気的に接続されていることが分かるであろう。任意選択的に、ペーシングデバイス40もまた、上述の構成要素とともに電気的に組み込まれ得る。図1図2を相互参照することによって最も理解されるように、スイッチ32、タイマー34、刺激装置36、および電圧源38、ならびにペーシングデバイス40は全て、体外コンソール18に取り付けられ得る。その一方で、上に開示されるように、センサ14および電極16は、展開カテーテル12に組み込まれる。
【0020】
それらの互いとの相互作用の開示のために、上で述べた構成要素が、それらの心筋20との関係において図2に示される。具体的には、センサ14および電極16が、心筋20と直接接続されて動作可能に示されている。システム10の動作が、代替的にペーシングデバイス40を使用して提供され得るペーシングされた事象に依存するかどうかに応じて、スイッチ32を使用して、センサ14またはペーシングデバイス40を代替的にタイマー34と接続する。さらに、コンピュータ30の制御下で、電極16を時間通りに作動させるために電圧源38によって刺激装置36に電圧が印加される。次に、電極16が、心筋20上の交感神経28を刺激する。本発明について想定されるように、交感神経28を刺激するために用いられる各パルスは、心筋20の収縮を活性化するために必要とされる強度の約3倍未満である強度を有する。
【0021】
正常な心機能周期(すなわち、心拍)の図が、図3に示され、42で一般的に示される。図示されるように、心機能周期42は、等電位線44によって示される。これに関連して、心機能周期42の絶対不応期46は、心機能周期42とのその全体的な関係において示されている。上述のように、絶対不応期46は、心筋20が電気刺激に反応することができない期間である。同様に上述のように、本発明は、絶対不応期46の間に交感神経28の刺激が存在することを必要とする。これを行うために、本発明のシステム10は、時刻tの電気的事象50によって開始し、交感神経28が刺激される絶対不応期46内の時刻tに終了する刺激間隔48を画定する。
【0022】
なおも図3を参照すると、時刻tに発生する例示的な電気的事象50が等電位線44上に示される。本発明によって想定されるように、電気的事象50の発生を選択するための正確な時間はやや恣意的である。しかしながら、好ましくは、それは、絶対不応期46の始まる前であり、その比較的近くであろう。上に示したように、本発明の代替の実施形態において、ペーシングデバイス40が、開始時刻tを設定するために用いられ得る。いずれの場合でも、一旦、時刻tが、電気的事象50のために決定されると、またはペーシングデバイス40によって設定されると、刺激間隔48が確立され得る。数学的に表現すると、t−t=Δtであり、Δtは刺激間隔48である。好ましくは、Δtは、100〜120ミリ秒の近似範囲内である。ここでも同様に、図3を参照して、時刻tが絶対不応期46内に属することに留意されたい。
【0023】
本発明の操作中に実行されるべきタスクに関する論理フローチャートが、図4に示され、52で一般的に示される。操作を開始した後、問い合わせブロック54は、センサ14が使用されているかどうかを質問する。そうである場合、タスクブロック56は、心筋の機能がセンサ14によって監視されることを要求する。次に、問い合わせブロック58は、電気的事象50が検出されたかどうかを尋ねる。そうでない場合、センサ14は、心機能周期42の監視を続ける。その一方で、電気的事象50が検出された場合、タスクブロック60は、刺激間隔48の確立を要求する。上に開示されるように、刺激間隔Δt48は、電気的事象50が検出される時刻tから、交感神経28を刺激するために刺激装置36からパルス(複数化)が発射される時刻tまでに及ぶ。本発明の代替の実施形態において、センサ14よりもむしろ、ペーシングデバイス40が、刺激間隔48をトリガするために使用されることに留意されたい。したがって、代替の実施形態の場合、問い合わせブロック54は、タスクブロック62と一緒になって、タイマー34がペーシングデバイス40と接続して機能するよう指示する。しかしながら、全ての実施形態において、問い合わせブロック64およびタスクブロック66は、一緒になって、刺激間隔48が終了したときに、コンピュータ30によって刺激装置36が起動されて、交感神経28を刺激することを示す。次いで、システム10は、次の心機能周期42を続けて監視する。
【0024】
本明細書に詳細に示されるおよび開示される不応期の間に心筋の活動を刺激するための特定の方法は、目的を達成することおよび本明細書に以前に記載した利点を提供することが十分に可能であるが、それは、本発明の現在好ましい実施形態の例示であるに過ぎず、添付の特許請求の範囲に記載される以外、本明細書に示される構成または設計の詳細に対する制限は意図されないことを理解されたい。
図1
図2
図3
図4
【手続補正書】
【提出日】2018年3月14日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
心機能を改善するために患者の交感神経を電気的に刺激するための方法であって、
前記交感神経に隣接する心臓の心外膜面上の心外膜静脈内に電極を配置するステップと、
前記電極/センサで局所的な電気的事象を検出するステップであって、前記局所的な電気的事象は、前記電極/センサの近傍で発生し、前記患者の自然の心筋周期に起因する、ステップと、
開始時刻tをトリガするために前記検出された局所的な電気的事象を使用するステップと、
前記開始時刻t後に時刻tまで所定の時間間隔Δtを待つステップであって、tは、前記患者の自然の心筋周期の絶対不応期内にある(t−t=Δt)、ステップと、
前記患者の心筋の収縮を改善するために、時刻tに刺激装置を起動して、少なくとも1つの電気パルスで前記交感神経を電気的に刺激するステップと、を含む、方法。
【請求項2】
心機能を改善するために患者の交感神経を電気的に刺激するためのデバイスであって、
前記患者の自然の心筋周期の間に、時刻tで心臓の電気的事象を検出するためのセンサと、
前記開始時刻tと時刻tとの間に所定の時間間隔Δtを有する刺激間隔を測定するためのタイマーであって、tは、前記患者の心周期の絶対不応期内にある(Δt=t−t)、タイマーと、
前記心筋の収縮を改善するために、前記時刻tに少なくとも1つの電気パルスで前記交感神経を刺激するために電極と接続された刺激装置と、
を電気的に確立するために前記刺激装置と選択的に接続されたペーシングデバイスと、
前記センサおよび前記ペーシングデバイスの間で、前記刺激装置との接続を選択的に交代させるためのスイッチと、
前記時刻tに前記電気パルスを発生させるための電圧源と、
前記刺激装置の動作を、前記センサ、前記ペーシングデバイス、前記スイッチ、および前記タイマーのそれぞれの動作と連携させるためのコンピュータと、を備える、デバイス。
【請求項3】
格納された実行可能命令を上に有するコンピュータ可読媒体であって、前記命令が、患者の自然の心筋周期の間に、時刻tで心臓の電気的事象を検出することと、前記開始時刻tと時刻tとの間に所定の時間間隔Δtを有する刺激間隔を測定することであって、tは、前記患者の心周期の絶対不応期内にある(Δt=t−t)、測定することと、前記心筋の収縮を改善するために、前記時刻tに少なくとも1つの電気パルスで前記交感神経を刺激することであって、前記電気パルスは、前記心筋の収縮を活性化するために必要とされる強度の3倍未満の所定の強度を有する、刺激することと、を含む、プロセスを実行することをコンピュータシステムに指示し、
前記電気的事象を検出するためのセンサと前記交感神経を刺激するための刺激装置との接続および切断を選択的に交代させるため、ならびに前記センサが前記刺激装置から切断されたときにtを確立するためにペーシングデバイスを使用するため、の命令をさらに含む、コンピュータ可読媒体。
【国際調査報告】