(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2018-514466(P2018-514466A)
(43)【公表日】2018年6月7日
(54)【発明の名称】紙袋及び紙袋の製造方法
(51)【国際特許分類】
B65D 30/12 20060101AFI20180511BHJP
【FI】
B65D30/12 B
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2016-560381(P2016-560381)
(86)(22)【出願日】2016年4月20日
(85)【翻訳文提出日】2016年11月30日
(86)【国際出願番号】EP2016000640
(87)【国際公開番号】WO2016180513
(87)【国際公開日】20161117
(31)【優先権主張番号】102015006212.3
(32)【優先日】2015年5月13日
(33)【優先権主張国】DE
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】515302613
【氏名又は名称】ダイパック フェアパックング グスタフ デッカーホフ ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】特許業務法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シュルテ ゲーアハルト
【テーマコード(参考)】
3E064
【Fターム(参考)】
3E064AB01
3E064BA01
3E064BA16
3E064BA21
3E064EA04
3E064EA30
3E064FA01
3E064HG07
3E064HN01
(57)【要約】
本発明は、底部と該底部と対向する上部とを備え、該底部及び/又は上部が、両側部折り目の周囲で両側部を閉じることにより、船底型又は角底型に折りたたまれるとともに接着されたセメント、石膏、顆粒状物質、動物用飼料等のバルク材用の紙袋に関し、上記側部を接着するために、塗布後に活性化される少なくとも1種の接着剤又は接合剤が設けられ、上記接着剤又は接合剤は、上記2つの側部の少なくとも一方の側部折り目から少なくとも反対側の側部折り目まで連続して塗布されている紙袋に係るものである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
底部と該底部と対向する上部とを備え、該底部及び/又は上部が、両側部折り目の周囲で両側部を閉じることにより、船底型又は角底型に折りたたまれるとともに接着されたセメント、石膏、顆粒状物質、動物用飼料等のバルク材用の紙袋であって、
上記側部を接着するために、塗布後に活性化される少なくとも1種の活性化可能な接着剤又は接合剤が設けられ、
上記接着剤又は接合剤は、上記2つの側部の少なくとも一方の側部折り目から少なくとも反対側の側部折り目まで連続して塗布されている
ことを特徴とする紙袋。
【請求項2】
請求項1において、
上記接着剤又は接合剤の少なくとも1つの塗布片は、上記両側部折り目のうちの少なくとも一方を越えて延び、好ましくはエンドタックの端部に到達するか、あるいは越えている
ことを特徴とする紙袋。
【請求項3】
請求項1又は2において、
互いに平行に延びる複数の上記接着剤又は接合剤の細長塗布片が設けられ、
好ましくは、各コーナータックに、平行に延びる少なくとも2つの上記細長塗布片が設けられている
ことを特徴とする紙袋。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1つにおいて、
少なくとも1つの上記接着剤又は接合剤の非連続塗布片又は細長塗布片が設けられ、
少なくとも上記両側部折り目及び/又は中央折り目上に、上記非連続塗布片又は上記細長塗布片の一部が位置している
ことを特徴とする紙袋。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1つにおいて、
上記接着剤は、液体又は蒸気、理想的には水分又は蒸気を加えることにより活性化可能な湿式ゴム糊であり、
上記接合剤は、封止用組成物、特に低温封止用組成物である
ことを特徴とする紙袋。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1つにおいて、
上記底部及び/又は上部の折りたたまれた部分は、別途塗布された、特にデンプンと水の混合物を主成分とする糊で接着され、
上記糊は、上記2つの折り目には塗布されていない
ことを特徴とする紙袋。
【請求項7】
請求項6において、
上記糊と上記接着剤又は接合剤の塗布片とは、折りたたみ方向に交互に塗布されている
ことを特徴とする紙袋。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1つにおいて、
上記紙袋を閉じるための少なくとも1枚のフィルムが、上記両側部及び/又は両エンドタックに、上記接着剤又は接合剤、及び/又は糊で接着されている
ことを特徴とする紙袋。
【請求項9】
請求項8において、
上記フィルムは、上記接着剤又は接合剤の塗布片を完全に又は部分的に覆っている
ことを特徴とする紙袋。
【請求項10】
折りたたまれた底部及び/又は上部を有する請求項1〜9のいずれか1つに記載の紙袋の製造方法であって、
上記活性化可能な接着剤及び/又は接合剤が、紙袋製造用のロール紙又は巻取紙に塗布及び/又は印刷され、
その後、上記底部及び/又は上部が、底部形成機において折りたたまれる
ことを特徴とする紙袋の製造方法。
【請求項11】
請求項10において、
上記側部折り目及び中心折り目の方向に、接着剤/接合剤領域とデンプン領域とが交互に配置されるように、上記底部形成機において、デンプンと水の混合物が塗布される
ことを特徴とする紙袋の製造方法。
【請求項12】
請求項10又は11において、
塗布された上記接着剤の活性化は、上記底部形成機において、水分及び/又は水蒸気を加えることにより、特に上記デンプンと水の混合物を塗布することによって実行される
ことを特徴とする紙袋の製造方法。
【請求項13】
請求項10〜12のいずれか1つにおいて、
折りたたまれてはいるがまだ開口している上記底部領域及び/又は上部領域に、紙袋を気密に閉じるためのフィルムが、塗布済みの上記接着剤及び/又は接合剤、及び/又は上記デンプンと水の混合物により接着される
ことを特徴する紙袋の製造方法。
【請求項14】
請求項10〜13のいずれか1つにおいて、
上記接着剤及び/又は接合剤は、圧胴を介して、上記巻取紙又はロール紙に断続的に塗布され、
上記塗布は、特に、フレキソ印刷機において実行される
ことを特徴する紙袋の製造方法。
【請求項15】
請求項13において、
接着された上記フィルムは、上記接着剤及び/又は接合剤の塗布片を、完全に又は部分的に覆っている
ことを特徴する紙袋の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、底部とこれに対向する上部とを備え、特に、セメント、石膏、顆粒状物質、動物用飼料等のバルク材用の紙袋であって、底部及び/又は上部が、両側部折り目の周囲で両側部を閉じることにより、船底型又は角底型に折りたたまれて接着される紙袋に関する。本発明の他の態様は、このような紙袋の特有の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的な紙袋は、例えば、欧州特許第1858769号明細書からも知られている。特に、5kg用、10kg用、又は25kg用の普通サイズの紙袋が広く取引されている。これらの紙袋は、紙又は紙混合物、及び/又は、コート紙から形成された紙の層を1層以上有する。その他の材料でできた層が設けられてもよく、例えば、欧州特許第1858769号明細書の場合のように、プラスチックフィルムが設けられてもよい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
このような紙袋は、一般的に、無端の巻取紙から製造され、長手方向端部同士が接着されて筒状に形成される。紙袋を形成するためには、この紙筒が適切な長さを有する複数の部分に裁断され、紙袋の底部及び/又は上部を閉じるために、これら筒状の各部分の開口端部において、底部及び上部が折りたたまれて接着されている。通常、船底型折り又は角底型折りが選択され、折り目領域での折りたたみを容易にするために、折り筋を付けるのが一般的である。折りたたまれた部分は、通常はデンプンと水の混合物である糊で互いに接着される。しかし、製造上の理由から、糊の使用は、折り目領域では、省かれなければならない。この制約の理由は、折り目領域及び端部領域に糊が付いていると、紙袋を製造するための製造機械が汚れ、その結果、紙袋を連続して製造することができなくなる虞があるからである。特に、折り目領域に折り筋を付ける際、この領域に糊が塗布されていると、上述の機械において折り筋を付けるために使用される工具がひどく汚れる可能性がある。さらに、デンプン糊のパターンを塗布する際には、底部/上部の端部又は側方端部から、ある程度の最短距離を維持しなければならない。さもなければ、上述の機械部品の汚れと糊の接着とが共に同様に生じやすくなる。
【0004】
しかし、糊を省略すると、紙袋の底部及び/又は上部における折り目ならびに端部/側方端部に沿って、接着されない領域が残る。これにより、紙袋を閉じた後にも、粉末状の充填物が外部に漏れ出る通路が形成される可能性がある。
【0005】
さらに、底部/上部を閉じることにより、紙がある程度加圧される。これにより、底部中心(底部中心線と呼ぶ)の2つの端部が隣接する領域において、紙の波打ち、折れ、及びズレが生じる。デンプン糊は、折りたたまれた端部に完全には入り込まず、到達しないので、これらの波打ち、折れ、及びズレた端部もまた、デンプン糊では完全に接着できない。このため、上述した折り目の通路に加えて、別の通路ができることになり、充填物が外部に漏れ出る量が増大する。
【0006】
したがって、本発明は、より隙間なく閉じられた紙袋を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述の目的は、請求項1の特徴を備えた紙袋と、請求項10の特徴を備えた製造方法により達成される。上記紙袋と製造方法の好適な態様が、各独立請求項に続く従属請求項の主題である。
【0008】
本発明は、請求項1の前提部に記載の構成を有する一般的な紙袋を発展させたものである。本発明によれば、両側部を接着するために、少なくとも1種の塗布後に活性化可能な接着剤又は接合剤が設けられ、その塗布面は、上記2つの側部の少なくとも一方の側部折り目から、少なくとも反対側の側部折り目まで連続している。本発明に必要なのは、接着剤又は接合剤の連続したビードを、一方の側部折り線から反対側の側部折り線まで塗布することである。塗布片の形状と厚さは任意に選択できるが、細長形状が好ましい。
【0009】
さらに、上記の塗布は、2つの側部折り目の間において始まり、少なくとも反対側の側部折り目まで延びることで、課題が解決される。これにより、紙袋の折りたたみ箇所に接着剤が連続して延び、上述の不利な通路の形成が効果的に防止され得る。後に接着剤を活性化させるため、製造プロセスの最初に接着剤を塗布しておくことができる。接着剤が非活性状態であれば、その後の製造プロセス中に各機械が汚れる虞がない。活性化は、紙袋の最後の折りたたみの直前にのみ行うのが好ましい。したがって、デンプン糊を使用するときのように、各折り目及び各端部領域から糊を省いておく必要はなく、上記接着剤又は接合剤を完全に塗布しておくことができる。
【0010】
両側部折り目は、その周囲で、サイドフラップ同士が閉じられる折り目であると理解されたい。船底型及び角底型に折りたたむ場合、2本のサイドフラップの折り目が紙袋の外部に導かれるように、端部において、2本のサイドフラップの折り目に沿って折りたたみが実行される。サイドフラップの折り目の外側領域には、エンドタックがある。エンドタックは、船底部においては、外向きに尖ったコーナータックとして形成され、角底部においては、台形のタックとして形成される。上記両側部は、上記接着剤又は接合剤によって、エンドタックに接着される、及び/又は側部同士で接着されるために、上記側部折り目の周囲で内側に折りたたまれる。
【0011】
好適には、上記両側部折り目の各端部領域、つまり、2つのエンドタックの領域に、接着剤又は接合剤の連続した塗布片が少なくとも1つ設けられる。一般的に、底部と上部の両方に、少なくとも2つ、好ましくは4つの連続した接着剤又は接合剤の塗布面がそれぞれ設けられてもよい。紙袋に充填するためのバルブが一体的に設けられる限りにおいて、接着剤又は接合剤のバルブチューブ領域への塗布は省略されてもよい。
【0012】
好ましくは、少なくとも1つの上記接着剤又は接合剤の塗布片が、各側部折り目の端部領域同士の間に、特に、底部中心線を横切って延びる。底部中心線は、2つの側部折り目の間に延び、両側部を折りたたむことにより一緒に閉じられる。
【0013】
同様に、接着剤又は接合剤の塗布片は、2つの側部折り目のうちの少なくとも一方を越えて延び、好ましくはエンドタックの端部まで到達するか、その背面まで延びる。
【0014】
接着剤及び/又は接合剤の、複数の互いに平行に延びる細長塗布片が設けられることも好ましい。上部及び/又は底部の各コーナータックの領域に、少なくとも2つの平行に延びる細長塗布片が設けられることが好ましい。
【0015】
さらに、少なくとも1つの接着剤又は接合剤の非連続塗布片又は細長塗布片が設けられてもよい。両側部折り目及び/又は中央折り目上に、上記非連続塗布片又は上記細長塗布片の一部が位置している。このように、接着剤又は接合剤を、少なくとも2つの平行に延びる細長塗布片と、理想的には、非連続塗布片とを組み合わせたパターンで塗布することは、特に、両側部を接着する際に、他の種類の接着剤を追加して用いるときに好適である。異なる種類の接着剤の複数の塗布片は互いに重なっていてもよく、別々に並べて配置されていてもよい。
【0016】
好ましくは、強固で安定した結合のために、底部及び/又は上部、あるいはそれらの折りたたまれた部分を、別途塗布する糊で、追加的に接着する。この糊は、別の種類の、特にデンプンと水の混合物を主成分とするものであってもよく、折り目の領域と側部又はタックの端部領域には塗布されない。つまり、この糊はこれらの領域を避けて塗布される。本発明によれば、上記接着剤及び/又は接合剤が、上記糊の塗布に隣接した領域に塗布されることが特に好適である。理想的には、糊の塗布と使用される接着剤及び/又は接合剤の塗布が折りたたみ方向に交互に配置されるのが好ましい。例えば、折り目方向に並んだ側部の複数の領域が、上記デンプン糊、又は、接着剤又は接合剤により、交互にタックに接着される。この手順によって、両方の種類の接着剤の利点が、対応する接着結合領域のそれぞれで活用できる。デンプン糊で紙を接着することで、特に良好で物理的に強固な接着結合が実現される。これは、接着された紙の層の繊維が良好にほぐされ、接着剤が特に深く浸透するからである。一方、上記接着剤又は接合剤の使用による接着結合は、それほど強固なものではないが、底部中心線を横切って連続して塗布されるので、全表面にわたる接着結合が実現される。これにより、不都合な通路形成が回避され、デンプン糊接着結合によって形成される通路は閉塞される。
【0017】
接着剤としては、液体又は蒸気、特に水分又は蒸気を加えることにより活性化可能な湿式ゴム糊、又は、いわゆる封筒用糊を使用するのが好ましい。この特性により、製造中に製造機械類が汚れるのを避けることを目的として、接着剤、すなわち、上記湿式ゴム糊又は封筒用糊を、例えば乾燥させることにより、紙袋に塗布した後に不活性化できるという利点が得られる。折りたたみの直前又は直後に、接着剤を活性化することができる。
【0018】
接合剤としては、例えば、封止用組成物、好ましくは、低温封止用組成物を使用してもよい。これは、この封止用組成物を塗布した表面に加圧することで活性化し、接着剤として作用するものである。この場合は、液体又は蒸気の付加は不要である。同様に、冷却することで不活性化され、後に加熱することにより再活性化できるホットメルト接着剤を使用することも想定される。
【0019】
本発明の好ましい態様では、紙袋を閉じるための少なくとも1枚のフィルムが、上記接着剤及び/又は接合剤、及び/又は上記塗布済みの糊で、両側部及び/又は両エンドタックに接着される。このようなフィルムは、内張りとも呼ばれ、特に水密且つ密閉フィルムであって、このフィルムを組み入れることで、特に好ましく紙袋を閉じることができる。実際には紙袋を隙間なく閉じることは、側部を折りたたむことではなく、単にこのフィルムを適用することにより実現される。しかし、運搬するために、両側部は公知のように折りたたまれて接着されるのが好ましい。
【0020】
上記内張りを形成するフィルムは、紙と、コート紙と、プラスチック材料と、金属箔のうちの少なくとも1つにより構成される。内張りは、接着剤又は接合剤の塗布片を、完全に覆っていてもよく、又は、部分的に覆っていてもよい。部分的に覆う場合には、接着剤又は接合剤の超過領域が、両側部を接着するために使用できる。
【0021】
本発明に係る紙袋に加え、本発明は、折りたたまれた底部及び/又は上部を有する本発明の紙袋の製造方法に関する。底部及び/又は上部を折りたたむ前に、本発明に係る接着剤及び/又は接合剤が、紙袋製造用のロール紙又は巻取紙に塗布及び/又は印刷される。接着剤及び/又は接合剤の塗布は、本発明の紙袋が本発明によって、又は、本発明の好適な態様によって得られるように実施される。次に、底部形成機において、上記紙袋を折りたたんで接着するが、これは、ロール紙又は巻取紙に、上記接着剤及び/又は接合剤の塗布片を設けた後に行われる。使用される上記接着剤及び/又は接合剤は、両側部の折りたたみと接着を行う直前かその最中に活性化される。
【0022】
さらに、特に側部折り線又は底部中心線の方向に交互に配置された接着剤/接合剤の塗布片とデンプン糊塗布片とを有する接着領域が得られるように、水とデンプンの混合物が、上記底部形成機において塗布されるのが好ましい。
【0023】
上記方法の好ましい実施形態によると、底部形成機において塗布済みの接着剤の活性化は、水分及び/又は蒸気を加えることで行われる。水とデンプンの混合物を側部の接着に使用するときは、この水の付加によって、底部形成機において塗布済みの接着剤を同時に活性化させることが好都合である。追加的又は代替的に、圧力ノズル等を介して同様に蒸気を加えてもよい。
【0024】
上記方法の任意の工程では、折りたたまれてはいるがまだ開口している底部領域及び/又は上部領域に、紙袋を気密に閉じるための少なくとも1枚の内張りが、塗布済みの接着剤及び/又は接合剤、及び/又はデンプンと水の混合物により接着される。
【0025】
上記接着剤及び/又は接合剤の巻取紙又はロール紙への塗布は、断続的に所望の塗布片を印刷する圧胴によって行われるのが好ましい。これによって、本発明に係る接着剤又は接合剤のパターンが得られる。この接着剤及び/又は接合剤の塗布は、好適には、フレキソ印刷機によって行われる。
【0026】
上記接着剤又接合剤の塗布片の大きさと形状、ならびに、塗布厚さは、例えば、使用される材料、製造工場、製造された紙袋の用途、すなわち、所望の充填物のうちの少なくとも1つに応じて、可変に設計されていてもよい。
【0027】
本発明の好ましい態様では、上記製造方法の実施の間、選択された接着剤及び/又は接合剤は、塗布後に、その後に折り筋を付けるために、又は、折り目にその他の処理を施すために、例えば、意図的な又は自然な乾燥により不活性化される。これにより、折り筋をつけるため又はその他の処理のために後に使用される機械部品や工具がこの領域の接着剤で汚れることがない。この折り筋形成や処理の後、つまり、機械部品や工具がこれ以上折り目と接触することがなくなると、接着剤を活性化できる。本発明の別の好ましい態様では、加熱によって活性化可能なホットメルト接着剤も、接着剤として使用できる。このホットメルト接着剤は、暖かい又は熱い条件下で紙袋に塗布し、塗布後に、最初は冷却して不活性化させることが特に好ましい。その後、底部又は上部を閉じるために、加熱によってホットメルト接着剤を活性化する。
【0028】
封止用組成物、特に、好ましくは低温封止用組成物が使用されるときは、低温封止用組成物で覆われた塗布片に加圧して接着効果を得る。この目的のために、低温封止用組成物は、両側部折り目の間だけでなく、上記両側部折り目の間の対応する塗布片の上に押し付けられる上記両側部の領域にも塗布されなければならない。
【0029】
以下、図面に示した例示的な実施形態を参照して、本発明のさらなる利点及び特徴を詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】
図1は、底部及び上部を有する本発明に係る紙袋を概略的に示す上面図である。
【
図2】
図2は、従来技術に係る紙袋の展開状態の底部を示す上面図である。
【
図3】
図3は、本発明に係る紙袋の展開状態の底部を示す上面図である。
【
図4】
図4は、本発明に係る紙袋を製造するための巻取紙の一部の概略図である。
【
図5】
図5は、本発明に係る紙袋の展開状態の底部を示す別の上面図である。
【
図6】
図6は、本発明に係る紙袋の閉じた状態の底部を示す上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
図1は、船底部2と上部3とを有する本発明に係る紙袋10を示している。上記底部2及び上部3は、紙袋10の前面9上で折りたたまれている。図面では見えないが、前面9の下には、紙袋10の背面がある。上部3には、紙袋10に充填するためのバルブチューブ50が挿入されている。
【0032】
上記紙袋は、紙又は他の材料からなる層を2層以上備えることができる。紙袋10の具体的な設計、すなわち、紙又は他の材料の層の数は、本発明を実施するために重要でないため、この点についてはこれ以上詳細に論じない。上部には、それ自体は周知のバルブ50が、紙袋に充填するために設けられていてもよい。
【0033】
本発明の利点を示すために、
図2に、当初の開いた状態から一部折りたたまれた従来の紙袋1の底部2を示す。同図には、従来の紙袋1の船底型の底部2が詳細に示されている。しかし、
図2では、船底部2は閉じられておらず、サイドフラップ5が展開した状態であり、コーナータック6が見えている。折りたたんで船底部とするには、両方のサイドフラップ5を矢印7の方向へ内側部分に折り重ねる、具体的には、底部折り筋が設けられた各サイドフラップの折り目4に沿って折る。
【0034】
船底部を接着するために、つまり、上記2つのサイドフラップ5を接着するためには、デンプンと水の混合物からなる糊8を、対応する表面の一定の領域に平らに塗布し、上側のサイドフラップ5をコーナータック6に接着し、下側のサイドフラップ5を、先に折り込んだサイドフラップ5の表面に接着する。
図2からは、さらに、折り筋がついた上側及び下側のサイドフラップの折り目4の領域が、糊8が省かれて糊が無い状態であることが分かる。コーナータック6の端部領域とサイドフラップ5の端部領域にも同じことが当てはまり、外端部は全体に糊が無い状態である。
【0035】
このような省略には、技術的な背景がある。すなわち、製造中、特に、折り目4に沿って底部に折り筋を付ける際に、必要な製造工具に糊が付着してはならず、あるいは、端部領域に糊を塗布する際に、下にある機械部品が汚れる虞がある。しかし、折り目4沿い及び端部領域に糊8を塗布しないことにより、空気と粉末とが通過可能な通路が形成されてしまう。この通路から、紙袋の内部の充填物が、
図6に示す紙袋の端部20及び底部中心線4’’の出口21を介して外部に漏れ出る可能性がある。底部を閉じるときに紙が加圧されることによって、底部中心線4’’の2つの端部が隣接する領域に、紙の波打ちに加えて皺とずれが発生することにより、通路が増加する。デンプン糊8は、折りたたまれた端部に完全に入り込まず、到達しないので、これらの波打ち、折れ、及び端部はいずれも、デンプン糊8では完全には接着できない。
【0036】
本発明にかかる解決手段が
図3に示されている。この図も、同様に、本発明に係る紙袋10の船底部2の一部が折りたたまれた状態の詳細な展開図である。船底部2の従来技術のものと同じ特徴には、同じ符合が付されている。本発明では、湿式ゴム糊11が、両側部5の2本の側部折り目4同士の間に連続して塗布されている。閉じられた紙袋10において充填物の漏れが防止されるように、特に、側部折り目4の領域と、インデンテーション4’と、底部中心4’’の領域、特に紙の折り重なり得る部分に、特徴的な点があり、気密に閉じられている。
【0037】
さらに、
図3に示すように、底部2のコーナータック6にも、湿式ゴム糊11が特殊な接着パターンで塗布されている。具体的には、平行な2本の連続的な接着ストリップ11’と断続的な接着ストリップ11’’とが、一方の側部折り目4から対向する側部折り目4まで延びている。これらの端部では、接着ストリップ11’及び11’’が、全面に糊が施された接着面11’’’を介して、互いに繋がっている。
【0038】
接着面11のこの好適な配置によって、活性可能な接着剤11と従来のデンプン糊8とを中心折り目4’’の方向に交互に塗布することが可能となる。これにより、接着剤8,11の両方の長所を好適に利用できる。デンプン糊8は、通常通り、
図2に示すパターンで塗布される。
【0039】
上述の例示的な実施形態では、接着剤として、湿式ゴム糊11を提案したが、代替案として、封止用組成物、特に低温封止用組成物の使用、あるいは、ホットメルト接着剤の使用も想定される。
【0040】
以下、隙間なく閉じられた折り目4,4’’を有する本発明に係る紙袋10の製造方法を説明する。
図4に示すように、湿式ゴム糊又は低温封止用組成物である接着剤11が、フレキソ印刷機において、圧胴を介して、ロール紙又は巻取紙100に、断続的に塗布される。接着剤11は、巻取紙100の領域に塗布され、これにより、次の底部の折りたたみ工程においては、
図3に示すような接着剤パターン11が得られる。
【0041】
活性化可能な接着剤11又は低温封止用組成物の塗布片の大きさと形状、ならびに塗布厚さは、例えば、紙袋10の製造に使用される材料又は使用される製造方法に応じて、あるいは、出来上がった紙袋10に充填するために選択された充填物に応じて、変更可能に設計され得る。
【0042】
次の工程では、巻取紙100が、長手方向に重ねて折りたたまれ、いわゆるチューバー(tuber)内で糊付けされ、筒状に形成される。その後、適当な長さに裁断される。接着剤11又は低温封止用組成物が予め印刷された筒状の各部分は、次いで、製造工程の底部形成機に搬送される。この底部形成機において、紙袋の底部2は、
図3に示すように、折りたたまれ、さらに、
図5に示すように、底部2を接着するための公知の混合糊8が、側部5及びコーナータック6に塗布される。使用される糊8は、デンプンと水の混合物を主成分としている。その塗布時には、サイドフラップの折り目4の領域、及び、サイドフラップ5とコーナータック6の端部領域から、糊8が省かれるよう注意すべきである。同様に、底部形成機では、サイドフラップの折り目4に沿って、底部折り筋が付けられる。
【0043】
接着剤11を活性化するためには湿らせる必要があるが、接着剤11を湿らせることは、デンプンと水の混合物8を塗布することによって行われる。紙が有する毛細管の効果によって接着剤11の活性化が達成される。デンプン糊8に含まれる水分が紙に広がり、接着剤11まで拡散する。これにより、接着剤11は部分的に溶解し、封筒用糊のように粘着性を得る。
【0044】
必要に応じ、適切なノズルを用いて蒸気によって、接着剤11を湿らせる工程を補助してもよい。
【0045】
このように、本発明に係る紙袋10の折りたたまれた船底部2は、サイドフラップの折り目4の領域と、底部中心通路4’’の領域と、端部4’の領域とにおいて、しっかりと閉じられる。これにより、特に、
図6に示した紙袋の端部20の領域では、充填物の漏れが起こり得ない。このようにして、紙袋10は、従来に比べて格段に隙間なく閉じられ、顧客の充填設備が汚れたり、パレット上の充填済み紙袋10が汚れたりすることが防止される。
【0046】
上部3は、底部2に類似した設計とされてもよい。
【0047】
好ましくは、側部5を折る前に、追加的にいわゆる内張りが適用されてもよい。この内張りにより、紙袋10の底部2を気密に閉じることができる。このような内張りは、例えば、プラスチックフィルムからなり、接着剤11の接着面を完全に覆ってもよく、あるいは、接着剤11の一定の面に部分的にのみ接着されてもよい。いずれの場合も、底部2の開口が、上記フィルムにより完全に気密に且つ隙間なく接着されるように、接着が行われる。この場合、側部5は、紙袋を隙間なく封止することに寄与せず、折りたたみ部分は、運搬するために紙袋10の光学設計に役立つに過ぎない。
【0048】
内張りを使用する場合は、原則として、ゴム糊11を省略することもできる。内張りを使用する場合は、特に、内張りに該内張りを縁取るようにデンプン糊を塗布し、これを開いた状態の底部2に接着する手順としてもよい。その後、デンプン糊を底部2全体に直接塗布するので、ゴム糊は不要である。その他の変形例は、底部を接着するためのゴム糊11が部分的にのみ内張りで覆われるよう設計され得る。覆われていない部分は、底部2を閉じるときに、接着される。
【国際調査報告】