【実施例】
【0150】
下記実施例は、先の開示を補い、本明細書に記載された主題のより良好な理解を提供するために提供される。これらの実施例は、記載された主題を限定すると解釈されるべきでない。本明細書に記載された実施例及び実施形態は、例示のみを目的とするものであり、それらを考慮して種々の改変又は変更が、当業者に明らかであろう。また、本明細書に記載された実施例及び実施形態は、本発明の真の範囲内に含まれ、本発明の真の範囲を逸脱することなくなされ得ることが理解される。
【0151】
試薬及び構築物
カニクイザルPSMA(カニクイザルタンパク質データベース参照番号:EHH56646.1、配列番号:32)及びチンパンジーPSMA(Uniprot参照番号:H2Q3K5、配列番号:33)の細胞外ドメインを、6Hisタグ及びAviタグと共にpUnder発現ベクターにクローニングした。タンパク質を、293HEK−expi細胞内で一時的に発現させた。上清を回収し、遠心分離により透明にした。タンパク質を、1)HisTrap HPカラムを用いたIMAC精製、及び2)サイズ排除精製(Superdex 200)の二段階の精製プロセスを用いて精製した。ここでの溶出緩衝液は、PSMAの二量化を安定させるための、Mg
2+、Ca
2+、及び0.5mMのZnCl
2を含有するDPBSである。目的のタンパク質を含有する画分をプールし、タンパク質濃度をA280で測定した。
【0152】
黄色ブドウ球菌のソルターゼAをコードする遺伝子をDNA2.0で作製し、T5プロモータ下で発現するpJexpress401ベクター(DNA2.0)にサブクローニングした。可溶性発現用のソルターゼ構築物は、25個のアミノ酸からなる天然タンパク質のN末端ドメインを欠いている。なぜなら、このドメインが膜に会合しているからである(Ton−That et al.,Proc Natl Acad Sci U S A 96:12424〜12429,1999)。ソルターゼを、N末端His6タグ(HHHHHH、配列番号:34)に続くタグ除去用のTEVプロテアーゼ部位(ENLYFQS、配列番号:54)で発現させ、配列番号:52のアミノ酸配列を有するソルターゼを得た。用いたソルターゼタンパク質はまた、野生型タンパク質(配列番号:53)と比較すると酵素の触媒効率を向上させると報告されている5つの変異を有する配列を含む(Chen et al.,Proc Natl Acad Sci U S A 108:11399〜11404,2011)。プラスミドを、発現用の大腸菌BL21 Gold細胞(Agilent)に形質転換した。単一コロニーを選択して、カナマイシンを補足したLuria Broth(Teknova)内で培養し、37℃、250RPMで18時間インキュベートした。カナマイシンを補足した250mLのTerrific Broth(Teknova)を、これら継代培養から播種し、37℃で振とうしながら約4時間培養した。1mMのIPTGを用いてタンパク質発現を誘導した。タンパク質を30℃で18時間発現させた。6000gの遠心分離で細胞を回収し、精製するまで−20℃で保存した。凍結細胞ペレットを室温で30分間解凍し、30mLあたり1μLの組換えリゾチーム(EMD Millipore)を、細胞ペースト1gあたり5mLで補足したタンパク質抽出試薬BugBusterHT(EMD Millipore)中に懸濁させ、振とう器を用いて室温で30分間インキュベートした。74,600gの遠心分離を30分間行い、溶解液を透明にした。
【0153】
上清を、3mLのQiagen Superflow Ni−NTAレジンを充填した自然落下式カラムに添加した。当該レジンは、緩衝液A(50mMリン酸ナトリウム緩衝液、pH7.0、0.5M NaCl及び10mMイミダゾールを含む)を用いて予め平衡化した。添加後、カラムを100mLの緩衝液Aで洗浄した。250mMのイミダゾールを補足した緩衝液Aを用いてタンパク質を溶出し、PBS(Gibco)を用いて平衡化した分取用ゲル濾過カラム、TSK Gel G3000SW 21.5×600mm(Tosoh)に添加した。AKTA−AVANTクロマトグラフィーシステムを用いて、PBS中、流速10mL/分、室温でゲル濾過クロマトグラフィーを行った。それから、TEVプロテアーゼを用いて精製されたソルターゼを消化し、His6タグを除去した。28mgのソルターゼを、1mMのDTTを補足した添付緩衝液中の、3000ユニットを含む10mLのAcTEVプロテアーゼ(Invitrogen)中で、30℃で2時間インキュベートした。Ni−NTAレジンを用いて、タグを含まないソルターゼを精製した。PD−10カラム(GE Healthcare)を用いて、反応液をTBS緩衝液(50mMトリス、pH7.5、150mM NaCl)に交換し、緩衝液Aを用いて予め平衡化した、0.5mLのQiagen Superflow Ni−NTAレジンを充填した自然落下式カラムに添加した。フロースルーを回収し、フロースルーに加えた3mLの緩衝液Aを用いて、レジンを洗浄した。このフロースルーを、Amicon 15濃縮器(カットオフ10kDa)(EMD Millipore)を用いて、約0.5mLに濃縮した。追加のTBS緩衝液を加え、サンプルを再度濃縮し(2度繰り返した)、緩衝液をTBSに交換した。40%グリセロールの1/3容量を加え(終濃度10%グリセロール)、短期使用向けに−20℃で、長期使用向けに−80℃でソルターゼを保存した。
【0154】
実施例1.無作為化したループを有するTenconライブラリの構築
Tencon(配列番号:1)は、ヒトテネイシンC由来の15個のFN3ドメインのコンセンサス配列から設計された、免疫グロブリン様スキャフォールドのフィブロネクチンIII型(FN3)ドメインである(Jacobs et al.,Protein Engineering,Design,and Selection,25:107−117,2012、米国特許第8,278,419号)。Tenconの結晶構造は、7個のβ鎖をつなぐ6回表面露出ループを示す。これらのループ又は各ループ内の選択された残基を無作為化して、フィブロネクチンIII型(FN3)ドメインのライブラリを構築することができ、このライブラリを用いて特異的標的に結合する新規分子を選択することができる。
【0155】
Tencon:
Lpapknlvvsevtedslrlswtapdaafdsfliqyqesekvgeainltvpgsersydltglkpgteytvsiygvkgghrsnplsaeftt(配列番号:1)
Tenconスキャフォールド及び種々の設計戦略を用いて、種々のライブラリを作製した。通常、ライブラリTCL1及びTCL2は、良好なバインダーを生成する。TCL1及びTCL2ライブラリの作製については、国際公開第2014081944(A2)号に詳細が記載されている。
【0156】
TCL1ライブラリの構築
Tencon(配列番号:1)のFGループのみを無作為化するように設計されたライブラリTCL1を、cisディスプレイシステムで用いるために構築した(Jacobs et al.,Protein Engineering,Design,and Selection,25:107〜117,2012)。このシステムにおいて、Tacプロモータ、Tenconライブラリコード配列、RepAコード配列、cisエレメント、及びoriエレメントの配列を組み入れる一本鎖DNAを作製する。インビトロ転写/翻訳系で発現させると、それがコードされるDNAに対してcisで結合したTencon−RepA融合タンパク質の複合体が産生される。次に、標的分子に結合する複合体を単離して、以下に記述されるようにポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によって増幅する。
【0157】
cisディスプレイで用いるためのTCL1ライブラリの構築は、PCRの連続ラウンドによって得られ、最終的に直鎖状の二本鎖DNA分子が二等分して産生された;2m(5’)フラグメントは、プロモータとTencon配列とを含むが、1m(3’)フラグメントはrepA遺伝子とcis及びoriエレメントとを含む。これらの二等分分子を制限酵素消化によって結合させて、完全な構築物を産生する。TCL1ライブラリは、TenconのFGループ、KGGHRSN(配列番号:55)のみにランダムアミノ酸を組み込むように設計された。このライブラリの構築にNNSコドンを用い、それによって20個全てのアミノ酸及び1つの終止コドンが、FGループに組み入れられ得る。TCL1ライブラリは、多様性を更に増加させるために、それぞれが異なる長さの、7〜12残基の無作為化FGループを有する、6個の個別のサブライブラリを含む。
【0158】
TCL1ライブラリ(配列番号:2)
LPAPKNLVVSEVTEDSLRLSWTAPDAAFDSFLIQYQESEKVGEAINLTVPGSERSYDLTGLKPGTEYTVSIYGVX
7〜12PLSAEFTT;式中、X
1、X
2、X
3、X
4、X
5、X
6、X
7は、任意のアミノ酸であり、X
8、X
9、X
10、X
11及びX
12は、任意のアミノ酸又は欠損である。
【0159】
TCL2ライブラリの構築
TenconのBC及びFGループの両方が無作為化されて、それぞれの位置でのアミノ酸の分布が厳密に制御されているTCL2ライブラリを構築した。表6は、TCL2ライブラリにおける所望のループ位置でのアミノ酸分布を示す。設計されたアミノ酸分布は2つの目的を有した。第一に、ライブラリを、Tencon結晶構造の解析及び/又はホモロジーモデリングに基づいて、Tenconのフォールディング及び安定性にとって構造的に重要となると予測される残基に向けて偏らせた。例えば、29番目の位置は、Tenconが折り畳まれた際に疎水性コアの中に埋もれることから、疎水性アミノ酸のサブセットのみとなるように固定した。第2の設計は、高親和性バインダーを効率よく生成するために、抗体の重鎖HCDR3に優先的に認められる残基の分布となるようにアミノ酸分布を偏らせることを含んだ(Birtalan et al.,J Mol Biol 377:1518〜28,2008;Olson et al.,Protein Sci 16:476〜84,2007)。この目標に向かって、表5の「設計された分布」は、以下の分布を指す:6%アラニン、6%アルギニン、3.9%アスパラギン、7.5%アスパラギン酸、2.5%グルタミン酸、1.5%グルタミン、15%グリシン、2.3%ヒスチジン、2.5%イソロイシン、5%ロイシン、1.5%リジン、2.5%フェニルアラニン、4%プロリン、10%セリン、4.5%トレオニン、4%トリプトファン、17.3%チロシン、及び4%バリン。この分布には、メチオニン、システイン、及び終止コドンが含まれない。
【0160】
TCL2ライブラリ(配列番号:3)
LPAPKNLVVSEVTEDSLRLSWX
1X
2X
3X
4X
5X
6X
7X
8SFLIQYQESEKVGEAINLTVPGSERSYDLTGLKPGTEYTVSIYGVX
9X
10X
11X
12X
13SX
14X
15LSAEFTT;式中、X
1は、Ala、Arg、Asn、Asp、Glu、Gln、Gly、His、Ile、Leu、Lys、Phe、Pro、Ser、Thr、Trp、Tyr又はValであり、X
2は、Ala、Arg、Asn、Asp、Glu、Gln、Gly、His、Ile、Leu、Lys、Phe、Pro、Ser、Thr、Trp、Tyr又はValであり、X
3は、Ala、Arg、Asn、Asp、Glu、Gln、Gly、His、Ile、Leu、Lys、Phe、Pro、Ser、Thr、Trp、Tyr又はValであり、X
4は、Ala、Arg、Asn、Asp、Glu、Gln、Gly、His、Ile、Leu、Lys、Phe、Pro、Ser、Thr、Trp、Tyr又はValであり、X
5は、Ala、Arg、Asn、Asp、Glu、Gln、Gly、His、Ile、Leu、Lys、Phe、Pro、Ser、Thr、Trp、Tyr又はValであり、X
6は、Ala、Arg、Asn、Asp、Glu、Gln、Gly、His、Ile、Leu、Lys、Phe、Pro、Ser、Thr、Trp、Tyr又はValであり、X
7は、Phe、Ile、Leu、Val又はTyrであり、X
8は、Asp、Glu又はThrであり、X
9は、Ala、Arg、Asn、Asp、Glu、Gln、Gly、His、Ile、Leu、Lys、Phe、Pro、Ser、Thr、Trp、Tyr又はValであり、X
10は、Ala、Arg、Asn、Asp、Glu、Gln、Gly、His、Ile、Leu、Lys、Phe、Pro、Ser、Thr、Trp、Tyr又はValであり、X
11は、Ala、Arg、Asn、Asp、Glu、Gln、Gly、His、Ile、Leu、Lys、Phe、Pro、Ser、Thr、Trp、Tyr又はValであり、X
12は、Ala、Arg、Asn、Asp、Glu、Gln、Gly、His、Ile、Leu、Lys、Phe、Pro、Ser、Thr、Trp、Tyr又はValであり、X
13は、Ala、Arg、Asn、Asp、Glu、Gln、Gly、His、Ile、Leu、Lys、Phe、Pro、Ser、Thr、Trp、Tyr又はValであり、X
14は、Ala、Arg、Asn、Asp、Glu、Gln、Gly、His、Ile、Leu、Lys、Phe、Pro、Ser、Thr、Trp、Tyr又はValであり、X
15は、Ala、Arg、Asn、Asp、Glu、Gln、Gly、His、Ile、Leu、Lys、Phe、Pro、Ser、Thr、Trp、Tyr又はValである。
【0161】
【表5】
*残基の番号付けは、配列番号:1のTencon配列に基づく。
【0162】
その後、これらのライブラリを種々の方法を用いて改良した。改良方法としては、野生型Tenconと比較して安定化させた、置換E11R/L17A/N46V/E86I(Tencon27、配列番号:4)を組み込んだTenconフレームワーク(米国特許第8,569,227号)上にライブラリを構築することと、BC及びFGループにおいて無作為化した位置を変えることと、が挙げられる。Tencon27は、国際公開第2013049275号に記載されている。これにより、TenconのFGループ(ライブラリTCL9)のみの、あるいは、BC及びFGループの組み合わせ(ライブラリTCL7)の無作為化を目的とした新規ライブラリを作製した。これらのライブラリを、cisディスプレイシステムで用いるために構築した(Odegrip et al.,Proc Natl Acad Sci U S A 101:2806〜2810,2004)。この設計の詳細を以下に示す。
【0163】
安定化させたTencon(Tencon27)(配列番号:4)
LPAPKNLVVSRVTEDSARLSWTAPDAAFDSFLIQYQESEKVGEAIVLTVPGSERSYDLTGLKPGTEYTVSIYGVKGGHRSNPLSAIFTT
【0164】
TCL7(無作為化したFG及びBCループ)(配列番号:5)
LPAPKNLVVSRVTEDSARLSWX
1X
2X
3X
4X
5X
6X
7X
8X
9FDSFLIQYQESEKVGEAIVLTVPGSERSYDLTGLKPGTEYTVSIYGVX
10X
11X
12X
13X
14X
15X
16X
17X
18X
19SNPLSAIFTT;式中、X
1、X
2、X
3、X
4、X
5、X
6、X
10、X
11、X
12、X
13、X
14、X
15及びX
16は、A、D、E、F、G、H、I、K、L、N、P、Q、R、S、T、V、W又はYであり、X
7、X
8、X
9、X
17、X
18及びX
19は、A、D、E、F、G、H、I、K、L、N、P、Q、R、S、T、V、W、Y又は欠損である。
【0165】
TCL9(無作為化したFGループ)(配列番号:6)
LPAPKNLVVSRVTEDSARLSWTAPDAAFDSFLIQYQESEKVGEAIVLTVPGSERSYDLTGLKPGTEYTVSIYGVX
1X
2X
3X
4X
5X
6X
7X
8X
9X
10X
11X
12SNPLSAIFTT;式中、X
1、X
2、X
3、X
4、X
5、X
6及びX
7は、A、D、E、F、G、H、I、K、L、N、P、Q、R、S、T、V、W又はYであり、X
8、X
9、X
10、X
11及びX
12は、A、D、E、F、G、H、I、K、L、N、P、Q、R、S、T、V、W、Y又は欠損である。
【0166】
ライブラリ構築では、ライブラリのアミノ酸分布を制御するために、かつ終止コドンを除去するために、Slonomics技術(Sloning Biotechnology GmbH)を用いて、無作為化したBCループ(長さ6〜9の位置)又はFGループ(長さ7〜12の位置)をコードするDNAフラグメントを合成した。BCループ又はFGループのいずれかを無作為化する2つの異なるDNA分子のセットを別々に合成し、その後PCRを用いて結合し、完全なライブラリ産物を作製した。
【0167】
FGループライブラリ(TCL9)の構築
2m(5’)Tacプロモータに続く、FGループにおいて無作為化したコドンを除くTenconの完全な遺伝子配列からなる合成DNA分子のセットを作製した(配列番号:26〜31)。FGループの無作為化において、システイン及びメチオニン以外の全てのアミノ酸は、同一の割合でコードされた。多様化した部位の長さは、FGループにおける7個、8個、9個、10個、11個又は12個のアミノ酸をコードするようになっている。それぞれに長さを変化させたサブライブラリを2μgのスケールで別々に合成してから、Sloning−FOR(配列番号:9)及びSloning−Rev(配列番号:10)のオリゴを用いたPCRで増幅した。
【0168】
ライブラリの1m(3’)フラグメントは、PspOMI制限部位、repA遺伝子のコード領域、並びにcis及びoriエレメントを含む、ディスプレイのためのエレメントを含む一定のDNA配列である。PCR反応を行い、M13フォワードプライマー及びM13リバースプライマーを有するプラスミド(pCR4Blunt)(Invitrogen)を鋳型として用いて、このフラグメントを増幅させた。得られたPCR産物を、PspOMIで終夜消化して、ゲル精製した。ライブラリDNAの2m(5’)部分を、repA遺伝子を含む1m(3’)DNAにライゲートするために、2pmol(約540ng〜560ng)の2m(5’)DNAを、NotI及びPspOMI酵素並びにT4リガーゼの存在下で、等モル(約1.25μg)の1m(3’)repA DNAに、37℃で一晩ライゲートした。オリゴPOP2250(配列番号:11)及びDigLigRev(配列番号:12)を用いた12サイクルのPCRを使用することにより、ライゲートしたライブラリ産物を増幅した。それぞれのサブライブラリにおいて、12サイクルのPCR反応により得られたDNAを混合し、Qiagenスピンカラムを用いて精製した。TCL9のそれぞれのサブライブラリの収量は、32〜34μgの範囲であった。
【0169】
FG/BCループライブラリ(TCL7)の構築
TCL7ライブラリは、無作為化したTenconのBC及びFGループを含むライブラリを提供する。このライブラリでは、6〜9アミノ酸長のBCループを、無作為化した7〜12アミノ酸長のFGループと組み合わせて混合した。タンパク質のN末端部分を上流にコードし、かつBCループが6個、7個、8個又は9個の無作為化したアミノ酸のいずれかで置換されるような残基VXを含む、Tencon遺伝子を導入するために、合成TenconフラグメントBC6、BC7、BC8及びBC9(配列番号:13〜16)を作製した。L17A、N46V及びE83I変異(CEN5243)の発見に先立ってこれらのフラグメントを合成したが、これらの変異を、以下に記載する分子生物学の工程を用いて導入した。このフラグメントを、無作為化したFGループをコードするフラグメントと結合させるために、以下の工程を行った。
【0170】
最初に、アミノ酸A17(130mer−L17A、配列番号:17)をコードするヌクレオチド上流の、TenconのTacプロモータ及び2m(5’)配列をコードするDNAフラグメントを、オリゴPOP2222ext(配列番号:18)及びLS1114(配列番号:19)を用いたPCRにより作製した。これを行うことにより、ライブラリ内にL17A変異(CEN5243)を導入した。次に、無作為化したBCループを含む、Tencon残基R18−V75をコードするDNAフラグメントを、鋳型としてのBC6、BC7、BC8又はBC9、並びにオリゴLS1115(配列番号:20)及びLS1117(配列番号:21)を用いたPCRにより増幅した。このPCR工程により、1m(3’)末端にBsaI部位を導入した。続いて、オリゴPOP2222ext及びLS1117をプライマーとして用いたオーバーラッピングPCR法により、これらのDNAフラグメントを連結させた。240bpの得られたPCR産物をプールし、Qiagen PCR精製キットを用いて精製した。精製したDNAをBsaI−HFで消化し、ゲル精製した。
【0171】
オリゴヌクレオチドSDG10(配列番号:22)及びSDG24(配列番号:23)を含むFG7、FG8、FG9、FG10、FG11及びFG12(配列番号:26〜31)を鋳型として用いたPCRにより、FGループをコードするフラグメントを増幅し、BsaI制限部位、並びにN46V及びE86I変異(CEN5243)を組み込んだ。
【0172】
3ウェイライゲーションを用いた単一工程で、消化したBCフラグメント及びFGフラグメントを共にライゲートした。16組の可能な組み合わせに対して4回のライゲーション反応(それぞれのライゲーション反応では、2つのBCループ長を2つのFGループ長と連結させる)を準備した。それぞれのライゲーションは、約300ngの総BCフラグメント及び300ngのFGフラグメントを含有していた。それから、オリゴPOP2222(配列番号:24)及びSDG28(配列番号:25)を用いたPCRにより、これら4つのライゲーションプールを増幅した。その後、7.5μgのそれぞれの反応産物をNotIを用いて消化し、Qiagen PCR精製カラムを用いて洗浄した。5.2μgのこのDNAを、PspOMIを用いて消化した等モル量のRepA DNAフラグメント(約14μg)とライゲートし、その産物を、オリゴPOP2222を用いたPCRにより増殖させた。
【0173】
実施例2:別の結合表面を有するTenconライブラリの作製
特定のライブラリ設計において無作為化させる残基を選択することにより、作製した相互作用表面の全体的な形状が決まる。BC、DE及びFGループが無作為化されたライブラリからマルトース結合タンパク質(MBP)と結合させるために選択したスキャフォールドタンパク質を収容するFN3ドメインのX線結晶構造解析を行うことにより、MBPの活性部位に適合する大きく湾曲した界面を有することが示された(Koide et al.,Proc Natl Acad Sci U S A 104:6632〜6637,2007)。対照的に、MBPと結合させるために選択したアンキリン反復スキャフォールドタンパク質は、遥かに平坦な相互作用表面を有し、MBPの外側表面(活性部位から離れた)に結合することを見出した(Binz et al.,Nat Biotechnol 22:575〜582,2004)。これらの結果は、スキャフォールド分子の結合表面の形状(湾曲対平坦)が、標的タンパク質上のどの標的タンパク質又は特定エピトープがスキャフォールドに効果的に結合可能かについて決定し得ることを示唆している。タンパク質結合において、FN3ドメインを収容するタンパク質スキャフォールドの改変に関して公開された試みは、標的結合のための隣接したループを改変することに基づいており、そのため湾曲した結合表面を作製していた。このアプローチでは、このようなスキャフォールドが接触可能な標的及びエピトープの数が制限される場合がある。
【0174】
Tencon及びその他のFN3ドメインは、分子の向かい合う面上に位置する2セットのCDR様ループを有しており、第1のセットはBC、DE及びFGループで形成されており、第2のセットはAB、CD及びEFループで形成されている。2セットのループは、FN3構造の中心を形成するβストランドにより分離されている。Tenconの画像を90度回転させると、別の表面を見ることができる。このわずかに凹状の表面は、CD及びFGループ並びに2本の逆平行βストランド(C及びFβストランド)により形成され、本明細書では、C−CD−F−FG表面と呼んでいる。C−CD−F−FG表面を鋳型として用い、表面を形成する残基のサブセットを無作為化することにより、タンパク質スキャフォールド相互作用表面のライブラリを設計することができる。βストランドは、その他全ての残基がタンパク質表面に露出した側鎖を有する反復構造を有している。それゆえ、βストランド内で表面に露出した残基の一部又は全てを無作為化することにより、ライブラリを作製することができる。βストランド内の適切な残基を選択することによって、Tenconスキャフォールドに固有の安定性が損なわれることを最小限に留める必要があるが、一方で、その他タンパク質と相互作用する独特なスキャフォールド表面が提供される。
【0175】
ライブラリTCL14(配列番号:7)を、Tencon27スキャフォールド(配列番号:4)の設計に組み込んだ。
【0176】
このライブラリを構築するために用いた方法の詳細な記述は、米国特許公開第2013/0226834号に記述されている。
【0177】
TCL14ライブラリ(配列番号:7)
LPAPKNLVVSRVTEDSARLSWTAPDAAFDSFX
1IX
2YX
3EX
4X
5X
6X
7GEAIVLTVPGSERSYDLTGLKPGTEYX
8VX
9IX
10GVKGGX
11X
12SX
13PLSAIFTT;式中、X
1、X
2、X
3、X
4、X
5、X
6、X
10、X
11、X
12及びX
13は、A、D、E、F、G、H、I、K、L、N、P、Q、R、S、T、V、W、Y、C又はMである。
【0178】
Tencon27内でC−CD−F−FG表面を形成する2本のβストランドは、無作為化させることが可能なトータルで9つの表面に露出した残基、Cストランド(S30、L32、Q34、Q36)、及びFストランド(E66、T68、S70、Y72及びV74)を有しており、一方で、CDループは、潜在的な6つ残基(S38、E39、K40、V41、G42及びE43)を有しており、FGループは、潜在的な7つの残基(K75、G76、G77、H78、R79、S80及びN81)を有している。全22残基が無作為化された場合の、ライブラリのより大きな理論的サイズによって、TCL14設計中に含有させるための選択残基を選択した。
【0179】
無作為化のため、Tencon内の13ヵ所を選択した:Cストランド内のL32、Q34及びQ36、CDループ内のS38、E39、K40及びV41、Fストランド内のT68、S70及びY72、並びにFGループ内のH78、R79及びN81。C及びFストランド内のS30及びE66は、CD及びFGループを越えた位置に存在し、明らかにC−CD−F−FG表面の一部であるようには見えないため、無作為化させなかった。CDループ内のG42及びE43は、グリシンがループ領域において有用であり(可撓性を提供する)、E43が表面の連結部に存在するため、無作為化させなかった。FGループ内のK75、G76、G77及びS80についても除外した。上記理由によりグリシンを除外したが、結晶構造を慎重に検査することによって、S80が、安定したFGループの形成を補助するためにコアと重要な接触を行っていることが判明した。K75は、C−CD−F−FG表面の表面から離れて面しており、無作為化の候補としては魅力に欠けていた。オリジナルのTCL14設計では上述した残基を無作為化させなかったが、それらを続くライブラリ設計に組み込み、新しい選択の、又は例えば、選択TCL14標的特異性ヒットにおける親和性成熟ライブラリの、更なる多様性を提供することが可能である。
【0180】
TCL14を作製した後に、類似した設計の、3つの別のTenconライブラリを作製した。これら2つのライブラリを用いて、TCL14と同一位置(上記を参照のこと)において、TCL19、TCL21及びTCL23を無作為化させるが、これらの位置で生じるアミノ酸の分布は異なる(表6)。TCL19及びTCL21を設計し、18個の天然アミノ酸を全ての位置において等しい分布(それぞれ5.55%)で導入した(システイン及びメチオニンだけは除外)。無作為化したそれぞれの位置が、表6に記載の機能性抗体のHCDR3ループ(Birtalan et al.,J Mol Biol 377:1518〜1528,2008)において見られるアミノ酸分布に近似するように、TCL23を設計した。TCL21ライブラリと同様に、システイン及びメチオニンは除外した。
【0181】
その他のライブラリにおける潜在的な標的結合表面を拡大するために、3番目の別のライブラリを構築した。このライブラリ、TCL24では、TCL14、TCL19、TCL21及びTCL23ライブラリと比較して、4ヵ所の別のTencon位置を無作為化させた。これらの位置には、Dストランド由来のN46及びT48、並びにGストランド由来のS84及びI86が含まれている。これらの残基の側鎖がβストランドD及びGから露出した表面であり、かつC及びFストランドの無作為化した位置と構造的に隣接した位置に存在することから、位置46、48、84及び86がとりわけ選択された。それゆえ、標的タンパク質に結合するための接触可能な表面積が増加する。TCL24のそれぞれの位置で用いたアミノ酸分布は、表6のTCL19及びTCL21について記載した分布と同一である。
【0182】
TCL24ライブラリ(配列番号:8)
LPAPKNLVVSRVTEDSARLSWTAPDAAFDSFX
1IX
2YX
3EX
4X
5X
6X
7GEAIX
8LX
9VPGSERSYDLTGLKPGTEYX
10VX
11IX
12GVKGGX
13X
14SX
15PLX
16AX
17FTT;式中、X
1、X
2、X
3、X
4、X
5、X
6、X
10、X
11X
12、X
13、X
14、X
15、X
16及びX
17は、A、D、E、F、G、H、I、K、L、N、P、Q、R、S、T、V Y又はWである。
【0183】
表6.TCL21、TCL23及びTCL24のそれぞれの無作為化した位置におけるアミノ酸頻度(%)
【0184】
【表6】
【0185】
TCL21、TCL23及びTCL24ライブラリの作製
アミノ酸分布を制御するために、Colibraライブラリ技術(Isogenica)を用いてTCL21ライブラリを作製した。アミノ酸分布を制御するために、Slonomics技術(Morphosys)を用いて、TCL19、TCL23及びTCL24の遺伝子フラグメントを作製した。冒頭の合成に続いてPCRを用いてそれぞれのライブラリを増幅し、その後、ループライブラリについて上記したとおり、CISディスプレイシステム(Odegrip et al.,Proc Natl Acad Sci U S A 101:2806〜2810,2004)を用いた選択に使用するために、RepA遺伝子にライゲートした。
【0186】
実施例3:PSMAと結合するフィブロネクチンIII型(FN3)ドメインの選択
プレートベース選択
CISディスプレイを用いて、TCL7、TCL9、TCL19及びTCL21ライブラリからPSMA結合FN3ドメインを選択した。インビトロ転写及び翻訳(ITT)のために、完全アミノ酸(0.1mM)、1X S30プレミックス成分、及びS30抽出液(15μL)(Promega)(総容積50μL)を用いて、ライブラリDNA(3μg)を30℃でインキュベートした。1時間後、ブロッキング溶液(375μL)(1X TBS、pH7.4、0.01% I−block(Life Technologies,#T2015)、100μg/mLニシン精子DNA)を添加し、反応液を氷上で15分間インキュベートした。抗ヒトPSMA抗体(Lifespan Bioscience,catalog#LC−C150527)をコートした96ウェルMaxisorbプレート上に固定化した、組換えタンパク質、チンパンジーPSMA(pan 229)若しくはカニクイザルPSMA(pan 230)、又はカニクイザルPSMA−Fc融合(pan 231)を用いて、ITT反応液をインキュベートした。非結合ライブラリメンバーを、TBST及びTBSで連続的に洗浄することによって除去した。洗浄後、85℃に10分間加熱することにより標的タンパク質からDNAを溶出させ、更なるパニングラウンドのためにPCRを用いて増幅させた。それぞれのラウンドにおいて、標的PSMAの濃度を400nMから100nMへと連続的に低下させて、洗浄のストリンジェンシーを高めることによって、高親和性バインダーを単離した。
【0187】
パニング後、選択したFN3ドメインをPCRを用いて増殖し、リガーゼ非依存的クローニング部位を含めるように改変されたpETベクターにサブクローニングして、標準的な分子生物学的手法を用いて大腸菌において可溶性で発現させるために、BL21−GOLD(DE3)(Stratagene)細胞に形質転換した。精製及び検出を可能にするために、C−末端ポリヒスチジンタグをコードする遺伝子配列を、各FN3ドメインに付加した。1mLの96ウェルブロックにおいて、100μg/mLカルベニシリンを補足したTB培地中で、培養物を37℃で吸光度が0.6〜0.8となるまで増殖させた後、IPTGを1mMとなるように添加し、その時点で温度を30℃に低下させた。およそ16時間後に細胞を遠心分離させて回収し、−20℃で凍結した。それぞれのペレットをBugBuster(登録商標)HT溶解緩衝液(Novagen EMD Biosciences)0.6mL中で、室温で45分間振とうさせながらインキュベートすることによって細胞溶解物を得た。
【0188】
ビーズベース選択
FN3ドメインはまた、ビーズベースの捕捉配列を用いて選択した。ITT反応液を上述のように調製した後、ビオチン化組換えタンパク質(チンパンジーPSMA又はカニクイザルPSMA)を用いてインキュベートした。ビオチン化組換えタンパク質及び結合ライブラリメンバーを、ニュートラアビジン又はストレプトアビジンでコートした磁性ビーズ上に捕捉した。非結合ライブラリメンバーを、TBST及びTBSで連続的に洗浄することによって除去した。洗浄後、85℃に10分間加熱することにより標的タンパク質からDNAを溶出させ、更なるパニングラウンドのためにPCRを用いて増幅させた。それぞれのラウンドにおいて、標的PSMAの濃度を400nMから100nMへと連続的に低下させて、洗浄のストリンジェンシーを高めることによって、高親和性バインダーを単離した。
【0189】
オフレート選択
ビーズベース選択の5回目のラウンドにおける産物を、4ラウンドのオフレート選択に供した。ITT後、ビオチン化組換えチンパンジー又はカニクイザルタンパク質を用いて反応液をインキュベートした。タンパク質及び結合ライブラリメンバーを、ニュートラアビジン又はストレプトアビジンでコートした磁性ビーズ上に捕捉し、TBSTで広範囲にわたって洗浄した。結合複合体を、冷却した5μMの組換えPSMAタンパク質で1時間洗浄した。それから、ビーズに結合したITTをTBST及びTBSで広範囲にわたって洗浄し、その後溶出した。ビオチン化標的抗原の濃度を、25nM(ラウンド6及び7)から2.5nM(ラウンド8及び9)へと低下させた。ラウンド7及び9の選択産物を、発現及びスクリーニング用の改変pET15ベクターにサブクローニングした。
【0190】
親和性成熟ライブラリ選択
BCループ由来の23〜30位及びFGループ由来の78〜83位を無作為化させた、Morphosys(Munich、Germany)のSlonomics技術を用いて、クローン配列P229CR9P819−H11(配列番号:40)に基づいた親和性成熟ライブラリ(TCL25)を作製した。親アミノ酸(P229CR9P819−H11由来)をコードするヌクレオチドを、65%の標的頻度でそれぞれの無作為化した位置にドープすることにより、ライブラリにおける標的結合の維持を達成した。含有しないシステイン及びメチオニンを除外して、その他20個の天然アミノ酸全てを等しい確率でコードするコドンの組み合わせを含有するように、残り35%のヌクレオチドを設計した。表7にTCL25成熟ライブラリの設計を示す。表において、括弧内の数字は、それぞれの位置に対応するアミノ酸を含有するように設計されたライブラリ中の分子の割合を表す。このドーピングスキーム(14ヵ所の位置に、65%の親)により、親分子と比較してほとんどの場合3、4、5、6又は7つの変更を含む、理論上の分子分布が生じる。
【0191】
【表7】
【0192】
CISディスプレイを用いて、TCL25ライブラリからPSMA結合FN3ドメインを選択した。ビオチン化組換えタンパク質(チンパンジーPSMA又はカニクイザルPSMA)を用いて、ITT反応液をインキュベートした。ビオチン化組換えタンパク質及び結合ライブラリメンバーを、ニュートラアビジン又はストレプトアビジンでコートした磁性ビーズ上に捕捉した。非結合ライブラリメンバーを、TBST及びTBSで連続的に洗浄することによって除去した。洗浄後、85℃に10分間加熱することにより標的タンパク質からDNAを溶出させ、更なるパニングラウンドのためにPCRを用いて増幅させた。それぞれのラウンドにおいて、標的PSMAの濃度を400nMから100nMへと連続的に低下させて、洗浄のストリンジェンシーを高めることによって、FN3ドメインバインダーを単離した。
【0193】
2回目のラウンドの選択における産物を、4ラウンドのオフレート選択に供した。ITT後、ビオチン化組換えPSMAタンパク質を用いて反応液をインキュベートした。タンパク質及び結合ライブラリメンバーを、ニュートラアビジン又はストレプトアビジンでコートした磁性ビーズ上に捕捉し、TBSTで広範囲にわたって洗浄した。結合複合体を、冷却した5μMの組換えPSMAタンパク質で1時間洗浄した。それから、ビーズに結合したITTをTBST及びTBSで広範囲にわたって洗浄し、その後溶出した。ビオチン化標的抗原の濃度を、25nM(ラウンド3及び4)から2.5nM(ラウンド5及び6)へと低下させた。ラウンド7及び9の選択産物を、発現及びスクリーニング用の改変pET15ベクターにサブクローニングした。
【0194】
PSMAと結合するFN3ドメインの生化学的スクリーニング
ニュートラアビジンでコートしたプレートをStarting Block T20(Pierce)中で1時間ブロッキングし、その後、ビオチン化PSMA(パニングの際と同一の抗原を用いて)又は陰性コントロールで1時間コートした。プレートをTBSTでリンスし、希釈した溶解物をプレートに1時間添加した。更にリンスを行った後、HRPコンジュゲート抗FN3ドメイン抗体(PAB25)でウェルを1時間処理し、それからPOD(Roche)を用いてアッセイした。少なくとも10倍超のバックグラウンドでシグナルを有するFN3ドメインを、更なる解析用に選択した。
【0195】
サイズ排除クロマトグラフィー分析
サイズ排除クロマトグラフィーを用いて、PSMA結合FN3ドメインの凝集状態を決定した。各精製FN3ドメインのアリコート(10μL)をSuperdex 75 5/150カラム(GE Healthcare)に流速0.3mL/分でpH7.4のPBSを移動相として注入した。カラムからの溶出を、280nmの吸光度によってモニターした。野生型Tenconを、それぞれのランにおいてコントロールとして含めた。Agilent ChemStationソフトウェア(Rev.B.04.02)を用いて溶出特性を解析した。同一のランにおいて野生型タンパク質の溶出特性と類似した溶出特性を有するタンパク質のみを、更なるキャラクタリゼーション用として検討した。
【0196】
FN3ドメインのハイスループット発現、コンジュゲート及び精製
生化学的結合ELISAで同定した、ユニークヒット由来の単離クローンを、96ウェルブロックプレート中の増殖用単一ヒットプレートと混合させ、クローンを1mLの培養液中(選択用にカナマイシンを補足したLB培地)、37℃で一晩振とうさせながら増殖させた。96ブロックプレート中でのタンパク質発現用として、カナマイシンを補足したTB培地(1mL)に、一晩培養した培養物(50μL)を播種し、OD600=0.6−1となるまで300rpmで連続振とうを行いつつ37℃で増殖させた。目的のODに到達次第、IPTGを1mMとなるように添加してタンパク質発現を誘導させ、プレートを終夜増殖用に、30℃(300rpm)に移した。一晩培養した培養物を遠心分離にかけて細胞を回収し、細菌ペレットを、使用できる状態になるまで−80℃で保存した。陽性コントロール及び陰性コントロールの両方を、複製用の全てのプレートに含ませた。
【0197】
ソルターゼタグへのコンジュゲート用として、細菌ペレットを解凍し、組換えヒトリゾチーム(EMD,Catalog#71110)を補足したBugBusterHT(EMD Catalog#70922)内で再懸濁及び溶解させた。穏やかに攪拌しながら室温で溶解を進めた後、プレートを42℃に移し、宿主タンパク質を沈殿させた。デブリを遠心分離で沈殿させ、上清を、ソルターゼ触媒標識用の新しいブロックプレートに移した。Gly3−vc−MMAF(Concortis)、タグを含まないソルターゼA、及びソルターゼ緩衝液(トリス、塩化ナトリウム及び塩化カルシウム)を含有するマスターミックスを2倍濃縮で調製し、等容積で溶解上清液に添加した。室温で2時間標識化反応を進めた後、Ni−NTAマルチトラップHPプレート(GE Catalog#28−4009−89)を用いてタンパク質を精製した。イミダゾール含有溶出緩衝液(50mMトリスpH7.5、500mM NaCl、250mMイミダゾール)を用いた段階的溶出により、タンパク質コンジュゲートを回収し、フィルターを滅菌して細胞ベースの細胞傷害性アッセイに直接用いた。
【0198】
FN3ドメイン−薬物コンジュゲートのハイスループット細胞傷害性アッセイ
培養組織でコートした96ウェル黒色プレート(BD/Corning Catalog#353219)に、LNCaP FGC細胞(ATCC,Catalog#CRL−1740)を、アッセイ培地(5%ウシ胎児血清を補足したフェノールレッドフリーRPMI(Life Technologies Catalog#11835−030))内において細胞10,000個/ウェルの密度で蒔いた。細胞吸着用とするため、蒔いたプレートを、5% CO2、37℃で一晩インキュベートした。24時間後、CDCをアッセイ培地中で希釈(1:100、1:300、1:1000又は1:3000)し、LNCaP細胞へと直接添加した。それからLNCaP細胞を、5% CO2、37℃で66〜72時間インキュベートした。CellTiter−Glo試薬(Promega,Catalog#G7571)を用いて、細胞毒性を評価した。100μLの調製試薬を、処理したウェルに直接添加し、穏やかに攪拌しながら10分間インキュベートし、光から保護した。SpectraMax M5プレートリーダーを用いて、蛍光を測定した。数値を未処理コントロールに正規化し、50%超の毒性が達成された場合、更なる解析用に選択した。
【0199】
実施例4:抗PSMA FN3ドメインのキャラクタリゼーション
大規模発現及び精製
FN3ドメイン変異をコードする遺伝子配列をパニングにより発見し、T7プロモータ下で発現するか、あるいはDNA2.0により作製されるpET15bベクターにクローニングし、それから、T5プロモータ下で発現するpJexpress401ベクター(DNA2.0)にサブクローニングした。得られたプラスミドを、発現用の大腸菌BL21 Gold(Agilent)又はBL21DE3 Gold(Agilent)に形質転換した。単一コロニーを選択して、カナマイシンを補足したLuria Broth(Teknova)内で培養し、37℃、250RPMで18時間インキュベートした。カナマイシンを補足した1リットルのTerrific Broth(Teknova)を、これら継代培養から播種し、37℃で振とうしながら4時間培養した。600nmの吸収での吸光度が1.0に到達次第、1mMのIPTGを用いてタンパク質発現を誘導した。37℃、4時間で又は30℃、18時間でタンパク質を発現させた。6000gの遠心分離により細胞を回収し、精製するまで−20℃で保存した。凍結細胞ペレット(約15g〜25g)を室温で30分間解凍し、0.2mg/mLの組換えリゾチーム(Sigma)を、細胞ペースト1gあたり5mLで補足したタンパク質抽出試薬BugBusterHT(EMD Millipore)中に懸濁させ、振とう器を用いて室温で1時間インキュベートした。74600g、25分間の遠心分離により、溶解液を透明にした。AKTA AVANTクロマトグラフィーシステムを用いて、上清を流速4mL/分で氷に挿したQiagen Ni−NTAカートリッジ(5mL)に添加した。その他全てのNi−NTAクロマトグラフィー工程を、流速5mL/分で行った。25.0mLの50mMトリス−HCL緩衝液(pH7.0、0.5M NaCl及び10mMイミダゾールを含む)(緩衝液A)を用いて、Ni−NTAカラムを平衡化した。添加後、カラムを100mLの緩衝液Aで洗浄し、続いて、100mLの50mMトリス−HCL緩衝液(pH7.0、10mMイミダゾール、1%CHAPS及び1%n−オクチル−β−D−グルコピラノシド界面活性剤、を含む)及び100mLの緩衝液Aで洗浄した。250mMのイミダゾールを補足した緩衝液Aを用いてタンパク質を溶出し、PBS(Gibco)を用いて平衡化した分取用ゲル濾過カラム、TSK Gel G3000SW 21.5×600mm(Tosoh)に添加した。AKTA−AVANTクロマトグラフィーシステムを用いて、PBS中、流速10mL/分、室温でゲル濾過クロマトグラフィーを行った。
【0200】
熱安定性測定
キャピラリDSCを用いて熱安定性を測定した。それぞれのサンプルを、PBS(pH7.4)中に1mg/mLの濃度となるように希釈した。オートサンプラー(MicroCal,LLC)を備えたVP−DSC装置を使用して、これらサンプルの融解温度を測定した。サンプルを、10℃から95℃又は100℃まで毎分1℃の速度で加熱した。統合に用いるベースラインを算出するために、各サンプルスキャン間の緩衝液のみのスキャンを完了させた。データを、2つの状態のアンフォールディングモデルにフィッティングさせ、続いて緩衝液のみのシグナルを差し引いた。セルから取り出さずに各サンプルのスキャンを繰り返すことにより、熱変性の可逆性を測定した。
【0201】
PSMA+細胞における、抗PSMA FN3ドメイン−薬物コンジュゲートの選択的細胞傷害性
システイン−マレイミド間の化学反応(Brinkley,Bioconjugate Chemistry 3:2〜13,1992)を介して、あるいは上記のソルターゼ反応を用いて、FN3ドメインをvc−MMAFにコンジュゲートした。LNCaP、VCAP、MDA−PC−2B及びPC3細胞における、FN3ドメイン−vcMMAFコンジュゲートの細胞傷害性をインビトロで評価した。96ウェル黒色プレートで細胞を24時間培養し、その後、異なる量のFN3ドメイン−vcMMAFコンジュゲートで処理した。FN3ドメイン−薬物コンジュゲート(FDDC)で、細胞を66〜72時間インキュベートした。上述したように、CellTiterGloを用いて毒性を評価した。蛍光値をエクセルにインポートし、そこから蛍光値を、グラフ解析用のPrismへとコピー及びペーストした。X=Log(x)を用いてデータを変換してから、非線形回帰を用いて解析し、IC
50を測定するために3パラメータモデルを適用した。
【0202】
表8は、多数の配列ファミリーに対してパニング及びスパニングを行うことにより同定したユニークヒットについてまとめている。FN3ドメインは、55℃〜85℃において熱安定性を示し、22.6〜0.38nMのIC
50値でvcMMAFにコンジュゲートした際、LNCaP細胞に対して細胞傷害性を示した。表9、表10及び表11は、選択クローンのBC、C、CD、F及びFGループのアミノ酸配列を示す。表12は、クラインのアミノ酸配列を示す。
【0203】
【表8】
【0204】
【表9】
【0205】
【表10】
【0206】
【表11】
【0207】
【表12】
【0208】
細胞株パネルに対して、選択薬物コンジュゲートを試験した。表13は、vcMMAFにコンジュゲートしたFN3ドメインのいくつかにおけるIC
50値を示す。データは、1〜9つのカーブフィッティングの平均値を表す。データは、平均値±SEMで提示されている。CDCは、高濃度のPSMAを発現することが周知な株であるLNCaP細胞において最も強力であった。CDCはまた、低濃度のPSMAの前立腺がん株であるMDA−PCA−2B細胞及びVCAP細胞において活性であった。PSMA陰性細胞株であるPC3細胞において活性は観察されず、選択性を示していた。
【0209】
【表13】
【0210】
実施例5:抗PSMA FN3ドメインの改変
システインスキャニング
タンパク質中の種々の位置に導入されたシステイン残基を有する、抗PSMA FN3ドメイン(P233FR9_10)をコードする遺伝子をDNA2.0から入手し、上記で説明したように、タンパク質を発現及び精製するのに用いた。上記のとおり、熱安定性(vcMMAFコンジュゲートの有無両方の場合)及びLNCaP細胞傷害性について、得られたFN3ドメインを評価した。結果は、表14にまとめられている。
【0211】
【表14】
【0212】
実施例6:非標的FN3ドメインの体内分布イメージング
62位にシステインを含むように遺伝子操作した、標的抗原に特異的結合を示さないFN3ドメインを、DOTAにコンジュゲートし、その後、IsoTherapeutics Group,LLC(Angleton,TX)にてジルコニウム−89放射性同位体を結合させた。去勢雄NSGマウス(Jackson laboratories)に1.5%イソフルラン麻酔を行い、Siemens Inveon microPET/CTでイメージングを行った。マウスに、約0.2mCiの[89Zr]FN3ドメイン(配列番号:51)を尾静脈から静注することにより投与し(冷却したFN3ドメインを最大1mg/kgの投与量で)、最初の60分間にわたり連続的にイメージングを行い、その後、FN3ドメインの注入から3、6及び24時間後にイメージングを行った。
【0213】
2Dサブセット化による期待値最大化アルゴリズム(Siemens Healthcare,Knoxville,TN)を用いて、3次元PET画像を、0.107mm×0.107mm×0.107mmのボクセルサイズで768×768×512の断層撮影容積に再構成した。PMOD v3.0ソフトウェア(PMOD Technologies,Zurich,Switzerland)を用いて、画像を処理及び解析した。周知の活性のシリンダをPETスキャナにスキャンし、ドーズキャリブレータで測定した注入ドーズとPET画像内のボクセルあたりのカウントとの間のクロスキャリブレーションを行った。それぞれのPET画像をCT画像へと共に登録し、PMOD画像融合ソフトウェアを用いて解剖学的基準化を行った。解析するそれぞれの組織の4番目のセクション毎に、関心領域(ROI)を囲んだ。ボクセルあたりの平均カウントを抽出し、周知の活性のキャリブレーションシリンダから導いた補正係数を用いて、体重1gあたりの注入ドーズの割合へと変換した。周知のZr−89半減期(78.41時間)を用いて、放射活性の全測定値に対して減衰補正を行った。
【0214】
図1に、経時的な、放射能標識FN3ドメインの組織分布を示す。腎臓及び膀胱への急速な集積が観察され、肝臓への集積はわずかに限られている。このことは、FN3ドメインが腎臓通過時に取り除かれることを示唆している。
【0215】
実施例7:cyno PSMAと複合体を形成した抗PSMA P233FR9_H10の結晶構造
Hisタグを付加したP233FR9−H10 FN3ドメイン(本明細書ではH10 FN3ドメインと呼ぶ)を大腸菌内で発現させ、親和性クロマトグラフィー及びサイズ排除クロマトグラフィーを用いて精製した。dPBS(pH7.2)中にFN3ドメインを加えた。
【0216】
huIgG1 Fc領域にC末端融合するカニクイザルPSMA細胞外ドメインを、GnTI
−細胞内で発現させ、親和性クロマトグラフィー及びサイズ排除クロマトグラフィーを用いて精製した。dPBS(0.5mM ZnCl
2、pH7.2)中に融合タンパク質を加えた。その後、Prescissionプロテアーゼ処理によりFc領域を除去し、続いて親和性クロマトグラフィー及びサイズ排除クロマトグラフィーを行った。単離されたカニクイザルPSMA(cyno PSMA)細胞外ドメインを、dPBS(0.5mM ZnCl
2、pH7.2)中で保存した。
【0217】
cyno PSMAとH10 FN3ドメインをモル比1:3(FN3ドメインが過剰)で混合し、同時に20mMのHepes(pH7.0、0.5mM ZnCl
2)を用いて4℃で48時間透析を行うことにより、H10 FN3ドメイン/cyno PSMA複合体を調製した。その後、グラジエント(48〜68mM NaCl)、Hepes(20mM、pH7.5)及びグリセロール(10%)で、複合体をモノSカラムから溶出させてから、3.4mg/mLに濃縮した。シッティングドロップ蒸気拡散法を20℃で用いて、X線回折に適した結晶を、25% PEG(3kDa)、NH
4Cl(0.2M)及び酢酸ナトリウム(0.1M、pH4.5)から得た。
【0218】
X線データ収集のために、結晶を、20%グリセロールを補足した母液を含む抗凍結溶液中に数秒間浸してから、液体窒素中で凍結させた。アルゴンヌ国立研究所のAdvanced Photon Source(APS)ビームライン17−IDにおいて、Dectris Pilatus 6M画素配列検出装置を用いて、X線回折データを収集した。HKL2000プログラム(Otwinowski & Minor,1997)を用いて、回折データを処理した。X線データの統計値を表15に示す。
【0219】
Phaser(Read,2001)を用いた分子置換(MR)で構造を解析した。MR用のサーチモデルは、ヒトPSMA(PDBコード2C6G)の結晶構造及びP114AR7P94−A3 W33A FN3ドメインの構造であった。PHENIX(Adams et al,2004)を用いて構造を精密化し、COOT(Emsley & Cowtan,2004)を用いてモデルの調整を行った。CCP4プログラムスーツ(CCP4,1994)を用いて、その他全ての結晶学的計算を行った。PyMol(DeLano,2002)を用いて、全ての分子グラフィックスを生成した。構造精密化の統計値を表15に示す。
【0220】
【表15】
*最外郭の値は()内に示す。
【0221】
ホモ二量体のcyno PSMAの構造は、二量体サブユニット毎に、プロテアーゼドメイン(残基57〜116及び352〜590)、アピカルドメイン(残基117〜351)及びヘリカルドメイン(残基591〜750)、並びに、11個の生じ得るN−結合型グリカンのうちの8個(Asn−76、−121、−140、−195、−459、−476、−613及び−638)に対応する残基57〜750を含む。cynoPSMA活性部位は、3ドメイン間の界面に位置しており、当該活性部位は、ヒスチジン残基(H377及びH553)及びグルタミン酸/アスパラギン酸残基(D387、触媒性のE424、E425及びD453)、並びに水分子に配位する2個の亜鉛原子を含んでいる。H10 FN3ドメイン(配列番号:41)の構造は、残基2〜92を含む。H10残基の番号付けは、配列番号:41に従い連番で付けられる。cynoPSMA残基の番号付けは、配列番号:141のcyno PSMA配列の完全長に従い付けられる。成熟cynoPSMA(シグナルペプチドを有さない)は、配列番号:141の残基44から始まる。
【0222】
それぞれのPSMAサブユニットに結合した1つのH10 FN3ドメインを有する非対称ユニットには、1つのcynoPSMAホモ二量体が存在する(
図2A)。PSMAサブユニット内の全同価原子の重ね合わせにおける0.72Åの根平均二乗偏差(r.m.s.d.)によって示されるように、2組のFN3ドメイン/PSMA複合体は、構造的に非常に類似している。また、ヒトPSMAとカニクイザルPSMAとの間には高度な構造類似性がある。FN3ドメイン複合体内のcynoPSMA分子と非結合ヒトPSMA(PDBコード2OOT、1.6Åの解像度における構造)との間の、Cα原子の重ね合わせにおける0.5Åのr.m.s.d.によって示されるように、FN3ドメイン結合により生じる大きなコンフォメーション変化はない。興味深い特性は、FN3ドメインとの相互作用を介したループコンフォメーションの安定化のために、ループ領域541〜547がカニクイザルタンパク質内でのみ可視であることである。
【0223】
FN3ドメイン/PSMA結合部位は、2F
obs−F
calc電子密度マップによりはっきりと規定され、結合残基の確実な位置決めが可能となる。B鎖とC鎖(それぞれPSMAドメイン鎖、FN3ドメイン鎖)との間の相互作用についてのみ、次のセクションで説明する。
【0224】
H10 FN3ドメインは、PSMA活性部位に近い領域に結合し(
図2A)、約1,170Å
2のcynoPSMA領域を覆う。とりわけ、FN3ドメインは、
図3及び
図4に示すとおり、プロテアーゼドメイン(Y460、F488、K499−P502、P504、R511、K514、N540−E542及びN544−F546)、アピカルドメイン(残基R181)及びヘリカルドメイン(残基K610、N613及びI614)において、cynoPSMA残基を認識する。
【0225】
FN3ドメイン4本鎖βシートの表面は、CDループを活性部位の入口へと深く挿入させた状態で、PSMA表面上を包み込む(
図2B及び
図2C)。具体的には、PSMA結合に関わるH10 FN3ドメイン残基は、C(A32及びG34)、D(V46)、F(G64、P68、Y70及びA72)及びG(S84−I86)βストランド、並びにCDループ(W36、W38−D41、E43及びA44)及びFGループ(W79、F81及びP82)に位置する。残基D39、D40、D41及びE43は、FN3ドメインのCDループに負電荷を付与し、これら残基は、基質がファネルに入ること及びPSMAの酵素活性を妨げるように、活性部位内の亜鉛イオンとなる正に荷電したファネルへと約20Åの深さで挿入される(
図2B及び
図2C)。しかしながら、FN3ドメインは、亜鉛イオン又はその配位残基と直接相互作用することはない。
【0226】
保存PSMA残基W541、Y460、F488、P502及びP504は、結合部位間において、FN3ドメイン残基W36、P68、Y70、W79、F81及びP82と芳香族クラスターを形成する(
図3A)。保存残基R511は結合部位と水素結合Y70との中心位置に存在し、FN3ドメイン4本鎖βシートの中心残基である。
図3Bは、パラトープ及びエピトープ残基の略画を示す。
【0227】
ヒトPSMA及びカニクイザルPSMAは97%同一であり、H10と相互作用する全ての残基(S613N変異を除く)は、2種間において保存されている(
図4)。S613N変異はcynoPSMA内でのN613のグリコシル化をもたらし、ヒト酵素中には存在しない、炭水化物とFN3ドメイン残基(E66、I86、T88)(F及びGβストランド)との間のファンデルワールス接触が得られる。
【0228】
コンジュゲート用のFN3ドメイン残基
PSMAの結合又はFN3ドメインのフォールディングを阻害させずに小分子(毒性搭載物)をコンジュゲートさせるため、結合部位の外側にある種々のH10 FN3ドメイン残基を改変することができる。C末端(Hisタグの後ろ)及び位置R11、E53及びK62に、システインを既に配置し搭載物にコンジュゲートした。これら変異の全ては、同様に強力な細胞傷害性を示した。加えて、BCループ内の残基T22、D25及びA26、末端残基N6、並びにDEループ内のS52は、変異誘発に続く化学的コンジュゲートのための潜在的に良好な部位である(
図5)。溶媒に曝されたこれらの残基は、FN3ドメイン/PSMA界面から離れて構造的に柔軟な領域に配置される。
【0229】
更に、N末端領域及びC末端領域の両方は、その他タンパク質ドメインと融合しない。N末端はPSMAプロテアーゼドメインの方向に向けられ、融合リンカーと接触させることができる。一方で、接触可能なC末端もまた、PSMAヘリカルドメインの方向に向いている。FN3ドメイン融合パートナーとの最適リンカー長は、標的分子上の融合パートナーの構造及び結合部位の位置によって決まる。
【0230】
作用機序
H10 FN3ドメインは、搭載物(毒性小分子、核酸など)をFN3ドメイン/PSMA複合体の内部移行により前立腺がん細胞へと送達する際の標的候補である。更に、H10 FN3ドメインは、多重特異性フォーマットの場合、免疫細胞を前立腺がん細胞へと再指向させる際の候補である。
【0231】
H10 FN3ドメインはまた、PSMAの酵素活性を阻害するものと考えられ、それにより細胞適応度及び細胞生存率の低下がもたらされ得る。FN3ドメイン/cynoPSMA構造は、活性部位の入口に結合したFN3ドメインを示し、それにより、結合部位における立体遮断及び直接競合による基質のPSMAとの相互作用が阻害され得る。
【0232】
実施例8:別の抗PSMA FN3ドメイン変異体の作製
選択抗PSMA FN3ドメインを更に改変し、親FN3ドメインの特性を向上させた。それから、上記のライブラリを用いてPSMAに結合するFN3ドメインを作製し、PSMAへの結合性を試験した。
【0233】
表16は、作製した分子のアミノ酸配列を示す。
【0234】
【表16-1】
【0235】
【表16-2】
【0236】
【表16-3】
【0237】
【表16-4】
【0238】
実施例9:蛍光染料にコンジュゲートした抗PSMA FN3ドメインを用いた、腫瘍細胞におけるPSMA発現の検出
本実施例は、蛍光染料にコンジュゲートした抗PSMA FN3ドメインを用いた、細胞上に存在するPSMAの検出について示す。アミノ酸53に遊離システインを有する、C末端にHisタグを付加した抗PSMA FN3ドメインP233FR9_H10(配列番号:49)を、R−フィコエリスリン(PE)(Prozyme catalog#PB31)にコンジュゲートした。スルホ−SMCC(Pierce catalog#22122)を用いてPEを60分間活性化させ、Sephadex G25及びPBS/EDTA緩衝液を用いたゲル濾過クロマトグラフィーにより、活性化させたPEを遊離スルホ−SMCCから分離した。TCEP(Sigma,cat.#646547)を用いて、FN3ドメインを30分間還元した。Sephadex G25及びPBS/EDTA緩衝液を用いたゲル濾過クロマトグラフィーにより、還元したFN3ドメインを遊離TCEPから分離した。活性化させたPEを還元したFN3ドメインに90分間共有結合させ、続いて、N−エチルマレイミド(Sigma catalog#04260)を用いて20分間反応を停止させた。AKTA explorer FPLC(General Electric)に取り付けたTosoh TSKgel G3000SWカラム(100mMリン酸ナトリウム、100mM硫酸ナトリウム、0.05%アジ化ナトリウム、pH6.5)を用いたサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)により、「PEコンジュゲートFN3ドメイン」を精製した。
【0239】
フローサイトメトリー及びCellSearchの循環腫瘍細胞(CTC)アッセイにおいて、PSMAに対して陽性及び陰性を示す細胞株を用い、PEコンジュゲートFN3ドメインの感度及び特異性を試験した。次の前立腺細胞株:LNCaP(PSMA高発現)、22Rv1(PSMA低発現)及びPC3(PSMA発現なし)をATCCから購入し、抗PSMA FN3ドメインの特異性を確認するために使用した。
【0240】
フローサイトメトリーを用いた、細胞株におけるPSMAの検出
標準的な細胞培養法を用いて、前立腺細胞株を回収した。PEコンジュゲートFN3ドメインを含む0.1mLのPBS(1%ウシ血清アルブミン(BSA)を含有)中で、細胞(約30,000)を20分間染色した。Biolegend(クローンLNI−17 catalog # 342504)の抗PSMA抗体−PEコンジュゲートを、陽性コントロールとして用いた。インキュベート後、PBS/BSA緩衝液(3mL)を加え、非結合PEコンジュゲートを遠心分離(800g、5分間)により除去した。上清を吸引し、PBS/BSA(0.3mL)中に細胞を再懸濁させた。サンプルをFACSCalibur(BD Biosciences)で解析した。それぞれの細胞株におけるPSMA染色の平均蛍光強度(MFI)を測定し、抗PSMA抗体のMFIと比較した。MFIは、PSMA高発現細胞株由来の高いMFIを有するPSMAの発現レベルと直接関連している。
図6は、抗PSMA抗体−PEのMFI値と比較した、抗PSMA PEコンジュゲートFN3ドメインで検出された異なる細胞株におけるMFI値を示す。
【0241】
結果は、抗PSMA PEコンジュゲートFN3ドメインが、PSMA陽性細胞株に結合し、PSMA陰性細胞には非特異的に結合しないことを示している。MFIは、予想どおり、PSMA低発現細胞株(22Rv1)の低いMFIと比較して、PSMA高発現細胞株(LNCaP)で高い。PSMA陰性細胞株(PC3)のMFIは、バックグラウンドシグナルに近い。更に、FN3ドメイン−PEの異なる細胞株への結合特性は、抗PSMA抗体−PEと類似しており、FN3ドメインコンジュゲート及び抗体コンジュゲートの両方において同様のMFI値が得られた。本実施例は、抗PSMA PEコンジュゲートFN3ドメインが、腫瘍細胞上のPSMA検出において感度及び特異性を有していることを示す。
【0242】
循環腫瘍細胞アッセイを用いた、PSMAの検出
CELLSEARCHアッセイで抗PSMA PEコンジュゲートFN3ドメインを試験し、7.5mLの血液中の循環腫瘍細胞(CTC)を検出し数えることにより、上記の結果について更に確認した。CELLSEARCHシステム(Janssen Diagnostics,Raritan,NJ,USA)を用いた循環腫瘍細胞の計数は、製造業者のプロトコル及びトレーニングに従い行った。CellSearchアッセイでは、捕捉用に、磁性粒子(強磁性流体)にコンジュゲートした抗EpCAMを用い、またCTCの可視化用に、フルオレセインにコンジュゲートしたサイトケラチン(8、18及び19)に特異的な抗サイトケラチンを用いる。CELLSEARCHアッセイでは、サンプル調製用にAutoPrepを用い、解析用にCELLTRACKS Analyzer II(登録商標)(CTA II)を用いる。CTA IIは4色の半自動蛍光顕微鏡であり、CTCを同定して数えるために3色を用いる。CTA IIの4番目の色は、別の目的マーカーを有するCTCの表現型に用いることができる。本実施例では、組織培養した腫瘍細胞を正常血液にスパイクし、血液中のCTCをミミックした。約500個の腫瘍細胞(LNCaP、22Rv1、PC3又はSKBR3細胞)を、CellSaveチューブ(Janssen Diagnostics)に採取した正常ドナーの血液(7.5mL)にスパイクした。PSMA陰性細胞株として、乳がん細胞株(SKBR3)もまた用いた。CELLSEARCH CXCキット、及びマーカーとしての抗PSMA PEコンジュゲートFN3ドメインを用いたAutoPrepでサンプルを処理した。AutoPrepサンプル調製システムでは、抗EpCAM強磁性流体を用いて腫瘍細胞を捕捉することにより、腫瘍細胞を濃縮する。有核細胞を同定するために、CTCを濃縮したサンプルを核酸染料(DAPI)で染色し、腫瘍細胞を同定するために、抗サイトケラチン抗体をフルオレセインイソチオシアネート(FITC)にコンジュゲートし、また白血球を同定するために、抗白血球抗体をアロフィコシアニン(APC)にコンジュゲートした。サンプルを最終容量0.32mLに処理してから、サンプルチャンバ、更にはMagNest(登録商標)細胞提示デバイスの内部へと移した。MagNest(登録商標)デバイスは、CELLTRACKS Analyzer II(登録商標)で解析するための磁気的に標識した細胞を提供する。CTA IIを用いてサンプルを解析しCTCを計数して、CTC上のPSMAを検出した。解析装置は自動的にサンプルを解析し、確認用のサムネイル画像で、DAPI及びサイトケラチンに対して陽性を示す候補腫瘍細胞を提示する。抗PSMA PEコンジュゲートFN3ドメインで染色した腫瘍細胞のCELLSEARCHアッセイでの結果を、
図7に示す。
【0243】
図7AはLNCaP腫瘍細胞におけるPSMAの発現を示し、これら細胞の100%はPSMAに対して陽性である。PSMA低発現細胞株(22Rv1)は、PSMAに対して26%陽性である(
図7B)。また一方で、PSMA陰性細胞株(PC3−9及びSKBR3)はPSMAに対して陰性である(
図7C及び
図7D)。これらの結果は、フローサイトメトリーの結果と一致する。本実施例は、抗PSMA FN3ドメインを用いてCTCにおけるPSMAの発現を検出可能であること、更に抗PSMA FN3ドメインの感度及び特異性を確認可能であることを示す。
【0244】
実施例10:抗CD3 Fabの結晶構造
SP34 Fabの結晶構造を、2.1Å解像度で決定した。完全なアミノ酸配列が明らかにされ、SP34 mAbが得られる可能性のあるマウス生殖細胞系が特定された。構造を用いてヒトフレームワーク適合を誘導した。
【0245】
材料
SP34 mAbであるマウスIgG3/ラムダアイソタイプを、BD Biosciences Pharmingen(San Diego,CA)(Cat.No.556611)から購入した。技術データシートに従って、同アイソタイプを、親和性クロマトグラフィーにより組織培養上清から精製し、4℃で保存した。Fabフラグメントを、mAb(Pierce,Cat # 44985,Thermofisher)のパパイン消化により生成し、Nab Protein A Plus Spinカラム(Pierce,Cat#44985,Thermofisher)を使用し、製造業者のプロトコルに従って、Fcから分離した。Fabを、20mM MES、pH6.5(緩衝液A)で平衡化したMonoSカラム(GE Healthcare)で更に精製した。緩衝液Aで、50カラム体積において、1M NaClの13〜28%グラジエントで溶出を行った。主なピークに対応する画分をプールし、9.2mg/mLに濃縮し、結晶化に使用した。
【0246】
結晶化
Oryx4ロボット(Douglas Instruments)及びMosquitoロボット(TTP Labtech)を用いた蒸気拡散法により、20℃で結晶化を行った。実験は、96ウェルCorning 3550プレートにおいて、シッティングドロップ形式で、等しい体積のタンパク質及びリザーバ溶液で構成された。初期スクリーニングは、PEGキット(Qiagen)、並びに自社製スクリーンIH1及びIH2を用いて行った。IH2スクリーンでの初期スクリーニング後に得られたFabシードを用いたMMS最適化により、種々の条件下における多数の結晶を作製した。X線解析に用いるFab結晶を、12% PEG 3350、0.2M K/Na酒石酸(pH7.4)、3%イソプロパノール、及び3%ジオキサン(緩衝液なし)から得た。結晶データを表17に示す。
【0247】
【表17】
*括弧内の数字は、最高解像シェルについてのものである。
【0248】
X線データ収集及び構造決定
X線データ収集のために、1つの結晶を、20%グリセロールを補足した母液中に数秒間浸し、液体窒素中で瞬間冷凍した。回折データを、Advanced Photon Source(Argonne,IL)IMCAビームラインで、Pilatus CCD検出器を使用して収集した。0.5°の像毎に0.5秒露光で180°の結晶回転にわたり回折強度を検出し、XDSプログラムを用いて処理した[Kabsch W.2010.XDS.Acta Crystallogr.D66:125〜132.]。X線データの統計値を表17に示す。
【0249】
マウス抗Thomsen−Friedenreich抗原抗体Jaa−F11(PDB 3gnm)から構築されたFabモデルを使用する分子置換により構造を解いた。Jaa−F11は、IgG3/カッパアイソタイプである。全ての結晶学的計算を、CCP4プログラムスーツ[1994,Acta Crystallogr.D50:760〜763.]により行った。プログラムCOOT[Emsley P,and Cowtan K.2004.Acta Crystallogr.D60:2126〜2132.]を使用して、モデル調節を行った。精密化統計値を表17に示す。
【0250】
生殖細胞系の情報を用いて、SP34の配列決定を行った。X線データにより、いくつかの体細胞変異の同定に加え、CDR−H3の全配列(生殖細胞系の一部ではない)の同定が可能となった。水素結合ネットワーク及び原子のB因子(場合により、原子C、N及びO間で異なり得る)を基準にして、割り当てD/N、E/Q、T/Vのアンビギュイティについて可能なものは全て解析した。
【0251】
VLの40、97及び98位、並びにVHの35、55、56、57及び80位における体細胞変異を同定した。
【0252】
予想どおり、Fab構造内に5ヵ所のジスルフィドが観察された(軽鎖内の22〜90及び137〜196、重鎖内の22〜98及び152〜207、並びに鎖間ジスルフィドの214(L)−140(H))。
【0253】
結晶内Fab間の相互作用
結晶内において、Fab分子は、一方のFabのCDRがもう一方の重鎖のC末端部分と結合するように頭尾結合で束ねられている。C末端は、VLとVHとの間にある深い凹部にデッドエンド方式で収まる。S230の末端カルボキシル基は、VHのN35及びR50並びにVLのW98と水素結合を形成する。これにより、余分な残基のための空間が残らず、mAbのパパイン開裂がヒンジ領域のS230とT231との間で生じたことを示す。
【0254】
推定上のパラトープ
本発明の構造中のCDRコンフォメーション、及び上記のC末端認識様式により、抗原結合に最も関与しやすい残基の選択が可能となる。それら残基としては、以下のものが挙げられる。
CDR−L1:Y34、CDR−L2:なし、CDR−L3:W93、
CDR−H1:T31、Y32及びA33、CDR−H2:R50、R52、Y55及びN56、並びに、CDR−H3:N103、G105、S107、Y108及びS110。
【0255】
相互作用の大部分は、主にCDR−H2及びCDR−H3が寄与するVHにおいて生じやすい。
【0256】
IGHG3_マウス(マウスIgG3、アイソフォーム2)由来の残基231〜455を有する、SP34の配列(配列番号:160及び161)を
図8に示す。
【0257】
実施例11:抗CD3抗体SP34のヒトフレームワーク適合
抗CD3マウス抗体SP34を、ヒトフレームワーク適合法(Fransson,et al,JMB,2010)によりヒト化した。4種類の重鎖を、3種類の異なる軽鎖と組み合わせて、12個のヒト化変異体を生成した。
【0258】
SP34のヒト化及び親和性成熟
ヒト生殖細胞系の選択
ヒトフレームワーク適合(HFA)法[16]を用いてSP34をヒト化した。4つのヒト重v領域及び3つの軽v領域配列のマトリクスを、試験のために選択した。ヒト生殖細胞系の選択は、フレームワーク領域(FR)における、SP34に対する全体的な配列類似性のみに基づいた。CDR配列も、その長さ又は標準構造も、この選択には考慮しなかった。
【0259】
重鎖について最も近いマッチは、ヒトGL IGHV3−72及びIGHV3−73である。ヒトB細胞レパートリーにおけるその高い発生頻度のために、別のGLであるIGHV3−23を選択した。
【0260】
軽鎖について最も近いマッチは、ヒトラムダGL IGLV7−43(aka 7a)、IGLV7−46(aka 7b)、及びIGLV1−51(aka 1b)である。IGLV7−46は、仮想的にIGLV7−43と同一であるが、2位におけるAlaの利点を有する、すなわち、SP34におけるのと同様である。
【0261】
選択されたJ領域は、下記:重鎖に対してIGHJ1、ラムダ軽鎖に対してIGLJ3である。
【0262】
逆突然変異
SP34の結晶構造を基準として、HFA変異体モデルを構築した。モデルにより、VL内の、電位が一致しないいくつかのFR位置が明らかとなり、最も顕著な位置は、Val38、Gly48及びGly51である(
図9)。CDR−H3のコンフォメーションを維持させるために、マウス残基は、3つの位置(aka「逆突然変異」)全てにおいて保持される必要がある。これら突然変異を、成熟計画に加えた。
【0263】
重鎖の57位におけるAsnは、この構造における良好な側鎖密度を有さない。同Asnはまた、CDR−H2の中間に位置し、典型的な結合部位から離れて位置している。この分析に基づいて、同Asnは、結合に有意に影響し得ない。加えて、骨格の幾何形状は、RamachadranプロットにおけるGly残基に最も好ましい領域にある。このため、同Asnを、必須のフレキシビリティを実現し、(非グリシン関連位置構造歪みを減少させることにより)安定性を潜在的に改善する一方で、結合性に影響を及ぼさないために、成熟計画において、Glyにトランケートした。
【0264】
親和性成熟設計に関して検討された、いくつかの他の考察が存在した。まず、ヒトGL IGLV7−46及びIGLV7−43は、望ましくない酸化電位を有する59位にTrpを導入する。2つの他のGLは、この位置にGlyを有する。このGlyは、マウス配列に対応する。したがって、Gly59を、IGLV7−46及びIGLV7−43の両方の変異体において保持した。最後に、VHの49位におけるAlaは必須である。また、99位における残基(SP34ではVal)は、抗原結合性に影響を及ぼし得る。これらの位置を試験するために、逆突然変異を、一部の変異体に導入した(
図10)。
【0265】
HFAマトリクス
HFAマトリクスは、4つのVH変異体及び3つのVL変異体から構成される(
図10)。HFAの目的のために、AbM CDR定義を用いる(短いCDR−H2、長いCDR−L1)。
【0266】
VHについての変異体:
CD3H141(配列番号:163):マウスCDR+Gly49Alaを有するIGHV3−72
*01
EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFNTYAMNWVRQAPGKGLEWVARIRSKYNNYATYYAASVKGRFTISRDDSKNSLYLQMNSLKTEDTAVYYCARHGNFGNSYVSWFAYWGQGTLVTVSS
【0267】
CD3H142(配列番号:164):マウスCDR+Ser49Alaを有するIGHV3−23
*01
EVQLLESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFNTYAMNWVRQAPGKGLEWVARIRSKYNNYATYYADSVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCAKHGNFGNSYVSWFAYWGQGTLVTVSS
【0268】
CD3H143(配列番号:165):マウスCDR+Ser49Ala、Ala99Valを有するIGHV3−23
*01
EVQLLESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFNTYAMNWVRQAPGKGLEWVARIRSKYNNYATYYADSVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCVKHGNFGNSYVSWFAYWGQGTLVTVSS
【0269】
CD3H144(配列番号:166):マウスCDR+Asn57Glyを有するIGHV3−73
*01
EVQLVESGGGLVQPGGSLKLSCAASGFTFNTYAMNWVRQASGKGLEWVGRIRSKYNGYATYYAASVKGRFTISRDDSKNTAYLQMNSLKTEDTAVYYCTRHGNFGNSYVSWFAYWGQGTLVTVSS
【0270】
VLについての変異体:
CD3L63(配列番号:167):マウスCDR+F38V、A48G、Y51G、W59Gを有するIGLV7−46
*01
QAVVTQEPSLTVSPGGTVTLTCRSSTGAVTTSNYANWVQQKPGQAPRGLIGGTNKRAPGTPARFSGSLLGGKAALTLSGAQPEDEAEYYCALWYSNLWVFGGGTKLTVL
【0271】
CD3L64(配列番号:168):マウスCDR+Y38V、L48G、Y51Gを有するIGLV1−51
*01
QSVLTQPPSVSAAPGQKVTISCRSSTGAVTTSNYANWVQQLPGTAPKGLIGGTNKRAPGIPDRFSGSKSGTSATLGITGLQTGDEADYYCALWYSNLWVFGGGTKLTVL
【0272】
CD3L66(配列番号:169):マウスCDR+F38V、A48G、Y51G、W59Gを有するIGLV7−43
*01
QTVVTQEPSLTVSPGGTVTLTCRSSTGAVTTSNYANWVQQKPGQAPRGLIGGTNKRAPGTPARFSGSLLGGKAALTLSGVQPEDEAEYYCALWYSNLWVFGGGTKLTVL
【0273】
表18 CD3の重鎖及び軽鎖のマトリクス
(全て、L234A、L235A、及びF405Lを含有するIgG1−AA Fcにより調製)
【0274】
【表18】
【0275】
アミノ酸配列を、DNAに逆翻訳させ、遺伝子合成手法(米国特許第6,670,127号、米国特許第6,521,427号)を使用して、cDNAを調製した。CMVプロモータを含む自社製発現ベクターを使用し、標準的な分子生物学的手法を使用して、重鎖(HC)v領域を、L234A、L235A、及びF405L変異を含有するヒトIgG1−AA Fc上にサブクローニングした。CMVプロモータを含む自社製発現ベクターを使用し、標準的な分子生物学的手法を使用して、軽鎖(LC)可変領域を、ヒトラムダ(λ)定常領域上にサブクローニングした。得られたプラスミドを、Expi293F細胞(Invitrogen)内にトランスフェクションし、mAbを発現させた。プロテインAカラム(hiTrap MAbSelect SuReカラム)を使用する標準的な方法により精製した。溶出後、プールを、D−PBS、pH7.2内へ透析した。
【0276】
【表19-1】
【0277】
【表19-2】
【0278】
配列番号:163のVH及び配列番号:167のVLを有するVH及びVL領域、並びに、L234A、L235A及びF405L置換を有するIgG1定常領域を含む単特異性抗CD3抗体CDB143を作製した。配列番号:163のVH及び配列番号:168のVLを有するVH及びVL領域、並びに、L234A、L235A及びF405L置換を有するIgG1定常領域を含む単特異性抗CD3抗体CDB144を作製した。配列番号:163のVH及び配列番号:169のVLを有するVH及びVL領域、並びに、L234A、L235A及びF405L置換を有するIgG1定常領域を含む単特異性抗CD3抗体CDB146を作製した。配列番号:164のVH及び配列番号:167のVLを有するVH及びVL領域、並びに、L234A、L235A及びF405L置換を有するIgG1定常領域を含む単特異性抗CD3抗体CDB147を作製した。配列番号:164のVH及び配列番号:168のVLを有するVH及びVL領域、並びに、L234A、L235A及びF405L置換を有するIgG1定常領域を含む単特異性抗CD3抗体CDB148を作製した。配列番号:164のVH及び配列番号:169のVLを有するVH及びVL領域、並びに、L234A、L235A及びF405L置換を有するIgG1定常領域を含む単特異性抗CD3抗体CDB150を作製した。配列番号:165のVH及び配列番号:167のVLを有するVH及びVL領域、並びに、L234A、L235A及びF405L置換を有するIgG1定常領域を含む単特異性抗CD3抗体CDB151を作製した。配列番号:165のVH及び配列番号:168のVLを有するVH及びVL領域、並びに、L234A、L235A及びF405L置換を有するIgG1定常領域を含む単特異性抗CD3抗体CDB152を作製した。配列番号:165のVH及び配列番号:169のVLを有するVH及びVL領域、並びに、L234A、L235A及びF405L置換を有するIgG1定常領域を含む単特異性抗CD3抗体CDB154を作製した。配列番号:166のVH及び配列番号:167のVLを有するVH及びVL領域、並びに、L234A、L235A及びF405L置換を有するIgG1定常領域を含む単特異性抗CD3抗体CDB155を作製した。配列番号:166のVH及び配列番号:168のVLを有するVH及びVL領域、並びに、L234A、L235A及びF405L置換を有するIgG1定常領域を含む単特異性抗CD3抗体CDB156を作製した。配列番号:166のVH及び配列番号:169のVLを有するVH及びVL領域、並びに、L234A、L235A及びF405L置換を有するIgG1定常領域を含む単特異性抗CD3抗体CDB158を作製した。
【0279】
実施例12:初代T細胞に対するヒト化抗CD3ヒットの内因性細胞結合
抗CD3抗体の得られたパネルを、初代ヒトT細胞上の細胞表面CD3εに対する結合性について試験した。この試験を行うために、ポリクローナル抗ヒト二次抗体を使用して、発現上清からの抗体の結合を可視化し、フローサイトメトリーにより分析した。簡潔に、細胞表面CD3εに対する抗CD3抗体の結合性を、陰性選択により精製された初代ヒトTリンパ球(Biological Specialty,Colmar,USA)を使用するフローサイトメトリーにより評価した。発現上清又は精製抗体をそれぞれ培地又はFACS緩衝液(BD BioSciences)中において10μg/mLに正規化した。2×10
5個の細胞を、96ウェル丸底プレート(CoStar)のウェルに、標識化のためにアリコートした。発現上清中の抗体を、細胞に加え、4℃で45分間インキュベートした。1300rpmで3分間の遠心分離及び上清の除去後、50μLの抗ヒトIgG(H+L)Alexa Fluor 647二次抗体(Life technologies Inc.)を、終濃度10μg/mLで、4℃において、直接光を避けて、細胞と共に30分間インキュベートした。続けて、洗浄し、30μLのFACs緩衝液(BD BioSciences)中に再懸濁させた。サンプル収集を、ForeCytソフトウェアを使用するIntellicyt HTFCシステムにおいて行った。結合分析の前に、緑色又は赤色のfixable live/dead染料(Life Technologies Inc.)と、前方/側方散乱面積及び高さパラメータをそれぞれ使用して、生きた単一の細胞をゲーティングした。平均蛍光強度値を使用して、GraphPad Prism version 5においてグラフ化した。
【0280】
滴定系列をランしたが、中間濃度を、明確性のために、
図13に表わす。治療抗体として、同一のFc領域を有する2つの自社製ファージ由来抗体;G11(HC配列番号:176、LC配列番号:177)(非cyno交差反応性、アゴニスト抗体を、陽性コントロールとして使用した)、及びCD3B94(HC配列番号:178、LC配列番号:179)(非バインダー/非アゴニスト抗体を、非特異的結合を評価するのに使用した)を、コントロールとして使用した。市販のSP34抗体を、このアッセイでは比較対象として使用しなかった。SP34抗体は、マウス抗体であり、異なる二次検出試薬の使用は、試験された変異体との直接的な比較を妨げるであろうためである。
【0281】
データから、ヒト化抗CD3ヒットのパネル内での結合可能性のアレイが証明される。ここで、2つの抗体(CD3B144、CD3B152)は、ヒトT細胞に対する結合性の完全な損失を示す。残りの抗体は、任意の閾値としてG11結合を使用して強いバインダーと弱いバインダーとに広く分割され得る結合可能性の範囲を示した。これらのパラメータを使用して、7つの強いバインダーと、7つの弱いバインダーとを、変異体のパネルから特定した(
図13)。
【0282】
それから、初代カニクイザルCD4+T細胞に対する抗CD3ヒットの結合性解析を、交差反応性の保持を評価するために試験した。カニクイザルの末梢血から精製されたCD4+T細胞(Zen Bio,Triangle Research Park,USA)を使用した。アッセイプロトコルは、上記されたものと同様とした。G11は、カニクイザルCD3ε(CD3B124)と交差反応しないため、マウスフレームワーク及びヒトIgG1 Fcを有するSP34のVH及びVLを有する自社製キメラSP34由来抗体を、このアッセイにおける陽性コントロールとして使用した(
図14)。興味深いことに、複数の変異体が、ヒト細胞について見られた結合可能性と比較して、低下した結合可能性を示した。これには、強いバインダーであるCD3B150、CD3B151、及びCD3B154が含まれ、結合性が低下した。複数の弱いバインダーは、もはや、バックグラウンドを上回って結合を検出することができなかった。結合性のこの損失は、特定の免疫グロブリン鎖に関係しなかった。このことは、重鎖と軽鎖との組み合わせが、交差反応性の損失において役割を果たすことを示唆している。まとめると、これらのアッセイにより、ヒトCD3εとカニクイザルのCD3εとの間での種間交差反応性を保持した変異体の特定が可能となった。
【0283】
実施例13:初代T細胞におけるヒト化抗CD3ヒットの機能性解析
結合性分析により、ヒト化抗CD3ヒットのパネルが、ヒト及びカニクイザルT細胞に対する結合可能性の範囲を示したことが証明された。CD3ε架橋を介して活性化を誘引する各変異体の能力を調査するために、初代T細胞を、ビーズコンジュゲート抗体の存在下において、一晩培養した。翌日、細胞を回収し、抗CD69抗体で標識し、活性化を測定した(
図13)。ヒト化抗CD3抗体を、プロテインAコート磁性ビーズ(SpheroTech,Lake forest,USA)に、10μg/mLでの抗体と一晩インキュベートすることにより結合させた。翌日、2×10
5個の初代ヒトT細胞を、丸底細胞培養プレートに3連で播種し、2×10
5個のコートビーズを加えた。37℃で一晩培養した後、細胞を回収し、抗CD69 Alexa Fluor 488抗体(クローンFN50、Biolegend)で標識して、この活性化マーカーの上方制御を評価した。サンプルの収集及び分析を、結合性について上記されたように行った。複数の陰性コントロールをランした。同コントロールには、T細胞単独、T細胞と非コートビーズ、及びT細胞とアイソタイプコントロール(CD3B94)コートビーズが挙げられる。これらは全て、非染色T細胞と比較して、同様の平均蛍光強度値を示した。このことは、バックグラウンドがこのアッセイにおいて低かったことを示している。複数の陽性コントロールを、比較のためにランした。同コントロールには、OKT3(米国特許第5929212号)及び市販のSP34−2抗体が挙げられる。
【0284】
それから、ヒト化抗CD3ヒットを、同一のアッセイにおいて、初代カニクイザルCD4+T細胞(Zen Bio,Triangle Research Park,USA)を活性化するその能力について試験した(
図14)。FN50抗CD69抗体は、非ヒトタンパク質と交差反応性であると説明されてきたため、これらの細胞の活性化を試験するために使用することができた。
【0285】
ヒト及びカニクイザルでの活性化データは、ヒットのパネルが活性化の可能性の範囲を示した結合データと関連した。数多くの強いバインダーが、市販のSP34−2と比較して同等又は上回る程度に、ヒトT細胞を活性化する能力を示した。複数の変異体は、SP34−2と比較して低い活性化可能性を示した。一方、一部のバインダーは、CD69刺激の証拠を示さなかった。活性化能がないのは、結合性がないか又は弱い結合性を示した変異体においてのみ見られ、強いバインダーは全て、あるレベルの活性化を示した。このことは、ヒト(
図15A)及びカニクイザル(
図15B)の両方についての、結合性と活性化との間の相関性を示唆している。
【0286】
実施例15.IgG4 S228P、L234A及びL235Aにおける二重特異性フォーマットでの多重特異性抗原結合分子の調製
CD3 mAbアーム(FN3ドメイン融合があるもの及びないもの)と、インビトロFabアーム交換(国際公開第2011/131746号に記載)での単特異性PSMA Fn3ドメインFC融合とを組み合わせることにより、二重特異性のPSMA×CD3多重特異性抗原結合分子を作製した。CD3抗原及びPSMA抗原に結合する二重特異性の単離された多重特異性抗原結合分子を作製するために、抗CD3 mAbを複数の方向に有する融合タンパク質としての抗PSMA FN3ドメイン(P233FR9−H10、配列番号:41)を作製し、細胞傷害性T細胞を活性化させてPSMA発現細胞株へと向けさせるこれらの分子の能力に関して、かかる方向の効果を評価した。
【0287】
CD3 mAb B219の発現
単特異性CD3抗体の1つであるCDB146を、Fc領域内にFc置換S228P、F234A、L235A、F405L及びR409K(番号付けは、EUインデックスに従う)を有するIgG4として発現させた。HEK293細胞に対して一過性トランスフェクションを行うことにより、単特異性抗体を作製した。
【0288】
配列番号:163のVH及び配列番号:169のVLを有するVH及びVL領域、並びに、S228P、L234A、L235A、F405L及びR409K置換を有するIgG4定常領域を含む単特異性抗CD3抗体B219を作製した。単特異性抗CD3抗体B219は、配列番号:170の軽鎖アミノ酸配列、及び配列番号:171の重鎖アミノ酸配列を含んでいる。
【0289】
PSMA FN3ドメイン融合の設計
一価のCD3相互作用又は二価のCD3相互作用のいずれか一方を生じさせる構築物を設計した。一価のCD3相互作用としては、B219(配列番号:170及び171)×CW5(配列番号:172)、B219(配列番号:170及び171)×CW6(配列番号:173)及びB221(配列番号:170及び174)×CW5(配列番号:172)があり、二価のCD3相互作用としては、B221(配列番号:170及び174)がある。同様に、一価のPSMA相互作用を生じさせることが可能な分子:B219(配列番号:170及び171)×CW6(配列番号:173)及びB219(配列番号:170及び171)×CW5(配列番号:172)、又は二価のPSMA相互作用を生じさせることが可能な分子:B221(配列番号:170及び174)及びB221(配列番号:170及び175)×CW5(配列番号:172)を設計した。最後のバリエーションは重鎖に関連するFN3ドメインの位置であり、N末端及びC末端の両方を有する融合を作製した。全ての分子において、A(GGGGS)
2リンカー(配列番号:175)を、P233FR9−H10と重鎖定常領域との間に導入した。CD3抗原及びPSMA抗原に結合する設計した単離された多重特異性抗原結合分子の略図を
図16に示す。
【0290】
【表20】
【0291】
アミノ酸配列を、DNAに逆翻訳させ、遺伝子合成手法(米国特許第6,670,127号、米国特許第6,521,427号)を使用して、cDNAを調製した。CMVプロモータを含む自社製発現ベクターを使用し、標準的な分子生物学的手法を使用して、タンパク質を発現させた。CMVプロモータを含む自社製発現ベクターを使用し、標準的な分子生物学的手法を使用して、重鎖(HC)v領域を、L234A、L235A、及びF405L変異を含有するヒトIgG4−AA Fc上にサブクローニングした。CMVプロモータを含む自社製発現ベクターを使用し、標準的な分子生物学的手法を使用して、軽鎖(LC)可変領域を、ヒトラムダ(λ)定常領域上にサブクローニングした。得られたプラスミドを、Expi293F細胞(Invitrogen)内にトランスフェクションし、mAbを発現させた。プロテインAカラム(hiTrap MAbSelect SuReカラム)を使用する標準的な方法により精製した。溶出後、プールを、D−PBS、pH7.2内へ透析した。
【0292】
抗PSMA FN3ドメイン融合CW5を作製した。当該抗PSMA FN3ドメイン融合CW5は、リンカー(配列番号:175)でS228P、L234A及びL235A置換を有するIgG4定常領域のC末端と連結した抗PSMA FN3ドメインP233FR9−H10(配列番号:41)、及び配列番号:172を含む融合のアミノ酸配列を含む。抗PSMA FN3ドメイン融合CW6を作製した。当該抗PSMA FN3ドメイン融合CW6は、リンカー(配列番号:175)でS228P、L234A及びL235A置換を有するIgG4定常領域のN末端と連結した抗PSMA FN3ドメインP233FR9−H10(配列番号:41)、及び配列番号:173を含む融合のアミノ酸配列を含む。CD3抗原及びPSMA抗原に結合する単離された二重特異性の抗PSMA×CD3抗原結合分子であるB221を作製した。当該B221は、重鎖のC末端において、リンカー(配列番号:175)でCD3抗原及びPSMA抗原P233FR9−H10(配列番号:41)に結合する抗PSMA単離多重特異性抗原結合分子と融合した、配列番号:163のVH及び配列番号:169のVLを有するVH及びVL領域、並びにS228P、L234A、L235A、F405L及びK409R置換を有するIgG4定常領域を含む、抗CD3 mAb B219と、配列番号:174を含む重鎖及び配列番号:170を含む軽鎖によりCD3抗原及びPSMA抗原に結合する、抗PSMA×CD3単離多重特異性抗原結合分子のアミノ酸配列と、を含む。
【0293】
表17に記載の親分子の組み合わせを用いた部分的な還元及び制御されたFabアーム交換により、CD3抗原及びPSMA抗原タンパク質(B219×CW5、B219×CW6及びB221×CW5)に結合する、単離された多重特異性抗原結合分子を調製した。簡潔に、親分子を約1〜20mg/mLでモル比1.08:1(B219/B221:W5/W6)で混合し、2−MEA(PBS中750mMの原液)を75mMの終濃度となるように添加した。反応液を31℃で5時間インキュベートし、続いてPBSで透析した。それからタンパク質を回収して滅菌濾過し、280nmの吸光度で純度及び濃度を測定してから、陽イオン交換HPLC、サイズ排除HPLC及びSDS−PAGEに供した。
【0294】
CD3抗原及びPSMA抗原B219×CW5に結合する、二重特異性の抗PSMA×CD3単離多重特異性抗原結合分子を作製した。当該分子は、配列番号:163及び169のVL及びVHアミノ酸配列を含むB219抗CD3重鎖及び軽鎖と対になった配列番号:172のアミノ酸配列を含むCW5抗PSMA FN3ドメイン融合アームを含む。CD3抗原及びPSMA抗原B219×CW6に結合する、二重特異性の抗PSMA×CD3単離多重特異性抗原結合分子を作製した。当該分子は、配列番号:171及び170のアミノ酸配列を含むB219抗CD3重鎖及び軽鎖と対になった配列番号:173のアミノ酸配列を含むCW6抗PSMA FN3ドメイン融合アームを含む。二重特異性の抗PSMA×CD3単離多重特異性抗原結合分子であるB221×CW5を作製した。当該分子は、配列番号:174のアミノ酸配列を含むB221抗CD3×抗PSMA FN3ドメイン重鎖融合と対になった配列番号:172のアミノ酸配列と、配列番号:170のアミノ酸配列を含む軽鎖と、を含む、CW5抗PSMA FN3ドメイン融合アームを含む。
【0295】
【表21-1】
【0296】
【表21-2】
【0297】
実施例16:機能性細胞殺傷アッセイを用いた、CD3抗原及びPSMA抗原に結合する二重特異性の単離された多重特異性抗原結合分子の評価
24時間の標準的なクロム放出アッセイを用いて、PSMA陽性LNCAP腫瘍標的(ATCC CRL−1740)を殺傷する機能を有するCD3抗原及びPSMA抗原に結合する、単離された多重特異性抗原結合分子を決定した。1μg/mLのOKT3(米国特許第5929212号)及び20U/mLのIL2(Peprotech Cat#200−02)を用いて、正常ドナーの凍結汎T細胞(All Cells Cat#PB900−1F)を12〜24時間で予め活性化させた。その後T細胞を洗浄してから、クロムで標識したRPMI(Perkin−Elmer,Cat#NEZ030S001MC)中、エフェクター:標的比率5:1でLNCAP腫瘍標的細胞と共培養した。投与量最大時のウェル内終濃度が10μg/mLとなるように、CD3抗原及びPSMA抗原に結合する単離された多重特異性抗原結合分子を添加した。その後、1:20希釈溶液を用いた7点の滴定曲線を作製し、18〜24時間インキュベートした。培養液の上清を回収し、ガンマカウンターの測定値を読んだ。標的細胞からのクロムの自然放出を制御するために、標的を培地だけで培養してから、上清を回収した。Trition−X−100を添加して全標的を溶解させ、最大放出を測定した。ガンマカウンターを用いて1分あたりのカウントを収集し、次式を用いて%細胞傷害性を測定した。全てのサンプルに対して3回行った。
【0298】
%細胞傷害性の算出=(実験カウント−自然放出)(最大放出−自然放出)×100%。
【0299】
%細胞傷害性をそれぞれに対し3回算出し、3回の%細胞傷害性の平均+SEMをプロットする。
【0300】
図17は、2回の独立した実験における代表的なグラフを示す。データは、B219×CW6による腫瘍細胞殺傷をもたらすCD3B219×PSMA単離CD3×PSMA二重特異性抗原結合分子の全ての構造が最も強力であり、B221及びB219×CW5がそれに続くことを示している。以下の表22は、単離されたCD3×PSMA二重特異性抗原結合分子のそれぞれに対するEC50、これらEC50の95%信頼区間、及びR二乗値を示している。
【0301】
【表22】
【0302】
実施例17:PBMCヒト化NSGマウスを用いたHEK293−PSMA異種移植片の腫瘍化抑制における、Mabtyrin B219×CW6の抗腫瘍効果
雄NSGマウスに播種したヒトドナーの末梢血単核球(PBMC)を用いたHEK293−PSMAヒト異種移植片の腫瘍化抑制(予防モデル)により、B219×CW6の効果を評価した(NOD.Cg−Prkdcscid IL2rgtmlWjl/SzJ,Jackson Laboratories,Bar Harbor,ME)。腫瘍細胞移植の7日前(−7日目)に、外側尾静脈から、1×107個のヒトPBMCをマウスに静注(iv)した。0日目に、1×107個のHEK293−PSMA細胞をマウスの右後脇腹に皮下(sc)移植した。腫瘍移植の初日に、0.004mg/kg、0.04mg/kg、0.4mg/kg(25gマウスあたり、それぞれ0.1μg、1μg及び10μgに相当)でPBS(リン酸緩衝食塩水)コントロール及びB219×CW6を静注投与し、1日おきから2日おきに、0日目、3日目、5日目、7日目及び10日目にトータルで5回の投与を行った。
【0303】
腫瘍容積を、次式:腫瘍容積(mm3)=(a×b2/2)(式中、「a」はノギス測定により求められた腫瘍の長さを表し、「b」はノギス測定により求められた腫瘍の幅を表す)を用いて算出し、試験中、週2回モニターした。腫瘍増殖抑制率(TGI)を、治療群の平均腫瘍容積とコントロール群(PBS)の平均腫瘍容積との間の差と定義し、TGI=[((TVc−TVt)/TVc)
*100](式中、TVcは、任意のコントロール群における平均腫瘍容積であり、TVtは、治療群における平均腫瘍容積である)を用いて算出した。NCI基準で定義されるように、≧60% TGIは生物学的に有意と考えられている(Johnson JI,et al(2001)Br J Cancer 84(10):1424〜31)。最大腫瘍容積が1500mm3に達したとき、動物を試験から除外した。
【0304】
ヒトPBMCの移植は最終的に、マウスの移植片対宿主病(GVHD)をもたらす。この場合、移植されたドナーT細胞は活性化され、宿主組織に浸潤し、体重減少及び臓器不全をもたらし、必然的に死亡する。GVHDの発症及び重症度をモニターするために、体重を1週間に2回記録し、グラム(g)単位で表した。体重変化率を、次式:体重変化=[((Bt B0)/B0)
*100](式中、Btは、試験の任意の日における体重であり、B0は、治療開始時の体重である)を用いて算出した。当初の体重に対し20%超の体重減少を維持した動物は瀕死であるとみなされ、試験から除外した。
【0305】
Dunnett多重比較検定(Graph Pad Prismソフトウェア(バージョン6)を使用)を利用した、多重比較1−way ANOVAを用いて、統計的有意性を評価した。指定した試験用の別の統計解析法は、実験ノートに記載されている。
【0306】
全インビボ試験は、Guide for the Care and Use of Laboratory Animalsに従って行い、Institutional Animal Care and Use Committee of Janssen R & D(Spring House,PA)により承認された。
【0307】
B219×CW6 Mabtyrin治療により、腫瘍化が効果的に遅延し、移植したHEK293−PSMA細胞の腫瘍増殖を阻害した(
図18)。小さいが触知可能なHEK293−PSMA腫瘍は、試験16日目(最後の治療処置から6日後)のPBS治療群におけるマウスの8匹中7匹で検出可能であった。それに対し、CD3B250(0.4mg/kg)治療群のマウス全8匹において腫瘍は見られなかった。B219×CW6(0.04mg/kg)治療群のマウスでは、8匹中2匹が触知可能な腫瘍を有し、B219×CW6(0.004mg/kg)群マウスでは、8匹中1匹が小さな腫瘍を有していた。各群あたり依然として7匹又は8匹いる状態で、治療終了から32日後(腫瘍移植後42日目)に腫瘍増殖抑制を評価した。B219×CW6高投与(0.4mg/kg、n=8)治療群における腫瘍増殖は、PBS治療コントロールと比較して85%阻害された(p<0.001)。B219×CW6中間投与(0.04mg/kg)では、PBSコントロールと比較して統計的に有意な方法(TGI=67%、n=7)で腫瘍増殖を阻害した(p<0.0001)。最後に、B219×CW6最低投与(0.004mg/kg)でもまた、腫瘍に対してPBS治療を施したコントロールと比較して78%、HEK293−PSMA腫瘍の増殖を効果的に阻害した(p<0.0001)。
【0308】
本試験においてPBMCを投与された動物群は結局、進行性GVHDで死亡したが、体重減少はわずかであった(
図19)。B219×CW6(1μg)群のうち1匹のマウスだけ著しく体重が増加し、30日目にGVHDで死亡した。42日目までに、PBS治療群における腫瘍の大部分が1500mm3の腫瘍容積指標を超え、その時点で本試験を終了させた。
【0309】
配列
配列番号:1=オリジナルのTencon配列
LPAPKNLVVSEVTEDSLRLSWTAPDAAFDSFLIQYQESEKVGEAINLTVPGSERSYDLTGLKPGTEYTVSIYGVKGGHRSNPLSAEFTT
【0310】
配列番号:2=TCL1ライブラリ
LPAPKNLVVSEVTEDSLRLSWTAPDAAFDSFLIQYQESEKVGEAINLTVPGSERSYDLTGLKPGTEYTVSIYGV(X)
7−12PLSAEFTT;式中、X
1、X
2、X
3、X
4、X
5、X
6、X
7は、任意のアミノ酸であり、X
8、X
9、X
10、X
11及びX
12は、任意のアミノ酸又は欠損である。
【0311】
配列番号:3=TCL2ライブラリ
LPAPKNLVVSEVTEDSLRLSWX
1X
2X
3X
4X
5X
6X
7X
8SFLIQYQESEKVGEAINLTVPGSERSYDLTGLKPGTEYTVSIYGVX
9X
10X
11X
12X
13SX
14X
15LSAEFTT;式中、X
1は、Ala、Arg、Asn、Asp、Glu、Gln、Gly、His、Ile、Leu、Lys、Phe、Pro、Ser、Thr、Trp、Tyr又はValであり、X
2は、Ala、Arg、Asn、Asp、Glu、Gln、Gly、His、Ile、Leu、Lys、Phe、Pro、Ser、Thr、Trp、Tyr又はValであり、X
3は、Ala、Arg、Asn、Asp、Glu、Gln、Gly、His、Ile、Leu、Lys、Phe、Pro、Ser、Thr、Trp、Tyr又はValであり、X
4は、Ala、Arg、Asn、Asp、Glu、Gln、Gly、His、Ile、Leu、Lys、Phe、Pro、Ser、Thr、Trp、Tyr又はValであり、X
5は、Ala、Arg、Asn、Asp、Glu、Gln、Gly、His、Ile、Leu、Lys、Phe、Pro、Ser、Thr、Trp、Tyr又はValであり、X
6は、Ala、Arg、Asn、Asp、Glu、Gln、Gly、His、Ile、Leu、Lys、Phe、Pro、Ser、Thr、Trp、Tyr又はValであり、X
7は、Phe、Ile、Leu、Val又はTyrであり、X
8は、Asp、Glu又はThrであり、X
9は、Ala、Arg、Asn、Asp、Glu、Gln、Gly、His、Ile、Leu、Lys、Phe、Pro、Ser、Thr、Trp、Tyr又はValであり、X
10は、Ala、Arg、Asn、Asp、Glu、Gln、Gly、His、Ile、Leu、Lys、Phe、Pro、Ser、Thr、Trp、Tyr又はValであり、X
11は、Ala、Arg、Asn、Asp、Glu、Gln、Gly、His、Ile、Leu、Lys、Phe、Pro、Ser、Thr、Trp、Tyr又はValであり、X
12は、Ala、Arg、Asn、Asp、Glu、Gln、Gly、His、Ile、Leu、Lys、Phe、Pro、Ser、Thr、Trp、Tyr又はValであり、X
13は、Ala、Arg、Asn、Asp、Glu、Gln、Gly、His、Ile、Leu、Lys、Phe、Pro、Ser、Thr、Trp、Tyr又はValであり、X
14は、Ala、Arg、Asn、Asp、Glu、Gln、Gly、His、Ile、Leu、Lys、Phe、Pro、Ser、Thr、Trp、Tyr又はValであり、X
15は、Ala、Arg、Asn、Asp、Glu、Gln、Gly、His、Ile、Leu、Lys、Phe、Pro、Ser、Thr、Trp、Tyr又はValである。
【0312】
配列番号:4=安定化させたTencon
LPAPKNLVVSRVTEDSARLSWTAPDAAFDSFLIQYQESEKVGEAIVLTVPGSERSYDLTGLKPGTEYTVSIYGVKGGHRSNPLSAIFTT
【0313】
配列番号:5=TCL7(FG及びBCループ)
LPAPKNLVVSRVTEDSARLSWX
1X
2X
3X
4X
5X
6X
7X
8X
9FDSFLIQYQESEKVGEAIVLTVPGSERSYDLTGLKPGTEYTVSIYGVX
10X
11X
12X
13X
14X
15X
16X
17X
18X
19SNPLSAIFTT;式中、X
1、X
2、X
3、X
4、X
5、X
6、X
10、X
11、X
12、X
13、X
14、X
15及びX
16は、A、D、E、F、G、H、I、K、L、N、P、Q、R、S、T、V、W又はYであり、X
7、X
8、X
9、X
17、X
18及びX
19は、A、D、E、F、G、H、I、K、L、N、P、Q、R、S、T、V、W、Y又は欠損である。
【0314】
配列番号:6=TCL9(FGループ)
LPAPKNLVVSRVTEDSARLSWTAPDAAFDSFLIQYQESEKVGEAIVLTVPGSERSYDLTGLKPGTEYTVSIYGVX
1X
2X
3X
4X
5X
6X
7X
8X
9X
10X
11X
12SNPLSAIFTT;式中、X
1、X
2、X
3、X
4、X
5、X
6及びX
7は、A、D、E、F、G、H、I、K、L、N、P、Q、R、S、T、V、W又はYであり、X
8、X
9、X
10、X
11及びX
12は、A、D、E、F、G、H、I、K、L、N、P、Q、R、S、T、V、W、Y又は欠損である。
【0315】
配列番号:7=TCL14ライブラリ
LPAPKNLVVSRVTEDSARLSWTAPDAAFDSFX
1IX
2YX
3EX
4X
5X
6X
7GEAIVLTVPGSERSYDLTGLKPGTEYX
8VX
9IX
10GVKGGX
11X
12SX
13PLSAIFTT;式中、X
1、X
2、X
3、X
4、X
5、X
6、X
7、X
8、X
9、X
10、X
11、X
12及びX
13は、A、C、D、E、F、G、H、I、K、L、M、N、P、Q、R、S、T、V、W又はYである。
【0316】
配列番号:8=TCL24ライブラリ
TCL24ライブラリ(配列番号:8)
LPAPKNLVVSRVTEDSARLSWTAPDAAFDSFX
1IX
2YX
3EX
4X
5X
6X
7GEAIX
8LX
9VPGSERSYDLTGLKPGTEYX
10VX
11IX
12GVKGGX
13X
14SX
15PLX
16AX
17FTT;式中、X
1、X
2、X
3、X
4、X
5、X
6、X
10、X
11、X
12、X
13、X
14、X
15、X
16及びX
17は、A、D、E、F、G、H、I、K、L、N、P、Q、R、S、T、V、Y又はWである。
【0317】
配列番号:9=Sloning−FOR
GTGACACGGCGGTTAGAAC
【0318】
配列番号:10=Sloning−REV
GCCTTTGGGAAGCTTCTAAG
【0319】
配列番号:11=POP2250
CGGCGGTTAGAACGCGGCTACAATTAATAC
【0320】
配列番号:12=DigLigRev
CATGATTACGCCAAGCTCAGAA
【0321】
配列番号:13=BC9
GTGACACGGCGGTTAGAACGCGGCTACAATTAATACATAACCCCATCCCCCTGTTGACAATTAATCATCGGCTCGTATAATGTGTGGAATTGTGAGCGGATAACAATTTCACACAGGAAACAGGATCTACCATGCTGCCGGCGCCGAAAAACCTGGTTGTTTCTGAAGTTACCGAAGACTCTCTGCGTCTGTCTTGGNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNTTYGACTCTTTCCTGATCCAGTACCAGGAATCTGAAAAAGTTGGTGAAGCGATCAACCTGACCGTTCCGGGTTCTGAACGTTCTTACGACCTGACCGGTCTGAAACCGGGTACCGAATACACCGTTTCTATCTACGGTGTTCTTAGAAGCTTCCCAAAGGC
【0322】
配列番号:14=BC8
GTGACACGGCGGTTAGAACGCGGCTACAATTAATACATAACCCCATCCCCCTGTTGACAATTAATCATCGGCTCGTATAATGTGTGGAATTGTGAGCGGATAACAATTTCACACAGGAAACAGGATCTACCATGCTGCCGGCGCCGAAAAACCTGGTTGTTTCTGAAGTTACCGAAGACTCTCTGCGTCTGTCTTGGNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNTTYGACTCTTTCCTGATCCAGTACCAGGAATCTGAAAAAGTTGGTGAAGCGATCAACCTGACCGTTCCGGGTTCTGAACGTTCTTACGACCTGACCGGTCTGAAACCGGGTACCGAATACACCGTTTCTATCTACGGTGTTCTTAGAAGCTTCCCAAAGGC
【0323】
配列番号:15=BC7
GTGACACGGCGGTTAGAACGCGGCTACAATTAATACATAACCCCATCCCCCTGTTGACAATTAATCATCGGCTCGTATAATGTGTGGAATTGTGAGCGGATAACAATTTCACACAGGAAACAGGATCTACCATGCTGCCGGCGCCGAAAAACCTGGTTGTTTCTGAAGTTACCGAAGACTCTCTGCGTCTGTCTTGGNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNTTYGACTCTTTCCTGATCCAGTACCAGGAATCTGAAAAAGTTGGTGAAGCGATCAACCTGACCGTTCCGGGTTCTGAACGTTCTTACGACCTGACCGGTCTGAAACCGGGTACCGAATACACCGTTTCTATCTACGGTGTTCTTAGAAGCTTCCCAAAGGC
【0324】
配列番号:16=BC6
GTGACACGGCGGTTAGAACGCGGCTACAATTAATACATAACCCCATCCCCCTGTTGACAATTAATCATCGGCTCGTATAATGTGTGGAATTGTGAGCGGATAACAATTTCACACAGGAAACAGGATCTACCATGCTGCCGGCGCCGAAAAACCTGGTTGTTTCTGAAGTTACCGAAGACTCTCTGCGTCTGTCTTGGNNNNNNNNNNNNNNNNNNTTYGACTCTTTCCTGATCCAGTACCAGGAATCTGAAAAAGTTGGTGAAGCGATCAACCTGACCGTTCCGGGTTCTGAACGTTCTTACGACCTGACCGGTCTGAAACCGGGTACCGAATACACCGTTTCTATCTACGGTGTTCTTAGAAGCTTCCCAAAGGC
【0325】
配列番号:17=130mer−L17A
CGGCGGTTAGAACGCGGCTACAATTAATACATAACCCCATCCCCCTGTTGACAATTAATCATCGGCTCGTATAATGTGTGGAATTGTGAGCGGATAACAATTTCACACAGGAAACAGGATCTACCATGCTG
【0326】
配列番号:18=POP222ext
CGG CGG TTA GAA CGC GGC TAC AAT TAA TAC
【0327】
配列番号:19=LS1114
CCA AGA CAG ACG GGC AGA GTC TTC GGT AAC GCG AGA AAC AAC CAG GTT TTT CGG CGC CGG CAG CAT GGT AGA TCC TGT TTC
【0328】
配列番号:20=LS1115
CCG AAG ACT CTG CCC GTC TGT CTT GG
【0329】
配列番号:21=LS1117
CAG TGG TCT CAC GGA TTC CTG GTA CTG GAT CAG GAA AGA GTC GAA
【0330】
配列番号:22=SDG10
CATGCGGTCTCTTCCGAAAAAGTTGGTGAAGCGATCGTCCTGACCGTTCCGGGT
【0331】
配列番号:23=SDG24
GGTGGTGAAGATCGCAGACAGCGGGTTAG
【0332】
配列番号:24=POP2222
CGGCGGTTAGAACGCGGCTAC
【0333】
配列番号:25=SDG28
AAGATCAGTTGCGGCCGCTAGACTAGAACCGCTGCCACCGCCGGTGGTGAAGATCGCAGAC
【0334】
配列番号:26=FG12
GTGACACGGCGGTTAGAACGCGGCTACAATTAATACATAACCCCATCCCCCTGTTGACAATTAATCATCGGCTCGTATAATGTGTGGAATTGTGAGCGGATAACAATTTCACACAGGAAACAGGATCTACCATGCTGCCGGCGCCGAAAAACCTGGTTGTTTCTCGCGTTACCGAAGACTCTGCGCGTCTGTCTTGGACCGCGCCGGACGCGGCGTTCGACTCTTTCCTGATCCAGTACCAGGAATCTGAAAAAGTTGGTGAAGCGATCGTGCTGACCGTTCCGGGTTCTGAACGTTCTTACGACCTGACCGGTCTGAAACCGGGTACCGAATACACCGTTTCTATCTACGGTGTTNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNTCTAACCCGCTGTCTGCGATCTTCACCACCGGCGGTCACCATCACCATCACCATGGCAGCGGTTCTAGTCTAGCGGCCGCAACTGATCTTGGC
【0335】
配列番号:27=FG11
GTGACACGGCGGTTAGAACGCGGCTACAATTAATACATAACCCCATCCCCCTGTTGACAATTAATCATCGGCTCGTATAATGTGTGGAATTGTGAGCGGATAACAATTTCACACAGGAAACAGGATCTACCATGCTGCCGGCGCCGAAAAACCTGGTTGTTTCTCGCGTTACCGAAGACTCTGCGCGTCTGTCTTGGACCGCGCCGGACGCGGCGTTCGACTCTTTCCTGATCCAGTACCAGGAATCTGAAAAAGTTGGTGAAGCGATCGTGCTGACCGTTCCGGGTTCTGAACGTTCTTACGACCTGACCGGTCTGAAACCGGGTACCGAATACACCGTTTCTATCTACGGTGTTNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNTCTAACCCGCTGTCTGCGATCTTCACCACCGGCGGTCACCATCACCATCACCATGGCAGCGGTTCTAGTCTAGCGGCCGCAACTGATCTTGGC
【0336】
配列番号:28=FG10
GTGACACGGCGGTTAGAACGCGGCTACAATTAATACATAACCCCATCCCCCTGTTGACAATTAATCATCGGCTCGTATAATGTGTGGAATTGTGAGCGGATAACAATTTCACACAGGAAACAGGATCTACCATGCTGCCGGCGCCGAAAAACCTGGTTGTTTCTCGCGTTACCGAAGACTCTGCGCGTCTGTCTTGGACCGCGCCGGACGCGGCGTTCGACTCTTTCCTGATCCAGTACCAGGAATCTGAAAAAGTTGGTGAAGCGATCGTGCTGACCGTTCCGGGTTCTGAACGTTCTTACGACCTGACCGGTCTGAAACCGGGTACCGAATACACCGTTTCTATCTACGGTGTTNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNTCTAACCCGCTGTCTGCGATCTTCACCACCGGCGGTCACCATCACCATCACCATGGCAGCGGTTCTAGTCTAGCGGCCGCAACTGATCTTGGC
【0337】
配列番号:29=FG9
GTGACACGGCGGTTAGAACGCGGCTACAATTAATACATAACCCCATCCCCCTGTTGACAATTAATCATCGGCTCGTATAATGTGTGGAATTGTGAGCGGATAACAATTTCACACAGGAAACAGGATCTACCATGCTGCCGGCGCCGAAAAACCTGGTTGTTTCTCGCGTTACCGAAGACTCTGCGCGTCTGTCTTGGACCGCGCCGGACGCGGCGTTCGACTCTTTCCTGATCCAGTACCAGGAATCTGAAAAAGTTGGTGAAGCGATCGTGCTGACCGTTCCGGGTTCTGAACGTTCTTACGACCTGACCGGTCTGAAACCGGGTACCGAATACACCGTTTCTATCTACGGTGTTNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNTCTAACCCGCTGTCTGCGATCTTCACCACCGGCGGTCACCATCACCATCACCATGGCAGCGGTTCTAGTCTAGCGGCCGCAACTGATCTTGGC
【0338】
配列番号:30=FG8
GTGACACGGCGGTTAGAACGCGGCTACAATTAATACATAACCCCATCCCCCTGTTGACAATTAATCATCGGCTCGTATAATGTGTGGAATTGTGAGCGGATAACAATTTCACACAGGAAACAGGATCTACCATGCTGCCGGCGCCGAAAAACCTGGTTGTTTCTCGCGTTACCGAAGACTCTGCGCGTCTGTCTTGGACCGCGCCGGACGCGGCGTTCGACTCTTTCCTGATCCAGTACCAGGAATCTGAAAAAGTTGGTGAAGCGATCGTGCTGACCGTTCCGGGTTCTGAACGTTCTTACGACCTGACCGGTCTGAAACCGGGTACCGAATACACCGTTTCTATCTACGGTGTTNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNTCTAACCCGCTGTCTGCGATCTTCACCACCGGCGGTCACCATCACCATCACCATGGCAGCGGTTCTAGTCTAGCGGCCGCAACTGATCTTGGC
【0339】
配列番号:31=FG7
GTGACACGGCGGTTAGAACGCGGCTACAATTAATACATAACCCCATCCCCCTGTTGACAATTAATCATCGGCTCGTATAATGTGTGGAATTGTGAGCGGATAACAATTTCACACAGGAAACAGGATCTACCATGCTGCCGGCGCCGAAAAACCTGGTTGTTTCTCGCGTTACCGAAGACTCTGCGCGTCTGTCTTGGACCGCGCCGGACGCGGCGTTCGACTCTTTCCTGATCCAGTACCAGGAATCTGAAAAAGTTGGTGAAGCGATCGTGCTGACCGTTCCGGGTTCTGAACGTTCTTACGACCTGACCGGTCTGAAACCGGGTACCGAATACACCGTTTCTATCTACGGTGTTNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNTCTAACCCGCTGTCTGCGATCTTCACCACCGGCGGTCACCATCACCATCACCATGGCAGCGGTTCTAGTCTAGCGGCCGCAACTGATCTTGGC
【0340】
配列番号:32=PSMW1(N’−AviTag−HisTag−GS−Cyno PSMA_ECD)
KSSSEATNITPKHNMKAFLDELKAENIKKFLHNFTQIPHLAGTEQNFQLAKQIQSQWKEFGLDSVELTHYDVLLSYPNKTHPNYISIINEDGNEIFNTSLFEPPPAGYENVSDIVPPFSAFSPQGMPEGDLVYVNYARTEDFFKLERDMKINCSGKIVIARYGKVFRGNKVKNAQLAGATGVILYSDPDDYFAPGVKSYPDGWNLPGGGVQRGNILNLNGAGDPLTPGYPANEYAYRRGMAEAVGLPSIPVHPIGYYDAQKLLEKMGGSASPDSSWRGSLKVPYNVGPGFTGNFSTQKVKMHIHSTSEVTRIYNVIGTLRGAVEPDRYVILGGHRDSWVFGGIDPQSGAAVVHEIVRSFGMLKKEGWRPRRTILFASWDAEEFGLLGSTEWAEENSRLLQERGVAYINADSSIEGNYTLRVDCTPLMYSLVYNLTKELESPDEGFEGKSLYESWTKKSPSPEFSGMPRISKLGSGNDFEVFFQRLGIASGRARYTKNWETNKFSSYPLYHSVYETYELVEKFYDPMFKYHLTVAQVRGGMVFELANSVVLPFDCRDYAVVLRKYADKIYNISMKHPQEMKTYSVSFDSLFSAVKNFTEIASKFSERLRDFDKSNPILLRMMNDQLMFLERAFIDPLGLPDRPFYRHVIYAPSSHNKYAGESFPGIYDALFDIESKVDPSQAWGEVKRQISIATFTVQAAAETLSEVA
【0341】
配列番号:33=PSMW8(N’−AviTag−HisTag−GS−Chimp PSMA_ECD)
KSSNEATNITPKHNMKAFLDELKAENIKKFLYNFTQIPHLAGTEQNFQLAKQIQSQWKEFGLDSVELAHYDVLLSYPNKTHPNYISIINEDGNEIFNTSLFEPPPPGYENVLDIVPPFSAFSPQGMPEGDLVYVNYARTEDFFKLERDMKINCSGKIVIARYGKVFRGNKVKNAQLAGAKGVILYSDPADYFAPGVKSYPDGWNLPGGGVQRGNILNLNGAGDPLTPGYPANEYAYRHGIAEAVGLPSIPVHPIGYYDAQKLLEKMGGSAPPDSSWRGSLKVPYNVGPGFTGNFSTQKVKMHIHSTNEVTRIYNVIGTLRGAVEPDRYVILGGHRDSWVFGGIDPQSGAAVVHEIVRSFGTLKKEGWRPRRTILFASWDAEEFGLLGSTEWAEENSRLLQERGVAYINADSSIEGNYTLRVDCTPLMYSLVYNLTKELKSPDEGFEGKSLYESWTKKSPSPEFSGMPRISKLGSGNDFEVFFQRLGIASGRARYTKNWETNKFSGYPLYHSVYETYELVEKFYDPMFKYHLTVAQVRGGMVFELANSIVLPFDCRDYAVVLRKYADKIYNISMKHPQEMKTYSVSFDSLFSAVKNFTEIASKFTERLQDFDKSNPILLRMMNDQLMFLERAFIDPLGLPDRPFYRHVIYAPSSHNKYAGESFPGIYDALFDIESKVDPSKAWGDVKRQISVAAFTVQAAAETLSEVA
【0342】
配列番号:34=ヘキサヒスチジンタグ
HHHHHH
【0343】
配列番号:35=P258AR6P1071_G03
LPAPKNLVVSRVTEDSARLSWDIDEQRDWFDSFLIQYQESEKVGEAIVLTVPGSERSYDLTGLKPGTEYTVSIYGVYHVYRSNPLSAIFTT
【0344】
配列番号:36=P258AR6P1070_A05
LPAPKNLVVSRVTEDSARLSWTIDEQRDWFDSFLIQYQESEKVGEAIVLTVPGSERSYDLTGLKPGTEYTVSIYGVYHVYRSNPLSAIFTT
【0345】
配列番号:37=P258AR6P1071_F04
LPAPKNLVVSRVTEDSARLSWVIDEQRDWFDSFLIQYQESEKVGEAIVLTVPGSERSYDLTGLKPGTEYTVSIYGVYHVYRSNPLSAIFTT
【0346】
配列番号:38=P258AR6P1070_F09
LPAPKNLVVSRVTEDSARLSWTIDEQRDWFESFLIQYQESEKVGEAIVLTVPGSERSYDLTGLKPGTEYTVSIYGVYHVYRSNPLSAIFTT
【0347】
配列番号:39=P258AR6P1071_D02
LPAPKNLVVSRVTEDSARLSWAIDEQRDWFESFLIQYQESEKVGEAIVLTVPGSERSYDLTGLKPGTEYTVSIYGVYHVYRSNPLSAIFTT
【0348】
配列番号:40=P229CR5P819_H11
LPAPKNLVVSRVTEDSARLSWDIDEQRDWFDSFLIQYQESEKVGEAIVLTVPGSERSYDLTGLKPGTEYTVSIYGVYHVYRSSNPLSAIFTT
【0349】
配列番号:41=P233FR9_H10
LPAPKNLVVSRVTEDSARLSWTAPDAAFDSFAIGYWEWDDDGEAIVLTVPGSERSYDLTGLKPGTEYPVYIAGVKGGQWSFPLSAIFTT
【0350】
配列番号:42=P233FR9P1001_B5−5
LPAPKNLVVSRVTEDSARLSWTAPDAAFDSFTIGYWEWDDDGEAIVLTVPGSERSYDLTGLKPGTEYPVYIAGVKGGQWSFPLSAIFTT
【0351】
配列番号:43=P233FR9P1001_H3−1
LPAPKNLVVSRVTEDSARLSWTAPDAAFDSFPIGYWEWDDDGEAIVLTVPGSERSYDLTGLKPGTEYHVYIAGVKGGQWSFPLSAIFTT
【0352】
配列番号:44=P233FR9P1001_D9
LPAPKNLVVSRVTEDSARLSWTAPDAAFDSFPIGYWEWDDDGEAIVLTVPGSERSYDLTGLKPGTEYWVYIAGVKGGQWSFPLSAIFTT
【0353】
配列番号:45=P234CR9_A07
LPAPKNLVVSRVTEDSARLSWGEQFTIFDSFLIQYQESEKVGEAIVLTVPGSERSYDLTGLKPGTEYTVSIYGASGYEWFHAFGSSNPLSAIFTT
【0354】
配列番号:46=P234CR9_H01
LPAPKNLVVSRVTEDSARLSWEWWVIPGDFDSFLIQYQESEKVGEAIVLTVPGSERSYDLTGLKPGTEYTVSIYGVVNSGQWNDTSNPLSAIFTT
【0355】
配列番号:47=P233FR9_H10(C末端cys)
LPAPKNLVVSRVTEDSARLSWTAPDAAFDSFAIGYWEWDDDGEAIVLTVPGSERSYDLTGLKPGTEYPVYIAGVKGGQWSFPLSAIFTTC
【0356】
配列番号:48=P233FR9_H10(K62C)
LPAPKNLVVSRVTEDSARLSWTAPDAAFDSFAIGYWEWDDDGEAIVLTVPGSERSYDLTGLCPGTEYPVYIAGVKGGQWSFPLSAIFTT
【0357】
配列番号:49=P233FR9_H10(E53C)
LPAPKNLVVSRVTEDSARLSWTAPDAAFDSFAIGYWEWDDDGEAIVLTVPGSCRSYDLTGLKPGTEYPVYIAGVKGGQWSFPLSAIFTT
【0358】
配列番号:50=P233FR9_H10(R11C)
LPAPKNLVVSCVTEDSARLSWTAPDAAFDSFAIGYWEWDDDGEAIVLTVPGSERSYDLTGLKPGTEYPVYIAGVKGGQWSFPLSAIFTT
【0359】
配列番号:51=非標的FN3ドメイン(K62C)
LPAPKNLVVSEVTEDSARLSWTAPDAAFDSFLIQYQESEKVGEAIVLTVPGSERSYDLTGLCPGTEYTVSIYGVKGGHRSNPLSAIFTTGGHHHHHH
【0360】
【0361】
配列番号:53=タグを含まないソルターゼA
SKPHIDNYLHDKDKDEKIEQYDKNVKEQASKDKKQQAKPQIPKDKSKVAGYIEIPDADIKEPVYPGPATREQLNRGVSFAEENESLDDQNISIAGHTFIDRPNYQFTNLKAAKKGSMVYFKVGNETRKYKMTSIRNVKPTAVEVLDEQKGKDKQLTLITCDDYNEETGVWETRKIFVATEVK
【0362】
配列番号:54=TEVプロテアーゼ開裂部位
ENLYFQS
【0363】
配列番号:55=TenconのFGループ
KGGHRSN
【0364】
配列番号:56=BCループ
DIDEQRDW
【0365】
配列番号:57=BCループ
TIDEQRDW
【0366】
配列番号:58=BCループ
VIDEQRDW
【0367】
配列番号:59=BCループ
AIDEQRDW
【0368】
配列番号:60=BCループ
EWWVIPGD
【0369】
配列番号:61=BCループ
GEQFTI
【0370】
配列番号:62=BCループ
TAPDAA
【0371】
配列番号:63=Cループ
FDSFLIQYQE
【0372】
配列番号:64=Cループ
FESFLIQYQE
【0373】
配列番号:65=Cループ
FDSFAIGYWE
【0374】
配列番号:66=Cループ
FDSFPIGYWE
【0375】
配列番号:67=Cループ
FDSFTIGYWE
【0376】
配列番号:68=CDループ
SEKVGE
【0377】
配列番号:69=CDループ
WDDDGE
【0378】
配列番号:70=Fループ
TEYTVSIYGV
【0379】
配列番号:71=Fループ
TEYTVSIYG
【0380】
配列番号:72=Fループ
TEYPVYIAGV
【0381】
配列番号:73=Fループ
TEYWVYIAGV
【0382】
配列番号:74=Fループ
TEYHVYIAGV
【0383】
配列番号:75〜140は、上記表内に示す。
【0384】
配列番号:141=完全長cynoPSMA
MWNLLHETDSAVATARRPRWLCAGALVLAGGFFLLGFLFGWFIKSSSEATNITPKHNMKAFLDELKAENIKKFLHNFTQIPHLAGTEQNFQLAKQIQSQWKEFGLDSVELTHYDVLLSYPNKTHPNYISIINEDGNEIFNTSLFEPPPAGYENVSDIVPPFSAFSPQGMPEGDLVYVNYARTEDFFKLERDMKINCSGKIVIARYGKVFRGNKVKNAQLAGATGVILYSDPDDYFAPGVKSYPDGWNLPGGGVQRGNILNLNGAGDPLTPGYPANEYAYRRGMAEAVGLPSIPVHPIGYYDAQKLLEKMGGSASPDSSWRGSLKVPYNVGPGFTGNFSTQKVKMHIHSTSEVTRIYNVIGTLRGAVEPDRYVILGGHRDSWVFGGIDPQSGAAVVHEIVRSFGMLKKEGWRPRRTILFASWDAEEFGLLGSTEWAEENSRLLQERGVAYINADSSIEGNYTLRVDCTPLMYSLVYNLTKELESPDEGFEGKSLYESWTKKSPSPEFSGMPRISKLGSGNDFEVFFQRLGIASGRARYTKNWETNKFSSYPLYHSVYETYELVEKFYDPMFKYHLTVAQVRGGMVFELANSVVLPFDCRDYAVVLRKYADKIYNISMKHPQEMKTYSVSFDSLFSAVKNFTEIASKFSERLRDFDKSNPILLRMMNDQLMFLERAFIDPLGLPDRPFYRHVIYAPSSHNKY
【0385】
>142リンカー
AEAAAKEAAAKEAAAKEAAAKEAAAKAAA
【0386】
>143ヒトPSMA ECD
KSSNEATNITPKHNMKAFLDELKAENIKKFLYNFTQIPHLAGTEQNFQLAKQIQSQWKEFGLDSVELAHYDVLLSYPNKTHPNYISIINEDGNEIFNTSLFEPPPPGYENVSDIVPPFSAFSPQGMPEGDLVYVNYARTEDFFKLERDMKINCSGKIVIARYGKVFRGNKVKNAQLAGAKGVILYSDPADYFAPGVKSYPDGWNLPGGGVQRGNILNLNGAGDPLTPGYPANEYAYRRGIAEAVGLPSIPVHPIGYYDAQKLLEKMGGSAPPDSSWRGSLKVPYNVGPGFTGNFSTQKVKMHIHSTNEVTRIYNVIGTLRGAVEPDRYVILGGHRDSWVFGGIDPQSGAAVVHEIVRSFGTLKKEGWRPRRTILFASWDAEEFGLLGSTEWAEENSRLLQERGVAYINADSSIEGNYTLRVDCTPLMYSLVHNLTKELKSPDEGFEGKSLYESWTKKSPSPEFSGMPRISKLGSGNDFEVFFQRLGIASGRARYTKNWETNKFSGYPLYHSVYETYELVEKFYDPMFKYHLTVAQVRGGMVFELANSIVLPFDCRDYAVVLRKYADKIYSISMKHPQEMKTYSVSFDSLFSAVKNFTEIASKFSERLQDFDKSNPIVLRMMNDQLMFLERAFIDPLGLPDRPFYRHVIYAPSSHNKYAGESFPGIYDALFDIESKVDPSKAWGEVKRQIYVAAFTVQAAAETLSEVA
【0387】
>144シグナル配列を含むヒトFL PSMA
MWNLLHETDSAVATARRPRWLCAGALVLAGGFFLLGFLFGWFIKSSNEATNITPKHNMKAFLDELKAENIKKFLYNFTQIPHLAGTEQNFQLAKQIQSQWKEFGLDSVELAHYDVLLSYPNKTHPNYISIINEDGNEIFNTSLFEPPPPGYENVSDIVPPFSAFSPQGMPEGDLVYVNYARTEDFFKLERDMKINCSGKIVIARYGKVFRGNKVKNAQLAGAKGVILYSDPADYFAPGVKSYPDGWNLPGGGVQRGNILNLNGAGDPLTPGYPANEYAYRRGIAEAVGLPSIPVHPIGYYDAQKLLEKMGGSAPPDSSWRGSLKVPYNVGPGFTGNFSTQKVKMHIHSTNEVTRIYNVIGTLRGAVEPDRYVILGGHRDSWVFGGIDPQSGAAVVHEIVRSFGTLKKEGWRPRRTILFASWDAEEFGLLGSTEWAEENSRLLQERGVAYINADSSIEGNYTLRVDCTPLMYSLVHNLTKELKSPDEGFEGKSLYESWTKKSPSPEFSGMPRISKLGSGNDFEVFFQRLGIASGRARYTKNWETNKFSGYPLYHSVYETYELVEKFYDPMFKYHLTVAQVRGGMVFELANSIVLPFDCRDYAVVLRKYADKIYSISMKHPQEMKTYSVSFDSLFSAVKNFTEIASKFSERLQDFDKSNPIVLRMMNDQLMFLERAFIDPLGLPDRPFYRHVIYAPSSHNKYAGESFPGIYDALFDIESKVDPSKAWGEVKRQIYVAAFTVQAAAETLSEVA
【0388】
>145テネイシンCの3番目のFN3ドメイン
DAPSQIEVKDVTDTTALITWFKPLAEIDGIELTYGIKDVPGDRTTIDLTEDENQYSIGNLKPDTEYEVSLISRRGDMSSNPAKETFTT
【0389】
>146フィブコン
Ldaptdlqvtnvtdtsitvswtppsatitgyritytpsngpgepkeltvppsstsvtitgltpgveyvvslyalkdnqespplvgtqtt
【0390】
>147フィブロネクチンの10番目のFN3ドメイン
VSDVPRDLEVVAATPTSLLISWDAPAVTVRYYRITYGETGGNSPVQEFTVPGSKSTATISGLKPGVDYTITVYAVTGRGDSPASSKPISINYRT
【0391】
>148
GSGS
【0392】
>149
GGGSGGGS
【0393】
>150
GGGGSGGGGSGGGGSGGGGSGGGGS
【0394】
>151
APAP
【0395】
>152
APAPAPAPAP
【0396】
>153
APAPAPAPAPAPAPAPAPAP
【0397】
>154
APAPAPAPAPAPAPAPAPAPAPAPAPAPAPAPAPAPAPAP
【0398】
>155アルブミン変異体
DAHKSEVAHRFKDLGEENFKALVLIAFAQYLQQSPFEDHVKLVNEVTEFAKTCVADESAENCDKSLHTLFGDKLCTVATLRETYGEMADCCAKQEPERNECFLQHKDDNPNLPRLVRPEVDVMCTAFHDNEETFLKKYLYEIARRHPYFYAPELLFFAKRYKAAFTECCQAADKAACLLPKLDELRDEGKASSAKQRLKCASLQKFGERAFKAWAVARLSQRFPKAEFAEVSKLVTDLTKVHTECCHGDLLECADDRADLAKYICENQDSISSKLKECCEKPLLEKSHCIAEVENDEMPADLPSLAADFVESKDVCKNYAEAKDVFLGMFLYEYARRHPDYSVVLLLRLAKTYETTLEKCCAAADPHECYAKVFDEFKPLVEEPQNLIKQNCELFEQLGEYKFQNALLVRYTKKVPQVSTPTLVEVSRNLGKVGSKCCKHPEAKRMPCAEDYLSVVLNQLCVLHEKTPVSDRVTKCCTESLVNRRPCFSALEVDETYVPKEFNAETFTFHADICTLSEKERQIKKQTALVELVKHKPKATKEQLKAVMDDFAAFVEKCCKADDKETCFAEEGKKLVAASQAALGL
【0399】
>156 cDNA H10
CTGCCAGCCCCGAAGAATTTGGTCGTTTCCCGTGTCACTGAGGACTCTGCACGTCTGAGCTGGACCGCACCGGACGCGGCGTTCGACAGCTTTGCAATCGGCTACTGGGAGTGGGATGATGACGGCGAGGCCATTGTGCTGACCGTTCCGGGTAGCGAGCGCAGCTACGATCTGACCGGTCTGAAGCCGGGTACGGAATATCCGGTGTATATTGCGGGCGTGAAGGGTGGCCAGTGGAGCTTCCCGCTGAGCGCGATCTTTACCACC
【0400】
>157 cDNA P258AR6P1071_D02
CTGCCGGCTCCGAAAAACCTGGTCGTTTCCCGTGTCACTGAAGATTCTGCACGCTTGAGCTGGGCGATCGACGAGCAGCGTGACTGGTTTGAGAGCTTCCTGATTCAGTATCAAGAATCGGAAAAAGTTGGCGAGGCCATCGTGCTGACCGTTCCGGGTAGCGAGCGCAGCTATGATCTGACGGGTCTGAAGCCAGGCACCGAGTATACGGTGAGCATTTACGGTGTCTACCATGTGTACCGTAGCAATCCGCTGAGCGCGATCTTCACCACC
【0401】
>158 cDNA
P233FR9P1001_H3−1
CTGCCAGCCCCGAAAAACTTAGTTGTCTCCCGCGTGACCGAAGATTCTGCTCGTCTGAGCTGGACTGCACCGGACGCGGCGTTCGACAGCTTTCCGATTGGCTACTGGGAGTGGGATGATGACGGTGAAGCGATCGTGCTGACCGTTCCGGGTAGCGAGCGTAGCTATGACCTGACGGGTTTGAAACCTGGTACCGAGTATCACGTTTACATTGCGGGCGTCAAGGGTGGCCAGTGGTCGTTCCCGCTGAGCGCAATCTTTACGACC
【0402】
>159 PSMAエピトープ
KKSPSPEFSGMPRISK
【0403】
>160 PSMAエピトープ
NWETNKF
【0404】
>161 SP34軽鎖
QAVVTQESALTTSPGETVTLTCRSSTGAVTTSNYANWVQEKPDHLFTGLIGGTNKRAPGVPARFSGSLIGDKAALTITGAQTEDEAIYFCALWYSNLWVFGGGTKLTVLGQPKSSPSVTLFPPSSEELETNKATLVCTITDFYPGVVTVDWKVDGTPVTQGMETTQPSKQSNNKYMASSYLTLTARAWERHSSYSCQVTHEGHTVEKSLSRADCS
【0405】
>162 SP34重鎖
EVKLLESGGGLVQPKGSLKLSCAASGFTFNTYAMNWVRQAPGKGLEWVARIRSKYNNYATYYADSVKDRFTISRDDSQSILYLQMNNLKTEDTAMYYCVRHGNFGNSYVSWFAYWGQGTLVTVSAATTTAPSVYPLVPGCSDTSGSSVTLGCLVKGYFPEPVTVKWNYGALSSGVRTVSSVLQSAFYSLSSLVTVPSSTWPSQTVICNVAHPASKTELIKRIEPRIPKPSTPPGSSCPPGNILGGPSVFIFPPKPKDALMISLTPKVTCVVVDVSEDDPDVHVSWFVDNKEVHTAWTQPREAQYNSTFRVVSALPIQHQDWMRGKEFKCKVNNKALPAPIERTISKPKGRAQTPQVYTIPPPREQMSKKKVSLTCLVTNFFSEAISVEWERNGELEQDYKNTPPILDSDGTYFLYSKLTVDTDSWLQGEIFTCSVVHEALHNHHTQKNLSRSPGK
【0406】
>163 CD3H141
EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFNTYAMNWVRQAPGKGLEWVARIRSKYNNYATYYAASVKGRFTISRDDSKNSLYLQMNSLKTEDTAVYYCARHGNFGNSYVSWFAYWGQGTLVTVSS
【0407】
>164 CD3H142
EVQLLESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFNTYAMNWVRQAPGKGLEWVARIRSKYNNYATYYADSVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCAKHGNFGNSYVSWFAYWGQGTLVTVSS
【0408】
>165 CD3H143
EVQLLESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFNTYAMNWVRQAPGKGLEWVARIRSKYNNYATYYADSVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCVKHGNFGNSYVSWFAYWGQGTLVTVSS
【0409】
>166 CD3H144
EVQLVESGGGLVQPGGSLKLSCAASGFTFNTYAMNWVRQASGKGLEWVGRIRSKYNGYATYYAASVKGRFTISRDDSKNTAYLQMNSLKTEDTAVYYCTRHGNFGNSYVSWFAYWGQGTLVTVSS
【0410】
>167 CD3L63
QAVVTQEPSLTVSPGGTVTLTCRSSTGAVTTSNYANWVQQKPGQAPRGLIGGTNKRAPGTPARFSGSLLGGKAALTLSGAQPEDEAEYYCALWYSNLWVFGGGTKLTVL
【0411】
>168 CD3L64
QSVLTQPPSVSAAPGQKVTISCRSSTGAVTTSNYANWVQQLPGTAPKGLIGGTNKRAPGIPDRFSGSKSGTSATLGITGLQTGDEADYYCALWYSNLWVFGGGTKLTVL
【0412】
>169 CD3L66
QTVVTQEPSLTVSPGGTVTLTCRSSTGAVTTSNYANWVQQKPGQAPRGLIGGTNKRAPGTPARFSGSLLGGKAALTLSGVQPEDEAEYYCALWYSNLWVFGGGTKLTVL
【0413】
>170.B219軽鎖
QTVVTQEPSLTVSPGGTVTLTCRSSTGAVTTSNYANWVQQKPGQAPRGLIGGTNKRAPGTPARFSGSLLGGKAALTLSGVQPEDEAEYYCALWYSNLWVFGGGTKLTVLGQPKAAPSVTLFPPSSEELQANKATLVCLISDFYPGAVTVAWKADSSPVKAGVETTTPSKQSNNKYAASSYLSLTPEQWKSHRSYSCQVTHEGSTVEKTVAPTECS
【0414】
>171.B219重鎖
EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFNTYAMNWVRQAPGKGLEWVARIRSKYNNYATYYAASVKGRFTISRDDSKNSLYLQMNSLKTEDTAVYYCARHGNFGNSYVSWFAYWGQGTLVTVSSASTKGPSVFPLAPCSRSTSESTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTKTYTCNVDHKPSNTKVDKRVESKYGPPCPPCPAPEAAGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSQEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPSSIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSQEEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFLLYSKLTVDKSRWQEGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSLGK
【0415】
>172.CW5 C末端FN3ドメインFC融合
GSCPPCPAPEAAGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSQEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPSSIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSQEEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSRLTVDKSRWQEGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSLGKGGGGSGGGGSMLPAPKNLVVSRVTEDSARLSWTAPDAAFDSFAIGYWEWDDDGEAIVLTVPGSERSYDLTGLKPGTEYPVYIAGVKGGQWSFPLSAIFTT
【0416】
>173.CW6 N末端FN3ドメインFC融合
MLPAPKNLVVSRVTEDSARLSWTAPDAAFDSFAIGYWEWDDDGEAIVLTVPGSERSYDLTGLKPGTEYPVYIAGVKGGQWSFPLSAIFTTGGGGSGGGGSCPPCPAPEAAGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSQEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPSSIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSQEEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSRLTVDKSRWQEGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSLGK
【0417】
>174.B221重鎖
EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFNTYAMNWVRQAPGKGLEWVARIRSKYNNYATYYAASVKGRFTISRDDSKNSLYLQMNSLKTEDTAVYYCARHGNFGNSYVSWFAYWGQGTLVTVSSASTKGPSVFPLAPCSRSTSESTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTKTYTCNVDHKPSNTKVDKRVESKYGPPCPPCPAPEAAGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSQEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPSSIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSQEEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFLLYSKLTVDKSRWQEGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSLGKGGGGSGGGGSMLPAPKNLVVSRVTEDSARLSWTAPDAAFDSFAIGYWEWDDDGEAIVLTVPGSERSYDLTGLKPGTEYPVYIAGVKGGQWSFPLSAIFTT
【0418】
>175
GGGGSGGGGS
【0419】
>176 G11 mAb重鎖
EVQLLESGGG LVQPGGSLRL SCAASGFTFS SYGMSWVRQA PGKGLEWVSG INGGGGSKYYADSVKGRFTI SRDNSKNTLY LQMNSLRAED TAVYYCAKTS AQRFDYWGQG TLVTVSSASTKGPSVFPLAP SSKSTSGGTA ALGCLVKDYF PEPVTVSWNS GALTSGVHTF PAVLQSSGLYSLSSVVTVPS SSLGTQTYIC NVNHKPSNTK VDKKVEPKSC DKTHTCPPCP APELLGGPSVFLFPPKPKDT LMISRTPEVT CVVVDVSHED PEVKFNWYVD GVEVHNAKTK PREEQYNSTYRVVSVLTVLH QDWLNGKEYK CKVSNKALPA PIEKTISKAK GQPREPQVYT LPPSRDELTKNQVSLTCLVK GFYPSDIAVE WESNGQPENN YKTTPPVLDS DGSFFLYSKL TVDKSRWQQGNVFSCSVMHE ALHNHYTQKS LSLSPGK
【0420】
>177 G11 mAb軽鎖
DIQMTQSPSS LSASVGDRVT ITCRASQSIS SYLNWYQQKP GKAPKLLIYA ASSLQSGVPSRFSGSGSGTD FTLTISSLQP EDFATYYCQQ SYSLPLTFGQ GTKVEIKRTV AAPSVFIFPPSDEQLKSGTA SVVCLLNNFY PREAKVQWKV DNALQSGNSQ ESVTEQDSKD STYSLSSTLTLSKADYEKHK VYACEVTHQG LSSPVTKSFN RGEC
【0421】
>178 CD3B94 mAb重鎖
QVQLVQSGAE VKKPGSSVKV SCKASGGTFS SYAISWVRQA PGQGLEWMGG IIPIFGTANYAQKFQGRVTI TADESTSTAY MELSSLRSED TAVYYCARDP ARLYSYYFDY WGQGTLVTVSSASTKGPSVF PLAPSSKSTS GGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSG VHTFPAVLQSSGLYSLSSVV TVPSSSLGTQTYICNVNHKP SNTKVDKKVE PKSCDKTHTC PPCPAPEAAGGPSVFLFPPK PKDTLMISRT PEVTCVVVDV SHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNG KEYKCKVSNK ALPAPIEKTI SKAKGQPREP QVYTLPPSRDELTKNQVSLT CLVKGFYPSD IAVEWESNGQPENNYKTTPP VLDSDGSFLLYSKLTVDKSR WQQGNVFSCS VMHEALHNHY TQKSLSLSPG K
【0422】
>179 CD3B94 mAb軽鎖
DIQMTQSPSS LSASVGDRVT ITCRASQSISSYLNWYQQKPGKAPKLLIYA ASSLQSGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQP EDFATYYCQQSYSTPLTFGQGTKVEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKV DNALQSGNSQESVTEQDSKD STYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQG LSSPVTKSFN