(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2018-515384(P2018-515384A)
(43)【公表日】2018年6月14日
(54)【発明の名称】液化天然ガス分配方法及びデバイス
(51)【国際特許分類】
B63B 25/08 20060101AFI20180518BHJP
F17C 9/02 20060101ALI20180518BHJP
F17C 13/00 20060101ALI20180518BHJP
B63B 35/28 20060101ALI20180518BHJP
B63B 35/44 20060101ALI20180518BHJP
B63B 35/42 20060101ALI20180518BHJP
【FI】
B63B25/08 Z
F17C9/02
F17C13/00 302A
B63B35/28
B63B35/44 K
B63B35/42 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】24
(21)【出願番号】特願2017-556965(P2017-556965)
(86)(22)【出願日】2016年4月28日
(85)【翻訳文提出日】2017年12月5日
(86)【国際出願番号】FR2016051002
(87)【国際公開番号】WO2016174361
(87)【国際公開日】20161103
(31)【優先権主張番号】1553804
(32)【優先日】2015年4月28日
(33)【優先権主張国】FR
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】517022108
【氏名又は名称】エンジー
【氏名又は名称原語表記】ENGIE
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(74)【代理人】
【識別番号】100064621
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 政樹
(72)【発明者】
【氏名】ポルタニエ,ブノワ
(72)【発明者】
【氏名】ゼルフ,ヤシーヌ
(72)【発明者】
【氏名】マルヴォ,ユーグ
(72)【発明者】
【氏名】エクロ,ミリアム
(72)【発明者】
【氏名】バラ,ミュリエル
(72)【発明者】
【氏名】タルー,クレール
(72)【発明者】
【氏名】ラルクル,ドニ
(72)【発明者】
【氏名】ディバシュ,フレデリク
(72)【発明者】
【氏名】ヴァンヘレン,マルク
【テーマコード(参考)】
3E172
【Fターム(参考)】
3E172AA03
3E172AA06
3E172AB04
3E172BA06
3E172BB13
3E172BB17
3E172BD02
3E172EA03
3E172EB02
3E172EB03
3E172EB20
3E172HA08
(57)【要約】
本発明は、液化天然ガスを再ガス化ユニットに分配するデバイス(10)に関し、上記デバイス(10)は:
‐少なくとも1つのバージ(20)であって:
‐液化天然ガス(LNG)を貯蔵するためのタンク(105);
‐ある水域に上記バージ(20)を浮遊させる手段(110);
‐上記バージ(20)を半潜航式船舶(30)に固定するための手段(115)であって、上記バージ(20)は、上記船舶(30)が浮上位置にある間は水から出るように位置決めされる、手段(115);及び
‐上記貯蔵タンク(105)に内包された上記ガスを、沿岸ガスネットワーク(40)に属する再ガス化ユニット(405)へと移送するための手段(120)
を備える、少なくとも1つのバージ(20);
‐各上記バージを輸送するための上記半潜航式船舶であって、上記船舶は、少なくとも1つの上記タンクにLNGを供給する手段(325)を備える、上記半潜航式船舶;並びに
‐少なくとも1つの水中に浮遊している上記バージ(20)を、再ガス化ユニットへと移動させる、少なくとも1つの手段(50)
を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液化天然ガスを再ガス化ユニットに分配するためのデバイス(10)であって、
前記デバイス(10)は:
‐少なくとも1つのバージ(20)であって:
‐液化天然ガス、通称「LNG」を貯蔵するためのタンク(105);
‐ある水域に前記バージ(20)を浮遊させる手段(110);
‐前記バージ(20)を半潜航式船舶(30)に固定する手段(115)であって、前記バージ(20)は、前記船舶(30)が浮上位置にある時に水から出るように位置決めされる、手段(115);及び
‐前記貯蔵タンク(105)に内包された前記ガスを、沿岸ガスネットワーク(40)の再ガス化ユニット(405)へと移送する手段(120)
を備える、少なくとも1つのバージ(20);
‐各前記バージを輸送するための前記半潜航式船舶であって、前記船舶は、少なくとも1つの前記タンクにLNGを供給する手段(325)を備える、前記半潜航式船舶;並びに
‐少なくとも1つの水中に浮遊している前記バージ(20)を、前記再ガス化ユニットへと移動させる、少なくとも1つの手段(50)
を備える、デバイス(10)。
【請求項2】
前記供給手段(325)は、少なくとも1つの前記貯蔵タンク(105)にLNGを移送するためのLNG移送ユニット(320)を備える、請求項1に記載のデバイス(10)。
【請求項3】
前記船舶(30)は、少なくとも2つの前記貯蔵タンク(105)に同時にLNGを供給する第1の移送方法の実行を制御するよう構成された、前記移送ユニット(320)を制御する手段(330)を備える、請求項2に記載のデバイス(10)。
【請求項4】
前記船舶(30)は、前記供給手段(325)によってLNGを供給される少なくとも1つのLNG貯蔵リザーバ(315)を備える、請求項1〜3のいずれか1項に記載のデバイス(10)。
【請求項5】
前記LNG移送ユニット(320)は、少なくとも1つの前記リザーバ(315)から少なくとも1つの前記貯蔵タンク(105)へ、又は少なくとも1つの前記タンクから少なくとも1つの前記リザーバへLNGを移送するよう、構成される、請求項4に記載のデバイス(10)。
【請求項6】
前記移送ユニット(320)を制御する前記手段(330)は更に、LNGを移送する方法を:
‐少なくとも1つの前記リザーバ(315)及び少なくとも1つの前記貯蔵タンク(105)に同時にLNGを供給する、第2の移送方法;並びに
‐1つのみの前記リザーバにLNGを供給する、第3の移送方法
から選択するよう構成される、請求項2又は3に記載のデバイス(10)。
【請求項7】
前記船舶(30)は、第1の前記バージ上の前記貯蔵タンクから第2の前記バージ上の前記貯蔵タンクへのLNGの移送のためのデバイス(335)を備える、請求項1〜6のいずれか1項に記載のデバイス(10)。
【請求項8】
前記船舶(30)は、少なくとも1つのLNGの前記貯蔵手段(105、315)内に存在する液化天然ガスから気化したガスを排出する手段(340)を備える、請求項1〜7のいずれか1項に記載のデバイス(10)。
【請求項9】
前記船舶(30)は:
‐前記排出された気化ガスを圧縮する手段(345);及び
‐前記圧縮手段によって圧縮された又は圧縮されていない前記気化ガスを利用して動力供給された前記船舶を推進する手段(360)
を備える、請求項8に記載のデバイス(10)。
【請求項10】
前記船舶(30)は、少なくとも1つの前記貯蔵タンク(105)の加圧のためのユニット(350)を備える、請求項7〜9のいずれか1項に記載のデバイス(10)。
【請求項11】
前記加圧ユニット(350)は、LNGを、少なくとも1つの前記貯蔵タンク(105)において第1の圧力まで、及び少なくとも1つの他の前記タンクにおいて、前記第1の圧力とは異なる第2の圧力まで、加圧するよう構成される、請求項10に記載のデバイス(10)。
【請求項12】
ガスの移送のための前記手段(120)は、前記ガスネットワーク(40)に接続され、前記ガスネットワーク(40)は、前記バージ(20)に直接、一意に供給される前記液化天然ガスの、再ガス化ユニット(405)を備える、請求項1〜11のいずれか1項に記載のデバイス(10)。
【請求項13】
請求項1〜12のいずれか1項に記載の分配デバイス(10)を利用して、再ガス化ユニットに液化天然ガスを分配するためのプロセス(60)であって、
前記プロセス(60)は:
‐潜水位置の半潜航式船舶に各バージを固定するステップ(615);
‐各前記バージを輸送する前記半潜航式船舶への供給手段の実装により、少なくとも1つの前記バージ(20)の液化天然ガス用貯蔵タンクに供給を行うステップ(605);
‐前記半潜航式船舶及び前記船舶が輸送する各前記バージを移動させるステップ(620);
‐各前記バージをある水域において浮遊させるステップ(645);
‐少なくとも1つの取り外された前記バージ(20)を、ガスネットワークの供給パイプまで移動させるステップ(650);並びに
‐LNGを再ガス化し、前記少なくとも1つのバージ(20)のLNGを前記ガスネットワークの前記供給パイプに供給するステップ(665)
を含む、プロセス(60)。
【請求項14】
‐前記浮遊させるステップ(645)の前に、前記半潜航式船舶を部分的に潜水させるステップ(625);
‐前記浮遊させるステップの後に、前記半潜航式船舶を浮上させるステップ(640);及び
‐前記潜水させるステップ(625)と前記浮上させるステップ(640)との間に、前記バージを前記半潜航式船舶に固定するステップ(635)
を含む、請求項13に記載のプロセス(60)。
【請求項15】
前記浮遊させるステップ(645)の後に、少なくとも1つの前記バージ(20)を剛性表面に積み込むステップ(655)を含む、請求項13又は14に記載のプロセス(60)。
【請求項16】
前記移動させるステップ(650)の経過中に、前記供給パイプ付近において突堤又は埠頭に係船するステップ(660)を含む、請求項13〜15のいずれか1項に記載のプロセス(60)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液化天然ガスの分配のためのプロセス及びデバイスに関する。これは特に、例えば島に位置する小型再ガス化ターミナルへの液化天然ガスの供給に適用可能である。
【背景技術】
【0002】
本文書ではこれ以降、「液化天然ガス(liquefied natural gas)」を指すために、頭字語「LNG」を用いる。
【0003】
LNGは、主に液体形態に凝結されたメタンからの、天然ガスの凝結によって得られる。天然ガスの凝結の主な利点は、凝結によって得られる体積の削減である。体積の削減により、非液化天然ガスに比べてLNGの輸送は容易となる。
【0004】
人口が少ない島に位置する再ガス化ターミナルへの供給について、上記ターミナルへのガスの供給は、メタン搬送船によって行われる。
【0005】
この方法によって供給を受ける上記ターミナルは、主に:
‐上記ターミナルをメタンリザーバへと中継するための、「突堤埠頭(finger pier)」からなる海洋インフラストラクチャ;
‐沿岸貯蔵リザーバ;
‐貯蔵されたLNGの再ガス化のためのユニット
を備える。
【0006】
このタイプのインフラストラクチャは、相当な初期投資を必要とし、その結果、LNGの消費が少ない場所には適合しない。更に、別のエネルギ源に比べて、このタイプのターミナルの建造期間は長い。この高コストにより、例えば石炭又は石油といった、より高度に「炭化された(carbonised)」エネルギ源の選択が好まれる傾向がある。
【0007】
例えば、特許文献1〜3に記載されているようなシステムが存在する。これらのシステムでは、可動式リザーバが、半潜航式船舶上に位置決めされて:
‐水中において、始点から水中の船舶へ;
‐浮上した船舶において、上記船上の第1の潜水地点から上記船上の第2の潜水地点へ;
‐水中において、水中の船舶から目的地点へ、輸送される。
【0008】
しかしながらこれらのシステムは、各リザーバを上記船舶に固定する前に、LNGを各リザーバに供給する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許第2002/178988号
【特許文献2】独国特許第3143457号
【特許文献3】国際公開第2006/130785号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、これらの欠点の全て又は一部を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この目的のために、第1の態様によると、本発明は、液化天然ガスを再ガス化ユニットに分配するためのデバイスに関し、上記デバイスは:
‐少なくとも1つのバージであって:
‐液化天然ガス、通称「LNG」を貯蔵するためのタンク;
‐ある水域にバージを浮遊させる手段;
‐上記バージを半潜航式船舶に固定する手段であって、上記バージは、上記船舶が浮上位置にある時に水から出るように位置決めされる、手段;及び
‐上記貯蔵タンクに内包された上記ガスを、沿岸ガス分配ネットワークの再ガス化ユニットへと移送する手段
を備える、少なくとも1つのバージ;
‐各上記バージを輸送するための上記半潜航式船舶であって、この船舶は、少なくとも1つの上記貯蔵タンクにLNGを供給する手段を備える、上記半潜航式船舶;並びに
‐少なくとも1つの水中に浮遊している上記バージを、上記再ガス化ユニットへと移動させる、少なくとも1つの手段
を備える。
【0012】
これらの構成の結果として、LNG消費が少ない場所に建造されたガスターミナルは、貯蔵リザーバを有する必要は必ずしもなくなる。というのは、この機能を、上記再ガス化ターミナルに付属する各上記可動式バージが実施するためである。これにより、建造のための初期投資コスト、及び上記ガスターミナルの建造期間が低減される。更に、このデバイスの結果として、建造する必要がある突堤又は係船ステージは、現在使用されている他の突堤より小さな寸法となる。というのは、上記半潜航式船舶は、突堤に係船されないためである。
【0013】
供給手段の実装により、上記船舶によって、各上記バージを浮上前に事前に充填する必要のない方法で、LNGを各上記バージ上の上記貯蔵タンクに供給できる。
【0014】
実装形態では、上記供給手段は、少なくとも1つの上記貯蔵タンクに供給できるLNG移送ユニットを備える。
【0015】
実装形態では、上記船舶は、少なくとも2つの上記貯蔵タンクに同時にLNGを供給する第1の移送方法の実行を制御するよう構成された、上記移送ユニットを制御する手段を備える。
【0016】
これらの実装形態では、上記船舶は、上記供給手段によってLNGを供給される少なくとも1つのLNG貯蔵リザーバを備える。
【0017】
実装形態では、上記LNG移送ユニットは、少なくとも1つのリザーバから少なくとも1つの貯蔵タンクへ、又は少なくとも1つの貯蔵タンクから少なくとも1つのリザーバへLNGを移送するよう、構成される。
【0018】
上記船舶上にリザーバが存在することにより、上記船舶は、水中を移動しながら、LNGを各バージに供給できる。
【0019】
これにより、上記半潜航式船舶は、ガスの輸送に関する国際規則(「国際液化ガス運搬船規則(International Gas Carrier Code)」)に定義されるような、メタンに関する規制及び半潜航式船舶に関する規制の両方を尊重する。
【0020】
実装形態では、上記移送ユニットを制御する上記手段は更に、LNGを移送する方法を以下から選択するよう構成される:
‐少なくとも1つの上記リザーバ及び少なくとも1つの貯蔵タンクに同時にLNGを供給する、第2の移送方法;並びに
‐1つのみの上記リザーバにLNGを供給する、第3の移送方法。
【0021】
実装形態では、上記船舶は、第1の上記バージ上の上記貯蔵タンクから第2の上記バージ上の上記貯蔵タンクへのLNGの移送のためのデバイスを備える。
【0022】
実装形態では、上記船舶は、少なくとも1つのLNGの貯蔵手段内に存在する液化天然ガスから気化したガスを排出する手段を備える。
【0023】
実装形態では、上記船舶は:
‐いずれの排出された気化ガスを圧縮する手段;及び
‐上記圧縮手段によって圧縮された又は圧縮されていない気化ガスを供給された上記船舶を推進する手段
を備える。
【0024】
これらの実装形態により、気化したLNGを再利用LNGへと回収できる。
【0025】
実装形態では、上記船舶は、少なくとも1つの上記貯蔵タンクのための加圧ユニットを備える。
【0026】
これらの実装形態により、上記リザーバ及び上記貯蔵タンク内のLNGの残量の管理を最適化できる。
【0027】
実装形態では、上記加圧ユニットは、LNGを、少なくとも1つの上記貯蔵タンクにおいて第1の圧力レベルまで、及び少なくとも1つの他の上記貯蔵タンクにおいて、上記第1の圧力レベルとは異なる第2の圧力レベルまで、加圧するよう構成される。
【0028】
これらの実装形態により、上記半潜航式船舶から取り外された上記バージを移動させるために、タグボートを使用できる。
【0029】
実装形態では、上記半潜航式船舶は更に:
‐上記船舶の部分的潜水及び浮上を実施するための、少なくとも1つのバラストリザーバ;
‐上記船舶が潜航している時に上記船舶を各上記バージと連絡させる手段
を備える。
【0030】
これらの実装形態により、上記バージの標準化が可能となり、上記半潜航式船舶1隻あたり多数の上記バージの最適化された輸送を達成できる。
【0031】
実装形態では、本発明の目的である上記デバイスは、少なくとも1つの上記バージの上記移送手段に接続された供給パイプを備えた、上記沿岸ガスネットワークを含む。
【0032】
実装形態では、ガスの上記移送手段は上記ガスネットワークに接続され、このガスネットワークは、上記バージに直接、一意に供給される液化天然ガスの、再ガス化ユニットを備える。
【0033】
これらの実装形態により、上記液化ガスを気相に復元でき、従って上記液化ガスを、上記ネットワーク上での消費又は末端ターミナルによる直接的な使用に適合させることができる。
【0034】
第2の態様によると、本発明は、本発明の目的である分配デバイスを利用して、再ガス化ユニットに液化天然ガスを分配するためのプロセスを提供することを目的とし、上記プロセスは:
‐潜水位置の半潜航式船舶に各バージを固定するステップ;
‐各上記バージを輸送する上記半潜航式船舶からの供給手段を配備することにより、少なくとも1つの上記バージの液化天然ガス貯蔵タンクに供給を行うステップ;
‐上記半潜航式船舶及び上記船舶が輸送する各上記バージを移動させるステップ;
‐各上記バージをある水域において浮遊させるステップ;
‐少なくとも1つの取り外された上記バージを、ガスネットワークの上記供給パイプまで移動させるステップ;並びに
‐LNGを再ガス化し、上記少なくとも1つのバージのLNGを上記ガスネットワークの上記供給パイプに供給するステップ
を含む。
【0035】
本発明の目的となるプロセスの目的、利点、特定の特徴は、本発明の目的となるデバイスの目的、利点、特定の特徴と同様であるため、ここで繰り返す必要はない。
【0036】
変形形態では、本発明の目的となるプロセスは更に:
‐上記浮遊させるステップの前に、上記半潜航式船舶を部分的に潜水させるステップ;
‐上記浮遊させるステップの後に、上記半潜航式船舶を浮上させるステップ;及び
‐上記潜水させるステップと上記浮上させるステップとの間に、バージを上記半潜航式船舶と連絡させるステップ
を含む。
【0037】
これらの実装形態により、空になったバージを、別のガスネットワーク又は別のターミナルに輸送する前に、液化天然ガスの分配ステーションへと持って来ることによって、上記ガスネットワークの空になったバージと、上記船舶から取り外された満杯のバージとを交換できる。
【0038】
実装形態では、本発明の目的となるプロセスは、上記浮遊させるステップの後に、少なくとも1つの上記バージを剛性表面に固定するステップを含む。
【0039】
実装形態では、本発明の目的となるプロセスは、上記移動させるステップの経過中に、上記供給パイプ付近において突堤又は係船ステージに固定するステップを含む。
【0040】
これらの実装形態により、これまでのメタン輸送船に対して使用されてきた突堤に適用可能な寸法よりも小さい寸法の突堤又は係船ステージを使用できる。
【0041】
本発明の他の利点、目的、特定の特徴は、本発明の目的である液化天然ガスの分配のためのデバイス及びプロセスの少なくとも1つの特定の実装形態に関する、添付の図面を参照した非限定的な説明から、明らかになるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【
図1】
図1は、本発明の目的のデバイスのある特定の実装形態の概略斜視図である。
【
図2】
図2は、本発明の目的のデバイスの船舶及びバージのある特定の実装形態の概略斜視図である。
【
図3】
図3は、本発明の目的のプロセスのある特定の実装形態の複数のステップをフローチャートの形式で概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0043】
本説明は非限定的なものであり、ある実装形態の各特徴は、他のいずれの実装形態の他のいずれの特徴と有利に組み合わせることができる。
【0044】
本明細書において、図面の縮尺は正確でないことに留意されたい。
【0045】
また:
‐用語「貯蔵タンク(storage tank)」は、バージ20上の貯蔵の容積を指し;
‐用語「貯蔵リザーバ(storage reservoir)」は、船舶30上の貯蔵の容積を指すことにも留意されたい。
【0046】
更に、これ以降使用される用語「締結する(fastening)」は、2つの物体を接合するという意味の「締結する」に限定されず、ある物体を別の物体と、上記2つの物体間に機械的束縛が存在するような方法で連結する、着脱可能かどうかにかかわらない機械的連結という意味で使用されることに留意されたい。このような「締結する」は例えば、上記2つの物体のうちの一方が移動している間に、紐又はガイドによって形成される。
【0047】
最後に、本発明の目的のプロセスに属する一連のステップは、限定的な意味で記載されているのではなく、上記プロセスの上記ステップは、あらゆる方法で有利にかつ良好に組み合わせることができることに留意されたい。
【0048】
上方から見た、概略的な縮尺が正確ではない
図1において観察されるのは、本発明の目的であるデバイス10のある実装形態である。液化天然ガスを再ガス化ユニットに分配するためのこのデバイス10は:
‐少なくとも1つのバージ20であって:
‐液化天然ガス、通称「LNG」の貯蔵タンク105;
‐ある水域にバージ20を浮遊させる手段110;
‐上記バージ20を半潜航式船舶30に締結(固定)する手段115であって、上記バージ20は、上記船舶30が浮上位置にある時に水から出るように位置決めされる、手段115;及び
‐上記貯蔵タンク105に内包された上記ガスを、沿岸ガスネットワーク40の再ガス化ユニット405へと移送する手段120
を備える、少なくとも1つのバージ20;
‐各バージを輸送するための上記半潜航式船舶30であって、この船舶は、LNGの少なくとも1つの上記貯蔵タンクにLNGを供給する手段325を備える、上記半潜航式船舶30;並びに
‐水中に浮遊している少なくとも1つのバージ20を、上記再ガス化ユニットへと移動させる、少なくとも1つの手段50
を備える。
【0049】
各バージ20は、LNGの貯蔵タンク105を備える。この貯蔵タンク105は例えば、回転する円筒形トランクの形態で表される容積である。この貯蔵タンク105は、複数の独立した容積で形成でき(区画化でき)、又は相互接続できる。貯蔵タンク105は、タイプA又はCとすることができ、これらはそれぞれ、大気圧下の膜タイプのタンク、及び加圧された剛性タンクである。
【0050】
各貯蔵タンク105は例えば、浮遊手段110上に位置決めされる。この浮遊手段 110は例えば、長方形の浮遊表面であり、その上に各バージ20が整列される。
【0051】
各バージ20は更に、半潜航式船舶30に対する締結(固定)手段115を備える。この締結(固定)手段115は例えば、浮遊手段110に嵌合されたリングを通して連結された複数の鎖又はロープの集合によって形成される。この締結(固定)手段115は、半潜航式船舶30によるバージ20の移送中に、このバージ20の位置を維持するという目的を有する。より正確には、上記バージは半潜航式船舶30によって支承される。
【0052】
好ましくは、締結(固定)手段115は、バージが船舶30に取り付けられた後で各バージ20の垂直変位を可能とする、複数のガイドの集合から形成される。これにより、船舶30が潜水すると、各バージ20は上記水域において浮遊し、また船舶30が浮上すると、上記ガイドは、船舶30に対する各バージ20の移動を制約できる。
【0053】
好ましくは、締結(固定)手段115は、船舶30が浮上した後で各バージ20を船舶30にインターロックする手段を同様に備える。このようなインターロック手段は例えば、船舶30の表面に対する各バージ20の磁性牽引によって機能できる。変形形態では、上記インターロック手段は、船舶30を各バージ20に連結する鎖によって形成される。
【0054】
最後に、各バージ20は、貯蔵タンク105に内包されたガスを、沿岸ガスネットワーク40の再ガス化ユニット405に移送する手段120を備える。この移送手段120は例えばパイプであり、このパイプの開口(図示せず)が貯蔵タンク105の内部に接続される。このパイプは例えば、低温配管又はホースであってよい。
【0055】
別の実装形態では、移送手段120は、LNGをバージ20から沿岸バッファタンクへ移送するための、パイプ(図示せず)及びポンプ(図示せず)を備える。
【0056】
このバッファタンクは例えば、沿岸に恒常的に設置されるバージ20である。これにより、船が遅延した場合に上記再ガス化ユニットにLNGを供給でき、空のタンクを接続解除して満杯のタンクを再接続する期間中に、連続した供給を保証できる。
【0057】
変形形態では、少なくとも1つのバージ20は、タグボートへの締結(固定)手段125を備え、このタグボートは、上記水域の浮遊しているバージ20を移動させる、曳航する、又は押し動かす手段50として機能する。
【0058】
締結(固定)手段125は例えば、バージ20の浮遊手段110に嵌合されたリングを通して連結された複数の鎖又はロープで形成された集合体である。これらの鎖又はロープは、その他端において上記タグボートに連結される。
【0059】
変形形態では、半潜航式船舶30への締結(固定)手段115と、タグボートへの締結(固定)手段125とは、同一である。
【0060】
変形形態では、少なくとも1つのバージ20は、例えばモータ及びプロペラ等の移動手段を備え、外部デバイスに頼ることなくバージ20を独立して移動させることができる。
【0061】
半潜航式船舶30は例えば、各バラストに水を充填したときに貯蔵表面を上記水域において潜水させるために十分な寸法の少なくとも1つのバラストリザーバ305を備える、輸送船である。上記船舶のこの部分的な潜水により、上記貯蔵表面を移動させることができる。この貯蔵表面は、上記バラストが空になる前に、例えばバージ20等の輸送対象のデバイスの下方へと移動する。このようにして、半潜航式船舶30は浮上し、上記貯蔵表面は水から浮上して、潜水した表面の上部に配置された上記デバイスを支持する。
【0062】
変形形態では、半潜航式船舶30は更に、船舶30が潜水したときに各バージ20を船舶30とインターロックするための、船舶30と各バージ20との連絡手段310を備える。この連絡手段310は例えば、バージ20又は船舶30上に位置決めされた少なくとも1つのリングを通して取り付けられた複数の鎖及び/又はロープの集合によって形成される。
【0063】
供給手段325により、半潜航式船舶30に固定された、少なくとも部分的に空のバージ20に、LNGを供給できる。船舶30は、液化プラント又はメタンターミナル等のLNGのソースへの接続のために設けられた供給パイプを備える。船舶30は同様に、1つ又は複数のバージ20への供給のためのポンプを備え、これにより、上記1つ又は複数のバージ20に同時に又は選択的にLNGを充填する。このようにして、対応するバージ20が既に上記船舶に取り付けられている状態で、半潜航式船舶の空の貯蔵タンク105全てを、単一のソースによって充填できる。
【0064】
供給手段325は例えば、少なくとも1つの貯蔵タンク105内の上記供給パイプに供給されるLNGを注ぎ出すパイプのネットワークである。
【0065】
実装形態では、供給手段325は、少なくとも1つの貯蔵タンク105へのLNGの移送のためのユニット320を備える。
【0066】
この移送ユニット320は例えば、少なくとも1つの貯蔵タンク105からの、及び少なくとも1つの貯蔵タンク105への、LNGの移送を可能とする、パイプのネットワークである。移送ユニット320は例えば、上記船舶からのLNGの流入を少なくとも1つの貯蔵タンク105に連結するパイプ335に取り付けられたポンプである。
【0067】
実装形態では、船舶30は、供給手段325によってLNGが供給される、LNGの貯蔵のための少なくとも1つのリザーバ315を備える。
【0068】
実装形態では、上記LNG移送ユニットは少なくとも1つのリザーバから少なくとも1つの貯蔵タンクへ、又は少なくとも1つの貯蔵タンクから少なくとも1つのリザーバへLNGを移送するよう構成される。
【0069】
変形形態では、移送ユニット320及び供給手段325は接合され、これにより、最初にリザーバ315を通過した全ての又は一部のLNGが貯蔵タンク105に入る。
【0070】
変形形態では、移送ユニット320は、少なくとも1つの貯蔵タンク105に貯蔵されたLNGを、異なる複数の貯蔵タンク105間のLNGの分配を最適化するような方法で引き出すよう構成される。
【0071】
これによって例えば、部分的に空の貯蔵タンク105が船舶30に取り付けられ、内包されたLNGは、同様に最初からLNGを内包していた別の一意の貯蔵タンク105内に蓄積するために引き出される。従って全てのLNGは単一の貯蔵タンク105内に配置される。
【0072】
各リザーバ315は例えば、通常の寸法のコンテナである。
【0073】
全てのリザーバ315は連結されているか、又は独立している。
【0074】
これらのリザーバにより、LNGの大量輸送が可能となる。
【0075】
実装形態では、船舶30は、移送ユニット320の制御手段330を備え、これは、少なくとも2つの貯蔵タンク105に同時にLNGを供給する第1の移送方法の実行を制御するよう構成される。
【0076】
制御手段330は例えば、移送ユニット320の電子制御回路である。
【0077】
図1に示されているような実装形態では、移送ユニット320の制御手段330は更に、LNGを移送する方法を以下から選択するよう構成される:
‐少なくとも1つのリザーバ315及び少なくとも1つの貯蔵タンク105に同時にLNGを供給する、第2の移送方法;並びに
‐少なくとも1つのリザーバ315にLNGを供給する、第3の移送方法。
【0078】
図1に示されているような実装形態では、船舶30は、第1のバージ20の貯蔵タンク105から第2のバージの貯蔵タンクへのLNGの移送のためのデバイス335を備える。
【0079】
LNGの移送のためのデバイス335は例えば、2つの貯蔵タンク105に接続されたパイプであり、貯蔵タンク105のうちの一方の圧力を増大させることによって、他方の貯蔵タンクへのLNGの移送を実行させる。
【0080】
これにより、2つのバージ20が同一の船舶30に取り付けられている場合であっても、あるバージ20から別のバージ20へLNGを移送できる。
【0081】
図1に示されているような実装形態では、船舶30は、貯蔵タンク105内に存在する液化天然ガスから気化したガスを排出するための手段340を備える。
【0082】
ガスを排出するための手段340は例えば、LNGより高揮発性の気化ガスを抽出するフードと同様のものである。
【0083】
図1に示されているような実装形態では、船舶30は:
‐いずれの排出された気化ガスを圧縮する手段345;及び
‐上記圧縮手段によって圧縮された又は圧縮されていない上記排出された気化ガスを供給された上記船舶を推進する手段360
を備える。
【0084】
圧縮手段345は例えばコンプレッサである。
【0085】
変形形態では、圧縮された気化ガスは、推進手段360のリザーバに供給され、既に貯蔵されている燃料に追加される。上記気化ガスは、中間リザーバを用いて又は用いずに、推進手段360に供給できる。他の変形例では、上記気化ガスは、推進手段360に直接供給できる。
【0086】
図1に示されているような実装形態では、船舶30は、少なくとも1つの貯蔵タンク105の加圧ユニット350を備える。
【0087】
この加圧ユニット350は例えばポンプである。この加圧ユニット350により、各上記貯蔵タンク105内のヘッドスペースの過圧によって液体の残量を最適化できる。
【0088】
図1に示されているような実装形態では、加圧ユニット350は、LNGを、少なくとも1つの貯蔵タンク105において第1の圧力まで、及び少なくとも1つの他の貯蔵タンク105において、上記第1の圧力より高い第2の圧力まで、加圧するよう構成される。
【0089】
変形形態では、上記第2の圧力は、上記第1の圧力より少なくとも3倍高い。変形形態では、上記第2の圧力は、上記第1の圧力より少なくとも7倍高い。変形形態では、上記第2の圧力は、上記第1の圧力より少なくとも20高い。変形形態では、上記第1の圧力は大気圧に相当する。
【0090】
変形形態では、加圧ユニット350は、各貯蔵タンクのヘッドスペース内のガスを引き出し、これを指定された貯蔵容積内に貯蔵するよう構成される。
【0091】
各移動手段50は例えば、各バージ20を係船ステージから半潜航式船舶30へ、又はこの半潜航式船舶30から係船ステージ若しくは突堤へ移動させることができる、曳航船舶である。
【0092】
曳航船舶50及び各バージ20の寸法を削減することにより、必要な係船ステージ又は突堤(図示せず)を、メタン輸送船を収容するために必要とされてきた突堤に対して寸法が同様に削減されたものとすることができる。
【0093】
変形形態では、ガスの移送手段120は、少なくとも1つのバージ20の移送手段120への接続のための供給パイプ410を備える沿岸ガスネットワーク40に接続される。このガスネットワーク40は、液化天然ガスのための指定された貯蔵リザーバを備えておらず、これにより、上記ガスネットワークはより迅速かつ経済的に構成できる。ガスの供給のために、沿岸ネットワーク40は、半潜航式船舶30によって貯蔵タンク105の充填のための位置から移送される少なくとも1つのバージ20に接続される。
【0094】
ガスネットワーク40は好ましくは、少なくとも2つの供給パイプ410を備える。これにより、LNGを充填されたバージ20はパイプ410のうちの一方に接続され、その一方で空のバージ20は、第2の供給パイプ410から接続解除され、このようにして、異なる複数のバージ20間での供給の移行を実施する。更に、多数の供給パイプ410により、バージ20によって形成されるLNG貯蔵リザーバの寸法のモジュール性を実現できる。
【0095】
このガスネットワーク40は、バージ20によって直接、一意に供給される液化天然ガスの、再ガス化ユニット405を備える。この再ガス化ユニット405は、LNGの圧力を上昇させ、LNGを加熱し、その結果としてLNGは相変化する。このようにして得られた天然ガスは、ガスネットワーク40上で利用するためにパイプへと送られる。
【0096】
実装形態では、船舶30は、この船舶30が部分的に潜水している間、リザーバ315が潜水しないように構成される。
【0097】
このような構成は例えば、船舶30の前方を潜水させ、バージ20を船舶30の潜水可能な部分の前方に位置決めすることによって達成される。
【0098】
変形形態では、このような構成は、各リザーバ315の持ち上げられた位置によって達成される。
【0099】
変形形態では、このような構成は、各リザーバ315を支持する表面に浮きを追加することによって達成される。
【0100】
変形形態では、このような構成は、船舶30の潜水中に各リザーバ315を水位より持ち上げるよう構成された、各リザーバ315を持ち上げる機械的手段の利用によって達成される。
【0101】
図2において観察されるのは、半潜航式船舶30、複数の同一のバージ20、及び上記バージの移動手段50の特定の実装形態の概略斜視図である。この3つの要素20,30、50は、ここでは水域内に示されている。
【0102】
図3において観察されるのは、本発明の目的のプロセス60の複数の特定のステップの概略的なフローチャートである。液化天然ガスを再ガス化ユニットへ分配するためのこのプロセス60は:
‐1つの船舶の少なくとも1つの貯蔵リザーバに、液化天然ガス、通称「LNG」を貯蔵する任意のステップ602;
‐ある水域に各バージを浮遊させるステップ610;
‐各上記バージを、潜水位置の半潜航式船舶に固定するステップ615;
‐各上記バージを輸送する上記半潜航式船舶からの供給手段を配備することによって、貯蔵タンクに、少なくとも1つの上記バージ20からの液化天然ガスを供給するステップ605;
‐上記半潜航式船舶、及び上記船舶に取り付けられた各上記バージを移動させるステップ620;
‐潜水位置の上記半潜航式船舶に固定された少なくとも1つの上記バージを取り外すステップ630;
‐ある水域に各上記バージを浮遊させるステップ645;
‐少なくとも1つの取り外された上記バージ20を、ガスネットワークの供給パイプまで移動させるステップ650;及び
‐LNGを再ガス化して、少なくとも1つの上記バージ20のLNGを上記ガスネットワークの上記供給パイプへと供給するステップ665
を含む。
【0103】
ガスを貯蔵するステップ602は例えば、液化天然ガスの分配のためのステーションにおいて実施される。ガスの分配のためのこのステーションは、上記船舶上の少なくとも1つのリザーバを充填できる。ガスの分配のためのこのステーションは通常、メタン輸送船上のリザーバの充填に利用され、これらの船は、上記分配ステーションから離間したガスネットワークの貯蔵庫への供給を行う。
【0104】
浮遊させるステップ610は例えば、LNGの貯蔵容積に嵌合された浮き又は浮遊手段を用いて実装される。変形形態では、上記浮遊手段は、バージタイプの構造体、即ち平底の船舶である。
【0105】
少なくとも1つのバージが既に上記水域において浮遊しているにもかかわらず、ガスを貯蔵するステップ610を実施する変形形態では、ステップ605は、LNGパイプを取り外すステップを含み、各バージは自由に浮遊させられる。
【0106】
プロセス60は、少なくとも1つのバージを、浮遊している位置から半潜航式船舶へと移動させるステップ(図示せず)を含む。上記半潜航式船舶は一般に、上記分配ステーションが配置された岸から沖に係留される。
【0107】
この移動させるステップは例えば、クレーン、曳航船舶、又は例えばモータ及びプロペラといった独立した移動手段を利用して実装される。
【0108】
移動した各バージを半潜航式に固定するステップ615は:
‐上記半潜航式船舶を部分的に潜水させて、上記支持体の表面を潜水させること;
‐上記支持体の上記表面が、輸送される少なくとも1つのバージより下に位置決めされるまで、上記船舶を移動させること;及び
‐上記船舶を浮上させ、この浮上によって持ち上げられた各バージを上記支持体の上記表面に接触させること
によって実装される。
【0109】
変形形態では、上記バージを固定するこのステップ615は、取り付けをロックするためのステップによって補完される。このロックステップは例えば、少なくとも1つのバージを上記半潜航式船舶に取り付けることができる鎖、ロープ及びリングを利用して実装される。
【0110】
ガスを貯蔵するステップ605は例えば、
図1に関して説明したような供給手段又はLNG移送ユニットを利用して実装される。
【0111】
輸送するステップ620は例えば、上記半潜航式船舶を移動させて、固定された各バージを、遠方の沿岸ガスネットワークの方向に輸送することによって実装される。
【0112】
上記沿岸ガスネットワークは、LNG消費に関して固有の特徴を有する。このため、このガスネットワークは、対応する個数のバージ上の接点に嵌合される所定の個数の供給パイプを備える。利用されるバージの個数は、上述のような、上記ガスネットワークのLNGの消費、及び半潜航式船舶によるLNGの再供給の頻度に左右される。
【0113】
上記半潜航式船舶が上記沿岸ガスネットワーク付近に到着すると、少なくとも1つのバージが上記船舶から取り外される。この取り外すステップ630は例えば:
‐各バージを上記船舶に取り付ける締結器具を取り外すこと;及び
‐上記船舶を部分的に潜水させて、上記支持体の上記表面を潜水させること
によって実装される。
【0114】
上記半潜航式船舶を部分的に潜水させるステップ625は例えば、バラストタンクに上記水域からの水を充填することによって実装される。このようにして、上記船舶の喫水線を、上記船舶の上部へと変位させる。
【0115】
このようにして取り外された各バージは、例えば浮遊させるステップ610と同様の様式で実装される浮遊させるステップ645の間、上記水域で浮遊する。
【0116】
浮遊している各バージは、移動させるステップ650中に、上記沿岸ガスネットワークの方向に移動する。この移動させるステップ650は例えば、クレーン、曳航船舶によって、又は少なくとも1つのバージを独立して移動させるための手段によって、実装される。
【0117】
ある変形形態では、LNGは上記バージからバッファタンクに移送され、これにより、上記バージが空の場合に、上記ネットワーク又は顧客への連続した供給を保証できる。
【0118】
プロセス60はオプションとして、例えば上記水域付近の岸の牽引用デバイスを利用することによって実装される、積み込みステップ655を含む。
【0119】
変形形態では、プロセス60は、上記供給パイプ付近の突堤に係船するステップ660を含む。
【0120】
少なくとも1つの移動したバージは、上記ガスネットワークの供給パイプに接続され、これにより、上記バージに内包されたLNGを上記ガスネットワークに供給する。
【0121】
供給ステップは例えば、上記沿岸ガスネットワークに接続されたバージから、LNGの貯蔵容積の内部に内包されたLNGの少なくとも一部を引き出すためのポンプを利用して実装される。LNGは同様に、圧力差によって移送できる。
【0122】
変形形態では、プロセス60は、浮遊するバージを上記船舶に固定するステップ635を含み、この浮遊するバージは、LNGを上記半潜航式船舶に移送して空になっている。この固定するステップ635は例えば、固定するステップ615の過程で実施される固定と同一の方法で実装される。浮遊する空のバージはそれぞれ、上記沿岸ガスネットワークにまず接続される。上記沿岸ガスネットワークでは、上記ネットワークの供給によって、このバージの貯蔵容積に内包されたLNGの全てが引き出されている。上記半潜航式船舶から取り外された各バージは、上記船舶が上記ガスネットワーク付近に到着した時点において、所定の位置にある少なくとも1つのバージを交換するためのものである。
【0123】
上記沿岸ガスネットワークへと送達される上記バージを取り外した後、及び必要な場合は上記空のバージを上記半潜航式船舶に固定した後、プロセス60は、上記船舶を浮上させるステップ640を含む。
【0124】
このようにして、上記半潜航式船舶は、依然としてLNGが充填された上記バージを、別の遠方の沿岸ガスネットワークへと輸送でき、これらのネットワークから空のバージを回収でき、そして上記分配ステーションに戻して、再び上記バージを充填できる。
【0125】
これらの特定の実装形態では、上記半潜航式船舶は、LNGを積載する手段、及び上記半潜航式船舶上に積み込まれた空のバージにLNGを供給する手段を備える。上記船舶は、液化プラント又はメタンターミナル等のLNGのソースに接続するために設けられた供給パイプを備える。上記船舶は同様に、1つ又は複数のバージに同時に又は選択的にLNGを充填するために、上記1つ又は複数のバージに選択的に供給を行うための、ポンプを備える。これにより、半潜航式船舶の全ての空の貯蔵タンクを、単一のソースによって充填できる。
【0126】
以上の説明を読めば理解できるように、本発明の目的であるデバイス10及びプロセス60により、ガス消費量が少ない場所に沿岸ガスネットワークを建造できる。これらの場所では、恒常的な貯蔵リザーバを備えるガスネットワークは、経済的な理由から建造できない。これは、上記リザーバ、並びにメタン輸送船の収容に必要な突堤及び係船ステージのコストが原因である。LNG分配ステーションで充填されたバージは、貯蔵リザーバを備えない不完全なガスネットワークへと輸送され、このネットワークに直接接続される。これにより、LNGコンテナ及びその内容物が、不完全なガスネットワークに同時に供給され、従って:
‐これらのネットワークにガス貯蔵リザーバを建造する必要をなくすことができ;また
‐上記バージの係船のために、寸法が削減された比較的小さな突堤しか必要ないものとすることができる。
【0127】
従って上記沿岸ガスネットワークは、モジュール式のガス消費能力、及び既存のシステムに比べて削減された製造コストを提示する。
【0128】
再ガス化するステップ665は例えば、再ガス化ターミナルによって実装される。
【0129】
更に本発明により、船舶30によって達成される送達サイクルを、LNGの送達のための場所の特性、サイズ及びキャパシティに応じて複数の方法で最適化できる。
【0130】
この最適化は、各貯蔵タンク105の幾何学的構成を調整して、各バージ20を、LNGが供給される特定の場所又は場所のタイプに対応させることによって、得ることができる。
【0131】
この最適化は、バージの個数を、1往復での送達場所の個数に応じて調整することによって、得ることができる。
【0132】
上記最適化は同様に、1往復する過程において、各貯蔵タンク105の充填される容積を管理することによって、得ることができる。
【0133】
例えば、ある送達場所からやって来た、部分的に空の貯蔵タンク105の内容物は、このタンク105が船舶30に固定された場合には別のタンク105若しくは貯蔵リザーバ315へと移送してよく、又は次の送達場所の既知のキャパシティ、及び/若しくはその場所にバッファタンクが存在するかどうかに応じて、タンク105内に維持してよい。
【0134】
一般的な規則として、全ての貯蔵タンク105はモジュール式貯蔵ユニットを形成し、異なるタンク105間のLNGの分配は、あるタンク105から別のタンク105へのLNGの移送によって調整できる。変形形態では、この貯蔵ユニットはリザーバ315によって補完される。
【0135】
この最適化により、リザーバ315から貯蔵タンク105へ、貯蔵タンク105から貯蔵タンク105へ、又は貯蔵タンク105からリザーバ315へのLNGの移送によって、十分な量のLNGをある場所に送達でき、この量は、船舶30が上記場所に到着する前に決定される。
【国際調査報告】