特表2018-516950(P2018-516950A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特表2018-516950がん治療のための集中インターフェロン免疫療法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2018-516950(P2018-516950A)
(43)【公表日】2018年6月28日
(54)【発明の名称】がん治療のための集中インターフェロン免疫療法
(51)【国際特許分類】
   A61K 38/21 20060101AFI20180601BHJP
   A61K 47/68 20170101ALI20180601BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20180601BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20180601BHJP
   A61K 39/00 20060101ALI20180601BHJP
   A61K 35/17 20150101ALI20180601BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20180601BHJP
   A61P 35/02 20060101ALI20180601BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20180601BHJP
   C07K 19/00 20060101ALN20180601BHJP
   C07K 14/555 20060101ALN20180601BHJP
   C07K 16/30 20060101ALN20180601BHJP
【FI】
   A61K38/21
   A61K47/68
   A61K45/00
   A61K39/395 E
   A61K39/395 T
   A61K39/00 H
   A61K35/17 Z
   A61P35/00
   A61P35/02
   A61P43/00 121
   C07K19/00ZNA
   C07K14/555
   C07K16/30
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】91
(21)【出願番号】特願2017-563600(P2017-563600)
(86)(22)【出願日】2016年6月10日
(85)【翻訳文提出日】2018年2月1日
(86)【国際出願番号】US2016036925
(87)【国際公開番号】WO2016201251
(87)【国際公開日】20161215
(31)【優先権主張番号】62/175,044
(32)【優先日】2015年6月12日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】62/175,024
(32)【優先日】2015年6月12日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】62/257,852
(32)【優先日】2015年11月20日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】62/321,724
(32)【優先日】2016年4月12日
(33)【優先権主張国】US
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】517422928
【氏名又は名称】イミュンジーン,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】ImmunGene,Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】110001302
【氏名又は名称】特許業務法人北青山インターナショナル
(72)【発明者】
【氏名】グレッセール,マイケル
(72)【発明者】
【氏名】カレ,サンジェイ
(72)【発明者】
【氏名】スチュワード,クリストファー
【テーマコード(参考)】
4C076
4C084
4C085
4C087
4H045
【Fターム(参考)】
4C076AA12
4C076AA17
4C076AA95
4C076BB11
4C076BB13
4C076BB14
4C076BB15
4C076BB16
4C076CC27
4C076EE41
4C076EE59
4C076FF70
4C084AA02
4C084AA03
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4C084ZB27
4C084ZC75
4C085AA03
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4C085BB01
4C085BB50
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4C085EE03
4C085GG01
4C085GG02
4C085GG03
4C085GG04
4C085GG06
4C087AA01
4C087AA02
4C087BB37
4C087MA17
4C087MA22
4C087NA05
4C087ZB26
4C087ZB27
4C087ZC75
4H045AA11
4H045AA20
4H045AA30
4H045BA10
4H045BA41
4H045CA40
4H045DA15
4H045DA76
4H045EA20
4H045EA28
4H045FA72
4H045FA74
(57)【要約】
本発明は、インターフェロン(IFN)分子に結合された1つ以上の腫瘍関連抗原(「TAA抗体」)に対する抗体(以降「TAA抗体−IFN融合分子」)を含む非天然融合分子を、治療上有効な低い投与量で単剤療法として又はと免疫療法と併用して、個人に投与することを含む個人における(がんなどの)増殖性疾患を治療する方法に関し、この併用療法はエフェクター細胞による殺作用の増加をもたらす。本発明の方法は、特に再発増殖性疾患、耐性増殖性疾患、又は難治性増殖性疾患の治療に効果的である。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
個人における増殖性疾患を治療する方法であって、前記個人にa)治療有効量の単離非天然腫瘍関連抗原抗体−インターフェロン(「TAA抗体−IFN」)融合分子及びb)免疫療法を施すことを含む方法。
【請求項2】
前記免疫療法が、共刺激分子又は共抑制分子(免疫チェックポイント)に対するアゴニスト抗体、アンタゴニスト抗体、又は遮断抗体を用いる治療;二重特異性T細胞誘導抗体(BiTE(登録商標))を用いる治療;生物学的応答調節物質の投与を含む治療;治療ワクチンを用いる治療;樹状細胞ワクチンを用いる治療;腫瘍抗原ペプチドワクチンを用いる治療;キメラ抗原受容体(CAR)−T細胞を用いる治療;CAR−NK細胞を用いる治療;腫瘍浸潤リンパ球(TIL)を用いる治療;養子移入された抗腫瘍性T細胞を用いる治療;TALL−104細胞を用いる治療;及びToll様受容体(TLR)アゴニストなどの免疫賦活剤を用いる治療からなる群より選択される請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記免疫療法が、共刺激分子又は共抑制分子(免疫チェックポイント)に対するアゴニスト抗体、アンタゴニスト抗体、又は遮断抗体を用いる治療;キメラ抗原受容体(CAR)−T細胞を用いる治療;CAR−NK細胞を用いる治療;及び二重特異性T細胞誘導抗体(BiTE(登録商標))を用いる治療からなる群より選択される請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記融合分子が、完全ヒト抗体、ヒト化抗体、キメラ抗体、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、組換え抗体、抗体結合性抗体フラグメント、Fab、Fab’、Fab、Fab’、IgG、IgM、IgA、IgE、scFv、dsFv、dAb、ナノボディ、ユニボディ、及び二特異性抗体からなる群より選択されるTAA抗体を含む請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記TAA抗体が、キメラ抗体、ヒト化モノクローナル抗体、及び完全ヒトモノクローナル抗体からなる群より選択される請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記TAA抗体が、完全ヒト抗HER2/neu抗体、完全ヒト抗CD20抗体、完全ヒト抗CD138抗体、完全ヒト抗GRP94(エンドプラスミン)抗体、完全ヒト抗CD33抗体、及び完全ヒト抗CD70抗体からなる群より選択される完全ヒトモノクローナル抗体である請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記融合分子が、インターフェロン(IFN)−α分子、IFN−α変異体分子、IFN−β−1a分子、IFN−β−1b分子、及びIFN−β変異体分子からなる群より選択される1型インターフェロン分子を含む請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記IFN−α分子が、配列番号1のアミノ酸配列をもつヒトIFN−α2b分子である請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記IFN−α変異体分子が、配列番号2のアミノ酸配列をもつヒトIFN−α2b変異体分子である請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記IFN−α分子が、配列番号3のアミノ酸配列をもつヒトIFN−α14分子である請求項7に記載の方法。
【請求項11】
前記IFN−β分子が、配列番号4のアミノ酸配列をもつヒトIFN−β−1a分子及び配列番号5のアミノ酸配列をもつヒトIFN−β−1b分子からなる群より選択される請求項7に記載の方法。
【請求項12】
前記増殖性疾患が、がんである請求項1〜11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記がんが、B細胞リンパ腫;肺がん(小細胞肺がん及び非小細胞肺がん);気管支がん;結腸直腸がん;前立腺がん;乳がん;膵臓がん;胃がん;卵巣がん;膀胱がん;脳又は中枢神経系がん;末梢神経系がん;食道がん;子宮頸がん;黒色腫;子宮又は子宮内膜がん;口腔又は咽頭のがん;肝がん;腎臓がん;胆道がん;小腸又は虫垂がん;唾液腺がん;甲状腺がん;副腎がん;骨肉腫;軟骨肉腫;脂肪肉腫;精巣がん;並びに悪性線維性組織球腫;皮膚がん;頭及び首がん;リンパ腫;肉腫;多発性骨髄腫;並びに白血病からなる群より選択される請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記がんが、乳がん、卵巣がん、及び非小細胞肺がん(NSCLC)からなる群より選択され、前記免疫療法が、共刺激分子又は共抑制分子(免疫チェックポイント)に対するアゴニスト抗体、アンタゴニスト抗体、又は遮断抗体を用いる治療;キメラ抗原受容体(CAR)−T細胞を用いる治療;CAR−NK細胞を用いる治療;及び二重特異性T細胞誘導抗体(BiTE(登録商標))を用いる治療からなる群より選択され、前記TAA抗体−IFN融合分子が抗HER2/neu−IFN−α融合分子である請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記がんが、B細胞性非ホジキンリンパ腫(NHL)及びB細胞性慢性リンパ性白血病(CLL)からなる群より選択され、前記免疫療法が、共刺激分子又は共抑制分子(免疫チェックポイント)に対するアゴニスト抗体、アンタゴニスト抗体、又は遮断抗体を用いる治療;キメラ抗原受容体(CAR)−T細胞を用いる治療;CAR−NK細胞を用いる治療;及び二重特異性T細胞誘導抗体(BiTE(登録商標))を用いる治療からなる群より選択され、前記TAA抗体−IFN融合分子が抗CD20−IFN−α融合分子である請求項12に記載の方法。
【請求項16】
前記がんが、多発性骨髄腫、乳がん、及び膀胱がんからなる群より選択され、前記免疫療法が、共刺激分子又は共抑制分子(免疫チェックポイント)に対するアゴニスト抗体、アンタゴニスト抗体、又は遮断抗体を用いる治療;キメラ抗原受容体(CAR)−T細胞を用いる治療;CAR−NK細胞を用いる治療;及び二重特異性T細胞誘導抗体(BiTE(登録商標))を用いる治療からなる群より選択され、前記TAA抗体−IFN融合分子が抗CD138−IFN−α融合分子である請求項12に記載の方法。
【請求項17】
前記がんが、NSCLC、急性脊髄性白血病(AML)、多発性骨髄腫、黒色腫、及び膵がんからなる群より選択され、前記免疫療法が、共刺激分子又は共抑制分子(免疫チェックポイント)に対するアゴニスト抗体、アンタゴニスト抗体、又は遮断抗体を用いる治療;キメラ抗原受容体(CAR)−T細胞を用いる治療;CAR−NK細胞を用いる治療;及び二重特異性T細胞誘導抗体(BiTE(登録商標))を用いる治療からなる群より選択され、前記TAA抗体−IFN融合分子が抗GRP94抗体−IFN−α融合分子である請求項12に記載の方法。
【請求項18】
前記がんが、AML、慢性脊髄性白血病(CML)、及び多発性骨髄腫からなる群より選択され、前記免疫療法が、共刺激分子又は共抑制分子(免疫チェックポイント)に対するアゴニスト抗体、アンタゴニスト抗体、又は遮断抗体を用いる治療;キメラ抗原受容体(CAR)−T細胞を用いる治療;CAR−NK細胞を用いる治療;及び二重特異性T細胞誘導抗体(BiTE(登録商標))を用いる治療からなる群より選択され、前記TAA抗体−IFN融合分子が抗CD33−IFN−α融合分子である請求項12に記載の方法。
【請求項19】
前記がんが、腎細胞癌(RCC)、ワルデンストレームマクログロブリン血症、多発性骨髄腫、及びNHLからなる群より選択され、前記免疫療法が、共刺激分子又は共抑制分子(免疫チェックポイント)に対するアゴニスト抗体、アンタゴニスト抗体、又は遮断抗体を用いる治療;キメラ抗原受容体(CAR)−T細胞を用いる治療;CAR−NK細胞を用いる治療;及び二重特異性T細胞誘導抗体(BiTE(登録商標))を用いる治療からなる群より選択され、前記TAA抗体−IFN融合分子が抗CD70−IFN−α融合分子である請求項12に記載の方法。
【請求項20】
前記TAA抗体−IFN融合分子が、0.0001mg/kg以下、0.0003mg/kg以下、0.001mg/kg以下、0.003mg/kg以下、0.01mg/kg以下、0.03mg/kg以下、0.1mg/kg以下、0.2mg/kg以下、0.3mg/kg以下、0.4mg/kg以下、0.5mg/kg以下、0.6mg/kg以下、0.7mg/kg以下、0.8mg/kg以下、及び0.9mg/kg以下からなる群より選択される週間投与量で個人に投与される請求項1〜19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記併用治療法が、前記TAA抗体−IFN融合分子と免疫療法を同時に投与することを含む請求項1〜20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記TAA抗体−IFN融合分子と免疫療法との前記投与が並行する請求項1〜20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
前記TAA抗体−IFN融合分子と免疫療法との前記投与が並行しない請求項1〜20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
個人における増殖性疾患を治療する方法であって、前記個人に単離非天然TAA抗体−IFN融合分子を投与することを含み、前記TAA抗体−IFN融合分子が、前記個人に、約0.0001〜約0.0003mg/kg、約0.0003〜約0.001mg/kg、約0.001〜約0.003mg/kg、約0.003〜約0.01mg/kg、約0.01〜約0.03mg/kg、約0.03〜約0.1mg/kg、約0.1〜約0.3mg/kg、約0.3〜約0.4mg/kg、約0.4〜約0.5mg/kg、約0.5〜約0.6mg/kg、約0.6〜約0.7mg/kg、約0.7〜約0.8mg/kg、及び約0.8〜約0.9mg/kgからなる群より選択される週間投与量で投与される方法。
【請求項25】
前記TAA抗体−IFN融合分子が、前記個人に約0.003〜約0.01mg/kgの週間投与量で投与される請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記TAA抗体−IFN融合分子が、前記個人に約0.01〜約0.03mg/kgの週間投与量で投与される請求項24に記載の方法。
【請求項27】
前記TAA抗体−IFN融合分子が、前記個人に約0.03〜約0.1mg/kgの週間投与量で投与される請求項24に記載の方法。
【請求項28】
前記増殖性疾患が、乳がん、卵巣がん、及び非小細胞肺がん(NSCLC)からなる群より選択されるがんであり、前記TAA抗体−IFN融合分子が抗HER2/neu−IFN−α融合分子である請求項24〜27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
前記増殖性疾患が、B細胞性非ホジキンリンパ腫(NHL)及びB細胞性慢性リンパ性白血病(CLL)からなる群より選択されるがんであり、前記TAA抗体−IFN融合分子が抗CD20−IFN−α融合分子である請求項24〜27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
前記増殖性疾患が、多発性骨髄腫、乳がん、及び膀胱がんからなる群より選択されるがんであり、前記TAA抗体−IFN融合分子が抗CD138−IFN−α融合分子である請求項24〜27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
前記増殖性疾患が、NSCLC、急性脊髄性白血病(AML)、多発性骨髄腫、黒色腫、及び膵がんからなる群より選択されるがんであり、前記TAA抗体−IFN融合分子が抗GRP94−IFN−α融合分子である請求項24〜27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
前記増殖性疾患が、AML、慢性脊髄性白血病(CML)、及び多発性骨髄腫からなる群より選択されるがんであり、前記TAA抗体−IFN融合分子が抗CD33−IFN−α融合分子である請求項24〜27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
前記増殖性疾患が、腎細胞癌(RCC)、ワルデンストレームマクログロブリン血症、多発性骨髄腫、及びNHLからなる群より選択されるがんであり、前記TAA抗体−IFN融合分子が抗CD70−IFN−α融合分子である請求項24〜27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
前記個人が再発がんを患う請求項1〜33のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
前記個人が耐性がん又は難治性がんを患う請求項1〜33のいずれか一項に記載の方法。
【請求項36】
化学療法、低分子キナーゼ阻害剤標的療法、手術、放射線療法、及び幹細胞移植からなる群より選択される1つ以上の追加療法をさらに含む請求項1〜35のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
前記融合分子が、前記腫瘍関連抗原抗体に直接結合するインターフェロン分子を含む請求項1〜36のいずれか一項に記載の方法。
【請求項38】
前記融合分子が、ペプチドリンカーを介して前記TAA Abに結合するIFN分子を含み、前記ペプチドリンカーが20個未満のアミノ酸の長さである請求項1〜36のいずれか一項に記載の方法。
【請求項39】
前記ペプチドリンカーが、配列番号18及び配列番号19からなる群より選択される配列をもつ請求項38に記載の方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連特許出願
本出願は、2015年6月12日に出願された米国仮出願第62/175,024号、2015年6月12日に出願された米国仮出願第62/175,044号、2015年11月20日に出願された米国仮出願第62/257,852号、及び2016年4月12日に出願された米国仮出願第62/321,724号に基づく優先権を主張し、該仮出願は各々、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
がんは、体の他の部分に転移又は浸潤する可能性を伴う異常な細胞増殖が関与する疾患群である。すなわち、分離した腫瘍マスを形成し、嚢胞または液性領域を含まない異常な増殖は、固形腫瘍と定義される。固形腫瘍は、良性の場合もあり(がんではない)、悪性の場合もある(がん)。相異なる種類の固形腫瘍は、それを形成する細胞の種類に対して命名される。固形腫瘍の例は、肉腫、上皮性悪性腫瘍、及びリンパ腫である。2つの血液細胞系統、骨髄系リンパ系のどちらかに由来するがんは、血液悪性腫瘍と定義される。そのような悪性腫瘍は血液がんまたは液性腫瘍とも呼ばれる。液性腫瘍としては、例えば、多発性骨髄腫、急性白血病(例えば、11q23陽性急性白血病、急性リンパ性白血病、急性骨髄球性白血病、急性骨髄性白血病及び骨髄芽球性白血病、前骨髄球性白血病、骨髄単球性白血病、並びに赤白血病)、慢性白血病(例えば、慢性骨髄球性(果粒球性)白血病、慢性骨髄性白血病、及び慢性リンパ性白血病)、真性多血症、リンパ腫、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫(緩慢性及び高悪性度型)、ワルデンストレームマクログロブリン血症、H鎖病、骨髄異形成症候群、有毛細胞白血病、並びに骨髄異形成症が挙げられる。
【0003】
インターフェロン(IFN)は、ウイルスに応答して細胞によって自然に産生される可溶性タンパク質である。IFN−αは、そのウイルス複製を阻害する能力が最初に報告されたが、抗増殖効果、アポトーシスの誘導(Rodriguez−Villanueva J and TJ McDonnell,Int J Cancer,61:110,1995)、及び腫瘍細胞におけるがん抑制遺伝子、P53の誘導(Takaoka A et al.,Nature,424:516,2003)を呈する複数の特性を有する。よって、IFN−αは、さまざまながんの治療に使用された最初の組換えタンパク質であった。しかし、アポトーシス促進剤に対する腫瘍細胞耐性を媒介する多くの細胞機構を克服する点において、単剤としてのIFN−αはほとんど効果がない。そして残念なことに、がんを治療するためのIFN−αの使用は、その短い半減期及び関連する全身毒性によって限定されてきた(Weiss K,Semin Oncol,25:9,1998;Jones GJ and Itri LM,Cancer,57:1709,2006)。これらの限定を考慮に入れると、全身毒性を引き起こさない悪性疾患の部位で有効なIFN−α濃度を達成することは困難である。
【0004】
がん免疫療法は、免疫系を利用してがんを攻撃するがん治療に与えられる名称である。全身免疫療法は、全身を治療するのに用いられる免疫療法を指し、体の1箇所の「局所的な」部分を治療するのに用いられる局所免疫療法と比べて広く使用され、特にがんが転移した場合に使用される。がん細胞は病原菌と比べて免疫原性が低いにもかかわらず、免疫系が腫瘍細胞を認識して、除去できることは明らかであり、がん免疫療法は、悪性腫瘍を治療するための免疫系の非常に優れた能力および特異性を利用することを試みる。残念なことに、腫瘍は、免疫応答が出現して機能するのを妨害し、例えば、定着腫瘍内に存在する抑制的な環境は効果的な免疫応答を阻害する。免疫療法の目的は、最終的に、免疫系の抗腫瘍覚醒を再確立して、腫瘍および腫瘍−微環境免疫抑制を阻害することである。よって、免疫療法の難しい課題は、局所腫瘍環境をうまくコントロールして、炎症誘発性環境を助長し、樹状細胞活性化を促進し、効果的且つ安全に抗腫瘍反応を増強する戦略を開発するように細胞免疫学及び分子免疫学の進歩を利用することである。
【0005】
がん免疫療法は復興を享受しており、ここ2〜3年、急速に進歩しているこの分野から、がんを治療する新しい方法がいくつか生み出された。数多くのがん免疫療法戦略が広範な研究及び臨床評価の焦点であり、例えば、限定されないが、特異的な腫瘍抗原に対する枯渇抗体を用いる治療;抗体−薬物複合体を用いる治療;CTLA−4、PD−1、OX−40、CD137、GITR、LAG3、TIM−3、及びVISTAなどの共刺激分子又は共抑制分子(免疫チェックポイント)に対するアゴニスト抗体、アンタゴニスト抗体、又は遮断抗体を用いる治療;ブリナツモマブなどの二重特異性T細胞誘導抗体(BiTE(登録商標))を用いる治療;IL−2、IL−12、IL−15、IL−21、GM−CSF、IFN−α、IFN−β、及びIFN−γなどの生物学的応答調節物質の投与を含む治療;シプロイセル−Tなどの治療ワクチンを用いる治療;樹状細胞ワクチンもしくは腫瘍抗原ペプチドワクチンを用いる治療;キメラ抗原受容体(CAR)−T細胞を用いる治療;CAR−NK細胞を用いる治療;腫瘍浸潤リンパ球(TIL)を用いる治療;(生体外で増殖させた及び/又はTCRトランスジェニックの)養子移入された抗腫瘍性T細胞を用いる治療;TALL−104細胞を用いる治療;並びにToll様受容体(TLR)アゴニストCpG及びイミキモドなどの免疫賦活剤を用いる治療などが含まれる。
【0006】
特異的な腫瘍抗原に対する枯渇抗体の活用に重点をおいた免疫療法が研究され、多くの成功を収めてきた(例えば、Blattman and Greenberg,Science,305:200,2004;Adams and Weiner,Nat Biotech,23:1147,2005による総説を参照されたい)。そのような腫瘍抗原特異的な枯渇抗体の数例として、HERCEPTIN(登録商標)(抗Her2/neu mAb)(Baselga et al.,J Clin Oncology,Vol 14:737,1996;Baselga et al.,Cancer Research,58:2825,1998; Shak,Semin.Oncology,26 (Suppl12):71,1999;Vogal et al.J Clin Oncology,20:719,2002);及びRITUXAN(登録商標)(抗CD20mAb)(Colombat et al.,Blood,97:101,2001)がある。残念なことに、それらの抗体は明らかに腫瘍学治療において成功してきたが単剤療法としては、通常、奏効するのは個人のわずか約30%であり、反応が部分的である。そのうえ、これらの抗体が入っているレジメンでの治療後に、多くの個人はやがて不応になったり、再発したりする。
【0007】
共刺激分子又は共抑制分子(免疫チェックポイント)に対するアゴニスト抗体、アンタゴニスト抗体、又は遮断抗体を用いる治療、広範な研究及び臨床評価の領域である。正常な生理的状態の下では、免疫チェックポイントは自己寛容(すなわち、自己免疫の阻止)の維持に非常に重要であり、免疫系が病原性感染に反応しているときには、組織を損傷から保護する。また腫瘍が、免疫耐性の主要な機構として、特に腫瘍抗原に特異的であるT細胞に対して、ある特定の免疫チェックポイント経路を組み入れることが現在明らかにされている(Pardoll DM.,Nat Rev Cancer,12:252‐64,2012)。したがって、例えば、CTLA−4(イピリムマブ)、PD−1(ニボルマブ;ペンブロリズマブ;ピディリズマブ)、及びPD−L1(BMS−936559;MPLD3280A;MEDI4736;MSB0010718C)(例えば、Philips and Atkins,International Immunology,27(1);39−46,Oct 2014を参照されたい)、並びにOX−40、CD137、GITR、LAG3、TIM−3、及びVISTA(例えば、Sharon et al.,Chin J Cancer.,33(9):434−444,Sep 2014;Hodi et al.,N Engl J Med,2010;Topalian et al.,N Engl J Med,366:2443‐54を参照されたい)を含む免疫チェックポイント分子に対する抗体を利用する治療は、がんなどの増殖性疾患をもつ患者、特に、難治性がん及び/又は再発がんの患者を治療するための新たな代替免疫療法として評価されつつある。
【0008】
キメラ抗原受容体(CAR)T細胞療法を用いる治療は、患者自身のT細胞が研究室で単離され、特定の抗原又はタンパク質を認識するように合成受容体で標的転換され、患者に再注入される免疫療法である。CARは、(1)抗原結合領域、典型的には抗体に由来する、(2)CARをT細胞につなぎとめる膜貫通領域、および(3)1つ以上の細胞内T細胞シグナル伝達ドメインを最低限含む合成分子である。CARは、ヒト白血球型抗原(HLA)に依存せずに抗原に特異的なT細胞を標的転換し、T細胞寛容に関連する問題を克服する(Kalos M and June CH,Immunity,39(1):49−60,2013)。ここ5年にわたって、少なくとも15件のCAR−T細胞療法の治験が報告されてきている。CAR−T細胞療法を囲んでいる興奮の新たな波は、ペンシルベニア大学の研究者らがCD19に対するCAR−T細胞の単回投与後に寛解が長期にわたって続いた難治性慢性リンパ性白血病(CLL)の3名の患者に関する報告を論文発表した2011年8月に始まった(Porter DL,et al.,N Engl J Med.,365(8):725−733,2011)。
【0009】
ドナーT細胞とは対照的に、ナチュラルキラー細胞(NK)細胞は、移植片対宿主病(GvHD)を誘発するリスクなしに抗がん効果を媒介することが知られている。したがって、現在、アロ反応性NK細胞も、がんの細胞療法のための適切で且つ強力なエフェクター細胞として非常に大きな関心の的である。いくつかのヒトNK細胞株が確立され、例えば、NK−92、HANK−1、KHYG−1、NK−YS、NKG、YT、YTS、NKL、及びNK3.3があり(Kornbluth,J.,et al.,J.Immunol.134,728−735,1985;Cheng,M.et al.,Front.Med.6:56,2012)、さまざまなCAR発現NK細胞(CAR−NK)が生み出されてきた。CAR発現NK細胞(CAR−NK)を用いる免疫療法は、研究及び臨床評価の盛んな領域である(例えば、Glienke et al.,Front Pharmacol,6(21):1−7,Feb 2015を参照されたい)。
【0010】
二重特異性T細胞誘導分子(BiTE(登録商標))は、病原性標的細胞に対する細胞傷害性T細胞をポリクローナル活性化し、且つ標的転換するための二重特異性単鎖抗体の類からなる。BiTE(登録商標)は、がん細胞の表面標的抗原に対してとT細胞のCD3に対しての二重の特異性がある。BiTE(登録商標)は、T細胞受容体特異性、共刺激、又はペプチド抗原提示に依存することなく、どのタイプの細胞傷害性T細胞もがん細胞に結合させることができる。他のいずれの種類の二重特異性抗体構築物に対して未だ報告されていない特性の独自のセット、具体的には、T細胞共刺激を必要としない低いT細胞数における標的細胞に対する並はずれた効力及び有効性(Baeuerle et al.,Cancer Res,69(12):4941−4,2009)。これまでBiTE抗体は、CD19、EpCAM、Her2/neu、EGFR、CD66e(又はCEA、CEACAM5)、CD33、EphA2、及びMCSP(又はHMW−MAA)を含む10個を超える異なる標的抗原(同上)に対して構築されている。ブリナツモマブ(Nagorsen,D.et al.,Leukemia & Lymphoma 50(6):886−891,2009)及びソリトマブ(Amann et al.,Journal of Immunotherapy 32(5):452−464,2009)などのBiTE(登録商標)抗体を用いる治療は臨床的に評価されているところである。
【0011】
これらいくつかの免疫療法が劇的な利益をもたらし、且つ大いに有望であることが示されたにもかかわらず、これら療法は重症副作用の可能性に対する懸念及び多くの腫瘍が標的抗原を欠き、そのため治療から逃れることになるという事実によって依然として限定的なままである。したがって、がんなどの増殖性疾患をもつ患者、及び特に、難治性がん及び/又は再発がんの患者を治療するための新しく、且つ改良された免疫療法が喫緊に必要である。
【発明の概要】
【0012】
1つの態様では、本発明は、個人にa)腫瘍関連抗原抗体−インターフェロン(「TAA抗体−IFN」)融合分子及びb)免疫療法を施すことを含む個人における増殖性疾患(がんなど)を治療するために設計された併用療法に関し、該併用療法は、エフェクター細胞による殺腫瘍細胞作用の増加をもたらし、すなわち、併用して施行された場合、TAA抗体−IFN融合分子と免疫療法との間に相乗効果が存在する。
【0013】
さまざまな実施形態では、免疫療法は、CTLA−4、PD−1、OX−40、CD137、GITR、LAG3、TIM−3、及びVISTAなどの共刺激分子又は共抑制分子(免疫チェックポイント)に対するアゴニスト抗体、アンタゴニスト抗体、又は遮断抗体を用いる治療;ブリナツモマブなどの二重特異性T細胞誘導抗体(BiTE(登録商標))を用いる治療;IL−2、IL−12、IL−15、IL−21、GM−CSF、並びにIFN−α、IFN−β、及びIFN−γなどの生物学的応答調節物質の投与を含む治療;シプロイセル−Tなどの治療ワクチンを用いる治療;樹状細胞ワクチンもしくは腫瘍抗原ペプチドワクチンを用いる治療;キメラ抗原受容体(CAR)−T細胞を用いる治療;CAR−NK細胞を用いる治療;腫瘍浸潤リンパ球(TIL)を用いる治療;(生体外で増殖させた及び/又はTCRトランスジェニックの)養子移入された抗腫瘍性T細胞を用いる治療;TALL−104細胞を用いる治療;並びにToll様受容体(TLR)アゴニストCpG及びイミキモドなどの免疫賦活剤を用いる治療からなる群より選択される。さまざまな実施形態では、免疫療法は、共刺激分子又は共抑制分子に対するアゴニスト抗体、アンタゴニスト抗体、又は遮断抗体を用いる治療;キメラ抗原受容体(CAR)−T細胞を用いる治療;CAR−NK細胞を用いる治療;及び二重特異性T細胞誘導抗体(BiTE(登録商標))を用いる治療からなる群より選択される。さまざまな実施形態では、免疫療法は、共刺激分子又は共抑制分子に対するアゴニスト抗体、アンタゴニスト抗体、又は遮断抗体を用いる治療である。さまざまな実施形態では、免疫療法はキメラ抗原受容体(CAR)−T細胞を用いる治療である。さまざまな実施形態では、免疫療法はCAR−NK細胞を用いる治療である。さまざまな実施形態では、免疫療法は二重特異性T細胞誘導抗体(BiTE(登録商標))を用いる治療である。
【0014】
さまざまな実施形態では、融合分子は、完全ヒト抗体、ヒト化抗体、キメラ抗体、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、組換え抗体、抗体結合性抗体フラグメント、Fab、Fab’、Fab、Fab’、IgG、IgM、IgA、IgE、scFv、dsFv、dAb、ナノボディ、ユニボディ、及び二特異性抗体からなる群より選択されるTAA抗体を含む。さまざまな実施形態では、抗体はキメラ抗体である。さまざまな実施形態では、抗体はヒト化モノクローナル抗体である。さまざまな実施形態では、抗体は完全ヒトモノクローナル抗体である。さまざまな実施形態では、TAA抗体は、完全ヒト抗HER2/neu抗体、完全ヒト抗CD20抗体、完全ヒト抗CD138抗体、完全ヒト抗GRP94(エンドプラスミン)抗体、完全ヒト抗CD33抗体、及び完全ヒト抗CD70抗体からなる群より選択される完全ヒト抗体である。
【0015】
さまざまな実施形態では、融合分子は1型インターフェロン分子を含む。さまざまな実施形態では、融合分子は1型インターフェロン変異体分子を含む。さまざまな実施形態では、融合分子はインターフェロン−アルファ(IFN−α)分子を含む。さまざまな実施形態では、融合分子は配列番号1のアミノ酸配列をもつヒトIFN−α2b分子を含む。さまざまな実施形態では、融合分子は配列番号2のアミノ酸配列をもつIFN−α2b変異体分子を含む。さまざまな実施形態では、融合分子は配列番号3のアミノ酸配列をもつヒトIFN−α14分子を含む。さまざまな実施形態では、融合分子はインターフェロン−ベータ(IFN−β)分子を含む。さまざまな実施形態では、融合分子は配列番号4のアミノ酸配列をもつヒトIFN−β−1a分子を含む。さまざまな実施形態では、融合分子は配列番号5のアミノ酸配列をもつヒトIFN−β−1b分子を含む。
【0016】
さまざまな実施形態では、融合分子は腫瘍関連抗原抗体に直接結合するインターフェロン分子を含む。
【0017】
さまざまな実施形態では、融合分子は、ペプチドリンカーを介してTAA抗体に結合するIFN分子を含む。さまざまな実施形態では、ペプチドリンカーは、長さが20個未満のアミノ酸である。さまざまな実施形態では、ペプチドリンカーはG/Sに富むリンカーである。さまざまな実施形態では、ペプチドリンカーはアルファヘリックスリンカーである。さまざまな実施形態では、ペプチドリンカーは配列番号18に記載の配列をもつ。さまざまな実施形態では、ペプチドリンカーは配列番号19に記載の配列をもつ。
【0018】
さまざまな実施形態では、融合分子は遺伝子組換えで発現された融合分子である。
【0019】
さまざまな実施形態では、増殖性疾患は、B細胞リンパ腫;肺がん(小細胞肺がん及び非小細胞肺がん);気管支がん;結腸直腸がん;前立腺がん;乳がん;膵臓がん;胃がん;卵巣がん;膀胱がん;脳又は中枢神経系がん;末梢神経系がん;食道がん;子宮頸がん;黒色腫;子宮又は子宮内膜がん;口腔又は咽頭のがん;肝がん;腎臓がん;胆道がん;小腸又は虫垂がん;唾液腺がん;甲状腺がん;副腎がん;骨肉腫;軟骨肉腫;脂肪肉腫;精巣がん;並びに悪性線維性組織球腫;皮膚がん;頭及び首がん;リンパ腫;肉腫;多発性骨髄腫;並びに白血病からなる群より選択されるがんである。
【0020】
さまざまな実施形態では、個人は、以前は抗がん療法を用いた治療に反応したが、治療の中止時に再発を経験する(以降「再発がん」)。さまざまな実施形態では、個人は耐性がん又は難治性がんを患う。
【0021】
さまざまな実施形態では、a)抗HER2/neu−IFN−α融合分子を含む医薬組成物の有効量及びb)免疫療法を個人に施行することを含む、乳がん、卵巣がん、及び非小細胞肺がん(NSCLC)からなる群より選択されるがんを治療する併用治療法が提供され、その併用療法はエフェクター細胞による殺作用の増加をもたらす。さまざまな実施形態では、免疫療法は、共刺激分子又は共抑制分子に対するアゴニスト抗体、アンタゴニスト抗体、又は遮断抗体を用いる治療である。さまざまな実施形態では、免疫療法はキメラ抗原受容体(CAR)−T細胞を用いる治療である。さまざまな実施形態では、免疫療法はCAR−NK細胞を用いる治療である。さまざまな実施形態では、免疫療法は二重特異性T細胞誘導抗体(BiTE(登録商標))を用いる治療である。さまざまな実施形態では、がんはHER2/neuを発現する。さまざまな実施形態では、がんはHER2/neu発現がんの腫瘍微小環境内の非HER2/neu発現がんである。さまざまな実施形態では、免疫療法は、HER2/neuと異なるTAAを標的にすることになる。
【0022】
さまざまな実施形態では、a)抗CD20抗体−IFN−α融合分子を含む医薬組成物の有効量及びb)免疫療法を個人に施行することを含む、B細胞性非ホジキンリンパ腫(NHL)及びB細胞性慢性リンパ性白血病(CLL)からなる群より選択されるがんを治療する併用治療法が提供され;、その併用療法はエフェクター細胞による殺作用の増加をもたらす。さまざまな実施形態では、免疫療法は、共刺激分子又は共抑制分子に対するアゴニスト抗体、アンタゴニスト抗体、又は遮断抗体を用いる治療である。さまざまな実施形態では、免疫療法はキメラ抗原受容体(CAR)−T細胞を用いる治療である。さまざまな実施形態では、免疫療法はCAR−NK細胞を用いる治療である。さまざまな実施形態では、免疫療法は二重特異性T細胞誘導抗体(BiTE(登録商標))を用いる治療である。さまざまな実施形態では、がんはCD20を発現する。さまざまな実施形態では、がんはCD20発現がんの腫瘍微小環境内の非CD20発現がんである。さまざまな実施形態では、免疫療法は、CD20と異なるTAAを標的にすることになる。
【0023】
さまざまな実施形態では、抗CD138抗体−IFN−α融合分子を含む医薬組成物の有効量及びb)免疫療法を個人に施行することを含む、多発性骨髄腫、乳がん、及び膀胱がんからなる群より選択されるがんを治療する併用治療法が提供され、その併用療法はエフェクター細胞による殺作用の増加をもたらす。さまざまな実施形態では、免疫療法は、共刺激分子又は共抑制分子に対するアゴニスト抗体、アンタゴニスト抗体、又は遮断抗体を用いる治療である。さまざまな実施形態では、免疫療法はキメラ抗原受容体(CAR)−T細胞を用いる治療である。さまざまな実施形態では、免疫療法はCAR−NK細胞を用いる治療である。さまざまな実施形態では、免疫療法は二重特異性T細胞誘導抗体(BiTE(登録商標))を用いる治療である。さまざまな実施形態では、がんはCD138を発現する。さまざまな実施形態では、がんはCD138発現がんの腫瘍微小環境内の非CD138発現がんである。さまざまな実施形態では、免疫療法は、CD138と異なるTAAを標的にすることになる。
【0024】
さまざまな実施形態では、抗GRP94(エンドプラスミン)抗体−IFN−α融合分子を含む医薬組成物の有効量及びb)免疫療法を個人に施行することを含む、NSCLC、急性脊髄性白血病(AML)、多発性骨髄腫、黒色腫、及び膵がんからなる群より選択されるがんを治療する併用治療法が提供され、その併用療法はエフェクター細胞による殺作用の増加をもたらす。さまざまな実施形態では、免疫療法は、共刺激分子又は共抑制分子に対するアゴニスト抗体、アンタゴニスト抗体、又は遮断抗体を用いる治療である。さまざまな実施形態では、免疫療法はキメラ抗原受容体(CAR)−T細胞を用いる治療である。さまざまな実施形態では、免疫療法はCAR−NK細胞を用いる治療である。さまざまな実施形態では、免疫療法は二重特異性T細胞誘導抗体(BiTE(登録商標))を用いる治療である。さまざまな実施形態では、がんはGRP94を発現する。さまざまな実施形態では、がんはGRP94発現がんの腫瘍微小環境内の非GRP94発現がんである。さまざまな実施形態では、免疫療法は、GRP94と異なるTAAを標的にすることになる。
【0025】
さまざまな実施形態では、抗CD33抗体−IFN−α融合分子を含む医薬組成物の有効量及びb)免疫療法を個人に施行することを含む、AML、慢性脊髄性白血病(CML)、及び多発性骨髄腫からなる群より選択されるがんを治療する併用治療法が提供され、その併用療法はエフェクター細胞による殺作用の増加をもたらす。さまざまな実施形態では、免疫療法は、共刺激分子又は共抑制分子に対するアゴニスト抗体、アンタゴニスト抗体、又は遮断抗体を用いる治療である。さまざまな実施形態では、免疫療法はキメラ抗原受容体(CAR)−T細胞を用いる治療である。さまざまな実施形態では、免疫療法はCAR−NK細胞を用いる治療である。さまざまな実施形態では、免疫療法は二重特異性T細胞誘導抗体(BiTE(登録商標))を用いる治療である。さまざまな実施形態では、がんはCD33を発現する。さまざまな実施形態では、がんはCD33発現がんの腫瘍微小環境内の非CD33発現がんである。さまざまな実施形態では、免疫療法は、CD33と異なるTAAを標的にすることになる。
【0026】
さまざまな実施形態では、抗CD70抗体−IFN−α融合分子を含む医薬組成物の有効量及びb)免疫療法を個人に施行することを含む、腎細胞癌(RCC)、ワルデンストレームマクログロブリン血症、多発性骨髄腫、及びNHLからなる群より選択されるがんを治療する併用治療法が提供され、その併用療法はエフェクター細胞による殺作用の増加をもたらす。さまざまな実施形態では、免疫療法は、共刺激分子又は共抑制分子に対するアゴニスト抗体、アンタゴニスト抗体、又は遮断抗体を用いる治療である。さまざまな実施形態では、免疫療法はキメラ抗原受容体(CAR)−T細胞を用いる治療である。さまざまな実施形態では、免疫療法はCAR−NK細胞を用いる治療である。さまざまな実施形態では、免疫療法は二重特異性T細胞誘導抗体(BiTE(登録商標))を用いる治療である。さまざまな実施形態では、がんはCD70を発現する。さまざまな実施形態では、がんはCD70発現がんの腫瘍微小環境内の非CD70発現がんである。さまざまな実施形態では、免疫療法は、CD70と異なるTAAを標的にすることになる。
【0027】
さまざまな実施形態では、併用治療法は、TAA抗体−IFN融合分子及び免疫療法を同時に、同じ医薬組成物または別個の医薬組成物で施行することを含む。代替的に、TAA抗体−IFN融合分子及び免疫療法は、順次連続して施行される。すなわち、TAA抗体−IFN融合分子は免疫療法の前後いずれかに投与される。
【0028】
さまざまな実施形態では、TAA抗体−IFN融合分子及び免疫療法の投与は並行し、すなわち、TAA抗体−IFN融合分子及び免疫療法の施行期間は互いに重なる。
【0029】
さまざまな実施形態では、TAA抗体−IFN融合分子及び免疫療法の投与は並行しない。例えば、いくつかの実施形態では、TAA抗体−IFN融合分子の投与は、免疫療法が施行される前に中止される。いくつかの実施形態では、TAA抗体−IFN融合分子の施行は、TAA抗体−IFN融合分子が投与される前に中止される。
【0030】
さまざまな実施形態では、本方法は、化学療法、低分子キナーゼ阻害剤標的療法、手術、放射線療法、及び幹細胞移植からなる群より選択される1つ以上の追加療法含んでもよい。
【0031】
別の態様では、本発明は、非天然TAA抗体−IFN融合分子を個人に投与することを含む個人における増殖性疾患を治療する方法に関し、TAA抗体−IFN融合分子は、以下の範囲のいずれかに含まれる投与量(例えば、週間投与量)で個人に投与される。約0.0001〜約0.0003mg/kg、約0.0003〜約0.001mg/kg、約0.001〜約0.003mg/kg、約0.003〜約0.01mg/kg、約0.01〜約0.03mg/kg、約0.03〜約0.1mg/kg、約0.1〜約0.3mg/kg、約0.3〜約0.4mg/kg、約0.4〜約0.5mg/kg、約0.5〜約0.6mg/kg、約0.6〜約0.7mg/kg、約0.7〜約0.8mg/kg、及び約0.8〜約0.9mg/kg。さまざまな実施形態では、TAA抗体−IFN融合分子は、約0.0001mg/kg、約0.0003mg/kg、約0.001mg/kg、約0.003mg/kg、約0.01mg/kg、約0.03mg/kg、約0.1mg/kg、約0.2mg/kg、約0.3mg/kg、約0.4mg/kg、約0.5mg/kg、約0.6mg/kg、約0.7mg/kg、約0.8mg/kg、及び約0.9mg/kgからなる群より選択される週間投与量で個人に投与される。さまざまな実施形態では、TAA抗体−IFN融合分子は、およそ、0.0001mg/kg、0.0003mg/kg、0.001mg/kg、0.003mg/kg、0.01mg/kg、0.03mg/kg、0.1mg/kg、0.2mg/kg、0.3mg/kg、0.4mg/kg、0.5mg/kg、0.6mg/kg、0.7mg/kg、0.8mg/kg、及び0.9mg/kgのいずれかを超えない投与量(例えば、週間投与量)で個人に投与される。さまざまな実施形態では、がんは本発明の抗TAA抗体−IFN−α融合分子のTAAを発現する。さまざまな実施形態では、がんはTAA発現がんの腫瘍微小環境内の非TAA発現がんである。
【0032】
さまざまな実施形態では、増殖性疾患は、乳がん、卵巣がん、及び非小細胞肺がん(NSCLC)からなる群より選択されるがんであり、抗HER2/neu−IFN−α融合分子を含む医薬組成物の有効量を個人に投与することを含み、抗HER2/neu−IFN−α融合分子は、約0.0001〜約0.0003mg/kg、約0.0003〜約0.001mg/kg、約0.001〜約0.003mg/kg、約0.003〜約0.01mg/kg、約0.01〜約0.03mg/kg、約0.03〜約0.1mg/kg、約0.1〜約0.3mg/kg、約0.3〜約0.4mg/kg、約0.4〜約0.5mg/kg、約0.5〜約0.6mg/kg、約0.6〜約0.7mg/kg、約0.7〜約0.8mg/kg、及び約0.8〜約0.9mg/kgからなる群より選択される週間投与量で個人に投与される。さまざまな実施形態では、がんはHER2/neuを発現する。さまざまな実施形態では、がんはHER2/neu発現がんの腫瘍微小環境内の非HER2/neu発現がんである。
【0033】
さまざまな実施形態では、増殖性疾患は、B細胞性非ホジキンリンパ腫(NHL)及びB細胞性慢性リンパ性白血病(CLL)からなる群より選択されるがんであり、抗CD20抗体−IFN−α融合分子を含む医薬組成物の有効量を個人に投与することを含み、抗CD20−IFN−α融合分子は、約0.0001〜約0.0003mg/kg、約0.0003〜約0.001mg/kg、約0.001〜約0.003mg/kg、約0.003〜約0.01mg/kg、約0.01〜約0.03mg/kg、約0.03〜約0.1mg/kg、約0.1〜約0.3mg/kg、約0.3〜約0.4mg/kg、約0.4〜約0.5mg/kg、約0.5〜約0.6mg/kg、約0.6〜約0.7mg/kg、約0.7〜約0.8mg/kg、及び約0.8〜約0.9mg/kgからなる群より選択される週間投与量で個人に投与される。さまざまな実施形態では、がんはCD20を発現する。さまざまな実施形態では、がんはCD20発現がんの腫瘍微小環境内の非CD20発現がんである。
【0034】
さまざまな実施形態では、増殖性疾患は、多発性骨髄腫、乳がん、及び膀胱がんからなる群より選択されるがんであり、抗CD138抗体−IFN−α融合分子を含む医薬組成物の有効量を個人に投与することを含み、抗CD138−IFN−α融合分子は、約0.0001〜約0.0003mg/kg、約0.0003〜約0.001mg/kg、約0.001〜約0.003mg/kg、約0.003〜約0.01mg/kg、約0.01〜約0.03mg/kg、約0.03〜約0.1mg/kg、約0.1〜約0.3mg/kg、約0.3〜約0.4mg/kg、約0.4〜約0.5mg/kg、約0.5〜約0.6mg/kg、約0.6〜約0.7mg/kg、約0.7〜約0.8mg/kg、及び約0.8〜約0.9mg/kgからなる群より選択される週間投与量で個人に投与される。さまざまな実施形態では、がんはCD138を発現する。さまざまな実施形態では、がんはCD138発現がんの腫瘍微小環境内の非CD138発現がんである。
【0035】
さまざまな実施形態では、増殖性疾患は、NSCLC、急性脊髄性白血病(AML)、多発性骨髄腫、黒色腫、及び膵がんからなる群より選択されるがんであり、抗GRP94(エンドプラスミン)抗体−IFN−α融合分子を含む医薬組成物の有効量を個人に投与することを含み、抗GRP94−IFN−α融合分子は、約0.0001〜約0.0003mg/kg、約0.0003〜約0.001mg/kg、約0.001〜約0.003mg/kg、約0.003〜約0.01mg/kg、約0.01〜約0.03mg/kg、約0.03〜約0.1mg/kg、約0.1〜約0.3mg/kg、約0.3〜約0.4mg/kg、約0.4〜約0.5mg/kg、約0.5〜約0.6mg/kg、約0.6〜約0.7mg/kg、約0.7〜約0.8mg/kg、及び約0.8〜約0.9mg/kgからなる群より選択される週間投与量で個人に投与される。さまざまな実施形態では、がんはGRP94を発現する。さまざまな実施形態では、がんはGRP94発現がんの腫瘍微小環境内の非GRP94発現がんである。
【0036】
さまざまな実施形態では、増殖性疾患は、AML、慢性脊髄性白血病(CML)、及び多発性骨髄腫からなる群より選択されるがんであり、a)抗CD33抗体−IFN−α融合分子を含む医薬組成物の有効量を個人に投与することを含み、抗CD33−IFN−α融合分子は、約0.0001〜約0.0003mg/kg、約0.0003〜約0.001mg/kg、約0.001〜約0.003mg/kg、約0.003〜約0.01mg/kg、約0.01〜約0.03mg/kg、約0.03〜約0.1mg/kg、約0.1〜約0.3mg/kg、約0.3〜約0.4mg/kg、約0.4〜約0.5mg/kg、約0.5〜約0.6mg/kg、約0.6〜約0.7mg/kg、約0.7〜約0.8mg/kg、及び約0.8〜約0.9mg/kgからなる群より選択される週間投与量で個人に投与される。さまざまな実施形態では、がんはCD33を発現する。さまざまな実施形態では、がんはCD33発現がんの腫瘍微小環境内の非CD33発現がんである。
【0037】
さまざまな実施形態では、増殖性疾患は、腎細胞癌(RCC)、ワルデンストレームマクログロブリン血症、多発性骨髄腫、及びNHLからなる群より選択されるがんであり、a)抗CD70抗体−IFN−α融合分子を含む医薬組成物の有効量を個人に投与することを含み、抗CD70−IFN−α融合分子は、約0.0001〜約0.0003mg/kg、約0.0003〜約0.001mg/kg、約0.001〜約0.003mg/kg、約0.003〜約0.01mg/kg、約0.01〜約0.03mg/kg、約0.03〜約0.1mg/kg、約0.1〜約0.3mg/kg、約0.3〜約0.4mg/kg、約0.4〜約0.5mg/kg、約0.5〜約0.6mg/kg、約0.6〜約0.7mg/kg、約0.7〜約0.8mg/kg、及び約0.8〜約0.9mg/kgからなる群より選択される週間投与量で個人に投与される。さまざまな実施形態では、がんはCD70を発現する。さまざまな実施形態では、がんはCD70発現がんの腫瘍微小環境内の非CD70発現がんである。
【0038】
別の態様では、本発明は、薬理学的に許容可能な賦形剤又は担体中にTAA抗体−IFN融合分子及び第2の抗がん剤を活性成分として含む医薬組成物を提供する。さまざまな実施形態では、医薬組成物は、皮下注射、腹腔内注射、筋肉内注射、胸骨内注射、静脈内注射、動脈内注射、クモ膜下腔内注射、心室内注射、尿道内注射、頭蓋内注射、滑液嚢内注射からなる群より選択される経路又は注入を介した投与用に製剤される。
【0039】
他の態様では、本開示は、本開示の融合分子をコードするポリヌクレオチド;本開示の融合分子をコードするポリヌクレオチドを含むベクター;随意に、ベクターで形質転換される宿主細胞によって認識される動作可能に連結調節配列;本開示の融合分子をコードするポリヌクレオチドを含むベクターを含む宿主細菌;ポリヌクレオチドが発現するように本開示の融合分子をコードするポリヌクレオチドを含むベクターを含む宿主細菌を培養すること及び宿主細胞培養培地から融合分子を回収することを含む、本開示の融合分子を作る方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0040】
図1図1は、例示的なTAA抗体−IFN融合分子の模式図である。
図2図2は、ダウディ(ATCC CCL−213)及びラモス(ATCC CRL−1596)NHL細胞株を用いた、IGN002非融合mAbと比較したIGN002のADCC及びCDC活性を示す。ADCC実験については、ダウディNHL腫瘍細胞を示されている濃度のIGN002融合タンパク質又はIGN002mAbとともに15分間インキュベーションし、次いでエフェクター対標的細胞比(E:T比)が50:1となるように腫瘍細胞をエフェクター細胞として、正常ヒト末梢血単核細胞(PBMC)を加えた。プレートを37℃にて5%CO雰囲気中で一晩16時間インキュベーションした。インキュベーション後、製造業者の取扱説明書に従って標準的な乳酸脱水素酵素(LDH)アッセイ(ロシュ・ダイアグノスティックス社)を使用して%標的細胞溶解を決定した。プリズムソフトウェアを用いた非線形回帰分析によって用量反応曲線を作成した。CDC実験については、ラモスNHL腫瘍細胞を示されている濃度のIGN002融合タンパク質又はIGN002mAbとともに氷上で15分間インキュベーションし、次いで、市場ヒト補体血清(キデル社)を最終濃度が10%となるように各チューブに加えた。試料を37℃にて5%CO雰囲気中で3時間インキュベーションし、次いで、製造業者の取扱説明書(ロシュ・ダイアグノスティックス社)に従って、生存性をヨウ化プロピジウム(PI)フローサイトメトリーで評価した。プリズムソフトウェアを用いた非線形回帰分析によって用量反応曲線を作成した。IGN002は非融合抗体と比較して優れたADCC及びCDC活性を示すことが明らかとなった。
図3図3は、非標的設定及び標的設定で非融合IFN−α2bと比較したIGN004のSTAT1リン酸化及び増殖阻害活性を示す。非標的STAT1リン酸化実験については、ダウディNHL腫瘍細胞(GRP94陰性)を示されている濃度のIGN004又はIFN−α2bとともに15分間インキュベーションし、次いで細胞を固定し、透過処理して、PE標識抗−STAT1(pY701)又はPE標識アイソタイプ対照で細胞内染色した。標的増殖阻害実験については、GRP94陽性NCI−H1299 NSCLC腫瘍細胞(ATCC CRL−5803)を示されている濃度のIGN004融合タンパク質またはIFN−α2bで37℃にて5%CO雰囲気中で96時間処理した。インキュベーション後、標準的なMTSアッセイ(プロメガCell Titer96;プロメガ社、マディソン、ウィスコンシン州)を行って細胞増殖を評価した。プリズムソフトウェアを用いた非線形回帰分析によって用量反応曲線を作成した。
図4図4は、U266ヒト多発性骨髄腫異種移植腫瘍モデルにおけるIGN004の生体内抗腫瘍有効性を示す。11日間定着させた皮下U266ヒト多発性骨髄腫異種移植腫瘍をもつNOG免疫不全マウスの8頭の群を、溶媒(リン酸緩衝食塩水)又は5、1、若しくは0.2mg/kgのIGN004静脈内に週に2回、4週間治療した。カリパスを用いて腫瘍を2方向で測り、腫瘍体積を0.5×(L×W)として算出した。動物を生存について追跡し、腫瘍が2000mmに達したとき犠牲にした。平均腫瘍体積(mm)を腫瘍チャレンジ後の日数に対してプロットした。
図5図5は、A549ヒトNSCLC腫瘍細胞株(ATCC CCL−185)を用いてIGN004の存在下又は非存在下において評価したヒトCD8+NKT細胞様TALL−104エフェクター細胞株(ATCC CRL−11386)の殺腫瘍細胞活性を示す。IGN004処理は、A549腫瘍細胞の生存率(15.82%)の微減をもたらした。TALL−104エフェクター細胞は、IGN004の非存在下で強力な殺作用を示した(69.2%)。しかし、IGN004及びTALL−104細胞の組み合わせは、A549腫瘍細胞を完全になくすことに至った(100%死滅)。この効果は、いずれの薬剤単独をあわせたものより強力であった(85.02%対100%)。
図6図6は、異なるヒトNSCLC腫瘍細胞株(NCI−H1975;ATCC CRL−5908)を用いてIGN004の存在下又は非存在下において2つの異なるE:T比で評価したTALL−104エフェクター細胞の殺腫瘍細胞活性を示す。IGN004処理は、A549腫瘍細胞の生存率(5.7%及び10.6%)の微減をもたらした。TALL−104エフェクター細胞は、IGN004の非存在下においてE:T比が5:1及び3.3:1の両方で有意な殺作用を示した(それぞれ、58.6%及び55.7%)。しかし、50pMのIGN004及びTALL−104細胞の組み合わせは、両方のE:T比で、よりいっそう効果的なNCI−H1975腫瘍細胞標的に対する殺作用につながった(それぞれ、93.8%及び93.2%)。
図7図7は、NCI−H1975NSCLC腫瘍細胞を用いてIGN004の存在下で評価されたTALL−104腫瘍細胞に対する殺作用の効力を示す。TALL−104エフェクター細胞は、IGN004併用治療の非存在下で17%のNCI−H1975腫瘍細胞を死滅させた。0.25〜25pMの濃度でTALL−104細胞と併用したIGN004での処理は、TALL−104治療単独と比較して、殺腫瘍細胞作用の増加をもたらした。
図8図8は、A549 NSCLC腫瘍細胞で、10pM IGN004の存在下又は非存在下においてさまざまなE:T比で評価した下降調節したTALL−104エフェクター細胞の殺腫瘍細胞活性を示す。10pMのIGN004単独では腫瘍細胞への効果がなかった。3:1のE:T比では、TALL−104細胞は薬剤の非存在下で約40%のA549腫瘍細胞を死滅させ、より低いE:T比では、エフェクター細胞は腫瘍細胞を死滅させるのに無効であった。薬剤なしではTALL−104が腫瘍細胞への効果がなかった0.75:1のE:Tでも、10pMのIGN004の存在下ではTALL−104細胞は強い殺腫瘍細胞作用を示した。
図9図9は、IGN004融合タンパク質又はIGN004非融合mAbの存在下又は非存在下で評価したTALL−104エフェクター細胞の殺腫瘍細胞活性を示す。10pMのIGN004非融合mAb単独では腫瘍細胞への効果がなく、10pMのIGN004はほんのわずかな効果のみ(<10%)であった。すべてのE:T比においてTALL−104細胞は薬剤の非存在下で低いレベルの殺腫瘍細胞作用を示した。10pMのIGN004mAbの存在下では、TALL−104細胞は薬剤なしのTALL−104細胞と同等の割合で死滅させた。しかし、10pMのIGN004を用いると、薬物なしと比較して、TALL−104細胞による殺腫瘍細胞作用の有意な増加があった(70〜80%対10〜20%死滅)。
図10図10は、IGN004、対照TAA抗体−IFN−α融合分子又はIGN004非融合mAb+非融合IFN−αの組み合わせの存在下又は非存在下で評価したTALL−104エフェクター細胞の殺腫瘍細胞活性を示す。10pMの対照TAA抗体−IFN−α融合分子単独では腫瘍細胞への効果がなかった。10pMのIGN004も、IGN004非融合mAbと非融合IFN−α2bの組み合わせもわずかな効果のみ(<10%)であった。両方のE:T比で、TALL−104細胞は薬剤の非存在下において低いレベルの殺腫瘍細胞作用を示した(<10%)。10pMの対照TAA抗体−IFN−α融合分子の存在下では、TALL−104細胞は薬剤なしのTALL−104細胞と同等の割合で死滅させた。10pMのIGN004mAb+非融合IFN−α2bの組み合わせを用いると、ALL−104エフェクター細胞は、より多くのA549腫瘍細胞を死滅させた(1:1及び1.5:1のE:Tでそれぞれ、14%及び25%の殺作用の増加)。しかし、10pMのIGN004を用いると、薬物なしと比較して、TALL−104細胞による殺腫瘍細胞作用のよりいっそう大きな増加があった(1:1及び1.5:1のE:Tでそれぞれ、34%及び42%の殺作用の増加)。
図11図11は、OVCAR−3卵巣がん細胞株(ATCC HTB−161)を用いてIGN004又は対照TAA抗体−IFN−α融合分子の存在下又は非存在下において2つのE:T比で評価したNKエフェクター細胞株NK−92(ATCC CRL−2407)の殺腫瘍細胞活性を示す。10pMのいずれの治療タンパク質も、エフェクター細胞の非存在下で、腫瘍細胞への効果がなかった。NK−92エフェクター細胞は薬剤の非存在下で、1.5:1のE:T比では強い殺腫瘍細胞作用(49%死滅)を示し、0.5:1ではあまり大きくない殺作用(19%死滅)を示した。10pMの対照TAA抗体−IFNα融合の存在下では、NK−92細胞は、薬剤なしのエフェクター細胞と同等の割合で死滅させた。10pMのIGN004を用いると、薬剤なしと比較して、NK−92細胞による殺腫瘍細胞作用の有意な増加があった(1.5:1及び0.5:1でそれぞれ、45%及び29%の殺作用の増加)。
図12図12は、IGN004又は非融合IFN−α2bの存在下又は非存在下において2つのE:T比でNCI−H1975NSCLC腫瘍細胞を用いて評価したNK−92エフェクター細胞の殺腫瘍細胞活性を示す。いずれの治療タンパク質での処理も、エフェクター細胞の非存在下で腫瘍細胞への効果がなかった。NK−92エフェクター細胞は薬剤の非存在下では、殺腫瘍細胞作用が皆無かそれに近かった。100pMの非融合IFN−αの存在下では、NK−92細胞は、薬剤の非存在下でのNK−92細胞と比べて多くの腫瘍細胞を死滅させた。10pMのIGN004を用いると、薬剤なし及びIFN−α2b(1:1及び0.3:1でそれぞれ、50%及び51%の殺作用の増加)と比較して、NK−92細胞による殺腫瘍細胞作用の有意な増加があった(1:1及び0.3:1でそれぞれ、85%及び62%の殺作用の増加)。
【発明を実施するための形態】
【0041】
本開示は、抗体の標的抗原に対する特異性とIFN分子の強力な細胞傷害性作用とを兼ね備えた融合分子は、現在のがん免疫療法及び/又はIFNに基づいた療法の有効性及び安全性プロファイルを著しく向上するであろうという発明者らの洞察に基づく。これは、非融合IFNと比較してTAA抗体−IFN融合分子の使用には以下の大きな利点があるという発明者らの理解に部分的に基づいている。1)IFNの強力な細胞傷害性効果(誘発アポトーシス及びプログラム細胞死)が(非融合IFNと比較して)融合分子によって標的腫瘍細胞に集中し、腫瘍細胞上に発現するIFN−αRとの結合が、腫瘍細胞をなくす役目を果たすことになる;2)TAA抗体の標的抗原に対する特異性は非標的細胞をsparし、IFNの全身毒性を減らすことになる;3)腫瘍微小環境内の樹状細胞(DC)上のIFN−αの局所的な作用が、DC上の腫瘍の抑制作用のいくつかを無効にするのを助け、DCによるT細胞への腫瘍抗原のより効率的なクロスプレゼンテーションを導く可能性がありうる;4)IFN−αはT細胞上で直接的に作用することになり、例えば、CD8+CTL機能を増強し、融合タンパク質の治療効果を向上する導く可能性がありうるDCクロスプレゼンテーションの増加によってCD8+CTLプライミングを向上する;5)融合分子が、リンパ器官(例えば、流入領域リンパ節、脾臓、骨髄)の免疫細胞を刺激又は活性化することになる;6)融合分子が、抗体−TAA及び/又はIFN−IFNαR相互作用を介してそれらに直接結合することによって、腫瘍微小環境に存在する免疫細胞(例えば、T細胞、ナチュラルキラー細胞、抗原提示細胞、食細胞)を刺激又は活性化することになる;7)腫瘍細胞を効率的に死滅させることを可能にすることになるCD8+CTL機能の直接的な活性化;8)腫瘍細胞上に発現する共阻害免疫チェックポイントタンパク質又は腫瘍細胞と結合する共阻害免疫チェックポイントタンパク質の上方調節を誘発すること;9)腫瘍細胞上に発現するMHCクラスI又は腫瘍細胞と結合するMHCクラスIの上方調節を誘発し、T細胞に対するより良好な抗原提示を導くこと;並びに10)免疫回避の他の機構、例えば、T細胞/B細胞上のある種特定の免疫チェックポイントタンパク質によって媒介される主要な阻害経路を直接無効にすること。
【0042】
本明細書に記載のように、発明者らは、1)TAA抗体−IFN融合分子は、免疫療法と併せて使用して、エフェクター細胞による殺腫瘍細胞作用の増加をもたらす治療プロトコールを設計することができること(すなわち、共投与された場合にTAA抗体−IFN融合分子と免疫療法との間に相乗効果がある);並びに2)本明細書に記載のTAA抗体−IFN融合分子及び方法を使用して、驚くべき低い投与量で、再発がん、耐性がん、又は難治性がんを含むがんを効果的に治療することができることを見出した。具体的には、本明細書に記載のTAA抗体−IFN融合分子及び方法は、IFNの複数の性質を活用するのに最適であると思われ、以下を示す。1)TAA発現腫瘍細胞を効果的に死滅させること及び2)TAAを発現する腫瘍細胞に隣接又は非常に近接する非TAA発現腫瘍細胞(以降「バイスタンダー腫瘍細胞」とも呼ばれる)(すなわち、腫瘍微小環境にある非TAA発現腫瘍細胞)を死滅させる能力。非融合IFNと比べて融合IFNはIFN受容体に対するアフィニティーが非常に低く、よって非融合IFNと比較して、非TAA発現腫瘍細胞上のIFN受容体を刺激する効力が非常に低いことを考えれば、観察された非TAA発現腫瘍細胞のこれらの「バイスタンダー効果」は驚くべきことである。そして重要なことには、明らかなバイスタンダー効果は腫瘍微小環境内の非TAA発現腫瘍細胞でのみ、又は腫瘍微小環境の免疫細胞がTAA発現腫瘍細胞を攻撃するようにデザインされたいずれかのタイプの免疫療法によって刺激された場合にのみ観察される。したがって、本発明のTAA抗体−IFN融合分子及び方法は、増殖性疾患の患者及び特に、再発増殖性疾患、耐性増殖性疾患、又は難治性増殖性疾患の患者を治療するための有望で新しい効果的な療法を示す。
【0043】
本明細書において別段の規定がない限り、本明細書との関連で使用される科学用語及び技術用語は当業者に一般的に理解されている意味を有するものとする。さらに、前後関係から別段求められない限り、単数の用語は複数を含むものとし、複数の用語は単数を含むものとする。一般に、本明細書に記載の細胞及び組織培養、分子生物学、免疫学、微生物学、遺伝学、並びにタンパク質及び核酸化学及びハイブリダイゼーションに関連して使用される術語体系並びにそれらの技術は、当該技術分野において一般に使用され、周知であるものである。別段の指示がない限り、本発明の方法及び技術は一般に、当該技術分野において周知である従来の方法に従い、本明細書を通して引用及び考察されているさまざまな一般的な参考文献及びより詳しい参考文献に記載のように行われる。例えば、参照により本願明細書に組み込まれる、Green and Sambrook,Molecular Cloning:A Laboratory Manual、第4版、コールドスプリングハーバー研究所出版局、コールドスプリングハーバー、ニューヨーク州(2012年)を参照されたい。酵素反応及び精製技術は製造業者の仕様書に従って当該技術分野において一般的に達成されるように行われるは、又は本明細書に記載のように行われる。本明細書に記載の分析化学、合成有機化学、並びに医薬品及び製薬化学に関連して使用される術語体系並びにそれらの実験手順及び技術は、当該技術分野において一般に使用され、周知であるものである。標準的な技術が、化学合成、化学分析、医薬品調製、製剤、及び送達、及び患者の治療に使用される。
【0044】
定義
「腫瘍関連抗原」(TAA)という用語は、例えば、がん細胞によって選択的に発現されるか、又は大部分の正常細胞と比べてがん細胞において過剰発現されるかする細胞表面抗原を指す。本明細書において、「TAAバリアント」及び「TAA変異体」という用語は、別のTAA配列と比べて、1つ以上のアミノ酸残基がそのアミノ酸配列に挿入、削除、及び/又は置換されているアミノ酸配列を含むTAAを指す。さまざまな実施形態では、挿入、削除、又は置換されるアミノ酸残基の数は、例えば、少なくとも1個、少なくとも2個、少なくとも3個、少なくとも4個、少なくとも5個、少なくとも10個、少なくとも25個、少なくとも50個、少なくとも75個、少なくとも100個、少なくとも125個、少なくとも150個、少なくとも175個、少なくとも200個、少なくとも225個、少なくとも250個、少なくとも275個、少なくとも300個、少なくとも350個、少なくとも400個、少なくとも450個、又は少なくとも500個のアミノ酸の長さであることができる。
【0045】
本明細書で使用される場合、「腫瘍微小環境」という用語は、周囲の血管、免疫細胞、線維芽細胞、骨髄由来炎症細胞、リンパ球、シグナル伝達分子、及び細胞外マトリックス(ECM)を含む、腫瘍が存在する細胞環境を指す。腫瘍微小環境の構成要素は、腫瘍細胞の増殖、例えば、その進行及び転移する能力を変えることができる。また、腫瘍微小環境は腫瘍放出細胞外シグナルによる影響を受け、腫瘍血管新生を促進し、且つ末梢性免疫寛容を誘発する可能性がある。
【0046】
本明細書で使用される場合、「増殖性疾患」は腫瘍疾患(良性又はがん性を含む)及び/又はいずれの転移を含む。増殖性疾患としては、過形成、線維症(特に、肺線維症、それだけでなく腎線維症などの他のタイプの線維症)、新脈管形成、乾癬、アテローム性動脈硬化症、及び狭窄又は血管形成術後の再狭窄などの血管内平滑筋増殖などの過剰増殖状態が挙げられうる。いくつかの実施形態では、増殖性疾患はがんである。いくつかの実施形態では、増殖性疾患は非がん性疾患である。いくつかの実施形態では、増殖性疾患は良性腫瘍又は悪性腫瘍である。
【0047】
本明細書で使用される場合、「治療)」は、有益又は所望の臨床的結果を得る方法である。本発明の目的のために、有益又は所望の臨床的結果としては、1つ以上の症状の緩和、疾患の範囲の縮小、疾患の拡散、例えば、転移、例えば、肺又はリンパ節への転移)の予防又は遅延、疾患の再発の予防又は遅延、疾患の進行を遅らせる又は遅くすること、病的状態の改善、及び(部分寛解又は完全寛解いずれにしても)寛解のいずれか1つ以上が挙げられるが、これらに限定されない。また、増殖性疾患の病理学的結果の減少も「治療」に包含される。本発明の方法は、治療のこれらの態様のいずれか1つ以上を企図する。
【0048】
本明細書で使用される場合、「免疫療法」という用語は、限定されないが、特異的な腫瘍抗原に対する枯渇抗体を用いる治療;抗体−薬物複合体を用いる治療;CTLA−4、PD−1、OX−40、CD137、GITR、LAG3、TIM−3、及びVISTAなどの共刺激分子又は共抑制分子(免疫チェックポイント)に対するアゴニスト抗体、アンタゴニスト抗体、又は遮断抗体を用いる治療;ブリナツモマブなどの二重特異性T細胞誘導抗体(BiTE(登録商標))を用いる治療:IL−2、IL−12、IL−15、IL−21、GM−CSF、IFN−α、IFN−β、及びIFN−γなどの生物学的応答調節物質の投与を含む治療;シプロイセル−Tなどの治療ワクチンを用いる治療;樹状細胞ワクチンもしくは腫瘍抗原ペプチドワクチンを用いる治療;キメラ抗原受容体(CAR)−T細胞を用いる治療;CAR−NK細胞を用いる治療;腫瘍浸潤リンパ球(TIL)を用いる治療;(生体外で増殖させた及び/又はTCRトランスジェニックの)養子移入された抗腫瘍性T細胞を用いる治療;TALL−104細胞を用いる治療;並びにToll様受容体(TLR)アゴニストCpG及びイミキモドなどの免疫賦活剤を用いる治療を含むがん治療を指す。
【0049】
「T細胞機能を増強すること」とは、再生、保持、又は増幅された生体機能を有するようにエフェクター又はメモリーT細胞を誘発したり、かかる生体機能をそれらの細胞にもたせたり、かかる生体機能を有するようにそれらの細胞を刺激したりすることを意味する。T細胞機能を増強することとしては、例えば、治療介入前のそのレベルと比べた、CD8+エフェクターT細胞からのγ−インターフェロン分泌の増加、CD4+メモリー及び/又はエフェクターT細胞からのγ−インターフェロン分泌の増加、CD4+エフェクター及び/又はメモリーT細胞の増殖の増加、CD8+エフェクターT細胞の増殖の増加、抗原応答性(例えば、クリアランス)の増加が挙げられる。この増強を測定する方法は当業者に公知である。
【0050】
本明細書において使用される場合、「有効量」又は「治療有効量」という用語は、特定の障害、病態、又は疾患を治療する、例えば、その1つ以上の症状を改善する、軽減する、且つ/又は遅延させるのに十分な化合物又は組成物の量を指す。NHL及び他のがん又は他の望まれない細胞増殖に関して、有効量は、(i)がん細胞の数を減らす;(ii)腫瘍サイズを小さくする;(iii)末梢臓器へのがん細胞浸潤をある程度阻害する、妨害する、遅延させる、好ましくは止める;(iv)腫瘍転移を阻害する(すなわち、ある程度、遅延させる、好ましくは止める);(v)腫瘍増殖を阻害する;(vi)腫瘍の発生及び/若しくは再発を予防する若しくは遅らせる;並びに/又は(vii)がんに関連する1つ以上の症状をある程度和らげるのに十分な量を含む。有効量は1回以上の投与で施すことができる。
【0051】
「補助設定」は、個人が増殖性疾患、特にがんの病歴をもち、一般に(必ずしもそうとは限らないが)、限定されないが、手術(外科的切除など)、放射線療法、及び化学療法を含む治療に反応したことがある臨床設定を指す。しかし、増殖性疾患(がんなど)の個人の病歴に起因して、これらの個人は疾患発症の恐れがあると見なされる。「補助設定」における治療又は投与は後続の治療様式を指す。リスクの度合い(すなわち、補助設定にいる個人が「高いリスク」又は「低いリスク」とみなされる場合)は、いくつかの因子、たいていは最初に治療されたときの疾患の程度に依存する。
【0052】
本発明の融合分子及び1つ以上の他の治療薬剤について言及して「共投与」、「共投与して」、及び「と併用して」という用語が本明細書で使用される場合、以下を意味することが意図され、且つ実際に参照及び包含される。治療を必要とする個人への本発明の融合分子及び治療薬剤のそのような組み合わせの同時投与、この場合、そのような構成成分は前記構成成分を前記個人に実質的に同時に放出する単回剤形で一緒にして製剤される;治療を必要とする個人への本発明の融合分子及び治療薬剤のそのような組み合わせの実質的に同時の投与、この場合、そのような構成成分は前記個人によって実質的に同時に摂取される別個の剤形に互いに別々に製剤され、前記構成成分は前記個人に実質的に同時に放出される;治療を必要とする個人への本発明の融合分子及び治療薬剤のそのような組み合わせの連続投与、この場合、そのような構成成分は、前記個人によって投与間の時間間隔を大きくあけて連続した時間で摂取される別個の剤形に、互いに別々に製剤され、前記構成成分は前記個人に実質的に時を異にして放出される;並びに治療を必要とする個人への本発明の融合分子及び治療薬剤のそのような組み合わせの連続投与、この場合、そのような構成成分は共に、制御された形で前記構成成分を放出する単回剤形に製剤される それらは、並行して、連続的に、且つ/又はオーバーラップして、同時に且つ/又は時を異にして前記個人に放出され、各部分は同じ経路又は異なる経路で投与されうる。
【0053】
「治療用タンパク質」という用語は、1つ以上の治療活性及び/又は生物学的活性をもつタンパク質、ポリペプチド、抗体、ペプチド、又はその断片若しくはバリアントを指す。本発明によって包含される治療用タンパク質としては、タンパク質、ポリペプチド、ペプチド、抗体、及び生物製剤が挙げられるが、これらに限定されない(ペプチド、タンパク質、及びポリペプチドという用語は本明細書において互換可能に使用される)。「治療用タンパク質」という用語が本発明の融合分子を包含することが具体的に企図される。
【0054】
「患者」、「個人」、及び「対象」という用語は、互換可能に用いてよく、哺乳類、好ましくは、ヒト又は非ヒト霊長類、それだけでなく飼育哺乳類(例えば、イヌ又はネコ)、実験哺乳類(例えば、マウス、ラット、ウサギ、ハムスター、モルモット)、及び農業哺乳類(例えば、ウマ、ウシ、ブタ、ヒツジ)を指す。さまざまな実施形態では、患者は、病院、精神科療養施設において、外来患者として、又は他の臨床状況で医師又は他の医療従事者のケアを受けているヒト(例えば、成人男性、成人女性、青年男性、青年女性、男児、女児)であることができる。さまざまな実施形態では、患者は、免疫不全患者又は免疫系が低下している患者であることもあり、例えば、限定されないが、原発性免疫不全、AIDSをもつ患者;ある種の免疫抑制剤を服用しているがん患者及び移植患者;及び免疫系を侵す遺伝性疾患(例えば、先天性無ガンマグロブリン血症、先天性IgA欠損症)を患う者でありうる。さまざまな実施形態では、患者は、免疫原性のがん、例えば、限定されないが、膀胱がん、肺がん、黒色腫、及び変異をもつ率が高いことが報告されている他のがん(Lawrence et al.,Nature,499(7457):214−218,2013)を患う。
【0055】
「医薬組成物」はヒトにおける医薬用途に適した組成物を指す。医薬組成物は、薬理学的に有効な量の活性薬剤及び薬理学的に許容可能な担体を含んでなる。「薬理学的に有効な量」は、意図する薬理学的結果を生じさせるのに有効な薬剤の量を指す。「薬理学的に許容可能な担体」は、リン酸緩衝生理食塩溶液、デキストロースの5%水溶液、及びエマルション、例えば油/水又は水/油エマルションなどの標準的な医薬担体、溶媒、バッファー、及び賦形剤、並びにさまざまな種類の湿潤剤及び/又は補助剤のいずれかを指す。適切な医薬担体及び製剤は、レミントンの薬学、第21版、2005年、Mack Publishing Co、Eastonに記載されている。「薬理学的に許容可能な塩」は、医薬用途のための化合物に製剤できる塩であり、例えば、金属塩(ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウムなど)及びアンモニア又は有機アミン塩である。
【0056】
「投与すること」又は「投与されるようにする」という句は、問題の薬剤/化合物の患者への投与を管理及び/又は許可する、医療従事者(例えば、医師)又は患者の医療ケアを管理する者によってとられる行為を指す。投与されるようにすることは、診断及び/又は適切な治療レジメンの決定、及び/又は特定の薬剤/化合物を患者に対して処方することを含みうる。そのような処方することとしては、例えば、処方箋を書くこと、診療録に注釈を付けることなどを挙げることができる。投与が本明細書で記載される場合、「投与されるようにすること」も企図される。
【0057】
「耐性がん又は難治性がん」は、例えば、化学療法、手術、放射線療法、幹細胞移植、及び免疫療法を含む過去の抗がん治療に反応しない腫瘍細胞又はがんを指す。腫瘍細胞は治療開始時に抵抗性若しくは難治性でありうるか、又は、腫瘍細胞は治療中に抵抗性若しくは難治性になることもある。難治性腫瘍細胞としては、治療開始時に反応しないか、又は初期には短い期間治療に反応するが、反応しなくなる腫瘍が挙げられる。難治性腫瘍細胞としては、抗がん療法での治療に反応するが、それに続く療法に反応しない腫瘍も挙げられる。本発明の目的のために、難治性腫瘍細胞は、抗がん療法での治療によって抑制されるように思われるが、治療が中止された後、5年までに、時には10年までに、又はそれ以降に再発する腫瘍も包含する。抗がん治療は、化学療法剤単独、放射線単独、標的療法単独、手術単独、又はそれらの組み合わせを採用することができる。説明を容易にし、且つ限定しないために、難治性腫瘍細胞は耐性腫瘍と互換可能であることが理解されるであろう。
【0058】
本出願では、別段の記述がない限り、単数形の使用は複数形を含む。本出願では、別段の記述がない限り、「又は」の使用は、「及び/又は」を意味する。さらに、「含むこと」という用語及び「含む」及び「含まれた」などの他の形の使用は限定的ではない。また、「要素」又は「構成成分」などの用語は、別段の具体的な記述がない限り、1つのユニットを含んでなる要素及び構成成分と、1つより多くのサブユニットを含んでなる要素及び構成成分との両方を包含する。
【0059】
本明細書における値又はパラメーターの「約」への参照は、その値又はパラメーターそれ自体を対象とするばらつきを含む(且つ記載する)。例えば、「約X」に言及する記載は「X」の記載を含む。
【0060】
本明細書及び添付の請求項において使用する場合、単数形「1の(a)」、「又は(or)」、及び「その(the)」は、文脈から明らかにそうでないことが示されない限り、複数の指示対象物を含む。本明細書に記載の本発明の態様及び変形は、態様及び変形「からなる」及び/又は「から本質的になる」を含むことが理解される。
インターフェロン及びインターフェロン変異体
【0061】
本開示の融合分子では、TAA抗体、又は抗原結合断片重鎖若しくは軽鎖のN末端又はC末端のいずれかが、いくつかの企図されるインターフェロンまたはインターフェロン変異体の1つを用いて遺伝子組換えで構築されることになる。インターフェロンには、I型インターフェロン(例えば、IFN−α、IFN−β)及びII型インターフェロン(例えば、IFN−γ)が含まれる。本明細書において、「インターフェロン」という用語は、指す。完全長インターフェロン又はインターフェロン断片(トランケートされたインターフェロン)又は完全長野生型インターフェロンの生体活性を実質的に保持する(例えば、完全長野生型インターフェロンの生体活性の少なくとも50%、例えば、少なくともおよそ60%、70%、80%、90%、又はそれ以上のいずれかを保持する)インターフェロン変異体、例えば、当該技術分野において教示されるいずれのバイオ後続品、バイオ後続品、後続生物製剤、若しくは後続タンパク質の形のインターフェロンを指す(本明細書ではトランケートされたインターフェロン及びインターフェロン変異体をあわせて「改変インターフェロン」と呼ぶ)。インターフェロンは本質的にいずれの哺乳類の種に由来することができる。さまざまな実施形態では、インターフェロンは、ヒト、ウマ、ウシ、齧歯類、ブタ、ウサギ、ネコ、イヌ、ネズミ、ヤギ、ヒツジ、非ヒト霊長類などからなる群より選択される種に由来する。さまざまなそのようなインターフェロンは広く文献に記載されており、当業者に周知である(例えば、Pestka,Immunological Reviews,202(1):8−32,2004を参照されたい)。FDA承認インターフェロンとしては、例えば、ROFERON(登録商標)−A(ロシュ社)、INTRON(登録商標)A(シェリング社)、IFNERGEN(登録商標)(インターミューン社)、AVONEX(登録商標)(バイオジェン社)、BETASERON(登録商標)(カイロン社)、並びにREBIF(登録商標)(EMDセローノ社及びファイザー社)が挙げられる。
【0062】
さまざまな実施形態では、TAA抗体−IFN融合分子は、同じアミノ酸配列をもつが抗体に結合していない野生型インターフェロンの内因性活性の、例えば、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも100%を保有するインターフェロン又は改変インターフェロンを含む。
【0063】
さまざまな実施形態では、TAA抗体−IFN融合分子は、同じアミノ酸配列をもつが抗体に結合していない野生型インターフェロンの内因性活性の、例えば、10%未満、20%未満、30%未満、40%未満、50%未満、55%未満、60%未満、65%未満、70%未満、75%未満、80%未満、85%未満、90%未満、95%未満、96%未満、97%未満、98%未満、99%未満、100%未満を保有するインターフェロン又は改変インターフェロンを含むことになる。
【0064】
さまざまな実施形態では、TAA抗体−IFN融合分子は、同じアミノ酸配列をもつが抗体に結合していない野生型インターフェロンの内因性活性の、例えば、5倍超、10倍超、15倍超、20倍超、25倍超、30倍超、35倍超、40倍超、50倍超、60倍超、70倍超、80倍超、90倍超、100倍超、125倍超、150倍超、175倍超、200倍超、250倍超、300倍超、400倍超、500倍超、750倍超、及び1000倍超を保有するインターフェロン又は改変インターフェロンを含むことになる。
【0065】
インターフェロン活性は、例えば、当該技術分野において記載されているさまざまな抗ウイルスアッセイ及び抗増殖性アッセイ(例えば、米国特許第8,563,692号、米国特許公開第20130230517号、米国特許公開20110158905号、PCT国際公開第2014/028502号、及びPCT国際公開第2013/059885号を参照されたい)並びに下記の実施例の項に記載のアッセイを用いて評価することができる。
【0066】
さまざまな実施形態では、同じアミノ酸配列をもつが抗体に結合していないインターフェロンと比較して、TAA抗体−IFN融合分子は、少なくとも10倍、少なくとも100倍、少なくとも1000倍、少なくとも10,000倍、又は少なくとも100,000倍の、抗体が結合するTAAを発現しない細胞に比べたTAA発現細胞に対する選択性示すことになる。
【0067】
本発明のさまざまな実施形態では、インターフェロンは、1つ以上のアミノ酸置換、挿入、及び/又は削除を含むインターフェロン変異体である。そのような変異体インターフェロン分子を同定する手段は当業者にとって慣用的なものである。1つの例示的な方法では、トランケートされた及び/又は変異させたIFN−αのライブラリーが作られ、IFN−α活性についてスクリーニングされる。ポリペプチドバリアントのライブラリーを作製する方法は当業者に周知である。よって、例えば、エラーを起こしやすいPCRが用いられて、変異体及び/又はトランケートされたIFN−αのライブラリーを作り出すことができる(例えば、米国特許第6,365,408号を参照されたい)。次いで、結果として得られるライブラリーの構成物は、当業者に公知の標準的な方法に従ってスクリーニングすることができる。よって、例えば、IFN−α活性は、特定の試験ウイルスに対する抗ウイルス性活性を測定することによってアッセイすることができる。IFN−α活性についてアッセイするためのキットは市販されている(例えば、Neutekbio社、アイルランドによるILITE(商標)アルファベータキットを参照されたい)。
【0068】
本発明のさまざまな実施形態では、インターフェロン変異体は、1つ以上のアミノ酸置換、挿入、及び/又は削除を含む。そのような改変インターフェロン分子を同定する手段は当業者にとって慣用的なものである。1つの例示的な方法では、トランケートされた及び/又は変異させたIFN−αのライブラリーが作られ、IFN−α活性についてスクリーニングされる。ポリペプチドバリアントのライブラリーを作製する方法は当業者に周知である。よって、例えば、エラーを起こしやすいPCRが用いられて、変異体及び/又はトランケートされたIFN−αのライブラリーを作り出すことができる(例えば、米国特許第6,365,408号を参照されたい)。次いで、結果として得られるライブラリーの構成物は、当業者に公知の標準的な方法に従ってスクリーニングすることができる。よって、例えば、IFN−α活性は、特定の試験ウイルスに対する抗ウイルス性活性を測定することによってアッセイすることができる。IFN−α活性についてアッセイするためのキットは市販されている(例えば、Neutekbio社、アイルランドによるILITE(商標)アルファベータキットを参照されたい)。
【0069】
化学修飾インターフェロンの使用も企図される。例えば、あるいくつかの実施形態では、インターフェロンは化学修飾されて血中半減期を長くする。よって、例えば、(2−スルホ−9−フルオレニルメトキシカルボニル)−インターフェロン−α2は時間依存性自然加水分解を経て、活性インターフェロンを生じさせる(Shechter et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.,USA,98(3):1212−1217,2001)。他の修飾としては、例えば、限定されないが、PEG、保護基などの付加を含むN末端修飾が挙げられる(例えば、米国特許第5,824,784号を参照されたい)。
【0070】
さまざまな実施形態では、インターフェロンは、配列番号1として下記に提供される野生型IFN−α2b配列(以降「IFN−α2b」と呼ばれる)と、例えば、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、又は少なくとも99%の実際の相同性を共有するアミノ酸配列を含む。
【0071】
さまざまな実施形態では、変異させたIFN−αの使用が企図される。本明細書での使用に企図される単一点変異は、限定されないが、単一点変異は結合親和力を変えうるが、IFN−αの活性を完全に上げることはなく、したがって、よりいっそう高い濃度でも抗増殖性を保持するという仮定の下に、論文報告されているNMR構造に関する情報に基づいてIFN−α及びIFN−αR1の結合親和力に重要であると考えられる一連の主に単一点変異体を含む(下表1を参照されたい)。これは潜在的にインターフェロン−アルファ変異体に融合する抗体を含む融合分子の治療指数を上げることになる。本明細書に記載され、表1に示されるように、単一変異は、配列番号1として提供される野生型IFN−α2bの配列内の特定のアミノ酸位置で特定のアミノ酸置換によって同定されることになる。例えば、57番目のアミノ酸における完全長野生型のヒスチジンを置換したチロシンを含んでなる変異は、H57Yとして同定される。
【0072】
いくつかの実施形態では、変異体インターフェロンは、配列番号1として下記に提供される野生型IFN−α2bの活性の少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも1×、少なくとも1.5×、少なくとも2×、少なくとも2.5×、又は少なくとも3×をもつ。いくつかの実施形態では、変異体インターフェロンは、配列番号1として下記に提供される野生型IFN−α2bの活性の約70%、75%、80%、85%、90%、又は95%のいずれか未満の活性をもつ。さまざまな実施形態では、インターフェロンはIFN−α2b変異体分子であり、配列番号1の149番目のアミノ酸残基のアルギニンはアラニンで置換され(R149A)、配列番号1の162番目のアミノ酸残基のアルギニンはアラニンで置換されている(R162A)。このIFN−α2b変異体分子は以降「IFN−α2b−M8」と呼ばれる。IFN−α2b−M8のアミノ酸配列は配列番号2として下記に提供される。
【0073】
使用のために企図されるさらなるインターフェロン変異体としては、例えば、PCT国際公開第2013/059885号(Wilson et al.)、及び米国特許第8,258,263号(Morrison et al)に記載のものが挙げられ、その中で提供されるインターフェロン変異体及び配列のために、それらの文献は各々、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。さまざまな実施形態では、インターフェロンは、配列番号1に記載のアミノ酸配列をもち、L15A、A19W、R22A、R23A、S25A、L26A、F27A、L30A、L30V、K31A、D32A、R33K、R33A、R33Q、H34A、D35E、Q40A、H57A、H57S、H57Y、E58A、E58N、E58S、Q61A、Q61S、D114R、L117A、R120A、R125A、R125E、K131A、E132A、K133A、K134A、R144A、R144D、R144E、R144G、R144H、R144I、R144K、R144L、R144N、R144Q、R144S、R144T、R144V、R144Y、A145D、A145E、A145G、A145H、A145I、A145K、A145L、A145M、A145N、A145Q、A145R、A145S、A145T、A145V、A145Y、M148A、R149A、S152A、L153A、N156A、R162A、又はE165Dから選択される1つ以上の単一点変異を含んでなるIFN−α2b変異体分子である。
【0074】
さまざまな実施形態では、インターフェロンは、配列番号3として下記に提供される野生型IFN−α14配列(以降「IFN−α14」と呼ばれる)と、例えば、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、又は少なくとも99%の実際の相同性を共有するアミノ酸配列を含む。
いくつかの実施形態では、インターフェロンは、配列番号3として下記に提供されるIFN−α14の活性の少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも1×、少なくとも1.5×、少なくとも2×、少なくとも2.5×、又は少なくとも3×をもつ。いくつかの実施形態では、インターフェロンは、配列番号3として下記に提供されるIFN−α14の活性の約70%、75%、80%、85%、90%、又は95%のいずれか未満の活性をもつ。
【0075】
さまざまな実施形態では、インターフェロンは、IFN−α5(NP_002160.1)、IFN−α6(NP_066282.1)、IFN−α7(NP_066401.1)、IFN−α8(NP_002161.2)、IFN−α10(NP_002162.1)、IFN−α16(NP_002164.1)、IFN−α17(NP_067091.1)、及びIFN−α21(NP_002166.2)からなる群より選択される野生型IFN−α配列と、例えば、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、又は少なくとも99%の実際の相同性を共有するアミノ酸配列を含む。
【0076】
さまざまな実施形態では、インターフェロンは、配列番号4として下記に提供される野生型IFN−β−1a配列と、例えば、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、又は少なくとも99%の実際の相同性を共有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、変異体インターフェロンは、配列番号4として下記に提供される野生型IFN−β−1aの活性の少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも1×、少なくとも1.5×、少なくとも2×、少なくとも2.5×、又は少なくとも3×をもつ。いくつかの実施形態では、変異体インターフェロンは、配列番号4として下記に提供される野生型IFN−β−1aの活性の約70%、75%、80%、85%、90%、又は95%のいずれか未満の活性をもつ。
【0077】
さまざまな実施形態では、インターフェロンは、配列番号5として下記に提供される野生型IFN−β−1b配列と、例えば、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、又は少なくとも99%の実際の相同性を共有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、変異体インターフェロンは、配列番号5として下記に提供される野生型IFN−β−1bの活性の少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも1×、少なくとも1.5×、少なくとも2×、少なくとも2.5×、又は少なくとも3×をもつ。いくつかの実施形態では、変異体インターフェロンは、配列番号5として下記に提供される野生型IFN−β−1bの活性の約70%、75%、80%、85%、90%、又は95%のいずれか未満の活性をもつ。
【0078】
さまざまな実施形態では、変異させたIFN−βの使用が企図される。IFN−β−1aの17番目のアミノ酸において天然のシステインを置換したセリンを含む変異が入ったIFN−βも、有効性を示すことが明らかにされている(Hawkins et al.,Cancer Res.,45:5914−5920,1985)。あるいくつかのC末端がトランケートされたIFN−β−1aは、増加した活性をもつことが示されている(例えば、米国特許公開第2009/0025106号A1を参照されたい)。したがって、ある実施形態では、本明細書に記載の融合分子に使用されるインターフェロンは、米国特許公開第2009/0025106号A1においてIFN−Δ1、IFN−Δ2、IFN−Δ3、IFN−Δ4、IFN−Δ5、IFN−Δ6、IFN−Δ7、IFN−Δ8、IFN−Δ9、IFN−Δ10として記載されるC末端がトランケートされたIFN−βを含む。その中で提供されるインターフェロン変異体及び配列のために、この参考文献は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0079】
腫瘍関連抗原抗体
本発明の方法は、少なくとも1つのインターフェロン又はインターフェロン変異体分子に結合された少なくとも1つの腫瘍関連抗原抗体又はその抗原結合断片を含む、単離された非天然の遺伝子改変TAA抗体−IFN融合分子を利用する。
【0080】
幅広い種類の腫瘍関連抗原及び腫瘍マーカーが文献に記載され、当業者に周知である。本発明の方法に使用されるTAA抗体−IFN融合分子は、当該技術分野において記載されているいずれかのTAAのバイオ後続品、バイオ後続品、後続生物製剤、又は後続タンパク質型を含む、当該技術分野において記載されている腫瘍関連抗原のいずれかに特異的な抗体又は抗体結合性抗体フラグメントを含みうる。TAAは、当業者が免疫応答を誘発したいと望む、いずれのペプチド、ポリペプチド、タンパク質、核酸、脂質、炭水化物、又は小さい有機分子、又はそれらのいずれの組み合わせであることができる。
【0081】
さまざまな実施形態では、使用に企図されるTAAは、限定されないが、表2に提供されるものを含む。各関連参考文献は、参照腫瘍マーカーを同定するために、参照により本願明細書に組み込まれる。
表2
例示的腫瘍マーカー

【0082】
さまざまな実施形態では、使用に企図されるTAAは、限定されないが、表3に提供されるものを含む。

【0083】
本明細書に記載のTAAに結合する抗体を作製する方法は当業者に公知である。例えば、標的抗原ポリペプチドに特異的に結合するモノクローナル抗体を作製する方法は、検出可能な免疫応答を刺激するのに有効な標的抗原ポリペプチドを含んでなる免疫原性組成物の量をマウスに投与すること、マウスから抗体産生細胞(例えば、脾臓由来の細胞)を得ること及び抗体産生細胞を骨髄腫細胞と融合させて抗体産生ハイブリドーマを得ること、並びに抗体産生ハイブリドーマをテストして標的抗原ポリペプチドに特異的に結合するモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマを同定することを含みうる。いったんハイブリドーマが得られたら、ハイブリドーマは細胞培養、随意に、ハイブリドーマ由来細胞が標的抗原ポリペプチドに特異的に結合するモノクローナル抗体を産生する培養条件で増やすことができる。モノクローナル抗体は細胞培養物から精製されうる。さまざまな相異なる技術が、特に、望ましい抗体を同定する抗原/抗体相互作用をテストするために利用可能である。
【0084】
必須の特異性の抗体を作製又は単離する他の適切な方法が使用することができ、例えば、ライブラリーから組換え抗体を選択する方法又はヒト抗体の全レパートリーを作ることができるトランスジェニック動物(例えば、マウス)の免疫に依る方法が挙げられる。例えば、Jakobovits et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.(U.S.A.),90:2551−2555,1993;Jakobovits et al.,Nature,362:255−258,1993;Lonberg et al.、米国特許第5,545,806号;及びSurani et al.、米国特許第5,545,807号を参照されたい。
【0085】
抗体は多くの方法で改変することができる。抗体は、単鎖抗体(例えば、小モジュラー免疫医薬又はSMIP(商標))、Fab、及びF(ab’)断片などとして作ることができる。抗体は、ヒト化、キメラ化、脱免疫化されることも、または完全ヒト型であることもできる。多数の出版物が多くのタイプの抗体及びそのような抗体を改変する方法を記述している。例えば、米国特許第6,355,245号;第6,180,370号;第5,693,762号;第6,407,213号;第6,548,640号;第5,565,332号;第5,225,539号;第6,103,889号;及び第5,260,203号を参照されたい。
【0086】
キメラ抗体は、当技術分野において公知である組換えDNA技術によって作製することができる。例えば、マウス(又は他の種)モノクローナル抗体分子のFc定常領域をコードする遺伝子は制限酵素で消化分解されてマウスFcをコードする領域が除去され、ヒトFc定常領域をコードする遺伝子の相当部分が置換される(Robinson et al.、国際特許公開PCT/US86/02269;Akira,et al.、欧州特許出願第184,187号;Taniguchi, M.、欧州特許出願第171,496号;Morrison et al.、欧州特許出願第173,494号;Neuberger et al.、国際出願WO86/01533;Cabilly et al. 米国特許第4,816,567号;Cabilly et al.、欧州特許出願第125,023号;Better et al.,Science,240:1041−1043,1988;Liu et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.(U.S.A.),84:3439−3443,1987;Liu et al.,J.Immunol.,139:3521−3526,1987;Sun et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.(U.S.A.),84:214−218,1987;Nishimura et al.,Canc.Res.,47:999−1005,1987;Wood et al.,Nature,314:446−449,1985;and Shaw et al.,J.Natl Cancer Inst.,80:1553−1559,1988)を参照されたい)。
【0087】
抗体をヒト化する方法は当該技術分野において記述されている。いくつかの実施形態では、ヒト化抗体は、非ヒトCDRに加えて、非ヒトである供給源から導入される1つ以上のアミノ酸残基をもつ。ヒト化は、ヒト抗体の対応配列を超過変領域配列に置換することによって、本質的にWinterら方法に従って行うことができる(Jones et al.,Nature,321:522−525,1986;Riechmann et al.,Nature,332:323−327,1988;Verhoeyen et al.,Science,239:1534−1536,1988)。したがって、そのような「ヒト化」抗体はキメラ抗体であり(米国特許第4,816,567号)、実質的に完全ではないヒト可変領域は、ノンヒト種由来の相当する配列によって置換される。実際のところ、ヒト化抗体は典型的には、いくつかの超過変領域残基及び場合によりいくつかのフレームワーク領域残基が齧歯類抗体の類似部位によって置換されているヒト抗体である。
【0088】
Queenらによる米国特許第5,693,761号は、抗体をヒト化するためのWinterらの改良を開示し、アビディティーが失われるのは、立体的又は他の化学的不適合に起因して、マウス抗体に見られる結合可能コンフォメーションへのCDRの折り畳みを妨害するヒト化フレームワークの構造的モチーフの問題のためであるという前提に基づいていている。この問題に対処するために、Queenはヒト化されるマウス抗体のフレームワーク配列に直鎖ペプチド配列において非常に相同性のあるヒトフレームワーク配列を用いることを教示する。したがって、Queenの方法は、種間でフレームワーク配列を比較することに重点をおいている。典型的には、入手可能なすべてのヒト可変領域配列が特定のマウス配列と比較され、対応するフレームワーク残基間の同一性割合が計算される。最も高い割合をもつヒト可変領域が選択されて、ヒト化プロジェクト用のフレームワーク配列を提供する。またQueenは、ヒト化フレームワークにおいて、結合可能コンフォメーションのCDRをもつのに肝要なマウスフレームワークからある特定のアミノ酸残基を保持することが重要であることも教示する。潜在的な重要性は分子モデルから評価される。保持のための候補残基は、典型的には直鎖配列中でCDRに隣接するもの又は物理的にいずれのCDR残基6オングストローム以内に隣接するものである。
【0089】
他のアプローチでは、特定のフレームワークアミノ酸残基の重要性は、いったん、アビディティーの低いヒト化構築物が得られると、1988年にRiechmannらによって記述されたように、単一残基のマウス配列への転換及び抗原結合のアッセイをすることによって実験的に決定される。フレームワーク配列中の重要なアミノ酸を同定する別のアプローチの例は、Carterらによる米国特許第5,821,337号及びAdairらによる米国特許第5,859,205号によって開示されている。これらの参考文献は、ヒト化抗体において、アビディティーを保つために対応するマウスアミノ酸での置換を必要としうる、フレームワーク中の具体的なKabat残基位置を開示する。
【0090】
抗体をヒト化する別のアプローチは、「フレームワークシャッフリング(framework shuffling)」と呼ばれ、個々のヒト生殖細胞系フレームワークのコレクションにインフレームで融合されたノンヒトCDR可変領域を用いてコンビナトリアルライブラリーを作製することに依拠する(Dall’Acqua et al.,Methods,36:43,2005)。次いで、ライブラリーはスクリーニングされて、良好な結合を保持するヒト化抗体をコードするクローンが同定される。
【0091】
ヒト化抗体の作製に使用される軽鎖と重鎖双方のヒト可変領域の選択は、抗原性を減じるために非常に重要である。いわゆる「ベストフィット(best−fit)」法に従って、齧歯類抗体の可変領域の配列が既知のヒト可変領域配列のライブラリー全体に対してスクリーニングされる。次いで、齧歯類の配列に最も近いヒト配列がヒト化抗体のためのヒトフレームワーク領域(フレームワーク領域)として受け入れられる(Sims et al.,J.Immunol.,151:2296,1993;Chothia et al.,J.Mol.Biol.,196:901,1987)。別の方法は、軽鎖又は重鎖可変領域の特定のサブグループのすべてのヒト抗体のコンセンサス配列に由来する特定のフレームワーク領域を使用する。同一のフレームワークがいくつかの異なるヒト化抗体に使用されうる(Carter et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.(U.S.A.),89:4285,1992;Presta et al.,J.Immunol.,151:2623,1993)。
【0092】
ヒト可変領域に置換するノンヒト残基の選択は、さまざまな因子によって影響を受ける可能性がある。これらの因子としては、例えば、特定の位置におけるまれなアミノ酸、CDR又は抗原のいずれかとの相互作用の可能性、及び軽鎖と重鎖可変領域との接続部分間において接続部分が関与する可能性が挙げられる。(例えば、米国特許第5,693,761号、同第6,632,927号、及び同第6,639,055号を参照されたい)。これらの因子を解析する1つの方法は、非ヒト及びヒト化配列の3次元モデルを使用することによる。3次元免疫グロブリンモデルは一般に入手可能であり、当業者によく知られている。選ばれた候補免疫グロブリン配列の推定三次元立体配座構造を図解及び表示するコンピュータープログラムが利用可能である。これらの表示を調べることにより、分析候補免疫グロブリン配列の機能における残基の可能性のある役割の分析、例えば、候補免疫グロブリンのその抗原に対する結合能に影響する残基の分析が可能になる。このようにして、所望の抗体の特徴、例えば、標的抗原に対するアフィニティーの増加などを達成するために、ノンヒト残基は選択され、ヒト可変領域残基と置換することができる。
【0093】
完全ヒト抗体を作る方法は当該技術分野において記述されている。例として、TAA抗体又はその抗原結合断片を作製する方法は、ヒト抗体のライブラリーをファージ上に合成するステップ、ライブラリーをTAA又はその抗体結合部分でスクリーニングするステップ、TAAと結合するファージを単離するステップ、及びファージから抗体を得るステップを含む。別の例として、ファージディスプレイ技術で用いる抗体のライブラリーを調製するための1つの方法は、ヒト免疫グロブリン座位を含む非ヒト動物をTAA又はその抗原性部分で免疫して免疫応答を作り出すステップ、免疫した動物から抗体産生細胞を抽出するステップ、抽出した細胞から本開示の抗体の重鎖及び軽鎖をコードするRNAを単離するステップ、RNAを逆転写してcDNAを作製するステップ、プライマーを用いてcDNAを増幅するステップ、及び抗体がファージ上に発現するようにcDNAをファージディスプレイベクターに挿入するステップを含む。本開示の組換え抗TAA抗体はこのようにして得られうる。
【0094】
先と同様に、例として、本開示の組換えヒト抗TAA抗体は、コンビナトリアル抗体ライブラリーをスクリーニングすることによって単離することもできる。好ましくは、ライブラリーは、B細胞から単離されたmRNAから調製されたヒトV及びV cDNAを用いて作られたscFvファージディスプレイライブラリーである。そのようなライブラリーを調製し、スクリーニングする方法は、当技術分野において公知である。ファージディスプレイライブラリーを作るためのキットは市販されている(例えば、ファルマシアRecombinant Phage Antibody System、カタログ番号27−9400−01;及びストラタジーンSurfZAP(商標)ファージディスプレイキット、カタログ番号240612)。さらに、抗体ディスプレイライブラリーの作製及びスクリーニングに使用できる他の方法及び試薬も存在する(例えば、米国特許第5,223,409号;PCT国際公開第92/18619号、国際公開第91/17271号、国際公開第92/20791号、国際公開第92/15679号、国際公開第93/01288号、国際公開第92/01047号、国際公開第92/09690号;Fuchs et al.,Bio/Technology,9:1370−1372(1991);Hay et al.,Hum.Antibod.Hybridomas,3:81−85,1992;Huse et al.,Science,246:1275−1281,1989;McCafferty et al.,Nature,348:552−554,1990;Griffiths et al.,EMBO J.,12:725−734,1993;Hawkins et al.,J.Mol.Biol.,226:889−896,1992;Clackson et al.,Nature,352:624−628,1991;Gram et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.(U.S.A.),89:3576−3580,1992;Garrad et al.,Bio/Technology,9:1373−1377,1991;Hoogenboom et al.,Nuc.Acid Res.,19:4133−4137,1991;and Barbas et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.(U.S.A.),88:7978−7982,1991)を参照されたい)。すべての文献は参照により本願明細書に組み込まれる。
【0095】
また、ヒト抗体は、いくつか又はすべてのヒト免疫グロブリン重鎖及び軽鎖座位をそのゲノム内に含む非ヒト、トランスジェニック動物、例えば、XenoMouse(商標)動物(Abgenix,Inc./Amgen,Inc.、フリーモント、カリフォルニア州)をヒトIgE抗原で免疫することによっても作製される。XenoMouse(商標)マウスは、ヒト免疫グロブリン重鎖及び軽鎖座位の大きい断片を含み、マウス抗体産生を欠く、改変されたマウス系統である。例えば、Green et al.,Nature Genetics,7:13−21,1994並びに米国特許第5,916,771号、同第5,939,598号、同第5,985,615号、同第5,998,209号、同第6,075,181号、同第6,091,001号、同第6,114,598号、同第6,130,364号、同第6,162,963号、及び同第6,150,584号を参照されたい。XenoMouse(商標)マウスは、完全ヒト抗体の成人様ヒトレパートリーを生じ、抗原特異的なヒト抗体を作る。いくつかの実施形態では、XenoMouse(商標)マウスは、細菌人工染色体(YAC)のヒト重鎖座位及びカッパ軽鎖座位のメガベースのサイズの生殖系配置断片を導入することを通して、約80%のヒト抗体V遺伝子レパートリーを含む。その他の実施形態では、XenoMouse(商標)マウスは、ほぼすべてのヒトラムダ軽鎖座位をさらに含む。Mendez et al.,Nature Genetics,15:146−156,1997;Green and Jakobovits,J.Exp.Med.,188:483−495,1998;及び国際公開第98/24893号を参照されたい。
【0096】
さまざまな実施形態では、本開示の融合分子は、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、組換え抗体、二特異性抗体、キメラ化抗体若しくはキメラ抗体又はその抗原結合断片、ヒト化抗体又はその抗原結合断片、完全ヒト抗体又はその抗原結合断片、CDR移植抗体又はその抗原結合断片、一本鎖抗体、Fv、Fd、Fab、Fab’、又はF(ab’)、及び合成又は半合成抗体からなる群より選択される抗体又はその抗原結合断片を利用する。
【0097】
さまざまな実施形態では、本開示の融合分子は、例えば、少なくとも約1×10−3M、少なくとも約1×10−4M、少なくとも約1×10−5M、少なくとも約1×10−6M、少なくとも約1×10−7M、少なくとも約1×10−8M、少なくとも約1×10−9M、少なくとも約1×10−10M、少なくとも約1×10−11M、又は少なくとも約1×10−12Mの解離定数(K)でTAAと結合する抗体又は抗原結合断片を利用する。さまざまな実施形態では、本開示の融合分子は、例えば、少なくとも約1×10−3M〜少なくとも約1×10−4M、少なくとも約1×10−4M〜少なくとも約1×10−5M、少なくとも約1×10−5M〜少なくとも約1×10−6M、少なくとも約1×10−6M〜少なくとも約1×10−7M、少なくとも約1×10−7M〜少なくとも約1×10−8M、少なくとも約1×10−8M〜少なくとも約1×10−9M、少なくとも約1×10−9M〜少なくとも約1×10−10M、少なくとも約1×10−10M〜少なくとも約1×10−11M、又は少なくとも約1×10−11M〜少なくとも約1×10−12Mの範囲にある解離定数(K)でTAAにと結合する抗体又は抗原結合断片を利用する。
【0098】
さまざまな実施形態では、本開示の融合分子は、本明細書において提供されている参考文献及び配列表に記載の重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を含んでなる参照抗体とTAA上の同じエヒトープへの結合を相互に競合する抗体又は抗原結合断片を利用する。
【0099】
抗HER2抗体 ergB2遺伝子は、より一般的には(HER2/neu)として知られており、膜貫通型受容体をコードするがん遺伝子である。トラスツズマブ(例えば、HERCEPTIN(登録商標));Fornier et al.,Oncology(Huntingt)13:647−58(1999))、TAB−250(Rosenblum et al.,Clin.Cancer Res.5:865−74(1999))、BACH−250(同上)、TA1(Maier et al.,Cancer Res.51:5361−9(1991))、並びに米国特許第5,772,997号;同第5,770,195号(mAb 4D5;ATCC CRL 10463);及び米国特許第5,677,171号に記載のmAbを含むいくつかの抗体がHER2/neuに対して開発されてきた。該文献は各々、そのような抗体及び抗原結合断片を提供するために、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。さまざまな実施形態では、抗体は、配列番号6に記載のアミノ酸配列をもつ重鎖を含んでなる抗HER2/neu抗体である。
【0100】
さまざまな実施形態では、抗HER2/neu抗体の重鎖は、配列番号6の配列と、例えば、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は少なくとも約99%の実際の相同性を共有するアミノ酸配列をもつ。さまざまな実施形態では、抗HER2/neu抗体の重鎖は、配列番号6のCDR1、CDR2、及びCDR3配列を含む。
【0101】
さまざまな実施形態では、抗体は、配列番号7に記載のアミノ酸配列をもつ軽鎖を含む抗HER2/neu抗体である。
【0102】
さまざまな実施形態では、抗HER2/neu抗体の軽鎖は、配列番号7の配列と、例えば、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は少なくとも約99%の実際の相同性を共有するアミノ酸配列をもつ。さまざまな実施形態では、抗HER2/neu抗体の軽鎖は、配列番号7のCDR1、CDR2、及びCDR3配列を含む。
【0103】
さまざまな実施形態では、抗HER2/neu抗体は、配列番号6のアミノ酸配列をもつ重鎖及び配列番号7のアミノ酸配列をもつ軽鎖をもつ抗体と同じエヒトープと特異的に結合する。さまざまな実施形態では、抗HER2/neu抗体は、配列番号6のアミノ酸配列をもつ重鎖及び配列番号7のアミノ酸配列をもつ軽鎖をもつ抗体と、HER2/neu抗原への結合を競合する。
【0104】
抗CD20抗体 FDA承認抗CD20抗体、リツキシマブ(IDEC C2B8;RITUXAN;ATCC番号HB 11388)はヒトを治療するのに使用されてきている。イブリツモマブは、リツキシマブに対応するマウスの抗体である(Wiseman et al.,Clin.Cancer Res.5:3281s−6s(1999))。他の報告されている抗CD20抗体としては、抗ヒトCD20mAb 1F5(Shan et al.,J.Immunol 162:6589−95(1999))、一本鎖Fv抗CD20マウスmAb 1H4(Haisma et al.,Blood 92:184−90(1998))、及び抗B1抗体(Liu et al.,J.Clin.Oncol.16:328−70(1998))が挙げられる。該文献は各々、そのような抗体及び抗原結合断片を提供するために、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。さまざまな実施形態では、抗体は、配列番号8に記載のアミノ酸配列をもつ重鎖を含むキメラ抗CD20抗体である。
【0105】
さまざまな実施形態では、抗CD20抗体の重鎖は、配列番号8の配列と、例えば、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は少なくとも約99%の実際の相同性を共有するアミノ酸配列をもつ。さまざまな実施形態では、抗CD20抗体の重鎖は、配列番号8のCDR1、CDR2、及びCDR3配列を含む。
【0106】
さまざまな実施形態では、抗体は、配列番号9に記載のアミノ酸配列をもつ軽鎖を含む抗CD20抗体である。
【0107】
さまざまな実施形態では、抗CD20抗体の軽鎖は、配列番号9の配列と、例えば、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は少なくとも約99%の実際の相同性を共有するアミノ酸配列をもつ。さまざまな実施形態では、抗CD20抗体の軽鎖は、配列番号9のCDR1、CDR2、及びCDR3配列を含む。
【0108】
さまざまな実施形態では、抗CD20抗体は、配列番号8のアミノ酸配列をもつ重鎖及び配列番号9のアミノ酸配列をもつ軽鎖をもつ抗体と同じエヒトープと特異的に結合する。さまざまな実施形態では、抗CD20抗体は、配列番号8のアミノ酸配列をもつ重鎖及び配列番号9のアミノ酸配列をもつ軽鎖をもつ抗体と、CD20抗原への結合を競合する。
【0109】
抗CD138抗体 マウス抗CD138抗体及びキメラ抗CD138抗体は、例えば、米国特許出願公開第20070183971号(Goldmakher)及び同第20090232810号(Kraus et al)に記載されている。該文献は各々、そのような抗体及び抗原結合断片を提供するため、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。さまざまな実施形態では、抗体は、配列番号10に記載のアミノ酸配列をもつ重鎖を含む抗CD138抗体である。
【0110】
さまざまな実施形態では、抗CD138抗体の重鎖は、配列番号10の配列と、例えば、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は少なくとも約99%の実際の相同性を共有するアミノ酸配列をもつ。さまざまな実施形態では、抗CD138抗体の重鎖は、配列番号10のCDR1、CDR2、及びCDR3配列を含む。
【0111】
さまざまな実施形態では、抗体は、配列番号11に記載のアミノ酸配列をもつ軽鎖を含む抗CD138抗体である。
【0112】
さまざまな実施形態では、抗CD138抗体の軽鎖は、配列番号11の配列と、例えば、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は少なくとも約99%の実際の相同性を共有するアミノ酸配列をもつ。さまざまな実施形態では、抗CD138抗体の軽鎖は、配列番号11のCDR1、CDR2、及びCDR3配列を含む。
【0113】
さまざまな実施形態では、抗CD138抗体は、配列番号10のアミノ酸配列をもつ重鎖及び配列番号11のアミノ酸配列をもつ軽鎖をもつ抗体と同じエヒトープと特異的に結合する。さまざまな実施形態では、抗CD138抗体は、配列番号10のアミノ酸配列をもつ重鎖及び配列番号11のアミノ酸配列をもつ軽鎖をもつ抗体と、CD138抗原への結合を競合する。
【0114】
抗GRP94(エンドプラスミン)抗体 エンドプラスミン(GRP94)に特異的に結合する完全ヒト抗体を含む単離モノクローナル抗体及びエンドプラスミンを発現する腫瘍の検出における使用、該抗体を用いる治療方法、及び該抗体を含む免疫複合体が、米国特許第8,497,354号(Ferrone et al.)及び米国出願第20040001789号(Young et al)に記載されている。該文献は各々、そのような抗体及び抗原結合断片を提供するために、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。さまざまな実施形態では、抗体は、配列番号12に記載のアミノ酸配列をもつ重鎖を含むGRP94抗体である。
【0115】
さまざまな実施形態では、GRP94抗体の重鎖は、配列番号12の配列と、例えば、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は少なくとも約99%の実際の相同性を共有するアミノ酸配列をもつ。さまざまな実施形態では、抗GRP94抗体の重鎖は、配列番号12のCDR1、CDR2、及びCDR3配列を含む。
【0116】
さまざまな実施形態では、抗体は、配列番号13に記載のアミノ酸配列をもつ軽鎖を含むGRP94抗体である。
【0117】
さまざまな実施形態では、GRP94抗体の軽鎖は、配列番号13の配列と、例えば、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は少なくとも約99%の実際の相同性を共有するアミノ酸配列をもつ。さまざまな実施形態では、抗GRP94抗体の軽鎖は、配列番号13のCDR1、CDR2、及びCDR3配列を含む。
【0118】
さまざまな実施形態では、抗GRP94抗体は、配列番号12のアミノ酸配列をもつ重鎖及び配列番号13のアミノ酸配列をもつ軽鎖をもつ抗体と同じエヒトープと特異的に結合する。さまざまな実施形態では、抗GRP94抗体は、配列番号12のアミノ酸配列をもつ重鎖及び配列番号13のアミノ酸配列をもつ軽鎖をもつ抗体と、GRP94抗原への結合を競合する。
【0119】
抗CD33抗体 CD33は、初期骨髄系前駆細胞及び骨髄性白血病(例えば、急性骨髄性白血病、AML)細胞に発現するが、幹細胞には発現しない糖タンパク質である。IgGモノクローナル抗体をマウス(M195)で作製し、抗体依存性細胞傷害性をもつと報告されていたヒト化型(HuM195)でも作製した(Kossman et al.,Clin.Cancer Res.5:2748−55(1999))。抗腫瘍抗生物質カリチアマイシンに連結した、ヒト化抗CD33抗体からなる抗CD33免疫複合体(CMA−676)が何名かのAML患者において悪性造血の選択的除去を示したことが報告されている(Sievers et al.,Blood 93:3678−84(1999))。該文献は各々、そのような抗体及び抗原結合断片を提供するために、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。さまざまな実施形態では、抗体は、配列番号14に記載のアミノ酸配列をもつ重鎖を含む抗CD33抗体である。
【0120】
さまざまな実施形態では、抗CD33抗体の重鎖は、配列番号14の配列と、例えば、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は少なくとも約99%の実際の相同性を共有するアミノ酸配列をもつ。さまざまな実施形態では、抗CD33抗体の重鎖は、配列番号14のCDR1、CDR2、及びCDR3配列を含む。
【0121】
さまざまな実施形態では、抗体は、配列番号15に記載のアミノ酸配列をもつ軽鎖を含む抗CD33抗体である。
【0122】
さまざまな実施形態では、抗CD33抗体の軽鎖は、配列番号15の配列と、例えば、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は少なくとも約99%の実際の相同性を共有するアミノ酸配列をもつ。さまざまな実施形態では、抗CD33抗体の軽鎖は、配列番号15のCDR1、CDR2、及びCDR3配列を含む。
【0123】
さまざまな実施形態では、抗CD33抗体は、配列番号14のアミノ酸配列をもつ重鎖及び配列番号15のアミノ酸配列をもつ軽鎖をもつ抗体と同じエヒトープと特異的に結合する。さまざまな実施形態では、抗CD33抗体は、配列番号14のアミノ酸配列をもつ重鎖及び配列番号15のアミノ酸配列をもつ軽鎖をもつ抗体と、CD33抗原への結合を競合する。
【0124】
抗CD70(CD27L)抗体 CD70に結合する抗体は、例えば、米国特許第7,491,390号(Law et al)及び米国特許第8,124,738号(Terret et al)に記載されている。該文献は各々、そのような抗体及び抗原結合断片を提供するために、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。さまざまな実施形態では、抗体は、配列番号16に記載のアミノ酸配列をもつ重鎖可変領域を含む抗CD70抗体である。
【0125】
さまざまな実施形態では、抗CD70抗体の重鎖可変領域は、配列番号16の配列と、例えば、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は少なくとも約99%の実際の相同性を共有するアミノ酸配列をもつ。さまざまな実施形態では、抗CD70抗体の重鎖は、配列番号16のCDR1、CDR2、及びCDR3配列を含む。
【0126】
さまざまな実施形態では、抗体は、配列番号17に記載のアミノ酸配列をもつ軽鎖可変領域を含む抗CD70抗体である。
【0127】
さまざまな実施形態では、抗CD70抗体の軽鎖可変領域は、配列番号17の配列と、例えば、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は少なくとも約99%の実際の相同性を共有するアミノ酸配列をもつ。さまざまな実施形態では、抗CD70抗体の軽鎖は、配列番号17のCDR1、CDR2、及びCDR3配列を含む。
【0128】
さまざまな実施形態では、抗CD70抗体は、配列番号16のアミノ酸配列をもつ重鎖可変領域及び配列番号17のアミノ酸配列をもつ軽鎖可変領域をもつ抗体と同じエヒトープと特異的に結合する。さまざまな実施形態では、抗CD70抗体は、配列番号16のアミノ酸配列をもつ重鎖及び配列番号17のアミノ酸配列をもつ軽鎖をもつ抗体と、CD70抗原への結合を競合する。
【0129】
融合分子
一般的に言えば、TAA抗体−IFN融合分子のTAA抗体分子及びインターフェロン分子は、いずれの順番でもつなげて一体にすることができる。よって、例えば、インターフェロン分子は、抗体のアミノ末端又はカルボキシ末端のいずれにも結合することができる。代替的に、抗体は、インターフェロン分子のアミノ末端又はカルボキシ末端のいずれにも結合することができる。さまざまな実施形態では、抗体及びインターフェロン分子は、それらの間に入るペプチドリンカー配列なく互いに直接連結され、組換えDNA方法を用いて合成される。「連結された」によって、第2の配列が第1の配列によって標的細胞に輸送できるように第1及び第2の配列が結び付けられること、すなわち、これらのタンパク質をコードするDNA分子の遺伝子発現を通して抗体がそのポリペプチド主鎖を介してIFN−α分子に連結される融合分子、直接合成されるタンパク質、及び予め形成された配列が架橋剤によって結び付けられる結合タンパク質を我々は意味する。
【0130】
さまざまな実施形態では、抗体部分はインターフェロン分子に化学的に結合される。分子を化学的に結合する手段は当業者に周知である。2つの分子を結合する手順は、薬剤の化学構造によって異なる。典型的にポリペプチドは、他のペプチド又はリンカー上の適切な官能基との反応に利用可能なさまざまな官能基、例えば、カルボン酸(COOH)基又は遊離アミン(−NH)基を含んで分子を連結する。代替的に、抗体及び/又はインターフェロンは、誘導体化されてさらなる反応性官能基に曝露又は付着することができる。誘導体化は、ピアス・ケミカル・カンパニー、ロックフォード、イリノイ州から入手可能なものなどの多くのリンカー分子のいずれかの連結を含むことができる。抗体上の基と反応する1つの官能基及びインターフェロン上で反応する別の基をもつ二官能性リンカーを所望の複合体を形成するために使用することができる。代替的に、誘導体化は抗体部分の化学的処理を伴うことができる。例えば、抗体または抗体断片などのポリペプチド上の遊離スルフヒトリル基を作る手順は公知である(米国特許第4,659,839号を参照されたい)。
【0131】
放射性核種金属キレート、毒素、及び薬物を含むさまざまな化合物を抗体などのタンパク質に連結するための多くの手順及びリンカー分子が公知である。例えば、欧州特許出願第188,256号;米国特許第4,671,958号、同第4,659,839号、同第4,414,148号、同第4,699,784号;同第4,680,338号;同第4,569,789号;及び同第4,589,071号;並びにBorlinghauset al.(1987)Cancer Res.47:4071−4075参照されたい。特に、さまざまな免疫毒素の作製は当該技術分野内で周知であり、例えば、「Monoclonal Antibody−Toxin Conjugates:Aiming the Magic Bullet」Thorpe et al.,Monoclonal Antibodies in Clinical Medicine,Academic Press,168〜190頁(1982);Waldmann(1991)Science,252:1657;米国特許第4,545,985号、及び同第4,894,443号などに見出すことができる。
【0132】
本明細書において、「リンカー」という用語は、ペプチド結合で連結される1つ以上のアミノ酸残基を含んでなるポリペプチドを示すのに使用され、本開示のTAA抗体とインターフェロン分子を連結するのに使用される。一般にリンカーは、タンパク質に連結する、又は最小限のある程度の距離若しくは他の空間的関係を保つ以外の特定の生物学的活性をもたない。しかし、さまざまな実施形態では、リンカーの構成アミノ酸は、折り畳み、正味の荷電、又は疎水性などの分子のいくつかの特性に影響を及ぼすように選択することができる。さまざまな実施形態では、リンカーは抗体ともインターフェロとも共有結合を形成できる。適切なリンカーは当業者に周知であり、例としては、直鎖または分岐鎖炭素リンカー、複素環炭素リンカー、又はペプチドリンカーが挙げられるが、これらに限定されないが。ある実施形態では、リンカーは、抗体及び/又はインターフェロンの構成アミノ酸をそれらの側基を通して(例えば、システインへのジスルフィド結合を通して)結合することができる。特定の好ましい実施形態では、リンカーは、抗体及び/又はインターフェロンの末端アミノ酸のアルファ炭素アミノ及び/又はカルボキシル基に結合する。そのようなリンカーポリペプチドは当該技術分野において周知である(例えば、Holliger,P.,et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.(U.S.A.),90:6444,1993;Poljak,R.J.,et al.,Structure,2:1121,1994を参照されたい)。使用のために企図されるリンカー長は、アミノ酸が約5個から200個までさまざまであることができる。
【0133】
さまざまな実施形態では、リンカーはα−ヘリックスリンカーである。さまざまな実施形態では、リンカーはG/S含有量が豊富である(例えば、リンカー中のアミノ酸の少なくとも約60%、70%、80%、90%、又はそれより多くがG又はSである)。さまざまな実施形態では、リンカーはG/C含有量が豊富であり、長さがおよそ2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、15個、20個、25個、又は30個のアミノ酸のいずれかより短い。さまざまな実施形態では、リンカーはα−ヘリックスリンカーであり、長さがおよそ7個、8個、9個、10個、15個、20個、25個、又は30個のアミノ酸のいずれかより短い。さまざまな実施形態では、リンカーは、長さが1〜20個のアミノ酸のタンパク質分解耐性リンカーでありうる(例えば、米国特許第8,258,263号(Morrison et al.)を参照されたく、該特許は、その中に提供されるタンパク質分解耐性リンカー及び配列のため、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)。さまざまな実施形態では、リンカーは下記表4に記載のタンパク質分解耐性リンカーである。

【0134】
さまざまな実施形態では、リンカーはSGGGGS(配列番号18)を含んでなる。さまざまな実施形態では、リンカーはAEAAAKEAAAKAGS(配列番号19)を含んでなる。
【0135】
さまざまな実施形態では、融合分子は遺伝子組換えで発現された融合分子であり、本明細書に記載され、図1に示されているようにペプチドリンカーを介して抗体に結合されるインターフェロン分子を含むことになる。さまざまな実施形態では、本発明のTAA抗体−IFN融合分子の調製は一般に、次のように説明することができる。TAA抗体の重鎖はカルボキシ末端にて、ペプチドリンカーを用いてインターフェロン又はその変異体とともに遺伝子組換え的に改変される。融合タンパク質含有ベクターが正しいヌクレオチド配列をもつことを確認した後、そのベクターは、軽鎖を含有するベクターと一緒に、例えば、CHO細胞にトランスフェクションされる。トランスフェクタントは、ELISAによって完全融合分子の産生についてスクリーニングされる。最も高いシグナルを与えるクローンを増殖させ、サブクローニングした後にローラーボトルで培養される。条件培地が集められて濃縮され、単一プロテインAアフィニティークロマトグラフィーステップまたは適切な代替クロマトグラフィー法を用いて目的のタンパク質が精製される。最終生成物は所望のバッファーに所望の濃度で配合される(タンパク質濃度はUV吸収によって決定される)。最終生成物の純度は、還元条件下及び非還元条件下の両方でのSDS−PAGEによって決定される。ウェスタンブロット分析を使用して分子の予想されたサイズを確認する。
【0136】
さまざまな実施形態では、本開示の融合分子は、表5に記載の抗体、ペプチドリンカー、とインターフェロン分子との組み合わせを含むことになる。

【0137】
医薬組成物
別の態様では、本開示は、本明細書に記載の融合分子及び第2の抗がん剤を1つ以上の薬理学的に許容可能な賦形剤とともに含んでなる医薬組成物を提供する。本明細書に記載の医薬組成物及び使用方法は、下記に詳述されるように、他の活性薬剤との併用(共投与)の実施形態も包含する。本明細書において提供される融合分子は、医薬製剤の当業者ならば容易にわかるさまざまな方法によって製剤することができる。そのような方法は、例えば、レミントンの薬学、第19版(Mack Publishing Company,1995)に見出される。医薬組成物は一般に、無菌で実質的に等張な、米国食品医薬品局のGMP規則すべてに完全に準拠して製剤される。
【0138】
一般に、本発明の融合分子は、1つ以上の薬理学的に許容可能な賦形剤又は担体と併せて製剤として投与されるのに適している。そのような薬理学的に許容可能な賦形剤及び担体は周知であり、当業者に理解されており、且つ広範に記述されている(例えば、レミントンの薬学、第18版、A.R.Gennaro,ed.,Mack Publishing Company,1990を参照されたい)。薬理学的に許容可能な担体は、例えば、組成物のpH、浸透圧、粘性、透明度、色、等張性、臭気、無菌性、安定性、溶解又は放出の速度、吸着又は浸透を改変、維持、又は保持するために含まれうる。そのような医薬組成物は、ポリペプチドの物理状態、安定性、生体内放出の速度、及び生体内クリアランスの速度に影響しうる。適切な薬理学的に許容可能な担体としては、アミノ酸(グリシン、グルタミン、アスパラギン、アルギニン、若しくはリジンなど);抗微生物剤;抗酸化物質(アスコルビン酸、亜硫酸ナトリウム、若しくは亜硫酸水素ナトリウムなど);バッファー(ホウ酸バッファー、重炭酸バッファー、トリス−HClバッファー、クエン酸バッファー、リン酸バッファー、他の有機酸バッファーなど);増量剤(マンニトール若しくはグリシンなど)、キレート剤(エチレンジアミン四酢酸(EDTA)など);錯化剤(カフェイン、ポリビニルピロリドン、ベータ−サイクロデキストリン、若しくはヒトロキシプロピル−ベータ−サイクロデキストリンなど);充填剤;単糖類;二糖類及び他の炭水化物(グルコース、マンノース、若しくはデキストリン);タンパク質(血清アルブミン、ゼラチン、若しくは免疫グロブリン);着色剤;矯味矯臭剤及び希釈剤;乳化剤;親水性ポリマー(ポリビニルピロリドンなど);低分子量ポリペプチド;塩形成対イオン(ナトリウムなど);保存剤(塩化ベンザルコニウム、安息香酸、サリチル酸、チメロサール、フェネチルアルコール、メチルパラベン、プロピルパラベン、クロルヘキシジン、ソルビン酸、若しくは過酸化水素など);溶媒(グリセリン、プロピレングリコール、若しくはポリエチレングリコールなど);糖アルコール(マンニトール若しくはソルビトールなど);懸濁剤;界面活性剤又は湿潤剤(プルロニック、PEG、ソルビタンエステル、ポリソルベート20、ポリソルベート80などのポリソルベート、トリトン、トロメタミン、レシチン、コレステロール、チロキサポール);安定強化剤(スクロース若しくはソルビトール);張度増強剤(ハロゲン化アルカリ金属(好ましくは、塩化ナトリウム若しくは塩化カリウム、マンニトール、ソルビトール);送達溶媒;希釈剤;賦形剤、並びに/又は医薬補助剤が挙げられるが、これらに限定されない。
【0139】
医薬組成物における主要な溶媒又は担体は、その性質が水性であっても、非水性であってもよい。例えば、適切な溶媒又は担体は、非経口投与用組成物によくみられる他の材料を用いて補充されることがある注射用水、生理食塩水溶液、又は人工脳脊髄液である。中性緩衝生理食塩水又は血清アルブミンと混合した生理食塩水はさらなる例示的な溶媒である。他の例示的な医薬組成物としては、約pH7.0〜8.5のトリスバッファー又は約pH4.0〜5.5の酢酸緩衝液が挙げられ、それらはソルビトール又はその適切な代替物をさらに含みうる。本開示の1つの実施形態では、組成物は、所望の純度をもつ選ばれた組成物を随意の製剤化剤(レミントンの薬学、上記)と混合することによって、凍結乾燥ケーキ又は水溶液の形態に保存用に調製されうる。さらに、治療用組成物は、スクロースなどの適切な賦形剤を用いて凍結乾燥物として製剤されうる。最適な医薬組成物は、例えば、投与の経路、送達フォーマット、及び所望の投与量に応じて当業者によって決定されることになる。
【0140】
典型的には、本発明の医薬組成物は非経口投与に適する。本明細書で使用される場合、医薬組成物の「非経口投与」は、患者の組織を物理的に破ること及びその組織の破れたところを通した医薬組成物の投与を特徴とするいずれの投与の経路も含み、よって一般的に、血流、筋肉、又は内臓への直接投与となる。よって、非経口投与には、限定されないが、組成物を注射すること、外科的切開を通して組成物を適用すること、組織貫通非外科的創傷を通して組成物を適用することなどによる医薬組成物の投与が含まれる。さまざまな実施形態では、医薬組成物は、例えば、皮下注射、腹腔内注射、筋肉内注射、胸骨内注射、静脈内注射、動脈内注射、髄腔内注射、心室内注射、尿道内注射、頭蓋内注射、滑液嚢内注射から選択される経路を介するか又は注入を介する非経口投与用に製剤される。
【0141】
非経口投与が企図される場合、治療用医薬組成物は、薬理学的に許容可能な溶媒中の所望の融合分子を含む、発熱物質を含有しない非経口的に許容可能な水溶液の形態で存在しうる。非経口注射に特に適した溶媒は、適切に保存される無菌、等張溶液としてポリペプチドが製剤される滅菌蒸留水である。さまざまな実施形態では、注射投与に適した医薬製剤は、水溶液、好ましくは、ハンクス溶液、リンゲル液、又は緩衝生理食塩水などの生理的に適合可能なバッファー中に配合されうる。水性注射懸濁液は、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ソルビトール、又はデキストランなどの懸濁液の粘性を増加させる物質を含みうる。くわえて、活性化合物の懸濁液は適切な油性注射懸濁液として調製されうる。随意に、懸濁液は、適切な安定剤又は化合物の溶解度を増加させ、高濃縮溶液の調製を可能にする物質も含んでもよい。注射製剤は、アンプルなどの単位剤形又は保存剤を含む複数回投与容器で、調製、パッケージ、又は販売されうる。他の有用な非経口投与可能な製剤としては、活性成分を微結晶形態又はリポソーム調製物中に含むものが挙げられる。非経口投与用製剤は、即時放出及び/又は調節された放出であるように製剤されうる。放出調節製剤としては、遅延放出、持続放出、パルス放出、制御放出、ターゲット放出、及びプログラム放出が挙げられる。
【0142】
当該技術分野において許容されるペプチド、タンパク質、抗体、及び免疫複合体を製剤及び投与するいずれの方法も、本発明の融合分子を投与するために適切に採用されうる。
【0143】
投薬
投薬レジメンは、最適な所望の反応(例えば、治療反応)をもたらすように調節される。例えば、単回ボーラス投与が施行されてもよく、いくつかに分けられた投与量が時間をかけて投与されてもよく、又は投与量は治療状況の緊急事態に適応するように比例的に減らしたり、増やしたりしてもよい。非経口組成物を単位剤形に投与のしやすさし、且つ投与量を均一にするために製剤することは、特に有利である。本明細書において、「単位剤形」という用語は、治療対象に単位投与量として適した物理的に個別のユニットを指す。各ユニットは、所望の治療効果を生むように計算された所定量の活性化合物を必要な医薬担体とともに含む。
【0144】
本開示の方法に採用される融合分子の正確な投与量は、投与の経路並びに疾患及び障害の重篤度に依存することになり、施術者の判断及び各対象の状況に応じて決められるべきである。なお、投与量値が、単回又は投与複数回投与を含みうること、特定の対象いずれに対しても、特有の投薬レジメンが、個々の必要性及び組成物の投与を施行又は管理する者の専門家としての判断に応じて時間とともに調節されるべきであること、本明細書に記載の投与量範囲は例示に過ぎず、特許請求される組成物の範囲又は実施を限定することを意図しないことに留意すべきである。さらに、本開示の組成物を用いる投薬レジメンは、疾患の種類、対象の年齢、体重、性別、病状、病気の重症度、投与の経路、及び用いる特定の抗体を含むさまざまな因子に基づきうる。よって、投薬レジメンは大きく変わる可能性があるが、標準的な方法を用いて慣習的に決定することができる。例えば、投与量は、毒性作用などの臨床効果及び/又は臨床検査値を含みうる、薬物動態に関するパラメーター又は薬力学に関するパラメーターに基づいて調節されうる。よって、本開示は、当業者によって決定されるような対象内投与量漸増を包含する。適切な投与量及びレジメンを決定することは、関連する技術分野において周知であり、本明細書において開示される教示をいったん提供された当業者ならば包含されることを理解するであろう。
【0145】
ヒト対象への投与については、本発明の融合分子の総月間投与量は、当然投与方法に依存して、患者あたり0.002〜500mg、患者あたり0.002〜400mg、患者あたり0.002〜300mg、患者あたり0.002〜200mg、患者あたり0.002〜100mg、患者あたり0.002〜50mg、患者あたり0.006〜500mg、患者あたり0.006〜400mg、患者あたり0.006〜300mg、患者あたり0.006〜200mg、患者あたり0.006〜100mg、患者あたり0.006〜50mg、患者あたり0.02〜500mg、患者あたり0.02〜400mg、患者あたり0.02〜300mg、患者あたり0.02〜200mg、患者あたり0.02〜100mg、患者あたり0.02〜50mg、患者あたり0.06〜500mg、患者あたり0.06〜400mg、患者あたり0.06〜300mg、患者あたり0.06〜200mg、患者あたり0.06〜100mg、患者あたり0.06〜50mg、患者あたり0.2〜500mg、患者あたり0.2〜400mg、患者あたり0.2〜300mg、患者あたり0.2〜200mg、患者あたり0.2〜100mg、患者あたり0.2〜50mg、患者あたり0.6〜500mg、患者あたり0.6〜400mg、患者あたり0.6〜300mg、患者あたり0.6〜200mg、患者あたり0.6〜100mg、又は患者あたり0.6〜50mg、患者あたり2〜500mg、患者あたり2〜400mg、患者あたり2〜300mg、患者あたり2〜200mg、患者あたり2〜100mg、患者あたり2〜50mg、患者あたり6〜500mg、患者あたり6〜400mg、患者あたり6〜300mg、患者あたり6〜200mg、患者あたり6〜100mg、又は患者あたり6〜50mgの範囲であることができる。総月間投与量は、単回又は分割投与で投与することができ、医師の裁量で、本明細書に与えられる典型的な範囲から外れることができる。
【0146】
本発明の融合分子の治療有効量に関する例となる非限定的な週間投与量範囲は、約0.0001〜約0.9mg/kg、約0.0001〜約0.8mg/kg、約0.0001〜約0.7mg/kg、約0.0001〜約0.6mg/kg、約0.0001〜約0.5mg/kg、約0.0001〜約0.4mg/kg、約0.0001〜約0.3mg/kg、約0.0001〜約0.2mg/kg、約0.0001〜約0.1mg/kg、約0.0003〜約0.9mg/kg、約0.0003〜約0.8mg/kg、約0.0003〜約0.7mg/kg、約0.0003〜約0.6mg/kg、約0.0003〜約0.5mg/kg、約0.0003〜約0.4mg/kg、約0.0003〜約0.3mg/kg、約0.0003〜約0.2mg/kg、約0.0003〜約0.1mg/kg、約0.001〜約0.9mg/kg、約0.001〜約0.8mg/kg、約0.001〜約0.7mg/kg、約0.001〜約0.6mg/kg、約0.001〜約0.5mg/kg、約0.001〜約0.4mg/kg、約0.001〜約0.3mg/kg、約0.001〜約0.2mg/kg、約0.0001〜約0.1mg/kg、約0.003〜約0.9mg/kg、約0.003〜約0.8mg/kg、約0.003〜約0.7mg/kg、約0.003〜約0.6mg/kg、約0.003〜約0.5mg/kg、約0.003〜約0.4mg/kg、約0.003〜約0.3mg/kg、約0.003〜約0.2mg/kg、約0.003〜約0.1mg/kg、約0.01〜約0.9mg/kg、約0.01〜約0.8mg/kg、約0.01〜約0.7mg/kg、約0.01〜約0.6mg/kg、約0.01〜約0.5mg/kg、約0.01〜約0.4mg/kg、約0.01〜約0.3mg/kg、約0.01〜約0.2mg/kg、約0.01〜約0.1mg/kg、約0.03〜約0.9mg/kg、約0.03〜約0.8mg/kg、約0.03〜約0.7mg/kg、約0.03〜約0.6mg/kg、約0.03〜約0.5mg/kg、約0.03〜約0.4mg/kg、約0.03〜約0.3mg/kg、約0.03〜約0.2mg/kg、約0.03〜約0.1mg/kg、約0.1〜約0.9mg/kg、約0.1〜約0.8mg/kg、約0.1〜約0.7mg/kg、約0.1〜約0.6mg/kg、約0.1〜約0.5mg/kg、約0.1〜約0.4mg/kg、約0.1〜約0.3mg/kg、約0.1〜約0.2mg/kg、約0.1〜約0.1mg/kg、約0.3〜約0.9mg/kg、約0.3〜約0.8mg/kg、約0.3〜約0.7mg/kg、約0.3〜約0.6mg/kg、約0.3〜約0.5mg/kg、約0.3〜約0.4mg/kg、約0.3〜約0.3mg/kg、約0.3〜約0.2mg/kg、約0.3〜約0.1mg/kgであることができる。
【0147】
さまざまな実施形態では、TAA抗体−IFN融合分子は、0.0001mg/kg以下、0.0003mg/kg以下、0.001mg/kg以下、0.003mg/kg以下、0.01mg/kg以下、0.03mg/kg以下、0.1mg/kg以下、0.2mg/kg以下、0.3mg/kg以下、0.4mg/kg以下、0.5mg/kg以下、0.6mg/kg以下、0.7mg/kg以下、0.8mg/kg以下、及び0.9mg/kg以下からなる群より選択される週間投与量で患者に投与される。
【0148】
さまざまな実施形態では、本発明の治療有効量の融合分子の週間投与量は0.0001mg/kg体重であることになる。さまざまな実施形態では、本発明の治療有効量の融合分子の週間投与量は0.0003mg/kg体重であることになる。さまざまな実施形態では、本発明の治療有効量の融合分子の週間投与量は0.001mg/kg体重であることになる。さまざまな実施形態では、本発明の治療有効量の融合分子の週間投与量は0.003mg/kg体重であることになる。さまざまな実施形態では、本発明の治療有効量の融合分子の週間投与量は0.01mg/kg体重であることになる。さまざまな実施形態では、本発明の治療有効量の融合分子の週間投与量は0.03mg/kg体重であることになる。さまざまな実施形態では、本発明の治療有効量の融合分子の週間投与量は0.1mg/kg体重であることになる。さまざまな実施形態では、本発明の治療有効量の融合分子の週間投与量は0.3mg/kg体重であることになる。さまざまな実施形態では、融合分子は、静脈内(IV)注入を介して8回の週1回投与を最高で3サイクル投与されることになる。
【0149】
さまざまな実施形態では、医薬組成物の単回又は複数回投与は、患者に必要とされ、忍容される投与量及び頻度に依存して施行される。いずれにしても、組成物は、患者を効果的に治療するのに十分な、本明細書において開示されている少なくとも1つの融合分子の量をもたらすべきである。投与は1回で施行することができるが、治療結果が達成されるか、又は副作用が治療の中止を必要とするかのいずれかまで定期的に適用されうる。
【0150】
融合分子医薬組成物の投与の投与頻度は、療法及び治療中の特定の疾患の性質に依存する。患者は、所望の治療結果が達成されるまで、毎週又は毎月などの一定の間隔で治療することができる。例示的な投与頻度としては、中断なしに週1回;週1回、隔週;2週間に1回;3週間に1回;中断なしに週1回2週間、中断なしに週2回2週間、中断なしに週2回3週間、中断なしに週2回4週間、中断なしに週2回5週間、中断なしに週2回6週間、中断なしに週2回7週間、中断なしに週2回8週間、月1回;2か月に1回;3か月に1回;4か月に1回;5か月に1回;又は6か月に1回、又は年1回が挙げられるが、これらに限定されない。
【0151】
TAA抗体−IFN融合分子治療の使用法
1つの態様では、本発明は、個人に治療有効量のTAA抗体−IFN融合分子を投与することを含む、個人における増殖性疾患(がんなど)を治療する方法に関する。重要なことには、本明細書に記載のTAA抗体−IFN融合分子及び方法は、再発がん、耐性がん、又は難治性がんを含むがんを、驚くべき低い投与量で効果的に治療するのに使用することができる。
【0152】
さまざまな実施形態では、本発明の方法は、あるいくつかの細胞増殖性疾患を治療するのに有用である。そのような疾患としては、以下が挙げられるが、それらに限定されない。(a)限定されないが、浸潤性乳管癌、浸潤性小葉癌、乳管癌、非浸潤性小葉癌、及び転移性乳がんを含む乳房の増殖性疾患;(b)限定されないが、さまざまなT細胞及びB細胞リンパ腫、非ホジキンリンパ腫、皮膚T細胞性リンパ腫、ホジキン病、並びに中枢神経系のリンパ腫を含むリンパ球細胞の増殖性疾患;(c)多発性骨髄腫、慢性好中球性白血病、慢性好酸球性白血病/好酸球増加症候群、慢性特発性骨髄線維症、真性多血症、本態性血小板血症、慢性骨髄単球性白血病、非定型慢性骨髄性白血病、若年性骨髄単球性白血病、環状鉄芽球を伴う不応性貧血及び環状鉄芽球を伴わない不応性貧血、多血球系異形成を伴う不応性血球減少症(骨髄異形成症候群)、過剰芽細胞を伴う不応性貧血(骨髄異形成症候群)、5q−症候群、t(9;12)(q22;p12)を有する骨髄異形成症候群、及び骨髄性白血病(例えば、フィラデルフィア染色体陽性(t(9;22)(qq34;q11));(d)限定されないが、基底細胞がん、扁平上皮がん、悪性黒色腫、及びカポジ肉腫を含む皮膚の増殖性疾患;(e)限定されないが、急性脊髄性白血病、急性リンパ性白血病、慢性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病、及び有毛細胞白血病を含む白血病;(f)限定されないが、肛門、結腸、大腸、食道、胆嚢、胃(stomach)(胃(gastric))、膵がん、膵がん−膵島細胞、直腸、小腸、及び唾液腺がんを含む消化管の増殖性疾患;(g)限定されないが、肝細胞がん、胆管がん、混合型肝細胞胆管癌、原発性肝がん、及び転移性肝がんを含む肝臓の増殖性疾患;(h)限定されないが、前立腺がん、精巣がん、及び陰茎がんを含む男性生殖器の増殖性疾患;(i)限定されないが、子宮がん(子宮内膜)、子宮頸、卵巣、膣、外陰がん、子宮肉腫、及び卵巣胚細胞腫瘍を含む女性生殖器の増殖性疾患;(j)限定されないが、小細胞及び非小細胞肺癌、気管支腺腫、胸膜肺芽腫、並びに悪性中皮腫を含む呼吸器の増殖性疾患;(k)限定されないが、脳幹及び視床下部神経膠腫、小脳及び大脳星細胞腫、髄芽腫、上衣腫瘍、乏突起膠腫、髄膜腫、並びに神経外胚葉及び松果体腫瘍を含む脳の増殖性疾患;(l)限定されないが、眼球内黒色腫、網膜芽腫、及び横紋筋肉腫を含む眼の増殖性疾患;(m)限定されないが、喉頭、下咽頭、鼻咽腔、咽頭口腔部がん、並びに口唇及び口腔がん、扁平上皮性頸部がん、転移性副鼻腔がんを含む頭頸部の増殖性疾患;(n)限定されないが、甲状腺がん、胸腺腫、悪性胸腺腫、甲状腺髄様がん、乳頭様甲状腺癌、多発性内分泌腫瘍症2型A(MEN2A)、褐色細胞腫、副甲状腺腫、多発性内分泌腫瘍症2型B(MEN2B)、家族性甲状腺髄様癌(FMTC)、及びカルチノイドを含む甲状腺がんの増殖性疾患;(o)限定されないが、膀胱がんを含む尿路の増殖性疾患;(p)限定されないが、軟組織の肉腫、骨肉腫、悪性線維性組織球腫、リンパ肉腫、及び横紋筋肉腫を含む肉腫;(q)限定されないが、腎細胞癌、腎明細胞癌、及び腎細胞癌を含む腎臓の増殖性疾患;(r)前駆Bリンパ芽球性白血病/リンパ腫(前駆B細胞急性リンパ性白血病)、B細胞性慢性リンパ性白血病/小リンパ球性リンパ腫、B細胞前リンパ球性白血病、リンパ形質細胞性リンパ腫、脾辺縁帯B細胞リンパ腫、有毛細胞白血病、形質細胞性骨髄腫/形質細胞腫、MALT型節外性濾胞辺縁帯B細胞リンパ腫、節性辺縁帯B細胞リンパ腫、濾胞性リンパ腫、マントル細胞リンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、縦隔大細胞型B細胞リンパ腫、原発性滲出性リンパ腫、及びバーキットリンパ腫/バーキット細胞白血病;(s)前駆Tリンパ芽球性リンパ腫/白血病(前駆T細胞急性リンパ性白血病)、T細胞前リンパ球性白血病、T細胞顆粒リンパ球性白血病、アグレッシブNK細胞白血病、成人T細胞リンパ腫/白血病(HTLV−1)、節外性NK/T細胞リンパ腫、鼻型、腸管症型T細胞リンパ腫、肝脾ガンマ・デルタT細胞リンパ腫、皮下脂肪織炎様T細胞リンパ腫、菌状息肉症/セザリー症候群、未分化大細胞型リンパ腫、T/ヌル細胞、原発性皮膚型、末梢性T細胞リンパ腫、他の点は特徴不明(not otherwise characterized)、血管免疫芽球性T細胞リンパ腫、未分化大細胞型リンパ腫、T/ヌル細胞、及び原発性全身型;(t)結節性リンパ球優位型ホジキンリンパ腫、結節性硬化型ホジキンリンパ腫(グレード1及び2)、リンパ球豊富型古典的ホジキンリンパ腫、混合細胞型ホジキンリンパ腫、及びリンパ球減少型ホジキンリンパ腫;並びに(u)t(8;21)(q22;q22)を有するAML、AML1(CBF−アルファ)/ETO、急性前骨髄球性白血病(t(15;17)(q22;q11−12)及びバリアント、PML/RAR−アルファを有するAML)、異常骨髄好酸球(inv(16)(p13q22)又はt(16;16)(p13;q11)、CBFb/MYH11.times.)を有するAML、及び11q23(MLL)異常を有するAML、最未分化型AML、未分化型AML、分化型AML、急性骨髄単球性白血病、急性単球性白血病、急性赤白血病、急性巨核芽球性白血病、急性好塩基球性白血病、並びに骨髄線維症を伴う急性汎骨髄症。
【0153】
さまざまな実施形態では、増殖性疾患は、B細胞リンパ腫;肺がん(小細胞肺がん及び非小細胞肺がん);気管支がん;結腸直腸がん;前立腺がん;乳がん;膵臓がん;胃がん;卵巣がん;膀胱がん;脳又は中枢神経系がん;末梢神経系がん;食道がん;子宮頸がん;黒色腫;子宮又は子宮内膜がん;口腔又は咽頭のがん;肝がん;腎臓がん;胆道がん;小腸又は虫垂がん;唾液腺がん;甲状腺がん;副腎がん;骨肉腫;軟骨肉腫;脂肪肉腫;精巣がん;並びに悪性線維性組織球腫;皮膚がん;頭及び首がん;リンパ腫;肉腫;多発性骨髄腫;並びに白血病からなる群より選択されるがんである。
【0154】
さまざまな実施形態では、個人に有効量の抗TAA抗体−IFN−α融合分子を含んでなる医薬組成物を投与することを含んでなる個人におけるがんを治療する方法が提供され、抗−TAA−IFN−α融合分子は、0.0001mg/kg、0.0003mg/kg、0.001mg/kg、0.003mg/kg、0.01mg/kg、0.03mg/kg、0.1mg/kg、0.2mg/kg、0.3mg/kg、0.4mg/kg、0.5mg/kg、0.6mg/kg、0.7mg/kg、0.8mg/kg、及び0.9mg/kgからなる群より選択される週間投与量で個人に投与される。さまざまな実施形態では、抗−TAA−IFN−α融合分子は、以下の範囲のいずれかに含まれる投与量(例えば、週間投与量)で個人に投与される。約0.0001〜約0.0003mg/kg、約0.0003〜約0.001mg/kg、約0.001〜約0.003mg/kg、約0.003〜約0.01mg/kg、約0.01〜約0.03mg/kg、約0.03〜約0.1mg/kg、約0.1〜約0.3mg/kg、約0.3〜約0.4mg/kg、約0.4〜約0.5mg/kg、約0.5〜約0.6mg/kg、約0.6〜約0.7mg/kg、約0.7〜約0.8mg/kg、及び約0.8〜約0.9mg/kg。さまざまな実施形態では、抗−TAA−IFN−α融合分子は、およそ、0.0001mg/kg、0.0003mg/kg、0.001mg/kg、0.003mg/kg、0.01mg/kg、0.03mg/kg、0.1mg/kg、0.2mg/kg、0.3mg/kg、0.4mg/kg、0.5mg/kg、0.6mg/kg、0.7mg/kg、0.8mg/kg、及び0.9mg/kgのいずれかを超えない投与量(例えば、週間投与量)で個人に投与される。さまざまな実施形態では、がんは、本発明の抗TAA抗体−IFN−α融合分子のTAAを発現する。さまざまな実施形態では、がんは、TAA発現がんの腫瘍微小環境内の非TAA発現がんである。
【0155】
さまざまな実施形態では、抗TAA抗体−IFN−α融合分子を含む医薬組成の有効量を個人に投与することを含む個人におけるがんを治療する方法が提供され、TAA抗体−IFN−α融合分子は、約0.003〜約0.01mg/kgの週間投与量で個人に投与される。
【0156】
さまざまな実施形態では、抗TAA抗体−IFN−α融合分子を含む医薬組成の有効量を個人に投与することを含む個人におけるがんを治療する方法が提供され、TAA抗体−IFN−α融合分子は、約0.01〜約0.03mg/kgの週間投与量で個人に投与される。
【0157】
さまざまな実施形態では、抗TAA抗体−IFN−α融合分子を含む医薬組成の有効量を個人に投与することを含む個人におけるがんを治療する方法が提供され、TAA抗体−IFN−α融合分子は、約0.03〜約0.1mg/kgの週間投与量で個人に投与される。
【0158】
さまざまな実施形態では、抗HER2/neu−IFN−α融合分子を含む医薬組成物の有効量を個人に投与することを含む個人におけるがんを治療する方法が提供され、抗HER2/neu−IFN−α融合分子は、0.0001mg/kg、0.0003mg/kg、0.001mg/kg、0.003mg/kg、0.01mg/kg、0.03mg/kg、0.1mg/kg、0.2mg/kg、0.3mg/kg、0.4mg/kg、0.5mg/kg、0.6mg/kg、0.7mg/kg、0.8mg/kg、及び0.9mg/kgからなる群より選択される週間投与量で個人に投与される。さまざまな実施形態では、抗HER2/neu−IFN−α融合分子は、以下の範囲のいずれかに含まれる投与量(例えば、週間投与量)で個人に投与される。約0.0001〜約0.0003mg/kg、約0.0003〜約0.001mg/kg、約0.001〜約0.003mg/kg、約0.003〜約0.01mg/kg、約0.01〜約0.03mg/kg、約0.03〜約0.1mg/kg、約0.1〜約0.3mg/kg、約0.3〜約0.4mg/kg、約0.4〜約0.5mg/kg、約0.5〜約0.6mg/kg、約0.6〜約0.7mg/kg、約0.7〜約0.8mg/kg、及び約0.8〜約0.9mg/kg。さまざまな実施形態では、抗HER2/neu−IFN−α融合分子は、およそ、0.0001mg/kg、0.0003mg/kg、0.001mg/kg、0.003mg/kg、0.01mg/kg、0.03mg/kg、0.1mg/kg、0.2mg/kg、0.3mg/kg、0.4mg/kg、0.5mg/kg、0.6mg/kg、0.7mg/kg、0.8mg/kg、及び0.9mg/kgのいずれかを超えない投与量(例えば、週間投与量)で個人に投与される。さまざまな実施形態では、がんはHER2/neuを発現する。さまざまな実施形態では、がんはHER2/neu発現がんの腫瘍微小環境内の非HER2/neu発現がんである。
【0159】
さまざまな実施形態では、抗HER2/neu抗体−IFN−α融合分子を含む医薬組成物の有効量を個人に投与することを含む、個人における、乳がん、卵巣がん、及び非小細胞肺がん(NSCLC)からなる群より選択されるがんを治療する方法が提供され、抗HER2/neu抗体−IFN融合−α分子は約0.003〜約0.01mg/kgの週間投与量で個人に投与される。
【0160】
さまざまな実施形態では、抗HER2/neu抗体−IFN−α融合分子を含む医薬組成物の有効量を個人に投与することを含む、個人における、乳がん、卵巣がん、及び非小細胞肺がん(NSCLC)からなる群より選択されるがんを治療する方法が提供され、抗HER2/neu抗体−IFN−α融合分子は約0.01〜約0.03mg/kgの週間投与量で個人に投与される。
【0161】
さまざまな実施形態では、抗HER2/neu抗体−IFN−α融合分子を含む医薬組成物の有効量を個人に投与することを含む、個人における、乳がん、卵巣がん、及び非小細胞肺がん(NSCLC)からなる群より選択されるがんを治療する方法が提供され、抗HER2/neu抗体−IFN−α融合分子は約0.03〜約0.1mg/kgの週間投与量で個人に投与される。
【0162】
さまざまな実施形態では、抗CD20−IFN−α融合分子を含む医薬組成物の有効量を個人に投与することを含む個人におけるがんを治療する方法が提供され、抗CD20−IFN−α融合分子は、0.0001mg/kg、0.0003mg/kg、0.001mg/kg、0.003mg/kg、0.01mg/kg、0.03mg/kg、0.1mg/kg、0.2mg/kg、0.3mg/kg、0.4mg/kg、0.5mg/kg、0.6mg/kg、0.7mg/kg、0.8mg/kg、及び0.9mg/kgからなる群より選択される週間投与量で個人に投与される。さまざまな実施形態では、抗CD20−IFN−α融合分子は、以下の範囲のいずれかに含まれる投与量(例えば、週間投与量)で個人に投与される。約0.0001〜約0.0003mg/kg、約0.0003〜約0.001mg/kg、約0.001〜約0.003mg/kg、約0.003〜約0.01mg/kg、約0.01〜約0.03mg/kg、約0.03〜約0.1mg/kg、約0.1〜約0.3mg/kg、約0.3〜約0.4mg/kg、約0.4〜約0.5mg/kg、約0.5〜約0.6mg/kg、約0.6〜約0.7mg/kg、約0.7〜約0.8mg/kg、及び約0.8〜約0.9mg/kg。さまざまな実施形態では、抗CD20−IFN−α融合分子は、およそ、0.0001mg/kg、0.0003mg/kg、0.001mg/kg、0.003mg/kg、0.01mg/kg、0.03mg/kg、0.1mg/kg、0.2mg/kg、0.3mg/kg、0.4mg/kg、0.5mg/kg、0.6mg/kg、0.7mg/kg、0.8mg/kg、及び0.9mg/kgのいずれかを超えない投与量(例えば、週間投与量)で個人に投与される。さまざまな実施形態では、がんはCD20を発現する。さまざまな実施形態では、がんはCD20発現がんの腫瘍微小環境内の非CD20発現がんである。
【0163】
さまざまな実施形態では、抗CD20抗体−IFN−α融合分子を含む医薬組成物の有効量を個人に投与することを含む、個人における、B細胞性非ホジキンリンパ腫(NHL)及びB細胞性慢性リンパ性白血病(CLL)からなる群より選択されるがんを治療する方法が提供され、抗CD20抗体−IFN−α融合分子は約0.003〜約0.01mg/kgの週間投与量で個人に投与される。
【0164】
さまざまな実施形態では、抗CD20抗体−IFN−α融合分子を含む医薬組成物の有効量を個人に投与することを含む、個人における、B細胞性非ホジキンリンパ腫(NHL)及びB細胞性慢性リンパ性白血病(CLL)からなる群より選択されるがんを治療する方法が提供され、抗CD20抗体−IFN−α融合分子は約0.01〜約0.03mg/kgの週間投与量で個人に投与される。
【0165】
さまざまな実施形態では、抗CD20抗体−IFN−α融合分子を含む医薬組成物の有効量を個人に投与することを含む、個人における、B細胞性非ホジキンリンパ腫(NHL)及びB細胞性慢性リンパ性白血病(CLL)からなる群より選択されるがんを治療する方法が提供され、抗CD20抗体−IFN−α融合分子は約0.03〜約0.1mg/kgの週間投与量で個人に投与される。
【0166】
さまざまな実施形態では、抗CD138−IFN−α融合分子を含む医薬組成物の有効量を個人に投与することを含む個人におけるがんを治療する方法が提供され、抗CD138−IFN−α融合分子は、0.0001mg/kg、0.0003mg/kg、0.001mg/kg、0.003mg/kg、0.01mg/kg、0.03mg/kg、0.1mg/kg、0.2mg/kg、0.3mg/kg、0.4mg/kg、0.5mg/kg、0.6mg/kg、0.7mg/kg、0.8mg/kg、及び0.9mg/kgからなる群より選択される週間投与量で個人に投与される。さまざまな実施形態では、抗CD138−IFN−α融合分子は、以下の範囲のいずれかに含まれる投与量(例えば、週間投与量)で個人に投与される。約0.0001〜約0.0003mg/kg、約0.0003〜約0.001mg/kg、約0.001〜約0.003mg/kg、約0.003〜約0.01mg/kg、約0.01〜約0.03mg/kg、約0.03〜約0.1mg/kg、約0.1〜約0.3mg/kg、約0.3〜約0.4mg/kg、約0.4〜約0.5mg/kg、約0.5〜約0.6mg/kg、約0.6〜約0.7mg/kg、約0.7〜約0.8mg/kg、及び約0.8〜約0.9mg/kg。さまざまな実施形態では、抗CD138−IFN−α融合分子は、およそ、0.0001mg/kg、0.0003mg/kg、0.001mg/kg、0.003mg/kg、0.01mg/kg、0.03mg/kg、0.1mg/kg、0.2mg/kg、0.3mg/kg、0.4mg/kg、0.5mg/kg、0.6mg/kg、0.7mg/kg、0.8mg/kg、及び0.9mg/kgのいずれかを超えない投与量(例えば、週間投与量)で個人に投与される。さまざまな実施形態では、がんはCD138を発現する。さまざまな実施形態では、がんはCD138発現がんの腫瘍微小環境内の非CD138発現がんである。
【0167】
さまざまな実施形態では、抗CD138抗体−IFN−α融合分子を含む医薬組成物の有効量を個人に投与することを含む、個人における、多発性骨髄腫、乳がん、及び膀胱がんからなる群より選択されるがんを治療する方法が提供され、抗CD138抗体−IFN−α融合分子は約0.003〜約0.01mg/kgの週間投与量で個人に投与される。
【0168】
さまざまな実施形態では、抗CD138抗体−IFN−α融合分子を含む医薬組成物の有効量を個人に投与することを含む、個人における、多発性骨髄腫、乳がん、及び膀胱がんからなる群より選択されるがんを治療する方法が提供され、抗CD138抗体−IFN−α融合分子は約0.01〜約0.03mg/kgの週間投与量で個人に投与される。
【0169】
さまざまな実施形態では、抗CD138抗体−IFN−α融合分子を含む医薬組成物の有効量を個人に投与することを含む、個人における、多発性骨髄腫、乳がん、及び膀胱がんからなる群より選択されるがんを治療する方法が提供され、抗CD138抗体−IFN−α融合分子は約0.03〜約0.1mg/kgの週間投与量で個人に投与される。
【0170】
さまざまな実施形態では、抗GRP94−IFN−α融合分子を含む医薬組成物の有効量を個人に投与することを含む個人におけるがんを治療する方法が提供され、抗GRP94−IFN−α融合分子は、0.0001mg/kg、0.0003mg/kg、0.001mg/kg、0.003mg/kg、0.01mg/kg、0.03mg/kg、0.1mg/kg、0.2mg/kg、0.3mg/kg、0.4mg/kg、0.5mg/kg、0.6mg/kg、0.7mg/kg、0.8mg/kg、及び0.9mg/kgからなる群より選択される週間投与量で個人に投与される。さまざまな実施形態では、抗GRP94−IFN−α融合分子は、以下の範囲のいずれかに含まれる投与量(例えば、週間投与量)で個人に投与される。約0.0001〜約0.0003mg/kg、約0.0003〜約0.001mg/kg、約0.001〜約0.003mg/kg、約0.003〜約0.01mg/kg、約0.01〜約0.03mg/kg、約0.03〜約0.1mg/kg、約0.1〜約0.3mg/kg、約0.3〜約0.4mg/kg、約0.4〜約0.5mg/kg、約0.5〜約0.6mg/kg、約0.6〜約0.7mg/kg、約0.7〜約0.8mg/kg、及び約0.8〜約0.9mg/kg。さまざまな実施形態では、抗GRP94−IFN−α融合分子は、およそ、0.0001mg/kg、0.0003mg/kg、0.001mg/kg、0.003mg/kg、0.01mg/kg、0.03mg/kg、0.1mg/kg、0.2mg/kg、0.3mg/kg、0.4mg/kg、0.5mg/kg、0.6mg/kg、0.7mg/kg、0.8mg/kg、及び0.9mg/kgのいずれかを超えない投与量(例えば、週間投与量)で個人に投与される。さまざまな実施形態では、がんはGRP94を発現する。さまざまな実施形態では、がんはGRP94発現がんの腫瘍微小環境内の非GRP94発現がんである。
【0171】
さまざまな実施形態では、抗GRP94抗体−IFN−α融合分子を含む医薬組成物の有効量を個人に投与することを含む、個人における、NSCLC、急性脊髄性白血病(AML)、多発性骨髄腫、黒色腫、及び膵がんからなる群より選択されるがんを治療する方法が提供され、抗GRP94抗体−IFN−α融合分子は約0.003〜約0.01mg/kgの週間投与量で個人に投与される。
【0172】
さまざまな実施形態では、抗GRP94抗体−IFN−α融合分子を含む医薬組成物の有効量を個人に投与することを含む、個人における、NSCLC、急性脊髄性白血病(AML)、多発性骨髄腫、黒色腫、及び膵がんからなる群より選択されるがんを治療する方法が提供され、抗GRP94抗体−IFN−α融合分子は約0.01〜約0.03mg/kgの週間投与量で個人に投与される。
【0173】
さまざまな実施形態では、抗GRP94抗体−IFN−α融合分子を含む医薬組成物の有効量を個人に投与することを含む、個人における、NSCLC、急性脊髄性白血病(AML)、多発性骨髄腫、黒色腫、及び膵がんからなる群より選択されるがんを治療する方法が提供され、抗GRP94抗体−IFN−α融合分子は約0.03〜約0.1mg/kgの週間投与量で個人に投与される。
【0174】
さまざまな実施形態では、抗CD33−IFN−α融合分子を含む医薬組成物の有効量を個人に投与することを含む個人におけるがんを治療する方法が提供され、抗CD33−IFN−α融合分子は、0.0001mg/kg、0.0003mg/kg、0.001mg/kg、0.003mg/kg、0.01mg/kg、0.03mg/kg、0.1mg/kg、0.2mg/kg、0.3mg/kg、0.4mg/kg、0.5mg/kg、0.6mg/kg、0.7mg/kg、0.8mg/kg、及び0.9mg/kgからなる群より選択される週間投与量で個人に投与される。さまざまな実施形態では、抗CD33−IFN−α融合分子は、以下の範囲のいずれかに含まれる投与量(例えば、週間投与量)で個人に投与される。約0.0001〜約0.0003mg/kg、約0.0003〜約0.001mg/kg、約0.001〜約0.003mg/kg、約0.003〜約0.01mg/kg、約0.01〜約0.03mg/kg、約0.03〜約0.1mg/kg、約0.1〜約0.3mg/kg、約0.3〜約0.4mg/kg、約0.4〜約0.5mg/kg、約0.5〜約0.6mg/kg、約0.6〜約0.7mg/kg、約0.7〜約0.8mg/kg、及び約0.8〜約0.9mg/kg。さまざまな実施形態では、抗CD33−IFN−α融合分子は、およそ、0.0001mg/kg、0.0003mg/kg、0.001mg/kg、0.003mg/kg、0.01mg/kg、0.03mg/kg、0.1mg/kg、0.2mg/kg、0.3mg/kg、0.4mg/kg、0.5mg/kg、0.6mg/kg、0.7mg/kg、0.8mg/kg、及び0.9mg/kgのいずれかを超えない投与量(例えば、週間投与量)で個人に投与される。さまざまな実施形態では、がんはCD33を発現する。さまざまな実施形態では、がんはCD33発現がんの腫瘍微小環境内の非CD33発現がんである。
【0175】
さまざまな実施形態では、抗CD33抗体−IFN−α融合分子を含む医薬組成物の有効量を個人に投与することを含む、個人における、AML、慢性脊髄性白血病(CML)、及び多発性骨髄腫からなる群より選択されるがんを治療する方法が提供され、抗CD33抗体−IFN−α融合分子は約0.003〜約0.01mg/kgの週間投与量で個人に投与される。
【0176】
さまざまな実施形態では、抗CD33抗体−IFN−α融合分子を含む医薬組成物の有効量を個人に投与することを含む、個人における、AML、慢性脊髄性白血病(CML)、及び多発性骨髄腫からなる群より選択されるがんを治療する方法が提供され、抗CD33抗体−IFN−α融合分子は約0.01〜約0.03mg/kgの週間投与量で個人に投与される。
【0177】
さまざまな実施形態では、抗CD33抗体−IFN−α融合分子を含む医薬組成物の有効量を個人に投与することを含む、個人における、AML、慢性脊髄性白血病(CML)、及び多発性骨髄腫からなる群より選択されるがんを治療する方法が提供され、抗CD33抗体−IFN−α融合分子は約0.03〜約0.1mg/kgの週間投与量で個人に投与される。
【0178】
さまざまな実施形態では、抗CD70−IFN−α融合分子を含む医薬組成物の有効量を個人に投与することを含む個人におけるがんを治療する方法が提供され、抗CD70−IFN−α融合分子は、0.0001mg/kg、0.0003mg/kg、0.001mg/kg、0.003mg/kg、0.01mg/kg、0.03mg/kg、0.1mg/kg、0.2mg/kg、0.3mg/kg、0.4mg/kg、0.5mg/kg、0.6mg/kg、0.7mg/kg、0.8mg/kg、及び0.9mg/kgからなる群より選択される週間投与量で個人に投与される。さまざまな実施形態では、抗CD70−IFN−α融合分子は、以下の範囲のいずれかに含まれる投与量(例えば、週間投与量)で個人に投与される。約0.0001〜約0.0003mg/kg、約0.0003〜約0.001mg/kg、約0.001〜約0.003mg/kg、約0.003〜約0.01mg/kg、約0.01〜約0.03mg/kg、約0.03〜約0.1mg/kg、約0.1〜約0.3mg/kg、約0.3〜約0.4mg/kg、約0.4〜約0.5mg/kg、約0.5〜約0.6mg/kg、約0.6〜約0.7mg/kg、約0.7〜約0.8mg/kg、及び約0.8〜約0.9mg/kg。さまざまな実施形態では、抗CD70−IFN−α融合分子は、およそ、0.0001mg/kg、0.0003mg/kg、0.001mg/kg、0.003mg/kg、0.01mg/kg、0.03mg/kg、0.1mg/kg、0.2mg/kg、0.3mg/kg、0.4mg/kg、0.5mg/kg、0.6mg/kg、0.7mg/kg、0.8mg/kg、及び0.9mg/kgのいずれかを超えない投与量(例えば、週間投与量)で個人に投与される。さまざまな実施形態では、がんはCD70を発現する。さまざまな実施形態では、がんはCD70発現がんの腫瘍微小環境内の非CD70発現がんである。
【0179】
さまざまな実施形態では、抗CD70抗体−IFN−α融合分子を含む医薬組成物の有効量を個人に投与することを含む、個人における、腎細胞癌(RCC)、ワルデンストレームマクログロブリン血症、多発性骨髄腫、及びNHLからなる群より選択されるがんを治療する方法が提供され、抗CD70抗体−IFN−α融合分子は約0.003〜約0.01mg/kgの週間投与量で個人に投与される。
【0180】
さまざまな実施形態では、抗CD70抗体−IFN−α融合分子を含む医薬組成物の有効量を個人に投与することを含む、個人における、腎細胞癌(RCC)、ワルデンストレームマクログロブリン血症、多発性骨髄腫、及びNHLからなる群より選択されるがんを治療する方法が提供され、抗CD70抗体−IFN−α融合分子は約0.01〜約0.03mg/kgの週間投与量で個人に投与される。
【0181】
さまざまな実施形態では、抗CD70抗体−IFN−α融合分子を含む医薬組成物の有効量を個人に投与することを含む、個人における、腎細胞癌(RCC)、ワルデンストレームマクログロブリン血症、多発性骨髄腫、及びNHLからなる群より選択されるがんを治療する方法が提供され、抗CD70抗体−IFN−α融合分子は約0.03〜約0.1mg/kgの週間投与量で個人に投与される。
【0182】
さまざまな実施形態では、個人は以前に抗がん療法での治療に反応したが、治療の中止時に再発を経験した(以降「再発がん」)。
【0183】
さまざまな実施形態では、個人は耐性がん又は難治性がんをもつ。さまざまな実施形態では、がんは免疫療法治療に不応である。さまざまな実施形態では、がんは化学療法剤での治療に不応である。さまざまな実施形態では、がんはTAA抗体での標的治療に不応である。さまざまな実施形態では、がんは、TAA抗体を含む免疫複合体、抗体−薬物複合体(ADC)、又は融合分子及び細胞傷害性薬剤での標的治療に不応である。さまざまな実施形態では、がんは低分子キナーゼ阻害剤での標的治療に不応である。さまざまな実施形態では、がんは、例えば、免疫療法、化学療法剤での治療、TAA抗体での治療、TAA抗体を含む免疫複合体、ADC、又は融合分子及び細胞傷害性薬剤での標的治療、低分子キナーゼ阻害剤での標的治療、手術による治療、幹細胞移植を用いる治療、並びに放射線を使用する治療を含む併用療法に不応である。
【0184】
さまざまな実施形態では、本明細書に記載の方法は、増殖性疾患の治療または予防に向けた他の従来の抗がん治療アプローチと併用して用いられうる。そのようなアプローチとしては、化学療法、低分子キナーゼ阻害剤標的療法、手術、放射線療法、及び幹細胞移植が挙げられるが、これらに限定されない。例えば、そのような方法は、予防的がん防止、手術後のがん再発及び転移の予防、及び他の従来のがん治療の補助として使用することができる。本開示は、従来のがん療法(例えば、化学療法、放射線療法、光線療法、免疫療法、及び手術)の効果が本明細書に記載の融合分子の使用を通して増強できることを認める。
【0185】
多様な従来の化合物が、抗腫瘍活性をもつことが示されている。これらの化合物は、固形腫瘍を小さくし、転移及びさらなる増殖を防ぎ、又は白血病又は骨髄悪性腫瘍の悪性T細胞の数を減少させるために化学療法における医薬品として使用されてきた。化学療法はさまざまな種類の悪性腫瘍の治療に有効であるが、多くの抗腫瘍化合物は望ましくない副作用を誘発する。2つ以上の異なる治療が併用される場合、治療が相乗的に効き、各治療の投与量の減量が可能になることによって、高い投与量で各化合物によってもたらされる有害な副作用を減らしうることが示されている。他の例では、治療に不応の悪性腫瘍が2つ以上の異なる治療の併用療法に反応する場合がある。
【0186】
本明細書において開示されるTAA抗体−IFN融合分子が、別の従来の抗腫瘍剤と併用して同時に又は順次連続的に投与される場合、そのような融合分子は、抗腫瘍剤の治療効果を増強しうるか、又はそのような抗腫瘍剤に対する細胞耐性を克服しうる。これは抗腫瘍剤の投与量の減量を可能にすることよって望ましくない副作用を減らしたり、耐性T細胞における抗腫瘍剤の効果を回復させたりする。さまざまな実施形態では、化学療法剤などの第2の抗がん剤が患者に投与されることになる。代表的な化学療法剤のリストは、限定されないが、ダウノルビシン、ダクチノマイシン、ドキソルビシン、ブレオマイシン、マイトマイシン、ナイトロジェンマスタード、クロランブシル、メルファラン、シクロホスファミド、6−メルカプトプリン、6−チオグアニン、ベンダムスチン、シタラビン(CA)、5−フルオロウラシル(5−FU)、フロクスウリジン(5−FUdR)、メトトレキサート(MTX)、コルヒチン、ビンクリスチン、ビンブラスチン、エトポシド、テニポシド、シスプラチン、カルボプラチン、オキサリプラチン、ペントスタチン、クラドリビン、シタラビン、ゲムシタビン、プララトレキサート、ミトキサントロン、ジエチルスチルベストロール(DES)、フルダラビン、イホスファミド、ヒトロキシ尿素タキサン(パクリタキセル及びドセタキセルなど)、及び/又はアントラサイクリン抗生物質、及び限定されないが、DA−EPOCH、CHOP、CVP、又はFOLFOXなどの薬剤の組み合わせを含む。さまざまな実施形態では、そのような化学療法剤の投与量としては、およそ、10mg/m、20mg/m、30mg/m、40mg/m、50mg/m、60mg/m、75mg/m、80mg/m、90mg/m、100mg/m、120mg/m、150mg/m、175mg/m、200mg/m、210mg/m、220mg/m、230mg/m、240mg/m、250mg/m、260mg/m、及び300mg/mのいずれかが挙げられるが、これらに限定されない。
【0187】
免疫療法
数多くのがん免疫療法戦略が広範な研究及び臨床評価の焦点であり、例えば、限定されないが、特異的な腫瘍抗原に対する枯渇抗体を用いる治療(例えば、Blattman and Greenberg,Science,305:200,2004;Adams and Weiner,Nat Biotech,23:1147,2005;Vogal et al.J Clin Oncology,20:719,2002;Colombat et al.,Blood,97:101,2001による総説を参照されたい);抗体−薬物複合体を用いる治療(例えば、Methods in Molecular Biology.Book 1045.New York(NY),Humana Press,2013;Nature Reviews Drug Discovery 12,259−260,April 2013中のDucry,Laurent(Ed.)Antibody Drug Conjugatesを参照されたい);CTLA−4(イピリムマブ)、PD−1(ニボルマブ;ペンブロリズマブ;ピディリズマブ)、及びPD−L1(BMS−936559;MPLD3280A;MEDI4736;MSB0010718C)(例えば、Philips and Atkins,International Immunology,27(1);39−46,Oct 2014を参照されたい)、OX−40、CD137、GITR、LAG3、TIM−3、及びVISTA(例えば、Sharon et al.,Chin J Cancer.,33(9):434−444,Sep 2014;Hodi et al.,N Engl J Med,2010;Topalian et al.,N Engl J Med,366:2443‐54,2012を参照されたい)などの共刺激分子又は共抑制分子(免疫チェックポイント)に対するアゴニスト抗体、アンタゴニスト抗体、又は遮断抗体を用いる治療;ブリナツモマブなどの二重特異性T細胞誘導抗体(BiTE(登録商標))を用いる治療(例えば、米国特許第9,260,522号;米国特許出願第20140302037号を参照されたい);IL−2、IL−12、IL−15、IL−21、GM−CSF、IFN−α、IFN−β、及びIFN−γなどの生物学的応答調節物質の投与を含む治療(例えば、Sutlu T et al.,,Journ of Internal Medicine,266(2):154−181,2009;Joshi S PNAS USA,106(29):12097−12102,2009;Li Y et al.,Journal of Translational Medicine, 7:11,2009を参照されたい);シプロイセル−Tなどの治療ワクチンを用いる治療(例えば、Kantoff PW New England Journal of Medicine,363(5):411−422,2010;Schlom J.,Journal of the National Cancer Institutes,104(8):599−613,2012を参照されたい);樹状細胞ワクチンもしくは腫瘍抗原ペプチドワクチンを用いる治療;キメラ抗原受容体(CAR)−T細胞を用いる治療(例えば、Rosenberg SA Nature Reviews Cancer,8(4):299−308,2008; Porter DL et al,New England Journal of Medicine,365(8):725−733,2011;Grupp SA et al.,New England Journal of Medicine,368(16):1509−151,2013;米国特許第9,102,761号;米国特許第9,101,584号を参照されたい);CAR−NK細胞を用いる治療(例えば、Glienke et al.,Front Pharmacol,6(21):1−7,Feb 2015を参照されたい);腫瘍浸潤リンパ球(TIL)を用いる治療(例えば、Wu et al,Cancer J.,18(2):160−175,2012を参照されたい);(生体外で増殖させた及び/又はTCRトランスジェニックの)養子移入された抗腫瘍性T細胞を用いる治療(例えば、Wrzesinski et al.,J Immunother,33(1):1−7,2010を参照されたい);TALL−104細胞を用いる治療;並びにToll様受容体(TLR)アゴニストCpG及びイミキモドなどの免疫賦活剤を用いる治療(例えば、Krieg,Oncogene,27:161−167,2008;Lu,Front Immunol,5(83):1−4,March 2014を参照されたい)が含まれる。
【0188】
併用療法の使用方法
別の態様では、本発明は、個人にa)治療有効量のTAA抗体−IFN融合分子及びb)免疫療法を施すことを含む個人における増殖性疾患(がんなど)を治療するために設計された併用療法に関し、該併用療法は、エフェクター細胞による殺腫瘍細胞作用の増加をもたらし、すなわち、併用して施行された場合、TAA抗体−IFN融合分子と免疫療法との間に相乗効果が存在する。
【0189】
さまざまな実施形態では、増殖性疾患は、B細胞リンパ腫;肺がん(小細胞肺がん及び非小細胞肺がん);気管支がん;結腸直腸がん;前立腺がん;乳がん;膵臓がん;胃がん;卵巣がん;膀胱がん;脳又は中枢神経系がん;末梢神経系がん;食道がん;子宮頸がん;黒色腫;子宮又は子宮内膜がん;口腔又は咽頭のがん;肝がん;腎臓がん;胆道がん;小腸又は虫垂がん;唾液腺がん;甲状腺がん;副腎がん;骨肉腫;軟骨肉腫;脂肪肉腫;精巣がん;並びに悪性線維性組織球腫;皮膚がん;頭及び首がん;リンパ腫;肉腫;多発性骨髄腫;並びに白血病からなる群より選択されるがんである。
【0190】
さまざまな実施形態では、a)有効量の抗−TAA−IFN−α融合分子及びb)免疫療法を個人に施すことを含む、個人における増殖性疾患を治療する併用治療法が提供され、併用療法はエフェクター細胞による殺作用の増加をもたらす。さまざまな実施形態では、免疫療法は、共刺激分子又は共抑制分子に対するアゴニスト抗体、アンタゴニスト抗体、又は遮断抗体を用いる治療である。さまざまな実施形態では、免疫療法はキメラ抗原受容体(CAR)−T細胞を用いる治療である。さまざまな実施形態では、免疫療法はCAR−NK細胞を用いる治療である。さまざまな実施形態では、免疫療法は二重特異性T細胞誘導抗体(BiTE(登録商標))を用いる治療である。さまざまな実施形態では、抗TAA−IFN−α融合分子は、約0.0001〜約0.0003mg/kg、約0.0003〜約0.001mg/kg、約0.001〜約0.003mg/kg、約0.003〜約0.01mg/kg、約0.01〜約0.03mg/kg、約0.03〜約0.1mg/kg、約0.1〜約0.3mg/kg、約0.3〜約0.4mg/kg、約0.4〜約0.5mg/kg、約0.5〜約0.6mg/kg、約0.6〜約0.7mg/kg、約0.7〜約0.8mg/kg、及び約0.8〜約0.9mg/kgからなる群より選択される週間投与量で個人に投与される。さまざまな実施形態では、がんは、本発明の抗TAA抗体−IFN−α融合分子のTAAを発現する。さまざまな実施形態では、がんは、TAA発現がんの腫瘍微小環境内の非TAA発現がんである。さまざまな実施形態では、免疫療法は、TAA抗体−IFN融合分子によって標的にされるTAAと異なるTAAを標的にすることになる。
【0191】
さまざまな実施形態では、a)抗HER2/neu−IFN−α融合分子を含む医薬組成物の有効量及びb)共刺激分子又は共抑制分子(免疫チェックポイント)に対するアゴニスト抗体、アンタゴニスト抗体、又は遮断抗体を用いる免疫療法を個人に施行することを含む、個人におけるがんを治療する併用治療法が提供される。さまざまな実施形態では、がんは、乳がん、卵巣がん、及び非小細胞肺がん(NSCLC)からなる群より選択され、抗HER2/neu−IFN−α融合分子は、約0.0001〜約0.0003mg/kg、約0.0003〜約0.001mg/kg、約0.001〜約0.003mg/kg、約0.003〜約0.01mg/kg、約0.01〜約0.03mg/kg、約0.03〜約0.1mg/kg、及び約0.1〜約0.3mg/kgからなる群より選択される週間投与量で個人に投与される。さまざまな実施形態では、がんはHER2/neuを発現する。さまざまな実施形態では、がんはHER2/neu発現がんの腫瘍微小環境内の非HER2/neu発現がんである。
【0192】
さまざまな実施形態では、a)抗HER2/neu−IFN−α融合分子を含む医薬組成物の有効量及びb)キメラ抗原受容体(CAR)−T細胞を用いる免疫療法を個人に施行することを含む、個人におけるがんを治療する併用治療法が提供される。さまざまな実施形態では、がんは、乳がん、卵巣がん、及び非小細胞肺がん(NSCLC)からなる群より選択され、抗HER2/neu−IFN−α融合分子は、約0.0001〜約0.0003mg/kg、約0.0003〜約0.001mg/kg、約0.001〜約0.003mg/kg、約0.003〜約0.01mg/kg、約0.01〜約0.03mg/kg、約0.03〜約0.1mg/kg、及び約0.1〜約0.3mg/kgからなる群より選択される週間投与量で個人に投与される。さまざまな実施形態では、がんはHER2/neuを発現する。さまざまな実施形態では、がんはHER2/neu発現がんの腫瘍微小環境内の非HER2/neu発現がんである。さまざまな実施形態では、CAR−T免疫療法は、HER2/neuと異なるTAAを標的にすることになる。
【0193】
さまざまな実施形態では、a)抗HER2/neu−IFN−α融合分子を含む医薬組成物の有効量及びb)CAR−NK細胞を用いる治療を用いる免疫療法を個人に施行することを含む、個人におけるがんを治療する併用治療法が提供される。さまざまな実施形態では、がんは、乳がん、卵巣がん、及び非小細胞肺がん(NSCLC)からなる群より選択され、抗HER2/neu−IFN−α融合分子は、約0.0001〜約0.0003mg/kg、約0.0003〜約0.001mg/kg、約0.001〜約0.003mg/kg、約0.003〜約0.01mg/kg、約0.01〜約0.03mg/kg、約0.03〜約0.1mg/kg、及び約0.1〜約0.3mg/kgからなる群より選択される週間投与量で個人に投与される。さまざまな実施形態では、がんはHER2/neuを発現する。さまざまな実施形態では、がんはHER2/neu発現がんの腫瘍微小環境内の非HER2/neu発現がんである。さまざまな実施形態では、CAR−NK免疫療法は、HER2/neuと異なるTAAを標的にすることになる。
【0194】
さまざまな実施形態では、a)抗HER2/neu−IFN−α融合分子を含む医薬組成物の有効量及びb)二重特異性T細胞誘導抗体(BiTE(登録商標))を用いる免疫療法を個人に施行することを含む、個人におけるがんを治療する併用治療法が提供される。さまざまな実施形態では、がんは、乳がん、卵巣がん、及び非小細胞肺がん(NSCLC)からなる群より選択され、抗HER2/neu−IFN−α融合分子は、約0.0001〜約0.0003mg/kg、約0.0003〜約0.001mg/kg、約0.001〜約0.003mg/kg、約0.003〜約0.01mg/kg、約0.01〜約0.03mg/kg、約0.03〜約0.1mg/kg、及び約0.1〜約0.3mg/kgからなる群より選択される週間投与量で個人に投与される。さまざまな実施形態では、がんはHER2/neuを発現する。さまざまな実施形態では、がんはHER2/neu発現がんの腫瘍微小環境内の非HER2/neu発現がんである。さまざまな実施形態では、BiTE(登録商標)免疫療法は、HER2/neuと異なるTAAを標的にすることになる。
【0195】
さまざまな実施形態では、a)抗CD20−IFN−α融合分子を含む医薬組成物の有効量及びb)共刺激分子又は共抑制分子(免疫チェックポイント)に対するアゴニスト抗体、アンタゴニスト抗体、又は遮断抗体を用いる免疫療法を個人に施行することを含む、個人におけるがんを治療する併用治療法が提供される。さまざまな実施形態では、がんは、B細胞性非ホジキンリンパ腫(NHL)及びB細胞性慢性リンパ性白血病(CLL)からなる群より選択され、抗CD20−IFN−α融合分子は、約0.0001〜約0.0003mg/kg、約0.0003〜約0.001mg/kg、約0.001〜約0.003mg/kg、約0.003〜約0.01mg/kg、約0.01〜約0.03mg/kg、約0.03〜約0.1mg/kg、及び約0.1〜約0.3mg/kgからなる群より選択される週間投与量で個人に投与される。さまざまな実施形態では、がんはCD20を発現する。さまざまな実施形態では、がんはCD20発現がんの腫瘍微小環境内の非CD20発現がんである。
【0196】
さまざまな実施形態では、a)抗CD20−IFN−α融合分子を含む医薬組成物の有効量及びb)キメラ抗原受容体(CAR)−T細胞を用いる免疫療法を個人に施行することを含む、個人におけるがんを治療する併用治療法が提供される。さまざまな実施形態では、がんは、B細胞性非ホジキンリンパ腫(NHL)及びB細胞性慢性リンパ性白血病(CLL)からなる群より選択され、抗CD20−IFN−α融合分子は、約0.0001〜約0.0003mg/kg、約0.0003〜約0.001mg/kg、約0.001〜約0.003mg/kg、約0.003〜約0.01mg/kg、約0.01〜約0.03mg/kg、約0.03〜約0.1mg/kg、及び約0.1〜約0.3mg/kgからなる群より選択される週間投与量で個人に投与される。さまざまな実施形態では、がんはCD20を発現する。さまざまな実施形態では、がんはCD20発現がんの腫瘍微小環境内の非CD20発現がんである。さまざまな実施形態では、CAR−T免疫療法は、CD20と異なるTAAを標的にすることになる。
【0197】
さまざまな実施形態では、a)抗CD20−IFN−α融合分子を含む医薬組成物の有効量及びb)CAR−NK細胞を用いる治療を用いる免疫療法を個人に施行することを含む、個人におけるがんを治療する併用治療法が提供される。さまざまな実施形態では、がんは、B細胞性非ホジキンリンパ腫(NHL)及びB細胞性慢性リンパ性白血病(CLL)からなる群より選択され、抗CD20−IFN−α融合分子は、約0.0001〜約0.0003mg/kg、約0.0003〜約0.001mg/kg、約0.001〜約0.003mg/kg、約0.003〜約0.01mg/kg、約0.01〜約0.03mg/kg、約0.03〜約0.1mg/kg、及び約0.1〜約0.3mg/kgからなる群より選択される週間投与量で個人に投与される。さまざまな実施形態では、がんはCD20を発現する。さまざまな実施形態では、がんはCD20発現がんの腫瘍微小環境内の非CD20発現がんである。さまざまな実施形態では、CAR−NK免疫療法は、CD20と異なるTAAを標的にすることになる。
【0198】
さまざまな実施形態では、a)抗CD20−IFN−α融合分子を含む医薬組成物の有効量及びb)二重特異性T細胞誘導抗体(BiTE(登録商標))を用いる免疫療法を個人に施行することを含む、個人におけるがんを治療する併用治療法が提供される。さまざまな実施形態では、がんは、B細胞性非ホジキンリンパ腫(NHL)及びB細胞性慢性リンパ性白血病(CLL)からなる群より選択され、抗CD20−IFN−α融合分子は、約0.0001〜約0.0003mg/kg、約0.0003〜約0.001mg/kg、約0.001〜約0.003mg/kg、約0.003〜約0.01mg/kg、約0.01〜約0.03mg/kg、約0.03〜約0.1mg/kg、及び約0.1〜約0.3mg/kgからなる群より選択される週間投与量で個人に投与される。さまざまな実施形態では、がんはCD20を発現する。さまざまな実施形態では、がんはCD20発現がんの腫瘍微小環境内の非CD20発現がんである。さまざまな実施形態では、BiTE(登録商標)免疫療法は、CD20と異なるTAAを標的にすることになる。
【0199】
さまざまな実施形態では、a)抗CD138−IFN−α融合分子を含む医薬組成物の有効量及びb)共刺激分子又は共抑制分子(免疫チェックポイント)に対するアゴニスト抗体、アンタゴニスト抗体、又は遮断抗体を用いる免疫療法を個人に施行することを含む、個人におけるがんを治療する併用治療法が提供される。さまざまな実施形態では、がんは、多発性骨髄腫、乳がん、及び膀胱がんからなる群より選択され、抗CD138−IFN−α融合分子は、約0.0001〜約0.0003mg/kg、約0.0003〜約0.001mg/kg、約0.001〜約0.003mg/kg、約0.003〜約0.01mg/kg、約0.01〜約0.03mg/kg、約0.03〜約0.1mg/kg、及び約0.1〜約0.3mg/kgからなる群より選択される週間投与量で個人に投与される。さまざまな実施形態では、がんはCD138を発現する。さまざまな実施形態では、がんはCD138発現がんの腫瘍微小環境内の非CD138発現がんである。
【0200】
さまざまな実施形態では、a)抗CD138−IFN−α融合分子を含む医薬組成物の有効量及びb)キメラ抗原受容体(CAR)−T細胞を用いる免疫療法を個人に施行することを含む、個人におけるがんを治療する併用治療法が提供される。さまざまな実施形態では、がんは、多発性骨髄腫、乳がん、及び膀胱がんからなる群より選択され、抗CD138−IFN−α融合分子は、約0.0001〜約0.0003mg/kg、約0.0003〜約0.001mg/kg、約0.001〜約0.003mg/kg、約0.003〜約0.01mg/kg、約0.01〜約0.03mg/kg、約0.03〜約0.1mg/kg、及び約0.1〜約0.3mg/kgからなる群より選択される週間投与量で個人に投与される。さまざまな実施形態では、がんはCD138を発現する。さまざまな実施形態では、がんはCD138発現がんの腫瘍微小環境内の非CD138発現がんである。さまざまな実施形態では、CAR−T免疫療法は、CD138と異なるTAAを標的にすることになる。
【0201】
さまざまな実施形態では、a)抗CD138−IFN−α融合分子を含む医薬組成物の有効量及びb)CAR−NK細胞を用いる治療を用いる免疫療法を個人に施行することを含む、個人におけるがんを治療する併用治療法が提供される。さまざまな実施形態では、がんは、多発性骨髄腫、乳がん、及び膀胱がんからなる群より選択され、抗CD138−IFN−α融合分子は、約0.0001〜約0.0003mg/kg、約0.0003〜約0.001mg/kg、約0.001〜約0.003mg/kg、約0.003〜約0.01mg/kg、約0.01〜約0.03mg/kg、約0.03〜約0.1mg/kg、及び約0.1〜約0.3mg/kgからなる群より選択される週間投与量で個人に投与される。さまざまな実施形態では、がんはCD138を発現する。さまざまな実施形態では、がんはCD138発現がんの腫瘍微小環境内の非CD138発現がんである。さまざまな実施形態では、CAR−NK免疫療法は、CD138と異なるTAAを標的にすることになる。
【0202】
さまざまな実施形態では、a)抗CD138−IFN−α融合分子を含む医薬組成物の有効量及びb)二重特異性T細胞誘導抗体(BiTE(登録商標))を用いる免疫療法を個人に施行することを含む、個人におけるがんを治療する併用治療法が提供される。さまざまな実施形態では、がんは、多発性骨髄腫、乳がん、及び膀胱がんからなる群より選択され、抗CD138−IFN−α融合分子は、約0.0001〜約0.0003mg/kg、約0.0003〜約0.001mg/kg、約0.001〜約0.003mg/kg、約0.003〜約0.01mg/kg、約0.01〜約0.03mg/kg、約0.03〜約0.1mg/kg、及び約0.1〜約0.3mg/kgからなる群より選択される週間投与量で個人に投与される。さまざまな実施形態では、がんはCD138を発現する。さまざまな実施形態では、がんはCD138発現がんの腫瘍微小環境内の非CD138発現がんである。さまざまな実施形態では、BiTE(登録商標)免疫療法は、CD138と異なるTAAを標的にすることになる。
【0203】
さまざまな実施形態では、a)抗GRP94−IFN−α融合分子を含む医薬組成物の有効量及びb)共刺激分子又は共抑制分子(免疫チェックポイント)に対するアゴニスト抗体、アンタゴニスト抗体、又は遮断抗体を用いる免疫療法を個人に施行することを含む、個人におけるがんを治療する併用治療法が提供される。さまざまな実施形態では、がんは、NSCLC、急性脊髄性白血病(AML)、多発性骨髄腫、黒色腫、及び膵がんからなる群より選択され、抗GRP94−IFN−α融合分子は、約0.0001〜約0.0003mg/kg、約0.0003〜約0.001mg/kg、約0.001〜約0.003mg/kg、約0.003〜約0.01mg/kg、約0.01〜約0.03mg/kg、約0.03〜約0.1mg/kg、及び約0.1〜約0.3mg/kgからなる群より選択される週間投与量で個人に投与される。さまざまな実施形態では、がんはGRP94を発現する。さまざまな実施形態では、がんはGRP94発現がんの腫瘍微小環境内の非GRP94発現がんである。
【0204】
さまざまな実施形態では、a)抗GRP94−IFN−α融合分子を含む医薬組成物の有効量及びb)キメラ抗原受容体(CAR)−T細胞を用いる免疫療法を個人に施行することを含む、個人におけるがんを治療する併用治療法が提供される。さまざまな実施形態では、がんは、NSCLC、急性脊髄性白血病(AML)、多発性骨髄腫、黒色腫、及び膵がんからなる群より選択され、抗GRP94−IFN−α融合分子は、約0.0001〜約0.0003mg/kg、約0.0003〜約0.001mg/kg、約0.001〜約0.003mg/kg、約0.003〜約0.01mg/kg、約0.01〜約0.03mg/kg、約0.03〜約0.1mg/kg、及び約0.1〜約0.3mg/kgからなる群より選択される週間投与量で個人に投与される。さまざまな実施形態では、がんはGRP94を発現する。さまざまな実施形態では、がんはGRP94発現がんの腫瘍微小環境内の非GRP94発現がんである。さまざまな実施形態では、CAR−T免疫療法は、GRP94と異なるTAAを標的にすることになる。
【0205】
さまざまな実施形態では、a)抗GRP94−IFN−α融合分子を含む医薬組成物の有効量及びb)CAR−NK細胞を用いる治療を用いる免疫療法を個人に施行することを含む、個人におけるがんを治療する併用治療法が提供される。さまざまな実施形態では、がんは、NSCLC、急性脊髄性白血病(AML)、多発性骨髄腫、黒色腫、及び膵がんからなる群より選択され、抗GRP94−IFN−α融合分子は、約0.0001〜約0.0003mg/kg、約0.0003〜約0.001mg/kg、約0.001〜約0.003mg/kg、約0.003〜約0.01mg/kg、約0.01〜約0.03mg/kg、約0.03〜約0.1mg/kg、及び約0.1〜約0.3mg/kgからなる群より選択される週間投与量で個人に投与される。さまざまな実施形態では、がんはGRP94を発現する。さまざまな実施形態では、がんはGRP94発現がんの腫瘍微小環境内の非GRP94発現がんである。さまざまな実施形態では、CAR−NK免疫療法は、GRP94と異なるTAAを標的にすることになる。
【0206】
さまざまな実施形態では、a)抗GRP94−IFN−α融合分子を含む医薬組成物の有効量及びb)二重特異性T細胞誘導抗体(BiTE(登録商標))を用いる免疫療法を個人に施行することを含む、個人におけるがんを治療する併用治療法が提供される。さまざまな実施形態では、がんは、NSCLC、急性脊髄性白血病(AML)、多発性骨髄腫、黒色腫、及び膵がんからなる群より選択され、抗GRP94−IFN−α融合分子は、約0.0001〜約0.0003mg/kg、約0.0003〜約0.001mg/kg、約0.001〜約0.003mg/kg、約0.003〜約0.01mg/kg、約0.01〜約0.03mg/kg、約0.03〜約0.1mg/kg、及び約0.1〜約0.3mg/kgからなる群より選択される週間投与量で個人に投与される。さまざまな実施形態では、がんはGRP94を発現する。さまざまな実施形態では、がんはGRP94発現がんの腫瘍微小環境内の非GRP94発現がんである。さまざまな実施形態では、BiTE(登録商標)免疫療法は、GRP94と異なるTAAを標的にすることになる。
【0207】
さまざまな実施形態では、a)抗CD33−IFN−α融合分子を含む医薬組成物の有効量及びb)共刺激分子又は共抑制分子に対するアゴニスト抗体、アンタゴニスト抗体、又は遮断抗体(免疫チェックポイント)を用いる免疫療法を個人に施行することを含む、個人におけるがんを治療する併用治療法が提供される。さまざまな実施形態では、がんは、AML、慢性脊髄性白血病(CML)、及び多発性骨髄腫からなる群より選択され、抗CD33−IFN−α融合分子は、約0.0001〜約0.0003mg/kg、約0.0003〜約0.001mg/kg、約0.001〜約0.003mg/kg、約0.003〜約0.01mg/kg、約0.01〜約0.03mg/kg、約0.03〜約0.1mg/kg、及び約0.1〜約0.3mg/kgからなる群より選択される週間投与量で個人に投与される。さまざまな実施形態では、がんはCD33を発現する。さまざまな実施形態では、がんはCD33発現がんの腫瘍微小環境内の非CD33発現がんである。
【0208】
さまざまな実施形態では、a)抗CD33−IFN−α融合分子を含む医薬組成物の有効量及びb)キメラ抗原受容体(CAR)−T細胞を用いる免疫療法を個人に施行することを含む、個人におけるがんを治療する併用治療法が提供される。さまざまな実施形態では、がんは、AML、慢性脊髄性白血病(CML)、及び多発性骨髄腫からなる群より選択され、抗CD33−IFN−α融合分子は、約0.0001〜約0.0003mg/kg、約0.0003〜約0.001mg/kg、約0.001〜約0.003mg/kg、約0.003〜約0.01mg/kg、約0.01〜約0.03mg/kg、約0.03〜約0.1mg/kg、及び約0.1〜約0.3mg/kgからなる群より選択される週間投与量で個人に投与される。さまざまな実施形態では、がんはCD33を発現する。さまざまな実施形態では、がんはCD33発現がんの腫瘍微小環境内の非CD33発現がんである。さまざまな実施形態では、CAR−T免疫療法は、CD33と異なるTAAを標的にすることになる。
【0209】
さまざまな実施形態では、a)抗CD33−IFN−α融合分子を含む医薬組成物の有効量及びb)CAR−NK細胞を用いる治療を用いる免疫療法を個人に施行することを含む、個人におけるがんを治療する併用治療法が提供される。さまざまな実施形態では、がんは、AML、慢性脊髄性白血病(CML)、及び多発性骨髄腫からなる群より選択され、抗CD33−IFN−α融合分子は、約0.0001〜約0.0003mg/kg、約0.0003〜約0.001mg/kg、約0.001〜約0.003mg/kg、約0.003〜約0.01mg/kg、約0.01〜約0.03mg/kg、約0.03〜約0.1mg/kg、及び約0.1〜約0.3mg/kgからなる群より選択される週間投与量で個人に投与される。さまざまな実施形態では、がんはCD33を発現する。さまざまな実施形態では、がんはCD33発現がんの腫瘍微小環境内の非CD33発現がんである。さまざまな実施形態では、CAR−NK免疫療法は、CD33と異なるTAAを標的にすることになる。
【0210】
さまざまな実施形態では、a)抗CD33−IFN−α融合分子を含む医薬組成物の有効量及びb)二重特異性T細胞誘導抗体(BiTE(登録商標))を用いる免疫療法を個人に施行することを含む、個人におけるがんを治療する併用治療法が提供される。さまざまな実施形態では、がんは、AML、慢性脊髄性白血病(CML)、及び多発性骨髄腫からなる群より選択され、抗CD33−IFN−α融合分子は、約0.0001〜約0.0003mg/kg、約0.0003〜約0.001mg/kg、約0.001〜約0.003mg/kg、約0.003〜約0.01mg/kg、約0.01〜約0.03mg/kg、約0.03〜約0.1mg/kg、及び約0.1〜約0.3mg/kgからなる群より選択される週間投与量で個人に投与される。さまざまな実施形態では、がんはCD33を発現する。さまざまな実施形態では、がんはCD33発現がんの腫瘍微小環境内の非CD33発現がんである。さまざまな実施形態では、BiTE(登録商標)免疫療法は、CD33と異なるTAAを標的にすることになる。
【0211】
さまざまな実施形態では、a)抗CD70−IFN−α融合分子を含む医薬組成物の有効量及びb)共刺激分子又は共抑制分子(免疫チェックポイント)に対するアゴニスト抗体、アンタゴニスト抗体、又は遮断抗体を用いる免疫療法を個人に施行することを含む、個人におけるがんを治療する併用治療法が提供され、併用療法はエフェクター細胞による殺作用の増加をもたらす。さまざまな実施形態では、がんは、腎細胞癌(RCC)、ワルデンストレームマクログロブリン血症、多発性骨髄腫、及びNHLからなる群より選択され、抗CD70−IFN−α融合分子は、約0.0001〜約0.0003mg/kg、約0.0003〜約0.001mg/kg、約0.001〜約0.003mg/kg、約0.003〜約0.01mg/kg、約0.01〜約0.03mg/kg、約0.03〜約0.1mg/kg、及び約0.1〜約0.3mg/kgからなる群より選択される週間投与量で個人に投与される。さまざまな実施形態では、がんはCD70を発現する。さまざまな実施形態では、がんはCD70発現がんの腫瘍微小環境内の非CD70発現がんである。
【0212】
さまざまな実施形態では、a)抗CD70−IFN−α融合分子を含む医薬組成物の有効量及びb)キメラ抗原受容体(CAR)−T細胞を用いる免疫療法を個人に施行することを含む、個人におけるがんを治療する併用治療法が提供される。さまざまな実施形態では、がんは、腎細胞癌(RCC)、ワルデンストレームマクログロブリン血症、多発性骨髄腫、及びNHLからなる群より選択され、抗CD70−IFN−α融合分子は、約0.0001〜約0.0003mg/kg、約0.0003〜約0.001mg/kg、約0.001〜約0.003mg/kg、約0.003〜約0.01mg/kg、約0.01〜約0.03mg/kg、約0.03〜約0.1mg/kg、及び約0.1〜約0.3mg/kgからなる群より選択される週間投与量で個人に投与される。さまざまな実施形態では、がんはCD70を発現する。さまざまな実施形態では、がんはCD70発現がんの腫瘍微小環境内の非CD70発現がんである。さまざまな実施形態では、CAR−T免疫療法は、CD70と異なるTAAを標的にすることになる。
【0213】
さまざまな実施形態では、a)抗CD70−IFN−α融合分子を含む医薬組成物の有効量及びb)CAR−NK細胞を用いる治療を用いる免疫療法を個人に施行することを含む、個人におけるがんを治療する併用治療法が提供される。さまざまな実施形態では、がんは、腎細胞癌(RCC)、ワルデンストレームマクログロブリン血症、多発性骨髄腫、及びNHLからなる群より選択され、抗CD70−IFN−α融合分子は、約0.0001〜約0.0003mg/kg、約0.0003〜約0.001mg/kg、約0.001〜約0.003mg/kg、約0.003〜約0.01mg/kg、約0.01〜約0.03mg/kg、約0.03〜約0.1mg/kg、及び約0.1〜約0.3mg/kgからなる群より選択される週間投与量で個人に投与される。さまざまな実施形態では、がんはCD70を発現する。さまざまな実施形態では、がんはCD70発現がんの腫瘍微小環境内の非CD70発現がんである。さまざまな実施形態では、CAR−NK免疫療法は、CD70と異なるTAAを標的にすることになる。
【0214】
さまざまな実施形態では、a)抗CD70−IFN−α融合分子を含む医薬組成物の有効量及びb)二重特異性T細胞誘導抗体(BiTE(登録商標))を用いる免疫療法を個人に施行することを含む、個人におけるがんを治療する併用治療法が提供される。さまざまな実施形態では、がんは、腎細胞癌(RCC)、ワルデンストレームマクログロブリン血症、多発性骨髄腫、及びNHLからなる群より選択され、抗CD70−IFN−α融合分子は、約0.0001〜約0.0003mg/kg、約0.0003〜約0.001mg/kg、約0.001〜約0.003mg/kg、約0.003〜約0.01mg/kg、約0.01〜約0.03mg/kg、約0.03〜約0.1mg/kg、及び約0.1〜約0.3mg/kgからなる群より選択される週間投与量で個人に投与される。さまざまな実施形態では、がんはCD70を発現する。さまざまな実施形態では、がんはCD70発現がんの腫瘍微小環境内の非CD70発現がんである。さまざまな実施形態では、BiTE(登録商標)免疫療法はTAA that CD70を標的にすることになる。
【0215】
さまざまな実施形態では、併用治療法は、TAA抗体−IFN融合分子及び免疫療法を同時に、同じ医薬組成物または別個の医薬組成物で施行することを含む。代替的に、TAA抗体−IFN融合分子及び免疫療法は、順次連続して施行される。すなわち、TAA抗体−IFN融合分子は免疫療法の前後いずれかに投与される。
【0216】
さまざまな実施形態では、TAA抗体−IFN融合分子及び免疫療法の投与は並行し、すなわち、TAA抗体−IFN融合分子及び免疫療法の施行期間は互いに重なる。
【0217】
さまざまな実施形態では、TAA抗体−IFN融合分子及び免疫療法の施行は並行しない。例えば、さまざまな実施形態では、TAA抗体−IFN融合分子は免疫療法の施行前に投与される。さまざまな実施形態では、TAA抗体−IFN融合分子は、免疫療法の施行の、約1時間前、約2時間前、約3時間前、約4時間前、約5時間前、約6時間前、約7時間前、約8時間前、約9時間前、約10時間前、約11時間前、約12時間前、約13時間前、約14時間前、約15時間前、約16時間前、約17時間前、約18時間前、約19時間前、約20時間前、約21時間前、約22時間前、約23時間前、約1日前、約2日前、約3日前、約4日前、約5日前、約6日前、及び約1週前からなる群より選択される時点に投与される。
【0218】
さまざまな実施形態では、TAA抗体−IFN融合分子の投与前に施行される。さまざまな実施形態では、免疫療法は、TAA抗体−IFN融合分子の投与の、約1時間前、約2時間前、約3時間前、約4時間前、約5時間前、約6時間前、約7時間前、約8時間前、約9時間前、約10時間前、約11時間前、約12時間前、約13時間前、約14時間前、約15時間前、約16時間前、約17時間前、約18時間前、約19時間前、約20時間前、約21時間前、約22時間前、約23時間前、約1日前、約2日前、約3日前、約4日前、約5日前、約6日前、及び約1週間前からなる群より選択される時点に施行される。
【0219】
さまざまな実施形態では、TAA抗体−IFN融合分子の投与は、免疫療法が施行される前に中止される。いくつかの実施形態では、免疫療法の施行は、TAA抗体−IFN融合分子が投与される前に中止される。
【0220】
これらのさまざまな併用療法は「相乗効果」をもたらしうる。すなわち、活性成分を一緒に用いたとき達成される効果が、化合物を別々に使用することによって生じる効果の和よりも大きい。
【0221】
核酸分子及び融合分子発現
本出願はさらに、本明細書に記載の遺伝子組換え改変融合分子をコードするヌクレオチド配列を含む核酸分子を提供する。遺伝子コードの縮重に起因して、さまざまな核酸配列が各融合分子アミノ酸配列をコードする。本出願はさらに、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下、又は例えば、本明細書において定義されているようなストリンジェンシーがより低いハイブリダイゼーション条件下で融合分子をコードする核酸分子にハイブリダイズする核酸分子を提供する。ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件としては、6×SSC中約45℃でフィルター結合DNAへのハイブリダイゼーション後、0.2×SSC/0.1%SDS中約50〜65℃で1回以上の洗浄、6×SSC中約45℃でフィルター結合DNAへのハイブリダイゼーション後、0.1×SSC/0.2%SDS中約60℃で1回以上の洗浄などの高ストリンジェントな条件、又は当業者に公知の他のいずれのストリンジェントなハイブリダイゼーション条件(例えば、Ausubel,F.M.et al.,eds.1989 Current Protocols in Molecular Biology,vol.1,Green Publishing Associates,Inc.and John Wiley and Sons,Inc.,NY at pages 6.3.1 to 6.3.6 and 2.10.3を参照されたい)が挙げられるが、それらに限定されない。
【0222】
当該技術分野において公知のいずれの方法によっても、核酸分子は入手でき、核酸分子のヌクレオチド配列は決定することができる。例えば、融合分子のヌクレオチド配列が既知である場合、(例えば、Kutmeier et al.,BioTechniques 17:242,1994に記載のように)融合分子をコードする核酸分子は化学的に合成したオリゴヌクレオチドから組み立てられうる。手短に、抗体をコードする配列の部分を含むオーバーラップするオリゴヌクレオチドの合成、それらのオリゴヌクレオチドのアニーリング及びライゲーション、次いでライゲーションしたオリゴヌクレオチドのPCRによる増幅を含む。1つの実施形態では、使用されるコドンはヒト又はマウスに典型的なものを含む(例えば、Nakamura,Y.,Nucleic Acids Res.28:292,2000を参照されたい)。
【0223】
融合分子をコードする核酸分子は、適切な供給源に由来する核酸からも生成されうる。例えば、特定の抗体をコードする核酸を含むクローンは入手できないが、抗体分子の配列は既知である場合、免疫グロブリンをコードする核酸は、化学的に合成してもよく、又は配列の3’末端及び5’末端にハイブリダイズ可能な合成プライマーを用いてPCR増幅することによって、若しくは同定すべき特定の遺伝子配列、例えば、cDNAクローンに特異的なオリゴヌクレオチドプローブを用いて抗体をコードするcDNAライブラリーからクローニングすることによって、適切なソース(例えば、抗体cDNAライブラリー、若しくは抗体を発現するために選ばれたハイブリドーマ細胞などの抗体を発現するいずれの組織若しくは細胞から精製されたcDNAライブラリー又は該組織若しくは該細胞から単離された核酸、好ましくは、ポリA+RNA)から得てもよい。PCRによって作られた増幅核酸は次に、当該技術分野において周知であるいずれかの方法によって複製可能なクローニングベクターにクローニングされうる。
【0224】
本開示の1つの実施形態では、適切な抗体フレームワークをコードする核酸配列は、(随意に例えば、原核生物又は真核生物用の、例えば、発現ベクター)適切なベクターにクローニング及びライゲーションされる。くわえて、適切なインターフェロン分子をコードする核酸配列は随意に、ベクターの発現は抗体−インターフェロン分子融合分子を生み出すように、同じベクターに適切な向き及び適切な位置にクローニングされる。いくつかの随意の実施形態は、発現後修飾、例えば、抗体サブユニットのアセンブリなども必要とする。上記(及び類似)の操作のため手法及び技術は当業者に周知である。関連する使用説明は、例えば、Sambrook et al.,Molecular Cloning−−A Laboratory Manual(第2版)、1〜3巻、コールドスプリングハーバー研究所、コールドスプリングハーバー、ニューヨーク州、1989年及びCurrent Protocols in Molecular Biology,F.M.Ausubel et al.,eds.,Current Protocols,Greene Publishing Associates,Inc.とJohn Wiley & Sons,Inc.との合弁事業(1999年まで増補)に見出される。
【0225】
本開示は、本開示の融合分子を発現する宿主細菌も対象とする。複製及び融合タンパク質の組換え発現のサポートに適した宿主細胞は当該技術分野において周知である。そのような細胞は特定の発現ベクターで適宜トランスフェクション又は形質導入されうる。大量のベクター含有細胞が大型発酵槽に播種するために培養されて充分量の臨床用途のためのタンパク質を得ることができる。そのような細胞としては、大腸菌などの原核微生物;チャイニーズハムスター卵巣細胞(CHO)、NSO、HEK293;酵母;昆虫細胞;ハイブリドーマ;ヒト細胞株などのさまざまな真核細胞;並びにトランスジェニック動物及びトランスジェニック植物などが挙げられうる。これらの系で外来遺伝子を発現するための標準的な技術は、当該技術分野において公知である。典型的には、組換えタンパク質遺伝子は、各宿主に適した発現制御配列に動作可能に連結される。大腸菌については、この発現制御配列は、T7、trp、又はラムダプロモーターなどのプロモーター、リボソーム結合部位、及び好ましくは、転写終結シグナルを含む。真核細胞については、制御配列は、プロモーター並びに好ましくは、免疫グロブリン遺伝子、SV40、サイトメガロウイルスなどに由来するエンハンサー及びポリアデニル化配列を含むことになり、スプライスドナー配列及びスプライスアクセプター配列を含みうる。
【0226】
抗体−IFN融合分子を遺伝子組換えで発現するには、宿主細胞は、抗体の免疫グロブリン軽鎖及び/又は重鎖並びに結合インターフェロンをコードするDNA断片をもつ1つ以上の組換え発現ベクターで、形質転換、形質導入、感染などされ、その結果、軽鎖及び/又は重鎖は宿主細胞で発現される。重鎖及び軽鎖は、1つのベクター内で動作可能に連結される相異なるプロモーターから独立して発現されてもよく、又は代替的に、重鎖及び軽鎖は、重鎖を発現する1つのベクター及び軽鎖を発現する1つのベクターの2つのベクター内で動作可能に連結される異なるプロモーターから独立して発現されてもよい。随意に、重鎖及び軽鎖は異なる宿主細菌で発現されてもよい。
【0227】
くわえて、組換え発現ベクターは、宿主細胞からの抗体軽鎖及び/又は重鎖の分泌を容易にするシグナルペプチドをコードすることができる。抗体軽鎖及び/又は重鎖遺伝子は、シグナルペプチドが抗体鎖遺伝子のアミノ末端にインフレームで動作可能に連結されるようにベクターにクローニングする。シグナルペプチドは、免疫グロブリンシグナルペプチド又は異種シグナルペプチドであることができる。好ましくは、組換え抗体は宿主細菌が培養され、抗体が回収又は精製できる培地に分泌される。
【0228】
HCVRをコードするDNAは、HCVRをコードするDNAを、重鎖定常領域をコードする別のDNA分子に動作可能に連結することによって完全長重鎖遺伝子に変換することができる。ヒト重鎖定常領域遺伝子及び他の哺乳類の重鎖定常領域遺伝子の配列は当技術分野において公知である。これらの領域を包含するDNA断片は、例えば、標準的なPCR増幅によって得ることができる。Kabat(上記を参照)に記載のように、重鎖定常領域は、いずれのタイプ(例えば、IgG、IgA、IgE、IgM、若しくはIgD)、クラス(例えば、IgG、IgG、IgG、及びIgG)又はサブクラス定常領域、及びそのいずれのアロタイプバリアントであることができる。
【0229】
LCVR領域をコードする単離DNAは、LCVRをコードするDNAを、軽鎖定常領域をコードする別のDNA分子に動作可能に連結することによって完全長軽鎖遺伝子(及びFab軽鎖遺伝子)に変換されうる。ヒト軽鎖定常部遺伝子及び他の哺乳類軽鎖定常部遺伝子の配列は当技術分野において公知である。これらの領域を包含するDNA断片は標準的なPCR増幅によって得ることができる。軽鎖定常領域は、カッパ又はラムダ定常領域であることができる。
【0230】
くわえて、本開示の組換え発現ベクターは追加の配列、例えば、宿主細菌内のベクターの複製を調節する配列(例えば、複製起点)及び1つ以上の選択可能マーカー遺伝子を有してもよい。選択可能マーカー遺伝子は、ベクターが導入された宿主細菌の選択を容易にする。例えば、典型的には、選択可能マーカー遺伝子は、ベクターが導入された宿主細菌に、G418、ハイグロマイシン、又はメトトレキサートなどの薬剤に対する耐性を付与する。好ましい選択可能マーカー遺伝子としては、ジヒドロ葉酸レダクターゼ(dhfr)遺伝子(メトトレキサート選択/増幅を伴うdhfr欠損宿主細菌で用いる)、neo遺伝子(G418選択用)、及びGS陰性細胞株(NSOなど)における選択/増幅のためのグルタミン合成酵素(GS)が挙げられる。
【0231】
軽鎖及び/又は重鎖を結合インターフェロンとともに発現するために、重鎖及び/又は軽鎖をコードする発現ベクターは、標準的な技術、例えば、エレクトロポーレーション、リン酸カルシウム沈殿、DEAE‐デキストラントランスフェクション、形質導入、感染などによって宿主細胞に導入される。理論的には原核生物宿主細菌又は真核生物宿主細菌のいずれでも本開示の抗体を発現することが可能であるが、真核細胞宿主細菌及び最も具体的には哺乳類宿主細菌がより典型的であり、その理由は そのような細胞は適切に折り畳まれ、且つ免疫学的に活性のある抗体をアセンブリ及び分泌する可能性が高いからである。本開示の組換え抗体を発現するための哺乳類宿主細菌としては、チャイニーズハムスター卵巣(CHO細胞)[例えば、Kaufman and Sharp,J.Mol.Biol.159:601−21,1982に記載されるようにDHFR選択可能マーカーとともに使用される、Urlaub and Chasin,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 77:4216−20,1980に記載されるようなdhfr欠損CHO細胞を含む]、NSO骨髄腫細胞、COS細胞、及びSP2/0細胞が挙げられる。抗体遺伝子をコードする組換え発現ベクターが、哺乳類宿主細菌に導入される場合、抗体は、宿主細菌での抗体の発現、又はより好ましくは、宿主細菌が当技術分野において公知である適切な条件下で培養される培養培地への抗体の分泌を可能にするのに十分な期間、宿主細菌を培養することによって産生される。抗体は、標準的な精製方法を用いて宿主細胞及び/又は培養培地から回収することができる。
【0232】
いったん発現すると、本開示の完全な抗体、個々の軽鎖及び重鎖、又は他の免疫グロブリン型は、硫酸アンモニウム沈殿、イオン交換、アフィニティー(例えば、プロテインA)、逆相、疎水相互作用カラムクロマトグラフィー、ハイドロキシアパタイトクロマトグラフィー、ゲル電気泳動などを含む当該技術分野で標準的な手順に従って精製することができる。治療用抗体の精製のための標準的な手順は、例えば、「Current Therapeutic Antibody Production and Process Optimization」(BioProcessing Journal,September/October 2005)と題する論文で、Feng L1,Joe X. Zhou,Xiaoming Yang,Tim Tressel,and Brian Leeによって記述されている。くわえて、遺伝子組換えで発現された抗体調製物からウイルスを除去する標準的な技術も当該技術分野において公知である(例えば、Gerd Kern and Mani Krishnan,”Viral Removal by Filtration: Points to Consider”(Biopharm International,October 2006)を参照されたい)。治療用抗体の調製物からウイルスを除去するための濾過の効果は、濾過する溶液中のタンパク質及び/又は抗体の濃度に少なくとも部分的に依存することが知られている。本開示の抗体の精製プロセスは、1つ以上のクロマトグラフィー操作のメインストリームからウイルスを除去するための濾過ステップを含みうる。好ましくは、医薬品グレードナノフィルターを通して濾過してウイルスを除去する前に、本開示の抗体を含むクロマトグラフィーメインストリームは全タンパク質及び/又は総抗体濃度が約1g/L〜約3g/Lとなるように希釈又は濃縮される。よりいっそう好ましくは、ナノフィルターはDV20ナノフィルター(例えば、Pall Corporation、イースト・ヒルズ、ニューヨーク州)である。医薬用途には、均一性が少なくとも約90%、約92%、約94%、又は約96%である実質的に純粋な免疫グロブリンが好ましく、約98〜約99%又はそれより大きい均一性が最も好ましい。無菌抗体は、部分的に又は所望のような均一性にまで精製されると、その後、本明細書において示されるように、治療的に使用されうる。
【0233】
前述の考察に鑑みて、本開示はさらに、核酸が発現するように、本開示の抗体をコードする核酸分子を含んでなる核酸分子又はベクターによって形質転換された宿主細胞、例えば、限定されないが、哺乳類細胞、植物細胞、細菌細胞、トランスジェニック動物細胞、又はトランスジェニック植物細胞を培養するステップ及び随意に、宿主細胞培養培地から抗体を回収するステップを含む過程によって得ることができる融合分子を対象とする。
【0234】
キット
ある実施形態では、本開示はがん治療及び/又は補助療法のキットをもたらす。典型的には、キットは本開示のTAA抗体−IFN融合分子が入った容器を含む。TAA抗体−IFN融合分子は薬理学的に許容可能な賦形剤中に存在することができる。キットは随意に免疫療法がん剤を含んでもよい。
【0235】
くわえて、キットは随意に、がんを治療するためにTAA抗体−IFN融合分子及び/又は免疫療法を使用する手段を開示する取扱説明資料を含むことができる。また、取扱説明資料は随意に、好ましい投与量、禁忌などを教示してもよい。
【0236】
またキットは、キットがそのために設計されている特定の用途を容易にする追加構成要素も含むことができる。よって、例えば、創傷を消毒する手段、痛みを軽減する手段、創傷被覆材を付ける手段などが追加で含まれる。
【0237】
取扱説明資料は典型的には書物又は印刷物をからなるが、そのようなものに限定されない。そのような取扱説明書を保存し、それをエンドユーザーに伝えることができるいずれの媒体も本開示によって企図される。そのような媒体としては、電子記憶媒体(例えば、磁気ディスク、テープ、カートリッジ、チップ)、光媒体(例えば、CD ROM)などが挙げられるが、これらに限定されない。そのような媒体は、そのような取扱説明資料を提供するインターネットサイトのアドレスが含まれうる。
【実施例】
【0238】
本発明をさらに詳細に記載するために以下の例を提供する。
【0239】
実施例1
本明細書に記載のように調製した組換え抗CD20抗体−wtIFN−α2b融合分子(以降、「IGN002」と呼ぶ)が、インヒトロで数多くの細胞株に対して及びマウスで増大するヒト異種移植腫瘍の定着に対して優れた抗リンパ腫活性を示すことを本発明の発明者らは以前に報告した(Xuan et al.,Blood 115:2864−71,2010;Timmerman J et al,Blood 126(23):2762,2015)。具体的には、非臨床試験において、IGN002は選択的にCD20陽性細胞に結合し、融合パートナー各々単独と比べて、CD20陽性NHL細胞株に対するインヒトロでの強力な抗増殖活性(0.1〜2.1pMのEC50値)を示した。またIGN002は、NHL細胞に対して、リツキシマブと比較して増強されたサイトカイン依存性細胞傷害性(CDC)活性及び抗体依存性細胞介在性細胞傷害(ADCC)活性を示し、NHL細胞株に対する強力なアポトーシス促進活性(1.9pM〜2.7nMのEC50値)を示した(図2を参照されたい)。とりわけ、非融合IFN−αと比較してIGN002では抗ウイルス性活性が270倍低下し、モル同等レベルの非融合IFNαと比較して、全身性の有害事象(AE)の減衰に起因するIGN002の高い治療指数の可能性が示唆された。
【0240】
3つの異なるヒトNHL細胞株を用いた免疫不全マウスにおける異種移植研究は、IGN002の抗腫瘍活性をリツキシマブ及び対照mAb−IFN−α融合分子と比較した。3つのNHL異種移植腫瘍株すべてに対して、IGN002は生存期間中央値及び全体的な生存率で測定して生体内での優れた抗腫瘍有効性を示した。ラージバーキットリンパ腫瘍に対して、リツキシマブと比べて25倍低いモル投与量で投与された場合にIGN002は同等の有効性を保持した。ダウディバーキットリンパ腫瘍に対して、IGN002で治療した動物の100%が、完全な腫瘍退縮を経験し、試験の期間中生存したのに対して、等モル投与量レベルのリツキシマブを用いて治療した動物はわずか12.5%しか生存しなかった(p≦0.0005)。OCI−Ly19 DLBCL異種移植腫瘍をもつマウスのIGN002治療は、リツキシマブ治療と比べて著しく長い生存をもたらした(それぞれ、96.5日対58日の生存期間中央値、p<0.0001)。また、IGN002治療が、OCI−Ly19腫瘍の進行のより明らかな遅延を示し、且つ同じ投与量での非標的対照mAb−IFN−α融合分子の59日と比較して、96.5日の著しく長い生存期間中央値(p<0.0001)を伴ったより優れた抗腫瘍活性を示したように、IFN−αのCD20標的送達の重要性も示された。
【0241】
実施例2
この例では、本明細書に記載の方法を用いて、配列番号12に記載のアミノ酸配列をもち、配列番号13に記載のアミノ酸配列をもつ軽鎖をもつ抗GRP94抗体を含むTAA抗体−IFN融合分子を次のように作製した。配列番号1に記載のアミノ酸配列をもつインターフェロン分子を抗GRP94抗体重鎖のC末端に配列番号18のアミノ酸配列をもつリンカーを用いて連結した(この融合は以降「IGN004」と呼ぶ)。
【0242】
さまざまな固形腫瘍及び血液がん細胞株のGRP94の発現をフローサイトメトリーで評価した。細胞を、10個の細胞あたり2μgの抗GRP94抗体と氷上で1時間インキュベーションした。インキュベーション後、細胞を2回洗い、次いで結合したmAbを抗ヒトIgG(Fc)−FITC抗体で検出した。試料をベックマン・コールターCytomics FC500又はGaliosフローサイトメーター装置を用いたフローサイトメトリーで分析し、WinMDIソフトウェアを用いてデータを解析した。対照は、抗GRP94抗体とその後のIgG2a,κ−FITCアイソタイプ対照及び抗ヒトIgG(Fc特異的)−FITC単独を含んだ。フローサイトメトリーの結果を表6に示す。抗GRP94抗体は、黒色腫、NSCLC、AML、及びMMを含む、調べた腫瘍細胞株の大部分に結合した。
【0243】
さまざまな原発性ヒト腫瘍及び(免疫不全マウス内で増殖させた)患者由来ヒト異種移植腫瘍のGRP94の発現を、免疫組織化学(IHC)を用いて評価した。IHCの結果を表7に示す。
【0244】
この場合もやはり、抗GRP94抗体は、IHCで試験した原発固形腫瘍試料のほぼ100%に結合した。
【0245】
実施例3
この例では、非標的設定及び標的設定でそれぞれ、IGN004のSTAT1リン酸化及び増殖阻害活性を非融合IFN−α2bと比較した。
【0246】
非標的STAT1リン酸化実験に関して、ダウディNHL腫瘍細胞(GRP94陰性)を、示されている濃度のIGN004又はIFN−α2bで15分間インキュベーションし、次いで細胞を固定し、透過処理して、PE標識抗−STAT1(pY701)又はPE標識アイソタイプ対照で細胞内染色した。洗浄後、試料をフローサイトメトリーで解析した。プリズムソフトウェアを用いた非線形回帰分析によって用量反応曲線を作成した。標的増殖阻害実験に関して、GRP94陽性NCI−H1299 NSCLC腫瘍細胞(ATCC CRL−5803)を、示されている濃度のIGN0004又はIFN−α2bで37℃にて5%CO雰囲気中で96時間処理した。インキュベーション後、標準的なMTSアッセイ(プロメガCell Titer96;プロメガ、マディソン、ウィスコンシン州)を行って細胞増殖を評価した。プリズムソフトウェアを用いた非線形回帰分析によって用量反応曲線を作成した。
【0247】
図3に示されるように、IGN004関連IFN活性は、抗原陰性細胞(ダウディ)で減少し、抗原陽性細胞(NCI−H1299)で増強された。抗体標的抗原を発現しないダウディ細胞では、STAT1リン酸化活性は、非融合IFN−α2b(EC50(IFN−α2b)=0.154nMと比較して54倍弱まり、EC50(IGN004)=8.39nM)であった。抗体標的抗原を発現するNCI−H1299細胞では、増殖阻害活性は、非融合IFN−α2b(EC50(IFN−α2b)=30.3pMと比較して275倍増強され、EC50(IGN004)=0.11pM)であった。
【0248】
実施例4
この例では、IGN004の生体内抗腫瘍活性を、U266腫瘍がNOG(NOD/Shi−scid/IL−2Rγnull)免疫不全マウスで増殖したヒト多発性骨髄腫の異種移植片モデル(Ito et al, Blood,100(9):3175−82,2002)において調べた。
【0249】
本試験では、8〜11日定着皮下腫瘍をもつ動物の群(平均腫瘍体積=138mm)を、5mg/kg、1mg/kg、又は0.2mg/kgのIGN004を用いて静注で週に2回4週間治療した。溶媒(リン酸緩衝食塩水)での治療をネガティブコントロールとした。リン酸緩衝食塩水で治療した動物は生存期間中央値が39.5日であり、0.2mg/kgのIGN004での治療は生存期間を有意に延ばさなかった(図4を参照されたい)。しかし、1mg/kgのIGN004での治療は生存期間を有意に向上し、それぞれ、生存期間中央値が47日(p=0.02 対リン酸緩衝食塩水)及び73日(p=0.0002 対リン酸緩衝食塩水)であった。5mg/kgのIGN004での動物の治療は、100%のマウスにおいて定着腫瘍の完全な退縮をもたらした。これらのデータは、IGN004がヒト多発性骨髄腫異種移植腫瘍を効果的に治療できることを示す。
【0250】
実施例5
この例では、IGN004の生体内抗腫瘍活性を、免疫不全マウスで増殖する15個の相異なるヒトNSCLC患者由来異種移植片(PDX)腫瘍のパネルに対して評価した。
【0251】
平均腫瘍体積が150mmの定着NSCLC PDX腫瘍をもつ5頭のBALB/cヌード免疫不全マウスの群を、リン酸緩衝食塩水又は2mg/kgのIGN004のいずれかを用いて静注で実験の期間中週に2回治療した。腫瘍サイズを週に2回カリパスを用いて長短両方向測定し、腫瘍体積を、式:V=0.5a×bを用いて計算した。式中、a及びbはそれぞれ、腫瘍の長径及び短径である。エクセルソフトウェア(マイクロソフト社)を用いて各腫瘍モデルの各時点での平均腫瘍体積をプロットし、IGN004の有効性を、4つのカテゴリー、+++=腫瘍退縮、++=不変、+=腫瘍増殖の減速する、及び−=無反応に分けた。
【0252】
表8に示されるように、IGN004は、4つの腫瘍モデルにおける腫瘍退縮を含む生体内有効性を、15個中10個のPDX腫瘍(66.7%)において示した。既知の遺伝子変異ともNSCLC腫瘍タイプ及び治療への反応とも相関がないようである。これらの結果は、ヒトがん患者においてTAA抗体−IFN融合分子の作用機序に潜在的に関与しうる免疫細胞の非存在下でさえも、IGN004のようなTAA抗体−IFN融合分子が、臨床的に関連するNSCLC PDX腫瘍に対して非常に効果的でありうることを示す。

【0253】
実施例6
この例では、ヒトCD8+NKT細胞様TALL−104エフェクター細胞株(ATCC CRL−11386)の殺腫瘍細胞活性を、IGN004の存在下又は非存在下でA549ヒトNSCLC腫瘍細胞株(ATCC CCL−185)を用いて評価した。
【0254】
300U/mL IL−2で培養中のTALL−104細胞を2回洗ってIL−2を除去し、培養に戻して一晩行った。A549腫瘍細胞を24ウェルプレートに蒔き、37℃にて5%CO雰囲気中で一晩インキュベーションした。次の日、細胞を3nM IGN004と4時間インキュベーションし、次いでウェルを洗って未結合タンパク質を除去した。IL−2の非存在下で一晩インキュベーションした後、TALL−104エフェクター細胞をエフェクター:標的比(E:T)が5:1になるようにA549腫瘍細胞が入ったウェルに加えた。共培養を37℃にて5%CO雰囲気中で24時間インキュベーションし、次いで非付着エフェクター細胞を洗い流した後に腫瘍細胞の生存率を標準的なMTSアッセイで評価した。ウェルを2回洗い、次いで0.5mLの4:1混合RPMI+10%FBS及びプロメガCell Titer96を加え、37℃で1時間インキュベーションした。培地を96ウェルプレートに移し、分光光度計を使用して490nmでプレートを読んだ。データを、未処理腫瘍細胞を100%細胞対照として、且つ37℃で1時間インキュベーションした培地とCell Titerの混合物を0%細胞対照としてグラフパッドプリズムにプロットした。対照として、A549腫瘍細胞単独、A549腫瘍細胞+IGN004(エフェクター無し)、及びA549腫瘍細胞+TALL−104エフェクター細胞(IGN004無し)を含めた。プレートを4連の試料でセットアップした。
【0255】
図5に示されるように、IGN004治療は、A549腫瘍細胞の生存率の小さな減少をもたらした(15.82%)。TALL−104エフェクター細胞は、IGN004の非存在下で強い殺作用を示した(69.2%)。しかし、IGN004とTALL−104細胞の併用は、A549腫瘍細胞の完全になくすこと(100%死滅)につながった。この効果はいずれの薬剤単独をあわせたものよりも強く(85.02%対100%)、IGN004及びTALL−104はA549腫瘍細胞での相乗効果を有し、よりいっそう強い殺腫瘍細胞作用をもたらすことができるという結論に至った。
【0256】
実施例7
この例では、TALL−104エフェクター細胞の殺腫瘍細胞活性を、異なるヒトNSCLC腫瘍細胞株(NCI−H1975;ATCC CRL−5908)を用いてIGN004の存在下又は非存在下において2つの異なるE:T比にて評価した。
【0257】
300U/mL IL−2で培養中のTALL−104細胞を2回洗ってIL−2を除去し、培養に戻して一晩行った。NCI−H1975腫瘍細胞を24ウェルプレートに蒔き、37℃にて5%CO雰囲気中で一晩インキュベーションした。次の日、細胞を50pM IGN004と4時間インキュベーションし、次いでウェルを洗って未結合タンパク質を除去した。IL−2の非存在下で一晩インキュベーションした後、TALL−104エフェクター細胞をE:T比が5:1又は3.3:1になるように腫瘍細胞が入ったウェルに加えた。共培養を37℃にて5%CO雰囲気中で48時間インキュベーションし、腫瘍細胞の生存率を実施例1に前述したように評価した。対照として、NCI−H1975腫瘍細胞単独、NCI−H1975腫瘍細胞+IGN004(エフェクター無し)、及びNCI−H1975腫瘍細胞+TALL−104エフェクター細胞(IGN004無し)を含めた。プレートを2連の試料でセットアップした。
【0258】
図6に示されるように、IGN004治療は、A549腫瘍細胞の生存率の小さな減少をもたらした(5.7%及び10.6%)。TALL−104エフェクター細胞は、IGN004の非存在下においてE:T比が5:1と3.3:1の両方において有意な殺作用を示した(それぞれ、58.6%及び55.7%)。しかし、50pMのIGN004及びTALL−104細胞の組み合わせは、両方のE:T比においてよりいっそう効果的なNCI−H1975腫瘍細胞標的に対する殺作用もたらした(それぞれ、93.8%及び93.2%)。この効果はいずれの薬剤単独をあわせたものよりも強く、IGN004及びTALL−104はNCI−H1975腫瘍細胞での相乗効果を有し、よりいっそうより強い殺腫瘍細胞作用をもたらすことができるという結論に至った。
【0259】
実施例8
この例では、IGN004によるTALL−104腫瘍細胞に対する殺作用の増強の効力をNCI−H1975NSCLC腫瘍細胞を用いて評価した。
【0260】
腫瘍細胞を示されている濃度のIGN004で3時間インキュベーションした後、NCI−H1975腫瘍細胞を標的として、TALL−104細胞をエフェクターとして用いて、実施例6及び7に記載のように共培養を24ウェルプレートにセットアップした。未結合IGN004を洗い流した後に、E:T比が3.3:1になるようにエフェクター細胞を加えた。共培養のインキュベーション時間は37℃で48時間であった。
【0261】
図7に示されるように、TALL−104エフェクター細胞はIGN004併用治療の非存在下で17%のNCI−H1975腫瘍細胞を死滅させた。TALL−104細胞を0.25〜25pMの濃度で併用したIGN004での治療は、TALL−104治療単独と比較して殺腫瘍細胞作用の増加をもたらした。この結果は、免疫細胞による殺作用の増強は非常に強力な効果であり、非常に低い薬剤の濃度で起こりうることを示す。
【0262】
実施例9
この例では、下降調節したTALL−104エフェクター細胞の殺腫瘍細胞活性を、A549 NSCLC腫瘍細胞で、10pMのIGN004の存在下又は非存在下においてさまざまなE:T比で評価した。
【0263】
腫瘍細胞を10pMのIGN004と3時間インキュベーションした後、A549腫瘍細胞を標的として、TALL−104細胞をエフェクターとして用いて、実施例6及び7に記載のように共培養を24ウェルプレートにセットアップした。未結合IGN004を洗い流した後に、E:T比が3:1、1.5:1、又は0.75:1になるようにエフェクター細胞を加えた。TALL−104細胞を洗い、その活性化状態及び殺細胞活性を減じるためにアッセイをセットアップする2日前にIL−2を培地から除去した。共培養のインキュベーション時間は37℃で5日であった。
【0264】
図8に示されるように、10pMのIGN004は単独では腫瘍細胞に効果がなかった。3:1のE:T比においてTALL−104細胞は薬剤の非存在下で約40%のA549腫瘍細胞を死滅させたが、より低いE:T比ではエフェクター細胞は腫瘍細胞を死滅させるのに無効であった。薬剤なしではTALL−104が腫瘍細胞への効果がなかった0.75:1のE:Tでも、10pMのIGN004の存在下ではTALL−104細胞は強い殺腫瘍細胞作用を示した。これらの結果は、IGN004が、IL−2欠乏によって達成されたTALL−104エフェクター細胞による殺細胞活性の下方調節を覆すことができることを示す。
【0265】
実施例10
この例では、TALL−104エフェクター細胞の殺腫瘍細胞活性をIGN004又はIGN004非融合mAbの存在下又は非存在下で評価した。
【0266】
腫瘍細胞を10pMのIGN004又はIGN004非融合mAbのいずれかと3時間インキュベーションした後、A549腫瘍細胞を標的として、TALL−104細胞をエフェクターとして用いて、実施例6及び7に記載のように共培養を24ウェルプレートにセットアップした。未結合タンパク質を洗い流した後に、E:T比が1.5:1、0.75:1、又は0.375:1になるようにエフェクター細胞を加えた。TALL−104細胞を洗い、アッセイをセットアップする2日前にIL−2を培地から除去した。共培養のインキュベーション時間は37℃で4日であった。
【0267】
図9に示されるように、10pMのIGN004非融合mAbは単独では腫瘍細胞に対して効果がなく、10pMのIGN004はほんのわずかな効果のみ(<10%)であった。すべてのE:T比においてTALL−104細胞は薬剤の非存在下で低いレベルの殺腫瘍細胞作用を示した。10pMのIGN004mAbの存在下では、TALL−104細胞は薬剤なしのTALL−104細胞と同等の割合で死滅させた。しかし、10pMのIGN004を用いると、薬物なしと比較して、TALL−104細胞による殺腫瘍細胞作用の有意な増加があった(70〜80%対10〜20%死滅)。これらの結果はIGN004の抗体部分だけがTALL−104媒介殺腫瘍細胞作用への相乗効果の要因ではないことを示す。
【0268】
実施例11
この例では、TALL−104エフェクター細胞の殺腫瘍細胞活性を、IGN004、対照TAA抗体−IFN−α融合タンパク質、またはIGN004非融合mAb+非融合IFN−αの組み合わせの存在下又は非存在下で評価した。
【0269】
腫瘍細胞を10pMのIGN004、対照抗体−IFN−α融合タンパク質、又はIGN004非融合mAb+非融合IFN−α2bの組み合わせのいずれかと3時間インキュベーションした後、A549腫瘍細胞を標的として、TALL−104細胞をエフェクターとして用いて、実施例6及び7に記載のように共培養を24ウェルプレートにセットアップした。次いで、治療タンパク質を洗い流さずに、E:T比が1:1または1.5:1になるようにエフェクター細胞を加えた。TALL−104細胞を洗い、アッセイをセットアップする2日前にIL−2を培地から除去した。共培養のインキュベーション時間は37℃で5日であった。
【0270】
図10に示されるように、10pMの対照抗体−IFN−α2b単独では腫瘍細胞に効果はなかった。10pMのIGN004又はIGN004非融合mAbと非融合IFN−α2b組み合わせはほんのわずかな効果のみ(<10%)であった。両方のE:T比においてTALL−104細胞は薬剤の非存在下で低いレベル(<10%)の殺腫瘍細胞作用を示した。10pMの対照抗体−IFN−α融合の存在では、TALL−104細胞は薬剤なしのTALL−104細胞と同等の割合で死滅させた。10pMのIGN004mAb+非融合IFN−α2bの組み合わせを用いると、TALL−104エフェクター細胞は、より多くのA549腫瘍細胞を死滅させた(1:1及び1.5:1のE:Tにおいてそれぞれ、14%及び25%のkillingの増加)。しかし、10pMのIGN004を用いると、薬剤なしと比較して、TALL−104細胞による殺腫瘍細胞作用のよりいっそう大きい増加があった(1:1及び1.5:1においてそれぞれ、34%及び42%の殺作用の増加)。これらの結果は、TAA抗体−IFN−α融合タンパク質は、腫瘍微小環境における免疫細胞の殺腫瘍細胞作用を増強する機能を発揮するために腫瘍細胞に結合しなければならないこと並びにTAA抗体及びIFNは完全な効果を得るために一緒に融合しなければならないことを示す。したがって、免疫細胞機能の増強は、抗体標的抗原が発現する部位でのみ起こるはずである。
【0271】
実施例12
この例では、NKエフェクター細胞株NK−92(ATCC CRL−2407)の殺腫瘍細胞活性を、IGN004又は対照TAA抗体−IFN−α融合タンパク質の存在下又は非存在下において2つのE:T比でOVCAR−3卵巣がん細胞株(ATCC HTB−161)を用いて評価した。
【0272】
NK−92殺腫瘍細胞作用アッセイを、実施例6及び7に記載のTALL−104殺作用アッセイと同様に行った。腫瘍細胞を10pMのIGN004又は対照TAA抗体−IFN−α融合タンパク質のいずれかと3時間インキュベーションした後、OVCAR−3腫瘍細胞を標的として、NK−92細胞をエフェクターとして用いて、共培養を24ウェルプレートにセットアップした。次いで、治療タンパク質を洗い流さずに、E:T比が1.5:1または0.5:1になるようにエフェクター細胞を加えた。NK−92細胞を洗い、アッセイをセットアップする1日前にIL−2を培地から除去した。共培養のインキュベーション時間は37℃で2日であった。
【0273】
図11に示されるように、10pMのいずれの治療タンパク質も、エフェクター細胞の非存在下で腫瘍細胞への効果がなかった。NK−92エフェクター細胞は薬剤の非存在下では、1.5:1のE:T比では強い殺腫瘍細胞作用(49%死滅)を示し、0.5:1ではあまり大きくない殺作用(19%死滅)を示した。10pMの対照TAA抗体−IFN−α融合分子の存在下では、NK−92細胞は、薬剤なしのエフェクター細胞と同等の割合で死滅させた。10pMのIGN004を用いると、薬剤なしと比較して、NK−92細胞による殺腫瘍細胞作用の有意な増加があった(1.5:1及び0.5:1でそれぞれ、45%及び29%の殺作用の増加)。これらの結果は、IGN004が、NK細胞が媒介する殺腫瘍細胞作用を増強できること及びTAA抗体−IFN融合タンパク質はこの機能を発揮するために腫瘍細胞に結合しなければならないことを示す。したがって、免疫細胞機能の増強は、抗体標的抗原が発現する部位でのみ起こるはずである。
【0274】
実施例13
この例では、NK−92エフェクター細胞の殺腫瘍細胞活性を、IGN004又は非融合IFN−α2bの存在下又は非存在下において2つのE:T比でNCI−H1975NSCLC腫瘍細胞を用いて評価した。
【0275】
NK−92殺腫瘍細胞作用アッセイを実施例12に記載のように行った。腫瘍細胞を10pMのIGN004又は100pMの非融合IFN−α2bと3時間インキュベーションした後、NCI−H1975細胞を標的として、NK−92細胞をエフェクターとして用いて、共培養を24ウェルプレートにセットアップした。次いで、治療タンパク質を洗い流さずに、E:T比が1:1又は0.3:1になるようにエフェクター細胞を加えた。NK−92細胞を洗い、アッセイをセットアップする1日前にIL−2を培地から除去した。共培養のインキュベーション時間は37℃で4日であった。
【0276】
図12に示されるように、いずれの治療タンパク質での治療も、エフェクター細胞の非存在下で腫瘍細胞への効果がなかった。NK−92エフェクター細胞は薬剤の非存在下では、殺腫瘍細胞作用が皆無かそれに近かった。100pMの非融合IFN−α2bの存在下では、NK−92細胞は、薬剤の非存在下でのNK−92細胞と比べて多くの腫瘍細胞を死滅させた。10pMのIGN004を用いると、薬剤なし並びに非融合IFN−α2b(1:1及び0.3:1でそれぞれ、50%及び51%の殺作用の増加)と比較して、NK−92細胞による殺腫瘍細胞作用の有意な増加があった(1:1及び0.3:1でそれぞれ、85%及び62%の殺作用の増加)。これらの結果は、IGN004が、NK細胞が媒介する殺腫瘍細胞作用を増強できること及びTAA抗体−IFN融合タンパク質が、非融合IFN−α2bと比べて良好にこの効果を媒介することを示し、TAA抗体を介してIFNを腫瘍細胞表面にターゲティングすることの重要性が明らかになった。
【0277】
実施例14
この例では、GRP94陽性A1847卵巣がん細胞を96ウェルプレートに蒔き、37℃で20時間インキュベーションして付着させた。インキュベーション後、50pMのIGN004又は50pMの対照TAA抗体−IFNα融合分子で腫瘍細胞を4時間処理した。4時間後、抗メソテリンCAR−T細胞を2:1のエフェクター対標的比で加えた。共培養物をさらに72時間インキュベーションし、細胞生存率をxCELLigence RTCAシステム(ACEAバイオサイエンス社)を用いてリアルタイムでモニターした。
【0278】
実験全体を通して、2:1の次善最適E:T比での抗メソテリンCAR−Tエフェクター細胞は、腫瘍細胞単独と比較して、A1847腫瘍細胞生存率の減少をもたらした。対照TAA抗体−IFNα融合分子の添加は腫瘍細胞標的のCAR−T殺作用を増強しなかった。対照的に、50pMのIGN004はCAR−TのA1847腫瘍細胞に対する殺作用を時間とともに増強し、結果として、A1847+CAR−Tと比較して細胞指数の減少をもたらした。
【0279】
配列表
付随の配列表に列挙されるアミノ酸配列は、37 C.F.R. 1.822で規定される通りに、アミノ酸の標準的な3文字表記を用いて示される。
【0280】
配列番号1はヒト野生型IFN−α2b分子のアミノ酸配列である。
【0281】
配列番号2はIFN−α2b変異体分子のアミノ酸配列である。
【0282】
配列番号3は野生型IFN−α14分子のアミノ酸配列である。
【0283】
配列番号4は野生型IFN−β−1a分子のアミノ酸配列である。
【0284】
配列番号5は野生型IFN−β−1b分子のアミノ酸配列である。
【0285】
配列番号6は抗HER2/neu抗体の重鎖をコードするアミノ酸配列である。配列番号7は抗HER2/neu抗体の軽鎖をコードするアミノ酸配列である。
【0286】
配列番号8は抗CD20抗体の重鎖をコードするアミノ酸配列である。配列番号9は抗CD20抗体の軽鎖をコードするアミノ酸配列である。
【0287】
配列番号10は抗CD138抗体の重鎖をコードするアミノ酸配列である。配列番号11は抗CD138抗体の軽鎖をコードするアミノ酸配列である。
【0288】
配列番号12は抗GRP94抗体の重鎖をコードするアミノ酸配列である。配列番号13は抗GRP94抗体の軽鎖をコードするアミノ酸配列である。
【0289】
配列番号14は抗CD33抗体の重鎖をコードするアミノ酸配列である。配列番号15は抗CD33抗体の軽鎖をコードするアミノ酸配列である。
【0290】
配列番号16は抗CD70抗体の重鎖可変領域をコードするアミノ酸配列である。配列番号17は抗CD70抗体の軽鎖をコードするアミノ酸配列である。
【0291】
配列番号18〜28は、さまざまなペプチドリンカーのアミノ酸配列である。
配列表



図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
【手続補正書】
【提出日】2018年2月1日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】配列表
【補正方法】追加
【補正の内容】
【配列表】
[この文献には参照ファイルがあります.J-PlatPatにて入手可能です(IP Forceでは現在のところ参照ファイルは掲載していません)]
【国際調査報告】