(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2018-516965(P2018-516965A)
(43)【公表日】2018年6月28日
(54)【発明の名称】低血圧(HYPOTENSION)および/または血液量減少(HYPOVOLEMIA)に至る体液(FLUIDS)の喪失の治療のための組成物および方法
(51)【国際特許分類】
A61K 31/70 20060101AFI20180601BHJP
A61K 9/19 20060101ALI20180601BHJP
A61K 9/08 20060101ALI20180601BHJP
A61P 7/08 20060101ALI20180601BHJP
A61P 7/10 20060101ALI20180601BHJP
A61P 17/02 20060101ALI20180601BHJP
A61P 31/12 20060101ALI20180601BHJP
A61P 31/14 20060101ALI20180601BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20180601BHJP
A61P 31/00 20060101ALI20180601BHJP
A61K 31/255 20060101ALI20180601BHJP
A61K 9/20 20060101ALI20180601BHJP
A61K 31/7016 20060101ALI20180601BHJP
A61K 31/74 20060101ALI20180601BHJP
A61K 31/77 20060101ALI20180601BHJP
A61K 33/20 20060101ALI20180601BHJP
A61K 33/10 20060101ALI20180601BHJP
A61K 31/7004 20060101ALI20180601BHJP
【FI】
A61K31/70
A61K9/19
A61K9/08
A61P7/08
A61P7/10
A61P17/02
A61P31/12
A61P31/14
A61P43/00 171
A61P31/00
A61K31/255
A61K9/20
A61K31/7016
A61K31/74
A61K31/77
A61K33/20
A61K33/10
A61K31/7004
A61P43/00 121
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】27
(21)【出願番号】特願2017-564332(P2017-564332)
(86)(22)【出願日】2016年6月9日
(85)【翻訳文提出日】2018年1月31日
(86)【国際出願番号】US2016036657
(87)【国際公開番号】WO2016201081
(87)【国際公開日】20161215
(31)【優先権主張番号】62/261,973
(32)【優先日】2015年12月2日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】62/173,900
(32)【優先日】2015年6月10日
(33)【優先権主張国】US
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】508180585
【氏名又は名称】セルフィアー インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000109
【氏名又は名称】特許業務法人特許事務所サイクス
(72)【発明者】
【氏名】フォイアスタイン ジオラ
(72)【発明者】
【氏名】フィッツパトリック グレン マイケル
【テーマコード(参考)】
4C076
4C086
4C206
【Fターム(参考)】
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(57)【要約】
本発明は、少なくとも一つの塩、少なくとも1つの天然または合成糖、および少なくとも1つの天然または合成の、高分子量の非イオン性親水性ポリマーを含む組成物を対象とする。液体形態の場合、組成物は、全身循環における減少した容積および/または圧力を引き起こす体液の喪失に罹患した患者への注入または注射のために既に準備ができたものである。組成物はまた、組織の喪失を含む、臓器不全(distress)をもたらす、血流が障害または不十分である臓器の病態の治療に適している。本発明はまた、循環体液枯渇、低血圧、または臓器灌流障害が正常化を必要とする、予想される病状の医学的結末を防止するための予防法としての使用に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一つの糖類、少なくとも一つの塩、および、少なくとも一つの高分子量の非イオン性親水性ポリマーを含む組成物であって、組成物は、血液細胞または血液細胞由来の物質を含まない、組成物。
【請求項2】
少なくとも一つの糖類が、トレハロースを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
少なくとも一つの高分子量の非イオン性親水性ポリマーが、スクロースとエピクロロヒドリンとの共重合体である、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
HEPES緩衝液、塩化ナトリウム、塩化カリウム、炭酸水素ナトリウム、デキストロース、トレハロース、およびスクロースとエピクロロヒドリンとの共重合体を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
固体状態である、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
乾燥粉末の形態である、請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
液体状態である、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
請求項1に記載の組成物を含むキット。
【請求項9】
治療を必要とする対象における、体液の喪失を治療するための方法であって、体液の喪失が、対象の全身循環における減少した容積および/または圧力を引き起こし、その方法は、少なくとも測定可能な程度で、対象の全身循環内の容積および/または圧力を増加するのに有効である量の、少なくとも1つの糖類、少なくとも一つの塩、および、少なくとも一つの高分子量の非イオン性親水性ポリマーを含む液体組成物を、対象に、投与することを含み、その組成物は、血液細胞または血液細胞由来の物質を含まない、方法。
【請求項10】
対象に、組成物を投与することにより、対象における、少なくとも1つの臓器への血流を、部分的にまたは完全に、回復させる、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
組成物の投与前の、対象の、血液量および/または血圧および/または対象の臓器の血流が、正常レベルと比較して、不全(compromised)、または不全(compromised)になる可能性がある、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
投与するステップが、対象に、液体組成物の静脈内注入または注射を含む、請求項9に記載の方法。
【請求項13】
対象が、血液量または血圧に関連する臨床症状を有していない疾患または障害に罹患している、請求項9に記載の方法。
【請求項14】
対照が、以下の病態の少なくとも一つを有する、請求項9に記載の方法:血液量減少、過剰なナトリウムイオン、および過剰な細胞外容積/体液(ECV/F)。
【請求項15】
血液量減少が、以下の病状の少なくとも1つによって引き起こされる、請求項14に記載の方法:喪失、損傷、または医療処置または医療介入(intervention)後の出血による血液喪失;熱に起因する脱水、および火傷に関連する体液の喪失。
【請求項16】
対象が、感染性因子によって引き起こされる疾患を有する、請求項9に記載の方法。
【請求項17】
感染性因子が、ウイルス性出血熱(VHF)を引き起こす、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
VHFが、エボラウイルスによって引き起こされる、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
対象がヒトである、請求項9に記載の方法。
【請求項20】
対象が非ヒトである、請求項9に記載の方法。
【請求項21】
方法が、対象を治療する治療方法である、請求項9に記載の方法。
【請求項22】
方法が、対象を処置する予防的方法である、請求項9に記載の方法。
【請求項23】
組成物が、HEPES緩衝液、塩化ナトリウム、塩化カリウム、炭酸水素ナトリウム、デキストロース、トレハロース、およびスクロースとエピクロロヒドリンとの共重合体を含む、請求項9に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願への相互参照]
この出願は、2015年6月10日に出願された米国仮特許出願第62/173,900号および2015年12月2日に出願された米国仮特許出願第62/261,973号の出願日の利益に依拠し、そして、請求するものであり、その開示全体が、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
[発明の背景]
【0003】
[発明の分野]
本発明は、医薬品の分野に関する。
より具体的には、本発明は、全身循環における容積および/または圧力の低下を引き起こす、体液(fluid)の喪失を罹患している対象の治療用、ならびに、組織欠損(tissue loss)、組織不全(morbidity)、および組織死(mortality)を含む、器官の損傷(distress)を齎す、血流が損なわれているか(impaired)または不十分な器官の状態の治療用、の組成物および方法に関する。
【0004】
[関連技術の説明]
6%ヘタスターチ(ヒドロキシエチルデンプン;HES)の乳酸電解液注射製剤である、Hextend(登録商標)(ホスピーラ、レイクフォレスト、イリノイ州)のような高分子量ポリマーを含有する溶液は、当技術分野において知られている。
Hextend(登録商標)は、血漿量(plasma volume)膨張が望まれる場合に、血液量減少(hypovolemia)の治療を目的とした臨床使用のために、米国食品医薬品局(FDA)によって承認されている。
Hextend(登録商標)は、紛争地帯(military venues)でだけでなく、民間の健康管理施設で使用される。
しかし、2013年11月25日に、米国食品医薬品局(FDA)は、HESで治療された特定の患者集団における死亡率および/または重度の腎障害の増加のために、HESを含む製品に「箱入り警告」(“Boxed Warning”)を設ける必要があると発表した。
さらに、HES溶液は、凍結から保護されるべきであり、および、40℃以上の温度に長時間曝されてはならないことが、既に文書化されている。
【0005】
Albutein(登録商標)(Grifols バイオロジカル社、ロサンジェルス、カルフォルニア)のブランド名で販売されているもののような、ヒトアルブミン溶液(USP、5%または25%)は、また、血液量減少性ショックの治療における使用、ならびに、長期透析を繰り返す患者または、体液過負荷で(fluid−overloaded)、血液量減少、ショック、または低血圧の治療のために大量の塩溶液に忍容することができないそれらの患者のための、血液透析(hemodialysis)における補助剤(adjunct)としても知られている。
しかしながら、ヒトアルブミン溶液は、コスト、ロジスティックの制限、およびそのような溶液を凍結させることができないか、または30℃を超える温度に曝すことができないため、広く使用されていない。
【0006】
化合物乳酸ナトリウム(CSL)、リンゲル乳酸塩、0.9%生理食塩水、および5%デキストロース/通常の生理食塩水としても知られている、ハルトマン溶液は、血液量交換のための当技術分野で知られている電解質ベースの溶液である。
さらに、容積交換のために、2つの高張食塩水(3%、5%)が使用されてきたが、そのような溶液は、全身的に高ナトリウムイオン負荷を送達する欠点を有し、全身的な塩化ナトリウムの過負荷に起因する悪影響を齎し得ることが認識されている。
【0007】
高張食塩水(HTS)7.5%は、Hextend(登録商標)ならびにHTS 3%およびHTS 5%と同様に、血管内空間に細胞外容量(extracellular volume)を導入することにより、血液容積の膨張のための別の治療である。
HTS 7.5%は、これらの他の組成物と同様の医療用途を有するが、生理食塩水または乳酸リンゲル液1/8の容積のみを必要とするので、交戦圏(war theater)で、衛生兵(emergency personnel)、(たとえば、EMTsのような緊急救急隊員)にとって、より少ない、医薬の運搬重量および、より少ない保管要件を齎す。
HTS 7.5%を使用して、250ミリリットルを2回注入することで、血液量減少症例を治療することに使用することができる。
HTS 7.5%が承認され、テストされているが、使用には限度がある。
HTS 3%およびHTS 5%のような代替物質を、代わりに使用することができ、そして、必要に応じて、備蓄することができる(stockpiled)。
Hextend(登録商標)の場合と同様、HTSの弱点の一つは、負傷した患者で、あるいは脱水などの厳しい条件(strenuous conditions)において、細胞外容量(extracellular volume)が低い場合、効果が疑わしいことである。
また、HTS 7.5%の使用により齎される高ナトリウム負荷は、心不全や腎不全状態などの特定の医学状態でリスクを負う可能性がある。
【0008】
[発明の概要]
一般に、本発明は、全身循環における容積および/または圧力の低下を引き起こす体液の喪失に罹患しているか、またはすぐに罹患すると疑われる対象のための医療処置において有用である組成物に関する。
減少した容積および/または圧力は、通常の血圧よりも生命を脅かすほど低いことも付随できるが、必ずしもそうではないこともある。
さらに、本発明は、血流が損なわれているかまたは不十分であり、組織欠損(tissue loss)、臓器欠損、臓器不全または臓器死さえも含む臓器損傷(distress)をもたらす、臓器の状態の治療のような他の医療処置に有用である組成物を含む。
組成物は、ある予め選択された量の、塩、天然または合成の糖、および少なくとも1つの高分子量の非イオン性の親水性ポリマーを含む。
組成物は、固体組成物または液体組成物であり得る。
組成物は、液体形態である場合、対象の血管内(血液/血漿)および血管外(細胞外)の体液と比較して、その浸透圧に関して高張性、等張性または低張性であり得る。
この組成物は、治療された対象の、血管内容積および圧力を増加させる能力を有する。
該組成物は、蘇生効果を有し、そして、従って、低い血液容量および圧力の状態での使用に特に適している。
組成物は、乾燥粉末または凍結乾燥された「ケーキ」のような固体であり得る。
乾燥組成物は、本明細書に開示される例示的な実施形態において、機械的手段を用いて、乾燥状態の成分を単に完全に混合することを含む、成分を混合する任意の適切な方法を用いて製造することができるが、乾燥組成物は、液体組成物を最初に製造して次いで、凍結乾燥(凍結乾燥)された。
他の実施形態において、液体組成物は、真空および/または熱蒸発を用いて、例えば、真空乾燥、噴霧乾燥、または噴霧凍結乾燥を用いて、乾燥される。
使用時には、組成物は、典型的には、対象への注入または注射のための水性組成物である。
しかしながら、調製された組成物は、しばしば、水性液体などの液体による水和、可溶化などに適した固体組成物であることは理解されるべきである。
【0009】
本発明はまた、血液量および圧力状態の治療的回復、低血液容量および圧力状態の蘇生、またはその両方の方法に関する。
一態様では、本発明は、全身性循環における容積および/または圧力の低下を引き起こす、対象における体液の喪失を治療するための方法を提供する。
一般に、この方法は、対象の血液量および/または圧力状態、そして、態様において、対象の体液バランス、を少なくとも測定可能な程度まで回復させるのに有効な量の本発明の組成物を対象に投与することを含む。
【0010】
本発明はさらに、対象の死をもたらし得る、全身性または特定の器官の不全を引き起こし得る状態に対して、保護するための、対象の予防的処置の方法に関する。
本発明のこの態様によれば、方法は、将来の全身性または特定の臓器不全または対象の死亡から保護するのに有効な量の本発明の組成物を、対象に投与することを含む。
治療方法の場合と同様に、予防方法は、対象のベースラインの血液量を上回る増加した血液量を提供し、そして、増加した血液量は、臓器不全に起因する臓器不全または臓器死が予測できる場合に、臓器機能の障害または臓器不全の機会を予防または低減する。
実施形態では、予防方法は、放射線造影剤が急性腎臓損傷(AKI)に関連することが知られている、動脈のような、組織または臓器を画像化するために、放射線造影剤に付される対象に対して実施される。
他の実施形態では、予防方法は、手術が予定されている対象の血液容量を拡大するために、使用される。
【0011】
別の態様では、本発明は、外傷性脳損傷(TBI)を治療するための、組成物および治療方法に関する。
一般に、この方法は、投与の非存在下で生じるであろう、ニューロン細胞死の量と比較して、ニューロン細胞死を減少させるのに有効な量の本発明の組成物を、TBIに罹患している対象に投与することを含む。
好ましい実施形態では、投与される組成物の量は、また、対象の血液量および/または圧力状態を、少なくとも測定可能な程度まで回復させるのに十分な量でもある。
好ましい実施形態では、投与される組成物の量は、また、脳浮腫の望ましくない結果のリスク、死に至る可能性のあるTBIの合併症、を緩和することができる、対象の脳内圧を、少なくとも測定可能な程度まで、回復させるのに十分な量でもある。
【0012】
当業者には明らかであるように、本発明はまた、全身循環における減少した容積および/または圧力を引き起こす、対象における体液の喪失に罹患しているか、または罹患すると予測される、対象の治療または予防処置のために、本発明の組成物の使用をも含む。
全身循環における減少した容積および/または圧力、必ずしもそうではないが、正常血圧より低いことがある。
治療はまた、または代わりに、組織欠損(tissue loss)、組織不全、および組織死亡を含む臓器損傷(distress)(例えば、心臓、脳、または腎臓への不十分な血流)をもたらす、血流が損なわれた、または不十分である臓器の状態の治療であってもよい。
したがって、本発明は、対象の血液量および/または圧力状態の喪失の影響を治療するために使用する医薬および組成物として使用するための組成物を包含する。
【0013】
したがって、本発明は、組成物が、血液細胞または血液細胞に由来する物質を含まない、少なくとも1つの糖類、少なくとも1つの塩、および少なくとも1つの高分子量の非イオン性親水性ポリマーを含む組成物を包含する。
実施形態において、少なくとも1つの糖類は、トレハロースを含む。
実施形態において、少なくとも1つの高分子量の非イオン性親水性ポリマーは、スクロースとエピクロロヒドリンとの共重合体である。
実施形態において、組成物は、HEPES緩衝液、塩化ナトリウム、塩化カリウム、炭酸水素ナトリウム、デキストロース、トレハロース、およびスクロースとエピクロロヒドリンとの共重合体を含む。
いくつかの実施形態では、組成物は固体粉末、例えば乾燥粉末であり、他の実施形態では組成物は液体の状態である。
組成物は、固体状態であろうと液体状態であろうと、対象に組成物を注射または注入するのに有用な医療機器または供給物などの1つまたは他の要素と組み合わせることができる。
キットはまた、2つの別々にパッケージされた要素として、1つの容器に本発明の固体組成物、および第二の容器に適切な液体(例えば、注射用滅菌水)を含むことができる。
使用時には、組成物および液体を組み合わせて液体組成物を作製し、そして、液体組成物を、対象に、注射または注入するなどして、対象に投与する。
【0014】
したがって、本発明は、それを必要とする対象における体液の喪失を治療する方法であって、体液の喪失が、対象の全身循環における容量および/または圧力の低下を引き起こす方法をさらに包含する。
この方法は、対象に、少なくとも1つの糖類、少なくとも1つの塩、および少なくとも1つの高分子量の非イオン性親水性ポリマーを、少なくとも測定可能な程度に、対象の全身循環における容量および/または圧力を増加させるのに有効な量で含む液体組成物を投与することを含み、組成物が血液細胞または血液細胞に由来する物質を含まない。
実施形態では、対象に組成物を投与することにより、対象の少なくとも1つの器官への血流が部分的にまたは完全に回復する。
実施形態では、組成物の投与前の対象の血液量および/または血圧および/または臓器の血流は、正常レベルと比較して損なわれるか、または損なわれる可能性が高い。
実施形態において、投与するステップは、対象に、液体組成物の静脈内注入または注射を含む。
いくつかの実施形態では、対象は、血液量または血圧に関する臨床症状を有さない疾患または障害に罹患している。
本発明の方法は、以下の病状である、血液量減少、過剰のナトリウムイオン、および過剰の細胞外液量/体液(ECV/F)の少なくとも1つを有する対象における使用に適している。
血液量減少症の場合、それは以下の症状の少なくとも1つによって引き起こされる可能性がある:外傷、損傷、または医療処置または治療介入(intervention)後の出血による失血;熱に起因する脱水、および火傷による体液の喪失。
本発明の方法は、また、エボラウイルスを含むウイルス性出血熱(VHF)を引き起こすもののような、血圧または血液量の喪失を引き起こす感染因子によって引き起こされる疾患に罹患している対象にも適用可能である。
本発明の組成物および方法は、ヒトおよび非ヒトの両方の治療に有用性を有する。
さらに、本発明の方法は、治療を必要とする、または将来必要とされると疑われる対象の治療方法または予防方法であり得る。
実施形態では、方法は、HEPES緩衝液、塩化ナトリウム、塩化カリウム、炭酸水素ナトリウム、デキストロース、トレハロース、およびスクロースとエピクロロヒドリンとの共重合体を含む組成物を用いて実施される。
【0015】
本発明は、安全であり、3年を超える品質保証期間を有し、冷蔵を必要とせず(当技術分野において「コールドーチェイン」貯蔵としても知られている)、輸送が簡単であり、現在市販されている特定の蘇生組成物と比較して、優れた蘇生特性を有し、そして、使用が簡単である、固体および液体組成物を提供することによって、医療分野で長く要望されていたニーズに対処する。
本発明の固体組成物は、本明細書で論じる医学的処置のように、それが必要とされる時点で、容易に水和することができる。
本発明の液体組成物は、このように、病院、およびその他の医療センター(すべてのレベルの軍事部門を含む)で、日常的に貯留される液体(例えば、滅菌水)で水和される、固体組成物として大量に貯留することができる蘇生流体のための当技術分野で広く認識されていたニーズのための溶液を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】
図1は、低血圧のラットモデルにおける、本発明の組成物での治療時の血圧の急速で強固で持続的な増加を示す折れ線グラフである。
【
図2】
図2は、研究の選択された時点での、
図1に提示されたデータをまとめた棒グラフである。
【
図3】
図3は、本発明の組成物が、低血圧のラットモデルにおける血圧の少なくとも2時間の持続的な上昇をもたらし、そして、その増加が、通常の生理食塩水を用いて達成された増加よりも著しく優れていることを示す折れ線グラフである。
【
図4】
図4は、本発明の組成物を、血液喪失の容量の50%、33%、および25%の容量でラットに投与された場合、低血圧のラットモデルにおける血圧の急速な上昇に有効であることを示す折れ線グラフである。
【
図5】
図5は、本発明の組成物が、低血圧のラットモデルにおいて少なくとも2時間にわたり持続的に血圧を上昇させ、そして、その時点での増加が、Hextend(登録商標)(6%ヘタスターチ;BioTime社、バークレー、CA)の同じ容積を用いて達成された増加よりも優れていることを示す折れ線グラフである。
【0017】
[本発明の様々な実施形態の詳細な説明]
ここで、本発明の様々な例示的な実施形態を詳細に参照し、その例を添付図面に示す。
例示的な実施形態の以下の説明は、本明細書に広く開示されているように、本発明に対する限定として意図されていないことを理解されたい。
むしろ、当業者に、本発明の特定の態様および特徴の、より詳細な理解を与えるために、以下の議論が提供される。
【0018】
本発明の実施形態を詳細に説明する前に、本明細書で使用される用語は、特定の実施形態を説明するためだけのものであり、そして、限定することを意図するものではないことを理解されたい。
さらに、ある範囲の値が提供される場合、文脈上、他を明確に指示されない限り、その範囲の上限と下限との間の下限の単位の10分の1までの各介在値が、また、特に開示されていることも理解されるべきである。
任意の記載された値または記載された範囲内に介在する値、およびその記載された範囲内の任意の他の記載または介在する値との間のより小さい各範囲は、本発明に包含される。
【0019】
他に定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術用語および科学用語は、用語が属する当業者の一人によって、一般的に理解されるのと同じ意味を有する。
本明細書に記載された方法および材料と類似または等価な任意の方法および材料を本発明の実施または試験に使用することができるが、好ましい方法および材料をここで説明する。
本明細書で言及される全ての刊行物は、刊行物が、それとの関係で引用されている方法および/または材料を開示および記載するために、参照により本明細書に組み込まれる。
本開示は、組み込まれた刊行物と矛盾する程度まで優位である。
【0020】
本明細書および添付の特許請求の範囲で使用されるように、単数形「a」、「an」および「the」は、文脈上他に明確に指示されない限り、複数の指示対象を含む。
従って、例えば、「高分子量ポリマー」への言及は、複数のそのようなポリマーを含み、そして、「組成物」への言及は、当業者に知られている1種またはそれ以上の組成物およびその均等物への言及等を含む。
さらに、等価な用語を使用して記述できる用語の使用には、それらの同等の用語の使用も含む。
したがって、例えば、「対象」という用語の使用は、「動物」、「ヒト」、「患者」、および医学的または獣医学的な治療に付されている対象であるものを示すために当技術分野で使用される他の用語を含むと理解されるべきである。
別の例として、用語「組成物」の使用は、「処方」、「混合物」、「ブレンド」、および2つまたはそれ以上の物質の組み合わせを示すために、当該分野で使用される他の用語を含むと理解されるべきであり、物質には、必ずしも必要ではないが、水を含むことができる。
【0021】
本発明は、体液の喪失、体液の喪失による低血圧、または全身循環における容量および/または圧力の低下を引き起こす他の状態を治療するための組成物および方法を提供する。
そのような減少は、不全または死亡につながる不十分な臓器灌流を含む、対象における臓器灌流が不十分にする可能性がある。
本発明の組成物は、血小板または血小板由来物質を含む止血用製品(例えば、米国特許第8,486,617号を参照)に向けられた発明の一部として最初に処方された。
先行発明の文脈の中で、本発明の組成物は、凍結乾燥(凍結乾燥)中にそれらを保護し、そして、再構成の後に、血管の中に安全に注入することのできる物質で、血小板を、充填(loading)または取り囲む(surrounding)のに適した生理学的に適合する環境を提供することを除いて、知られた有用性はなかった。
本発明は、低い、血液量および圧力状態または臓器灌流が低い状態の回復および蘇生における、ならびに低い、血液量および圧力状態または臓器の灌流が低いと予測される状態の予防において、本組成物の治療的および予防的特性の予期せぬ、偶然の発見を開示する。
このように、本発明は、先行発明(止血)とは異なる医学的必要性(血液容量の拡張および血圧上昇)に関する。
【0022】
別の言い方をすれば、本発明は、先行発明のものと同様の組成物であるが、その先行発明においては、生物学的に活性な成分として、認識されていたものを欠く(すなわち、血小板、血小板微粒子、または他の止血に必要な血小板由来物質)組成物が、以前に開示された止血製品とは無関係の有利な特性を有し得るという、予想外の、驚くべき知見に関する。
本発明はまた、コロイド特性を有する高分子ポリマーを含む血液量減少症および低血圧症の治療のための、特定の他の組成物とは異なり、本発明の組成物は、腎機能不全または他の欠陥を伴わない、という、予期せぬ驚くべき知見にも関する(下記の表1参照)。
【0023】
一態様では、本発明は組成物を提供する。
組成物は、固体状態または液体状態のいずれかであり得る。
好ましい態様において、組成物は固体として貯蔵され、次いで使用直前に水和される。
本明細書で論じる例示的な実施形態では、固体組成物は、凍結乾燥を用いて作製されたものなどの「乾燥」組成物である。
本明細書中で使用されているように、固体組成物は、2%またはそれ未満の湿気を含有する場合、「乾燥している」と考えられる。
本発明の乾燥組成物は、比較的長い品質保証期間の利点を有する。
本明細書で論じている他の例示的な実施形態では、液体組成物は、本発明の凍結乾燥固体組成物を再水和することによって形成される水性組成物である。
あるいは、液体組成物は、凍結乾燥して再水和する必要なく、調製直後に使用するために新たに調製することができる。
【0024】
したがって、固体組成物は、液体組成物を提供するための水和に適していることが理解されるべきである。
液体組成物に関する実施形態では、好ましくは、組成物は水性であり、そして、生きている対象への安全な投与に適している。
組成物は、上記のように、体液の喪失に罹患しているか、または罹患していると思われる対象に投与した場合に、治療効果または予防効果を提供することができる。
体液の喪失は、正常な血圧よりも低く、正常な血液量よりも低く、正常な臓器灌流よりも低く、またはこれらの任意の組み合わせをもたらすことができる。
この組成物は、他の用途の中でも、血流が不全であるかまたは不十分であり、不全または死亡へと導く、組織欠損(tissue loss)および臓器機能不全を含む臓器損傷(distress)をもたらす、臓器状態の治療における有用性を見出した。
本発明の組成物は、危険な医学的状態を軽減するために使用することができるので、組成物は救命救済策として考えることができる。
【0025】
いくつかの好ましい実施形態では、組成物は、液体組成物として調製され、そして、貯蔵される。
液体組成物は生物学的成分を有さず、そして、滅菌されるので、当該技術分野で知られている他の液体蘇生組成物と比較して、比較的長い品質保証期間を有する。
【0026】
本発明による組成物は、少なくとも1つの塩、少なくとも1つの糖類、および少なくとも1つの高分子量の非イオン性親水性ポリマーを含む。
このように、本発明の組成物は、1つの塩、2つの異なる塩、3つの異なる塩などを含むことができる。
同様に、本発明の組成物は、1つの糖類、2つの異なる糖類、3つの異なる糖類などを含むことができる。
同様に、組成物は、1つの高分子量の非イオン性親水性ポリマー、2つの異なる高分子量の非イオン性親水性ポリマー、3つの異なる高分子量の非イオン性親水性ポリマーなどを含むことができる。
本発明による乾燥組成物は、乾燥組成物から生成される液体組成物の量の事前知識を持って処方されることを理解すべきである。
このように、組成物の各成分の量は、化合物の分子量および予め選択された容量に基づいて計算することができる。
例えば、固体組成物の所定の用量は、適切な量の液体で水和される。
本発明の組成物は、固体状態または乾燥状態または水和状態のいずれであっても、血小板または血小板由来物質を含まないことが理解されるべきである。
【0027】
いずれの塩も、治療される対象に生物学的に忍容される濃度で使用することができるが、好ましい実施形態では、塩は、ナトリウム塩、カリウム塩、リン酸塩、マグネシウム塩、カルシウム塩、または血液中に存在することが知られている任意の他の塩、またはこれらの例示的な塩の組み合わせである。
組成物の他の成分と同様に、組成物中の塩の同一性は、塩が、組成物が対象に投与されたときに、対象に対して毒性でない量で存在する限り重要ではない。
いくつかの実施形態では、総塩濃度は、それが投与される対象の血液の塩の等張に近似するか、または同一である。
しかし、いくつかの実施形態では、総塩濃度は、それが投与される対象の血液の塩の等張性に対して高張性または低張性である。
塩はそれぞれ約1ミリモル〜約250ミリモルの範囲の濃度で、本発明の液体組成物中に存在する。例えば、塩は、4ミリモル、5ミリモル、10ミリモル、20ミリモル、50ミリモル、75ミリモル、100ミリモル、125ミリモルまたは150ミリモルの濃度で、または、おおよそそれらの濃度のいずれかで存在することができる。
開示された範囲および特定の値内の濃度の他のすべての特定の値および範囲は、本明細書の各特定の値または範囲を開示する必要なしに、それらが示す、これらの値および範囲によって潜在的に開示されることを、当業者は理解するであろう。
【0028】
組成物中に存在する糖類は、単糖類、二糖類または多糖類を含む、任意の適切な糖類であり得る。
実施形態では、2種またはそれ以上の異なる糖類が組成物中に存在する。
適切な糖類の非限定的な例は、スクロース、マルトース、トレハロース、グルコース/デキストロース、マンノース、およびキシロースである。
例示的な実施形態では、糖類はトレハロースである。
糖類は、組成物中に任意の適切な量で存在し得る。例えば、それは液体組成物において、1ミリモル〜1モルの量で存在することができる。
実施形態では、各糖類は、液体組成物中に、5ミリモル〜500ミリモル、例えば10ミリモル〜500ミリモル、で存在する。
いくつかの実施形態では、各々は20ミリモル〜200ミリモルの量で存在する。
実施形態では、それぞれが、40ミリモル〜100ミリモルの量で存在し、他の実施形態では、糖類は、50ミリモル〜150ミリモルの量で存在する。
ある特定の実施形態では、各糖類は、組成物中に、少なくとも、またはおおよそ以下の任意の濃度:5ミリモル、10ミリモル、25ミリモル、40ミリモル、50ミリモル、60ミリモル、70ミリモル、80ミリモル、90ミリモルおよび100ミリモルで存在する。
当然のことながら、様々な実施形態において、糖類は、上記の範囲内の異なる特定の濃度で存在し、そして、当業者は、範囲およびその範囲内の特定の濃度に含まれる様々な濃度を、本明細書においてそれぞれを個別に述べなくとも、容易に理解することができる。
同様に、固体組成物については、水性溶媒を添加する場合、組成物の所望の最終容量に応じて、糖類の量は調整される。
組成物中に1つ以上の糖類が存在する状況では、各糖類は、上記に列挙した範囲および特定の濃度に従った量で存在してもよく、または全糖類の含量は、上記の範囲および特定の濃度に従ってよい。
【0029】
様々な高分子量の非イオン性の親水性ポリマーが、当該技術分野において知られており、そして、このようなポリマーは、いずれも本発明に従って使用することができる。
一般に、本発明の高分子量ポリマーは、少なくとも70,000、例えば、少なくとも、または、約75,000,80,000,90,000,100,000,120,000,130,000,150,000,200,000、250,000、300,000、350,000、400,000、450,000、500,000、600,000、1,000,000、5,000,000、10,000,000または、それ以上の分子量(または平均分子量)を有する。
当業者が認識するように、そのような高分子量ポリマーは、典型的には、平均値付近の分子量の分散を有する。
したがって、例えば、本明細書において、分子量400,000を有するポリマーの参照は、400,000の平均分子量を有するポリマーの集合を示すことが理解されるべきである。
【0030】
本発明の特定の実施形態による,高分子量の非イオン性親水性ポリマーの非限定的な例としては、たとえば、スクロースとエピクロロヒドリンの合成ポリマー(Polysucrose 400、Ficoll 400、Ficoll PM400、Ficoll 70、Ficoll PM70、およびFicoll−Paque(「Plus」および「Premium」を含む)の商標名で入手可能である)、ポリ(スクロース 1−O−メタクリレート)、ポリ(N−(メタクリルアミド)−1’,2,3,3’、4,4’,6−ヘプタ−O−ベンジル−6’−アミノ−6’−デオキシスクロース)およびポリ(6,6’−ジデオキシ−6,6’−N−ジメタクリロイルオキシ エチルウレイド スクロース)−コポリスチレンのような,スクロースの共重合体およびその誘導体;ポリエピクロルヒドリン、ポリ[(ビスフェノール A)−コ−エピクロルヒドリン]およびポリスチレン−ブロック−ポリエピクロルヒドリンのようなエピクロルヒドリンの共重合体;エチレングリコール(PEG)、ポリ(エチレングリコール)ジアクリレート、ポリ(エチレングリコール)ビス(2−ブロモイソ酪酸)のような一官能性PEG、および、ポリ(スチレン)ブロック−ポリ(エチレングリコール)のようなPEG共重合体、のようなポリエチレングリコールを含む。
特定の実施形態による他の非限定的な例には、ポリエチレンオキシド、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドンおよびポロキサマー;および、セルロースアセテート、2−ヒドロキシルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピル−エチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースおよびカルボキシメチルセルロースナトリウムなどの修飾セルロースを含むセルロースが含まれる。
本発明の実施形態における高分子量の非イオン性親水性ポリマーのさらに別の非限定的な例には、デンプン、架橋デンプン、アミロペクチン、アミロース、およびマルトデキストリンデキストロースのような修飾デンプン、などのデンプン;クラス1、クラス2(オルタナンス(Alternans))、およびクラス3(ムタンス(Mutans))デキストランおよびフェニルデキストランのような修飾デキストランのようなデキストラン;ゼラチン;ならびに、アラビアゴムのようなゴム類が挙げられる。
【0031】
したがって、高分子量の非イオン性親水性ポリマーは、多糖類または糖類の共重合体;デンプンおよびデンプンの誘導体;および高分子量の非イオン性親水性ポリマーのペグ化誘導体であり得る。
ポリマーは、炭水化物または炭水化物部分を含むポリマーであり得る。
ポリマーはさらに、分枝状または非分枝状であり得る。
ポリマーはヒドロゲルであってもよい。
実施形態では、それらは、対象に投与された場合、即時アクションが可能であるが、天然の血液生産が血液量と血圧を回復するように、腎排泄または肝臓代謝を介して体内から排泄され、生分解性である。
【0032】
例えば、アルブミンおよびデキストラン40/70のような、約70,000また未満の分子量を有する高分子量ポリマーは、それらのコロイド特性により、血液量減少の治療に使用することが当技術分野で知られている。
しかし、アルブミンを作ることは非常に高価であり、血液製剤に伴う無菌性対策を必要とし、そして、液体形状では、比較的短い半減期を有する。
デキストラン40および70は、出血している対象を治療する際に望ましくない二つの性質である、血小板凝集の阻害とフィブリン溶解の促進のような、アナフィラキシー反応および血液の(hematologic)副作用と関連することが報告されている。
これらの問題の認識において、デキストラン1は、その使用前に、個々人のデキストラン製品に対する感度を試験するために導入された。
本発明は、このようなポリマーを除外する。
【0033】
本発明の組成物の安全性プロフィールの一例として、表1は、13ミリリットル/キログラムをイヌに注入後、2日および15日での、腎機能に対する組成物の効果を決定するために、イヌにおいて行われた研究の結果を提示する。
腎臓安全性の尺度として、血漿クレアチニンを、組成物のイヌへの曝露後15日間にわたって測定した。
表1が示すように、血漿クレアチニンの変化は、認められず、腎機能の劣化がないことを示した。
【0034】
【0035】
高分子量の非イオン性親水性ポリマーは、5%〜40%、5%〜30%、5%〜20%、および5%〜10%のような、1%〜50%(w/v)の量で、液体組成物中に含まれる。
実施形態では、高分子量の非イオン性親水性ポリマーは、1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%または10%(w/v)の最終濃度で、組成物中に存在する。
ある実施形態では、高分子量の非イオン性親水性ポリマーは、4%〜8%(w/v)の最終濃度で組成物中に存在する。
【0036】
いくつかの実施形態では、緩衝成分は、組成物中に含まれる。
緩衝成分は、使用される濃度および容量ならびにその時間的な頻度で、対象によって生物学的に忍容される任意の緩衝剤であってもよい。
したがって、緩衝液は、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)およびトリス緩衝生理食塩水(TBS)のようなTrisベースの緩衝液のような、市販の入手可能な、公知の生物学的に適合性の緩衝液のいずれかを含むことができる。
同様に、組成物は、1つまたは複数の以下の緩衝液を含むことができる:プロパン−1,2,3−トリカルボキシリック(トリカルバリリック);ベンゼンペンタカルボキシリック;マレイック;2,2−ジメチルサクシニック;EDTA;3,3−ジメチルグルタリック;ビス(2−ヒドロキシエチル)イミノ−トリス(ヒドロキシメチル)メタン(BIS−TRIS);ベンゼンヘキサカルボキシリック(メリティック);N−(2−アセトアミド)イミノ二酢酸(ADA);ブタン−1,2,3,4−テトラカルボキシリック;ピロホスホリック;1,1−シクロペンタンジアセチィック(3,3−テトラメチレン−グルタル酸);ピペラジン−N,N’−ビス−(エタンスルホン酸)(PIPES);N−(2−アセトアミド)−2−アミノエタンスルホン酸(ACES);1,1−シクロヘキサンジアセチック;3,6−エンドメチレン−1,2,3,6−テトラヒドロフタル酸(EMTA;ENDCA);イミダゾール;2−(アミノエチル)トリメチルアンモニウムクロリド(CHOLAMINE);N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−2−アミノエタンスルホン酸(BES);2−メチルプロパン−1,2,3−トリスカルボキシリック(β−メチルトリカルバリック);2−(N−モルホリノ)プロパンスルホン酸(MOPS);ホスホリック;N−トリス(ヒドロキシメチル)メチル−2−アミノエタンスルホン酸(TES);N−2−ヒドロキシエチルピペラジン−N’−2−エタンスルホン酸(HEPES)、および重炭酸塩(たとえば、炭酸水素ナトリウム)。
さらに、緩衝剤成分は、液体組成物のため、pH4〜pH10の範囲で緩衝能を提供することができる。
【0037】
実施形態では、本発明に係る組成物は、約7.0〜9.5(たとえば、7.0〜7.5)ミリモルのHEPES、約50〜70(たとえば、50〜60)ミリモルのNaCl、約3.5〜4.5(たとえば、3.5〜4.0)ミリモルのKCl、約8〜10(たとえば、9〜9.5)ミリモルのNaHCO
3、約50〜150(たとえば、約75〜100)ミリモルのトレハロース、約3〜5(たとえば、3.5〜4.5)ミリモルのデキストロース、および約5.0〜7.0(たとえば、約5.5〜6.5)w/vのポリスクロース 400を含む。
組成物のpHは、約6.5〜7.0(例えば、約6.8)であるのが典型的である。
【0038】
実施形態では、本発明の組成物は、固体組成物であり、そして、示差走査熱量計を用いて決定されるように、単一のガラス転移温度(Tg)を有する。たとえば、90.5℃のように、約90℃で、他の実施形態では、Tgは、95.6℃のような、約96℃である。
一般に、固体組成物は、単一のTgを、90℃〜100℃付近で示す。
他の実施形態では、本発明の組成物は、水性液体組成物であり、そして、差走査熱量計を用いて決定されるように、単一のガラス転移温度(Tg)を、−30.11℃のような約−30℃で有する。
【0039】
別の局面において、本発明は、本発明の組成物を調製するための方法を提供する。
一般に、この方法は、均一に分散した組成物を作成するために、任意の順序で、少なくとも一つの塩、少なくとも一つの糖類、および少なくとも1つの、高分子量の非イオン性親水性ポリマーを、一緒に混合することを含む。
所望により、緩衝能力を提供する1つまたはそれ以上の物質はまた、組成物の一部として添加することができる。
実施形態において、本方法は、水性溶媒中で混合物を調製することを含むことができる。
これらの実施形態では、この方法は、水性溶媒中に、少なくとも一つの塩、少なくとも一つの糖類、および少なくとも1つの高分子量の非イオン性親水性ポリマー、ならびに任意の他の所望の成分を加え、そして、機械的混合に組成物を付すまたは付さずに、コンポーネントが均質な混合物を形成するのに、十分な時間を許容することを含む。
あるいは、水性溶媒の一部または全部が、均質な混合物を作成するように、1つ、いくつか、または全ての成分に添加することができる。
水性組成物は、直接(たとえば、オートクレーブまたは濾過によって、滅菌後に)使用され得るか、または乾燥した組成物を作成するために、凍結乾燥のような、乾燥処理を施してもよい。
乾燥組成物は、滅菌状態であるべきであり、滅菌は、液体状態または乾燥後の間のいずれかに起こる(たとえば、ガンマ線照射または固体組成物を滅菌するための他の既知の技術による。)。
乾燥組成物は、本発明の液体組成物を作成するために、水または水性緩衝液のような、滅菌水性液体に溶解して使用するために、再構成または再水和することができる(本明細書において互換的に使用される)。
本発明による組成物の製造方法は、血小板、血小板微粒子、または他の血小板由来物質を組成物に添加することを含まない。
【0040】
混合物を凍結乾燥するためのパラメータおよび技術は、当業者によく知られているものを含むことができる。たとえば、米国特許番号7,811,558、8,097,403、および8,486,619(これらの全ては、本明細書において、参照によって、本文書に組込まれる)に開示された、凍結乾燥パラメータおよび技法のいずれかを使用することができる。
非限定的な追加または代替のパラメータおよび追加の技術は、以下に説明されるか、または当技術分野において周知である。
【0041】
再構成する場合、組成物のpHは、対象への組成物および投与の安定性に適している任意のpHであってもよい。
したがって、弱酸性から弱塩基性の範囲とすることができる。例示的な範囲および特定のpHは、pH4.0〜pH10の内に入るpHである。
様々な実施形態では、組成物のpHは、4.0、4.5、5.0、5.5、6.0、6.5、7.0、7.5、8.0、または10までである。
他の実施形態では、pHは、直接上述した特定のpH値の中から採用される任意の範囲を含む、4.0から10の範囲内の任意のpHである。
固体組成物に関連する実施形態において、組成物は、水和されたとき、得られた液体組成物のpHを適切な範囲とする、1またはそれ以上の物質を含んでいてもよい。
【0042】
実施形態では、たとえば、凍結乾燥などによって乾燥した後、組成物は、たとえば、約50℃、55℃、60℃、65℃、70℃、75oC、80℃、85℃、または90oCなどで、加熱される。
実施形態では、温度は、室温〜約90oCの範囲内の任意の温度である。
さらに、また、組成物は乾燥状態にあり、かつ、加熱されるべき状態の実施形態では、組成物は、1分未満から24時間またはそれ以上まで加熱することができる。従って、加熱の時間は、例えば、0、2、4、8、12、または24時間であることができる。他の実施形態では、加熱の時間は、その範囲内の任意の分またはその端数(fraction)を含む、1分未満〜24時間の範囲内の任意の時間である。
非限定的な例として、乾燥後熱処理工程は、約24時間、約80℃で、約12時間、約80℃で、約24時間、約70℃で、そして、約12時間、約70℃で在り得る。
好ましい実施形態において、組成物は、加熱または照射などの標準的な滅菌技術を用いて滅菌される。
滅菌はまた、凍結乾燥または、乾燥製剤を含む、固体を提供するために水を除去する他の技術に先立って、組成物の液体形態を濾過を用いて達成することができる。ウイルス減少または除去は、典型的には濾過により達成される。
【0043】
本発明の態様において、本発明は、全身循環における、減少した容量および/または圧力を引き起こす、対象における体液の喪失を治療するための方法を提供し、その方法は、本発明の組成物の有効かつ忍容可能な量を、対象に投与することを含む。
実際問題として、投与は、対象の血液循環系への本発明の液体組成物の注入または注射を介してである。実施形態では、治療方法は、必要とする対象において、生命を維持するために十分なレベルに、血液量、血圧、またはその両方を回復するための方法と考えることができる。
実施形態では、方法は、代替的にまたは付加的に、標的臓器の臓器機能を維持するポイントに、臓器の血流を回復させる。
実施形態では、組成物の投与前の対象における、血液量および/または血圧、および/または、臓器の血流は、対象が属する集団において正常と考えられるレベルより低い。しかし、予防治療では、組成物は、可能性の高い必要性を見越して、これらの機能の全部または一部を維持する目的で、本明細書に記載の障害のいずれかの進行に先立ち、送達されることができる。
本明細書で使用される用語、「体液」は、間質液(interstitial)および細胞外液、リンパ液、および血液などの、対象の内部由来の液体を指す。
本明細書で使用される、ヒトの血圧の「正常レベル」は、約80〜約120mmHgの間である拡張期血圧(systolic blood pressure)、および、約60〜約79mmHgの間である収縮期血圧(diastolic blood pressure)を示す。
本明細書中で使用される、ヒトの血圧の「低レベル」は、拡張期が約90mmHgで、かつ、収縮期が約60mmHg未満である血圧を指す。
動物の様々な他の種についての血圧の、他の「正常」および「低」レベルは、当業者に知られており、本明細書に記載されている必要はない。
【0044】
いくつかの実施形態において、処置される対象は、血液量減少を有することを特徴とする。実施形態では、血液量減少は、外傷(trauma)または損傷(意図的な外科的処置を含む)後の出血による血液の喪失、制御されていない血液の喪失、出血、熱誘導性の容積減少に起因する脱水(体液回復によって補償されない)、火傷に付随した体液の喪失、神経性尿崩症(diabetes insipidus)、および水の調節障害に付随する制御されていない糖尿病や他の病状、から選ばれる少なくとも1つの病状によって引き起こされる。
体液の収縮(Contraction)はまた、薬理学的治療(たとえば、利尿剤)または遺伝的症候群の結果でもありえるが、本発明によって対処することができる。
さらに他の実施形態において、対象は、エボラウイルス、デング熱ウイルス、黄熱病ウイルス、および腎症候群出血熱(HFSRS)などの他の感染病状、による感染に起因するウイルス出血熱(VHF)のようなVHFを引き起こす疾患を有する。
【0045】
対象への本発明の組成物の投与は、経口的に、腹腔内(腹腔内)、頭蓋内(intraventricularly)、静脈内、脳室内(intracranially)、または他の当技術分野で公知の送達の態様を含む、投与の任意の適切な経路によって達成することができるが、これらに限定されない。
上記に開示したように、実用的な目的のために、投与される組成物は、典型的には、静脈内注入または注射により投与される液体組成物である。
それは、過度または過剰な実験をすることなく、適切な投与経路を選択することは、十分に当業者の技能および知識の範囲内である。
【0046】
これは、投与の行為は、本明細書で論じる疾患、障害、および生理的状態の治療に適した治療レジメンを達成するために、複数回行うことができることが理解される。
たとえば、特定の状況において、延長された期間にわたって(たとえば、1時間、5時間、10時間、またはそれ以上)、所定の血液量および/または血圧の維持が望まれるかもしれない。
本発明の組成物が、所望の期間、所望の効果を提供しない場合には、2,3回目等の投与を、再度、血液量および/または血圧を上げるように、所望の標的で医療目的を維持するために行うことができる。
【0047】
本発明の組成物の「治療上(または予防上)有効量」におけるような、用語「有効量」は、所望の生物学的または医学的応答を誘発するのに必要な組成物の量を指す。
当業者によって理解されるように、組成物の有効量は、たとえば、所望の生物学的/医学的エンドポイント、送達されるべき組成物の固有の活性、対象のサイズ、および、標的の臓器、組織、または細胞のような要因に依存して変化し得る。
例示的な実施形態において、「有効量」という用語は、対象の、血液量および/または血圧および/または臓器の血流(または列挙された潜在的な医学的適応の全域を横断する任意の他の医学的利益(any other medical benefits across the gamut))を変更、好ましくは、体液の喪失の前に、正常の、血液量、圧力、および臓器の血流に近いレベルまで、対象における血液量、血圧、および/または臓器の血流を回復、するのに十分な量を意味する。
しかし、外傷の手術のような特定の状況において、手術中に、「正常」未満の、あるレベルまで血圧を上げることは有益かもしれない。
投与経路の選択と同様に、適正でないまたは過度の実験なしに、投与する組成物の適切な量を選択することは、当業者の技術および知識の十分な範囲内である。
【0048】
本発明に係る「対象」は、任意の脊椎動物種のメンバーである。
したがって、対象は、既存の疾患、障害、または状態の診断または治療のため、または疾患、障害、または状態の発症を予防するための予防的診断または治療のため、のような医療目的のための、ヒト対象であり得る。
対象はまた、医療または獣医学的目的のため、または開発の目的のための動物の対象とすることができる。
適切な動物の対象は、哺乳類を含み、ヒト以外の霊長類(たとえば、サル、類人猿、テナガザル、チンパンジー、オランウータン、マカクなど);ウシ(たとえば、牛(cattle)、牛(oxen)など);ヒツジ(ovines)(たとえば、羊など);ヤギ(caprines)(たとえば、ヤギなど);ブタ(porcines)(たとえば、豚など);ウマ(equines)(たとえば、ウマ、ロバ、シマウマなど);野生と飼い猫を含むネコ科の動物(felines);イヌとオオカミを含むイヌ(canines);ウサギ、ノウサギなどを含むウサギ目(lagomorphs);マウス、ラット、モルモットなどを含むげっ歯類(rodents)を含むが、これらに限定されない。
動物は、疾病の研究のために設計された近親交配の(in−bred)動物のようなトランスジェニック動物または任意の遺伝子操作された実験動物であってもよい。
いくつかの実施形態において、対象は、これらに限定されないが、胎児、新生児、乳児、若年、および成人の対象を含むヒトである。
さらに、対象は、疾患、障害、または状態に罹患し(afflicted)、または疾患、障害、または状態に罹患している(afflicted)疑いのある患者を含むことができる。
対象には、また、実験動物疾患モデル(たとえば、実験で使用される、ラットまたはマウスなど)、コンパニオンアニマル、または狩猟動物も含まれる。
【0049】
本発明は、対象の治療的処理に有利な用途を見出すが、それはまた、手術に伴う通常の出血を見越して、対象に、本発明の組成物の予防的有効量を投与することによって、対象の予防的治療または、手術中に発生する可能性のある医学的な問題を取り除くのに非常に適している。
治療的処置の方法と同様に、投与する組成物の適切な量、投与の経路、および過度または過度の実験をすることなく、対象における所望の生物学的/医学的予防効果、を達成するために組成物が投与される回数を選択することは、十分に当業者の技量および知識の範囲内である。
ラットモデルで使用するための非限定的な例示的な量は、以下の実施例に提供され、当業者のための制限ではなく、ガイドとして機能する。
【0050】
本発明のさらに別の態様において、診断方法が提供される。
本発明のこの態様によれば、組成物は、疾患または障害の診断に有効な量で対象に投与され、組成物は、検出可能な薬剤を含む、
好ましくは、検出可能な薬剤は、組成物中に存在する、高分子量の非イオン性親水性ポリマーに結合(たとえば、共有結合)されている薬剤である。例えば、一実施形態では、高分子量の非イオン性親水性ポリマーは、造影剤に結合される。
組成物は、適切な検出装置で検出するのに十分な量で、対象に投与することができる。
対象が、血管循環の破壊完全性(disrupted integrity)に罹患している場合は、修飾された、高分子量の非イオン性親水性ポリマーの漏れは、当該分野で公知の、外部、非侵襲的な方法により可視化することができる。
【0051】
本発明の利点としては、水性溶媒と混合でき、そして、そのような溶媒(例えば、滅菌水)が利用可能である、任意の場面(locale)および状況で使用することができる、滅菌粉末(凍結乾燥されたかのされていないもののいずれか)として本組成物の利用可用性;約1ミリリットルまたは数百ミリリットル未満までのような、必要な滅菌溶媒の比較的低容量;乾燥状態の製剤の長い品質保証期間;および、本発明のコロイド浸透圧(oncotic pressure)発生組成物は、比較的少ない化学物質を含みことができ、その全てが、明確に定義され、そして、現在市販されていること、を含むが、これらに限定されない。
【0052】
異常に長い品質保証期間を有し、そして、非常に少量の粉末で、貯蔵され、維持され、そして、大量に展開される、その乾燥形態の本組成物の能力は、本発明が、ボリューム拡張が、迅速かつ効率的に必要とされる、多様な条件で使用されることを可能にする。
例えば、本発明は、戦闘状態、事故現場、航空機、船舶(たとえば、潜水艦、空母、沿岸警備隊のカッター)等のような、標準的治療(SOC)のボリュームの拡大装置(volume expanding modalities)が使用できない場合などの、医療状況で使用することができる。
特に、蘇生が医療施設に必要とされている、遠方の戦闘地域からの「途中(en route)」における、持続された緩和ケアは、多くの負傷を救うことができる。
別の例として、本発明は、出血ならびに外傷または損傷後の止血帯の配置による血液の喪失に起因する血液量減少、熱暴露によるような脱水に起因する血液量減少、火傷または下痢に付随する体液の喪失に起因する血液量減少、および、腹腔内の腹水(ascites fluid)のような、収縮のために必要としている過度の細胞外の容量/体液(ECV/F)の蓄積の状態、のために使用することができる。
本明細書で使用される、用語「出血(hemorrhage)」と「出血(hemorrhaging)」は、体腔内または外部環境に、循環系から逃げる血液を指す。
本明細書で使用される、用語「血液量減少」は、血液および血漿の容積が減少するような、減少する血液量の状態を指す。血液量減少は、体内の水分の過剰喪失であり、しばしば、例えば、利尿剤での治療の結果としての、塩枯渇によって特徴付けられ、そして、したがって、脱水とは異なる。
【0053】
本発明の別の局面は、キットに関する。
一般に、本発明に係るキットは、バイアル、アンプルなどの滅菌、気密および水密容器内に含まれる本発明の組成物を含む。
組成物は、乾燥状態または液体状態のいずれかであってもよい。
保管および品質保証期間を容易にするために、好ましい実施形態では、乾燥組成物に関する。
本発明によるキットは、キットの唯一の成分として、本発明の組成物を含有する1つまたはそれ以上の容器を含むことができる。
あるいは、乾燥組成物を水和するため、および/または、対象に組成物を投与するための、1つ、いくつか、またはすべての試薬および消耗品は、本発明の乾燥組成物とともにパッケージ化された組み合わせろして存在することができる。
【0054】
[実施例]
本発明はさらに、本発明の単なる例示であることを意図している、以下の実施例により説明するが、決して本発明を限定するものと考えるべきではない。
【0055】
血液量減少および/または低血圧は、適切に処理されない場合、高い不全(morbidity)および死亡(mortality)につながる可能性がある、一般的な病状である。
多数の蘇生液(Numerous resuscitation fluids)が、血液量減少および/または低血圧に起因するショックの状態を、予防または緩解するために、医療行為に導入されてきた。
現在、そのような生命を脅かす病状の最も一般的な治療法は、電解質ベースの溶液、澱粉ベースの溶液、またはアルブミンベースの溶液の全身循環への注入を含む。
さらに最近では、高張電解質溶液の比較的に少量が、他の溶液を用いた治療の望ましくない結果である、血液量過剰および血液電解質の希釈を、最小限にするために使用できるかどうかを決定するために、研究が行われてきた。
【0056】
低血圧および血液量減少の治療のための新規組成物を特徴付けるための努力において、組成物を製剤化し、そして、制御された動脈出血に供されたラットに注入し、そして、血圧に対する、当該組成物の効果を測定し、治療を受けていない、または、他の蘇生の組成物で、治療を受けた、ラットの血圧と比較した。
本発明の組成物は、このモデル系において、無処置または結晶蘇生輸液(通常の生理食塩水;0.9%のNaCl水溶液)を用いた治療よりも、急速に血圧を上昇させ、そして、血圧の上昇の維持において、有意に良好であったことを見出した。
また、本発明の組成物は、既知のコロイド蘇生組成物(Hextend(登録商標))と比較して、血圧上昇に対する、優れた、持続性(persistent)の持続効果を示すことも見出された。
【0057】
[材料および方法]
実験は、400+/−20グラムの体重の雄Sprague−Dawleyラットで行った。
ラットは、ケージに収容し(ケージ当たり2匹のラット)、そして、手術の前日の夜まで、食料と水を自由に摂取させ、その時点で、ラットには、食料を与えず、水には自由にアクセスできるように続けた。
【0058】
[麻酔および手術手順]
実験当日、ラットをInactin(チオブタバルビタールナトリウム;100ミリグラム/キログラム、腹腔内投与−i.p.)で麻酔し、そして、体温を37℃に維持する恒温手術台上に置いた。
(換気のために)気管切開の後、ポリエチレンカテーテル(PE
50)を、血圧モニタリングのために左大腿動脈(femoral artery)に、そして、血液サンプリングおよび薬物注入を含む種々の溶液の注入のために右頸静脈(jugular vein)に挿入した。
加えて、ポリエチレンカテーテル(PE
50)を、ラットの制御された出血を可能にするために、右頸動脈(carotid artery)に挿入した。
【0059】
[実験方法]
【0060】
[手術]
実験方法は、降圧/血液量減少モデルに依拠し、制御された低血圧および血液量減少は、頸動脈からの採血を介して誘導された。
手短に言えば、麻酔および挿管後、ラットを、5分以上の間、頚動脈を介して制御出血に付し、その間、6.0〜7.0ミリリットルの血液が、45mmHgの目標平均動脈圧(MAP)を達成するために、各ラットから採取された。
制御された出血期間の終了時の血圧の最下点(nadir)は、ショックレベルであると考えられる。
【0061】
[統計解析]
統計分析は、ケースバイケースで適切に、事後分析(post−hoc analysis)で、ANOVAにより行った。
スチューデントt検定分析は、特定のデータポイントについて使用した。
統計的有意性は、p<0.05で許容された。
各試験におけるラットの数は、以下および図において、「n=8」、「n=9」等として示される。
【0062】
[実施例1]:
本発明の組成物の、血圧の昇圧における、有益かつ優れた効果
【0063】
誘導された血液量減少および低血圧における、本発明の組成物の効果を最初に試験するために、3つのプロトコルを含む実験において上記のように手順が行われた。実験は、次のように、ラットの3グループを含んだ。
【0064】
第一グループ:
このプロトコールでは、ラット(n=8)は、上記のように、調製され、そして、出血に供された。
出血期間の開始直前(t=−5)、出血期間の終了時(t=0)、および治療期間後、定期的に2時間の間(すなわち、出血期間の終了後140分間)、第二グループおよび第3グループに関して、以下に説明するように、血圧を測定し、そして、記録した。
【0065】
第二グループ:
このプロトコールでは、ラット(n=8)は、上記のように、調製され、そして、出血に供された。
出血期間の開始直前(t=−5)および、出血期間の終了時(t=0)に、血圧を測定し、そして、記録した。
出血期間の終了後10分、ラットは、10分かけて、通常の生理食塩水6.0〜7.0ミリリットル(採血量と等量)を注入された。
血圧は、治療期間中の5分(five minutes into the treatment period)、治療期間の終了後、および治療期間の終了後2時間にわたって定期的に測定され、そして、記録された。
【0066】
第三グループ:
このプロトコルにおいて、ラット(n=8)は、上記のように、調製し、そして、出血に供された。
出血期間の開始直前(t=−5)および、出血期間の終了時(t=0)に、血圧を測定し、そして、記録した。
出血が完了した10分後、7.1ミリモルのHEPES緩衝液、56.25ミリモルのNaCl、3.6ミリモルのKCl、9ミリモルのNaHCO
3、75ミリモルのトレハロース、3.75ミリモルのデキストロース、およびフィコール(Ficoll)(登録商標)400(6%w/v)を含む水性組成物の6.0〜7.0ミリリットル(採血と等量)を、10分間にわたり、ラットに注入した。
血圧は、治療期間の終了時、および治療期間の終了後、2時間にわたって定期的に、測定され、そして記録された。
【0067】
図1は、MAPをショックレベル(<45mmHg)まで低下させる程度に、出血にさらされた、麻酔されたラットのベースラインからの平均動脈圧(MAP)のパーセント変化を示す。
この図は、無処理と比較した(第一グループ;
図1において三角形で示された点を結んだ線によって表される)、本発明の組成物の注入の効果を示す(第三グループ:
図1において四角で示される点を結んだ線で表される)。
5分の出血期間の終わりは、t=0の、図の左側下部に位置する矢印で示される。
治療期間は、図の左側下部(治療の開始;t=10)および同図の上部(治療の終わり;t=20)に位置する矢印で示される。
【0068】
図2は、選択された時点で、
図1に示されるデータをまとめた棒グラフである。
図2は、出血の終了時、本発明の組成物の注入の終了時、および実験終了時(140分)における、ベースラインからのMAPの変化としてのデータを示す。
図1および
図2から分かるように、実験の終わりまで維持された、組成物の注入の終了時におけるMAPの変化について統計的に有意な差があった。
【0069】
図1および
図2から分かるように、制御された出血の終了後、10分が開始され、10分間かけて投与した場合において、本発明の組成物を用いた処置は、急速にMAPを増加させた。
MAPにおける組成物の効果は、未処置ラットの生来の代償性応答(compensatory response)において、統計学的に有意に優れていた。
この統計的に有意な差は、モニターされた期間の経過を通して続いた。
このように、データは、本発明の組成物を用いた、血液量減少および/または低血圧の治療は、効果的な治療法であり、そして、このように、本発明の組成物は、血液量減少、低血圧、またはその両方の治療に有効な医薬組成物であるという結論を支持した。
【0070】
第二の実験は、このラットモデルにおいて血圧を上昇させることにおける、通常の生理食塩水(第二グループ)の同じ容量を用いた治療の効果と比較した、本発明の組成物の効果を決定するために行った(すなわち、第3グループ)。
通常の生理食塩水は現在、血液量減少および低血圧の治療のために病院や臨床現場において使用されている。
無治療コントロール(第一グループ)は、実験に含めた。
【0071】
図3は、通常の生理食塩水の等しい容量(第二グループ;
図3において、丸で示される点を結ぶ線で表わされる)、および無治療(第一グループ;
図3において三角形で示される点を結ぶ線で表わされる)と比較した、本発明(第三グループ;
図3において正方形で示される点を結ぶ線で表される)に係る組成物の注入の効果を示す。
5分間の出血期間の終了は、t=0での、図の左側下部に位置する矢印で示される。
治療期間は、図の左側下部(処置の開始;t=10)および図の上部(処置の終了;t=20)に位置する矢印によって示される。
【0072】
図3から分かるように、制御された出血の終了後10分は開始され、10分間かけて投与した場合、本発明の組成物を用いた処置は、急速にMAPを増加した。
MAPにおける組成物の効果は、血圧の回復の程度と効果の持続性の両方に関して、通常の生理食塩水の等量の効果より優れていた。
このように、データは、本発明の組成物での、血液量減少および/または低血圧の治療は、通常の生理食塩水での処置よりも有効であるという結論を支持した。
本発明の組成物は、このように、血液量減少、低血圧、またはその両方の治療に有効な医薬組成物と考えることができる。
【0073】
[実施例2]:
少量で使用した場合の本発明の組成物の効果
【0074】
本発明の組成物は、両者が、ラットから除去された血液の容量と等しい容量で投与されたとき、無処置または通常の生理食塩水を用いた処置よりも、急速に、そして、より大きな程度まで、そして、より長い時間、MAPの回復に有効であることを、実施例1に示したが、本発明の組成物のますます低い容量における効果を試験した。
次のように、ラットの三つの追加のグループが、この実験に使用された。
【0075】
第四グループ:
このプロトコルにおいて、ラット(n=7)を調製し、そして、5分間にわたって、約6.0〜7.0ミリリットルの血液の除去で、上記のように、出血に付した。
出血期間の開始直前(t=−5)、および、出血期間の終了時(t=0)に、血圧を測定し、そして、記録した。
出血が完了した10分後、ラットに、7.1ミリモルのHEPES緩衝液、56.25ミリモルのNaCl、3.6ミリモルのKCl、9ミリモルのNaHCO
3、75ミリモルのトレハロース、3.75ミリモルのデキストロース、およびフィコール(Ficoll)(登録商標)400(6%w/v)を含む水性組成物の3.5ミリリットルを、10分間かけて、注入した。
治療期間の開始時(t=10)、治療期間の終了時(t=20)、および、治療期間の終了後の2時間の間、定期的に、血圧を測定し、そして、記録した。
このグループは、「出血+1/2容量の組成物」として、添付された
図4において、示されている。
【0076】
第五グループ:
このプロトコルでは、ラット(n=6)を調製し、そして、5分間にわたって、約6.0〜7.0ミリリットルの血液の除去によって、上記のように、出血に付した。
出血期間の開始直前(t=−5)、および、出血期間の終了時(t=0)に、血圧を測定し、そして、記録した。
出血が完了した10分後、ラットに、7.1ミリモルのHEPES緩衝液、56.25ミリモルのNaCl、3.6ミリモルのKCl、9ミリモルのNaHCO
3、75ミリモルのトレハロース、3.75ミリモルのデキストロース、およびフィコール(Ficoll)(登録商標)400(6%w/v)を含む水性組成物の2.3ミリリットルを、10分間かけて、注入した。
治療期間の開始時(t=10)、治療期間の終了時(t=20)、および、治療期間の終了後の2時間に、定期的に、血圧を測定し、そして、記録した。
このグループは、「出血+1/3容量組成物」として、添付された
図4において、言及されている。
【0077】
第六グループ:
このプロトコルでは、ラット(n=6)を調製し、そして、5分間にわたって、約6.0〜7.0ミリリットルの血液の除去によって、上記のように、出血に付した。
出血期間の開始直前(t=−5)、および、出血期間の終了時(t=0)に、血圧を測定し、そして、記録した。
出血が完了した10分後、ラットに、7.1ミリモルのHEPES緩衝液、56.25ミリモルのNaCl、3.6ミリモルのKCl、9ミリモルのNaHCO
3、75ミリモルのトレハロース、3.75ミリモルのデキストロース、およびフィコール(Ficoll)(登録商標)400(6%w/v)を含む水性組成物の1.75ミリリットルを、10分間かけて、注入した。
治療期間の開始時(t=10)、治療期間の終了時(t=20)、および、治療期間の終了後の2時間に、定期的に、血圧を測定し、そして、記録した。
このグループは、「出血+1/4容量組成物」として、添付された
図4において、言及されている。
【0078】
図4は、第一グループと第三乃至六グループの各々について、140分の時間経過にわたり、ベースラインからのMAPのパーセント変化を示す線グラフを示す。
図1、
図3、および
図5(
図5は、以下で説明する)と一致して、ベースラインの下約30%へのMAPの回復は、全く処置を受けていないラット(第一グループ;
図4において菱形によって示された点を結んだ線で示される)において、140分間かけて、ゆっくりと達成された。
また、
図1、3および5と一致し、ラットから抜き取られた容積に等しい、本発明の組成物の容量による、ラットの処置(第3グループ;
図4において、丸印で示される点の間に引かれた線で示す)は、無治療と比較して、MAPの急速かつ長期的な統計的に有意な回復を提供した。
興味深いことに、ラットから採取した血液の容量の半分の(第四グループ;
図4において、三角形で示される点の間に引かれた線で示される)、および3分の一の(第五グループ;
図4において、四角で示される点の間に引かれた線で示される)本発明の組成物の容量で処置したラットは、無治療と比較して、MAPの迅速かつロバストな回復を提供した。
ラットから採取した血液の容量の4分の1の(第六グループ;
図4において、xで示される点の間に引かれた線で示される)本発明の組成物を受けたグループにおけるMAPの回復は、組成物の全容量、組成物の半分の容量、および組成物の3分の一の容量で処置したラットにおいて見られるように、同様に迅速ではあったが、他のグループに見られるほど、回復は顕著ではなかった。
【0079】
図4に示されたデータは、特定の結論を支持する。
まず、本発明の組成物の投与の結果として、MAPの回復は、迅速で堅牢であり、無処置に比べて、全容量置換については、少なくとも140分間、および、ラットから採取した血液の容量の半分、3分の1、および4分の1の置換容量については、少なくとも50分間、統計学的に有意な改善を提供した。
次に、MAPの回復は、ラットからの採取量に等しい量、ラットからの採取量の半分の量、ラットからの採取量の3分の1に等しい量、および、ラットからの採取量の4分の1に等しい量に等しい量で、本発明の組成物を使用して達成された。
これらのデータは、通常の生理食塩水による容積置換で示されるような、容積以上およびそれを超えて、MAPの回復を引き起こすのは、組成物の成分であって、容積置換のみではない、という結論を支持する。
そして、さらに、
図4と
図3の比較は、ラットから抜き取られた容積の1/4である本発明の組成物を用いた、MAPの回復は、通常の生理食塩水で全量置換により提供される、MAPの同様の即時回復を提供する、ことを示す。
しかし、効果の持続時間は、本発明の組成物を用いた方が長い。
そして、さらに、本発明の組成物を、半分、三分の一、および4分の1容量の投与に関するデータは、対象に過度の液体の導入に起因する影響についての深刻な懸念をすることなく、必要に応じて、複数回の投与を行うことができる、という結論を支持する。
例えば、当業者が対象により失われた血液の容量の4分の1を投与することを選択した場合、後の時点(例えば、60分後)で、別の四分の一の容量を投与することができる。
このように、後に、2回目の投与により、MAPは高いまま維持され、しかし、対象は、まだ、失われた血液の容積の半分のみを投与されただけである。
このような特徴は、直ちに外科的介入が不可能な状況では、非常に有利である。
【0080】
[実施例3]:
血液量減少の治療のために、本発明の組成物と、市販の溶液との比較
【0081】
図1乃至4に示すデータ、および上述は、本発明の組成物が、急速にMAPを回復し、そして、臨床的に意味のある期間にわたって、その回復を維持するのに有効であることを示す。
データはまた、本発明の組成物は、ラットから抜き取られた容量の3分の1ほどの低い組成容量で(通常の生理食塩水の全容積の投与と比較した場合)、MAPの回復について、通常の生理食塩水に優れていることを示す。
さらに、ラットから引き出された容量の、4分の1の容積で投与された組成物は、同様の即効性を有するが、しかし、生理食塩水の全容量の投与よりも、より持続性の堅牢な効果を有する。
本発明の組成物および市販のヒドロキシエチルデンプン、Hextend(登録商標)の相対的効果を決定するために、前記の、第三グループに関連するプロトコルを使用して、そして、次のように、ラットの一つの追加のグループが、この実験のために使用された:
【0082】
第七グループ:
このプロトコルにおいて、ラット(n=9)を調製し、そして、5分間にわたって、約6.0〜7.0ミリリットルの血液の除去により、上記のように出血に供した。
出血期間の開始直前(t=−5)および出血期間の終了時(t=0)に、血圧を測定し、そして記録した。
出血が完了した10分後、市販のHextend(登録商標)の製品6.0〜7.0ミリリットルを、10分かけて、ラットに注入した。
治療期間の開始(t=10)、治療期間の終了(t=20)および、治療期間の終了後2時間において、定期的に、血圧を測定し、そして記録した。
このグループは、「出血+全容量のHextend」として、添付した
図5において、示される。
【0083】
図5に見られるように、ラットから抜き取られた容量と同じ容量で投与した場合(すなわち、第三グループ;三角形で表される点との間に引かれた線で示す)、本発明の組成物は、ベースラインと比較して、MAPの急速な増加を示し、全く治療を受けていないラットで見られるレベルよりも、統計学的に有意な高いレベルで維持された。
同様に、ラットから抜き取られた容量と同じ容量で投与されたとき(すなわち、第七グループ;菱形で表される点との間に引かれた線で示される)、Hextend(登録商標)は、ベースラインと比較して、MAPの急速な増加を示し、全く治療を受けていないラットで見られるレベルよりも、統計学的に有意な高いレベルで、約30分間持続された。
したがって、
図5は、本発明の組成物は、市販品よりも、少なくとも、MAPを上昇させることに有効であることを示す。
【0084】
これは、様々な修飾および変形が、本発明の範囲または精神から逸脱することなく、本発明の実施においてなされ得ることが、当業者には明らかであろう。
本発明の他の実施形態は、本発明の明細書および実施を考慮すれば当業者には明らかであろう。
本明細書および実施例は、以下の特許請求の範囲によって示される、本発明の真の範囲および精神を有する、単なる例示として考慮されることが意図される。
【国際調査報告】