(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2018-519971(P2018-519971A)
(43)【公表日】2018年7月26日
(54)【発明の名称】内腔装置の除染システムおよび方法
(51)【国際特許分類】
A61L 2/20 20060101AFI20180629BHJP
A61L 101/22 20060101ALN20180629BHJP
【FI】
A61L2/20 106
A61L2/20
A61L101:22
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2018-508617(P2018-508617)
(86)(22)【出願日】2016年4月28日
(85)【翻訳文提出日】2017年10月27日
(86)【国際出願番号】US2016029771
(87)【国際公開番号】WO2016176442
(87)【国際公開日】20161103
(31)【優先権主張番号】62/153,943
(32)【優先日】2015年4月28日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】15/138,379
(32)【優先日】2016年4月26日
(33)【優先権主張国】US
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】517377916
【氏名又は名称】メディヴェーターズ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【弁理士】
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】デプレイ,エリック ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】ピーターセン,マイケル ピー.
(72)【発明者】
【氏名】モシェル,ロバート エフ.
【テーマコード(参考)】
4C058
【Fターム(参考)】
4C058AA12
4C058AA13
4C058BB07
4C058CC02
4C058DD03
4C058JJ16
(57)【要約】
圧力の変化に耐えるよう構成された除染チャンバと、除染チャンバ内の圧力を調整するよう構成された真空ポンプと、除染チャンバ内に位置する除染物質の源を備える医療装置の除染システム。システムはまた、医療装置を取り囲み、医療装置と除染物質の源との間に流体連通をもたらす除染チャンバ内の容器と、除染チャンバ内に位置し、除染物質を気化する気化器も含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療装置の除染システムであって、
圧力の変化に耐えるよう構成された除染チャンバと、
前記除染チャンバ内の圧力を調整するよう構成された真空ポンプと、
過酸化水素または過酢酸を含み、前記除染チャンバ内に位置する除染物質の源と、
前記除染チャンバ内に受け入れられるよう構成され、取り囲まれた空間を形成し、医療装置を取り囲み、前記医療装置と前記除染物質の源との間に流体連通をもたらすよう構成された容器と、
前記除染チャンバ内に位置し、前記除染物質の源および前記容器と流体連通し、前記除染物質を気化するよう構成された気化器と
を備える、医療装置の除染システム。
【請求項2】
前記容器が外表面を有し、少なくとも前記外表面の部分が気化した除染物質によって浸透可能である、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記医療装置が内腔を含み、前記除染物質の源が前記医療装置の1つの内腔に流体連結する、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記医療装置が少なくとも2つの内腔を含み、前記システムが前記除染物質の源に接合されたバルブをさらに備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記除染チャンバの外側に位置し、前記除染チャンバと流体連通する除染物質の第2の源をさらに備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記気化器が少なくとも部分的に前記容器内に位置する、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記除染物質が気化前は液体である、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記気化器が、抵抗ヒータ、誘導ヒータ、赤外線ヒータ、マイクロ波ヒータ、および導電性ヒータからなる群から選択される熱源を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
装置の除染方法であって、
除染される装置を包含する容器を除染チャンバ内に位置決め、前記装置は少なくとも1つの内腔を包含することと、
前記容器を前記除染チャンバ内に設置された除染物質の源に接合することと、
前記容器を包含する前記除染チャンバ内の圧力を減少することと、
前記圧力を減少した除染チャンバ内の前記除染物質を気化することと、
前記気化した除染物質を前記除染される装置の前記内腔内へ注入することと
を含む、装置の除染方法。
【請求項10】
前記除染物質が過酸化水素または過酢酸を含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記除染物質を気化することが、約59%の過酸化水素を含む少なくとも2.0mlの液体を気化することを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記気化した除染物質が前記内腔内へ注入されるとき、摂氏60度未満である、請求項9に記載の方法。
【請求項13】
前記装置が複数の内腔を有し、さらに前記装置の1つまたは複数の選択された内腔を通る前記除染物質を制御可能に方向付ける、請求項9に記載の方法。
【請求項14】
除染物質の第2の源を前記除染チャンバへ接合し、前記除染物質の第2の源は前記除染チャンバの外側に位置することをさらに含む、請求項9に記載の方法。
【請求項15】
前記装置が、異なる内径を持つ少なくとも2つの内腔を有し、それぞれの内腔に個別に気化した除染物質を提供するフローレギュレータを使用することをさらに含む、請求項9に記載の方法。
【請求項16】
前記除染物質が、前記気化ステップの前は液相である、請求項9に記載の方法。
【請求項17】
前記除染物質の気化の前、前記除染チャンバ内の前記圧力が20トール未満である、請求項9に記載の方法。
【請求項18】
前記除染物質の気化の前に、予め定められた容積の除染物質を前記除染チャンバ内に配置し、前記気化器に接合する、請求項9に記載の方法。
【請求項19】
第1の温度を有する気化した除染物質を、前記気化した除染物質を前記除染される装置の前記内腔内へ注入する前に、摂氏60度未満の第2の温度に下げるよう構成された長さを持つ導管を通して流すことをさらに含む、請求項9に記載の方法。
【請求項20】
前記容器を包含する前記除染チャンバ内の前記圧力を減少するステップと、前記圧力を減少した除染チャンバ内の前記除染物質を気化するステップと、前記気化した除染物質を前記除染される装置の前記内腔内へ注入するステップと、を繰り返すことをさらに含む、請求項9に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、医療装置のような装置の除染に関する。とりわけ本開示は、内腔医療装置の除染システム、容器および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
頑強な医療機器は、しばしば高温で滅菌される。一般的に、機器は高温および高圧の組み合わせで、蒸気オートクレーブ内で滅菌される。そのような滅菌方法がより多くの耐久性がある医療器具に効果的である一方で、ゴムおよびプラスチックの構成要素と接着剤で形成された、進化した医療器具は繊細であり、しばしば従来の蒸気オートクレーブに関連する高温および高圧に適さない。蒸気オートクレーブはまた、滅菌を受ける医療装置または医療装置の関連するパッケージ内への蒸気の浸透率を上げるように、低圧サイクルプログラムで作動するよう変更されてきた。重力、高圧または前真空を用いた蒸気滅菌は、迅速な温度変化が起こりうる環境を生成する。特に内視鏡のような、非常に正確な寸法で、近接した組立許容範囲および高感度の光学構成要素でしばしば形成および組み立てられた極めて複雑な器具は、高温および高圧または低圧を採用する過酷な滅菌方法によって、破壊または有用な寿命が大幅に縮小されかねない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
さらに、内視鏡はまた、そのような装置が通常は多数の外部の隙間および内部の内腔を有し、それが細菌を内包しうる問題も提示しうる。細菌は、そのような内視鏡の隙間および内部の内腔、ならびに外表面の面で見つかりうる。内腔、隙間などを有する他の医療または歯科器具もまた、細菌を内包しうる種々の内部および外部の表面を除染することについて困難をもたらしうる。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本明細書中に開示されるのは、圧力の変化に耐えるよう構成された除染チャンバと、除染チャンバ内の圧力を調整するよう構成された真空ポンプと、過酸化水素または過酢酸を含み、除染チャンバ内に位置する除染物質の源を備える医療装置の除染システムである。システムはまた、除染チャンバ内に受け入れられるよう構成され、取り囲まれた空間を形成し、医療装置を取り囲み、医療装置と除染物質の源との間に流体連通をもたらすよう構成された容器と、除染チャンバ内に位置し、除染物質の源および容器と流体連通し、除染物質を気化するよう構成された気化器を有する。
【0005】
また本明細書中に開示されるのは、除染される装置を包含する容器を除染チャンバ内に位置決め、装置は少なくとも1つの内腔を包含することを含む装置の除染方法である。方法は、容器を除染チャンバ内に設置された除染物質の源に接合することと、容器を包含する除染チャンバ内の圧力を減少することと、圧力を減少した除染チャンバ内の除染物質を気化することと、気化した除染物質を除染される装置の内腔内へ注入することを含む。
【0006】
複数の実施形態が開示されるが、なお他の本発明の実施形態が後述の詳細な記載から当業者に明らかになり、詳細な記載は本発明の実施形態の例を示しおよび記載する。従って、図および詳細な記載は性質上一例とみなすべきであり、制限するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図4】多腔型装置の別の除染システムの概略図である。
【
図5】多腔型装置のさらに他の除染システムの概略図である。
【
図6】例示的な除染サイクルの圧力対時間を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本開示は、気化した除染物質を装置内に直接注入し、一方でシステムの圧力および温度を制御することによる、装置の除染システムを含む。いくつかの実施形態では、システムは除染される装置を取り囲む除染チャンバ、除染物質の第1の源および除染チャンバ内に位置する第1の気化器、および、除染物質の第2の源および除染チャンバの外側の第2の気化器を含む。システムを、1つまたは複数の除染サイクルを持つ除染処理を通して装置を除染するのに使用してもよい。
【0009】
図1は、医療装置、歯科装置、または他の装置12の除染システム10の1つの実施形態の概略図であり、装置12はそれを通って伸びる1つまたは複数の内腔13を有してもよい。システム10は、除染チャンバ14、容器16、除染物質の第1の源18、第1の気化器20、除染物質の第2の源22、第2の気化器24、真空ポンプを有する環境モニタリングおよびコントロールシステム26、およびシステムコントロールシステム28を有してもよい。装置12を包含する容器16は、除染チャンバ14内に位置する。
【0010】
いくつかの実施形態では、除染物質の第1の源18および第1の気化器20を除染チャンバ14内に位置してもよい。いくつかの実施形態では、除染物質の第1の源18を、容器16に接合または取り付けてもよい。例えば、除染物質の第1の源18および第1の気化器20を、容器16にクリップ留めまたはそうでなければ直接取り付けてもよい。いくつかの実施形態では、除染物質の第1の源18および第1の気化器20を、導管30により容器16に取り付けまたは接合してもよい。例えば、除染物質の第1の源18が例えば除染チャンバ14を通ることなく直接容器16内へ流れるように、導管30は、容器16内に形成された開口部を通ってもよい。いくつかの実施形態では、除染物質の第1の源18および第1の気化器20は、装置12の1つまたは複数の内腔13と直接流体連通してもよい。例えば導管30は、第1の気化器20から装置12の1つまたは複数の内腔13へ除染物質を方向付けてもよい。
【0011】
除染物質の第1の源18は、国際標準化機構(ISO)規格ISO/TC 198、Sterilization of Healthcare Products、および/または医療器具開発協会(AAMI)規格ANSI/AAMI/ISO 11140−1:2005、“Sterilization of Healthcare Products−Chemical Indicators−PartI:General Requirements”(Arlington,VA:AAMI2005)に準拠する、滅菌処理での使用に適切な化学物質または他の物質を有してもよい。いくつかの実施形態では、適切な除染物質は、除染処理中に例えば液体、蒸気または(霧のような)それらの組み合わせのような流動体として分散可能な室温(例えば20℃から25℃)物質を含む。例えば適切な除染物質は、過酸化水素(H
2O
2)および/または過酢酸(PAA)を含む。
【0012】
除染物質の第1の源18を、予め測定した容積または一括の容積で設けてもよい。例えば除染物質の第1の源18を、1つの除染サイクルまたは除染処理に必要な適切な量の予め測定した容積として設けてもよい。例えば除染処理が2つのサイクルを有する場合、全体の除染処理に2つの予め測定した容積を設けてもよい。いくつかの実施形態では、除染物質の第1の源18を、取り囲まれたまたは密閉された容器またはポッドのようなパッケージ内で設けてもよい。いくつかの実施形態では、除染物質の第1の源18を、穿刺によりパッケージから、またはパッケージの少なくとも部分に開口部を形成することにより放出してもよい。パッケージを、除染処理の間の任意の適切な時間に穿刺してもよい。例えば除染チャンバ14内に位置決められると、パッケージを穿刺してもよい。他の例では、パッケージを、除染処理中の特定の時間、例えば除染チャンバ14内に真空条件が確立した後に穿刺してもよい。いくつかの実施形態では、除染チャンバ14内の圧力を減少した後にパッケージから除染物質の第1の源18を放出することは、除染物質の第1の源18の化学的性質の完全性を保ちうる。例えばいくつかの実施形態では、パッケージまたは容器が、除染物質の第1の源18が必要とされる直前まで除染チャンバ14内の状態から除染物質の第1の源18を保護してもよい。いくつかの実施形態では、パッケージまたは容器は、低圧での気化を通してのような、除染物質18からの水分および/または化学的性質(すなわち過酸化水素または過酢酸)の損失を防いでもよい。
【0013】
加えてまたは代わりに、除染物質の第1の源18を一括の液体として設け、必要に応じて除染物質18の容積を第1の気化器20に方向付けてもよい。すなわち、除染物質の第1の源18を、除染サイクルまたは処理に必要とされるより大きい容積で設けてもよい。いくつかの実施形態では、除染サイクルまたは処理での除染物質の第1の源18の使用直前まで、真空条件のような除染チャンバ14内の状況に除染物質の第1の源18が暴露されるのを防ぐまたは最小化するため、バルブまたは他の閉鎖装置を使用してもよい。
【0014】
第1の気化器20は、除染物質18を、蒸気、霧または除染処理に適切な他の形態に形成する。例えば第1の気化器20は、液体の形態の除染物質18を加熱して気化、またはそうでなければ液体の除染物質18を蒸気または霧に変化させてもよい。いくつかの実施形態では、除染物質18を第1の気化器20内に引き入れてもよい。他の実施形態では、除染物質18を第1の気化器20内に押してもよい。
【0015】
除染物質の第2の源22および第2の気化器24を、除染チャンバ14の外側に位置してもよく、除染チャンバ14と流体連通してもよい。例えばいくつかの実施形態では、除染物質の第2の源22および第2の気化器24を、チャネル32により除染チャンバ14へ接合してもよい。いくつかの実施形態では、除染物質の第2の源22および第2の気化器24は、除染チャンバ14へ除染物質を方向付けてもよい。
【0016】
除染物質の第2の源22は、除染物質の第1の源18に関して本明細書に記載された除染処理での使用に適切な化学物質または他の物質を有してもよい。いくつかの実施形態では、除染物質の第1の源18および除染物質の第2の源22は、同一の除染物質を有する。他の実施形態では、除染物質の第1の源18および除染物質の第2の源22は、異なる除染物質を有する。除染物質の第2の源22を、除染物質の第1の源18に関して本明細書に記載されたように、予め測定した容積または一括の容積で設けてもよい。
【0017】
第2の気化器24は、除染物質の第2の源22を、蒸気、霧または除染処理に適切な他の形態に形成する。いくつかの実施形態では、第2の気化器24は第1の気化器20と同一であってもよく、または第1の気化器20と異なってもよい。
【0018】
システムコントロールシステム28は制御信号を提供し、および/または除染チャンバ14、環境モニタリングおよびコントロールシステム26、除染物質の第1の源18、第1の気化器20、除染物質の第2の源22および第2の気化器24から状況検出および機器ステータス信号を受信する。例えばシステムコントロールシステム28は、除染物質の第1の源18から第1の気化器20への除染物質の送達を制御する。加えてまたは代わりに、システムコントロールシステム28は、除染物質の第2の源22から第2の気化器24への除染物質の送達を制御する。
【0019】
環境モニタリングおよびコントロールシステム26は、除染チャンバ14内の環境状況を調整してもよい。例えば、環境モニタリングおよびコントロールシステム26は、除染チャンバ14の圧力の調整のため、真空ポンプまたは他の装置へ状況検出および機器ステータス信号を提供、および/またはそれらから信号を受信してもよい。
【0020】
容器16は、囲まれた空間を形成し、少なくとも1つの装置12を保持する。いくつかの実施形態では、容器16は1つまたは複数の曲がりやすく柔軟な側または部分を有してもよい。例えば、容器16はパウチであってもよい。いくつかの実施形態では、容器16は1つまたは複数の堅固または硬質な側を有してもよい。例えば、容器16はケースまたは他の収納装置であってもよい。いくつかの実施形態では、容器16は、硬質および柔軟な部分の組み合わせを有してもよい。例えば、容器16は硬質な下部および側を有してもよく、柔軟な頂部または蓋を有してもよい。
【0021】
容器16は、例えば少なくとも1つの側または頂部といった少なくとも1つの部分を有してもよく、それを通って除染物質の第2の源22が侵入または浸透してもよい。例えばいくつかの実施形態では、除染物質の第2の源22は第2の気化器24からチャネル32を通って除染チャンバ14へ流れてもよく、そこでそれが容器16の外表面を除染してもよい。除染チャンバ14内の除染物質の第2の源22はまた、容器16に入るように容器16の少なくとも1つの部分を通って浸透してもよく、装置12の外表面の少なくとも部分を除染してもよい。いくつかの実施形態では、容器16は使い捨てであってもよい。他の実施形態では、容器16は再使用可能であってもよい。
【0022】
図2は、除染システム50の別の実施形態の概略図である。いくつかの実施形態では、システム50は、除染チャンバ14、容器16、除染物質の第1の源52および第1の気化器54、除染物質の第2の源22および第2の気化器24、環境モニタリングおよびコントロールシステム26およびシステムコントロールシステム28を有する。
【0023】
除染物質の第1の源52および第1の気化器54は、除染チャンバ14内に位置する。いくつかの実施形態では、除染物質の第1の源52および第1の気化器54は、両方が容器16内に位置する。第1の気化器54は、除染物質の第1の源52を除染物質の蒸気温度を上回るような特定の温度に加熱可能なヒータであってもよい。加熱の適切な方法は、抵抗加熱のような電気加熱、誘導加熱、マイクロ波、赤外線加熱、および伝導加熱を含んでもよい。
【0024】
いくつかの実施形態では、除染物質の第1の源52を、除染処理または1つの除染サイクルのような除染処理の部分に適切な容積といった予め定められた容積で設けてもよい。除染物質の第1の源52を、再使用可能または使い捨てのパッケージで設けてもよい。いくつかの実施形態では、除染物質の第1の源52を密閉された容器内の予め定められた容積として設けてもよく、それを穿刺、またはそうでなければ、少なくとも部分的に開いて、除染処理中に除染物質の第1の源52がパッケージを出るまたは離れるのを可能にしてもよい。例えば、除染物質の第1の源52をパッケージで提供してもよく、容器16内に位置決められると穿刺してもよい。いくつかの実施形態では、パッケージが容器16内に位置決められ、容器16が密閉またはそうでなければ閉じられた後に、パッケージを穿刺してもよい。他の実施形態では、パッケージを、除染処理中の特定の時間、例えば除染チャンバ14内に真空条件が確立した後に穿刺してもよい。除染物質の第1の源52に関して本明細書で述べたように、パッケージが、除染物質の第1の源52が除染サイクルに必要とされる直前まで、除染チャンバ14内の状態から除染物質の第1の源52を保護してもよい。
【0025】
いくつかの実施形態では、除染物質の第1の源52を、容器16と一体式のパッケージで設けてもよい。例えば容器16を、予め定められた量の除染物質の第1の源52を包含するパッケージで設けてもよい。
【0026】
他の実施形態では、除染物質の第1の源52を、容器16から着脱可能なパッケージで設けてもよい。いくつかの実施形態では、パッケージを容器16内に位置決めてもよく、除染物質の第1の源52が除染サイクルに必要とされる少し前にまたは直前に穿刺、またはそうでなければ、少なくとも部分的に開いてもよい。
【0027】
いくつかの実施形態では、除染物質の第1の源52を第1の気化器54内に取り付けられた容器内に設けてもよく、第1の気化器54からの熱にさらされたとき、除染物質の第1の源52を容器から放出してもよい。例えば、容器を第1の気化器54のコイルまたはブロックヒータ内に取り付けてもよい。いくつかの実施形態では、除染物質の第1の源52を再使用可能な容器内に設けてもよく、容器を除染処理前に予め定められた量の除染物質の第1の源52とともに装填してもよい。例えば、予め定められた量の除染物質の第1の源52を、容積または質量により測定し、容器に追加してもよい。いくつかの実施形態では、シリンジのような測定装置を使用して、予め定められた量の第1の除染物質52を測定し、容器へ送達してもよい。
【0028】
いくつかの実施形態では、除染物質の第1の源52を装置12の内腔13に接合してもよい。例えば、除染物質の第1の源52を、導管56により内腔13に接合してもよい。いくつかの実施形態では、除染システム50は、除染物質の第1の源52を1つまたは複数の特定の内腔へ方向付ける1つまたは複数のバルブを有してもよい。
【0029】
図3は、多腔型装置12aの除染システム50aの実施形態の概略図である。いくつかの実施形態では、システム50aは、除染チャンバ14、容器16、除染物質の第1の源52a、52b、第1の気化器54、除染物質の第2の源22、第2の気化器24、環境モニタリングおよびコントロールシステム26およびシステムコントロールシステム28を有する。システム50aは、第1の導管56aおよび第2の導管56bにより第1の内腔13aおよび第2の内腔13bにそれぞれ接合された第1の気化器54を有する。除染物質の第1の源52aおよび52bを、除染チャンバ14内に位置付けてもよい。第1の気化器54を、除染チャンバ14内に位置付け、2つの除染物質の第1の源52aおよび52bと連通してもよい。除染物質の第2の源22および第2の気化器24を、除染チャンバ14の外側に位置付け、チャネル32を介して除染チャンバ14と流体連通してもよい。使用のあいだ、除染物質の第1の源52aおよび52bをパッケージの予め定められた容積で設けてもよく、除染物質の第2の源22をパッケージの予め定められた容積で設けてもよい。除染物質の第1の源52aおよび52bのパッケージを穿刺してもよく、またはその中に開口部を形成して除染物質を第1の気化器54へ放出してもよい。いくつかの実施形態では、除染物質の第1の源52aおよび52bのパッケージを、同時に穿刺または開いてもよい。他の実施形態では、除染物質の第1の源52aおよび52bのパッケージを、異なる時間に開いてもよい。例えば、除染物質の第1の源52aおよび52bのパッケージを、除染処理中の第1の時間に開いてもよく、除染物質の第2の源22のパッケージを、除染処理中の後の時間に開いてもよい。
【0030】
第1のバルブ58aは第1の気化器54から第1の内腔13aへの流れを調節または制御してもよく、第2のバルブ58bは第1の気化器54から第2の内腔13bへの除染物質の流れを調節または制御してもよい。いくつかの実施形態では、システムコントロールシステム28は、バルブ58aおよび58bを制御してもよい。第1のバルブ58aおよび第2のバルブ58bは、第1の導管56aおよび第2の導管56bを通る流量を制御するフローレギュレータを有してもよい。例えば装置が異なる直径の内腔を持つとき、第1の導管56aおよび第2の導管56bを通る流量を制御するのが望ましいかもしれない。例えば、第1の内腔13aが第2の内腔13bと異なる直径または長さを持つ場合、第1の導管56aを通る流量を第2の導管56bを通る流量と異なるよう選択してもよい。例えば、第1のバルブ58aは1mmの内径を持つ内腔へ気化した除染物質を提供するのに適切なフローレギュレータを有してもよく、一方で第2のバルブ58bは4mmの内径を持つ内腔へ気化した除染物質を提供するのに適切なフローレギュレータを有してもよい。そのようなシステムを用いて、異なる直径を持つ複数の内腔を包含する装置を除染しうる。
【0031】
いくつかの実施形態では、バルブ58aおよび58bを、除染物質が一度に1つの内腔を通って流れるように制御してもよい。例えば、第2のバルブ58bが開かれたとき第1のバルブ58aを閉じてもよく、気化器54からの除染物質が第2の内腔13bを通って流れることが可能で、一方で第1の内腔13aを通って流れるのを防ぐことが可能である。第1の気化器54が2つの除染物質の第1の源52aおよび52bを包含して示されているが、第1の気化器54はあらゆる数の第1の源を含んでもよい。
【0032】
システム50aはまた、硬質な部分16aおよび浸透性部分16bを持つ表面を有する容器16を有してもよい。いくつかの実施形態では、浸透性部分16bは除染物質が浸透可能であってもよい。例えばいくつかの実施形態では、除染物質は第1の気化器54から除染チャンバ14内へ流れ、それから容器16の浸透性部分16bを通って容器16内へ浸透してもよい。
【0033】
第1の気化器54から内腔13aおよび13bへ蒸気を運ぶ導管56aおよび56bの長さは、第1の気化器54から内腔への蒸気の移動に適切な距離を設けるように選択される。いくつかの実施形態では、第1の気化器54を出る蒸気の温度は約75℃から約95℃である。内視鏡のような特定の装置は、しばしば損傷に持ちこたえることなく60℃を超える温度に耐えられない。除染物質を気化し、それから装置に接触する前に60℃未満に蒸気を冷却することを可能にするシステムを用いて、内視鏡を損傷することなくそれの除染を可能にする。いくつかの実施形態では、導管56bおよび56aは、蒸気が装置に接触する前に、それが気化器の温度から60℃未満に冷えることを可能にするのに適切な長さを有する。例えば、第1の気化器54から内腔13aおよび13bへ蒸気を運ぶ導管56bおよび56aは、およそ20cmの長さであってもよい。
【0034】
図4は、多腔型装置12aの除染システム50bの実施形態の概略図である。システム50bは、除染チャンバ14、および4つの除染物質の第1の源52a、52b、52cおよび52dに接合された第1の気化器54を有する。いくつかの実施形態では、システム50bはまた、除染物質の第2の源22、第2の気化器24、環境モニタリングおよびコントロールシステム26およびシステムコントロールシステム28を有する。
【0035】
いくつかの実施形態では、第1の気化器54は、除染チャンバ14内に位置し、多腔型装置12aの第1の内腔13aおよび第2の内腔13bに接合される。使用のあいだ、除染物質の第1の源52a、52b、52cおよび52dを、予め定められた容積で、例えばパッケージで設けてもよい。除染処理の間、除染物質を、52a、52b、52cおよび52dのパッケージから同時にまたは異なる時間に放出してもよい。52a、52b、52cおよび52dのパッケージを穿刺してもよく、またはその中に開口部を形成して除染物質を第1の気化器54内へ放出してもよい。いくつかの実施形態では、除染物質の第1の源52a、52b、52cおよび52dのパッケージを、同時に穿刺または開いてもよい。他の実施形態では、除染物質の第1の源52a、52b、52cおよび52dのパッケージを、異なる時間に開いてもよい。例えば、除染物質の第1の源52aおよび52bのパッケージを、除染処理中の第1の時間に開いてもよく、除染物質の第1の源52cおよび52dを、除染処理中の後の時間に開いてもよい。
【0036】
放出されるとき、除染物質は第1の気化器54内へ流れ、そこでそれを気化してもよい。除染物質は、第1の気化器54から第1の内腔13aまたは第2の内腔13bのどちらかへ、第1の導管56aまたは第2の導管56bのそれぞれを通って流れる。
【0037】
本明細書に記載されたように、第1のバルブ58aは第1の導管56aへの流れを制御し、第2のバルブ58bは第1の導管56bへの流れを制御する。いくつかの実施形態では、第1のバルブ58aおよび第2のバルブ58bを、システムコントロールシステム28により制御してもよい。本明細書に記載されたように、バルブを、除染物質が一度に1つの内腔を通って流れるように制御してもよい。例えば、第2のバルブ56bが開かれたとき第1のバルブ58aを閉じてもよく、第1の気化器54からの除染物質が第2の内腔13bを通って流れることが可能で、一方で第1の内腔13aを通って流れるのを防ぐことが可能である。
【0038】
システム50bはまた、硬質な部分16aおよび浸透性部分16bを持つ外表面を有する容器16を有してもよい。いくつかの実施形態では、浸透性部分16bは除染物質が浸透可能であってもよい。例えばいくつかの実施形態では、除染物質は第2の気化器24から除染チャンバ14内へ流れ、それから容器16の浸透性部分16bを通って容器16内へ浸透してもよい。
【0039】
図5は、多腔型装置12aの除染システム50cの実施形態の概略図である。システム50cは除染チャンバ14内に位置する第1の気化器54を有し、4つの除染物質の第1の源52a、52b、52cおよび52dに接合される。いくつかの実施形態では、第1の気化器54は、第1の導管56aを介して多腔型装置12aの第1の内腔13aに、および第2の導管56bを介して多腔型装置12aの第2の内腔13bに接合される。使用のあいだ、除染物質の第1の源52a、52b、52cおよび52dを、予め定められた容積で、例えばパッケージで設けてもよい。いくつかの実施形態では、システム50cはまた、除染物質の第2の源22、第2の気化器24、環境モニタリングおよびコントロールシステム26、およびシステムコントロールシステム28を有する。
【0040】
システム50cで、除染物質は設けられたパッケージ内で気化され、特定の導管に方向付けられる。例えば、除染物質の第1の源52aは設けられたパッケージ内で気化され、それから第2の導管56bへ直接流れる。すなわち、気化した除染物質の第1の源52aは、それが第2の導管56bへ流れる前に除染物質の第1の源52a、52b、52cおよび/または52dと混合するかもしれない第1の気化器54内の共用空間内へ流れない。
【0041】
いくつかの実施形態では、第1のバルブ58aは、除染物質の第1の源52aから第2の導管56bおよび第2の内腔13bへの気化した除染物質の流れを制御する。第2のバルブ58bは、除染物質の第1の源52bから第2の導管56bおよび第2の内腔13bへの気化した除染物質の流れを制御する。第3のバルブ58cは、除染物質の第1の源52cから第1の導管56aおよび第1の内腔13aへの気化した除染物質の流れを制御する。第4のバルブ58dは、除染物質の第1の源52dから第1の導管56aおよび第1の内腔13aへの気化した除染物質の流れを制御する。バルブ58a、58b、58cおよび58dを、システムコントロールシステム28により制御してもよい。本明細書に記載されたように、システムコントロールシステム28は、除染物質が一度に1つの内腔を通って流れるようにバルブを制御してもよい。
【0042】
システム50cを、硬質な部分16aおよび浸透性部分16bを持つ外表面を有する容器16とともに使用してもよい。いくつかの実施形態では、浸透性部分16bは除染物質が浸透可能であってもよい。例えばいくつかの実施形態では、除染物質は第2の気化器24から除染チャンバ14内へ流れ、それから容器16の浸透性部分16bを通って容器16内へ浸透してもよい。
【0043】
よって全体の構成で、
図1、
図2、および
図3に示された装置12、または
図4および
図5に示された多腔型装置12aを除染するため、装置12または多腔型装置12aを容器16内に取り付けてもよく、除染物質の第1の源に接合してもよい。例えば、装置12または多腔型装置12aを、導管30、56、または導管56a、56bにより除染物質の第1の源に接合してもよい。装置12または多腔型装置12aを容器16内に密閉し、除染チャンバ14内に取り付けてもよい。装置12または多腔型装置12aはそれから除染処理を受け、除染処理は1つまたは複数の除染サイクルを有してもよい。
【0044】
本明細書に記載されたように、除染サイクルは、装置12または多腔型装置12aの除染のため、除染物質の除染チャンバ14内への少なくとも1回の放出を含む。いくつかの実施形態では、除染処理は、2つ以上の同一の除染サイクルを含んでもよい。いくつかの実施形態では、除染サイクルの第1のステップは、除染チャンバ14内の圧力を気圧未満に減少してもよく、最後のステップは除染チャンバ14内の圧力を気圧に戻すものであってもよい。いくつかの実施形態では、除染処理は、装置12または多腔型装置12aが除染チャンバ14とともに取り付けられるときに始まり、装置12または多腔型装置12aが除染チャンバ14から取り除かれるときに終わる。装置12または多腔型装置12aが除染チャンバ12内に取り付けられた後、チャンバ内の圧力を約10トール未満といった適切な範囲に減少してもよい。
【0045】
いくつかの実施形態では、除染サイクルは、過酸化水素水溶液または過酢酸のような予め定められた量の除染物質をバイアルのような容器へ送達することを含み、バイアルはそれから除染チャンバ14内、例えばバイアルホルダ内に取り付けられる。予め定められた量を、例えば容積または重量で測定してもよい。いくつかの実施形態では、除染物質は、約59%の過酸化水素、および残りの水を含んでもよい。内腔(1つまたは複数)を包含するもののような滅菌される装置は、導管30、56、または導管56a、56bに装着された容器内に取り付けられる。容器は、除染チャンバ内に位置決められる。導管30、56、または導管56a、56bもまた気化器に接合される。チャンバはそれから閉じられ、ロックされる。真空が除染チャンバ内に引かれる。
【0046】
除染物質が、除染チャンバ14内に導入される。いくつかの実施形態では、第1の除染物質を直接装置12または多腔型装置12a内へ注入してもよい。いくつかの実施形態では、第2の除染物質を除染チャンバ14内に導入し、容器16内に侵入させてもよい。いくつかの実施形態では、除染物質を、除染チャンバ14の圧力が気圧より低いとき、例えば約10トール未満のときに導入してもよい。本明細書で述べたように、第1の除染物質は容器16内に直接導入される。例えば第1の除染物質を、装置12または多腔型装置12aの1つまたは複数の内腔13、13a、13b内に直接導入してもよい。第1の除染物質は1つまたは複数の内腔13、13a、13bを通って流れ、1つまたは複数の内腔13、13a、13bの除染をもたらす。いくつかの実施形態では、第1の除染物質は、除染処理中、装置12または多腔型装置12a、および特に、内腔13、13a、または13bの除染に十分な予め測定された容積で設けられる。第2の除染物質を、除染チャンバ14内へ導入してもよい。例えば第2の除染物質は除染チャンバ14内へ直接流れてもよく、容器16の外表面を除染してもよい。第2の除染物質が容器16に入るように、第2の除染物質は、容器16の少なくとも部分に浸透してもよい。そのような例で、第2の除染物質は、装置12または多腔型装置12aの外表面を除染してもよい。いくつかの実施形態では、第1の除染物質および第2の除染物質を同時に導入してもよい。他の実施形態では、第1および第2の除染物質を別々に導入してもよい。
【0047】
いくつかの実施形態では、過酸化水素水溶液または過酢酸のような除染物質が気化器内へ注入される。いくつかの実施形態では、除染物質が加熱および気化される第2の気化器24内への除染物質の供給により、蒸気が生成される。蒸気はそれから副周囲圧力(sub−ambient pressure)で除染チャンバ14内へ導入され、そこでそれが滅菌される品物を取り囲む。この第1のステップが、装置の外表面の除染を可能にする。除染物質を、内腔(1つまたは複数)のような滅菌される品物を取り囲むことを可能にしてもよい。除染物質の拡散を可能にする時間の後、圧力が除染チャンバ14内で減少され、気化器およびチャンバの両方が深い真空に露出される。いくつかの実施形態では、それから第2の注入が第1の気化器20、54内で実行される。第2の注入の間、除染物質は、注入速度を下げ、除染物質の気化を可能にし再凝縮を避けることを可能にする方法で、内腔(1つまたは複数)内に直接注入される。
【0048】
容器16および内腔13、13a、13bを含む装置12または多腔型装置12aの除染を促進するよう、除染物質を、一定の時間、除染チャンバ14、容器16および/または装置12または多腔型装置12a内で保持してもよい。除染物質が所望のまたはプログラムされた時間にわたり保持されたとき、システムコントロールシステム28は、除染チャンバ14を高圧へ、しかしいくつかの実施形態では副気圧(sub−atmospheric pressure)へ放出可能である。システムコントロールシステム28はそれから、装置の除染をさらに促進するよう、一定の時間、除染チャンバ14内の圧力を保持することが可能である。除染物質レベルが平坦域に到達した後、除染チャンバ14および内腔(1つまたは複数)のような滅菌される装置から蒸気を取り除くのに、空気洗浄が使用される。空気洗浄の間、システムコントロールシステム28は除染チャンバ14内の圧力を増加し、それから除染チャンバ14内の圧力を減少する。システムコントロールシステム28は、除染チャンバ14および/または装置12または多腔型装置12aの空気洗浄を実行するため、除染チャンバ14内の圧力を複数回増加および減少するこれらのステップを繰り返してもよい。空気洗浄の後、真空を解放し、高性能微粒子(HEPA)フィルタを通しての放出によりチャンバおよび気化器を気圧に戻してもよい。システムコントロールシステム28は、除染チャンバ14から除染物質の残りを取り除くよう、除染チャンバ14を排気してもよい。この除染サイクルまたは一連のステップを、総合的な除染処理の一部として繰り返しまたは延長してもよい。
【0049】
図6は、除染サイクルの実施形態における除染チャンバ内の圧力対時間のグラフを示す。
図6に示されるように、いくつかの実施形態では、除染サイクルは、除染チャンバ内の複数の圧力変更を含んでもよい。
図6で示される除染サイクルを、除染処理内で数回繰り返してもよい。除染サイクルは、真空前調整84、第1の除染ステップ86、および第2の除染ステップ88のような特定のステップを含んでもよい。真空前調整84は、圧力が除染チャンバから引き出されるポンプダウン90、および内腔ウォームアップ時間92を含む。内腔ウォームアップ時間92の間、除染チャンバ内の圧力は、比較的安定した状態に保たれる。
【0050】
いくつかの実施形態では、真空前調整84に第1の除染ステップ86が続いてもよい。第1の除染ステップ86の間、チャンバ注入ステップ94で除染物質が除染チャンバ内へ注入される。チャンバ注入ステップ94の間、除染チャンバ内の圧力は増加する。例の実施形態で、チャンバ注入ステップ94の間、除染チャンバ内へ2mLまでの除染物質が注入される。除染物質が注入された後、拡散時間96で除染チャンバじゅうに拡散するのが可能であってもよく、一方で圧力は安定した状態に保たれる。拡散時間96の後、第2のポンプダウン98を実行してもよい。第2のポンプダウン98の間、除染チャンバ内の圧力は減少する。いくつかの実施形態では、第2のポンプダウン98の後、処理は気化器内に真空が引かれる気化器ポンプダウン100を含む。
【0051】
いくつかの実施形態では、第2の除染ステップ88は、気化器ポンプダウン100の後に実行される。第2の除染ステップ88の間、装置注入ステップ102は、除染物質を除染チャンバ内の装置内へ直接注入することを含む。例えば除染物質を、装置の内腔内へ直接注入してもよい。いくつかの実施形態では、装置注入ステップの間、約1mLから約3mL、約1.7mLから約2.3mL、または約1.9mLから約2.1mLの除染液を、内腔内へ直接注入してもよい。例の実施形態で、装置注入ステップ102の間、2mLまでの除染物質が除染チャンバ内に包含される内腔内へ注入される。装置注入ステップ102の間または後、除染チャンバ内の圧力は増加する。装置注入ステップ102の後、複数回の空気洗浄104を実行してもよい。
図6に示されるように、複数回の空気洗浄104は、除染チャンバ内の圧力の増加および減少の繰り返しを含んでもよい。これは、除染チャンバから適切な量の除染物質を取り除くのにあらゆる回数をもたらしうる。適切な回数の空気洗浄の後、最終放出ステップ106で、除染チャンバ内の圧力が気圧に到達するのが可能であってもよい。要点を前述したステップの概要、およびそれぞれのステップでの持続時間および圧力の例が、下の表1に含まれる。
【表1】
【0052】
除染処理は、時間および機器を消費する。よって、除染処理に必要とされる時間を減少する一方で、なお所望の除染レベルを達成することが望ましい。装置の効果的な除染に必要とされる時間を減少することは、ユーザがより多くの装置をより少ない時間で除染することを可能にする。いくつかの実施形態では、前述の装置注入ステップは、ユーザが細長形および/または不法な流路を持つ装置内へ除染物質を直接導入することを可能にする。例えば、長さ対幅の比が高い内腔を持つ内視鏡または他の装置は、内腔の内部へ直接注入された除染物質を有することで利点を得るかもしれない。内腔の内部へ除染物質を直接注入することにより、除染物質が内腔の内表面に接触するより効果的な手段がもたらされる。この処理はまた、内腔の内表面の全体が除染物質に接触するようになることを確実にする。すなわち、直接の注入は、除染物質が内腔の長さ全体に侵入する可能性を増す。内腔内へ除染物質を直接注入することの1つのありうる利点は、内腔の長さ全体に沿った適切な除染に必要とされるサイクル時間の減少である。
【0053】
いくつかの実施形態では、除染物質が内腔内へ注入される割合が、内腔内の除染物質の気化の割合に影響する。除染物質の容積の注入の割合の減少が、その気化の割合を増加することが見出された。気化の割合が増加することはより効果的な気化につながりえて、それが次に気化器が必要とする作動温度を低くすることを可能にする。
【0054】
いくつかの実施形態では、内腔内へ気化した除染物質を直接注入することは、除染処理の間中除染チャンバが低温で作動することを可能にする一方で、なお内腔のような装置の十分な除染を確実にする。低温の作動は、温度上昇に高感度でありうる特定の装置を除染するとき有益である。例えば内視鏡はしばしば、損傷に持ちこたえることなく60℃を超える温度に耐えられない。まず除染物質を気化し、内腔に接触する前に蒸気が60℃未満に冷えるのを可能にする処理の使用は、内視鏡を損傷することなくその除染を可能にする。これは、蒸気が気化器を出てから蒸気が最初に内腔に接触する位置まで導管を通って運ばれる適切な移動距離を設けることによって達成しうる。蒸気を気化器と内腔の間で運ぶ導管の長さが、蒸気が気化器から内腔へ移動するので、それが冷却するのを可能にする。例えば気化器から内腔へ蒸気を運ぶ導管は、およそ20cmの長さであってもよい。この距離は、蒸気が内腔に接触する前に蒸気の温度が60℃未満に下がるのを可能にすることが見出された。
【0055】
いくつかの実施形態では、除染物質が長期に渡って装置と接触したままである場合、または高濃度の除染物質が使用される場合、除染物質は特定の装置で腐食を引き起こしうる。腐食はまた、除染物質の蒸気が装置の表面で凝縮する場合にも起こりうる。内腔内の除染物質の凝縮を減少するため、除染チャンバおよび内腔内の蒸気の温度を特に調整してもよい。
【0056】
内腔の熱劣化または腐食につながりうる圧力、温度、および暴露時間を避ける、効果的および効率的な内腔の除染のための適切な作動パラメータが確認された。前述の作動パラメータを用いて、本明細書中に開示される除染処理が、長さ3.0または3.5メートルの内腔を効果的に滅菌可能であることが見出された。本明細書中に開示される処理が、長さ3.5メートルの内腔を正常に滅菌し、一方で内腔の圧力および温度耐性内の除染サイクルの作動パラメータを保つことが見出された。本明細書中に開示される処理は、1mm、1.6mm、2mm、および3.45mmの内径、および3mm、3.18mm、4mm、および4.76mmの外径の内腔を正常に滅菌することが見出された。59%の過酸化水素を含む2mLの除染物質が、同時に腐食または過剰圧力のような内腔の損傷無しに複数の内腔の除染に成功することもまた見出された。
【0057】
約95℃で気化器を作動し、58℃の温度に除染チャンバを維持することが、内腔内の凝縮を最小化することが見出された。例で、除染チャンバは除染処理の間中58℃で作動するよう設定され、蒸気が気化器を出るときの蒸気温度が95℃に設定された。内腔を、内腔を気化器に20cm離して接合するヘッダに取り付けた。ヘッダを通って移動後、内腔に入る蒸気は55℃であることが見出され、これは内腔が許容可能な作動温度内である。いくつかの実施形態で、凝縮はまた除染処理中に空気を内腔を通して流すことで最小化可能である。
【0058】
種々の改良および追加を、本発明の範囲から逸脱することなく記述した例示的な実施形態になすことが可能である。例えば、前述の実施形態は特定の特徴を述べるが、本発明の範囲はまた、全ての前述の特徴を含まない特徴および実施形態の種々の組み合わせを持つ実施形態を含む。
【手続補正書】
【提出日】2017年11月2日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置の除染方法であって、
除染される装置を包含する容器を除染チャンバ内に位置決め、前記装置は少なくとも1つの内腔を包含することと、
前記容器を前記除染チャンバ内に設置された除染物質の源に接合することと、
前記容器を包含する前記除染チャンバ内の圧力を減少することと、
前記圧力を減少した除染チャンバ内の前記除染物質を気化することと、
前記気化した除染物質を前記除染される装置の前記内腔内へ注入することと
を含む、装置の除染方法。
【請求項2】
前記除染物質が過酸化水素または過酢酸を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記除染物質を気化することが、約59%の過酸化水素を含む少なくとも2.0mlの液体を気化することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記気化した除染物質が前記内腔内へ注入されるとき、摂氏60度未満である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記装置が複数の内腔を有し、さらに前記装置の1つまたは複数の選択された内腔を通る前記除染物質を制御可能に方向付ける、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
除染物質の第2の源を前記除染チャンバへ接合し、前記除染物質の第2の源は前記除染チャンバの外側に位置することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記装置が、異なる内径を持つ少なくとも2つの内腔を有し、それぞれの内腔に個別に気化した除染物質を提供するフローレギュレータを使用することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記除染物質が、前記気化ステップの前は液相である、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記除染物質の気化の前、前記除染チャンバ内の前記圧力が20トール未満である、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記除染物質の気化の前に、予め定められた容積の除染物質を前記除染チャンバ内に配置し、気化器に接合する、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
第1の温度を有する気化した除染物質を、前記気化した除染物質を前記除染される装置の前記内腔内へ注入する前に、摂氏60度未満の第2の温度に下げるよう構成された長さを持つ導管を通して流すことをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記容器を包含する前記除染チャンバ内の前記圧力を減少するステップと、前記圧力を減少した除染チャンバ内の前記除染物質を気化するステップと、前記気化した除染物質を前記除染される装置の前記内腔内へ注入するステップと、を繰り返すことをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【国際調査報告】