特表2018-519993(P2018-519993A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ エス・ペー・セー・エム・エスアーの特許一覧

特表2018-519993コロイド安定剤としての両性コポリマーの使用
<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2018-519993(P2018-519993A)
(43)【公表日】2018年7月26日
(54)【発明の名称】コロイド安定剤としての両性コポリマーの使用
(51)【国際特許分類】
   B01F 17/52 20060101AFI20180629BHJP
   C08L 33/26 20060101ALI20180629BHJP
   C08F 220/60 20060101ALI20180629BHJP
【FI】
   B01F17/52
   C08L33/26
   C08F220/60
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2017-566092(P2017-566092)
(86)(22)【出願日】2016年6月22日
(85)【翻訳文提出日】2018年2月19日
(86)【国際出願番号】EP2016064353
(87)【国際公開番号】WO2016207187
(87)【国際公開日】20161229
(31)【優先権主張番号】15305960.5
(32)【優先日】2015年6月22日
(33)【優先権主張国】EP
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】510338248
【氏名又は名称】エス・ペー・セー・エム・エスアー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】フレデリック・ブロンデル
(72)【発明者】
【氏名】ギヨーム・ジャンソン
(72)【発明者】
【氏名】イアン・ハリソン
(72)【発明者】
【氏名】エマニュエル・オッサン
【テーマコード(参考)】
4D077
4J002
4J100
【Fターム(参考)】
4D077AA04
4D077AA05
4D077AA09
4D077AB11
4D077AB12
4D077AB17
4D077AC03
4D077BA07
4D077BA12
4D077CA01
4D077CA02
4D077CA03
4D077CA13
4D077DD03X
4D077DD09X
4D077DD10X
4D077DD12X
4D077DD14X
4D077DD17X
4D077DD18X
4D077DD19X
4D077DD20X
4D077DE02X
4D077DE08X
4D077DE16X
4D077DE22X
4D077DE29X
4D077DE32X
4D077DE34X
4J002BG131
4J002GB00
4J100AJ02Q
4J100AK08Q
4J100AM21P
4J100BA32P
4J100FA19
4J100JA61
(57)【要約】
本発明は、活性物質を含有するアミノプラストコア−シェルマイクロカプセルの調製におけるコロイド安定剤としての両性コポリマーの使用であって、
前記両性コポリマーが、
- 2〜99モル%の少なくとも1つの第4級アンモニウム基を有するカチオン性モノマー
- 1~98モル%のアクリル系モノマー
- 0〜97モル%の非イオン性モノマー、
を含み、前記両性コポリマーが、アニオン電荷よりも多くのカチオン電荷を有し、
前記両性コポリマーのカチオン電荷が、カチオン性モノマーの少なくとも1つの第4級アンモニウム基のみによるものである、両性コポリマーの使用に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
活性物質を含むアミノプラストコア−シェルマイクロカプセルの調製におけるコロイド安定剤としての両性コポリマーの使用であって、
前記両性コポリマーが、
- 2〜99モル%の少なくとも1つの第4級アンモニウム基を有するカチオン性モノマー、
- 1~98モル%のアクリル系モノマー、及び
- 0〜97モル%の非イオン性モノマー、
を含み、
前記両性コポリマーは、アニオン電荷よりも多くのカチオン電荷を有し、
前記両性コポリマーのカチオン電荷が、前記カチオン性モノマーの少なくとも1つの第4級アンモニウム基のみに起因する、両性コポリマーの使用。
【請求項2】
前記カチオン性モノマーが、4級ジメチルアミノエチルアクリレート(ADAME)、4級ジメチルアミノエチルメタクリレート(MADAME)、ジメチルジアリルアンモニウムクロリド(DADMAC)、アクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロリド(APTAC)、及びメタクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロリド(MAPTAC)からなる群から選択されることを特徴とする、請求項1に記載の両性コポリマーの使用。
【請求項3】
前記カチオン性モノマーが、メタクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロリド(MAPTAC)であることを特徴とする、請求項1または2に記載の両性コポリマーの使用。
【請求項4】
前記アクリル系モノマーが、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、ビニルスルホン酸、ビニルホスホン酸、アリルスルホン酸、アリルホスホン酸、スチレンスルホン酸、およびそれらのアルカリ金属、アルカリ土類金属、またはアンモニウムの水溶性塩から成る群から選択されることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の両性コポリマーの使用。
【請求項5】
前記アクリル系モノマーが、(メタ)アクリル酸またはその水溶性塩であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の両性コポリマーの使用。
【請求項6】
前記非イオン性モノマーが、アクリルアミド、メタクリルアミド、N-イソプロピルアクリルアミド、N,N-ジメチルアクリルアミド、N-メチロールアクリルアミド、N-ビニルホルムアミド、N-ビニルアセトアミド、N-ビニルピリジン、及びN-ビニルピロリドンから成る群から選択されることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載の両性コポリマーの使用。
【請求項7】
前記非イオン性モノマーがアクリルアミドであることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載の両性コポリマーの使用。
【請求項8】
前記両性コポリマーが、30〜95モル%のカチオン性モノマーを含むことを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一項に記載の両性コポリマーの使用。
【請求項9】
前記両性コポリマーが、60〜90モル%のカチオン性モノマーを含むことを特徴とする、請求項1〜8のいずれか一項に記載の両性コポリマーの使用。
【請求項10】
前記両性コポリマーが、5〜70モル%のアクリル系モノマーを含むことを特徴とする、請求項1〜9のいずれか一項に記載の両性コポリマーの使用。
【請求項11】
前記両性コポリマーが、10〜40モル%のアクリル系モノマーを含むことを特徴とする、請求項1~10のいずれか一項に記載の両性コポリマーの使用。
【請求項12】
前記両性コポリマーが、
- 30~95モル%、好ましくは60~90モル%のメタクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロリド(MAPTAC)、
- 5~70モル%、好ましくは10~40モル%のアクリル酸またはその水溶性塩、及び
- 0~80モル%、好ましくは0~50モル%のアクリルアミド
を含むことを特徴とする、請求項1〜8のいずれか一項に記載の両性コポリマーの使用。
【請求項13】
前記両性コポリマーが、少なくとも100,000 g/molの分子量を有することを特徴とする、請求項1〜12のいずれか一項に記載の両性コポリマーの使用。
【請求項14】
前記両性コポリマーが、少なくとも500,000 g/molの分子量を有することを特徴とする、請求項1〜13のいずれか一項に記載の両性コポリマーの使用。
【請求項15】
前記両性コポリマーが、直鎖状、分枝状、星形、または櫛形であることを特徴とする、請求項1〜14のいずれか一項に記載の両性コポリマーの使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アミノプラストコア-シェルマイクロカプセルの製造におけるコロイド安定剤としての両性コポリマーの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
マイクロカプセル化技術は、1ミリメートルから数マイクロメートルまでの小さな平均粒径を有する、マイクロスフェア(微小球)またはマイクロカプセルとして知られている微小な球体の内部に化合物をカプセル化することを可能にする。ポリ(エチレングリコール)、ポリ(メタクリレート)、ポリ(スチレン)、セルロース、ポリ(ラクチド)、ポリ(ラクチド−コ−グリコリド)、ゼラチン及びアラビアゴム等の様々なポリマー及び非ポリマー材料から形成されたマイクロカプセルの内部に、薬剤、酵素、ビタミン、農薬、香料、及び触媒等の多くの種々の活性材料のカプセル化に成功している。これらのマイクロカプセルは、必要な場合、最終用途に応じて異なる放出機構により、カプセル化された内容物(活性材料)を放出する。この技術は、製薬、農業、食品、印刷、化粧品、及び繊維等のいくつかの分野で使用されている。
【0003】
特に、アミノプラストコア/シェルマイクロカプセルは、化粧品、繊維、および農薬用途の活性物質のカプセル化に適している。
【0004】
アミノプラストマイクロカプセルは、マイクロカプセル化の分野において、広く使用されている、産業的に関連するアプローチを代表するものである。先行技術において十分に開示されているアミノプラストマイクロカプセルを形成する確立された方法が存在する。典型的には、第1の工程において、水中油型エマルションが形成される。このエマルションは、水性連続相中に分散した活性物質を含有する油滴からなる。その後、エマルションに含まれるシェル形成モノマーまたは予備縮合物で、活性材料を含有する液滴の周囲にカプセル化ポリマーシェルを形成させ、コア−シェルマイクロカプセルの形成を行う。
【0005】
試薬および反応条件は、油−水界面へのモノマーまたは予備縮合物の効率的な移行が確実になるように選択し、これにより、ポリマーシェルが油滴の周りに迅速に形成されて、活性成分の全てまたは実質的に全てをコアの中に保持し、マイクロカプセルコアからのカプセル化された活性材料の漏れを防止する。シェル形成材料が油−水界面に迅速にまたは十分な量で移行しない場合、マイクロカプセルを形成することができない場合がある。この場合、マイクロカプセルが形成されると、それらは劣った活性物質の保持能力によって特徴付けられ、凝集する傾向がある。
【0006】
保護コロイド安定剤として作用するポリマーは、マイクロカプセル形成の間に油−水界面を安定化するために使用される。ポリマー安定剤は、いくつかの方法で機能する:安定な水中油型エマルションの形成を確実にする;モノマーおよび予備縮合物の油−水界面への移動を促進する;その周囲でモノマーまたは予備縮合物が反応してカプセル化するポリマーシェルを形成することができる鋳型(テンプレート)を提供する。
【0007】
アミノプラストマイクロカプセルの調製に用いられるポリマー安定剤は、アニオン性または非イオン性のポリマーである(例えば、米国特許第8119587号参照)。特に有効なポリマー安定剤は、スルホネート基を有するアクリル酸系コポリマーである。商業的に入手可能なコポリマーの例としては、LUPASOL(登録商標、BASF社製)、例えば、LUPASOL PA 140またはLUPASOL VFRが挙げられる。これらの市販のポリマーは、市販のアミノプラストマイクロカプセル組成物の調製に用いられる例示的なポリマー安定剤である。
【0008】
上述の方法によって調製されたアミノプラストマイクロカプセルは、典型的には、好適な懸濁媒体中に懸濁された複数のマイクロカプセルを含むスラリーの形態で回収される。マイクロカプセルスラリーは、その後、用途に直接使用することができ、またはさらに加工され得る。例えば、正味の正電荷をそれらに付与するために、アミノプラストマイクロカプセルをカチオン性水溶性ポリマーで後コーティングするのが従来の加工法である。このコーティングは沈着助剤として作用し、特定の基材上に堆積した場合にマイクロカプセルの持続性(substantivity)を増大させる。しかしながら、後コーティングは余分な工程を必要とし、製造工程のコストを増加させる。実際、これらのマイクロ粒子を最終的に正味の正電荷を有するものにする前に、負に帯電したマイクロカプセルを最初に中和するのに大量のカチオンポリマーを必要とする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許第8119587号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
結果として、安定性の増大および厚さのより優れた制御を有するマイクロカプセルを開発する必要性が存在する。さらに、従来の後コーティング技術を使用せずに、マイクロカプセルの調製方法を改善する必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、コアが活性物質を含むコア−シェルマイクロカプセルの調製方法において、コロイド安定剤として両性コポリマーを使用することに関する。この両性コポリマーは、
- マイクロカプセルが形成されるエマルションの安定性;
- マイクロカプセルのシェルの厚さの制御;
- 微粒子(マイクロカプセル)の凝集物の形成の防止;
- マイクロカプセルを含む水性組成物またはスラリーの安定性
を向上する。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、用語「マイクロカプセル」は、「アミノプラストコア−シェルマイクロカプセル」を意味する。
【0013】
本発明による両性コポリマーを以下に定義する。両性コポリマーは、カチオンおよびアニオンの両方の電荷を含む。そのカチオン電荷はpHに依存しない。すなわち、ポリマーが可溶化または懸濁され得る溶液にかかわらず、そのカチオン電荷密度は同じままである。
【0014】
したがって、本発明は、活性物質を含有するアミノプラストコア−シェルマイクロカプセルの調製におけるコロイド安定剤としての両性コポリマーの使用に関し、この両性コポリマーは、
- 2〜99モル%の少なくとも1つの第4級アンモニウム基、好ましくは1つの第4級アンモニウム基を有するカチオン性モノマー;
- 1〜98モル%のアクリル系モノマー;
- 0〜97モル%の非イオン性モノマー;
を含み、該両性コポリマーは、アニオン電荷よりも多くのカチオン電荷を有する。そのため、このカチオン性およびアニオン性官能基の比率は正の正味の総電荷をもたらす。
【0015】
両性コポリマーのカチオン電荷は、カチオン性モノマーの第4級アンモニウム基のみに起因する。
【0016】
非イオン性モノマーの存在は任意である。
【0017】
以下、モノマーの全モル百分率は100である。当業者は、カチオン性モノマー、アクリル系モノマー(アニオン性)、および非イオン性モノマーのそれぞれのモル百分率が合計で100になるように調整することが可能である。
【0018】
上述したとおり、典型的なアミノプラストコア−シェルマイクロカプセルは、以下のとおりに調製される:
- 第1の工程において、水性連続相中に分散された、活性物質を含有する油滴からなる、水中油型エマルションを形成する;
- 前記エマルション中に含まれるシェル形成前駆体(モノマーまたは予備縮合物)で、前記活性物質を含有する液滴の周囲にカプセル化ポリマーシェルを形成させ、コア−シェルマイクロカプセルを形成する。
【0019】
特定の実施形態によれば、両性コポリマーは、以下の工程に従って、アミノプラストコア−シェルマイクロカプセルを調製する方法におけるコロイド安定剤として使用され得る:
- 前記両性コポリマーおよびアミノプラスト樹脂前駆体を含む水性相を調製する工程;
- この水性相に活性物質、好ましくは疎水性活性物質を追加する工程;
- 得られた組成物をコアセルベーション(液滴形成)を行うまたは乳化する工程;
- 前記アミノプラスト樹脂前駆体を重合または架橋することにより、アミノプラストコア−シェルマイクロカプセルを形成する工程。
【0020】
得られたマイクロカプセルは、好ましくは水性相中に懸濁される。得られた懸濁液は、精製工程なしで使用するか、または最終的に乾燥させられ得る。水性相は、通常、少なくともいくつかの両性コポリマーを含む。
【0021】
アミノプラスト樹脂前駆体は、予備縮合物および架橋剤の混合物またはモノマーの混合物であり得る。
【0022】
別の特定の実施形態によれば、コア−シェルマイクロカプセルが形成されると、マイクロカプセルを含む水性組成物またはスラリーの安定性を改善するために、カチオン性コポリマーを得られた組成物に加えることができる。
【0023】
上述の方法によって調製されたアミノプラストコア−シェルマイクロカプセルは、典型的には、好適な懸濁媒体中に懸濁された複数のマイクロカプセルを含むスラリーの形態で回収される。
【0024】
既に言及したとおり、本発明の両性コポリマーは、少なくとも1つのカチオン性モノマー、少なくとも1つのアクリル系モノマー、および場合によって任意に少なくとも1つの非イオン性モノマーを含む。
【0025】
カチオン性モノマーは、特に、モノマー、例えば、第4級アンモニウム基を有する、アクリルアミドモノマー、アクリルモノマー、ビニルモノマー、アリルモノマーまたはマレイン酸モノマーの誘導体から選択することができる。特に、非限定的な例として、カチオン性モノマーは、4級ジメチルアミノエチルアクリレート(ADAME)、4級ジメチルアミノエチルメタクリレート(MADAME)、ジメチルジアリルアンモニウムクロリド(DADMAC)、アクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロリド(APTAC)、およびメタクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロリド(MAPTAC)からなる群から好ましくは選択される。カチオン性モノマーは、カチオン性モノマーの混合物であってもよい。最も好ましいカチオン性モノマーはMAPTACである。
【0026】
カチオン性モノマーは、両性コポリマーのモノマーの総モル数に対して、2〜99モル%、好ましくは30〜95モル%、より好ましくは60〜90モル%で存在する。
【0027】
アクリル系モノマーは、アクリル官能基、ビニル官能基、マレイン酸官能基、フマル酸官能基、またはアリル官能基を有し、カルボキシ基、ホスホネート基、スルホネート基、またはアニオン電荷を有する他の基を有するモノマーから選択することができる。こうしたモノマーのアンモニウム塩、アルカリ土類金属塩、またはアルカリ金属塩であってもよい。
【0028】
好適なアクリル系モノマーの例としては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、並びに強酸モノマー、例えば2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、ビニルスルホン酸、ビニルホスホン酸、アリルスルホン酸、アリルホスホン酸、スチレンスルホン酸等のスルホン酸またはホスホン酸型官能基を有するモノマーが挙げられる。アクリル系モノマーはまた、これらのモノマーの任意の水溶性塩であってもよく、ここで、塩はアルカリ金属、アルカリ土類金属、またはアンモニウム塩である。また、アクリル系モノマーの混合物であってもよい。最も好ましいアクリル系モノマーは、アクリル酸、メタクリル酸、またはこれらの水溶性塩である。
【0029】
アクリル系モノマーは、両性コポリマーのモノマーの総モル数に対して、1〜98モル%、好ましくは5〜70モル%、より好ましくは10〜40モル%で存在する。
【0030】
場合により、両性コポリマーは、少なくとも1つの非イオン性モノマーを含む。本発明における有用な非イオン性モノマーは、水溶性ビニルモノマーを含む群から選択され得る。このカテゴリーに属する好適な非イオン性モノマーは、アクリルアミド、メタクリルアミド、N-イソプロピルアクリルアミド、N,N-ジメチルアクリルアミド、N-メチロールアクリルアミドからなる群から有利に選択される。N-ビニルホルムアミド、N-ビニルアセトアミド、N-ビニルピリジン、および/またはN-ビニルピロリドンも使用することができる。また、非イオン性モノマーの混合物であってもよい。最も好適な非イオン性モノマーはアクリルアミドである。
【0031】
非イオン性モノマーは、両性コポリマーのモノマーの総モル数に対して、0〜97モル%、好ましくは0〜80モル%、より好ましくは0〜50モル%で存在する。
【0032】
両性コポリマーは、カチオン性およびアクリル系モノマーを含み、任意に非イオン性モノマーを含む。両性コポリマーは、カチオン性官能基とアニオン性官能基の所定の比率を有し、正味の総電荷が正になる。すなわち、両性コポリマーは、アクリル系モノマーから通常生じる陰性官能基の数と比較して、カチオン性モノマーから通常生じるより多くの数の陽性官能基を有する。カチオン性モノマーのモル比は、好ましくは、アクリル系モノマーのモル比よりも大きい。
【0033】
好ましい実施形態によれば、両性コポリマーは、
- 30~95モル%、好ましくは60~90モル%のメタクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロリド(MAPTAC)、
- 5~70モル%、好ましくは10~40モル%のアクリル酸またはその水溶性塩、
- 0~80モル%、好ましくは0~50モル%のアクリルアミド、
を含む。
【0034】
好ましくは、両性コポリマーは、少なくとも100,000 g/mol、より好ましくは少なくとも500,000 g/molの分子量を有する。
【0035】
本発明のマイクロカプセルの調製方法に用いることができるポリマー安定剤(両性コポリマー)の量は、組成物の重量に基づいて、0.001〜20重量%、好ましくは0.01〜10重量%、より好ましくは0.01〜5重量%とすることができ、マイクロ粒子、例えば上述の水中油型エマルションの形成を可能にする。
【0036】
本発明のマイクロカプセル組成物(好ましくはスラリー)中に使用され得るポリマー安定剤(両性コポリマー)の量は、組成物の重量に基づいて、1重量%〜20重量%、より好ましくは2重量%〜10重量%であり得る。
【0037】
一般に、本発明の両性コポリマーは、いかなる特定の重合プロセスの開発も必要としない。実際に、本発明の両性コポリマーは、当業者に周知の全ての重合技術に従って得ることができる。これらの周知の重合技術としては、溶液重合、ゲル重合、沈殿重合、逆乳化重合、水性乳化重合、懸濁重合、ミセル重合等が挙げられる。
【0038】
本発明によれば、有利には、両性コポリマーは架橋されていない。両性コポリマーは線形(鎖状)であっても構造化されていてもよい。構造化コポリマーは、分枝状、星形(星の形状)または櫛形(櫛の形状)であり得る。これらの構造は、開始剤、移動剤、制御されたラジカル重合などの重合技術、構造モノマーの組み込み、濃度などを自由に選択して得ることができる。好適な構造モノマーとしては、多価金属塩、ホルムアルデヒド、グリオキサールなどが挙げられ、好ましくは、モノマー、好ましくはポリエチレン不飽和を有するモノマー(少なくとも2つの不飽和官能基を有する)、例えば、メチレンビスアクリルアミド(MBA)、トリアリルアミン、ポリエチレングリコールジアクリレートなどのモノマーと共重合可能な共有結合架橋剤が挙げられる。あるいは、ポリペルオキシド、ポリアゾ化合物等のマクロ開始剤、及び、ポリメルカプタンポリマー等のポリ転移剤を使用してもよい。
【0039】
本発明によれば、両性コポリマーは、マイクロカプセルの形成前のエマルションの水性連続相中に存在することができる。より好ましくは、両性コポリマーは、マイクロカプセルの形成前にエマルションの水性連続相中に存在する。両性コポリマーは、好ましくは、エマルションの形成前に水性相中に存在する。両性コポリマーはエマルションの形成中に追加されてもよい。
【0040】
本発明によれば、活性物質は、マイクロカプセルの形成前に油滴中に存在する。好ましくは、活性物質は疎水性である。疎水性活性物質は、パーソナルケア、繊維のケア、表面ケア、または農業用物質のいずれかの分野で用いられる。疎水性活性物質は、水中での溶解度が100ppm未満、より好ましくは10ppm未満である。
【0041】
パーソナルケア用疎水性活性物質としては、規制で承認された上限の量での、パーソナルケア組成物において典型的に使用されるエモリエント、保湿剤、香料、ビタミン、老化防止活性物質、および日焼け止め剤が含まれる。好ましい実施形態において、パーソナルケア剤は日焼け止め剤である。
【0042】
日焼け止め剤の例としては、これらに限定されないが、p−アミノ安息香酸ならびにその塩およびエステル;o−アミノ安息香酸およびo−アミノ安息香酸エステル(そのメチル、メンチル、フェニル、ベンジル、フェニルエチル、リナリル、ターピニルおよびシクロヘキセニルエステルを含む);サリチル酸およびサリチル酸エステル(そのオクチル、アミル、フェニル、ベンジル、メンチル、グリセリル、およびジプロピレングリコールエステルを含む);桂皮酸およびその誘導体(メチルおよびベンジルエステル、2−エチルヘキシル−4−メトキシシンナメートとしても知られているオクチルメトキシシンナメート等のアルキルアルコキシシンナメート、α−フェニルシンナモニトリル、およびブチルシンナモイルピルベートを含む);ジヒドロキシケイ皮酸およびその誘導体;トリヒドロキシケイ皮酸およびその誘導体;ジフェニルブタジエンおよびスチルベン;ジベンザルアセトンおよびベンザルアセトフェノン;Iナフトスルホン酸塩(例えば、2−ナフトール−3,6−ジスルホン酸および2−ナフタノール6,8−ジスルホン酸のナトリウム塩など);ジヒドロキシナフトエ酸およびその塩;o−およびp−ヒドロキシジフェニルジスルホネート;クマリン及びその誘導体(例えば、7−ヒドロキシ、7−メチル及び3−フェニルクマリン);ジアゾール類;キニーネ塩;キノリンおよびその誘導体;ヒドロキシベンゾフェノン類;アルコキシベンゾフェノン類;尿酸およびビロール酸(vilouric acidまたは吉草酸);タンニン酸及びその誘導体;ヒドロキノン;ベンゾフェノン類(例えば、オキシベンゾン、スルイソベンゾン、ジオキシベンゾン、ベンゾレゾルシノール,2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、オクタベンゾン、4−イソプロピルジベンゾイルメタン、4−ブチルメトキシジベンゾイルメタン(t−ブチルメトキシジベンゾイルメタン)、エトクリレン、および4−イソプロピル−ジベンゾイルメタン;およびそれらの混合物が挙げられる。いくつかの実施形態において、日焼け止め剤は、サリチル酸エチルヘキシル、ホモサレート、ブチルメトキシジベンゾイルメタン、オクトクリレン、フェニルベンズイミダゾールスルホン酸、ベンゾフェノン-3、ベンゾフェノン-4、ベンゾフェノン-5、n-ヘキシル 2-(4-ジエチルアミノ-2-ヒドロキシベンゾイル)ベンゾエート、4-メチルベンジリデンカンファー、テレフタリリデンジカンファースルホン酸、フェニルジベンズイミダゾールテトラスルホン酸二ナトリウム、メチレンビス-ベンゾトリアゾリルテトラメチルブチルフェノール、ビス−エチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン、エチルヘキシルトリアゾン、ジエチルヘキシルブタミドトリアゾン、2,4,6-トリス(ジネオペンチル4’-アミノベンザルマロネート)-s-トリアジン、2,4,6-トリス(ジイソブチル4'-アミノベンザルマロネート)-s-トリアジン、2,4-ビス(n-ブチル-4’-アミノベンゾエート)-6-(アミノプロピルトリシロキサン)-s-トリアジン、2,4−ビス(ジネノペンチル 4’-アミノベンザルマロネート)-6-(n-ブチル 4’-アミノベンゾエート)-s-トリアジン、2,4,6-トリス(ビフェニル-4-イル)-1,3,5-トリアジン、2,4,6-トリス(ターフェニル)-1,3,5-トリアジン、ドロメトリゾールトリシロキサン、ポリシリコーン-15、1,1-ジカルボキシ(2,2’-ジメチルプロピル)-4,4-ジフェニルブタジエン、2,4-ビス[5-1-(ジエチルプロピル)ベンゾオキサゾール-2-イル(4-フェニル)イミノ]-6-(2-エチルヘキシル)-イミノ-1,3,5-トリアジン、およびそれらの任意の混合物が挙げられる。一実施形態では、日焼け止め剤は、パラアミノ安息香酸、アボベンゾン、シノキセート、ジオキシベンゾン、ホモサレート、アントラニル酸メンチル、オクトクリレン、オクチルメトキシシンナメート、オクチルサリチレート、オキシベンゾン、パディメートO、フェニルベンズイミダゾールスルホン酸、スルイソベンゾン、サリチル酸トロールアミン、二酸化チタンおよび酸化亜鉛、メトキシケイ皮酸ジエタノールアミン、ジガロイトリオレエート(digalloy trioleate)、エチルジヒドロキシプロピルPABA(4-[ビス(2-ヒドロキシプロピル)アミノ]安息香酸エチルエステル)、グリセリルアミノベンゾエート、ジヒドロキシアセトンを伴うローソン(lawsone)、赤色ペトロラタム、およびこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される。1つの好ましい実施形態では、日焼け止め剤はオクチルメトキシシンナメートであり、別の好ましい実施形態では日焼け止め剤はアボベンゾン(1-(4-メトキシフェニル)-3-(4-tert-ブチルフェニル)プロパン-1,3-ジオン)である。
【0043】
他の活性物質としては、トリクロサン、ポリフェノール、フラボノイドおよびイソフラボノイド、コエンザイムQ10(CoQ10)およびその誘導体、カロテンおよびその誘導体、サリチル酸およびその誘導体、デヒドロエピアンドロステロン(DHEA)、疎水性多糖類、酵素およびペプチド等のタンパク質、並びに植物性物質が挙げられる。 例示的なビタミンとしては、ビタミンAおよびそのエステル、ビタミンDおよびその誘導体、ビタミンB3およびB5並びにその誘導体、ビタミンEおよびそのエステル、ビタミンFおよびその誘導体、並びにビタミンKが挙げられる。
【0044】
一実施形態において、疎水性活性物質は香油である。香油の例としては、花、琥珀、木、革、シプレ、フゼア、ムスク、ミント、バニラ、果実、および/または柑橘類の香りが挙げられる。香油は、天然物質の抽出によって得られるか、または合成により製造される。一実施形態において、香油は1種以上の精油である。
【0045】
本明細書で使用される「農業用活性物質」という用語は、真菌および細菌植物病原菌、雑草、昆虫、ダニ、藻類、線虫などの望ましくない生物に対して作物、植物、構造物、人及び動物を保護するための、農業、園芸および害虫管理に用いられる活性物質を意味する。具体的には、これらの目的に使用される活性物質は、殺真菌剤、殺菌剤、除草剤、殺虫剤、殺ダニ剤、殺藻剤、殺線虫剤および燻蒸剤が挙げられる。用語「農業用活性物質」はまた、昆虫誘引剤、忌避剤およびフェロモン、植物の生理または構造の改変剤、および除草剤薬害軽減剤も示す。
【0046】
いずれの理論も持ち出すこともなく、マイクロカプセルの形成の最終段階に、両性コポリマーはシェル内に埋め込まれているように観察でき、従来のポストコーティング法とは異なり、コポリマーを洗い流すことはできない。その結果、マイクロカプセルの電荷は、経時的に安定であるか又は実質的に安定であり、外側の懸濁媒体の状況に対して影響を受けないか又は実質的に影響を受けない。
【0047】
正に帯電した両性コポリマーがコロイド安定剤として作用できることは非常に驚くべきことであったが、このことは製造プロセスを大幅に単純化する。さらに、このことはシェルの品質である、マイクロカプセルのシェルの厚さを正確に制御することを可能にする。また、活性物質の放出速度を予測することも可能である。
【0048】
本発明で使用されるアミノプラスト樹脂は、当該技術分野で公知の任意のアミノアルデヒド樹脂で形成され得る。アミノアルデヒド樹脂は、以下のポリマーまたはコポリマーであり得る:
- 尿素、チオウレア、アルキル尿素、6-置換-2,4-ジアミノ-1,3,5-トリアジン、例えばベンゾグアナミン、グリコールウリル、又はメラミン等の少なくとも1種のアミン;及び、
- ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、グリオキサール、又はグルタルアルデヒド等の少なくとも1種のアルデヒド。
【0049】
アミノアルデヒド樹脂は、上記モノマーの重縮合によって、または上記モノマーの水溶性アミノアルデヒドプレポリマーを最初に調製し、該プレポリマーを用いて重縮合反応を行うことによって形成することができる。さらなる代替方法は、モノマーおよびプレポリマー(予備縮合物ともいう)の両方で重縮合反応を行うことである。
【0050】
好ましい実施形態において、メラミン−ホルムアルデヒドプレポリマーは、アミノプラストコア−シェルマイクロカプセルの形成に用いられる。メラミン−ホルムアルデヒドプレポリマーは、メラミンとホルムアルデヒドとを反応してメチロール化メラミンを形成することにより形成される。メチロール化メラミンはまた、メタノールで処理してメトキシメチル化メチロールメラミンを形成することもできる。
【0051】
本発明のカプセル化組成物は、必要であれば、1〜1000μmの間の任意の体積平均粒径(D50)を有するマイクロカプセルを含むことができる。しかしながら、安定で実行可能なカプセル化活性物質組成物は、より典型的には、5μm〜50μm、さらにより詳細には5μm〜20μm、例えば10μmの平均粒径(D50)を有するマイクロカプセルを含む。体積平均粒径は、当該技術分野で一般的に知られている技術を用いて、光散乱測定を行うことによって測定することができる。例えば、Malvern 2000S装置を使用することができる。
【0052】
本発明およびその利点は、以下の実施例を参酌すれば、当業者にとってより明らかになるであろう。
【実施例】
【0053】
本発明の両性ポリマー[AP]の製造
【0054】
本発明のポリマーは、以下の方法を用いて得られる。実施例は、アクリル酸/MAPTACコポリマーを用いて行う。このポリマーを製造するために、以下の化合物を反応器に導入する:
MAPTAC(50%水溶液) 464g
アクリル酸(90%水溶液) 34.4g
水 119g
EDTA 0.03g
次亜リン酸ナトリウム 0.14g
NaOHを用いて、反応媒体のpHを5.0〜5.2に調整する。
53gの2,2’-アゾビス(2-アミジノプロパン)二塩酸塩(10%水溶液)も反応器に導入する。
【0055】
反応媒体を85℃で1時間保持する。次いで、重亜硫酸ナトリウム溶液(40%水溶液)1.3gを反応器に一度に加える。1時間の熟成後、生成物に255gの水を加えて希釈する。
【0056】
実施例1
本発明によるカプセル化香料組成物の調製
【0057】
1kgのカプセル化香料組成物スラリーを以下の方法に従って形成する:
20℃の温度に設定された反応器に脱イオン水(550g)、架橋剤としてのレゾルシノール(10g)、ポリマー[AP](2g)、及びメラミンホルムアルデヒド予備縮合物(Luracoll SD)(5g)を充填する。攪拌速度を400rpm(1分当たり)に設定する。この段階で、香料組成物(300g)を加える。
【0058】
コアセルベーションを次のとおりに行う:ギ酸(10%)を加え、混合物を35℃で1時間撹拌する。次いで、反応器の温度を90℃まで1時間の間上昇させる。
【0059】
最後に、混合物を冷却する。冷却した混合物を1時間撹拌した後、カプリリルグリコール(4g)およびフェノキシエタノール(4g)を加える。カチオン性懸濁剤(Flosoft FS222)を混合物に30分間かけて、混合物を撹拌さている間に加える。最後に、アンモニア(1g)を添加することによってスラリーのpHを5.7〜6.7の範囲に調節する。その後、カプセル化香料組成物のスラリーを反応器から排出する。
【0060】
実施例2
アニオン性ポリマー安定剤(Lupasol PA140)を用いた比較カプセル化香料組成物の調製
【0061】
1kgのカプセル化香料組成物スラリーを以下の方法に従って形成する:
20℃の温度に設定された反応器に脱イオン水(550g)、架橋剤としてのレゾルシノール(10g)、ポリマー安定剤Lupasol PA 140(10g)、及びメラミンホルムアルデヒド予備縮合物(Luracoll SD)(5g)を充填する。攪拌速度を400rpmに設定する。この段階で、香料組成物(300g)を加える。
【0062】
コアセルベーションを次のとおりに行う:ギ酸(10%)を加え、混合物を1時間撹拌する。次いで、反応器の温度を90℃まで1時間の間上昇させる。最後に、混合物を冷却する。冷却した混合物を1時間撹拌した後、カプリリルグリコール(4g)およびフェノキシエタノール(4g)を加える。最後に、アンモニア(1g)を添加することによってスラリーのpHを5.7〜6.7の範囲に調節する。その後、カプセル化香料組成物のスラリーを反応器から排出する。
【0063】
スラリーの形態では、実施例1のカプセル化香料組成物は、8ミクロンの粒径分布(D50)を有するが、一方、実施例2のカプセル化香料組成物は11ミクロンのD50を有する。しかしながら、それぞれの組成物を繊維柔軟剤ベースに組み込むと、実施例2の比較組成物は凝集体(D50 = 100)を形成するのに対して、本発明の組成物のD50は実質的に変化せず(D50 = 11)、これは、凝集が生じなかったことを示している。
【0064】
実施例2b
上記実施例1に記載の方法に従って調製されるが、コポリマーが架橋中に追加されて調製される両性コポリマーを使用する比較カプセル化香料組成物の調製
【0065】
反応器を20℃の温度に設定し、脱イオン水(550g)、架橋剤としてのレゾルシノール(10g)、メラミンホルムアルデヒド予備縮合物(Luracoll SD)(5g)を充填する。撹拌速度を400rpmに設定する。この段階で、香料組成物(300g)を加える。
【0066】
コアセルベーションを次のようにして行う:ギ酸(10%)を加え、混合物を35℃で1時間撹拌する。次いで、反応器温度を90℃まで上昇させ、その温度で1時間保持し、架橋反応に作用させる。温度の上昇中、反応器の温度が60℃に達する際、正に帯電した両性コポリマー[AP](2g)を混合物に添加する。
【0067】
最後に、混合物を冷却する。冷却した混合物を1時間撹拌した後、カプリリルグリコール(4g)およびフェノキシエタノール(4g)を加える。カチオン性懸濁剤(Flosoft FS222)を混合物に30分間かけて混合物を撹拌させながら添加する。最後に、一定量のアンモニア(1g)を加えることによって、スラリーのpHを5.7〜6.7のpH範囲に調節する。その後、カプセル化香料組成物のスラリーを反応器から排出する。
【0068】
得られたスラリーの品質は不良であった。D50の測定値は、広い粒度分布を示し、凝集体の形成を示しており、その多くは実際に目視で確認できた。
【国際調査報告】