(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2018-520045(P2018-520045A)
(43)【公表日】2018年7月26日
(54)【発明の名称】車両速度の制御方法
(51)【国際特許分類】
B60W 50/00 20060101AFI20180629BHJP
G08G 1/00 20060101ALI20180629BHJP
G01C 21/34 20060101ALI20180629BHJP
B60W 40/105 20120101ALI20180629BHJP
B60W 30/09 20120101ALI20180629BHJP
B60W 30/16 20120101ALI20180629BHJP
B60W 30/10 20060101ALI20180629BHJP
B60W 50/14 20120101ALI20180629BHJP
B60W 50/16 20120101ALI20180629BHJP
【FI】
B60W50/00
G08G1/00 D
G01C21/34
B60W40/105
B60W30/09
B60W30/16
B60W30/10
B60W50/14
B60W50/16
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2017-566625(P2017-566625)
(86)(22)【出願日】2016年6月20日
(85)【翻訳文提出日】2018年2月21日
(86)【国際出願番号】GB2016051836
(87)【国際公開番号】WO2016207614
(87)【国際公開日】20161229
(31)【優先権主張番号】1511052.1
(32)【優先日】2015年6月23日
(33)【優先権主張国】GB
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】502407266
【氏名又は名称】ベントレー モーターズ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100091443
【弁理士】
【氏名又は名称】西浦 ▲嗣▼晴
(74)【代理人】
【識別番号】100130720
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼見 良貴
(74)【代理人】
【識別番号】100130432
【弁理士】
【氏名又は名称】出山 匡
(72)【発明者】
【氏名】オマハー,デグラン
(72)【発明者】
【氏名】クランプトン,マシュー
【テーマコード(参考)】
2F129
3D241
5H181
【Fターム(参考)】
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5H181LL04
5H181LL07
5H181LL08
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(57)【要約】
経路及び交通状況に関する情報に対する応答として、車両、特に、自動車の速度を制御する方法に関するものである。本方法は、ナビゲーション・システムからの計画経路データに基づいて、及び/または、繰返行程ロガーからのデータに基づいて、少なくとも想定経路の一部を特定する。本方法は、想定経路に基づいて、最適な制動または加速点を決定し、最適な制動または加速点に基づいて、運転者に速度プロファイルを調整するためのサインを送る。本方法は、繰返行程ロガーで追跡された車両が辿った複数の経路に沿う車両の複数の速度プロファイルも記録し、これら速度プロファイルを使用して、最適な制動または加速点を決定する。サインを出力する代わりに、または、それと同時に、本方法は、最適な制動または加速点に基づいて、車両の速度プロファイルを調整してもよい。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両速度の制御方法であって、
繰返行程ロガーで追跡された車両が辿った複数の経路に沿う前記車両の複数の速度プロファイルを記録し、
ナビゲーション・システムからの計画経路データに基づいて、及び/または、前記繰返行程ロガーからのデータに基づいて、少なくとも想定経路の一部を特定し、
前記想定経路、及び、その経路に沿った前の複数の行程の前記複数の速度プロファイルに基づいて、最適な制動または加速点を決定し、
(i)前記最適な制動または加速点に基づいて、運転者に前記速度プロファイルを調整するためのサインを送り、及び/または、(ii)前記最適な制動または加速点に基づいて、前記車両の前記速度プロファイルを調整することを特徴とする車両速度の制御方法。
【請求項2】
車両速度の制御方法であって、
ナビゲーション・システムからの計画経路データに基づいて、及び/または、繰返行程ロガーからのデータに基づいて、少なくとも想定経路の一部を特定し、
前記想定経路に基づいて、最適な制動または加速点を決定し、
前記最適な制動または加速点に基づいて、運転者に車両速度を調整するためのサインを送ることを特徴とする車両速度の制御方法。
【請求項3】
前記最適な制動または加速点を決定するステップは、繰返行程ロガーで記録された、経路に沿った前の複数の行程の複数の速度プロファイルにも基づく請求項2に記載の車両速度の制御方法。
【請求項4】
前記最適な制動または加速点を決定するために、最も近い時刻及び/または曜日に実行された前の複数の行程を選択することを含む請求項1または3に記載の車両速度の制御方法。
【請求項5】
前記車両の進路上の障害物を検知するステップをさらに含み、
前記最適な制動または加速点の決定は、前記進路上に前記障害物が存在するか否かにも基づく請求項1乃至4のいずれか1項に記載の車両速度の制御方法。
【請求項6】
前記車両の進路上に存在する物体の速度及び加速度/減速度も検知するようになっており、
前記最適な制動または加速点の決定は、前記障害物の前記速度及び/または前記加速度/減速度にも基づく請求項5に記載の車両速度の制御方法。
【請求項7】
さらに、前記想定経路の一部に沿った交通の存在、及び、任意に前記交通の速度を示す交通情報を取得し、
前記交通の存在、及び、任意に前記交通の速度に基づいて、前記最適な制動または加速点を決定する請求項1乃至6のいずれか1項に記載の車両速度の制御方法。
【請求項8】
前記想定経路の一部の距離は、少なくとも500mである請求項1乃至7のいずれか1項に記載の車両速度の制御方法。
【請求項9】
前記想定経路の一部の距離は、少なくとも1000mである請求項8に記載の車両速度の制御方法。
【請求項10】
前記想定経路の一部の距離は、少なくとも5kmである請求項9に記載の車両速度の制御方法。
【請求項11】
前記想定経路の一部の距離は、100kmよりも短い請求項1乃至10のいずれか1項に記載の車両速度の制御方法。
【請求項12】
前記想定経路の一部の距離は、20kmよりも短い請求項11に記載の車両速度の制御方法。
【請求項13】
前記想定経路の一部の距離は、5kmよりも短い請求項12に記載の車両速度の制御方法。
【請求項14】
前記想定経路の一部の距離は、2kmよりも短い請求項1乃至9のいずれか1項に記載の車両速度の制御方法。
【請求項15】
前記想定経路の一部の距離は、1000mよりも短い請求項1乃至8のいずれか1項に記載の車両速度の制御方法。
【請求項16】
請求項1乃至15のいずれか1項に記載の制御方法を実行する手段を備えた、または、請求項1乃至15のいずれか1項に記載の制御方法を実行するように構成された制御システムを備えた車両。
【請求項17】
前記車両の現在の状況に基づいて、前記車両が辿るであろう経路の少なくとも一部を含む信号を出力する予測経路プランナと、
前記予測経路プランナから前記信号を受信し、前記信号に基づいて前記車両にとって最適な速度プロファイルを決定する制御ユニットとを備えた請求項16に記載の車両。
【請求項18】
前記車両の進路上の障害物を検知し、前記障害物の存在を示す障害物対応信号を出力するセンサをさらに備え、
前記制御ユニットは、前記センサからの前記出力にも基づいて、最適な前記速度プロファイルを決定する請求項17に記載の車両。
【請求項19】
交通の存在及び前記交通の位置、及び、任意に前記交通の速度を示す交通信号を出力する交通情報ユニットをさらに備え、
前記制御ユニットは、前記交通情報ユニットからの前記出力にも基づいて、最適な前記速度プロファイルを決定する請求項17または18に記載の車両。
【請求項20】
車両が辿った経路を記録し、現在の状況に基づいて、前の複数の行程で辿った経路を示す信号を出力する繰返行程ロガーをさらに備え、
前記制御ユニットは、前記繰返行程ロガーからの前記出力にも基づいて、最適な前記速度プロファイルを決定する請求項17乃至19のいずれか1項に記載の車両。
【請求項21】
前記繰返行程ロガーは、前の複数の行程の時刻のログを残す請求項20に記載の車両。
【請求項22】
前記繰返行程ロガーは、前の複数の行程の曜日のログを残す請求項20または21に記載の車両。
【請求項23】
前記繰返行程ロガーは、前の複数の行程の速度プロファイルのログを残す請求項20乃至22のいずれか1項に記載の車両。
【請求項24】
前記繰返行程ロガーは、前の複数の行程の動作モードのログを残す請求項20乃至23のいずれか1項に記載の車両。
【請求項25】
前記繰返行程ロガーは、動作不能にすることが可能である請求項20乃至24のいずれか1項に記載の車両。
【請求項26】
前記繰返行程ロガーは、動作モードを選択することで動作不能にする請求項25に記載の車両。
【請求項27】
前記制御ユニットは、前記最適な速度プロファイルに基づくサインを出力し、運転者が前記最適な速度プロファイルに従うように促す請求項16乃至26のいずれか1項に記載の車両。
【請求項28】
前記サインは、視覚的、可聴的、または触覚的なアラートである請求項27に記載の車両。
【請求項29】
前記触覚的なアラートは、アクセル及び/またはブレーキ・ペダルの抵抗の変化を含む請求項28に記載の車両。
【請求項30】
前記制御ユニットは、前記最適な速度プロファイルに従うために、前記車両を制御する電気的制御信号を出力する請求項16乃至29のいずれか1項に記載の車両。
【請求項31】
前記制御ユニットによる信号または信号出力の種類は、前記動作モードによる請求項27乃至30のいずれか1項に記載の車両。
【請求項32】
前記繰返行程ロガー及び前記予測経路プランナは、目的地への計画経路、または、前記繰返行程ロガーで記録された前の複数の行程に基づく期待経路のいずれかを示す信号を出力する単一の期待経路計画ユニットに統合されている請求項20に記載の車両。
【請求項33】
前記期待経路計画ユニットによって出力された想定経路を示す信号は、現在時刻と、前記前の複数の行程のログが残された時刻を考慮する、または、
前記制御ユニットは、現在時刻と、前記繰返行程ロガーで前記前の複数の行程のログが残された時刻に基づいて前記想定経路を決定する請求項20乃至32のいずれか1項に記載の車両。
【請求項34】
前記期待経路計画ユニットによって出力された想定経路を示す信号は、現在の曜日と、前記前の複数の行程のログが残された曜日を考慮する、または、
前記制御ユニットは、現在の曜日と、前記繰返行程ロガーで前記前の複数の行程のログが残された曜日に基づいて前記想定経路を決定する請求項20乃至33のいずれか1項に記載の車両。
【請求項35】
自動車である請求項16乃至34のいずれか1項に記載の車両。
【請求項36】
添付の図面を参照して本明細書に実質的に記載された車両。
【請求項37】
添付の図面を参照して本明細書に実質的に記載された車両速度の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、予測車両制御に関するものであり、それに限定されないが、特に、経路及び交通状況に関する情報に対する応答として、自動車の速度を制御する手段及び方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
国際公開第2007/039567号(特許文献1)には、ナビゲーション・システム及びモータ制御装置を備えたモータ・ビークル・システムが開示されている。このシステムの1つの実施の形態では、位置に基づいて排気ガスを変更するようにECUが制御され、車両が都市部にいると判断された場合、出力を犠牲にして、排気ガスが最小になるように設定し、都市部の外では設定を変更する。他の実施の形態では、車両はハイブリッド型であり、ナビゲーション・システムからの情報に対する応答として、車両が都市部にいる場合には、ECUが電気モータのみを動力源として選択し、車両が非都市部にいる場合には、ECUがICエンジンのみを動力源として選択し、車両が山間部にいる場合には、ECUが両方を動力源として選択する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2007/039567号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このタイプの制御は、特に洗練されているとは言えず、また、特に、運転者がシステムをオーバーライドし、いつでもフルパワーを利用できると考えられる高級/高性能自動車には不適切と考えられる。さらに、2つまたは3つの広いカテゴリーの環境に応答してのみ切り替わるようになっており、想定される将来の状況を考慮せず、制御の面では粗雑であると言える。
【0005】
また、センサからの入力に応答して、自動車を制動させる自動制動システムも知られている。
【0006】
摩擦制動を使用するのではなく、実質的にモータを発電機として使用して、ハイブリッド車両または電動車両の速度を低下させ、エネルギーを回生する、いわゆる"回生"システムも周知である。
【0007】
本発明の目的は、改良された自動車制御方法、及び、この方法を実施するための改良されたシステム、並びに、そのようなシステムを組み込んだ自動車を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の態様によれば、車両速度の制御方法であって、ナビゲーション・システムからの計画経路データ(planned route data)に基づいて、及び/または、繰返行程ロガー(repeat journey logger)からのデータに基づいて、少なくとも想定経路(anticipated route)の一部を特定し、想定経路に基づいて、最適な制動または加速点(optimal braking or accelerating point)を決定し、最適な制動または加速点に基づいて、運転者に車両速度を調整するためのサイン(sign)を送ることを特徴とする車両速度の制御方法を提供する。
【0009】
この方法は、運転者が、いつでも利用可能な出力(power)を低減することなく、個々の速度プロファイルに従うように"促される(nudged)"点において、上述の方法と異なる。そのため、運転者の行動を改善することができ、運転者が現在運転している"ゾーン(zone)"という広範なカテゴリではなく、想定経路に基づいて個々の制動/加速点が決定されるので、システムは、より鋭敏に動作することができる。運転者に対して減速するように(または加速を低減するように、または惰走(coast)するように)促すことで、最適な方法で車両を減速させ、エネルギ回収を促進し、または、加速しないように若しくは惰走するように促す場合には、次善の減速方法(回生制動システムではなく、摩擦制動を使用した減速)によって低減しなければならない速度に達しないようにすることができる。
【0010】
本発明の他の態様によれば、車両速度の制御方法であって、繰返行程ロガーで追跡された車両が辿った複数の経路に沿う車両の複数の速度プロファイルを記録し、ナビゲーション・システムからの計画経路データに基づいて、及び/または、繰返行程ロガーからのデータに基づいて、少なくとも想定経路の一部を特定し、想定経路、及び、その経路に沿った前の複数の行程(previous journeys)の複数の速度プロファイルに基づいて、最適な制動または加速点を決定し、(i)最適な制動または加速点に基づいて、運転者に車両速度を調整するためのサインを送り、及び/または、(ii)最適な制動または加速点に基づいて、車両速度を調整することを特徴とする車両速度の制御方法を提供する。
【0011】
この方法は、プロセスの学習態様(learning aspect)から利点がある。第1に、想定経路は、前の複数の行程に基づいて決定することができる。多くの場合、定期的に移動する経路は、ナビゲーション・システムには入力されていないため、特に有用である。そのため、ナビゲーション・システムが使用されていない場合でも、この方法は実行可能である。
【0012】
さらに、運転者に対してサインを出すに際して、または、電子制御ユニットに信号を出力するに際して、前の速度プロファイルが考慮されているため、システムは、前の行程から決定された、可能性のある道路状況、及び、運転者が経路の同じ箇所を運転した方法を考慮に入れることができる。
【0013】
上述の第1の態様の発明の最適な制動または加速点を決定するステップは、繰返行程ロガーで記録された、経路に沿った前の複数の行程の複数の速度プロファイルにも基づいてもよい。このようにすれば、可能性のある道路状況、及び、特定の道路の部分を運転者が運転した方法を考慮する同じ効果が得られる。
【0014】
本方法は、最適な制動または加速点を決定するために、最も近い時刻(time of day)及び/または曜日(day of the week)に実行された前の複数の行程を選択することを含んでもよい。これは、可能性のある道路状況を推定するだけでなく、車両が将来必要になるエネルギを決定するのに特に有用である。
【0015】
本方法は、車両の進路上の障害物(obstacles)を検知するステップをさらに含み、最適な制動または加速点の決定は、進路上に障害物が存在するか否かにも基づいてもよい。これによって、"理論的(academic)"すぎる最適な速度プロファイルに決定することを避けることができる。例えば、前の道路状況及び想定速度制限、カーブ等を考慮しない場合、遅い先行車両等の障害物が存在すると、運転者は減速しなければならなくなる。
【0016】
車両の進路上に存在する物体(object)の速度及び加速度/減速度も検知するようになっており、最適な制動または加速点の決定は、障害物の速度及び/または加速度/減速度にも基づいてもよい。これによれば、滅多に静止したままにない道路上の障害物を考慮することができる。
【0017】
本方法は、さらに、想定経路の一部に沿った交通の存在、及び、任意に交通の速度を示す交通情報を取得し、交通の存在、及び、任意に交通の速度に基づいて、最適な制動または加速点を決定してもよい。外部情報源から取得した交通情報を利用することで、センサの範囲外の実際の交通状況を考慮することが可能となり、交通情報を取得可能な場合、前の複数の行程に基づいて交通状況を推測する必要性を無くすことができる。
【0018】
本方法によって特定された想定経路の一部は、少なくとも500mであってもよい。これにより、直近の将来に考慮する必要のあるほとんどの行動が可能になる。
【0019】
想定経路の一部は、少なくとも1000mであってもよい。これにより、適した速度プロファイルに影響を与えそうな、近い将来のカーブ、丘、交通信号灯(traffic lights)、交通信号(traffic signals)等のより多くの情報を考慮することが可能になる。
【0020】
想定経路の一部は、少なくとも5kmであってもよい。これにより、例えば、回生制動システムが追加のエネルギを得ることができるような長い下り坂(long declines)を含む、可能性のある将来経路(future route)についての大量のデータを考慮することが可能になる。例えば、ハイブリッド車両の場合、速度プロファイル/動作モードは、より多くの回生エネルギを受けられることを期待して、エネルギ貯蔵を空にしようとすべきである。
【0021】
想定経路の一部は、100kmよりも短くてもよい。これにより、一度にその一部だけが関連性があると思われる行程の全てを考慮する必要がなくなる。
【0022】
想定経路の一部は、20kmよりも短くてもよい。同様に、20kmよりも短い経路の一部は、ハイブリッド車両のエネルギ使用に最も大きな影響を及ぼす可能性の高い、丘などの将来の重要な事象(events)さえも考慮に入れて、容易に十分である可能性がある。丘を上がるのであれば、エネルギ貯蔵が満タンであることが理想的であり、丘を下りるのであればエネルギ貯蔵が完全に空であることが理想的である。
【0023】
想定経路の一部は、5kmよりも短くてもよい。これは、関連のある将来の事象を考慮するのに十分でありながら、高い演算能力(computing power)を必要としない。
【0024】
想定経路の一部は、2kmよりも短くてもよい。同様に、将来経路に関する相当量の情報について、高い演算能力を必要としない。経路の部分の距離が、1000mより多く、2kmよりも短い範囲の場合、期待される将来事象と、必要な演算能力のトレードオフ(trade-off)に関して、特に有用である。
【0025】
想定経路の一部は、1000mよりも短くてもよい。これにより、さらに、高い演算能力を必要としない。
【0026】
想定経路の一部は、車両の速度に応じて設定されてもよい。速度の速い状態から減速するには、より長い距離が必要であり、有用である。さらに、速度の速い状態では、車両は、多くの場合、高速道路を走行しており、速度プロファイルを変更する必要がある上述の要因の多くは存在しないか、少なくとも、より少ない(sparse)。したがって、将来経路に関して情報が少なくなる可能性が高いため、高い演算能力は必要ではない。
【0027】
本発明の第3の態様によれば、上述の制御方法を実行する手段を備えた、または、上述の制御方法を実行するように構成された制御システムを備えた車両を提供する。
【0028】
車両は、車両の現在の状況に基づいて、車両が辿るであろう経路の少なくとも一部を含む信号を出力する予測経路プランナ(predictive route planner)と、予測経路プランナから信号を受信し、信号に基づいて車両にとって最適な速度プロファイルを決定する制御ユニット(control unit)とを備えていてもよい。
【0029】
車両は、車両の現在の状況に基づいて、車両が辿るであろう経路の少なくとも一部を出力する予測経路プランナと、予測経路プランナから信号を受信し、信号に基づいて車両にとって最適な速度プロファイルを決定する制御ユニットとを備えていてもよい。
【0030】
車両は、車両の進路上の障害物を検知し、障害物の存在を示す障害物対応信号を出力するセンサをさらに備え、制御ユニットは、センサからの出力にも基づいて、最適な速度プロファイルを決定してもよい。
【0031】
車両は、交通の存在及び交通の位置、及び、任意に交通の速度を示す交通信号を出力する交通情報ユニット(traffic information unit)をさらに備え、制御ユニットは、交通情報ユニットからの出力にも基づいて、最適な速度プロファイルを決定してもよい。
【0032】
車両は、車両が辿った経路を記録し、現在の状況に基づいて、前の複数の行程で辿った経路を示す信号を出力する繰返行程ロガーをさらに備え、制御ユニットは、繰返行程ロガーからの出力にも基づいて、最適な速度プロファイルを決定してもよい。
【0033】
このような車両は、例えば、目的地を設定されたGPSに基づいたナビゲーション・システム、または、車両が辿る経路の少なくとも一部が想定される、前の複数の行程に関する情報に基づいた、想定経路に基づいた、最適な速度プロファイルを決定することができる。前の複数の経路に基づいた想定によって、ナビゲーション・システムが稼働していない場合(頻繁に移動する経路のような場合)でも、システムは、予測経路を基準にして、機能することができる。
【0034】
繰返行程ロガーは、前の複数の行程の時刻、及び/または、曜日のログを残してもよい。時刻や曜日に応じて、定期的に、異なる経路が辿られることが多いため、この情報は最も適した将来経路を決定するのに有用である。
【0035】
繰返行程ロガーは、前の複数の行程の速度プロファイルのログを残してもよい。この情報は、最も適した将来の車両のエネルギ必要量を決定するのに有用であり得る。
【0036】
繰返行程ロガーは、前の複数の行程の動作モードのログを残してもよい。この情報は、運転者が運転すると予想される緊急性(urgency)と、信号に応答する意欲(willingness)の可能性を決定するのに有用であり得る。
【0037】
繰返行程ロガーは、動作不能にすることが可能であってもよい。繰返行程ロガーを動作不能にすることができると予測車両制御が稼働している場合に、繰り返されそうもない速度プロファイルの追跡を避けるために、有用である。例えば、急いでいる運転者は、通常よりも遅れて制動し、また、急激に加速をする。繰返行程ロガーが、稼働時に、この速度プロファイルを記録し、したがって、このタイプの速度プロファイルを予期しないことが好ましい。
【0038】
制御ユニットは、最適な速度プロファイルに基づくサインを出力し、運転者が最適な速度プロファイルに従うように促してもよい。
【0039】
サインは、視覚的、可聴的、または触覚的なアラートであってもよい。
【0040】
触覚的なアラートは、アクセル及び/またはブレーキ・ペダルの抵抗の変化を含んでもよい。
【0041】
サインを出力する代わりに、または、それと同時に、制御ユニットは、最適な速度プロファイルに従うために、車両を制御する電気的制御信号を出力してもよい。
【0042】
制御ユニットによる信号出力の種類は、動作モードによってもよい。例えば、"オート(auto)"モードの場合、運転者は、入力なしに最適な速度プロファイルに従い、自動的に制御されるように、車両のために選択することができる。代わりに、または、追加的に、エコモード(eco-mode)の場合、ブレーキ・ペダルまたはアクセル・ペダルの抵抗の変化等の触覚的な"促し(nudges)"を受けてもよい。代わりに、または、追加的に、"通常"モードの場合、運転者は、制御の変化を感じることなく、視覚的及び/または可聴的なアラートを受けてもよい。
【0043】
繰返行程ロガー及び予測経路プランナは、目的地への計画経路、または、繰返行程ロガーで記録された前の複数の行程に基づく期待経路(expected route)のいずれかを示す信号を出力する単一の期待経路計画ユニット(single expected route planning unit)に統合されていてもよい。これにより、期待経路を決定する機能を個別に実行することで、制御ユニットによって必要とされる演算能力を下げることができる。
【0044】
期待経路計画ユニットによって出力された期待経路を示す信号は、現在時刻と、前の複数の行程のログが残された時刻を考慮してもよく、または、制御ユニットは、現在時刻と、繰返行程ロガーで前の複数の行程のログが残された時刻に基づいて期待経路を決定してもよい。これは、同じような経路を毎日同じ時刻に辿ることが多いことを考慮している。特に、目的地がGPSデバイスに入力されない、定期的に移動する経路の場合である。
【0045】
期待経路計画ユニットによって出力された期待経路を示す信号は、現在の曜日と、前の複数の行程のログが残された曜日を考慮してもよく、または、制御ユニットは、現在の曜日と、繰返行程ロガーで前の複数の行程のログが残された曜日に基づいて期待経路を決定してもよい。同様に、曜日は、多くの場合、辿る経路の決定要因である。例えば、ある運転者は、月曜日から金曜日の間は、仕事場に向かう途中、交通信号機のセットを左折するが、同じ運転者は、日曜日には、例えば教会に向かうため、右折する。
【0046】
車両は、自動車(automobile)であってもよい。
【0047】
本発明をはっきりと理解するために、本発明の実施の態様を、例として、添付の図を参照して示す:
【図面の簡単な説明】
【0048】
【
図1】本発明の予測車両制御システムを組み込んだ自動車の概略図である。
【
図2】
図1の経路学習及び交通ナビゲーション・エンジン制御ユニットに関連する入力および出力を示すフロー図である。
【
図3】例示的な交通状況における、
図1の自動車及びさらなる車両の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0049】
図1を参照すると、自動車10は、4つの車輪8の各々に備えられた摩擦制動(friction brakes)1のような多くの従来のコンポーネントを有するハイブリッド車両である。自動車10はまた、電動モータ4から回生制動のトルクを要求し、後輪を制動する、作動及び電子挙動安定化制御ユニット(actuation and electronic stability control unit)2を備えている。自動車10はまた、回生コントローラ6によって制御されて、回生制動によりエネルギを貯蔵し、電動モータ4にエネルギを供給するエネルギ貯蔵ユニット(energy storage unit)5を備えている。自動車10はまた、先行する車両を検知し、それらの速度を決定するように構成された交通レーダ(traffic radar)3を含んでいる。
【0050】
当業者によく知られているこれらの既知のコンポーネントに加えて、自動車10は、ナビゲーション及びリアルタイム交通電子制御ユニット(Navigation and Real Time Traffic Electronic Control Unit)(ROUTE ECU)7も含んでいる。ROUTE ECU7は、本発明にしたがい、予測車両制御(predictive vehicle control)を実行するようにプログラムされた電子制御ユニットである。
【0051】
ROUTE ECU7は、様々なソースから情報を受け取り、それを処理して、最適な加速及び減速方策(strategy)を決定する。
【0052】
図2は、ROUTE ECU7に供給されるデータと、その出力を示す。図示するように、ROUTE ECU7は、車載の交通レーダセンサ3から、レーダ3の範囲内で、自動車10の前方の車両の速度及び加速度(減速度を含む)に関する情報を提供するデータを受信する。追加の交通データは、無線送信(radio transmissions)またはCar2Car通信等を介して交通データを取得するリアルタイム経路交通情報ユニット(Real Time Route Traffic Information Unit)9から提供されている。この情報は、レーダから受信した情報よりも普遍的であり、例えば、交通カメラ(traffic cameras)またはスマート・ロード・インフラストラクチャ(smart roads infrastructure)からのデータに基づく、広い領域にわたって交通の一般的な状態(例えば、高速、平均的、低速または非常に遅い)を示す。
【0053】
ROUTE ECU7は、予測経路プランナ11から、自動車10の期待経路に関する情報の受信も行う。予測経路プランナ11は、自動車10の位置情報を受信し、且つ、計画経路にしたがった将来経路に関する情報を受信するために、図示しないGPS装置に接続されていてもよく、または、GPS装置を備えていてもよい。いずれの場合も、ROUTE ECU7は、位置情報及び予測将来経路(predicted future route)を提供する。経路がセットされていない場合には、予測経路プランナは、一定の距離にわたって、将来の選択肢を単純に出力する。
【0054】
自動車10は、特定の時刻及び特定の日付に採用した経路のデータベースを構築するために、時刻及び日付と共に自動車10が作成する行程を記録する繰返行程ロガー12も備えている。この情報は、計画経路がセットされておらず、且つ、予測経路プランナが経路の複数の将来の選択肢を出力している場合にはROUTE ECUにも提供され、データベースを使用して、前の行程に基づいて、最も可能性の高い将来のルートを決定することができる。例えば、ROUTE ECU7が、月曜日の午前9時であると判断し、且つ、記録された過去10回の月曜の午前中に特定の左折が100%行われていた場合、ROUTE ECU7は、同じ交差点で、自動車10が左折することが期待されていると判断することができる。
【0055】
繰返行程ロガー12は、前の経路に沿った、特定の時間における、自動車10の速度及び加速/減速パターンに関するデータを記録し、ROUTE ECU7に提供してもよい。この情報は、(a)特定の時間における特定の道路の状況(すなわち、車両が定期的に制限速度よりも遅い速度で走行している場合、道路が渋滞していると推測することができる)、及び、(b)経路上で発生した減速しなければならない事象に対して、どれだけ車両が回生制動のみを使用することに成功していたか、を決定することに使用することができる。例えば、繰返行程ロガー12への問い合わせに基づいて、ROUTE ECU7は、月曜日の午前8時30分に、通常、ゆっくりとした速度で特定の方向変更があり、続いて、緩やかな減速がある、と判断するのに対して、午前8時57分に、同じ方向変更が、より速い速度で行われ、続いて、荒い減速があると判断する。この荒い(高い)減速は、車両が回生制動及び摩擦制動の両方を使用しなければならないことを意味しており、車両は、前の経験に基づいて、制動方策を調整し、より早期の干渉を要求することができる。同様に、通常は、午前6時に60mph(約96.6kph)の速度で走行している道路の部分が、例えば、午前9時に、例えば、30mph(約48.3kph)の数値を示していることに基づいて、道路の特定の直線部分が、普段から渋滞していると判断することができる。
【0056】
外部要因に関するものと考えられるこの情報に加えて、ROUTE ECU7は、内部情報に関する情報、特に、回生コントローラ6からエネルギ貯蔵ユニット5のエネルギ残量を示す数値も受信する。
【0057】
先行する車両、一般的な交通状況、予測経路、及び、前の加速/減速パターンに関する情報に対する応答として、ROUTE ECU7は、回生制動を使用すべき回生ポイントが予め定められた、最適な"ECO(エコ)"経路を構築し、出力する。この情報は、回生が生じた際に、エネルギ貯蔵ユニット5に十分な容量が存在するように、最適位置において、摩擦制動ではなく、回生制動が使用されるように、また、回生ポイントの前にモータ4がハイブリッド・システムの車載エンジンによって生成されたエネルギではなく、貯蔵されたエネルギを使用するように、作動及び電子挙動安定化制御ユニットに出力される。結果として、予測(NAV)経路に沿って、回生に最適化された加速及び制動が得られる。
【0058】
最適位置において、摩擦制動ではなく回生制動が使用されることを確実にするため、制動の作動及び電子挙動安定化制御ユニット2は、運転者に対して、視覚的なサイン(例えば、図示しないヘッドアップ・ディスプレイ(Heads-Up Display)に"BRAKE(制動)"の文字)を提供してもよい。例えば、摩擦制動を必要とする急制動を回避するため、特定のポイントにおいて制動を開始するように運転者に指示をする場合である。追加的に、上述のように、作動及び電子挙動安定化制御ユニット2は、制動区間に進入する前にエネルギ貯蔵ユニット5からの回生エネルギを確実にしてもよい。さらに、作動及び電子挙動安定化制御ユニット2は、図示しないブレーキ・ペダルへの入力なしに自動車10を制動してもよい。ブレーキ・ペダルは、ディテント位置(detent position)を有していてもよく、作動及び電子挙動安定化制御ユニット2は、レーダ3からの入力に基づいて、過度な制動を必要としていないと判断している場合に、運転者がディテント位置を越えてブレーキ・ペダルを踏み込まない限り、回生制動システム6のみを使用して緩やかに制動をしてもよい。
【0059】
同様に、ROUTE ECUが、加速が必要であるが、その後すぐに制動が必要であると判断した場合、ROUTE ECUは、類似のディテント位置を越えてアクセルが踏み込まない限り、所定のアクセルの位置について、通常使用するよりも少ない力を使用して緩やかに加速してもよい。アクセルは、"eco(エコ)"ディテント位置を越えた後に到達することになる、自動変速機を備えた従来の自動車が有している"キックダウン(kick-down)"ディテント位置をさらに有していてもよい。
【0060】
図3は、本発明の予測車両制御システムによって実行される方法の一例を示す図である。
図3は、典型的な道路を示している。直線道路20は、カーブ(bend)21で右に曲がる。その先には、交差道路(cross road)22が存在する。交差道路22は、直線道路20からは見えず、交通信号機23によって制御されている。この例では、列をなす3台の自動車24が交差点に止まっており、さらに、減速している自動車25が、コーナーを曲がりながら制動している。本発明の自動車10は、カーブ21に向かって直線道路20に沿って、減速している車両25の後方を、距離をあけて走行している。カーブにいる列をなしている車両24は見えておらず、また、レーダ3によって検知できていないが、減速している車両25の位置及び減速度は検知しており、ROUTE ECU7にこれらの情報が入力される。その間に、リアルタイム経路交通情報ユニット9は、交通信号機において、交通が止まっていることを示す情報を受信し、または、この道路の部分の前の速度プロファイルに関する情報を使用し、列をなす自動車の存在を推測し、対応するデータをROUTE ECU7に入力することができる。予測経路プランナは、ROUTE ECU7に対して、道路のカーブ21がどこに現れるか、交差道路22の位置、及び、交差道路22における行動に関する3つの選択肢を示す経路データを入力する。繰返行程ロガーは、過去に選択した経路に関する情報を入力する。この例では、この道路に沿った過去10回の行程の全てにおいて、自動車10は、交差道路22を横切って、直進していることを示す情報である。
【0061】
ROUTE ECU7は、この情報に基づいて、減速している車両25がいるため、すぐに制動をする必要があり、また、止まっている車両24がいるため、完全に停止する必要があると決定する。このようにして、ROUTE ECUによって最適な制動点が決定される。したがって、加速を控えることを促すために、運転者に対して、HUDに"COAST(惰走)"のサインが表示される。また、"eco(エコ)"ディテント位置の前のアクセル応答を低減し、加速時に回生エネルギを使用することによって、加速及び制動が最適化される。すると、運転者がアクセルから足を離し、ブレーキ・ペダルをやさしく踏むと(ディテント位置前)、回生制動が作動し、自動車10を減速させ、回収(recovery)を最大化するため減速事象を最適化する。レーダ3及び交通情報ユニット9は、交通に関する入力の提供を継続し、列をなしている車両が動き出さず、運転者がアクセルを踏み込まない場合、ROUTE ECU7は、回生制動を制御し、この例では、車両を緩やかに完全に停止させる。列をなしている車両が動き、減速している車両が制動を止めた場合、回生制動システムは、ブレーキ・ペダルが作動しているにもかかわらず、ディテント位置を越えていないため、自動車10に制動をかけることを止め、自動車10を惰走(coast)させ、カーブの周辺で、そして、交差道路を横切って、加速する準備をする。
【0062】
同じ状況下において、運転者がアクセルから足を離さなかったが、エコ・ディテント位置の前であった場合、車両速度を50kph以下(beneath)に維持するように、アクセル応答は低減される。運転者がアクセルから足を離さず、エコ・ディテント位置を越えていた場合、車両は、希望の速度/加速/減速を維持する通常通りの動作をする。減速を促すサインが出されているにも関わらず、運転者がアクセル・ペダルをキックダウン位置まで踏み込んだ場合でも、車両は通常通り動作する。アクセル・ペダルが緩められるまで、速度Vmaxに向かって加速を継続する。
【0063】
運転者の足がブレーキ・ペダルの"eco(エコ)"ディテント位置を越えて踏み込んだ場合、車両は、車両の通常の応答に従って回生制動を増大させ、回生制動に加えて摩擦制動を使用する必要があれば、期待された制動応答を得るために、摩擦制動キャリパ(friction brake callipers)に対して圧力(例:油圧)が加えられる。
【0064】
上記実施の態様は、例示としてのみ説明されている。添付の請求の範囲に定めたように、本発明の範囲を逸脱することなく、多くの変形例が可能である。
【0065】
例えば、上記では、運転者に惰走または制動を促すために、視覚的なサインを利用したが、選択的にまたは追加的に、本システムは、惰走を促すためにアクセル・ペダルに負荷を与えるフィードバックを提供し、運転者の足を押し返すようにしてもよい。
【国際調査報告】