(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2018-520900(P2018-520900A)
(43)【公表日】2018年8月2日
(54)【発明の名称】パワーレンチ用のナットソケットユニット
(51)【国際特許分類】
B25B 21/00 20060101AFI20180706BHJP
【FI】
B25B21/00 H
【審査請求】有
【予備審査請求】有
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2018-516620(P2018-516620)
(86)(22)【出願日】2015年6月11日
(85)【翻訳文提出日】2018年2月13日
(86)【国際出願番号】EP2015063069
(87)【国際公開番号】WO2016198115
(87)【国際公開日】20161215
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】517433418
【氏名又は名称】サルタス インダストリアル テクニーク ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100095898
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 満
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(72)【発明者】
【氏名】ドゥブス アレクサンダー
(57)【要約】
ねじ継ぎ手と係合するようになっている前端部分(13;53)を有する管状ソケット本体(10;50)と、パワーレンチ出力軸に接続するようになっている後端部分(11;51)と、ソケット本体(10;50)をパワーレンチ出力軸にロックするための拘束機構(15;55)とを備える、パワーレンチ用のナットソケットユニットであって、拘束機構(15;59)は、軸方向に変位可能な操作スリーブ(19;59)を含み、操作スリーブ(19;59)はソケット本体(10;50)に対して自由に回転可能である。ソケット本体(10;50)の前端部分(13;53)において、作業者の保護目的のために自由に回転可能な保護スリーブ(30;70)も設けられている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ねじ継ぎ手に係合しかつパワーレンチの出力軸に接続するようになっている管状ソケット本体(10;50)を備えるパワーレンチ用のナットソケットユニットであって、
前記ソケット本体(10;50)の外側には自由に回転可能なスリーブ(19、30;59、70)が設けられていることを特徴とする、ナットソケットユニット。
【請求項2】
拘束機構(15;55)が、前記ソケット本体(10;50)をパワーレンチ出力軸にロックするために設けられており、前記拘束機構(15;55)は、該拘束機構(15;55)をロック位置と解放位置とに間で変位させるために軸方向に変位可能な操作スリーブ(19;59)を含み、前記操作スリーブ(19;59)は、保護目的で前記ソケット本体(10;50)に対して自由に回転可能である、請求項1に記載のナットソケットユニット。
【請求項3】
前記操作スリーブ(19;59)を前記ロック位置に向かって付勢するために、前記操作スリーブ(19;59)と前記ソケット本体(10;50)との間に複数のスプリング(22;62)が設けられている、請求項2に記載のナットソケットユニット。
【請求項4】
前記ソケット本体(10;50)は、ねじ継ぎ手と係合するための前端部分(13;53)を備え、前記自由に回転可能な保護スリーブ(30;70)は、前記前端部分(13;53)上に支持される、請求項1に記載のナットソケットユニット。
【請求項5】
前記保護スリーブ(30;70)は、前記ソケット本体の前端部分(13;53)上の円周溝(32;72)と協働する内面隆起部(31;71)によって、前記ソケット本体の前端部分(13;53)に対して軸方向にロックされる、請求項4に記載のナットソケットユニット。
【請求項6】
前記保護スリーブ(30;70)は、プラスチック材で構成され、前記内面隆起部(31;71)と前記円周溝(32;72)との間の前記ロック協働を得るために、前記ソケット本体の前端部分(13;53)上へ取り付ける際に弾性変形する、請求項4又は5に記載のナットソケットユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パワーレンチに取り付けられるナットソケットユニットに関し、ナットソケットユニットは、該ナットソケットユニットをパワーレンチの出力軸にロックするための拘束手段を含む。
【背景技術】
【0002】
周知の標準型ナットソケットは、正方形断面の凹部を有し、その後端部は、パワーレンチ出力軸の正方形の末端部分を受け入れることが意図されている。前端部において、ナットソケットは、例えば六角形といった締結されるねじ継ぎ手の種類に嵌合すようになっている内面断面形状を有する。また、ナットソケットは、ナットソケットをパワーレンチの出力軸にロックするための拘束手段を備える。この拘束手段は、様々な形式とすることができるが、通常、外部操作スリーブによってロック位置と解放位置との間で変位可能である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
この従来形式のナットソケットに関する問題点は、操作スリーブがナットソケットと共回転して、作業者側での損傷のリスクをもたらす可能性がある点である。また、操作スリーブの前方に突出するナットソケットの前部は、例えば作業者の手袋がナットソケットと作業物との間に巻き込まれる場合に損傷の潜在的リスクをもたらす可能性がある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の目的は、回転可能なナットソケット本体と、ナットソケット本体に対して自由に回転可能な外部スリーブ要素とを備える改善されたナットソケットユニットを提供することで前述の安全性の問題を回避することである。
【0005】
本発明のさらなる目的は、回転可能なナットソケット本体と、ナットソケット本体をパワーレンチの出力軸に接続するための拘束手段とを含むナットソケットユニットを提供することであり、拘束手段は、損傷の問題を回避するためにナットソケット本体に対して自由に回転可能な外部操作スリーブを備える。
【0006】
本発明にさらなる目的及び利点は、以下の明細書及び特許請求の範囲から明らかになるはずである。
本発明の好ましい実施形態は、添付の図面を参照して以下に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明の1つの実施形態によるナットソケットユニットの縦断面図を示し、ロック位置での拘束手段を例示する。
【
図2】
図1のナットソケットユニットの背面図を示す。
【
図3】
図1のナットソケットユニットの前面図を示す。
【
図4】本発明の別の実施形態による、ナットソケットユニットの部分的に断面での側面図を示す。
【
図5】
図4のナットソケットユニットの背面図を示す。
【
図6】
図4のナットソケットユニットの前面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1−4に示すナットソケットユニットは管状のソケット本体10を備え、ソケット本体10は、パワーレンチ出力軸の正方形の端部を受け入れるための正方形断面の凹部12を含む後端部分11を有する。ソケット本体10には、締結されるねじ継ぎ手の六角形ヘッド又はナットに係合するための六角形の凹部14を有する前端部分13が形成されている。
【0009】
ソケット本体10の後端部分11において、ナットソケットユニットをパワーレンチの出力軸にロックするための拘束機構15が設けられている。この拘束機構15は、ソケット本体10の側部開口部18に収容され、パワーレンチの出力軸と協働してナットソケットユニットを出力軸に対してロックすることが意図された複数のボール16を備える。操作スリーブ19は、ボール16が内側位置に保持されてパワーレンチ出力軸とのロック係合を達成するロック位置と、ボール16が半径方向外向きに自由に移動してナットソケットユニットをパワーレンチ出力軸から解放するようになった解放位置との間で、ソケット本体10の外面上を軸方向に変位可能である。操作スリーブ19は、後端部において内側環状凹部20を備え、この凹部20は、操作スリーブ19が最前方位置、すなわち解放位置にある場合にボール16の外向きの解放移動を可能にすることが意図される。この操作スリーブ19及びボール16の位置において、ナットソケットユニットは、パワーレンチ出力軸から自由に切り離すことができる。操作スリーブ19上での改善されたグリップを得るために、好ましくはプラスチック材で作られた、包絡面上に摩擦強化パターンを備えた外側スリーブ21が設けられている。
【0010】
複数のスプリング22が操作スリーブ19とソケット本体10上の支持リング23との間に設けられており、操作スリーブ19上にボールロック方向への付勢力を与えるようになっている。支持リング23は、ソケット本体10上で自由に回転可能であり、ソケット本体19内の円周溝26に取り付けられたロックリング25によって軸方向に支持されている。スプリング22は、操作スリーブ19のボア24内に収容されており、このことは、スプリング22が、操作スリーブ19と協働するようにこれに対して積極的にロックされることを意味する。ロックリング25は、操作スリーブ19が後方のロック位置から前方の解放位置まで変位する際にその外側上を通過するのを可能にする十分に小さな直径を有する。
【0011】
拘束機構15を
図1に示すロック位置から解放位置に変位させるためには、操作スリーブ19をスプリング22の付勢力に抗して前方向に押し進める必要があり、その結果、ボール16は外向きに操作スリーブ19の環状凹部20の中に動くことができるので、ナットソケットユニットはパワーレンチ出力軸から切り離される。
【0012】
操作スリーブ19をその外側スリーブ21と共にソケット本体10に対して自由に回転可能に配置することで、作業者は、ねじ継ぎ手の締結作業中に手袋がナットソケットユニットと作業物との間に巻き込まれることに起因して負傷することから保護される。ソケット本体10の前端部分13は、締結されるねじ継ぎ手の種類に応じて様々な長さとすることができ、延長された前端部分13の場合、特に操作スリーブ19と同様の損傷リスク、すなわち作業者の手袋が巻き込まれるリスクが存在することになる。当該損傷リスクを防ぐために、ソケット本体190の前端部分13は自由に回転可能な保護スリーブ30を備える。この保護スリーブ30は、ソケット本体10の円周溝32に係合する内周隆起部31によって、ソケット本体10に対して軸方向にロックされる。
【0013】
保護スリーブ30は、スリーブ19、30とソケット本体10との間の相対運動を容易にするために比較的摩擦係数の低いプラスチック材(例えば、POM)で作ることが好ましく、保護スリーブ30は、ソケット本体10に取り付けられた場合に内周隆起部31が溝32に対してスリーブ30の弾性変形によってスナップ嵌合するので、ソケット本体10に対して軸方向にロックされる。
【0014】
本発明の
図4−6に示す実施形態において、管状ソケット本体50は、同一形状の部分を有するねじ継ぎ手と係合するための多角形凹部54で形成された前端部分53を有する。ソケット本体50の後端部分51は、パワーレンチの正方形端部を受け入れるための正方形断面の凹部52を備える。ソケット本体50の後端部には、同様にナットソケットユニットをパワーレンチの出力軸にロックするための拘束機構55がある。この拘束機構55は、取り外し可能なロックピン56を備え、このロックピン56は、ナットソケットユニットに挿入した場合にソケット本体50に対して半径方向に延在する。ロックピン56は、ソケット本体50の後端部分51の外径とほぼ同じ長さを有し、かつ挿入位置においてソケット本体50の対向する2つの開口部57、58の中に延びる。ロックピン56は、パワーレンチ出力軸の横方向ボアを貫通して延び、ナットソケットユニットをパワーレンチにロックすることが意図される。操作スリーブ59は、開口部57、58をカバーしてピン56が抜けるのを防ぐ後方のロック位置と、前方の解放位置との間で、ソケット本体50の外側上を軸方向に変位可能である。操作スリーブ59は、後端部において、対向して配置された2つの開口部60、61を備え、ロックピン52は、ナットソケットユニットをパワーレンチ出力軸に取り付ける前に又はそこから取り外す時に開口部60、61を通じて取り外すことができる。スリーブ59の解放位置において、開口部57、58はカバーされておらず、ロックピン56を取り外すことができる。次に、ナットソケットユニットをパワーレンチ出力軸から切り離すことができる。操作スリーブ59は、プラスチック材で作ることが好ましい。
【0015】
安全上の理由で、操作スリーブ59は、ソケット本体50に対して自由に回転可能であり、スリーブ59を後方のロック位置に向かって付勢するために複数のスプリング62が設けられている。スプリング62は、スリーブの周囲に沿って均等に分散配置されており、同様にソケット本体50に対して自由に回転可能な支持リング63に対して作用する。支持リング63は、ソケット本体50の円周溝66の中に取り付けられたロックリング65によって支持される。操作スリーブ59は、スプリング62の後部を収容して支持するためのボア64を備え、これによって、ソケット本体50に対する回転時にスプリング62が操作スリーブ59に安全に追従するようになる。
【0016】
従って、作業者が例えば巻き込まれた手袋によってねじ継ぎ手の締結作業時に負傷しないように保護するために、操作スリーブ59は、ソケット本体50に対して自由に回転可能である。しかしながら、ソケット本体50の前方に延在してねじ継ぎ手の締結作業時に回転する前端部分53に関して依然として安全性リスクがある。このリスクを取り除くために、自由に回転可能な保護スリーブ70が、前端部分53上に設けられる。保護スリーブ70は、ソケット本体50上の環状溝72に係合する内周隆起部71によって、ソケット本体50に対して軸方向にロックされる。
【0017】
ソケット本体50の前端部分53に保持された保護スリーブ70は、スリーブ59、70とソケット本体50との間の相対運動を容易にするために比較的摩擦係数の低いプラスチック材(例えば、POM)で作ることが好ましく、保護スリーブ70は、ソケット本体50に取り付けられた場合に内周隆起部71が溝72に対してスリーブ70の弾性変形によってスナップ嵌合するので、ソケット本体50に対して軸方向にロックされる。
【0018】
本発明は、前記の実施例に限定されるものではなく、請求項の範囲内で自由に変わり得ることに留意されたい。
【符号の説明】
【0019】
10 ソケット本体
11 後端部分
12 凹部
13 前端部分
14 凹部
15 拘束機構
16 ボール
18 側部開口部
19 操作スリーブ
21 外側スリーブ
22 スプリング
23 支持リング
24 ボア
25 ロックリング
26 円周溝
30 保護スリーブ
31 内面隆起部
32 円周溝
【手続補正書】
【提出日】2018年2月13日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ねじ継ぎ手に係合するようになっている前端部分(13;53)と、パワーレンチの出力軸に接続するための後端部分(11;51)とを有する管状ソケット本体(10;50)を備えるパワーレンチ用のナットソケットユニットであって、
前記ソケット本体(10;50)の前記前端部分(13;53)の外側には、作業者の保護目的で自由に回転可能なスリーブ(30;70)が設けられていることを特徴とする、ナットソケットユニット。
【請求項2】
拘束機構(15;55)が、前記ソケット本体(10;50)をパワーレンチ出力軸にロックするために設けられており、前記拘束機構(15;55)は、前記ソケット本体(10;50)の前記後端部分(11;51)の外側上で軸方向に変位可能であり、前記拘束機構(15;55)をロック位置と解放位置とに間で変位させるように配置された操作スリーブ(19;59)を含み、前記操作スリーブ(19;59)は、作業者の保護目的で前記ソケット本体(10;50)に対して自由に回転可能である、請求項1に記載のナットソケットユニット。
【請求項3】
前記操作スリーブ(19;59)を前記ロック位置に向かって付勢するために、前記操作スリーブ(19;59)と前記ソケット本体(10;50)との間に複数のスプリング(22;62)が設けられている、請求項2に記載のナットソケットユニット。
【請求項4】
前記保護スリーブ(30;70)は、前記ソケット本体の前端部分(13;53)上の円周溝(32;72)と協働する内面隆起部(31;71)によって、前記ソケット本体の前端部分(13;53)に対して軸方向にロックされる、請求項1乃至3の何れか1項に記載のナットソケットユニット。
【請求項5】
前記保護スリーブ(30;70)は、プラスチック材で構成され、前記内面隆起部(31;71)と前記円周溝(32;72)との間の前記ロック協働を得るために、前記ソケット本体の前端部分(13;53)上へ取り付ける際に弾性変形する、請求項4に記載のナットソケットユニット。
【国際調査報告】