特表2018-520901(P2018-520901A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特表2018-520901可動キャリッジを備えた機械加工ユニット
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2018-520901(P2018-520901A)
(43)【公表日】2018年8月2日
(54)【発明の名称】可動キャリッジを備えた機械加工ユニット
(51)【国際特許分類】
   B23Q 11/08 20060101AFI20180706BHJP
   B23Q 11/10 20060101ALI20180706BHJP
   B23Q 1/00 20060101ALI20180706BHJP
   B23Q 7/10 20060101ALI20180706BHJP
   B23Q 37/00 20060101ALI20180706BHJP
【FI】
   B23Q11/08 Z
   B23Q11/10 E
   B23Q1/00 G
   B23Q7/10
   B23Q37/00 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】29
(21)【出願番号】特願2018-516653(P2018-516653)
(86)(22)【出願日】2016年6月9日
(85)【翻訳文提出日】2018年1月11日
(86)【国際出願番号】IB2016053386
(87)【国際公開番号】WO2016199048
(87)【国際公開日】20161215
(31)【優先権主張番号】00834/15
(32)【優先日】2015年6月11日
(33)【優先権主張国】CH
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】517430761
【氏名又は名称】ウォッチ・アウト・ソシエテ・アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100173521
【弁理士】
【氏名又は名称】篠原 淳司
(74)【代理人】
【識別番号】100191835
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 真介
(72)【発明者】
【氏名】ジャコー・フィリップ
(72)【発明者】
【氏名】ラポルト・セバスチャン
【テーマコード(参考)】
3C011
3C033
3C042
3C048
【Fターム(参考)】
3C011DD01
3C011DD02
3C011EE09
3C033BB06
3C033PP09
3C042RF01
3C042RF09
3C048AA01
3C048AA05
(57)【要約】
本発明は、少なくとも1つの機械加工モジュール(110)を含む機械加工ユニット(100)であって、前記機械加工モジュール(110)は、エンクロージャ(114)の境界を定め前方ドア(113)を有する保護コンパートメント(112)であって、前方ドア(113)は、閉位置から開口部(116)を画定する開位置になることが可能である、保護コンパートメント(112)と、ツール・ホルダ(122)及びパーツ・ホルダ(124)を備える機械加工アセンブリ(120)と、前記機械加工アセンブリ(120)を受ける可動キャリッジ(130)であって、第1の位置と第2の位置との間で、ガイド手段(132)の上をスライドすることが可能であり、第1の位置では、前記機械加工アセンブリ(120)が、前記エンクロージャ(114)の中に収容されており、前方ドア(113)は、前記機械加工アセンブリ(120)によってパーツの機械加工を実施するために、閉じられ得、第2の位置では、キャリッジが、前記開口部(116)を介して保護コンパートメント(112)から突出しており、前記機械加工アセンブリ(120)が、前記エンクロージャ(114)の外側に位置しており、それは、保護コンパートメント(112)の外部から、機械加工アセンブリ(120)へのアクセスを可能にする、可動キャリッジ(130)とを含む、機械加工ユニット(100)に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの機械加工モジュール(110)を含む機械加工ユニット(100)であって、前記機械加工モジュール(110)は、エンクロージャ(114)の境界を定め前方ドア(113)を有する保護コンパートメント(112)であって、前方ドア(113)は、閉位置から開口部(116)を画定する開位置になることが可能である、保護コンパートメント(112)と、ツール・ホルダ(122)及びパーツ・ホルダ(124)を備える機械加工アセンブリ(120)と、前記機械加工アセンブリ(120)を受ける可動キャリッジ(130)であって、第1の位置と第2の位置との間で、ガイド手段(132)の上をスライドすることが可能であり、前記第1の位置では、前記機械加工アセンブリ(120)が、前記エンクロージャ(114)の中に収容されており、前記前方ドア(113)は、前記機械加工アセンブリ(120)によってパーツの機械加工を実施するために、閉じられ得、前記第2の位置では、前記キャリッジが、前記開口部(116)を介して前記保護コンパートメント(112)から突出しており、前記機械加工アセンブリ(120)が、前記エンクロージャ(114)の外側に位置しており、それは、前記保護コンパートメント(112)の前記外部から、前記機械加工アセンブリ(120)へのアクセスを可能にする、可動キャリッジ(130)とを含む、機械加工ユニット(100)。
【請求項2】
前記可動キャリッジ(130)の前記第2の位置では、前記機械加工アセンブリ(120)の垂直方向の突出物は、前記垂直方向の突出物、又は、少なくとも前記保護コンパートメント(112)のサポート・ポリゴンの外部に位置していることを特徴とする、請求項1に記載の機械加工ユニット(100)。
【請求項3】
前記前方ドア(113)は、その開位置とその閉位置との間で枢動され得ることを特徴とする、請求項1又は2に記載の機械加工ユニット(100)。
【請求項4】
前記前方ドア(113)は、下向きに開くことを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一つに記載の機械加工ユニット(100)。
【請求項5】
前記キャリッジのスライド移動は、前記前方ドア(113)の開口(116)の後に、又は、前記前方ドア(113)を閉じる前に実施されることを特徴とする、請求項4に記載の機械加工ユニット(100)。
【請求項6】
前記エンクロージャ(114)は、大気圧力よりも低い圧力の下に置かれ得ることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一つに記載の機械加工ユニット(100)。
【請求項7】
前記機械加工モジュール(110)は、前記潤滑液体の収集のためのコンパートメント、及び、前記潤滑液体をリサイクルするための回路を装備していることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一つに記載の機械加工ユニット(100)。
【請求項8】
前記潤滑液体をリサイクルするための前記回路は、サーモスタット式になっていることを特徴とする、請求項7に記載の機械加工ユニット(100)。
【請求項9】
前記エンクロージャ(114)は、サーモスタット式になっていることを特徴とする、請求項1〜8のいずれか一つに記載の機械加工ユニット(100)。
【請求項10】
前記機械加工モジュール(110)は、機械加工されることとなるバーのためのストア(127)も含み、前記ストア(127)は、バーを1本ずつ前記機械加工アセンブリ(120)に供給することを特徴とする、請求項1〜9のいずれか一つに記載の機械加工ユニット(100)。
【請求項11】
前記バーは、1m未満の長さを有することを特徴とする、請求項10に記載の機械加工ユニット(100)。
【請求項12】
互いに隣接して並んで設置されている複数の機械加工モジュール(110)を含む、請求項1〜11のいずれか一つに記載の機械加工ユニット(100)。
【請求項13】
前記潤滑液体をリサイクルする回路及び/又は前記削り屑コンテナ(128)は、前記複数の機械加工モジュール(110)に共通であることを特徴とする、請求項7及び12に記載の機械加工ユニット(100)。
【請求項14】
前記複数の機械加工モジュール(110)のための電気制御ボックス(151)及び単一の制御システム(151)を含む、請求項12に記載の機械加工ユニット(100)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マシン・ツールの分野に関し、とりわけ、機械加工ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
マシン・ツールは、生産性及び柔軟性を増し、地面の上に必要とされる空間を低減させるために、パーツの精度及び品質(表面の状態、形態の状態、バリなど)に関する改善の目的を有する。
【0003】
主な例として、機械式時計が参照され得、移動の性能及び組み立て生産量を改善するために、機械式時計においては、コンポーネントの生産の精度及び品質を改善するための継続的な努力が存在している。他の例は、自動車産業、医療産業、宇宙産業、又はエレクトロニクス産業である。
【0004】
時計コンポーネントを機械加工するための機械は、最小の人間の介入で、連続的に1日に24時間働くように設計されている生産機械である。例として、ムーブメントの回転コンポーネントのほとんどを作り出すために使用される自動旋盤、又は、ディスク及びブリッジ・タイプなどのパーツのための移送機械が参照され得る。
【0005】
これらのマシン・ツールは、それらのサイズの観点だけで、地面の上に大量の空間を占め、オペレータによるマシン・ツールのすべてのパーツへのアクセス可能性のために必要な空間も考慮されなければならない。この状況は、空間に対するますます大きな要求を生じさせ、従来のサイズの作業場の中に存在するかなりの数のこのタイプの機械を考慮する。結果的に、より複雑にされるロジスティクスに対処することも必要である。これは、それぞれの機械をセット・アップするために(新しいパーツの生産のためのプログラミング)、又は、起動するため(単一のシリーズのパーツの生産の継続のための、ツールのうちの1つの交換などのような動作)のいずれかのために、とりわけ、バーの供給、メンテナンス、及び調整を必要とする。
【0006】
それに加えて、これらのマシン・ツールに対するオペレータによる介入は、とりわけ、マシン・ツールの特定のパーツへの制限されたアクセスによって、及び、オイルがあらゆるところに存在する環境において人間工学的でない構成によって、不快にさせられることが多い。したがって、マシン・ツールの人間工学の改善、及び、とりわけ、ツール・ホルダ及びパーツ・ホルダへのアクセス可能性の改善が、望ましい。
【0007】
特許文献1は、マシン・ツールを説明しており、そのマシン・ツールは、そのツールへのアクセス、及び、そのツールの交換の改善を可能にする。このために、マシン・ツールは、側方壁部、前方壁部、後方壁部、及び上側カバーが設けられており、上側カバーは、垂直方向の作業位置を有しており、また、機械へのアクセスを容易にするために下向きに枢動され得る。パーツは、パーツ・ホルダ・サポートの上に設置されており、パーツ・ホルダ・サポートは、第1の水平方向Xにスライドし、ツール・ホルダは、垂直方向Zに、及び、第2の水平方向Yに移動可能である。このケースでは、壁部及びカバーを開けることを可能にするために、したがって、ツール及び/又はパーツへのアクセスを可能にするために、マシン・ツールの全周囲に大きい空間を有することが必要であるということが理解される。
【0008】
特許文献2は、マシン・ツールを説明しており、マシン・ツールへのアクセスは、前方ドア、後方ドア、及び上側壁部によって可能であり、上側壁部は、アコーディオンのように展開及び折り畳まれ得る。レールの上を第1の水平方向の方向Yに移動可能なキャリッジが、ツール・ホルダを受け、それは、ツール・ホルダがパーツ・ホルダに接近するか又は離れるように移動することを可能にする(図3から図6を参照)。
【0009】
特許文献3は、サポートの中のマシン・ツールを説明しており、サポートは、パーツ・ホルダ及びその主軸台を受け、キャリッジの上を並進して移動可能であり、したがって、パーツ・ホルダが機械加工エンクロージャから部分的に出ることを可能にする。
【0010】
特許文献4は、機械加工チャンバの中に境界を定められている小型化されたマシン・ツールを説明している。パーツ・ホルダは、ドアの上にフィットされており、ドアは、平面X−Yの上で可動である。
【0011】
したがって、先行技術によるマシン・ツールは、オペレータによるパーツ・ホルダ及び/又はツール・ホルダへのアクセスの改善のために後退可能な複数のドア又は壁部を備えた保護コンパートメントを備えたマシン・ツールを提案している。しかし、パーツ・ホルダ及びツール・ホルダへのアクセスを容易にするだけでなく、地面の上で低減された空間を占める、マシン・ツールに対する大きな必要性が依然として存在している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】US2011305537A
【特許文献2】US2007042882
【特許文献3】JP2012223876A
【特許文献4】JP2003071663A
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明の目的は、知られている機械加工機の制限のない機械加工ユニットを提案することである。
【0014】
本発明の別の目的は、オペレータが生産期間の外側でツール・ホルダ及びパーツ・ホルダの両方に容易にアクセスすることができるように、改善された人間工学を有する機械加工ユニットを提案することである。
【0015】
本発明の別の目的は、同じ開口部を介してすべての機械加工コンポーネントへのアクセスを可能にする機械加工ユニットを提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明によれば、これらの目的は、とりわけ、少なくとも1つの機械加工モジュールを含む機械加工ユニットであって、前記機械加工モジュールは、エンクロージャの境界を定め前方ドアを有する保護コンパートメントであって、前方ドアは、閉位置から開口部を画定する開位置になることが可能である、保護コンパートメントと、ツール・ホルダ及びパーツ・ホルダを備える機械加工アセンブリと、前記機械加工アセンブリを受ける可動キャリッジであって、第1の位置と第2の位置との間で、ガイド手段の上をスライドすることが可能であり、第1の位置では、前記機械加工アセンブリが、前記エンクロージャの中に収容されており、前方ドアは、前記機械加工アセンブリによってパーツの機械加工を実施するために、閉じられ得、第2の位置では、キャリッジが、前記開口部を介して保護コンパートメントから突出しており、前記機械加工アセンブリが、前記エンクロージャの外側に位置しており、それは、保護コンパートメントの外部から、機械加工アセンブリへのアクセスを可能にする、可動キャリッジとを含む、機械加工ユニットによって実現される。
【0017】
したがって、作業位置を構成する、可動キャリッジの第1の位置では、機械加工アセンブリは、閉じたエンクロージャの中に収容されており、また、従来の機械加工技法にしたがって、パーツのシリーズの生産を可能にする。
【0018】
生産なしの位置又は加工位置を構成する、可動キャリッジの第2の位置では、機械加工アセンブリは、エンクロージャの外側に設置されており、キャリッジは、前方ドアが開けられた後に形成される開口部を通して、エンクロージャから外へ延在している。
【0019】
この解決策は、とりわけ、先行技術と比較して、保護コンパートメントからキャリッジを引き出す単一の動作で、機械加工アセンブリのすべてのパーツ、すなわち、ツール・ホルダ及び関連のパーツ・ホルダを、保護コンパートメントから引き出すことを可能にするという利点を有する。この手段によって、加工位置では、オペレータは、とりわけ、メンテナンス、調整、プログラムの変更、機械加工アセンブリの交換、又は、機械加工アセンブリの特定のパーツの交換のために、ツール・ホルダ及び/又はパーツ・ホルダに対して必要なすべてのハンドリング動作を実施することが可能である。
【0020】
ツール・ホルダ及びパーツ・ホルダによって形成されるアセンブリは、機械加工エリアの境界を定める。可動キャリッジの第2の位置では、この機械加工エリアは、4つの側部のうちの3つの側部から、及び、キャリッジの上方からアクセス可能であり、また、保護コンパートメントの外部において、とりわけ、保護コンパートメントの前方においてアクセス可能である。
【0021】
好ましくは、可動キャリッジの第2の位置では、機械加工アセンブリの垂直方向の突出物は、保護コンパートメントのサポート・ポリゴン(support polygon)の外部に位置している。好ましくは、可動キャリッジの第2の位置では、機械加工アセンブリの垂直方向の突出物は、保護コンパートメントの垂直方向の突出物の外部に位置している。この手段によって、オペレータは、自分の手を保護コンパートメントの中に差し込むことなく、及び、身体をねじる必要なく、機械加工エリアのすべてにアクセスすることが可能であり、オペレータは、直立してキャリッジに近づいたままでいることが可能であり、オペレータの脚は真っ直ぐになっており、オペレータの足はキャリッジの下方にある。
【0022】
それに加えて、先行技術と比較して、機械加工モジュールのための単一のドア、すなわち、前方ドアを備えた保護コンパートメントを使用することが可能であり、それは、保護コンパートメントの設計及び生産を簡略化する。この非常にコンパクトな設計は、加工位置にあるときを含む、保護コンパートメントの両方の側部及び後方に位置している空間を自由に使用することを可能にする。したがって、同じ方向に配向された複数の機械加工モジュールを、前記機械加工モジュールを含む機械加工ユニットの前方に設置された前方ドアと関連付けることが可能である。
【0023】
したがって、本発明は、互いに隣接されて並んで設置された複数の機械加工モジュールを含む機械加工ユニットにも関連する。より詳細に以降に説明されることとなるように、空間の節減は、非常に大きいものである。
【0024】
本発明の実施形態は、添付の図によって図示されている説明の中に示されている。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】可動キャリッジが第1の位置にある、側部から図2の中の方向Iの方向の断面で見た、第1の実施形態による機械加工ユニットを図示する図である。
図2】前方ドアのガラスがない状態の、図1の中の方向IIの方向に正面から見た、第1の実施形態による機械加工ユニットを示す図である。
図3】正面及び横方向側部から、第1の実施形態による機械加工ユニットを斜視図で示す図である。
図4】可動キャリッジがその第2の位置にある状態の、図3のものと同様の図である。
図5】可動キャリッジがその第2の位置にある状態の、図3のものと同様の図である。
図6】正面及び横方向側部から、変形実施形態による機械加工ユニットを斜視図で示す図であり、5つの機械加工モジュールを含み、すべてのキャリッジが第1の位置にあることを示す図である。
図7図6のものと同様の図であり、機械加工モジュールのうちの1つのキャリッジが第2の位置にあり、対応する機械加工アセンブリが、保護コンパートメントから引き出されていることを示す図である。
図8】正面及び横方向側部から、第2の実施形態による機械加工ユニットを斜視図で示す図であり、5つの機械加工モジュールを含み、すべてのキャリッジが第1の位置にあることを示す図である。
図9図8のものと同様の図であり、機械加工モジュールのうちの1つのキャリッジが第2の位置にあり、対応する機械加工アセンブリが、保護コンパートメントから引き出されていることを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1から図3が参照され、図1から図3は、第1の実施形態による機械加工ユニット100を表しており、それは、単一の機械加工モジュール110を含み、単一の機械加工モジュール110は、機械加工モジュール110の内部をより良好に示すために、前方ドアなしで表されている。
【0027】
この機械加工モジュール110は、高さH(垂直方向の最大寸法)及び深さP(水平方向の最大寸法)を有する実質的に直方体の形態のコンパクトなユニットを形成しており、深さPは、幅L(水平方向の最小寸法)の少なくとも2倍大きく、又は、さらには、少なくとも3倍大きい。実施形態の変形例を図示する図6及び図7を参照して、並びに、第2の実施形態を図示する図8及び図9に関連して、以降で説明されることとなるように、この幅の狭い細身の形態は、地面の上で少量の空間を占め、単一の機械加工ユニット100の中に複数の機械加工モジュール110を関連付けることを可能にする。この幅の狭い形状の異なる形態が、本発明の範囲を逸脱することなく、機械加工モジュール110に関して可能であるということが認識されることとなる。
【0028】
機械加工モジュール110は、保護コンパートメント112によって境界を定められており、保護コンパートメント112は、封止され得るエンクロージャ114の境界を定める、閉じたエンベロープを構成している。この保護コンパートメント112は、互いに平行な2つの垂直方向の側方壁部112a及び112bと、下側壁部112dに平行な水平方向の上側壁部112cと、垂直方向の後方壁部112eと、前方ドア113(図1から図3には表されていないが、図4及び図5には示されている)を含む前方壁部112f(このケースでは、複数のパネルを備える)とを含む。この前方ドア113は、図4及び図5において、とりわけ、スライディングの移動にしたがって、上部から開く構成で示されており、図4及び図5は、開いた状態でそれを表している。
【0029】
図1から図3では、前方壁部112fの中に境界を定められている開口部116は、とりわけ機械加工アセンブリ120を含有するエンクロージャ114を見ることを可能にする。この機械加工アセンブリ120は、少なくとも1つのツール・ホルダ122及び1つのパーツ・ホルダ124を含む。図1から図5では、パーツ・ホルダ124は、スピンドルであり、また、機械加工アセンブリは、カウンタ・スピンドル125(第2のパーツ・ホルダ)も含む。
【0030】
機械加工アセンブリ120は、可動キャリッジ130の上にフィットされている。図では、この可動キャリッジ130は、スライドの形態になっている。好ましくは、キャリッジ130は、受容部を形成しており、受容部は、すべての潤滑液体、とりわけ、オイル、及び、機械加工アセンブリによるパーツの機械加工から生じる材料の削り屑を取り戻すことが可能である。この可動キャリッジ130の開口部116からの前進移動及びエンクロージャの中への引き込み移動を可能にするために、可動キャリッジ130は、ガイド手段132の上にフィットされている。とりわけ、これらのガイド手段132は、図2及び図3でわかるように、レールの形態になっていることが可能である。図2及び図3では、レール132は、保護コンパートメント112の側方壁部112bの上に直接的にフィットされており、それは、機械加工モジュール110に関する軸受構造体として作用する。他の変形例によれば、示されていないが、これらのガイド手段及び/又は可動キャリッジ130は、ローラ若しくは他のローリング・エレメント、又は、スライディング・ランナ若しくは任意の他のスライディング・エレメントを含む。
【0031】
別の変形実施形態によれば、示されていないが、保護コンパートメント112は、エンベロープとして作用し、機械加工モジュール110のフレームを取り囲み、このフレームは、ガイド手段を支持し、ガイド・キャリッジ、したがって、機械加工アセンブリ120を支持している。
【0032】
可動キャリッジ130の第2の位置では、機械加工アセンブリ120へのアクセスは、少なくとも4つの側部から、すなわち、上方から、及び、機械加工アセンブリ120/キャリッジ130の4つの横方向側部のうちの3つ(前方側部、右側側部、及び左側側部)から可能である(図4及び図5)。
【0033】
それに加えて、図1から図5では、機械加工アセンブリ120は、サポート・ベース126の上に設置されており、サポート・ベース126の上に、スピンドル124及びカウンタ・スピンドル125がフィットされており、同様に、ツール・ホルダ又は複数のツール・ホルダ122もフィットされている。サポート・ベース126は、可動キャリッジ130の上に直接的に受けられる。したがって、単に、サポート・ベース126を可動キャリッジ130から分離させ、別の機械加工アセンブリ120を装備している新しいサポート・ベース126をその上に設置することによって、機械加工モジュールの完全な機械加工アセンブリ120を変更させることが可能であるということが理解されることとなる。それに加えて、この手段によって、マッチされたツール・ホルダ122及びパーツ・ホルダ124が、サポート・ベース126の上に一緒に保持され、事前のキャリブレーションの間に、ツール・ホルダ122とパーツ・ホルダ124との間の相対的位置を決定することが可能であり、次いで、ツール・ホルダ122及びパーツ・ホルダ124がサポート・ベース126の上にフィットされ続ける限り、さらなる調整なしに、この相対的位置を保持することが可能である。
【0034】
示されていない変形実施形態によれば、保護コンパートメントの前方ドア113は、その開位置とその閉位置との間で枢動され得る。また、示されていない変形実施形態によれば、保護コンパートメントの前方ドア113は、下向きに開く。このケースでは、代替的な実施形態によれば、前方ドア113は、可動キャリッジ130のためのサポートとして作用し、また、ガイド手段132の少なくとも一部を含む。このケースでは、前記キャリッジ130のスライディング移動が前方ドア113の開閉とともに同時に実施される配置を提供することが可能である。別の代替例では、前記キャリッジ130のスライディング移動を可能にするために、前方ドア113が開くことが効果的でなければならないというように配置されている。
【0035】
また、機械加工モジュール110は、電気制御ボックス(図1から図7には示されていない)を含み、電気制御ボックスは、たとえば、後方壁部112eの上に位置している。この電気制御ボックスは、エンクロージャ114の中に、又は、エンクロージャ114の外部の上に設置されている。また、エンクロージャ114は、可動キャリッジ130の下方に削り屑コンテナ128を含み、また、削り屑コンテナ128の下方にオイル・コンテナ129を含む。専用コンテナ128及び129の中にオイル及び削り屑を取り戻すために、キャリッジ130のベースは、孔部が設けられており、また、たとえば、グリッド又はガイドを装備しており、グリッド又はガイドは、可動キャリッジ130の第1の位置において削り屑コンテナの上方にある(図1から図3)。
【0036】
それに加えて、機械加工モジュール110は、潤滑液体の収集のためのコンパートメント(オイル・コンテナ129)と、前記潤滑液体をリサイクルするための回路とを装備している。好ましくは、前記潤滑液体をリサイクルするための前記回路は、潤滑液体の温度を制御するためにサーモスタット式になっている。
【0037】
別の有利な配置によれば、前記エンクロージャ114は、エンクロージャの中の温度を制御するためにサーモスタット式になっており、それは、したがって、パーツの温度を制御することに貢献するだけでなく、パーツの機械加工の間に、ツールを含む機械加工モジュール110全体の温度を制御することに貢献する。パーツが機械加工モジュール110の中で機械加工されているときのパーツの温度の制御は、潤滑液体の温度の制御によってさらに改善される。
【0038】
有利には、機械加工モジュール110のエンクロージャ114は、前方ドア113が閉じられているときに封止される。この手段によって、前記エンクロージャ114が空気に対して封止されているときに、より容易に温度を制御することが可能である。代替的に、機械加工モジュール110のエンクロージャ114が空気に対して良好な封止を有していない場合には、低い圧力を生成させるためのシステム(示されてはいない)によって、低い圧力の下に、すなわち、大気圧力よりも低い圧力の下に、それを置くことが可能である。このタイプの封止/低圧の生成は、エンクロージャ114からのオイル蒸気の漏洩を防止するという利点を有する。
【0039】
また、機械加工モジュール110は、蒸気吸引システムを有しており、蒸気吸引システムは、エンクロージャの中に存在しており、蒸気の排出のためのダクト140を装備している。
【0040】
それぞれの機械加工モジュール110の動作の状態の目視点検、及び、より全体的には、それぞれの機械加工ユニット100の動作の状態の目視点検を容易にするために、有利には、インジケータ・ランプ142などのような、動作の状態の視覚的なインジケータが提供される(図1から図3を参照)。インジケータ・ランプ142の異なる位置は、対応する機械加工モジュール110の状態をオペレータが決定することを可能にする。異なる可能性のあるカラー・コードの中からの1つの例によれば、インジケータ・ランプは、機械加工モジュール110が通常に機能しているときには、緑色になり、機械加工モジュールが機能しているが、オペレータ110による介入が必要であるときには、オレンジ色になり、機械加工モジュール110が休止しており、それを再スタートさせるためにオペレータの介入を必要とするときには、赤色になる。
【0041】
また、前記機械加工モジュール110は、機械加工されることとなるバーのためのストア127を含み、ストア127は、機械加工アセンブリ120の後方において、エンクロージャ114の中に位置している(図1から図3を参照)。機械加工されることとなるバーのためのこのストア127は、バーを1本ずつ前記機械加工アセンブリ120に供給する。1つの可能性によれば、機械加工されることとなるバーをスピンドル124の上に装填するための機構は、自律的であり、スピンドル124から独立して機能する。たとえば、機械加工されることとなるバーのためのストア127は、多量のバーの重力による降下によって機能し、次いで、機械加工アセンブリ120の方向への、多量のバーのうちの下側のバーのスラスト(thrust)によって機能する。したがって、機械加工されることとなるバーのこのストア127は、パーツ・ホルダ124を供給することによって、したがって、機械加工モジュール110の後方から(図において右側から)供給することによって、機械加工アセンブリ120のための補充ユニットを形成している。既に準備ができている、異なる直径及び/又は異なる材料を有するバーのシリーズは、オペレータが迅速且つ容易にストア127を再び装填することを可能にする。
【0042】
前記バーは、好ましくは、1mよりも短い長さを有する。極めて短い機械加工されることとなるバーの場合に、ストア127によって地面の上に必要とされる空間の低減があるだけでなく、これは、バーの機械加工の間の振動を低減させることにも貢献し、それは、機械加工プロセスの安定性、したがって、良好な機械加工品質を確実にする。それに加えて、バーの短いサイズは、特定の案内なしに、パーツ・ホルダ124、すなわち、スピンドルまで、バーを前進させることを可能にする。
【0043】
ここで、図6から図9を参照し、図6から図9は、並んで設置されている複数の機械加工モジュールを含む、本発明による機械加工ユニットの第1の実施形態の変形例及び第2の実施形態を表している。
【0044】
図6及び図7に示されている第1の実施形態の変形例のケースでは、機械加工ユニット100は、図1から図5に関連して説明されている機械加工モジュール110と同様の複数の機械加工モジュール110、110、110、110、110を含み、それらは、並んで設置されており、それらのそれぞれの保護コンパートメント112の側方壁部112a、112bを介して、互いに隣接する。このケースでは、それぞれの機械加工モジュール110、110、110、110、110は、その機能及び機器の観点から、独立しており、自律的である。
【0045】
図8及び図9に示されている第2の実施形態のケースでは、機械加工ユニット100は、以下の相違点は別として、図1から図5に関連して説明されている機械加工モジュール110と同様の複数の機械加工モジュール110、110、110、110、110を含む。
−すべての機械加工モジュール110の保護コンパートメント112は、単に、単一のエンベロープ(単一のカウル)を形成しており、単一のエンベロープは、機械加工モジュール110が存在するのと同じ多さのコンパートメントを備えている(図8及び図9に図示されている例に関して、5つの機械加工モジュール110、110、110、110、110のための5つのエンクロージャ114を形成する5つのコンパートメントを備えている)。
−潤滑液体リサイクル回路は、前記複数の機械加工モジュール110、110、110、110、110に共通である。
−単一の電気制御ボックス152及び単一の制御システム151が存在しており、それらは、前記複数の機械加工モジュール110、110、110、110、110に関して共通である。
【0046】
封止されないエンクロージャ114のケースでは、低い圧力を生成させるためのシステム(示されていない)が提供され得、それは、前記複数の機械加工モジュール110、110、110、110、110に共通である。
【0047】
また、前記複数の機械加工モジュールs110、110、110、110、110に共通の削り屑コンテナ128を提供することも可能である(状況は示されていない)。
【0048】
エンクロージャ114の中に含有される湿気の吸引のためのシステムが存在するときに、この吸引システムは、好ましくは、前記複数の機械加工モジュール110、110、110、110、110に共通であり、湿気の排出のための単一のダクト140を装備している(図8及び図9を参照)。
【0049】
したがって、オイル・コンテナ129及び削り屑コンテナ128、低い圧力を生成させるためのシステム、電気制御ボックス152、並びに、制御システム151などのような、周辺システムのうちのいくつか又はすべてを共有することは、また、地面の上の表面積の低減に貢献し、機械加工ユニット100のコストを低減させ、したがって、複数の機械加工動作を同時に実施することを可能にする。
【0050】
そうでなければ、それぞれの機械加工モジュール110、110、110、110、110は、図1から図5に関連して説明されている機械加工モジュール110のように機能し、他の機械加工アセンブリから独立して機能する機械加工アセンブリ120を有しており、対応する可動キャリッジ130の第2の位置においてアクセス可能である。
【0051】
コンパクトに配置されている複数の機械加工モジュール110を備えた、機械加工ユニットの第1の実施形態の変形例によるか又は第2の実施形態によるこの構成は、それぞれの機械加工モジュールのアクセス可能性のエリアが2つの隣接する機械加工モジュールのものに重なることを可能にするということが理解されることとなる。この重なりにかかわらず、オペレータにとって障害は存在せず、オペレータは、その可動キャリッジ113が保護ケーシング112から引き出されている機械加工モジュールのみに介入することとなり、したがって、この機械加工モジュールのアクセス可能性のそれぞれのエリアの中にいる。可動キャリッジ130がその第2の位置にあるときにのみ、アクセス可能性のエリアが使用されるので、妨害は存在しない。この状況は、図7及び図9に表されており、機械加工モジュール110が、2つの機械加工モジュールの間に位置しており、その可動キャリッジ130は、その第2の位置になっており、対応する機械加工アセンブリ120は、エンクロージャ114の完全に外側に位置しており、したがって、オペレータにとってアクセス可能である。
【0052】
また、複数の機械加工モジュール110を含む機械加工ユニット100では、同一の機器、とりわけ、同一の機械加工アセンブリ120(同じツール・ホルダ及び同じパーツ・ホルダ)を備えた機械加工ユニット、又は、異なる機器、とりわけ、異なる機械加工アセンブリ120(異なるツール・ホルダ及び/若しくはパーツ・ホルダ)を備えた機械加工モジュールを置くことが可能である。
【0053】
この最後のケースでは、たとえば、1つ又は複数の機械加工ユニットは、3軸を有する機械加工モジュールを形成し、また、1つ又は複数の機械加工モジュールは、少なくとも5軸を有するか、又は、6軸も有する機械加工モジュールを形成する。ツール・ホルダ124は、少なくとも1つのスピンドルを含むが、カウンタ・スピンドルなどのような第2のスピンドルは、機械加工アセンブリ120を装備することも可能である。ツール・ホルダ122は、複数のツールを支持することができる単一のコーム(comb)であることが可能であり、又は、2つのコーム、3つのコーム、若しくは、一般的に、3つよりも多いコームであることも可能である。
【0054】
5つの機械加工モジュール110、110、110、110、110は、図6及び図7に図示されている第1の実施形態の変形例による機械加工ユニット100、及び、図8及び図9に図示されている第2の実施形態による機械加工ユニット100を構成するが、機械加工ユニット100は、2つだけ、3つ、4つ、又は、5つよりも多い機械加工モジュール110iを含むことが可能であるということが理解される。
【0055】
したがって、同じ機械加工ユニットの中に異なる機械加工モジュールが存在するおかげで、同時に異なるパーツを作り出すことが可能であり、とりわけ、ウォッチ・ムーブメントのコンポーネントなどのような、一緒に組み立てられるように設計された複数のパーツを作り出すことが可能である。例として、機械加工モジュールのうちの1つは、ブリッジ及びディスクを作り出すことを可能にする移送機械を形成しており、一方、他の機械加工モジュールは、グリッパとして、又は、グリッパ及び心押し台スリーブ(ブッシュ)として機能するツール・ホルダを備えた自動旋盤を形成し、複雑なパーツ及び/又は異なるバー直径で旋削されるパーツを作り出すことが可能である。別の例によれば、機械加工モジュール110のうちの1つは、ブリッジ又はディスクなどのような特定のコンポーネントの部分的な機械加工のためのミーリング・マシンを構成しており、一方、他の機械加工モジュールは、自動旋盤(ターニング・マシン)又は別のタイプの機械加工機などのような、別のタイプの機械加工モジュールを形成している。
【0056】
それに加えて、それぞれの機械加工モジュール110は、公知で好ましくは制御される振動特性及び熱特性を有するので、熱的に及び振動の観点から制御される機械加工プロセスによって機能するのは、機械加工ユニット100全体であり、機械加工の安定性、及び、結果として生じるパーツの品質が改善されるようになっているということが理解される。
【符号の説明】
【0057】
100 機械加工ユニット
110 機械加工モジュール
112 保護コンパートメント
112a 側方壁部
112b 側方壁部
112c 上側壁部
112d 下側壁部
112e 後方壁部
112f 前方壁部
113 前方ドア
114 エンクロージャ
116 開口部
120 機械加工アセンブリ
122 ツール・ホルダ
124 パーツ・ホルダ(スピンドル)
125 カウンタ・スピンドル
126 サポート・ベース
127 機械加工されることとなるバーのストア
128 削り屑コンテナ
129 オイル・コンテナ
130 可動キャリッジ
132 ガイドレール
140 湿気排出ダクト
142 インジケータ・ランプ
151 制御システム
152 電気制御ボックス
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【手続補正書】
【提出日】2018年2月13日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マシン・ツールの分野に関し、とりわけ、機械加工ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
マシン・ツールは、生産性及び柔軟性を増し、地面の上に必要とされる空間を低減させるために、パーツの精度及び品質(表面の状態、形態の状態、バリなど)に関する改善の目的を有する。
【0003】
主な例として、機械式時計が参照され得、移動の性能及び組み立て生産量を改善するために、機械式時計においては、コンポーネントの生産の精度及び品質を改善するための継続的な努力が存在している。他の例は、自動車産業、医療産業、宇宙産業、又はエレクトロニクス産業である。
【0004】
時計コンポーネントを機械加工するための機械は、最小の人間の介入で、連続的に1日に24時間働くように設計されている生産機械である。例として、ムーブメントの回転コンポーネントのほとんどを作り出すために使用される自動旋盤、又は、ディスク及びブリッジ・タイプなどのパーツのための移送機械が参照され得る。
【0005】
これらのマシン・ツールは、それらのサイズの観点だけで、地面の上に大量の空間を占め、オペレータによるマシン・ツールのすべてのパーツへのアクセス可能性のために必要な空間も考慮されなければならない。この状況は、空間に対するますます大きな要求を生じさせ、従来のサイズの作業場の中に存在するかなりの数のこのタイプの機械を考慮する。結果的に、より複雑にされるロジスティクスに対処することも必要である。これは、それぞれの機械をセット・アップするために(新しいパーツの生産のためのプログラミング)、又は、起動するため(単一のシリーズのパーツの生産の継続のための、ツールのうちの1つの交換などのような動作)のいずれかのために、とりわけ、バーの供給、メンテナンス、及び調整を必要とする。
【0006】
それに加えて、これらのマシン・ツールに対するオペレータによる介入は、とりわけ、マシン・ツールの特定のパーツへの制限されたアクセスによって、及び、オイルがあらゆるところに存在する環境において人間工学的でない構成によって、不快にさせられることが多い。したがって、マシン・ツールの人間工学の改善、及び、とりわけ、ツール・ホルダ及びパーツ・ホルダへのアクセス可能性の改善が、望ましい。
【0007】
特許文献1は、マシン・ツールを説明しており、そのマシン・ツールは、そのツールへのアクセス、及び、そのツールの交換の改善を可能にする。このために、マシン・ツールは、側方壁部、前方壁部、後方壁部、及び上側カバーが設けられており、上側カバーは、垂直方向の作業位置を有しており、また、機械へのアクセスを容易にするために下向きに枢動され得る。パーツは、パーツ・ホルダ・サポートの上に設置されており、パーツ・ホルダ・サポートは、第1の水平方向Xにスライドし、ツール・ホルダは、垂直方向Zに、及び、第2の水平方向Yに移動可能である。このケースでは、壁部及びカバーを開けることを可能にするために、したがって、ツール及び/又はパーツへのアクセスを可能にするために、マシン・ツールの全周囲に大きい空間を有することが必要であるということが理解される。
【0008】
特許文献2は、マシン・ツールを説明しており、マシン・ツールへのアクセスは、前方ドア、後方ドア、及び上側壁部によって可能であり、上側壁部は、アコーディオンのように展開及び折り畳まれ得る。レールの上を第1の水平方向の方向Yに移動可能なキャリッジが、ツール・ホルダを受け、それは、ツール・ホルダがパーツ・ホルダに接近するか又は離れるように移動することを可能にする(図3から図6を参照)。
【0009】
特許文献3は、サポートの中のマシン・ツールを説明しており、サポートは、パーツ・ホルダ及びその主軸台を受け、キャリッジの上を並進して移動可能であり、したがって、パーツ・ホルダが機械加工エンクロージャから部分的に出ることを可能にする。
【0010】
特許文献4は、機械加工チャンバの中に境界を定められている小型化されたマシン・ツールを説明している。パーツ・ホルダは、ドアの上にフィットされており、ドアは、平面X−Yの上で可動である。
【0011】
したがって、先行技術によるマシン・ツールは、オペレータによるパーツ・ホルダ及び/又はツール・ホルダへのアクセスの改善のために後退可能な複数のドア又は壁部を備えた保護コンパートメントを備えたマシン・ツールを提案している。しかし、パーツ・ホルダ及びツール・ホルダへのアクセスを容易にするだけでなく、地面の上で低減された空間を占める、マシン・ツールに対する大きな必要性が依然として存在している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】US2011305537A
【特許文献2】US2007042882
【特許文献3】JP2012223876A
【特許文献4】JP2003071663A
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明の目的は、知られている機械加工機の制限のない機械加工ユニットを提案することである。
【0014】
本発明の別の目的は、オペレータが生産期間の外側でツール・ホルダ及びパーツ・ホルダの両方に容易にアクセスすることができるように、改善された人間工学を有する機械加工ユニットを提案することである。
【0015】
本発明の別の目的は、同じ開口部を介してすべての機械加工コンポーネントへのアクセスを可能にする機械加工ユニットを提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明によれば、これらの目的は、とりわけ、少なくとも1つの機械加工モジュールを含む機械加工ユニットであって、前記機械加工モジュールは、エンクロージャの境界を定め前方ドアを有する保護コンパートメントであって、前方ドアは、閉位置から開口部を画定する開位置になることが可能である、保護コンパートメントと、ツール・ホルダ及びパーツ・ホルダを備える機械加工アセンブリと、前記機械加工アセンブリを受ける可動キャリッジであって、第1の位置と第2の位置との間で、ガイド手段の上をスライドすることが可能であり、第1の位置では、前記機械加工アセンブリが、前記エンクロージャの中に収容されており、前方ドアは、前記機械加工アセンブリによってパーツの機械加工を実施するために、閉じられ得、第2の位置では、キャリッジが、前記開口部を介して保護コンパートメントから突出しており、前記機械加工アセンブリが、前記エンクロージャの外側に位置しており、それは、保護コンパートメントの外部から、機械加工アセンブリへのアクセスを可能にする、可動キャリッジとを含む、機械加工ユニットによって実現される。
【0017】
したがって、作業位置を構成する、可動キャリッジの第1の位置では、機械加工アセンブリは、閉じたエンクロージャの中に収容されており、また、従来の機械加工技法にしたがって、パーツのシリーズの生産を可能にする。
【0018】
生産なしの位置又は加工位置を構成する、可動キャリッジの第2の位置では、機械加工アセンブリは、エンクロージャの外側に設置されており、キャリッジは、前方ドアが開けられた後に形成される開口部を通して、エンクロージャから外へ延在している。
【0019】
この解決策は、とりわけ、先行技術と比較して、保護コンパートメントからキャリッジを引き出す単一の動作で、機械加工アセンブリのすべてのパーツ、すなわち、ツール・ホルダ及び関連のパーツ・ホルダを、保護コンパートメントから引き出すことを可能にするという利点を有する。この手段によって、加工位置では、オペレータは、とりわけ、メンテナンス、調整、プログラムの変更、機械加工アセンブリの交換、又は、機械加工アセンブリの特定のパーツの交換のために、ツール・ホルダ及び/又はパーツ・ホルダに対して必要なすべてのハンドリング動作を実施することが可能である。
【0020】
ツール・ホルダ及びパーツ・ホルダによって形成されるアセンブリは、機械加工エリアの境界を定める。可動キャリッジの第2の位置では、この機械加工エリアは、4つの側部のうちの3つの側部から、及び、キャリッジの上方からアクセス可能であり、また、保護コンパートメントの外部において、とりわけ、保護コンパートメントの前方においてアクセス可能である。
【0021】
好ましくは、可動キャリッジの第2の位置では、機械加工アセンブリの垂直方向の突出物は、保護コンパートメントのサポート・ポリゴン(support polygon)の外部に位置している。好ましくは、可動キャリッジの第2の位置では、機械加工アセンブリの垂直方向の突出物は、保護コンパートメントの垂直方向の突出物の外部に位置している。この手段によって、オペレータは、自分の手を保護コンパートメントの中に差し込むことなく、及び、身体をねじる必要なく、機械加工エリアのすべてにアクセスすることが可能であり、オペレータは、直立してキャリッジに近づいたままでいることが可能であり、オペレータの脚は真っ直ぐになっており、オペレータの足はキャリッジの下方にある。
【0022】
それに加えて、先行技術と比較して、機械加工モジュールのための単一のドア、すなわち、前方ドアを備えた保護コンパートメントを使用することが可能であり、それは、保護コンパートメントの設計及び生産を簡略化する。この非常にコンパクトな設計は、加工位置にあるときを含む、保護コンパートメントの両方の側部及び後方に位置している空間を自由に使用することを可能にする。したがって、同じ方向に配向された複数の機械加工モジュールを、前記機械加工モジュールを含む機械加工ユニットの前方に設置された前方ドアと関連付けることが可能である。
【0023】
したがって、本発明は、互いに隣接されて並んで設置された複数の機械加工モジュールを含む機械加工ユニットにも関連する。より詳細に以降に説明されることとなるように、空間の節減は、非常に大きいものである。
【0024】
本発明の実施形態は、添付の図によって図示されている説明の中に示されている。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】可動キャリッジが第1の位置にある、側部から図2の中の方向Iの方向の断面で見た、第1の実施形態による機械加工ユニットを図示する図である。
図2】前方ドアのガラスがない状態の、図1の中の方向IIの方向に正面から見た、第1の実施形態による機械加工ユニットを示す図である。
図3】正面及び横方向側部から、第1の実施形態による機械加工ユニットを斜視図で示す図である。
図4】可動キャリッジがその第2の位置にある状態の、図3のものと同様の図である。
図5】可動キャリッジがその第2の位置にある状態の、図3のものと同様の図である。
図6】正面及び横方向側部から、変形実施形態による機械加工ユニットを斜視図で示す図であり、5つの機械加工モジュールを含み、すべてのキャリッジが第1の位置にあることを示す図である。
図7図6のものと同様の図であり、機械加工モジュールのうちの1つのキャリッジが第2の位置にあり、対応する機械加工アセンブリが、保護コンパートメントから引き出されていることを示す図である。
図8】正面及び横方向側部から、第2の実施形態による機械加工ユニットを斜視図で示す図であり、5つの機械加工モジュールを含み、すべてのキャリッジが第1の位置にあることを示す図である。
図9図8のものと同様の図であり、機械加工モジュールのうちの1つのキャリッジが第2の位置にあり、対応する機械加工アセンブリが、保護コンパートメントから引き出されていることを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1から図3が参照され、図1から図3は、第1の実施形態による機械加工ユニット100を表しており、それは、単一の機械加工モジュール110を含み、単一の機械加工モジュール110は、機械加工モジュール110の内部をより良好に示すために、前方ドアなしで表されている。
【0027】
この機械加工モジュール110は、高さH(垂直方向の最大寸法)及び深さP(水平方向の最大寸法)を有する実質的に直方体の形態のコンパクトなユニットを形成しており、深さPは、幅L(水平方向の最小寸法)の少なくとも2倍大きく、又は、さらには、少なくとも3倍大きい。実施形態の変形例を図示する図6及び図7を参照して、並びに、第2の実施形態を図示する図8及び図9に関連して、以降で説明されることとなるように、この幅の狭い細身の形態は、地面の上で少量の空間を占め、単一の機械加工ユニット100の中に複数の機械加工モジュール110を関連付けることを可能にする。この幅の狭い形状の異なる形態が、本発明の範囲を逸脱することなく、機械加工モジュール110に関して可能であるということが認識されることとなる。
【0028】
機械加工モジュール110は、保護コンパートメント112によって境界を定められており、保護コンパートメント112は、封止され得るエンクロージャ114の境界を定める、閉じたエンベロープを構成している。この保護コンパートメント112は、互いに平行な2つの垂直方向の側方壁部112a及び112bと、下側壁部112dに平行な水平方向の上側壁部112cと、垂直方向の後方壁部112eと、前方ドア113(図1から図3には表されていないが、図4及び図5には示されている)を含む前方壁部112f(このケースでは、複数のパネルを備える)とを含む。この前方ドア113は、図4及び図5において、とりわけ、スライディングの移動にしたがって、上部から開く構成で示されており、図4及び図5は、開いた状態でそれを表している。
【0029】
図1から図3では、前方壁部112fの中に境界を定められている開口部116は、とりわけ機械加工アセンブリ120を含有するエンクロージャ114を見ることを可能にする。この機械加工アセンブリ120は、少なくとも1つのツール・ホルダ122及び1つのパーツ・ホルダ124を含む。図1から図5では、パーツ・ホルダ124は、スピンドルであり、また、機械加工アセンブリは、カウンタ・スピンドル125(第2のパーツ・ホルダ)も含む。
【0030】
機械加工アセンブリ120は、可動キャリッジ130の上にフィットされている。図では、この可動キャリッジ130は、スライドの形態になっている。好ましくは、キャリッジ130は、受容部を形成しており、受容部は、すべての潤滑液体、とりわけ、オイル、及び、機械加工アセンブリによるパーツの機械加工から生じる材料の削り屑を取り戻すことが可能である。この可動キャリッジ130の開口部116からの前進移動及びエンクロージャの中への引き込み移動を可能にするために、可動キャリッジ130は、ガイド手段132の上にフィットされている。とりわけ、これらのガイド手段132は、図2及び図3でわかるように、レールの形態になっていることが可能である。図2及び図3では、レール132は、保護コンパートメント112の側方壁部112bの上に直接的にフィットされており、それは、機械加工モジュール110に関する軸受構造体として作用する。他の変形例によれば、示されていないが、これらのガイド手段及び/又は可動キャリッジ130は、ローラ若しくは他のローリング・エレメント、又は、スライディング・ランナ若しくは任意の他のスライディング・エレメントを含む。
【0031】
別の変形実施形態によれば、示されていないが、保護コンパートメント112は、エンベロープとして作用し、機械加工モジュール110のフレームを取り囲み、このフレームは、ガイド手段を支持し、ガイド・キャリッジ、したがって、機械加工アセンブリ120を支持している。
【0032】
可動キャリッジ130の第2の位置では、機械加工アセンブリ120へのアクセスは、少なくとも4つの側部から、すなわち、上方から、及び、機械加工アセンブリ120/キャリッジ130の4つの横方向側部のうちの3つ(前方側部、右側側部、及び左側側部)から可能である(図4及び図5)。
【0033】
それに加えて、図1から図5では、機械加工アセンブリ120は、サポート・ベース126の上に設置されており、サポート・ベース126の上に、スピンドル124及びカウンタ・スピンドル125がフィットされており、同様に、ツール・ホルダ又は複数のツール・ホルダ122もフィットされている。サポート・ベース126は、可動キャリッジ130の上に直接的に受けられる。したがって、単に、サポート・ベース126を可動キャリッジ130から分離させ、別の機械加工アセンブリ120を装備している新しいサポート・ベース126をその上に設置することによって、機械加工モジュールの完全な機械加工アセンブリ120を変更させることが可能であるということが理解されることとなる。それに加えて、この手段によって、マッチされたツール・ホルダ122及びパーツ・ホルダ124が、サポート・ベース126の上に一緒に保持され、事前のキャリブレーションの間に、ツール・ホルダ122とパーツ・ホルダ124との間の相対的位置を決定することが可能であり、次いで、ツール・ホルダ122及びパーツ・ホルダ124がサポート・ベース126の上にフィットされ続ける限り、さらなる調整なしに、この相対的位置を保持することが可能である。
【0034】
示されていない変形実施形態によれば、保護コンパートメントの前方ドア113は、その開位置とその閉位置との間で枢動され得る。また、示されていない変形実施形態によれば、保護コンパートメントの前方ドア113は、下向きに開く。このケースでは、代替的な実施形態によれば、前方ドア113は、可動キャリッジ130のためのサポートとして作用し、また、ガイド手段132の少なくとも一部を含む。このケースでは、前記キャリッジ130のスライディング移動が前方ドア113の開閉とともに同時に実施される配置を提供することが可能である。別の代替例では、前記キャリッジ130のスライディング移動を可能にするために、前方ドア113が開くことが効果的でなければならないというように配置されている。
【0035】
また、機械加工モジュール110は、電気制御ボックス(図1から図7には示されていない)を含み、電気制御ボックスは、たとえば、後方壁部112eの上に位置している。この電気制御ボックスは、エンクロージャ114の中に、又は、エンクロージャ114の外部の上に設置されている。また、エンクロージャ114は、可動キャリッジ130の下方に削り屑コンテナ128を含み、また、削り屑コンテナ128の下方にオイル・コンテナ129を含む。専用コンテナ128及び129の中にオイル及び削り屑を取り戻すために、キャリッジ130のベースは、孔部が設けられており、また、たとえば、グリッド又はガイドを装備しており、グリッド又はガイドは、可動キャリッジ130の第1の位置において削り屑コンテナの上方にある(図1から図3)。
【0036】
それに加えて、機械加工モジュール110は、潤滑液体の収集のためのコンパートメント(オイル・コンテナ129)と、前記潤滑液体をリサイクルするための回路とを装備している。好ましくは、前記潤滑液体をリサイクルするための前記回路は、潤滑液体の温度を制御するためにサーモスタット式になっている。
【0037】
別の有利な配置によれば、前記エンクロージャ114は、エンクロージャの中の温度を制御するためにサーモスタット式になっており、それは、したがって、パーツの温度を制御することに貢献するだけでなく、パーツの機械加工の間に、ツールを含む機械加工モジュール110全体の温度を制御することに貢献する。パーツが機械加工モジュール110の中で機械加工されているときのパーツの温度の制御は、潤滑液体の温度の制御によってさらに改善される。
【0038】
有利には、機械加工モジュール110のエンクロージャ114は、前方ドア113が閉じられているときに封止される。この手段によって、前記エンクロージャ114が空気に対して封止されているときに、より容易に温度を制御することが可能である。代替的に、機械加工モジュール110のエンクロージャ114が空気に対して良好な封止を有していない場合には、低い圧力を生成させるためのシステム(示されてはいない)によって、低い圧力の下に、すなわち、大気圧力よりも低い圧力の下に、それを置くことが可能である。このタイプの封止/低圧の生成は、エンクロージャ114からのオイル蒸気の漏洩を防止するという利点を有する。
【0039】
また、機械加工モジュール110は、蒸気吸引システムを有しており、蒸気吸引システムは、エンクロージャの中に存在しており、蒸気の排出のためのダクト140を装備している。
【0040】
それぞれの機械加工モジュール110の動作の状態の目視点検、及び、より全体的には、それぞれの機械加工ユニット100の動作の状態の目視点検を容易にするために、有利には、インジケータ・ランプ142などのような、動作の状態の視覚的なインジケータが提供される(図1から図3を参照)。インジケータ・ランプ142の異なる位置は、対応する機械加工モジュール110の状態をオペレータが決定することを可能にする。異なる可能性のあるカラー・コードの中からの1つの例によれば、インジケータ・ランプは、機械加工モジュール110が通常に機能しているときには、緑色になり、機械加工モジュールが機能しているが、オペレータによる介入が必要であるときには、オレンジ色になり、機械加工モジュール110が休止しており、それを再スタートさせるためにオペレータの介入を必要とするときには、赤色になる。
【0041】
また、前記機械加工モジュール110は、機械加工されることとなるバーのためのストア127を含み、ストア127は、機械加工アセンブリ120の後方において、エンクロージャ114の中に位置している(図1から図3を参照)。機械加工されることとなるバーのためのこのストア127は、バーを1本ずつ前記機械加工アセンブリ120に供給する。1つの可能性によれば、機械加工されることとなるバーをスピンドル124の上に装填するための機構は、自律的であり、スピンドル124から独立して機能する。たとえば、機械加工されることとなるバーのためのストア127は、多量のバーの重力による降下によって機能し、次いで、機械加工アセンブリ120の方向への、多量のバーのうちの下側のバーのスラスト(thrust)によって機能する。したがって、機械加工されることとなるバーのこのストア127は、パーツ・ホルダ124を供給することによって、したがって、機械加工モジュール110の後方から(図において右側から)供給することによって、機械加工アセンブリ120のための補充ユニットを形成している。既に準備ができている、異なる直径及び/又は異なる材料を有するバーのシリーズは、オペレータが迅速且つ容易にストア127を再び装填することを可能にする。
【0042】
前記バーは、好ましくは、1mよりも短い長さを有する。極めて短い機械加工されることとなるバーの場合に、ストア127によって地面の上に必要とされる空間の低減があるだけでなく、これは、バーの機械加工の間の振動を低減させることにも貢献し、それは、機械加工プロセスの安定性、したがって、良好な機械加工品質を確実にする。それに加えて、バーの短いサイズは、特定の案内なしに、パーツ・ホルダ124、すなわち、スピンドルまで、バーを前進させることを可能にする。
【0043】
ここで、図6から図9を参照し、図6から図9は、並んで設置されている複数の機械加工モジュールを含む、本発明による機械加工ユニットの第1の実施形態の変形例及び第2の実施形態を表している。
【0044】
図6及び図7に示されている第1の実施形態の変形例のケースでは、機械加工ユニット100は、図1から図5に関連して説明されている機械加工モジュール110と同様の複数の機械加工モジュール110、110、110、110、110を含み、それらは、並んで設置されており、それらのそれぞれの保護コンパートメント112の側方壁部112a、112bを介して、互いに隣接する。このケースでは、それぞれの機械加工モジュール110、110、110、110、110は、その機能及び機器の観点から、独立しており、自律的である。
【0045】
図8及び図9に示されている第2の実施形態のケースでは、機械加工ユニット100は、以下の相違点は別として、図1から図5に関連して説明されている機械加工モジュール110と同様の複数の機械加工モジュール110、110、110、110、110を含む。
−すべての機械加工モジュール110の保護コンパートメント112は、単に、単一のエンベロープ(単一のカウル)を形成しており、単一のエンベロープは、機械加工モジュール110が存在するのと同じ多さのコンパートメントを備えている(図8及び図9に図示されている例に関して、5つの機械加工モジュール110、110、110、110、110のための5つのエンクロージャ114を形成する5つのコンパートメントを備えている)。
−潤滑液体リサイクル回路は、前記複数の機械加工モジュール110、110、110、110、110に共通である。
−単一の電気制御ボックス152及び単一の制御システム151が存在しており、それらは、前記複数の機械加工モジュール110、110、110、110、110に関して共通である。
【0046】
封止されないエンクロージャ114のケースでは、低い圧力を生成させるためのシステム(示されていない)が提供され得、それは、前記複数の機械加工モジュール110、110、110、110、110に共通である。
【0047】
また、前記複数の機械加工モジュールs110、110、110、110、110に共通の削り屑コンテナ128を提供することも可能である(状況は示されていない)。
【0048】
エンクロージャ114の中に含有される湿気の吸引のためのシステムが存在するときに、この吸引システムは、好ましくは、前記複数の機械加工モジュール110、110、110、110、110に共通であり、湿気の排出のための単一のダクト140を装備している(図8及び図9を参照)。
【0049】
したがって、オイル・コンテナ129及び削り屑コンテナ128、低い圧力を生成させるためのシステム、電気制御ボックス152、並びに、制御システム151などのような、周辺システムのうちのいくつか又はすべてを共有することは、また、地面の上の表面積の低減に貢献し、機械加工ユニット100のコストを低減させ、したがって、複数の機械加工動作を同時に実施することを可能にする。
【0050】
そうでなければ、それぞれの機械加工モジュール110、110、110、110、110は、図1から図5に関連して説明されている機械加工モジュール110のように機能し、他の機械加工アセンブリから独立して機能する機械加工アセンブリ120を有しており、対応する可動キャリッジ130の第2の位置においてアクセス可能である。
【0051】
コンパクトに配置されている複数の機械加工モジュール110を備えた、機械加工ユニットの第1の実施形態の変形例によるか又は第2の実施形態によるこの構成は、それぞれの機械加工モジュールのアクセス可能性のエリアが2つの隣接する機械加工モジュールのものに重なることを可能にするということが理解されることとなる。この重なりにかかわらず、オペレータにとって障害は存在せず、オペレータは、その可動キャリッジ113が保護ケーシング112から引き出されている機械加工モジュールのみに介入することとなり、したがって、この機械加工モジュールのアクセス可能性のそれぞれのエリアの中にいる。可動キャリッジ130がその第2の位置にあるときにのみ、アクセス可能性のエリアが使用されるので、妨害は存在しない。この状況は、図7及び図9に表されており、機械加工モジュール110が、2つの機械加工モジュールの間に位置しており、その可動キャリッジ130は、その第2の位置になっており、対応する機械加工アセンブリ120は、エンクロージャ114の完全に外側に位置しており、したがって、オペレータにとってアクセス可能である。
【0052】
また、複数の機械加工モジュール110を含む機械加工ユニット100では、同一の機器、とりわけ、同一の機械加工アセンブリ120(同じツール・ホルダ及び同じパーツ・ホルダ)を備えた機械加工ユニット、又は、異なる機器、とりわけ、異なる機械加工アセンブリ120(異なるツール・ホルダ及び/若しくはパーツ・ホルダ)を備えた機械加工モジュールを置くことが可能である。
【0053】
この最後のケースでは、たとえば、1つ又は複数の機械加工ユニットは、3軸を有する機械加工モジュールを形成し、また、1つ又は複数の機械加工モジュールは、少なくとも5軸を有するか、又は、6軸も有する機械加工モジュールを形成する。ツール・ホルダ124は、少なくとも1つのスピンドルを含むが、カウンタ・スピンドルなどのような第2のスピンドルは、機械加工アセンブリ120を装備することも可能である。ツール・ホルダ122は、複数のツールを支持することができる単一のコーム(comb)であることが可能であり、又は、2つのコーム、3つのコーム、若しくは、一般的に、3つよりも多いコームであることも可能である。
【0054】
5つの機械加工モジュール110、110、110、110、110は、図6及び図7に図示されている第1の実施形態の変形例による機械加工ユニット100、及び、図8及び図9に図示されている第2の実施形態による機械加工ユニット100を構成するが、機械加工ユニット100は、2つだけ、3つ、4つ、又は、5つよりも多い機械加工モジュール110iを含むことが可能であるということが理解される。
【0055】
したがって、同じ機械加工ユニットの中に異なる機械加工モジュールが存在するおかげで、同時に異なるパーツを作り出すことが可能であり、とりわけ、ウォッチ・ムーブメントのコンポーネントなどのような、一緒に組み立てられるように設計された複数のパーツを作り出すことが可能である。例として、機械加工モジュールのうちの1つは、ブリッジ及びディスクを作り出すことを可能にする移送機械を形成しており、一方、他の機械加工モジュールは、グリッパとして、又は、グリッパ及び心押し台スリーブ(ブッシュ)として機能するツール・ホルダを備えた自動旋盤を形成し、複雑なパーツ及び/又は異なるバー直径で旋削されるパーツを作り出すことが可能である。別の例によれば、機械加工モジュール110のうちの1つは、ブリッジ又はディスクなどのような特定のコンポーネントの部分的な機械加工のためのミーリング・マシンを構成しており、一方、他の機械加工モジュールは、自動旋盤(ターニング・マシン)又は別のタイプの機械加工機などのような、別のタイプの機械加工モジュールを形成している。
【0056】
それに加えて、それぞれの機械加工モジュール110は、公知で好ましくは制御される振動特性及び熱特性を有するので、熱的に及び振動の観点から制御される機械加工プロセスによって機能するのは、機械加工ユニット100全体であり、機械加工の安定性、及び、結果として生じるパーツの品質が改善されるようになっているということが理解される。
【符号の説明】
【0057】
100 機械加工ユニット
110 機械加工モジュール
112 保護コンパートメント
112a 側方壁部
112b 側方壁部
112c 上側壁部
112d 下側壁部
112e 後方壁部
112f 前方壁部
113 前方ドア
114 エンクロージャ
116 開口部
120 機械加工アセンブリ
122 ツール・ホルダ
124 パーツ・ホルダ(スピンドル)
125 カウンタ・スピンドル
126 サポート・ベース
127 機械加工されることとなるバーのストア
128 削り屑コンテナ
129 オイル・コンテナ
130 可動キャリッジ
132 ガイドレール
140 湿気排出ダクト
142 インジケータ・ランプ
151 制御システム
152 電気制御ボックス
【国際調査報告】