特表2018-521005(P2018-521005A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特表2018-521005ウレア誘導体、またはその薬理学的に許容される塩
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2018-521005(P2018-521005A)
(43)【公表日】2018年8月2日
(54)【発明の名称】ウレア誘導体、またはその薬理学的に許容される塩
(51)【国際特許分類】
   C07D 207/273 20060101AFI20180706BHJP
   C07D 307/22 20060101ALI20180706BHJP
   C07D 409/12 20060101ALI20180706BHJP
   C07D 333/48 20060101ALI20180706BHJP
   C07D 211/76 20060101ALI20180706BHJP
   C07D 263/26 20060101ALI20180706BHJP
   C07D 487/04 20060101ALI20180706BHJP
   C07D 498/04 20060101ALI20180706BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20180706BHJP
   A61P 37/08 20060101ALI20180706BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20180706BHJP
   A61P 31/18 20060101ALI20180706BHJP
   A61P 37/02 20060101ALI20180706BHJP
   A61P 31/10 20060101ALI20180706BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20180706BHJP
   A61P 11/00 20060101ALI20180706BHJP
   A61P 9/00 20060101ALI20180706BHJP
   A61P 25/04 20060101ALI20180706BHJP
   A61P 25/28 20060101ALI20180706BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20180706BHJP
   A61K 31/341 20060101ALI20180706BHJP
   A61K 31/381 20060101ALI20180706BHJP
   A61K 31/4418 20060101ALI20180706BHJP
   A61K 31/421 20060101ALI20180706BHJP
   A61K 31/4015 20060101ALI20180706BHJP
   A61K 31/4196 20060101ALI20180706BHJP
   A61K 31/4188 20060101ALI20180706BHJP
   A61K 31/41 20060101ALI20180706BHJP
   A61K 31/519 20060101ALI20180706BHJP
   A61K 31/5395 20060101ALI20180706BHJP
   C07K 14/705 20060101ALI20180706BHJP
【FI】
   C07D207/273CSP
   C07D307/22ZNA
   C07D409/12
   C07D333/48
   C07D211/76
   C07D263/26
   C07D487/04 139
   C07D487/04 138
   C07D487/04 136
   C07D487/04 140
   C07D498/04 112Q
   A61P43/00 111
   A61P37/08
   A61P35/00
   A61P31/18
   A61P37/02
   A61P31/10
   A61P29/00
   A61P11/00
   A61P9/00
   A61P25/04
   A61P25/28
   A61P25/00
   A61K31/341
   A61K31/381
   A61K31/4418
   A61K31/421
   A61K31/4015
   A61K31/4196
   A61K31/4188
   A61K31/41
   A61K31/519
   A61K31/5395
   C07K14/705
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】98
(21)【出願番号】特願2017-560628(P2017-560628)
(86)(22)【出願日】2016年5月26日
(85)【翻訳文提出日】2017年11月20日
(86)【国際出願番号】JP2016002557
(87)【国際公開番号】WO2016189876
(87)【国際公開日】20161201
(31)【優先権主張番号】特願2015-107227(P2015-107227)
(32)【優先日】2015年5月27日
(33)【優先権主張国】JP
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】000001395
【氏名又は名称】杏林製薬株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100100158
【弁理士】
【氏名又は名称】鮫島 睦
(74)【代理人】
【識別番号】100126778
【弁理士】
【氏名又は名称】品川 永敏
(74)【代理人】
【識別番号】100162684
【弁理士】
【氏名又は名称】呉 英燦
(74)【代理人】
【識別番号】100162695
【弁理士】
【氏名又は名称】釜平 双美
(74)【代理人】
【識別番号】100156155
【弁理士】
【氏名又は名称】水原 正弘
(72)【発明者】
【氏名】藤井 清
(72)【発明者】
【氏名】楳井 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】高橋 裕保
(72)【発明者】
【氏名】柴崎 光人
(72)【発明者】
【氏名】大畠 康平
【テーマコード(参考)】
4C037
4C050
4C054
4C056
4C063
4C069
4C072
4C086
4H045
【Fターム(参考)】
4C037DA09
4C050AA01
4C050BB03
4C050BB04
4C050BB05
4C050BB06
4C050CC04
4C050CC08
4C050EE02
4C050EE03
4C050EE04
4C050FF05
4C050FF10
4C050GG04
4C050HH01
4C050HH02
4C054AA02
4C054BB01
4C054CC01
4C054DD23
4C054EE30
4C054FF05
4C054FF12
4C056AA01
4C056AB01
4C056AC02
4C056AD01
4C056AE02
4C056BA01
4C056BB04
4C056BC09
4C063AA01
4C063BB09
4C063CC92
4C063DD73
4C063EE01
4C069AB15
4C069BB08
4C069BB16
4C069BC12
4C069BC29
4C072AA01
4C072BB02
4C072CC02
4C072CC11
4C072EE05
4C072FF03
4C072GG07
4C072GG08
4C072HH02
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086BA03
4C086BB02
4C086BC08
4C086BC21
4C086BC69
4C086CB03
4C086CB05
4C086CB22
4C086GA02
4C086GA04
4C086GA16
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA14
4C086ZA01
4C086ZA08
4C086ZA15
4C086ZA36
4C086ZA59
4C086ZB07
4C086ZB11
4C086ZB13
4C086ZB26
4C086ZB33
4C086ZB35
4C086ZC41
4H045AA10
4H045CA40
4H045DA50
(57)【要約】
本発明は、ホルミルペプチドレセプター様1(以下、FPRL1と訳すことがある)アゴニスト作用を有するウレア化合物、またはその薬理学的に許容される塩、それを含有する医薬品組成物およびその医薬用途を提供する。下記一般式(I)であらわされるウレア誘導体、またはその薬理学的に許容される塩が強力なFPRL1受容体アゴニスト作用を有することを見出した。化合物(I)またはその薬理学的に許容される塩は、炎症性疾患、慢性気道疾患、がん、敗血症、アレルギー性症状、HIVレトロウイルス感染、循環器障害、神経炎症、神経障害、疼痛、プリオン病、アミロイド症、免疫障害等の治療、予防又は抑制に対して高い有用性を有するものである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(I):
【化1】
[式(I)中、Arは、置換基を有しても良いフェニル基、置換基を有しても良い単環性芳香族複素環基、置換基を有しても良い原子数9個または10個からなる二環性芳香族複素環基であり;
Arは、置換基を有しても良いフェニル基(ただし、AがA1の場合、置換基がハロゲン原子だけのものは除く)、置換基を有しても良い単環性芳香族複素環基、置換基を有しても良い原子数9個または10個からなる二環性芳香族複素環基であり;
Aは、以下のA1)、A2)、A3)、A4)およびA5)からなる群から選択される基であり;
【化2】
、Rは、それぞれ独立して水素原子、置換基を有しても良いC〜Cアルキル基であるか、またはRとRが一緒になったC〜Cアルキレン基であり;
3は水素原子、または置換基を有しても良いC〜Cアルキル基であり;
Xは、酸素原子または硫黄原子,またはSOであり;
Bは、置換基を有しても良い複素環であり;
*を付された炭素原子は、不斉炭素原子を表す。]で表される化合物、またはその薬理学的に許容される塩。
【請求項2】
式(I)中、Aが、以下のA1a)、A1b)、およびA1c):
【化3】
からなる群から選択される基であり;
は、C−Rまたは窒素原子であり;
は、CRまたはN−Rであり;
は、CR1011またはC=Oであり;
は、C−R12または窒素原子であり;
は、C−R13または窒素原子であり;
は、CR1415、酸素原子またはC=Oであり;
は、CR1617またはC=Oであり;
、R、R、R、R10、R11、R14、R15、R16、R17は、独立して水素原子、置換基を有しても良いC〜Cアルキル基、またはRとR、もしくはRとR、もしくはR10とR11、もしくはR14とR15、もしくはR16とR17が一緒になってC〜Cシクロアルキル基または3〜10員ヘテロシクロアルキル基を形成してもよく;
、R、R12、R13は、独立して水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、ヒドロキシ基、置換基を有しても良いC〜Cアルキル基、置換基を有しても良いC〜Cアルコキシ基、置換基を有しても良いC〜Cアルコキシカルボニル基、置換基を有しても良いC〜Cアシル基、置換基を有しても良いC〜Cアルキルスルファニル基、置換基を有しても良いC〜Cアルキルスルフィニル基、置換基を有しても良いC〜Cアルキルスルホニル基、置換基を有しても良い複素環基、−CONR1819または−NR1819であり、R、R、R12、R13が、−CONR1819または−NR1819であるとき、R18は、水素原子、置換基を有しても良いC〜Cアルキル基、置換基を有しても良いC〜Cアシル基、置換基を有しても良いC〜Cアルキルスルホニル基であり、R19は、水素原子、置換基を有しても良いC〜Cアルキル基であるか、またはR18とR19が一緒になって3〜10員ヘテロシクロアルキル基を形成してもよい、
請求項1に記載の化合物、またはその薬理学的に許容される塩。
【請求項3】
式(I)中、Aが、以下のA1ba)、A1bb)、A1bc)、A1ca)、A1cb)、A1cc)、A1cd)、A2)、A3)、A4)、およびA5):
【化4】
からなる群から選択される基であり;
、Rは、それぞれ独立して水素原子、C〜Cアルキル基であり;
3は水素原子、またはC〜Cアルキル基であり;
、R、R14、R15、R16、R17は、独立して水素原子、C〜Cアルキル基、またはRとR、もしくはR14とR15、もしくはR16とR17が一緒になってC〜Cシクロアルキル基または3〜10員ヘテロシクロアルキル基を形成してもよく;
12、R13は、独立して水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、ヒドロキシ基、C〜Cアルキル基、C〜Cアルコキシ基、C〜Cアルコキシカルボニル基、C〜Cアシル基、C〜Cアルキルスルファニル基、C〜Cアルキルスルフィニル基、C〜Cアルキルスルホニル基、−CONR1819または−NR1819であり、R12、R13が、−CONR1819または−NR1819であるとき、R18は、水素原子、C〜Cアルキル基、C〜Cアシル基、C〜Cアルキルスルホニル基であり、R19は、水素原子、C〜Cアルキル基であるか、またはR18とR19が一緒になって3〜10員ヘテロシクロアルキル基を形成してもよく;
Xは、酸素原子、またはSOである、
請求項1または2記載の化合物、又は薬理学的に許容されるその塩。
【請求項4】
式(I)中、Arが、以下のB1)、B2)、B3)およびB4):
【化5】
からなる群から選択される基であり;
、Wは、一方が窒素原子であり、他方がCHまたは窒素原子であり;
10は、酸素原子、硫黄原子またはN−R22であり;
11は、C=O、CH、CF、CHOH、N−R23、酸素原子または硫黄原子であり;
20は、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、シアノ基、置換基を有しても良いC〜Cアルキル基、置換基を有しても良いC〜Cアルコキシ基、置換基を有しても良いハロC〜Cアルコキシ基、置換基を有しても良いC〜Cアシル基、置換基を有しても良いC〜Cアルキルスルファニル基、置換基を有しても良いC〜Cアルキルスルフィニル基、置換基を有しても良いC〜Cアルキルスルホニル基、置換基を有しても良い複素環基、−CONR1819または−NR1819であり、R20が−CONR1819または−NR1819であるとき、R18は、水素原子、置換基を有しても良いC〜Cアルキル基、置換基を有しても良いC〜Cアシル基、置換基を有しても良いC〜Cアルキルスルホニル基であり、R19は、水素原子、置換基を有しても良いC〜Cアルキル基であるか、またはR18とR19が一緒になって3〜10員ヘテロシクロアルキル基を形成してもよく;
21は、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、シアノ基、置換基を有しても良いC〜Cアルキル基または置換基を有しても良いC〜Cアルコキシ基であり;
22は、水素原子、ハロゲン原子、置換基を有しても良いC〜Cアルキル基であり;
mは0または1であり;
ただし、ArがB1)である場合にR20、R21及びR22の置換基の組み合わせが水素原子とハロゲン原子の場合を除く、請求項1〜3のいずれかに記載のウレア化合物またはその薬理学的に許容される塩。
【請求項5】
式(I)中、Arが、以下のC1)、C2)、C3)およびC4):
【化6】
からなる群から選択される基であり;
12、W13は、一方が窒素原子であり、他方がCHまたは窒素原子であり;
14は、酸素原子、硫黄原子、またはN−R22であり;
23は、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、置換基を有しても良いC〜Cアルキル基、置換基を有しても良いC〜Cアルコキシ基、置換基を有しても良いC〜Cシクロアルキル基、置換基を有しても良いC〜Cアシル基、置換基を有しても良いC〜Cアルケニル基、置換基を有しても良いアルキニル基、置換基を有しても良いC〜Cアルコキシカルボニル基、置換基を有しても良いC〜Cアルキルスルファニル基、置換基を有しても良いC〜Cアルキルスルフィニル基、置換基を有しても良いC〜Cアルキルスルホニル基、置換基を有しても良いアリールオキシ基、置換基を有しても良い複素環基、−CONR1819または−NR1819であり、R23が−CONR1819または−NR1819であるとき、R18は、水素原子、置換基を有しても良いC〜Cアルキル基、置換基を有しても良いC〜Cアシル基、置換基を有しても良いC〜Cアルキルスルホニル基であり、R19は、水素原子、置換基を有しても良いC〜Cアルキル基であるか、またはR18とR19が一緒になって3〜10員ヘテロシクロアルキル基を形成してもよく;
24は、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基またはC〜Cアルキル基である請求項1〜4のいずれかに記載の化合物、又は薬理学的に許容されるその塩。
【請求項6】
式(I)中、ArがB1a)、B3a)またはB4a);
【化7】
からなる群から選択される基であり;
20はフッ素原子、塩素原子、シアノ基、C〜Cアルキル基、C〜Cアルコキシ基、ハロC〜Cアルコキシ基、C〜Cアルキルスルファニル基、C〜Cアルキルスルフィニル基または−CONR1819または−NR1819であり、R20が−CONR1819または−NR1819であるとき、R18は、水素原子、C〜Cアルキル基、C〜Cアシル基、C〜Cアルキルスルホニル基であり、R19は、水素原子、C〜Cアルキル基であるか、またはR18とR19が一緒になって3〜10員ヘテロシクロアルキル基を形成してもよく;
21は、水素原子またはハロゲン原子であり;
22は、水素原子またはハロゲン原子であり;
mは0または1であり;
ただし、ArがB1a)である場合にR20、R21及びR22の置換基の組み合わせが水素原子とハロゲン原子の場合を除く、請求項1〜5のいずれかに記載のウレア化合物またはその薬理学的に許容される塩。
【請求項7】
式(I)中、ArがC1)であり;
【化8】
23は、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、トリフルオロメチル基またはC〜Cアルキル基であり;
24は、水素原子、ハロゲン原子またはヒドロキシ基;
である請求項1〜6のいずれかに記載の化合物、又は薬理学的に許容されるその塩。
【請求項8】
式(I)中、ArがB1aa)であり;
【化9】
20はシアノ基、エチル基、C〜Cアルコキシ基であり;
21は、水素原子、フッ素原子または塩素原子であり;
22は、水素原子、フッ素原子または塩素原子である、
請求項1〜7のいずれかに記載のウレア化合物またはその薬理学的に許容される塩。
【請求項9】
式(I)で表される化合物が、
(±)−シス−1−(4−クロロフェニル)−3−[4−(4−メトキシフェニル)テトラヒドロフラン−3−イル]ウレア、
(±)−シス−1−(3−フルオロフェニル)−3−[4−(4−メトキシフェニル)テトラヒドロフラン−3−イル]ウレア、
(±)−シス−1−(2−フルオロフェニル)−3−[4−(4−メトキシフェニル)テトラヒドロフラン−3−イル]ウレア、
(±)−シス−1−(2,4−ジフルオロフェニル)−3−[4−(4−メトキシフェニル)テトラヒドロフラン−3−イル]ウレア、
(±)−シス−1−(3,4−ジフルオロフェニル)−3−[4−(4−メトキシフェニル)テトラヒドロフラン−3−イル]ウレア、
(±)−シス−1−(4−シアノフェニル)−3−[4−(4−メトキシフェニル)テトラヒドロフラン−3−イル]ウレア、
(±)−シス−1−(5−クロロチオフェン−2−イル)−3−[4−(4−メトキシフェニル)テトラヒドロフラン−3−イル]ウレア、
(±)−シス−1−[4−(2,6−ジフルオロ−4−メトキシフェニル)テトラヒドロフラン−3−イル]−3−(4−フルオロフェニル)ウレア、
(±)−トランス−1−(4−クロロフェニル)−3−[4−(4−メトキシフェニル)テトラヒドロフラン−3−イル]ウレア、
(±)−1−(4−クロロフェニル)−3−[4−(4−メトキシフェニル)−1,1−ジオキシドテトラヒドロチオフェン−3−イル]ウレア、
(±)−トランス−1−(4−クロロフェニル)−3−[4−(4−メトキシフェニル)−2−オキソピペリジン−3−イル]ウレア、
(+)−シス−1−(4−クロロフェニル)−3−[4−(4−メトキシフェニル)テトラヒドロフラン−3−イル]ウレア、
(+)−シス−1−(4−フルオロフェニル)−3−[4−(4−メトキシフェニル)テトラヒドロフラン−3−イル]ウレア、
(+)−シス−1−(4−フルオロフェニル)3−[4−(4−メトキシフェニル)−2,2−ジメチルテトラヒドロフラン−3−イル]ウレア、
(±)−シス−1−[4−(4−クロロフェニル)テトラヒドロフラン−3−イル]−3−(4−フルオロフェニル)ウレア、
(±)−シス−1−[4−(4−フルオロフェニル)テトラヒドロフラン−3−イル]−3−(4−フルオロフェニル)ウレア、
(±)−シス−1−[4−(4−シアノフェニル)テトラヒドロフラン−3−イル]−3−(4−フルオロフェニル)ウレア、
(±)−1−(4−クロロフェニル)−3−[4−(4−メトキシフェニル)−2−オキソオキサゾリジン−3−イル]ウレア、
(±)−トランス−1−(4−フルオロフェニル)−3−[3−(4−メトキシフェニル)−5−オキソピロリジン−2−イル]ウレア、
(−)−1−[(6R,7S)−6−(2,6−ジフルオロ−4−メトキシフェニル)−3−メチル−6,7−ジヒドロ−5H−ピロロ[2,1−c][1,2,4]トリアゾール−7−イル]−3−(4−フルオロフェニル)ウレア、
(−)−1−[(6R,7S)−6−(2,6−ジフルオロ−4−メトキシフェニル)−6,7−ジヒドロ−5H−ピロロ[1,2−a]イミダゾール−7−イル]−3−(4−フルオロフェニル)ウレア、
(−)−1−(4−フルオロフェニル)−3−[(6R,7S)−6−(4−メトキシフェニル)−6,7−ジヒドロ−5H−ピロロ[1,2−d]テトラゾール−7−イル]ウレア、
(−)−1−[(6R,7S)−6−(2,6−ジフルオロ−4−メトキシフェニル)−6,7−ジヒドロ−5H−ピロロ[1,2−d]テトラゾール−7−イル]−3−(4−フルオロフェニル)ウレア、
(−)−1−[(6R,7S)−6−(6−フルオロ−2,3−ジヒドロベンゾフラン−5−イル)−6,7−ジヒドロ−5H−ピロロ[1,2−d]テトラゾール−7−イル]−3−(4−フルオロフェニル)ウレア、
(−)−1−[(7R,8S)−7−(2,6−ジフルオロ−4−メトキシフェニル)−2,3,4,6,7,8−ヘキサヒドロピロロ[1,2−a]ピリミジン−8−イル]−3−(4−フルオロフェニル)ウレア、
1−[(7R,8S)−7−(2,6−ジフルオロ−4−メトキシフェニル)−4,6,7,8−テトラヒドロ−3H−ピロロ[2,1−c][1,2,4]オキサジアジン−8−イル]−3−(4−フルオロフェニル)ウレア、
(−)−1−[(7R,8S)−7−(2,6−ジフルオロ−4−メトキシフェニル)−4−オキソ−4,6,7,8−テトラヒドロ−3H−ピロロ[2,1−c][1,2,4]オキサジアジン−8−イル]−3−(4−フルオロフェニル)ウレア、
(−)−1−[(7R,8S)−7−(2,6−ジフルオロ−4−メトキシフェニル)−4−オキソ−2,3,4,6,7,8−ヘキサヒドロピロロ[1,2−a]ピリミジン−8−イル]−3−(4−フルオロフェニル)ウレア、
または
1−(4−フルオロフェニル)−3−[(7R,8S)−7−(4−メトキシフェニル)−4−オキソ−4,6,7,8−テトラヒドロ−3H−ピロロ[2,1−c][1,2,4]オキサジアジン−8−イル]ウレア
である、請求項1に記載の化合物、またはその薬理学的に許容される塩。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか1項に記載の化合物、またはその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有する医薬。
【請求項11】
請求項1〜9のいずれか1項に記載の化合物、またはその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有するFPRL1作動薬。
【請求項12】
請求項1〜9のいずれか1項に記載の化合物、またはその薬理学的に許容される塩を投与する炎症性疾患、慢性気道疾患、がん、敗血症、アレルギー性症状、HIVレトロウイルス感染、循環器障害、神経炎症、神経障害、疼痛、プリオン病、アミロイド症、免疫障害の治療又は予防方法。
【請求項13】
炎症性疾患、慢性気道疾患、がん、敗血症、アレルギー性症状、HIVレトロウイルス感染、循環器障害、神経炎症、神経障害、疼痛、プリオン病、アミロイド症、免疫障害の治療又は予防のための医薬を製造するための請求項1〜9のいずれか1項に記載の化合物、またはその薬理学的に許容される塩の使用。
【請求項14】
炎症性疾患、慢性気道疾患、がん、敗血症、アレルギー性症状、HIVレトロウイルス感染、循環器障害、神経炎症、神経障害、疼痛、プリオン病、アミロイド症、免疫障害の予防または治療に使用するための、請求項1〜9のいずれか1項に記載の化合物、またはその薬理学的に許容される塩及び薬学的に許容されうる担体を含有する医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医薬品として有用なホルミルペプチドレセプター様1(以下、FPRL1と訳すことがある)アゴニスト作用を有するウレア誘導体、またはその薬理学的に許容される塩、それを含有する医薬品組成物およびその医薬用途に関する。
【背景技術】
【0002】
FPRL1 (Formyl peptide receptor like 1、別名:Lipoxin A4 Receptor、ALXR、FPR2) は、MurphyらによってN-ホルミルペプチド受容体(FPR)のサブタイプとしてクローニングされたGタンパク共役受容体である(非特許文献1)。FPRL1は、高濃度のfMLF(formyl methionine leucyl phenylalanine peptide) による、カルシウム動員を仲介する受容体として発見された。
【0003】
FPRL1の発現は好中球、単球、Tリンパ球、樹状細胞などで確認されているが(非特許文献2)、生体内での役割については複雑であることから十分に解明されてはいない(非特許文献3)。しかしながら、FPRL1欠損マウスを用いた足浮腫モデルおよび関節炎モデルにおいては反応が悪化することが認められていることから(非特許文献4)、FPRL1は炎症の収束に寄与していると考えられる。
【0004】
FPRL1に作用するアゴニストとしては、内因性の脂質メディエーターであるLipoxin A4(LXA4)およびResolvin D1(RvD1)、ペプチドのWKYMVmなどが報告されている(非特許文献5,6)。
【0005】
FPRL1アゴニストは、in vitroにおいて、好中球の遊走能を低下させることができる(非特許文献7、8)。好中球は宿主防御を行っている一方で、血管損傷を引き起こして血管透過性の亢進、浮腫およびそれに続く走化性因子の放出を招き、炎症に寄与していることから(非特許文献9)、FPRL1アゴニストは抗炎症効果を示すと考えられる。
【0006】
例えば、ペプチドのアゴニストは腸炎症(非特許文献10)、気道炎症(非特許文献11)、敗血症(非特許文献12)、がんモデル(非特許文献13)に対して抑制効果を示し、非ペプチドの低分子であるQuinC1は、ブレオマイシン誘発肺炎症を抑制(非特許文献14)することが確認されている。
【0007】
これらのことから、FPRL1は炎症性疾患、慢性気道疾患、がん、敗血症、アレルギー性症状、HIVレトロウイルス感染、循環器障害、神経炎症、神経障害、疼痛、プリオン病、アミロイド症、免疫障害など、各種疾病の標的とみなすことができ、FPRL1アゴニストはそれら疾病に対する有望な治療薬になりえると考えられる。
【0008】
これまでに、FPRL1アゴニスト活性を示す非ペプチドの低分子としては、例えばキナゾリノン類(非特許文献15)、ピラゾロン類(非特許文献16)、ベンズイミダゾール類(非特許文献17)、アミノアゾール類(特許文献1、2、3、4、5)、スピロ[2,4]ヘプタン類(特許文献6、7、8、9、10)、ピリダジノン類(非特許文献18)、シクロアルキルまたはシクロアルケニル-1、2-ジカルボン酸類(特許文献11)、ジヒドロナフタレン類(特許文献12)、ピロリジン-2、5-ジオン類(特許文献13)、チアゾール類(特許文献14)、ウレア誘導体(特許文献15、16、17、18、19、20、21、22)(非特許文献19、20)などが知られている。
【0009】
しかし、これら化合物は、本発明化合物とは基本化学構造式が異なっている。なお、これらの化合物は、本願請求項に含有されないことは言うまでもない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】国際公開2009/077990号パンフレット
【特許文献2】国際公開2009/077954号パンフレット
【特許文献3】国際公開2010/143158号パンフレット
【特許文献4】国際公開2012/077049号パンフレット
【特許文献5】国際公開2012/077051号パンフレット
【特許文献6】国際公開2012/066488号パンフレット
【特許文献7】国際公開2013/171687号パンフレット
【特許文献8】国際公開2013/171694号パンフレット
【特許文献9】国際公開2014/206966号パンフレット
【特許文献10】国際公開2015/007830号パンフレット
【特許文献11】国際公開2011/163502号パンフレット
【特許文献12】国際公開2012/125305号パンフレット
【特許文献13】US130018067号パンフレット
【特許文献14】国際公開2015/005305号パンフレット
【特許文献15】国際公開2005/047899号パンフレット
【特許文献16】国際公開2012/074785号パンフレット
【特許文献17】国際公開2012/109544号パンフレット
【特許文献18】国際公開2013/062947号パンフレット
【特許文献19】国際公開2013/070600号パンフレット
【特許文献20】国際公開2013/071203号パンフレット
【特許文献21】国際公開2015/009545号パンフレット
【特許文献22】国際公開2015/019325号パンフレット
【非特許文献】
【0011】
【非特許文献1】Murphy P.M.,et al.,「The Journal of Biological Chemistry」, 1992年,267巻,p.7637-7643
【非特許文献2】Gavins F. N.E,et al.,「Trends in Pharmacological Sciences」,2010年,31巻,p.266-276
【非特許文献3】Cattaneo F.,et al.,「International Journal of Molecular Sciences」 2013年,14 巻,4号,p.7193-7230
【非特許文献4】Dufton N, et al.,「The Journal of Immunology」,2010年,184巻,p.2611-2619
【非特許文献5】Le Y,et al.,「Trends in immunology」,2002年,23巻,11号,p541-548
【非特許文献6】Krishnamoorthy S,「Proceedings of the National Academy of Sciences」,2010年,107巻,4号,p.1660-1665
【非特許文献7】Li B.Q, et al.,「Blood」,2001年, 97巻,p.2941-2947
【非特許文献8】Sogawa Y, et al.,「Immunology」,2011年,132巻, p.441-450
【非特許文献9】Summers C,et al.,「Trends in Immunology」,2010年,31巻,p.318-324
【非特許文献10】Kim S.D,et al.,「Experimental & Molecular Medicine」, 2013年,13巻,45号:e40.
【非特許文献11】Tae Y.M, et al.,「The Journal of Immunology」, 2012 年,188巻,p.1799-1808
【非特許文献12】Kim S.D, et al.,「The Journal of Immunology」, 2010年, 185 巻, p.4302-4310
【非特許文献13】Kim S.D, et al.,「PLoS ONE」,7巻,1号: e30522.
【非特許文献14】Min H.E, et al.,「Acta Pharmacologica Sinica」 2011年,32巻,p.601-610
【非特許文献15】Nanamori M, et al.,「Molecular Pharmacology」,2004年,66巻,p.1213-1222
【非特許文献16】Burli R.W, et al.,「Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters」,2006年,16巻,p.3713-3718
【非特許文献17】Frohn M,et al.,「Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters」,2007年,17巻,p.6633-6637
【非特許文献18】Cilibrizzi A,et al.,「Journal of Medicinal Chemistry」,2009年,52巻,p.5044-5057
【非特許文献19】Kirpotina L.N,et al.,「Molecular Pharmacology」,2010年,77巻,p.159-170
【非特許文献20】Schepetkin I.A,et al.,「Molecular Pharmacology」,2011年,79巻,p. 77-90
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
現在、上述した種々の病態に対する予防及び治療薬として、優れたFPRL1アゴニスト作用を有し、十分に満足できる医薬品となり得る化合物は見出されていない。
本発明の目的は、FPRL1アゴニスト作用を有する化合物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明者らは、鋭意研究を行った結果、下記一般式(I)で表されるウレア化合物(以下、化合物(I)という場合もある)、またはその薬理学的に許容される塩が強力なFPRL1アゴニスト作用を有し、医薬として十分に満足できるものであることを見出し、本発明を完成した。
【0014】
即ち、本発明は、以下の通りである。
【0015】
[1]一般式(I):
【化1】
[式(I)中、Arは、置換基を有しても良いフェニル基、置換基を有しても良い単環性芳香族複素環基、置換基を有しても良い原子数9個または10個からなる二環性芳香族複素環基であり;
Arは、置換基を有しても良いフェニル基(ただし、AがA1の場合、置換基がハロゲン原子だけのものは除く)、置換基を有しても良い単環性芳香族複素環基、置換基を有しても良い原子数9個または10個からなる二環性芳香族複素環基であり;
Aは、以下のA1)、A2)、A3)、A4)およびA5)からなる群から選択される基であり;
【化2】
、Rは、それぞれ独立して水素原子、置換基を有しても良いC〜Cアルキル基であるか、またはRとRが一緒になったC〜Cアルキレン基であり;
3は水素原子、または置換基を有しても良いC〜Cアルキル基であり;
Xは、酸素原子または硫黄原子,またはSOであり;
Bは、置換基を有しても良い複素環であり;
*を付された炭素原子は、不斉炭素原子を表す。]で表される化合物、またはその薬理学的に許容される塩。
【0016】
[2]式(I)中、Aが、以下のA1a)、A1b)、およびA1c):
【化3】
からなる群から選択される基であり;
は、C−Rまたは窒素原子であり;
は、CRまたはN−Rであり;
は、CR1011またはC=Oであり;
は、C−R12または窒素原子であり;
は、C−R13または窒素原子であり;
は、CR1415、酸素原子またはC=Oであり;
は、CR1617またはC=Oであり;
、R、R、R、R10、R11、R14、R15、R16、R17は、独立して水素原子、置換基を有しても良いC〜Cアルキル基、またはRとR、もしくはRとR、もしくはR10とR11、もしくはR14とR15、もしくはR16とR17が一緒になってC〜Cシクロアルキル基または3〜10員ヘテロシクロアルキル基を形成してもよく;
、R、R12、R13は、独立して水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、ヒドロキシ基、置換基を有しても良いC〜Cアルキル基、置換基を有しても良いC〜Cアルコキシ基、置換基を有しても良いC〜Cアルコキシカルボニル基、置換基を有しても良いC〜Cアシル基、置換基を有しても良いC〜Cアルキルスルファニル基、置換基を有しても良いC〜Cアルキルスルフィニル基、置換基を有しても良いC〜Cアルキルスルホニル基、置換基を有しても良い複素環基、−CONR1819または−NR1819であり、R、R、R12、R13が、−CONR1819または−NR1819であるとき、R18は、水素原子、置換基を有しても良いC〜Cアルキル基、置換基を有しても良いC〜Cアシル基、置換基を有しても良いC〜Cアルキルスルホニル基であり、R19は、水素原子、置換基を有しても良いC〜Cアルキル基であるか、またはR18とR19が一緒になって3〜10員ヘテロシクロアルキル基を形成してもよい、
[1]に記載の化合物、またはその薬理学的に許容される塩。
【0017】
[3]式(I)中、Aが、以下のA1ba)、A1bb)、A1bc)、A1ca)、A1cb)、A1cc)、A1cd)、A2)、A3)、A4)、およびA5):
【化4】
からなる群から選択される基であり;
【0018】
、Rは、それぞれ独立して水素原子、C〜Cアルキル基であり;
3は水素原子、またはC〜Cアルキル基であり;
、R、R14、R15、R16、R17は、独立して水素原子、C〜Cアルキル基、またはRとR、もしくはR14とR15、もしくはR16とR17が一緒になってC〜Cシクロアルキル基または3〜10員ヘテロシクロアルキル基を形成してもよく;
12、R13は、独立して水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、ヒドロキシ基、C〜Cアルキル基、C〜Cアルコキシ基、C〜Cアルコキシカルボニル基、C〜Cアシル基、C〜Cアルキルスルファニル基、C〜Cアルキルスルフィニル基、C〜Cアルキルスルホニル基、−CONR1819または−NR1819であり、R12、R13が、−CONR1819または−NR1819であるとき、R18は、水素原子、C〜Cアルキル基、C〜Cアシル基、C〜Cアルキルスルホニル基であり、R19は、水素原子、C〜Cアルキル基であるか、またはR18とR19が一緒になって3〜10員ヘテロシクロアルキル基を形成してもよく;
Xは、酸素原子、またはSOである、
[1]または[2]記載の化合物、又は薬理学的に許容されるその塩。
【0019】
[4]式(I)中、Arが、以下のB1)、B2)、B3)およびB4):
【化5】
からなる群から選択される基であり;
、Wは、一方が窒素原子であり、他方がCHまたは窒素原子であり;
10は、酸素原子、硫黄原子またはN−R22であり;
11は、C=O、CH、CF、CHOH、N−R23、酸素原子または硫黄原子であり;
20は、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、シアノ基、置換基を有しても良いC〜Cアルキル基、置換基を有しても良いC〜Cアルコキシ基、置換基を有しても良いハロC〜Cアルコキシ基、置換基を有しても良いC〜Cアシル基、置換基を有しても良いC〜Cアルキルスルファニル基、置換基を有しても良いC〜Cアルキルスルフィニル基、置換基を有しても良いC〜Cアルキルスルホニル基、置換基を有しても良い複素環基、−CONR1819または−NR1819であり、R20が−CONR1819または−NR1819であるとき、R18は、水素原子、置換基を有しても良いC〜Cアルキル基、置換基を有しても良いC〜Cアシル基、置換基を有しても良いC〜Cアルキルスルホニル基であり、R19は、水素原子、置換基を有しても良いC〜Cアルキル基であるか、またはR18とR19が一緒になって3〜10員ヘテロシクロアルキル基を形成してもよく;
21は、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、シアノ基、置換基を有しても良いC〜Cアルキル基または置換基を有しても良いC〜Cアルコキシ基であり;
22は、水素原子、ハロゲン原子、置換基を有しても良いC〜Cアルキル基であり;
mは0または1であり;
ただし、ArがB1)である場合にR20、R21及びR22の置換基の組み合わせが水素原子とハロゲン原子の場合を除く、[1]〜[3]のいずれかに記載のウレア化合物またはその薬理学的に許容される塩。
【0020】
[5]式(I)中、Arが、以下のC1)、C2)、C3)およびC4):
【化6】
からなる群から選択される基であり;
12、W13は、一方が窒素原子であり、他方がCHまたは窒素原子であり;
14は、酸素原子、硫黄原子、またはN−R22であり;
23は、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、置換基を有しても良いC〜Cアルキル基、置換基を有しても良いC〜Cアルコキシ基、置換基を有しても良いC〜Cシクロアルキル基、置換基を有しても良いC〜Cアシル基、置換基を有しても良いC〜Cアルケニル基、置換基を有しても良いC〜Cアルキニル基、置換基を有しても良いC〜Cアルコキシカルボニル基、置換基を有しても良いC〜Cアルキルスルファニル基、置換基を有しても良いC〜Cアルキルスルフィニル基、置換基を有しても良いC〜Cアルキルスルホニル基、置換基を有しても良いアリールオキシ基、置換基を有しても良い複素環基、−CONR1819または−NR1819であり、
23が−CONR1819または−NR1819であるとき、R18は、水素原子、置換基を有しても良いC〜Cアルキル基、置換基を有しても良いC〜Cアシル基、置換基を有しても良いC〜Cアルキルスルホニル基であり、R19は、水素原子、置換基を有しても良いC〜Cアルキル基であるか、またはR18とR19が一緒になって3〜10員ヘテロシクロアルキル基を形成してもよく;
24は、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基またはC〜Cアルキル基である[1]〜[4]のいずれかに記載の化合物、又は薬理学的に許容されるその塩。
【0021】
[6]式(I)中、ArがB1a)、B3a)またはB4a);
【化7】
からなる群から選択される基であり;
20はフッ素原子、塩素原子、シアノ基、C〜Cアルキル基、C〜Cアルコキシ基、ハロC〜Cアルコキシ基、C〜Cアルキルスルファニル基、C〜Cアルキルスルフィニル基または−CONR1819または−NR1819であり、R20が−CONR1819または−NR1819であるとき、R18は、水素原子、C〜Cアルキル基、C〜Cアシル基、C〜Cアルキルスルホニル基であり、R19は、水素原子、C〜Cアルキル基であるか、またはR18とR19が一緒になって3〜10員ヘテロシクロアルキル基を形成してもよく;
21は、水素原子またはハロゲン原子であり;
22は、水素原子またはハロゲン原子であり;
mは0または1であり;
ただし、ArがB1a)である場合にR20、R21及びR22の置換基の組み合わせが水素原子とハロゲン原子の場合を除く、[1]〜[5]のいずれかに記載のウレア化合物またはその薬理学的に許容される塩。
【0022】
[7]式(I)中、ArがC1)であり;
【化8】
23は、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、トリフルオロメチル基またはC〜Cアルキル基であり;
24は、水素原子、ハロゲン原子またはヒドロキシ基;
である[1]〜[6]のいずれかに記載の化合物、又は薬理学的に許容されるその塩。
【0023】
[8]式(I)中、ArがB1aa)であり;
【化9】
20はシアノ基、エチル基、C〜Cアルコキシ基であり;
21は、水素原子、フッ素原子または塩素原子であり;
22は、水素原子、フッ素原子または塩素原子である、
[1]〜[7]のいずれかに記載のウレア化合物またはその薬理学的に許容される塩。
【0024】
[9]式(I)で表される化合物が、
(±)−シス−1−(4−クロロフェニル)−3−[4−(4−メトキシフェニル)テトラヒドロフラン−3−イル]ウレア、
(±)−シス−1−(3−フルオロフェニル)−3−[4−(4−メトキシフェニル)テトラヒドロフラン−3−イル]ウレア、
(±)−シス−1−(2−フルオロフェニル)−3−[4−(4−メトキシフェニル)テトラヒドロフラン−3−イル]ウレア、
(±)−シス−1−(2,4−ジフルオロフェニル)−3−[4−(4−メトキシフェニル)テトラヒドロフラン−3−イル]ウレア、
(±)−シス−1−(3,4−ジフルオロフェニル)−3−[4−(4−メトキシフェニル)テトラヒドロフラン−3−イル]ウレア、
(±)−シス−1−(4−シアノフェニル)−3−[4−(4−メトキシフェニル)テトラヒドロフラン−3−イル]ウレア、
(±)−シス−1−(5−クロロチオフェン−2−イル)−3−[4−(4−メトキシフェニル)テトラヒドロフラン−3−イル]ウレア、
(±)−シス−1−[4−(2,6−ジフルオロ−4−メトキシフェニル)テトラヒドロフラン−3−イル]−3−(4−フルオロフェニル)ウレア、
(±)−トランス−1−(4−クロロフェニル)−3−[4−(4−メトキシフェニル)テトラヒドロフラン−3−イル]ウレア、
(±)−1−(4−クロロフェニル)−3−[4−(4−メトキシフェニル)−1,1−ジオキシドテトラヒドロチオフェン−3−イル]ウレア、
(±)−トランス−1−(4−クロロフェニル)−3−[4−(4−メトキシフェニル)−2−オキソピペリジン−3−イル]ウレア、
(+)−シス−1−(4−クロロフェニル)−3−[4−(4−メトキシフェニル)テトラヒドロフラン−3−イル]ウレア、
(+)−シス−1−(4−フルオロフェニル)−3−[4−(4−メトキシフェニル)テトラヒドロフラン−3−イル]ウレア、
(+)−シス−1−(4−フルオロフェニル)3−[4−(4−メトキシフェニル)−2,2−ジメチルテトラヒドロフラン−3−イル]ウレア、
(±)−シス−1−[4−(4−クロロフェニル)テトラヒドロフラン−3−イル]−3−(4−フルオロフェニル)ウレア、
(±)−シス−1−[4−(4−フルオロフェニル)テトラヒドロフラン−3−イル]−3−(4−フルオロフェニル)ウレア、
(±)−シス−1−[4−(4−シアノフェニル)テトラヒドロフラン−3−イル]−3−(4−フルオロフェニル)ウレア、
(±)−1−(4−クロロフェニル)−3−[4−(4−メトキシフェニル)−2−オキソオキサゾリジン−3−イル]ウレア、
(±)−トランス−1−(4−フルオロフェニル)−3−[3−(4−メトキシフェニル)−5−オキソピロリジン−2−イル]ウレア、
(−)−1−[(6R,7S)−6−(2,6−ジフルオロ−4−メトキシフェニル)−3−メチル−6,7−ジヒドロ−5H−ピロロ[2,1−c][1,2,4]トリアゾール−7−イル]−3−(4−フルオロフェニル)ウレア、
(−)−1−[(6R,7S)−6−(2,6−ジフルオロ−4−メトキシフェニル)−6,7−ジヒドロ−5H−ピロロ[1,2−a]イミダゾール−7−イル]−3−(4−フルオロフェニル)ウレア、
(−)−1−(4−フルオロフェニル)−3−[(6R,7S)−6−(4−メトキシフェニル)−6,7−ジヒドロ−5H−ピロロ[1,2−d]テトラゾール−7−イル]ウレア、
(−)−1−[(6R,7S)−6−(2,6−ジフルオロ−4−メトキシフェニル)−6,7−ジヒドロ−5H−ピロロ[1,2−d]テトラゾール−7−イル]−3−(4−フルオロフェニル)ウレア、
(−)−1−[(6R,7S)−6−(6−フルオロ−2,3−ジヒドロベンゾフラン−5−イル)−6,7−ジヒドロ−5H−ピロロ[1,2−d]テトラゾール−7−イル]−3−(4−フルオロフェニル)ウレア、
(−)−1−[(7R,8S)−7−(2,6−ジフルオロ−4−メトキシフェニル)−2,3,4,6,7,8−ヘキサヒドロピロロ[1,2−a]ピリミジン−8−イル]−3−(4−フルオロフェニル)ウレア、
1−[(7R,8S)−7−(2,6−ジフルオロ−4−メトキシフェニル)−4,6,7,8−テトラヒドロ−3H−ピロロ[2,1−c][1,2,4]オキサジアジン−8−イル]3−(4−フルオロフェニル)ウレア、
(−)−1−[(7R,8S)−7−(2,6−ジフルオロ−4−メトキシフェニル)−4−オキソ−4,6,7,8−テトラヒドロ−3H−ピロロ[2,1−c][1,2,4]オキサジアジン−8−イル]−3−(4−フルオロフェニル)ウレア、
(−)−1−[(7R,8S)−7−(2,6−ジフルオロ−4−メトキシフェニル)−4−オキソ−2,3,4,6,7,8−ヘキサヒドロピロロ[1,2−a]ピリミジン−8−イル]−3−(4−フルオロフェニル)ウレア、
または
1−(4−フルオロフェニル)−3−[(7R,8S)−7−(4−メトキシフェニル)−4−オキソ−4,6,7,8−テトラヒドロ−3H−ピロロ[2,1−c][1,2,4]オキサジアジン−8−イル]ウレア
である、[1]に記載の化合物、またはその薬理学的に許容される塩。
【0025】
[10][1]〜[9]のいずれか1つに記載の化合物、またはその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有する医薬。
[11][1]〜[9]のいずれか1つに記載の化合物、またはその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有するFPRL1作動薬。
[12][1]〜[9]のいずれか1つに記載の化合物、またはその薬理学的に許容される塩を投与する炎症性疾患、慢性気道疾患、がん、敗血症、アレルギー性症状、HIVレトロウイルス感染、循環器障害、神経炎症、神経障害、疼痛、プリオン病、アミロイド症、免疫障害の治療又は予防方法。
[13]炎症性疾患、慢性気道疾患、がん、敗血症、アレルギー性症状、HIVレトロウイルス感染、循環器障害、神経炎症、神経障害、疼痛、プリオン病、アミロイド症、免疫障害の治療又は予防のための医薬を製造するための[1]〜[9]のいずれか1つに記載の化合物、またはその薬理学的に許容される塩の使用。
[14]炎症性疾患、慢性気道疾患、がん、敗血症、アレルギー性症状、HIVレトロウイルス感染、循環器障害、神経炎症、神経障害、疼痛、プリオン病、アミロイド症、免疫障害の予防または治療に使用するための、[1]〜[9]のいずれか1つに記載の化合物、またはその薬理学的に許容される塩及び薬学的に許容されうる担体を含有する医薬組成物。
【発明の効果】
【0026】
化合物(I)、またはその薬理学的に許容される塩は、例えば、FPRL1過剰発現細胞内へのカルシウム流入試験において、強力なアゴニスト活性を示した。また、化合物(I)及びその塩は、Lipopolysaccharide誘発によるマウス肺への好中球浸潤を強力に抑制した。また、化合物(I)及びその塩は、毒性も低く安全である。よって、本発明に係る化合物(I)またはその薬理学的に許容される塩は、炎症性疾患、慢性気道疾患、がん、敗血症、アレルギー性症状、HIVレトロウイルス感染、循環器障害、神経炎症、神経障害、疼痛、プリオン病、アミロイド症、免疫障害等の治療薬またはその予防薬として有用である。
【0027】
さらにまた、本発明に係る化合物(I)またはその薬理学的に許容される塩は、FPRL1が関与する種々の病態(例えば、ベーチェット病、スウィート病、全身エリテマトーデス(SLE)、ウェゲナー肉芽腫、ウイルス感染、糖尿病、切断術、がん、細菌感染、物理的外傷、放射線被爆を含む物理的障害、血管収縮、アナフィラキシー反応、アレルギー反応、鼻炎、ショック (内毒素性、出血性、外傷性、内臓虚血性、循環性) 、関節リウマチ、痛風、乾癬、良性前立腺肥大、心筋虚血、心筋梗塞、脳損傷、肺疾患、COPD、COAD、COLD、急性肺障害、急性呼吸促迫症候群、慢性気管支炎、肺気腫、喘息 (アレルギー性、非アレルギー性)、嚢胞性肺線維症、腎症、腎糸球体疾患、潰瘍性大腸炎、IBD、クローン病、歯周病、痛み、アルツハイマー、エイズ、ぶどう膜炎緑内障、結膜炎、シェーグレン症候群、鼻炎など)の治療、予防又は抑制に対して高い有用性を有するものである。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本明細書における用語について説明する。
【0029】
本明細書に示される「ハロゲン原子」とは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子を意味する。好ましくは、フッ素原子または塩素原子である。
【0030】
本明細書に示される「置換基を有しても良い単環性芳香族複素環基」の単環性芳香族複素環基とは、硫黄原子、酸素原子、窒素原子の中から選ばれた1〜4個の原子を環内に含む5員環または6員環の芳香族複素環基を意味する。単環性芳香族複素環基として、例えば、フリル基、チエニル基、ピロリル基、アゼピニル基、ピラゾリル基、イミダゾリル基、オキサゾリル基、イソキサゾリル基、チアゾリル基、イソチアゾリル基、1,2,3−オキサジアゾリル基、トリアゾリル基、テトラゾリル基、チアジアゾリル基、ピリジル基、ピリダジニル基、ピリミジニル基、ピラジニル基等が挙げられる。
【0031】
本明細書に示される「置換基を有しても良い原子数9個または10個からなる二環性芳香族複素環基」の原子数9個または10個からなる二環性芳香族複素環基とは、硫黄原子、酸素原子、窒素原子の中から選ばれた1〜4個の原子を含む原子数9個または10個からなる二環性芳香族複素環基を意味する。原子数9個または10個からなる二環性芳香族複素環基として、例えば、ベンゾフラニル基、イソベンゾフラニル基、ベンゾオキサゾリル基、ベンゾイソオキサゾリル基、ベンゾチアゾリル基、ベンゾイソチアゾリル基、ベンゾイミダゾリル基、ベンゾチオフェニル基、インドリル基、イソインドリル基、インダゾリル基、チアゾロピリジル基、オキサゾロピラジニル基、プリニル基、キノリジニル基、イソキノリル基、キノリル基、フタラジニル基、ナフチリジニル基、キノキサリニル基、キナゾリニル基等が挙げられる。
【0032】
本明細書に示される「置換基を有しても良いC〜Cアルコキシ基」、および「C〜Cアルコキシ基」のC〜Cアルコキシ基とは、炭素数1〜6個の直鎖の又は分枝鎖のアルコキシ基を意味する。C〜Cアルコキシ基として、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、イソブトキシ基、ブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基等が挙げられる。好ましくは、メトキシ基、エトキシ基が挙げられる。
【0033】
本明細書に示される「置換基を有しても良いC〜Cアルキル基」、および「C〜Cアルキル基」のC〜Cアルキル基とは、置換基を有してもよい炭素数1〜6個の直鎖の又は分枝鎖のアルキル基を意味する。C〜Cアルキル基として、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、1−メチルブチル基、2−メチルブチル基、1、2−ジメチルプロピル基、ヘキシル基、イソヘキシル基等が挙げられる。
【0034】
本明細書に示される「置換基を有しても良いC〜Cアシル基」、および「C〜Cアシル基」のC〜Cアシル基とは、炭素原子1〜6個を有する直鎖状または分岐鎖状の脂肪族カルボン酸から誘導されるアシル基を意味する。C〜Cアシル基として、例えば、ホルミル基、アセチル基、プロパノイル基、ブタノイル基、ペンタノイル基、ヘキサノイル基等が挙げられる。
【0035】
本明細書に示される「置換基を有しても良いC〜Cアルキルスルファニル基」、および「C〜Cアルキルスルファニル基」のC〜Cアルキルスルファニル基とは、炭素数1〜6個の直鎖若しくは分岐鎖のアルキルスルファニル基又は炭素数3〜6個の環状のアルキルスルファニル基を意味する。C〜Cアルキルスルファニル基として、例えば、メチルスルファニル基、エチルスルファニル基、プロピルスルファニル基、イソプロピルスルファニル基、ブチルスルファニル基、イソブチルスルファニル基、sec-ブチルスルファニル基、tert-ブチルスルファニル基、シクロプロピルスルファニル基、シクロブチルスルファニル基、シクロペンチルスルファニル基等が挙げられる。
【0036】
本明細書に示される「置換基を有しても良いC〜Cアルキルスルフィニル基」、および「C〜Cアルキルスルフィニル基」のC〜Cアルキルスルフィニル基とは、炭素数1〜6個の直鎖若しくは分岐鎖のアルキルスルフィニル基又は炭素数3〜6個の環状のアルキルスルフィニル基を意味する。C〜Cアルキルスルフィニル基として、例えば、メチルスルフィニル基、エチルスルフィニル基、プロピルスルフィニル基、イソプロピルスルフィニル基、ブチルスルフィニル基、イソブチルスルフィニル基、sec-ブチルスルフィニル基、tert-ブチルスルフィニル基、シクロプロピルスルフィニル基、シクロブチルスルフィニル基、シクロペンチルスルフィニル基等が挙げられる。
【0037】
本明細書に示される「置換基を有しても良いC〜Cアルキルスルホニル基」、および「C〜Cアルキルスルホニル基」のC〜Cアルキルスルホニル基とは、炭素数1〜6個の直鎖若しくは分岐鎖のアルキルスルホニル基又は炭素数3〜6個の環状のアルキルスルホニル基を意味する。。C〜Cアルキルスルホニル基として、例えば、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、プロピルスルホニル基、イソプロピルスルホニル基、ブチルスルホニル基、イソブチルスルホニル基、sec-ブチルスルホニル基、tert-ブチルスルホニル基、シクロプロピルスルホニル基、シクロブチルスルホニル基、シクロペンチルスルフォニル基等が挙げられる。
【0038】
本明細書に示される「置換基を有しても良い複素環」の複素環とは、硫黄原子、酸素原子、窒素原子の中から選ばれた1〜4個の原子を含む5〜7員複素環を意味する。複素環として、例えば、フラン環、チオフェン環、ピロール環、アゼピン環、ピラゾール環、イミダゾール環、オキサゾール環、イソキサゾール環、チアゾール環、イソチアゾール環、1、2、3−オキサジアゾール環、トリアゾール環、テトラゾール環、チアジアゾール環、ピラン環、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環等の芳香族複素環、ピロリン環、イミダゾリン環、ピラゾリン環、ジヒドロピラン環、ジヒドロチオピラン環、ジヒドロピリジン環等の不飽和複素環、及びモルホリン環、チオモルホリン環、ピロリジン環、イミダゾリジン環、ピラゾリジン環、ピペリジン環、ピペラジン環、テトラヒドロフラン環等の飽和複素環が挙げられる。
【0039】
なお、上記「複素環」は他の環式基と縮環していてもよい。他の環式基と縮環している複素環として、例えば、イソベンゾフラン環、ベンゾオキサゾール環、ベンゾイソオキサゾール環、ベンゾチアゾール環、ベンゾイソチアゾール環、ベンゾフラン環、キサンチン環、フェノキサチイン環、インドリジン環、イソインドリジン環、インド−ル環、インダゾール環、プリン環、キノリジン環、イソキノリン環、キノリン環、フタラジン環、ナフチリジン環、キノキサリン環、キナゾリン環、カルバゾール環、カルボリン環、アクリジン環等が挙げられる。
【0040】
本明細書に示される「置換基を有しても良い複素環基」の複素環基とは、硫黄原子、酸素原子、窒素原子の中から選ばれた1〜4個の原子を含む5〜7員複素環基を意味する。複素環基として、例えば、フリル基、チエニル基、ピロリル基、アゼピニル基、ピラゾリル基、イミダゾリル基、オキサゾリル基、イソキサゾリル基、チアゾリル基、イソチアゾリル基、1、2、3−オキサジアゾリル基、トリアゾリル基、テトラゾリル基、チアジアゾリル基、ピリジル基、ピリダジニル基、ピリミジニル基、ピラジニル基等の芳香族複素環基、ピロリニル基、イミダゾリニル基、ピラゾリニル基、ジヒドロピラニル基、ジヒドロチオピラニル基、ジヒドロピリジル基等の不飽和複素環基、及びモルホリニル基、チオモルホリニル基、ピロリジニル基、イミダゾリジニル基、イミダゾリニル基、ピラゾリジニル基、ピラゾリニル基、ピペリジニル基、ピペラジニル基、テトラヒドロフラニル基等の飽和複素環基が挙げられる。
【0041】
なお、上記「複素環基」は他の環式基と縮環していてもよい。他の環式基と縮環している複素環基として、例えば、イソベンゾフラニル基、ベンゾオキサゾリル基、ベンゾイソオキサゾリル基、ベンゾチアゾリル基、ベンゾイソチアゾリル基、クロメニル基、クロマノニル基、キサンテニル基、フェノキサチイニル基、インドリジニル基、イソインドリジニル基、インドリル基、インダゾリル基、プリニル基、キノリジニル基、イソキノリル基、キノリル基、フタラジニル基、ナフチリジニル基、キノキサリニル基、キナゾリニル基、カルバゾリル基、カルボリニル基、アクリジニル基、イソインドリニル基等が挙げられる。
【0042】
本明細書中に示される「3〜10員ヘテロシクロアルキル基」とは、環状構造中に少なくとも1個以上の窒素原子、酸素原子または硫黄原子を含む3〜10員のヘテロシクロアルキル基である、単環式、二環式または三環式の非芳香族性のヘテロシクロアルキル基を意味する。例えば、3〜10員ヘテロシクロアルキル基として、アゼチジニル基、ピロリジニル基、ピペリジニル基、ピペラジニル基、モルホリニル基等が挙げられる。
【0043】
本明細書に示される「置換基を有しても良いC〜Cシクロアルキル基」、および「C〜Cシクロアルキル基」のC〜Cシクロアルキル基とは、炭素数3〜6個の単環性飽和脂環式炭化水素基を意味する。C〜Cシクロアルキル基として、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。
【0044】
本明細書に示される「置換基を有しても良いC〜Cアルケニル基」、および「C〜Cアルケニル基」のC〜Cアルケニル基とは、少なくとも1個の二重結合を有する、直鎖または分岐鎖上の炭素数2〜6個の不飽和炭化水素基を意味する。C〜Cアルケニル基として、例えば、ビニル基、2−プロペニル基、1−プロペニル基、3−プロペニル基、1−ブテン−1−イル基、1−ブテン−2−イル基、1−ブテン−3−イル基、1−ブテン−4−イル基、2−ブテン−1−イル基、2−ブテン−2−イル基、1−ペンテン−1−イル基、1−ペンテン−2−イル基、1−ペンテン−3−イル基、2−ペンテン−1−イル基、2−ペンテン−2−イル基、2−ペンテン−3−イル基、1−ヘキセン−1−イル基、1−ヘキセン−2−イル基、1−ヘキセン−3−イル基、2−メチル−1−プロペン−1−イル基等が挙げられる。
【0045】
本明細書中に示される「置換基を有しても良いC〜Cアルキニル基」の「C〜Cアルキニル基」とは、少なくとも1個の三重結合を有する、直鎖または分岐鎖上の炭素数2〜6個の不飽和炭化水素基を意味する。C〜Cアルキニル基として、例えば、エチニル基、1−プロピニル基、2−プロピニル基、1−ブチニル基、2−ブチニル基、3−ブチニル基、3−メチル−1−プロピニル基、1−エチニル−2−プロピニル基、2−メチル−3−プロピニル基、1−ペンチニル基、1−ヘキシニル基、1,3−ヘキサンジインイル基、1,5−ヘキサンジインイル基等が挙げられる。
【0046】
本明細書に示される「置換基を有しても良いC〜Cアルコキシカルボニル基」、および「C〜Cアルコキシカルボニル基」のC〜Cアルコキシカルボニル基とは、炭素数1〜6個の直鎖の又は分枝鎖のアルコキシカルボニル基を意味する。C〜Cアルコキシカルボニル基として、例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、イソプロポキシカルボニル基、イソブトキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基、sec−ブトキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニル基、ペンチルオキシカルボニル基、ヘキシルオキシカルボニル基等が挙げられる。好ましくは、メトキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニル基が挙げられる。
【0047】
本明細書中に示される「置換基を有しても良いハロC〜Cアルコキシ基」、および「ハロC〜Cアルコキシ基」のハロC〜Cアルコキシ基とは、1〜5個の同種または異種のハロゲン原子で置換されたC〜Cアルコキシ基を意味する。ハロC〜Cアルコキシ基として、例えば、フルオロメトキシ基、ジフルオロメトキシ基、トリフルオロメトキシ基、2−フルオロエトキシ基、2−クロロエトキシ基、2,2−ジフルオロエトキシ基、1,1−ジフルオロエトキシ基、1,2−ジフルオロエトキシ基、2,2,2−トリフルオロエトキシ基、1,1,2,2,2−ペンタフルオロエトキシ基、2,2,2−トリクロロエトキシ基、3−フルオロプロポキシ基、2−フルオロプロポキシ基、1−フルオロプロポキシ基、3,3−ジフルオロプロポキシ基、2,2−ジフルオロプロポキシ基、1,1−ジフルオロプロポキシ基、4−フルオロブトキシ基、5−フルオロペントキシ基、6−フルオロヘキシルオキシ基等が挙げられる。
【0048】
本明細書に示される「C〜Cアルキレン基」とは、炭素数2〜6個の2価の直鎖または分枝鎖状の飽和炭化水素鎖を意味する。C〜Cアルキレン基として、例えば、−(CH−、−(CH−、−CH(CH)CH−、−CHCH(CH)−、−(CH−、−CH(CH)−(CH−、−(CH−CH(CH)−、−CH(CHCH)−CH−、−C(CHCH−、−CH−C(CH−、−CH(CH)−CH(CH)−、−(CH−、−CH(CH)−(CH−、−C(CHCHCH−、−(CH−、−C(CH−(CH−等が挙げられる。好ましくは、−(CH−、−(CH−等が挙げられる。
【0049】
本明細書中に示される「アリールオキシ基」とは、炭素数6〜14個の芳香族炭化水素アルコキシ基を意味する。アリールオキシ基として、例えば、フェニルオキシ基、インデニルオキシ基、ナフチルオキシ基、フェナンスレニルオキシ基、アントラセニルオキシ基等が挙げられる。
【0050】
本明細書に示される「C〜Cアルキルアミノ基」とは、アミノ基の1個または2個の水素原子が、炭素数1〜6個の直鎖の又は分枝鎖のアルキル基で置換されたアミノ基を意味する。C〜Cアルキルアミノ基として、例えば、メチルアミノ基、エチルアミノ基、プロピルアミノ基、イソプロピルアミノ基、ブチルアミノ基、イソブチルアミノ基、sec−ブチルアミノ基、tert−ブチルアミノ基、ペンチルアミノ基、イソペンチルアミノ基、ネオペンチルアミノ基、1−メチルブチルアミノ基、2−メチルブチルアミノ基、1、2−ジメチルプロピルアミノ基、ヘキシルアミノ基、イソヘキシルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、N−エチル−N−メチルアミノ基、N−エチル−N−プロピルアミノ基等が挙げられる。
【0051】
本明細書に示される「C〜Cアシルアミノ基」とは、C〜Cアシルで置換されたアミノ基を意味する。C〜Cアシルアミノ基として、例えば、ホルミルアミノ基、アセチルアミノ基、プロパノイルアミノ基、ブタノイルアミノ基、ペンタノイルアミノ基、ヘキサノイルアミノ基等が挙げられる。
【0052】
本明細書に示される「C〜Cアルキル基」とは、炭素数1〜3個の直鎖の又は分枝鎖のアルキル基を意味する。C〜Cアルキル基として、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基が挙げられる。
【0053】
本明細書に示される「C〜Cアルコキシ基」とは、炭素数1〜3個の直鎖の又は分枝鎖のアルコキシ基を意味する。C〜Cアルコキシ基として、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基が挙げられる。
【0054】
本明細書に示される「芳香族炭化水素環基」として、例えば、フェニル基、インデニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、アズレニル基、ヘプタレニル基、ビフェニル基、インダセニル基、アセナフチル基、フルオレニル基、フェナレニル基、フェナントレニル基、アントラセニル基、ベンゾシクロオクテニル基等が挙げられる。
【0055】
本明細書に示される「芳香族複素環基」とは、環状構造中に窒素原子、酸素原子、または硫黄原子を有し芳香族性を有する構造を意味する。芳香族複素環基として、例えば、フリル基、チエニル基、ピロリル基、アゼピニル基、ピラゾリル基、イミダゾリル基、オキサゾリル基、イソキサゾリル基、チアゾリル基、イソチアゾリル基、1,2,3−オキサジアゾリル基、トリアゾリル基、テトラゾリル基、チアジアゾリル基、ピリジル基、ピリダジニル基、ピリミジニル基、ピラジニル基等が挙げられる。なお、上記「複素環基」は他の環式基と縮環していてもよく、例えば、イソベンゾフラニル基、ベンゾオキサゾリル基、ベンゾイソオキサゾリル基、ベンゾチアゾリル基、ベンゾイソチアゾリル基、クロメニル基、クロマノニル基、キサンテニル基、フェノキサチイニル基、インドリジニル基、イソインドリジニル基、インドリル基、インダゾリル基、プリニル基、キノリジニル基、イソキノリル基、キノリル基、フタラジニル基、ナフチリジニル基、キノキサリニル基、キナゾリニル基、カルバゾリル基、カルボリニル基、アクリジニル基、イソインドリニル基等が挙げられる。
【0056】
「置換基を有しても良いフェニル基」、「置換基を有しても良い単環性芳香族複素環基」、「置換基を有しても良い原子数9個または10個からなる二環性芳香族複素環基」、「置換基を有しても良い複素環」および「置換基を有しても良い複素環基」における「置換基」として許容される基は、通常知られている置換基であれば特に制限はない。当該置換基として、例えばハロゲン原子、アミノ基、ヒドロキシ基、シアノ基、ニトロ基、カルボキシ基、C〜Cアルコキシカルボニル基、ホルミル基、C〜Cアシル基、C〜Cアルキル基、C〜Cアルキルアミノ基、C〜Cアルコキシ基、C〜Cアルキルスルファニル基、C〜Cシクロアルキル基、3〜10員ヘテロシクロアルキル基、ハロゲン原子を有しても良い芳香族炭化水素環基、芳香族複素環基、C〜Cアシルアミノ基、C〜Cシクロアルキルカルボニルアミノ基、3〜10員ヘテロシクロアルキルカルボニルアミノ基、芳香族炭化水素環カルボニルアミノ基および芳香族複素環カルボニルアミノ基等が挙げられる。
【0057】
「置換基を有しても良いC〜Cアルコキシ基」、「置換基を有しても良いC〜Cアルキル基」、「置換基を有しても良いC〜Cアシル基」、「置換基を有しても良いC〜Cアルキルスルファニル基」、「置換基を有しても良いC〜Cアルキルスルフィニル基」、「置換基を有しても良いC〜Cアルキルスルホニル基」、「置換基を有しても良いC〜Cシクロアルキル基」、「置換基を有しても良いC〜Cアルケニル基」、および「置換基を有しても良いC〜Cアルコキシカルボニル基」における「置換基」として許容される基は、通常知られている置換基であれば特に制限はない。当該置換基として、例えばハロゲン原子、アミノ基、ヒドロキシ基、シアノ基、ニトロ基、カルボキシ基、C〜Cアルコキシカルボニル基、ホルミル基、C〜Cアシル基、C〜Cアルキル基、C〜Cアルキルアミノ基、C〜Cアルコキシ基、C〜Cアルキルスルファニル基、C〜Cシクロアルキル基、3〜10員ヘテロシクロアルキル基、ハロゲン原子を有しても良い芳香族炭化水素環基、芳香族複素環基、C〜Cアルキルカルボニルアミノ基、C〜Cシクロアルキルカルボニルアミノ基、3〜10員ヘテロシクロアルキルカルボニルアミノ基、芳香族炭化水素環カルボニルアミノ基および芳香族複素環カルボニルアミノ基等が挙げられる。
【0058】
以下、本実施形態をより詳細に説明する。
【0059】
以下において、一般式が有する官能基の定義については、すでに記載した定義を引用してその説明を省略することがある。引用している定義は、以下に記載する実施形態の説明中に記載した定義を指している。
【0060】
また、一般式が有する官能基についての定義に関し、特に言及しない限り、同一の符号で表される定義は、その符号を含む各一般式の間で共通する。
【0061】
本実施形態は、下記一般式(I)で表されるウレア化合物またはその薬理学的に許容される塩に関する。
【0062】
【化10】
[式(I)中、Arは、置換基を有しても良いフェニル基、置換基を有しても良い単環性芳香族複素環基、置換基を有しても良い原子数9個または10個からなる二環性芳香族複素環基であり;
Arは、置換基を有しても良いフェニル基(ただし、AがA1の場合、置換基がハロゲン原子だけのものは除く)、置換基を有しても良い単環性芳香族複素環基、置換基を有しても良い原子数9個または10個からなる二環性芳香族複素環基であり;
Aは、以下のA1)、A2)、A3)、A4)およびA5)であり;
【化11】
、Rは、それぞれ独立して水素原子、置換基を有しても良いC〜Cアルキル基であるか、またはRとRが一緒になってC〜Cアルキレン基を形成してもよく;
3は水素原子、または置換基を有しても良いC〜Cアルキル基であり;
Xは、酸素原子または硫黄原子,またはSOであり;
Bは、置換基を有しても良い複素環であり;
*を付された炭素原子は、不斉炭素原子を表す。]で表される化合物、またはその薬理学的に許容される塩。
なお、「独立して」および「独立した」とは、存在し得る2個以上の置換基の間でそれらが同一でも異なっていてもよいことを意味している。
【0063】
本実施形態の化合物(I)またはその薬理学的に許容される塩において、好ましい置換基は次の通りである。
【0064】
Aは、以下のA1)、A2)、A3)、A4)およびA5)からなる群から選択される基である。
【0065】
【化12】
【0066】
Aは、好ましくは、以下のA1ba)、A1bb)、A1bc)、A1ca)、A1cb)、A1cc)、A1cd)、A2),A3)、A4)、およびA5)からなる群から選択される基である。
【0067】
【化13】
【0068】
、Rは、それぞれ独立して水素原子、置換基を有しても良いC〜Cアルキル基であるか、またはRとRが一緒になってC〜Cアルキレン基を形成してもよい。
は水素原子、または置換基を有しても良いC〜Cアルキル基である。
、R、R14、R15、R16、R17は、独立して水素原子、置換基を有しても良いC〜Cアルキル基、またはRとR、もしくはR14とR15、もしくはR16とR17が一緒になってC〜Cシクロアルキル基または3〜10員ヘテロシクロアルキル基を形成してもよい。
12、R13は、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、ヒドロキシ基、置換基を有しても良いC〜Cアルキル基、置換基を有しても良いC〜Cアルコキシ基、置換基を有しても良いC〜Cアルコキシカルボニル基、置換基を有しても良いC〜Cアシル基、置換基を有しても良いC〜Cアルキルスルファニル基、置換基を有しても良いC〜Cアルキルスルフィニル基、置換基を有しても良いC〜Cアルキルスルホニル基、置換基を有しても良い複素環基、−CONR1819または−NR1819であり、R12、R13が、−CONR1819または−NR1819であるとき、R18は、水素原子、置換基を有しても良いC〜Cアルキル基、置換基を有しても良いC〜Cアシル基、置換基を有しても良いC〜Cアルキルスルホニル基であり、R19は、水素原子、置換基を有しても良いC〜Cアルキル基であるか、またはR18とR19が一緒になって3〜10員ヘテロシクロアルキル基を形成してもよい。
Xは、酸素原子または硫黄原子,またはSOである。
は、好ましくはそ水素原子、C〜Cアルキル基である。
は、好ましくは水素原子、C〜Cアルキル基である。
は、好ましくは水素原子、C〜Cアルキル基である。
は、好ましくは水素原子、C〜Cアルキル基である。
は、好ましくは水素原子、C〜Cアルキル基である。
14は、好ましくは水素原子、C〜Cアルキル基である。
15は、好ましくは水素原子、C〜Cアルキル基である。
16は、好ましくは水素原子、C〜Cアルキル基である。
17は、好ましくは水素原子、C〜Cアルキル基である。
12は、好ましくは、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、置換基を有しても良いC〜Cアルキル基、置換基を有しても良いC〜Cアルコキシ基、ハロC〜Cアルコキシ基、置換基を有しても良いC〜Cアシル基、置換基を有しても良いC〜Cアルキルスルファニル基、置換基を有しても良いC〜Cアルキルスルフィニル基、−CONR1819または−NR1819である。
【0069】
12が−CONR1819または−NR1819である場合、好ましくは、R18は水素原子、C〜Cアルキル基またはC〜Cアシル基であり、R19は水素原子、C〜Cアルキル基であるか、またはR18とR19が一緒になってピロリジニル基、ピペリジニル基、ピペラジニル基またはモルホリニル基を形成してもよい。
【0070】
12は、より好ましくは、水素原子、フッ素原子、塩素原子、シアノ基、C〜Cアルコキシ基、ハロC〜Cアルコキシ基、C〜Cアルキル基、C〜Cアルキルスルファニル基、C〜Cアルキルスルフィニル基である。
13は、好ましくは、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、置換基を有しても良いC〜Cアルキル基、置換基を有しても良いC〜Cアルコキシ基、ハロC〜Cアルコキシ基、置換基を有しても良いC〜Cアシル基、置換基を有しても良いC〜Cアルキルスルファニル基、置換基を有しても良いC〜Cアルキルスルフィニル基、−CONR1819または−NR1819である。
【0071】
13が−CONR1819または−NR1819である場合、好ましくは、R18は水素原子、C〜Cアルキル基またはC〜Cアシル基であり、R19は水素原子、C〜Cアルキル基であるか、またはR18とR19が一緒になってピロリジニル基、ピペリジニル基、ピペラジニル基またはモルホリニル基を形成してもよい。
【0072】
13は、より好ましくは、水素原子、フッ素原子、塩素原子、シアノ基、C〜Cアルコキシ基、ハロC〜Cアルコキシ基、C〜Cアルキル基、C〜Cアルキルスルファニル基、C〜Cアルキルスルフィニル基である。
Arは、より好ましくは、以下のC1)である。
【0073】
【化14】
【0074】
23は、好ましくは、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、トリフルオロメチル基またはC〜Cアルキル基である。
24は、好ましくは、水素原子、ハロゲン原子またはヒドロキシ基である。
【0075】
Arは、より好ましくは、以下のB1a)、B3a)またはB4a)である。
【0076】
【化15】
【0077】
20は、好ましくは、フッ素原子、塩素原子、シアノ基、C〜Cアルキル基、C〜Cアルコキシ基、ハロC〜Cアルコキシ基、C〜Cアルキルスルファニル基、C〜Cアルキルスルフィニル基または−CONR1819または−NR1819であり、R20が−CONR1819または−NR1819であるとき、R18は、水素原子、C〜Cアルキル基、C〜Cアシル基、C〜Cアルキルスルホニル基であり、R19は、水素原子、C〜Cアルキル基であるか。またはR18とR19が一緒になって3〜10員ヘテロシクロアルキル基を形成してもよく、特に好ましくは、シアノ基、エチル基、C〜Cアルコキシ基である。
21は、好ましくは、水素原子またはハロゲン原子であり、特に好ましくは、水素原子、フッ素原子または塩素原子である。
22は、好ましくは、水素原子またはハロゲン原子であり、特に好ましくは、水素原子、フッ素原子または塩素原子である。
mは、好ましくは0である。
ただし、ArがB1a)である場合にR20、R21及びR22の置換基の組み合わせが水素原子とハロゲン原子の場合を除く。
【0078】
本実施形態の好ましい化合物としては、例えば、以下の化合物が挙げられる。
(±)−シス−1−(4−クロロフェニル)−3−[4−(4−メトキシフェニル)テトラヒドロフラン−3−イル]ウレア、
(±)−シス−1−(3−フルオロフェニル)−3−[4−(4−メトキシフェニル)テトラヒドロフラン−3−イル]ウレア、
(±)−シス−1−(2−フルオロフェニル)−3−[4−(4−メトキシフェニル)テトラヒドロフラン−3−イル]ウレア、
(±)−シス−1−(2,4−ジフルオロフェニル)−3−[4−(4−メトキシフェニル)テトラヒドロフラン−3−イル]ウレア、
(±)−シス−1−(3,4−ジフルオロフェニル)−3−[4−(4−メトキシフェニル)テトラヒドロフラン−3−イル]ウレア、
(±)−シス−1−(4−シアノフェニル)−3−[4−(4−メトキシフェニル)テトラヒドロフラン−3−イル]ウレア、
(±)−シス−1−(5−クロロチオフェン−2−イル)−3−[4−(4−メトキシフェニル)テトラヒドロフラン−3−イル]ウレア、
(±)−シス−1−[4−(2,6−ジフルオロ−4−メトキシフェニル)テトラヒドロフラン−3−イル]−3−(4−フルオロフェニル)ウレア、
(±)−トランス−1−(4−クロロフェニル)−3−[4−(4−メトキシフェニル)テトラヒドロフラン−3−イル]ウレア、
(±)−1−(4−クロロフェニル)−3−[4−(4−メトキシフェニル)−1,1−ジオキシドテトラヒドロチオフェン−3−イル]ウレア、
(±)−トランス−1−(4−クロロフェニル)−3−[4−(4−メトキシフェニル)−2−オキソピペリジン−3−イル]ウレア、
(+)−シス−1−(4−クロロフェニル)−3−[4−(4−メトキシフェニル)テトラヒドロフラン−3−イル]ウレア、
(+)−シス−1−(4−フルオロフェニル)−3−[4−(4−メトキシフェニル)テトラヒドロフラン−3−イル]ウレア、
(+)−シス−1−(4−フルオロフェニル)−3−[4−(4−メトキシフェニル)−2,2−ジメチルテトラヒドロフラン−3−イル]ウレア、
(±)−シス−1−[4−(4−クロロフェニル)テトラヒドロフラン−3−イル]−3−(4−フルオロフェニル)ウレア、
(±)−シス−1−[4−(4−フルオロフェニル)テトラヒドロフラン−3−イル]−3−(4−フルオロフェニル)ウレア、
(±)−シス−1−[4−(4−シアノフェニル)テトラヒドロフラン−3−イル]−3−(4−フルオロフェニル)ウレア、
(±)−1−(4−クロロフェニル)−3−[4−(4−メトキシフェニル)−2−オキソオキサゾリジン−3−イル]ウレア、
(±)−トランス−1−(4−フルオロフェニル)−3−[3−(4−メトキシフェニル)−5−オキソピロリジン−2−イル]ウレア、
(−)−1−[(6R,7S)−6−(2,6−ジフルオロ−4−メトキシフェニル)−3−メチル−6,7−ジヒドロ−5H−ピロロ[2,1−c][1,2,4]トリアゾール−7−イル]−3−(4−フルオロフェニル)ウレア、
(−)−1−[(6R,7S)−6−(2,6−ジフルオロ−4−メトキシフェニル)−6,7−ジヒドロ−5H−ピロロ[1,2−a]イミダゾール−7−イル]−3−(4−フルオロフェニル)ウレア、
(−)−1−(4−フルオロフェニル)−3−[(6R,7S)−6−(4−メトキシフェニル)−6,7−ジヒドロ−5H−ピロロ[1,2−d]テトラゾール−7−イル]ウレア、
(−)−1−[(6R,7S)−6−(2,6−ジフルオロ−4−メトキシフェニル)−6,7−ジヒドロ−5H−ピロロ[1,2−d]テトラゾール−7−イル]−3−(4−フルオロフェニル)ウレア、
(−)−1−[(6R,7S)−6−(6−フルオロ−2,3−ジヒドロベンゾフラン−5−イル)−6,7−ジヒドロ−5H−ピロロ[1,2−d]テトラゾール−7−イル]−3−(4−フルオロフェニル)ウレア、
(−)−1−[(7R,8S)−7−(2,6−ジフルオロ−4−メトキシフェニル)−2,3,4,6,7,8−ヘキサヒドロピロロ[1,2−a]ピリミジン−8−イル]−3−(4−フルオロフェニル)ウレア、
1−[(7R,8S)−7−(2,6−ジフルオロ−4−メトキシフェニル)−4,6,7,8−テトラヒドロ−3H−ピロロ[2,1−c][1,2,4]オキサジアジン−8−イル]−3−(4−フルオロフェニル)ウレア、
(−)−1−[(7R,8S)−7−(2,6−ジフルオロ−4−メトキシフェニル)−4−オキソ−4,6,7,8−テトラヒドロ−3H−ピロロ[2,1−c][1,2,4]オキサジアジン−8−イル]−3−(4−フルオロフェニル)ウレア、
(−)−1−[(7R,8S)−7−(2,6−ジフルオロ−4−メトキシフェニル)−4−オキソ−2,3,4,6,7,8−ヘキサヒドロピロロ[1,2−a]ピリミジン−8−イル]−3−(4−フルオロフェニル)ウレア、
または
1−(4−フルオロフェニル)−3−[(7R,8S)−7−(4−メトキシフェニル)−4−オキソ−4,6,7,8−テトラヒドロ−3H−ピロロ[2,1−c][1,2,4]オキサジアジン−8−イル]ウレア
【0079】
本実施形態の化合物(I)は、必要に応じて常法に従い、その薬理学的に許容される塩とすることができる。薬理学的に許容される塩とは、薬学上許容される非毒性塩基又は酸(例えば無機又は有機塩基及び無機又は有機酸)との塩を意味する。
【0080】
薬学上許容される非毒性塩基から誘導される塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩等の無機塩基との塩、ピペリジン、モルホリン、ピロリジン、アルギニン、リジン等の有機塩基との塩が挙げることができる。
【0081】
薬学上許容される非毒性酸から誘導される塩としては、例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸等の鉱酸との酸付加塩、ギ酸、酢酸、マレイン酸、フマル酸、コハク酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、サリチル酸、ステアリン酸、パルミチン酸等の有機酸との酸付加塩が挙げられる。
【0082】
さらに本実施形態の化合物(I)、またはその薬理学的に許容される塩は、水和物又は溶媒和物として存在することもある。上記に具体的に記載した好ましい化合物を含めて、上述の一般式(I)で表されるウレア誘導体又はその塩が形成する任意の水和物及び溶媒和物は、いずれも本発明の範囲に包含される。溶媒和物を形成し得る溶媒としては、メタノール、エタノール、2−プロパノール、アセトン、酢酸エチル、ジクロロメタン、ジイソプロピルエーテル等が挙げられる。
【0083】
本実施形態の化合物(I)、またはその薬理学的に許容される塩には、ラセミ体の他に光学活性体、立体異性体又は回転異性体も含まれる。
【0084】
本実施形態の化合物(I)が1つ以上の不斉炭素原子を有する光学異性体である場合、本実施形態の化合物(I)は、各不斉炭素原子における立体配置がR配置またはS配置のいずれの立体配置であってもよい。また、いずれの光学異性体も本発明に含まれ、それらの光学異性体の混合物も含まれる。さらに、光学活性体の混合物において、等量の各光学異性体からなるラセミ体も本発明の範囲に含まれる。本実施形態の化合物(I)がラセミ体の固体または結晶である場合、ラセミ体、ラセミ混合物およびラセミ固溶体も本発明の範囲に含まれる。
【0085】
本実施形態の化合物(I)において、幾何異性体が存在する場合、本発明はその幾何異性体のいずれも包含する。
【0086】
本実施形態の化合物(I)において、互変異性体が存在する場合、本発明はその互変異性体のいずれも包含する。
【0087】
またはその薬理学的に許容される塩には、プロトン互変異性体も含まれる。
【0088】
本実施形態の化合物(I)、またはその薬理学的に許容される塩は、同位元素(例、H、14C、35S等)等で標識された化合物であってもよい。当該化合物も本発明に含まれる。
【0089】
さらに、本実施形態の化合物(I)、またはその薬理学的に許容される塩は、HをH(D)に変換した重水素変換体であってもよい。当該化合物も本発明に含まれる。
【0090】
本実施形態でいう「FPRL1アゴニスト作用」とは、ホルミルペプチドレセプター様1(FPRL1)に作用することで、作動(アゴニスト)活性を示すことを意味する。
本実施形態の化合物(I)、またはその薬理学的に許容される塩は、例えば、FPRL1過剰発現細胞内へのカルシウム流入試験において、強力なアゴニスト活性を示す。その結果、本実施形態の化合物(I)またはその薬理学的に許容される塩は、炎症性疾患、慢性気道疾患、がん、敗血症、アレルギー性症状、HIVレトロウイルス感染、循環器障害、神経炎症、神経障害、疼痛、プリオン病、アミロイド症、免疫障害等の治療薬またはその予防薬として有用であると理解できる。
【0091】
本実施形態の化合物(I)の製造方法
本実施形態の化合物(I)またはその薬理学的に許容される塩は、例えば、以下のスキーム1〜17に詳述する方法もしくはそれに準じた方法、またはその他文献記載の方法もしくはそれらに準じた方法に従って製造することができる。
【0092】
化合物(I)の合成
本実施形態の化合物(I)は、スキーム1に示す方法もしくはそれに準じた方法、またはその他文献記載の方法もしくはそれに準じた方法に従って製造することができる。
【0093】
スキーム1
【0094】
【化16】
【0095】
式中、Ar、ArおよびAは上述したものと同義である。
【0096】
工程1−1
本工程は、化合物(1)と化合物(2)を反応させて化合物(I)を製造する工程である。化合物(I)は、例えば、化合物(1)を溶媒中、塩基の存在下あるいは非存在下で化合物(2)と反応させることにより製造することができる。化合物(2)の使用量は、化合物(1)1モルに対して約0.5〜10モル当量であり、好ましくは約1〜2モル当量程度である。
【0097】
上記反応は、通常、反応に悪影響を及ぼさない溶媒中で行なわれ、用いられる溶媒としては、例えば、ジクロロメタン、1、2−ジクロロエタン、ベンゼン、トルエン、テトラヒドロフラン、酢酸エチル、メタノール、水、それらの混合溶媒等を挙げることができる。用いられる塩基としては、例えば水素化リチウム、水素化ナトリウム、水素化カリウム等のアルカリ金属水素化物、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等の炭酸水素塩、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等の炭酸塩、酢酸ナトリウム等の有機酸塩、トリメチルアミン、トリエチルアミン、N−メチルモルホリン等の3級アミン類、ピリジン、ピコリン、N、N−ジメチルアニリン等の芳香族アミン類等を挙げることができる。塩基の使用量は、通常、化合物 1モルに対して、約1〜100モル当量、好ましくは1〜5モル当量程度である。反応温度は、通常−20℃〜溶媒還流温度で実施でき、0℃〜50℃程度で行うのが好ましい。反応時間は用いる原料物質、溶媒、反応温度等により異なるが、通常10分〜48時間程度である。
【0098】
本工程で用いられる化合物(1)は、以下に詳述する方法もしくはそれに準じた方法、またはその他文献記載の方法もしくはそれらに準じた方法に従って製造することができる。
【0099】
また、本工程で用いられる化合物(2)は、市販品を用いることができるほか、その他文献記載の方法またはそれらに準じた方法に従って製造することもできる。
【0100】
工程1−2
本工程は、化合物(3)と化合物(4)を反応させて化合物(I)を製造する工程である。化合物(I)は、例えば、化合物(3)に溶媒中、塩基の存在下あるいは非存在下でジフェニルリン酸アジド(DPPA)等を作用させた後、得られた生成物に化合物(4)を反応させることにより製造することができる。
【0101】
上記反応は、通常、反応に悪影響を及ぼさない溶媒中で行なわれ、用いられる溶媒としては、例えば、ベンゼン、トルエン、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、ジオキサン、それらの混合溶媒等を挙げることができる。用いられる塩基としては、例えばトリメチルアミン、トリエチルアミン、N−メチルモルホリン等を挙げることができる。塩基の使用量は、通常、化合物 1モルに対して、約0.5〜100モル当量、好ましくは1〜5モル当量程度である。反応温度は、通常−10℃〜溶媒還流温度で実施でき、20℃〜120℃で行うのが好ましい。反応時間は用いる原料物質、溶媒、反応温度等により異なるが、通常10分〜3日間である。
【0102】
本工程で用いられる化合物(3)は、以下に詳述する方法もしくはそれに準じた方法、またはその他文献記載の方法もしくはそれらに準じた方法に従って製造することができる。
【0103】
また、本工程で用いられる化合物(4)は、市販品を用いることができるほか、その他文献記載の方法またはそれらに準じた方法に従って製造することができる。
【0104】
化合物(1a)の合成
本実施形態の化合物(1)のうち、Aが以下の式(1a)により表される化合物(以下、化合物(1a)ともいう)は、例えば、化合物(5)からスキーム2に示す方法もしくはそれに準じた方法、またはその他文献記載の方法もしくはそれらに準じた方法に従って製造することができる。
【0105】
スキーム2
【0106】
【化17】
【0107】
式中、Ar、R、Rは上述したものと同義であり、MはLi、MgBrを表し、*を付された炭素原子は、不斉炭素原子を表す。
【0108】
工程2−1
本工程は、化合物(5)と化合物(6)を反応させて化合物(7)を製造する工程である。化合物(7)は、例えば、化合物(5)を溶媒中、ルイス酸もしくは金属塩存在下で化合物(6)と反応させることにより製造することができる。用いられる溶媒としては、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、それらの混合溶媒等を挙げることができる。用いられるルイス酸としては、例えば、三フッ化ホウ素等を挙げることができる。用いられる金属塩としては、例えば、ヨウ化銅等を挙げることができる。反応温度は、通常−78℃〜溶媒還流温度で実施でき、−78℃〜30℃で行うのが好ましい。反応時間は用いる原料物質、溶媒、反応温度等により異なるが、通常30分〜3日間である。また、本工程で用いられる化合物(5)および化合物(6)は、市販品を用いることができるほか、その他文献記載の方法またはそれらに準じた方法に従って製造することもできる。
【0109】
工程2−2
本工程は、化合物(7)と化合物(8)を反応させて化合物(9)を製造する工程である。化合物(9)は、例えば、化合物(7)を溶媒中、光延反応に用いられる試薬の存在下で化合物(8)と反応させることにより製造することができる。用いられる溶媒としては、テトラヒドロフラン等を挙げることができる。光延反応に用いられる試薬としては、アゾジカルボン酸ジエチル、アゾジカルボン酸ビス(2−メトキシエチル)、トリフェニルホスフィン、トリブチルホスフィン等を挙げることができる。反応温度は、通常−78℃〜溶媒還流温度で実施でき、0℃〜30℃で行うのが好ましい。反応時間は用いる原料物質、溶媒、反応温度等により異なるが、通常30分〜3日間である。
【0110】
工程2−3
本工程は、化合物(9)のフタロイル基を脱保護して化合物(1a)を製造する工程である。化合物(1a)は、例えば、化合物(9)を溶媒中、アミノ基を有する化合物、酸、塩基のいずれかと反応させることにより製造することができる。用いられる溶媒としては、水、メタノール、エタノール、ジクロロメタン、テトラヒドロフラン、酢酸等を挙げることができる。アミノ基を有する化合物としては、ヒドラジン、メチルアミン等を挙げることができる。用いられる酸としては、塩化水素、臭化水素等を挙げることができる。用いられる塩基としては、水酸化ナトリウム等を挙げることができる。反応温度は、通常−78℃〜溶媒還流温度で実施でき、0℃〜30℃で行うのが好ましい。反応時間は用いる原料物質、溶媒、反応温度等により異なるが、通常30分〜3日間である。
【0111】
化合物(1b)の合成
化合物(1)のうち、以下の式(1b)により表される化合物(以下、化合物(1b)ともいう)は、例えば、化合物(10)からスキーム3に示す方法もしくはそれに準じた方法、またはその他文献記載の方法もしくはそれらに準じた方法に従って製造することができる。
【0112】
スキーム3
【0113】
【化18】
【0114】
式中、R、Rは上述したものと同義であり、*を付された炭素原子は、不斉炭素原子を表す。
【0115】
工程3−1
本工程は、化合物(10)のTHP基を除去することで化合物(11)を製造する工程である。化合物(11)は、例えば、化合物(10)を溶媒中、酸の存在下で反応させることにより製造することができる。用いられる溶媒としては、メタノール、エタノール、水、テトラヒドロフラン、ジクロロメタンそれらの混合溶媒等を挙げることができる。用いられる酸としては、塩酸、p−トルエンスルホン酸、酢酸、トリフルオロ酢酸等を挙げられる。反応温度は、通常0℃〜溶媒還流温度で実施でき、20℃〜溶媒還流温度で行うのが好ましい。反応時間は用いる原料物質、溶媒、反応温度等により異なるが、通常30分〜3日間である。
本工程で用いられる化合物(10)は、スキーム2の工程2−1、および工程2−2に示す方法もしくはそれに準じた方法、またはその他文献記載の方法もしくはそれらに準じた方法に従って製造することができる。
【0116】
工程3−2
本工程は、化合物(11)のヒドロキシ基をトリフルオロメタンスルホニル化することにより、化合物(12)を製造する工程である。化合物(12)は、例えば、溶媒中、化合物(11)とトリフルオロメタンスルホニル化剤を塩基の存在下で反応させることにより製造することができる。用いられる溶媒としては、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、ピリジン、テトラヒドロフラン、N,N−ジメチルホルムアミド、1,4−ジオキサン、アセトニトリル、ジエチルエーテル、それらの混合溶媒等を挙げることができる。用いられるトリフルオロメタンスルホニル化剤としては、N-フェニルビス(トリフルオロメタンスルホンイミド)、トリフルオロメタンスルホン酸無水物等を挙げることができる。用いられる塩基としては、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、水素化ナトリウム、リン酸カリウム、N,N−ジイソプロピルエチルアミン、トリエチルアミン、2,6−ルチジン等を挙げることができる。反応温度は、通常−78℃〜溶媒還流温度で実施でき、−20℃〜30℃で行うのが好ましい。反応時間は用いる原料物質や溶媒、反応温度等により異なるが、通常30分〜3日間である。
【0117】
工程3−3
本工程は、化合物(12)から化合物(13)を製造する工程である。化合物(13)は、例えば、化合物(12)とシアン化亜鉛(Zn(CN))を溶媒中、パラジウム試薬を触媒として反応させることにより製造することができる。用いられる溶媒としては、1,4−ジオキサン、トルエン、N,N−ジメチルホルムアミド,それらの混合溶媒等を挙げることができる。用いられるパラジウム試薬としては、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(Pd(PPh)等を挙げることができる。反応温度は、通常20℃〜溶媒還流温度で実施でき、60℃〜100℃で行うのが好ましい。反応時間は用いる原料物質、溶媒、反応温度等により異なるが、通常30分〜3日間である。
【0118】
工程3−4
本工程は、化合物(13)から化合物(1b)を製造する工程である。化合物(1b)は、スキーム2の工程2−3に示す方法もしくはそれに準じた方法、またはその他文献記載の方法もしくはそれらに準じた方法に従って製造することができる。
【0119】
化合物(1c)の合成
化合物(1)のうち、Aが以下の式(1c)により表される化合物(以下、化合物(1c)ともいう)は、例えば、化合物(14)からスキーム4に示す方法もしくはそれに準じた方法、またはその他文献記載の方法もしくはそれらに準じた方法に従って製造することができる。
【0120】
スキーム4
【0121】
【化19】
【0122】
式中、Arは上述したものと同義であり、*を付された炭素原子は、不斉炭素原子を表す。
【0123】
工程4−1
本工程は、化合物(14)から化合物(1c)を製造する工程である。化合物(1c)は、例えば、化合物(14)を溶媒中、塩基の存在下でO−(4−ニトロベンゾイル)ヒドロキシルアミンと反応させることにより製造することができる。用いられる溶媒としては、1,4−ジオキサン等を挙げることができる。用いられる塩基としては、例えば、水素化ナトリウム(NaH)等を挙げることができる。反応温度は、通常20℃〜溶媒還流温度で実施でき、50℃〜70℃で行うのが好ましい。反応時間は用いる原料物質、溶媒、反応温度等により異なるが、通常30分〜3日間である。
【0124】
化合物(1d)の合成
化合物(1)のうち、Aが以下の式(1d)により表される化合物(以下、化合物(1d)ともいう)は、例えば、化合物(15)からスキーム5に示す方法もしくはそれに準じた方法、またはその他文献記載の方法もしくはそれらに準じた方法に従って製造することができる。
【0125】
スキーム5
【0126】
【化20】
【0127】
式中、Arは上述したものと同義であり;QはC〜Cアルキル基であり、*を付された炭素原子は、不斉炭素原子を表す。
【0128】
工程5−1
本工程は、化合物(15)と化合物(16)を反応させて化合物(17)を製造する工程である。化合物(17)は、例えば、化合物(15)を溶媒中、塩基の存在下で化合物(16)と反応させることによって製造することができる。用いられる溶媒としては、メタノール、エタノール等を挙げることができる。用いられる塩基としては、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド等を挙げることができる。反応温度は、通常0℃〜溶媒還流温度で実施でき、70℃〜90℃で行うのが好ましい。反応時間は用いる原料物質、溶媒、反応温度等によって異なるが、通常30分〜3日間である。
【0129】
また、本工程で用いられる化合物(15)および化合物(16)は、市販品を用いることができるほか、その他文献記載の方法またはそれらに準じた方法に従って製造することもできる。
【0130】
工程5−2
本工程は、化合物(17)のエステル部位を加水分解することにより、化合物(18)を製造する工程である。化合物(18)は、例えば、溶媒中、化合物(17)を塩基の存在下で反応させることにより製造することができる。用いられる溶媒としては、水、メタノール、エタノール、プロパノール、2−プロパノール、ブタノール、テトラヒドロフラン、それらの混合溶媒等を挙げることができる。用いられる塩基としては、例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等を挙げることができる。反応温度は、通常0℃〜溶媒還流温度で実施でき、10℃〜70℃が好ましい。反応時間は用いる原料物質、溶媒、反応温度等により異なるが、通常30分〜3日間である。
【0131】
工程5−3
本工程は、化合物(18)とアンモニア水を反応させて化合物(19)を製造する工程である。化合物(19)は、例えば溶媒中、縮合剤の存在下において、化合物(18)をアンモニア水と反応させることにより製造することができる。用いられる溶媒としては、N,N−ジメチルホルムアミド、ジクロロメタン、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン、それらの混合溶媒等を挙げることができる。用いられる縮合剤としては、例えば、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(EDCI)、ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、2−(1H−7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−1,1,3,3−テトラメチルウロニウム ヘキサフルオロホスフェート メタナミニウム(HATU)等が挙げられる。また、必要に応じて、N,N−ジメチルアミノピリジン、ピリジン、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBT)等を反応促進剤として用いることもできる。反応温度は、通常0℃〜溶媒還流温度で実施でき、0℃〜30℃で行うのが好ましい。
【0132】
工程5−4
本工程は、化合物(19)から化合物(20)を製造する工程である。化合物(20)は、例えば、化合物(19)にt-ブタノール中、ピリジンおよび(ビス(トリフルオロアセトキシ)ヨード)ベンゼンを反応させることによって製造することができる。反応温度は、通常0℃〜100℃で実施でき、70℃〜90℃で行うのが好ましい。反応時間は通常30分〜3日間である。
【0133】
工程5−5
本工程は、化合物(20)のメトキシフェニル基を除去して化合物(21)を製造する工程である。化合物(21)は、例えば溶媒中、化合物(20)に硝酸セリウム(IV)アンモニウムを反応させることにより製造することができる。溶媒としては、アセトニトリル等を挙げることができる。反応温度は、通常−78℃〜溶媒還流温度で実施でき、−10℃〜10℃で行うのが好ましい。反応時間は用いる原料物質や溶媒、反応温度等によって異なるが、通常30分〜3日間である。
【0134】
工程5−6
本工程は、化合物(21)のtert−ブトキシカルボニル(Boc)基を脱保護して化合物(1d)を製造する工程である。化合物(1d)は、例えば溶媒中、化合物(21)にトリフルオロ酢酸(TFA)や塩化水素等の酸と反応させることにより製造することができる。用いられる溶媒としては、ジクロロメタン、ジオキサン、酢酸エチル、メタノール、水、それらの混合溶媒等を挙げることができる。反応温度は、通常0℃〜溶媒還流温度で実施でき、0℃〜60℃で行うのが好ましい。反応時間は用いる原料物質、溶媒、反応温度等により異なるが、通常30分〜3日間である。
【0135】
化合物(3a,3b)の合成
化合物(3)のうち、Aが以下の式(3a,3b)により表される化合物(以下、化合物(3a,3b)ともいう)は、例えば、化合物(22)からスキーム6に示す方法もしくはそれに準じた方法、またはその他文献記載の方法もしくはそれらに準じた方法に従って製造することができる。
【0136】
スキーム6
【0137】
【化21】
【0138】
式中、Ar、R、R、Qは上述したものと同義であり;QおよびQは水素原子、または置換基を有してもよいC〜Cアルキル基(互いに結合して環を形成していてもよい)であり、*を付された炭素原子は、不斉炭素原子を表す。
【0139】
工程6−1
本工程は、化合物(22)をトリフルオロメタンスルホニル化することにより、化合物(23)を製造する工程である。化合物(23)は、例えば、溶媒中、化合物(22)とトリフルオロメタンスルホニル化剤を塩基の存在下で反応させることにより製造することができる。用いられる溶媒としては、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、ピリジン、テトラヒドロフラン、N,N−ジメチルホルムアミド、1,4−ジオキサン、アセトニトリル、ジエチルエーテル、それらの混合溶媒等を挙げることができる。用いられるトリフルオロメタンスルホニル化剤としては、N-フェニルビス(トリフルオロメタンスルホンイミド)、トリフルオロメタンスルホン酸無水物等を挙げることができる。用いられる塩基としては、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、水素化ナトリウム、リン酸カリウム、N,N−ジイソプロピルエチルアミン、トリエチルアミン、2,6−ルチジン等を挙げることができる。反応温度は、通常−78℃〜溶媒還流温度で実施でき、−20℃〜30℃で行うのが好ましい。反応時間は用いる原料物質や溶媒、反応温度等により異なるが、通常30分〜3日間である。また、本工程で用いられる化合物(22)は、市販品を用いることができるほか、その他文献記載の方法またはそれらに準じた方法に従って製造することもできる。
【0140】
工程6−2
本工程は、化合物(23)と化合物(24)を反応させて化合物(25)を製造する工程である。化合物(25)は、例えば、化合物(23)と化合物(24)を溶媒中、パラジウム試薬を触媒として、塩基存在下において反応させることにより製造することができる。用いられる溶媒としては、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,2−ジクロロエタン、ベンゼン、トルエン、エタノール、プロパノール、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、水それらの混合溶媒等を挙げることができる。用いられるパラジウム触媒としては、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム等が挙げられる。用いられる塩基としては、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸セシウム、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン、2,6−ジメチルピリジン、2,4,6−トリメチルピリジン等が挙げられる。反応温度は、通常0℃〜溶媒還流温度で実施でき、50℃〜溶媒還流温度で行うのが好ましい。反応時間は用いる原料物質や溶媒、反応温度等によって異なるが、通常30分〜3日間である。また、本工程で用いられる化合物(24)は、市販品を用いることができるほか、その他文献記載の方法またはそれらに準じた方法に従って製造することもできる。
【0141】
工程6−3
本工程は、化合物(25)から化合物(26)を製造する工程である。化合物(26)は、スキーム5の工程5−2に示す方法もしくはそれに準じた方法、またはその他文献記載の方法もしくはそれらに準じた方法に従って製造することができる。
【0142】
工程6−4
本工程は、化合物(26)から化合物(3a)を製造する工程である。化合物(3a)は、例えば、溶媒中、10%パラジウムカーボン(10%Pd−C)等の触媒の存在下において、化合物(26)に水素添加させることにより製造することができる。用いられる溶媒としては、メタノール、エタノール、ジクロロメタン、テトラヒドロフラン、酢酸エチル、それらの混合溶媒等を挙げることができる。反応温度は、通常0℃〜溶媒還流温度で実施でき、10℃〜40℃で行うのが好ましい。反応時間は用いる原料物質や溶媒、反応温度等により異なるが、通常30分〜3日間である。
【0143】
工程6−5
本工程は、化合物(25)から化合物(27)を製造する工程である。化合物(27)は、スキーム6の工程6−4に示す方法もしくはそれに準じた方法、またはその他文献記載の方法もしくはそれらに準じた方法に従って製造することができる。
【0144】
工程6−6
本工程は、化合物(27)を異性化することで化合物(28)を製造する工程である。化合物(28)は、例えば、溶媒中、化合物(27)を塩基の存在下で反応させることにより製造することができる。用いられる溶媒としては、メタノール等を挙げることができる。用いられる塩基としては、例えば、ナトリウムメトキシド等を挙げることができる。反応温度は、通常0℃〜溶媒還流温度で実施でき、0℃〜40℃で行うのが好ましい。反応時間は用いる原料物質や溶媒、反応温度等により異なるが、通常30分〜3日間である。
【0145】
工程6−7
本工程は、化合物(28)から化合物(3b)を製造する工程である。化合物(3b)は、スキーム5の工程5−2に示す方法もしくはそれに準じた方法、またはその他文献記載の方法もしくはそれらに準じた方法に従って製造することができる。
【0146】
化合物(3c)の合成
化合物(3)のうち、Aが以下の式(3c)により表される化合物(以下、化合物(3c)ともいう)は、例えば、化合物(29)からスキーム7に示す方法もしくはそれに準じた方法、またはその他文献記載の方法もしくはそれらに準じた方法に従って製造することができる。
【0147】
スキーム7
【0148】
【化22】
【0149】
式中、Ar、R、R、Q、Q、Qは上述したものと同義であり、*を付された炭素原子は、不斉炭素原子を表す。
【0150】
工程7−1
本工程は、化合物(29)から化合物(30)を製造する工程である。化合物(30)は、スキーム6の工程6−1に示す方法もしくはそれに準じた方法、またはその他文献記載の方法もしくはそれらに準じた方法に従って製造することができる。
【0151】
工程7−2
本工程は、化合物(30)と化合物(24)を反応させて化合物(31)を製造する工程である。化合物(31)は、スキーム6の工程6−2に示す方法もしくはそれに準じた方法、またはその他文献記載の方法もしくはそれらに準じた方法に従って製造することができる。
【0152】
工程7−3
本工程は、化合物(31)から化合物(32)を製造する工程である。化合物(32)は、スキーム6の工程6−5に示す方法もしくはそれに準じた方法、またはその他文献記載の方法もしくはそれらに準じた方法に従って製造することができる。
【0153】
工程7−4
本工程は、化合物(32)を酸化させて化合物(33)を製造する工程である。化合物(33)は、例えば、化合物(32)を溶媒中、酸化剤と反応させることにより製造することができる。用いられる溶媒としては、ジクロロメタン、アセトニトリル、水、それらの混合溶媒等を挙げることができる。用いられる酸化剤としては、例えば、メタクロロ過安息香酸、過酸化水素等を挙げることができる。反応温度は、通常−78℃〜溶媒還流温度で実施でき、−78℃〜30℃で行うのが好ましい。反応時間は用いる原料物質、溶媒、反応温度等により異なるが、通常30分〜3日間である。
【0154】
工程7−5
本工程は、化合物(33)のエステル部位を加水分解することにより、化合物(3c)を製造する工程である。化合物(3c)は、スキーム5の工程5−2に示す方法もしくはそれに準じた方法、またはその他文献記載の方法もしくはそれらに準じた方法に従って製造することができる。
【0155】
化合物(3d)の合成
化合物(3)のうち、Aが以下の式(3d)により表される化合物(以下、化合物(3d)ともいう)は、例えば、化合物(34)からスキーム8に示す方法もしくはそれに準じた方法、またはその他文献記載の方法もしくはそれらに準じた方法に従って製造することができる。
【0156】
スキーム8
【0157】
【化23】
【0158】
式中、Ar、Qは上述したものと同義であり、*を付された炭素原子は、不斉炭素原子を表す。
【0159】
工程8−1
本工程は、化合物(34)と化合物(35)を反応させて化合物(36)を製造する工程である。化合物(36)は、例えば、化合物(34)を溶媒中、塩基の存在下で化合物(35)と反応させることによって製造することができる。用いられる溶媒としては、メタノール、ベンゼン、トルエン、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミド、それらの混合溶媒等を挙げることができる。用いられる塩基としては、ナトリウムメトキシド等を挙げることができる。反応温度は、通常0℃〜溶媒還流温度で実施でき、70℃〜90℃で行うのが好ましい。反応時間は用いる原料物質、溶媒、反応温度等によって異なるが、通常30分〜3日間である。
【0160】
また、本工程で用いられる化合物(34)および化合物(35)は、市販品を用いることができるほか、その他文献記載の方法またはそれらに準じた方法に従って製造することもできる。
【0161】
工程8−2
本工程は、化合物(36)から化合物(37)を製造する工程である。化合物(37)は、例えば、化合物(36)に溶媒中、ニッケル(II)クロライド6水和物(NiCl・6HO)存在下で水素化ホウ素ナトリウム(NaBH)を作用させることにより製造することができる。用いられる溶媒としては、メタノール、エタノール、テトラヒドロフラン、メチルtert−ブチルエーテル等を挙げることができる。反応温度は、通常−30℃〜溶媒還流温度で実施でき、0℃〜80℃で行うのが好ましい。反応時間は用いる原料物質、溶媒、反応温度等により異なるが、通常30分〜3日間である。
【0162】
工程8−3
本工程は、化合物(37)のエステル部位を加水分解することにより、化合物(3d)を製造する工程である。化合物(3d)は、スキーム5の工程5−2に示す方法もしくはそれに準じた方法、またはその他文献記載の方法もしくはそれらに準じた方法に従って製造することができる。
【0163】
化合物(1)の合成
化合物(1)は、例えば、化合物(38)からスキーム9に示す方法もしくはそれに準じた方法、またはその他文献記載の方法もしくはそれらに準じた方法に従って製造することができる。
【0164】
スキーム9
【0165】
【化24】
【0166】
式中、Ar、およびAは上述したものと同義であり、*を付された炭素原子は、不斉炭素原子を表す。
【0167】
工程9−1
本工程は、化合物(38)のベンジルオキシカルボニル(Cbz)基を脱保護して化合物(1)を製造する工程である。化合物(1)は、例えば、溶媒中、10%パラジウムカーボン(10%Pd−C)等の触媒存在下において、化合物(38)に水素添加させることにより製造することができる。溶媒としては、メタノール、エタノール、ジクロロメタン、テトラヒドロフラン、酢酸エチル、酢酸、それらの混合溶媒等を挙げることができる。反応温度は、通常−78℃〜溶媒還流温度で実施でき、20℃〜40℃で行うのが好ましい。反応時間は用いる原料物質や溶媒、反応温度等によって異なるが、通常30分〜3日間である。
【0168】
化合物(38a,38b,38c)の合成
化合物(38)のうち、Aが以下の式(38a,38b,38c)により表される化合物(以下、化合物(38a,38b,38c)ともいう)は、例えば、化合物(39)からスキーム10に示す方法もしくはそれに準じた方法、またはその他文献記載の方法もしくはそれらに準じた方法に従って製造することができる。
【0169】
スキーム10
【0170】
【化25】
【0171】
式中、Ar、R、R、R12、R13は上述したものと同義であり;RはC〜Cアルキル基であり、*を付された炭素原子は、不斉炭素原子を表す。
【0172】
工程10−1
本工程は、化合物(39)から化合物(40)を製造する工程である。化合物(40)は、例えば、化合物(39)に溶媒中、トリエチルオキソニウムヘキサフルオルホスファート(EtOPF)を反応させることによって製造することができる。溶媒としては、ジクロロメタン等を挙げることができる。反応温度は、通常−78℃〜溶媒還流温度で実施でき、20℃〜40℃で行うのが好ましい。反応時間は通常30分〜3日間である。
【0173】
工程10−2
本工程は、化合物(40)から化合物(41)を製造する工程である。化合物(41)は、例えば、化合物(40)に溶媒中、塩化アンモニウム存在下あるいは非存在下でヒドラジン一水和物を反応させることによって製造することができる。溶媒としては、エタノール等を挙げることができる。反応温度は、通常0℃〜溶媒還流温度で実施でき、20℃〜40℃で行うのが好ましい。反応時間は通常30分〜3日間である。
【0174】
工程10−3
本工程は、化合物(41)と化合物(42)を反応させて化合物(43)を製造する工程である。化合物(43)は、例えば溶媒中、化合物(41)に化合物(42)を反応させることによって製造することができる。化合物(42)は市販品を用いることができるほか、その他文献記載の方法またはそれらに準じた方法に従って製造することもできる。溶媒としては、エタノール等を挙げることができる。反応温度は、通常20℃〜溶媒還流温度で実施でき、60℃〜90℃で行うのが好ましい。反応時間は通常30分〜3日間である。
【0175】
工程10−4
本工程は、化合物(43)から化合物(38a)を製造する工程である。化合物(38a)は、例えば、化合物(43)に溶媒中、酸を反応させることによって製造することができる。溶媒としては、トルエン等を挙げることができる。用いられる酸としては、例えば塩化水素、p−トルエンスルホン酸等が挙げられる。反応温度は、通常0℃〜溶媒還流温度で実施でき、80℃〜110℃で行うのが好ましい。反応時間は通常30分〜3日間である。
【0176】
工程10−5
本工程は、化合物(40)と化合物(44)を反応させて化合物(45)を製造する工程である。化合物(45)は、例えば、化合物(40)に溶媒中、酸または塩基存在下あるいは非存在下で化合物(44)を反応させることによって製造することができる。化合物(44)は、市販品を用いることができるほか、その他文献記載の方法またはそれらに準じた方法に従って製造することもできる。用いられる溶媒としては、例えば、メタノールや、エタノール、トルエン、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、ジオキサンやそれらの混合溶媒等を挙げることができる。用いられる酸としては、例えば塩化水素、塩化アンモニウム等が挙げられる。また、塩基としては、例えばトリメチルアミン、トリエチルアミン、N−メチルモルホリン等が挙げられる。反応温度は、通常0℃〜溶媒還流温度で実施でき、20℃〜40℃で行うのが好ましい。反応時間は用いる原料物質や溶媒、反応温度等によって異なるが、通常10分〜3日間である。
【0177】
工程10−6
本工程は、化合物(45)から化合物(38b)を製造する工程である。化合物(38b)は、例えば、化合物(45)に溶媒中、酸を反応させることによって製造することができる。溶媒としては、水等を挙げることができる。用いられる酸としては、例えば塩化水素等が挙げられる。反応温度は、通常0℃〜溶媒還流温度で実施でき、70℃〜90℃で行うのが好ましい。反応時間は通常30分〜3日間である。
【0178】
工程10−7
本工程は、化合物(40)から化合物(38c)を製造する工程である。化合物(38c)は、例えば、化合物(40)に溶媒中、酢酸存在下でアジ化ナトリウムを反応させることによって製造することができる。溶媒としては、酢酸等を挙げることができる。反応温度は、通常0℃〜溶媒還流温度で実施でき、50℃〜70℃で行うのが好ましい。反応時間は通常30分〜3日間である。
【0179】
化合物(38d,38e)の合成
化合物(38)のうち、Aが以下の式(38d,38e)により表される化合物(以下、化合物(38d,38e)ともいう)は、例えば、化合物(40)からスキーム11に示す方法もしくはそれに準じた方法、またはその他文献記載の方法もしくはそれらに準じた方法に従って製造することができる。
【0180】
スキーム11
【0181】
【化26】
【0182】
式中、Ar、R、R、R、R、R5、R14、R15、R16、R17は上述したものと同義であり;Xは塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、メタンスルホニルオキシ基、トリフルオロメタンスルホニルオキシ等の脱離基であり、*を付された炭素原子は、不斉炭素原子を表す。
【0183】
工程11−1
本工程は、化合物(40)と化合物(46)を反応させて化合物(38d)を製造する工程である。化合物(38d)は、例えば、化合物(40)に溶媒中、塩化アンモニウム存在下あるいは非存在下で化合物(46)を反応させた後、炭酸カリウム存在下で反応させることによって製造することができる。化合物(46)は、市販品を用いることができるほか、その他文献記載の方法またはそれらに準じた方法に従って製造することもできる。溶媒としては、エタノール等を挙げることができる。反応温度は、通常20℃〜溶媒還流温度で実施でき、10℃〜40℃で行うのが好ましい。反応時間は通常30分〜3日間である。
【0184】
工程11−2
本工程は、化合物(40)と化合物(47)を反応させて化合物(48)を製造する工程である。化合物(47)は、市販品を用いることができるほか、その他文献記載の方法またはそれらに準じた方法に従って製造することもできる。化合物(48)は、スキーム10の工程10−5に示す方法もしくはそれに準じた方法、またはその他文献記載の方法もしくはそれらに準じた方法に従って製造することができる。
【0185】
工程11−3
本工程は、化合物(48)から化合物(49)を製造する工程である。Xがヨウ素原子で表される化合物(49)は、例えば、化合物(48)に溶媒中、イミダゾール、トリフェニルホスフィン存在下でヨウ素を反応させることによって製造することができる。溶媒としては、テトラヒドロフラン等を挙げることができる。反応温度は、通常0℃〜溶媒還流温度で実施でき、10℃〜40℃で行うのが好ましい。反応時間は通常30分〜3日間である。
【0186】
工程11−4
本工程は、化合物(49)から化合物(38e)を製造する工程である。化合物(38e)は、例えば、化合物(49)に溶媒中、塩基を反応させることによって製造することができる。溶媒としては、N、N−ジメチルホルムアミド等を挙げることができる。用いられる塩基としては、例えばtert-ブトキシカリウム等が挙げられる。反応温度は、通常0℃〜溶媒還流温度で実施でき、20℃〜40℃で行うのが好ましい。反応時間は通常30分〜3日間である。
【0187】
化合物(Ia)の合成
化合物(I)のうち、Aが以下の式(Ia)により表される化合物(以下、化合物(Ia)ともいう)は、例えば、化合物(40)からスキーム12に示す方法もしくはそれに準じた方法、またはその他文献記載の方法もしくはそれらに準じた方法に従って製造することができる。
【0188】
スキーム12
【0189】
【化27】
【0190】
式中、Ar、Ar、R、R、R4、R5、R14、R15、およびQは上述したものと同義であり、*を付された炭素原子は、不斉炭素原子を表す。
【0191】
工程12−1
本工程は、化合物(40)と化合物(50)を反応させて化合物(51)を製造する工程である。化合物(50)は、市販品を用いることができるほか、その他文献記載の方法またはそれらに準じた方法に従って製造することもできる。化合物(51)は、スキーム10の工程10−5に示す方法もしくはそれに準じた方法、またはその他文献記載の方法もしくはそれらに準じた方法に従って製造することができる。
【0192】
工程12−2
本工程は、化合物(51)のCbz基を脱保護して化合物(52)を製造する工程である。化合物(52)は、スキーム9に示す方法もしくはそれに準じた方法、またはその他文献記載の方法もしくはそれらに準じた方法に従って製造することができる。
【0193】
工程12−3
本工程は、化合物(52)と化合物(2)を反応させて化合物(53)を製造する工程である。化合物(53)は、スキーム1の工程1−1に示す方法もしくはそれに準じた方法、またはその他文献記載の方法もしくはそれらに準じた方法に従って製造することができる。
【0194】
工程12−4
本工程は、化合物(53)から化合物(Ia)を製造する工程である。化合物(Ia)は、例えば、化合物(53)に溶媒中、塩基を反応させることによって製造することができる。溶媒としては、N、N−ジメチルホルムアミド等を挙げることができる。用いられる塩基としては、例えば炭酸カリウムや炭酸セシウム等が挙げられる。反応温度は、通常0℃〜溶媒還流温度で実施でき、20℃〜40℃で行うのが好ましい。反応時間は通常30分〜3日間である。
【0195】
化合物(Ib)の合成
化合物(I)のうち、Aが以下の式(Ib)により表される化合物(以下、化合物(Ib)ともいう)は、例えば、化合物(40)からスキーム13に示す方法もしくはそれに準じた方法、またはその他文献記載の方法もしくはそれらに準じた方法に従って製造することができる。
【0196】
スキーム13
【0197】
【化28】
【0198】
式中、Ar、Ar、R、R、R4、R5、Q、およびXは上述したものと同義であり、*を付された炭素原子は、不斉炭素原子を表す。
【0199】
工程13−1
本工程は、化合物(40)と化合物(54)を反応させて化合物(55)を製造する工程である。化合物(54)は、市販品を用いることができるほか、その他文献記載の方法またはそれらに準じた方法に従って製造することもできる。化合物(55)は、スキーム10の工程10−5に示す方法もしくはそれに準じた方法、またはその他文献記載の方法もしくはそれらに準じた方法に従って製造することができる。
【0200】
工程13−2
本工程は、化合物(55)のCbz基を脱保護して化合物(56)を製造する工程である。化合物(56)は、スキーム9に示す方法もしくはそれに準じた方法、またはその他文献記載の方法もしくはそれらに準じた方法に従って製造することができる。
【0201】
工程13−3
本工程は、化合物(56)と化合物(2)を反応させて化合物(57)を製造する工程である。化合物(57)は、スキーム1の工程1−1に示す方法もしくはそれに準じた方法、またはその他文献記載の方法もしくはそれらに準じた方法に従って製造することができる。
【0202】
工程13−4
本工程は、化合物(57)のtert−ブチルジメチルシリル(TBS)基を脱保護して化合物(58)を製造する工程である。化合物(58)は、例えば、化合物(57)に水−ジオキサンの混合溶媒中、トリフルオロ酢酸(TFA)や塩化水素等の酸と反応させることにより製造することができる。反応温度は、通常−20℃〜溶媒還流温度で実施でき、0℃〜30℃で行うのが好ましい。反応時間は用いる原料物質、溶媒、反応温度等により異なるが、通常30分〜3日間である。
【0203】
工程13−5
本工程は、化合物(58)と化合物(59)を反応させて化合物(Ib)を製造する工程である。化合物(Ib)は、例えば、化合物(58)に溶媒中、塩基存在下で化合物(59)を反応させることによって製造することができる。化合物(59)は、市販品を用いることができるほか、その他文献記載の方法またはそれらに準じた方法に従って製造することもできる。用いられる溶媒としては、N、N−ジメチルホルムアミド等を挙げることができる。塩基としては、例えば炭酸カリウムや炭酸セシウム等が挙げられる。反応温度は、通常0℃〜溶媒還流温度で実施でき、20℃〜40℃で行うのが好ましい。反応時間は通常30分〜3日間である。
【0204】
化合物(Ib)の合成
化合物(Ib)は、例えば、化合物(40)からスキーム14に示す方法もしくはそれに準じた方法、またはその他文献記載の方法もしくはそれらに準じた方法に従って製造することもできる。
【0205】
スキーム14
【0206】
【化29】
【0207】
式中、Ar、Ar、R、R、R4、R5、およびQは上述したものと同義であり、*を付された炭素原子は、不斉炭素原子を表す。
【0208】
工程14−1
本工程は、化合物(40)と化合物(60)を反応させて化合物(61)を製造する工程である。化合物(60)は、市販品を用いることができるほか、その他文献記載の方法またはそれらに準じた方法に従って製造することもできる。化合物(61)は、スキーム10の工程10−5に示す方法もしくはそれに準じた方法、またはその他文献記載の方法もしくはそれらに準じた方法に従って製造することができる。
【0209】
工程14−2
本工程は、化合物(61)のCbz基を脱保護して化合物(62)を製造する工程である。化合物(62)は、スキーム9に示す方法もしくはそれに準じた方法、またはその他文献記載の方法もしくはそれらに準じた方法に従って製造することができる。
【0210】
工程14−3
本工程は、化合物(62)と化合物(2)を反応させ、同時に分子内で環化することで化合物(Ib)を製造する工程である。化合物(Ib)は、スキーム1の工程1−1に示す方法もしくはそれに準じた方法、またはその他文献記載の方法もしくはそれらに準じた方法に従って製造することができる。
【0211】
化合物(39)の合成
化合物(39)は、例えば、化合物(63)からスキーム15に示す方法もしくはそれに準じた方法、またはその他文献記載の方法もしくはそれらに準じた方法に従って製造することもできる。
【0212】
スキーム15
【0213】
【化30】
【0214】
式中、Ar、R1、およびRは上述したものと同義であり、*を付された炭素原子は、不斉炭素原子を表す。
【0215】
工程15−1
本工程は、化合物(63)から化合物(39)を製造する工程である。化合物(39)は、例えば、化合物(63)を溶媒中、塩基存在下あるいは非存在下でジフェニルリン酸アジド(DPPA)等を作用させた後、ベンジルアルコールを反応させることによって製造することができる。溶媒としては、ベンゼンや、トルエン、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、ジオキサンやそれらの混合溶媒等を挙げることができる。塩基としては、トリメチルアミン、トリエチルアミン、N−メチルモルホリン等が挙げられる。反応温度は、通常10℃〜溶媒還流温度で実施でき、20℃〜120℃で行うのが好ましい。反応時間は用いる原料物質や溶媒、反応温度等によって異なるが、通常30分〜3日間である。
【0216】
化合物(63a)の合成
化合物(63)のうち、RがHである化合物(63a)は、例えば、化合物(64)からスキーム16に示す方法もしくはそれに準じた方法、またはその他文献記載の方法もしくはそれらに準じた方法に従って製造することができる。
【0217】
スキーム16
【0218】
【化31】
【0219】
式中、Ar、R1およびQは上述したものと同義であり、*を付された炭素原子は、不斉炭素原子を表す。
【0220】
工程16−1
本工程は、化合物(64)と化合物(65)を反応させて化合物(66)を製造する工程である。化合物(64)および化合物(65)は、市販品を用いることができるほか、その他文献記載の方法またはそれらに準じた方法に従って製造することもできる。化合物(66)は、例えば、化合物(64)を2−ヒドロキシエチルアンモニウムホルメート(2−HEAF)中、化合物(65)と反応させることによって製造することができる。反応温度は、通常−78℃〜溶媒還流温度で実施でき、20℃〜40℃で行うのが好ましい。反応時間は用いる原料物質や溶媒、反応温度等によって異なるが、通常30分〜3日間である。
【0221】
工程16−2
本工程は、化合物(66)とマロン酸エステル(35)を反応させて化合物(67)を製造する工程である。化合物(67)は、例えば、化合物(66)を溶媒中、触媒存在下で化合物(35)と反応させることによって製造することができる。溶媒としては、ベンゼン、トルエン、テトラヒドロフラン、メチルt−ブチルエーテル、アセトニトリル、メタノール、エタノール、酢酸エチル等を挙げることができる。触媒としては非特許文献記載の方法に準じて調整できるニッケル(II)ビス[(S、S)−N、N’−ジベンジルシクロヘキサン−1、2−ジアミン]ブロミド、ニッケル(II)ビス[(R、R)−N、N’−ジベンジルシクロヘキサン−1、2−ジアミン]ブロミド、(±)−ニッケル(II)ビス[N、N’−ジベンジルシクロヘキサン−1、2−ジアミン]ブロミド、1−(3、5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル)−3−((1S、2S)−2−(ジメチルアミノ)シクロヘキシル)チオウレア、1−(3、5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル)−3−((1R、2R)−2−(ジメチルアミノ)シクロヘキシル)チオウレア等を挙げることができる。触媒の使用量は、化合物(66)1モルに対して、通常0.001〜0.2モルである。反応温度は、通常−78℃〜溶媒還流温度で実施でき、20℃〜40℃で行うのが好ましい。反応時間は用いる原料物質や溶媒、反応温度等によって異なるが、通常30分〜7日間である。
【0222】
工程16−3
本工程は、化合物(67)から化合物(68)を製造する工程である。化合物(68)は、例えば、化合物(67)を溶媒中、ニッケル(II)クロライド6水和物(NiCl・6HO)存在下で水素化ホウ素ナトリウム(NaBH)を作用させることによって製造することができる。溶媒としては、メタノール、エタノール、テトラヒドロフラン、メチルt−ブチルエーテル等を挙げることができる。反応温度は、通常−78℃〜溶媒還流温度で実施でき、0℃〜80℃で行うのが好ましい。反応時間は用いる原料物質や溶媒、反応温度等によって異なるが、通常30分〜3日間である。
【0223】
工程16−4
本工程は、化合物(68)のエステル部位を加水分解することにより、化合物(63a)を製造する工程である。化合物(63a)は、スキーム5の工程5−2に示す方法もしくはそれに準じた方法、またはその他文献記載の方法もしくはそれらに準じた方法に従って製造することができる。
【0224】
化合物(63b)の合成
化合物(63)のうち、RおよびRがHではない化合物(以下、化合物(63b)ともいう)は、例えば、化合物(64)からスキーム17に示す方法もしくはそれに準じた方法、またはその他文献記載の方法もしくはそれらに準じた方法に従って製造することができる。
【0225】
スキーム17
【0226】
【化32】
【0227】
式中、Arは上述したものと同義であり、R1’、R2’は、それぞれ独立して置換基を有しても良いC〜Cアルキル基、またはR1’とR2’が一緒になったC〜Cアルキレン基であり、*を付された炭素原子は、不斉炭素原子を表す。
【0228】
工程17−1
本工程は、化合物(64)と化合物(35)を反応させて化合物(69)を製造する工程である。化合物(69)は、例えば、化合物(64)を溶媒中、塩基存在下で化合物(35)と反応させることによって製造することができる。溶媒としては、ベンゼン、トルエン、ジメチルスルホキシド、N、N−ジメチルホルムアミドやそれらの混合溶媒等を挙げることができる。塩基としては、トリエチルアミン、N−メチルモルホリン、ピペリジン、ピリジン、およびそれらの酢酸塩等が挙げられる。反応温度は、通常−78℃〜溶媒還流温度で実施でき、70℃〜110℃で行うのが好ましい。反応時間は用いる原料物質や溶媒、反応温度等によって異なるが、通常30分〜3日間である。
【0229】
工程17−2
本工程は、化合物(69)と化合物(70)を反応させて化合物(71)を製造する工程である。化合物(71)は、例えば、化合物(69)を溶媒中、塩基存在下で化合物(70)と反応させることによって製造することができる。溶媒としては、トルエン、ベンゼン、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、ジメチルスルホキシド、N、N−ジメチルホルムアミドやそれらの混合溶媒等を挙げることができる。用いられる塩基としては、アルミナ処理フッ化カリウム(KF−Al2O3)等を挙げることができる。反応温度は、通常−78℃〜溶媒還流温度で実施でき、20℃〜40℃で行うのが好ましい。反応時間は用いる原料物質や溶媒、反応温度等によって異なるが、通常30分〜3日間である。
【0230】
工程17−3
本工程は、化合物(71)から化合物(72)を製造する工程である。本工程は、前記工程16−3に準じて行うことができる。
【0231】
工程17−4
本工程は、化合物(72)のエステル部位を加水分解することにより、化合物(63b)を製造する工程である。化合物(63b)は、スキーム5の工程5−2に示す方法もしくはそれに準じた方法、またはその他文献記載の方法もしくはそれらに準じた方法に従って製造することができる。
【0232】
本実施形態の化合物(I)の薬理学的に許容な塩は、本実施形態の化合物(I)を用い、常法に従って製造することができる。
【0233】
上記に示したスキームは、本実施形態の化合物(I)またはその製造中間体を製造するための方法の例示である。これらは、当業者の容易に理解され得るようなスキームへの様々な改変が可能である。
【0234】
また、官能基の種類により保護基が必要な場合は、定法に従って適宜導入および脱離の操作を組み合わせて実施することができる。保護基の種類、導入、脱離に関しては、例えば、Theodra W. Green & Peter G. M. Wuts著編、「Greene’s Protective Groups in Organic Synthesis」、fourth edition、Wiley−Interscience、2006年に記載の方法を挙げることができる。
【0235】
本実施形態の化合物(I)、またはその薬理学的に許容される塩を製造する為に使用される中間体は、必要に応じて、当該分野における当業者にとって周知の単離・精製手段である溶媒抽出、晶析、再結晶、クロマトグラフィー、分取高速液体クロマトグラフィー等により、単離・精製することができる。
【0236】
本実施形態でいう「FPRL1アゴニスト作用」とは、ホルミルペプチドレセプター様1(FPRL1)に作用することで、作動(アゴニスト)活性を示すことを意味する。
上述したように、FPRL1の内因性アゴニストとして報告されているLXA4やペプチドは、炎症の収束に寄与することが知られている。
【0237】
本実施形態の化合物(I)またはその薬理学的に許容される塩は、例えば、FPRL1過剰発現細胞内へのカルシウム流入試験において、強力なアゴニスト活性を示す。よって、本実施形態の化合物(I)またはその薬理学的に許容される塩は、炎症性疾患、慢性気道疾患、がん、敗血症、アレルギー性症状、HIVレトロウイルス感染、循環器障害、神経炎症、神経障害、疼痛、プリオン病、アミロイド症、免疫障害等の治療薬またはその予防薬として有用である。
【0238】
さらに、本実施形態の化合物(I)またはその薬理学的に許容される塩は、炎症性疾患、慢性気道疾患、がん、敗血症、アレルギー性症状、HIVレトロウイルス感染、循環器障害、神経炎症、神経障害、疼痛、プリオン病、アミロイド症、免疫障害等の治療または予防するための医薬を製造するためにも使用できる。
【0239】
さらにまた、本実施形態の化合物(I)またはその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有する医薬は、例えば、FPRL1が関与する種々の病態(例えば、ベーチェット病、スウィート病、全身エリテマトーデス(SLE)、ウェゲナー肉芽腫、ウイルス感染、糖尿病、切断術、がん、細菌感染、物理的外傷、放射線被爆を含む物理的障害、血管収縮、アナフィラキシー反応、アレルギー反応、鼻炎、ショック (内毒素性、出血性、外傷性、内臓虚血性、循環性) 、関節リウマチ、痛風、乾癬、良性前立腺肥大、心筋虚血、心筋梗塞、脳損傷、肺疾患、COPD、COAD、COLD、急性肺障害、急性呼吸促迫症候群、慢性気管支炎、肺気腫、喘息 (アレルギー性、非アレルギー性)、嚢胞性肺線維症、腎症、腎糸球体疾患、潰瘍性大腸炎、IBD、クローン病、歯周病、痛み、アルツハイマー、エイズ、ぶどう膜炎緑内障、結膜炎、シェーグレン症候群、鼻炎など)の予防または治療剤として使用できる。
【0240】
本実施形態の化合物(I)、またはその薬理学的に許容される塩を含有する医薬
本実施形態の化合物(I)またはその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有する医薬は、用法に応じ種々の剤形とすることができる。このような剤形としては、例えば、散剤、顆粒剤、細粒剤、ドライシロップ剤、錠剤、カプセル剤、注射剤、液剤、軟膏剤、坐剤、貼付剤、舌下剤等を挙げることができ、経口または非経口的に投与される。
【0241】
これらの医薬は、その剤形に応じて公知の手法により、有効成分としての本実施形態の化合物(I)、またはその薬理学的に許容される塩と、薬理学的に許容される添加物とを含む医薬組成物として構成することができる。当該医薬組成物に含有される添加物としては、賦形剤、崩壊剤、結合剤、滑沢剤、希釈剤、緩衝剤、等張化剤、防腐剤、湿潤剤、乳化剤、分散剤、安定化剤、溶解補助剤等を挙げることができる。当該医薬組成物は、本実施形態の化合物(I)、またはその薬理学的に許容される塩と添加物との適宜混合、または化合物(I)、またはその薬理学的に許容される塩を添加物で希釈・溶解することにより調剤することができる。また、FPRL1作動薬以外の薬剤と組み合わせて使用する場合は、それぞれの活性成分を同時または別々に、前述と同様に製剤化することにより製造することができる。
【0242】
本実施形態に係る医薬は、全身的または局所的に、経口または非経口(経鼻、経肺、静脈内、直腸内、皮下、筋肉、経皮等)により、投与することができる。
【0243】
本実施形態の化合物(I)またはその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有する医薬組成物を実際の治療に用いる場合、その有効成分である本実施形態の化合物(I)またはその薬理学的に許容される塩の投与量は、患者の年齢、性別、体重、疾患および治療の程度等により適宜決定される。例えば、経口投与の場合、成人(体重60kgとする)1日当たり概ね0.03〜1000mg/体の範囲で、一回または数回に分けて適宜投与することができる。経口剤としての1日当たりの投与量は、0.06〜540mg/体が好ましく、0.18〜180mg/体がより好ましい。非経口投与の場合、成人1日当たり概ね0.01〜300mgの範囲で、一回または数回に分けて適宜投与することができる。非経口剤としての1日当たりの投与量は、0.01〜100mg/体が好ましく、0.06〜60mg/体がより好ましい。また、本実施形態の化合物(I)またはその薬理学的に許容される塩の投与量は、FPRL1作動薬以外の薬剤の投与量に応じて減量することができる。
【実施例】
【0244】
以下、試験例、実施例および参考例に基づいて本発明をより詳細に説明する。また、化合物(I)の製造に用いる原料化合物の中にも新規化合物が含まれているので、原料化合物の製造例についても参考例として説明する。本発明は、下記実施例に記載の化合物に限定されるものではなく、本発明の範囲を逸脱しない範囲で変化させても良い。
【0245】
各参考例、各実施例、各表中で用いている記号のうち、Ref.No.は参考例番号、Ex.No.は実施例番号、P.D.は物理化学データ、Str.は構造式、H−NMRは水素核磁気共鳴スペクトルを意味する。CDClはクロロホルム−d、DMSO−dはジメチルスルホキシド−dを意味する。MS(ESI+)はエレクトロスプレーイオン化法により測定した質量分析スペクトルデータを意味する。旋光度は、光源としてナトリウムD線を用い、記載した測定溶媒中での、記載した濃度と温度における比旋光度を意味する。
【0246】
構造式中の、楔形の実線及び破線は、光学活性体における相対配置を示しているものであり、絶対配置を示すものではない。太線の実線及び破線は、ラセミ体及びラセミ体の分割により得られた光学活性体における相対配置を示している。“*”の付いた炭素原子は、不斉炭素を示す。“*”の付いた炭素原子の波線の結合は、ラセミ体を表す。
【0247】
化合物の名称中の、RおよびSは、いずれも不斉炭素原子上の立体の相対配置を意味する。
【0248】
構造式中ピロリジン環の2つの位置にそれぞれ共に置換基1個と水素原子1個が結合しているときは、置換基の相対立体配置をシス、トランスで表し、そのあとにハイフンを付けて化合物の名称を続けることもある。
【0249】
ピロリジン環を面としたときにシスは、2つの隣接する置換基が同じ側にあることを示し、トランスは、2つの隣接する置換基が反対側にあることを示している。
【0250】
化合物の名称中、二重結合及びイミンの二重結合における異性体を表すために、シス体は“Z”と表記し、トランス体は“E”として表記する。
【0251】
<参考例1−1>
【0252】
【化33】
【0253】
2,2−ジメチル−4−{[(トリフルオロメチル)スルホニル]オキシ}−2,5−ジヒドロフラン−3−カルボン酸メチル
アルゴン雰囲気下、ジエチルエーテル(43mL)を氷冷した後に、水素化ナトリウム(746mg)を加え、次に2,2−ジメチル−4−オキソテトラヒドロフラン−3−カルボン酸メチル(2.36g)を加えて30分間攪拌した。続いて、トリフルオロメタンスルホン酸無水物(2.83mL)を加えて反応液とした。反応液を氷冷下で4時間攪拌した。反応液を水に注いでジクロロメタンで抽出し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧下濃縮した後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=20:1〜 1:1)で精製することで、無色油状物として表題化合物を得た(3.43g)。
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ: 1.52 (6H, s), 3.84 (3H, s), 4.69 (2H, s).
【0254】
<参考例1−2>
【0255】
【化34】
【0256】
4−{[(トリフルオロメチル)スルホニル]オキシ}−2,5−ジヒドロチオフェン−3−カルボン酸メチル
2,2−ジメチル−4−オキソテトラヒドロフラン−3−カルボン酸メチルの代わりに、4−オキソテトラヒドロチオフェン−3−カルボン酸メチルを用いて参考例1−1と同様の方法に従うことで、表題化合物を得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ: 3.83 (3H, s), 3.94-3.99 (4H, m).
【0257】
<参考例2−1>
【0258】
【化35】
【0259】
4−(4−メトキシフェニル)−2,2−ジメチル−2,5−ジヒドロフラン−3−カルボン酸メチル
アルゴン雰囲気下、2,2−ジメチル−4−{[(トリフルオロメチル)スルホニル]オキシ}−2,5−ジヒドロフラン−3−カルボン酸メチル(3.41g)のN,N−ジメチルホルムアミド溶液(62mL)に、(4−メトキシフェニル)ボロン酸(1.70g)、トリエチルアミン(4.68mL)およびテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(386mg)を加えて反応液とした。反応液を100℃で3時間撹拌した。反応液に1 mol/L塩酸を加えて酸性(pH1)とし、酢酸エチルで抽出した。有機層を水、飽和食塩水で順次洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧下濃縮した後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル = 20:1 〜 1:2)で精製することで、無色油状物として表題化合物を得た(2.55g)。
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ: 1.53 (6H, s), 3.69 (3H, s), 3.83 (3H, s), 4.91 (2H, s), 6.89 (2H, d, J = 9.1 Hz), 7.28 (2H, d, J = 9.1 Hz).
【0260】
対応するトリフラート体およびボロン酸を用い、参考例2−1と同様にして、以下の参考例2−2および2−4を得た。
これらの構造およびスペクトルデータを表1に示した。
【0261】
【表1】
【0262】
<参考例3−1>
【0263】
【化36】
【0264】
4−(4−メトキシフェニル)−2,2−ジメチル−2,5−ジヒドロフラン−3−カルボン酸
4−(4−メトキシフェニル)−2,2−ジメチル−2,5−ジヒドロフラン−3−カルボン酸メチル(1.00g)のメタノール溶液(7.6mL)に、2 mol/L水酸化カリウム水溶液(3.81mL)を加えて反応液とした。反応液を50℃で4時間攪拌した。反応液に1 mol/L塩酸を加えて酸性(pH1)とし、析出した固体をろ取し、水で洗浄した。得られた固体を乾燥することで、白色固体として表題化合物を得た(762mg)。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ: 1.40 (6H, s), 3.76 (3H, s), 4.83 (2H, s), 6.92 (2H, d, J = 9.1 Hz), 7.34 (2H, d, J = 9.1 Hz), 12.64 (1H, s).
【0265】
対応するエステル体を用い、参考例3−1と同様にして、以下の参考例3−2および3−3を得た。
これらの構造およびスペクトルデータを表2に示した。
【0266】
【表2】
【0267】
<参考例4−1>
【0268】
【化37】
【0269】
(±)−シス−4−(4−メトキシフェニル)−2,2−ジメチルテトラヒドロフラン−3−カルボン酸
4−(4−メトキシフェニル)−2,2−ジメチル−2,5−ジヒドロフラン−3−カルボン酸(750mg)のエタノール溶液(10mL)に10%パラジウムカーボン(75mg)を加え、水素雰囲気下で3時間撹拌した。反応混合液をセライトろ過し、溶媒を留去した。粗生成物をジイソプロピルエーテルで洗浄することで、白色固体として表題化合物を得た( 618mg)。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ: 1.26 (3H, s), 1.31 (3H, s), 3.06 (1H, d, J = 7.3 Hz), 3.70 (3H, s), 3.87-3.96 (1H, m), 4.11 (1H, t, J = 7.3 Hz), 4.28 (1H, dd, J = 10.9, 7.3 Hz), 6.83 (2H, d, J = 8.5 Hz), 7.11 (2H, d, J = 8.5 Hz), 12.01 (1H, s).
【0270】
対応するオレフィン体を用い、参考例4−1と同様にして、以下の参考例4−2および4−3を得た。
これらの構造およびスペクトルデータを表3に示した。
【0271】
【表3】
【0272】
<参考例5−1>
【0273】
【化38】
【0274】
(±)−シス−4−(4−メトキシフェニル)テトラヒドロフラン−3−カルボン酸メチル
4−(4−メトキシフェニル)−2,2−ジメチル−2,5−ジヒドロフラン−3−カルボン酸の代わりに、4−(4−メトキシフェニル)−2,5−ジヒドロフラン−3−カルボン酸メチルを用いて参考例4−1と同様の方法に従うことで、表題化合物を得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ: 3.34 (3H, s), 3.44-3.50 (1H, m), 3.66-3.71 (1H, m), 3.78 (3H, s), 4.07-4.17 (3H, m), 4.29 (1H, dd, J = 9.1, 7.3 Hz), 6.82 (2H, dt, J = 8.5, 1.8 Hz), 7.15 (2H, dt, J = 8.5, 1.8 Hz).
【0275】
<参考例6−1>
【0276】
【化39】
【0277】
(±)−トランス−4−(4−メトキシフェニル)テトラヒドロフラン−3−カルボン酸
アルゴン雰囲気下、(±)−シス−4−(4−メトキシフェニル)テトラヒドロフラン−3−カルボン酸メチル(200mg)のメタノール溶液(4.2mL)に、ナトリウムメトキシド(20.0mg)を加え、反応液とした。反応液を室温で18時間半撹拌した。反応液に、2 mol/L水酸化ナトリウム水溶液(0.847mL)を加えて室温で5時間攪拌した。反応液に1 mol/L塩酸を加えて酸性(pH1)とし、酢酸エチルで抽出した。有機層を水、飽和食塩水で順次洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧下濃縮することで、無色油状物として表題化合物を得た(182mg)。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ: 3.04-3.13 (1H, m), 3.45-3.58 (2H, m), 3.71 (3H, s), 3.89 (1H, dd, J = 8.2, 7.0 Hz), 4.06-4.14 (2H, m), 6.87 (2H, d, J = 8.5 Hz), 7.21 (2H, d, J = 8.5 Hz), 12.47 (1H, s).
【0278】
<参考例7−1>
【0279】
【化40】
【0280】
(±)−4−(4−メトキシフェニル)テトラヒドロチオフェン−3−カルボン酸−1,1−ジオキシド
4−(4−メトキシフェニル)−2,2−ジメチル−2,5−ジヒドロフラン−3−カルボン酸の代わりに、4−(4−メトキシフェニル)−2,5−ジヒドロチオフェン−3−カルボン酸メチルを用いて参考例4−1と同様の方法に従うことで、粗精製物の(±)−シス−4−(4−メトキシフェニル)テトラヒドロチオフェン−3−カルボン酸メチルと(±)−トランス−4−(4−メトキシフェニル)テトラヒドロチオフェン−3−カルボン酸メチルの混合物(23mg)を得た。このジクロロメタン溶液(0.9mL)に、メタクロロ過安息香酸(mCPBA)(49.4mg)を加え、室温で1時間撹拌した。反応液にチオ硫酸ナトリウム水溶液を加え、酢酸エチルで抽出し、水、および飽和食塩水で順次洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧下濃縮した後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル : ヘキサン =1:20 〜1:1)で精製することで、(±)−シス−4−(4−メトキシフェニル)テトラヒドロチオフェン−3−カルボン酸メチル−1,1−ジオキシドと(±)−トランス−4−(4−メトキシフェニル)テトラヒドロチオフェン−3−カルボン酸−1,1−ジオキシドの混合物を得た。
4−(4−メトキシフェニル)−2,2−ジメチル−2,5−ジヒドロフラン−3−カルボン酸メチルの代わりに、得られた(±)−シス−4−(4−メトキシフェニル)テトラヒドロチオフェン−3−カルボン酸メチル−1,1−ジオキシドと(±)−トランス−4−(4−メトキシフェニル)テトラヒドロチオフェン−3−カルボン酸−1,1−ジオキシドの混合物を用いて参考例3−1と同様の方法に従うことで、単一のラセミ体として表題化合物を得た。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ: 3.21-3.29 (2H, m), 3.32-3.40 (1H, m), 3.52-3.70 (3H, m), 3.72 (3H, s), 6.88 (2H, d, J = 8.5 Hz), 7.31 (2H, d, J = 8.5 Hz), 12.77 (1H, s).
【0281】
<参考例8−1>
【0282】
【化41】
【0283】
(±)−2−[2−シアノ−1−(4−メトキシフェニル)エチル]マロン酸ジメチル
アルゴン雰囲気下マロン酸ジメチル(4.57mL)のメタノール溶液(20mL)にナトリウムメトキシド (378mg)を加え室温にて10分間攪拌した後、3−(4−メトキシフェニル)アクリロニトリル(2.9mL)を加えて反応液とした。反応液を室温で2時間攪拌した後、18時間加熱還流した。反応液を放冷後、10%塩酸を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を水、飽和食塩水で順次洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧下濃縮した後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=2:1)で精製することで、白色固体として表題化合物を得た(2.96g)。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3)δ: 2.84 (1H, dd, J = 16.3, 4.8 Hz), 2.90 (1H, dd, J = 16.3, 7.9 Hz), 3.54 (3H, s), 3.62-3.78 (1H, m), 3.80 (3H, s), 3.81 (3H, s), 3.86 (1H, d, J = 9.1 Hz), 6.88 (2H, d, J = 9.1 Hz), 7.21 (2H, d, J = 9.1 Hz).
【0284】
<参考例9−1>
【0285】
【化42】
【0286】
(±)−トランス−4−(4−メトキシフェニル)−2−オキソピペリジン−3−カルボン酸メチル
アルゴン雰囲気下、(±)−2−[2−シアノ−1−(4−メトキシフェニル)エチル]マロン酸ジメチル(291mg)のメタノール溶液(10mL)に、ニッケル(II)クロライド6水和物(238mg)を加え、反応液とした。反応液に氷冷下、水素化ホウ素ナトリウム(227mg)を数回に分けて加え、その後室温まで昇温し1時間攪拌した。反応液に飽和塩化アンモニウム水溶液、および酢酸エチルを加え、室温で1時間攪拌した。反応液を酢酸エチルで抽出し、水、および飽和食塩水で順次洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧下濃縮した後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=1:2)で精製することで、白色固体として表題化合物を得た(191mg)。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ: 1.79 (1H, d, J = 13.3 Hz), 1.90-2.02 (1H, m), 3,12-3.23 (2H, m), 3.24-3.30 (1H, m), 3.43 (3H, s), 3.51 (1H, d, J = 11.5 Hz), 3.71 (3H, s), 6.84 (2H, d, J = 8.5 Hz), 7.16 (2H, d, J = 8.6 Hz), 7.87 (1H, d, J = 2.4 Hz).
【0287】
<参考例10−1>
【0288】
【化43】
【0289】
(±)−トランス−4−(4−メトキシフェニル)−2−オキソピペリジン−3−カルボン酸
(±)−トランス−4−(4−メトキシフェニル)−2−オキソピペリジン−3−カルボン酸メチル(345mg)のメタノール溶液(2.6mL)に、1 mol/L水酸化ナトリウム水溶液(2.62mL)を加え、反応液とした。反応液を50℃で1時間攪拌した。反応液に1 mol/L塩酸を加えて酸性(pH1)とし、酢酸エチルで抽出した。有機層を水、飽和食塩水で順次洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧下濃縮することで、白色固体として表題化合物を得た(200mg)。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ: 1.78 (1H, d, J = 13.3 Hz), 1.90-2.02 (1H, m), 3,08-3.46 (4H, m), 3.71 (3H, s), 6.85 (2H, d, J = 8.5 Hz), 7.18 (2H, d, J = 8.6 Hz), 7.78 (1H, s), 12.17 (1H, s).
【0290】
<参考例11−1>
【0291】
【化44】
【0292】
(±)−トランス−4−(4−クロロフェニル)テトラヒドロフラン−3−オール
アルゴン雰囲気下、1mol/Lの4−クロロフェニルマグネシウムブロミド-ジエチルエーテル(50mL)溶液に、氷冷下にてヨウ化銅(I)(476mg)を加えて反応液とした。反応液を5分間攪拌した後、3,4−エポキシテトラヒドロフラン(4.30g)のテトラヒドロフラン(50mL)溶液を加えて、氷冷下にて10分間、室温にて一晩攪拌した。反応液に飽和塩化アンモニウム水溶液を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を水、飽和食塩水で順次洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧下濃縮した後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=6:1〜酢酸エチル)で精製することで、無色油状物として表題化合物を得た(4.19g)。
1H NMR (400 MHz, CDCl3)δ: 1.98 (1H, d, J = 4.9 Hz), 3.26-3.32 (1H, m), 3.80 (1H, dd, J = 9.8, 3.7 Hz), 3.90 (1H, dd, J = 9.2, 5.5 Hz), 4.10 (1H, dd, J = 9.8, 5.5 Hz), 4.33 (1H, dd, J = 9.2, 7.3 Hz), 4.35-4.40 (1H, m), 7.20 (2H, d, J = 8.6 Hz), 7.30 (2H, d, J = 8.6 Hz).
【0293】
対応するGrignard試薬およびエポキシ体を用い、参考例11−1と同様にして、以下の参考例11−2および11−3を得た。
これらの構造およびスペクトルデータを表4に示した。
【0294】
【表4】
【0295】
<参考例12−1>
【0296】
【化45】
【0297】
(±)−シス−2−[4−(4−クロロフェニル)テトラヒドロフラン−3−イル]イソインドリン−1,3−ジオン
アルゴン雰囲気下、(±)−トランス−4−(4−クロロフェニル)テトラヒドロフラン−3−オール(4.00g)のテトラヒドロフラン溶液(66mL)に、氷冷下にてフタルイミド(3.56g)およびトリフェニルホスフィン(6.34g)を加えて反応液とした。反応液を5分間攪拌した後、アゾジカルボン酸ジイソプロピル(4.67mL)を加えて、氷冷下にて10分間、室温にて一晩攪拌した。反応液に水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を水、飽和食塩水で順次洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧下濃縮した後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=4:1)で精製することで、白色固体として表題化合物を得た(4.33g)。
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ: 3.76 (1H, td, J = 9.8, 7.3 Hz), 4.29-4.37 (2H, m), 4.51-4.61 (2H, m), 5.22 (1H, td, J = 8.6, 5.5 Hz), 7.05-7.12 (4H, m), 7.63-7.67 (2H, m), 7.67-7.70 (2H, m).
【0298】
対応するヒドロキシ体を用い、参考例12−1と同様にして、以下の参考例12−2および12−3を得た。
これらの構造およびスペクトルデータを表5に示した。
【0299】
【表5】
【0300】
<参考例13−1>
【0301】
【化46】
【0302】
(±)−シス−2−[4−(4−ヒドロキシフェニル)テトラヒドロフラン−3−イル]イソインドリン−1,3−ジオン
アルゴン雰囲気下、(±)−シス−2−(4−{4−[(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ]フェニル}テトラヒドロフラン−3−イル)イソインドリン−1,3−ジオン(3.22g)のメタノール溶液(33mL)に、氷冷下にてp−トルエンスルホン酸(1.56g)を加え、反応液とした。反応液を室温にて1時間攪拌した。反応液に水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を水、飽和食塩水で順次洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧下濃縮した後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=1:1)で精製することで、白色固体として表題化合物を得た(2.38g)。
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ: 3.60-3.70 (1H, m), 4.13 (1H, t, J = 7.6 Hz), 4.20 (1H, dd, J = 9.5, 8.3 Hz), 4.28-4.36 (2H, m), 5.05 (1H, td, J = 8.7, 4.7 Hz), 6.46 (2H, d, J = 8.6 Hz), 6.84 (2H, d, J = 8.6 Hz), 7.68-7.76 (4H, m), 9.10 (1H, s).
【0303】
<参考例14−1>
【0304】
【化47】
【0305】
(±)−シス−2−{[4−(4−トリフルオロメタンスルホニルオキシ)フェニル]テトラヒドロフラン−3−イル}イソインドリン−1,3−ジオン
アルゴン雰囲気下、(±)−シス−2−[4−(4−ヒドロキシフェニル)テトラヒドロフラン−3−イル]イソインドリン−1,3−ジオン(1.58g)の塩化メチレン(7.7mL)溶液に、氷冷下にてピリジン(4.12mL)、およびトリフルオロメタンスルホン酸無水物(1.29mL)の塩化メチレン溶液(2.6mL)を加え、反応液とした。反応液を氷冷下にて2時間攪拌した。反応液に水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を水、飽和食塩水で順次洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧下濃縮した後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=1:1)で精製することで、白色固体として表題化合物を得た(2.2g)。
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ: 3.76-3.87 (1H, m), 4.28-4.36 (2H, m), 4.56-4.63 (2H, m), 5.25 (1H, td, J = 9.2, 5.5 Hz), 7.01 (2H, d, J = 8.6 Hz), 7.23 (2H, d, J = 8.6 Hz), 7.60-7.68 (4H, m).
【0306】
<参考例15−1>
【0307】
【化48】
【0308】
(±)−シス−4−[4−(1,3−ジオキソイソインドリン−2−イル)テトラヒドロフラン−3−イル]ベンゾニトリル
アルゴン雰囲気下、(±)−シス−2−{[4−(4−トリフルオロメタンスルホニルオキシ)フェニル]テトラヒドロフラン−3−イル}イソインドリン−1,3−ジオン(1.20g)のN,N−ジメチルホルムアミド溶液(10mL)に、テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム(316mg)およびシアン化亜鉛(1.27g)を加え、反応液とした。反応液を100℃にて3時間攪拌した。反応液をセライトろ過した後、ろ液を酢酸エチルで抽出した。有機層を水、飽和食塩水で順次洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧下濃縮した後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=1:1)で精製することで、白色固体として表題化合物を得た(510mg)。
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ: 3.83 (1H, dd, J = 16.5, 9.2 Hz), 4.30-4.37 (2H, m), 4.55 (1H, dd, J = 9.2, 5.5 Hz), 4.63 (1H, t, J = 9.2 Hz), 5.28 (1H, td, J = 8.9, 5.7 Hz), 7.26 (2H, d, J = 7.9 Hz), 7.42 (2H, d, J = 7.9 Hz), 7.64-7.70 (4H, m).
【0309】
<参考例16−1>
【0310】
【化49】
【0311】
(±)−シス−4−(4−クロロフェニル)テトラヒドロフラン−3−アミン
アルゴン雰囲気下、(±)−シス−2−[4−(4−クロロフェニル)テトラヒドロフラン−3−イル]イソインドリン−1,3−ジオン(1.00g)のエタノール溶液(15mL)に、ヒドラジン一水和物(1.48mL)を加え、反応液とした。反応液を3時間加熱還流した。反応液に氷冷下で水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を水、飽和食塩水で順次洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧下濃縮することで、無色油状物として表題化合物を得た(608mg)。
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ: 3.42 (1H, q, J = 6.7 Hz), 3.62 (1H, dd, J = 9.1, 4.2 Hz), 3.78 (1H, td, J = 6.1, 4.8 Hz), 4.08-4.22 (3H, m), 7.20 (2H, d, J = 8.5 Hz), 7.33 (2H, d, J = 8.5 Hz).
【0312】
対応するフタロイル体を用い、参考例16−1と同様にして、以下の参考例16−2および16−3を得た。
これらの構造およびスペクトルデータを表6に示した。
【0313】
【表6】
【0314】
<参考例17−1>
【0315】
【化50】
【0316】
(±)−3−アミノ−4−(4−メトキシフェニル)オキサゾリジン−2−オン
アルゴン雰囲気下、4−(4−メトキシフェニル)オキサゾリジン−2−オン(300mg)のジオキサン 溶液(8mL)に水素化ナトリウム(65mg)を加え、反応液とした。反応液を60℃にて1時間攪拌した。反応液にO−(4−ニトロベンゾイル)ヒドロキシルアミン(311mg)を加え室温にて2時間攪拌した。反応液に飽和塩化アンモニウム水溶液を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧下濃縮した後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=1:4)で精製することで、白色固体として表題化合物を得た(194mg)。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ: 3.74 (3H, s), 3.95 (1H, dd, J = 8.5, 6.7 Hz), 4.61 (1H, t, J = 8.5 Hz), 4.86 (1H, dd, 8.5, 6.7 Hz), 6.94 (2H, d, J = 9.1), 7.25 (2H, d, J = 9.2), 8.09 (2H, s).
【0317】
<参考例18−1>
【0318】
【化51】
【0319】
(±)−トランス−1,3−ビス(4−メトキシフェニル)−5−オキソピロリジン−2−カルボン酸エチル
エタノール(7mL)にナトリウム(172mg)を加えて15分間撹拌したのち、2−[(4−メトキシフェニル)アミノ]マロン酸ジエチル(2.0g)の エタノール溶液 (35mL)を室温で加えて反応液とした。反応液を15分間撹拌した後、エチル4−メトキシ桂皮酸(2.20g)を加えて16時間還流した。反応液に氷冷下で酢酸(1.0mL)を加え、減圧濃縮した後、残渣に水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧下濃縮した後、得られた残渣にジメチルスルホキシド(7.0mL)、水(0.26mL)、塩化ナトリウム(420mg)を順次加え、2時間還流した。反応液を放冷後、氷水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧下濃縮した後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=2:1)で精製することで、白色固体として表題化合物を得た(633mg)。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3) δ: 1.20 (3H, t, J = 7.0 Hz), 2.69 (1H, dd, J = 17.0, 4.2 Hz), 3.15 (1H, dd, J = 17.0, 9.1 Hz),3.54-3.60 (1H, m), 3.79 (3H, s), 3.81 (3H, s), 4.14-4.24 (2H, m), 4.54 (1H, d, J = 3.6 Hz), 6.86-6.92 (4H, m), 7.22 (2H, d, J = 11.5 Hz), 7.32 (2H, d, J = 9.1 Hz).
【0320】
<参考例19−1>
【0321】
【化52】
【0322】
(±)−トランス−1,3−ビス(4−メトキシフェニル)−5−オキソピロリジン−2−カルボン酸
(±)−トランス−1,3−ビス(4−メトキシフェニル)−5−オキソピロリジン−2−カルボン酸エチル(570mg)の メタノール溶液 (7.7mL)に、室温で2 mol/L水酸化ナトリウム水溶液 (1.5mL)mL) を加え、反応液とした。反応液を室温で4日間撹拌した。反応液を減圧濃縮した後、水、および2 mol/L塩酸を加えて酸性(pH1)とした。析出した固体をろ取し、水で洗浄したのち乾燥させることで、白色固体として表題化合物を得た(516mg)。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ:2.53 (1H, dd, J = 17.0, 6.7 Hz), 2.95 (1H, dd, J = 17.0, 9.1 Hz), 3.54-3.62 (1H, m), 3.73 (3H, s), 3.73 (3H, s), 4.64 (1H, d, J = 4.8 Hz), 6.88-6.94 (4H, m), 7.28 (2H, d, J = 9.1 Hz), 7.36 (2H, d, J = 9.1 Hz), 13.11(1H, br s).
【0323】
<参考例20−1>
【0324】
【化53】
【0325】
(±)−トランス−1,3−ビス(4−メトキシフェニル)−5−オキソピロリジン−2−カルボキサミド
(±)−トランス−1,3−ビス(4−メトキシフェニル)−5−オキソピロリジン−2−カルボン酸(155mg)の無水N,N−ジメチルホルムアミド溶液 (7.4mL)に、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(245mg)、および1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(308mg)を加え、反応液とした。反応液を室温で1時間撹拌した後、アンモニア水溶液(1.1mL)を加え、室温で2日間撹拌した。反応液に水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧下濃縮した後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:メタノール=20:1)で精製することで、白色固体として表題化合物を得た(408mg)。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3) δ: 2.71 (1H, dd, J = 17.0, 5.5 Hz), 3.15 (1H, dd, J = 17.0, 9.1 Hz), 3.60-3.70 (1H, m), 3.79 (3H, s), 3.81 (3H, s), 4.45 (1H, d, J = 3.6 Hz), 5.42 (1H, br s), 5.64 (1H, br s), 6.87-6.93 (4H, m), 7.23 (2H, d, J = 9.1 Hz), 7.39 (2H, d, J = 9.1 Hz).
【0326】
<参考例21−1>
【0327】
【化54】
【0328】
(±)−トランス−(1,3−ビス(4−メトキシフェニル)−5−オキソピロリジン−2−イル)カルバミン酸tert−ブチル
(±)−トランス−1,3−ビス(4−メトキシフェニル)−5−オキソピロリジン−2−カルボキサミド (155mg)の tert−ブタノール溶液 (1.2mL)に室温でピリジン(1.2mL) を加えた後、室温で [ビス(トリフルオロアセトキシ)ヨード]ベンゼン (293mg)を加え、反応液とした。反応液を90℃で 4時間撹拌した。反応液を放冷後、氷水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧下濃縮した後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=9:1〜1:1)で精製することで、白色固体として表題化合物を得た(94mg)。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3) δ: 1.30 (9H, s), 2.70 (1H, dd, J = 17.1, 7.9 Hz), 3.07 (1H, dd, J = 17.1, 8.6 Hz), 3.30-3.39 (1H, m), 3.79 (3H, s), 3.82 (3H, s), 4.80-4.94 (1H, m), 5.60-5.73 (1H, m), 6.90 (4H, d, J = 7.9 Hz), 7.22-7.33 (4H, m).
【0329】
<参考例22−1>
【0330】
【化55】
【0331】
(±)−トランス−[3−(4−メトキシフェニル)−5−オキソピロリジン−2−イル]カルバミン酸tert−ブチル
(±)−トランス−(1,3−ビス(4−メトキシフェニル)−5−オキソピロリジン−2−イル)カルバミン酸tert−ブチル(71.0mg) の アセトニトリル溶液(3.5 mL)に氷冷下で硝酸セリウム(IV)アンモニウム (189mg)の水溶液(3.5mL)を加え、反応液とした。反応液を氷冷下で3時間撹拌した。反応液に水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧下濃縮した後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=6:1〜3:1)で精製することで、白色固体として表題化合物を得た(29mg)。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3) δ: 1.43 (9H, s), 2.49 (1H, dd, J = 17.1, 7.9 Hz), 2.84 (1H, dd, J = 17.7, 9.2 Hz), 3.20 (1H, td, J = 7.9, 6.4 Hz), 3.80 (3H, s), 4.97-5.11 (1H, m), 5.19-5.29 (1H, m), 6.06-6.21 (1H, m), 6.89 (2H, d, J = 8. 6 Hz), 7.18 (2H, d, J = 8. 6 Hz).
【0332】
<参考例23−1>
【0333】
【化56】
【0334】
(E)−1,3−ジフルオロ−5−メトキシ−2−(2−ニトロビニル)ベンゼン
アルゴン雰囲気下、2,6−ジフルオロ−4−メトキシベンズアルデヒド(14.7g)の酢酸溶液(85mL)に、酢酸アンモニウム(11.2g)および、ニトロメタン(22.9mL)を加え、反応液とした。反応液を100℃で6時間撹拌した。反応液を減圧下濃縮した後、水を加えて析出した固体をろ取し、水で洗浄した。得られた固体を乾燥することで、黄色固体として表題化合物を得た(17.5g)。
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ: 3.87 (3H, s), 6.54-6.59 (2H, m), 7.77 (1H, d, J = 13.4 Hz), 8.11 (1H, d, J = 13.4 Hz).
【0335】
<参考例23−2>
【0336】
【化57】
【0337】
(E)−6−フルオロ−5−(2−ニトロビニル)−2,3−ジヒドロベンゾフラン
2,6−ジフルオロ−4−メトキシベンズアルデヒドの代わりに、6−フルオロ−2,3−ジヒドロベンゾフラン−5−カルバルデヒドを用いて参考例23−1と同様の方法に従うことで、表題化合物を得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 3.23 (2H, t, J = 8.9 Hz), 4.72 (2H, t, J = 8.9 Hz), 6.60 (1H, d, J = 11.6 Hz) 7.30 (1H, d, J = 6.7 Hz), 7.62 (1H, d, J = 13.4 Hz), 8.03 (1H, d, J = 13.4 Hz).
【0338】
<参考例24−1>
【0339】
【化58】
【0340】
(−)−(R)−2−[1−(4−メトキシフェニル)−2−ニトロエチル]マロン酸ジメチル
アルゴン雰囲気下、(E)−1−メトキシ−4−(2−ニトロビニル)ベンゼン(500mg)のトルエン溶液(2.8mL)に、マロン酸ジメチル(0.36mL)および、 ニッケル(II)ビス[(S、S)−N、N’−ジベンジルシクロヘキサン−1、2−ジアミン]ブロミド(68mg)を加え、反応液とした。反応液を室温で6時間攪拌した。溶媒を減圧下濃縮した後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル : ヘキサン = 4 : 1)で精製することで、無色液体として表題化合物を得た(865mg)。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3) δ: 3.57 (3H, s), 3.76 (3H, s), 3.78 (3H, s), 3.83 (1H, d, J = 9.1 Hz), 4.16-4.22 (1H, m), 4.83 (1H, dd, J = 12.7, 9.1 Hz), 4.89 (1H, dd, J = 12.7, 5.1 Hz), 6.84 (2H, d, J = 9.1 Hz), 7.14 (2H, d, J = 9.1 Hz).
[α]D25 -20 (c 0.26, EtOH)
【0341】
対応するニトロスチレン体を用い、参考例24−1と同様にして、以下の参考例24−2および24−3を得た。
これらの構造およびスペクトルデータを表7に示した。
【0342】
【表7】
【0343】
<参考例25−1>
【0344】
【化59】
【0345】
(−)−(3S,4R)−4−(4−メトキシフェニル)−2−オキソピロリジン−3−カルボン酸メチル
アルゴン雰囲気下、(R)−2−[1−(4−メトキシフェニル)−2−ニトロエチル]マロン酸ジメチル(1.7g)のメタノール溶液(110mL)に、ニッケル(II)クロライド6水和物(1.3g)を加え、反応液とした。反応液に、氷冷下、水素化ホウ素ナトリウム(1.03g)を数回に分けて加え、その後室温まで昇温し2時間攪拌した。反応液に飽和塩化アンモニウム水溶液、および酢酸エチルを加え、室温で1時間攪拌した。反応液を酢酸エチルで抽出し、水、および飽和食塩水で順次洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧下濃縮した後、粗生成物をエタノール−ジイソプロピルエーテルで洗浄することで、白色固体として表題化合物を得た( 840mg)。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3) δ: 3.40 (1H, t, J = 9.1 Hz), 3.53 (1H, d, J = 9.7 Hz), 3.76-3.81 (1H, m), 3.78 (3H, s), 3.80 (3H, s), 4.08 (1H, q, J = 8.9 Hz), 5.85 (1H, brs), 6.88 (2H, d, J = 8.5 Hz), 7.18 (2H, d, J = 8.5 Hz).
[α]D25 -96 (c 0.19, EtOH)
【0346】
対応するニトロ体を用い、参考例25−1と同様にして、以下の参考例25−2および25−3を得た。
これらの構造およびスペクトルデータを表8に示した。
【0347】
【表8】
【0348】
<参考例26−1>
【0349】
【化60】
【0350】
(−)−(3S,4R)−4−(4−メトキシフェニル)−2−オキソピロリジン−3−カルボン酸
(−)−(3S,4R)−4−(4−メトキシフェニル)−2−オキソピロリジン−3−カルボン酸メチル(130mg)のメタノール溶液(2.6mL)に、2 mol/L水酸化ナトリウム水溶液(0.52mL)を加え、反応液とした。反応液を60℃で1時間攪拌した。反応液に1 mol/L塩酸を加えて酸性(pH1)とし、酢酸エチルで抽出した。有機層を水、飽和食塩水で順次洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧下濃縮した後、粗生成物を酢酸エチル−ジイソプロピルエーテルで洗浄することで、白色固体として表題化合物を得た(112mg)。
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ: 3.16 (1H, t, J = 9.4 Hz), 3.42 (1H, d, J = 10.9 Hz), 3.55 (1H, t, J = 8.2 Hz), 3.72 (3H, s), 3.79 (1H, q, J = 9.5 Hz), 6.88 (2H, d, J = 8.5 Hz), 7.24 (2H, d, J = 8.5 Hz), 8.03 (1H, s), 12.54 (1H, brs).
[α]D27 -68 (c 0.15, EtOH)
【0351】
対応するエステルを用い、参考例26−1と同様にして、以下の参考例26−2および26−3を得た。
これらの構造およびスペクトルデータを表9に示した。
【0352】
【表9】
【0353】
<参考例27−1>
【0354】
【化61】
【0355】
(−)−[(3S,4R)−4−(4−メトキシフェニル)−2−オキソピロリジン−3−イル]カルバミン酸ベンジル
(−)−(3S,4R)−4−(4−メトキシフェニル)−2−オキソピロリジン−3−カルボン酸(6.04g)のトルエン溶液(128mL)に、トリエチルアミン(3.95mL)、およびジフェニルリン酸アジド(6.2mL)を加え、反応液とした。反応液を室温で4.5時間撹拌した。反応液について温度を80℃に昇温して30分間撹拌した後、ベンジルアルコール(13.3mL)を加え、120℃で5時間撹拌した。反応液を減圧下濃縮した後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル〜酢酸エチル:メタノール=10:1)で精製することで、白色固体として表題化合物を得た(6.3g)。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3) δ: 3.36 (1H, t, J = 9.1 Hz), 3.49-3.70 (2H, m), 3.80 (3H, s), 4.42 (1H, dd, J = 11.5, 8.5 Hz), 5.07 (2H, s), 5.16 (1H, brs), 5.98 (1H, brs), 6.89 (2H, d, J = 7.9 Hz), 7.22 (2H, d, J = 7.9 Hz), 7.20-7.40 (5H, m).
[α]D27 -79 (c 0.17, EtOH)
【0356】
対応するカルボン酸を用い、参考例27−1と同様にして、以下の参考例27−2および27−3を得た。
これらの構造およびスペクトルデータを表10に示した。
【0357】
【表10】
【0358】
<参考例28−1>
【0359】
【化62】
【0360】
[(6R,7S)−6−(2,6−ジフルオロ−4−メトキシフェニル)−3−エトキシ−3−メチル−3,5,6,7−テトラヒドロ−2H−ピロロ[2,1−c][1,2,4]トリアゾール−7−イル]カルバミン酸ベンジル
(−)−[(3S,4R)−4−(2,6−ジフルオロ−4−メトキシフェニル)−2−オキソピロリジン−3−イル]カルバミン酸ベンジル(605mg)のジクロロメタン懸濁液(8mL)に、トリエチルオキソニウムヘキサフルオロホスフェート(595mg)を加え、反応液とした。反応液を室温で20時間撹拌した。反応液に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加えて室温で30分間撹拌した後、ジクロロメタンで抽出した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、溶媒を減圧下濃縮することで中間体である[(3S,4R)−5−エトキシ−3−(2,6−ジフルオロ−4−メトキシフェニル)−3,4−ジヒドロ−2H−ピロロ−4−イル]カルバミン酸ベンジルを黄色油状物として得た。[(3R,4S)−5−エトキシ−3−(2,6−ジフルオロ−4−メトキシフェニル)−3,4−ジヒドロ−2H−ピロロ−4−イル]カルバミン酸ベンジル(40mg)のエタノール溶液(0.7mL)に、塩化アンモニウム(0.5mg)、およびヒドラジン一水和物(23μL)を加え、反応液とした。反応液を室温で18時間撹拌した。反応液を減圧下濃縮した後、残渣のエタノール溶液(0.8mL)にオルト酢酸エチル(28μL)を加えて3時間加熱還流した。溶媒を減圧下濃縮した後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル : ヘキサン =1:1)で精製することで、無色油状物として表題化合物を得た(27mg)。
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ: 1.30 (3H, t, J = 7.3 Hz), 2.06 (3H, s), 3.52-3.72 (3H, m), 3.77 (3H, s), 4.12 (2H, q, J = 7.3 Hz), 5.02 (2H, s), 5.09 (1H, dd, J = 10.4, 7.3 Hz), 5.24 (1H, s), 5.62 (1H, s), 6.40-6.49 (2H, m), 7.30 (5H, s).
【0361】
<参考例29−1>
【0362】
【化63】
【0363】
[(6R,7S)−6−(2,6−ジフルオロ−4−メトキシフェニル)−3−メチル−6,7−ジヒドロ−5H−ピロロ[2,1−c][1,2,4]トリアゾール−7−イル]カルバミン酸ベンジル
[(6R,7S)−6−(2,6−ジフルオロ−4−メトキシフェニル)−3−エトキシ−3−メチル−3,5,6,7−テトラヒドロ−2H−ピロロ[2,1−c][1,2,4]トリアゾール−7−イル]カルバミン酸ベンジル(27mg)のトルエン溶液(1mL)に、p−トルエンスルホン酸(1mg)を加え、反応液とした。反応液を5時間加熱還流した。反応液を減圧下濃縮した後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:メタノール=4:1)で精製することで、無色油状物として表題化合物を得た(10mg)。
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ: 2.45 (3H, s), 3.81 (3H, s), 3.98-4.09 (1H, m), 4.17-4.30 (1H, m), 4.40-4.50 (1H, m), 5.00-5.13 (2H, m), 5.39-5.48 (2H, m), 6.52 (2H, d, J = 10.4 Hz), 7.29-7.39 (5H, m).
【0364】
<参考例30−1>
【0365】
【化64】
【0366】
[(6R,7S)−6−(4−メトキシフェニル)−6,7−ジヒドロ−5H−ピロロ[1,2−d]テトラゾール−7−イル]カルバミン酸ベンジル
(−)−[(3S,4R)−4−(4−メトキシフェニル)−2−オキソピロリジン−3−イル]カルバミン酸ベンジル(500mg)のジクロロメタン懸濁液(3.7mL)に、トリエチルオキソニウムヘキサフルオロホスフェート (446mg)を加え、反応液とした。反応液を室温で20時間撹拌した。反応液に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加えて室温で30分間撹拌した後、ジクロロメタンで抽出した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、溶媒を減圧下濃縮することで中間体である[(3R,4S)−5−エトキシ−3−(4−メトキシフェニル)−3,4−ジヒドロ−2H−ピロロ−4−イル]カルバミン酸ベンジルを黄色油状物として得た。[(3R,4S)−5−エトキシ−3−(4−メトキシフェニル)−3,4−ジヒドロ−2H−ピロロ−4−イル]カルバミン酸ベンジル(325mg)の酢酸溶液(1.2mL)にアジ化ナトリウム(177mg)を加え、反応液とした。反応液を60℃で5時間撹拌した。反応液に氷冷下で酢酸エチル、および炭酸カリウム水溶液を加えてアルカリ性(pH9)とし、酢酸エチルで抽出した。有機層を水および飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧下濃縮した後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=1:1)で精製することで、無色油状物として表題化合物を得た(160mg)。
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ: 3.75 (3H, s), 4.21-4.36 (2H, m), 4.89 (1H, dd, J = 9.7, 7.9 Hz), 5.00 (1H, d, J = 12.7 Hz), 5.05 (1H, d, J = 12.7 Hz), 5.34 (1H, m), 6.94 (2H, d, J = 8.5 Hz), 7.25-7.38 (5H, m), 7.42 (2H, d, J = 8.5 Hz), 8.14 (1H, d, J = 9.1 Hz).
【0367】
対応するCbz体を用い、参考例30−1と同様にして、以下の参考例30−2および30−3を得た。
これらの構造およびスペクトルデータを表11に示した。
【0368】
【表11】
【0369】
<参考例31−1>
【0370】
【化65】
【0371】
{(3R,4S)−3−(2,6−ジフルオロ−4−メトキシフェニル)−5−[(2,2−ジメトキシエチル)アミノ]−3,4−ジヒドロ−2H−ピロロ−4−イル}カルバミン酸ベンジル
参考例28−1の方法に従って得られた、[(3R,4S)−5−エトキシ−3−(2,6−ジフルオロ−4−メトキシフェニル)−3,4−ジヒドロ−2H−ピロロ−4−イル]カルバミン酸ベンジル(56mg)のエタノール溶液(0.7mL)に塩化アンモニウム(0.4mg)およびアミノアセトアルデヒドジメチルアセタール(18μL)を加え、反応液とした。反応液を室温で18時間撹拌した。反応液を減圧下濃縮した後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=1:1)で精製することで、無色油状物として表題化合物を得た(51mg)。
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ: 3.40-3.62 (9H, m), 3.66-3.76 (1H, m), 3.79 (3H, s), 3.86-3.98 (1H, m), 4.54 (1H, t, J = 5.2 Hz), 4.98 (1H, d, J = 7.3 Hz), 5.04-5.16 (3H, m), 6.47 (2H, d, J = 9.8 Hz), 7.30-7.42 (5H, m).
【0372】
対応するアミンを用い、参考例31−1と同様な方法で実施し、以下の参考例31−2から31−4を得た。
【0373】
これらの構造およびスペクトルデータを表12に示した。
【0374】
【表12】
【0375】
<参考例32−1>
【0376】
【化66】
【0377】
[(6R,7S)−6−(2,6−ジフルオロ−4−メトキシフェニル)−6,7−ジヒドロ−5H−ピロロ[1,2−a]イミダゾール−7−イル]カルバミン酸ベンジル
{(3R,4S)−3−(2,6−ジフルオロ−4−メトキシフェニル)−5−[(2,2−ジメトキシエチル)アミノ]−3,4−ジヒドロ−2H−ピロロ−4−イル}カルバミン酸ベンジル(51mg)に、1 mol/L塩酸(1.1mL)を加え、反応液とした。反応液を6時間加熱還流した。反応液に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加えて中和した後、酢酸エチルで抽出した。有機層を水、飽和食塩水で順次洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧下濃縮した後、残渣をアミノプロピル化シリカゲルカラムクロマトグラフィー (ヘキサン:酢酸エチル=1:1) で精製することで、無色油状物として表題化合物を得た(13mg)。
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ: 3.79 (3H, s), 4.17-4.27 (1H, m), 4.27-4.35 (1H, m), 5.00-5.08 (2H, m), 5.30-5.42 (2H, m), 6.49 (2H, d, J = 9.8 Hz), 6.93 (1H, s), 7.15 (1H, s), 7.34 (5H, t, J = 14.4 Hz).
【0378】
<参考例33−1>
【0379】
【化67】
【0380】
{(3S,4R,Z)−4−(2,6−ジフルオロ−4−メトキシフェニル)−2−[(2−イオドエトキシ)イミノ]ピロリジン−3−イル}カルバミン酸ベンジル
アルゴン雰囲気下、{(3S,4R,Z)−4−(2,6−ジフルオロ−4−メトキシフェニル)−2−[(2−ヒドロキシエトキシ)イミノ]ピロリジン−3−イル}カルバミン酸ベンジル(44mg)のテトラヒドロフラン溶液(1.0mL)に氷冷下にてイミダゾール(14mg)、トリフェニルホスフィン(53mg)およびヨウ素 (51mg)を加え、反応液とした。反応液を室温にて2時間攪拌した。反応溶液に飽和チオ硫酸ナトリウム水溶液を加えた後、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧下濃縮した後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー (ヘキサン:酢酸エチル=2:1) で精製することで、無色油状物として表題化合物を得た(40mg)。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ: 3.32-3.50 (2H, m), 3.58-3.71 (1H, m), 3.77 (3H, s), 3.97-4.05 (2H, m), 4.83-4.99 (3H, m), 6.67-6.86 (3H, m), 7.21-7.36 (5H, m), 7.70 (1H, d, J = 9.2 Hz).
【0381】
<参考例34−1>
【0382】
【化68】
【0383】
[(7R,8S)−7−(2,6−ジフルオロ−4−メトキシフェニル)−4,6,7,8−テトラヒドロ−3H−ピロロ[2,1−c][1,2,4]オキサジアジン−8−イル]カルバミン酸ベンジル
アルゴン雰囲気下、{(3S,4R,Z)−4−(2,6−ジフルオロ−4−メトキシフェニル)−2−[(2−イオドエトキシ)イミノ]ピロリジン−3−イル}カルバミン酸ベンジル(40mg)のN,N−ジメチルホルムアミド溶液(1.5mL)に氷冷下にてtert−ブトキシカリウム(16.5mg)を加え、反応液とした。反応液を室温にて2時間攪拌した。反応溶液に水を加えた後、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧下濃縮した後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー (ヘキサン:酢酸エチル=1:1) で精製することで、無色油状物として表題化合物を得た(23mg)。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ: 3.27-3.40 (4H, m), 3.49-3.72 (2H, m), 3.77 (3H, s), 3.82-3.90 (1H, m), 4.89-4.99 (3H, m), 6.76 (2H, d, J = 11.0 Hz), 7.22-7.35 (5H, m), 7.76 (1H, d, J = 9.2 Hz).
【0384】
<参考例35−1>
【0385】
【化69】
【0386】
[(7R,8S)−7−(2,6−ジフルオロ−4−メトキシフェニル)−2,3,4,6,7,8−ヘキサヒドロピロロ[1,2−a]ピリミジン−8−イル]カルバミン酸ベンジル
参考例28−1の方法に従って得られた、[(3R,4S)−5−エトキシ−3−(2,6−ジフルオロ−4−メトキシフェニル)−3,4−ジヒドロ−2H−ピロロ−4−イル]カルバミン酸ベンジル(59mg)のエタノール溶液(0.3mL)に塩化アンモニウム(1mg)および3−ブロモプロピルアミン塩化臭素酸塩(35mg)を加え、反応液とした。反応液を室温で2時間攪拌した後、炭酸カリウム(61mg)を加え、更に18時間撹拌した。反応液に水を加えた後、酢酸エチルで抽出した。有機層を水、飽和食塩水で順次洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧下濃縮した後、残渣をアミノプロピル化シリカゲルカラムクロマトグラフィー (酢酸エチル : メタノール =4:1) で精製することで、無色油状物として表題化合物を得た(27mg)。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ: 1.60-1.73 (2H, m), 3.09-3.24 (4H, m), 3.32-3.44 (2H, m), 3.47-3.61 (1H, m), 3.76 (3H, s), 4.66 (1H, t, J = 9.8 Hz), 4.92 (2H, s), 6.74 (2H, d, J = 11.0 Hz), 7.22-7.35 (5H, m), 7.49 (1H, d, J = 9.2 Hz).
【0387】
<参考例36−1>
【0388】
【化70】
【0389】
((3S,4R,Z)−2−{[(tert−ブチルジメチルシリル)オキシ]イミノ}−4−(4−メトキシフェニル)ピロリジン−3−イル)カルバミン酸ベンジル
参考例30−1と同様の方法に従うことで得られた[(3R,4S)−5−エトキシ−3−(4−メトキシフェニル)−3,4−ジヒドロ−2H−ピロロ−4−イル]カルバミン酸ベンジルに、反応試薬としてアミノアセトアルデヒドジメチルアセタールの代わりに、O−(tert−ブチルジメチルシリル)ヒドロキシルアミンを用いて参考例31−1と同様の方法に従うことで、表題化合物を得た。
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ: 0.05 (6H, s), 0.90 (9H, s), 3.18 (1H, t, J = 9.1 Hz), 3.22-3.40 (1H, m), 3.49 (1H, t, J = 8.2 Hz), 3.72 (3H, s), 4.55 (1H, t, J = 9.7 Hz), 4.91 (1H, d, J = 13.3 Hz), 5.03 (1H, d, J = 13.3 Hz), 6.49 (1H, s), 6.86 (2H, d, J = 8.5 Hz), 7.20-7.33 (7H, m), 7.58 (1H, d, J = 9.1 Hz).
【0390】
<参考例37−1>
【0391】
【化71】
【0392】
1−((3S,4R,Z)−2−{[(tert−ブチルジメチルシリル)オキシ]イミノ}−4−(4−メトキシフェニル)ピロリジン−3−イル)−3−(4−フルオロフェニル)ウレア
[(6R,7S)−6−(2,6−ジフルオロ−4−メトキシフェニル)−3−メチル−6,7−ジヒドロ−5H−ピロロ[2,1−c][1,2,4]トリアゾール−7−イル]カルバミン酸ベンジルの代わりに、((3S,4R,Z)−2−{[(tert−ブチルジメチルシリル)オキシ]イミノ}−4−(4−メトキシフェニル)ピロリジン−3−イル)カルバミン酸ベンジルを用いて実施例7−1と同様の方法に従うことで、表題化合物を得た。
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ: 0.04 (3H, s), 0.05 (3H, s), 0.89 (9H, s), 3.17 (1H, t, J = 8.8 Hz), 3.28-3.37 (1H, m), 3.53 (1H, t, J = 8.5 Hz), 3.71 (3H, s), 4.74 (1H, t, J = 9.1 Hz), 6.34 (1H, d, J = 9.1 Hz), 6.56 (1H, s), 6.86 (2H, d, J = 8.5 Hz), 7.00-7.04 (2H, m), 7.27 (2H, d, J = 8.5 Hz), 7.30-7.34 (2H, m), 8.45 (1H, s).
【0393】
<参考例38−1>
【0394】
【化72】
【0395】
(−)−1−(4−フルオロフェニル)−3−[(3S,4R,Z)−2−(2−ヒドロキシイミノ)−4−(4−メトキシフェニル)ピロリジン−3−イル]ウレア
1−((3S,4R,Z)−2−{[(tert−ブチルジメチルシリル)オキシ]イミノ}−4−(4−メトキシフェニル)ピロリジン−3−イル)−3−(4−フルオロフェニル)ウレア(290mg)の1,4−ジオキサン溶液(1.5mL)に水(1.35mL)、およびトリフルオロ酢酸(135μL)を加え、反応液とした。反応液を室温で30分間撹拌した。反応液に、氷冷下で飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加えて、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧下濃縮した後、残渣をジイソプロピルエーテルで洗浄することで、白色固体として表題化合物を得た(212mg)。
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ: 3.19 (1H, t, J = 9.1 Hz), 3.30 (1H, q, J = 8.7 Hz), 3.55 (1H, t, J = 8.2 Hz), 3.76 (3H, s), 4.80 (1H, t, J = 9.4 Hz), 6.37 (1H, d, J = 9.1 Hz), 6.43 (1H, s), 6.92 (2H, d, J = 8.5 Hz), 7.04-7.10 (2H, m), 7.32 (2H, d, J = 8.5 Hz), 7.36-7.40 (2H, m), 8.49 (1H, s), 8.89 (1H, s).
MS (ESI+) m/z: 359 (MH+).
【0396】
<参考例39−1>
【0397】
【化73】
【0398】
3−((Z)−{(3S,4R)−4−(2,6−ジフルオロ−4−メトキシフェニル)−3−[3−(4−フルオロフェニル)ウレイド]ピロリジン−2−イリデン}アミノ)プロピオン酸エチル
[(6R,7S)−6−(2,6−ジフルオロ−4−メトキシフェニル)−3−メチル−6,7−ジヒドロ−5H−ピロロ[2,1−c][1,2,4]トリアゾール−7−イル]カルバミン酸ベンジルの代わりに、3−((Z)−{(3S,4R)−3−[(ベンジルオキシカルボニル)アミノ]−4−(2,6−ジフルオロ−4−メトキシフェニル)ピロリジン−2−イリデン}アミノ)プロピオン酸エチルを用いて実施例7−1と同様の方法に従うことで、表題化合物を得た。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ: 1.17 (3H, t, J = 7.3 Hz), 2.65 (2H, t, J = 7.3 Hz), 3.42-3.53 (2H, m), 3.57-3.66 (1H, m), 3.75 (3H, s), 3.86-3.93 (1H, m), 3.97-4.10 (3H, m), 5.18 (1H, t, J = 8.6 Hz), 6.70 (1H, d, J = 8.6 Hz), 6.77 (2H, d, J = 11.0 Hz), 7.04 (2H, t, J = 8.6 Hz), 7.33-7.37 (2H, m), 8.99 (1H, s).
【0399】
<実施例1−1>
【0400】
【化74】
【0401】
(±)−シス−1−(4−クロロフェニル)−3−[4−(4−メトキシフェニル)テトラヒドロフラン−3−イル]ウレア
アルゴン雰囲気下、(±)−シス−4−(4−メトキシフェニル)テトラヒドロフラン−3−カルボン酸(447mg)のトルエン溶液(6.7mL)に、トリエチルアミン(336μL)、およびジフェニルリン酸アジド(476μL)を加え、反応液とした。反応液を室温で2時間撹拌した後、100℃で30分間攪拌した。反応液を室温まで放冷した後に4−クロロアニリン(256mg)を加え、1時間加熱還流した。反応液をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル = 2:1 〜1:20)で精製して得られた粗精製物をジイソプロピルエーテルで洗浄することで、白色固体として表題化合物を得た(502mg)。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ: 3.49-3.59 (2H, m), 3.70 (3H, s), 3.89 (1H, t, J = 7.9 Hz), 4.00 (1H, dd, J = 8.5, 6.1 Hz), 4.15 (1H, t, J = 8.5 Hz), 4.51-4.57 (1H, m), 5.89 (1H, d, J = 8.5 Hz), 6.87 (2H, d, J = 8.5 Hz), 7.15 (2H, d, J = 8.5 Hz), 7.20 (2H, d, J = 9.1 Hz), 7.28 (2H, d, J = 9.1 Hz), 8.43 (1H, s).
MS (ESI+) m/z: 347 (MH)+.
【0402】
対応する芳香族アミン体を用い、実施例1−1と同様にして、以下の実施例1−2から1−11を得た。
これらの構造およびスペクトルデータを表13〜表16に示した。
【0403】
【表13】
【0404】
【表14】
【0405】
【表15】
【0406】
【表16】
【0407】
<実施例2−1>
【0408】
【化75】
【0409】
(+)−シス−1−(4−クロロフェニル)−3−[4−(4−メトキシフェニル)テトラヒドロフラン−3−イル]ウレア
(−)−シス−1−(4−クロロフェニル)−3−[4−(4−メトキシフェニル)テトラヒドロフラン−3−イル]ウレア
実施例1−1で得られた(±)−シス−1−(4−クロロフェニル)−3−[4−(4−メトキシフェニル)テトラヒドロフラン−3−イル]ウレアを、光学異性体分離用カラム(CHIRALPAK ID)を用いて高速液体クロマトグラフィー(メチルtert−ブチルエーテル:エタノール:ヘキサン=65:3:32,流速20.0 mL)により光学分割を行うことで、保持時間26.20分の異性体A(+)、および保持時間41.76分の異性体B(−)として、それぞれ白色固体として表題化合物を得た。
異性体A(+):
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ: 3.49-3.59 (2H, m), 3.70 (3H, s), 3.89 (1H, t, J = 7.9 Hz), 4.00 (1H, dd, J = 8.5, 6.1 Hz), 4.15 (1H, t, J = 8.5 Hz), 4.51-4.57 (1H, m), 5.89 (1H, d, J = 8.5 Hz), 6.87 (2H, d, J = 8.5 Hz), 7.15 (2H, d, J = 8.5 Hz), 7.20 (2H, d, J = 9.1 Hz), 7.28 (2H, d, J = 9.1 Hz), 8.43 (1H, s).
MS (ESI+) m/z: 347 (MH)+.
[α]D24 +130 (c 0.35, EtOH)
異性体B(−):
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ: 3.49-3.59 (2H, m), 3.70 (3H, s), 3.89 (1H, t, J = 7.9 Hz), 4.00 (1H, dd, J = 8.5, 6.1 Hz), 4.15 (1H, t, J = 8.5 Hz), 4.51-4.57 (1H, m), 5.89 (1H, d, J = 8.5 Hz), 6.87 (2H, d, J = 8.5 Hz), 7.15 (2H, d, J = 8.5 Hz), 7.20 (2H, d, J = 9.1 Hz), 7.28 (2H, d, J = 9.1 Hz), 8.43 (1H, s).
MS (ESI+) m/z: 347 (MH)+.
[α]D24 -129 (c 0.35, EtOH)
【0410】
<実施例3−1>
【0411】
【化76】
【0412】
(+)−シス−1−(4−フルオロフェニル)−3−[4−(4−メトキシフェニル)テトラヒドロフラン−3−イル]ウレア
(−)−シス−1−(4−フルオロフェニル)−3−[4−(4−メトキシフェニル)テトラヒドロフラン−3−イル]ウレア
4−クロロアニリンの代わりに、4−フルオロアニリンを用いて、実施例1−1と同様の方法に従って得られた(±)−シス−1−(4−フルオロフェニル)−3−[4−(4−メトキシフェニル)テトラヒドロフラン−3−イル]ウレアを、光学異性体分離用カラム(CHIRALPAK ID)を用いて高速液体クロマトグラフィー(メチルtert−ブチルエーテル:エタノール=95:5,流速20.0mL)により光学分割を行うことで、保持時間11.44分の異性体A(+)、および保持時間14.50分の異性体B(−)として、それぞれ白色固体として表題化合物を得た。
異性体A(+):
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ: 3.49-3.58 (2H, m), 3.70 (3H, s), 3.89 (1H, dd, J = 8.5, 7.3 Hz), 4.00 (1H, dd, J = 8.5, 6.1 Hz), 4.15 (1H, dd, J = 8.5, 7.3 Hz), 4.50-4.57 (1H, m), 5.82 (1H, d, J = 9.1 Hz), 6.87 (2H, d, J = 9.1 Hz), 6.96-7.03 (2H, m), 7.15 (2H, d, J = 9.1 Hz), 7.22-7.28 (2H, m), 8.32 (1H, s).
MS (ESI+) m/z: 331 (MH)+.
[α]D24 +101 (c 0.35, EtOH)
異性体B(−):
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ: 3.49-3.58 (2H, m), 3.70 (3H, s), 3.89 (1H, dd, J = 8.5, 7.3 Hz), 4.00 (1H, dd, J = 8.5, 6.1 Hz), 4.15 (1H, dd, J = 8.5, 7.3 Hz), 4.50-4.57 (1H, m), 5.82 (1H, d, J = 9.1 Hz), 6.87 (2H, d, J = 9.1 Hz), 6.96-7.03 (2H, m), 7.15 (2H, d, J = 9.1 Hz), 7.22-7.28 (2H, m), 8.32 (1H, s).
MS (ESI+) m/z: 331 (MH)+.
[α]D24 -104 (c 0.35, EtOH)
【0413】
<実施例4−1>
【0414】
【化77】
【0415】
(+)−シス−1−(4−フルオロフェニル)3−[4−(4−メトキシフェニル)−2,2−ジメチルテトラヒドロフラン−3−イル]ウレア
(−)−シス−1−(4−フルオロフェニル)3−[4−(4−メトキシフェニル)−2,2−ジメチルテトラヒドロフラン−3−イル]ウレア
(±)−シス−4−(4−メトキシフェニル)テトラヒドロフラン−3−カルボン酸の代わりに、(±)−シス−4−(4−メトキシフェニル)−2,2−ジメチルテトラヒドロフラン−3−カルボン酸を用いて、実施例1−1と同様の方法に従って得られた(±)−シス−1−(4−フルオロフェニル)3−[4−(4−メトキシフェニル)−2,2−ジメチルテトラヒドロフラン−3−イル]ウレアを、光学異性体分離用カラム(CHIRALPAK IA)を用いて高速液体クロマトグラフィー(エタノール:ヘキサン=20:80,流速10.0mL)により光学分割を行うことで、保持時間約12分の異性体A(+)、および保持時間約14分の異性体B(−)として、それぞれ白色固体として表題化合物を得た。
異性体A(+):
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ: 1.09 (3H, s), 1.28 (3H, s), 3.69 (3H, s), 3.73-3.81 (1H, m), 3.89 (1H, t, J = 8.8 Hz), 4.12 (1H, dd, J = 8.8, 7.3 Hz), 4.27 (1H, dd, J = 10.3, 6.7 Hz), 5.86 (1H, d, J = 10.3 Hz), 6.85 (2H, d, J = 8.5 Hz), 6.96-7.03 (2H, m), 7.15 (2H, d, J = 8.5 Hz), 7.24-7.28 (2H, m), 8.32 (1H, s)
MS (FD+) m/z: 358 (M)+.
[α]D24 +102 (c 0.33, EtOH)
異性体B(−):
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ: 1.09 (3H, s), 1.28 (3H, s), 3.69 (3H, s), 3.73-3.81 (1H, m), 3.89 (1H, t, J = 8.8 Hz), 4.12 (1H, dd, J = 8.8, 7.3 Hz), 4.27 (1H, dd, J = 10.3, 6.7 Hz), 5.86 (1H, d, J = 10.3 Hz), 6.85 (2H, d, J = 8.5 Hz), 6.96-7.03 (2H, m), 7.15 (2H, d, J = 8.5 Hz), 7.24-7.28 (2H, m), 8.32 (1H, s)
MS (FD+) m/z: 358 (M)+.
[α]D24 -103 (c 0.37, EtOH)
【0416】
<実施例5−1>
【0417】
【化78】
【0418】
(±)−シス−1−[4−(4−クロロフェニル)テトラヒドロフラン−3−イル]−3−(4−フルオロフェニル)ウレア
アルゴン雰囲気下、(±)−シス−4−(4−クロロフェニル)テトラヒドロフラン−3−アミン(200mg)のテトラヒドロフラン溶液(5mL)に、氷冷下にて4−フルオロフェニルイソシアネート(0.115mL)を加え、反応液とした。反応液を室温にて1時間攪拌した。反応液を減圧下濃縮した後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル : ヘキサン =1:1)にて精製し、白色固体として表題化合物を得た(270mg)。
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ:3.53-3.62 (2H, m), 3.91 (1H, dd, J = 8.5, 7.3 Hz), 4.02 (1H, dd, J = 8.5, 6.7 Hz), 4.16 (1H, dd, J = 8.5, 7.3 Hz), 4.55-4.64 (1H, m), 5.91 (1H, d, J = 8.5 Hz), 7.00 (2H, t, J = 8.5 Hz), 7.20-7.27 (4H, m), 7.36(2H, d, J = 8.5 Hz), 8.24 (1H, s).
MS (ESI+) m/z: 335 (MH)+.
【0419】
対応する芳香族アミン体を用い、実施例5−1と同様にして、以下の実施例5−2から5−4を得た。
これらの構造およびスペクトルデータを表17に示した。
【0420】
【表17】
【0421】
<実施例6−1>
【0422】
【化79】
【0423】
(±)−トランス−1−(4−フルオロフェニル)−3−[3−(4−メトキシフェニル)−5−オキソピロリジン−2−イル]ウレア
(±)−トランス−[3−(4−メトキシフェニル)−5−オキソピロリジン−2−イル]カルバミン酸tert−ブチル(30mg)のジクロロメタン溶液(0.5mL)にトリフルオロ酢酸(0.5mL)を加え、反応液とした。反応液を氷冷下で1.5時間撹拌した。反応液を減圧下濃縮した後、残渣に酢酸エチルおよび、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加えて水層のpHを9とした。2層の溶液に4−フルオロフェニルイソシアネート(20μL)を加え、室温で1時間撹拌した後、酢酸エチルで抽出した。有機層を水、および飽和食塩水で順次洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧下濃縮した後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル : ヘキサン =4:1〜酢酸エチル〜酢酸エチル:メタノール=95:5)で精製することで、白色固体として表題化合物を得た(26mg)。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ: 2.33 (1H, dd, J = 16.5, 9.2 Hz), 2.61 (1H, dd, J = 16.5, 9.2 Hz), 3.22-3.35 (1H, m), 3.71 (3H, s), 5.24 (1H, t, J = 9.2 Hz), 6.84-6.94 (3H, m), 7.04 (2H, t, J = 8.9 Hz), 7.24 (2H, d, J = 8. 6 Hz), 7.37 (2H, dd, J = 9.2, 5.5 Hz), 8.18 (1H, s), 8.52 (1H, s) .
【0424】
<実施例7−1>
【0425】
【化80】
【0426】
(−)−1−[(6R,7S)−6−(2,6−ジフルオロ−4−メトキシフェニル)−3−メチル−6,7−ジヒドロ−5H−ピロロ[2,1−c][1,2,4]トリアゾール−7−イル]−3−(4−フルオロフェニル)ウレア
[(6R,7S)−6−(2,6−ジフルオロ−4−メトキシフェニル)−3−メチル−6,7−ジヒドロ−5H−ピロロ[2,1−c][1,2,4]トリアゾール−7−イル]カルバミン酸ベンジル(10mg)のエタノール溶液(0.5mL)に10%パラジウムカーボン(2mg)を加え、水素雰囲気下で3時間撹拌した。反応液をセライトろ過し、溶媒を留去して無色油状の中間体化合物(6R,7S)−6−(2,6−ジフルオロ−4−メトキシフェニル)−3−メチル−6,7−ジヒドロ−5H−ピロロ[2,1−c][1,2,4]トリアゾール−7−アミンを得た。得られた(6R,7S)−6−(2,6−ジフルオロ−4−メトキシフェニル)−3−メチル−6,7−ジヒドロ−5H−ピロロ[2,1−c][1,2,4]トリアゾール−7−アミン(7.3mg)のテトラヒドロフラン溶液(0.5mL)に、4−フルオロフェニルイソシアネート(2.7μL)を加えて、反応液とした。反応液を室温で20分間撹拌した。反応液を減圧下濃縮した後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=4:1〜酢酸エチル)で精製することで、白色固体として表題化合物を得た(5.4mg)。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ: 2.32 (3H, s), 3.77 (3H, s), 3.91 (1H, dd, J = 10.4, 8.6 Hz), 4.31-4.46 (2H, m), 5.38 (1H, t, J = 7.9 Hz), 6.79 (2H, d, J = 11.0 Hz), 6.88-6.95 (1H, m), 7.03 (2H, t, J = 9.2 Hz), 7.32-7.37 (2H, m), 8.85 (1H, s).
MS (ESI+) m/z: 418 (MH)+.
[α]D27 -79 (c 0.20, EtOH).
【0427】
対応するCbz体を用い、実施例7−1と同様にして、以下の実施例7−2から7−7を得た。
これらの構造およびスペクトルデータを表18および表19に示した。
【0428】
【表18】
【0429】
【表19】
【0430】
<実施例8−1>
【0431】
【化81】
【0432】
(−)−1−[(7R,8S)−7−(2,6−ジフルオロ−4−メトキシフェニル)−4−オキソ−4,6,7,8−テトラヒドロ−3H−ピロロ[2,1−c][1,2,4]オキサジアジン−8−イル]−3−(4−フルオロフェニル)ウレア
[(6R,7S)−6−(2,6−ジフルオロ−4−メトキシフェニル)−3−メチル−6,7−ジヒドロ−5H−ピロロ[2,1−c][1,2,4]トリアゾール−7−イル]カルバミン酸ベンジルの代わりに、2−(((Z)−{(3S,4R)−3−[(ベンジルオキシカルボニル)アミノ]−4−(2,6−ジフルオロ−4−メトキシフェニル)ピロリジン−2−イリデン}アミノ)オキシ)酢酸エチルを用いて実施例7−1と同様の方法に従うことで、表題化合物を得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ: 3.77 (3H, s), 3.78-3.86 (2H, m), 4.06-4.18 (2H, m), 4.25-4.34 (1H, m), 5.03-5.10 (1H, m), 6.47 (2H, d, J = 10.4 Hz), 6.88-6.96 (2H, m), 7.34-7.40 (2H, m), 7.70 (1H, d, J = 2.4 Hz), 8.69 (1H, s).
MS (ESI+) m/z: 435 (MH+).
[α]D25 -89 (c 0.12, EtOH).
【0433】
<実施例9−1>
【0434】
【化82】
【0435】
(−)−1−[(7R,8S)−7−(2,6−ジフルオロ−4−メトキシフェニル)−4−オキソ−2,3,4,6,7,8−ヘキサヒドロピロロ[1,2−a]ピリミジン−8−イル]−3−(4−フルオロフェニル)ウレア
3−((Z)−{(3S,4R)−4−(2,6−ジフルオロ−4−メトキシフェニル)−3−[3−(4−フルオロフェニル)ウレイド]ピロリジン−2−イリデン}アミノ)プロピオン酸エチル(12mg)のN,N−ジメチルホルムアミド溶液(0.3mL)に炭酸セシウム(9.8mg)を加え、室温で1日撹拌した。反応液に酢酸エチルを加え、有機層を水、飽和食塩水で順次洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧下濃縮した後、残渣をジイソプロピルエーテルで洗浄することで、白色固体として表題化合物を得た(10mg)。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3) δ: 2.51-2.59 (2H, m), 3.70-3.74 (4H, m), 3.75 (3H, s), 4.12 (1H, d, J = 9.2 Hz), 5.22 (1H, s), 6.50 (2H, d, J = 10.4 Hz), 6.88-6.96 (2H, m), 7.13-7.21 (2H, m).
MS (ESI+) m/z: 433 (MH)+.
[α]D25 -108 (c 0.10, EtOH).
【0436】
<実施例10−1>
【0437】
【化83】
【0438】
1−(4−フルオロフェニル)−3−[(7R,8S)−7−(4−メトキシフェニル)−4−オキソ−4,6,7,8−テトラヒドロ−3H−ピロロ[2,1−c][1,2,4]オキサジアジン−8−イル]ウレア
(−)−1−(4−フルオロフェニル)−3−[(3S,4R,Z)−2−(2−ヒドロキシイミノ)−4−(4−メトキシフェニル)ピロリジン−3−イル]ウレア(84mg)のN,N−ジメチルホルムアミド溶液(0.6mL)に炭酸セシウム(91mg)を加え、反応液とした。反応液を室温にて30分間撹拌した後、ブロモ酢酸エチル(31μL)を加え、室温で1日撹拌した。反応液に酢酸エチルを加え、有機層を水、飽和食塩水で順次洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧下濃縮した後、残渣をジイソプロピルエーテルで洗浄することで、白色固体として表題化合物を得た(59mg)。
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ: 3.44-3.58 (2H, m), 3.72 (3H, s), 4.11 (1H, m), 4.21 (1H, d, J = 15.7 Hz), 4.44 (1H, d, J = 15.7 Hz), 5.30 (1H, m), 6.64 (1H, d, J = 9.1 Hz), 6.91 (2H, d, J = 9.1 Hz), 7.03 (2H, m), 7.31-7.37 (4H, m), 8.65 (1H, s).
MS (ESI+) m/z: 399 (MH)+.
【0439】
次に本発明化合物について、有用性を裏付ける成績を試験例によって示す。
【0440】
<試験例1>
ヒトFPRL1に対するアゴニスト活性測定試験
(1−1)ヒトFPRL1発現ベクターの構築
単球性白血病細胞株THP-1(TIB-202、ATCC)由来のcDNAを鋳型とし、配列番号1に示したフォワードプライマーと配列番号2に示したリバースプライマーを使用し、KOD -plus- ver.2(KOD-211、TOYOBO)を用いたPCR反応によりヒトFPRL(配列番号3)を増幅した。増幅したPCR産物及びpCMV-script vector(212220、STRATAGENE)をHind III(1060A、TaKaRa)及びXhoI(1094A、TaKaRa)を用いて消化し、得られた消化物はLigation high ver.2(LGK-201、TOYOBO)を用いてラーゲーションさせた。ラーゲーション産物はDH5α(DNA-901、TOYOBO)に形質転換し、100 μg/mL kanamycin 含有のLB培地で培養後、HiSpeed Plasmid Maxi Kit(12662、QIAGEN)を用いて精製した。
【0441】
(1−2)ヒトGα15発現ベクターの構築
骨髄性白血病細胞株HL-60(CCL-240、ATCC)由来のcDNAを鋳型とし、配列番号4に示したフォワードプライマーと配列番号5に示したリバースプライマーを使用し、KOD -plus- ver.2を用いたPCR反応によりヒトGα15(配列番号6)を増幅した。増幅したPCR産物及びpCMV-script vectorをHindIII及びXhoIを用いて消化し、得られた消化物はLigation high ver.2を用いてラーゲーションさせた。ラーゲーション産物はDH5αに形質転換し、100 μg/mL kanamycin含有のLB培地で培養後、HiSpeed Plasmid Maxi Kitを用いて精製した。
【0442】
(2−1)HEK293培養及び継代方法
HEK293(JCRB9068、NIBIO)は10%FBS及び1xPenicillin-Streptomycin(15140-122、GIBCO)を含有したDMEM(11885-092、GIBCO)を用い、5%CO2かつ37oCのインキュベーター内で培養した。継代は、80-90%コンフルエントに達した細胞をPBS(-)で洗浄後、0.25% Trypsin-EDTA(25200-072、GIBCO)で剥がして遠心し、新しい培地で再懸濁した後、Collagen Type 1 Coated dish(4020-010、IWAKI)にsplit ratio = 1:8で播種した(3日間培養)。
【0443】
(2−2)ヒトFPRL1及びGα15発現ベクターの導入
80-90%コンフルエントに達したHEK293をPBS(-)で洗浄し、0.25% Trypsin-EDTAで剥がして遠心後、1xPenicillin-Streptomycinを除いた新しい培地で再懸濁した。5x105cells/2.5mL/well となるように、Collagen Type 1 coated 6-well plate(4810-010、IWAKI)に播種し一晩培養した。翌日、ヒトFPRL1及びGα15発現ベクターをLipofectamine 2000 transfection reagent(11668-019、Life technologies)を用いて導入した。まずヒトFPRL1及びGα15発現ベクターを2 μg/250 μL/wellに、Lipofectamine 2000 transfection reagentは4 μL/250 μL/wellとなるように、Opti-MEM I Reduced Serum Medium(31985-070、GIBCO)でそれぞれ希釈した。穏やかに拡散させ、5分間室温でインキュベーションした後に、ベクター溶液とLipofectamine 2000 transfection reagentを等量混合した。さらにベクターとLipofectamine 2000 transfection reagentの複合体を形成させるため室温で20分間インキュベーションした後、播種しておいた細胞の培地中に500 μL/well ずつ加えた。処理した細胞は24時間の培養後、Poly-D-Lysine coated 96-well plate(356640、BD Biosciences)に7x104cells/100 μL/wellの細胞数で播種し、さらに24時間培養した細胞を細胞内カルシウム動員試験測定に用いた。
【0444】
(3)ヒトFPRL1アゴニスト活性評価(細胞内カルシウム動員試験)
はじめに各試験化合物を適量秤量し、10-2MとなるようにDimethyl sulfoxide(DMSO)を加えて溶解した。アゴニスト活性のEC50値算出のため化合物溶液をDMSOにて10倍ずつ段階希釈し、10-2Mから10-9Mの8つの濃度を作成した。作成した各濃度の化合物溶液をFluo-4 NW Calcium Assay Kit(F36206、Life technologies)に含まれているAssay bufferにて100倍希釈後、V-bottomの96-well plateへ100μLずつ分注し、分注後のplateは測定までFlexstation(Molecular Devices)にセットした。
次に、Fluo-4 NW dye mixに10mLのAssay buffer及び100 μLのプロベネシド溶液(250mM stockに1mLのAssay bufferを加えて溶解したもの)を加え、よく混合して溶解した。前日に播種した細胞の培地を除き、溶解したFluo-4 NW dye mixを90μL/wellずつ添加し、45分間37℃遮光下で反応させた。反応後の細胞と化合物添加用チップをFlexstationにセットし、化合物添加による経時的蛍光強度変化を測定した[化合物添加量=10μL(最終濃度 : 10-5Mから10-12M)、励起波長 485nm、測定波長 525nm、1.5 sec x 54 read]。相対蛍光単位の最大値から、DMSO添加時のベース値を引いた値を算出し、解析に供した。測定データは全てデータ解析ツールであるPrism4を用いて解析した。EC50値は、50%最大活性化を生じるモル濃度を算出した。得られた各試験化合物のEC50値を以下の表Iに示した。
【0445】
【表I】
【0446】
表Iにより、本発明の化合物(I)、またはその薬理学的に許容される塩が、強力なFPRL1アゴニスト作用を示すことが分かる。
【0447】
<試験例2>
Lipopolysaccharide誘発によるマウス肺への好中球浸潤に対する効果
マウス(BALB/c、雄)に被験化合物を経口投与し、30分後にプラスチック容器へ入れた。生理食塩液に溶解したlpopolysaccharide(0.3 mg/mL)を超音波式吸入器( NE-U17、オムロン )で霧化し、10分間マウスに噴霧した。5時間後、麻酔したマウスを脱血致死させ、気道にカニューレを挿入して0.4% sodium citrateを含む0.85% NaCl液1 mLで気管支洗浄(BAL)を行った。この操作を3回繰り返して、BAL液を得た。BAL液を4℃、5分間、×200 gで遠心し、沈渣に0.1 % BSAを含む生理食塩液に懸濁した。チュルク液を用いて顕微鏡下で白血球数を数えて、総白血球数を算出した。サイトスピン3 (サーモバイオアナリシスジャパン)を用いて、白血球をスライドガラスに固定した。ディフ・クイック (国際試薬)で染色し、顕微鏡下で白血球を数え、好中球の比率を算出した。総白血球数に好中球の比率を乗じて、総好中球数を算出した。被験化合物の効果は、コントロールの好中球数に対する抑制率を百分率(%)で示した。得られた各試験化合物の抑制率を以下の表IIに示した。
【0448】
【表II】
【0449】
表IIから本発明の化合物(I)、またはその薬理学的に許容される塩が、強力な好中球浸潤抑制作用を有することが分かる。
【産業上の利用可能性】
【0450】
本発明の化合物は、強力なFPRL1アゴニスト作用による好中球浸潤抑制作用により、炎症性疾患、慢性気道疾患、がん、敗血症、アレルギー性症状、HIVレトロウイルス感染、循環器障害、神経炎症、神経障害、疼痛、プリオン病、アミロイド症、免疫障害等の治療薬またはその予防薬として有用である。
【配列表フリーテキスト】
【0451】
<配列表1>
配列番号1は、ヒトFPRL1(配列番号3)のDNAを増幅するために使用されたフォワードプライマーの配列であり、HindIII認識部位を付加している。
<配列表2>
配列番号2は、ヒトFPRL1(配列番号3)のDNAを増幅するために使用されたリバースプライマーの配列であり、XhoI認識部位を付加している。
<配列表3>
配列番号3は、ヒトFPRL1のOpen Reading Frame(ORF)であり、アミノ酸に翻訳される部位のDNA配列である。
<配列番号4>
配列番号4は、ヒトGα15(配列番号6)のDNAを増幅するために使用されたフォワードプライマーの配列であり、HindIII認識部位を付加している。
<配列番号5>
配列番号5は、ヒトGα15(配列番号6)のDNAを増幅するために使用されたリバースプライマーの配列であり、XhoI認識部位を付加している。
<配列番号6>
配列番号6はヒトGα15のOpen Reading Frame(ORF)であり、アミノ酸に翻訳される部位のDNA配列である。
【配列表】
2018521005000001.app
【国際調査報告】