【実施例】
【0163】
以下の実施例は、上記の本発明を作製および使用する方法を、さらに十分に説明するために機能する。これらの実施例は、決して本発明の正当な範囲を制限するものではなく、むしろ例証の目的で提示されることが理解される。以下の実施例および上記の合成スキームでは、下記の略号は右記の意味を有する。略号が定義されていない場合、その略号は一般に認められている意味を有する。
aq. = 水性
μL = マイクロリットル
μM = マイクロモル濃度
NMR = 核磁気共鳴
boc = tert-ブトキシカルボニル
br = ブロード(広幅)
Cbz = ベンジルオキシカルボニル
d = ダブレット(二重)
δ = 化学シフト
℃ = セルシウス度(摂氏)
DCE = 1,2-ジクロロエタン
DCM = ジクロロメタン
dd = ダブルダブレット
DIEAまたはDIPEA
= N,N-ジイソプロピルエチルアミン
DMEM = ダルベッコ改変イーグル培地
DMF = N,N-ジメチルホルムアミド
DMP = デス-マーチンペルヨージナン
DMSO = ジメチルスルホキシド
FA = ギ酸
EtOAc = 酢酸エチル
g = グラム
hまたはhr = 時間
HBTU = 2-(1H-ベンゾトリアゾール-1-イル)-1,1,3,3-テトラメチルユーロニウムヘキサフルオロホスフェート
HCV = C型肝炎ウイルス
HPLC = 高速液体クロマトグラフィー
Hz = ヘルツ
IU = 国際単位
IC
50 = 50%阻害濃度
J = 結合定数(他に指示のない限りHz単位で与えられる)
K-HMDS = カリウムビス(トリメチルシリル)アミド
m = マルチプレット(多重)
M = モル濃度
M+H
+ = 質量スペクトルの親ピーク+H
+
mg = ミリグラム
min = 分
mL = ミリリットル
mM = ミリモル濃度
mmol = ミリモル
MS = 質量スペクトル
N = 規定
nM = ナノモル濃度
PE = 石油エーテル
ppm = 百万分率
q.s. = 十分量
s = シングレット(一重)
RT = 室温
sat. = 飽和
t = トリプレット(三重)
TBAF = フッ化テトラ-n-ブチルアンモニウム
TBSCl = 塩化tert-ブチルジメチルシリル
TEA = トリエチルアミン
tetrakis = テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)
TFA = トリフルオロ酢酸
THF = テトラヒドロフラン
UPLC = 超高速液体クロマトグラフィー
【0164】
機器の説明
1H NMRスペクトルは、Bruker Ascend 400分光計で記録した。化学シフトは、百万分率(ppm、δ単位)で表わされる。結合定数はヘルツ(Hz)単位で表わされる。分裂パターンは、見かけの多重性を示しており、s(シングレット(一重線))、d(ダブレット(二重線))、t(トリプレット(三重線))、q(カルテット(四重線))、quint(クインテット(五重線))、m(マルチプレット(多重線))、br(ブロード(広幅))と表わされる。
【0165】
分析用低分解能質量スペクトル(MS)は、Waters BEH C18、2.1×50mm、1.7μmを用いて、グラジエント溶出法により、SQ Detectorを有するWaters ACQUITY UPLCで記録した:
溶媒A:0.1%ギ酸(FA)(水中);
溶媒B:0.1%FA(アセトニトリル中);
30%溶媒Bで0.5分間の後、30%〜100%Bで2.5分間。
【0166】
スキームおよび実験手順
以下のスキームおよび手順は、本発明の化合物を調製することができる方法を説明する。記載された特定の溶媒および反応条件も例示であって、限定することを意図するものではない。記載されていない化合物は、市販されているか、または入手可能な出発材料から当業者によって容易に調製される。本明細書中に記載される実施例は、単に例示を目的とするものであり、本発明の範囲を制限することを意図しない。すべての実施例は、本明細書中に記載されるアッセイにより、21μMから1nMの間のLHIV IC
50値を示した。
【0167】
いくつかの実施例に関して、C28第2級アルコールの立体化学は、存在する場合、その絶対配置について明確には確認されなかった。特に明記しない限り、本明細書中に例示される化合物は、光学的に純粋な立体異性体として単離され、図示されるような配置に初めに当てはめられた。これらのうちの一部は、その単一のC28の位置で、図に示すのと反対の立体化学的配置で列挙され得る可能性がある。これは決して、本発明の範囲、または式Iの化合物の有用性を制限することを意味しない。追加の実施例が含まれており、それらは当業者に周知の分光学的方法によって、図示される配置を有することが確定され、前記の方法には、限定するものではないが、1Dおよび2D NMR法、振動円二色性、およびX線結晶解析が含まれる。これらの実施例および両方のジアステレオマーを作製する方法は、C28位でRおよびS配置両方の純粋な立体異性体が、容易に得られて分離され、さらに特徴付けられることを、明確に実証するのに役立ち、残りの規定されない実施例は、当業者に周知の同様の方法によって、容易に確認することができる。
【0168】
中間体5の合成
【化60】
【0169】
ステップA:中間体2
(3aR,5aR,5bR,7aR,9S,11aR,11bR,13aS)-9-ヒドロキシ-3a-(ヒドロキシメチル)-1-イソプロピル-5a,5b,8,8,11a-ペンタメチル-3,3a,4,5,5a,5b,6,7,7a,8,9,10,11,11a,11b,12,13,13a-オクタデカヒドロ-2H-シクロペンタ[a]クリセン-2-オン
【0170】
中間体1(国際公開第2013/09/0664号)(40g、74mmol)とKOH(16.6g、296mmol)との混合物(EtOH(200mL)およびトルエン(200mL)中)を、室温で一晩撹拌した。得られた混合物を、6N HClを用いて中和し、減圧下にて濃縮して、揮発性物質を除去した。残渣をDCMとH
2Oとの間で分配し、層を分離させた。有機層を、ブラインを用いて洗浄し、Na
2SO
4で乾燥させ、ろ過し、減圧下で濃縮して中間体2を得(27.4g、81%収率)、これをさらなる精製をせずに次のステップで直接用いた。LC/MS: m/z計算値456.4, 実測値457.5(M + 1)
+。
【0171】
ステップB:中間体3
(3aR,5aR,5bR,7aR,9S,11aR,11bR,13aS)-3a-(((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)メチル)-9-ヒドロキシ-1-イソプロピル-5a,5b,8,8,11a-ペンタメチル-3,3a,4,5,5a,5b,6,7,7a,8,9,10,11,11a,11b,12,13,13a-オクタデカヒドロ-2H-シクロペンタ[a]クリセン-2-オン
【0172】
中間体2(9.5g、20.8mmol)の溶液(DMF(100mL)中)を、イミダゾール(1.57g、22.9mmol)およびTBSCl(3.13g、20.8mmol)を用いて処理した。室温で4時間撹拌した後、反応物をH
2Oで希釈し、EtOAcを用いて抽出した。有機層を、ブラインを用いて洗浄し、Na
2SO
4で乾燥させ、ろ過し、減圧下で濃縮して残渣を得、これをシリカゲルクロマトグラフィー(0〜10%EtOAc/PE)により精製して、中間体3を黄色固体として得た(8.7g、73%収率)。
1H NMR (400 MHz, CDCl
3) δ 3.68 (d, J = 9.5 Hz, 1H), 3.57 (d, J = 9.5 Hz, 1H), 3.16 (m, 2H), 2.74 (dd, J = 12.1, 3.8 Hz, 1H), 2.42 (d, J = 18.5 Hz, 1H), 1.53 (m, 28H), 0.88 (m, 22H), 0.01 (d, J = 2.1 Hz, 6H)。
【0173】
ステップC:中間体4
(3aR,5aR,5bR,7aR,11aR,11bR,13aS)-3a-(((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)メチル)-1-イソプロピル-5a,5b,8,8,11a-ペンタメチル-3a,4,5,5a,5b,6,7,7a,8,10,11,11a,11b,12,13,13a-ヘキサデカヒドロ-2H-シクロペンタ[a]クリセン-2,9(3H)-ジオン
【0174】
中間体3(10.7g、18.7mmol)の溶液(DCM(120mL)中)に、NaHCO
3(15.7g、187mmol)およびDMP(15.9g、37.5mmol)を加えた。室温で4時間撹拌した後、得られた混合物を、DCMを用いて希釈し、飽和Na
2S
2O
3溶液を用いて洗浄した。層を分離させ、有機層を、ブラインを用いて洗浄し、Na
2SO
4で乾燥させ、ろ過し、減圧下で濃縮して粗生成物を得、これをシリカゲルクロマトグラフィー(0〜10%EtOAc/PE)により精製して、中間体4を白色固体として得た(8.4g、79%収率)。
1H NMR (400 MHz, CDCl
3) δ 3.62 (dd, J = 45.4, 9.5 Hz, 2H), 3.13 (m, 1H), 2.76 (dd, J = 12.1, 3.8 Hz, 1H), 2.47 (m, 3H), 1.38 (m, 47H), 0.01 (d, J = 1.9 Hz, 6H)。
【0175】
ステップD:中間体5
(3aR,5aR,5bR,7aR,11aR,11bR,13aS)-3a-(((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)メチル)-1-イソプロピル-5a,5b,8,8,11a-ペンタメチル-2-オキソ-3,3a,4,5,5a,5b,6,7,7a,8,11,11a,11b,12,13,13a-ヘキサデカヒドロ-2H-シクロペンタ[a]クリセン-9-イルトリフルオロメタンスルホネート
【0176】
−78℃で、中間体4(8.4g、14.8mmol)の溶液(無水THF(105mL)中)にK-HMDS(22.2mL、THF中1M、22.2mmol)を加えた。反応混合物を−78℃で1時間維持し、PhNTf
2(7.9g、22.2mmol)の溶液(THF(63mL)中)を反応物に加えた、得られた混合物を室温まで加温し、2時間撹拌した。飽和NH
4Cl溶液を用いて反応をクエンチし、EtOAcを用いて抽出した。有機層を、ブラインを用いて洗浄し、Na
2SO
4で乾燥させ、ろ過し、減圧下で濃縮して粗生成物を得、これをシリカゲルクロマトグラフィー(0〜10%EtOAc/PE)により精製して、中間体5を白色固体として得た(6.5g、63%収率)。
1H NMR (400 MHz, CDCl
3) δ 5.59 (dd, J = 6.7, 1.8 Hz, 1H), 3.64 (dd, J = 53.7, 9.5 Hz, 2H), 3.15 (dt, J = 13.9, 7.0 Hz, 1H), 2.78 (dd, J = 12.3, 3.6 Hz, 1H), 2.45 (d, J = 18.5 Hz, 1H), 2.25 (dd, J = 17.0, 6.8 Hz, 1H), 1.88 (m, 6H), 1.25 (m, 40H), 0.02 (d, J = 1.1 Hz, 6H)。
アミノアルコール中間体12の合成は、以下の手順に従って行なった:
【0177】
【化61】
【0178】
ステップA:中間体6
tert-ブチル4-((3aR,5aR,5bR,7aR,11aS,11bR,13aS)-3a-(((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)メチル)-1-イソプロピル-5a,5b,8,8,11a-ペンタメチル-2-オキソ-3,3a,4,5,5a,5b,6,7,7a,8,11,11a,11b,12,13,13a-ヘキサデカヒドロ-2H-シクロペンタ[a]クリセン-9-イル)ベンゾエート
【0179】
中間体5(3.9g、5.5mmol)、tert-ブチル4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)ベンゾエート(2.2g、7.2mmol)、テトラキス(1.3g、1.1mmol)およびNa
2CO
3(1.76g、16.6mmol)の混合物(ジオキサン(40mL)およびH
2O(10mL)中)を、N
2雰囲気下で一晩撹拌した。得られた混合物をEtOAcとH
2Oとの間で分配し、層を分離させた。有機層を、ブラインを用いて洗浄し、Na
2SO
4で乾燥させ、ろ過し、減圧下で濃縮して残渣を得、これをシリカゲルクロマトグラフィー(0〜10%EtOAc/DCM 1:1、PE中)により精製して、中間体6を白色固体として得た(3.7g、91%収率)。
1H NMR (400 MHz, CDCl
3) δ 7.89 (d, J = 8.2 Hz, 2H), 7.18 (d, J = 8.2 Hz, 2H), 5.31 (m, 1H), 3.65 (dd, J = 47.0, 9.5 Hz, 2H), 3.17 (dt, J = 13.9, 6.9 Hz, 1H), 2.80 (dd, J = 12.1, 3.8 Hz, 1H), 2.45 (d, J = 18.5 Hz, 1H), 2.19 (dd, J = 17.0, 6.4 Hz, 1H), 1.89 (m, 6H), 1.13 (m, 49H), 0.03 (s, 6H)。
【0180】
ステップB:中間体7
tert-ブチル4-((3aR,5aR,5bR,7aR,11aS,11bR,13aS)-3a-(ヒドロキシメチル)-1-イソプロピル-5a,5b,8,8,11a-ペンタメチル-2-オキソ-3,3a,4,5,5a,5b,6,7,7a,8,11,11a,11b,12,13,13a-ヘキサデカヒドロ-2H-シクロペンタ[a]クリセン-9-イル)ベンゾエート
【0181】
中間体6(3.7g、5.0mmol)の溶液(THF(35mL)中)を、TBAF(25mL、THF中1M、25mmol)を用いて処理した。反応物を室温で一晩撹拌し、続いてEtOAcとH
2Oとの間で分配し、層を分離させた。有機層を、ブラインを用いて洗浄し、Na
2SO
4で乾燥させ、ろ過し、減圧下で濃縮して、中間体7を白色固体として得(3.4g、定量的収率)、これをさらなる精製をせずに次のステップで用いた。
1H NMR (400 MHz, CDCl
3) δ 7.89 (m, 2H), 7.18 (m, 2H), 5.31 (dd, J = 6.2, 1.8 Hz, 1H), 3.73 (dd, J = 23.8, 10.6 Hz, 2H), 3.21 (dt, J = 13.9, 7.0 Hz, 1H), 2.83 (dd, J = 12.6, 3.2 Hz, 1H), 2.45 (d, J = 18.6 Hz, 1H), 2.19 (dd, J = 17.0, 6.4 Hz, 1H), 1.90 (m, 6H), 1.26 (m, 41H)。 LC/MS: m/z計算値614.4, 実測値615.4 (M + 1)
+。
【0182】
ステップC:中間体8
tert-ブチル4-((3aR,5aR,5bR,7aR,11aS,11bR,13aS)-3a-ホルミル-1-イソプロピル-5a,5b,8,8,11a-ペンタメチル-2-オキソ-3,3a,4,5,5a,5b,6,7,7a,8,11,11a,11b,12,13,13a-ヘキサデカヒドロ-2H-シクロペンタ[a]クリセン-9-イル)ベンゾエート
【0183】
中間体7(3.4g、5.5mmol)の溶液(DCM(35mL)中)を、NaHCO
3(7.0g、83mmol)およびDMP(4.7g、11mmol)を用いて処理した。室温で2.5時間撹拌した後、得られた混合物を、DCMを用いて希釈し、飽和Na
2S
2O
3溶液を用いて洗浄した。層を分離させ、有機層を、ブラインを用いて洗浄し、Na
2SO
4で乾燥させ、ろ過し、減圧下で濃縮して残渣を得、これをシリカゲルクロマトグラフィー(0〜10%EtOAc/PE)により精製して、中間体8を白色固体として得た(1.8g、53%収率)。
1H NMR (400 MHz, CDCl
3) δ 9.33 (d, J = 1.3 Hz, 1H), 7.89 (d, J = 8.3 Hz, 2H), 7.18 (d, J = 8.3 Hz, 2H), 5.30 (dd, J = 6.2, 1.7 Hz, 1H), 3.26 (m, 1H), 2.60 (dd, J = 12.7, 3.0 Hz, 1H), 2.38 (m, 2H), 2.19 (m, 1H), 2.05 (m, 2H), 1.91 (m, 2H), 1.75 (m, 1H), 1.31 (m, 40H)。
【0184】
カンファー誘導型キラルジアミン配位子10の合成
【化62】
【0185】
ステップA:中間体9
N,N'-ビス(イソボルニル)エチレンジイミン
チタン(IV)イソプロポキシド(235.4g、830mmol、1.04当量)を、周囲温度で(1S)-(-)-カンファー(121.43g、798mmol、1当量)が入ったフラスコに加えた。続いて、反応物を約50℃まで加熱した。次に、エチレンジアミン(31.2g、518mmol、0.65当量)を反応物に添加した。その際、添加の間は温度を45℃超に維持した。続いて、反応物を約91℃まで、17時間加熱した。次に、反応物を20〜25℃まで冷却し、ヘプタン(1.2L)を加えた。水(29.9g、1659mmol、2.08当量)を少なくとも15分間にわたって加えた。続いて、スラリーを、周囲温度で20分間撹拌し、約0℃まで冷却し、約0℃で30分間撹拌した。次に、スラリーをろ過し、固体をヘプタン(607mL)で洗浄した。ジイミン溶液を約5℃で一晩保存した。続いて、溶液を周囲温度まで加温し、ろ過して追加の塩を除去した。次に、溶液を部分的に濃縮し、セライト
TMを通してろ過した。最後に、溶液を約608mLまで濃縮し、次の反応にそのままで用いた。
【0186】
ステップB:配位子10
N,N'-ビス(イソボルニル)エチレンジアミン配位子
1L被覆型ラボリアクター(JLR)に上記のジイミン溶液を加え、続いて5%Pt/C(Johnson-Matthey社、B501018-5、6.6g)を加えた。反応物を、周囲温度、4parで約15時間水素化した。反応物をろ過し、ヘプタン(300mL)で洗浄した。溶液を濃縮して、白色固体(115.07g)を得た。この2ステップ手順を繰り返した。両方のバッチを併せた。i-PrOHおよび水から物質を結晶化させる試みは失敗した。生成物を、ヘプタンを用いて抽出した。続いて、ヘプタン層を、水、ブラインを用いて洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、ろ過して、rotovaporおよび続いて高真空により濃縮した。配位子10(222.18g)を白色固体として得、これをそのまま用いた。
1H NMR (500MHz, CDCl
3) δ 2.69-2.61 (m, 1 H), 2.53-2.47 (m, 2 H), 1.71-1.63 (m, 2 H), 1.6-1.43 (m, 3 H), 1.1-1.01 (m, 2H), 1.01-0.98 (m, 3H), 0.89-0.83 (m, 3H), 0.81-0.78 (m, 3H)。
【0187】
ステップD:中間体11
tert-ブチル4-((3aR,5aR,5bR,7aR,11aS,11bR,13aS)-3a-((R)-1-ヒドロキシ-2-ニトロエチル)-1-イソプロピル-5a,5b,8,8,11a-ペンタメチル-2-オキソ-3,3a,4,5,5a,5b,6,7,7a,8,11,11a,11b,12,13,13a-ヘキサデカヒドロ-2H-シクロペンタ[a]クリセン-9-イル)ベンゾエート
【0188】
中間体8(1.0g、1.7mmol)、配位子10(67mg、0.20mmol)およびCuOAc(21mg、0.17mmol)の混合物(t-BuOH(10mL)およびトルエン(3.5mL)中)を、室温で5時間撹拌した。MeNO
2(724mg、11.9mmol)およびDIPEA(328mg、2.5mmol)を反応混合物に加えた。反応物を3日間撹拌した後、反応物を、EtOAcを用いて希釈し、15%NH
4Cl溶液、水、およびブラインを用いて洗浄した。有機層をNa
2SO
4で乾燥させ、ろ過し、減圧下で濃縮して残渣を得、これをシリカゲルクロマトグラフィー(0〜10%EtOAc/PE)により精製して、中間体11を白色固体として得た(783mg、69%収率)。
1H NMR (400 MHz, CDCl
3) δ 7.89 (d, J = 8.3 Hz, 2H), 7.18 (d, J = 8.3 Hz, 2H), 5.31 (dd, J = 6.2, 1.7 Hz, 1H), 4.88 (dd, J = 9.7, 1.9 Hz, 1H), 4.14 (m, 3H), 3.19 (dt, J = 14.0, 7.0 Hz, 1H), 2.68 (m, 1H), 2.54 (d, J = 19.7 Hz, 1H), 2.36 (dd, J = 17.1, 5.0 Hz, 1H), 2.21 (m, 1H), 1.38 (m, 45H)。 LC/MS: m/z計算値673.4, 実測値674.8 (M + 1)
+。
【0189】
ステップE:中間体12
tert-ブチル4-((3aR,5aR,5bR,7aR,11aS,11bR,13aS)-3a-((R)-2-アミノ-1-ヒドロキシエチル)-1-イソプロピル-5a,5b,8,8,11a-ペンタメチル-2-オキソ-3,3a,4,5,5a,5b,6,7,7a,8,11,11a,11b,12,13,13a-ヘキサデカヒドロ-2H-シクロペンタ[a]クリセン-9-イル)ベンゾエート
【0190】
0℃で、中間体11(1.0g、1.48mmol)およびNiCl
2.6H
2O(527mg、2.2mmol)の懸濁物(MeOH(30mL)中)を、NaBH
4(560mg、14.8mmol)を用いて処理した。室温で30分間撹拌した後、得られた混合物を、飽和NaHCO
3溶液を用いてクエンチし、DCMを用いて抽出した。層を分離させ、有機層を、ブラインを用いて洗浄し、Na
2SO
4で乾燥させ、ろ過し、減圧下で濃縮して残渣を得、これをシリカゲルクロマトグラフィー(0〜10%MeOH/DCM)により精製して、中間体12を灰色固体として得た(860mg、86%収率)。LC/MS: m/z計算値643.5, 実測値644.8 (M + 1)
+。
【0191】
【化63】
【0192】
実施例1:化合物15
4-((3aR,5aR,5bR,7aR,11aS,11bR,13aS)-3a-((R)-2-(N-(シクロプロピルメチル)-2-(ジメチルアミノ)アセトアミド)-1-ヒドロキシエチル)-1-イソプロピル-5a,5b,8,8,11a-ペンタメチル-2-オキソ-3,3a,4,5,5a,5b,6,7,7a,8,11,11a,11b,12,13,13a-ヘキサデカヒドロ-2H-シクロペンタ[a]クリセン-9-イル)安息香酸
【0193】
ステップA:中間体13
tert-ブチル4-((3aR,5aR,5bR,7aR,11aS,11bR,13aS)-3a-((R)-2-((シクロプロピルメチル)アミノ)-1-ヒドロキシエチル)-1-イソプロピル-5a,5b,8,8,11a-ペンタメチル-2-オキソ-3,3a,4,5,5a,5b,6,7,7a,8,11,11a,11b,12,13,13a-ヘキサデカヒドロ-2H-シクロペンタ[a]クリセン-9-イル)ベンゾエート
【0194】
中間体12(250mg、0.39mmol)とシクロプロパンカルバルデヒド(27.2mg、0.39mmol)との混合物(MeOH(5mL)およびDCE(0.5mL)中)を、室温で2時間撹拌した。得られた混合物を氷浴中で冷却し、NaBH
4(14.7mg、0.39mmol)を少しずつ添加することにより処理した。室温で30分間撹拌した後、飽和NH
4Cl溶液を用いて反応をクエンチし、DCMを用いて抽出した。有機層を、ブラインを用いて洗浄し、Na
2SO
4で乾燥させ、ろ過し、減圧下で濃縮して残渣を得、これをシリカゲルクロマトグラフィー(0〜10%MeOH/DCM)により精製して、中間体13を白色固体として得た(184mg、68%収率)。LC/MS: m/z計算値697.5, 実測値698.9 (M + 1)
+。
【0195】
ステップB:中間体14
tert-ブチル4-((3aR,5aR,5bR,7aR,11aS,11bR,13aS)-3a-((R)-2-(N-(シクロプロピルメチル)-2-(ジメチルアミノ)アセトアミド)-1-ヒドロキシエチル)-1-イソプロピル-5a,5b,8,8,11a-ペンタメチル-2-オキソ-3,3a,4,5,5a,5b,6,7,7a,8,11,11a,11b,12,13,13a-ヘキサデカヒドロ-2H-シクロペンタ[a]クリセン-9-イル)ベンゾエート
【0196】
中間体13(40mg、0.057mmol)およびジメチルグリシン(8.8mg、0.086mmol)の溶液(DCM中)を、HBTU(44mg、0.114mmol)およびDIPEA(15mg、0.114mmol)を用いて処理した。室温で1時間撹拌した後、得られた混合物を、飽和NaHCO
3溶液を用いてクエンチし、DCMを用いて抽出した。有機層を、ブラインを用いて洗浄し、Na
2SO
4で乾燥させ、ろ過し、減圧下で濃縮して残渣を得、これをフラッシュクロマトグラフィー(0〜10%MeOH/DCM)により精製して、中間体14が白色固体として得られた(30mg、67%収率)。
1H NMR (400 MHz, CDCl
3) δ 7.89 (d, J = 8.2 Hz, 2H), 7.19 (d, J = 8.2 Hz, 2H), 5.31 (d, J = 6.3 Hz, 1H), 4.29 (d, J = 9.3 Hz, 1H), 3.98 (dd, J = 14.1, 5.5 Hz, 1H), 3.55 (d, J = 12.5 Hz, 1H), 3.16 (m, 3H), 2.81 (t, J = 6.3 Hz, 1H), 2.62 (dd, J = 13.9, 8.3 Hz, 2H), 2.12 (m, 16H), 1.21 (m, 40H), 0.54 (m, 2H), 0.22 (m, 2H)。 LC/MS: m/z計算値782.6, 実測値784.0 (M + 1)
+。
【0197】
ステップC:化合物15
4-((3aR,5aR,5bR,7aR,11aS,11bR,13aS)-3a-((R)-2-(N-(シクロプロピルメチル)-2-(ジメチルアミノ)アセトアミド)-1-ヒドロキシエチル)-1-イソプロピル-5a,5b,8,8,11a-ペンタメチル-2-オキソ-3,3a,4,5,5a,5b,6,7,7a,8,11,11a,11b,12,13,13a-ヘキサデカヒドロ-2H-シクロペンタ[a]クリセン-9-イル)安息香酸
【0198】
中間体14(30mg、0.038mmol)の溶液(DCM(2mL)中)にTFA(0.4mL)を加えた。室温で1時間撹拌した後、得られた混合物を減圧下で濃縮し、揮発性物質を除去した。残渣を、DCMを用いて希釈し、飽和NaHCO
3溶液およびブラインを用いて洗浄した。層を分離し、有機層を、Na
2SO
4で乾燥させ、ろ過し、減圧下で濃縮して残渣を得、これを逆相クロマトグラフィー(30〜100%MeCN/H
2O、0.1%FA含有)により精製して、所望の生成物である化合物15が、凍結乾燥後に白色粉末として得られた(15mg、56%収率)。
1H NMR (400 MHz, CDCl
3, 数滴のMeOD) δ 7.97 (d, J = 8.1 Hz, 2H), 7.22 (d, J = 8.2 Hz, 2H), 5.34 (d, J = 4.9 Hz, 1H), 4.28 (d, J = 9.1 Hz, 1H), 3.98 (m, 1H), 3.58 (d, J = 13.1 Hz, 1H), 3.41 (m, 1H), 3.19 (m, 4H), 2.84 (d, J = 12.8 Hz, 1H), 2.63 (m, 2H), 1.61 (m, 44H), 0.58 (m, 2H), 0.23 (m, 2H)。 LC/MS: m/z計算値726.5, 実測値727.6 (M + 1)
+。
【0199】
実施例2:化合物16
4-((3aR,5aR,5bR,7aR,11aS,11bR,13aS)-3a-((R)-2-(N-(シクロプロピルメチル)-2-メトキシアセトアミド)-1-ヒドロキシエチル)-1-イソプロピル-5a,5b,8,8,11a-ペンタメチル-2-オキソ-3,3a,4,5,5a,5b,6,7,7a,8,11,11a,11b,12,13,13a-ヘキサデカヒドロ-2H-シクロペンタ[a]クリセン-9-イル)安息香酸
【0200】
表題の化合物を実施例1と同様に作製し、白色粉末として得た(13mg、28%)。
1H NMR (400 MHz, CDCl
3, 数滴のMeOD) δ 7.96 (d, J = 7.9 Hz, 2H), 7.22 (d, J = 8.0 Hz, 2H), 5.33 (d, J = 5.4 Hz, 1H), 4.28 (m, 3H), 3.46 (s, 3H), 3.15 (m, 5H), 1.60 (m, 41H), 0.61 (m, 2H), 0.20 (m, 2H). LC/MS: m/z計算値713.5, 実測値714.6 (M + 1)
+。
【0201】
実施例3:化合物17
4-((3aR,5aR,5bR,7aR,11aS,11bR,13aS)-3a-((R)-2-(N-(シクロプロピルメチル)-2-(ピロリジン-1-イル)アセトアミド)-1-ヒドロキシエチル)-1-イソプロピル-5a,5b,8,8,11a-ペンタメチル-2-オキソ-3,3a,4,5,5a,5b,6,7,7a,8,11,11a,11b,12,13,13a-ヘキサデカヒドロ-2H-シクロペンタ[a]クリセン-9-イル)安息香酸塩酸塩
【0202】
表題の化合物を実施例1と同様に作製し、精製後に、ジオキサン中のHClを数滴加えて生成物を処理し、HCl塩を白色粉末として得た(30mg、59.8%)。
1H NMR (400 MHz, CDCl
3, 数滴のMeOD) δ 7.96 (d, J = 7.8 Hz, 2H), 7.22 (d, J = 7.9 Hz, 2H), 5.33 (d, J = 5.3 Hz, 1H), 4.58 (m, 2H), 4.02 (m, 4H), 3.29 (m, 7H), 1.81 (m, 44H), 0.56 (m, 2H), 0.21 (m, 2H). LC/MS: m/z計算値753.5, 実測値754.5 (M + 1)
+。
【0203】
実施例4:化合物18
4-((3aR,5aR,5bR,7aR,11aS,11bR,13aS)-3a-((R)-2-(N-(シクロプロピルメチル)-2-(2-オキソピロリジン-1-イル)アセトアミド)-1-ヒドロキシエチル)-1-イソプロピル-5a,5b,8,8,11a-ペンタメチル-2-オキソ-3,3a,4,5,5a,5b,6,7,7a,8,11,11a,11b,12,13,13a-ヘキサデカヒドロ-2H-シクロペンタ[a]クリセン-9-イル)安息香酸
【0204】
表題の化合物を実施例1と同様に作製し、白色粉末として得た(23mg、47.6%)。
1H NMR (400 MHz, CDCl
3) δ 8.00 (d, J = 8.2 Hz, 2H), 7.23 (d, J = 8.2 Hz, 2H), 5.33 (d, J = 5.0, 1H), 4.22 (m, 3H), 3.34 (m, 9H), 1.71 (m, 43H), 0.61 (m, 2H), 0.22 (m, 2H). LC/MS: m/z計算値766.5, 実測値768.4 (M + 1)
+。
【0205】
実施例5:化合物19
4-((3aR,5aR,5bR,7aR,11aS,11bR,13aS)-3a-((R)-2-(N-(シクロブチルメチル)-2-(ピロリジン-1-イル)アセトアミド)-1-ヒドロキシエチル)-1-イソプロピル-5a,5b,8,8,11a-ペンタメチル-2-オキソ-3,3a,4,5,5a,5b,6,7,7a,8,11,11a,11b,12,13,13a-ヘキサデカヒドロ-2H-シクロペンタ[a]クリセン-9-イル)安息香酸塩酸塩
【0206】
表題の化合物を実施例1と同様に作製し、精製後に、ジオキサン中のHClを数滴加えて生成物を処理して、HCl塩を白色粉末として得た(23mg、55.5%)。
1H NMR (400 MHz, CDCl
3, 数滴のMeOD) δ 7.95 (d, J = 8.0 Hz, 2H), 7.21 (d, J = 7.3 Hz, 2H), 5.32 (m, 1H), 4.58 (m, 2H), 4.26 (d, J = 10.0 Hz, 1H), 3.82 (m, 1H), 3.03 (m, 10H), 1.63 (m, 49H). LC/MS: m/z計算値766.5, 実測値768.0 (M + 1)
+。
【0207】
実施例6:化合物20
4-((3aR,5aR,5bR,7aR,11aS,11bR,13aS)-3a-((R)-2-(N-(シクロブチルメチル)-2-(ジメチルアミノ)アセトアミド)-1-ヒドロキシエチル)-1-イソプロピル-5a,5b,8,8,11a-ペンタメチル-2-オキソ-3,3a,4,5,5a,5b,6,7,7a,8,11,11a,11b,12,13,13a-ヘキサデカヒドロ-2H-シクロペンタ[a]クリセン-9-イル)安息香酸塩酸塩
【0208】
表題の化合物を実施例1と同様に作製し、精製後に、ジオキサン中のHClを数滴加えて生成物を処理して、HCl塩を白色粉末として得た(22mg、40%)。
1H NMR (400 MHz, CDCl
3, 数滴のMeOD) δ 7.96 (d, J = 8.1 Hz, 2H), 7.22 (d, J = 8.0 Hz, 2H), 5.33 (d, J = 5.6 Hz, 1H), 4.48 (m, 2H), 4.20 (m, 1H), 3.94 (m, 1H), 3.25 (m, 10H), 1.79 (m, 47H). LC/MS: m/z計算値740.5, 実測値741.6 (M + 1)
+。
【0209】
実施例7:化合物21
4-((3aR,5aR,5bR,7aR,11aS,11bR,13aS)-3a-((R)-2-(N-(シクロブチルメチル)-2-メトキシアセトアミド)-1-ヒドロキシエチル)-1-イソプロピル-5a,5b,8,8,11a-ペンタメチル-2-オキソ-3,3a,4,5,5a,5b,6,7,7a,8,11,11a,11b,12,13,13a-ヘキサデカヒドロ-2H-シクロペンタ[a]クリセン-9-イル)安息香酸
【0210】
表題の化合物を実施例1と同様に作製し、白色粉末として得た(23mg、48.9%)。
1H NMR (400 MHz, CDCl
3) δ 8.00 (t, J = 8.0 Hz, 2H), 7.23 (d, J = 8.0 Hz, 2H), 5.33 (d, J = 4.8 Hz, 1H), 4.14 (m, 2H), 3.37 (m, 5H), 1.60 (m, 51H). LC/MS: m/z計算値727.5, 実測値728.9 (M + 1)
+。
【0211】
実施例8:化合物22
4-((3aR,5aR,5bR,7aR,11aS,11bR,13aS)-3a-((R)-2-((2-(ジメチルアミノ)エチル)アミノ)-1-ヒドロキシエチル)-1-イソプロピル-5a,5b,8,8,11a-ペンタメチル-2-オキソ-3,3a,4,5,5a,5b,6,7,7a,8,11,11a,11b,12,13,13a-ヘキサデカヒドロ-2H-シクロペンタ[a]クリセン-9-イル)安息香酸二塩酸塩
【0212】
表題の化合物を実施例1と同様に作製し、精製後に、ジオキサン中のHClを数滴加えて生成物を処理して、2HCl塩を白色粉末として得た(19mg、51%)。
1H NMR (400 MHz, DMSO) δ 7.87 (d, J = 7.9 Hz, 2H), 7.23 (d, J = 7.8 Hz, 2H), 5.28 (d, J = 5.1 Hz, 1H), 4.26 (d, J = 10.4 Hz, 1H), 3.01 (m, 2H), 2.67 (m, 2H), 1.38 (m, 51H). LC/MS: m/z計算値658.5, 実測値658.4 (M + 1)
+。
【0213】
実施例9:化合物23
4-((3aR,5aR,5bR,7aR,11aS,11bR,13aS)-3a-((R)-2-((シクロプロピルメチル)アミノ)-1-ヒドロキシエチル)-1-イソプロピル-5a,5b,8,8,11a-ペンタメチル-2-オキソ-3,3a,4,5,5a,5b,6,7,7a,8,11,11a,11b,12,13,13a-ヘキサデカヒドロ-2H-シクロペンタ[a]クリセン-9-イル)安息香酸塩酸塩
【0214】
表題の化合物を実施例1と同様に作製し、精製後に、ジオキサン中のHClを数滴加えて生成物を処理して、HCl塩を白色粉末として得た(23mg、50%)。
1H NMR (400 MHz, CDCl
3) δ 7.95 (d, J = 8.2 Hz, 2H), 7.21 (d, J = 8.2 Hz, 2H), 5.32 (d, J = 4.9 Hz, 1H), 4.67 (d, J = 8.9 Hz, 1H), 3.40 (dt, J = 3.1,1.5 Hz, 2H), 3.22 (m, 1H), 2.82 (m, 5H), 1.93 (m, 19H), 1.12 (m, 19H), 0.72 (m, 2H), 0.38 (m, 2H). LC/MS: m/z計算値641.4, 実測値642.8 (M + 1)
+。
【0215】
実施例10:化合物24
4-((3aR,5aR,5bR,7aR,11aS,11bR,13aS)-3a-((R)-2-((シクロプロピルメチル)(2-(ジメチルアミノ)エチル)アミノ)-1-ヒドロキシエチル)-1-イソプロピル-5a,5b,8,8,11a-ペンタメチル-2-オキソ-3,3a,4,5,5a,5b,6,7,7a,8,11,11a,11b,12,13,13a-ヘキサデカヒドロ-2H-シクロペンタ[a]クリセン-9-イル)安息香酸塩酸塩
【0216】
表題の化合物を実施例1と同様に作製し、精製後に、ジオキサン中のHClを数滴加えて生成物を処理して、HCl塩を白色粉末として得た(13mg、66%)。
1H NMR (400 MHz, 数滴のMeOD) δ 7.95 (d, J = 8.0 Hz, 2H), 7.21 (d, J = 8.0 Hz, 2H), 5.32 (d, J = 5.3 Hz, 1H), 4.69 (m, 1H), 3.42(m, 10H), 1.70 (m, 46H), 0.82 (m, 2H), 0.45 (m, 2H). LC/MS: m/z計算値712.5, 実測値713.9 (M + 1)
+。
【0217】
実施例11:化合物25
4-((3aR,5aR,5bR,7aR,11aS,11bR,13aS)-3a-((R)-2-(N-(シクロプロピルメチル)アセトアミド)-1-ヒドロキシエチル)-1-イソプロピル-5a,5b,8,8,11a-ペンタメチル-2-オキソ-3,3a,4,5,5a,5b,6,7,7a,8,11,11a,11b,12,13,13a-ヘキサデカヒドロ-2H-シクロペンタ[a]クリセン-9-イル)安息香酸
【0218】
表題の化合物を実施例1と同様に作製し、白色粉末として得た(11mg、54%)。
1H NMR (400 MHz, 数滴のMeOD) δ 7.95 (d, J = 8.0 Hz, 2H), 7.21 (d, J = 8.1 Hz, 2H), 5.33 (d, J = 4.9 Hz, 1H), 4.28 (m, 2H), 3.36 (m, 4H), 1.46 (m, 44H), 0.60 (m, 2H), 0.19 (m, 2H). LC/MS: m/z計算値683.5, 実測値684.9 (M + 1)
+。
アミノアルコール中間体31の合成は、以下の手順に従って行なった:
【0219】
【化64】
【0220】
ステップA:中間体26
(3aR,5aR,5bR,7aR,11aS,11bR,13aS)-3a-(((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)メチル)-1-イソプロピル-5a,5b,8,8,11a-ペンタメチル-9-((トリメチルシリル)エチニル)-3,3a,4,5,5a,5b,6,7,7a,8,11,11a,11b,12,13,13a-ヘキサデカヒドロ-2H-シクロペンタ[a]クリセン-2-オン
【0221】
中間体5(5g、7.14mmol)、CuI(0.54g、2.86mmol)、PdCl
2(PPh
3)
2(1.0g、1.43mmol)およびTEA(1.45g、14.28mmol)の溶液(DMF(50mL)中)を、窒素でパージした。エチニルトリメチルシラン(3.5g、35.70mmol)の溶液を混合物に加え、室温で一晩撹拌した。反応物をろ過し、EtOAcと水との間で分配した。有機層を、ブラインで洗浄し、Na
2SO
4で乾燥させ、ろ過し、濃縮して残渣を得、これをシリカゲルクロマトグラフィー(0〜10%EtOAc/PE)により精製して、中間体26を赤色固体として得た(4.29g、92.5%)。
1H NMR (400 MH, CDCl
3) δ 6.03 (dd, J = 6.4 Hz, 2.1 Hz, 1H), 3.64 (dd, J = 44.6, 9.5 Hz, 2H), 3.14 (dt, J = 13.9, 7.0 Hz, 1H), 2.76 (dd, J = 12.1, 3.7 Hz, 1H), 2.44 (d, J = 18.5 Hz, 1H), 2.16 (dd, J = 17.9, 6.6 Hz, 1H), 1.74 (m, 10H), 1.24 (m, 27H), 0.84 (s, 9H), 0.19 (s, 9H), 0.02 (d, J = 2.1 Hz, 6H)。
【0222】
ステップB:中間体27
(3aR,5aR,5bR,7aR,11aS,11bR,13aS)-9-エチニル-3a-(ヒドロキシメチル)-1-イソプロピル-5a,5b,8,8,11a-ペンタメチル-3,3a,4,5,5a,5b,6,7,7a,8,11,11a,11b,12,13,13a-ヘキサデカヒドロ-2H-シクロペンタ[a]クリセン-2-オン
【0223】
THF(42mL)中の中間体26の溶液を、1M TBAF(39.7mL、39.7mmol)を用いて処理した。反応物を、室温で一晩撹拌した。反応物を、EtOAcと水との間で分配した。有機層を、ブラインで洗浄し、Na
2SO
4で乾燥させ、ろ過し、濃縮して残渣を得、これをシリカゲルクロマトグラフィー(0〜50%EtOAc/PE)により精製して、中間体27を白色固体として得た(2.19g、71.6%)。
1H NMR (400 MH, CDCl
3) δ 6.07 (dd, J = 6.5, 2.1 Hz, 1H), 3.72 (dd, J = 12.9, 5.7 Hz, 2H), 3.20 (m, 1H), 2.81 (m, 2H), 2.45 (d, J = 18.6 Hz, 1H), 2.18 (dd, J = 17.9, 6.6 Hz, 1H), 1.94 (m, 5H), 1.31 (m, 33H)。 LC/MS: m/z計算値462.4, 実測値463.9 (M + 1)
+。
【0224】
ステップC:中間体28
tert-ブチル2-(4-((3aR,5aR,5bR,7aR,11aS,11bR,13aS)-3a-(ヒドロキシメチル)-1-イソプロピル-5a,5b,8,8,11a-ペンタメチル-2-オキソ-3,3a,4,5,5a,5b,6,7,7a,8,11,11a,11b,12,13,13a-ヘキサデカヒドロ-2H-シクロペンタ[a]クリセン-9-イル)-1H-1,2,3-トリアゾール-1-イル)アセテート
【0225】
t-BuOH/H
2O(1:1、40mL)中の中間体27(2.19g、4.74mmol)の溶液を、CuSO
4(0.756g、4.74mmol)の水溶液およびアスコルビン酸ナトリウム(0.938g、4.74mmol)の水溶液を用いて処理した。反応物を窒素でパージし、tert-ブチル2-アジドアセテート(1.86g、11.8mmol)を用いて処理した。反応物を、室温で一晩撹拌した。反応物をろ過し、EtOAcと水との間で分配し、有機層を、ブラインで洗浄し、Na
2SO
4で乾燥させ、ろ過し、濃縮して残渣を得、これをシリカゲルクロマトグラフィー(0〜40%(1:1 EtOAc/DCM)/PE)により精製して、中間体28を白色固体として得た(2.94g、100%)。
1H NMR (400 MH, CDCl
3) δ 7.54 (s, 1H), 5.99 (dd, J = 6.3, 1.7 Hz, 1H), 5.04 (s, 2H), 3.72 (dd, J = 22.1, 10.7 Hz, 2H), 3.21 (m, 1H), 2.83 (dd, J = 12.6, 3.1 Hz, 1H), 2.45 (d, J = 18.6 Hz, 1H), 2.26 (dd, J = 17.4, 6.5 Hz, 1H), 1.93 (m, 7H), 1.31 (m, 40 H)。 LC/MS: m/z計算値619.4, 実測値620.8 (M + 1)
+。
【0226】
ステップD:中間体29
tert-ブチル2-(4-((3aR,5aR,5bR,7aR,11aS,11bR,13aS)-3a-ホルミル-1-イソプロピル-5a,5b,8,8,11a-ペンタメチル-2-オキソ-3,3a,4,5,5a,5b,6,7,7a,8,11,11a,11b,12,13,13a-ヘキサデカヒドロ-2H-シクロペンタ[a]クリセン-9-イル)-1H-1,2,3-トリアゾール-1-イル)アセテート
【0227】
DCM(30mL)中の中間体28(2.94g、4.75mmol)の溶液およびNaHCO
3(5.98g、71.19mmol)を0℃まで冷却し、続いてDMP(3g、7.12mmol)を用いて処理した。反応物を室温で2.5時間撹拌し、次に飽和Na
2S
2O
3の添加によりクエンチし、EtOAcを用いて抽出した。有機層を、ブラインで洗浄し、Na
2SO
4で乾燥させ、ろ過し、濃縮して残渣を得、これをシリカゲルクロマトグラフィー(0〜40%(1:1 DCM/EtOAc)/PE)により精製して、中間体29が白色固体として得られた(2.08g、70.9%)。
1H NMR (400 MH, CDCl
3) δ 9.33 (d, J = 1.3 Hz, 1H), 7.54 (s, 1H), 5.99 (dd, J = 6.3, 1.8 Hz, 1H), 5.04 (s, 2H), 3.27 (dt, J = 13.9, 7.0 Hz, 1H), 2.60 (dd, J = 12.7, 3.0 Hz, 1H), 2.38 (m, 2H), 2.25 (dd, J = 17.4, 6.6 Hz, 1H), 2.06 (m, 2H), 1.91 (m, 2H), 1.78 (d, J = 17.0 Hz, 1H), 1.32 (m, 40H)。 LC/MS: m/z計算値617.4, 実測値618.4 (M + 1)
+。
【0228】
ステップE:中間体30
tert-ブチル2-(4-((3aR,5aR,5bR,7aR,11aS,11bR,13aS)-3a-((R)-1-ヒドロキシ-2-ニトロエチル)-1-イソプロピル-5a,5b,8,8,11a-ペンタメチル-2-オキソ-3,3a,4,5,5a,5b,6,7,7a,8,11,11a,11b,12,13,13a-ヘキサデカヒドロ-2H-シクロペンタ[a]クリセン-9-イル)-1H-1,2,3-トリアゾール-1-イル)アセテート
【0229】
中間体29(2.08g、3.37mmol)、配位子10(0.132g、0.40mmol)の溶液(t-BuOH(21mL)およびトルエン(7mL)中)を、CuOAc(41mg、0.34mmol)を用いて処理し、室温で4時間撹拌した。MeNO
2(1.43g、23.58mmol)およびDIPEA(0.522mg、4.04mmol)を反応混合物に加えた。反応物を、室温で2日間撹拌した。続いて、飽和NH
4Cl溶液を用いて反応をクエンチし、EtOAcを用いて抽出した。有機層を、ブラインで洗浄し、Na
2SO
4で乾燥させ、ろ過し、減圧下で濃縮して残渣を得、これをシリカゲルクロマトグラフィー(0〜35%EtOAc/PE)により精製して、中間体30が明黄色固体として得られた(2.0g、87.5%収率)。
1H NMR (400 MHz, CDCl
3) δ 7.55 (s, 1H), 5.98 (dd, J = 6.2, 1.7 Hz, 1H), 5.04 (s, 2H), 4.91 (dd, J = 9.7, 1.7 Hz, 1H), 4.15 (m, 3H), 3.18 (dt, J = 10.0, 7.0 Hz, 1H), 2.71 (m, 1H), 2.55 (d, J = 19.7 H, 1H), 2.29 (m, 4H), 1.40 (m, 43H)。 LC/MS: m/z計算値678.4, 実測値679.1 (M + 1)
+。
【0230】
ステップF:中間体31
tert-ブチル2-(4-((3aR,5aR,5bR,7aR,11aS,11bR,13aS)-3a-((R)-2-アミノ-1-ヒドロキシエチル)-1-イソプロピル-5a,5b,8,8,11a-ペンタメチル-2-オキソ-3,3a,4,5,5a,5b,6,7,7a,8,11,11a,11b,12,13,13a-ヘキサデカヒドロ-2H-シクロペンタ[a]クリセン-9-イル)-1H-1,2,3-トリアゾール-1-イル)アセテート
【0231】
0℃で、中間体30(0.50g、0.74mmol)およびNiCl
2.6H
2O(262mg、1.10mmol)の懸濁物(MeOH(5mL)中)を、NaBH
4(279mg、7.4mmol)を用いて処理した。室温で60分間撹拌した後、得られた混合物を、飽和NH
4Clを用いてクエンチし、DCMを用いて抽出した。有機層を、ブラインで洗浄し、Na
2SO
4で乾燥させ、ろ過し、減圧下で濃縮して残渣を得、これをシリカゲルクロマトグラフィー(0〜50%(4:1 DCM/MeOH)/DCM)により精製して、中間体31を緑色固体として得た(330mg、69%収率)。
1H NMR (400 MHz, CDCl
3) δ 7.54 (d, J = 5.2 Hz, 1H), 5.98 (d, J = 5.1 Hz, 1H), 5.05 (s, 2H), 4.37 (d, J = 8.2 Hz, 1H), 3.18 (d, J = 6.5 Hz, 2H), 2.67 (m, 6H), 2.31 (dd, J = 50.3, 10.0 Hz, 2H), 1.90 (m, 6H), 1.24 (m, 39 H)。 LC/MS: m/z計算値648.5, 実測値649.8 (M + 1)
+。
【0232】
実施例12:化合物32
2-(4-((3aR,5aR,5bR,7aR,11aS,11bR,13aS)-3a-((R)-2-(N-(シクロプロピルメチル)-2-メトキシアセトアミド)-1-ヒドロキシエチル)-1-イソプロピル-5a,5b,8,8,11a-ペンタメチル-2-オキソ-3,3a,4,5,5a,5b,6,7,7a,8,11,11a,11b,12,13,13a-ヘキサデカヒドロ-2H-シクロペンタ[a]クリセン-9-イル)-1H-1,2,3-トリアゾール-1-イル)酢酸塩酸塩
【0233】
中間体31を用いて、表題の化合物を実施例1と同様に作製し、白色粉末として得た(16mg、43%)。
1H NMR (400 MHz, 数滴のMeOD) δ 7.58 (s, 1H), 5.97 (s, 1H), 5.09 (s, 2H), 4.15 (m, 3H), 3.31 (m, 8H), 1.54 (m, 41H), 0.60 (m, 2H), 0.19 (m, 2H)。
【0234】
実施例13:化合物33
4-((3aR,5aR,5bR,7aR,11aS,11bR,13aS)-3a-((R)-2-(N-(4-クロロベンジル)-2-メトキシアセトアミド)-1-ヒドロキシエチル)-1-イソプロピル-5a,5b,8,8,11a-ペンタメチル-2-オキソ-3,3a,4,5,5a,5b,6,7,7a,8,11,11a,11b,12,13,13a-ヘキサデカヒドロ-2H-シクロペンタ[a]クリセン-9-イル)安息香酸
【0235】
表題の化合物を、実施例1と同様に粉末として作製した(17mg、90.4%)。ステップAでは、ZnCl
2、NaBH
3CN、MeOH、およびDCEを用いた。
1H NMR (400 MHz, CDCl
3) δ 10.07 (br, 1H), 8.02 (d, J = 7.1 Hz, 2H), 7.36 (m, 2H), 7.25 (m, 4H), 5.98 (d, J = 9.5 Hz, 1H), 5.37 (m, 1H), 4.16 (m, 4H), 3.36 (s, 2H), 3.13 (m, 1H), 2.82 (s, 3H), 1.54 (m, 41H). LC/MS: m/z計算値757.5, 実測値783.4 (M + 1)
+。
【0236】
実施例14:化合物34
2-(4-((3aR,5aR,5bR,7aR,11aS,11bR,13aS)-3a-((R)-2-(N-(シクロプロピルメチル)-2-(ピロリジン-1-イル)アセトアミド)-1-ヒドロキシエチル)-1-イソプロピル-5a,5b,8,8,11a-ペンタメチル-2-オキソ-3,3a,4,5,5a,5b,6,7,7a,8,11,11a,11b,12,13,13a-ヘキサデカヒドロ-2H-シクロペンタ[a]クリセン-9-イル)-1H-1,2,3-トリアゾール-1-イル)酢酸塩酸塩
【0237】
中間体31を用いて、表題の化合物を実施例1と同様に作製し、白色粉末として得た(23mg、25%)。
1H NMR (400 MHz, CDCl
3, 数滴のMeOD) δ 7.78 (d, J = 12.0 Hz, 1H), 6.04 (s, 1H), 5.23 (s, 2H), 4.24 (m, 7H), 1.80 (m, 50H), 0.56 (m, 2H), 0.23 (m, 2H). LC/MS: m/z計算値757.5, 実測値758.6 (M + 1)
+。
【0238】
実施例15:化合物35
4-((3aR,5aR,5bR,7aR,11aS,11bR,13aS)-3a-((R)-2-((4-クロロベンジル)(2-(ジメチルアミノ)エチル)アミノ)-1-ヒドロキシエチル)-1-イソプロピル-5a,5b,8,8,11a-ペンタメチル-2-オキソ-3,3a,4,5,5a,5b,6,7,7a,8,11,11a,11b,12,13,13a-ヘキサデカヒドロ-2H-シクロペンタ[a]クリセン-9-イル)安息香酸塩酸塩
【0239】
表題の化合物を、実施例1と同様に白色粉末として作製した(29mg、78.8%)。ステップAでは、ZnCl
2、NaBH
3CN、MeOH、およびDCEを用いた。ステップBでは、還元的アミノ化を、2-(ジメチルアミノ)アセトアルデヒド、NaBH
3CN、MeOH、およびDCEを用いて行なった。
1H NMR (400 MHz, CDCl
3, 数滴のMeOD) δ 7.95 (d, J = 8.3 Hz, 2H), 7.54 (d, J = 6.5 Hz, 2H), 7.41 (d, J = 7.7 Hz, 2H), 7.21 (d, J = 8.2 Hz, 2H), 5.32 (d, J = 4.8 Hz, 1H), 4.44 - 4.29 (m, 1H), 3.92 - 3.78 (m, 1H), 3.47 - 3.37 (m, 2H), 3.13 - 3.07 (m, 1H), 2.85 (s, 6H), 2.50 - 0.93 (m, 45H). LC/MS: m/z計算値782.5, 実測値783.9 (M + 1)
+。
【0240】
実施例16:化合物36
2-(4-((3aR,5aR,5bR,7aR,11aS,11bR,13aS)-3a-((R)-2-((4-クロロベンジル)(2-(ジメチルアミノ)エチル)アミノ)-1-ヒドロキシエチル)-1-イソプロピル-5a,5b,8,8,11a-ペンタメチル-2-オキソ-3,3a,4,5,5a,5b,6,7,7a,8,11,11a,11b,12,13,13a-ヘキサデカヒドロ-2H-シクロペンタ[a]クリセン-9-イル)-1H-1,2,3-トリアゾール-1-イル)酢酸塩酸塩
【0241】
中間体31を用いて、表題の化合物を実施例1と同様に白色粉末として作製した(30mg、58.5%)。ステップAでは、ZnCl
2、NaBH
3CN、MeOH、およびDCEを用いた。ステップBでは、還元的アミノ化を、2-(ジメチルアミノ)アセトアルデヒド、NaBH
3CN、MeOH、およびDCEを用いて行なった。
1H NMR (400 MHz, CDCl
3, 数滴のMeOD) δ 7.71 (d, J = 6.8 Hz, 2H), 7.62 (s, 1H), 7.46 (d, J = 7.6 Hz, 2H), 5.99 (d, J = 5.5 Hz, 1H), 5.16 (s, 2H), 4.74 - 3.67 (m, 8H), 3.13 - 2.73 (m, 8H), 2.29 - 0.71 (m, 40H). LC/MS: m/z計算値787.5, 実測値788.9 (M + 1)
+。
【0242】
投与および製剤化
別の実施形態では、製薬上許容される希釈剤および治療的有効量の式Iの化合物またはその製薬上許容される塩を含む医薬組成物が提供される。
【0243】
本発明の化合物は、製薬上許容される塩の形態で供給することができる。用語「製薬上許容される塩」とは、製薬上許容される無機および有機酸および塩基から調製された塩を指す。したがって、「化合物またはその製薬上許容される塩」の文脈での単語「または」は、化合物もしくはその製薬上許容される塩(選択的)、または化合物およびその製薬上許容される塩(組み合わせ)を指すものと理解される。
【0244】
本明細書中で用いる場合、用語「製薬上許容される」とは、健全な医学的判断の範囲内で、過剰な毒性、刺激、または他の問題もしくは合併症なしにヒトおよび動物の組織と接触する使用に対して好適である化合物、材料、組成物、および剤型を指す。当業者であれば、式Iに記載の化合物の製薬上許容される塩を調製することができることを理解するであろう。これらの製薬上許容される塩を、化合物の最終的な単離および精製の間にin situで、または遊離酸もしくは遊離塩基の形態の精製された化合物と、それぞれ好適な塩基もしくは酸とを別々に反応させることにより調製することができる。
【0245】
本発明の化合物の例示的な製薬上許容される酸塩は、以下の酸、例えば、限定するものではないが、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、安息香酸、コハク酸、グリコール酸、グルコン酸、乳酸、マレイン酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、硝酸、アスコルビン酸、グルクロン酸、マレイン酸、フマル酸、ピルビン酸、アスパラギン酸、グルタミン酸、安息香酸、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、イソクエン酸、トリフルオロ酢酸、パモ酸、プロピオン酸、アントラニル酸、メシル酸、オキサル酢酸、オレイン酸、ステアリン酸、サリチル酸、p-ヒドロキシ安息香酸、ニコチン酸、フェニル酢酸、マンデリン酸、エンボン酸(パモ酸)、メタンスルホン酸、リン酸、ホスホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、パントテン酸、トルエンスルホン酸、2-ヒドロキシエタンスルホン酸、スルファニル酸、硫酸、サリチル酸、シクロヘキシルアミノスルホン酸、アルゲン酸(algenic)、β-ヒドロキシ酪酸、ガラクタル酸およびガラクツロン酸から調製することができる。好ましい製薬上許容される塩としては、塩酸およびトリフルオロ酢酸の塩が挙げられる。
【0246】
本発明の化合物の例示的な製薬上許容される無機塩基塩としては、金属イオンが挙げられる。より好ましい金属イオンとしては、限定するものではないが、適切なアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩および他の生理的に許容される金属イオンが挙げられる。無機塩基から誘導される塩としては、アルミニウム、アンモニウム、カルシウム、銅、第二鉄、第一鉄、リチウム、マグネシウム、マンガン塩、マンガン、カリウム、ナトリウム、亜鉛などおよびその通常の価数のものが挙げられる。例示的な塩基塩としては、アルミニウム、カルシウム、リチウム、マグネシウム、カリウム、ナトリウムおよび亜鉛が挙げられる。他の例示的な塩基塩としては、アンモニウム、カルシウム、マグネシウム、カリウム、およびナトリウム塩が挙げられる。さらに他の例示的な塩基塩としては、例えば、水酸化物、炭酸塩、水素化物、およびアルコキシド、例えば、NaOH、KOH、Na
2CO
3、K
2CO
3、NaH、およびカリウム-t-ブトキシドが挙げられる。
【0247】
製薬上許容される有機非毒性塩基から誘導される塩としては、第1級、第2級、および第3級アミンの塩、例えば、部分的には、トリメチルアミン、ジエチルアミン、N,N'-ジベンジルエチレンジアミン、クロロプロカイン、コリン、ジエタノールアミン、エチレンジアミン、メグルミン(N-メチルグルカミン)およびプロカイン;置換アミン、例えば、天然に存在する置換アミン;環状アミン;第4級アンモニウムカチオン;および塩基性イオン交換樹脂、例えばアルギニン、ベタイン、カフェイン、コリン、N,N-ジベンジルエチレンジアミン、ジエチルアミン、2-ジエチルアミノエタノール、2-ジメチルアミノエタノール、エタノールアミン、エチレンジアミン、N-エチルモルホリン、N-エチルピペリジン、グルカミン、グルコサミン、ヒスチジン、ヒドラバミン、イソプロピルアミン、リジン、メチルグルカミン、モルホリン、ピペラジン、ピペリジン、ポリアミン樹脂、プロカイン、プリン、テオブロミン、トリエチルアミン、トリメチルアミン、トリプロピルアミン、トロメタミンなどが挙げられる。
【0248】
当業者であれば、本発明の対応する化合物から慣用の手段によって上記の塩のすべてを調製することができる。例えば、本発明の製薬上許容される塩は、慣用の化学的方法により、塩基性または酸性部分を含有する親化合物から合成することができる。一般的に、そのような塩は、遊離酸または塩基形態のこれらの化合物と、水もしくは有機溶媒中、またはそれら2種類の混合物中の化学量論量の適切な塩基もしくは酸とを反応させることにより調製することができ;一般的に、エーテル、酢酸エチル、エタノール、イソプロパノール、またはアセトニトリルなどの非水性媒体が好ましい。塩は、溶液から沈降させて、ろ過により回収するか、または溶媒の蒸発により回収することができる。塩でのイオン化の程度は、完全にイオン化されたものからほとんどイオン化されていないものまで変化することができる。好適な塩の一覧は、Remington's Pharmaceutical Sciences、第17版、Mack Publishing Company, Easton, Pa., 1985, p.1418に見出され、その開示は好適な塩の一覧に関してのみ、参照により本明細書中に組込まれるものとする。
【0249】
本発明の化合物は、非溶媒和および溶媒和形態の両方で存在することができる。用語「溶媒和物」は、本発明の化合物、および1つ以上の製薬上許容される溶媒分子、例えば、エタノールを含む分子複合体を記述するために本明細書中で用いられる。用語「水和物」は、前記溶媒が水である場合に用いられる。製薬上許容される溶媒和物としては、水和物および結晶化の溶媒が同位体で置換され得る他の溶媒和物、例えば、D
2O、d
6-アセトン、d
6-DMSOが挙げられる。
【0250】
1個以上の不斉炭素原子を含む式Iの化合物は、2種以上の立体異性体として存在することができる。式Iの化合物がアルケニルもしくはアルケニレン基またはシクロアルキル基を含む場合、幾何シス/トランス(またはZ/E)異性体が可能である。化合物が、例えば、ケトもしくはオキシム基または芳香族部分を含む場合、互変異性性(「互変異性」)が生じる場合がある。単一の化合物が2つ以上の型の異性性を示し得ることになる。
【0251】
特許請求される本発明の化合物の範囲内に含まれるのは、式Iの化合物のすべての立体異性体、幾何異性体および互変異性体形態、例えば、2つ以上の型の異性性を示す化合物、およびその1つ以上の混合物である。また、対イオンが光学的に活性である酸付加塩または塩基塩、例えば、D-乳酸塩もしくはL-リジン、またはラセミ体、例えば、DL-酒石酸塩またはDL-アルギニンも含まれる。
シス/トランス異性体は、当業者には周知の慣用の技術、例えば、クロマトグラフィーおよび分別結晶法により分離することができる。
【0252】
個々のエナンチオマーの調製/単離のための慣用の技術としては、好適な光学的に純粋な前駆体からのキラル合成、または、例えば、キラル高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いるラセミ体(または塩もしくは誘導体のラセミ体)の分割が挙げられる。
【0253】
あるいは、ラセミ体(またはラセミ前駆体)を、好適な光学的に活性な化合物、例えば、アルコール、または式Iの化合物が酸性もしくは塩基性部分を含む場合、酒石酸もしくは1-フェニルエチルアミンなどの酸もしくは塩基と反応させることができる。得られるジアステレオマー混合物を、クロマトグラフィーおよび/または分別結晶法により分離し、ジアステレオマーの一方または両方を、当業者には周知の手段により対応する純粋なエナンチオマーに変換することができる。
【0254】
本発明のキラル化合物(およびそのキラル前駆体)は、不斉固定相と、0〜50%のイソプロパノール、典型的には、2〜20%および0〜5%のアルキルアミン、典型的には、0.1%ジエチルアミンを含有する炭化水素、典型的にはヘプタンまたはヘキサンからなる移動相とを有する樹脂上でのクロマトグラフィー、典型的にはHPLCを用いて、エナンチオマーが富化された形態で取得することができる。溶離液の濃縮は、富化された混合物をもたらす。
【0255】
立体異性体の混合物は、当業者には公知の慣用の技術により分離することができる[例えば、E L Elielによる「Stereochemistry of Organic Compounds」(Wiley, New York, 1994)を参照されたい]。
【0256】
本発明は、1個以上の原子が、同じ原子番号であるが、天然で通常見出される原子質量または質量数とは異なる原子質量または質量数を有する原子により置き換えられている、式Iのすべての製薬上許容される同位体標識された化合物を含む。
【0257】
本発明の化合物中への含有にとって好適な同位体の例としては、水素の同位体、例えば、
2Hおよび
3H、炭素の同位体、例えば、
11C、
13Cおよび
14C、塩素の同位体、例えば、
36Cl、フッ素の同位体、例えば、
18F、ヨウ素の同位体、例えば、
123Iおよび
125I、窒素の同位体、例えば、
13Nおよび
15N、酸素の同位体、例えば、
15O、
17Oおよび
18O、リンの同位体、例えば、
32P、ならびに硫黄の同位体、例えば、
35Sが挙げられる。
【0258】
式Iの特定の同位体標識された化合物、例えば、放射性同位体を含むものは、薬剤および/または物質の組織分布研究に有用である。放射性同位体トリチウム、すなわち
3H、および炭素14、すなわち
14Cは、その組み込みの容易性および容易な検出手段を考慮すると、この目的にとって特に有用である。
【0259】
重水素、すなわち
2Hなどのより重い同位体による置換は、より高い代謝安定性から生じる特定の治療的利益、例えば、in vivoでの半減期の増大または投与量要件の減少を提供することができ、したがって、いくつかの環境では好ましい場合がある。
【0260】
式Iの同位体標識された化合物は、一般的には、以前に用いられた非標識試薬の代わりに適切な同位体標識された試薬を用いる、当業者には公知の慣用の技術により、調製することができる。
【0261】
本発明の化合物は、プロドラッグとして投与することができる。つまり、それ自体は薬理活性をほとんど有しないか、または全く有しない場合がある式Iの化合物の特定の誘導体が、体内または身体上に投与した場合に、「プロドラッグ」として式Iの化合物に変換され得る。
【0262】
本明細書中に記載される化学物質の投与は、限定するものではないが、経口、舌下、皮下、静脈内、鼻内、局所、経皮、腹腔内、筋肉内、肺内、経膣、直腸、または眼内をはじめとする、類似する有用性を有する薬剤のための許容される投与様式のうちのいずれかを介するものであり得る。いくつかの実施形態では、経口または非経口投与が用いられる。
【0263】
医薬組成物または製剤としては、固体、半固体、液体およびエアロゾル剤型、例えば、錠剤、カプセル剤、散剤、液剤、懸濁液剤、坐剤、エアロゾル剤などが挙げられる。また、化学物質を、所定の速度での延長された、および/または時限式のパルス状投与のために、デポー注射、浸透圧ポンプ、丸剤、経皮(電気輸送など)パッチをはじめとする持続または制御放出剤型で投与することもできる。特定の実施形態では、組成物は、正確な用量の単回投与にとって好適な単位剤型中で提供される。
【0264】
本明細書中に記載される化学物質を、単独で、またはより典型的には、慣用の医薬担体、賦形剤など(例えば、マンニトール、ラクトース、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、サッカリンナトリウム、タルカム、セルロース、クロスカルメロースナトリウム、グルコース、ゼラチン、スクロース、炭酸マグネシウムなど)と組み合わせて投与することができる。必要に応じて、医薬組成物は、少量の非毒性補助物質、例えば、湿潤化剤、乳化剤、可溶化剤、pH緩衝剤など(例えば、酢酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、シクロデキストリン誘導体、モノラウリン酸ソルビタン、酢酸トリエタノールアミン、オレイン酸トリエタノールアミンなど)も含有することができる。一般的に、意図される投与様式に応じて、医薬組成物は、約0.005重量%〜95重量%;特定の実施形態では、約0.5重量%〜50重量%の化学物質を含有するであろう。そのような剤型を調製する実際の方法は、当業者には公知であるか、または明らかであろう;例えば、Remington's Pharmaceutical Sciences, Mack Publishing Company, Easton, Pennsylvaniaを参照されたい。
【0265】
特定の実施形態では、組成物は、丸剤または錠剤の形態を採り、つまり、組成物は、活性成分と共に、ラクトース、スクロース、リン酸二カルシウムなどの希釈剤;ステアリン酸マグネシウムなどの滑沢剤;およびデンプン、アラビアゴム、ポリビニルピロリドン(polyvinylpyrrolidine)、ゼラチン、セルロース、セルロース誘導体などの結合剤を含有するであろう。別の固体剤型では、粉末、マルメ(marume)、溶液または懸濁液(例えば、炭酸プロピレン、植物油またはトリグリセリド中)を、ゼラチンカプセル中に封入する。
【0266】
液体の薬学的に投与可能な組成物は、例えば、少なくとも1つの化学物質および任意の医薬アジュバントを担体(例えば、水、生理食塩水、水性デキストロース、グリセロール、グリコール、エタノールなど)中に溶解、分散などして、溶液または懸濁液を形成させることにより調製することができる。注射剤は、液体溶液もしくは懸濁液として、エマルジョンとして、または注射前の液体中への溶解もしくは懸濁にとって好適な固体形態で、慣用の剤型で調製することができる。そのような非経口組成物中に含有される化学物質の割合は、その特異的性質、ならびに化学物質の活性および被験体の必要性に高度に依存する。しかしながら、溶液中0.01%〜10%の活性成分の割合を用いることができ、組成物が上記割合にその後希釈される固体である場合、それはより高いものとなるであろう。特定の実施形態では、組成物は、溶液中に約0.2〜2%の活性薬剤を含むであろう。
【0267】
本明細書中に記載される化学物質の医薬組成物を、エアロゾルもしくはネブライザーのための溶液として、または吹送のための超微粒粉末として、単独で、またはラクトースなどの不活性担体と共に、気道に投与することもできる。そのような場合、医薬組成物の粒子は、50ミクロン未満、特定の実施形態においては、10ミクロン未満の直径を有する。
【0268】
一般的に、提供される化学物質は、類似する有用性を有する薬剤のための許容される投与様式のうちのいずれかにより、治療的有効量で投与される。実際の化学物質、すなわち、活性成分の量は、処置される疾患の重症度、被験体の年齢および相対的健康状態、用いられる化学物質の効力、投与の経路および形式、ならびに他の因子などの多数の因子に依存する。薬剤を、1日1回以上、例えば、1日1回または2回投与することができる。
【0269】
本明細書中に記載される化学物質の治療的有効量は、1日に、レシピエントの体重1キログラムあたり約0.01〜200mg、例えば、約0.01〜100mg/kg/日、例えば、約0.1〜50mg/kg/日の範囲であり得る。つまり、70kgのヒトへの投与の場合、投与量範囲は約7〜3500mg/日であり得る。
【0270】
一般的に、化学物質は、以下の経路のいずれか1つ:経口、全身(例えば、経皮、鼻内もしくは坐剤による)、または非経口(例えば、筋肉内、静脈内もしくは皮下)投与により医薬組成物として投与されるであろう。特定の実施形態では、苦痛の程度に応じて調整することができる都合の良い一日投与量レジメンを用いる経口投与を用いることができる。組成物は、錠剤、丸剤、カプセル剤、半固体剤、散剤、持続放出製剤、溶液剤、懸濁液剤、エリキシル剤、エアロゾル剤、またはいずれかの他の適切な組成物の形態をとることができる。提供される化学物質を投与するための別の様式は、吸入である。
【0271】
製剤の選択は、薬剤投与の様式および薬剤物質のバイオアベイラビリティなどの様々な因子に依存する。吸入による送達のためには、化学物質を、液体溶液、懸濁液、エアロゾル推進剤または乾燥粉末として製剤化し、投与用の好適な分配装置中に充填することができる。いくつかのタイプの医薬吸入デバイス-ネブライザー吸入器、定量噴霧式吸入器(MDI)および乾燥粉末吸入器(DPI)がある。ネブライザーデバイスは、治療剤(液体形態で製剤化される)を患者の気道に運搬されるミストとして噴霧させる高速の空気流をもたらす。MDIは、典型的には、圧縮ガスと共に包装された製剤である。作動時に、デバイスは、圧縮ガスにより一定量の治療剤を放出し、つまり、設定された量の薬剤を投与する信頼できる方法を提供する。DPIは自由流動粉末の形態で治療剤を分配し、これは、デバイスによって呼吸の間に患者の吸気流中に分配することができる。自由流動粉末を達成するために、治療剤は、ラクトースなどの賦形剤と共に製剤化される。一定量の治療剤はカプセル形態で保存され、各回の作動と共に分配される。
【0272】
近年、表面積を増大させること、すなわち、粒径を低下させることによってバイオアベイラビリティを増大させることができるという原理に基づいて、弱いバイオアベイラビリティを示す薬剤のための医薬組成物が開発された。例えば、米国特許第4,107,288号は、活性材料が高分子の架橋マトリックス上に支持された10〜1,000nmの範囲のサイズの粒子を有する医薬製剤を記載する。米国特許第5,145,684号は、薬剤物質を表面改質剤の存在下でナノ粒子(400nmの平均粒径)に粉砕した後、液体媒体中に分散させて、顕著に高いバイオアベイラビリティを示す医薬製剤を得る、医薬製剤の製造を記載する。
【0273】
組成物は、一般的に、本明細書中に記載される少なくとも1種の化学物質を、少なくとも1種の製薬上許容される賦形剤と組み合わせて構成される。許容される賦形剤は、非毒性的であり、投与を補助し、本明細書中に記載される少なくとも1種の化学物質の治療利益に有害に作用しない。そのような賦形剤は、いずれかの固体、液体、半固体、またはエアロゾル組成物の場合には、当業者にとって一般的に利用可能である気体賦形剤であり得る。
【0274】
固体医薬賦形剤としては、デンプン、セルロース、タルク、グルコース、ラクトース、スクロース、ゼラチン、モルト、コメ、小麦粉、チョーク、シリカゲル、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸ナトリウム、モノステアリン酸グリセロール、塩化ナトリウム、乾燥スキムミルクなどが挙げられる。液体および半固体賦形剤は、グリセロール、プロピレングリコール、水、エタノールおよび様々な油、例えば、石油、動物油、植物油または合成由来の油、例えば、ピーナッツ油、ダイズ油、鉱油、ゴマ油などから選択することができる。注射用溶液剤のための液体担体としては、水、生理食塩水、水性デキストロース、およびグリコールが挙げられる。
【0275】
圧縮ガスを用いて、本明細書中に記載される化学物質をエアロゾル形態で分散させることができる。この目的のために好適な不活性ガスは、窒素、二酸化炭素などである。他の好適な医薬賦形剤およびその製剤は、Remington's Pharmaceutical Sciences、E. W. Martin編(Mack Publishing Company、第18版、1990)に記載されている。
【0276】
組成物中の化学物質の量は、当業者によって用いられる全範囲内で変動し得る。典型的には、組成物は、重量パーセント(wt%)ベースで、総組成物に基づいて約0.01〜99.99wt%の本明細書中に記載される少なくとも1種の化学物質を含有し、その残余は1種以上の好適な医薬賦形剤である。特定の実施形態では、本明細書中に記載される少なくとも1種の化学物質は、約1〜80wt%のレベルで存在する。
【0277】
実施例17
MT4細胞抗ウイルスアッセイ
実験手順:
抗ウイルスHIV活性および化合物誘導性細胞傷害性を、ヒトT細胞リンパ球指向性ウイルス形質転換細胞株MT4中でヨウ化プロピジウムに基づく手順を用いて並行して測定した。試験化合物のアリコートを、Cetus Pro/Petteを用いて96穴プレート(Costar 3598)中、培地(RPMI 1640、10%ウシ胎仔血清(FCS)およびゲンタマイシン)中で連続希釈した。指数増殖しているMT4細胞を回収し、Jouan遠心分離装置(モデルCR 4 12)中、1000rpmで10分間遠心分離した。細胞ペレットを、新鮮な培地(RPMI 1640、20%FCS、20%IL-2およびゲンタマイシン)中で、5×10
5細胞/mLの密度に再懸濁した。細胞アリコートを、100×TCID50のウイルス感染多重度を得るように希釈されたHIV-1(IIIB株)の添加により感染させた。同様の細胞アリコートを培地で希釈して、モック感染対照を提供した。細胞感染を、加湿された5%CO
2雰囲気を有する組織培養インキュベータ中、37℃で1時間進行させた。1時間のインキュベーション後、ウイルス/細胞懸濁液を新鮮な培地で6倍に希釈し、125μLの細胞懸濁液を、予め希釈された化合物を含むプレートの各ウェルに添加した。次いで、プレートを、加湿された5%CO
2を有する組織培養インキュベータ中に5日間入れた。インキュベーション期間の終わりに、細胞数およびしたがってHIV誘導性細胞傷害を、(A)ヨウ化プロピジウム染色または(B) MTSテトラゾリウム染色法により評価した。
【0278】
ヨウ化プロピジウムリードアウトのために、27μLの5%Nonidet-40を、インキュベーションプレートの各ウェルに添加した。Costarマルチチップピペッターを用いて十分に混合した後、60μLの混合物をフィルターボトム96穴プレートに移した。プレートを自動化アッセイ装置(Screen Machine、Idexx Laboratories社)中で分析した。用いた対照および標準は、3'-アジド-3'-デオキシチミジンであり、アッセイ毎に0.01〜1μMの濃度範囲にわたって試験した。3'-アジド-3'-デオキシチミジンの予想されるIC
50値の範囲は、0.04〜0.12μMである。このアッセイは、各ウェルのDNA含量を見積もるためにヨウ化プロピジウム色素を利用する。
【0279】
MTSリードアウトのために、20μLのCellTiter 96 AQ One Solution試薬(Promega #G3582)を各ウェルに添加した。MTS試薬の添加後75分で、Tecan Sunrise 96穴プレートリーダーを用いて492nmで吸光度を読み取った。
【0280】
分析:
試験化合物の抗ウイルス作用を、EC
50、すなわち、HIV誘導性細胞傷害作用の50%の低下をもたらす阻害濃度として報告する。この作用は、未感染のMT4細胞対照と比較して、HIV感染MT4細胞の細胞増殖の50%を回復させるのに必要とされる試験化合物の量により測定される。IC
50は、RoboSage、Automated Curve Fitting Program、バージョン5.00、1995年7月10日により算出した。
【0281】
各アッセイプレートについて、未感染の細胞または化合物を含まない感染細胞を含有するウェルの結果(相対蛍光単位、rfU、またはOD値)を、それぞれ平均した。化合物誘導性細胞傷害性の測定のために、様々な化合物濃度および未感染の細胞を含有するウェルからの結果を、化合物処理を用いない未感染の細胞の平均と比較した。細胞残存率(%)を、以下の式:
細胞残存率(%)=(化合物で処理された未感染細胞、rfU、またはOD値/未処理の未感染細胞)×100
により決定する。
【0282】
79%以下の細胞残存率(%)のレベルは、その濃度での化合物の直接的な化合物誘導性細胞傷害性の有意なレベルを示している。この状態が起こる場合、この濃度での化合物処理された感染ウェルからの結果は、EC
50の算出に含まれない。
【0283】
化合物抗ウイルス活性の測定のために、様々な化合物濃度および感染細胞を含むウェルからの結果を、化合物処理を用いない未感染および感染細胞の平均と比較する。ウイルスの阻害率(%)を、以下の式:
ウイルス阻害率(%)=(1−((未処理の未感染細胞の平均−処理された感染細胞)/(未処理の未感染細胞の平均−未処理の感染細胞の平均)))×100
により決定する。
【0284】
結果:
本発明の化合物は、EC
50=1〜21,000nMの範囲の抗HIV活性を有する。
【表3】