【実施例】
【0182】
VI.実施例
実施例1.ロイカドヘリンLA1のDMSO溶媒和物形態Iの調製
【0183】
ジエチルエーテル(外側のバイアル、閉鎖)の蒸気拡散を、DMSO溶液(内側のバイアル、開放)の中に調製した。室温にて1日後、(かなりの量のエーテルがDMSOの入ったバイアルに加えられた)バイアルを、−10℃の冷凍庫に置いた。DMSOは凍結したが、内側のバイアルの上層域に増大した結晶性プレートが存在した。結晶性プレートを解析した。
1H NMR (500 MHz, DMSO) δ 8.10 (d, 2H, J = 8.2 Hz), 7.96 (d, 2H, J = 8.4 Hz), 7.74 (s, 1H), 7.50 (d, 1H, J = 3.8 Hz) 7.42 (d, 1H, J = 4 Hz), 7.37-7.26 (m, 5H), 5.25 (s, 1H), 3.31 (bs, 1H).
【0184】
ロイカドヘリンLA1の新規結晶形を、粉末X線回折分光法によって解析し、そしてそれは、特定の結晶形の指紋領域を示した。2θの測定値は、典型的に±0.2度の範囲内の精度を有する。
【0185】
結晶性ロイカドヘリンLA1のX線回折データを、100.0(5)K.1でのデータ収集のためのBruker SMART APEX II CCDプラットフォームディフラクトメーターを使用して得た。セル定数及び方向マトリックスの予備的なセットを、逆空間の3つの直交化ウェッジから収集した反射から計算した。完全なデータ収集を、60秒のフレーム時間及び3.99cmの検出装置距離を用いてMoKα放射線(グラファイトモノクロメータ)を使用して実施した。逆空間のランダム指向領域を調査した:4つの主要部分のフレームを、4つの異なったΦ設定においてωが0.50°ステップ及び2θが−38°の検出装置位置を用いて収集した。強度データを吸収に関して補正した。最終的なセル定数を、積分後に実際のデータ収集からの4045回の強い反射のxyz重心から計算した。
【0186】
図1は、ロイカドヘリンLA1のDMSO溶媒和物形態Iについて測定したX線結晶構造を示し、そのデータを、表1及び表2にまとめる。
表1.LA1のDMSO溶媒和物形態Iの結晶データ
【表1】
表2.100.0(5)KにおけるロイカドヘリンLA1の位置パラメーター
【表2】
【0187】
ロイカドヘリンLA1の結晶データ及び構造精密化:以下のパラメーターを使用した。温度−100.0(5)K、波長−0.71073Å、晶系−三斜晶系、空間群−P−1、単位セル寸法−(a=8.1554(15)Å、α=66.860(4)°、b=11.535(2)Å、β=86.581(4)°、c=14.091(3)Å、γ=70.621(4)°)、体積−1146.1(4)Å
3、Z−2、密度(理論値)−1.448Mg/m
3、吸収率−0.361mm
-1、F(000)−520、結晶の呈色性及び形態−オレンジ色及びプレート、結晶サイズ−0.36×0.30×0.12mm
3、データ収集のためのθ範囲−2.023〜35.010°、指数範囲−(−13<時間<13、−18<k<18、−22<l<22)、収集した反射−25036、独立した反射−9940[R(int)=0.0562]、観察した反射−6038、θに対する完全性=34.970°−98.7%、吸収補正−マルチスキャン、最大及び最小透過−0.7469及び0.6405、精密化方法−F2に対するフルマトリックス最小二乗法、当てはめの適合度−1.001、最終的なR指数[I>2シグマ(I)]−(R1=0.0553、wR2=0.1174)、R指数(すべてのデータ)−(R1=0.1054、wR2=0.1372)、ピーク及びホールの最大回折−0.766及び−0.518e.Å
-3。
【0188】
ロイカドヘリンLA1形態Iの非対称ユニットは、両方が通常位置にある、1つの標的分子及び1つの共結晶化ジメチルスルホキシド溶媒分子を含有する。分子のフェニル環は、それぞれ、環C2−C7及びC17−C22に対して約3.5及び3.6Åのプラナー距離にて対をなして積み重ねられている(
図1を参照)。水素結合が、標的分子に溶媒分子を連結している(
図1及び表1を参照)。
実施例2.LA1遊離酸の特性解析
【0189】
LA1の遊離酸形は、0.78μg/mLの水溶解度、及び4.1の理論的pKaを有する。予め、限定した塩スクリーンを、5種類の無機対イオン(Na、K、NH
4、Ca、及びMg)を使用して実施した。塩は結晶性を呈したが、大部分は吸湿性であった。
【0190】
溶解性の概算:試験溶媒のアリコートを、周囲温度にてLA1の正確に計量したサンプル(〜10mg)に加えた。アリコート体積は、概ね200〜1000μLであった。試験物質の完全な溶解を、目視検査によって測定した。溶解性を、完全な溶解を達成するのに使用した総溶媒に基づいて、これらの実験から概算した。多過ぎた溶媒アリコートの使用のため又は溶解の遅い速度に起因して、実際の溶解性が理論値よりも多くなり得ることに注意しなければならない。
【0191】
アリコートの添加によって溶解を示さなかった多くのサンプルを、温度サイクリングレジームに供した。最初に、サンプルを、0.5℃/分にて20℃から溶媒沸点(又は100℃、どれでもより低かった)の3℃以内まで加熱し;次に、800rpmにて撹拌しながら、0.2℃/分にて20℃まで冷ました。
【0192】
サンプルバイアルの赤外線(IR)透過データから、溶解と沈殿事象を、それぞれ、IRの完全な透過点及びIRによる混濁度の始まりとして記録した。選択したサンプルはまた、50℃にてオービタルシェイカーで撹拌し、そして、溶解について目視で観察した。
【0193】
平衡化による溶解性の測定:UHQ水試験溶媒(1mL)のアリコートを、LA1塩の正確に計量したサンプルに加え、周囲温度にて4日間にわたり撹拌した。サンプルを、取り出し、0.2μmのPTFEフイルターを通して濾過し、そして、HPLCによって分析した。
【0194】
粉末X線回折(XRPD):XRPD分析を、Cu X線管及びPixcel検出システムを備えたPanalytical Xpert Proディフラクトメーターを使用して実施した。等温サンプルを、透過モードで分析し、そして、低密度ポリエチレンフィルム間に保持した。フレームを、0.013°ステップのω、99秒のカウント時間で2θが3〜40°の検出装置位置範囲、及び〜22分のランタイムで収集した。XRPDパターンを、HighScore Plus 2.2cソフトウェアを使用して選別及び処理した。
【0195】
熱重量示差熱分析(TG/DTA):熱重量分析を、Mettler Toledo TGA/DSC1 STAReにより実施した。キャリブレーション基準は、インジウム及びスズであった。サンプルを、アルミニウムサンプルパンに入れ、TGオーブン内に挿入し、そして、正確に計量した。熱流量シグナルを、10℃/分の速度の窒素流内で300℃まで加熱する前に、30℃にて1分間安定させた。
【0196】
プロトン核磁気共鳴分光法(NMR):プロトンNMR分析を、d
6−DMSO又はMeOD中、Bruker 500MHz又は400MHz装置により実施した。1滴のD
2O及び/又はTFAを、いくつかのサンプルに加え、塩基によるピークとの重複から水のピークをシフトさせた。
【0197】
HPLC分析法:HPLCを、周囲温度における水性平衡溶解度を測定するために使用した。HPLCを、Supelco Ascentis Express C18、4.6×150mm、2.7μmカラム;水中に0.1%のリン酸を含有する移動相A;アセトニトリルを含有する移動相B;9分間で10%のBから95%のBに変動する溶媒グラジエント;1.5mL/分の溶媒流量;10μLのサンプル体積;及び264nmにおけるUV検出を使用して実施した。LA1の保持時間は、概ね8.4±0.2分であった。HPLC分析用の基準を、最初に、LA1遊離酸を使用して調製したが、DMSO:アセトニトリル:水(1:1:1)中に不溶性であり、そのため、別の基準を、LA1コリン塩を使用して調製し、そしてそれは、アセトニトリル:水(1:1)中に可溶性であった。
【0198】
LA1の特性解析:得られたLA1は、XRPD分析によって結晶性固形であったが、いくつかの回折ピークのピークブロード化によって示されたたように、何らかの障害を含んでいた(
図2)。熱重量/示差熱分析(TG/DTA)を実施して、温度プロファイル及び付随したLA1の%重量変化を測定した。<1%の重量減少が、280℃未満で観察され、材料が無水であることが示唆された(
図3)。0.5%のわずかな重量減少が、280〜300℃から指摘されたが、DTAトレースに付随する小さい吸熱に相当するが、更なる調査は行わなかった。
【0199】
サンプルのDSCサーモグラムは、〜318℃の溶解開始を示した(
図4)。ベースラインに対するわずかな偏差が、260〜280℃の間で示されたが、更なる調査を実施しなかった。APIのプロトンNMRスペクトルを、d
6−DMSO中で記録し、そして、分子構造に一致した。恐らく既知のDMSO溶媒和物の形成に起因して、d
6−DMSO中へのAPIの溶解直後に、かなりの沈殿がNMRチューブ内で観察された。
【0200】
LA1の概算された溶解度:得られたLA1の大まかな溶解度を、試験した塩の好適な溶媒を選択するためにアリコート添加法によって8種類の溶媒で概算したが(表3)、それは試験したすべての溶媒中に不溶性であった。いくつかの溶媒混合物を試験したが、APIは調査したすべての混合物中に不溶性であった。加熱時でさえ、APIは、73℃にて10mg/mLでDMF中に溶解しただけであった。
表3.20℃におけるLA1の大まかな溶解度
【表3】
【0201】
〜10体積(volume)中で溶解を示さなかったそれらの実験物は、先に記載した高温にて温度サイクルに供するか又はスラリー化した。
【0202】
特性解析及び溶媒試験からの結論:XRPD分析は、LA1が不規則な結晶物質であることを示した。TG/DTAデータは、30〜280℃から無視できるほどの重量減少を示し、最小限の湿気又は残留溶媒の含有が示唆され、そして、LA1が最高280℃まで熱に安定な状態を維持することを示した。付随する吸熱を伴った0.5%のわずかな重量減少が280〜300℃から示されたが、更なる調査は行わなかった。サンプルのDSCサーモグラムは、〜318℃の溶解開始を示した。ベースラインに対するわずかな偏差が、260〜280℃の間で示されたが、更なる調査は行わなかった。分子構造を、d
6−DMSOを使用した
1H NMR分光法によって確認した。沈殿を、APIの最初の溶解後にNMRチューブ内で示し、そしてそれは、恐らく、既知のDMSO溶媒和物の形成に起因する。LA1の溶解度を、アリコート添加によって評価し、そして、試験したすべての溶媒中への難溶性を示した。加熱した(73℃)DMF中にのみ、〜10mg/mLの溶解を達成した。
実施例3.LA1塩の調製と特性解析
【0203】
改善された水溶解度及び低吸湿性を有するLA1塩を調製し、そして、解析した。
【0204】
結晶化実験からのすべての固形物を、XRPDによって分析し、得られたパターンを、出発物質によって示されたものと比較した。新規XRPDパターンには、発見順にアルファベット順の記述子を付与した(パターンB、パターンCなど)。十分な材料が利用できるときには、更なる分析(例えば、NMR又はTGA)を、新規XRPDパターンを有する固体に対して実施して、多形体、溶媒和物、水和物、分解物又はその混合物として新規パターンの一時的な指定を可能にした。使用した塩基を表4にまとめる。
表4.塩の試験に使用した材料と試薬
【表4】
【0205】
溶媒に基づく技術:溶媒に基づく実験を、最初に、約90mgのスケールにて実施した;しかしながら、これを、限られたAPIのためにガラスバイアルでの約20〜30mgのスケールに改変した。
【0206】
実験を、等モル化学量論を用い、且つ、過剰量の塩基を使用して20〜30mgのスケールで実施した。計量した酸と塩基を、ガラスバイアル内で組み合わせ、続いて溶媒を合わせ、そして、周囲温度又は40℃にてスラリー化した。或いは、計量した酸を、ガラスバイアル内で過剰量の塩基と組み合わせ、そして、溶媒を加えた。サンプルを、周囲温度又は40℃/50℃にて1〜2日間スラリー化した。固形物を、真空濾過、遠心分離によって分離するか、或いは、ゆっくりとした留去によって乾燥させるか、又はN
2流下若しくは真空乾燥下でパージした。
【0207】
ゆっくりとした留去:スラリーと設定した一部の実験では、周囲条件下、N
2流下又は真空乾燥器下で乾燥までの留去を可能にしたので、固形物を分離し、そして、XRPDによって分析した。APIを過剰量の塩基と組み合わせ、そして、これはN
2流下で留去したとき、トロメタミンからのあるサンプルが溶液を生じた。
【0208】
スラリー実験:LA1と(等モル化学量論の又は過剰量の)塩基をバイアルに入れ、そして、溶媒を加えた。その混合物を、選択した温度にて1又は2日間、磁気撹拌によって撹拌した。固形物を、真空濾過/遠心分離によって分離し、XRPDによる分析前に風乾した。
【0209】
超音波処理:
スラリー状実験から生じ、選択した固形物を、パルスプログラムを使用したCole-Parmer 130W超音波処理装置を使用して70%の強度にて約8分間、超音波処理した。これらの実験が回収したすべての固形物を、XRPDを使用して分析した。
【0210】
留去、(周囲温度及び高温での)持続的なスラリー、及び超音波処理技術は、塩基に対するAPIの等モル化学量論を使用して用いられた。過剰量の塩基もまた、不完全な塩形成を示したいくつかの塩基の等モル混合物からの初期結果として多くの実験に使用した。
【0211】
バイアル内での留去:完全に溶解したサンプルのみが、DMF又はMeOH−THF中のコリンを用いたものであり、暗赤色の溶液を形成した。これらの溶液の留去はオイルを生じ、次にそれを減圧下で乾燥させた。固形物を、乾燥後に一方のサンプルから回収したが、もう片方のサンプルが粘稠のオイルのままだったので、分析しなかった(表5)。その固形物は、結晶物質で構成され(
図5)、そして、塩形成は、固形物に関して
1H NMR分光法によって確認した。
表5.バイアル内での留去からの結果
【表5】
【0212】
スラリー実験:LA1及び塩基の懸濁液を、周囲温度又は40/50℃にて1〜2日間、様々な溶媒中で撹拌し、XRPDによって分析した(表6)。多くのスラリーを、キャップを外したままにするか、又はN
2下で乾燥するまで留去した。APIの2つの新しい形を多くの実験(パターンC及びDの物質)から分離し、第7項で更に考察した。結晶性固形物をコリン、メグルミン、トロメタミン、及びコリン塩を含めたいくつかの対イオンから分離し(
図6)、及び不規則な固形物を、Ca、K、Mg、Na、及びピペラジンから分離したが(
図9)、多くが、APIを含有した混合物質であった。コリン塩の新しい形は結晶化され、そして、Ca及びトロメタミン塩の2つの形態が分離された。塩形成を、独特な固形物に関して
1H NMR分光法によって確認した。
表6.スラリー実験からの結果
【表6】
【0213】
塩の試験からの結論:LA1塩は、12種類の医薬的に許容し得る塩基を使用して調製し、異なった結晶化技術と条件を伴った。
【0214】
結晶性を示す5つの塩:コリン、メグルミン、カルシウム、ピペラジン、及びトロメタミンを分離した。それぞれに関する塩形成を、
1H NMR分析によって確認し、そして、トロメタミン塩がNMP溶媒和物であるように見えた。塩の複数の形態を、コリン、トロメタミン、及びカルシウム塩について分離した。固形物はまた、結晶性を示したCa、Mg、及びNa対イオンからも分離されたが、XRPDによってAPIの混合物であるように見えたので、塩が疑われた。1種類のCa塩サンプルを除いて、塩への完全な転換が達成されたことがなく、そしてそれは、XRPDによって乱された。他の対イオンから分離された固形物は、出発物質の混合物から構成された。
実施例4.結晶性塩の吸湿性及び水溶解度
【0215】
40℃/75% RHでの湿度ストレス:結晶性を示した塩サンプルに、40°/75%のRH条件下で5〜6日間ストレスをかけて、潮解性及び吸湿性を評価した。約5mgの結晶性を示したLA1塩を、ガラスバイアルに加え、そしてそれを、NaClの飽和水溶液を含むより大きいバイアル内にキャップを外して入れた。より大きいバイアルを閉じ、パラフィルムで密閉し、最長6日間、40℃のオーブン内に入れた。次に、塩をこれらの条件から取り出し、重量変化及びXRPDによる分析前に変化を観察した(例えば、呈色性や潮解性など)。サンプルを、ストレス付加後に、目視により調査し、形態組成物をXRPD分析によって確認し、及び重量変化を記録した(表7)。
表7.湿度ストレス付加実験からの結果
【表7】
【0216】
試験した湿度条件下で潮解したサンプルはなかったが、3つのサンプル、特にコリン塩に関して、重量が増加した。加えて、XRPD分析は、コリン、トロメタミン、及びピペラジン塩が、ストレス付加後に、水和形態に相変化を受けた可能性がある。コリン塩で示された大きな重量増加は、水和物生成を支持するが、重量減少がピペラジン塩について観察され、その原因はわからなかった。
【0217】
選択した塩の水溶解度:結晶性を示し、且つ、融解性でなかった塩の水溶解度を、周囲温度にてHPLC分析法によって測定した。サンプルを、分析前に4〜5日間、水中でスラリー化した。溶解度を表8にまとめる。
表8.水溶解度の概算からの結果
【表8】
【0218】
コリン塩は、7.1mg/mLにて最も可溶性であり、メグルミン及びトロメタミンがそれに続く。カルシウム及びピペラジン塩は、それほど可溶性でなかった。
【0219】
トロメタミン塩は、スラリー化の間に黄色の固形物へと色が変化した。XRPD分析は、それがスラリー化中に遊離APIに変化し、それで、その期間にわたって水中で物理的に安定していなかったことを示した。HPLC法を妥当性確認しなかったため、HPLCによる溶解度及び化学的純度の概算は、大まかであった。その結果は、4〜5日間、水性媒質でスラリー化した場合、すべての塩が化学的に安定でないことを示唆する。しかしながら、平衡溶解度を達成するために、4〜5日間のスラリー化後にそのデータを得た;塩が、より短期間、水中で安定であり得ることは可能である。
実施例5.コリン及びメグルミンの製塩のスケールアップ
【0220】
小スケールでの製造:両方の塩を、エタノール中での成分のスラリー化によって小スケールで調製した(表9)。EtOH中への塩の改善された溶解度のため、EtOHからの収率が低かったので、コリン塩はまた、アセトン及びEtOAc中でもスラリー化した。
【0221】
EtOHからのコリン塩のXRPDパターンは、ジオキサン−THFから作り出した塩のものと合致したが、アセトン及びEtOAcからのサンプルは、異なった粉末パターンを示し、そしてそれは、40°/75% RHストレスからのサンプルのものと合致した、第6.1項(
図10)を参照。アセトンからのサンプルを、
1H NMR分光法によって分析し、そして、塩形成を確認した。1滴のTFAを加えて、コリンによるピークとの重複から水のピークをシフトさせた。アセトンはスペクトル内に検出されなかった。
【0222】
メグルミン塩の調製からの固形物は、独特な粉末パターンを示した(
図10)。塩形成を、
1H NMR分光法によって確認し、そして、エタノールが1モルeq.にて存在し、溶媒和物の形成を示唆した。
表9.コリン及びメグルミン塩の結晶化からの結果
【表9】
【0223】
より大きいスケールにおけるLA1メグルミン塩の調製(2116−033−02):LA1(203.3mg)及びN−メチル−D−グルカミン(94.16mg)を、ガラスバイアル内に計量し、続いて、EtOH(0.6mL)を追加し、そして、その混合物を、周囲温度にて終夜撹拌した。固形物を、真空濾過によって分離し、そして、t−BMEで洗浄し、次に、EtOHで洗浄した。次に、その固形物を、真空オーブン内に入れ、40〜47℃にて終夜乾燥させた。赤色/オレンジ色の粉末を収集した、収率=71%。
【0224】
より大きいスケールにおけるLA1コリン塩の調製(2116−033−04):LA1(201.3mg)及び水(117.3μL)中の〜46%の水酸化コリン水溶液ガラスバイアル内で組み合わせ、続いて、アセトン(0.7mL)を追加し、そして、その混合物を、周囲温度にて終夜撹拌した。固形物を、真空濾過によって分離し、風乾した。暗赤色の粉末を収集した、収率=73%。
【0225】
両方の塩を、最初、エタノールからより大きいスケールで調製した。コリン塩スラリーからの固形物のXRPD分析は、塩が形成されたが、少量のAPIを含んでいることを示した(
図14)。いくつかの独特な回折ピークはまた、少量の追加成分の存在を示しているとも考えられた。塩形成を、
1H NMR分光法によって確認した。コリン塩の収量は、エタノール中への増大した溶解度のため少なく、そのため、調製を繰り返した。繰り返しのサンプルは、減圧下で乾燥させて、残留エタノールを取り除いたが、XRPD分析は、それが不規則であり、原形と異なっていることを示した(
図14)。そのサンプルはまた、有意な量のAPIを含んでいた。塩形成を、
1H NMR分光法によって確認した。
【0226】
良好な収率を有する調製を、アセトンを使用して再び繰り返し、そして、結晶性固形物はパターンQ物質で構成された(
図14)。塩形成を、
1H NMR分光法によって確認した。
【0227】
メグルミン塩を、妥当な収率を有するより大きいスケールで調製したが、XRPDパターンは、エタノールからのより小さいスケールで作り出した塩のものと一致していた(
図14)。XRPD分析によると、少量のAPIもまた存在していた。サンプルを乾燥させて、残留溶媒を取り除き、そして、XRPD分析は、固形物が不規則であったが、同じ形態を含んでいたことを示した(
図14)。塩形成を、等モル化学量論を有する、及び0.5モルeq.のエタノールを含む
1H NMR分光法によって確認した。
実施例6.ロイカドヘリンLA1メグルミン塩形態Hの調製
【0228】
ロイカドヘリンLA1(203.3mg)及びN−メチル−D−グルカミン(94.16mg)を、ガラスバイアル内に計量した。エタノール(0.6mL)を加え、そして、その混合物を、周囲温度にて終夜撹拌した。固形物を、真空濾過によって分離し、t−ブチルメチルエーテルで洗浄し、次に、エタノールで洗浄した。次に、その固形物を、真空オーブン内に入れ、40〜47℃にて終夜乾燥させた。赤色/オレンジ色の粉末を収集した、収率=71%。或いは、1:1の比でロイカドヘリンLA1(〜200mg)及びN−メチル−D−グルカミンを、ガラスバイアル内に計量した。テトラヒドロフラン:メタノール(2:1、0.6mL)を加え、その混合物を、窒素雰囲気下でゆっくりと留去しながら、50℃にて撹拌した。赤色/オレンジ色の固形物を収集した。
1H NMR (500 MHz, DMSO) δ 8.04 (d, 2H, J = 8.6 Hz), 7.87 (d, 2H, J = 8.6 Hz), 7.74 (s, 1H), 7.41 (ABq, 2H, J
AB = 3.9 Hz), 7.27-7.37 (m, 5H), 5.26 (s, 2H), 3.84 (dt, 1H, J = 4.4, 3.9 Hz), 3.68 (dd, 1H, J = 4.9, 1.5 Hz), 3.60 (dd, 1H, J = 10.9, Hz), 3.50 (m, 1H) 3.44 (dd, 1H, J = 8.1, 1.7 Hz), 3.41 (dd, 1H, J = 10.8, 5.8 Hz), 3.31 (bs, 7H), 2.91 (dd, 1H, J = 12.5, 3.8 Hz), 2.84(dd, 1H, J = 11.3, 7.8 Hz), 2.47 (s, 3H).
【0229】
形態Hは、独特な粉末X線回折パターンを生じる(
図6B;表10)。
表10.ロイカドヘリンLA1のメグルミン塩形態Hに関する粉末X線回折ピーク位置及び強度
【表10】
実施例7.ロイカドヘリンLA1のメグルミン塩形態Tの調製
【0230】
1:1の比でロイカドヘリンLA1(〜200mg)及びN−メチル−D−グルカミンを、ガラスバイアル内に計量した。エタノール(0.6mL)を加え、その混合物を、50℃にて2時間撹拌した。固形物を、真空濾過によって分離し、t−ブチルメチルエーテルによって洗浄した。赤色/オレンジ色の固形物を収集した。
1H NMR (500 MHz, DMSO) δ 8.04 (d, 2H, J = 8.6 Hz), 7.87 (d, 2H, J = 8.6 Hz), 7.74 (s, 1H), 7.41 (ABq, 2H, J
AB = 3.9 Hz), 7.27-7.37 (m, 5H), 5.26 (s, 2H), 3.84 (dt, 1H, J = 4.4, 3.9 Hz), 3.68 (dd, 1H, J = 4.9, 1.5 Hz), 3.60 (dd, 1H, J = 10.9, Hz), 3.50 (m, 1H) 3.44 (dd, 1H, J = 8.1, 1.7 Hz), 3.41 (dd, 1H, J = 10.8, 5.8 Hz), 3.31 (bs, 7H), 2.91 (dd, 1H, J = 12.5, 3.8 Hz), 2.84(dd, 1H, J = 11.3, 7.8 Hz), 2.47 (s, 3H).
【0231】
形態Tは、独特な粉末X線回折パターンを生じる(表11)。
表11.ロイカドヘリンLA1のメグルミン塩形態Tに関する粉末X線回折ピーク位置及び強度
【表11】
実施例8.LA1メグルミン(NMDG)塩の多形体の精製
【0232】
NMDG塩を、表12〜表13に示した様々な溶媒中、様々な温度又は室温にて加熱することによって再結晶化することで精製した。表12は、プロトン性溶媒中でのメグルミン塩の多形体スクリーニングを示し、表13は、プロトン性溶媒中でのメグルミン塩の多形体スクリーニングを示す。プロトン性溶媒としては、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、n−ブタノール及び水が挙げられる。非プロトン性溶媒としては、アセトン、酢酸エチル、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、イソプロピルアルコール(IPA)、テトラヒドロフラン(THF)、アセトニトリル(ACN)及びN−メチルピロリドン(NMP)が挙げられる。沈殿は、室温にて起こった。加熱により透明な溶液は観察されなかった。
図15は、様々な溶媒においてLA1のメグルミン塩に関して得られたXRPDパターンを示す。
【0233】
結晶形Lを、酢酸イソプロピル中で70℃にて得、そしてそれは、Cu−Kα放射線を使用したディフラクトメーターで測定した場合に、
図11によるX線粉末回折(XRPD)パターンを特徴とする。結晶形Mを、アセトン中で70℃にて得、そしてそれは、Cu−Kα放射線を使用したディフラクトメーターで測定した場合に、
図12によるX線粉末回折(XRPD)パターンを特徴とする。結晶形Nを、DMF中で70℃にて得、そしてそれは、Cu−Kα放射線を使用したディフラクトメーターで測定した場合に、
図13(及び
図15I)によるX線粉末回折(XRPD)パターンを特徴とする。
表12.プロトン性溶媒中のメグルミン塩の多形体スクリーニング
【表12】
表13.非プロトン性溶媒中のメグルミン塩の多形体スクリーニング
【表13-1】
【表13-2】
実施例9.ロイカドヘリンLA1のコリン塩形態Gの調製
【0234】
1:1の比でロイカドヘリンLA1(〜200mg)と〜46%の水酸化コリン水溶液を、ガラスバイアル内のテトラヒドロフラン:メタノール(3:1、0.7mL)溶液中でスラリー化し、そして、その混合物を、窒素雰囲気下でゆっくりと留去しながら50℃にて撹拌した。暗赤色の固形物を収集した。
【0235】
或いは、1:1の比でロイカドヘリンLA1(〜200mg)と〜46%の水酸化コリン水溶液を、ガラスバイアル内のエタノール:t−ブチルメチルエーテル(2:1、0.7mL)溶液中でスラリー化し、そしてその混合物を40℃にて2時間撹拌した。固形物を、真空濾過によって分離し、メチルt−ブチルエーテルで洗浄し、そして、風乾した。暗赤色の固形物を収集した。
1H NMR (500 MHz, DMSO) δ 7.95 (d, 2H, J = 6.8 Hz), 7.75 (d, 2H, J = 7.3 Hz), 7.72 (s, 1H), 7.40 (d, 1H, J = 3.8 Hz), 7.37-7.27 (m, 6H), 5.26 (s, 2H), 3.87-3.83 (m, 2H), 3.42-3.39 (m, 2H), 3.11 (s, 9H).
【0236】
形態Gは、独特な粉末X線回折パターンを生じる(表14)。
表14.ロイカドヘリンLA1のコリン塩形態Gに関する粉末X線回折ピーク位置及び強度
【表14】
実施例10.ロイカドヘリンLA1のコリン塩形態Oの調製
【0237】
1:1の比でロイカドヘリンLA1(〜200mg)と〜46%の水酸化コリン水溶液を、ガラスバイアル内のTHF(0.7mL)溶液中でスラリー化し、そして、その混合物を、周囲温度にて終夜撹拌した。固形物を、真空濾過によって分離し、そして、風乾した。暗赤色の固形物を収集した。
1H NMR (500 MHz, DMSO) δ 7.95 (d, 2H, J = 6.8 Hz), 7.75 (d, 2H, J = 7.3 Hz), 7.72 (s, 1H), 7.40 (d, 1H, J = 3.8 Hz), 7.37-7.27 (m, 6H), 5.26 (s, 2H), 3.87-3.83 (m, 2H), 3.42-3.39 (m, 2H), 3.11 (s, 9H).
【0238】
形態Oは、独特な粉末X線回折パターンを生じる(表15)。
表15.ロイカドヘリンLA1のコリン塩形態Oに関する粉末X線回折ピーク位置及び強度
【表15】
実施例11.ロイカドヘリンLA1のコリン塩形態Qの調製
【0239】
1:1の比でロイカドヘリンLA1(〜200mg)と〜46%の水酸化コリン水溶液を、ガラスバイアル内のアセトン(0.7mL)溶液中でスラリー化し、そして、その混合物を、周囲温度にて終夜撹拌した。固形物を、真空濾過によって分離し、そして、風乾した。暗赤色の固形物を収集した。或いは、1:1の比でロイカドヘリンLA1(〜200mg)と〜46%の水酸化コリン水溶液を、ガラスバイアル内の酢酸エチル(0.7mL)溶液中でスラリー化し、そして、その混合物を周囲温度にて終夜撹拌した。固形物を、真空濾過によって分離し、そして、風乾した。暗赤色の固形物を収集した。
1H NMR (500 MHz, DMSO) δ 7.95 (d, 2H, J = 6.8 Hz), 7.75 (d, 2H, J = 7.3 Hz), 7.72 (s, 1H), 7.40 (d, 1H, J = 3.8 Hz), 7.37-7.27 (m, 6H), 5.26 (s, 2H), 3.87-3.83 (m, 2H), 3.42-3.39 (m, 2H), 3.11 (s, 9H).
【0240】
形態Qは、独特な粉末X線回折パターンを生じる(表16)。
表16.ロイカドヘリンLA1のコリン塩形態Qに関する粉末X線回折ピーク位置及び強度
【表16】
示差走査熱量測定
【0241】
表17は、コリン及びメグルミン塩の様々な形態の融解温度を示す。
表17.塩の様々な形態のDSCサーモグラム測定値
【表17】
実施例12.LA1コリン塩の多形体の精製
【0242】
コリン塩を、表18及び表19に示した様々な溶媒中、様々な温度又は室温にて加熱することによって再結晶化することで精製した。表18は、プロトン性溶媒中でのコリン塩の多形体スクリーニングを示し、表19は、非プロトン性溶媒中でのコリン塩の多形体スクリーニングを示す。プロトン性溶媒としては、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、n−ブタノール及び水が挙げられる。非プロトン性溶媒としては、アセトン、酢酸エチル、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、イソプロピルアルコール(IPA)、テトラヒドロフラン(THF)、アセトニトリル(ACN)及びN−メチルピロリドン(NMP)が挙げられる。沈殿は、室温にて起こった。加熱により透明な溶液は観察されなかった。
図16は、別個の様々な溶媒においてLA1のコリン塩に関して得られたXRPDパターンを示す。結晶形Rを、n−ブタノール中で70℃にて得、そしてそれは、Cu−Kα放射線を使用したディフラクトメーターで測定した場合に、
図7(及び
図16A)によるX線粉末回折(XRPD)パターンを特徴とする。結晶形Sを、メタノール中で70℃にて得、そしてそれは、Cu−Kα放射線を使用したディフラクトメーターで測定した場合に、
図8(
図16L)によるX線粉末回折(XRPD)パターンを特徴とする。
表18.プロトン性溶媒中のコリン塩の多形体スクリーニング
【表18】
表19.非プロトン性溶媒中のコリン塩の多形体スクリーニング
【表19】
実施例13.ラットにおけるLA1遊離酸の薬物動態学的特性の解析
【0243】
LA1の絶対的経口及び腹腔内バイオアベイラビリティを、単回の経口、並びにIP経路(2mg/kg)及びIV(1mg/kg)投与の後にSprague Dawley(SD)ラットで評価した。
【0244】
第一の実験では、用量溶液を、2mg/kgにてPBS中に調製した30%w:vの2−ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリンで調製した。クリアランス(ml/分/kg)及びバイオアベイラビリティ(mM×時間のAUC)を表20にまとめる。改善されたバイオアベイラビリティを必要とした。
表20.PO投与に関するLA1遊離酸のPKデータ
【表20】
【0245】
第二の実験では、用量溶液を、Milli−Q水中のTween−80(0.02%)及び0.5%のメチルセルロースで調製した。IP(2mg/kg)及びIV(1mg/kg)用量溶液を、5%のDMSO及び95%のPEG−200で調製した。ラットPKは、表21に示したように、20ml/分/kgの十分なクリアランスを示している。PO投薬は、計算のためのデータをもたらすような有意な曝露を達成しなかった。IP投薬は、82%のバイオアベイラビリティ(3.5mM×時間)PO(2mg/kg)をもたらした。
表21.PO及びIP投与に関するLA1遊離酸のPKデータ
【表21】
実施例14.ラットにおける微粉化LA1遊離酸の薬物動態学的特性の解析
【0246】
PO(2mg/kg)用量溶液を、Milli−Q水中のTween−80(0.02%)及び0.5%のメチルセルロースで調製した。IV(1mg/kg)用量溶液を、5%のDMSO及び95%のPEG−200の溶液で調製した。ラットPKは、表22に示したように、23.4ml/分/kgの十分なクリアランスを示している。PO投薬は、23%のバイオアベイラビリティ(0.76μM×時間)をもたらした。
【0247】
LA1のIV投与後、t
1/2及びクリアランスは、それぞれ1.16時間及び19.7mL/分/kgであることがわかった。平均分布容積は、2.39L/kgであった。LA1のIP投与後、平均C
maxは、0.25時間(t
max)に達する1284ng/mLであった。t
1/2は、0.78時間であることがわかった。絶対IPバイオアベイラビリティは、82%であった。
表22.微粉化LA1遊離酸のPO投与に関するPKデータ
【表22】
実施例15.ラットにおけるLA1塩の薬物動態学的特性の特性解析
【0248】
LA1の絶対経口及び腹腔内バイオアベイラビリティを、LA1、LA1コリン塩、及びLA1メグルミン塩の単回の経口(口から(per os)、PO)、腹腔内(IP)用量(2mg/kg)及び静脈内(IV)(1mg/kg)投与後のSDラットで評価した。試験を、実施例5に従って調製したコリン塩形態Q及びメグルミン塩形態Tを用いて実施した。
【0249】
PK試験を、内部IAECに承認されたプロトコールNo.IAEC/JDC/2012/27に従って実施した。投与の経路は、言い換えれば、PO(強制飼養)、IP(ボーラス)及びIV(尾静脈を通じたボーラス)であった。合計4匹の5〜6週齢の雄SDラットを使用した。給餌計画は、12時間の絶食を含み、且つ、飼料は、用量接種の2時間後に提供し、及び水は任意に提供した。PO/IPのための採血スケジュールは、0.25、0.5、1、2、4、8、10及び24時であり、IVに関しては、0.12、0.25、0.5、1、2、4、8及び24時であった。PO用量のために、ミリQ水中で調製したtween−80(0.02%)及び0.5%のメチルセルロースを、ビヒクルとして使用し;IP及びIV用量のために、5%のDMSO及び95%のPEG−200をビヒクルとして使用した。
【0250】
LA1用量の調製方法:PO用量において、2.00mgのLA1を、〜30μLのTween−80で濡らせ、乳鉢と乳棒で粉砕し、次に、0.5%のメチルセルロースをゆっくりと加えて、10.0mLに終量を調整した。IP用量において、2.050mgのLA1を、100μLのDMSO中に溶解し、ボルテックス処理し、そして最後に、1.90mLのPEG−200を加えた。IV用量において、2.010mgのLA1を、200μLのDMSO中に溶解し、ボルテックス処理し、そして最後に、3.80mLのPEG−200を加えた。
【0251】
LA1コリン用量の調製方法:PO用量において、3.670mgのLA1コリン塩を、〜30μLのTween−80で濡らせ、乳鉢と乳棒で粉砕し、次に、0.5%のメチルセルロースをゆっくりと加えて、13.90mLに終量を調整した。IP用量において、4.286mgのLA1コリン塩を、162μLのDMSO中に溶解し、ボルテックス処理し、そして最後に、3.078mLのPEG−200を加えた。IV用量において、2.025mgのLA1コリン塩を、153μLのDMSO中に溶解し、ボルテックス処理し、そして最後に、2.907mLのPEG−200を加えた。
【0252】
LA1メグルミン用量の調製方法:PO用量において、3.600mgのLA1メグルミン塩を、〜30μLのTween−80で濡らせ、乳鉢と乳棒で粉砕し、次に、0.5%のメチルセルロースをゆっくりと加えて、11.760mLに終量を調整した。IP用量において、4.134mgのLA1メグルミン塩を、135μLのDMSO中に溶解し、ボルテックス処理し、そして最後に、2.565mLのPEG−200を加えた。IV用量において、2.066mgのLA1メグルミン塩を、135μLのDMSO中に溶解し、ボルテックス処理し、そして最後に、2.565mLのPEG−200を加えた。
【0253】
メタノール中の原液(178μg/mL)を、メタノール:水(80:20、v/v)を使用して更に希釈して、10.4〜20745ng/mLの範囲の希釈標準溶液を得た。
【0254】
CC/QCサンプルの調製のための方法論:50μLのサンプルを、ラベル付きバイアルに等分した。それにIS(100ng/mL;トルブタミド)を含有した200μLの10%のテトラヒドロフランを加え、十分に混合し、5分間ボルテックス処理し、続いて、4℃、14000rpmにて5分間、遠心分離した。上清を分離し、そのうち5μLをLC−MS/MSに注入した。
【0255】
データ分析:個々の濃度−時間データを、非コンパートメント解析(NCA)法によりWinNonlin(バージョン5.3)を使用して分析した。
結果:
【0256】
ラットPKは、表23に示したように、18ml/分/kgの十分なクリアランスを示した。PO投薬は、41%のバイオアベイラビリティ(1.5mM×時間)をもたらした。IP投薬は、84%のバイオアベイラビリティ(3.2mM×時間)をもたらした。PO(2mg/kg)用量溶液を、Milli−Q水中のTween−80(0.02%)及び0.5%のメチルセルロースで調製した。IP(2mg/kg)及びIV(1mg/kg)用量溶液を、5%のDMSO及び95%のPEG−200で調製した。
【0257】
LA1コリン塩の結果を表23に示した。LA1コリン塩の経口投与後、LA1の最大血漿中濃度(C
max:477ng/mL)は、0.50時間(t
max)に達成された。t
1/2は、1.57時間であることがわかった。絶対経口バイオアベイラビリティは、41%であった。LA1コリン塩のIP投与後、LA1の平均C
maxは、1590ng/mLであり、そしてそれは、0.25時間(t
max)に達成された。t
1/2は、1.60時間であることがわかった。絶対IPバイオアベイラビリティは、84%であった。LA1コリン塩のIV投与後、LA1のt
1/2及びクリアランスは、それぞれ1.21時間及び17.6mL/分/kgであることがわかった。平均分布容積は、1.78lit/kgであった。
表23.PO及びIP投与に関するLA1コリン塩のPKデータ
【表23】
【0258】
ラットPKは、表24に示したように、18ml/分/kgの十分なクリアランスを示した。LA1メグルミン塩のPO投薬は、37%の優れたバイオアベイラビリティ(1.2mM×時間)をもたらした。LA1メグルミン塩の腹腔内(IP)投与は、100%超のバイオアベイラビリティを示した(167%、5.3mM×時間)。>100%のバイオアベイラビリティに関する可能性のある原因は、腸肝循環である。腸肝循環とは、肝臓から胆汁へ、続いて、小腸に入り、及び腸細胞による再吸収、そして、及び血流に戻る輸送への胆汁酸、ビリルビン、薬剤、又は他の物質の循環を指す。
【0259】
LA1メグルミン塩の結果を表24に示した。LA1メグルミン塩の経口投与後、LA1の平均C
max(463ng/mL)は、0.50時間(t
max)に達成された。t
1/2は、1.60時間であることがわかった。絶対経口バイオアベイラビリティは、37%であった。LA1メグルミン塩のIP投与後、LA1の平均C
maxは、2865ng/mLであり、そしてそれは、0.25時間(t
max)に達成された。t
1/2は、1.95時間であることがわかった。平均絶対IPバイオアベイラビリティは、>100%であった。LA1メグルミン塩のIV投与後、LA1のt
1/2及びクリアランスは、それぞれ1.41時間及び17.5mL/分/kgであることがわかった。平均分布容積は、1.85L/kgであった。
表24.PO及びIP投与に関するLA1メグルミン塩のPKデータ
【表24】
【0260】
LA1コリン塩及びLA1メグルミン塩の両方は、経口投与後に類似したバイオアベイラビリティを示した。LA1メグルミン塩のIPバイオアベイラビリティは、LA1及びLA1コリン塩のIPバイオアベイラビリティより優れていた。LA1、LA1コリン塩、及びLA1メグルミン塩は、IV投与後に類似した薬物動態プロファイルを示した。
【0261】
それぞれ、1、2、及び2mg/kgの静脈内、腹腔内、及び経口投与後のSprague Dawley(SD)ラットにおけるLA1、LA1メグルミン及びLA1コリンの薬物動態を評価した。
【0262】
表25は、2mg/kgのLA1、LA1コリン、及びLA1メグルミンの経口用量後のSDラットにおけるLA1の薬物動態パラメーターの比較説明を提供する。
図17は、SDラットへのLA1コリン塩(2mg/kg)及びLA1メグルミン塩(2mg/kg)の経口投与後に放出されたLA1の濃度対時間プロファイルを示す。
表25.様々な塩の経口投与に関するPKデータの比較
【表25】
【0263】
表26は、2mg/kgのLA1、LA1コリン塩、及びLA1メグルミン塩のIP用量後のSDラットにおけるLA1の薬物動態パラメーターの比較説明を提供する。
図18は、SDラットへの、LA1(2mg/kg)の腹腔内投与後のLA1、並びにLA1コリン(2mg/kg)及びLA1メグルミン(2mg/kg)の腹腔内投与後に放出されたLA1の濃度対時間プロファイルを示す。
表26.様々な塩のIP投与に関するPKパラメーターの比較
【表26】
【0264】
表27は、1mg/kgのLA1、LA1コリン塩、及びLA1メグルミン塩のIV用量後のSDラットにおけるLA1の薬物動態パラメーターの比較説明を提供する。
図19は、SDラットへの、LA1(1mg/kg)の静脈内投与後のLA1、並びにLAコリン(1mg/kg)及びLA1メグルミン(1mg/kg)の静脈内投与後に放出されたLA1の濃度対時間プロファイルを示す。
表27.様々な塩のIV投与に関するPKパラメーターの比較
【表27】
実施例16.ラットにおけるLA1製剤の薬物動態学的特性の特性解析
【0265】
投与の経路は、言い換えれば、PO(強制飼養)及びIV(尾静脈を通じたボーラス)であった。合計4匹の5〜6週齢の雄SDラットを使用した。給餌計画は、12時間の絶食を含み、且つ、飼料は、用量接種の2時間後に提供し、及び水は任意に提供した。POのための採血スケジュールは、0.25、0.5、1、2、4、8、10及び24時であり、IVに関しては、0.12、0.25、0.5、1、2、4、8及び24時であった。PO用量のために、ミリQ水中で調製したtween−80(0.02%)及び0.5%のメチルセルロースを、ビヒクルとして使用し;IV用量のために、10%のDMSO及び90%のPEG−200をビヒクルとして使用した。
【0266】
用量の調製:PO用量において、2.582mgのLA1を、〜30μLのTween−80で濡らせ、乳鉢と乳棒で粉砕し、次に、0.5%のメチルセルロースをゆっくりと加えて、12.910mLに終量を調整した。IV用量において、2.196mgのLA1を、440μLのDMSO中に溶解し、ボルテックス処理し、そして最後に、3.952mLのPEG−200を加えた。
結果:
【0267】
表28は、2mg/kgのLA1コリン及びLA1メグルミンの経口用量後のSDラットにおける微粉化LA1の薬物動態パラメーターの比較説明を示す。
表28.LA1製剤の経口投与に関するPKデータの比較
【表28】
【0268】
表29は、1mg/kgのLA1コリン及びLA1メグルミンのIV用量後のSDラットにおける微粉化LA1の薬物動態パラメーターの比較説明を示す。
表29.LA1製剤のIV投与に関するPKデータの比較
【表29】
【0269】
LA1の絶対経口腹腔内バイオアベイラビリティを、微粉化LA1の単回の経口IV(1mg/kg)投与後にSDラットにおいて評価した。微粉化LA1の経口投与後、LA1の最大血漿中濃度(C
max:123ng/mL)は、0.88時間(t
max)に達成された。t
1/2は、1.10時間であることがわかり、そして、絶対経口バイオアベイラビリティは23%であった。微粉化LA1のIV投与後、t
1/2、及びクリアランスは、それぞれ1.36時間及び23.4mL/分/kgであることがわかった。また、平均分布容積は、2.63lit/kgであった。
【0270】
微粉化LA1は、経口投与後のLA1と比較したときに、より良好な全身曝露を示すと結論づけられる。しかしながら、LA1及び微粉化LA1は、IV投与後に類似した薬物動態プロファイルを示した。
実施例17.イヌにおけるLA1遊離酸の薬物動態学的特性の特性解析
【0271】
イヌPKは、表30に示したように、2.1ml/分/kgの優れたクリアランスを示している。経口服用は、50%の優れたバイオアベイラビリティをもたらした(6.1mM×時間)。微粉化LA1のPO(2mg/kg)用量溶液を、水中の0.1%のTween−80 0.5%(w/v)及びメチルセルロースで調製した。IV(0.5mg/kg)用量溶液を、5%のDMSO、90%のPEG−200、及び5%のエタノールで調製した。
表30.イヌにおけるLA1遊離酸の経口投与に関するPKデータ
【表30】
【0272】
試験の目的は、ビーグル犬においてLA1(微粉化粉末)の前臨床薬物動態プロファイルを調査することであった。血漿濃度対時間曲線を描くため及び相対的薬物動態パラメーターを解析するために、ビーグル犬におけるLA1のPK特性、つまり、バイオアベイラビリティ、半減期(t
1/2)、分布容積、C
max、T
max、AUC、及び消失速度定数、に関するデータを得た。
【0273】
LA1は、実験室スケールのボールミルを使用して微粉化される粗粒材料であった。そのプロセスで、LA1の粒度は、〜20ミクロン(マイクロメートル)まで下げた。微粉化LA1を回収し、計量し、そして、ガラス容器内で室温にて保存した。静脈内薬物投与のために、イヌにおける投薬に関するLA1賦形剤適合性アッセイを実施した。試験結果から、製剤混合物:5%のDMSO+90%のポリエチレングリコール400(PEG−400)+5%のエタノール、を使用した透明な溶液を得た。
【0274】
試験品LA1の微粉化:LA1の粒度は、実験室スケールのボールミルを使用して〜20ミクロン(マイクロメートル)まで下げた。要するに、既知量のLA1を、ステンレスでできた円筒のキャップ付きコンテナに入れ、続いて、ステンレス製のボールを追加した。ボールミルを、合計60分間(6サイクル×10分間)、その軸上で回転させた。微粉化LA1を、回収し、計量し、室温にてガラスびん内に保存した。
【0275】
試験系:体重10〜12kg(10カ月齢)の雄の健常なビーグル犬を、試験に使用した。02頭のイヌを経口的及び静脈内投与のための試験に使用するクロスオーバーデザインを、実験に採用した。両方の動物を、ペレット飼料を保持するためのホッパー及び別個の水用ホッパーを備えたステンレス製のケージ内に収容した。温度及び湿度は、それぞれ22±3℃及び40〜70%に維持した。照射は、一連の12時間の点灯及び12時間の消灯のサイクルを与えるように制御した。すべての動物を、投薬前の少なくとも5日間、実験条件に順応させた。すべての動物に、処置前10〜12時間及び薬物投与後4時間を除いて、Pedigree(商標)標準ペレット飼料を提供した。水は任意に提供した。
【0276】
製剤及び薬物投与:厳密に90mgの試験品LA1(微粉化粉末)を、計量し、乳鉢に移し、そして、乳棒で軽く粉砕した。次に、均一な懸濁液が得られるまで、水中のビヒクル[0.1%のTween−80を伴った0.5%(w/v)のカルボキシメチルセルロース]少量を、連続して粉砕しながら、ゆっくり加えた。次に、内容物をメスシリンダに移した。試験品をメスシリンダに完全に移すまで乳鉢をすすいだ。次に、ビヒクルで終量を225mLに調整して、0.4mg/mLの所望の濃度を有する均一な懸濁液を得た。投与製剤を、5mL/kgを超えない用量体積にて経口強制飼養によって与えた。
【0277】
静注薬物製剤:イヌ全血を使用した溶血反応アッセイを、静脈内投与のための賦形剤の選択のために赤血球の損害を評価するために利用した。得られた結果に基づいて、記載した手順を採用した。厳密に22.5mgの試験品(微粉化粉末)を、目盛付きのチューブ内に計量した。2.25mLのDMSOを滴下して加え、ボルテックス処理によって混合した。次に、40.50mLのポリエチレングリコール400(PEG−400)を、2〜3個に小分けして加え、断続的にボルテックス処理した。次に、2.25mLのエタノールを滴下して加え、透明な溶液を得るまでボルテックス処理する。製剤を5分間の超音波処理にかけた。用量投与を、注入ポンプを使用して実施し、且つ、0.33mL/kg/分の速度で注入した。用量体積は、1ml/kgを超えなかった。
【0278】
サンプル収集:連続方法を、血液サンプリングに使用した。血液サンプルを、研究設計(7)項で言及したように収集した。血液サンプル(〜1.5mL)を、抗凝血物質として2% w/vのK
2EDTA溶液を入れた、標識チューブ内に伏在静脈から収集した。全血は、生物分析に供されるまで−20℃にて保存した。
【0279】
抽出手法:全血から分離した血漿を、生物分析に使用した。検体LA1を、アセトニトリル沈殿法によって血漿から抽出した。両方の層からの上清を、混合し、10分間ボルテックス処理した。すべてのサンプル(CC、QCを含む)を、LC−MS/MS装置に注入した。
【0280】
データ分析:上記の血漿中濃度から、PK解法を使用して、薬物動態分析を実施した。
結果:
【0281】
薬物動態データは、用量後4時間で起こるピーク濃度を有するLA1吸収が中程度であることを示唆した。吸収相は、そのピーク濃度に達するまでLA1レベルの安定した蓄積を示した。ピーク濃度が、685.47ng/mLであることがわかった。LA1排出相は、ピーク濃度が達成された直後に安定した減少を示した。LA1の経口半減期は、約2時間であり、そして、AUC
0-12は、2572.24時間×ng/mLである。LA1の分布容積は0.39ml/時間であり、0.72mlのクリアランスを伴った。LA1(微粉化粉末)の絶対経口バイオアベイラビリティは、50.62%(0.5mgのi.v.対2mgの経口)であることがわかった。
【0282】
血漿中の試験品濃度は、両方の処置動物で検出した。LA1の薬物動態プロファイルは、2時間の半減期、T
max=4時間、C
max=685.47ng/mL、及びAUC
0-12=2572.24時間×ng/mLを示した。表31は、i.v.用量におけるng/mL単位のLA1(微粉化粉末)の血漿中濃度を提供する。
表31.異なった時間間隔でのIV投与に関する微粉化LA1の血漿中濃度
【表31】
【0283】
表32は、経口用量におけるng/mL単位のLA1(微粉化粉末)の血漿中濃度を提供する。
表32.異なった時間間隔での経口投与に関する微粉化LA1の血漿中濃度
【表32】
【0284】
表33は、ビーグル犬におけるまとめたLA1(微粉化粉末)に関する薬物動態パラメーターを提供する。
表33.ビーグル犬のIV及び経口PKパラメーターの比較
【表33】
【0285】
表34は、ビーグル犬における、0.5mg/kgのB.wtの静脈内投与でのLA1(微粉化粉末)の個々の動物薬物動態パラメーターを提供する。
図20は、1mg/kgのIV用量でのビーグル犬におけるLA1のPKプロファイルのグラフである。
表34.IV投与に関する様々なビーグル犬の間でのPKパラメーターの比較
【表34】
【0286】
表35は、ビーグル犬における、2mg/kgのB.wtの経口処置でのLA1(微粉化粉末)の個々の動物薬物動態パラメーターを提供する。
図21は、2mg/kgの経口投薬でのビーグル犬におけるLA1のPKプロファイルのグラフを示す。
表35.経口投与に関する様々なビーグル犬の間でのPKパラメーターの比較
【表35】
実施例18.イヌにおけるLA1コリン塩の薬物動態学的特性の特性解析
【0287】
試験系:体重10〜12kg(10カ月齢)の雄の健常なビーグル犬を、試験に使用した。03頭のイヌを経口的及び静脈内投与のための試験に使用するクロスオーバーデザインを、実験に採用した。動物を、ペレット飼料を保持するためのホッパー及び別個の水用ホッパーを備えたステンレス製のケージ内に収容した。温度及び湿度は、それぞれ23±5℃及び30〜70%に維持した。照射は、一連の12時間の点灯及び12時間の消灯のサイクルを与えるように制御した。すべての動物を、投薬前の少なくとも5日間、実験条件に順応させた。すべての動物に、処置前10〜12時間及び薬物投与後4時間を除いて、Pedigree(商標)標準ペレット飼料を提供した。水は任意に提供した。
【0288】
製剤と薬物投与:251.02mgの試験品を清潔な乳鉢に移した。試験品は、乳棒を使用して均一に粉末化した。1.235mlのTween80を加え、そして、材料を混合した。水中の0.5%(w/v)のメチルセルロースを少量加え、そして、その混合物は粉砕した。0.5%のメチルセルロースを加え、190mlの終量にした。最後に、上記製剤をラベル付きビーカーに移し、5分間超音波処理した。磁気スターラー上に置くことによって、懸濁液を撹拌下で投与した。
【0289】
LA−1コリンの用量製剤を、給餌用強制飼養チューブを使用した経口強制飼養によって投与した。用量製剤(5ml/kg体重)の必要な体積を、目盛付きシリンジ内で作製した。動きを制限するために、別の人の助けを借りて、イヌを適切に押さえつけた。栄養チューブを、食道に向かって胃まで、頬と歯の間の空間を通して口の中にゆっくり挿入した。チューブの適切な位置を、水の入ったコンテナの中にチューブの外側の末端を浸し、気泡を探すことによって、確認した。気泡の不存在で、胃内へのチューブの配置を確認した。LA−1コリン懸濁液の必要な用量体積を、栄養チューブを通してゆっくり投与した。チューブが空になったのを保証するために、終わりに空気を通した。チューブをゆっくり取り出し、捨てた。
【0290】
静注薬物製剤:厳密に計量した27.49mgの試験品を、清潔なチューブ内に移した。0.417mLの体積のDMSOを加え、試験物が完全に溶解するまで混合した。0.417mLの体積のSolutol:アルコール/(1:1、v/v)を加え、混合し、これに、7.496mLの通常の生理的食塩水を加え、そして、ボルテックス処理した。最終的に、上記製剤を投薬に使用した。
【0291】
LA−1コリンの用量製剤(0.2ml/kgの重量)の必要な体積を、目盛付きシリンジ内で作製した。投薬前に、シリンジから気泡を取り除いた。イヌを立位に押さえつけた。橈側皮静脈の注射部位の上部を圧迫し、22Gのサイズのバタフライ静脈カテーテルの針を静脈にゆっくり挿入した。血液がカテーテル端のチューブに達した時点で、それをシリンジに接続した。すぐさま、用量製剤をゆっくり注射した。投与終了時に、約0.5mLの通常の生理的食塩水を、カテーテルを介して注射し、必要な用量体積が投与されるのを保証した。最後に、針を取り除いた。
【0292】
サンプル収集:以下の時点0.25、0.5、1、1.5、2、3、5、8、10、及び24時間に関して、各イヌからの投与後の〜1.5mlの血液サンプルを、K
2EDTA含有ラベル付きヴァキュテイナ遠心分離チューブ内に頚静脈から採取した。血漿は、サンプリングの0.5時間以内に冷却(2〜4℃)下で10分間、2500gにて血液サンプルを遠心分離することによって得られた。得られた血漿サンプルを、ラベル付きマイクロ遠心チューブ(約〜300μl)内に移し、−70±10℃以下にて保存した。サンプル標識としては、例えば研究番号、試験品コードや用量群、及び/又はサンプリング日、動物番号、時点などの詳細が挙げられる。
【0293】
抽出手法:全血から分離した血漿を、生物分析に使用した。検体LA1を、アセトニトリル沈殿法によって血漿から抽出した。両方の層からの上清を、混合し、10分間ボルテックス処理した。すべてのサンプル(CC、QCを含む)を、LC−MS/MS装置に注入した。
【0294】
データ分析:上記の血漿中濃度から、PK解法を使用して、薬物動態分析を実施した。
【0295】
コリン塩のイヌPKデータを表36にまとめる。用量後1.5時間で生じるLA1コリン塩のピーク濃度を示す。吸収相は、そのピーク濃度に達するまでLA1レベルの安定した蓄積を示した。ピーク濃度が、2068ng/mLであることがわかった。LA1排出相は、ピーク濃度が達成された直後に安定した減少を示した。LA1の経口半減期は、約3.4時間であり、そして、AUC
0-12は、9184時間×ng/mLである。LA1の分布容積は0.83L/kgであり、3.92ml/分/kgのクリアランスを伴った。LA1コリン塩の絶対経口バイオアベイラビリティは、43.4%(0.5mgのi.v.対5mgの経口)であることがわかった。
表36.雄ビーグル犬におけるLA1コリン塩の投与に関するPKデータ
【表36】
【0296】
表37は、i.v.投与から生じるng/mL単位のLA1コリン塩の血漿中濃度を示す。
表37.異なった時間間隔でのIV投与に関するLA1コリン塩の血漿中濃度
【表37】
【0297】
表38は、経口投与から生じるng/mL単位のLA1コリン塩の血漿中濃度を示す。
表38.異なった時間間隔での経口投与に関するLA1コリン塩の血漿中濃度
【表38】
【0298】
表33は、ビーグル犬におけるLA1コリン塩に関する薬物動態パラメーターをまとめたものを提供する。
表39.ビーグル犬におけるIV及び経口PKパラメーターの比較
【表39】
【0299】
図22は、0.5mg/kgのIV用量及び5mg/kgの経口(PO)用量でのLA1に関するビーグル犬におけるPKプロファイルのグラフを示す。
実施例19.C57BL/6マウスにおけるマウス黒色腫B16F10同種移植片を処置するためのLA1のインビボにおける有効性の評価
【0300】
マウス黒色腫腫瘍細胞株(B16−F10)を、皮下腫瘍モデルを開発するのに使用した。0.1×10
6個の細胞を、動物の右側腹部の皮下に注射した。腫瘍が〜45mm
3に達したとき、動物を、すべての群の平均腫瘍体積が同じくなるように、様々な群(すべての群が動物10匹)に無作為化した。動物を、無作為化の日(1日目)から処置した。腫瘍寸法(長さ及び直径)を、試験終了日を含めて、1週間に3回、すべての動物について計測した。加えて、研究期間を通じて、マウスを、臨床症状について毎日観察した。15日目に、曝露を評価するためにT
max(0.5時間)にてすべてのマウスから、腫瘍及び血液サンプルを採取した。血液サンプルの一部を、血液分析及び臨床化学のために使用した。また、肺、心臓、肝臓、脾臓、及び腎臓も収集し、組織病理学分析を実施した。
【0301】
腫瘍細胞:B16−F10細胞を、10%のFBS及び1%のペニシリン−ストレプトマイシンを補ったDMEM細胞培地中で培養した。細胞を、CO2の不存在下、37℃にて維持した。細胞が75〜80%コンフルエントに達したとき、それらをトリプシン処置によって収集し、洗浄し、カウントした。次に、細胞を、10万個の細胞/75μlの濃度にて血清不含培地中に再懸濁した。
【0302】
腫瘍細胞の接種:細胞を、黒色マウスの背側面の皮下に接種した。接種前に、体毛を刈り整え、そして、注射部位(右背側)の皮膚をアルコールで消毒した。血清不含培地(10万個の細胞/75μl)中の細胞を、3:1の比でMatrigelと混合し、そして、100μlの全容積を、26Gの針に取り付けた1mLのBDシリンジを用いて各動物に注射した。
【0303】
無作為化:腫瘍を、接種の7日目前後には触知できた。腫瘍体積が約45mm
3に達した時点で、動物を、各群の平均腫瘍体積が同じくなるように、様々な群(すべての群が動物10匹)に無作為化した。
【表40】
【0304】
製剤:LA1を、5%のDMSO、5%のSolutol:エタノール(1:1)、20%のTween20、及び70%のN−生理的食塩水を含有する溶液と組み合わせた。LA1メグルミン塩を、5%のDMSO、5%のSolutol:エタノール(1:1)、及び90%のN−生理的食塩水を含有する溶液と組み合わせた。
【0305】
統計計算:すべての統計計算を、Prism5.0(GraphPad Software Inc、USA)を使用して実施した。試験中及び試験終了時の腫瘍サイズ測定値の比較を、一元配置分散分析、続いてDunnett多重比較検定を使用して、処置群とそれぞれのビヒクル対照群との間でおこなった。0.05未満のp値を、有意とみなした。
【0306】
LA1の曝露:試験終了時点で、LA1は、それぞれ血液及び腫瘍において383±450ng/ml及び24.7±17.6ng/mlの曝露を示した。同様に、3及び30mg/kgのLA1メグルミン塩は、それぞれ血漿中で1519±613ng/ml及び3744±1755ng/ml、そして、腫瘍において1017±510ng/ml及び1659±611ng/mlの曝露を示した。
【0307】
組織病理:病理組織学的試験を、肝臓、腎臓、肺、脾臓、心臓、及び胃のサンプルを使用して実施した。肝臓組織の検鏡は、対照群、LA1塩群、α−PD1群、α−CTLA4群、及びαCTLA4/LA1塩群のそれぞれにおいて1匹の動物の肝細胞壊死を調節する最小量を明らかにした。腫瘍転移を、対照群、LA1塩群及びα−PD1群のそれぞれにおいて1匹の動物の肺組織で観察した。
【0308】
15日間、毎日3mg/kg又は30mg/kgを投与したとき、LA1メグルミン塩を用いた処置は、溶媒対照と比較して、マウス黒色腫B16−F10腫瘍の58〜66%の増殖阻害をもたらした。単独で第一の免疫チェックポイント阻害剤(α−CTLA4抗体、三日毎に100μg/マウス)を用いた処置は、約42%の増殖阻害をもたらした。α−CTLA4抗体及びLA1を使用した複合療法は、単独のα−CTLA4と比較して、更なる腫瘍増殖阻害をもたらした。しかしながら、第二の免疫チェックポイント阻害剤(α−PD1抗体)及びLA1又はLA1メグルミン塩を使用した複合療法は、単独で使用したいずれかの作用物質よりも強い腫瘍増殖阻害をもたらした。
図23を参照。α−PD1抗体を用いた処置は、約64%の腫瘍阻害を示したが、組み合わせ物は、これらのアッセイにおいて約81%の腫瘍阻害をもたらした。
実施例20.C57BL/6マウスにおけるマウス黒色腫B16F10同種移植片を処置するためのLA1のインビボにおける有効性の評価
【0309】
マウスに、先に記載したとおり、B16F10腫瘍を接種した。腫瘍体積が約45mm
3に達した時点で、動物を、各群の平均腫瘍体積が同じくなるように、様々な群(すべての群が動物10匹)に無作為化した。
【表41】
【0310】
製剤:LA1を、5%のDMSO、5%のSolutol:エタノール(1:1)、20%のTween20、及び70%のN−生理的食塩水を含有する溶液と組み合わせた。LA1コリン塩(n−ブタノールからの再結晶化;形態R)を、5%のDMSO、5%のSolutol:エタノール(1:1)、及び90%のN−生理的食塩水を含有する溶液と組み合わせた。
【0311】
投与:LA1コリン塩、抗PD1抗体、及び抗CTLA4抗体を、以下に示すように投与した。
【表42】
【0312】
LA1の曝露:試験終了時で、LA1遊離酸の経口投与は、血液及び腫瘍における量的制限を下回る曝露をもたらした。経口的に3、10、30、及び100mg/kgで投与されたLA1コリン塩は、血漿中で314±77.7ng/ml、996±401ng/ml、3518±1483ng/ml、及び21,827±5628ng/mlの曝露をもたらした。3、10、30、及び100mg/kgの用量での経口的なコリン塩の投与は、腫瘍組織において、それぞれ118±83.1ng/ml、254±146ng/ml、855±312ng/ml、及び2093±1997ng/mlの腫瘍濃度をもたらした。
【0313】
LA1コリン塩は、用量依存性様式で腫瘍体積を減少させた。
図24を参照。LA1コリン塩を用いた処置は、3〜100mg/kgにて投与したときに、溶媒対照と比較して、約43〜68%のマウス黒色腫B16−F10腫瘍の増殖阻害をもたらした。単独で第一の免疫チェックポイント阻害剤(α−CTLA4抗体)を用いた処置は、約53%の増殖阻害をもたらした。α−CTLA4抗体及びLA1コリン塩(3mg/kg及び10mg/kg)を使用した複合療法は、単独のα−CTLA4と比較して、それぞれ60%及び67%の更なる腫瘍増殖阻害をもたらした。
図25を参照。
【0314】
第二の免疫チェックポイント阻害剤(α−PD1抗体)を使用した処置は、約56%の腫瘍抑制をもたらした。
α−PD1抗体及びLA1コリン塩(3mg/kg及び10mg/kg)の複合療法は、単独のα−PD1抗体と比較して、それぞれ66%及び68%の更なる腫瘍増殖阻害をもたらした。
図26を参照。
【0315】
本明細書中に記載した実施例及び実施形態は、説明を目的としただけのものであり、そして、その観点から様々な修飾又は変更が当業者に対して示唆され、且つ、本出願の要旨及び権限の範囲内、並びに添付の請求項の範囲内に含まれるべきであることは理解される。本明細書中に引用したすべての公報、特許、特許出願、ウェブサイト、及びデータベースは、参照によってあらゆる目的のためにその全体が援用される。