(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2018-521199(P2018-521199A)
(43)【公表日】2018年8月2日
(54)【発明の名称】真空蒸着用抗菌性プライマーコーティング剤及びそれを用いた多重コーティング方法
(51)【国際特許分類】
C09D 183/00 20060101AFI20180706BHJP
C09D 5/14 20060101ALI20180706BHJP
C09D 5/00 20060101ALI20180706BHJP
C09D 183/04 20060101ALI20180706BHJP
C09D 127/16 20060101ALI20180706BHJP
C09D 127/18 20060101ALI20180706BHJP
C09D 127/20 20060101ALI20180706BHJP
C09D 127/12 20060101ALI20180706BHJP
C23C 14/30 20060101ALI20180706BHJP
B32B 27/00 20060101ALI20180706BHJP
【FI】
C09D183/00
C09D5/14
C09D5/00 D
C09D183/04
C09D127/16
C09D127/18
C09D127/20
C09D127/12
C23C14/30 A
B32B27/00 101
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2018-506067(P2018-506067)
(86)(22)【出願日】2016年4月15日
(85)【翻訳文提出日】2017年11月30日
(86)【国際出願番号】KR2016003916
(87)【国際公開番号】WO2016167587
(87)【国際公開日】20161020
(31)【優先権主張番号】10-2015-0053693
(32)【優先日】2015年4月16日
(33)【優先権主張国】KR
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ
(71)【出願人】
【識別番号】517361694
【氏名又は名称】セコ カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000752
【氏名又は名称】特許業務法人朝日特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】キム ヒョンジョン
(72)【発明者】
【氏名】キム ホンチュル
(72)【発明者】
【氏名】キム ジョンレイ
(72)【発明者】
【氏名】シン ミエ
(72)【発明者】
【氏名】イ ハナ
(72)【発明者】
【氏名】イ スヨン
【テーマコード(参考)】
4F100
4J038
4K029
【Fターム(参考)】
4F100AB01A
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4K029BD01
4K029CA01
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4K029DB21
4K029FA04
(57)【要約】
本発明は、真空蒸着用抗菌性プライマーコーティング剤及びそれを用いた多重コーティング方法に関し、さらに詳しくは、母材と機能性コーティング層と間にナノ厚さでコーティングし、密着力を向上させるプライマーコーティング層に抗菌力を付与することができる真空蒸着用抗菌性プライマーコーティング剤及びそれを用いて形成された抗菌性プライマーコーティング層上に、撥水/撥油機能性コーティング層を形成することによって、撥水/撥油性コーティングの撥水撥油性及び耐久性を妨害することなく、抗菌力を示すことができる多重コーティング方法に関するものである。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリコーン系重合体と機能性有無機シラン化合物との重縮合反応生成物、及び抗菌物質、を含む真空蒸着用乾式抗菌性プライマーコーティング剤。
【請求項2】
シリコーン系重合体と機能性有無機シラン化合物とが、抗菌物質の存在下に重縮合されることを特徴とする請求項1に記載の真空蒸着用乾式抗菌性プライマーコーティング剤。
【請求項3】
シリコーン系重合体と機能性有無機シラン化合物との重縮合反応生成物に、抗菌物質が投入され、分散され、互いに混合されることを特徴とする請求項1に記載の真空蒸着用乾式抗菌性プライマーコーティング剤。
【請求項4】
シリコーン系重合体が、アミノ基、エポキシ基、カルボキシル基、カルビノール基、メタクリル基、メルカプト基及びフェニル基から選ばれる一つ以上の官能基を有する変性シリコーン重合体又はその組み合わせであることを特徴とする請求項1に記載の真空蒸着用乾式抗菌性プライマーコーティング剤。
【請求項5】
機能性有無機シラン化合物が、アミノプロピルトリエトキシシラン、アミノプロピルトリメトキシシラン、アミノ−メトキシシラン、フェニルアミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルジエトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリ(メトキシエトキシ)シラン、ジ−、トリ−又はテトラアルコキシシラン、ビニルメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルエポキシシラン、ビニルトリエポキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、クロロトリメチルシラン、トリクロロエチルシラン、トリクロロメチルシラン、トリクロロフェニルシラン、トリクロロビニルシラン、メルカプトプロピルトリエトキシシラン、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、ビス(トリメトキシシリルプロピル)アミン、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラサルファイド、ビス(トリエトキシシリルプロピル)ジスルファイド、(メタクリルオキシ)プロピルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、p−スチリルトリメトキシシラン及びこれらの組み合わせから選ばれることを特徴とする請求項1に記載の真空蒸着用乾式抗菌性プライマーコーティング剤。
【請求項6】
抗菌物質が、天然素材又はその抽出物、抗菌性高分子化合物、金属−含有抗菌性化合物及びこれらの組み合わせから選ばれることを特徴とする請求項1に記載の真空蒸着用乾式抗菌性プライマーコーティング剤。
【請求項7】
抗菌物質が、ペオノールであることを特徴とする請求項1に記載の真空蒸着用乾式抗菌性プライマーコーティング剤。
【請求項8】
a)シリコーン系重合体、機能性有無機シラン化合物及び抗菌物質を含む混合物を製造する工程;及び
b)前記混合物を重縮合反応させる工程;
を含む真空蒸着用乾式抗菌性プライマーコーティング剤の製造方法。
【請求項9】
i)シリコーン系重合体及び機能性有無機シラン化合物を含む混合物を製造する工程;
ii)前記混合物を重縮合反応させる工程;及び
iii)前記重縮合反応の生成物に抗菌物質を投入し、分散させて混合する工程;を
含む真空蒸着用乾式抗菌性プライマーコーティング剤の製造方法。
【請求項10】
シリコーン系重合体が、アミノ基、エポキシ基、カルボキシル基、カルビノール基、メタクリル基、メルカプト基及びフェニル基から選ばれる一つ以上の官能基を有する変性シリコーン重合体又はその組み合わせであり;
機能性有無機シラン化合物が、アミノプロピルトリエトキシシラン、アミノプロピルトリメトキシシラン、アミノ−メトキシシラン、フェニルアミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルジエトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリ(メトキシエトキシ)シラン、ジ−、トリ−又はテトラアルコキシシラン、ビニルメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルエポキシシラン、ビニルトリエポキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、クロロトリメチルシラン、トリクロロエチルシラン、トリクロロメチルシラン、トリクロロフェニルシラン、トリクロロビニルシラン、メルカプトプロピルトリエトキシシラン、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、ビス(トリメトキシシリルプロピル)アミン、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラサルファイド、ビス(トリエトキシシリルプロピル)ジスルファイド、(メタクリルオキシ)プロピルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、p−スチリルトリメトキシシラン及びこれらの組み合わせから選ばれ;
抗菌物質が、天然素材又はその抽出物、抗菌性高分子化合物、金属−含有抗菌性化合物及びこれらの組み合わせから選ばれる、
ことを特徴とする請求項8又は9に記載の真空蒸着用乾式抗菌性プライマーコーティング剤の製造方法。
【請求項11】
重縮合反応が、不活性ガス下の100〜200℃温度で、還流反応で行われることを特徴とする請求項8又は9に記載の真空蒸着用乾式抗菌コーティング剤の製造方法。
【請求項12】
1)コーティングされる基材を提供する工程;
2)前記基材表面に、請求項1〜7のいずれか1項に記載の乾式抗菌性プライマーコーティング剤を真空蒸着させ、抗菌性プライマーコーティング層を形成する工程;及び
3)前記抗菌性プライマーコーティング層上に、フッ素系重合体と機能性有無機シラン化合物との重縮合反応生成物を含む真空蒸着用乾式撥水/撥油性コーティング剤を真空蒸着させ、撥水/撥油機能性コーティング層を形成する工程;を含む基材の多重コーティング方法。
【請求項13】
基材が、ガラス、プラスチック又は金属素材であることを特徴とする請求項12に記載の基材の多重コーティング方法。
【請求項14】
フッ素系重合体が、ペルフルオロポリエーテル、フッ化ビニリデン重合体、テトラフルオロエチレン重合体、ヘキサフルオロプロピレン重合体、塩化三フッ化エチレン重合体及びこれらの組み合わせから選ばれることを特徴とする請求項12に記載の基材の多重コーティング方法。
【請求項15】
請求項1〜7のいずれか1項に記載の乾式抗菌性プライマーコーティング剤の真空蒸着コーティング層、及びその上に真空蒸着された撥水/撥油機能性コーティング層を含む多重コーティング層を、表面に有することを特徴とするコーティングされた物品。
【請求項16】
物品が、タッチ型ディスプレイを有するスマート機器、生活家電、自販機、共用双方向情報機器、手でタッチ可能な外装電子製品、又はその部品であることを特徴とする請求項15に記載のコーティングされた物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、真空蒸着用抗菌性プライマーコーティング剤及びそれを用いた多重コーティング方法に関し、さらに詳しくは、母材と機能性コーティング層と間にナノ厚さでコーティングし、密着力を向上させるプライマーコーティング層に抗菌力を付与することができる真空蒸着用抗菌性プライマーコーティング剤及びそれを用いて形成された抗菌性プライマーコーティング層上に、撥水/撥油機能性コーティング層を形成することによって、撥水/撥油性コーティングの撥水撥油性及び耐久性を妨害することなく、抗菌力を示すことができる多重コーティング方法に関するものである。
【0002】
従来には、タッチ型ディスプレイ(スマートフォン、タブレットPC、スマートウオッチなど)のスマート機器の使用率の急激な増加とともに衛生問題の深刻性が台頭しており、抗菌に対する関心が高まっている。しかし、現在、適用されている指紋防止コーティングには、抗菌機能がなく、使用者がよく触る部分であるタッチスクリーンウインドウに抗菌機能を付与可能な技術開発が急務である。
【0003】
現在、市販のスマートフォンウインドウ(タッチスクリーン)には、薄膜(数十nm)の指紋防止コーティング(又は汚染防止コーティング)が施されている。指紋防止コーティングは、フッ素系化合物を用いて、撥水/撥油の特性を表面に付与することになるが、これは、表面エネルギーを低くし、指紋及び外部汚染物質とコーティングされた表面との接触面積を小さくし、汚染物のくっ付きを最小化し、くっ付いてもよく拭き取れる特性を有している。
【0004】
このような薄い膜を形成するためには、殆ど“真空蒸着”というコーティング方法を使用することになるが、真空蒸着を利用したコーティング(表面改質)は、非常に短時間にターゲット(コーティング剤)に高温の熱源を加えて、コーティングが進むので、コーティング膜の質が非常に優れ、薬品損失量が少なく、光学特性を阻害しないナノサイズの薄膜コーティングが可能である。
【0005】
市中には、無機物(Ti系列)を用いた抗菌コーティングが多く知られてはいるが、殆ど湿式方式を利用しており、国内外の真空蒸着用機能性コーティング剤生産メーカーのうち、抗菌性を有する薬品生産メーカーが皆無の状況である。真空蒸着を利用した無機物コーティングの場合、発火温度が高く、コーティング可能な母材に制限(コーティング素材が温度に敏感−強化ガラス、プラスチックなど)があるだけでなく、無機物又は金属コーティングにより素材そのものの表面が変色して、光学的特性が阻害される問題が発生する。
【0006】
特許文献1は、抗菌作用をするナノ技術を応用した真空蒸着システムを開発及び活用する技術に関するものであり、ここでは、牧草材(ハリギリ、ハルニレ、ウメなど)を使用して、抗菌作用を実現しようとしたが、その抗菌機能が不足して、持続力が維持され難い問題があり、また、撥水/撥油性及びスリップ性のような機能性が具現され難い問題があった。
【0007】
特許文献2には、テレビ外部表面に抗菌性薬物を含むコーティング剤を塗布、被膜して、微生物の成長を抑制する技術が開示されているが、これもまた、撥水/撥油性及びスリップ性のような機能性が具現され難い問題があった。
【0008】
特許文献3は、タッチパネルや携帯電話の表面に利用可能なガラス基板、プラスチック等上に、真空蒸着、スパッタリングなどの手法で酸化亜鉛薄膜を形成させることを特徴とする抗菌性材料及びその製造方法を開示しているが、これもまた、撥水/撥油性及びスリップ性のような機能性が具現され難い問題があり、また、金属薄膜によって光学特性が低下される問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】韓国特許出願番号 第10−2002−0066286号
【特許文献2】米国公開特許公報 第2011/0025933号
【特許文献3】特願2007−322624号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、母材と機能性コーティング層と間にナノ厚さでコーティングし、密着力を向上させるプライマーコーティング層に抗菌力を付与することができ、タッチ型ディスプレイコーティング方法である真空蒸着方式の適用が可能な真空蒸着用抗菌性プライマーコーティング剤、及びそれを用いて形成された抗菌性プライマーコーティング層上に撥水/撥油機能性コーティング層を形成することによって、撥水/撥油性コーティングの撥水及び耐久性を妨害することなく、抗菌力を示すことができる多重コーティング方法を提供することによって、スマート電子機器及び生活家電使用時、やわらかいタッチ感を有し、指紋などの汚染を簡単に除去することができると同時に、菌に対する汚染から安心して使用できるようにすることを発明の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の第1側面は、シリコーン系重合体と機能性有無機シラン化合物との重縮合反応生成物、及び抗菌物質を含む真空蒸着用乾式抗菌性プライマーコーティング剤を提供する。
【0012】
本発明の第1側面の一具体例によれば、前記シリコーン系重合体と機能性有無機シラン化合物は、前記抗菌物質の存在下に重縮合される。
【0013】
本発明の第1側面の別の具体例によれば、前記シリコーン系重合体と機能性有無機シラン化合物との重縮合反応生成物に前記抗菌物質が投入され、分散され、互いに混合される。
【0014】
本発明の第2側面によれば、a)シリコーン系重合体、機能性有無機シラン化合物及び抗菌物質を含む混合物を製造する工程;及びb)前記混合物を重縮合反応させる工程;を含む真空蒸着用乾式抗菌性プライマーコーティング剤の製造方法が提供される。
【0015】
本発明の第3側面によれば、i)シリコーン系重合体及び機能性有無機シラン化合物を
含む混合物を製造する工程;ii)前記混合物を重縮合反応させる工程;及びiii)前
記重縮合反応の生成物に抗菌物質を投入し、分散させ、混合する工程;を含む真空蒸着用乾式抗菌性プライマーコーティング剤の製造方法が提供される。
【0016】
本発明の第4側面によれば、1)コーティングされる基材を提供する工程;2)前記基材表面に、本発明の乾式抗菌性プライマーコーティング剤を真空蒸着させ抗菌性プライマーコーティング層を形成する工程;及び3)前記抗菌性プライマーコーティング層上に、フッ素系重合体と機能性有無機シラン化合物との重縮合反応生成物を含む真空蒸着用乾式撥水/撥油性コーティング剤を真空蒸着させ、撥水/撥油機能性コーティング層を形成する工程;を含む基材の多重コーティング方法が提供される。
【0017】
本発明の第5側面によれば、本発明の乾式抗菌性プライマーコーティング剤の真空蒸着コーティング層、及びその上に真空蒸着された撥水/撥油機能性コーティング層を含む多重コーティング層、を表面に有することを特徴とするコーティングされた物品が提供される。
【発明の効果】
【0018】
本発明により形成された真空蒸着多重コーティングは、表面水接触角が115°以上であり、優れた撥水及び撥油性を示し、耐指紋性(AF)(anti-fingerprint)、耐久性及び光学特性(透過率)に優れると共に、卓越した抗菌機能を示し、ガラス、プラスチック及び金属など多様な素材にも適用でき、特にプラスチック表面に密着させ難いAFコーティング層のアルコキシシラン末端基の基材密着機能を大幅に向上させることができることから、携帯電話、タブレットPCなどタッチ型ディスプレイを有するスマート機器、生活家電及びその他電子製品又はこれらの部品などの表面に、特に適宜適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明により形成された真空蒸着多重コーティングを表面に有する基材の断面を示した概略図である。
【
図2】本発明により形成された真空蒸着多重コーティングを表面に有する、(a)強化ガラス(TG)、(b)ポリカーボネート(PC)及び(c)ポリメチルメタクリレート(PMMA)の各々に対する抗菌試験結果を示した写真である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下で、本発明を詳細に説明する。
【0021】
本発明の第1側面は、シリコーン系重合体と機能性有無機シラン化合物との重縮合反応生成物、及び抗菌物質を含む、真空蒸着用乾式抗菌性プライマーコーティング剤を提供する。
【0022】
本発明の第1側面の一具体例によれば、前記シリコーン系重合体と機能性有無機シラン化合物は、前記抗菌物質の存在下に重縮合される。
【0023】
本発明の第1側面の別の具体例によれば、前記シリコーン系重合体と機能性有無機シラン化合物との重縮合反応生成物に、前記抗菌物質が投入され、分散され、互いに混合される。
【0024】
本発明で使用可能なシリコーン系重合体としては、具体的に、アミノ基、エポキシ基、カルボキシル基、カルビノール基、メタクリル基、メルカプト基及びフェニル基から選ばれる一つ以上の官能基を有する変性シリコーン重合体又はその組み合わせが挙げられ、好ましくは、アミノアルキルシランの重合体を挙げられる。
【0025】
本発明で使用可能な機能性有無機シラン化合物は、前記シリコーン系重合体との重縮合反応を行う機能性基(例えば、アミノ基、ビニル基、エポキシ基、アルコキシ基、ハロゲン基、メルカプト基、スルファイド基など)を一つ以上有する有無機シラン化合物であってもよい。具体的に、前記機能性有無機シラン化合物はアミノプロピルトリエトキシシラン、アミノプロピルトリメトキシシラン、アミノ−メトキシシラン、フェニルアミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルジエトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリ(メトキシエトキシ)シラン、ジ−、トリ−又はテトラアルコキシシラン、ビニルメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルエポキシシラン、ビニルトリエポキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、クロロトリメチルシラン、トリクロロエチルシラン、トリクロロメチルシラン、トリクロロフェニルシラン、トリクロロビニルシラン、メルカプトプロピルトリエトキシシラン、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、ビス(トリメトキシシリルプロピル)アミン、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラサルファイド、ビス(トリエトキシシリルプロピル)ジスルファイド、(メタクリルオキシ)プロピルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、p−スチリルトリメトキシシラン及びこれらの組み合わせから選ばれてもよく、好ましくは、アミノプロピルトリエトキシシラン又はこれを含む組み合わせであってもよい。
【0026】
本発明で使用可能な抗菌物質は、天然素材又はその抽出物、抗菌性高分子化合物、金属−含有抗菌性化合物及びこれらの組み合わせから選ばれてもよい。
【0027】
前記天然素材又はその抽出物の例には、カニ、エビの殻又はその抽出物(例:キトサン)、緑茶又はその抽出物(例:カテキン)、牧丹皮又はその抽出物(例:Paeonol, Paeoniflorin, Paeonolide, sitosterol, Gallicacid, Methylgallate, Tannicacid, Quercetinなど)、グレープフルーツ又はその抽出物(例:ナリンギン)、シトラール(citral)、甘草又はその抽出物(例:フラボノイド)、ヒノキ又はその抽出物(例:フィトンチッド(phytoncide))、竹又はその抽出物(例:ポリフェノール)、発芽豆又はその抽出物(例:glyceollins)、コガネバナ又はその抽出物(例:tyrosinase)、ワサビ又はその抽出物(例:Isothiocyanate)、マスタード又はその抽出物、ヒノキチオール及びこれらの組み合わせから選ばれるものが挙げられる。前記抽出物は、公知の抽出方法で製造することができる。
【0028】
前記抗菌性高分子化合物の例には、芳香族又はヘテロ環高分子、アクリル又はメタクリル高分子、カチオン性共役高分子電解質、ポリシロキサン高分子、天然高分子模倣高分子、及びフェノール又は安息香酸誘導体高分子から選ばれた1種以上の高分子化合物であり、その直鎖又は分岐鎖重合体鎖に付着したアンモニウム塩基、ホスホニウム塩基、スルホニウム塩基又はその他のオニウム塩基、フェニルアミド基及びジグアニド基から選ばれた1種以上の官能基が挙げられる。
【0029】
本発明の好ましい具体例によれば、抗菌物質として人体に無害でありながら安定性と持続性を有する前記天然素材又はその抽出物、又は抗菌性高分子化合物を用いて製造された抗菌コーティング剤をガラス表面にコーティングし、初期抗菌力が99.9%の優れた抗菌効果を得ることができる。
【0030】
本発明のより好ましい具体例によれば、前記抗菌物質として、キトサン(chitosan)、ペオノール(paeonol:1−(2−ヒドロキシ−4−メトキシフェニル)エタノン)又はこれらの組み合わせを使用することができる。
【0031】
本発明の抗菌性プライマーコーティング剤において、シリコーン系重合体と機能性有無機シラン化合物との重縮合反応生成物の含量は、コーティング剤の全乾燥重量100重量%に対して、80〜99重量%が好ましく、85〜95重量%がより好ましい。
【0032】
本発明の抗菌性プライマーコーティング剤において、抗菌物質の含量は、コーティング剤の全乾燥重量100重量%に対して、1〜20重量%が好ましく、5〜15重量%がより好ましい。
【0033】
本発明の第2側面によれば、a)シリコーン系重合体、機能性有無機シラン化合物及び抗菌物質を含む混合物を製造する工程;及びb)前記混合物を重縮合反応させる工程;を含む真空蒸着用乾式抗菌性プライマーコーティング剤の製造方法が提供される。
【0034】
本発明の第3側面によれば、i)シリコーン系重合体及び機能性有無機シラン化合物を
含む混合物を製造する工程;ii)前記混合物を重縮合反応させる工程;及びiii)前
記重縮合反応の生成物に抗菌物質を投入し、分散させ、混合する工程;を含む真空蒸着用乾式抗菌性プライマーコーティング剤の製造方法が提供される。
【0035】
前記混合物製造に用いられる方法及び装置には特に制限がなく、通常の反応容器又は混合装置を使用することができる。また、前記重縮合反応工程で重縮合反応の条件には特に制限がなく、例えば、不活性ガス(例えば、アルゴン、窒素)下の100〜200℃温度で、還流反応で行うことができる。また、重縮合ラジカル反応がさらに容易に進むようにするために、反応が行われる間、反応混合物に超音波及び/又はUVを照射することもできる。
【0036】
前記重縮合反応の生成物は、任意に安定化工程を経ることができる。安定化条件には特に制限がなく、例えば、重縮合反応生成物を室温で24時間静置して、安定化させることができる。
【0037】
本発明の第4側面によれば、1)コーティングされる基材を提供する工程;2)前記基材表面に、本発明の乾式抗菌性プライマーコーティング剤を真空蒸着させ、抗菌性プライマーコーティング層を形成する工程;及び3)前記抗菌性プライマーコーティング層上に、フッ素系重合体と機能性有無機シラン化合物との重縮合反応生成物を含む真空蒸着用乾式撥水/撥油性コーティング剤を真空蒸着させ撥水/撥油機能性コーティング層を形成する工程;を含む基材の多重コーティング方法が提供される。
【0038】
前記抗菌性プライマーコーティング層内では、抗菌物質がコーティング層の基底部に配列されコーティングの寿命が維持される間、抗菌力を発揮する。また、前記撥水/撥油機能性コーティング層は、耐汚染性、撥水撥油性、表面潤滑性、耐指紋性などを発揮する。
【0039】
前記コーティングされる基材は、真空蒸着方式でコーティングきるものであれば特に制限がなく、ガラス(例えば、強化ガラス(TG)(Tempered Glass)等)、プラスチック(例えば、アクリル、ポリカーボネート(PC)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS)樹脂など)及び金属(例えば、SUSなど)等多様な素材の基材が本発明の方法によってコーティングされ得る。
【0040】
前記撥水/撥油機能性コーティング層を形成するための撥水/撥油性コーティング剤は、フッ素系重合体と機能性有無機シラン化合物との重縮合反応生成物を含む。
【0041】
撥水/撥油性コーティング剤において、使用可能なフッ素系重合体は、過フッ素化重合体であってもよい。具体的に、前記フッ素系重合体は、ペルフルオロポリエーテル(perfluoropolyether)、フッ化ビニリデン(Vinylidene fluoride)重合体、テトラフルオロエチレン(tetrafluoroethylene)重合体、ヘキサフルオロプロピレン(hexafluoropropylene)重合体、塩化三フッ化エチレン(chlorotrifluoroethylene)重合体及びこれらの組み合わせから選ばれてもよく、好ましくは、ペルフルオロポリエーテルであってもよい。
【0042】
撥水/撥油性コーティング剤として使用可能な機能性有無機シラン化合物では、前述した抗菌性プライマーコーティング剤として使用可能なものを制限なく使用することができる。
【0043】
前記真空蒸着の方法には特に制限がなく、通常の真空蒸着方法及び装置を使用して実行することができる。本発明の一具体例によれば、PVD(Physical Vapor Deposition)方式で2050φ真空蒸着用装置(Electron-beam evaporation, Thermal evaporation, Thermal sputterなど)を使用して真空蒸着コーティングを行うことができる。真空蒸着の長所は、多様な物質をコーティングに簡単に適用することができ、コーティング薬品損失量が殆どなく、きれいで均一な薄膜を形成することができるという点である。また、装置全体の構成が比較的簡単で、薄膜を製造するとき、熱的、電気的複雑さが少ないので、薄膜形成時の膜の物性研究に適合する。
【0044】
本発明の第5側面によれば、本発明の乾式抗菌性プライマーコーティング剤の真空蒸着コーティング層、及びその上に真空蒸着された撥水/撥油機能性コーティング層を含む多重コーティング層、を表面に有することを特徴とする、コーティングされた物品が提供される。
【0045】
前記物品は、ガラス、プラスチック及び金属など多様な素材の携帯電話、タブレットPCなどタッチ型ディスプレイを有するスマート機器、生活家電、自販機、共用双方向情報機器、手でタッチ可能な外装電子製品、又はその部品であってもよく、好ましくはタッチ型ディスプレイを有するスマート機器又はその部品であってもよい。
【0046】
以下、実施例を通じて本発明を詳細に説明する。しかし、これらの実施例によって本発明が制限されるものではない。
【0047】
[実施例]
実施例1
反応容器に、(3−グリシドキシプロピル)トリメトキシシラン20gとエポキシ基を有するシリコーンオリゴマー30gを投入し、不活性アルゴンガスの雰囲気下で、150℃温度で1時間撹拌した後、そこに抗菌物質としてペオノール(paeonol、牧丹皮から抽出)10gを添加した。そこに機能性有無機シラン化合物であるアミノプロピルトリエトキシシラン(aminopropyltriethoxysilane)50gを投入し、不活性アルゴンガスの雰囲気下、約150℃温度で重縮合反応を行った後、反応生成物を室温で24時間安定化して、乾式抗菌性プライマーコーティング剤を製造した。
【0048】
一方、フッ素系重合体であるペルフルオロポリエーテル(perfluoropolyether)50gに機能性有無機シラン化合物であるアミノプロピルトリエトキシシラン50gを投入し、不活性アルゴンガスの雰囲気下、約150℃温度で重縮合反応を行った後、反応生成物を室温で24時間安定化して、乾式撥水/撥油性コーティング剤(AFコーティング剤)を製造した。
【0049】
前記製造された乾式抗菌性プライマーコーティング剤及び乾式撥水/撥油性コーティング剤を用いて、2050φ真空蒸着用装置でE/B(Electron-beam)蒸発方式で強化ガラス(TG)を多重コーティングした。コーティングを円滑にするためにコーティング前に強化ガラスを10組洗浄器で5wt%のアルカリ洗浄剤(強化ガラス用洗浄剤)で湿式洗浄した。真空蒸着条件は、初期エッチング:180秒、温度:80℃であった。
【0050】
コーティングされた試片を次の通りに物性を評価した。
【0051】
(1)接触角測定方法
コーティング後、接触角測定装置を利用してコーティングした面の接触角を測定した。接触角測定時、水滴一つの大きさは3μLとし、コーティングの均一性を確認するために、コーティングした試料一つ当たり5ポイントの接触角を測定した後、平均を求めた。
【0052】
(2)高温高湿テスト
温度60、湿度90%RHの条件で72時間放置した後、接触角を測定した。コーティングしたサンプルの初期接触角対比テスト後の接触角の変化度が15°以内であればPASSとした。
【0053】
(3)紫外線テスト
UV−Bタイプの紫外線装置内で72時間放置した後、接触角を測定した。コーティングしたサンプルの初期接触角対比テスト後の接触角の変化度が15°以内であればPASSとした。
【0054】
(4)塩水噴霧テスト
5wt%濃度の塩化ナトリウム(NaCl)水溶液をコーティングしたサンプルの表面に噴霧し、72時間放置した後、接触角を測定した。コーティングしたサンプルの初期接触角対比テスト後接触角の変化度が15°以内であればPASSとした。
【0055】
(5)耐摩耗性テスト
コーティング後、耐久性を確認するために耐摩耗テストを行った。耐摩耗消しゴムを使用して、1500回摩耗テストを行った。テスト結果、コーティングしたサンプルの初期接触角対比テスト後接触角の変化程度が15°以内であればPASSとした。
【0056】
(6)全光線透過率測定
UV−分光光度計を使用して測定した。
【0057】
(7)ヘイズ(Haze)測定
分光測色係長費を使用して測定した。
【0058】
(8)鉛筆硬度(pencil hardness)テスト
H〜9Hまで鉛筆を準備し、荷重1kg条件を設定して、コーティング面に2回ずつ引いてテストした。
【0059】
(9)抗菌力確認テスト
大腸菌(ATCC8739)、黄色葡萄状球菌(ATCC6538P)を用いて、JIS Z 2801規格で試験を行った。コーティングしたサンプルの表面に希釈された菌液を400μL接種し、恒温恒湿環境に24時間培養後、脱着を進めて抗菌結果を確認した。
【0060】
実施例1で製造された多重コーティングされた強化ガラスサンプルに対する物性評価の結果を下記表1に示した。
【表1】
【0061】
実施例2
反応容器に、(3−グリシドキシプロピル)トリメトキシシラン20gとエポキシ基を有するシリコーンオリゴマー30gを投入し、不活性アルゴンガスの雰囲気下、150℃温度で1時間撹拌した後、そこに機能性有無機シラン化合物であるアミノプロピルトリエトキシシラン(aminopropyltriethoxysilane)50gを投入し、不活性アルゴンガスの雰囲気下、約150℃温度で重縮合反応を行った。反応生成物に抗菌物質としてペオノール(paeonol、牧丹皮から抽出)10gを投入し、均一に分散混合して、乾式抗菌性プライマーコーティング剤を製造した。
【0062】
一方、実施例1と同様の方法で、乾式撥水/撥油性コーティング剤(AFコーティング剤)を製造した。
【0063】
前記製造された乾式抗菌性プライマーコーティング剤及び乾式撥水/撥油性コーティング剤を用いて、強化ガラス及びポリメチルメタクリレート(PMMA)基材に対して(PMMAは60℃でコーティング)、実施例1と同様の方法で多重コーティングを行った。製造されたサンプルを、前記記述された方法で初期接触角及び耐摩耗性テスト後接触角を測定し、初期抗菌力をテストした。テスト結果を下記表2に示した。
【0064】
また、PMMA基材のコーティングサンプルを、紫外線テスト後及び塩水噴霧テスト後、接触角を測定し、抗菌力をテストした。その結果を下記表3に示した。
【表2】
【表3】
【0065】
実施例3
ポリカーボネート(PC)基材を、実施例2と同様の方法で多重コーティングを行った。製造されたサンプルを、前記記述された方法で初期接触角を測定し、初期抗菌力をテストした。テスト結果を下記4に示した。
【表4】
【符号の説明】
【0066】
1 撥水/撥油機能性コーティング層(AFコーティング層)
2 抗菌性プライマーコーティング層
3 基材
4 抗菌物質
【国際調査報告】