(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2018-522010(P2018-522010A)
(43)【公表日】2018年8月9日
(54)【発明の名称】アセタールカルボニル化合物の製造方法
(51)【国際特許分類】
C07C 67/37 20060101AFI20180713BHJP
C07C 69/708 20060101ALI20180713BHJP
B01J 29/85 20060101ALI20180713BHJP
B01J 37/30 20060101ALI20180713BHJP
C07B 61/00 20060101ALN20180713BHJP
【FI】
C07C67/37
C07C69/708 Z
B01J29/85 Z
B01J37/30
C07B61/00 300
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2018-502115(P2018-502115)
(86)(22)【出願日】2015年12月8日
(85)【翻訳文提出日】2018年1月16日
(86)【国際出願番号】CN2015096647
(87)【国際公開番号】WO2017012245
(87)【国際公開日】20170126
(31)【優先権主張番号】201510426676.1
(32)【優先日】2015年7月20日
(33)【優先権主張国】CN
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】503190796
【氏名又は名称】中国科学院大▲連▼化学物理研究所
【氏名又は名称原語表記】DALIAN INSTITUTE OF CHEMICAL PHYSICS,CHINESE ACADEMY OF SCIENCES
(74)【代理人】
【識別番号】110001508
【氏名又は名称】特許業務法人 津国
(72)【発明者】
【氏名】倪友明
(72)【発明者】
【氏名】朱文良
(72)【発明者】
【氏名】劉勇
(72)【発明者】
【氏名】劉紅超
(72)【発明者】
【氏名】劉中民
(72)【発明者】
【氏名】楊▲みゃお▼
(72)【発明者】
【氏名】田鵬
【テーマコード(参考)】
4G169
4H006
4H039
【Fターム(参考)】
4G169AA02
4G169AA03
4G169AA08
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4G169BA02C
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4H006AA02
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4H006KA33
4H006KC12
4H039CA66
4H039CL00
(57)【要約】
本発明は、アセタールカルボニル化反応によりエチレングリコール生産の中間体であるアセタールカルボニル化合物を製造する方法を提供し、前記は、原料であるアセタール及び原料ガスである一酸化炭素を、酸性微多孔シリコアルミノホスフェート分子篩を触媒として充填している反応器によりカルボニル化反応を行い、生成物であるアセタールカルボニル化合物を得ることを含む。本発明方法において、原料であるアセタールの転化率が高く、アセタールカルボニル化合物の選択率が高く、触媒寿命が長く、外添溶媒を使用する必要がなく、反応条件が比較的に温和であり、連続生産可能であり、工業化応用見込みがある。また、得られた生成物であるアセタールカルボニル化合物を、水素添加した後に加水分解することによりエチレングリコールを生産することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エチレングリコール生産の中間体であるアセタールカルボニル化合物の製造方法であって、
原料であるアセタール及び原料ガスである一酸化炭素を、酸性微多孔シリコアルミノホスフェート分子篩を触媒として充填した反応器によってカルボニル化反応させることを含み、
前記酸性微多孔シリコアルミノホスフェート分子篩の化学組成は(SixAlyPz)O2(x=0.01〜0.60、y=0.2〜0.60、z=0.2〜0.60、かつ、x+y+z=1)であり、かつ、前記原料であるアセタールはR1O(CH2O)nR2(ただし、n=1、2、3又は4、R1及びR2はそれぞれ独立にC1〜C3アルキル基である)であることを特徴とするエチレングリコール生産の中間体であるアセタールカルボニル化合物の製造方法。
【請求項2】
前記酸性微多孔シリコアルミノホスフェート分子篩は8員環細孔構造を有することを特徴とする請求項1に記載のエチレングリコール生産の中間体であるアセタールカルボニル化合物の製造方法。
【請求項3】
前記酸性微多孔シリコアルミノホスフェート分子篩は、構造タイプがCHA、RHO、LEV、ERI、AEI及びAFXの分子篩からなる群より選ばれる1種又は2種以上であることを特徴とする請求項1に記載のエチレングリコール生産の中間体であるアセタールカルボニル化合物の製造方法。
【請求項4】
前記酸性微多孔シリコアルミノホスフェート分子篩は、SAPO−34、DNL−6、SAPO−35、SAPO−17、SAPO−18及びSAPO−56分子篩からなる群より選ばれる1種又は2種以上であることを特徴とする請求項1に記載のエチレングリコール生産の中間体であるアセタールカルボニル化合物の製造方法。
【請求項5】
前記酸性微多孔シリコアルミノホスフェート分子篩は、質量分率が0〜10%、好ましくは0〜2%の金属を含み、好ましくは、前記金属は、銅、鉄、ガリウム、銀、ニッケル、コバルト、パラジウム及び白金のうちの1種又は2種以上であることを特徴とする請求項1に記載のエチレングリコール生産の中間体であるアセタールカルボニル化合物の製造方法。
【請求項6】
前記金属は前記酸性微多孔シリコアルミノホスフェート分子篩のイオン交換位置、チャンネル中、表面上及び/又は骨格上に位置し、前記金属は原位置合成、浸漬又はイオン交換のうちの1種又は複数種の方式により導入されることを特徴とする請求項5に記載のエチレングリコール生産の中間体であるアセタールカルボニル化合物の製造方法。
【請求項7】
前記触媒は、質量分率が1〜60%、好ましくは10〜30%の形成剤を含有し、好ましくは、前記形成剤は酸化アルミニウム、酸化ケイ素又はカオリンのうちの1種又は2種以上であることを特徴とする請求項1に記載のエチレングリコール生産の中間体であるアセタールカルボニル化合物の製造方法。
【請求項8】
前記原料であるアセタールはCH3OCH2OCH3、C2H5OCH2OC2H5又はCH3O(CH2O)2CH3であり、かつ、前記アセタールカルボニル化合物は、CH3−O−(CO)−CH2−O−CH3、C2H5−O−(CO)−CH2−O−C2H5、CH3−O−(CO)−CH2−O−CH2−O−CH3及び CH3−O−CH2−(CO)−O−CH2−O−CH3のうちの1種又は2種以上であることを特徴とする請求項1に記載のエチレングリコール生産の中間体であるアセタールカルボニル化合物の製造方法。
【請求項9】
前記カルボニル化反応の条件は、反応温度が60〜140℃であり、反応圧力が1〜15MPaであり、原料であるアセタールの質量空間速度が0.1〜10.0h−1であり、原料ガスである一酸化炭素と原料であるアセタールとのモル比が2:1〜20:1であり、かつ、その他の溶媒を一切添加しない、
好ましくは、前記カルボニル化反応の条件は、反応温度が70〜120℃であり、反応圧力が3〜10MPaであり、原料であるアセタールの質量空間速度が0.5〜3h−1であり、原料ガスである一酸化炭素と原料であるアセタールとのモル比が5:1〜15:1であり、かつ、その他の溶媒を一切添加しないことを特徴とする請求項1に記載のエチレングリコール生産の中間体であるアセタールカルボニル化合物の製造方法。
【請求項10】
前記反応器は連続反応を実現する固定床反応器、槽型反応器、移動床反応器又は流動床反応器であることを特徴とする請求項1に記載のエチレングリコール生産の中間体であるアセタールカルボニル化合物の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エチレングリコール生産の中間体であるアセタールカルボニル化合物の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
エチレングリコールは、国家にとって重要な化工原料及び戦略資材であり、ポリエステル(さらにポリエステル繊維、PETボトル、薄膜を生産できる)、火薬、グリオキサールの製造に利用され、また、凍結防止剤、可塑剤、水力流体及び溶媒等として用いられる。2009年、中国のエチレングリコール輸入量が580万トンを超え、2015年、中国のエチレングリコール需要量が1120万トンなのに、生産能力が約500万トンしかできなく、需給ギャップが依然として620万トンとなる見込みであるので、中国においてエチレングリコールを生産する新規技術の開発応用は非常に良い市場展望がある。国際中に、主に石油の分裂分解によるエチレンを酸化することでエチレンオキシドを得て、さらに水和してエチレングリコールを得る。中国の「石炭が豊かで、石油が足りず、ガスが少ない」というエネルギー資源構造及び原油価格が長期的に高価運行に維持されているなどの現状を鑑みて、石炭製エチレングリコールの新規石炭化工技術は国家のエネルギー安全を保障しながら、中国の石炭資源を十分に利用することができ、未来の石炭化工産業にとって最も現実的な選択である。
【0003】
現在、中国国内において比較的に成熟した技術は中国科学院福建物質構造研究所により開発された「CO気相触媒によりシュウ酸エステルを合成し、シュウ酸エステルを触媒水素添加することでエチレングリコールを合成するセットプロセス技術」である。2009年12月上旬、業界に注目されている全世界初めの工業化示範装置である内モンゴル通遼石炭化工公司の「石炭からエチレングリコールを製造するプロジェクト」の第一期工程であって、年産量が20万トンの石炭製エチレングリコールプロジェクトは、全線プロセス流れが順調に打開され、合格したエチレングリコールを生産することができた。しかしながら、プロセスユニットが多く、工業ガスの純度への要求が高く、酸化カップリング過程において貴金属触媒を使用する必要があり、環境汚染の潜在性がある窒素酸化合物を利用する必要があることなどにより、当該流れの経済性、環境保護性、省エネルギー性及び工程の更なる拡大が制限される。
【0004】
ポリメトキシジメチルエーテル(またはポリメトキシメチラールと称し、英語名:Polyoxymethylene dimethyl ethers)の分子式はCH
3O(CH
2O)
nCH
3(n≧2)であり、一般的にはDMM
n(又はPODE
n)と略称される。ポリメトキシジメチルエーテルの生産をかけて、生成した生成物の生産レートはこのましくなく、メチラール及びDMM
2のほうが高いが、ディーゼル添加剤として使用可能なDMM
3〜4の利用率は低くで、常にその生産における副生成物を繰り返して分離・再反応させ、このようにエネルギー消耗量が大きくなり、経済性が悪くなる。そのため、副生成物であるメチラール及びDMM
2を経済価値がより高い製品に加工することができれば、この過程における経済性が向上することができる。
【0005】
US2010/0105947 Aに開示されたメトキシ酢酸メチルの製造方法は、ゼオライト分子篩触媒存在下で、ジメトキシメタンをカルボニル化して製造する方法であり、ここで、触媒は、FAU、ZSM−5、MOR、β−ゼオライトからなる群より選択される。EP0088529 A2に開示されたメトキシ酢酸メチルの製造方法は固体触媒の存在下で、ジメトキシメタンをカルボニル化して製造する方法であり、前記触媒は酸性カチオン交換樹脂、クレイ、ゼオライト、固体酸、無機酸化合物、無機塩及び酸化合物からなる群より選択される。CN104119228 Aに開示されたメトキシ酢酸メチルの製造方法は、メチラール及びCOを原料としてメトキシ酢酸メチルを触媒合成する方法であり、ここで、触媒はMWW型骨格構造を有する分子篩である。CN103894228 Aに開示されたメトキシ酢酸メチルの製造方法は、メチラールとCOとを原料としてメトキシ酢酸メチルを触媒合成する方法であり、ここで、触媒は強酸である有機スルホン酸強酸が担持された固体触媒であり、前記触媒の担体は活性炭素、SBA−15及びMCM−41からなる群より選択される1種又は2種以上である。CN103172517 Aに開示されたメトキシ酢酸メチルを製造する方法によれば、固体酸触媒の存在下で、メチラール及びCOを気相カルボニル化反応させてメトキシ酢酸メチルを生成する。
【0006】
近年、アメリカのUC BerkeleyのAlexis T. Bell教授の研究グループにより報告された、メチラール気相カルボニル化法によりメトキシ酢酸メチルを製造し、その後、水素添加加水分解してエチレングリコールを得る新たな方法において、最も肝心なステップは気相カルボニル化反応である。しかしながら、触媒の寿命が短く、原料ガスにおいてメチラールの濃度が低く、メチラールの転化率及びメトキシ酢酸メチルの選択率がいずれも理想的ではなく、工業化までには長い道がある(Angew. Chem. Int. Ed., 2009, 48, 4813〜4815; J. Catal., 2010, 270, 185〜195; J. Catal., 2010, 274, 150〜162; WO2010/048300A1)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、カルボニル化によってエチレングリコール生産の中間体であるアセタールカルボニル化合物の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そのために、本発明が提供するエチレングリコール生産の中間体であるアセタールカルボニル化合物の製造方法は、原料であるアセタール及び原料ガスである一酸化炭素を、酸性微多孔シリコアルミノホスフェート分子篩を触媒として充填した反応器によってカルボニル化反応させることを含み、前記酸性微多孔シリコアルミノホスフェート分子篩の化学組成は(Si
xAl
yP
z)O
2(ただし、x=0.01〜0.60、y=0.2〜0.60、z=0.2〜0.60、かつ、x+y+z=1)であり、かつ、前記原料であるアセタールはR
1O(CH
2O)
nR
2(ただし、n=1、2、3又は4、R
1及びR
2はそれぞれ独立にC
1〜C
3アルキル基である)である。
【0009】
好ましい1実施形態において、前記酸性微多孔シリコアルミノホスフェート分子篩は8員環細孔構造を有する。
【0010】
好ましい1実施形態において、前記酸性微多孔シリコアルミノホスフェート分子篩は、構造タイプがCHA、RHO、LEV、ERI、AEI及びAFXの分子篩からなる群より選ばれる1種又は2種以上であり、より好ましくは、前記酸性微多孔シリコアルミノホスフェート分子篩は、SAPO−34、DNL−6、SAPO−35、SAPO−17、SAPO−18及びSAPO−56分子篩からなる群より選ばれる1種又は2種以上である。
【0011】
好ましい1実施形態において、前記酸性微多孔シリコアルミノホスフェート分子篩は、質量分率が0〜10%、好ましくは0〜2%の金属を含む。好ましくは、前記金属は、銅、鉄、ガリウム、銀、ニッケル、コバルト、パラジウム及び白金のうちの1種又は2種以上である。
【0012】
好ましい1実施形態において、前記金属は前記酸性微多孔シリコアルミノホスフェート分子篩のイオン交換位置、チャンネル中、表面上及び/又は骨格上に位置し、前記金属は原位置合成、浸漬又はイオン交換のうちの1種又は複数種の方式により導入される。
【0013】
好ましい1実施形態において、前記触媒は、質量分率が1〜60%、好ましくは10〜30%の形成剤を含有し、好ましくは、前記形成剤は酸化アルミニウム、酸化ケイ素又はカオリンのうちの1種又は2種以上である。
好ましい1実施形態において、前記原料であるアセタールはCH
3OCH
2OCH
3、C
2H
5OCH
2OC
2H
5又はCH
3O(CH
2O)
2CH
3であり、かつ、前記アセタールカルボニル化合物は、CH
3−O−(CO)−CH
2−O−CH
3、C
2H
5−O−(CO)−CH
2−O−C
2H
5、CH
3−O−(CO)−CH
2−O−CH
2−O−CH
3及び
CH
3−O−CH
2−(CO)−O−CH
2−O−CH
3のうちの1種又は2種以上である。
【0014】
好ましい1実施形態において、前記カルボニル化反応の条件は、反応温度が60〜140℃であり、反応圧力が1〜15MPaであり、原料であるアセタールの質量空間速度が0.1〜10.0h
−1であり、原料ガスである一酸化炭素と原料であるアセタールとのモル比が2:1〜20:1であり、かつ、その他の溶媒を一切添加しない。好ましくは、前記カルボニル化反応の条件は、反応温度が70〜120℃であり、反応圧力が3〜10MPaであり、原料であるアセタールの質量空間速度が0.5〜3h
−1であり、原料ガスである一酸化炭素と原料であるアセタールとのモル比が5:1〜15:1であり、かつ、その他の溶媒を一切添加しない。
【0015】
好ましい1実施形態において、前記反応器は連続反応を実現する固定床反応器、槽型反応器、移動床反応器又は流動床反応器である。
【発明の効果】
【0016】
本発明が生じる有益な効果は、少なくとも、従来技術に比べて、本発明は酸性微多孔シリコアルミノホスフェート分子篩触媒を用い、アセタールの転化率が高く、アセタールカルボニル化合物の選択率が高いことを含むが、これらに限られない。また、従来技術に比べて、本発明の触媒は寿命が長く、反応過程において外添溶媒を使用する必要はなく、反応条件が比較的に温和であり、連続生産可能であり、工業化応用潜在力を有する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の実施例1におけるSAPO−34分子篩のX線粉末回折(XRD)パターンである。
【
図2】本発明の実施例1におけるSAPO−34分子篩の走査電子顕微鏡(SEM)パターンである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明は、原料であるアセタール及び原料ガスである一酸化炭素を、酸性微多孔シリコアルミノホスフェート分子篩を触媒として充填した反応器においてカルボニル化反応を発生させることによって生成物であるアセタールカルボニル化合物を製造することを含む、カルボニル化によりエチレングリコール生産の中間体であるアセタールカルボニル化合物の製造方法を提供する。
【0019】
好ましくは、前記酸性微多孔シリコアルミノホスフェート分子は8員環細孔構造を有する。
好ましくは、前記酸性微多孔シリコアルミノホスフェート分子篩の化学組成は、(Si
xAl
yP
z)O
2(ただし、x、y、zはそれぞれSi、Al、Pのモル分数であり、x=0.01〜0.60、y=0.2〜0.60、z=0.2〜0.60、かつx+y+z=1)で表される。
好ましくは、前記酸性微多孔シリコアルミノホスフェート分子篩は、構造タイプがABW、ACO、AEI、AEN、AFN、AFT、AFX、ANA、APC、APD、ATN、ATT、ATV、AWO、AWW、BIK、BRE、CAS、CHA、DOR、DFY、LAB、EDI、ERI、ESV、GIS、GOO、ITE、JBW、KFI、LEV、LTA、MER、MON、MTF、PAU、PHI、RHO、RTE、RTH、SAS、SAT、SAV、THO、TSC、VNI、YUG、ZONの分子篩からなる群より選ばれる1種又は2種以上である。
好ましくは、前記酸性微多孔シリコアルミノホスフェート分子篩は、構造タイプがCHA、RHO、LEV、ERI、AEI、AFXの分子篩のうちの1種又は2種以上であることが好ましい。
好ましくは、前記酸性微多孔シリコアルミノホスフェート分子篩は、SAPO−34、DNL−6、SAPO−35、SAPO−17、SAPO−18、SAPO−56分子篩のうちの1種又は2種以上であることが好ましい。
好ましくは、前記酸性微多孔シリコアルミノホスフェート分子篩において、質量分率が0〜10%の金属を含有する。
好ましくは、前記酸性微多孔シリコアルミノホスフェート分子篩において、質量分率が好ましくは0〜2%の金属を含有する。
好ましくは、前記金属は、銅、鉄、ガリウム、銀、ニッケル、コバルト、パラジウム及び白金のうちの1種又は2種以上である。
好ましくは、前記金属の分子篩における位置は、分子篩のイオン交換位置、あるいは分子篩のチャンネル又は表面上、あるいは分子篩の骨格上のうちの1種又は2種以上である。
好ましくは、前記金属を導入する方式は原位置合成、浸漬又はイオン交換のうちの1種又は2種以上である。
好ましくは、前記金属はイオン状態でイオン交換位置に存在するか、あるいは金属酸化合物の状態で分子篩のチャンネル又は表面上に存在するか、あるいは同晶置換の形式で分子篩の骨格T原子上に入っている。
好ましくは、前記触媒において質量分率が1〜60%の形成剤を含有する。
好ましくは、前記触媒中に含有される形成剤の質量分率が好ましくは10〜30%である。
好ましくは、前記触媒において形成剤は酸化アルミニウム、酸化ケイ素又はカオリンのうちの1種又は2種以上である。
好ましくは、前記原料であるアセタールはR
1O(CH
2O)
nR
2(ただし、n=1、又は2、又は3、又は4。R
1及びR
2はそれぞれ独立にC
1〜C
3アルキル基である)である。前記原料であるアセタールは、CH
3OCH
2OCH
3、C
2H
5OCH
2OC
2H
5又はCH
3O(CH
2O)
2CH
3であることが好ましい。
【0020】
前記生成物であるアセタールカルボニル化合物は、原料であるアセタールR
1O(CH
2O)
nR
2分子鎖の−O−CH
2−O−構造単位に1個又は複数個のカルボニル基−CO−を挿入した後に形成された、−O−(CO)−CH
2−O−又は−O−CH
2−(CO)−O−構造単位を有する生成物である。
【0021】
アセタールカルボニル化過程は、下記の化学反応式で表すことができる。
CH
3OCH
2OCH
3+CO=CH
3O(CO)CH
2OCH
3 (I)
C
2H
5OCH
2OC
2H
5+CO=C
2H
5O(CO)CH
2OC
2H
5 (II)
CH
3O(CH
2O)
2CH
3+CO=CH
3O(CO)CH
2OCH
2OCH
3 (III)
CH
3O(CH
2O)
2CH
3+CO=CH
3OCH
2(CO)OCH
2OCH
3 (IV)
好ましくは、前記生成物であるアセタールカルボニル化合物は、CH
3−O−(CO)−CH
2−O−CH
3、C
2H
5−O−(CO)−CH
2−O−C
2H
5、CH
3−O−(CO)−CH
2−O−CH
2−O−CH
3及び
CH
3−O−CH
2−(CO)−O−CH
2−O−CH
3のうちの生成物の1種又は2種以上であることが好ましい。
【0022】
好ましくは、前記原料ガスである一酸化炭素は、合成ガス分離により得られる。また、本発明の方法において、原料ガスは一酸化炭素の体積含有量が50%以上の混合原料ガスであってもよく、それが水素ガスと、窒素ガス、ヘリウムガス、アルゴンガス、二酸化炭素、メタン及びエタンなどのうちの任意の1種又は任意の複数種とを含む不活性ガスであってもよい。
【0023】
好ましくは、反応条件は、反応温度が60〜140℃であり、反応圧力が1〜15MPaであり、原料であるアセタールの質量空間速度が0.1〜10.0h
−1であり、原料ガスである一酸化炭素と原料であるアセタールとのモル比が2:1〜20:1であり、かつ、その他の溶媒を一切添加しない。
【0024】
好ましくは、反応条件は、反応温度が70〜120℃であり、反応圧力が3〜10MPaであり、原料であるアセタールの質量空間速度が0.5〜3h
−1であり、原料ガスである一酸化炭素と原料であるアセタールとのモル比が5:1〜15:1であり、かつ、その他の溶媒を一切添加しない。
【0025】
反応において、前記原料であるアセタールと前記生成物であるアセタールカルボニル化合物のうちの少なくとも1種が液相であり、前記酸性微多孔シリコアルミノホスフェート分子篩触媒が固相であり、前記原料ガスである一酸化炭素が気相であるので、反応過程は気液固三相反応である。
【0026】
好ましくは、生成物であるアセタールカルボニル化合物をさらに水素添加してエチレングリコールエーテルを製造することができる。さらに好ましくは、前記エチレングリコールエーテルがエチレングリコールモノメチルエーテルであり、エチレングリコールモノメチルエーテルを加水分解してエチレングリコールを製造することができる。
【0027】
好ましくは、前記反応器は連続反応を実現する固定床反応器、槽型反応器、移動床反応器又は流動床反応器である。
【0028】
好ましくは、前記反応器は1個又は複数個の固定床反応器である。連続反応の形式が用いられる。固定床反応器は1個であってもよいし、複数個であってもよい。複数個の固定床反応器を用いる場合、反応器同士は直列、並列、又は直列と並列との組み合わせの形式であってもよい。
【実施例】
【0029】
実施例における分析方法及び転化率と選択率は下記のように算出される。
ガスオートサンプラー、FID検出器及びFFAPキャピラリーカラムを有するAgilent7890ガスクロマトグラフによって気/液相成分の成分自動分析を行う。
本発明の幾つかの実施例において、アセタールの転化率及びアセタールカルボニル化合物の選択率はいずれもアセタールの炭素モル数に基づいて算出される。
アセタールの転化率=[(供給される材料におけるアセタールの炭素モル数)−(排出される材料におけるアセタールの炭素モル数)]÷(供給される材料におけるアセタールの炭素モル数)×(100%)
アセタールカルボニル化合物選択率=(排出される材料におけるアセタールカルボニル化合物からカルボニル基を減らした炭素モル数)÷[(供給される材料におけるアセタールの炭素モル数)−(排出される材料におけるアセタールの炭素モル数)]×(100%)
以下、実施例によって本発明を詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例に限られない。
【0030】
触媒の製造例
実施例1
室温で、ゲルモル配合比を2.0DEA:0.6SiO
2:1.0Al
2O
3:0.8P
2O
5:50H
2Oとし、擬ベーマイトをリン酸溶液に添加して2h攪拌して均一なゲルを形成し、その後、シリカゾル及びジエタノールアミン(DEA)を加えて混合して3h攪拌し、得られたゾルを、ポリテトラフルオロ内筒を有する結晶化釜中に放置し、200℃で2日結晶化させ、冷却した後に遠心分離させ、120℃で乾燥させた後にマッフル炉中に入れて、空気雰囲気下で550℃で4h仮焼し、化学組成比が(Si
0.16Al
0.48P
0.36)O
2であるSAPO−34分子篩原粉を得、空気雰囲気下で500℃で4h仮焼して酸性SAPO−34分子篩を得、そのX線粉末回折パターンと高解像度走査電子顕微鏡パターンはそれぞれ
図1及び
図2に示されている。その後、20%酸化アルミニウムにより成形し、直径が3mm、長さが3mmである棒状触媒Aを作製した。
【0031】
実施例2
ゲルモル配合比を2.0DEA:1.0Al
2O
3:0.8P
2O
5:0.4TEOS:0.2CTAB:100H
2Oとし、アルミニウムイソプロポキシド、脱イオン水、リン酸及びオルトケイ酸テトラエチル(TEOS)を混合した後に、室温で3h攪拌し、均一なゲル系を得、その後、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミド(CTAB)とジエタノールアミン(DEA)溶液を上記ゲル中に添加した。得られたゾルをポリテトラフルオロ内筒を有する結晶化釜中に放置し、200℃で1日結晶化させ、冷却した後に遠心分離させ、120℃で乾燥させた後にマッフル炉に入れて、空気雰囲気下で550℃で4h仮焼して化学組成比が(Si
0.14Al
0.37P
0.49)O
2のDNL−6分子篩原粉を得た。空気雰囲気下で500℃で4h仮焼して酸性DNL−6分子篩を得、その後、10%酸化ケイ素により成形し、直径が3mm、長さが3mmである棒状触媒Bを作製した。
【0032】
実施例3
室温で、ゲルモル配合比を2.0DEA:0.6SiO
2:1.0Al
2O
3:0.8P
2O
5:50H
2Oとし、擬ベーマイトをリン酸溶液中に添加して2h攪拌して均一なゲルを形成し、その後、シリカゾル及びジエタノールアミン(DEA)を加えて混合して3h攪拌し、得られたゾルを、ポリテトラフルオロ内筒を有する結晶化釜中に放置し、200℃で2日結晶化させ、冷却した後に遠心分離させ、120℃で乾燥させた後にマッフル炉中に入れて、空気雰囲気下で550℃で4h仮焼し、化学組成比が(Si
0.16Al
0.48P
0.36)O
2であるSAPO−34分子篩原粉を得た。このSAPO−34分子篩を0.8mol/Lの硝酸アンモニウム水溶液により80℃で3回交換し、アンモニウム型SAPO−34分子篩を得た。0.05mol/Lの硝酸銅水溶液を用いてアンモニウム型SAPO−34分子篩とイオン交換し、銅イオン交換変性のSAPO−34分子篩を得た。空気雰囲気下で500℃で4h仮焼して銅含有量が0.5%の酸性SAPO−34分子篩を得、その後、20%酸化アルミニウムにより成形し、直径が3mm、長さが3mmである棒状触媒Cを作製した。
【0033】
実施例4
ゲルモル配合比を2.0DEA:1.0Al
2O
3:0.8P
2O
5:0.4TEOS:0.2CTAB:100H
2Oとし、アルミニウムイソプロポキシド、脱イオン水、リン酸及びオルトケイ酸テトラエチル(TEOS)を混合した後に室温で3h攪拌し、均一なゲル系を得、その後、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミド(CTAB)とジエタノールアミン(DEA)溶液を上記ゲル中に添加した。得られたゾルをポリテトラフルオロ内筒を有する結晶化釜中に放置し、200℃下で1日結晶化させ、冷却した後に遠心分離させ、120℃下で乾燥させた後にマッフル炉中に入れて、空気雰囲気下で550℃で4h仮焼して化学組成比が(Si
0.14Al
0.37P
0.49)O
2であるDNL−6分子篩原粉を得た。硝酸硝酸パラジウム水溶液を用いてDNL−6分子篩と等体積で浸漬し、パラジウム浸漬変性のDNL−6分子篩を得た。空気雰囲気下で500℃で4h仮焼してパラジウム含有量が1%の酸性DNL−6分子篩を得、その後、10%酸化ケイ素により成形し、直径が3mm、長さが3mmである棒状触媒Dを作製した。
【0034】
実施例5
ゲルモル比を0.96P
2O
5:1.0Al
2O
3:1.0SiO
2:1.51HMT:55.47H
2Oとし、擬ベーマイト、シリカゾル、脱イオン水、リン酸水溶液及びヘキサメチレンイミン(HMI)をビーカーに順次に添加して室温で攪拌・混合した。得られたゾルをポリテトラフルオロ内筒を有する結晶化釜中に放置し、200℃で1日結晶化させ、冷却した後に遠心分離させ、120℃で乾燥させた後にマッフル炉中に入れて、空気雰囲気で550℃で4h仮焼して化学組成比が(Si
0.18Al
0.46P
0.36)O
2であるSAPO−35分子篩原粉を得た。硝酸銀水溶液を用いてSAPO−35分子篩と等体積で浸漬し、銀浸漬変性のSAPO−35分子篩を得た。空気雰囲気で500℃で4h仮焼して銀含有量が0.1%の酸性SAPO−35分子篩を得、その後、15%カオリンにより成形し、直径が3mm、長さが3mmである棒状触媒Eを作製した。
【0035】
実施例6
ゲルモル比を0.11SiO
2:1Al
2O
3:1P
2O
5:1Cha:50H
2Oとし、アルミニウムイソプロポキシド、シリカゾル、脱イオン水、リン酸水溶液及びシクロヘキシルアミン(Cha)をビーカーに順次に添加して室温で攪拌・混合した。得られたゾルをポリテトラフルオロ内筒を有する結晶化釜中に放置し、200℃で1日結晶化させ、冷却した後に遠心分離させ、120℃で乾燥させた後にマッフル炉中に入れて、空気雰囲気で550℃で4h仮焼して化学組成比が(Si
0.14Al
0.51P
0.35)O
2であるSAPO−17分子篩原粉を得た。硝酸ニッケル水溶液を用いてSAPO−17分子篩と等体積で浸漬し、ニッケル浸漬変性のSAPO−17分子篩を得た。空気雰囲気で500℃で4h仮焼してニッケル含有量が2%である酸性SAPO−17分子篩を得、その後、30%酸化アルミニウムにより成形し、直径が3mm、長さが3mmである棒状触媒Fを作製した。
【0036】
実施例7
ゲルモル比を0.2SiO
2:1.0Al
2O
3:1.0P
2O
5:1.6C
8H
19N:55H
2Oとし、擬ベーマイト、シリカゾル、脱イオン水、リン酸水溶液及びN,N−ジイソプロピルエチルアミン(C
8H
19N)をビーカーに順次に添加して室温で攪拌・混合した。得られたゾルをポリテトラフルオロ内筒を有する結晶化釜中に放置し、180℃で3日結晶化させ、冷却した後に遠心分離させ、120℃で乾燥させた後にマッフル炉中に入れて、空気雰囲気下で550℃で4h仮焼して化学組成比が(Si
0.11Al
0.57P
0.32)O
2であるSAPO−18分子篩原粉を得た。硝酸ガリウム水溶液を用いてSAPO−18分子篩と等体積で浸漬し、ガリウム浸漬変性のSAPO−18分子篩を得た。空気雰囲気下で500℃で4h仮焼してガリウム含有量が0.3%である酸性SAPO−18分子篩を得、その後、20%酸化アルミニウムにより成形し、直径が3mm、長さが3mmである棒状触媒Gを作製した。
【0037】
実施例8
ゲルモル比を2.0TMHD:0.6SiO
2:0.8Al
2O
3:P
2O
5:40H
2Oとし、擬ベーマイト、シリカゾル、脱イオン水、リン酸水溶液及びN,N,N’,N’−テトラメチル−1,6−ジアミノヘキサン(TMHD)をビーカーに順次に添加して室温で攪拌・混合した。得られたゾルをポリテトラフルオロ内筒を有する結晶化釜中に放置し、200℃で3日結晶化させ、冷却した後に遠心分離させ、120℃で乾燥させた後にマッフル炉中に入れて、空気雰囲気下で550℃で4h仮焼して化学組成比が(Si
0.10Al
0.42P
0.48)O
2であるSAPO−56分子篩原粉を得た。このSAPO−56分子篩を0.8mol/Lの硝酸アンモニウム水溶液により80℃で3回交換してアンモニウム型SAPO−56分子篩を得た。0.04mol/Lの硝酸銅水溶液を用いてアンモニウム型SAPO−56分子篩とイオン交換し、銅イオン交換変性のSAPO−56分子篩を得た。空気雰囲気下で500℃で4h仮焼して銅含有量が0.3%である酸性SAPO−56分子篩を得、その後、20%酸化アルミニウムにより成形し、直径が3mm、長さが3mmである棒状触媒Hを作製した。
【0038】
比較例1
南開大学触媒工場から購入されたSi/Al=2.3のY型分子篩を取った。このY分子篩を0.8mol/Lの硝酸アンモニウム水溶液により80℃で3回交換してアンモニウム型Y分子篩を得た。0.05mol/Lの硝酸銅水溶液を用いてアンモニウム型Y分子篩とイオン交換し、銅イオン交換変性のY分子篩を得た。空気雰囲気下で500℃で4h仮焼して銅含有量が0.5%の酸性Y分子篩を得、その後、20%酸化アルミニウムにより成形し、直径が3mm、長さが3mmである棒状触媒Iを作製した。
【0039】
触媒性能測定例
実施例9
1.0kgの触媒Aを取って内径が32mmのステンレス固定床反応器内に入れて、常圧で、500℃で窒素ガスで4時間活性化させ、その後、反応温度(Tと略記)=90℃に降温し、導入された新鮮な原料のモル比CO:CH
3OCH
2OCH
3=7:1、反応圧力(Pと略記)=15MPa、新鮮な原料においてCH
3OCH
2OCH
3の質量空間速度(WHSVと略記)=0.1h
−1であり、反応が安定した後に、ガスクロマトグラフィーにより生成物を分析し、原料であるアセタールの転化率及び生成物であるアセタールカルボニル化合物のシングルパス選択率を算出し、反応結果を表1に示す。
【0040】
実施例10
1.0kgの触媒Bを取って内径が32mmのステンレス固定床反応器内に入れて、常圧で、500℃下で窒素ガスにより4時間活性化させ、その後、反応温度(Tと略記)=60℃に降温し、導入された新鮮な原料のモル比がCO:CH
3OCH
2OCH
3=13:1、反応圧力(Pと略記)=1MPa、新鮮な原料においてCH
3OCH
2OCH
3の質量空間速度(WHSVと略記)=10h
−1であり、反応が安定した後に、ガスクロマトグラフィーにより生成物を分析し、原料であるアセタールの転化率及び生成物であるアセタールカルボニル化合物のシングルパス選択率を算出し、反応結果を表1に示す。
【0041】
実施例11
1.0kgの触媒Cを取って内径が32mmのステンレス固定床反応器内に入れて、常圧で、500℃下で窒素ガスにより4時間活性化させ、その後、反応温度(Tと略記)=90℃に降温し、導入された新鮮な原料のモル比がCO:CH
3OCH
2OCH
3=7:1、反応圧力(Pと略記)=15MPa、新鮮な原料においてCH
3OCH
2OCH
3の質量空間速度(WHSVと略記)=0.1h
−1であり、反応が安定した後に、ガスクロマトグラフィーにより生成物を分析し、原料であるアセタールの転化率及び生成物であるアセタールカルボニル化合物のシングルパス選択率を算出し、反応結果を表1に示す。
【0042】
実施例12
1.0kgの触媒Dを取って内径が32mmのステンレス固定床反応器内に入れて、常圧で、500℃で窒素ガスにより4時間活性化させ、その後、反応温度(Tと略記)=60℃に降温し、導入された新鮮な原料のモル比がCO:CH
3OCH
2OCH
3=13:1、反応圧力(Pと略記)=1MPa、新鮮な原料においてCH
3OCH
2OCH
3の質量空間速度(WHSVと略記)=10h
−1であり、反応が安定した後に、ガスクロマトグラフィーにより生成物を分析し、原料であるアセタールの転化率及び生成物であるアセタールカルボニル化合物のシングルパス選択率を算出し、反応結果を表1に示す。
【0043】
実施例13
1.0kgの触媒Eを取って内径が32mmのステンレス固定床反応器内に入れて、常圧で、500℃下で窒素ガスにより4時間活性化させ、その後、反応温度(Tと略記)=140℃に降温し、導入された新鮮な原料のモル比がCO:CH
3OCH
2OCH=2:1、反応圧力(Pと略記)=6.5MPa、新鮮な原料においてCH
3OCH
2OCH
3の質量空間速度(WHSVと略記)=3.0h
−1であり、反応が安定した後に、ガスクロマトグラフィーにより生成物を分析し、原料であるアセタールの転化率及び生成物であるアセタールカルボニル化合物のシングルパス選択率を算出し、反応結果を表1に示す。
【0044】
実施例14
1.0kgの触媒Fを取って内径が32mmのステンレス固定床反応器内に入れて、常圧で、500℃下で窒素ガスにより4時間活性化させ、その後、反応温度(Tと略記)=140℃に降温し、導入された新鮮な原料のモル比がCO:C
2H
5OCH
2OC
2H
5=2:1、反応圧力(Pと略記)=6.5MPa、新鮮な原料においてC
2H
5OCH
2OC
2H
5の質量空間速度(WHSVと略記)=3.0h
−1であり、反応が安定した後に、ガスクロマトグラフィーにより生成物を分析し、原料であるアセタールの転化率及び生成物であるアセタールカルボニル化合物のシングルパス選択率を算出し、反応結果を表1に示す。
【0045】
実施例15
1.0kgの触媒Gを取って内径が32mmのステンレス固定床反応器内に入れて、常圧で、500℃下で窒素ガスにより4時間活性化させ、その後、反応温度(Tと略記)=73℃に降温し、導入された新鮮な原料のモル比CO:CH
3O(CH
2O)
2CH
3=10:1、反応圧力(Pと略記)=2.0MPa、新鮮な原料においてCH
3O(CH
2O)
2CH
3の質量空間速度(WHSVと略記)=0.3h
−1であり、反応が安定した後に、ガスクロマトグラフィーにより生成物を分析し、原料であるアセタールの転化率及び生成物であるアセタールカルボニル化合物のシングルパス選択率を算出し、反応結果を表1に示す。
【0046】
実施例16
1.0kgの触媒Hを取って内径が32mmのステンレス固定床反応器内に入れて、常圧で、500℃下で窒素ガスにより4時間活性化させ、その後、反応温度(Tと略記)=120℃に降温し、導入された新鮮な原料のモル比CO:CH
3OCH
2OCH
3=15:1、反応圧力(Pと略記)=4.7MPa、新鮮な原料においてCH
3OCH
2OCH
3の質量空間速度(WHSVと略記)=0.5h
−1であり、反応が安定した後に、ガスクロマトグラフィーにより生成物を分析し、原料であるアセタールの転化率及び生成物であるアセタールカルボニル化合物のシングルパス選択率を算出し、反応結果を表1に示す。
【0047】
比較例2
実施例11における触媒Cを触媒Iで置き換え、その他の条件が同様であり、反応結果を表1に示す。
【0048】
【表1】
【0049】
以上、本発明を詳しく説明しているが、本発明は前述した具体的な実施形態に制限されない。当業者であれば、本発明の範囲を逸脱しない限り、その他の変更及び変形を行うことができると理解し得るであろう。本発明の範囲は、添付されている特許請求の範囲により規制される。
【国際調査報告】