特表2018-522026(P2018-522026A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特表2018-522026可溶性生体分子を捕捉するためのモジュラー組成物及びそれと関連する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2018-522026(P2018-522026A)
(43)【公表日】2018年8月9日
(54)【発明の名称】可溶性生体分子を捕捉するためのモジュラー組成物及びそれと関連する方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 9/14 20060101AFI20180713BHJP
   C12N 15/11 20060101ALI20180713BHJP
   C07K 17/00 20060101ALI20180713BHJP
   C07K 16/00 20060101ALI20180713BHJP
   C07K 14/705 20060101ALI20180713BHJP
   C07K 2/00 20060101ALI20180713BHJP
   C07K 14/525 20060101ALI20180713BHJP
   C07K 14/55 20060101ALI20180713BHJP
   A61K 47/52 20170101ALI20180713BHJP
   A61K 47/61 20170101ALI20180713BHJP
   A61K 47/58 20170101ALI20180713BHJP
   A61K 38/00 20060101ALI20180713BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20180713BHJP
   A61K 47/62 20170101ALI20180713BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20180713BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20180713BHJP
   A61P 35/04 20060101ALI20180713BHJP
   A61P 37/02 20060101ALI20180713BHJP
   A61P 3/00 20060101ALI20180713BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20180713BHJP
   A61K 9/51 20060101ALI20180713BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20180713BHJP
【FI】
   A61K9/14
   C12N15/11 Z
   C07K17/00
   C07K16/00
   C07K14/705
   C07K2/00
   C07K14/525
   C07K14/55
   A61K47/52
   A61K47/61
   A61K47/58
   A61K38/00
   A61K39/395 D
   A61K39/395 N
   A61K47/62
   A61P43/00 121
   A61P35/00
   A61P35/04
   A61P37/02
   A61P3/00
   A61P25/00
   A61K9/51
   A61K45/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】82
(21)【出願番号】特願2018-504689(P2018-504689)
(86)(22)【出願日】2016年7月29日
(85)【翻訳文提出日】2018年3月26日
(86)【国際出願番号】US2016044674
(87)【国際公開番号】WO2017019949
(87)【国際公開日】20170202
(31)【優先権主張番号】62/198,541
(32)【優先日】2015年7月29日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】62/319,092
(32)【優先日】2016年4月6日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】62/198,519
(32)【優先日】2015年7月29日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】62/198,531
(32)【優先日】2015年7月29日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】62/236,507
(32)【優先日】2015年10月2日
(33)【優先権主張国】US
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】517114827
【氏名又は名称】ナノティックス,エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】特許業務法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ドッジソン,ジョン
(72)【発明者】
【氏名】ホーソーン,ルイス
【テーマコード(参考)】
4C076
4C084
4C085
4H045
【Fターム(参考)】
4C076AA31
4C076AA65
4C076CC01
4C076CC07
4C076CC21
4C076CC27
4C076CC41
4C076DD21
4C076DD29
4C076EE11
4C076EE13
4C076EE30
4C076EE38
4C076EE41
4C076EE59
4C076FF67
4C076FF70
4C076GG01
4C084AA02
4C084AA19
4C084BA44
4C084NA06
4C084NA20
4C084ZA02
4C084ZB07
4C084ZB26
4C084ZC21
4C084ZC75
4C085AA13
4C085AA14
4C085BB11
4C085EE01
4H045AA10
4H045AA11
4H045AA20
4H045AA30
4H045AA40
4H045BA05
4H045BA60
4H045CA40
4H045DA04
4H045DA14
4H045DA50
4H045DA76
4H045FA74
4H045FA80
(57)【要約】
本開示は、特に、可溶性生体分子と結合し、その生物学的活性を阻害する組成物及びその医薬組成物を提供する。本組成物は、標的、例えば、可溶性生体分子又は病原体の表面にある生体分子に特異的に結合し、標的(又は病原体)が他の分子又は細胞と相互作用することを阻害する複数の粒子を含んでもよい。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の反応基を含む粒子であって、
前記複数の反応基のうちのそれぞれの反応基は、所定の官能基と選択的に反応することができ、
それぞれの反応基は、その反応基に連結した薬剤の、細胞の表面にある分子に結合する能力が低減するよう前記粒子上で配向され、
前記粒子の最大寸法は、約50nm〜約5μmである、粒子。
【請求項2】
前記複数の反応基のうちのそれぞれの反応基は、アルケン、ハロゲン化アルキル、アルキン、アミン、アリールアジド、ハロゲン化アリール、アジド、カルボジイミド、カルボキシル、ジエン、ジエノフィル、グリオキサール、ハロアシル、イミドエステル、イソシアニド、マレイミド、N-ヒドロキシルスクシンイミジルエステル、ホスフィン、テトラジン又はチオールを含む、請求項1に記載の粒子。
【請求項3】
前記複数の反応基のうちのそれぞれの反応基は、核酸を含む、請求項1に記載の粒子。
【請求項4】
前記複数の反応基のうちのそれぞれの反応基は、ビオチン又はビオチン結合タンパク質を含む、請求項1に記載の粒子。
【請求項5】
前記複数の反応基は、約10〜約109個の反応基、103〜約107個の反応基又は約104〜約106個の反応基からなる、請求項1〜4のいずれか一項に記載の粒子。
【請求項6】
複数の第1の反応基及び複数の第2の反応基を含む粒子であって、
前記複数の第1の反応基のうちのそれぞれの反応基は、第1の所定の官能基と選択的に反応することができ、
前記複数の第2の反応基のうちのそれぞれの反応基は、第2の所定の官能基と選択的に反応することができ、
前記複数の第1の反応基及び/又は複数の第2の反応基のうちのそれぞれの反応基は、その反応基に連結した薬剤の、細胞の表面にある分子に結合する能力が低減するよう前記粒子上で配向され、
前記粒子の最大寸法は、約50nm〜約5μmである、粒子。
【請求項7】
前記第1の所定の官能基は、前記第2の所定の官能基と異なる、請求項6に記載の粒子。
【請求項8】
前記第1の所定の官能基は、前記第2の所定の官能基と同じであり、
前記第1の反応基と前記第2の反応基の少なくとも一方は、保護基によって保護されている、請求項6に記載の粒子。
【請求項9】
対象の脈管構造中を循環する形状及び大きさにされる、請求項1〜8のいずれか一項に記載の粒子。
【請求項10】
1μmより大きい、請求項1〜9のいずれか一項に記載の粒子。
【請求項11】
前記粒子の最大寸法は、約200nm〜約4μm、約300nm〜約3μm、又は約1μm以下であり、及び/又は
前記粒子の最小寸法は、少なくとも300nmである、請求項1〜10のいずれか一項に記載の粒子。
【請求項12】
複数のコーティング分子をさらに含む、請求項1〜11のいずれか一項に記載の粒子。
【請求項13】
前記粒子は、内部表面及び外部表面を含み、
前記反応基は、前記内部表面及び前記外部表面上に位置し、
前記複数のコーティング分子は、前記外部表面に結合しており、
前記コーティング分子は、薬剤の、前記外部表面に位置する前記反応基への結合を阻害する、請求項12に記載の粒子。
【請求項14】
前記複数のコーティング分子はポリマーを含む、請求項12又は13に記載の粒子。
【請求項15】
前記複数のコーティング分子は生分解性である、請求項12から14のいずれか一項に記載の粒子。
【請求項16】
樹状である、請求項1〜15のいずれか一項に記載の粒子。
【請求項17】
前記粒子は、多孔質であり、
前記粒子は、外側表面及び内側表面を含み、
前記内側表面は、前記粒子の孔の内側の壁からなる、請求項1〜16のいずれか一項に記載の粒子。
【請求項18】
前記反応基は、前記粒子の前記内側表面に位置する、請求項17に記載の粒子。
【請求項19】
複数の孔は、少なくとも50nmの断面寸法を有する、請求項17又は18に記載の粒子。
【請求項20】
約40%〜約95%の多孔度を有する、請求項17から19のいずれか一項に記載の粒子。
【請求項21】
金属、金、アルミナ、ガラス、シリカ、ケイ素、デンプン、アガロース、ラテックス、プラスチック、ポリアクリルアミド、メタクリレート、ポリマー又は核酸を含む、請求項1〜20のいずれか一項に記載の粒子。
【請求項22】
多孔質ケイ素を含む、請求項21に記載の粒子。
【請求項23】
DNA足場を含む、請求項21に記載の粒子。
【請求項24】
実質的に立方体、角錐、円錐、球形、四面体、六面体、八面体、十二面体又は二十面体である、請求項1〜23のいずれか一項に記載の粒子。
【請求項25】
外側へ向かう1つ以上の突起物を含む、請求項1〜24のいずれか一項に記載の粒子。
【請求項26】
外側へ向かう2つ以上の突起物を含む、請求項25に記載の粒子。
【請求項27】
1つ以上の頂点、及び
その頂点の少なくとも1つから外側を指している、外側へ向かう1つ以上の突起物を含む、請求項1〜26のいずれか一項に記載の粒子。
【請求項28】
1つ以上の突起物は、(i)前記粒子の表面に固定された薬剤の、細胞表面受容体タンパク質との結合、若しくは前記薬剤による細胞表面受容体タンパク質の活性化、を阻害する及び/又は(ii)標的が前記薬剤に結合したとき、前記標的と、前記標的が第1のメンバーである特異的結合ペアの第2のメンバーとの相互作用を阻害する大きさにされ、配向される、請求項25から27のいずれか一項に記載の粒子。
【請求項29】
前記粒子の表面から延びる2つの交差する隆線部を含み、前記隆線部は、(i)前記粒子の表面に固定された薬剤の、細胞表面受容体タンパク質との結合、若しくは前記薬剤による細胞表面受容体タンパク質の活性化、を阻害する及び/又は(ii)標的が前記薬剤に結合したとき、前記標的と、前記標的が第1のメンバーである特異的結合ペアの第2のメンバーとの相互作用を阻害する大きさにされ、配向される、請求項1〜28のいずれか一項に記載の粒子。
【請求項30】
管を含む、請求項1〜29のいずれか一項に記載の粒子。
【請求項31】
前記反応基は、前記管の内側表面に固定されている、請求項30に記載の粒子。
【請求項32】
前記管は、少なくとも1つの開口端を含む、請求項30又は31に記載の粒子。
【請求項33】
前記管は、円柱状の管、三角形の管、四角形の管、五角形の管、六角形の管、七角形の管、八角形の管又は不規則な形状の管である、請求項30から32のいずれか一項に記載の粒子。
【請求項34】
2つ以上の管を含む、請求項30から33のいずれか一項に記載の粒子。
【請求項35】
複数の管で画定された格子を含む、請求項34に記載の粒子。
【請求項36】
前記管は、タンパク質、核酸又はポリマーを含む、請求項30から35のいずれか一項に記載の粒子。
【請求項37】
前記粒子は、コアサブ粒子及び複数の保護サブ粒子を含み、
前記反応基は、前記コアサブ粒子上に位置する、
請求項1から24のいずれか一項に記載の粒子。
【請求項38】
前記コアサブ粒子は、約100nm〜約2μmのサイズである、請求項37に記載の粒子。
【請求項39】
前記保護サブ粒子は、約10nm〜約1μmのサイズである、請求項37又は請求項38に記載の粒子。
【請求項40】
4〜106個の保護サブ粒子を含む、請求項37から39のいずれか一項に記載の粒子。
【請求項41】
2つ以上のコアサブ粒子を含む、請求項37から40のいずれか一項に記載の粒子。
【請求項42】
2次元の形状を有する、請求項1から15のいずれか一項に記載の粒子。
【請求項43】
前記形状は、円形、環系、十字形、フィッシュボーン形、楕円形、三角形、四角形、五角形、六角形、七角形、八角形又は星形である、請求項42に記載の粒子。
【請求項44】
前記反応基は、前記粒子の反応基に連結した薬剤の、細胞の表面にある分子に結合する能力が低減するよう前記粒子上で配向される、請求項1〜43のいずれか一項に記載の粒子。
【請求項45】
前記反応基は、前記粒子の反応基に連結した薬剤の、細胞の表面にある標的に結合する能力が低減するよう前記粒子上で配向される、請求項44に記載の粒子。
【請求項46】
前記反応基は、前記粒子の反応基に連結した薬剤が、細胞の表面にある分子に結合するのを立体的に阻害されるよう前記粒子上で配向される、請求項1〜45のいずれか一項に記載の粒子。
【請求項47】
前記反応基は、前記粒子の反応基に連結した薬剤が、細胞の表面にある標的に結合するのを立体的に阻害されるよう前記粒子上で配向される、請求項46に記載の粒子。
【請求項48】
前記表面は、前記粒子の反応基に連結した薬剤の、細胞の表面にある分子に結合する能力が低減するよう配向される、請求項1〜47のいずれか一項に記載の粒子。
【請求項49】
空隙を含む、請求項1〜48のいずれか一項に記載の粒子。
【請求項50】
前記粒子の等電点は、約5〜約9である、請求項1〜49のいずれか一項に記載の粒子。
【請求項51】
前記反応基は、前記粒子の反応基に連結した薬剤の、細胞の表面にある細胞表面受容体タンパク質との結合、若しくは前記薬剤による細胞表面受容体タンパク質の活性化、を立体的に阻害するよう前記粒子上で配向される、請求項1〜50のいずれか一項に記載の粒子。
【請求項52】
前記複数の反応基のうちのそれぞれの反応基は、反応基に連結した薬剤が、標的生体分子に対する、溶液中に遊離する薬剤の結合親和性より、同じ標的生体分子の膜会合形態に対するより低い結合親和性を有するように構成される、請求項1〜51のいずれか一項に記載の粒子。
【請求項53】
前記粒子の反応基に連結した薬剤と、標的生体分子の膜会合形態との会合定数(ka、粒子)は、前記薬剤と、前記薬剤が溶液中で遊離しているときの標的生体分子の膜会合形態との会合定数の0.1倍未満である(ka、遊離;ka、粒子÷ka、遊離≦0.1)、請求項52に記載の粒子。
【請求項54】
前記粒子の反応基に連結した薬剤と、標的生体分子の膜会合形態との平衡定数(kD、粒子)は、前記薬剤と、前記薬剤が溶液中で遊離しているときの標的生体分子の膜会合形態との平衡定数の5倍を超える(kD、遊離;kD、粒子÷kD、遊離≦0.1)、請求項52又は53に記載の粒子。
【請求項55】
前記複数の反応基のうちのそれぞれの反応基は、反応基に連結した薬剤が、標的生体分子に対する、溶液中に遊離する薬剤の結合親和性に対して、同じ標的生体分子の可溶性形態に対するほぼ同じ結合親和性を有するように構成される、請求項1〜54のいずれか一項に記載の粒子。
【請求項56】
前記粒子の反応基に連結した薬剤と、標的生体分子の可溶性形態との会合定数(ka、粒子)は、前記薬剤と、前記薬剤が溶液中で遊離しているときの標的生体分子の可溶性形態との会合定数の0.1〜10倍である(ka、遊離;0.1≦ka、粒子÷ka、遊離≦10)、請求項55に記載の粒子。
【請求項57】
前記粒子の反応基に連結した薬剤と、標的生体分子の可溶性形態との平衡定数(kD、粒子)は、前記薬剤と、前記薬剤が溶液中で遊離しているときの標的生体分子の可溶性形態との会合定数の0.1〜10倍である(kD、遊離;0.1≦kD、粒子÷kD、遊離≦10)、請求項55又は56に記載の粒子。
【請求項58】
捕捉粒子を作製するためのキットであって、請求項1〜57のいずれか一項に記載の複数の粒子、及び前記反応基を複数の薬剤にカップリングさせて前記捕捉粒子を調製するための説明書を含む、キット。
【請求項59】
捕捉粒子を作製するためのキットであって、請求項1から57のいずれか一項に記載の複数の粒子、及び前記反応基を官能化して前記捕捉粒子を調製するための説明書を含む、キット。
【請求項60】
複数のリンカーをさらに含み、
前記複数のリンカーのうちのそれぞれのリンカーは、第1の官能基と反応することができる所定の部分を有する薬剤と選択的に反応することができる前記第1の官能基を含み、
前記複数のリンカーのうちのそれぞれのリンカーは、前記粒子の前記反応基と選択的に反応することができる第2の官能基を含む、請求項59に記載のキット。
【請求項61】
前記第1の官能基及び/又は前記第2の官能基は、アルケン、ハロゲン化アルキル、アルキン、アミン、アリールアジド、ハロゲン化アリール、アジド、カルボジイミド、カルボキシル、ジエン、ジエノフィル、グリオキサール、ハロアシル、イミドエステル、イソシアニド、マレイミド、N-ヒドロキシルスクシンイミジル(NHS)エステル、ホスフィン、テトラジン又はチオールである、請求項60に記載のキット。
【請求項62】
前記第1の官能基及び/又は前記第2の官能基は、核酸である、請求項60又は61に記載のキット。
【請求項63】
前記第1の官能基及び/又は前記第2の官能基は、ビオチン又はビオチン結合タンパク質である、請求項60又は61に記載のキット。
【請求項64】
複数の薬剤をさらに含み、それぞれの薬剤は所定の部分を有する、請求項58から61のいずれか一項に記載のキット。
【請求項65】
前記所定の部分は、第一級アミン、グアニジニウム、チオール又はカルボキシル基である、請求項64に記載のキット。
【請求項66】
前記複数の薬剤のうちのそれぞれの薬剤は、ペプチド又はタンパク質を含む、請求項64又は65に記載のキット。
【請求項67】
前記複数の薬剤のうちのそれぞれの薬剤は、抗体又は抗体断片を含む、請求項66に記載のキット。
【請求項68】
前記複数の薬剤のうちのそれぞれの薬剤は、細胞外受容体のリガンド結合ドメインを含む、請求項66に記載のキット。
【請求項69】
前記細胞外受容体は、細胞表面受容体又は可溶性受容体である、請求項68に記載のキット。
【請求項70】
前記複数の薬剤のうちのそれぞれの薬剤は、細胞外受容体のリガンドを含む、請求項64から69のいずれか一項に記載のキット。
【請求項71】
前記リガンドは、天然に存在するリガンド又は合成リガンドである、請求項70に記載のキット。
【請求項72】
前記リガンドは、前記受容体の天然のリガンド又は非天然のリガンドである、請求項70又は71に記載のキット。
【請求項73】
前記リガンドは、TNFαポリペプチド又はその変異体である、請求項70から72のいずれか一項に記載のキット。
【請求項74】
前記リガンドは、IL-2ポリペプチド又はその変異体である、請求項70から72のいずれか一項に記載のキット。
【請求項75】
捕捉粒子を作製するための方法であって、粒子を複数の薬剤と反応させることを含み、
前記粒子は、複数の反応基を含み、
前記複数の薬剤のうちのそれぞれの薬剤は、前記複数の反応基のうちの1つの反応基と選択的に反応することができる官能基を含み、
それぞれの反応基は、前記薬剤が前記粒子にカップリングされた後に、前記薬剤の、細胞の表面にある分子に結合する能力が低減するよう前記粒子上で配向される、方法。
【請求項76】
それぞれの反応基は、アルケン、ハロゲン化アルキル、アルキン、アミン、アリールアジド、ハロゲン化アリール、アジド、カルボジイミド、カルボキシル、ジエン、ジエノフィル、グリオキサール、ハロアシル、イミドエステル、イソシアニド、マレイミド、N-ヒドロキシルスクシンイミジル(NHS)エステル、ホスフィン、テトラジン又はチオールを含む、請求項75に記載の方法。
【請求項77】
それぞれの官能基は、アルケン、ハロゲン化アルキル、アルキン、アミン、アリールアジド、ハロゲン化アリール、アジド、カルボジイミド、カルボキシル、ジエン、ジエノフィル、グリオキサール、ハロアシル、イミドエステル、イソシアニド、マレイミド、N-ヒドロキシルスクシンイミジル(NHS)エステル、ホスフィン、テトラジン又はチオールを含む、請求項75又は76に記載の方法。
【請求項78】
それぞれの反応基は核酸を含み、それぞれの官能基は核酸を含み、2つの核酸は互いに逆相補鎖であるヌクレオチド配列を含む、請求項75に記載の方法。
【請求項79】
それぞれの反応基はビオチンを含み、それぞれの官能基はビオチン結合タンパク質を含む、又は
それぞれの反応基はビオチン結合タンパク質を含み、それぞれの官能基はビオチンを含む、請求項75に記載の方法。
【請求項80】
前記粒子は、DNA足場を含む、請求項75から79のいずれか一項に記載の方法。
【請求項81】
前記粒子は、ケイ素を含む、請求項75から79のいずれか一項に記載の方法。
【請求項82】
前記ケイ素は、多孔質ケイ素である、請求項81に記載の方法。
【請求項83】
前記粒子は、アルミナ、金、金属、ガラス、ケイ素、ラテックス、プラスチック、アガロース、ポリアクリルアミド、メタクリレート又はポリマーを含む、請求項75から79のいずれか一項に記載の方法。
【請求項84】
前記粒子の最長寸法は、約200nm〜約4μmである、請求項75から83のいずれか一項に記載の方法。
【請求項85】
前記粒子の最長寸法は、約300nm〜約3μmである、請求項84に記載の方法。
【請求項86】
前記粒子の最小寸法は、少なくとも約300nmである、請求項75から85のいずれか一項に記載の方法。
【請求項87】
前記複数の反応基は、約10〜約109個の反応基からなる、請求項75から86のいずれか一項に記載の方法。
【請求項88】
前記複数の反応基は、約103〜約107個の反応基からなる、請求項87に記載の方法。
【請求項89】
前記複数の反応基は、約104〜約106個の反応基からなる、請求項88に記載の方法。
【請求項90】
前記粒子は、内部表面及び外部表面を含み、
前記反応基は、前記内部表面に位置する、
請求項1〜57のいずれか一項に記載の粒子。
【請求項91】
前記粒子は、内部表面及び外部表面を含み、
前記粒子は、複数の第1の反応基及び複数の第2の反応基を含み、
前記複数の第1の反応基のうちの反応基は、前記内部表面に位置し、
前記複数の第2の反応基のうちの反応基は、前記外部表面に位置する、
請求項1〜57のいずれか一項に記載の粒子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権の主張
本出願は、2015年7月29日に出願された米国仮特許出願第62/198,531号、2015年7月29日に出願された米国仮特許出願第62/198,519号、2015年7月29日に出願された米国仮特許出願第62/198,541号、2015年10月2日に出願された米国仮特許出願第62/236,507号、及び2016年4月6日に出願された米国仮特許出願第62/319,092号に対する優先権を主張するものであり、それらのそれぞれがその全体において参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
臨床的に利用可能であるか、又は開発中の多数の抗がん療法は、がんを認識するか、若しくは破壊するかのいずれか、又はその両方の免疫系の能力を刺激することを含む。最も著名な3つは、抗チェックポイント阻害剤(anti-checkpoint inhibitor)である、Bristol-Myers Squibbのヤーボイ(登録商標)(Yervoy; イピリムマブ)、Merckのキイトルーダ(登録商標)(Keytruda; ペンブロリズマブ、かつてはランブロリズマブ)である。しかしながら、これらのアプローチ及びその他のアプローチは、対象の免疫系の正味のアップレギュレーションを伴い、自己免疫障害と類似した深刻な症状及び/又はその他の重大な副作用を誘発するおそれがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
当該技術分野には、自己免疫を回避するための対象の能力を乱すことなく、がん、特に転移性がんに対処するためのさらに効果的な薬理学的アプローチが必要とされている。特に、本開示は、免疫細胞を刺激するというよりも、腫瘍微小環境の脱抑制、すなわち、腫瘍の防御システムを弱めることを含む、がんに対する対象自身の免疫系を利用するための代替的なアプローチに基づく方法及び組成物を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本開示は、特に、生体分子、とりわけ可溶性分子と結合し、その生物学的活性を阻害する組成物及びその医薬組成物を提供する。本組成物が有用な多くの適用も本明細書において提供される。例えば、本明細書に記載されている組成物は、がん細胞などの細胞の増殖、成長及び/又は生存を阻害するのに有用である。さらに、本明細書に記載されている組成物は、老化、代謝障害及び神経変性疾患を予防及び/又は治療するのに有用である。別の例において、本明細書に記載されている組成物は、対象の血液循環中の毒素(例えば、動物毒素、細菌毒素及び/又は植物毒素)、ウイルス又はその他の外来性化合物と結合し、それを中和するのに有用でありうる。
【図面の簡単な説明】
【0005】
図1】可溶型のTNF受容体(sTNF-R)と結合する粒子の例示的な実施形態を示す図である。粒子は、およそ1立方ミクロンである。粒子の内側表面は固定されたTNF剤を含み、それはsTNF-R標的と結合でき、sTNF-R標的をその天然のリガンドから隔離すること(捕捉すること)ができ、それによってsTNF-R標的と他のタンパク質及び細胞との間の相互作用を阻害することができる。粒子の内側表面は、空隙を含む境界を画定する。
図2】可溶型のTNF受容体(sTNF-R)標的と結合するTNF剤を含む粒子の例示的な実施形態を示す図である。図2に示される3つの粒子は、0、3又は10個のsTNF-R標的と結合していることを示す。環状粒子はおよそ175nmの直径を有するが、TNF剤とsTNF-R標的は縮尺通りに示されていない。粒子の内側表面は固定されたTNF剤を含有し、それはsTNF-R標的と結合でき、sTNF-R標的をその天然のリガンドから隔離すること(捕捉すること)ができ、それによってsTNF-R標的と他のタンパク質及び細胞との間の相互作用を阻害することができる。環状粒子の内部は空隙を含む。
図3】突起物を含む粒子の例示的な実施形態を示す図である。図面の左側の粒子は、最大寸法が100〜150nmのコアを有する八面体である。図面の右側の粒子は、最大寸法が200〜300nmのコアを有する二十面体である。それぞれの粒子は、コア多面体構造の頂点から外側に向かう分子突起物をさらに含む。粒子は濃い灰色で示される薬剤を含むものとして示され、いくつかの粒子は薄い灰色で示される標的(例えば、生体分子)と結合したものとして示され、0又は3個の「捕捉」として特定される。その突起物は「細胞よけ(cell repeller)」として働き、それが粒子の薬剤と結合した標的と細胞表面との間の相互作用を阻害する。図3における粒子、突起物、薬剤及び結合した標的の描写は、必ずしも縮尺通りに示されていない。
図4】2つのパネル、すなわち(A)及び(B)と標識したパネルからなる図である。パネル(A)はコアサブ粒子及び保護サブ粒子を含む粒子内のサブ粒子のパッキングを示し、各サブ粒子は実質的に球形であり、ほとんど同じサイズである。それにもかかわらず、粒子は異なる形状及び/又はサイズのサブ粒子を含んでもよい。さらに、サブ粒子は六方晶系パターンのパッキングとして示されているが、サブ粒子はランダムに又は他の幾何学的構造でパッキングしてもよい。パネル(B)は、(i)コアサブ粒子の表面に固定された「捕捉リガンド」(すなわち、薬剤)、(ii)薬剤に特異的に結合した標的(例えば、生体分子)、及び(iii)粒子の流体が充填された空隙内の標的を示す。パネル(B)は保護サブ粒子を示さない。図4におけるサブ粒子、捕捉リガンド、標的及び空隙の相対的サイズは、必ずしも縮尺通りに示されていない。
図5】4つのパネル、すなわち(A)、(B)、(C)及び(D)と標識したパネルからなる図である。各パネルは1つの粒子の複数のサブ粒子を示し、そこでコアサブ粒子は灰色で示され、保護サブ粒子は白色で示されている。各粒子は55個のコアサブ粒子を含む。パネル(A)及び(B)は、パネル(C)及び(D)で示されている図と直交する、粒子の図を示す。パネル(A)及び(C)は複数のコアサブ粒子のみを示し、パネル(B)及び(D)は複数のコア粒子と多くの保護サブ粒子を示す。コアサブ粒子及び保護サブ粒子を含む完全な粒子は、好ましくは少なくとも1層の保護サブ粒子によって被覆されており、いずれのパネルにおいてもその全体として示されていない。図5では、各コアサブ粒子と保護サブ粒子は実質的に球形であり、ほとんど同じサイズであるが、1つの粒子内の複数のサブ粒子は形状及び/又はサイズを変化させてもよい。さらに、図5のサブ粒子は六方晶系パターンのパッキングとして示されているが、1つの粒子を構成する複数のサブ粒子は他の幾何学的構造でパッキングしてもよく又はランダムにパッキングしてもよい。図5におけるサブ粒子、捕捉リガンド、標的及び空隙の相対的サイズは、必ずしも縮尺通りに示されていない。
図6】6つのパネル、すなわち(A)、(B)、(C)、(D)、(E)及び(F)と標識したパネルからなる図である。各パネルは実質的に2次元の粒子の図を示す。各パネルでは、円は粒子の表面に固定されている薬剤を示す。実質的に2次元の粒子は、例えば、十字又は星形のアームの間に「空隙」を含んでもよい。パネル(A)は十字形を含む粒子の「上面図」を示し、パネル(B)は同じ十字形粒子の直交する「側面図」を示す。パネル(A)の「十字形」は「実質的に2次元の形状」であり、直交する「側面図」は三次元であり、2次元の形状を含有しない。「側面図」は、実質的に2次元の粒子が異なる表面、すなわち、薬剤が固定されている「内部表面」(黒色)、及び実質的に薬剤を含まない「外部表面」(すなわち「外側表面」)(灰色)を含む場合があることを示す。異なる表面は異なる材料を含んでもよく、例えば、粒子は層状であってもよく、又は異なる表面は、例えば、一方の表面が薬剤又はコーティング分子と架橋する一方で他方の表面をマスキングすることによって調製されてもよい。粒子のサイズ並びに薬剤及び標的の性質に応じて、十字形は結合した表面(例えば、生体分子)と他のタンパク質又は細胞との相互作用を異なる程度まで阻害することになる。粒子の幾何学的構造は、例えば、そのような相互作用をさらに阻害するように調整されてもよい。パネル(C)は6芒星の幾何学的構造を含む粒子を示し、それは結合した標的と他のタンパク質又は細胞との間の相互作用をパネル(A)の十字形粒子より大きな程度まで阻害しうる。パネル(D)は3芒星を示し、それは結合した標的と他のタンパク質又は細胞との間の相互作用を最小限にのみ阻害しうる。それにもかかわらず、3芒星の幾何学的構造を含む粒子は、結合した標的と他のタンパク質又は細胞との間の相互作用をより大きな程度まで阻害するよう改変されうる。例えば、パネル(E)は3芒星の幾何学的構造を含む粒子を示し、そこで実質的に薬剤を含まない材料が粒子を囲み、パネル(F)は実質的に薬剤を含まない外側表面を有する3芒星の幾何学的構造を含む(すなわち4つの3芒星を含む)粒子を示す。
図7】反応基を含む粒子及び官能基を含む薬剤を示す図である。よって、粒子及び薬剤を組み合わせることによって、反応基と官能基との間の共有又は非共有結合を、各基の性質に応じて形成することができる。
図8】反応基を含む粒子、官能基を含むリンカー、及び薬剤を含む粒子を示す図である。よって、粒子及びリンカーを組み合わせることによって、反応基と官能基との間の共有又は非共有結合を、各基の性質に応じて形成することができる。その後、粒子/リンカー複合体を薬剤と組み合わせて、リンカーと薬剤との間の共有又は非共有結合を形成し、それによって粒子を薬剤に結合することができる。
【発明を実施するための形態】
【0006】
本開示は、可溶性生体分子をその天然の環境から隔離するための組成物及び方法を特徴とし、例えば、それにより可溶性生体分子の生物学的活性を阻害する。例えば、本開示は、可溶性生体分子と選択的に結合する(例えば、粒子の表面に固定された)薬剤を含む表面を有する粒子又は複数の粒子を提供する。薬剤が可溶性生体分子に結合すると、その可溶性生体分子は、可溶性生体分子の他の天然の結合パートナーと相互作用する能力が低下する(例えば、実質的に能力が低下する又は能力がなくなる)ように粒子によって隔離される。それにより、可溶性生体分子は不活性になる。
【0007】
本開示の各種態様は、薬剤を粒子に連結させるよう構成された反応基を含む粒子に関する。よって、粒子は薬剤を含まない場合もあるが、それにもかかわらず、粒子は薬剤にカップリングすることができる場合がある。さまざまな薬剤は、捕捉される生体分子の性質に基づき粒子に結合されてもよい。
【0008】
一部の態様において、本開示は、粒子及びリンカーを含むキットに関する。例えば、リンカーは薬剤と反応するよう選択され、粒子に対する特異的部分を含んでもよい。よって、単一の「ユニバーサルスカベンジャー」粒子は、多くの異なるタイプの薬剤を粒子に連結させるための多くの異なるリンカーを有するキットにおいて提供されてもよい(例えば、異なるリンカーは同じ粒子の異なる部位に連結させることができる)。
【0009】
粒子の反応基は、好ましくは、粒子に連結した薬剤が標的生体分子の膜結合又は表面結合形態に対するよりもその生体分子の可溶性形態に対して高い選択性を有するよう構成される。例えば、粒子と会合していない薬剤は、可溶性且つ膜会合形態の生体分子と同様の結合親和性で(例えば、同様の会合定数ka及び/又は同様の平衡定数KDで)結合する場合がある。粒子の反応基に直接的に又は粒子の反応基に間接的に(例えば、リンカーを介して)連結した薬剤は、標的生体分子の膜会合形態と比較して同じ生体分子の可溶性形態に対して高い結合親和性(例えば、高いka及び/又は低いKD)を呈し得る。
【0010】
好適な実施形態において、複数の反応基のうちのそれぞれの反応基は、反応基に連結した薬剤(直接的に又は間接的に、例えば、リンカーを介して)が、薬剤が粒子の反応基に連結していない(例えば、代わりに薬剤が溶液中に遊離しているか又は曝露した表面に連結している)場合より、標的生体分子の膜会合形態に対するより低い結合親和性を有するように、粒子上に構成される。例えば、反応基は、反応基に連結した薬剤(直接的に又は間接的に、例えば、リンカーを介して)が、薬剤が粒子の反応基に連結していない場合より、標的生体分子の膜会合形態に対するより低い会合定数kaを有するように、粒子上に構成されてもよい。粒子に連結している薬剤のka(ka、粒子)は、標的生体分子の膜結合形態として溶液中で遊離した又は曝露した表面に連結した薬剤のka(ka、遊離)より、0.9、0.8、0.7、0.6、0.5、0.4、0.3、0.2、0.1、0.05、0.01、0.005又は0.001(例えば、薬剤及び膜結合標的に対してka、粒子÷ka、遊離≦0.9、0.8、0.7、0.6、0.5、0.4、0.3、0.2、0.1、0.05、0.01、0.005又は0.001)のオーダーで小さい。同様に、反応基は、反応基に連結した薬剤(直接的に又は間接的に、例えば、リンカーを介して)が、薬剤が粒子の反応基に連結していない場合より、標的生体分子の膜会合形態に対するより高い平衡定数KDを有するように、粒子上に構成されてもよい。粒子に連結した薬剤のKD(KD、粒子)は、標的生体分子の膜結合形態として溶液中で遊離した又は曝露した表面に連結した薬剤のKD(KD、遊離)より、10%、20%、25%、50%、100%、200%、250%、500%、1000%、5000%、10,000%、50,000%又は100,000%(例えば、薬剤及び膜結合標的に対してKD、粒子÷KD、遊離≧1.1、1.2、1.25、1.5、2.0、2.5、3.5、5.0、10、5、100、500又は1000)のオーダーで大きい。
【0011】
好適な実施形態において、粒子は、薬剤が粒子の反応基に連結していることが、標的生体分子の可溶性形態に対する薬剤の結合親和性に本質的に影響を与えないよう構成される(例えば、薬剤が粒子の反応基に連結しておらず、代わりに薬剤が溶液中に遊離しているか又は曝露した表面に連結している場合に対して)。例えば、反応基は、反応基に連結した薬剤(直接的に又は間接的に、例えば、リンカーを介して)が、薬剤が粒子の反応基に連結していない場合より、標的生体分子の可溶性形態に対してほぼ同じ会合定数kaを有するように、粒子上に構成されてもよい。粒子に連結した薬剤のka(ka、粒子)は、標的生体分子の可溶性形態として溶液中で遊離した又は曝露した表面に連結した薬剤のka(ka、遊離)とほぼ同じであってよい(例えば、薬剤及び可溶性標的に対してka、粒子/ka、遊離は、0.1から10、例えば、0.2から5、0.5から2、0.8から1.2又は0.9から1.1であってよい)。同様に、反応基は、反応基に連結した薬剤(直接的に又は間接的に、例えば、リンカーを介して)が、薬剤が粒子の反応基に連結していない場合に対して、標的生体分子の可溶性形態に対してほぼ同じ平衡定数KDを有するように、粒子上に構成されてもよい。粒子に連結した薬剤のKD(KD、粒子)は、標的生体分子の可溶性形態として溶液中で遊離した又は曝露した表面に連結した薬剤のKD(KD、遊離)とほぼ同じであってよい(例えば、薬剤及び可溶性標的に対してKD、粒子/KD、遊離は、0.1から10、例えば、0.2から5、0.5から2、0.8から1.2又は0.9から1.1であってよい)。
【0012】
よって、複数の反応基を含む粒子は、標的の可溶性形態(例えば、細胞表面受容体の抗原及び/又は可溶性形態)に選択的に結合するが、標的の膜結合形態にはそれほど結合しない粒子を作製するために薬剤(例えば、細胞表面受容体の抗体、Fab、scFv又はリガンド)に連結されてもよい。このような粒子は、例えば、薬剤を標的の膜結合形態に曝露することなく流体中の可溶性標的の濃度を低減させるために、インビボ又はインビトロで利用されてもよい。
【0013】
I.生体分子(biomolecule)
可溶性生体分子は、一般に特異的結合ペアの第1のメンバーである。本明細書中で使用される場合、「結合パートナー」、「特異的結合パートナー」又は「特異的結合ペアのメンバー」は、一般に実質的な親和性及び特異性により互いに結合する結合メンバーのペアの任意のメンバーを含む。結合パートナーのペアは、サンプルのその他の構成成分の少なくとも大半又は少なくとも実質的にすべてを、実質的に排除して互いに結合することができ、及び/又はとりわけ約10-4、10-5、10-6、10-7又は10-8M未満の解離定数を有してもよい。結合パートナーのペアは、協調して特異性及び親和性を増加させるために複数の原子相互作用に依存する予め定義された様式で組み合わさる(fit together)ことができる。結合パートナーは、とりわけ生物系(例えば、受容体-リガンド相互作用)、化学的相互作用及び/又は分子インプリンティング技術に由来するものであってもよい。特異的な結合ペアとも称される、結合パートナーの例となる対応するペアを表1に提示する。表記「第1の」及び「第2の」は、任意であり、互換性がある。
【0014】
「生体分子」という用語は、本明細書中で使用される場合、生きた生物に作用し得るあらゆる分子を指す。一部の実施形態において、生体分子は、リチウム又は鉛などの原子である(例えば、生体分子は、金属カチオンであってもよい)。一部の実施形態において、生体分子は、原子又は金属イオンではない。例えば、生体分子は、有機化合物又は無機化合物などの分子であってもよい。一部の実施形態において、生体分子は、ワルファリン又はダビガトランなどの薬物でありうる。生体分子は、ジアセチルモルフィンなどの向精神薬であってもよい。生体分子は、毒、毒素又は毒液であってもよい。生体分子は、アレルゲンであってもよい。生体分子は、発がん物質であってもよい。生体分子は、神経ガスなどの化学兵器の薬剤であってもよい。生体分子は、ホルモン、サイトカイン、神経伝達物質、可溶性細胞外受容体、抗体又は可溶性基質タンパク質などの生物に内在する分子であってもよい。生体分子は、ペプチド、ポリペプチド、タンパク質、核酸、炭水化物又は糖である。生体分子は、ペプチド、ポリペプチド、タンパク質、核酸、炭水化物又は糖を含んでもよい。生体分子は、ミスフォールドタンパク質であってもよい。生体分子は、アミロイド又はアミロイドの可溶性前駆体であってもよい。「ポリペプチド」、「ペプチド」及び「タンパク質」は互換的に使用され、長さ又は翻訳後修飾にかかわらず、任意の、アミノ酸のペプチド結合鎖を意味する。生体分子は、脂質、ステロイド又はコレステロールであってもよい。生体分子は、脂質、ステロイド又はコレステロールを含んでもよい。生体分子は、循環無細胞核酸、例えば、循環無細胞RNAであってもよい。生体分子は、マイクロRNA(miRNA)であってもよい。
【0015】
生体分子は、細胞(例えば、哺乳類細胞)によって分泌される生体分子であってもよい。生体分子は、可溶性形態へと切断されやすい膜タンパク質の細胞外領域であってもよい。生体分子は、サイトゾル生体分子であってもよい。例えば、生体分子はアポトーシス後にインビボで放出されるサイトゾル生体分子であってもよく、又は粒子はサイトゾル生体分子が溶液中で遊離しているインビトロでの方法で使用されてもよい。
【0016】
ある特定の好適な実施形態において、生体分子は、可溶性生体分子である。ある特定の好適な実施形態において、標的は、可溶性生体分子である。それにもかかわらず、粒子は、水溶液中の溶質ではなく、及び/又は細胞表面で結合パートナーと相互作用しない生体分子を標的とする場合がある。例えば、粒子は、タンパク質凝集体、例えば、アミロイド又はプリオン凝集体と会合している生体分子と特異的に結合する場合がある。そのような粒子は、凝集体を解体することによって(例えば、凝集体状態から熱力学平衡をシフトすることによって)及び/又は凝集体を隔離することによって(例えば、さらなる凝集を阻害するために及び/又は結合した凝集体のクリアランスを可能にするために)治療利益をもたらすことができる。同様に、粒子は、結晶性カルシウム又はヒドロキシアパタイトに特異的に結合してもよい。同様に、粒子は、ウイルス又は細胞、例えば、細菌、原虫、真菌又は酵母細胞と関連する生体分子(例えば、生体分子は水溶液中の溶質ではないが、生体分子は膜、細胞壁又はカプシドに分離される)に特異的に結合してもよい。よって、粒子は病原性ウイルス又は細胞を隔離し、それによってウイルス又は細胞の病原性を減弱させる場合がある。粒子は、細胞外小胞、例えば、エクトソーム、エクソソーム、脱粒小胞(shedding vesicle)又はアポトーシス小体と関連する生体分子に特異的に結合してもよい。粒子は、例えば、低密度リポタンパク質粒子を隔離するために、低密度リポタンパク質に特異的に結合してもよい。
【0017】
生体分子は、細胞表面受容体のリガンドであってもよい。リガンドは、天然に存在するリガンドであってもよく、又は合成リガンドであってもよい。リガンドは、受容体の天然のリガンド(例えば、インビボで対象によって産生されるリガンド)であってもよく、又は非天然のリガンド(例えば、ウイルス若しくは薬物などの対象に導入されるリガンド)であってもよい。生体分子は、サイトゾル受容体(cytosolic receptor)又は核受容体に対するリガンドであってもよい。
【0018】
【表1】
【0019】
腫瘍細胞は、腫瘍微小環境において免疫細胞によって産生されたサイトカインと結合する可溶型のサイトカイン受容体を脱離することによって、宿主の免疫監視から自身を保護することが知られる。例えば、がん細胞は、可溶型のTNF受容体並びにIL-2受容体及びTRAIL受容体などの他のサイトカイン受容体を脱離する。これらの可溶性受容体は、当該細胞に対するTNFα、IL-2及びTRAILのアポトーシス促進効果を軽減することによって増殖優位性をがん細胞に与える。Karpatovaらは、ヒトがん細胞による67kDラミニン受容体の脱離を報告しており、これは、腫瘍浸潤及び転移を増大する可能性がある(J Cell Biochem 60(2):226〜234ページ(1996年))。それゆえに、本明細書に記載されている粒子を、例えば、がんの治療に使用するために、可溶型の細胞表面受容体タンパク質を捕捉するよう操作することができる。
【0020】
したがって、一部の実施形態において、細胞表面受容体タンパク質は、がん細胞によって発現されるものであるか、及び/又は細胞表面受容体タンパク質は、がん細胞によって可溶型の細胞表面受容体タンパク質として脱離されるタンパク質である。一部の実施形態において、細胞表面受容体タンパク質は、活性化されると、アポトーシスを誘導する(例えば、デスレセプター)。一部の実施形態において、細胞表面受容体タンパク質は、腫瘍壊死因子受容体(TNFR)タンパク質(例えば、TNFR-1又はTNFR-2)である。一部の実施形態において、細胞表面受容体タンパク質は、Fas受容体タンパク質である。一部の実施形態において、細胞表面受容体タンパク質は、TNF関連アポトーシス誘導リガンド受容体(TRAILR)タンパク質、4-1BB受容体タンパク質、CD30タンパク質、EDA受容体タンパク質、HVEMタンパク質、リンホトキシンベータ受容体タンパク質、DR3タンパク質又はTWEAK受容体タンパク質である。一部の実施形態において、細胞表面受容体タンパク質は、インターロイキン受容体タンパク質、例えば、IL-2受容体タンパク質である。そのような実施形態において、標的可溶性生体分子は、例えばがん細胞から脱離された、可溶型の細胞表面受容体であってもよいことは理解されよう。
【0021】
一部の実施形態において、生体分子は、可溶性Tim3(「T-細胞 Igムチン3」)である。可溶性Tim3(sTim3)は自己免疫疾患及びがんに関係することが示され、sTim3の上昇はHIV感染と関連する。CEACAM1とのヘテロ二量体会合におけるガレクチン9(「Gal9」)及び潜在的に他のリガンドとTim3との会合によってT細胞応答の阻害が導かれ、Tim3及びCEACAM1の共遮断によって抗腫瘍免疫応答が導かれる。したがって、生体分子は、sTim3又はsTim3に対する天然リガンド、例えば、Tim3L又はGal9であってよい。生体分子は、CEACAM1の可溶性アイソフォームであってよい。このように、粒子はsTim3を捕捉するように適合されうるが、Gal9と膜結合Tim3(mTim3)との間の相互作用を阻害しない。同様に、薬剤は、sTim3、sTim3に対して選択的な抗体(又はその抗原結合部分)、又はTim3に対するリガンドであってもよい。薬剤は、CEACAM1に対する天然リガンド(例えば、Gal9又はその変異体)又はCEACAM1若しくはその可溶性アイソフォームのいずれかに対して選択的な抗体であってもよい。前述の粒子のいずれかを、例えば、がんを治療する方法、HIV感染を治療する方法、及び移植片対宿主病などの自己免疫疾患を治療する方法において使用することができる。
【0022】
一部の実施形態において、生体分子は、Gal9(ガレクチン9)であってもよい。粒子は、Gal9に対して選択的な薬剤、例えばGal9に対する天然リガンド、例えばTim3若しくはその変異体、又はGal9に対して選択的な抗体を含んでもよい。このように、粒子はGal9を捕捉するように適合されうるが、膜結合Gal9(mGal9)と膜結合Tim3(mTim3)の相互作用を阻害しない。一部の実施形態において、生体分子は、CEACAM1の可溶性アイソフォーム(「sCEACAM1」)であってもよい。薬剤は、sCEACAM1に対する天然リガンド、例えば、Gal9若しくはその変異体、又はCEACAM1若しくはCEACAM1の可溶性アイソフォームのいずれかに対して選択的な抗体であってもよい。
【0023】
一部の実施形態において、生体分子は、可溶性CTLA4である。可溶性CTLA4(「sCTLA4」)はがんに関係することが示され、膜結合CTLA4(「mCTLA4」)に対してではなくsCTLA4に対して活性な抗体は、がんの動物モデルにおいて有効性である。一部の実施形態において、生体分子は、sCTLA4である。薬剤は、CTLA4に対する天然リガンド、例えば、可溶性B7-1若しくは可溶性B7-2若しくはその変異体、又はCTLA4に対して選択的な抗体、例えば、イピリムマブ若しくはチシリムマブであってもよい。このように、粒子はsCTLA4を捕捉するように適合されうるが、リガンドとmCTLA4との間の相互作用を阻害しない。よって、通常の免疫応答の一部として、相互作用に対してmCTLA4を自由な状態にしながら、sCTLA4を腫瘍微小環境(「TME」)及び/又はTMEの外側での循環から除去することができる。sCTLA4を標的とする粒子は、例えば、がんに関して治療する方法において使用することができる。
【0024】
可溶性PD-1(「sPD1」)は、関節リウマチなどの自己免疫疾患に関係している。過剰なsPD1は、自己免疫を導く、PD-1とそのリガンドであるPD-L1及びPD-L2との間のバランスを乱す場合がある。よって、生体分子は、sPD1であってもよい。薬剤は、sPD1に対する天然リガンド、例えばPD-L1、PD-L2若しくはその変異体、又はPD-1に対して選択的な抗体、例えば、PD1遮断薬、例えば、ニボルマブ、ピディリズマブ若しくはペンブロリズマブ(Keytruda(登録商標))であってもよい。よって、粒子はsPD1を捕捉するように適合されうるが、PD-L1又はPD-L2と膜結合PD1との相互作用を阻害しない。そのような粒子は、例えば、関節炎などの自己免疫疾患を治療する方法において使用することができる。
【0025】
LAG3は、そのリガンドによって結合された場合に、阻害をもたらすT細胞表面受容体である。LAG3の可溶性形態(「sLAG3」)は、例えば、I型糖尿病における及び他の自己免疫疾患における自己免疫と相関する。生体分子は、sLAG3であってもよい。薬剤は、sLAG3に対する天然リガンド若しくはその変異体、又はsLAG3に対して選択的な抗体であってもよい。よって、粒子はsLAG3を捕捉するように適合されうるが、リガンドと膜結合LAG3との間の相互作用を阻害しない。そのような粒子は、I型糖尿病などの自己免疫疾患を治療する方法において使用することができる。
【0026】
生体分子は、TNFαであってもよい。薬剤は、抗TNFα抗体、例えば、インフリキシマブ、アダリムマブ、セロリズマブ、アフェリモマブ、ネレリモマブ、オゾラリズマブ若しくはゴリムマブを含んでもよく、又は薬剤は、抗TNFα抗体の抗原結合部分を含んでもよい。薬剤は、エタネルセプトであってもよい。薬剤は、TNFαに対する可溶性受容体(sTNF-R又はその変異体)であってもよい。TNFαを標的とする粒子は、強直性脊椎症、クローン病、汗腺膿瘍、乾癬、尋常性感染、乾癬性関節炎、難治性喘息、若年性突発性関節炎、潰瘍性大腸炎及び関節リウマチなどのさまざまな自己免疫疾患を治療又は予防するために特に有用でありうる。TNFαを標的とする粒子は、他の疾患及び状態に加えて、アルツハイマー病、心血管疾患、II型糖尿病、筋ジストロフィー及び肥満を治療又は予防するためにも有用でありうる。
【0027】
生体分子は、β2ミクログロブリン(B2M)であってもよい。薬剤は、抗B2M抗体であってもよい。B2Mを標的とする粒子は、他の疾患及び状態に加えて、記憶喪失、認知機能低下、末梢動脈疾患、透析アミロイド症、慢性リンパ性白血病、多発性骨髄腫及びリンパ腫を治療又は予防するために有用でありうる。
【0028】
生体分子は、CCL2(ケモカイン(C-Cモチーフ)リガンド2)であってもよい。薬剤は、抗CCL2抗体であってもよい。CCL2を標的とする粒子は、他の疾患及び状態に加えて、アルツハイマー病、アテローム性動脈硬化症、虚血(例えば、虚血性脳卒中)、てんかん、多発性硬化症、乾癬、関節リウマチ、糸球体腎炎及び外傷性脳損傷を治療又は予防するために有用でありうる。
【0029】
生体分子は、CCL11(C-Cモチーフケモカイン11;エオタキシン1)であってもよい。薬剤は、抗CCL11抗体であってもよい。CCL11を標的とする粒子は、他の疾患及び状態に加えて、記憶喪失及び認知機能低下を治療又は予防するために有用でありうる。
【0030】
生体分子は、CCL19であってもよい。薬剤は、抗CCL19抗体であってもよい。どちらかのCCL19を標的とする粒子は、他の疾患及び状態に加えて、老化及び認知機能低下を治療又は予防するために有用でありうる。
【0031】
生体分子は、インターフェロンガンマ(INFγ)であってもよい。薬剤は、抗INFγ抗体、例えば、フォントリズマブ又は可溶性INFγ受容体(sINFγR)を含んでもよい。生体分子は、可溶性INFγ受容体であってもよい。薬剤は、INFγ又は抗sINFγR抗体を含んでもよい。インターフェロンガンマを標的とする粒子は、他の疾患及び状態に加えて、自己免疫疾患、例えば、クローン病、関節リウマチ及び乾癬を治療又は予防するために有用でありうる。
【0032】
生体分子は、クラスタリン(例えば、分泌性クラスタリン、アイソフォーム2)であってもよい。薬剤は、抗クラスタリン抗体又はその抗原結合部分を含んでもよい。クラスタリンを標的とする粒子は、他の疾患及び状態に加えて、がん(頭頚部がん、腎細胞がん、結腸直腸がん、子宮内膜がん、卵巣がん、乳がん、前立腺がん、膵がん、肺がん、肝細胞がん又はメラノーマ)、腎疾患(例えば、腎性シスチン症)、ファンコニー症候群、糸球体腎炎、アテローム性動脈硬化症及び心筋梗塞を治療又は予防するために有用でありうる。
【0033】
生体分子は、高移動度群ボックス1(HMGB1)であってもよい。薬剤は、抗HMGB1抗体又はその抗原結合部分を含んでもよい。生体分子は、熱ショックタンパク質(例えば、HSP60、HSP70、HSP90)であってもよい。薬剤は、抗HSP抗体又はその抗原結合部分を含んでもよい。生体分子は、ペルオキシレドキシン(例えば、ペルオキシレドキシン1又はペルオキシレドキシン2)であってもよい。薬剤は、抗ペルオキシレドキシン抗体又はその抗原結合部分を含んでもよい。
【0034】
薬剤は、スカベンジャー受容体の細胞外部分、例えば、クラスAスカベンジャー受容体(例えば、SCARA1(マクロファージスカベンジャー受容体1;MSR1;CD204)、SCARA2(マクロファージ受容体;MARCO)、SCARA3、SCARA4(COLEC12)、SCARA5)、クラスBスカベンジャー受容体(例えば、SCARB1、SCARB2、SCARB3(CD36))、CD68、ムチン、又はレクチン様酸化LDL受容体-1(LOX-1)であってもよい。
【0035】
生体分子は、インスリン様成長因子1(IGF-1)又はインスリン様成長因子結合タンパク質(例えば、IGFBP-1、IGFBP-2、IGFBP-3、IGFBP-4、IGFBP-5、IGFBP-6)であってもよい。薬剤は、インスリン様成長因子1(IGF-1)又はインスリン様成長因子結合タンパク質(例えば、IGFBP-1、IGFBP-2、IGFBP-3、IGFBP-4、IGFBP-5、IGFBP-6)であってもよい。薬剤は、インスリン様成長因子1(IGF-1)又はインスリン様成長因子結合タンパク質(例えば、IGFBP-1、IGFBP-2、IGFBP-3、IGFBP-4、IGFBP-5、IGFBP-6)に選択的に結合する抗体又はその抗原結合部分であってもよい。
【0036】
薬剤は、CD63、CD9又はCD81の細胞外エピトープに選択的に結合する抗体であってもよい。CD63、CD9及び/又はCD81を標的とする粒子は、細胞外小胞、例えば、エクトソーム、エクソソーム、脱粒小胞又はアポトーシス小体を捕捉するために特に有用でありうる。さまざまな細胞外小胞を捕捉する粒子は、がん(小胞の脱粒と相関する疾患進行を有するがん)を治療又は予防するために特に有用でありうる。
【0037】
生体分子は、CXCL1、CXCL2、CXCL3、CXCL4、CXCL4L1、CXCL5、CXCL6、CXCL7、CXCL8、CXCL9、CXCL10、CXCL11、CXCL12、CXCL13、CXCL14、CXCL16、CXCL17、CCL1、CCL2、CCL3、CCL3L1、CCL3L3、CCL4、CCL4L1、CCL4L2、CCL5、CCL7、CCL8、CCL11、CCL13、CCL14、CCL15、CCL16、CCL17、CCL18、CCL19、CCL20、CCL21、CCL22、CCL23、CCL24、CCL25、CCL26、CCL27、CCL28、XCL1、XCL2、又はCX3CL1であってもよい(例えば、Zlotnik, A.及びYoshie, O.、Immunity、36(5):705ページ(2012年)を参照のこと)。薬剤は、CXCL1、CXCL2、CXCL3、CXCL4、CXCL4L1、CXCL5、CXCL6、CXCL7、CXCL8、CXCL9、CXCL10、CXCL11、CXCL12、CXCL13、CXCL14、CXCL16、CXCL17、CCL1、CCL2、CCL3、CCL3L1、CCL3L3、CCL4、CCL4L1、CCL4L2、CCL5、CCL7、CCL8、CCL11、CCL13、CCL14、CCL15、CCL16、CCL17、CCL18、CCL19、CCL20、CCL21、CCL22、CCL23、CCL24、CCL25、CCL26、CCL27、CCL28、XCL1、XCL2、又はCX3CL1に特異的に結合する抗体(又はその抗原結合部分)を含んでもよい。
【0038】
生体分子は、インターロイキン1、インターロイキン1アルファ、インターロイキン1ベータ、インターロイキン2、インターロイキン3、インターロイキン4、インターロイキン5、インターロイキン6、インターロイキン7、インターロイキン8、インターロイキン9、インターロイキン10、インターロイキン11、インターロイキン12、インターロイキン13、インターロイキン14、インターロイキン15、インターロイキン16、インターロイキン17、インターロイキン18、インターロイキン19、インターロイキン20、インターロイキン21、インターロイキン22、インターロイキン23、インターロイキン24、インターロイキン25、インターロイキン26、インターロイキン27、インターロイキン28、インターロイキン29、インターロイキン30、インターロイキン31、インターロイキン32、インターロイキン33、インターロイキン35又はインターロイキン36であってもよい。薬剤は、インターロイキン1、インターロイキン1アルファ、インターロイキン1ベータ、インターロイキン2、インターロイキン3、インターロイキン4、インターロイキン5、インターロイキン6、インターロイキン7、インターロイキン8、インターロイキン9、インターロイキン10、インターロイキン11、インターロイキン12、インターロイキン13、インターロイキン14、インターロイキン15、インターロイキン16、インターロイキン17、インターロイキン18、インターロイキン19、インターロイキン20、インターロイキン21、インターロイキン22、インターロイキン23、インターロイキン24、インターロイキン25、インターロイキン26、インターロイキン27、インターロイキン28、インターロイキン29、インターロイキン30、インターロイキン31、インターロイキン32、インターロイキン33、インターロイキン35又はインターロイキン36に特異的に結合する抗体(又はその抗原結合部分)を含んでもよい。薬剤は、可溶性インターロイキン-2受容体、可溶性インターロイキン-3受容体、可溶性インターロイキン-4受容体、可溶性インターロイキン-5受容体、可溶性インターロイキン-6受容体、可溶性インターロイキン-7受容体、可溶性インターロイキン-9受容体、可溶性インターロイキン-10受容体、可溶性インターロイキン-11受容体、可溶性インターロイキン-12受容体、可溶性インターロイキン-13受容体、可溶性インターロイキン-15受容体、可溶性インターロイキン-20受容体、可溶性インターロイキン-21受容体、可溶性インターロイキン-22受容体、可溶性インターロイキン-23受容体、可溶性インターロイキン-27受容体又は可溶性インターロイキン-28受容体を含んでもよい。薬剤は、インターロイキン33に結合する可溶性ST2であってもよい。
【0039】
生体分子は、可溶性インターロイキン-2受容体、可溶性インターロイキン-3受容体、可溶性インターロイキン-4受容体、可溶性インターロイキン-5受容体、可溶性インターロイキン-6受容体、可溶性インターロイキン-7受容体、可溶性インターロイキン-9受容体、可溶性インターロイキン-10受容体、可溶性インターロイキン-11受容体、可溶性インターロイキン-12受容体、可溶性インターロイキン-13受容体、可溶性インターロイキン-15受容体、可溶性インターロイキン-20受容体、可溶性インターロイキン-21受容体、可溶性インターロイキン-22受容体、可溶性インターロイキン-23受容体、可溶性インターロイキン-27受容体又は可溶性インターロイキン-28受容体であってもよい。薬剤は、可溶性インターロイキン-2受容体、可溶性インターロイキン-3受容体、可溶性インターロイキン-4受容体、可溶性インターロイキン-5受容体、可溶性インターロイキン-6受容体、可溶性インターロイキン-7受容体、可溶性インターロイキン-9受容体、可溶性インターロイキン-10受容体、可溶性インターロイキン-11受容体、可溶性インターロイキン-12受容体、可溶性インターロイキン-13受容体、可溶性インターロイキン-15受容体、可溶性インターロイキン-20受容体、可溶性インターロイキン-21受容体、可溶性インターロイキン-22受容体、可溶性インターロイキン-23受容体、可溶性インターロイキン-27受容体又は可溶性インターロイキン-28受容体に特異的に結合する抗体(又はその抗原結合部分)を含んでもよい。薬剤は、インターロイキン2、インターロイキン3、インターロイキン4、インターロイキン5、インターロイキン6、インターロイキン7、インターロイキン9、インターロイキン10、インターロイキン11、インターロイキン12、インターロイキン13、インターロイキン15、インターロイキン20、インターロイキン21、インターロイキン22、インターロイキン23、インターロイキン27又はインターロイキン28であってもよい。
【0040】
生体分子は、エピネフリン、ノルエピネフリン、メラトニン、セロトニン、トリヨードサイロニン又はサイロキシンであってもよい。生体分子は、プロスタグランジン(例えば、プロスタサイクリンI2(PGI2)、プロスタグランジンE2(PGE2)、プロスタグランジンF2α(PGF2α))、ロイコトリエン、プロスタサイクリン又はトロンボキサンであってもよい。生体分子は、テストステロン、デヒドロエピアンドロステロン(DHEA)、アンドロステンジオン、ジヒドロテストステロン(DHT)、アルドステロン、エストロン、エストラジオール、エストリオール、プロゲステロン、コルチゾール、カルシトリオール又はカルシジオールであってもよい。
【0041】
生体分子は、アミリン、アディポネクチン、副腎皮質刺激ホルモン、アンギオテンシノーゲン、アンギオテンシンI、アンギオテンシンII、抗利尿ホルモン(バソプレッシン)、アペリン、心房性ナトリウム利尿ペプチド、脳性ナトリウム利尿ペプチド、カルシトニン、ケメリン、コレシストキニン、副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモン、コルチスタチン、エンケファリン、エンドセリン、エリスロポエチン、卵胞刺激ホルモン、ガラニン、消化管抑制ポリペプチド、ガストリン、グレリン、グルカゴン、グルカゴン様ペプチド-1、性腺刺激ホルモン放出ホルモン、成長ホルモン放出ホルモン、ヘプシジン、ヒト絨毛性ゴナドトロピン、ヒト胎盤性ラクトゲン、成長ホルモン、インヒビン、インスリン、インスリン様成長因子(ソマトメジン、例えば、IGF-I)、レプチン、リポトロピン、黄体形成ホルモン、メラニン細胞刺激ホルモン、モチリン、オレキシン、オキシトシン、膵ポリペプチド、副甲状腺ホルモン、下垂体アデニル酸シクラーゼ活性化ペプチド、プロラクチン、プロラクチン放出ホルモン、リラキシン、レニン、セクレチン、ソマトスタチン、トロンボポエチン、甲状腺刺激ホルモン(チロトロピン)、チロトロピン放出ホルモン又は血管作動性腸管ペプチドであってもよい。薬剤は、アミリン、アディポネクチン、副腎皮質刺激ホルモン、アペリン、アンギオテンシノーゲン、アンギオテンシンI、アンギオテンシンII、抗利尿ホルモン(バソプレッシン)、心房性ナトリウム利尿ペプチド、脳性ナトリウム利尿ペプチド、カルシトニン、ケメリン、コレシストキニン、副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモン、コルチスタチン、エンケファリン、エンドセリン、エリスロポエチン、卵胞刺激ホルモン、ガラニン、消化管抑制ポリペプチド、ガストリン、グレリン、グルカゴン、グルカゴン様ペプチド-1、性腺刺激ホルモン放出ホルモン、成長ホルモン放出ホルモン、ヘプシジン、ヒト絨毛性ゴナドトロピン、ヒト胎盤性ラクトゲン、成長ホルモン、インヒビン、インスリン、インスリン様成長因子(ソマトメジン、例えば、IGF-I)、レプチン、リポトロピン、黄体形成ホルモン、メラニン細胞刺激ホルモン、モチリン、オレキシン、オキシトシン、膵ポリペプチド、副甲状腺ホルモン、下垂体アデニル酸シクラーゼ活性化ペプチド、プロラクチン、プロラクチン放出ホルモン、リラキシン、レニン、セクレチン、ソマトスタチン、トロンボポエチン、甲状腺刺激ホルモン(チロトロピン)、チロトロピン放出ホルモン又は血管作動性腸管ペプチドに特異的に結合する抗体(又はその抗原結合部分)を含んでもよい。
【0042】
生体分子は、血管内皮細胞増殖因子-A(VEGF-A)であってもよい。薬剤は、VEGF-Aに特異的に結合する抗体、例えば、ベバシズマブ若しくはブロルシズマブ又はその抗原結合部分、例えば、ラニビズマブに特異的に結合する抗体を含んでもよい。例えば、薬剤は、アフリベルセプトであってもよい。VEGF-Aを標的とする粒子は、他の状態及び疾患に加えて、黄斑変性(例えば、滲出型黄斑変性)、増殖性糖尿病性網膜症、新生血管緑内障、黄斑浮腫、がん(例えば、直腸結腸がん、肺がん、前立腺がん、乳がん、腎がん、脳腫瘍)、気管支喘息、糖尿病、虚血性心筋症及び心筋虚血症を治療又は予防するために有用でありうる。
【0043】
生体分子は、可溶性血管内皮細胞増殖因子受容体、例えば、可溶性血管内皮細胞増殖因子受容体1(可溶性VEGFR-1)、可溶性血管内皮細胞増殖因子受容体2(可溶性VEGFR-2)又は可溶性血管内皮細胞増殖因子受容体3(可溶性VEGFR-3)であってもよい。薬剤は、可溶性VEGF受容体に選択的に結合する抗体又はその抗原結合部分、例えば、アラシズマブ、イクルクマブ又はラムシルマブであってもよい。薬剤は、VEGF受容体のリガンド、例えば、VEGF-A、VEGF-B、VEGF-C、VEGF-D又は胎盤増殖因子(PGF)であってもよい。可溶性VEGF受容体を標的とする粒子は、他の疾患及び状態に加えて、がんを治療又は予防するために特に有用でありうる。
【0044】
生体分子は、内皮細胞増殖因子ファミリーのメンバー、例えば、内皮細胞増殖因子(EGF)、ヘパリン結合EGF様増殖因子(HB-EGF)、形質転換増殖因子-α(TGF-α)、アンフィレギュリン(AR)、エピレギュリン(EPR)、エピジェン、ベータセルリン(BTC)、ニューレギュリン-1(NRG1)、ニューレギュリン-2(NRG2)、ニューレギュリン-3(NRG3)又はニューレギュリン-4(NRG4)であってもよい。薬剤は、EGF、HB-EGF、TGF-α、AR、EPR、エピジェン、BTC、NRG1、NRG2、NRG3又はNRG4に選択的に結合する抗体又はその抗原結合部分であってもよい。薬剤は、可溶性EGF受容体、例えば可溶性EGF受容体、可溶性HER2又は可溶性HER3を含んでもよい。内皮細胞増殖因子ファミリーのメンバーを標的とする粒子は、他の状態及び疾患に加えて、がんを治療又は予防するために特に有用でありうる。
【0045】
生体分子は、可溶性上皮細胞増殖因子受容体(EGF受容体)、例えば、可溶性EGF受容体、可溶性ヒト上皮細胞増殖因子受容体2(可溶性HER2)又は可溶性ヒト上皮細胞増殖因子受容体3(可溶性HER3)であってもよい。薬剤は、可溶性EGF受容体に選択的に結合する抗体又はその抗原結合部分、例えば、セツキシマブ、フツキシマブ、イムガツズマブ、マツズマブ、ネシツムマブ、ニモツズマブ、パニツムマブ、ザルツムマブ、デュリゴツマブ、パトリツマブ、エルツマキソマブ、ペルツズマブ又はトラスツズマブであってもよい。薬剤は、EGF受容体のリガンド、例えば、上記の通りEGFファミリーのメンバーであってもよい。可溶性EGF受容体を標的とする粒子は、他の疾患及び状態に加えて、がんを治療又は予防するために特に有用でありうる。
【0046】
生体分子は、IgE抗体であってもよい。薬剤は、抗IgE抗体、例えば、オマリズマブ若しくはタリズマブ又はその抗原結合部分を含んでもよい。薬剤は、FcεRIの細胞外部分であってもよい。IgE抗体を標的とする粒子は、他の状態及び疾患に加えて、慢性特発性蕁麻疹及びアレルギー喘息を治療するために特に有用でありうる。
【0047】
生体分子は、プロタンパク質転換酵素サブチリシン/ケキシン9型(PCSK9)であってもよい。薬剤は、抗PCSK9抗体、例えば、アリロクマブ、ロデルシズマブ、ラルパンシズマブ若しくはエボロクマブ又はその抗原結合部分であってもよい。PCSK9を標的とする粒子は、他の状態及び疾患に加えて、高コレステロール血症、アテローム性動脈硬化症、虚血及び心筋梗塞を治療又は予防するために特に有用でありうる。
【0048】
生体分子は、アドレノメデュリン、脳由来神経栄養因子、エリスロポエチン、線維芽細胞増殖因子、肝癌細胞由来増殖因子、グルコース-6-リン酸イソメラーゼ、ケラチノサイト増殖因子、マクロファージ遊走阻止因子、神経栄養因子(神経増殖因子、脳由来神経栄養因子、神経栄養因子-3、神経栄養因子-4)、血小板由来増殖因子、幹細胞因子、トロンボポエチン、T細胞増殖因子、血管内皮細胞増殖因子(VEGF-A、VEGF-B、VEGF-C、VEGF-D、胎盤増殖因子(PGF))又はレナラーゼであってもよい。薬剤は、アドレノメデュリン、脳由来神経栄養因子、エリスロポエチン、線維芽細胞増殖因子、肝癌細胞由来増殖因子、グルコース-6-リン酸イソメラーゼ、ケラチノサイト増殖因子、マクロファージ遊走阻止因子、神経栄養因子(神経増殖因子、脳由来神経栄養因子、神経栄養因子-3、神経栄養因子-4)、血小板由来増殖因子、幹細胞因子、トロンボポエチン、T細胞増殖因子、血管内皮細胞増殖因子(VEGF-A、VEGF-B、VEGF-C、VEGF-D、胎盤増殖因子(PGF))又はレナラーゼに選択的に結合する抗体又はその抗原結合部分を含んでもよい。
【0049】
生体分子は、可溶性トロポミオシン受容体キナーゼB(可溶性TrkB)であってもよい。薬剤は、抗TrkB抗体又はその抗原結合部分であってもよい。生体分子は、可溶性トロポミオシン受容体キナーゼA(可溶性TrkA)であってもよい。薬剤は、抗TrkA抗体又はその抗原結合部分であってもよい。薬剤は、脳由来神経栄養因子であってもよい。
【0050】
生体分子は、アンギオポエチン(例えば、アンギオポエチン1、アンギオポエチン2、アンギオポエチン3又はアンギオポエチン4)又はアンギオポエチン様タンパク質(例えば、アンギオポエチン様1、アンギオポエチン様2、アンギオポエチン様3、アンギオポエチン様4、アンギオポエチン様5、アンギオポエチン様6又はアンギオポエチン様7)であってもよい。薬剤は、アンギオポエチン(例えば、アンギオポエチン1、アンギオポエチン2、アンギオポエチン3又はアンギオポエチン4)又はアンギオポエチン様タンパク質(例えば、アンギオポエチン様1、アンギオポエチン様2、アンギオポエチン様3、アンギオポエチン様4、アンギオポエチン様5、アンギオポエチン様6又はアンギオポエチン様7)に選択的に結合する抗体であってもよい。
【0051】
生体分子は、ヘッジホッグタンパク質(例えば、ソニックヘッジホッグ)であってもよい。薬剤は、ヘッジホッグタンパク質に選択的に結合する抗体であってもよい。ヘッジホッグタンパク質を標的とする粒子は、他の状態及び疾患に加えて、がん、例えば、膵がん、小脳がん及び髄芽腫を治療又は予防するために特に有用でありうる。
【0052】
生体分子は、可溶性ヒト白血球抗原(HLA)タンパク質(例えば、可溶性HLA-A、HLA-B、HLA-C、HLA-D、HLA-E、HLA-F又はHLA-G(例えば、Bassani-Sternberg, Mら、Proceedings National Academy Sciences USA 107(44):18769ページ(2010年))を参照のこと)であってもよい。薬剤は、可溶性ヒト白血球抗原(HLA)タンパク質に選択的に結合する抗体であってもよい。薬剤は、可溶性キラー細胞免疫グロブリン様受容体であってもよい。可溶性HLAを標的とする粒子は、他の疾患及び状態に加えて、がんを治療又は予防するために特に有用でありうる。
【0053】
生体分子は、可溶性UL16結合タンパク質アイソフォーム(例えば、可溶性RAET1(ULBP1;RAET1E2)、可溶性RAET1H(ULBP2)、可溶性RAET1N(ULBP3)、可溶性RAET1E(ULBP4)、可溶性RAET1G(ULBP5)又は可溶性RAET1L(ULBP6))であってもよい。薬剤は、可溶性UL16結合タンパク質アイソフォーム又はその抗原結合部分に特異的に結合する抗体であってもよい。薬剤は、可溶性NKG2D受容体(例えば、その全体において参照により本明細書に組み込まれるPCT特許出願公開第WO2006/024367を参照のこと)であってもよい。
【0054】
生体分子は、可溶性MIC-A又は可溶性MIC-B(例えば、Groh, V.ら、Nature 419(6908):734ページ(2002年)を参照のこと)であってもよい。薬剤は、抗MIC-A抗体若しくは抗MIC-B抗体又はいずれかの抗体の抗原結合部分であってもよい。薬剤は、可溶性NKG2D受容体(例えば、その全体において参照により本明細書に組み込まれるPCT特許出願公開第WO2006/024367を参照のこと)であってもよい。
【0055】
薬剤は、可溶性天然細胞毒性受容体(例えば、Jarahian, M.ら PloS Pathogens 7(8): e1002195 (2011年)を参照のこと)であってもよい。
【0056】
生体分子は、可溶性C型レクチンドメインファミリー2メンバーD(可溶性CLEC2D;可溶性レクチン様転写物1(LLT1))(例えば、Chalan, P.ら、PloS One 10(7): e0132436 (2015年)を参照のこと)であってもよい。薬剤は、可溶性LLT1に選択的に結合する抗体であってもよい。可溶性LLT1を標的とする粒子は、他の疾患及び状態に加えて、自己免疫疾患、例えば、関節リウマチを治療又は予防するために特に有用でありうる。
【0057】
生体分子は、可溶性CD16(例えば、Hoover, R.G.、J Clinical Investigation 95:241ページ(1995年)を参照のこと)であってもよい。薬剤は、可溶性CD16に選択的に結合する抗体であってもよい。可溶性CD16を標的とする粒子は、他の疾患及び状態に加えて、がんを治療又は予防するために特に有用でありうる。
【0058】
生体分子は、プラスミノーゲンアクチベーターインヒビター1(PAI-1)、プラスミノーゲンアクチベーターインヒビター1(PAI-2)、組織プラスミノーゲンアクチベーター、ウロキナーゼ、プラスミノーゲン、トロンビン又はα2-マクログロブリンであってもよい。薬剤は、プラスミノーゲンアクチベーターインヒビター1(PAI-1)、プラスミノーゲンアクチベーターインヒビター1(PAI-2)、組織プラスミノーゲンアクチベーター、ウロキナーゼ、プラスミノーゲン、トロンビン又はα2-マクログロブリンと選択的に結合する抗体であってもよい。
【0059】
生体分子は、因子XII、因子XIIa、因子XI、因子XIa、因子IX、因子IXa、因子X、因子Xa、因子VII、因子VIIa、因子XIII、因子XIIIa、因子V、プロトロンビン、トロンビン、フォンビルブランド因子、トロンボキサンA2、フィブリノーゲン又はフィブリンであってもよい。薬剤は、因子XII、因子XIIa、因子XI、因子XIa、因子IX、因子IXa、因子X、因子Xa、因子VII、因子VIIa、因子XIII、因子XIIIa、因子V、プロトロンビン、トロンビン、フォンビルブランド因子、トロンボキサンA2、フィブリノーゲン又はフィブリンと選択的に結合する抗体であってもよい。
【0060】
生体分子は、セルピン(例えば、α1-抗トリプシン、抗トリプシン関連タンパク質、α1-抗キモトリプシン、カリスタチン、プロテインCインヒビター、トランスコルチン、サイロキシン結合グロブリン、アンギオテンシノーゲン、センテリン(GCET1)、プロテインZ関連プロテアーゼインヒビター、バスピン、抗トロンビン、ヘパリン副因子II、プラスミノーゲンアクチベーターインヒビター1、グリア由来ネキシン(プロテアーゼネキシンI)、色素上皮由来因子、α2-抗プラスミン、補体1インヒビター、ニューロセルピン、プラスミノーゲンアクチベーターインヒビター、2SERPINA1又はSERPINA2)であってもよい。薬剤は、セルピン又はその抗原結合部分に選択的に結合する抗体を含んでもよい。
【0061】
生体分子は、可溶性ST2であってもよい。薬剤は、インターロイキン33又は可溶性ST2と特異的に結合する抗体(又はその断片)であってもよい。可溶性ST2を標的とする粒子は、他の疾患及び状態に加えて、心疾患、心筋梗塞、急性冠症候群及び心不全を治療又は予防するために特に有用でありうる。
【0062】
生体分子は、ミオスタチン(増殖分化因子8(GDF-8))であってもよい。薬剤は、抗ミオスタチン抗体、例えば、スタムルマブ又はトレボグルマブ(trevogrumab)であってもよい。薬剤は、アクチビン受容体又はそのミオスタチン結合部分であってもよく、例えば、薬剤は、可溶性アクチビンIIB型受容体であってもよい。ミオスタチンを標的とする粒子は、他の疾患及び状態に加えて、筋ジストロフィー、カヘキシー、サルコペニア及びさまざまな形態の筋力低下(例えば、無重力による筋力低下)であってもよい。
【0063】
生体分子は、グレリンであってもよい。薬剤は、抗グレリン抗体であってもよい。グレリンを標的とする粒子は、肥満、プラダー・ウィリー症候群、アディクション、アルコール依存症及びレプチン抵抗性(例えば、遺伝的レプチン抵抗性)を治療又は予防するために特に有用でありうる。
【0064】
生体分子は、sLR11(可溶性SORL1;可溶性SORLA;可溶性SORLA1)であってもよい。薬剤は、抗sLR11抗体であってもよい。sLR11を標的とする粒子は、他の疾患及び状態に加えて、肥満を治療又は予防するために特に有用でありうる。
【0065】
生体分子は、TGF-β(形質転換増殖因子ベータ、例えば、TGF-β1, TGF-β2又はTGF-β3)であってもよい。薬剤は、抗TGF-β抗体、例えば、フレソリムマブ、レルデリムマブ又はメテリムマブであってもよい。薬剤は、TGF-β受容体のTGF-β結合ドメインを含んでもよい。薬剤は、それぞれがTGF-βに結合する、LTBP1(潜在型形質転換増殖因子β結合タンパク質1)、14-3-3-タンパク質イプシロン(チロシン3-モノオキシゲナーゼ/トリプトファン5-モノオキシゲナーゼ活性化タンパク質、イプシロン;YWHAE)又は真核生物翻訳開始因子3サブユニットI(EIF3I)であってもよい。TGF-βを標的とする粒子は、他の疾患及び状態に加えて、強皮症、特発性肺線維症、腎疾患、巣状糸球体硬化症、円錐角膜、マルファン症候群、アルツハイマー病、認知機能低下、外傷性脳損傷、筋消耗及びがん(例えば、腎臓がん及びメラノーマ)を治療又は予防するために特に有用でありうる。
【0066】
生体分子は、Wnt(例えば、Wnt1、Wnt2、Wnt2B、Wnt3、Wnt3A、Wnt4、Wnt5A、Wnt5B、Wnt6、Wnt7A、Wnt7B、Wnt8A、Wnt8B、Wnt9A、Wnt9B、Wnt10A、Wnt10B、Wnt11又はWnt16)であってもよい。薬剤は、抗Wnt抗体であってもよい。Wntを標的とする粒子は、他の疾患及び状態に加えて、肥満、II型糖尿病、アテローム性動脈硬化症、石灰化大動脈弁狭窄症、心臓発作、心不全、脳卒中及びがん(例えば、乳がん、結腸直腸がん、食道がん、メラノーマ、前立腺がん、肺がん、非小細胞肺がん、中皮腫、肉腫、神経膠芽腫、又は卵巣がん)を治療又は予防するために特に有用でありうる。
【0067】
生体分子は、可溶性Notchリガンド(例えば、可溶性Jagged1、可溶性Jagged2、可溶性デルタ様リガンド1(DLL1)、可溶性デルタ様リガンド3(DLL3)及びデルタ様リガンド4(DLL4))であってもよい。薬剤は、抗Notchリガンド抗体、例えば、デムシズマブ若しくはエノチクマブ又は可溶性Notch受容体(例えば、可溶性NOTCH1、NOTCH2、NOTCH3又はNOTCH4)或いはその変異体であってもよい。可溶性Notchリガンドを標的とする粒子は、他の疾患及び状態に加えて、アテローム性動脈硬化症、石灰化大動脈弁狭窄症、心臓発作、心不全、脳卒中及びがん(例えば、乳がん、膵がん、腎細胞癌、非小細胞肺がん及び固形腫瘍)を治療又は予防するために特に有用でありうる。
【0068】
生体分子は、可溶性Notch受容体(例えば、可溶性NOTCH1、NOTCH2、NOTCH3又はNOTCH4)であってもよい。薬剤は、抗Notch受容体抗体、例えば、タレクスツマブ(tarextumab)若しくはブロンチクツズマブ(brontictuzumab)又は可溶性Notchリガンドであってもよい。可溶性Notch受容体を標的とする粒子は、他の疾患及び状態に加えて、アテローム性動脈硬化症、石灰化大動脈弁狭窄症、心臓発作、心不全、脳卒中及びがん(例えば、乳がん、膵がん、腎細胞癌、非小細胞肺がん及び固形腫瘍)を治療又は予防するために特に有用でありうる。
【0069】
標的は、ヒドロキシアパタイト又はカルシウム(例えば、結晶性カルシウム)であってもよい。薬剤は、キレート剤、例えば、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、チオ硫酸ナトリウム(STS)、イノシトール六リン酸又はクエン酸であってもよい。ヒドロキシアパタイト又はカルシウムを標的とする粒子は、他の疾患及び状態に加えて、アテローム性動脈硬化症、石灰化大動脈弁狭窄症及び石灰性腱炎を治療又は予防するために特に有用でありうる。
【0070】
一部の実施形態において、生体分子は、自己抗体である。自己抗体は、対象によって産生された抗原に特異的に結合する対象によって産生された抗体である。自己抗体は、ループスを含む多くの異なる疾患状態と関連する。さらに、新たな自己抗体の誘導は、例えば、薬物に誘導されるループスをもたらす治療介入と関連する場合がある。よって、1種以上の自己抗体に選択的に結合する薬剤を含む複数の粒子を含む組成物を、例えば、ループス(例えば、薬物に誘導されるループス)を治療又は予防する方法において、使用してもよい。生体分子は、例えば、二本鎖DNA自己抗体又は抗核自己抗体であってもよい。
【0071】
自己抗体を標的とする粒子は、自己抗体の抗原である薬剤を含んでもよい。
【0072】
生体分子は、例えば、特発性拡張型心筋症を予防又は治療するための抗βアドレノセプター自己抗体又は抗M2ムスカリン受容体自己抗体であってもよい。特に、抗βアドレノセプター自己抗体又は抗M2ムスカリン受容体自己抗体を標的とする粒子は、そのような自己抗体の誘導と相関するシャガス病を有する対象に投与されてもよい(例えば、Herda, L.R.ら、Br J Pharmacol 166(3)847ページ(2012年)を参照のこと)。生体分子は、例えば、高血圧を治療又は予防するための抗α1アドレナリン受容体自己抗体であってもよい(例えば、Luther, H.P.ら、Hypertension 29(2):678ページ(1997年)を参照のこと)。生体分子は、例えば、シューグレン症候群を治療又は予防する際に使用するための抗ムスカリン3型受容体自己抗体であってもよい(例えば、Lee, B.H.ら、PloS One 8(1):e53113 (2013年)を参照のこと)。
【0073】
ホルモン及びサイトカインに対する自己抗体は、例えば、遊離の活性種の濃度を制御するためにホルモン及びサイトカインに可逆的に結合することによってそれらの濃度を緩衝することができる。健康な自己抗体レベルからの逸脱は、サイトカイン又はホルモンのホメオスタシスの損失から生じる疾患の一因となる場合がある。例えば、抗IFNγ自己抗体は播種性非結核性マイコバクテリア感染を誘導する場合があり、抗IL-17自己抗体は慢性粘膜カンジダ症の発症と関連し、抗IL-16自己抗体は重度のブドウ球菌又はレンサ球菌感染症と関連する。空腹ホルモンであるグレリンに対する自己抗体は、グレリン受容体GHSR1に結合することができる有効濃度のグレリンを媒介する場合がある。
【0074】
一部の実施形態において、生体分子は、自己抗体である。例えば、自己抗体は、抗IFNγ、抗IL-17、抗IL-16又は抗グレリン自己抗体であってもよい。一部の実施形態において、薬剤は、自己抗体の天然リガンドである(例えば、自己抗体によって標的とされる抗原)。例えば、薬剤は、IFNγ、IL-17、IL-16又はグレリンであってもよい。一部の実施形態において、本発明は、サイトカイン調節不全の疾患、例えば、自己免疫疾患を有する患者を治療する方法に関する。一部の実施形態において、本発明は、代謝障害、例えば、肥満を有する患者を治療する方法に関する。
【0075】
アクチビンIIB型受容体であるActRIIBに結合するアクチビンは、カヘキシーモデルにおける筋消耗をもたらす。血清中の過剰なアクチビンレベル(これは、アクチビンA及びB/ActRIIBシグナル伝達を遮断する抗体によって逆転される場合がある)は、カヘキシーモデルにおける筋消耗及び線維症と関連し、アクチビンレベルの上昇はがん患者の血清において見られる。サルコペニアは、老化における筋肉量損失の進行性状態であり、過剰なアクチビンシグナル伝達とも関連している。よって、生体分子は、アクチビン(例えば、アクチビンA又はアクチビンB)であってもよい。薬剤は、アクチビンの天然リガンド、例えば、ActRIIBなどのアクチビン受容体タンパク質若しくはその変異体、又はアクチビンに対する抗体であってもよい。薬剤は、ミオスタチンであってもよい。一部の実施形態において、本発明は、筋消耗疾患、例えばカヘキシー又はサルコペニアを有する患者を治療する方法に関する。
【0076】
当業者はまた、本明細書に記載されている粒子が、その生物学的活性が、例えば、望ましくない場合もあるより広範な種類の標的を捕捉するのにも有用であることを理解するであろう。例えば、粒子は、ウイルスカプシド又はエンベロープの構成成分と結合することにより対象の血液からウイルスを隔離するよう操作することができる。粒子は、一部の実施形態では、対象の血液循環中の毒素(例えば、細菌毒素、植物毒素及びヘビ毒液の1つ以上の構成成分などの動物毒素)と結合し、それを隔離するように操作されてもよい。一部の実施形態において、粒子は、小分子(例えば、向精神薬物又は小分子の毒素)と結合し、それを対象の血液循環から隔離するように操作することができる。そのような実施形態において、粒子は、例えば、ヘビに噛まれた又は昆虫に刺された後、体から毒素を除去するのに有用でありうる。一部の実施形態において、粒子は、(例えば、アナフィラキシー免疫応答を引き起こす抗原を捕捉することによって)対象のアナフィラキシーショックを治療するため、予防するため、その発症を遅延させるため又はその重症度を低減するために使用することができる。
【0077】
一部の実施形態において、標的は、薬剤によって結合されるウイルス、例えば、ウイルスの構造タンパク質(例えば、ウイルスカプシド又はウイルスエンベロープタンパク質)と関連する。そのような実施形態において、粒子は、例えば、ウイルスに感染した又はウイルスに感染するリスクがある対象に対する抗ウイルス療法として有用である。ウイルスは、エンベロープ又はノンエンベロープウイルスであってもよい。
【0078】
一部の実施形態において、可溶性生体分子は、小分子又は巨大分子である。一部の実施形態において、可溶性生体分子の最大寸法は、600nmを超えない(例えば、550、500、450、400、350、300、250、200、150、100、50又は25nm未満)。例えば、生体分子は、約1オングストローム〜約1μm、例えば、約1オングストローム〜約100nm、約1オングストローム〜約20nm、約1nm〜約1μm、約1nm〜約100nm又は約1nm〜約20nmの分子半径を有してもよい。生体分子は、約3amu〜約107amu、例えば、約100amu〜約107amu、約3amu〜約106amu、約3amu〜約105amu、約100amu〜約106amu又は約400amu〜約106amuの分子量を有してもよい。生体分子は、約105amu〜約107amuの分子量を有してもよい。
【0079】
「特異的結合」、「特異的に結合する」、「選択的な結合」、「選択的に結合する」という用語及び同様の文法用語は、本明細書中で使用される場合、2つの分子が、生理学的条件下において比較的安定した複合体を形成することを指す。通常、結合は、結合定数(ka)が106M-1s-1よりも高いときに特異的であると考えられる。このように、特異的結合ペアの第1のメンバーは、結合ペアの第2のメンバーと、少なくとも106 M-1s-1(又はそれより大きい)(例えば、少なくとも107、108、109、1010、1011、1012、1013、1014、1015M-1s-1若しくはそれ以上又はそれより大きい)であるkaで、特異的に結合することができる。一部の実施形態において、選択的な相互作用は、10-3s-1(例えば、8×10-4、5×10-4、2×10-4、10-4又は10-5s-1)以下の解離定数(kd)を有する。
【0080】
特異的結合は、好ましい会合定数を有する場合がある非特異的静電相互作用又は非特異的疎水性相互作用によって主に駆動される相互作用を指さない。例えば、負に帯電している核酸は、特異的相互作用と無関係に、好ましい会合定数を有するカチオン性粒子に結合する場合があり、そのような結合は、本明細書に定義されている「特異的結合」ではない。同様に、脂質は、特異的相互作用と無関係に、好ましい会合定数を有する疎水性粒子に結合する場合があり、そのような結合は、本明細書に定義されている「特異的結合」ではない。
【0081】
一部の実施形態において、生体分子及び粒子は、生理的pH(約7.4)で同じ電荷を有する。例えば、生体分子は負電荷を有してもよく且つ粒子は負電荷を有してもよい、又は生体分子は正電荷を有してもよく且つ粒子は正電荷を有してもよい。一部の実施形態において、生体分子と粒子は、生理的pHで反対の電荷を有してもよい。例えば、生体分子は正電荷を有してもよく且つ粒子は負電荷を有してもよい、又は生体分子は負電荷を有してもよく且つ粒子は正電荷を有してもよい。一部の実施形態において、生体分子は、生理的pHで中性電荷を有し、且つ/又は粒子は生理的pHで中性電荷を有する。
【0082】
生体分子は、約0〜約14の等電点を有してもよい。核酸は、約4〜約7の等電点を有し、よって、生体分子は約4〜約7の等電点を有してもよい。タンパク質は、一般に約4〜約10の等電点を有し、よって生体分子は約4〜約10の等電点を有してもよい。それにもかかわらず、改変されていないペプチド及びタンパク質は約2.5(アスパラギン酸のpI約2.8に基づく)〜約11(アルギニンのpI約11に基づく)の範囲の等電点を有してもよいが、この範囲外にある等電点を有するタンパク質が知られている。それゆえに、生体分子は、約2.5〜約11の範囲の等電点を有してもよい。分泌タンパク質及び膜タンパク質の可溶性細胞外部分は、通常、生理的pHでわずかに負の電荷を有し、よって、生体分子は、約4〜約7、例えば、約4〜約6の等電点を有してもよい。生体分子は、約0〜約4、約2〜約6、約4〜約8、約6〜約10、約8〜約12又は約10〜約14の等電点を有してもよい。生体分子は、約0〜約2、約1〜約3、約2〜約4、約3〜約5、約4〜約6、約4〜約6、約5〜約7、約6〜約8、約7〜約9、約8〜約10、約9〜約11、約10〜約12、約11〜約13又は約12〜約14の等電点を有してもよい。
【0083】
一部の実施形態において、選択的な相互作用は、10-8、10-9、10-10、10-11又は10-12M未満のKDを有する。平衡定数KDは、反応速度定数の比、すなわちkd/kaである。一部の実施形態において、選択的な相互作用は、1×10-9M未満のKDを有する。
【0084】
本明細書中で使用される場合、「相互作用」という用語は、2つの分子間の相互作用に言及する場合、分子の互いの物理的接触(例えば、結合)を指す。一般に、そのような相互作用は、上記分子の一方又は両方の活性をもたらす(生物学的効果を生じる)。そのような相互作用を阻害することにより、相互作用に関与する1つ以上の分子の活性の破壊がもたらされる。
【0085】
本明細書中で使用される場合、「阻害すること」という用語及びその文法的等価語は、特定の作用、機能又は相互作用の低減、制限及び/又は遮断を指す。一実施形態において、この用語は、所与の結果又はパラメーターのレベルを、対応する対照の量の少なくとも10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、99%又はそれより低い量(例えば、特異的結合ペアの2つのメンバー間の相互作用のバックグラウンドレベル)に低減することを指す。所与の結果又はパラメーターの低減されたレベルは、結果又はパラメーターの完全な欠如を意味する必要はない(完全な欠如であってもよいが)。本発明は、結果又はパラメーターを完全に無くす方法である必要はなく、それに限定されない。実質的な阻害は、例えば、2つの生体分子(例えば、結合ペアの第1及び第2のメンバー)間の相互作用の少なくとも50%(例えば、55、60、65、70、75、80、85、90又は95%以上)の阻害であってもよい。
【0086】
相互作用を検出するための方法、又は一方の生体分子の他方のものに対する親和性を測定するための方法は、当該技術分野において知られている。例えば、2つの生体分子の結合は、以下に限定されるものではないが、バイオレイヤー干渉法(BLI)、ウエスタンブロット、ドットブロット、表面プラズモン共鳴法(SPR)、酵素結合免疫吸着測定(ELISA)、AlphaScreen(登録商標)若しくはAlphaLISA(登録商標)アッセイ又は質量分析法ベースの方法などのさまざまな技術を使用して検出及び/又は定量することができる。
【0087】
一部の実施形態において、結合は、2つの生体分子の相互作用の反応速度パラメーターを特徴づけるための当該技術分野において既知の任意のSPRベースのアッセイを使用してアッセイすることができる。それらに限定されるものではないが、BIAcore機器(Biacore AB、ウプサラ、スウェーデン)、lAsys機器(Affinity Sensors、フランクリン、マサチューセッツ州)、IBISシステム(Windsor Scientific Limited、バークシャー、英国)、SPR-CELLIAシステム(日本レーザー電子株式会社、北海道、日本)及びSPR Detector Spreeta(Texas instruments、ダラス、テキサス州)を含む商業的に入手可能なあらゆるSPR機器が、本明細書に記載されている方法に使用することができる。(例えば、Mullettら、Methods 22: 77〜91ページ(2000年)、Dongら、Reviews in Mol Biotech 82: 303〜323ページ(2002年)、Fivashら、Curr Opin Biotechnol 9: 97〜101ページ(1998年)及びRichら、Curr Opin Biotechnol 11: 54〜61ページ(2000年)を参照のこと。)
【0088】
一部の実施形態において、2つの生体分子間の生体分子相互作用は、Octet(ForteBio Inc.)によるBLIを使用してアッセイすることができる。BLIは、バイオセンサーの先端にあるタンパク質層の厚さの変化をリアルタイムに測定することによってバイオセンサーの先端に固定されたリガンドと溶液中の検体との間の結合を感知するラベルフリー光学的分析技術である。
【0089】
一部の実施形態において、AlphaScreen(PerkinElmer)アッセイは、2つの生体分子の結合を特徴づけるために使用することができる。頭字語ALPHAは、化学増幅型ルミネッセンスプロキシミティホモジニアスアッセイ(Amplified Luminescent proximity Homogeneous Assay)を意味する。AlphaScreenは、ドナービーズとアクセプタービーズとの間のエネルギー移動によって生じたシグナルを測定することによってドナービーズ及びアクセプタービーズに結合した分子間の結合を感知するビーズベースのプロキシミティアッセイである。(例えば、Eglenら、Curr Chem Genomics 1:2〜10ページ(2008年)を参照のこと)。
【0090】
一部の実施形態において、AlphaLISA(登録商標)(PerkinElmer)アッセイは、2つの生体分子の結合を特徴づけるために使用することができる。AlphaLISAは、上記のAlphaScreenアッセイからユウロピウム含有アクセプタービーズを含むよう変更されており、従来のELISAアッセイに対する代替手段として機能する。(例えば、Eglenら、Curr Chem Genomics 1:2〜10ページ(2008年)を参照のこと。)
【0091】
競合及び非競合イムノアッセイを含むさまざまなイムノアッセイ技術を使用することができる。「イムノアッセイ」という用語は、フローサイトメトリー、FACS、酵素イムノアッセイ(EIA)、例えば、酵素増幅イムノアッセイ技術(enzyme multiplied immunoassay)(EMIT)、酵素結合免疫吸着測定(ELISA)、IgM抗体捕捉ELISA(MAC ELISA)及び微粒子酵素イムノアッセイ(microparticle enzyme immunoassay)(MEIA)、さらにキャピラリー電気泳動イムノアッセイ(CEIA)、ラジオイムノアッセイ(RIA)、免疫放射線アッセイ(immunoradiometric assay)(IRMA)、蛍光偏光イムノアッセイ(FPIA)並びに化学発光アッセイ(CL)を含むが、それらに限定されない技術を包含する。必要に応じて、そのようなイムノアッセイは自動化することができる。イムノアッセイは、レーザー誘起蛍光とともに使用することもできる。フローインジェクションリポソームイムノアッセイ(flow-injection liposome Immunoassay)及びリポソーム免疫センサーなどのリポソームイムノアッセイも本発明に使用するのに適している。さらに、例えば、生体分子複合体の形成が光散乱を増加させ、この光散乱がマーカー濃度の関数としてピークレートシグナル(peak rate signal)に変換されるネフェロメトリーアッセイは、本発明の方法に使用するのに適している。本発明の好適な実施形態において、インキュベーション産物は、ELISA、RIA、フルオロイムノアッセイ(FIA)又は可溶性粒子免疫アッセイ(SPIA)によって検出される。
【0092】
一部の実施形態において、2つの生体分子の結合は、示差走査蛍光定量(DSF)及び示差静的光散乱(differential static light scattering)(DSLS)を伴う熱変性(thermodenaturation)法を使用してアッセイすることができる。
【0093】
一部の実施形態において、2つの生体分子の結合は、以下に限定されるものではないが、親和性選択連結質量分析(affinity selection coupled to mass spectrometry)(AS-MS)プラットフォームなどの質量分析ベースの方法を使用してアッセイすることができる。これは、タンパク質及び試験化合物がインキュベートされ、結合していない分子が洗い流され、タンパク質-リガンド複合体が解離ステップの後にリガンドの同定のためにMSによって分析されるラベルフリー法である。
【0094】
一部の実施形態において、2つの生体分子の結合は、イムノアッセイ或いはクロマトグラフィー検出により、例えば、放射標識(例えば、32P、35S、14C若しくは3H)、蛍光標識(例えば、FITC)など検出可能に標識されたタンパク質又は酵素的に標識された生体分子を使用して、定量化することができる。
【0095】
一部の実施形態において、本発明は、2つの生体分子間の相互作用の程度を直接又は間接的のいずれかで測定する際に蛍光偏光アッセイ及び蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)アッセイを使用することを意図する。
【0096】
II.粒子
本明細書中で使用される場合、「粒子」という用語は、アルミナ、金属(例えば、金若しくはプラチナ)、ガラス、シリカ、ラテックス、プラスチック、アガロース、ポリアクリルアミド、メタクリレート又は任意の高分子材料などの任意の材料を含んでもよく、かつ任意の大きさ及び形状であってもよい小さな塊を指す。一部の実施形態において、粒子(複数可)は、シリコンを含む。(例えば、それぞれの開示の全体が参照により組み込まれる、国際特許出願公開第WO2013/011764号、同第WO2013/029278号及び同第WO2014/151381号並びに米国特許出願公開第2014/0271886号を参照のこと。)一部の実施形態において、粒子は、デンプンを含み、又はデンプンからなる(例えば、国際特許出願公開第WO2010/084088号を参照のこと)。一部の実施形態において、粒子(複数可)は核酸(天然に存在するか又は天然に存在しない核酸)から構成される。そのような核酸ベースの微小構造を作製するための方法は当該技術分野において知られており、例えば、Douglasら、Nucl Acids Res 37(15):5001〜5006ページ(2009年); Douglasら、Nature 459(7245):414〜428ページ(2009年); Voigtら、Nat Nanotechnol 5(3):200〜203ページ(2010);及びEndoら、Curr Protoc Nucleic Acid Chem Chapter 12(Unit 12.8) (2011年)に記載されている。
【0097】
好適な実施形態において、粒子は、水溶液中で不溶性である(例えば、粒子は、水、血清、血漿、細胞外液、及び/又は間質液中で不溶性であってもよい)。例えば、粒子は、例えば細胞懸濁液の水溶液から細胞懸濁液の細胞を分離するのに十分なスピードで、粒子を含む溶液を遠心分離することによって水溶液から分離されうる。それにもかかわらず、粒子は水溶液中に懸濁液として容易に存在することができ、例えば、水溶液中に複数の粒子を穏やかに振盪するか又はボルテックスすることは、水溶液中に粒子を懸濁させるのに十分である。一部の実施形態において、粒子はハイドロゲルではない。一部の実施形態において、粒子はハイドロゲルを含まない。一部の実施形態において、粒子はポリマーを含まない。
【0098】
粒子は、好ましくは、2つ以上の生体分子に結合し、2つ以上の結合した生体分子と結合パートナーとの相互作用を阻害するのに十分大きい。例えば、粒子は、約50nm〜約10μmであってもよい。粒子は、1μm〜5μmのサイズ、1.2μm〜4μm、1.5μm〜4μm又は2μm〜4μmであってもよい。
【0099】
300nm未満、例えば、200nm未満又は150nm未満のサイズを有する粒子は、皮下注射によって投与されてもよい粒子などの粒子が対象の脈管構造に入り及び/又は欠陥構造から出ることが意図される適用にとって好ましい。それにもかかわらず、粒子が脈管構造に入ることが意図されない方法に対しては、より大きな粒子も、同様に、皮下注射に十分に適している。約1μm〜約5μmのサイズを有する粒子は、例えば、静脈内投与の後に、粒子が対象の脈管構造内を循環することが意図される適用にとって好ましい。5μmより大きいサイズを有する粒子は、粒子が移植される部位に、例えば、腫瘍の内部又は腫瘍に隣接して滞留することが意図される適用にとって好ましい場合があるが、5μmより小さい粒子も移植に適している場合がある。任意のサイズの粒子をインビトロ適用に利用することができる。
【0100】
粒子の群も本明細書における特徴である。一部の実施形態において、複数の粒子は、狭い又は広い多分散性を有する。本明細書中で使用される場合、「多分散性」は、特定の粒子集団内の粒子のサイズの範囲を指す。すなわち、極めて多分散性の集団は、個々の粒子が0.1〜4μmに及ぶおよそ1μmの平均サイズを有する粒子を含む。一部の実施形態において、「狭い多分散性」が好ましい。すなわち、特定の平均粒子サイズを前提とすると、集団中の個々の粒子が平均粒子サイズ〜±20%以内、好ましくは±15%以内、最も好ましくは現在のところ±10%以内だけ異なるのが現在のところ好ましい。さらに具体的には、粒子集団は、好ましくは、約0.5〜約2μm、より好ましくは現在のところ約0.8〜約1.5μmの平均粒子サイズを有する。よって、1μmの平均粒子サイズが選択される場合、集団中の個々の粒子は、約0.8〜約1.2μmの範囲内であるのが最も好ましいであろう。一部の実施形態において、粒子集団は、約0.3〜約1μm、例えば、約0.4〜約0.9、約0.5〜約0.9、約0.4〜約0.8、約0.5〜約0.7、約0.3〜約0.9又は約0.3〜約0.7μmの平均粒子サイズを有する。一部の実施形態において、粒子集団は、約1μm〜約10μm、例えば、約1.1μm〜約4.8、約1.2μm〜約4.6、約1.4μm〜約4.4、約1.6μm〜約4.2、約1.8μm〜約4.0、又は約2.0μm〜約3.8μmの平均粒子サイズを有する。
【0101】
一部の実施形態において、本開示は、定義された平均粒子サイズを有する一群の又は複数の粒子を特徴とする。本明細書中で使用される場合、「平均粒子サイズ」は、個々の粒子のサイズを測定した後、粒子の総数で割ることによって得られる。平均粒子サイズの算出は、当該技術分野において周知である。通常、粒子の平均最大寸法は、4μmを超えない。一部の実施形態において、粒子の平均最大寸法は、3.9μmを超えない(例えば、3.8、3.7、3.6、3.5、3.4、3.3、3.2、3.1、3.0、2.9、2.8、2.7、2.6、2.5、2.4、2.3、2.2、2.1、2、1.9、1.8、1.7、1.6、1.5、1.4、1.3、1.2、1.1又は1μmを超えない)。一部の実施形態において、粒子の平均最大寸法は、2.5μm、2μm、1.5μm又は1.25μmを超えない。一部の実施形態において、粒子の平均最大寸法は、少なくとも1μmであるが、4μmを超えない。一部の実施形態において、粒子の平均最大寸法は、少なくとも1μmであるが、2μmを超えない。一部の実施形態において、粒子の平均最大寸法は、少なくとも1μmであるが、1.5μmを超えない。一部の実施形態において、粒子の平均最大寸法は、少なくとも0.5μm(例えば、少なくとも0.6、0.7、0.8、0.9、1、1.1、1.2、1.3、1.4又は1.5μm)であるが、4μmを超えない(例えば、3.9 3.8、3.7、3.6、3.5、3.4、3.3、3.2、3.1、3.0、2.9、2.8、2.7、2.6、2.5、2.4、2.3、2.2、2.1、2、1.9、1.8、1.7又は1.6μmを超えない)。
【0102】
一部の実施形態において、粒子は、ナノ粒子である。一部の実施形態において、粒子の平均最大寸法は、900nmを超えない(例えば、850、800、750、700、650、600、550、500、450、400、450、400、350、300、250、200又は150nm)。一部の実施形態において、粒子は、対象(例えば、ヒト対象)の血液又は脈管構造(例えば、動脈、静脈及び毛細血管)中を循環する形状及び大きさにされる。例示的な粒子デザインを、図1〜6に記載する。
【0103】
一部の実施形態において、粒子の最大寸法は、約50nm〜約5μm、例えば、約100nm〜約4.5μm、約200nm〜約4μm、約300nm〜約3.5μm、約300nm〜約 μm、又は約400nm〜約3μmである。一部の実施形態において、粒子の最小寸法は、少なくとも約300nm、例えば、約300nm〜約4μm又は約400nm〜約3μmである。
【0104】
一部の実施形態において、複数の粒子は、多面体、例えば、立方体である。一部の実施形態において、複数の粒子は、球状である。一部の実施形態において、本明細書に記載されているいずれかの粒子は、多孔質であってもよい。そのような多孔質粒子は、外側表面及び粒子の孔の内側表面を含む。薬剤は、例えば、内側表面に固定されてもよい。一部の実施形態において、複数の孔は、少なくとも50nmの断面寸法を有する。一部の実施形態において、複数の孔は、少なくとも100nmの断面寸法を有する。多孔質ナノ粒子について、例えば、米国特許出願公開第20140199352号、同第20080277346号及び同第20040105821号に記載されており、これらのそれぞれの開示はその全体が参照により組み込まれる。球状粒子について、例えば、米国特許第8,778,830号及び同第8,586,096号に記載されており、それらのそれぞれは参照により本明細書に組み込まれる。
【0105】
一部の実施形態において、球状粒子は、粒子の球面から延びる2つの交差する隆線部をさらに含んでもよく、その構造のそれぞれの最大寸法は4μmを超えず(例えば、3.9、3.8、3.7、3.6、3.5、3.4、3.3、3.2、3.1、3.0、2.9、2.8、2.7、2.6、2.5、2.4、2.3、2.2、2.1、2、1.9、1.8、1.7、1.6、1.5、1.4、1.3、1.2、1.1又は1μmを超えず)、隆線部は、(i)球状粒子の表面に固定された薬剤の、細胞表面受容体タンパク質との結合、若しくは薬剤による細胞表面受容体タンパク質の活性化、を阻害する及び/又は(ii)可溶性生体分子が薬剤と結合したとき、可溶性生体分子と、可溶性生体分子が第1のメンバーである特異的結合ペアの第2のメンバーとの相互作用を阻害する大きさにされ、配向される。
【0106】
一部の実施形態において、複数の粒子は、環状(toroidal)である。そのような実施形態において、薬剤は、粒子の内側円周表面に固定することができる(例えば、穴の周りに、図2を参照)。一部の実施形態において、粒子の寸法は、4μm(例えば、3.9、3.8、3.7、3.6、3.5、3.4、3.3、3.2、3.1、3.0、2.9、2.8、2.7、2.6、2.5、2.4、2.3、2.2、2.1、2、1.9、1.8、1.7、1.6、1.5、1.4、1.3、1.2、1.1又は1μm)を超えない。一部の実施形態において、粒子の直径は、900nm(例えば、850、800、750、700、650、600、550、500、450、400、350、300、200又は150nm)を超えない。
【0107】
一部の実施形態において、本明細書に記載されている粒子は樹枝状(dendritic)である。そのような粒子について、例えば、Duら、Small 11(4):392〜413ページ(2015年)、Siegwart, D.J.ら、Proceedings National Academy USA 108(32):12996(2011年)、米国特許第5,814,272号及び同第7,932,311号並びに米国特許出願公開第20040166166号に記載されており、それらのそれぞれの開示は参照により本明細書に組み込まれる。下記に詳しく述べられているとおり、一部の実施形態において、樹枝状粒子の形状は、粒子の内側表面に固定された薬剤の、細胞の表面にある生体分子と相互作用する能力が低減されるか、若しくは実質的に低減される及び/又は薬剤によって粒子と結合した可溶性生体分子の、その同種のリガンド(特異的結合ペアの第2のメンバー)と相互作用する能力が低減されるか、若しくは実質的に低減されるようになっている。
【0108】
一部の実施形態において、複数の粒子は、規則的又は不規則的であるかにかかわらず多面体、例えば、八面体又は二十面体(例えば、図3を参照)である。粒子は、少なくとも1つのそれらの頂点からの少なくとも1つの突起物を含んでもよい(例えば、図3を参照)。粒子は、それらの頂点からの2つ以上(例えば、2、3、4、5、6、7又は8つ以上)の突起物を含んでもよい。そのような突起物は、例えば、(i)球状粒子の表面に固定された薬剤の細胞表面受容体タンパク質との結合、若しくは該薬剤による細胞表面受容体タンパク質の活性化、を阻害する及び/又は(ii)可溶性生体分子が薬剤と結合したとき、可溶性生体分子と、可溶性生体分子が第1のメンバーである特異的結合ペアの第2のメンバーとの相互作用を阻害する大きさにされ及び/又は配向されてもよい。
【0109】
粒子は、本明細書において「空間」又は「空間(複数可)」と言われる空隙を含む場合がある。空間は、流体(例えば、生体分子を含む場合がある液体、又は粒子が乾燥される場合などの気体)で、又は空間(例えば、粒子が、凍結乾燥後などの真空中にある場合)で充填される粒子のスペースである。粒子の空間体積は、例えば、粒子の孔体積及び/又は中空孔/シェル粒子の内部、管、円環若しくは環の腔の体積を含んでもよい。
【0110】
一部の実施形態において、粒子は、例えば、粒子が対象の脈管構造内に位置する場合、血漿が粒子の空隙に自由に入り及び/又は粒子の空隙から自由に出ることができるよう構成される。一部の実施形態において、粒子は、例えば、粒子が対象の脈管構造内に位置する場合、血清が粒子の空隙に自由に入り及び/又は粒子の空隙から自由に出ることができるよう構成される。好適な実施形態では、粒子は、血液細胞が粒子の空隙に入ることができないよう構成される。一部の実施形態において、粒子は、血小板が粒子の空隙に入ることができないよう構成される。それにもかかわらず、例えば、粒子がインビトロでの使用のために構成される場合、或いは粒子が、ウイルス、細菌、原生生物、真菌若しくは酵母細胞又は他の大きな標的、例えば、約100nm〜約2μmのサイズの標的に結合するよう構成される場合、粒子は血小板が粒子の空隙に入ることを可能にする場合がある。
【0111】
一部の実施形態において、粒子は、細胞外液が粒子の空隙に自由に入り及び/又は粒子の空隙から自由に出ることができるよう構成される。一部の実施形態において、粒子は、間質液が粒子の空隙に自由に入り及び/又は粒子の空隙から自由に出ることができるよう構成される。一部の実施形態において、粒子は、脳脊髄液が粒子の空隙に自由に入り及び/又は粒子の空隙から自由に出ることができるよう構成される。
【0112】
粒子における空隙の体積は、優先的には、2つ以上の生体分子を収容するのに十分大きく、例えば、粒子の総空隙は、優先的には、粒子に結合されている各生体分子を収容するのに十分大きい。それにもかかわらず、粒子が各結合生体分子と各生体分子を含む結合ペアの第2のメンバーとの間の相互作用を阻害することができる限り、空間は、各結合生体分子の総体積より小さくてもよい。例えば、粒子は、生体分子と結合ペアの第2のメンバーとの間の相互作用を阻害する生体分子の結合部位を隔離しさえすればよく、そのような粒子は、各生体分子の結合部位を収容するが、1つ以上の生体分子の他の部分を空隙の外に向かって突き出させる空間体積を含有してもよい。
【0113】
一部の実施形態において、粒子は、約5%〜約95%の空隙を含んでもよい。突起物を含む粒子は、例えば、突起物が結合生体分子と結合ペアの第2のメンバーとの間の相互作用を阻害する場合があるため、空隙をほとんど含まないか又は含まなくてもよい。管を含む粒子は、例えば、管が管の壁の厚みに対して大きな内部体積を含む場合があるため、多量の空隙を含んでもよい。それにもかかわらず、同様の形状を有する粒子の空隙は異なる量の空間体積を含んでもよく、例えば、同じ厚みの壁を含む管は、管径により空間体積のパーセンテージが実質的に異なってもよい。
【0114】
粒子は、0%〜約40%の空隙、約20%〜約60%の空隙、約40%〜約80%の空隙又は約60%〜100%の空隙を含んでもよい。粒子は、0%〜約20%の空隙、約10%〜約30%の空隙、約20%〜約40%の空隙、約30%〜約50%の空隙、約40%〜約60%の空隙、約50%〜約70%の空隙、約60%〜約80%の空隙、約70%〜約90%の空隙又は約80%〜100%の空隙を含んでもよい。粒子は、0%〜約10%の空隙、約5%〜約15%の空隙、約10%〜約20%の空隙、約15%〜約25%の空隙、約10%〜約20%の空隙、約15%〜約25%の空隙、約10%〜約20%の空隙、約15%〜約25%の空隙、約10%〜約20%の空隙、約15%〜約25%の空隙、約20%〜約30%の空隙、約25%〜約35%の空隙、約30%〜約40%の空隙、約35%〜約45%の空隙、約40%〜約50%の空隙、約45%〜約55%の空隙、約50%〜約60%の空隙、約55%〜約65%の空隙、約60%〜約70%の空隙、約65%〜約75%の空隙、約70%〜約80%の空隙、約75%〜約85%の空隙、約80%〜約90%の空隙、約85%〜約95%の空隙又は約90%〜100%の空隙を含んでもよい。
【0115】
粒子は、生理的pH(例えば、約7.4)で中性の電荷を含んでもよい。粒子は、生理的pHでわずかに負の又はわずかに正の電荷を含んでもよい。粒子の表面(例えば、外側表面)は、生理的pHでわずかに負の又はわずかに正の電荷を含んでもよい。好適な実施形態において、粒子の表面(例えば、外側表面)は、生理的pHでわずかに負の又は中性の電荷を含む。粒子の等電点は、約5〜約9、好ましくは、約6〜約8であってもよい。核酸を含む粒子は、約4〜約7の等電点を有してもよい。一部の実施形態において、粒子の等電点は7.4未満であり、すなわち、その結果、粒子は生理的pHで正味の負の電荷を有する。例えば、粒子の等電点は約6.0〜約7.4、例えば、約6.4〜約7.4であってもよい。生理的pHで正味の負の電荷を含む粒子は、真核生物細胞が一般に正味の負の電荷を有する細胞膜を含むため、真核生物細胞(例えば、哺乳類細胞)とほとんど相互作用しない。粒子は、他の荷電分子との非特異的相互作用を始めるのに十分な電荷(及び/又は電荷密度)を含まないことが好ましい。
【0116】
III.孔を含む粒子
一部の実施形態において、粒子を作製するために使用した材料(例えば、シリコン)は、約40%〜約95%、例えば、約60%〜約80%の多孔度を有してもよい。多孔度とは、本明細書中で使用される場合、材料中の空隙の尺度であり、材料の全体積に対する空間の体積の割合である。特定の実施形態において、担体材料は、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%又はさらに少なくとも約90%の多孔度を有する。特定の実施形態において、多孔度は、約40%超、例えば、約50%超、約60%超又はさらに約70%超である。
【0117】
特定の実施形態において、薬剤は、材料の表面から少なくとも約0.005μm、少なくとも0.05μm、少なくとも約0.1μm、少なくとも約0.2μm、少なくとも約0.3μm、少なくとも約0.4μm、少なくとも約0.5μm、少なくとも約0.6μm又は少なくとも約0.7μmの孔深さに分布する。特定の実施形態において、薬剤は、担体材料の孔に実質的に均一に分布する。
【0118】
薬剤は、粒子の全幅に対する比として測定される深さまで粒子中に充填されてもよい。特定の実施形態において、薬剤は、粒子中の少なくとも約10%、粒子中の少なくとも約20%、粒子中の少なくとも約30%、粒子中の少なくとも約40%、粒子中の少なくとも約50%又は粒子中の少なくとも約60%の深さまで分布する。
【0119】
多孔質粒子上に薬剤を固定するための方法が知られており、粒子の第1の表面に薬剤を固定するため、及び粒子の第2の表面に異なる分子を固定するため(例えば、コーティングするため)の方法(例えば、それぞれがその全体として参照により本明細書に組み込まれるCauda, V.ら、J. Am. Chem. Soc. 131(32):11361〜11370ページ(2009年)及びGuan, B.ら、Langmuir, 27(1):328〜334ページ(2011年)を参照のこと)が含まれる。さらに、そのような方法は、一般に本明細書に記載されている任意の粒子の製造に適用可能である。
【0120】
孔サイズは、生体分子の放出を制御するために薬剤及び標的生体分子の寸法特性に対して予め選択しうる。通常、小さ過ぎる孔サイズは、薬剤の充填及び/又は生体分子の結合を妨げる。例えば、材料に対する平均孔径は、高分子量、例えば、200,000〜500,000amuの分子に対してより大きな孔、例えば、15nm〜40nm、そしてより低分子量、例えば、10,000〜50,0000amuの分子に対してより小さな孔、例えば2nm〜10nmから選択してもよい。例えば、直径で約6nmの平均孔サイズは、分子量およそ14,000〜15,000amu、例えば、約14,700amuの分子に適しうる。分子量およそ45,000〜50,000amu、例えば、約48,000amuの分子に対して直径で約10nmの平均孔サイズが選択されてもよい。分子量およそ150,000nmの分子に対して直径で約25〜30nmの平均孔サイズが選択されてもよい。
【0121】
孔サイズは、薬剤又は生体分子の分子半径と適合するよう予め選択されてもよい。例えば、直径で約25nm〜約40nmの平均孔サイズは、約6nm〜約8nmの大きな分子半径を有する分子に適しうる。分子半径は、任意の適した方法、例えば、X線結晶解析データに基づく分子の物理的寸法を使用すること又は分子の溶液状態サイズを表す流体力学半径を使用することによって算出してもよい。溶液状態の算出は、算出が行われる溶液の性質に依存するため、一部の測定にはX線結晶解析データに基づく分子の物理的寸法を使用するのが好ましい場合もある。本明細書中で使用される場合、最大分子半径は、治療剤の最大寸法の半分を示す。
【0122】
特定の実施形態において、平均孔径は、孔内の分子、例えば、タンパク質の凝集を制限するよう選択される。タンパク質などの生体分子が担体材料中で凝集するのを防ぐのが有利であろう。その理由は、それが分子の生物系への制御放出を妨げると考えられるためである。したがって、孔のサイズと生体分子のサイズとの間の関係により、例えば、常に1つの生体分子だけが孔に入ることを可能にしている孔は、複数の生体分子が一緒に孔に入り、孔内で凝集することを可能にしている孔よりも好ましいことになる。特定の実施形態において、複数の生体分子が孔中に充填されてもよいが、孔の深さのため、この孔の深さ全体に分布したタンパク質はそれ程ではないにせよ凝集することになる。
【0123】
IV.少なくとも1つの管を含む粒子
一部の実施形態において、粒子は、少なくとも1つの管を含む。好適な実施形態において、少なくとも1つの管は、1つの開口端又は2つの開口端を含む。
【0124】
「管」という用語は、軸(例えば、カルテシアン空間における一次元軸)に沿った長さを有する三次元形状と、その形状の長さに沿った内部空洞、腔、空間又はリザーバーを指す。一部の実施形態において、管の軸に沿った垂直断面は、実質的に同一な形状及び/又はサイズを有する。「断面」という用語は、管と関連して使用される場合、管の軸に対して垂直な二次元断面を指す。より大きな構造が管を含んでもよい。例えば、シリンジは管を含むが、管はシリンジプランジャーを含まない。粒子又は他の物体は、2つ以上の管を含んでもよい。例えば、シリンジは、注射針及びシリンジ筒、又はダブルシリンジ(例えば、エポキシ組成物に対して使用される)の平行な筒に対応する2つの管を含んでもよい。
【0125】
管は、管の軸に垂直な線分の平均長である直径を有してもよく、各線分は、管の外側表面上の2点で結ばれている。管は幅と高さを有してもよく、管の幅は、管の軸に対して垂直な管の外側表面上の2点で画定される最長線分であり、管の高さは、管の軸と管の幅を画定する線分の両方に対して垂直な管の外側表面上の2点で画定される線分である。
【0126】
管は、管の軸に対して垂直な線分の平均長である内径を有してもよく、各線分は管の内側表面上の2点で結ばれている。管は内のり幅と内のり高さを有してもよく、管の内のり幅は、管の軸に対して垂直な管の外側表面上の2点で画定される最長線分であり、管の内のり高さは、管の軸と管の幅を画定する線分の両方に対して垂直な管の外側表面上の2点で画定された線分である。
【0127】
管は、実質的に円柱状であってもよい。管は、実質的に円形断面を有してもよい。管の断面は、楕円形、例えば円であってもよい。
【0128】
管の断面は、多角形、例えば、正多角形であってもよい。管の断面は、三角形、例えば、正三角形であってもよい。管の断面は、四角形、例えば、正四角形、長方形又は正方形であってもよい。管の断面は、五角形、例えば、正五角形であってもよい。管の断面は、六角形、例えば、正六角形であってもよい。管は、三角形管、角管、五角形管、六角形管、七角形管又は八角形管であってもよい。
【0129】
管の長さは、約5nm〜約5μm、例えば、約5nm〜約4μm、約5nm〜約3μm、約5nm〜約2μm又は約5nm〜約1μmであってもよい。管の長さは、約50nm〜約5μm、例えば、約50nm〜約4μm、約50nm〜約3μm、約50nm〜約2μm又は約50nm〜約1μmであってもよい。管の長さは、約100nm〜約5μm、例えば、約100nm〜約4μm、約100nm〜約3μm、約100nm〜約2μm又は約100nm〜約1μmであってもよい。管の長さは、約300nm〜約5μm、例えば、約300nm〜約4μm、約300nm〜約3μm、約300nm〜約2μm又は約300nm〜約1μmであってもよい。管の長さは、約500nm〜約5μm、例えば、約500nm〜約4μm、約500nm〜約3μm、約500nm〜約2μm又は約500nm〜約1μmであってもよい。
【0130】
管の直径、幅及び/又は高さは、約5nm〜約5μm、例えば、約5nm〜約4μm、約5nm〜約3μm、約5nm〜約2μm、約5nm〜約1μm、約5nm〜約900nm、約5nm〜約800nm、約5nm〜約700nm、約5nm〜約600nm、約5nm〜約500nm、約5nm〜約400nm、約5nm〜約300nm、約5nm〜約200nm又は約5nm〜約100nmであってもよい。管の直径、幅及び/又は高さは、約50nm〜約5μm、例えば、約50nm〜約4μm、約50nm〜約3μm、約50nm〜約2μm、約50nm〜約1μm、約50nm〜約900nm、約50nm〜約800nm、約50nm〜約700nm、約50nm〜約600nm、約50nm〜約500nm、約50nm〜約400nm、約50nm〜約300nm、約50nm〜約200nm又は約50nm〜約100nmであってもよい。
【0131】
管の内径、内部の幅及び/又は内部の高さは、優先的には、薬剤と生体分子の両方を収容するのに十分大きい。管の内径、内部の幅及び/又は内部の高さは、優先的には、細胞(例えば、有核真核細胞、例えば、有核ヒト細胞又は二倍体ヒト細胞)が管の内側に入るのを阻害するのに十分小さい。管の内径、内部の幅及び/又は内部の高さは、約5nm〜約4μm、例えば、約5nm〜約3μm、約5nm〜約2μm、約5nm〜約1μm、約5nm〜約900nm、約5nm〜約800nm、約5nm〜約700nm、約5nm〜約600nm、約5nm〜約500nm、約5nm〜約400nm、約5nm〜約300nm、約5nm〜約200nm又は約5nm〜約100nmであってもよい。管の内径、内部の幅及び/又は内部の高さは、約20nm〜約4μm、例えば、約20nm〜約3μm、約20nm〜約2μm、約20nm〜約1μm、約20nm〜約900nm、約20nm〜約800nm、約20nm〜約700nm、約20nm〜約600nm、約20nm〜約500nm、約20nm〜約400nm、約20nm〜約300nm、約20nm〜約200nm又は約20nm〜約100nmであってもよい。管の内径、内部の幅及び/又は内部の高さは、約40nm〜約4μm、例えば、約40nm〜約3μm、約40nm〜約2μm、約40nm〜約1μm、約40nm〜約900nm、約40nm〜約800nm、約40nm〜約700nm、約40nm〜約600nm、約40nm〜約500nm、約40nm〜約400nm、約40nm〜約300nm、約40nm〜約200nm又は約40nm〜約100nmであってもよい。
【0132】
ある特定の好適な実施形態において、粒子は、複数の管を含む。複数の管のうちのそれぞれの管は実質的に平行であってもよい。一部の実施形態において、複数の管のうちの少なくとも2つの管は平行ではない。一部の実施形態において、複数の管のうちのいずれの管も平行ではない。管は、粒子の異なる面に対して管の開口部を分布させるように又は粒子を流れ(例えば、層流又は乱流)中に転がらせるように、平行以外の構成で配列されてもよい。
【0133】
複数の管は、格子状又は束状に配列されてもよい。
【0134】
複数の管は、多面体状、例えば、正多面体状に配列されてもよい。複数の管は、四面体状、例えば、正四面体状に配列されてもよい。複数の管は、六面体状、例えば、直方体状、長方体状又は立方体状に配列されてもよい。複数の管は、八面体状、例えば、正八面体状に配列されてもよい。複数の管は、十二面体状、例えば、正十二面体状に配列されてもよい。複数の管は、二十面体状、例えば、正二十面体状に配列されてもよい。一部の実施形態において、多面体のそれぞれの辺は単一の管で画定される。一部の実施形態において、多面体のそれぞれの辺は、決して単一の管で画定されない(例えば、管のそれぞれが実質的に平行である場合)。
【0135】
複数の管は、角錐状、例えば、三角錐状、略菱形錐状、直方錐状、方錐状、五角錐状、六角錐状、七角錐状又は八角錐状に配列されてもよい。複数の管は、直角錐状又は斜角錐状に配列されてもよい。一部の実施形態において、角錐の各辺は単一の管で画定される。一部の実施形態において、角錐のそれぞれの辺は、決して単一の管で画定されない(例えば、管のそれぞれが実質的に平行である場合)。
【0136】
複数の管は、角柱状、例えば、三角柱状、直方柱状、正四角柱状、五角柱状、六角柱状、七角柱状又は八角柱状に配列されてもよい。複数の管は、直角柱状、斜方柱又は切頭角柱状に配列されてもよい。一部の実施形態において、角柱の各辺は単一の管で画定される。一部の実施形態において、角柱のそれぞれの辺は、決して単一の管で画定されない(例えば、管のそれぞれが実質的に平行である場合)。
【0137】
複数の管は、長さ、幅及び高さを有する構成で配列されてもよく、単一の寸法のいずれも任意の他の寸法の5倍を超える大きさではない。例えば、複数の管は、単一の寸法のいずれも任意の他の寸法の4倍を超える大きさではないか又は単一の寸法のいずれも任意の他の寸法の3倍を超える大きさではない構成で配列されてもよい。そのような構成は、粒子が横長であると患者の血流において十分に流れない場合があるので、例えば、粒子の静脈内投与にとって好ましい。
【0138】
複数の管は、長さ及び直径を有する構成で配列されてもよく、その構成の長さはその直径の5倍以下である。複数の管は、構成の長さがその直径の4倍以下であるか、構成の長さがその直径の3倍以下である構成で配列されてもよい。そのような構成は、粒子が横長であると患者の血流において十分に流れない場合があるので、例えば、粒子の静脈内投与にとって好ましい。
【0139】
粒子は、1〜500個の管、例えば、1〜100個の管を含んでもよい。粒子は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、330、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、50、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、又は100個の管を含んでもよい。
【0140】
複数の管は、1〜500個の管、例えば、1〜100個の管を含んでもよい。複数の管は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、330、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、50、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、又は100個の管を含んでもよい。
【0141】
複数の管のうちのそれぞれの管は同じ長さを有してもよく、又は複数の管のうちの異なる管は異なる長さを有してもよい。管の平均長は、約5nm〜約5μm、例えば、約5nm〜約4μm、約5nm〜約3μm、約5nm〜約2μm又は約5nm〜約1μmであってもよい。管の平均長は、約50nm〜約5μm、例えば、約50nm〜約4μm、約50nm〜約3μm、約50nm〜約2μm又は約50nm〜約1μmであってもよい。管の平均長は、約100nm〜約5μm、例えば、約100nm〜約4μm、約100nm〜約3μm、約100nm〜約2μm又は約100nm〜約1μmであってもよい。管の平均長は、約300nm〜約5μm、例えば、約300nm〜約4μm、約300nm〜約3μm、約300nm〜約2μm又は約300nm〜約1μmであってもよい。管の平均長は、約500nm〜約5μm、例えば、約500nm〜約4μm、約500nm〜約3μm、約500nm〜約2μm又は約500nm〜約1μmであってもよい。
【0142】
複数の管のうちのそれぞれの管は同じ直径、幅及び/若しくは高さを有してもよく、又は複数の管のうちの異なる管は異なる直径、幅及び/若しくは高さを有してもよい。管の平均径、幅及び/又は高さは、約5nm〜約5μm、例えば、約5nm〜約4μm、約5nm〜約3μm、約5nm〜約2μm、約5nm〜約1μm、約5nm〜約900nm、約5nm〜約800nm、約5nm〜約700nm、約5nm〜約600nm、約5nm〜約500nm、約5nm〜約400nm、約5nm〜約300nm、約5nm〜約200nm又は約5nm〜約100nmであってもよい。管の平均径、幅及び/又は高さは、約50nm〜約5μm、例えば、約50nm〜約4μm、約50nm〜約3μm、約50nm〜約2μm、約50nm〜約1μm、約50nm〜約900nm、約50nm〜約800nm、約50nm〜約700nm、約50nm〜約600nm、約50nm〜約500nm、約50nm〜約400nm、約50nm〜約300nm、約50nm〜約200nm又は約50nm〜約100nmであってもよい。
【0143】
複数の管のうちのそれぞれの管は同じ内径、内部の幅及び/若しくは内部の高さを有してもよく、複数の管のうちの異なる管は異なる内径、内部の幅及び/若しくは内部の高さを有してもよい。管の平均内径、内部の幅及び/又は内部の高さは、約5nm〜約4μm、例えば、約5nm〜約3μm、約5nm〜約2μm、約5nm〜約1μm、約5nm〜約900nm、約5nm〜約800nm、約5nm〜約700nm、約5nm〜約600nm、約5nm〜約500nm、約5nm〜約400nm、約5nm〜約300nm、約5nm〜約200nm又は約5nm〜約100nmであってもよい。管の平均内径、内部の幅及び/又は内部の高さは、約20nm〜約4μm、例えば、約20nm〜約3μm、約20nm〜約2μm、約20nm〜約1μm、約20nm〜約900nm、約20nm〜約800nm、約20nm〜約700nm、約20nm〜約600nm、約20nm〜約500nm、約20nm〜約400nm、約20nm〜約300nm、約20nm〜約200nm又は約20nm〜約100nmであってもよい。管の平均内径、内部の幅及び/又は内部の高さは、約40nm〜約4μm、例えば、約40nm〜約3μm、約40nm〜約2μm、約40nm〜約1μm、約40nm〜約900nm、約40nm〜約800nm、約40nm〜約700nm、約40nm〜約600nm、約40nm〜約500nm、約40nm〜約400nm、約40nm〜約300nm、約40nm〜約200nm又は約40nm〜約100nmであってもよい。
【0144】
管は、例えば、ポリマーを含んでもよい。ポリマーは、天然に存在するポリマー又は合成ポリマーであってもよい。ポリマーは、例えば、核酸(例えば、DNA)又はタンパク質であってもよい。
【0145】
V.DNA足場を含む粒子
一部の実施形態において、粒子はDNA足場を含み、例えば、粒子はDNAオリガミ足場を含んでもよい(例えば、それぞれが参照により本明細書に組み込まれる米国特許第8,554,489号及び同第7,842,793号;米国特許出願公開第2013/0224859号及び同第2010/0216978号;並びにPCT特許出願公開第2014/170898号を参照のこと)。
【0146】
粒子はDNA足場を含んでもよく、DNA足場は、本明細書に記載されている少なくとも1つの管又は複数の管を含んでもよい。例えば、DNA足場は少なくとも1つの実質的に六角形の管を含んでもよい(例えば、参照により本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第2013/0224859を参照のこと)。
【0147】
DNA足場は、ハニカム又は格子、例えば六角格子又は正方格子を含んでもよい(例えば、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第8,554,489号を参照のこと)。
【0148】
一部の実施形態において、粒子はDNA足場を含み、DNA足場は管を含まない。例えば、DNA足場は三次元形状、例えば、多面体を含んでもよく、薬剤はその形状の内部表面に固定されてもよい。
【0149】
DNA足場は、多面体、例えば、正多面体を含んでもよい。DNA足場は四面体、例えば、正四面体を含んでもよい。DNA足場は六面体、例えば、直方体、長方体又は立方体を含んでもよい。DNA足場は八面体、例えば、正八面体を含んでもよい。DNA足場は十二面体、例えば、正十二面体を含んでもよい。DNA足場は二十面体、例えば、正二十面体を含んでもよい。
【0150】
DNA足場は、角錐、例えば、三角錐、略菱形錐、四角錐、正四角錐、五角錐、六角錐、七角錐又は八角錐状を含んでもよい。DNA足場は、直角錐又は斜角錐を含んでもよい。
【0151】
DNA足場は、角柱、例えば、三角柱、直方柱、正四角柱、五角柱、六角柱、七角柱又は八角柱を含んでもよい。DNA足場は、直角柱、斜方柱又は切頭角柱を含んでもよい。
【0152】
DNA足場は長さ、幅及び高さを含んでもよく、単一の寸法のいずれも任意の他の寸法の5倍を超える大きさではない。例えば、単一の寸法のいずれも任意の他の寸法の4倍を超える大きさではないか又は単一の寸法のいずれも任意の他の寸法の3倍を超える大きさではない。そのような構成は、粒子が横長であると患者の血流において十分に流れない場合があるので、例えば、粒子の静脈内投与にとって好ましい。
【0153】
一部の実施形態において、薬剤は、DNA足場に固定される。一部の実施形態において、薬剤は、DNA足場上のヌクレオチド配列と相補的なヌクレオチド配列を含む核酸に結合される、すなわち、ヌクレオチド配列は、DNA足場のヌクレオチド配列の逆相補鎖と少なくとも約95%、96%、97%、98%、99%又は100%の配列同一性を有する。よって、薬剤を、核酸をDNA足場にハイブリダイズさせることによって粒子の表面に固定することができる。
【0154】
VI.シールドを含む粒子
粒子は、コアサブ粒子及びシールドを含んでもよく、例えば、シールドは、コアサブ粒子に結合した生体分子が細胞表面にある分子と相互作用することを阻害する。シールドは、複数のシールド構成成分を含んでもよい。コアサブ粒子は、シリカを含んでもよい。例えば、コアサブ粒子は、シリカ表面を含んでもよい。コアサブ粒子は、金、ケイ素又はポリマーを含んでもよい。例えば、コアサブ粒子は、金、ケイ素又はポリマー表面を含んでもよい。
【0155】
内側コアサブ粒子を含み、コアサブ粒子に結合した複数のシールド構成成分を含むシールドを有する粒子は、シリカ表面、例えば固体シリカサブ粒子、多孔質シリカサブ粒子又はノンシリカ内部を有するシリカナノシェルを含むコアサブ粒子を含んでもよい。コアサブ粒子は、シリカでコーティングされたノンシリカコア材料、例えば、ケイ素又は金を含んでもよい。シールド構成成分は、コアサブ粒子より小さいシールドサブ粒子、例えば、ナノスフィアの形態であってもよく、シリカ又は異なる材料、例えば、金又はポリマーを含んでもよい。コアサブ粒子の表面の及びシールド構成成分の材料は、異なるカップリング化学を、表面にさらなる構成成分又は種をカップリングさせるために使用させるように、異なるように選択されてもよい。
【0156】
薬剤は、コアサブ粒子の表面にもたらされてもよいが、シールド構成成分の表面にはより少ない程度までもたらされるか、又は、好ましくは、まったくもたらされない。例えば、薬剤は、優先的に(又は排他的に)シリカコアサブ粒子と形成するのであって、例えばシリカ表面の代わりに金表面を有する、シールドサブ粒子とは形成しない結合(例えば、イオン性、共有結合性又は静電気的相互作用)によってシリカコアサブ粒子の表面に結合してもよい。
【0157】
一部の実施形態において、そのような粒子はシリカコア、例えば、実質的に球形のシリカコア、及びシリカコアの表面に複数の金ナノ粒子を含むシールド(金ナノ粒子は、コアの断面寸法、例えば、コアの直径より小さい断面寸法を有する)を含んでもよい。金ナノ粒子は、実質的に球形であってもよい。コアサブ粒子は、中実(solid)であり且つ非多孔質であってもよく、又は多孔質表面を有してもよい。シリカコア及びコア上の金ナノ粒子の形成は、例えば、米国特許第6,344,272号、Sadtler及びWei、Chem. Comm. 1604〜5ページ(2002年);Meuhligら、ACS Nano、5(8):6586〜6592ページ(2011年)(それらのそれぞれがその全体において参照により本明細書に組み込まれる)に記載されているように実現されうる。例えば、金ナノ粒子は、静電引力によってアミンでコーティングされたシリカコア上に吸着される場合があり、又はシリカ表面にコンジュゲートされ、その後、金ナノ粒子の金表面に結合されるチオール基を有するシリカコアに連結される場合がある。
【0158】
コアサブ粒子は、50nm〜4μm、例えば、50nm〜200nm、100nm〜500nm、200nm〜1μm又は500nm〜4μmの断面寸法、例えば、球形又は円柱状のサブ粒子の直径を有してもよい。
【0159】
粒子は、コアサブ粒子の直径及びシールドサブ粒子の直径の範囲からアセンブルされてもよい。生体分子を捕捉するために利用可能なコアサブ粒子の表面積は、シールドサブ粒子の直径、及び表面への標的/薬剤複合体の結合に必要なコアサブ粒子の表面より上の有効高さ(表面と捕捉剤の間の表面より上の有効な範囲を含む)に左右される場合がある。
【0160】
コアサブ粒子に結合することができる薬剤の数は、サブ粒子の表面積に対して計算されてもよい。類似して、コアサブ粒子に結合することができる標的生体分子の数は、同様に計算されてもよい。そのような計算は、例えば、タンパク質結合のインビトロ研究によって確認されてもよく、選択された数の標的生体分子を捕捉するのに必要とされる可能性のある粒子の用量(又は、一部の実施形態において、系、例えば、インビトロ系から又は疾患の治療において患者の血液循環からいくつかの標的生体分子を除去するか又は標的生体分子の濃度を低減させるための粒子又は粒子を含有する製剤の有効用量)を予測するために使用されてもよい。
【0161】
粒子は、0.01μm2〜50μm2、例えば、0.01μm2〜0.1μm2、0.05μm2〜0.5μm2、0.1μm2〜1.0μm2、0.5μm2〜5μm2、1.0μm2〜10μm2、5μm2〜25μm2又は10μm2〜50μm2の標的の捕捉のために利用可能な表面積を含んでもよい。コアサブ粒子表面の単位面積当たりの薬剤の選択された負荷として、粒子の最大用量は、コア及びシールドサブ粒子の直径に対して所望量の標的生体分子を捕捉するのに適するように確立されうる。
【0162】
シールドサブ粒子の断面寸法、例えば、直径は、コア粒子の断面寸法、例えば、直径の倍数であってもよい。倍数は、例えば、0.01〜0.5、例えば、0.02〜0.2、例えば、0.05〜0.1であってもよい。
【0163】
標的生体分子の薬剤への有効なアクセスとして、標的は、コアサブ粒子の表面にある薬剤に到達するために、シールド構成成分間を拡散することができなければならない。例えば、100kDa未満の標的(例えば、sTNF-R1/2)は、直径40nm以上のシールド球体間を容易に拡散することができるサイズを有する。より小さいシールド球体として、球体間の有効な孔長は短く、よって、40nm未満のシールド球体は、同様に、拡散を妨げる可能性は低い。
【0164】
VII.サブ粒子を含む粒子
一部の実施形態において、粒子は、コアサブ粒子及び複数の保護サブ粒子を含んでもよい。粒子はシールドを含んでもよく、シールドは複数の保護サブ粒子を含んでもよい。薬剤は、例えば、コアサブ粒子の表面が内側表面であるコアサブ粒子の表面に固定されてもよい。複数の保護サブ粒子は、例えば、生体分子が粒子に結合している場合、生体分子と特異的結合ペアの第2のメンバーとの相互作用を阻害するように構成されてもよい。複数の保護サブ粒子は、例えば、生体分子が粒子に結合している場合、生体分子と細胞、例えば、哺乳類細胞との間の相互作用を阻害するように構成されてもよい。
【0165】
保護サブ粒子は、外側表面を画定してもよい。好適な実施形態において、薬剤は、保護サブ粒子の表面に固定されない。
【0166】
コアサブ粒子は、2分子以上の薬剤に結合するのに十分大きいことが好ましい。例えば、コアサブ粒子は、約20nm〜約4μmのサイズ、例えば、約50nm〜約2μmのサイズであってもよい。コアサブ粒子は、約100nm〜約1000nm、約100nm〜約800nm、約100nm〜約600nm、約100nm〜約400nm、約100nm〜約200nm、約200nm〜約1000nm、約200nm〜約800nm、約200nm〜約600nm、約200nm〜約400nm、約400nm〜約1000nm、約400nm〜約800nm、約400nm〜約600nm、約600nm〜約1000nm、又は約600nm〜約800nmのサイズであってもよい。コアサブ粒子は、約100nm〜約4μm、100nm〜約3μm、100nm〜約2μm、約200nm〜約4μm、200nm〜約3μm、200nm〜約2μm、約400nm〜約4μm、400nm〜約3μm、400nm〜約2μm、約600nm〜約4μm、600nm〜約3μm、600nm〜約2μm、約800nm〜約4μm、800nm〜約3μm、or 800nm〜約2μmのサイズであってもよい。
【0167】
コアサブ粒子は、金属、金、アルミナ、ガラス、シリカ、ケイ素、デンプン、アガロース、ラテックス、プラスチック、ポリアクリルアミド、メタクリレート、ポリマー又は核酸を含んでもよい。一部の実施形態において、コアサブ粒子は、ケイ素、例えば、多孔質ケイ素を含む。
【0168】
コアサブ粒子は、任意の形状(例えば、立方体、角錐、円錐、球形、円柱、円板、四面体、六面体、八面体、十二面体又は二十面体の)であってもよく、又はコアサブ粒子は、画定された形態を欠いていてもよい。
【0169】
粒子は、1つのコアサブ粒子を含んでもよい。例えば、コアサブ粒子は、複数の保護サブ粒子にさらに結合される、米国特許第7,368,295号又は同第8,920,625号(そのそれぞれはその全体が参照により本明細書に組み込まれる)の粒子であってもよい。
【0170】
粒子は、複数のコアサブ粒子、例えば、2〜300個のコアサブ粒子、2〜200個のコアサブ粒子、2〜150個のコアサブ粒子、2〜100個のコアサブ粒子、2〜80個のコアサブ粒子又は2〜42個のコアサブ粒子を含んでもよい(図4及び5を参照のこと)。粒子が複数のコアサブ粒子を含む実施形態において、コアサブ粒子のそれぞれは、優先的には、実質的に球形である。複数の球形のコアサブ粒子を含む粒子は空間を許容し、それによって粒子の内部を通過する可溶性生体分子の拡散を可能にする。それにもかかわらず、さまざまな他の形状のコアサブ粒子は空間を許容する場合がある。複数のコアサブ粒子を含む粒子は、異なる形状及びサイズのコアサブ粒子を含んでもよい。
【0171】
粒子は、1〜約106個のコアサブ粒子、1〜約105個のコアサブ粒子、1〜約104個のコアサブ粒子、1〜約1000個のコアサブ粒子、1〜約100個のコアサブ粒子又は1〜約10個のコアサブ粒子を含んでもよい。粒子は、2〜約106個のコアサブ粒子、2〜約105個のコアサブ粒子、2〜約104個のコアサブ粒子、2〜約1000個のコアサブ粒子、2〜約100個のコアサブ粒子又は2〜約10個のコアサブ粒子を含んでもよい。粒子は、約10〜約106個のコアサブ粒子、約10〜約105個のコアサブ粒子、約10〜約104個のコアサブ粒子、約10〜約1000個のコアサブ粒子又は約10〜約100個のコアサブ粒子を含んでもよい。
【0172】
コアサブ粒子は孔を含んでもよく、すなわち、コアサブ粒子は多孔質であってもよい。
【0173】
保護サブ粒子は、金属、金、アルミナ、ガラス、シリカ、ケイ素、デンプン、アガロース、ラテックス、プラスチック、ポリアクリルアミド、メタクリレート、ポリマー又は核酸を含んでもよい。
【0174】
一部の実施形態において、複数の保護サブ粒子のうちのそれぞれの保護サブ粒子は、コアサブ粒子に係留される。一部の実施形態において、複数の保護サブ粒子のうちの一部の保護サブ粒子はコアサブ粒子に係留されており、コアサブ粒子に直接係留されていない複数のうちのそれぞれの保護サブ粒子は保護サブ粒子に係留されており、すなわち、その結果、その複数のうちのそれぞれの保護サブ粒子はコアサブ粒子に直接的又は間接的に係留されている。よって、粒子は単層の保護サブ粒子を含んでもよく(例えば、実質的にすべての保護サブ粒子が1つ以上のサブ粒子に直接係留されている)か、又は粒子は2つ以上の層の保護サブ粒子を含んでもよい(例えば、保護サブ粒子の実質一部が、他の保護サブ粒子との直接的な連結を介して1つ以上のコアサブ粒子に間接的に係留されている)。
【0175】
一部の実施形態において、粒子は、第1の材料を含む保護サブ粒子の第1の層及び第2の材料を含む保護サブ粒子の第2の層を含む。例えば、第1の材料はシリカ又はケイ素を含んでもよく、第2の材料は金を含んでもよい。粒子は、例えば、サブ粒子の第1の層のサブ粒子を1つ以上のコアサブ粒子に連結させた後、サブ粒子の第2の層のサブ粒子をサブ粒子の第1の層に連結させることによってアセンブルされてもよい。第2の層のサブ粒子は、コアサブ粒子(複数可)と同様の表面を含んでもよく、例えば、それによって第1の層のサブ粒子をコアサブ粒子(複数可)と第2の層のサブ粒子の両方に、同様の化学を使用して連結させることができる。
【0176】
粒子は、交互積層法を使用してアセンブルされてもよい。例えば、粒子は、最初に複数のコアサブ粒子を連結させることによって形成されてもよい。複数のコア粒子は、実質的に均質であり、例えば、その結果、連結分子がコアサブ粒子に架橋する場合がある。複数のサブ粒子は、例えば、粒子内の所望の特徴、例えば、空間を許容する異なる形状、サイズ及び/又は表面を有する少なくとも2つのタイプのサブ粒子を含んでもよい。複数のコアサブ粒子の連結後、複数の保護サブ粒子を複数のコアサブ粒子に連結させてもよい。複数の保護サブ粒子をコアサブ粒子に連結させた後、第2の複数の保護サブ粒子を複数の保護サブ粒子に連結させてもよい。それにもかかわらず、粒子は多くの異なる方法でアセンブルされてもよく、多くの異なる交互積層戦略を粒子の所望の特性及びサブ粒子を連結させるために利用する所望の化学によって用いることができる。
【0177】
インビボでの使用のための抗体を含むサブ粒子を架橋するための方法を含む、サブ粒子を架橋するための方法が知られている(例えば、その全体において参照により本明細書に組み込まれるCheng, K.ら、ACS Appl Mater Interfaces 2(9):2489〜2495ページ(2010年)を参照のこと)。そのような方法は、例えば、サブ粒子の相対的サイズを単に変更するだけで、本明細書に記載されている粒子を生成するために採用されうる。
【0178】
保護サブ粒子は、約10nm〜約4μmのサイズ、例えば、約10nm〜約1μmのサイズ又は約20nm〜約500nmのサイズであってもよい。保護サブ粒子は、約10nm〜約200nm、10nm〜約100nm、約10nm〜約80nm、約10nm〜約60nm、約10nm〜約40nm、約10nm〜約20nm、20nm〜約200nm、約20nm〜約100nm、約20nm〜約80nm、約20nm〜約60nm、約20nm〜約40nm、30nm〜約200nm、約40nm〜約100nm、約40nm〜約80nm、約40nm〜約60nm、60nm〜約200nm、約60nm〜約100nm又は約60nm〜約80nmのサイズであってもよい。保護サブ粒子は、約100nm〜約1000nm、約100nm〜約800nm、約100nm〜約600nm、約100nm〜約400nm、約100nm〜約200nm、約200nm〜約1000nm、約200nm〜約800nm、約200nm〜約600nm、約200nm〜約400nm、約400nm〜約1000nm、約400nm〜約800nm、約400nm〜約600nm、約600nm〜約1000nm又は約600nm〜約800nmのサイズであってもよい。保護サブ粒子は、約100nm〜約4μm、約100nm〜約3μm、約100nm〜約2μm、約200nm〜約4μm、約200nm〜約3μm、約200nm〜約2μm、約400nm〜約4μm、約400nm〜約3μm、約400nm〜約2μm、約600nm〜約4μm、約600nm〜約3μm、約600nm〜約2μm、約800nm〜約4μm、約800nm〜約3μm又は約800nm〜約2μmのサイズであってもよい。
【0179】
粒子は、1〜約106個の保護サブ粒子、約4〜約106個の保護サブ粒子、約10〜約106個の保護サブ粒子、1〜約105個の保護サブ粒子、約4〜約105個の保護サブ粒子、約10〜約105個の保護サブ粒子、1〜約104個の保護サブ粒子、約4〜約104個の保護サブ粒子、約10〜約104個の保護サブ粒子、1〜約1000個の保護サブ粒子、約4〜約1000個の保護サブ粒子、約10〜約1000個の保護サブ粒子、1〜約100個の保護サブ粒子、約4〜約100個の保護サブ粒子又は約10〜約100個の保護サブ粒子を含んでもよい。
【0180】
コアサブ粒子及び保護サブ粒子は、同様又は同一の形状、サイズ及び組成を有してもよく又は有さなくてもよい。それにもかかわらず、コアサブ粒子は、(1)薬剤がコアサブ粒子に固定されてもよいが、薬剤は、優先的には、保護サブ粒子に固定されない、且つ(2)コアサブ粒子は、優先的には、粒子の内部に位置するが、保護サブ粒子は粒子の外側表面に存在してもよいため、保護サブ粒子とは異なる。
【0181】
VIII.実質的に2次元の粒子
粒子は、2次元形状であってもよい。例えば、粒子は、円形、環形、十字形、フィッシュボーン形、楕円形、三角形、四角形、五角形、六角形、七角形、八角形又は星形であってもよい。粒子は星形であってもよく、星形は凹六角形、凹八角形、凹十角形又は凹十二角形であってもよい。形状は、規則形状であっても不規則形状であってもよい。実質的に2次元の粒子の例を図6に示す。
【0182】
一部の実施形態において、粒子は、第1の側面、第2の側面及び辺を含む。第1の側面及び第2の側面は実質的に同じ形状であってもよい。第1の側面及び第2の側面は、長さ及び幅を含んでもよい。辺は、第1の側面と第2の側面の間の距離である高さを画定してもよい。幅と長さは、高さの少なくとも4倍、例えば、高さの4〜1000倍の大きさ、6〜100倍の大きさ、8〜75倍の大きさ又は10〜50倍の大きさであってもよい。幅及び/又は長さは、高さの0.2倍〜約20倍の大きさであってもよい。
【0183】
辺は、1つ以上の凹部又は凹み部分を含んでもよい。薬剤は、辺の凹部又は凹み部分に結合してもよい。凹み部分は、粒子の周囲が、2つの隣接する周囲部分をそれらの間の外角が270度超で含むもの、例えば星形の点のいずれかの側である。このように、捕捉剤は、粒子と接触した細胞の膜との接触から保護されてもよい。
【0184】
一部の実施形態において、第1の側面及び/又は第2の側面は、実質的に平面である。一部の実施形態において、第1の側面及び/又は第2の側面は、凹部又は凹み部分を含む。
【0185】
一部の実施形態において、粒子は、実質的に、例えば、点の間に凹み部分を有する平らな星形の形態である。星形は、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16又はそれより多い点を有してもよい。粒子は、規則的な側面又は不規則な側面を含んでもよい。
【0186】
一部の実施形態において、粒子は、例えば、アーム(アーム間に凹み表面部分を画定する骨格から外側に向かってそれぞれの側に伸びる)を有する骨格を含む十字形又はフィッシュボーン形の形態である。十字形又はフィッシュボーン形のアームは、側面の突起物をさらに含んでもよい。
【0187】
星形の点の間の凹んだ辺又は十字形若しくはフィッシュボーン形のアームは、細胞膜が点の間で変形して辺と接触できなくならないように、点を接合する線から一定の距離伸びていることが好ましい。例えば、点の数及び点の間の角度は、点の間の凹んだ辺部分の深さを決定することができる。
【0188】
本発明における使用に適する粒子は、ナノファブリケーション、例えば、ナノプリント又はナノモールドによって形成されてもよい。例えば、粒子は、PRINT(「Particle Replication In Non-wetting Templates」)方法によって製造されてもよい(例えば、それぞれが参照により本明細書に組み込まれる国際特許出願第WO2007/024323号;Perry, J. L.ら、Acc Chem Res. 44(10):990〜998ページ(2011年)を参照のこと)。粒子は、公知の方法を使用して写真平板法によって製造されてもよい。
【0189】
一部の実施形態において、薬剤は、粒子の辺に固定されてもよく、又は粒子の第1の側面及び第2の側面で、固定されないか若しくはより少ない程度まで固定されてもよい。
【0190】
一部の実施形態において、粒子当たりの望ましい表面積は、0.2〜25μm2の範囲内である。ナノモールドによって製作することができる粒子の保護された辺部分の面積は、したがって、望ましい範囲内にある。
【0191】
IX.薬剤
一部の実施形態において、粒子の表面に固定された薬剤は、小分子、大員環化合物、ポリペプチド、ペプチド模倣化合物、アプタマー、核酸又は核酸類似体である。「小分子」は、本明細書中で使用される場合、約6kDa未満、最も好ましくは約2.5kDa未満の分子量を有する薬剤を言及することが意図される。多くの製薬会社は、しばしば真菌、細菌又は藻類抽出物である、多数の小分子を含む化学的及び/又は生物学的混合物の広範囲なライブラリーを有し、これは、本出願のアッセイのいずれかを用いてスクリーニングすることができる。本出願は、特に、小さな化学物質ライブラリー、ペプチドライブラリー又は天然物の集合を使用することを意図する。Tanらは、小型化された細胞ベースのアッセイに適合した2百万を超える合成化合物を有するライブラリーについて記載した(J Am Chem Soc 120:8565〜8566ページ(1998年))。
【0192】
ペプチド模倣物は、対象ポリペプチドの少なくとも一部が変更されているが、ペプチド模倣物の三次元構造は、依然として対象ポリペプチドの三次元構造と実質的に同じままである化合物であってもよい。ペプチド模倣物は、本開示の対象ポリペプチドの類似体であってもよく、それは、それ自体が対象ポリペプチド配列内に1つ以上の置換又はその他の改変を含むポリペプチドである。或いは、対象ポリペプチド配列の少なくとも一部は、対象ポリペプチドの三次元構造が実質的に保持されるよう非ペプチド構造で置換されてもよい。言い換えると、対象ポリペプチド配列内の1つ、2つ又は3つのアミノ酸残基は、非ペプチド構造によって置換されてもよい。さらに、対象ポリペプチドの他のペプチド部分が非ペプチド構造で置換されてもよいが、その必要はない。ペプチド模倣物(ペプチド及び非ペプチジル類似体の両方)は、改善された特性(例えば、低減されたタンパク質分解、増加した残留率又は増加したバイオアベイラビリティ)を有してもよい。ペプチド模倣物は、一般に、それをとりわけヒト又は動物の治療に適したものにする改善された経口有効性を有する。ペプチド模倣物は、類似した二次元の化学構造を有してもよく、又は有していなくてもよいが、共通の三次元構造的特徴及び形状を共有することに留意すべきである。各ペプチド模倣物は、1つ以上の特有の付加的な結合要素をさらに有してもよい。
【0193】
アプタマーは、細胞表面タンパク質を含むほぼ任意の分子を認識し、それと特異的に結合するために使用することができる短いオリゴヌクレオチド配列である。試験管内進化(systematic evolution of ligands by exponential enrichment)(SELEX)法は効果的であり、これを使用してそのようなアプタマーを容易に特定することができる。治療及び診断法に重要な成長因子及び細胞表面抗原などの広い範囲のタンパク質に対してアプタマーを作製することができる。これらのオリゴヌクレオチドは、抗体が結合するのと同様の親和性及び特異性でそれらの標的と結合する(例えば、Ulrich (2006年) Handb Exp Pharmacol 173:305〜326ページを参照のこと)。
【0194】
薬剤は、抗体又はその抗原結合部分(すなわち、抗体断片)であってもよく、抗体又はその抗原結合部分は、標的(例えば、可溶性生体分子)に特異的に結合する。薬剤は、抗体又はその抗原結合部分を含んでもよく、抗体又はその抗原結合部分は、標的(例えば、可溶性生体分子)に特異的に結合する。「抗体」という用語は、さまざまなアイソタイプの抗体、例えば、IgM、IgG、IgA、IgD及びIgE抗体を含む全抗体を指す。「抗体」という用語は、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、キメラ化又はキメラ抗体、ヒト化抗体、霊長類化抗体(primatized antibody)、脱免疫化抗体(deimmunized antibody)及び完全ヒト抗体を含む。抗体は、さまざまな種、例えば、ヒト、非ヒト霊長類(例えば、オラウータン、ヒヒ若しくはチンパンジー)、ウマ、ウシ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、イヌ、ネコ、ウサギ、モルモット、スナネズミ、ハムスター、ラット及びマウスなどの哺乳動物において作製されても、又はそれ由来であってもよい。抗体は、精製されてもよく、又は組み換え抗体であってもよい。
【0195】
「抗体断片」、「生体分子結合断片」「抗体の抗原結合部分」という用語及び同様の用語は、標的抗原に結合する能力を保持する抗体の断片を指す。そのようなフラグメントとしては、例えば、単鎖抗体、単鎖Fvフラグメント(scFv)、Fdフラグメント、Fabフラグメント、Fab'フラグメント又はF(ab')2フラグメントが挙げられる。scFvフラグメントは、scFvが由来する抗体の重鎖可変領域及び軽鎖可変領域の両方を含む単一のポリペプチド鎖である。さらに、細胞内抗体、ミニボディ、トリアボディ(triabody)及びダイアボディ(diabody)も抗体の定義に含まれ、本明細書に記載されている方法における使用に適合する(例えば、それぞれの開示の全体を参照によって本明細書に組み込んだものとするTodorovskaら、J Immunol Methods 248(1):47〜66ページ(2001年)、Hudson及びKortt、J Immunol Methods 231(1):177〜189ページ(1999年)、Poljak、Structure 2(12):1121〜1123ページ(1994年)、Rondon及びMarasco、Annual Review of Microbiology 51:257〜283ページ(1997年)を参照のこと)。二重特異性抗体(DVD-Ig抗体を含む)も「抗体」という用語に包含される。二重特異性抗体は、少なくとも2つの異なる抗原に対する結合特異性を有するモノクローナル抗体、好ましくはヒト抗体又はヒト化抗体である。
【0196】
本明細書において使用されるとおり、「抗体」という用語は、例えば、ラクダ化(camelized)単一ドメイン抗体などの単一ドメイン抗体も含む。例えば、そのすべてが参照によってその全体を本明細書に組み込んだものとされるMuyldermansら、Trends Biochem Sci 26:230〜235ページ(2001年)、Nuttallら、Curr Pharm Biotech 1:253〜263ページ(2000年)、Reichmannら、J Immunol Meth 231:25〜38ページ(1999年)、PCT出願公開第WO94/04678号及び同第WO94/25591号並びに米国特許第6,005,079号、同第6,015,695号及び同第7,794,981号を参照のこと。一部の実施形態において、本開示は、単一ドメイン抗体が形成されるような改変を含む2つのVHドメインを含む単一ドメイン抗体を提供する。
【0197】
一部の実施形態において、薬剤は、非抗体足場タンパク質(non-antibody scaffold protein)である。これらのタンパク質は、一般に既存のリガンド結合タンパク質又は抗原結合タンパク質のコンビナトリアルケミストリーベースの適合により得られる。例えば、ヒトトランスフェリン受容体に対するヒトトランスフェリンの結合部位は、コンビナトリアルケミストリーを使用して改変して、トランスフェリン変異体の種々のライブラリーを作り出すことができ、その一部は、異なる抗原に対する親和性を獲得している(Aliら、J Biol Chem 274:24066〜24073ページ(1999年)を参照のこと)。受容体との結合に関与しないヒトトランスフェリンの部分は、変わらないまま残され、抗体のフレームワーク領域のように足場として働いて、さまざまな結合部位を提示する。ライブラリーは、抗体ライブラリーと同様に、その後、標的抗原に対して最適な選択性及び親和性を有するそれらの変異体を特定するために、目的とする標的抗原に対してスクリーニングされる。非抗体足場タンパク質は、機能は抗体と類似しているが、抗体と比較して多くの利点を有するとよく言われており、その利点としては、特に、向上した溶解性及び組織浸透性、より安価な製造並びに目的とする他の分子との結合の容易さが挙げられる(Heyら、TRENDS Biotechnol 23(10):514〜522ページ(2005年)を参照のこと)。
【0198】
当業者は、非抗体足場タンパク質の足場部分が、例えば、黄色ブドウ球菌(S. aureus)プロテインAのZドメイン、ヒトトランスフェリン、10番目のヒトフィブロネクチンIII型ドメイン、ヒトトリプシンインヒビターのkunitzドメイン、ヒトCTLA-4、アンキリンリピートタンパク質、ヒトリポカリン、ヒトクリスタリン、ヒトユビキチン若しくはテッポウユリ(E. elaterium)由来のトリプシンインヒビターのすべて又は一部を含んでもよいことを理解するであろう(Heyら、TRENDS Biotechnol 23(10):514〜522ページ(2005年)を参照のこと)。
【0199】
一部の実施形態において、薬剤は、標的生体分子の天然のリガンドである。例えば、薬剤は、サイトカインであってもよい。本明細書中で使用される場合、「サイトカイン」という用語は、細胞の機能に影響を及ぼすあらゆる分泌ポリペプチドを指し、免疫反応、炎症反応又は造血反応における細胞間の相互作用を調節する分子である。サイトカインとしては、以下に限定されるものではないが、どの細胞が産生したかにかかわらず、モノカイン及びリンホカインが挙げられる。例えば、モノカインは、一般にマクロファージ及び/又は単球などの単核細胞によって産生され、分泌されると言われている。しかしながら、ナチュラルキラー細胞、線維芽細胞、好塩基球、好中球、内皮細胞、脳星状細胞、骨髄間質細胞、表皮角化細胞及びBリンパ球などの多くの他の細胞もモノカインを産生する。リンホカインは、一般にリンパ球細胞によって産生されると言われる。サイトカインの例としては、インターロイキン-1(IL-1)、インターロイキン-2(IL-2)、インターロイキン-6(IL-6)、インターロイキン-8(IL-8)、腫瘍壊死因子アルファ(TNFα)及び腫瘍壊死因子ベータ(TNFβ)が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0200】
一部の実施形態において、薬剤は、腫瘍壊死因子(TNF)ファミリーのリガンドであり、例えば、TNFファミリーのリガンドは、TNFα、TNFβ、Fasリガンド、リンホトキシン、リンホトキシンアルファ、リンホトキシンベータ、4-1BBリガンド、CD30リガンド、EDA-A1、LIGHT(TNFSF14)、TNF-様リガンド1A(TL1A)、アポトーシスのTNF-関連弱誘導体(TWEAK)及びTNF-関連アポトーシス誘導リガンド(TRAIL)から選択される。薬剤は、CD40リガンド、CD27リガンド、OX40リガンド、B-細胞活性因子(BAFF;TNFSF13B;BLYS)、エクトジスプラシンA(EDA)、活性化誘発性TNFRファミリー受容体リガンド(AITRL)、血管内皮細胞増殖因子(VEGI)、増殖誘導リガンド(APRIL)又は核因子カッパ-Bリガンドの受容体活性剤(RANKL)であってもよい。一部の実施形態において、標的は、TNFα、TNFβ、Fasリガンド、リンホトキシン、リンホトキシンアルファ、リンホトキシンβ、4-1BBリガンド、CD30リガンド、EDA-A1、LIGHT、TL1A、TWEAK、TRAIL、CD40リガンド、CD27リガンド、OX40リガンド、B-細胞活性因子(BAFF;TNFSF13B;BLYS)、エクトジスプラシンA(EDA)、活性化誘導TNFRファミリー受容体リガンド(AITRL)、血管内皮細胞増殖阻害剤(VEGI)、増殖誘導リガンド(APRIL)又は核因子カッパ-Bリガンドの受容体活性剤(RANKL)である。
【0201】
一部の実施形態において、薬剤は、標的(例えば、膜タンパク質の可溶性形態)に特異的に結合するウイルスタンパク質又はその部分である。一部の実施形態において、薬剤は、TNF及びTNF受容体を含む生物のゲノムによってコードされないTNFに特異的に結合することができるタンパク質であるvTNFである。vTNFは、ウイルス由来のTNF結合タンパク質、例えば、ポックスウイルス(例えば、ヤタポックスウイルス、例えば、ヤバ様疾患ウイルス、タナポックスウイルス及びヤバサル腫瘍ウイルス;牛痘ウイルス;粘液種ウイルス;及びマウス痘ウイルス)及びレトロウイルス(例えば、サル泡沫状ウイルス)を含む。例えば、vTNFは、牛痘ウイルスのCrm B、Crm C、Crm D又はCrm E、粘液種ウイルスのM-T2、サル泡沫状ウイルスのS-T2、牛痘ウイルスのvCD30又はタナポックスウイルスのTPV2Lであってもよい。一部の実施形態において、薬剤は、TNFR1又はTRAILR2オルソログと結合するヒトパピローマウイルスのE6又はE7、TNFRに結合するトリ肉腫白血病ウイルスのCAR1である。
【0202】
一部の実施形態において、薬剤は、標的生体分子に対する天然のリガンドの変異体、例えば、変異体IL-2又は変異体TNFαなどの変異体インターロイキンポリペプチドである。本発明の一部の実施形態による変異体は、1つ以上のアミノ酸置換、欠失又は挿入を含んでもよい。置換は、保存的であってもよく、又は非保存的であってもよい。本明細書中で使用される場合、「保存的置換」という用語は、類似の立体的特性を有する天然の若しくは天然に生じないアミノ酸による、所与のポリペプチドの天然の配列に存在するアミノ酸の置換を指す。置換される天然のアミノ酸の側鎖が極性又は疎水性のいずれかである場合、保存的置換は、これも極性又は疎水性である天然のアミノ酸又は天然に生じないアミノ酸によるものでなければならず、当該アミノ酸は、任意に、置換されるアミノ酸の側鎖と同じ又は類似の立体的特性を有する。保存的置換は、一般に以下の群内における置換を含む:グリシン及びアラニン;バリン、イソロイシン及びロイシン;アスパラギン酸及びグルタミン酸;アスパラギン、グルタミン、セリン及びトレオニン;リシン、ヒスチジン及びアルギニン;並びにフェニルアラニン及びチロシン。一文字のアミノ酸の略語は以下のとおりである:アラニン(A)、アルギニン(R)、アスパラギン(N)、アスパラギン酸(D)、システイン(C)、グリシン(G)、グルタミン(Q)、グルタミン酸(E)、ヒスチジン(H)、イソロイシン(I)、ロイシン(L)、リシン(K)、メチオニン(M)、フェニルアラニン(F)、プロリン(P)、セリン(S)、トレオニン(T)、トリプトファン(W)、チロシン(Y)及びバリン(V)。変異体はまた、完全長で野生型の天然リガンドのフラグメント、及び該フラグメントが由来する野生型で完全長の天然のリガンドに対して1つ以上のアミノ酸置換、挿入又は欠失を含むフラグメントを含む。
【0203】
「非保存的置換」という語句は、本明細書中で使用される場合、異なる電気化学的特性及び/又は立体的特性を有する別の天然のアミノ酸又は天然に生じないアミノ酸による、親配列に存在するアミノ酸の置換を指す。よって、置換アミノ酸の側鎖は、置換される天然のアミノ酸の側鎖よりも著しく大きく(若しくは小さく)てもよく、及び/又は置換されるアミノ酸とは著しく異なる電子的特性をもつ官能基を有してもよい。
【0204】
一部の実施形態において、変異体ポリペプチドは、それが由来する野生型の完全長ポリペプチドに対して少なくとも2個の(例えば、少なくとも3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100又は100個を超える)アミノ酸置換、欠失又は挿入を含む。一部の実施形態において、変異体ポリペプチドは、それが由来する野生型の完全長ポリペプチドに対して150個を超えない(例えば、145、140、135、130、125、120、115、110、105、100、95、90、85、80、75、70、65、60、55、50、45、40、35、30、25、24、23、22、21、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3又は2個を超えない)アミノ酸置換、欠失又は挿入を含む。
【0205】
一部の実施形態において、変異体ポリペプチド(例えば、変異体IL-2又はTNFαポリペプチド)は、それが由来する野生型の完全長ポリペプチドが標的生体分子(例えば、野生型の完全長ポリペプチドがメンバーである特異的結合ペアのメンバー)と結合する能力の少なくとも10(例えば、少なくとも15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95又は100)%の能力を保持する。一部の実施形態において、変異体ポリペプチドは、標的生体分子に対し、変異体が由来した野生型の完全長ポリペプチドよりも大きな親和性を有することになる。例えば、一部の実施形態において、変異体ポリペプチドは、変異体ポリペプチドが由来した野生型の完全長ポリペプチドが有するよりも、標的生体分子に対して2(3、4、5、10、20、30、40、50、100、200、500又はさらに1000)倍大きな親和性を有する。2つのタンパク質間の相互作用を検出又は測定するための方法は、当該技術分野において知られており、上に記載されている。
【0206】
一部の実施形態において、野生型で完全長の天然リガンドは、細胞表面受容体の活性を調節する。それゆえに、天然リガンドの変異体は、野生型の天然リガンドの活性と比較して、受容体の活性を調節する能力が増強又は低減される場合がある。例えば、一部の実施形態において、変異体ポリペプチドは、変異体が由来した完全長の野生型ポリペプチドが細胞表面受容体タンパク質を活性化する能力の90%未満(例えば、85、80、75、70、65、60、55、50、45、40、35、30、25、20、15、10又は5%未満)の能力を有する。一部の実施形態において、変異体ポリペプチドは、それが結合する受容体を活性化しない。
【0207】
そのような例となる変異体ポリペプチドは、当該技術分野において知られている。例えば、国際特許出願公開第WO2012/085891号は、三量体を形成する低減された能力、よって、TNFファミリー受容体を活性化する低減された能力を有するTNFファミリーリガンド変異体について記載している(参照により本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第2014/0096274号も参照のこと)。しかし、変異体TNFリガンドは、TNFファミリー受容体と結合する能力を保持する。変異体リガンドと野生型の天然のリガンドとの間の活性を比較するための適した方法は当該技術分野において知られている。
【0208】
一部の実施形態において、可溶性生体分子は、細胞表面受容体に対するリガンド、例えば、サイトカイン又はケモカイン(例えば、MCP-1/CCL2、CCL5、CCL11、CCL12又はCCL19)、例えば、当該技術分野で知られているか又は本明細書に記載されているもののいずれかである。一部の実施形態において、リガンドは、腫瘍壊死因子(TNF)ファミリーリガンド又はその変異体である。一部の実施形態において、TNFファミリーリガンドは、TNFα又はその変異体である。一部の実施形態において、TNFファミリーリガンドは、Fasリガンド、リンホトキシン、リンホトキシンアルファ、リンホトキシンベータ、4-1BBリガンド、CD30リガンド、EDA-A1、LIGHT、TL1A、TWEAK、TNFβ、TRAIL又は前述のいずれかの変異体である。一部の実施形態において、リガンドは、TGFβスーパーファミリーリガンド又はその変異体、例えば、アクチビンA、アクチビンB、抗ミュラー管ホルモン、増殖分化因子(例えば、GDF1又はGDF11)、骨形態形成タンパク質(BMP)、インヒビン(例えば、インヒビンアルファ、インヒビンベータ)、lefty、パーセフィン、nodal、ニュールツリン、TGFβ1、TGFβ2、TGFβ3又はミオスタチンである。一部の実施形態において、リガンドは、ホルモン(例えば、ペプチドホルモン)、例えば、グレリンである。
【0209】
一部の実施形態において、可溶性生体分子は、ハプトグロビン又はベータ2ミクログロブリンである。
【0210】
一部の実施形態において、可溶性生体分子は、表2において特定されているものである。
【0211】
【表2】
【0212】
一部の実施形態において、薬剤は、TNFα、TNFβ、可溶性TNF受容体、可溶性TNFR-1、可溶性TNFR-2、リンホトキシン、リンホトキシンアルファ、リンホトキシンベータ、4-1BBリガンド、CD30リガンド、EDA-A1、LIGHT、TL1A、TWEAK、TRAIL、可溶性TRAIL受容体、IL-1、可溶性IL-1受容体、IL-1A、可溶性IL-1A受容体、IL-1B、可溶性IL-1B受容体、IL-2、可溶性IL-2受容体、IL-5、可溶性IL-5受容体、IL-6、可溶性IL-6受容体、IL-8、IL-10、可溶性IL-10受容体、CXCL1、CXCL8、CXCL9、CXCL10、CX3CL1、FASリガンド、可溶性細胞死受容体3、可溶性細胞死受容体4、可溶性細胞死受容体5、アポトーシスのTNF-関連弱誘導体、MMP1、MMP2、MMP3、MMP9、MMP10、MMP12、CD28、B7ファミリーの可溶性メンバー、可溶性CD80/B7-1、可溶性CD86/B7-2、可溶性CTLA4、可溶性PD-L1、可溶性PD-1、可溶性Tim3、Tim3L、ガレクチン3、ガレクチン9、可溶性CEACAM1、可溶性LAG3、TGF-β、TGF-β1、TGF-β2、TGF-β3、抗ミュラー管ホルモン、アルテミン、グリア細胞由来神経栄養因子(GDNF)、骨形態形成タンパク質(例えば、BMP2、BMP3、BMP3B、BMP4、BMP5、BMP6、BMP7、BMP8A、BMP8B、BMP10、BMP11、BMP12、BMP13、BMP15)、増殖分化因子(例えば、GDF1、GDF2、GDF3、GDF3A、GDF5、GDF6、GDF7、GDF8、GDF9、GDF10、GDF11、GDF15)、インヒビンアルファ、インヒビンベータ(例えば、インヒビンベータA、B、C、E)、lefty、nodal、ニュールツリン、パーセフィン、ミオスタチン、グレリン、sLR11、CCL2、CCL5、CCL11、CCL12、CCL19、インターフェロンアルファ、インターフェロンベータ、インターフェロンガンマ、クラステリン、VEGF-A、果粒球コロニー刺激因子(G-CSF)、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)、プロスタグランジンE2、肝細胞増殖因子、神経増殖因子、スクレロスチン、補体C5、アンギオポエチン2、アンギオポエチン3、PCSK9、アミロイドベータ、アクチビン、アクチビンA、アクチビンB、β2ミクログロブリン、可溶性NOTCH1、可溶性NOTCH2、可溶性NOTCH3、可溶性NOTCH4、可溶性Jagged1、可溶性Jagged2、可溶性DLL1、可溶性DLL3、可溶性DLL4、ハプトグロビン、フィブリノーゲンアルファ鎖、副腎皮質刺激ホルモン放出因子、1型副腎皮質刺激ホルモン放出因子、2型副腎皮質刺激ホルモン放出因子、ウロコルチン1、ウロコルチン2、ウロコルチン3、CD47、抗インターフェロンガンマ自己抗体、抗インターロイキン6自己抗体、抗インターロイキン17自己抗体、抗グレリン自己抗体、wnt、インドールアミン2,3-ジオキシゲナーゼ、C-反応性タンパク質、HIV-1 gp120、エンドドキシン、リシン毒素、ウェルシュ菌(Clostridium perfringens)のイプシロン毒素、ブドウ球菌(Staphylococcus)のエンテロトキシンB及びボツリヌス毒素から選択される生体分子に結合(例えば、特異的に結合)してもよい。
【0213】
一部の実施形態において、薬剤は、TNFα、TNFβ、可溶性TNF受容体、可溶性TNFR-1、可溶性TNFR-2、リンホトキシン、リンホトキシンアルファ、リンホトキシンベータ、4-1BBリガンド、CD30リガンド、EDA-A1、LIGHT、TL1A、TWEAK、TRAIL、可溶性TRAIL受容体、IL-1、可溶性IL-1受容体、IL-1A、可溶性IL-1A受容体、IL-1B、可溶性IL-1B受容体、IL-2、可溶性IL-2受容体、IL-5、可溶性IL-5受容体、IL-6、可溶性IL-6受容体、IL-8、IL-10、可溶性IL-10受容体、CXCL1、CXCL8、CXCL9、CXCL10、CX3CL1、FASリガンド、可溶性細胞死受容体3、可溶性細胞死受容体4、可溶性細胞死受容体5、アポトーシスのTNF-関連弱誘導体、MMP1、MMP2、MMP3、MMP9、MMP10、MMP12、CD28、B7ファミリーの可溶性メンバー、可溶性CD80/B7-1、可溶性CD86/B7-2、可溶性CTLA4、可溶性PD-L1、可溶性PD-1、可溶性Tim3、Tim3L、ガレクチン3、ガレクチン9、可溶性CEACAM1、可溶性LAG3、TGF-β、TGF-β1、TGF-β2、TGF-β3、抗ミュラー管ホルモン、アルテミン、グリア細胞由来神経栄養因子(GDNF)、骨形態形成タンパク質(例えば、BMP2、BMP3、BMP3B、BMP4、BMP5、BMP6、BMP7、BMP8A、BMP8B、BMP10、BMP11、BMP12、BMP13、BMP15)、増殖分化因子(例えば、GDF1、GDF2、GDF3、GDF3A、GDF5、GDF6、GDF7、GDF8、GDF9、GDF10、GDF11、GDF15)、インヒビンアルファ、インヒビンベータ(例えば、インヒビンベータA、B、C、E)、lefty、nodal、ニュールツリン、パーセフィン、ミオスタチン、グレリン、sLR11、CCL2、CCL5、CCL11、CCL12、CCL19、インターフェロンアルファ、インターフェロンベータ、インターフェロンガンマ、クラステリン、VEGF-A、果粒球コロニー刺激因子(G-CSF)、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)、プロスタグランジンE2、肝細胞増殖因子、神経増殖因子、スクレロスチン、補体C5、アンギオポエチン2、アンギオポエチン3、PCSK9、アミロイドベータ、アクチビン、アクチビンA、アクチビンB、β2ミクログロブリン、可溶性NOTCH1、可溶性NOTCH2、可溶性NOTCH3、可溶性NOTCH4、可溶性Jagged1、可溶性Jagged2、可溶性DLL1、可溶性DLL3、可溶性DLL4、ハプトグロビン、フィブリノーゲンアルファ鎖、副腎皮質刺激ホルモン放出因子、1型副腎皮質刺激ホルモン放出因子、2型副腎皮質刺激ホルモン放出因子、ウロコルチン1、ウロコルチン2、ウロコルチン3、CD47、抗インターフェロンガンマ自己抗体、抗インターロイキン6自己抗体、抗インターロイキン17自己抗体、抗グレリン自己抗体、wnt、インドールアミン2,3-ジオキシゲナーゼ、C-反応性タンパク質、HIV-1 gp120、エンドドキシン、リシン毒素、ウェルシュ菌のイプシロン毒素、ブドウ球菌のエンテロトキシンB又はボツリヌス毒素に特異的に結合する抗体(又はその抗原結合部分)を含んでもよい。
【0214】
薬剤は、イピリムマブ、ペンブロリズマブ、ニボルマブ、インフリキシマブ、アダリムマブ、セルトリズマブ(例えば、セルトリズマブペゴル)、ゴリムマブ、エタネルセプト、スタムルマブ、フレソリムマブ、メテリムマブ、デムシズマブ、タレクスツマブ、ブロンチクツズマブ、メポリズマブ、ウレルマブ、カナキヌマブ、ダクリズマブ、ベリムマブ、デノスマブ、エクリズマブ、トシリズマブ、アトリズマブ、ウステキヌマブ、パリビズマブ、アデュカヌマブ、ベバシズマブ、ブロルシズマブ、ラニビズマブ、アフリベルセプト、アクトクスマブ、エルシリモマブ、シルツキシマブ、アフェリモマブ、ネレリモマブ、オゾラリズマブ、パテクリズマブ、シルクマブ、オマリズマブ、アデュカヌマブ、バピネオズマブ、クレネズマブ、ガンテネルマブ、ポネズマブ、ソラネズマブ、ダピロリズマブ、ルプリズマブ、トラリズマブ、エノチクマブ、アラシズマブ、セツキシマブ、フツキシマブ、イクルクマブ、イムガツズマブ、マツズマブ、ネシツムマブ、ニモツズマブ、パニツムマブ、ラムシルマブ、ザルツムマブ、デュリゴツマブ、パトリツマブ、エルツマキソマブ、ペルツズマブ、トラスツズマブ、アリロクマブ、アンルキンズマブ、ジリダブマブ、ドロジツマブ、デュピルマブ、デュシジツマブ、エクリズマブ、エドバコマブ、エファングマブ、エルデルマブ、エノブリツズマブ、エノキズマブ、エビナクマブ、エボロクマブ、エクスビビルマブ、エクスビビルマブ、ファシヌマブ、フェルビズマブ、フェザキヌマブ、フィクラツズマブ、フィリブマブ、フレキクマブ(fletikumab)、フォラルマブ、フォラビルマブ、フルラヌマブ、ファリキシマブ(faliximab)、ガニツマブ、ゲボキズマブ、フセルクマブ、イダルシズマブ、イマルマブ、イノリモマブ、イラツムマブ、イキセキズマブ、ランパリズマブ、レブリキズマブ、レンジルマブ、レルデリムマブ、レクサツムマブ、リビビルマブ、リゲリズマブ、ロデルシズマブ、ルリズマブ、マパツムマブ、モタビズマブ、ナミルマブ、ネバクマブ、ネスバクマブ、オビルトキサキシマブ、オロキズマブ、オルチクマブ、パギバキシマブ、パリビズマブ、パノバクマブ、パスコリズマブ、ペラキズマブ、ピジリズマブ、パキセリズマブ、プリトキサキシマブ、キリズマブ、ラドレツマブ、ラフィビルマブ、ラルパンシズマブ、ラキシバクマブ、レガビルマブ、レスリズマブ、リロツムマブ、ロモソズマブ、ロンタリズマブ、サリルマブ、セクキヌマブ、セトキサキシマブ、セビルマブ、シファリムマブ、シルツキシマブ、スビズマブ、タバルマブ、タカツズマブ、タリズマブ、タネズマブ、テフィバズマブ、TGN1412、チルドラキズマブ、チガツズマブ、TNX-650、トザトクスマブ(tosatoxumab)、トラロキヌマブ、トレメリムマブ、トレボグルマブ、ツビルマブ、ウルトキサズマブ、バンチクツマブ、バヌシズマブ又は前述のいずれか1つの抗原結合部分を含んでもよい。
【0215】
一部の実施形態において、薬剤は、TNFα、TNFβ、可溶性TNF受容体、可溶性TNFR-1、可溶性TNFR-2、vTNF、リンホトキシン、リンホトキシンアルファ、リンホトキシンベータ、4-1BBリガンド、CD30リガンド、EDA-A1、LIGHT、TL1A、TWEAK、TRAIL、可溶性TRAIL受容体、IL-1、可溶性IL-1受容体、IL-1A、可溶性IL-1A受容体、IL-1B、可溶性IL-1B受容体、IL-2、可溶性IL-2受容体、IL-5、可溶性IL-5受容体、IL-6、可溶性IL-6受容体、IL-8、IL-10、可溶性IL-10受容体、CXCL1、CXCL8、CXCL9、CXCL10、CX3CL1、FASリガンド、可溶性細胞死受容体3、可溶性細胞死受容体4、可溶性細胞死受容体5、アポトーシスのTNF-関連弱誘導体、MMP1、MMP2、MMP3、MMP9、MMP10、MMP12、CD28、B7ファミリーの可溶性メンバー、可溶性CD80/B7-1、可溶性CD86/B7-2、可溶性CTLA4、可溶性PD-L1、可溶性PD-1、可溶性Tim3、Tim3L、ガレクチン3、ガレクチン9、可溶性CEACAM1、可溶性LAG3、TGF-β、TGF-β1、TGF-β2、TGF-β3、sLR11、CCL2、CCL5、CCL11、CCL12、CCL19、アクチビン、アクチビンA、アクチビンB、可溶性NOTCH1、可溶性NOTCH2、可溶性NOTCH3、可溶性NOTCH4、可溶性Jagged1、可溶性Jagged2、可溶性DLL1、可溶性DLL3、可溶性DLL4又はハプトグロビンを含む。
【0216】
一部の実施形態において、それぞれの粒子は、複数の薬剤を含む。複数の薬剤は、10〜約109コピーの薬剤、例えば、約103〜約107コピーの薬剤又は約104〜約106コピーの薬剤を含んでもよい。
【0217】
X.抗体を作製するための方法
上述のとおり、一部の実施形態において、粒子(複数可)の表面に固定された薬剤は、抗体又はその抗原結合フラグメントである。抗体は、当該技術分野において既知の方法によって誘発されてもよい。例えば、マウス、ハムスター又はウサギなどの哺乳動物が、生体分子(例えば、可溶性TNFR、毒素又はウイルスタンパク質)の免疫原性形態により免疫されてもよい。或いは、免疫化は、観察される免疫原性応答を生じる反応を引き起こす生体分子(例えば、可溶性タンパク質)をインビボで発現する核酸を使用することによって行われてもよい。タンパク質又はペプチドに免疫原性を与えるための技術としては、担体との結合又は当該技術分野において周知のその他の技術が挙げられる。例えば、本発明のポリペプチドのペプチジル部分が、アジュバントの存在下において投与されてもよい。免疫化の進行は、血漿又は血清中の抗体価の検出によって監視することができる。標準的なELISA又はその他のイムノアッセイは、抗体の濃度を評価するために抗原としての免疫原とともに使用することができる。
【0218】
免疫化後、本発明のポリペプチドと反応する抗血清を得ることができ、必要に応じて、ポリクローナル抗体を血清から単離してもよい。モノクローナル抗体を産生するために、抗体産生細胞(リンパ球)を免疫した動物から採取し、標準的な体細胞融合手順によって骨髄腫細胞などの不死化細胞と融合してハイブリドーマ細胞を得てもよい。そのような技術は、当該技術分野において周知であり、例えば、ヒトモノクローナル抗体を産生するためのヒトB細胞ハイブリドーマ技術(Kozbarら、(1983年) Immunology Today, 4: 72ページ)及びEBV-ハイブリドーマ技術(Coleら、(1985年) Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy、Alan R. Liss, Inc. 77〜96ページ)などのハイブリドーマ技術(もとはKohler及びMilsteinによって開発された、(1975年) Nature、256: 495〜497ページ)が挙げられる。ハイブリドーマ細胞は、本発明のポリペプチドと特異的に反応する抗体の産生のために免疫化学的にスクリーニングされ、モノクローナル抗体が単離されてもよい。
【0219】
XI.粒子上での薬剤の固定
薬剤は、共有結合又は非共有結合によって、例えば、イオン結合、水素結合、疎水結合、配位、接着又は物理的吸着若しくは相互作用によって、粒子の表面に固定されてもよい。
【0220】
粒子は、例えば、薬剤を固定するための反応基を含んでもよい。粒子は、約10〜約109個の反応基、例えば、約102〜約108個の反応基、約103〜約107個の反応基又は約104〜約106個の反応基を含んでもよい。粒子は、複数の反応基を含んでもよい。例えば、複数の反応基は、約10〜約109個の反応基、例えば、約102〜約108個の反応基、約103〜約107個の反応基又は約104〜約106個の反応基を含んでもよい。
【0221】
反応基をさまざまな異なるタイプの粒子に付加するための方法が知られている(例えば、それぞれがその全体において参照により本明細書に組み込まれるXu, Z.ら J Nanoparticle Research 17:56 (2015年);Yu, M.K.ら Theranostics 2(1):3ページ(2012年);Sanz, V.ら J Nanoparticle Research 14:917 (2012年);Jokerst, J.V.ら Nanomedicine 6(4):715ページ(2011年);Guan, B.ら Langmuir 27(1):328ページ(2011年);Cheng, K.ら ACS Applied Materials & Interfaces 2(9):2489ページ(2010年);Godin, B.ら J Biomed Mater Res A 94(4):1236ページ(2010年);Cauda, V.ら J. Am. Chem. Sco. 131(32):11361ページ(2009年);Kecht, J.ら Chemistry of Materials 20(23):7207ページ(2008年);Boisselier, E.ら Chemical Communications 30(44):5788ページ(2008年);Sun, X.-L.ら Bioconjugate Chemistry 17(1):52ページ(2006年)を参照のこと)。
【0222】
それぞれの反応基は、所定の官能基と選択的に反応してもよい。一部の実施形態において、反応基は、本明細書に記載されているように、反応基と反応することができる、好ましくは選択的に反応することができる官能基を含んでもよい(例えば、リンカーを介したカップリングによって)薬剤と結合を形成することができる(図7)。一部の実施形態において、薬剤は、本明細書に記載されているように、反応基と結合を形成することができる。一部の実施形態において、複数の反応基のうちのそれぞれの反応基は、本明細書に記載されているように、薬剤と結合を形成することができる。一部の実施形態において、複数の薬剤のうちのそれぞれの薬剤は、反応基と結合を形成することができる。結合は、共有結合又は非共有結合であってもよい。非共有結合の例としては、ヌクレオチド配列(例えば、反応基が核酸を含む場合)の包接複合体(例えば、シクロデキストリン環と非極性部分との間の)、及びビオチン複合体(例えば、アビジン、ストレプトアビジン、ニュートラアビジン及び前述のもののモノマー形態との)における相補的ヌクレオチドの塩基対合が挙げられる。粒子は、反応基を介して粒子にカップリングした複数の薬剤(同じであっても異なっていてもよい)を含んでもよく、例えば、それぞれの薬剤は、反応基に直接的に又は間接的に連結している。
【0223】
一部の態様において、本発明は、本明細書に記載されている粒子を作製する方法であって、本発明の薬剤(例えば、必要に応じて、反応基を用いて反応することができる官能基にカップリングされた)で負荷されていない粒子(例えば、1つ以上の反応基を含む粒子)をインキュベートし、それによって粒子(例えば、粒子の反応基)と薬剤との間に結合を形成することを含む方法に関する。一部の実施形態において、方法は、同じであっても異なっていてもよい、複数の薬剤で負荷されていない粒子(例えば、複数の反応基を含む粒子)をインキュベートし、それによって粒子(例えば、粒子の反応基の集団)と薬剤の集団との間に結合を形成することを含む。
【0224】
粒子は、例えば、薬剤を反応基に連結するためのリンカーを含んでもよい。粒子は、約10〜約109個のリンカー、例えば約102〜約108個のリンカー、約103〜約107個のリンカー又は約104〜約106個のリンカーを含んでもよい。粒子は、複数のリンカーを含んでもよい。例えば、複数のリンカーは、約10〜約109個のリンカー、例えば約102〜約108個のリンカー、約103〜約107個のリンカー又は約104〜約106個のリンカーを含んでもよい。
【0225】
一部の実施形態において、本発明の反応基及び/又は薬剤は、リンカーと結合を形成することができる。一部の実施形態において、リンカーは、反応基及び/又は薬剤と結合を形成することができる。一部の実施形態において、複数の反応基のうちのそれぞれの反応基は、リンカーと結合を形成することができる。一部の実施形態において、複数の薬剤のうちのそれぞれの薬剤は、リンカーと結合を形成することができる。一部の実施形態において、複数のリンカーのうちのそれぞれのリンカーは、反応基と結合を形成することができる。一部の実施形態において、複数のリンカーのうちのそれぞれのリンカーは、薬剤と結合を形成することができる。結合は、共有結合又は非共有結合であってもよい。一部の実施形態において、粒子は、リンカーを含む。リンカーは、反応基と結合していてもよい。一部の実施形態において、粒子は、複数のリンカーを含む。例えば、粒子は、複数の反応基及び複数のリンカーを含み、例えば、複数のリンカーのうちのそれぞれのリンカーは、複数の反応基のうちの1つの反応基に結合している。粒子は、複数の反応基、複数のリンカー及び複数の薬剤を含んでもよく、例えば、それぞれの薬剤はリンカーに結合し、及び/又はそれぞれのリンカーは反応基に結合している。
【0226】
リンカーは、官能基を含んでもよい。一部の実施形態において、本発明の反応基及び/又は薬剤は、官能基と結合を形成することができる。一部の実施形態において、官能基は、例えば、カルボキシレートとアミン若しくはアルコールが反応する場合にはアミン若しくはエステル、又はアミン若しくはチオールがマレイミド若しくは他のマイケルアクセプターと反応する場合にはアミン若しくはチオエーテルを形成するために、反応基と結合を形成することができる。一部の実施形態において、複数の反応基のうちのそれぞれの反応基は、官能基と結合を形成することができる。一部の実施形態において、複数の官能基のうちのそれぞれの官能基は、反応基と結合を形成することができる。結合は、共有結合又は非共有結合であってもよい。一部の実施形態において、粒子は、官能基を含む。官能基は、反応基に結合していてもよく、例えば、アミド、エステル、アミン、チオエーテル又は官能基と反応基の反応の他の生成物として存在する。一部の実施形態において、粒子は、複数の官能基を含む。例えば、粒子は、複数の反応基及び複数の官能基を含んでもよく、例えば、複数の官能基のうちのそれぞれの官能基は、複数の反応基のうちの1つの反応基に結合しており、例えば、アミド、エステル、アミン、チオエーテル又は官能基と反応基の反応の他の生成物として存在する。粒子は、複数の反応基、複数の官能基及び複数の薬剤を含んでもよく、例えば、それぞれの薬剤は官能基に結合し、及び/又はそれぞれの官能基は反応基に結合している。もちろん、粒子のそれぞれの反応基は、複数のこれらの反応基が粒子に所望の機能性を付与するために官能基/薬剤にカップリングする限り、官能基/薬剤にカップリングする必要はない。
【0227】
リンカーは、第1の官能基及び第2の官能基を含んでもよい。第1の官能基は、第1の官能基と反応することができる所定の部分を有する薬剤と選択的に反応することができる場合がある。第2の官能基は、粒子の反応基と選択的に反応することができる場合がある。
第1の官能基及び/又は第2の官能基は、例えば、アルケン、ハロゲン化アルキル、アルキン、アミン、アリールアジド、ハロゲン化アリール、アジド、カルボジイミド、カルボキシル、ジエン、ジエノフィル、グリオキサール、ハロアシル、イミドエステル、イソシアニド、マレイミド、N-ヒドロキシルスクシンイミジル(NHS)エステル、ホスフィン、テトラジン、チオール又は核酸であってもよい。
【0228】
リンカーは、例えば、スクシンイミジル4-(N-マレイミドメチル)シクロヘキサン-1-カルボキシレート(SMCC)、スルフォスクシンイミジル4-(N-マレイミドメチル)シクロヘキサン-1-カルボキシレート(スルフォ-SMCC)、ポリ(エチレングリコール)(N-ヒドロキシスクシンイミド5-ペンタノエート)エーテルN'-(3-マレイミドプロピオニル)アミノエタン(NHS-PEG-MAL)、スクシンイミジル3-(2-ピリジルジチオ)プロピオネート)(SPDP)又はスクシンイミジルヨードアセテート(SIA)であってもよい(例えば、Yu、M.K.ら Theranostics 2(1):3ページ(2012年)を参照のこと)。
【0229】
リンカーは、第1の官能基及び第2の官能基を含んでもよく、第1の官能基がアミンであり且つ第2の官能基がカルボン酸であるか、又は第1の官能基がカルボン酸であり且つ第2の官能基がアミンである。粒子は複数の官能基を含んでもよく、官能基は第一級アミン基である。
【0230】
粒子は、シリカ粒子、又はシリカ表面を含む粒子(例えば、酸化表面を有するケイ素粒子、又はシリカを含まないコアとシリカの外側層を有する粒子)であってもよい。粒子は、金表面を含んでもよい(例えば、粒子は金粒子であってもよく、又は異なる材料を含むコアをコーティングする金表面を有してもよい)。粒子は、ポリマー表面を含んでもよい(例えば、粒子はポリマー粒子であってもよく、異なる材料を含むコアをコーティングするポリマー表面を有してもよい)。コーティングされた粒子の表面は、連続的表面(例えば、粒子の表面の実質的にすべてを覆う)、又は非連続的表面(例えば、粒子の表面の一部又は部分を覆う)であってもよい。
【0231】
粒子のそれぞれの反応基は、例えば、チオール官能基と結合することができる金であってもよい。したがって、リンカー又は薬剤は、チオールを含んでもよい。一部の実施形態において、リンカーは、チオール(例えば、チオールが官能基である)及びカルボン酸を含む。粒子は、アミン反応基(例えば、複数のアミン反応基)を含んでもよい。例えば、粒子はシリカ粒子であってもよく又はシリカ表面を含んでもよく、且つ粒子は複数の反応基を含んでもよく、複数の反応基のうちのそれぞれの反応基はアミンである。粒子はポリマー粒子であってもよく又はポリマー表面を含んでもよく、且つ粒子は複数の反応基を含んでもよく、複数の反応基のうちのそれぞれの反応基はアミンである。
【0232】
反応基は芳香族ヒドラジン(例えば、6-ヒドラジノ-ニコチン酸)を含んでもよく、且つ官能基は芳香族アルデヒド(例えば、4-ホルミルベンゾエート)を含んでもよい、又は反応基は芳香族アルデヒド(例えば、4-ホルミルベンゾエート)を含んでもよく、且つ官能基は芳香族ヒドラジン(例えば、6-ヒドラジノ-ニコチン酸)を含んでもよく、例えば、それによってアニリンの存在下で、反応基を官能基に結合させることができる(例えば、その全体において参照により本明細書に組み込まれるU.S.2014/0302001、及びhttp://www.solulink.com/solulink-technologyを参照のこと)。
【0233】
粒子は複数の反応基を含んでもよく、それぞれの反応基はカルボン酸を含む。官能基は、アミンを含んでもよい。反応基は、例えば、カルボジイミド(例えば、1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド、ジシクロヘキシルカルボジイミド、ジイソプロピルカルボジイミド)を使用して、任意でトリアゾール(例えば、1-ヒドロキシ-ベンゾトリアゾール、1-ヒドロキシ-7-アザ-ベンゾトリアゾール)又はN-ヒドロキシスクシンイミジルエステル(例えば、N-ヒドロキシスクシンイミド)を使用して、官能基に架橋されうる。
【0234】
粒子は、金又は金表面(例えば、シリカを覆う)を含んでもよい。反応基又は複数の反応基は金であってもよく、且つ官能基又は複数の官能基はチオールであってもよい(例えば、リンカー又は薬剤の官能基はチオールであってもよい)。例えば、薬剤はシステインを含んでもよく、例えば、官能基はシステインのチオールである。
【0235】
粒子は、複数の反応基を含んでもよく、それぞれの反応基はマレイミドを含む。官能基はチオールを含んでもよく(例えば、リンカー又は薬剤の官能基)、それによって官能基を粒子のマレイミドに結合させることができる。例えば、薬剤はシステインを含んでもよく、例えば、官能基はシステインのチオールである。
【0236】
粒子は、複数の反応基を含んでもよく、それぞれの反応基はチオールを含む。官能基はマレイミドを含んでもよく(例えば、リンカー又は薬剤の官能基)、それによって官能基を粒子のチオールに結合させることができる。
【0237】
粒子は、第1のリンカー及び第2のリンカーを含んでもよく、例えば、第1のリンカーは第1の薬剤を反応基に連結させるためのものであり、第2のリンカーは第2の薬剤を反応基に連結させるためのものである。粒子は、複数の第1のリンカー及び複数の第2のリンカーを含んでもよい。複数の第1のリンカー及び/又は複数の第2のリンカーは、約10〜約109個のリンカー、例えば約102〜約108個のリンカー、約103〜約107個のリンカー又は約104〜約106個のリンカーを含んでもよい。
【0238】
粒子は、第1の反応基及び第2の反応基を含んでもよく、例えば、第1の反応基は第1の官能基と結合するためのものであり、第2の反応基は第2の官能基と結合するためのものである。粒子は、複数の第1の反応基及び複数の第2の反応基を含んでもよい。複数の第1の反応基及び/又は複数の第2の反応基は、約10〜約109個の反応基、例えば約102〜約108個の反応基、約103〜約107個の反応基又は約104〜約106個の反応基を含んでもよい。第1の反応基(又は複数の反応基)は、例えば、薬剤又はリンカーの官能基を反応基に結合させることによって、薬剤を粒子に連結させるためのものである。第2の反応基(又は複数の反応基)は、例えば、第2の薬剤又は第2の薬剤を粒子に連結させるために使用してもよいリンカー(例えば、第2のリンカー)の官能基を結合させることによって、第2の薬剤を粒子に連結させるためのものでありうる。
【0239】
第1の反応基は第2の反応基と異なっていてもよく、例えば、その結果、第1の反応基は第1の官能基と結合してもよく、且つ第2の反応基は、第1の官能基と異なる第2の官能基と結合してもよい。一部の実施形態において、第1の反応基は第2の反応基と関連しており、例えば、その結果、第1の反応基と第2の反応基が同じ官能基に結合する。第1の反応基及び第2の反応基が同じ官能基に結合する場合、第1の反応基及び第2の反応基の少なくとも一方は、保護基に結合してもよい。この実施形態において、第1の反応基は第1の薬剤の官能基又は第1の薬剤に結合するためのリンカーにカップリングされてもよく、例えば、第2の反応基は脱保護されてもよく、その後、第2の反応基は第2の薬剤にカップリングされてもよい。
【0240】
保護基は周知であり(その全体において参照により本明細書に組み込まれるGreene, T.W.及びP.G.M. Wuts、PROTECTIVE GROUPS IN ORGANIC SYNTHESIS、第3版、John Wiley & Sons、New York(1999年))、代表的な基は以下にまとめられている。
【0241】
アミノ保護基として、メチルカルバメート、エチルカルバメート、9-フルオレニルメチルカルバメート(Fmoc)、9-(2-スルホ)フルオレニルメチルカルバメート、9-(2,7-ジブロモ)フルオロエニルメチルカルバメート、2,7-ジ-t-ブチル-[9-l0,10-ジオキソ-l0,10,10,10-テトラヒドロチオキサンチル)]メチルカルバメート(DBD-Tmoc)、4-メトキシフェナシルカルバメート(Phenoc)、2,2,2-トリクロロエチルカルバメート(Troc)、2-トリメチルシリルエチルカルバメート(Teoc)、2-フェニルエチルカルバメート(hZ)、1-(1-アダマンチル)-1-メチルエチルカルバメート(Adpoc)、1,1-ジメチル-2-ハロエチルカルバメート、1,1-ジメチル1-2,2-ジブロモエチルカルバメート(DB-BOC)、1,1-ジメチル-2,2,2-トリクロロエチルカルバメート(TCBOC)、1-メチル-1-(4-ビフェニル)エチルカルバメート(Bpoc)、1-(3,5-ジ-t-ブチルフェニル)-1-メチルエチルカルバメート(t-Bumeoc)、2-(2'-及び4'-ピリジル)エチルカルバメート(Pyoc)、2-(N1N-ジシクロヘキシルカルボキサミド)エチルカルバメート、t-ブチルカルバメート(BOC)、1-アダマンチルカルバメート(Adoc)、ビニルカルバメート(Voc)、アリルカルバメート(Alloc)、1-イソプロピルアリルカルバメート(Ipaoc)、シンナミルカルバメート(Coc)、4-ニトロシンナミルカルバメート(Noc)、8-キノリルカルバメート、ヒドロキシピペリジニルカルバメート、アルキルジチオカルバメート、ベンジルカルバメート(Cbz)、メトキシベンジルカルバメート(Moz)、p-ニトベンジルカルバメート、ブロモベンジルカルバメート、p-クロロベンジルカルバメート、2,4-ジクロロベンジルカルバメート、4-メチルスルフィニルベンジルカルバメート(Msz)、9-アントリルメチルカルバメート、ジフェニルメチルカルバメート、2-メチルチオエチルカルバメート、2-メチルスルホニルエチルカルバメート、2-(p-トルエンスルホニル)エチルカルバメート、[2-(1,3-ジチアニル)]メチルカルバメート(Dmoc)、4-メチルチオフェニルカルバメート(Mtpc)、2,4-ジメチルチオフェニルカルバメート(Bmpc)、2-ホスホノエチルカルバメート(Peoc)、2-トリフェニルホスホノイソプロピルカルバメート(Ppoc)、1,1-ジメチル-2-シアノエチルカルバメート、m-クロロ-p-アシルオキシベンジルカルバメート、(ジヒドロキシボリル)ベンジルカルバメート、5-ベンゾイソオキサゾリルメチルカルバメート、2-(トリフルオロメチル)-6-クロモニルメチルカルバメート(Tcroc)、m-ニトロフェニルカルバメート、3,5-ジメトキシベンジルカルバメート、o-ニトロベンジルカルバメート、3,4-ジメトキシ-6-ニトロベンジルカルバメート、フェニル(o-ニトロフェニル)メチルカルバメート、フェノチアジニル-(10)-カルボニル誘導体、N'-p-トルエンスルホニルアミノカルボニル誘導体、N-フェニルアミノチオカルボニル誘導体、t-アミルカルバメート、S-ベンジルチオカルバメート、シアノベンジルカルバメート、シクロブチルカルバメート、シクロヘキシルカルバメート、シクロペンチルカルバメート、シクロプロピルメチルカルバメート、デシルオキシベンジルカルバメート、2,2-ジメトキシカルボニルビニルカルバメート、o-(N,N-ジメチルカルボキサミド)ベンジルカルバメート、1,1-ジメチル-3-(N,N-ジメチルカルボキサミド)プロピルカルバメート、1,1-ジメチルプロピニルカルバメート、ジ(2-ピリジル)メチルカルバメート、2-フラニルメチルカルバメート、2-ヨードエチルカルバメート、イソボルニルカルバメート、イソブチルカルバメート、イソニコチニルカルバメート、p-(p-メトキシフェニルアゾ)ベンジルカルバメート、1-メチルシクロブチルカルバメート、1-メチルシクロヘキシルカルバメート、1-メチル-1-シクロプロピルメチルカルバメート、1-メチル-1-(3,5-ジメトキシフェニル)エチルカルバメート、1-メチル-1-(p-フェニルアゾフェニル)エチルカルバメート、1-メチル-1-フェニルエチルカルバメート、1-メチル-1-(4-ピリジル)エチルカルバメート、フェニルカルバメート、(フェニルアゾ)ベンジルカルバメート、2,4,6-トリ-t-ブチルフェニルカルバメート、4-(トリメチルアンモニウム)ベンジルカルバメート、2,4,6-トリメチルベンジルカルバメート、ホルムアミド、アセトアミド、クロロアセトアミド、トリクロロアセトアミド、トリフルオロアセトアミド、フェニルアセトアミド、3-フェニルプロパンアミド、ピコリンアミド、3-ピリジルカルボキサミド、N-ベンゾイルフェニルアラニル誘導体、ベンズアミド、フェニルベンズアミド、o-ニトフェニルアセトアミド、o-ニトロフェノキシアセトアミド、アセトアセトアミド、(N'-ジチオベンジルオキシカルボニルアミノ)アセトアミド、3-(p-ヒドロキシフェニル)プロパンアミド、3-(o-ニトロフェニル)プロパンアミド、2-メチル-2-(o-ニトロフェノキシ)プロパンアミド、2-メチル-2-(o-フェニルアゾフェノキシ)プロパンアミド、4-クロロブタンアミド、3-メチル-3-ニトロブタンアミド、o-ニトロシンナミド、N-アセチルメチオニン誘導体、o-ニトロベンズアミド、o-(ベンゾイルオキシメチル)ベンズアミド、4,5-ジフェニル-3-オキサゾリン-2-オン、N-フタルイミド、N-ジチアスクシンイミド(Dts)、N-2,3-ジフェニルマレイミド、N-2,5-ジメチルピロール、N-1,1,4,4-テトラメチルジシリルアザシクロペンタンアダクト(STABASE)、5-置換1,3-ジメチル-1,3,5-トリアザシクロヘキサン-2-オン、5-置換1,3-ジベンジル-1,3,5-トリアザシクロヘキサン-2-オン、1-置換3,5-ジニトロ-4-ピリドオン、N-メチルアミン、N-アリルアミン、N-[2-(トリメチルシリル)エトキシ]メチルアミン(SEM)、N-3-アセトキシプロピルアミン、N-(1-イソプロピル-4-ニトロ-2-オキソ-3-ピロリン-3-イル)アミン、第四級アンモニウム塩、N-ベンジルアミン、N-ジ(4-メトキシフェニル)メチルアミン、N-5-ジベンゾスベリルアミン、N-トリフェニルメチルアミン(Tr)、N-[(4-メトキシフェニル)ジフェニルメチル]アミン(MMTr)、N-9-フェニルフルオレニルアミン(PhF)、N-2,7-ジクロロ-9-フルオレニルメチレンアミン、N-フェロセンイルメチルアミノ(Fern)、N-2-ピコリルアミノN'-オキシド、N-1,1-ジメチルチオメチレンアミン、N-ベンジリデンアミン、N-メトキシベンジリデンアミン、N-ジフェニルメチレンアミン、N-[(2-ピリジル)メシチル]メチレンアミン、N-(N',N-ジメチルアミノメチレン)アミン、N,N-イソプロピリデンジアミン、ニトロベンジリデンアミン、N-サリチリデンアミン、N-5-クロロサリチリデンアミン、N-(5-クロロ-2-ヒドロキシフェニル)フェニルメチレンアミン、N-シクロヘキシリデンアミン、N-(5,5-ジメチル-3-オキソ-1-シクロヘキセニル)アミン、N-ボラン誘導体、N-ジフェニルボリン酸誘導体、N-[フェニル(ペンタカルボニルクロミウム-又はタングステン)カルボニル]アミン、N-銅キレート、N-亜鉛キレート、N-ニトロアミン、N-ニトロソアミン、アミンN-オキシド、ジフェニルホスフィンアミド(Dpp)、ジメチルチオホスフィンアミド(Mpt)、ジフェニルチオホスフィンアミド(Ppt)、ジアルキルホスホロアミド酸、ジベンジルホスホロアミド酸、ジフェニルホスホロアミド酸、ベンゼンスルフェンアミド、o-ニトロベンゼンスルフェンアミド(Nps)、2,4-ジニトロベンゼンスルフェンアミド、ペンタクロロベンゼンスルフェンアミド、2-ニトロ-4-メトキシベンゼンスルフェンアミド、トリフェニルメチルスルフェンアミド、3-ニトロピリジンスルフェンアミド(Npys)、トルエンスルホンアミド(Ts)、ベンゼンスルホンアミド、2,3,6,-トリメチル-4-メトキシベンゼンスルホンアミド(Mtr)、2,4,6-トリメトキシベンゼンスルホンアミド(Mtb)、2,6-ジメチル-4-メトキシベンゼンスルホンアミド(Pme)、2,3,5,6-テトラメチル-4-メトキシベンゼンスルホンアミド(Mte)、4-メトキシベンゼンスルホンアミド(Mbs)、2,4,6-トリメチルベンゼンスルホンアミド(Mts)、2,6-ジメトキシ-4-メチルベンゼンスルホンアミド(iMds)、2,2,5,7,8-ペンタメチルクロマン-6-スルホンアミド(Pmc)、メタンスルホンアミド(Ms)、β-トリメチルシリルエタンスルホンアミド(SES)、9-アントラセンスルホンアミド、4-(4',8'-ジメトキシナフチルメチル)ベンゼンスルホンアミド(DΝMBS)、ベンジルスルホンアミド、トリフルオロメチルスルホンアミド及びフェナシルスルホンアミドが挙げられる。
【0242】
カルボン酸保護基として、シリル-、アルキル-、アルケニル-、アリール-及びアリールアルキル-保護カルボン酸が挙げられる。
【0243】
シリル保護基として、トリメチルシリル、トリエチルシリル、t-ブチルジメチルシリル、t-ブチルジフェニルシリル、トリイソプロピルシリルなどが挙げられる。
【0244】
ヒドロキシ保護基として、メチル、メトキシルメチル(MOM)、メチルチオメチル(MTM)、t-ブチルチオメチル、(フェニルジメチルシリル)メトキシメチル(SMOM)、ベンジルオキシメチル(BOM)、p-メトキシベンジルオキシメチル(PMBM)、(4-メトキシフェノキシ)メチル(p-AOM)、グアイアコールメチル(GUM)、t-ブトキシメチル、4-ペンテニルオキシメチル(POM)、シロキシメチル、2-メトキシエトキシメチル(MEM)、2,2,2-トリクロロエトキシメチル、ビス(2-クロロエトキシ)メチル、2-(トリメチルシリル)エトキシメチル(SEMOR)、テトラヒドロピラニル(THP)、3-ブロモテトラヒドロピラニル、テトラヒドロチオピラニル、1-メトキシシクロヘキシル、4-メトキシテトラヒドロピラニル(MTHP)、4-メトキシテトラヒドロチオピラニル、4-メトキシテトラヒドロチオピラニルS,S-ジオキシド、1-[(2-クロロ-4-メチル)フェニル]-4-メトキシピペリジン-4-イル(CTMP)、1,4-ジオキサン-2-イル、ベンジル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチオフラニル、2,3,3a,4,5,6,7,7a-オクタヒドロ-7,8,8-トリメチル-4,7-メタノベンゾフラン-2-イル、1-エトキシエチル、1-(2-クロロエトキシ)エチル、1-メチル-1-メトキシエチル、1-メチル-1-ベンジルオキシエチル、1-メチル-1-ベンジルオキシ-2-フルオロエチル、2,2,2-トリクロロエチル、2-トリメチルシリルエチル、2-(フェニルセレニル)エチル、t-ブチル、アリル、クロロフェニル、p-メトキシフェニル、2,4-ジニトロフェニル、ベンジル、メトキシベンジル、3,4-ジメトキシベンジル、o-ニトロベンジル、ニトロベンジル、p-ハロベンジル、2,6-ジクロロベンジル、シアノベンジル、フェニルベンジル、2-ピコリル、4-ピコリル、3-メチル-2-ピコリル N-オキシド、ジフェニルメチル、p,p'-ジニトロベンズヒドリル、5-ジベンゾスベリル、トリフェニルメチル、α-ナフチルジフェニルメチル、p-メトキシフェニルジフェニルメチル、ジ(p-メトキシフェニル)フェニルメチル、トリ(p-メトキシフェニル)メチル、4-(4'-ブロモフェナシルオキシフェニル)ジフェニルメチル、4,4',4''-トリス(4,5-ジクロロフタルイミドフェニル)メチル、4,4',4"-トリス(レブリノイルオキシフェニル)メチル、4,4',4''-トリス(ベンゾイルオキシフェニル)メチル、3-(イミダゾール-1-イル)ビス(4',4"-ジメトキシフェニル)メチル、1,1-ビス(4-メトキシフェニル)-1'-ピレニルメチル、9-アントリル、9-(9-フェニル)キサンテニル、9-(9-フェニル-10-オキソ)アントリル、1,3-ベンゾジチオラン-2-イル、ベンゾイソチアゾリルS,S-ジオキシド、トリメチルシリル(TMS)、トリエチルシリル(TES)、トリイソプロピルシリル(TIPS)、ジメチルイソプロピルシリル(DMIPS)、ジエチルイソプロピルシリル(DEIPS)、ジメチルテキシルシリル、t-ブチルジメチルシリル(TBS)、t-ブチルジメチルシリル(TBDMS)、t-ブチルジフェニルシリル(TBDPS)、トリベンジルシリル、トリ-キシリルシリル、トリフェニルシリル、ジフェニルメチルシリル(DPMS)、t-ブチルメトキシフェニルシリル(TBMPS)、ギ酸、ベンゾイルホルメート、プロピオネート(proprionate)、アセテート、クロロアセテート、ジクロロアセテート、トリクロロアセテート、トリフルオロアセテート、メトキシアセテート、トリフェニルメトキシアセテート、フェノキシアセテート、クロロフェノキシアセテート、3-フェニルプロピオネート、4-オキソペンタノエート(レブリン酸)、4,4-(エチレンジチオ)ペンタノエート(レブリノイルジチオアセタール)、ピバロエート、アダマントエート、クロトン酸、4-メトキシクロトネート、安息香酸、p-フェニルベンゾエート、2,4,6-トリメチルベンゾエート(メシトエート)、アルキルメチルカーボネート、9-フルオレニルメチルカーボネート(Fmoc)、アルキルエチルカーボネート、アルキル2,2,2-トリクロロエチルカーボネート(Troc)、2-(トリメチルシリル)エチルカーボネート(TMSEC)、2-(フェニルスルホニル)エチルカーボネート(Psec)、2-(トリフェニルホスホニオ)エチルカーボネート(Peoc)、アルキルイソブチルカーボネート、アルキルビニルカーボネート、アルキルアリルカーボネート、アルキル-ニトロフェニルカーボネート、アルキルベンジルカーボネート、アルキルメトキシベンジルカーボネート、アルキル3,4-ジメトキシベンジルカーボネート、アルキルo-ニトロベンジルカーボネート、アルキルニトロベンジルカーボネート、アルキルS-ベンジルチオカーボネート、4-エトキシ-1-ナフチル(napththyl)カーボネート、メチルジチオカーボネート、2-ヨードベンゾエート、4-アジドブチレート、4-ニトロ-4-メチルペンタノエート、o-(ジブロモメチル)ベンゾエート、2-ホルミルベンゼンスルホネート、2-(メチルチオメトキシ)エチル、4-(メチルチオメトキシ)ブチレート、2-(メチルチオメトキシメチル)ベンゾエート、2,6-ジクロロ-4-メチルフェノキシアセテート、2,6-ジクロロ-4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)フェノキシアセテート、2,4-ビス(1,1-ジメチルプロピル)フェノキシアセテート、クロロジフェニルアセテート、イソ酪酸、モノスクシノエート、(E)-2-メチル-2-ブテノエート、o-(メトキシカルボニル)ベンゾエート、α-ナフトエート、ニトレート、アルキル-テトラメチルホスホロジアミデート、アルキルN-フェニルカルバメート、ホウ酸、ジメチルホスフィノチオイル、アルキル2,4-ジニトロフェニルスルフェネート、サルフェート、メタンスルホネート(メシレート)、ベンジルスルホネート及びトシレート(Ts)が挙げられる。
【0245】
1,2-又は1,3-ジオール保護基として、メチレンアセタール、エチリデンアセタール、1-t-ブチルエチリデンケタール、1-フェニルエチリデンケタール、(4-メトキシフェニル)エチリデンアセタール、2,2,2-トリクロロエチリデンアセタール、アセトニド、シクロペンチリデンケタール、シクロヘキシリデンケタール、シクロヘプチリデンケタール、ベンジリデンアセタール、p-メトキシベンジリデンアセタール、2,4-ジメトキシベンジリデンケタール、3,4-ジメトキシベンジリデンアセタール、2-ニトロベンジリデンアセタール、メトキシメチレンアセタール、エトキシメチレンアセタール、ジメトキシメチレンオルトエステル、1-メトキシエチリデンオルトエステル、1-エトキシエチリデンオルトエステル、1,2-ジメトキシエチリデンオルトエステル、α-メトキシベンジリデンオルトエステル、1-(N,N-ジメチルアミノ)エチリデン誘導体、α-(M,N'-ジメチルアミノ)ベンジリデン誘導体、2-オキサシクロペンチリデンオルトエステル、ジ-t-ブチルシリレン基(DTBS)、1,3-(1,1,3,3-テトライソプロピルジシロキサニリデン)誘導体(TIPDS)、テトラ-t-ブトキシジシロキサン-1,3-ジイリデン誘導体(TBDS)、環状カーボネート、環状ボロネート、チエルボロネート及びフェニルボロネートが挙げられる。
【0246】
チオール保護基として、チオエステル、カーボネート、スルホネート、アリルチオエーテル、チオエーテル、シリルチオエーテル、アルキルチオエーテル、アリールアルキルチオエーテル及びアルキルオキシアルキルチオエーテルが挙げられる。
【0247】
エステル保護基として、ギ酸、アセテート、プロピオネート、ペンタノエート、クロトネート、安息香酸、ギ酸、ベンゾイルホルメート、クロロアセテート、トリフルオロアセテート、メトキシアセテート、トリフェニルメトキシアセテート、p-クロロフェノキシアセテート、3-フェニルプロピオネート、4-オキソペンタノエート、4,4-(エチレンジチオ)ペンタノエート、ピバロエート(トリメチルアセテート)、クロトネート、4-メトキシ-クロトネート、安息香酸、p-ベンジルベンゾエート、2,4,6-トリメチルベンゾエートが挙げられる。カーボネートエステル保護基として、9-フルオレニルメチル、エチル、2,2,2-トリクロロエチル、2-(トリメチルシリル)エチル、2-(フェニルスルホニル)エチル、ビニル、アリル及びp-ニトロベンジルカーボネートが挙げられる。シリルエステル保護基として、トリメチルシリル、トリエチルシリル、t-ブチルジメチルシリル、t-ブチルジフェニルシリル、トリイソプロピルシリルエーテル及び他のトリアルキルシリルエーテルが挙げられる。アルキルエステル保護基として、メチル、ベンジル、p-メトキシベンジル、3,4-ジメトキシベンジル、トリチル、t-ブチル及びアリルエーテル、並びにその誘導体が挙げられる。アリールアルキルエステル保護基として、ベンジル、p-メトキシベンジル(PMB)、3,4-ジメトキシベンジル、o-ニトロベンジル、p-ニトロベンジル、p-ハロベンジル、2,6-ジクロロベンジル、p-シアノベンジル、2-及び4-ピコリルエステルが挙げられる。
【0248】
一部の態様において、本発明は、本明細書に記載されている粒子を作製する方法であって、負荷されていない粒子(例えば、反応基を含む粒子)をリンカー(例えば、官能基を含むリンカー)とインキュベートし、それによって粒子(例えば、粒子の反応基)とリンカー(例えば、官能基)との間に結合を形成することを含む方法に関する。図8を参照のこと。一部の実施形態において、方法は、負荷されていない粒子(例えば、複数の反応基を含む粒子)を複数のリンカー(例えば、それぞれのリンカーは官能基を含む)とインキュベートし、それによって粒子(例えば、粒子の反応基の集団)とリンカーの集団(例えば、リンカーの集団の官能基)との間に結合を形成することを含む。方法は、リンカーを本発明の薬剤と一緒にインキュベートし、それによってリンカーと薬剤との間に結合を形成することを含んでもよい。一部の実施形態において、方法は、複数のリンカーを複数の薬剤と一緒にインキュベートし、それによってリンカーの集団と薬剤の集団との間に結合を形成することを含む。一部の実施形態において、反応基、リンカー、官能基及び/又は薬剤は、カルボキシル、第一級アミン又はチオールと結合を形成することができる。ある特定の好適な実施形態において、反応基及び/又は官能基は、カルボキシル、第一級アミン又はチオールと結合を形成することができる。
【0249】
反応基及び/又は官能基は、ビオチン結合タンパク質(例えば、アビジン、モノマーアビジン、ストレプトアビジン、モノマーストレプトアビジン、ニュートラアビジン、モノマーニュートラアビジン)又はビオチンを含んでもよい。例えば、反応基はビオチンを含んでもよく、且つ官能基はビオチン結合タンパク質を含んでもよい、又は反応基はビオチン結合タンパク質を含んでもよく、且つ官能基はビオチンを含んでもよい。リンカーは、ビオチン結合タンパク質又はビオチンを含んでもよく、例えば、粒子の反応基が、それぞれ、ビオチン若しくはビオチン結合タンパク質を含むか、又は薬剤が、それぞれ、ビオチン若しくはビオチン結合タンパク質を含む。薬剤は、ビオチン結合タンパク質又はビオチンを含んでもよく、例えば、粒子の反応基が、それぞれ、ビオチン若しくはビオチン結合タンパク質を含むか、又はリンカーが、それぞれ、ビオチン若しくはビオチン結合タンパク質を含む。
【0250】
リンカーは、ビオチン及びチオール、ビオチン及びアミン、又はビオチン及びカルボン酸を含んでもよい。例えば、リンカーはビオチン結合タンパク質を含む薬剤に結合してもよく、リンカーの官能基は、例えば、薬剤を粒子に連結させるために、チオール、アミン又はカルボン酸であってもよい。同様に、リンカーはビオチン結合タンパク質を含む粒子に結合してもよく(例えば、リンカーの官能基はビオチンである)、リンカーのチオール、アミン又はカルボン酸を使用して、薬剤を粒子に架橋させてもよい。
【0251】
反応基、リンカー、官能基及び/又は薬剤は、例えば、薬剤を粒子に結合させるために、α-ハロアシル、アルケン、ハロゲン化アルキル、アルキン、アミン、アリールアジド、ハロゲン化アリール、アジド、カルボジイミド、カルボキシル、ジエン、ジエノフィル、グリオキサール、イミドエステル、イソシアニド、マレイミド、N-ヒドロキシスクシンイミジル(NHS)エステル、ホスフィン、テトラジン又はチオールを含んでもよい。例えば、粒子はアミン官能化シリカ表面を含んでもよく、複数の反応基はアミンである。反応基、リンカー、官能基及び/又は薬剤は、抗体(又はその抗原結合部分)、ペプチド、タンパク質、核酸又はアプタマーを含んでもよい。
【0252】
反応基、リンカー、官能基及び/又は薬剤は、例えば、アジド-アルキンヒュスゲン環化付加を介して薬剤を固定するために、アジド又はアルキンを含んでもよい。ヒュスゲン環化付加は、5員(ヘテロ)環をもたらす、1,3-二極性化合物を用いる求双極子の反応である。求双極子の例は、アルケン及びアルキン並びに関連するヘテロ原子官能基(例えば、カルボニル及びニトリル)を有する分子である。1,3-二極性化合物は、1つ以上のヘテロ原子を含有し、荷電した双極子を表す少なくとも1つのメソメリー構造を有するものとして記載されうる。これらには、ニトリルオキシド、アジド及びジアゾアルカンが含まれる。金属触媒によるクリック化学は、本明細書で開示された方法に十分適している、アルキル-アリール)-スルホニルアジド、C-N三重結合とC-C三重結合との間のヒュスゲン1,3-二極性環化付加反応の非常に有効な変形である。これらの反応で得られるのは、1,2-オキサゾール、1,2,3-トリアゾール又はテトラゾールである。例えば、1,2,3-トリアゾールは、アルキンとアルキル/アリールアジドとの間の銅触媒によるヒュスゲン反応によって形成される。周囲温度で進行する金属触媒によるヒュスゲン反応は、溶媒、すなわち、非極性、極性、半極性溶媒に感受性ではなく、官能基に対して非常に耐性がある。アジドと一緒に[3+2]二極性環化付加を促進する、環の歪み及びフッ素などの電子求引性置換基を有する、置換シクロオクチンの使用に関与する金属を用いないヒュスゲン反応(歪促進的環化付加とも言われる)は、金属触媒による反応と比較して、反応構成成分の毒性が低いため、ここで使用するのに特に十分に適している。例として、DIFO及びDIMACが挙げられる。アルキンとアジドの反応は非常に特異的であり、生物組織の化学環境に対して本質的に不活性である。
【0253】
反応基、リンカー、官能基及び/又は薬剤は、例えば、チオール-エン反応アルケン(ヒドロチオ化、すなわち、C=C結合を横切るRS-Hの付加)を介して薬剤を固定するために、チオール又はアルケンを含んでもよい。チオール-エン反応は、フリーラジカル連鎖機構を介して進行する。光開始剤又はチオール自体のUV励起の際のラジカル形成によって開始される。チオール-エンシステムは、基底状態電荷移動錯体を形成するため、開始剤が存在しなくても合理的な重合時間で光重合する。しかしながら、UV光の付加により反応が進行する速度が上昇する。光の波長は、チオール又はアルケンに結合した構成要素のサイズ及び性質により、必要に応じて調節することができる。
【0254】
反応基、リンカー、官能基及び/又は薬剤は、例えば、ディールス-アルダー反応を介して薬剤を固定するために、ジエン又はジエノフィルを含んでもよい。ディールス-アルダー反応は、環及び二環式化合物を作製するためにジエン(2つの交互二重結合を有する分子)とジエノフィル(アルケン)を組み合わせる。
【0255】
反応基、リンカー、官能基及び/又は薬剤は、例えば、4+1環化付加を介して薬剤を固定するために、イソシアニド又はテトラジンを含んでもよい。
【0256】
反応基、リンカー、官能基及び/又は薬剤は、例えば、マレイミド-チオール反応(例えば、参照により本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第2010/0036136号を参照のこと)を介して薬剤を固定するために、マレイミド又はチオールを含んでもよい。
【0257】
反応基、リンカー、官能基及び/又は薬剤は、例えば、シュタウディンガー反応を介して薬剤を固定するために、ホスフィン又はアジドを含んでもよい。古典的なシュタウディンガー反応は、アジドとホスフィン又はホスファイトの組合せによりアザ-イリド中間体が生じ、加水分解するとホスフィンオキシドとアミンが生じる化学反応である。シュタウディンガー反応は、アジドをアミンへ還元する穏やかな方法であり、トリフェニルホスフィンが還元剤として一般的に使用される。シュタウディンガーライゲーションにおいて、求電子トラップ(通常、メチルエステル)は、トリアリールホスフィン上に適当に配置され(通常、リン原子に対してオルトで)、アジドと反応して、アザ-イリド中間体を生じ、これを水性媒体中で再配列させてアミド基とホスフィンオキシド機能を有する化合物を生成する。シュタウディンガーライゲーションは、2つの出発分子を一緒にライゲーションする(結合させる/共有結合させる)ためにそのように命名されているが、古典的なシュタウディンガー反応では、2つの生成物は、加水分解後に共有結合によって連結していない。
【0258】
官能基は、異なる長さのスペーサーアーム又はブリッジ(アルキル鎖、PEG鎖、アミノ酸鎖又は任意の他の適したスペーサーであってもよい)を介して薬剤に接合されうる。例えば、リンカーは、例えば、官能基と薬剤の間のスペーサーとして作用するポリエチレングリコール(PEG)を含んでもよい。リンカーは、例えば、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ペンタエチレングリコール又はヘキサエチレングリコールを含んでもよい。リンカーは、例えば、第1の官能基(例えば、R1)、すなわち、ポリエチレングリコールスペーサー(例えば、-[OCH2CH2]nO-、式中、nは2〜100、例えば、2〜50又は2〜20の整数である)、及び第2の官能基(例えば、R2)を含んでもよい。例えば、リンカーは、式R1[OCH2CH2]nOR2又はR2[OCH2CH2]nOR1の分子であってもよい。R1及びR2は、それぞれ独立して、α-ハロアシル、アルケン、ハロゲン化アルキル、アルキン、アミン、アリールアジド、ハロゲン化アリール、アジド、カルボジイミド、カルボキシル、ジエン、ジエノフィル、グリオキサール、イミドエステル、イソシアニド、マレイミド、N-ヒドロキシスクシンイミジル(NHS)エステル、ホスフィン、テトラジン又はチオールを含む部分から選択されてもよい。R1はチオールであってもよく且つR2はカルボキシルであってもよい、又はR2はチオールであってもよく且つR1はカルボキシルであってもよい。R1はチオールであってもよく且つR2はアミンであってもよい、又はR2はチオールであってもよく且つR1はアミンであってもよい。R1はカルボキシルであってもよく且つR2はアミンであってもよい、又はR2はカルボキシルであってもよく且つR1はアミンであってもよい。
【0259】
第一級アミンと反応するのに適する反応基及び官能基として、イミドエステル及びN-ヒドロキシスクシンイミジル(NHS)エステルが挙げられる。イミドエステル官能基の例として、アジプイミド酸ジメチル、ピメルイミド酸ジメチル及びスベルイミノ酸ジメチルが挙げられる。NHSエステル官能基の例として、グルタル酸ジスクシンイミジル、スベリン酸ジスクシンイミジル及びスベリン酸ビス(スルホスクシンイミジル)が挙げられる。ペプチド、ポリペプチド及びタンパク質のN末端に存在するアクセス可能なアミン基は、NHSエステルと反応してアミドを形成する。NHSエステル架橋反応は、リン酸、重炭酸/炭酸、HEPES及びホウ酸緩衝液中で行われうる。第一級アミンを含有しない場合、他の緩衝液を使用することもできる。NHSエステルと第一級アミンの反応は、約7から約9の間のpHと約4℃から30℃の間の温度で、約30分〜約2時間の間行ってもよい。NHSエステル官能基の濃度は、約0.1〜約10mMまで変化してよい。NHSエステルは、親水性又は疎水性である。親水性NHSエステルは水溶液中で反応するが、DMSOが、より高い溶解度を達成するために含まれてもよい。疎水性NHSエステルは、水混和性有機溶媒に溶解された後、水性反応混合物に添加される。
【0260】
スルフヒドリル反応性官能基及び反応基は、スルフヒドリルと反応してチオールエーテル結合を形成するマレイミド、ハロゲン化アルキル、ハロゲン化アリール及びa-ハロアシル、並びにスルフヒドリルと反応して混合ジスルフィドを生成するピリジルジスルフィドを含む。ペプチド、ポリペプチド及びタンパク質上のスルフヒドリル基は、例えば、ジスルフィド結合の還元又は2-イミノチオランを使用する第一級アミンとの反応による付加によって、当業者に公知の技術によって生成されうる。マレイミド官能基の例として、スクシンイミジル4-{N-マレイミド-メチル)シクロヘキサン-1-カルボキシレート及びm-マレイミドベンゾイル-N-ヒドロキシスクシンイミドエステルが挙げられる。ハロアセタール官能基の例として、N-スクシンイミジル(4-ヨードアセタール)アミノベンゾエート及びスルホスクシンイミジル(4-ヨードアセタール)アミノベンゾエートが挙げられる。ピリジルジスルフィド官能基の例として、1,4-ジ-[3'-2'-ピリジルジチオ(プロピオンアミド)ブタン]及びN-スクシンイミジル-3-(2-ピリジルジチオ)-プロピオネートが挙げられる。
【0261】
反応基及び/又は官能基は、カルボジイミドを使用することによって第一級アミン又はヒドラジドに結合して、アミド又はヒドラゾン結合を形成するためのカルボキシル基を含んでもよい。このようにして、ペプチド、ポリペプチド及びタンパク質のカルボキシ末端が粒子上に固定されうる。カルボジイミド官能基及び反応基の例として、1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)-カルボジイミドヒドロクロリド及びN,N1-ジシクロヘキシルカルボジイミドが挙げられる。アリールアジドは、紫外線照射に曝露されると反応性になり、アリールニトレンを形成する。アリールアジド官能基の例として、アジドベンゾイルヒドラジド及びN-5-アジド-2ニトロベンゾイルオキシスクシンイミドが挙げられる。グリオキサール官能基は、アルギニンのグアニジル部分を標的とする。グリオキサール官能基の例は、p-アジドフェニルグリオキサールモノハイドレートである。
【0262】
2つ以上の異なる官能基(例えば、第1の官能基、第2の官能基及び任意のさらなる官能基)を有するヘテロ二官能リンカーは、ここで使用するのに適している。例として、一端でアミン反応性であり、他端でスルフヒドリル反応性であるリンカー、例えば、4-スクシンイミジル-オキシカルボニル-a-(2-ピリジルジチオ)-トルエン、N-スクシンイミジル-3-(2-ピリジルジチオ)-プロピオネート及び上述のマレイミドリンカーが挙げられる。そのようなリンカーを使用して、粒子の反応基を薬剤の官能基と間接的に接合させることができる。
【0263】
薬剤は、反応基に結合することによって粒子上に固定されてもよい。例えば、ペプチド、ポリペプチド及びタンパク質は、ペプチド、ポリペプチド及びタンパク質のカルボキシル、第一級アミン又はチオールと反応基との間に結合を形成することによって固定されてもよい。或いは、薬剤は、例えば、リンカーを用いて修飾され、反応基と結合を形成してもよい。薬剤、例えば、タンパク質、炭水化物又は脂質を修飾するためのさまざまな方法が、当該技術分野で知られている(例えば、参照により本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第2014/0212425号、同第2014/0377837号及び同第2015/0005447号、並びに米国特許第4,711,955号、同第5,047,519号、同第7,332,355号、同第9,040716号を参照のこと)。
【0264】
代謝機構、共有結合阻害剤及び酵素転移を使用して、1,3-二極性化合物をタンパク質、脂質、オリゴ糖、オリゴヌクレオチド及びグリカンに組み込むことができる。例えば、アジド基、N3は、アジドアセチルクロリドを使用してタンパク質又はペプチドのN末端に適用することができる(例えば、Haridasら、Tetrahedron Letters 48 (2007年)4719〜4722ページを参照のこと)。アジド基は、他の求核基、例えば、OH、NH2及びハロゲン(Br、Cl又はI)と交換される求核基である。NaN3は、タンパク質を10倍モル過剰のNaN3と単に接触させるだけでタンパク質をアジド化することができるアジド化剤である。C末端のアジド化のための方法は、Cazalisら、Bioconjugate Chem.、15 (2004年) 1005〜1009ページに記載されている。過アセチル化N-アジドアセチルマンノサミンを用いる細胞のインキュベーションにより、アジドシアル酸を有する細胞表面グリカンがもたらされる(例えば、Codelliら、J. Amer. Chem. Soc.、130 (34) 11486〜11493ページ(2008年)を参照のこと)。アジドでタグ付けされた脂質は、Smithら、Bioconjugate Chem.、19(9)、1855〜1863ページ(2008年)に記載されている。PEG化は、ペプチド及びタンパク質に基を付加するために一般的に使用される技術であり、ここで使用するのに適している。例えば、PEGは、反応性部分を介してアミノ酸残基に共有結合されてもよい。反応性部分は(本明細書の反応基とは対照的に)、活性化PEG分子が結合されてもよい部分(例えば、遊離アミノ又はカルボキシル基)である。例えば、N末端アミノ酸残基及びリシン残基は遊離アミノ基を有し、C末端アミノ酸残基は遊離カルボキシル基を有する。スルフヒドリル基(例えば、システイン残基に見られるように)も、PEGを結合させるための反応性部分として使用してもよい。さらに、活性化した基(例えば、ヒドラジド、アルデヒド及び芳香族アミノ基)をポリペプチドのC末端に特異的に導入するための酵素補助法。よって、PEGを組み込む1,3-二極性化合物を本明細書で利用してもよい。当業者は、1,3-二極性化合物をタンパク質、脂質、オリゴ糖、オリゴヌクレオチド及びグリカンにカップリングさせるための任意の公知の方法を利用することができる。
【0265】
粒子はアジド基又はアルキニル基を含む反応基を含んでもよく、リンカー又は薬剤(例えば、リンカー又は薬剤の官能基)は、それぞれ、アルキニル基又はアジド基を含んでもよい。アルキニル基は、例えば、銅触媒によるアルキン-アジド環化付加を使用して、アジド基と共有結合を形成してもよい。アジド基又はアルキニル基を含む粒子を調製するための方法は公知である(例えば、Xu, Z.ら J Nanoparticle Research 17:56 (2015年)を参照のこと)。
【0266】
求双極子により官能化されたタンパク質、ポリペプチド及びペプチドは、例えば、アルキン(例えば、3-ブチニルクロロホルメート)を用いてN末端で連結させることによって合成されうる。一部の実施形態において、システイン上のチオールは、アルキンを有するマレイミドで官能化される。C末端求双極子をもたらすことは、例えば、連結剤、例えば、N-ヒドロキシスクシンイミド/DCCを使用してプロパルギルアミンとカップリングさせることによって達成されうる。末端のアルキンは、代謝構築ブロック、例えば、アルキン酸を使用して設置することができる。脂質は、アルキンで官能化されてもよい。例えば、アルキンで修飾された脂肪酸は、末端アルキニル-アルキルブロミドをトリメチルホスフィンと反応させて16炭素アルキニル-ジメチルホスホネートを得ることによって生成することができる(例えば、Raghavanら、Bioorg. Med. Chem. Lett.、18 (2008年)5982〜5986ページを参照のこと)。上記のように、PEG化は求双極子の基をペプチド及びタンパク質に付加するために使用してもよく、ここで使用するのに適している。ディールス-アルダー官能基及びチオール-エン官能基も同様に、タンパク質、脂質、オリゴ糖、オリゴヌクレオチド及びグリカンに結合されてもよい。
【0267】
ある特定の好適な実施形態において、反応基は、例えば、薬剤又は官能基(例えば、相補的核酸を含む薬剤又は官能基)とハイブリダイズするために、核酸を含む。「核酸」という用語は、DNA又はRNAを指す。核酸は、一本鎖であっても二本鎖であってもよい。核酸は、一本鎖領域及び/又は二本鎖領域を含んでもよい。核酸は、5'から3'へ読まれ、核酸における連続したヌクレオチドの順序であるヌクレオチド配列を含む。核酸は、複数のヌクレオチド配列を含む。例えば、二本鎖の核酸は、それぞれ核酸の長さに及ぶ2本のヌクレオチド配列を含み、1本のヌクレオチド配列は、もう一方のヌクレオチド配列の逆相補鎖であってもよい。核酸は、核酸の長さより短いヌクレオチド配列も含む。例えば、10ヌクレオチド長である一本鎖核酸は、9ヌクレオチド長である2本のヌクレオチド配列を有する。同様に、10ヌクレオチド長である一本鎖核酸は、8ヌクレオチド長である3本のヌクレオチド配列を有する。核酸のヌクレオチドは、例えば、シトシン(C)、グアニン(G)、アデニン(A)、チミン(T)及び/又はウラシル(U)であってもよい。ヌクレオチドは、修飾されていても又は修飾されていなくてもよい。例えば、1つ以上のヌクレオチドは、メチル化されていてもよい。核酸は、ヌクレオチド類似体及び/又は不自然塩基対を含んでもよい。核酸のヌクレオチドは、5-メチルシトシン、プソイドウリジン、ジヒロドウリジン、イノシン、キサントシン及び/又は7-メチルグアノシンを含んでもよい。
【0268】
粒子は反応基を含んでもよく、反応基は核酸及び薬剤を含み、薬剤は反応基の核酸とハイブリダイズすることができる相補的核酸に連結し、それによって薬剤と粒子との間に非共有結合による会合を形成する。同様に、粒子は反応基を含んでもよく、反応基は核酸及び官能基を含み、官能基は反応基の核酸とハイブリダイズすることができる相補的核酸を含み、それによって薬剤と粒子との間に非共有結合による会合を形成する。核酸はヌクレオチド配列を含んでもよく、相補的核酸は相補的ヌクレオチド配列を含んでもよく、例えば、ヌクレオチド配列は相補的ヌクレオチド配列の逆相補鎖と少なくとも95%、96%、97%、98%又は99%の配列同一性を有する。ヌクレオチド配列は、相補的ヌクレオチド配列の逆相補鎖と100%の配列同一性を有してもよい。
【0269】
好ましくは、生理液(例えば、血液)中の核酸及び相補的核酸の融解温度は、体温(例えば、対象、例えば、ヒト又はマウスの体温)より高い。例えば、生理液中の核酸及び相補的核酸の融解温度は、37℃より高い、例えば、約38℃より高い、約39℃より高い、約40℃より高い、約41℃より高い、約42℃より高い、約43℃より高い、約44℃より高い又は約45℃より高いことが好ましい。核酸及び相補的核酸の融解温度は、約37℃〜約120℃、例えば、約38℃〜約120℃、約39℃〜約120℃、約40℃〜約120℃、約41℃〜約120℃、約42℃〜約120℃、約43℃〜約120℃、約44℃〜約120℃、約45℃〜約120℃、約46℃〜約120℃、約47℃〜約120℃、約48℃〜約120℃、約49℃〜約120℃、約50℃〜約120℃、約38℃〜約100℃、約39℃〜約100℃、約40℃〜約100℃、約41℃〜約100℃、約42℃〜約100℃、約43℃〜約100℃、約44℃〜約100℃、約45℃〜約100℃、約46℃〜約100℃、約47℃〜約100℃、約48℃〜約100℃、約49℃〜約100℃又は約50℃〜約100℃であってもよい。
【0270】
反応基の核酸、反応基のヌクレオチド配列、相補的核酸及び相補的ヌクレオチド配列の長さは、9ヌクレオチドより長いことが好ましい。反応基の核酸、反応基のヌクレオチド配列、相補的核酸及び相補的ヌクレオチド配列の長さは、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19又は20ヌクレオチドより長くてもよい。反応基の核酸、反応基のヌクレオチド配列、相補的核酸及び相補的ヌクレオチド配列の長さは、約10ヌクレオチド〜約100ヌクレオチド、例えば、約11ヌクレオチド〜約80ヌクレオチド、約12ヌクレオチド〜約60ヌクレオチド、約13ヌクレオチド〜約50ヌクレオチド、約14ヌクレオチド〜約40ヌクレオチド、約15ヌクレオチド〜約30ヌクレオチド又は約16ヌクレオチド〜約25ヌクレオチドであってもよい。核酸、ヌクレオチド配列、相補的核酸及び相補的ヌクレオチド配列のGC含量は、約10%〜約100%、例えば、約40%〜約100%、約45%〜約100%、約50%〜約100%、約55%〜約100%、約40%〜約95%、約45%〜約90%、約50%〜約85%又は約55%〜約80%であってもよい。
【0271】
XII.粒子上の薬剤の位置決め
一部の実施形態において、粒子の形状は、固定された薬剤が、細胞、例えば、免疫細胞、血液細胞又はリンパ球の表面にある生体分子と相互作用する能力が低減するか又は実質的に低減するようなものである。固定された薬剤は、遊離の可溶性形態の薬剤に対して、50%未満(例えば、45、40、35、30、25、20、15、10、9、8、7、6、5、4、3、2又は1%)の細胞の表面にある生体分子と結合する能力を有してもよい。例えば、一部の実施形態において、本明細書に記載されている粒子の表面に固定されたTNFα又はIL-2は、50(例えば、45、40、35、30、25、20、15、10、9、8、7、6、5、4、3、2又は1)%未満の、細胞の表面にあるTNFα受容体又はIL-2受容体と結合する遊離のTNFα又はIL-2の能力を有する。
【0272】
一部の実施形態において、粒子に結合した可溶性生体分子は、その認識リガンド(特異的結合ペアの第2のメンバー)と相互作用する能力が低減するか又は実質的に低減する。生体分子は、薬剤によって粒子に結合されてもよい。粒子に結合した生体分子は、結合していない生体分子の能力に対して、50%未満(例えば、45、40、35、30、25、20、15、10、9、8、7、6、5、4、3、2又は1%)の、その認識リガンドと相互作用する能力を有してもよい。例えば、本明細書に記載されている粒子と結合した可溶性TNFRは、遊離した可溶性TNFRが遊離TNFαと相互作用する能力の50%未満(例えば、45、40、35、30、25、20、15、10、9、8、7、6、5、4、3、2又は1%)の能力を有する。別の例において、本明細書に記載されている粒子と結合した可溶性ビリオンは、遊離ビリオンがその同種の細胞表面受容体(複数可)と相互作用し、細胞に感染する能力の50%未満(例えば、45、40、35、30、25、20、15、10、9、8、7、6、5、4、3、2又は1%)の能力を有する。
【0273】
一部の実施形態において、薬剤は、粒子の内側表面(例えば、多孔質粒子の孔又は管の内側表面)に固定されてもよい。一部の実施形態において、薬剤は粒子の外側表面に固定されうるが、粒子からの1つ以上の突起物により、細胞表面と相互作用することを立体的に不可能にされる。一部の実施形態において、例えば、ドーナツ形粒子では、薬剤は粒子の内側表面に固定され、その結果、薬剤は細胞の表面にある生体分子と相互作用する能力が低減するか若しくは実質的に低減し、且つ/又は薬剤によって粒子に結合した可溶性生体分子は、その認識リガンド(特異的結合ペアの第2のメンバー)と相互作用する能力が低減するか若しくは実質的に低減する。
【0274】
薬剤と細胞表面にある生体分子との相互作用又は粒子と結合した生体分子とその同種のリガンドとの間の相互作用を低減するか、又は実質的に低減することができる例示的な粒子形状が図1〜6に示され、本明細書に記載されている。
【0275】
XIII.クリアランス薬剤及びコーティング
一部の実施形態において、粒子は、排出剤(clearance agent)を含む。排出剤は、尿への排出、分解、胆肝道経路による排出及び/又はファゴサイトーシスによるなどの生物学的経路による粒子のクリアランスを促進することができる。
【0276】
例えば、粒子は、リザーバー(reservoir)を含んでもよく、この場合、リザーバーは排出剤を含む。リザーバーは、粒子の本体にある穴又は空間、例えば、多孔質シリコン粒子の本体にある空間であってもよい。
【0277】
孔を含む粒子に関して、リザーバーは孔であってもよく、又はリザーバーは平均孔サイズよりも大きくても、若しくは小さくてもよい。リザーバーは、粒子の本体にある凹部(例えば、浅い凹部)からなるものでもよく、この場合、凹部の幅又は直径は、平均孔サイズの幅又は直径よりも大きい。リザーバーの幅又は直径は、平均孔サイズの幅又は直径の少なくとも約2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、90、100、110、120、130、140、150、175、200、250、300、400又はさらに約500倍の大きさであってもよい。リザーバーの幅又は直径は、平均孔サイズの幅又は直径の約2倍〜約10倍、例えば、約2倍〜約8倍又は約2倍〜約6倍の大きさであってもよい。リザーバーの幅又は直径は、平均孔サイズの幅又は直径の約2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、90、100、110、120、130、140、150、175、200、250、300、400又はさらに約500倍の大きさであってもよい。
【0278】
DNA足場を含む粒子として、リザーバーはDNA足場の内部領域であってもよい。リザーバー(例えば、内部領域)は、細胞にアクセス不能である場合があり、例えば、DNA足場は、細胞が内部領域に入ることを足場が立体的に妨げるように構築されてもよい。一部の実施形態において、リザーバー(例えば、内部領域)は、細胞外タンパク質にアクセス不能である場合があり、例えば、DNA足場は、細胞外タンパク質がリザーバーに入ることを足場が立体的に妨げるように構築されてもよい。リザーバー(例えば、内部領域)は、抗体にアクセス不能である場合がある。それにもかかわらず、DNA足場は、所定の期間後、リザーバー(例えば、内部領域)が細胞及び/又は細胞外タンパク質にアクセス可能となるようにすることができる場合がある。例えば、DNA足場は、所定の期間後分解されうる(例えば、加水分解により)生分解性の壁を含んでもよく、それによってクリアランス薬剤を細胞及び/又は細胞外タンパク質に曝露させる。DNA足場は、所定の期間後分解されうる(例えば、加水分解により)生分解性のラッチを含んでもよく、DNA足場を立体的に変化させ、それによってクリアランス薬剤を細胞及び/又は細胞外タンパク質に曝露させる(例えば、参照により本明細書に組み込まれるPCT特許出願公開第WO2014/170899号を参照のこと)。同様に、DNA足場は、以下に記載されているように、開口部を含むリザーバーを含んでもよい。
【0279】
リザーバーは、開口部を含んでもよい。開口部は、キャップ又は部材によって覆われていてもよく、それにより排出剤と細胞及び/又は細胞外タンパク質(例えば、抗体)との間の相互作用を阻害する。キャップ又は部材は、生分解性ポリマーなどのポリマーを含んでもよい。キャップ又は部材は、所定の期間の後に(例えば、加水分解によって)分解してもよく、それにより、排出剤を細胞及び/又は細胞外タンパク質に曝露する。キャップ又はメンバーは、約1日〜約5年、例えば、約1日〜約4年、約1日〜約3年又は約1日〜約1年の生体液への曝露後に分解(例えば、生分解)されてもよい。
【0280】
所定の期間は、粒子が液体(例えば、水性液体)中にある期間であってもよい。所定の期間は、粒子のインビボにおける滞留期間であってもよい(例えば、生体液、pH、酵素及び/又は温度への曝露)。所定の期間は、少なくとも部分的には、粒子の生体分子との結合によって決定されうる。例えば、粒子は、生体分子の結合が、排出剤を細胞及び/又は細胞外タンパク質に曝露するよう構成されてもよい(例えば、参照により本明細書に組み込まれるPCT特許出願公開第WO2014/170899号を参照のこと)。所定の期間は、約1日間〜約5年間、例えば、約1日間〜約3年間又は約1日間〜約1年間であってもよい。
【0281】
キャップ又は膜として使用するのに適した例となる材料は、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第7,918,842号に記載されている。一般に、これらの材料は、インビボ若しくはインビトロにおける酵素的加水分解又は水への曝露によって、或いは表面若しくは全体の崩壊(bulk erosion)によってのいずれかで分解又は溶解する。代表的な合成生分解性ポリマーとしては、以下のものが挙げられる:ポリ(アミド)、例えば、ポリ(アミノ酸)及びポリ(ペプチド);ポリ(エステル)、例えば、ポリ(乳酸)、ポリ(グリコール酸)、ポリ(乳酸-co-グリコール酸)及びポリ(カプロラクトン);ポリ(無水物);ポリ(オルトエステル);ポリ(カーボネート);及びその化学的誘導体(化学基の置換、付加、例えば、アルキル、アルキレン、ヒドロキシル化、酸化及び当業者によって慣行的に行われるその他の変性)、それらのコポリマー並びに混合物。キャップ又は膜に使用されてもよいその他のポリマーとしては、以下のものが挙げられる:ポリ(エーテル)、例えば、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(エチレングリコール)及びポリ(テトラメチレンオキシド);ビニルポリマー、ポリ(アクリレート)及びポリ(メタアクリレート)、例えば、メチル、エチル、その他のアルキル、ヒドロキシエチルメタアクリレート、アクリル酸及びメタクリル酸、並びにその他、例えば、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(ビニルピロリドン)及びポリ(ビニルアセテート);ポリ(ウレタン);セルロース及びその誘導体、例えば、アルキル、ヒドロキシアルキル、エーテル、エステル、ニトロセルロース、及び各種酢酸セルロース;ポリ(シロキサン);並びに任意のその化学的誘導体(化学基の置換、付加、例えば、アルキル、アルキレン、ヒドロキシル化、酸化、及び当業者によって慣行的に行われるその他の変性)、それらのコポリマー並びに混合物。特定の実施形態において、リザーバーキャップは、1つ以上の架橋ポリマー、例えば、架橋ポリビニルアルコールから形成される。
【0282】
一部の実施形態において、粒子は、コーティングを含む。一部の実施形態において、コーティングは、排出剤を含む。コーティングは、排出剤をマスクしてもよい。
【0283】
粒子は第1の表面及び第2の表面を含んでもよく、薬剤は第1の表面に固定されてもよく、コーティングは第2の表面の少なくとも一部を覆ってもよい。第1の表面は、内部表面又は内側表面であってもよく、例えば、第1の表面は、細胞表面にある分子と結合する薬剤の能力が低減されるよう、配向されてもよい。内部表面又は内側表面の例としては、孔、リザーバー若しくは管の内壁、環状体の内側円周表面又は凹面のくぼみが挙げられる。内部表面又は内側表面のその他の例には、1つ以上の突起物によって外側表面が細胞との相互作用から保護されている粒子の外側表面が含まれる。第2の表面は、外部表面又は外側表面であってもよく、例えば、第2の表面は、コーティングが細胞と相互作用できるように配向されてもよい。一部の実施形態において、粒子は、1つ以上のコアサブ粒子及び複数の保護サブ粒子を含んでもよい。粒子はシールドを含んでもよく、シールドは複数の保護サブ粒子を含んでもよい。第1の表面は1つ以上のコア粒子の表面であってもよく、第2の表面は保護サブ粒子の表面であってもよい。
【0284】
コーティングは、粒子間の相互作用を阻害してもよい、例えば、コーティングは、凝集体を形成する粒子の傾向を低下させてもよい。コーティングは、例えば、生物学的に不活性な表面を提示することによって、粒子と細胞との間の相互作用を阻害してもよい。コーティングは、細胞外分子との非特異的な相互作用、例えば、生体分子の非特異的な吸着を阻害してもよい。コーティングは、細胞又は細胞外分子との特異的な相互作用を阻害してもよく、例えば、コーティングは、粒子の排出若しくはファゴサイトーシスを退けるか、又は遅延させてもよい。コーティングは、粒子を排出又はファゴサイトーシスの標的としてもよい。粒子を排出若しくはファゴサイトーシスの標的とするコーティング又はその他の特徴(例えば、「排出誘導化合物(excretion -inducing compound)」)が、例えば、所定期間の血流中に粒子を維持することを促進するために粒子の排出又はファゴサイトーシスを遅延させるコーティング(例えば、第2のコーティング)によってマスクされてもよい。
【0285】
コーティングは、粒子の表面に一端で結合した複数の細長いコーティング分子を含んでもよい。コーティングは、粒子に結合した生体分子と生体分子を含む特異的結合ペアの第2のメンバーとの間の相互作用を阻害する場合がある。コーティングは、粒子に結合した生体分子と細胞との相互作用を阻害する場合がある。薬剤は、細胞の表面にある分子に結合する能力が低減するよう粒子上でコーティングに配向されてもよい。薬剤は、細胞の表面にある標的に結合する能力が低減するよう粒子上でコーティングに対して配向されてもよい。薬剤は、コーティングが、薬剤が、細胞の表面にある分子に結合するのを立体的に阻害するように、粒子上で、コーティングに対して配向されてもよい。薬剤は、コーティングが、薬剤が、細胞の表面にある標的に結合するのを立体的に阻害するように、粒子上で、配向されてもよい。コーティングは、粒子の薬剤の、細胞の表面にある分子に結合する能力が低減するよう粒子上で配向されてもよい。コーティングは、細胞表面受容体タンパク質の天然リガンドの能力に対して、細胞表面受容体タンパク質を活性化させる粒子の薬剤の能力を低減させてもよい。
【0286】
粒子は、第2のコーティングを含んでもよく、例えば、この場合、第2のコーティングは、第2の複数のコーティング分子からなる。粒子は、第2の複数のコーティング分子を含んでもよい。第2のコーティング及び/又は第2の複数のコーティング分子は、例えば、コーティング及び/又は複数のコーティング分子をマスクすることによってインビボにおける粒子のクリアランスを低下させることができる。第2のコーティング及び/又は第2の複数のコーティング分子は、例えば、所定の期間後にコーティング及び/又は複数のコーティング分子を細胞及び/又は細胞外タンパク質に曝露するために生分解性であってもよい。第2のコーティング及び/又は第2の複数のコーティング分子は、生分解性ポリマーを含んでもよく、例えば、第2の複数のコーティング分子の各分子が生分解性ポリマーを含んでもよい。第2のコーティング及び/又は第2の複数のコーティング分子は、ファゴサイトーシスを阻害するCD47を含んでもよい。
【0287】
一部の実施形態において、粒子は第1の表面(例えば、内部表面)及び第2の表面(例えば、外部表面又は外側表面)を含み、薬剤は第1の表面に固定され、コーティングは第2の表面の少なくとも一部を覆う。第1の表面の配向は、細胞表面にある分子と相互作用する薬剤の能力を低減することができる。第2の表面の配向は、コーティングと細胞、細胞外分子及び/又は異なる粒子との間の相互作用を可能にすることができる。コーティングと細胞、細胞外分子及び/又は異なる粒子との間の「相互作用」は、弱いか、中立であるか、又は好ましくない相互作用でありうるし、それは例えば、粒子の細胞、細胞外分子若しくは他の粒子との安定した結合を退けるためのものでありうる。或いは、コーティングと、細胞及び/又は細胞外分子のいずれかとの間の相互作用は、特異的な相互作用であっても設計された相互作用であってもよく、例えば、ファゴサイトーシスなどの生物学的経路による粒子のクリアランスを促進するためのものであってもよい。特定の好適な実施形態において、第2の表面は、実質的に薬剤を含まない。特定の好適な実施形態において、第1の表面は、実質的にコーティングを含まない。特定の好適な実施形態において、コーティングは、第2の表面の実質的にすべてを覆う。
【0288】
一部の実施形態において、粒子は第1の表面(例えば、内部表面)及び第2の表面(例えば、外部表面又は外側表面)を含み、薬剤は第1の表面及び第2の表面に固定され、コーティングは第2の表面の少なくとも一部を覆う。そのような実施形態において、コーティング(及び/又は第2のコーティング)は、薬剤と細胞表面にある分子との間の相互作用を阻害することができる。特定の好適な実施形態において、コーティングは、第2の表面の実質的にすべてを覆う。
【0289】
一部の実施形態において、粒子は第1の表面(例えば、内部表面)及び第2の表面(例えば、外部表面又は外側表面)を含み、薬剤は第1の表面に固定され、コーティングは第1の表面の少なくとも一部及び第2の表面の少なくとも一部を覆う。そのような実施形態において、コーティングは、生体分子と特異的に結合する薬剤の能力に影響を及ぼさないのが好ましい。特定の好適な実施形態において、コーティングは、第2の表面の実質的にすべてを覆う。
【0290】
一部の実施形態において、粒子は表面を含み、薬剤は表面に固定され、コーティングは表面の少なくとも一部を覆う。そのような実施形態において、コーティングは、薬剤の生体分子と特異的に結合する能力に影響を及ぼさなくてもよい。コーティングは、一部の薬剤が生体分子と特異的に結合し、一部の薬剤と生体分子との間の相互作用を阻害することを可能にする。コーティングは、薬剤と細胞表面にある分子との間の相互作用を阻害してもよい。特定の好適な実施形態において、コーティングは表面の実質的にすべてを覆う。
【0291】
一部の実施形態において、粒子は、第2の表面の少なくとも一部を覆うコーティング、及び第2の表面のコーティングの少なくとも一部、例えば、実質的にすべてを覆う第2のコーティングを含む。そのような実施形態において、コーティングは、クリアランス薬剤、例えば、排出又は食作用に対する粒子を標的とする「排出誘導化合物」を含んでもよい。そのようなコーティングは、ベータシクロデキストリンを含んでもよい。第2のコーティングは、材料、例えば、細胞との相互作用を阻害する及び/又は細胞外分子との非特異的相互作用、例えば、生体分子の非特異的吸着を阻害する複数の第2のコーティング分子を含んでもよい。第2のコーティングは、例えば、所定の期間後に、第2の表面にあるコーティングを細胞及び/又は細胞外タンパク質に曝露するために生分解性であってもよい。例えば、1つ以上のコアサブ粒子及び複数の保護サブ粒子を含む粒子において、捕捉剤はコアサブ粒子(複数可)の表面(すなわち、第1の表面)に固定され、保護サブ粒子の表面(すなわち、第2の表面)の少なくとも一部はコーティングを含み、例えば、コーティングは、クリアランス薬剤、又は細胞との相互作用を阻害し、及び/若しくは細胞外分子との非特異的相互作用を阻害する材料を含む。
【0292】
コーティングは、コーティング分子を含んでもよく、例えば、コーティングは、複数のコーティング分子からなってもよく、又はコーティングは、コーティング分子の集団からなってもよい。本明細書中で使用される場合、「複数のコーティング分子」及び「コーティング分子の集団」という用語はそれぞれコーティングを指す。ただし、「コーティング」という用語は、ハイドロゲルなどの付加的な組成物を指してもよい。コーティング分子は、排出剤であってもよい(よって、排出剤がコーティング分子であってもよい)。
【0293】
粒子は、複数のコーティング分子を含んでもよい。粒子は、表面及び表面に固定された複数の薬剤を含んでもよく、複数のコーティング分子の少なくとも1つの分子が表面に結合していてもよい。例えば、複数のコーティング分子のすべて又は実質的にすべての分子は、表面に結合していてもよい。
【0294】
粒子は、表面及び第2の表面を含んでもよく、この場合、表面に固定された複数の薬剤及び複数のコーティング分子の少なくとも1つの分子は、第2の表面に結合していてもよい。例えば、複数のコーティング分子のすべて又は実質的にすべての分子は、第2の表面に結合していてもよい。一部の実施形態において、複数のコーティング分子の一部の分子は表面に結合しており、複数のコーティング分子の一部の分子は第2の表面に結合している。
【0295】
一部の実施形態において、コーティング分子は、インビボにおける粒子のクリアランスを増加させる。例えば、コーティング分子は、病原体関連分子パターンを含んでもよい。
【0296】
一部の実施形態において、本明細書に記載されている粒子は、排出誘導化合物を含むコーティングを有し、この化合物は、例えば、(例えば、胆汁による)腎臓、肝臓/腸又は(例えば、抗原提示細胞による)ファゴサイトーシスによる血液循環からの粒子の除去を促進する。複数のコーティング分子は、複数の排出誘導化合物であってもよい。例えば、粒子が環状体の実施形態において、内側円周表面(例えば、第1の表面)は、固定された薬剤を含んでもよく、外側表面(例えば、第2の表面)は、例えば、腎臓、肝臓又はマクロファージによる粒子のクリアランスを誘導する化合物を含んでもよい。一部の実施形態において、排出誘導化合物がプログラムされる。すなわち、化合物が、時間とともに(例えば、所定期間)(例えば、酵素の作用、加水分解又は段階的な溶解により)分解し、最終的に排出誘導化合物又はクリアランスの速度を増加させるその他の特徴を曝露するコーティングによって覆われていてもよい。コーティングは、生体液(例えば、血漿又は細胞外液)に約1日間〜約5年間、例えば、約1日間〜約3年間又は約1日間〜約1年間曝露された後、分解してもよい。よって、インビボにおける粒子の滞留は、変更されても、及び/又は制御されてもよい。
【0297】
コーティングは、有機ポリマー、例えば、ポリエチレングリコール(PEG)を含んでもよい。有機ポリマーは、粒子に結合されてもよく、例えば、粒子の表面に結合される。有機ポリマーとしては、PEG、ポリラクテート、ポリ乳酸、糖、脂質、ポリグルタミン酸、ポリグリコール酸(PGA)、ポリ乳酸(PLA)、ポリ(乳酸-co-グリコール酸)(PLGA)、ポリ酢酸ビニル(PVA)及びそれらの組合せを挙げることができる。特定の実施形態において、粒子は、PEGと共有結合し、これは、血清タンパク質の吸着を妨げ、効率的な尿中排泄を促進し、粒子の凝集を低減する(例えば、それぞれが参照により本明細書に組み込まれるBurnsら、Nano Letters, 9(1):442〜448ページ(2009年)並びに米国特許出願公開第2013/0039848号及び同第2014/0248210号を参照のこと)。
【0298】
一実施形態において、コーティングは、少なくとも1つの親水性成分、例えば、Pluronic(登録商標)タイプのポリマー(一般式HO(C2H4O)a(-C3H6O)b(C2H4O)aHの非イオン性ポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレンブロックコポリマー)、トリブロックコポリマーである、ポリ(エチレングリコール-b-(DL-乳酸-co-グリコール酸)-b-エチレングリコール)(PEG-PLGA-PEG)、ジブロックコポリマーである、ポリカプロラクトン-PEG(PCL-PEG)、ポリ(ビニリデンフルオリド)-PEG(PVDF-PEG)、ポリ(乳酸-co-PEG)(PLA-PEG)、ポリ(メチルメタアクリレート)-PEG(PMMA-PEG)などを含む。そのような成分を有する一実施形態において、親水性成分は、PEG成分、例えば、[メトキシ(ポリエチレンオキシ)プロピル]-トリメトキシシラン(例えば、CH3(OC2H4)6〜9(CH2)OSi(OCH3)3)、[メトキシ(ポリエチレンオキシ)プロピル]-ジメトキシシラン(例えば、CH3(OC2H4)6〜9(CH2)OSi(OCH3)2)又は[メトキシ(ポリエチレンオキシ)プロピル]-モノメトキシシラン(例えば、CH3(OC2H4)6〜9(CH2)OSi(OCH3))である。適したコーティングについては、例えば、米国特許出願公開第2011/0028662号に記載されている(参照により本明細書に組み込まれる)。
【0299】
コーティングとしては、ポリヒドロキシル化ポリマー、例えば、天然高分子若しくは多重ヒドロキシル化ポリマーを含むヒドロキシル含有ポリマー、多糖、炭水化物、ポリオール、ポリビニルアルコール、ポリアミノ酸、例えば、ポリセリン若しくはその他のポリマー、例えば、2-(ヒドロキシエチル)メタアクリレート、又はそれらの組合せを挙げることができる。一部の実施形態において、ポリヒドロキシル化ポリマーは多糖である。多糖としては、マンナン、プルラン、マルトデキストリン、デンプン、セルロース及びセルロース誘導体、ガム、キサンタンガム、ローカストビーンガム又はペクチン、それらの組合せが挙げられる(例えば、参照により本明細書に組み込まれる、米国特許出願公開第2013/0337070号を参照のこと)。
【0300】
一部の実施形態において、コーティングは、双性イオンポリマーを含む(例えば、それぞれが参照により本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第2014/0235803号、同第2014/0147387号、同第2013/0196450号及び同第2012/0141797号並びに米国特許第8,574,549号を参照のこと)。
【0301】
その他の適したコーティングとしては、ポリアルファヒドロキシ酸(ポリアクチック酸又はポリラクチド、ポリグリコール酸又はポリグリコリドを含む)、ポリベータヒドロキシ酸(ポリヒドロキシブチレート又はポリヒドロキシバレレートなど)、エポキシポリマー(ポリエチレンオキシド(PEO)を含む)、ポリビニルアルコール、ポリエステル、ポリオルトエステル、ポリアミドエステル、ポリエステルアミド、ポリリン酸エステル及びポリリン酸エステルウレタン(polyphosphoester-urethane)が挙げられる。分解性ポリエステルの例としては、以下のものが挙げられる:例えば、ポリ(乳酸)又は(ポリラクチド、PLA)、ポリ(グリコール酸)又はポリグリコリド(PGA)、ポリ(3-ヒドロキシブチレート)、ポリ(4-ヒドロキシブチレート)、ポリ(3-ヒドロキシバレレート)を含むポリ(ヒドロキシアルカノエート)及びポリ(カプロラクトン)又はポリ(バレロラクトン)。ポリオキサエステルの例としては、ポリ(アルキレンオキサレート)、例えば、ポリ(エチレンオキサレート))及びアミド基を含むポリオキサエステルが挙げられる。その他の適したコーティング材料としては、ポリグリコール、エーテルエステルコポリマー(コポリ(エーテルエステル))及びポリカーボネートを含むポリエーテルが挙げられる。生分解性ポリカーボネートの例としては、ポリオルトカーボネート、ポリイミノカーボネート、ポリアルキルカーボネート、例えば、ポリ(トリメチレンカーボネート)、ポリ(1,3-ジオキサン-2-オン)、ポリ(p-ジオキサノン)、ポリ(6,6-ジメチル-1,4-ジオキサン-2-オン)、ポリ(1,4-ジオキセパン-2-オン)及びポリ(1,5-ジオキセパン-2-オン)が挙げられる。適した生分解性コーティングとしてはまた、ポリ酸無水物、ポリイミン(ポリ(エチレンイミン)(PEI)など)、ポリアミド(ポリ-N-(2-ヒドロキシプロピル)-メタクリルアミドを含む)、ポリ(アミノ酸)(ポリ-L-リシンなどのポリリシン又はポリ-L-グルタミン酸などのポリグルタミン酸を含む)、ポリホスファゼン(例えば、ポリ(フェノキシ-co-カルボキシラトフェノキシホスファゼン)、ポリオルガノホスファゼン、ポリシアノアクリレート及びポリアルキルシアノアクリレート(ポリブチルシアノアクリレートを含む)、ポリイソシアネート並びにポリビニルピロリドンが挙げられる。
【0302】
ポリマー性コーティング分子の鎖長は、約1〜約100モノマー単位、例えば、約4〜約25単位であってもよい。
【0303】
粒子は、フィブリン、フィブリノーゲン、エラスチン、カゼイン、コラーゲン、キトサン、細胞外基質(ECM)、カラギナン、コンドロイチン、ペクチン、アルギネート、アルギン酸、アルブミン、デキストリン、デキストラン、ゼラチン、マンニトール、n-ハラミン、多糖、ポリ-1,4-グルカン、デンプン、ヒドロキシエチルデンプン(HES)、ジアルデヒドデンプン、グリコーゲン、アミラーゼ、ヒドロキシエチルアミラーゼ、アミロペクチン、グルコソグリカン(glucoso-glycan)、脂肪酸(及びそのエステル)、ヒアルロン酸、プロタミン、ポリアスパラギン酸、ポリグルタミン酸、D-マンヌロン酸、L-グルロン酸、ゼイン及びその他のプロラミン、アルギン酸、グアーガム及びホスホリルコリン、並びにそれらのコポリマー及び誘導体を含む天然に生じるポリマーでコーティングされてもよい。コーティングはまた、セルロース、キチン、デキストラン、デンプン、ヒドロキシエチルデンプン、ポリグルコネート、ヒアルロン酸及びエラチン並びにそれらのコポリマー及び誘導体などの修飾多糖を含んでもよい。
【0304】
粒子は、ハイドロゲルでコーティングされてもよい。ハイドロゲルは、例えば、任意の適したポリマー、例えば、ポリ(ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート)、ポリエステル、ポリ(メタ)アクリルアミド、ポリ(ビニルピロリドン)又はポリビニルアルコールから選択されるベースのポリマーを使用して形成されてもよい。架橋剤は、過酸化物、硫黄、二塩化硫黄、金属酸化物、セレン、テルル、ジアミン、ジイソシアネート、アルキルフェニルジスルフィド、テトラアルキルチウラムジスルフィド、4,4'-ジチオモルホリン、p-キニンジオキシム(quinine dioxime)及びテトラクロロ-p-ベンゾキノンの1つ以上であってもよい。ボロン酸含有ポリマーも任意の光重合性基(photopolymerizable group)とともにハイドロゲルに組み込まれてよい。
【0305】
ある特定の好適な実施形態において、コーティングは、米国食品医薬品局(FDA)に使用が認可された材料を含む。FDAが認可したこうした材料としては、ポリグリコール酸(PGA)、ポリ乳酸(PLA)、ポリグラクチン910(1ラクチド単位当たり9:1の比のグリコリドを含み、VICRYL(商標)としても知られている)、ポリグリコナート(1トリメチレンカーボネート単位当たり9:1の比のグリコリドを含み、MAXON(商標)としても知られている)及びポリジオキサノン(PDS)が挙げられる。
【0306】
コーティングの粒子との結合は、共有結合或いは非共有結合、例えばイオン性結合、水素結合、疎水結合、配位、粘着物又は物理的吸収若しくは相互作用によって達成されてもよい。
【0307】
従来のナノ粒子コーティング方法としては、乾式及び湿式アプローチが挙げられる。乾式方法としては、以下のものが挙げられる:(a)物理蒸着(Zhang, Y.ら、Solid State Commun. 115:51ページ(2000年))、(b)プラズマ処理(Shi, D.ら、Appl. Phys. Lett. 78:1243ページ(2001年); Vollath, D.ら、J. Nanoparticle Res. 1:235ページ(1999年))、(c)化学蒸着(Takeo, O.ら、J. Mater. Chem. 8:1323 (1998年))、及び(d)基材内のナノ粒子をその場で析出させるためのポリマー又は非ポリマーの有機材料の熱分解(Sglavo, V. M.ら、J. Mater Sci. 28:6437ページ(1993年))。粒子をコーティングするための湿式方法としては、以下のものが挙げられる:(a)ゾルゲルプロセス及び(b)乳化及び溶媒蒸発技術(Cohen, H.ら、Gene Ther. 7:1896ページ(2000年); Hrkach、J. S.ら、Biomaterials 18:27ページ(1997年); Wang、D.ら、J. Control. Rel. 57:9ページ(1999年))。コーティングは、電気めっき、スプレーコーティング、ディップコーティング、スパッタリング、化学蒸着又は物理蒸着によって塗布されてもよい。さらに、さまざまなナノ粒子を多糖でコーティングするための方法は、当該技術分野において知られている(例えば、それぞれが参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第8,685,538号及び米国特許出願公開第2013/0323182号を参照のこと)。
【0308】
一部の実施形態において、粒子は、腎排泄によるクリアランスを促進するように適合化されてもよい。腎機能が正常な対象に関する腎クリアランスには、一般に15nm未満の少なくとも1つの寸法を有する粒子が必要である(例えば、Choi, H.S.ら、Nat Biotechnol 25(1):1165ページ(2007年); Longmire, M.ら、Nanomedicine 3(5):703ページ(2008年)を参照のこと)。それにもかかわらず、それより大きな粒子が尿中に排出される場合もある。それにもかかわらず、粒子が腎クリアランスには大き過ぎる実施形態について、粒子は、インビボにおいてより小さなサイズへ分解された後、除去されうる。
【0309】
一部の実施形態において、粒子は、胆肝道排泄によるクリアランスを促進するように適合化されてもよい。肝臓のクッパー細胞を含む単核食細胞系(MPS)は、ナノ粒子の肝臓取り込み及びそれに続く胆汁排出に関与する。ナノ粒子の特定のサイズ及び表面特性が肝臓のMPSによる取り込みを増加させることが知られている(例えば、それぞれが参照により組み込まれるChoiら、J. Dispersion Sci. Tech. 24(3/4):475〜487ページ(2003年);及びBrannon-Peppasら、J. Drug Delivery Sci. Tech. 14(4):257〜264ページ(2004年)を参照のこと)。例えば、粒子の疎水性を高めることが、MPSによる取り込みを増加させることが知られている。それにより、当業者は、胆汁排出を調節するための特定の特徴を有する粒子を選択することができる。胆肝道系は、腎臓系により排出され得る粒子(例えば、10〜20nm)よりもやや大きな粒子の排出を可能にする。それにもかかわらず、粒子が肝胆汁排泄には大き過ぎる実施形態について、粒子は、インビボにおいてより小さなサイズへ分解された後、除去されうる。そのような実施形態において、肝胆汁排泄によるクリアランスを促進するコーティングが、粒子の分解後にコーティングが露出するよう粒子の内側表面の一部を覆ってもよい。粒子は、複数のコーティング分子、例えば、表面の一部を覆う疎水性分子を含んでもよい。表面は、粒子の分解後に曝露されてもよく、それが分解された粒子のクリアランスを可能にする。
【0310】
一部の実施形態において、粒子は、ファゴサイトーシスによるクリアランスを促進するように適合化される。例えば、粒子は、排出剤を含んでもよく、この場合、排出剤は、例えば、マクロファージによる認識のための病原体関連分子パターンを含む。病原体関連分子パターン(PAMP)としては、非メチル化CpG DNA(細菌)、二本鎖RNA(ウイルス)、リポポリサカルリド(細菌)、ペプチドグリカン(細菌)、リポアラビノマンナン(細菌)、ザイモサン(酵母菌)、マイコプラズマのリポタンパク質、例えば、MALP-2(細菌)、フラジェリン(細菌)、ポリ(イノシン-シチジル)酸(細菌)、リポテイコ酸(細菌)、及びイミダゾキノリン(合成)が挙げられる。好適な実施形態において、PAMP排出剤は、1つ以上の標的と粒子が結合する前にマクロファージが粒子を貪食しないようマスクされる。例えば、PAMP排出剤は、上記コーティング(例えば、生分解性ポリマーコーティングなどのポリマーコーティング)の任意の1つによってマスクされてもよい。マクロファージは、20μmの大きさの粒子を貪食することができる(例えば、Cannon、G.J.及びSwanson、J.A., J. Cell Science 101:907〜913ページ(1992年); Champion、J.A.ら、Pharm Res 25(8):1815〜1821ページ(2008年)を参照のこと)。一部の実施形態において、ファゴサイトーシスによるクリアランスを促進する排出剤は、排出剤が粒子の分解後に露出されるよう粒子の内側表面の一部を覆ってもよい。粒子は、表面の一部を覆う複数の排出剤、例えば、PAMPを含んでもよい。表面は、粒子の分解後に曝露されてもよく、それが分解された粒子のクリアランスを可能にする。排出剤は、薬剤を含む表面と重なる表面の一部を覆ってもよい。排出剤(例えば、PAMP)は、例えば、第2のコーティングの分解後又は粒子の分解後に粒子に対する免疫応答を誘発してもよい。
【0311】
一部の実施形態において、排出剤(例えば、PAMP)に対する免疫応答が薬剤及び/又は薬剤/生体分子複合体に対する免疫応答を上回ってもよく、それにより薬剤及び/又は薬剤/生体分子複合体に対する免疫応答の開始を阻害するか、或いは遅延させる。例えば、粒子の分解が排出剤並びに薬剤(及び/又は薬剤/生体分子複合体)を白血球に曝露させてもよい。PAMP排出剤は、分解された粒子のマクロファージによる急速なクリアランスを可能にし、それにより、薬剤及び/又は薬剤/生体分子複合体に対する免疫応答(例えば、B細胞が関係する免疫応答)を遅延させることができる。
【0312】
クリアランス薬剤は、食作用を誘導するカルレティキュリンであってもよい。
【0313】
ある特定の好適な実施形態において、コーティング分子は、例えば、コーティング分子を用いてDNA足場を含む粒子にハイブリダイズさせるために、核酸を含む。例えば、粒子は核酸及びコーティング分子を含んでもよく、コーティング分子は核酸とハイブリダイズすることができる相補的核酸を含み、それによってコーティング分子と粒子との間に結合(すなわち、水素結合)を形成する。核酸はヌクレオチド配列を含んでもよく、相補的核酸は相補的ヌクレオチド配列を含んでもよく、例えば、ヌクレオチド配列は、相補的ヌクレオチド配列の逆相補鎖と少なくとも95%、96%、97%、98%又は99%の配列同一性を有する。ヌクレオチド配列は、相補的ヌクレオチド配列の逆相補鎖と100%の配列同一性を有してもよい。
【0314】
生理液(例えば、血液)中の核酸及び相補的核酸の融解温度は、体温(例えば、対象、例えば、ヒト又はマウスの体温)より高いことが好ましい。例えば、生理液中の核酸及び相補的核酸の融解温度は、37℃より高い、例えば、約38℃より高い、約39℃より高い、約40℃より高い、約41℃より高い、約42℃より高い、約43℃より高い、約44℃より高い又は約45℃より高いことが好ましい。核酸及び相補的核酸の融解温度は、約37℃〜約120℃、例えば、約38℃〜約120℃、約39℃〜約120℃、約40℃〜約120℃、約41℃〜約120℃、約42℃〜約120℃、約43℃〜約120℃、約44℃〜約120℃、約45℃〜約120℃、約46℃〜約120℃、約47℃〜約120℃、約48℃〜約120℃、約49℃〜約120℃、約50℃〜約120℃、約38℃〜約100℃、約39℃〜約100℃、約40℃〜約100℃、約41℃〜約100℃、約42℃〜約100℃、約43℃〜約100℃、約44℃〜約100℃、約45℃〜約100℃、約46℃〜約100℃、約47℃〜約100℃、約48℃〜約100℃、約49℃〜約100℃又は約50℃〜約100℃であってもよい。
【0315】
反応基の核酸、反応基のヌクレオチド配列、相補的核酸及び相補的ヌクレオチド配列の長さは、9ヌクレオチドより長いことが好ましい。反応基の核酸、反応基のヌクレオチド配列、相補的核酸及び相補的ヌクレオチド配列の長さは、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19又は20ヌクレオチドより長くてもよい。反応基の核酸、反応基のヌクレオチド配列、相補的核酸及び相補的ヌクレオチド配列の長さは、約10ヌクレオチド〜約100ヌクレオチド、例えば、約11ヌクレオチド〜約80ヌクレオチド、約12ヌクレオチド〜約60ヌクレオチド、約13ヌクレオチド〜約50ヌクレオチド、約14ヌクレオチド〜約40ヌクレオチド、約15ヌクレオチド〜約30ヌクレオチド又は約16ヌクレオチド〜約25ヌクレオチドであってもよい。核酸、ヌクレオチド配列、相補的核酸及び相補的ヌクレオチド配列のGC含量は、約10%〜約100%、例えば、約40%〜約100%、約45%〜約100%、約50%〜約100%、約55%〜約100%、約40%〜約95%、約45%〜約90%、約50%〜約85%又は約55%〜約80%であってもよい。
【0316】
一部の実施形態において、粒子は、生物によって約1日間〜約5年間以内、例えば、約1日間〜約3年間又は約1日間〜約1年間以内に、除去されてもよい。
【0317】
XIV.適用
本明細書に記載されている組成物(例えば、粒子及びその医薬組成物)は、さまざまな診断及び治療的適用において有用である。例えば、本明細書に記載されている粒子は、がんを治療する、対象から毒を除去する又はウイルス若しくは細菌感染症を治療するために使用することができる。
【0318】
治療的適用は、本明細書に記載されている1つ以上の組成物を対象、例えば、ヒト対象に投与経路に部分的に依存したさまざまな方法を使用して投与することを含む。経路は、例えば、静脈注射若しくは注入(IV)、皮下注射(SC)、腹腔内(IP)注射又は筋肉内注射(IM)が可能である。
【0319】
一部の態様において、本発明は、組成物から生体分子を除去するための方法であって、組成物を本明細書に記載されている粒子と接触させることを含む方法に関する。そのような方法は、科学的研究に対して特に有用である。例えば、溶液に生体分子を添加することは比較的容易であるが、溶液から特定の生体分子を除去することは幾分かより困難である。
【0320】
溶液から生体分子を除去するための現在の技術は、例えば、生体分子を粒子、例えばセファロースビーズに結合させた後、溶液からビーズを物理的に分離することを含む。本明細書に記載されている粒子は組成物中の生体分子を隔離し、それによって組成物から粒子を物理的に分離する必要なく、組成物の他の構成成分(例えば、細胞)との相互作用を阻害することができる。
【0321】
粒子は、フルオロフォアを含んでもよい。粒子は磁性若しくは常磁性であってもよく、或いは粒子は磁性若しくは常磁性サブ粒子、又は粒子を磁場に引き付ける構成成分を含んでもよい。
【0322】
方法は、組成物を本明細書に記載されている粒子と接触させることを含み、組成物は細胞培養物である。例えば、細胞培養物は、細菌細胞培養物又は組織培養物であってもよい。そのような方法は、例えば、分泌タンパク質を細胞培養物から除去するため、又は夾雑物を細胞培養物から除去するために有用でありうる。
【0323】
方法は、組成物を本明細書に記載されている粒子と接触させることを含み、組成物は細胞溶解物である。細胞溶解物は、原核生物又は真核生物の細胞溶解物であってもよい。そのような方法は、例えば、標的生体分子の活性を阻害するために有用でありうる。
【0324】
上記方法は、特定のシステムで、目的の生体分子の機能を評価するために特に有用でありうる。例えば、生体分子はシステムにおける生体分子の影響(例えば、細胞増殖又は細胞死)を評価するために、システム(例えば、組織培養)に導入されてもよく、生体分子はシステムにおける生体分子が存在しないことの影響を評価するために、本明細書に記載されている粒子を使用して同様のシステムから取り除かれてもよい。
【0325】
XV.薬剤を粒子にカップリングさせるためのキット
一部の態様において、本発明は、捕捉粒子を作製するためのキットに関する。キットは、複数の粒子を含んでもよい。キットは、捕捉粒子を調製するために、粒子の反応基を複数の薬剤にカップリングさせるための説明書を含んでもよい。キットは、捕捉粒子を調製するために、粒子の反応基を官能化するための説明書を含んでもよい。キットは、複数のリンカーをさらに含んでもよい。複数のリンカーのうちのそれぞれのリンカーは、第1の官能基と反応することができる所定の部位を有する薬剤と選択的に反応することができる第1の官能基を含んでもよい。複数のリンカーのうちのそれぞれのリンカーは、粒子の反応基と選択的に反応することができる第2の官能基を含んでもよい。一部の実施形態において、キットはリンカーを含まず、例えば、粒子の反応基は薬剤と選択的に反応することができ、それによって薬剤を粒子にカップリングさせる。キットは、複数の薬剤をさらに含み、それぞれの薬剤は所定の部分を有する。所定の部分は、例えば、ペプチド又はタンパク質を含む薬剤では、第一級アミン、グアニジニウム、チオール又はカルボキシル基であってもよい。一部の実施形態において、キットは、例えば、カスタム捕捉粒子を作成するために、薬剤を含まない。
【0326】
一部の実施形態において、キットは複数の第2のリンカーを含み、例えば、複数の第2のリンカーのうちのそれぞれのリンカーは、第3の官能基と反応することができる第2の所定の部分を有する薬剤と選択的に反応することができる第3の官能基を含む。例えば、第1の官能基はタンパク質の所定の部分と反応することができる場合があり、第3の官能基は核酸の所定の部分と反応することができる場合があり、その結果、粒子は異なるリンカーを利用することによってタンパク質及び/又は核酸で負荷されうる。
【0327】
XVI.捕捉粒子を作製するための方法
一部の態様において、本発明は、捕捉粒子を作製するための方法に関する。方法は、粒子を複数の薬剤と反応させることを含む。複数の薬剤のうちのそれぞれの薬剤は、複数の反応基のうちの1つの反応基と選択的に反応することができる官能基又は所定の部分を含むことができる。それぞれの反応基は、薬剤が粒子にカップリングした後、薬剤の細胞(例えば、原核生物の細胞、例えば、二倍体細胞、例えば、ヒト二倍体細胞、例えば、免疫細胞又はがん細胞)の表面にある分子と結合する能力が低減するよう粒子上で配向されてもよい。
【0328】
方法は、例えば、粒子を複数の薬剤と反応させる前に、複数の薬剤を複数のリンカーと反応させることを含む。例えば、複数のリンカーのうちのそれぞれのリンカーは、第1の官能基と反応することができる所定の部分を有する薬剤と選択的に反応することができる第1の官能基を含んでもよい。複数のリンカーのうちのそれぞれのリンカーは、粒子の反応基と選択的に反応することができる第2の官能基を含んでもよい。よって、薬剤は、粒子の反応基と選択的に反応することができる官能基を付加するために官能化されてもよい。それぞれのリンカーは、例えば、第2の官能基を保護する保護基を含んでもよい。方法は、例えば、複数の薬剤を複数のリンカーと反応させた後、リンカーを脱保護することをさらに含んでもよい。
【0329】
方法は、例えば、粒子を複数の薬剤と反応させる前に、粒子を複数のリンカーと反応させることをさらに含んでもよい。例えば、複数のリンカーのうちのそれぞれのリンカーは、反応基と選択的に反応することができる第2の官能基を含んでもよい。複数のリンカーのうちのそれぞれのリンカーは、第1の官能基と反応することができる所定の部分を有する薬剤と選択的に反応することができる第1の官能基を含んでもよい。よって、粒子は、薬剤の所定の部分と選択的に反応させるために官能化されてもよい。それぞれのリンカーは、例えば、第1の官能基を保護する保護基を含んでもよい。方法は、例えば、粒子を複数のリンカーと反応させた後、リンカーを脱保護することをさらに含んでもよい。
【0330】
捕捉粒子を調製する方法により、例えば、薬剤の結合領域が反応基及び/又はリンカーにカップリングする場合、生体分子に結合できない薬剤を含む粒子が生じる場合がある。それにもかかわらず、薬剤の集団はアクセス可能であり、生体分子に特異的に結合することができる。一部の実施形態において、複数の薬剤のうちのそれぞれの薬剤は、生体分子に特異的に結合することができる。一部の実施形態において、粒子のそれぞれの薬剤は、生体分子に特異的に結合することができる。
【0331】
捕捉粒子を調製方法により、細胞、例えば、がん細胞又は免疫細胞と相互作用することができる薬剤を含む粒子を生じる場合がある。それにもかかわらず、薬剤の集団は、細胞(例えば、二倍体ヒト細胞、がん細胞及び/又は免疫細胞)の表面にある分子に結合する能力の低減を示し得る。一部の実施形態において、複数の薬剤のうちのそれぞれの薬剤は、例えば、粒子の外側の表面に固定された薬剤に対して、細胞(例えば、二倍体ヒト細胞、がん細胞及び/又は免疫細胞)の表面にある分子に結合する能力の低減を示す。一部の実施形態において、粒子のそれぞれの薬剤は、例えば、粒子の外側の表面に固定された薬剤に対して、細胞(例えば、二倍体ヒト細胞、がん細胞及び/又は免疫細胞)の表面にある分子に結合する能力の低減を示す。
【0332】
前述のことは、本明細書に記載されているあらゆる組成物及び方法に当てはまる。本開示は、特に、そのような組成物及び方法の特徴(単独又は組合せ)とこのセクションに記載されているさまざまなキットに関して記載されている特徴とのあらゆる組合せを意図する。
【0333】
別に定義されない限り、本明細書において使用されるすべての技術及び科学用語は、本開示が属する分野の当業者に一般的に理解されるのと同じ意味を有する。好ましい方法及び材料が本明細書に示されるが、本明細書に記載されているものと類似又は等価の方法及び材料も、本開示の方法及び組成物の実施又は試験に使用することができる。本明細書において言及されるすべての公報、特許出願、特許及びその他の参考文献は、参照によりその全体が組み込まれる。
【0334】
本開示は、任意の前述の態様及び実施形態のすべての組合せ並びに詳細な説明及び実施例に記載されている任意の実施形態との組合せを意図する。本開示のこれらの態様及びその他の態様は、、本開示のある特定の実施形態を説明するためのものであり、請求の範囲によって定義されるその範囲を限定するものではない以下の実施例を考慮することによりさらに理解されるであろう。
【実施例】
【0335】
[実施例1]
シリコン粒子を製造するための方法
多様な孔サイズを有する1000nm×400nm及び1000nm×800nmのサイズの多孔質シリコンディスクを製造する。ディスクのサイズ及び形態並びに孔径は、走査電子顕微鏡法によって特性解析される。金(Au)ナノ粒子を多孔質シリコンディスクの孔に蒸着する。腫瘍壊死因子(TNF)は、配位結合(dative covalent bond)により金ナノ粒子の表面に結合している。リガンド密度及びTNF-Au結合の安定性を評価する。
【0336】
[実施例2]
ポリマー粒子を製造するための方法
ポリ(ラクチド-co-グリコリド)(PLGA)粒子をエマルジョンにより作製する。PLGA粒子のサイズ及び形態を走査電子顕微鏡法、原子間力顕微鏡法及び透過型電子顕微鏡法によって特性解析する。その粒子を、マクロファージ動員(すなわち、ファゴサイトーシス)のために四級アンモニウムベータサイクロデキストリンでコーティングする。コーティングを原子間力顕微鏡法及び透過型電子顕微鏡法によって確認する。コーティング密度及び均一性を、透過型電子顕微鏡法及び動的光散乱によって特性解析する。
【0337】
ベータサイクロデキストリンでコーティングしたPLGA粒子を、マクロファージとともにインキュベートし、蛍光顕微鏡法及びフローサイトメトリーによってファゴサイトーシスを観察する。
【0338】
ベータサイクロデキストリンでコーティングしたPLGA粒子をポリエチレングリコール(PEG)及びチオール成分の混合物でコーティングして、オプソニン化の予防及びマクロファージ取り込み並びに他の粒子との結合を回避させる。PEG及びチオールコーティングの均一性及び密度を、原子間力顕微鏡法によって特性解析する。コーティングの安定性を、媒体中で粒子をさまざまな期間インキュベートすることによって特性解析する。さまざまな時点における粒子の回避及び取り込みを、上記のとおりマクロファージとともに粒子をインキュベートすることによって観察する。
【0339】
PLGA粒子を、腫瘍壊死因子(TNF)でコーティングし、粒子を、ジスルフィド結合によって合体させて、スポンジ内部表面にTNFを含む「スポンジ」を形成する。スポンジのTNFと細胞との間の相互作用を防ぐために、スポンジの外部表面(例えば、外側表面)をTNFを含まない粒子で任意にブロッキングする。
【0340】
本開示をその特定の実施形態を参照して示してきたが、本開示の真の趣旨及び範囲から逸脱することなく、さまざまな変更が行われてもよく、等価物は置換され得ることを当業者は理解すべきである。さらに、特定の状況、材料、組成物、プロセス、プロセスステップ又はステップに適合させるために本開示の目的、趣旨及び範囲に多くの改変が行われてもよい。すべてのそのような改変は、本開示の範囲内にあることが意図される。
【0341】
[実施例3]
DNA粒子を製造するための方法
DNAナノチューブは、Douglasら(その全体において参照により本明細書に組み込まれるNature 459(7245):414〜8ページ(2009年))に記載されているものと同様のプロトコルを使用してアセンブルされる。ナノチューブは、5個の内部ビオチンを含む。ナノチューブに組み込まれていないDNA鎖は、300kDaのMWCOフィルターユニットを使用して除去される。ナノチューブは、原子力顕微鏡によって特徴付けられる。
【0342】
ビオチン標識TNFαは、ストレプトアビジン四量体と3:1の比で混合され、約300nMの濃度で、1つのストレプトアビジン分子に結合した3個のヒトTNFαを有するTNFαモジュールを生成する。その後、TNFαモジュールは、DNAナノチューブと一緒にインキュベートされ、TNFαモジュールを含むナノチューブを生じる。ナノチューブは、300kDaのMWCOフィルターユニットを使用して精製され、原子力顕微鏡によって特徴付けられる。
【0343】
TNFαアッセイを使用して、TNFαモジュールがナノチューブに結合したことを確認し、5nM、10nM、15nM、25nM、35nM及び50nMの濃度でTNFαを含むナノチューブの溶液を生成する(Abcamカタログ番号ab181421)。
【0344】
可溶性TNF受容体に結合するTNFαナノチューブの能力を、ELISAアッセイを使用して評価する(Abcamカタログ番号ab100642)。簡単には、ナノ粒子を、抗可溶性TNF受容体抗体でコーティングした96ウェルプレートの異なるウェルに異なる濃度で添加する。可溶性TNF受容体をウェルに添加し、プレートを一定期間インキュベートし、その後、ナノチューブを、ナノチューブに結合する可溶性TNFと一緒にウェルから洗い流す。ビオチン化抗可溶性TNF受容体抗体をウェルに添加し、ウェルを洗浄して結合していない抗体を除去し、西洋ワサビペルオキシダーゼでコンジュゲートしたストレプトアビジンをウェルに添加し、ウェルを洗浄して結合していない西洋ワサビペルオキシダーゼを除去し、3,3',5,5'-テトラメチルベンジジン(TMB)をウェルに添加する。ウェルの抗TNF受容体抗体に結合したTNF受容体の量を、450nmでTMBを、及び/又は650nmでTMB由来の3,3',5,5'-テトラメチルベンジジンジイミンの生成をモニタリングすることによって定量化する。より高濃度のナノチューブを収容するウェルは、450nmで高い吸光度を、650で低い吸光度を示し、ウェルに結合した可溶性TNF受容体が少ないこと、よって低いペルオキシダーゼ活性に対応する。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【国際調査報告】